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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-17
(45)【発行日】2025-09-26
(54)【発明の名称】エンジン
(51)【国際特許分類】
   F02B 29/04 20060101AFI20250918BHJP
【FI】
F02B29/04 K
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022023515
(22)【出願日】2022-02-18
(65)【公開番号】P2023120571
(43)【公開日】2023-08-30
【審査請求日】2024-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100187562
【弁理士】
【氏名又は名称】沼田 義成
(72)【発明者】
【氏名】福田 育仕
(72)【発明者】
【氏名】桑山 航
(72)【発明者】
【氏名】狐塚 久樹
(72)【発明者】
【氏名】西野 正人
【審査官】家喜 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-318222(JP,A)
【文献】特開平02-191814(JP,A)
【文献】米国特許第04520627(US,A)
【文献】国際公開第2015/064449(WO,A1)
【文献】特開2015-183564(JP,A)
【文献】特開2012-062874(JP,A)
【文献】特開2014-066211(JP,A)
【文献】韓国登録特許第2215070(KR,B1)
【文献】中国実用新案第201614961(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 29/04
F02M 35/10
F01P 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の気筒が列をなす気筒列に設けられたシリンダヘッドと、
前記気筒列の列方向における前記シリンダヘッドの一端部側に設けられたインタークーラと、
前記シリンダヘッドの他端部側に設けられた清水クーラと、
前記インタークーラから前記シリンダヘッドへ給気を導く給気マニホルドと、
前記インタークーラと前記清水クーラとを接続する冷却配管と、を備え、
前記冷却配管を通過した液体は、前記清水クーラ又は前記インタークーラでの冷却に用いられた後に外部に排出され、
前記シリンダヘッド、前記給気マニホルド、及び、前記冷却配管は、前記気筒列の前記列方向と交差する幅方向に前記シリンダヘッド、前記給気マニホルド、前記冷却配管の順に配置され、
前記給気マニホルドの前記列方向に交差する断面の前記幅方向の長さが、前記列方向と前記幅方向とに交差する方向の長さよりも短いことを特徴とするエンジン。
【請求項2】
前記インタークーラは、
前記給気マニホルドへ給気を放出する給気放出口と、
前記冷却配管へ前記液体を放出する液体放出口と、を備え、
前記給気放出口と前記液体放出口は、前記インタークーラの前記幅方向の中心を境界として同じ側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のエンジン。
【請求項3】
前記給気マニホルドは、前記シリンダヘッドへ給気を放出する給気通路を備え、
前記給気通路は、前記列方向に交差する断面において、前記給気マニホルドの前記幅方向に交差する方向の中心を境界として前記シリンダヘッドの給気路と同じ側に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のエンジン。
【請求項4】
前記冷却配管は、前記給気マニホルドに支持されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
過給機で圧縮された給気を冷却するインタークーラが知られている。インタークーラを含む給気経路の配置の一例として、特許文献1に記載されたエンジンは、エンジンのクランク軸方向の一端部側にインタークーラが配置され、クランク軸方向に交差する方向の一側に給気マニホルドが配置され、インタークーラに接続された冷却配管がクランク軸方向に沿って配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2015/064449号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたエンジンは、シリンダヘッドと冷却配管との間に給気マニホルドが配置されているため、クランク軸に交差する方向のエンジンの幅を抑制するには、クランク軸に交差する方向の給気マニホルドの厚さを薄くする必要がある。しかし、単に給気マニホルドの厚さを薄くすると、給気効率が低下するという問題がある。
【0005】
本発明は、上記事情を考慮し、コンパクト且つ給気効率の低下を抑制したエンジンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係るエンジンは、複数の気筒が列をなす気筒列に設けられたシリンダヘッドと、気筒列の列方向における前記シリンダヘッドの一端部側に設けられたインタークーラと、前記インタークーラから前記シリンダヘッドへ給気を導く給気マニホルドと、前記インタークーラに接続された冷却配管と、を備え、前記シリンダヘッド、前記給気マニホルド、及び、前記冷却配管は、前記気筒列の列方向と交差する幅方向に前記シリンダヘッド、前記給気マニホルド、前記冷却配管の順に配置され、前記給気マニホルドの前記列方向に交差する断面の前記幅方向の長さが、前記列方向と前記幅方向とに交差する方向の長さよりも短い。
【0007】
前記インタークーラは、前記給気マニホルドへ給気を放出する給気放出口と、前記冷却配管へ液体を放出する液体放出口と、を備え、前記給気放出口と前記液体放出口は、前記インタークーラの前記幅方向の中心よりも片側に設けられていてもよい。
【0008】
前記給気マニホルドは、前記シリンダヘッドへ給気を放出する給気通路を備え、前記給気通路は、前記列方向に交差する断面において、前記給気マニホルドの前記列方向と前記幅方向とに交差する方向の中心よりも片側に設けられていてもよい。
【0009】
前記エンジンは、前記列方向における前記シリンダヘッドの他端部側に設けられた清水クーラを備え、前記冷却配管は、前記インタークーラと前記清水クーラとに接続されていてもよい。
【0010】
前記冷却配管は、前記給気マニホルドに支持されていてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、コンパクト且つ給気効率の低下を抑制したエンジンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係るエンジンを示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る給排気の経路を示す斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る給排気の経路を示す斜視図である。
図4】本発明の一実施形態に係る冷却配管を示す斜視図である。
図5】本発明の一実施形態に係るインタークーラ側蓋を示す斜視図である。
図6】本発明の一実施形態に係る清水クーラ側蓋を示す斜視図である。
図7】本発明の一実施形態に係る冷却配管の主要部を示す斜視図である。
図8】本発明の一実施形態に係る冷却配管の主要部を示す分解図である。
図9】本発明の一実施形態に係る冷却配管の主要部を示す側面図である。
図10】本発明の一実施形態に係る給気マニホルドを示す斜視図である。
図11】本発明の一実施形態に係る給気マニホルドを示す斜視図である。
図12】本発明の一実施形態に係るシリンダヘッドと給気マニホルドと冷却配管を示す断面図である。
図13】本発明の一実施形態に係るエンジンの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態に係るエンジン100について説明する。
【0014】
最初に、エンジン100の全体の構成について説明する。図1は、エンジン100を示す斜視図である。各図において、U、Lo、L、R、Fr、Rrは、それぞれ上、下、左、右、前、後を示す。本実施形態では、シリンダヘッド1がシリンダブロック2の上方に設けられている例を示すが、エンジン100はどのような姿勢で使用されてもよい。また、本実施形態では、本発明の適用対象の一例として、直列6気筒のディーゼルエンジンを示すが、本発明は、複数気筒を備える全てのレジプロエンジンに対して好適である。
【0015】
エンジン100は、シリンダヘッド1、シリンダブロック2、オイルパン5を備える。シリンダヘッド1は、給気路、排気路、給気バルブ、排気バルブ及びインジェクタを含む6組の部品群(図示省略)を前後方向に沿って直列配置したものである。シリンダブロック2は、ピストン及びコネクティングロッドを収容した6つの気筒(図示省略)を前後方向に沿って直列配置した気筒列3と、クランクシャフト(図示省略)を収容したクランクケース4と、を備える。オイルパン5は、潤滑油を貯留する。
【0016】
次に、給排気の経路について説明する。図2、3は、給排気の経路を示す斜視図である。給排気の経路には、ターボチャージャ11、インタークーラ12、給気マニホルド13、シリンダヘッド1、排気マニホルド14が含まれる。
【0017】
ターボチャージャ11は、タービン11Tとコンプレッサ11Cを備える。コンプレッサ11Cは、インタークーラ12に接続されている。給気マニホルド13は、本体部13Bと給気取入口13iと6つの給気通路13Eと、を備える。給気取入口13iは、インタークーラ12に接続されている。6つの給気通路13Eは、シリンダヘッド1の給気路(図示省略)に接続されている。排気マニホルド14は、コレクタ14Cと6つの排気取入口14iと排気放出口14Eとを備える。6つの排気取入口14iは、シリンダヘッド1の排気路(図示省略)に接続されている。排気放出口14Eは、タービン11Tに接続されている。
【0018】
気筒からの排気は、シリンダヘッド1の排気路と排気マニホルド14を経てタービン11Tに供給される。タービン11Tは、排気エネルギーによって回転する。コンプレッサ11Cは、タービン11Tとともに回転することで空気を取り入れ、圧縮する。圧縮された空気は、インタークーラ12に送られる。インタークーラ12は、圧縮空気を冷却して給気マニホルド13に送る。給気マニホルド13は、各気筒へ供給する圧縮空気の密度、給気量、気流を均一化するサージタンクの機能を備え、圧縮空気を給気通路13Eを介してシリンダヘッド1の給気路に供給する。
【0019】
次に、冷却配管18の概要について説明する。図4は、冷却配管18を示す斜視図である。インタークーラ12には、ポンプ17を備えた給水管16が接続されている。インタークーラ12は、ポンプ17で吸い上げた海水を用いて給気を冷却する。インタークーラ12には、冷却配管18を介して清水クーラ15が接続されている。インタークーラ12で給気の冷却に用いられた海水は、冷却配管18を通って清水クーラ15に供給される。清水クーラ15は、エンジン100に設けられたウォータージャケット(図示省略)を循環するクーラントを、インタークーラ12から供給された海水を用いて冷却する。清水クーラ15でクーラントの冷却に用いられた海水は、オイルクーラ(図示省略)で潤滑油の冷却に使用された後、船外へ排出される。
【0020】
次に、冷却配管18について詳細に説明する。図5は、インタークーラ側蓋21を示す斜視図である。図6は、清水クーラ側蓋25を示す斜視図である。図7は、冷却配管18の主要部を示す斜視図である。図8は、冷却配管18の主要部を示す分解図である。図9は、冷却配管18の主要部を示す側面図である。なお、図7では、犠牲防食被膜配管24の前後に接続用配管23と金属製配管22が設けられているが、図8では、犠牲防食被膜配管24とその前側の接続用配管23及び金属製配管22のみが示されている。
【0021】
インタークーラ12(図4、5参照)は、インタークーラハウジング20と、インタークーラハウジング20の左側部に設けられた開口部(図示省略)を塞ぐインタークーラ側蓋21(流路部品の一例)と、を備える。
【0022】
インタークーラハウジング20は、給気取入口20iと給気放出口20Eを備える。給気取入口20iは、インタークーラハウジング20の底部の右側の部分に設けられている。給気放出口20Eは、インタークーラハウジング20の左右方向の中心C1よりも左側の部分に設けられている。給気放出口20Eは、前方上向きに開口している。
【0023】
インタークーラ側蓋21は、概ね円形、且つ、左方に凹んでいる。インタークーラ側蓋21の内部の空間は、隔壁21Wによって下方の第1副室211と上方の第2副室212に分割されている。第1副室211には、左右方向に貫通した液体取入口21iが設けられている。液体取入口21iには、給水管16が接続されている。第2副室212には、前後方向に貫通した液体放出口21Eが設けられている。液体放出口21Eには、冷却配管18の後端部が接続されている。第1副室211及び第2副室212には、内外に貫通した差込口(図示省略)が設けられている。差込口には、雌ねじが形成されている。差込口には、雄ねじが形成されたボルト状の犠牲防食材30が取り付けられる。犠牲防食材30は、第1副室211及び第2副室212の内面から突出する。犠牲防食材30は、亜鉛又は鉄で形成されている。亜鉛は、純度99.99%以上の高純度亜鉛地金を主原料としたものが用いられる。鉄は、純度99.90%以上の純鉄が用いられる。
【0024】
清水クーラ15(図4、6参照)は、清水クーラハウジング26と、清水クーラハウジング26の左端部に設けられた開口部(図示省略)を塞ぐ清水クーラ側蓋25(流路部品の一例)と、を備える。清水クーラ側蓋25は、概ね円形、且つ、左方に凹んでいる。清水クーラ側蓋25の内部の空間は、隔壁25Wによって上方の第1副室251と下方の第2副室252に分割されている。第1副室251には、前後方向に貫通した液体取入口25iが設けられている。液体取入口25iには、冷却配管18の前端部が接続されている。第1副室251及び第2副室252には、内外に貫通した差込口(図示省略)が設けられている。差込口には、雌ねじが形成されている。差込口には、前述の犠牲防食材30が取り付けられる。犠牲防食材30は、第1副室251及び第2副室252の内面から突出する。
【0025】
冷却配管18(図4、7乃至9参照)は、金属製配管22と、犠牲防食被膜配管24と、を備える。海水は、冷却配管18を通ってインタークーラ12から清水クーラ15へと流れる。金属製配管22、犠牲防食被膜配管24、インタークーラ側蓋21、清水クーラ側蓋25は、後側から、インタークーラ側蓋21、金属製配管22、犠牲防食被膜配管24、金属製配管22、清水クーラ側蓋25の順に配置されている。
【0026】
金属製配管22は、鉄を用いて形成されている。金属製配管22の内周面には犠牲防食被膜が形成されていない。犠牲防食被膜配管24の前後の金属製配管22は同一形状である。具体的には、少なくとも配管両端部の形状および配管長さが共通で冷却水配管として相互互換可能に構成されている。配管表面に形成されたボス形状や配置が相違していても冷却水配管として相互互換可能であれば同一形状に含まれる。金属製配管22は、管部22Pと、管部22Pの前後方向の一端部に設けられたフランジ22Fと、管部22Pの他端部に設けられたスリーブ22Sと、を備える。スリーブ22Sの内径は、管部22Pの内径よりも大きい。インタークーラ12側では、フランジ22Fがインタークーラ側蓋21の液体放出口21Eに、ガスケット又はOリングを介してボルト(いずれも図示省略)を用いて締結されている。清水クーラ15側では、フランジ22Fが清水クーラ側蓋25の液体取入口25iにガスケット又はOリングを介してボルト(いずれも図示省略)を用いて締結されている。
【0027】
金属製配管22の管部22Pのスリーブ22S側の端部付近には、ボルト挿入部22Aが設けられている(図7、8参照)。ボルト挿入部22Aは、管部22Pの外周面から上方及び下方に膨出した部位である。ボルト挿入部22Aには、左右方向に貫通したボルト孔が設けられている。給気マニホルド13の本体部13Bの左側面には、ボルト挿入部22Aのボルト孔に対応する位置に雌ねじが設けられている(図示省略)。金属製配管22を給気マニホルド13にボルトを用いて締結することで、金属製配管22が給気マニホルド13に固定される(図2参照)。
【0028】
犠牲防食被膜配管24は、鉄を用いて形成されている。犠牲防食被膜配管24は、管部24Pと、管部24Pの両端部に設けられたフランジ24Fと、を備える。犠牲防食被膜配管24の内面には、溶融亜鉛めっき、電気亜鉛めっき等の亜鉛めっき処理が施されている。亜鉛は、純度99.99%以上の高純度亜鉛地金を主原料としたものが用いられる。
【0029】
金属製配管22と犠牲防食被膜配管24は、接続用配管23を用いて接続される。接続用配管23は、管部23Pと、管部23Pの前後方向の一端部に設けられたフランジ23Fと、を備える。管部23Pの他端部側の外周面には、Oリング23R(図9参照)が嵌合する周方向に沿った溝23Gが設けられている。接続用配管23の他端部が、金属製配管22のスリーブ22Sに挿入されると、Oリング23Rがスリーブ22Sの内周面に押し当てられることで、海水の漏れが防止される。接続用配管23は、スリーブ22Sの内周面に沿って前後方向にスライド可能である。接続用配管23のフランジ23Fは、犠牲防食被膜配管24のフランジ24Fにガスケット又はOリングを介してボルト(いずれも図示省略)を用いて締結される。
【0030】
犠牲防食被膜配管24は、固定部材24Mによって給気マニホルド13に固定される(図2、7参照)。固定部材24Mは、例えば、金属製のバンドである。この例では、固定部材24Mは、ボルトとナットで結合された2本のバンドで構成されているが、固定部材24Mは1本のバンドで構成されていてもよい。固定部材24Mは、犠牲防食被膜配管24の管部24Pに巻き付けられる。固定部材24Mの長手方向の両端部は、給気マニホルド13の本体部13Bの左側面に沿うように折り曲げられ、左右方向に貫通したボルト孔を備える。給気マニホルド13の本体部13Bの左側面には、固定部材24Mのボルト孔に対応する位置に雌ねじが設けられている(図示省略)。犠牲防食被膜配管24を給気マニホルド13にボルトを用いて締結することで、犠牲防食被膜配管24が給気マニホルド13に固定される。
【0031】
給水管16からインタークーラ側蓋21の液体取入口21iを経て第1副室211に流入した海水は、インタークーラハウジング20内の流路(図示省略)に沿って流れつつ圧縮空気を冷却し、第2副室212から液体放出口21Eを経て冷却配管18に流入する。冷却配管18から清水クーラ側蓋25の液体取入口25iを経て第1副室251に流入した海水は、隔壁25Wを超えて第2副室252に流入し、清水クーラ15内の流路(図示省略)に沿って流れつつクーラントを冷却し、液体放出口26E、オイルクーラ(図示省略)を経て船外へ排出される。
【0032】
次に、給気マニホルド13について詳細に説明する。図10、11は、給気マニホルド13を示す斜視図である。図12は、シリンダヘッド1と給気マニホルド13と冷却配管18を示す断面図である。図13は、エンジン100の平面図である。
【0033】
エンジン100は、複数の気筒が列をなす気筒列3に設けられたシリンダヘッド1と、気筒列3の列方向におけるシリンダヘッド1の一端部側に設けられたインタークーラ12と、インタークーラ12からシリンダヘッド1へ給気を導く給気マニホルド13と、インタークーラ12に接続された冷却配管18と、を備え、シリンダヘッド1、給気マニホルド13、及び、冷却配管18は、気筒列3の列方向と交差する幅方向にシリンダヘッド1、給気マニホルド13、冷却配管18の順に配置され、給気マニホルド13の列方向に交差する断面の幅方向の長さが、列方向と幅方向とに交差する方向の長さよりも短い。
【0034】
給気マニホルド13(図10、11参照)は、本体部13Bと給気取入口13iと6つの給気通路13Eと、を備える。本体部13Bは、前後方向に細長い直方体の前端部の上部を前下がりの斜面に変形した形状を有する。本体部13Bの内部は空洞である。本体部13Bの前後方向(気筒列3の列方向)に交差する断面(図12参照)は、上下方向に細長い長方形である。換言すれば、本体部13Bの列方向に交差する方向の断面の幅方向の長さは、幅方向と交差する方向(上下方向)の長さよりも短い。本体部13Bの後端部には、後方に突出した給気取入口13iが設けられている。給気取入口13iは、インタークーラ12の給気放出口20Eに接続されている。
【0035】
本体部13Bの右側面には、右方に突出した6つの給気通路13Eが前後方向に列をなして設けられている。給気通路13Eは、本体部13Bの上下方向の中心C2よりも下方に設けられている(図12参照)。換言すれば、給気通路13Eは、気筒列3の列方向に交差する断面において、本体部13Bの幅方向と交差する方向の中心C2よりも片側(この例では、下方)に設けられている。そのため、本体部13Bの上下方向の中心C2よりも上方の部分は、各気筒へ供給する圧縮空気の密度、給気量、気流を均一化するサージタンクとして機能する。6つの給気通路13Eは、シリンダヘッド1の給気路(図示省略)に接続されている。
【0036】
シリンダヘッド1、給気マニホルド13、及び、冷却配管18(図8、9参照)は、気筒列3の列方向と交差する幅方向にシリンダヘッド1、給気マニホルド13、冷却配管18の順に配置されている。インタークーラ12が備える給気放出口20Eと液体放出口21E(図9参照)は、インタークーラ12の幅方向の中心C1よりも片側(この例では、左側)に設けられている。
【0037】
以上説明した本実施形態に係るエンジン100によれば、複数の気筒が列をなす気筒列3に設けられたシリンダヘッド1と、気筒列3の列方向におけるシリンダヘッド1の一端部側に設けられたインタークーラ12と、インタークーラ12からシリンダヘッド1へ給気を導く給気マニホルド13と、インタークーラ12に接続された冷却配管18と、を備え、シリンダヘッド1、給気マニホルド13、及び、冷却配管18は、気筒列3の列方向と交差する幅方向にシリンダヘッド1、給気マニホルド13、冷却配管18の順に配置され、給気マニホルド13の列方向に交差する断面の幅方向の長さが、列方向と幅方向とに交差する方向の長さよりも短い。この構成によれば、コンパクト且つ給気効率の低下を抑制したエンジン100を提供することができる。
【0038】
また、本実施形態に係るエンジン100によれば、インタークーラ12は、給気マニホルド13へ給気を放出する給気放出口20Eと、冷却配管18へ液体を放出する液体放出口21Eと、を備え、給気放出口20Eと液体放出口21Eは、インタークーラ12の幅方向の中心C1よりも片側に設けられている。この構成によれば、シリンダヘッド1と給気マニホルド13と冷却配管18を幅方向に整然と且つコンパクトに配置することができる。
【0039】
また、本実施形態に係るエンジン100によれば、給気マニホルド13は、シリンダヘッド1へ給気を放出する給気通路13Eを備え、給気通路13Eは、列方向に交差する断面において、給気マニホルド13の幅方向と交差する方向の中心C2よりも片側に設けられている。この構成によれば、給気マニホルド13の幅方向と交差する方向の中心C2を境界とする2つの空間のうち給気通路13Eが設けられていない側の空間がサージタンクとして機能するから、各気筒へ供給する圧縮空気の密度、給気量、気流を均一にすることができる。
【0040】
また、本実施形態に係るエンジン100によれば、列方向におけるシリンダヘッド1の他端部側に設けられた清水クーラ15を備え、冷却配管18は、インタークーラ12と清水クーラ15とに接続されている。この構成によれば、インタークーラ12又は清水クーラ15をシリンダヘッド1に重ねて配置する場合や、シリンダヘッド1の幅方向の側方に配置する場合と比べて、エンジン100の全高又は全幅を抑制することができる。
【0041】
また、本実施形態に係るエンジン100によれば、冷却配管18は、給気マニホルド13に支持されている。この構成によれば、エンジン100の振動によって冷却配管18が給気マニホルド13にぶつかって破損することを防ぐことができる。そのため、冷却配管18と給気マニホルド13との距離を近づけて配置することができ、エンジン100をコンパクト化することができる。
【0042】
上記実施形態が以下のように変形されてもよい。
【0043】
上記実施形態では、金属製配管22を流れる液体の一例として海水が示されたが、液体は、淡水、水道水などでもよい。例えば、陸上に接地された発電用のエンジン100をピットに貯留した淡水や水道水を用いて冷却する構成に本発明が適用されてもよい。また、液体は、水以外でもよく、金属製配管22を腐食させる成分を含むものであれば、いかなる物質でもよい。
【0044】
上記実施形態では、冷却配管18に接続される装置の一例としてインタークーラ12、清水クーラ15、オイルクーラが示されたが、冷却配管18に接続される装置は、液体を用いてエンジン部品を冷却する装置であればいかなる装置でもよい。
【0045】
上記実施形態では、エンジン100の後方にインタークーラ12、前方に清水クーラ15が配置された例が示されたが、エンジン100の後方に清水クーラ15、前方にインタークーラ12が配置されていてもよい。また、上記実施形態では、インタークーラ12から清水クーラ15に海水が供給される例が示されたが、清水クーラ15からインタークーラ12に海水が供給されてもよい。
【0046】
上記実施形態では、給気通路13Eが本体部13Bの上下方向の中心C2よりも下方に設けられている例が示されたが、給気通路13Eが本体部13Bの上下方向の中心C2よりも上方に設けられていてもよい。この場合、本体部13Bの上下方向の中心C2よりも下方の部分がサージタンクとして機能する。
【符号の説明】
【0047】
100 エンジン
1 シリンダヘッド
3 気筒列
12 インタークーラ
13 給気マニホルド
13E 給気通路
15 清水クーラ
18 冷却配管
20E 給気放出口
21E 液体放出口
C1 インタークーラの幅方向の中心
C2 給気マニホルドの幅方向と交差する方向の中心
図1
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