(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-17
(45)【発行日】2025-09-26
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q  30/0601      20230101AFI20250918BHJP        
   G06Q  30/015       20230101ALI20250918BHJP        
【FI】
G06Q30/0601 330 
G06Q30/015 
(21)【出願番号】P 2025017590
(22)【出願日】2025-02-05
【審査請求日】2025-02-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519110124
【氏名又は名称】PayPay株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119585
【氏名又は名称】東田  潔
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【氏名又は名称】酒井  太一
(74)【代理人】
【識別番号】100203873
【氏名又は名称】浦部  弘章
(72)【発明者】
【氏名】ファン  イジョ
(72)【発明者】
【氏名】ペリー  ジェイ
【審査官】毛利  太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-260103(JP,A)      
【文献】特開2017-068578(JP,A)      
【文献】特開2015-028767(JP,A)      
【文献】特開2022-051923(JP,A)      
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q    10/00  -  99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
  店舗により発行されたレシートの画像から得られたレシート情報であって、少なくとも利用者が購入した商品またはサービス(以下、商品等)に関する情報を含むレシート情報を利用者端末装置から取得する取得部と、
  前記レシート情報に基づいて、少なくとも前記利用者端末装置を利用する利用者の利用者ごと嗜好情報を更新する更新部と、
  前記利用者ごと嗜好情報に基づいて前記利用者に提供するレコメンド情報を生成するレコメンド部と、
  を備え、
  
前記更新部は、更に、前記利用者ごと嗜好情報の対象となる複数の商品等の間の類似度を示す指標値に基づいて、前記利用者ごと嗜好情報における、前記レシート情報に含まれる商品等と、前記レシート情報に含まれないが前記レシート情報に含まれる商品等に類似する商品等の嗜好度合いを更新する、
            
  情報処理装置。
【請求項2】
  店舗により発行されたレシートの画像から得られたレシート情報であって、少なくとも利用者が購入した商品またはサービス(以下、商品等)に関する情報を含むレシート情報を利用者端末装置から取得する取得部と、
            
  前記レシート情報に基づいて、少なくとも前記利用者端末装置を利用する利用者の利用者ごと嗜好情報を更新する更新部と、
            
  前記利用者ごと嗜好情報に基づいて前記利用者に提供するレコメンド情報を生成するレコメンド部と、
            
  を備え、
            
  前記取得部は更に、前記利用者の位置情報を取得し、
  前記レコメンド部は、前記位置情報が示す位置に存在する、または近隣の店舗が提供している商品等のうち、前記利用者ごと嗜好情報に合致する商品等をレコメンドする情報を前記レコメンド情報として生成する、
  情報処理装置。
【請求項3】
  店舗により発行されたレシートの画像から得られたレシート情報であって、少なくとも利用者が購入した商品またはサービス(以下、商品等)に関する情報を含むレシート情報を利用者端末装置から取得する取得部と、
            
  前記レシート情報に基づいて、少なくとも前記利用者端末装置を利用する利用者の利用者ごと嗜好情報を更新する更新部と、
            
  前記利用者ごと嗜好情報に基づいて前記利用者に提供するレコメンド情報を生成するレコメンド部と、
            
  を備え、
            
  前記更新部は、利用者を類型化したグループごとに、グループごと嗜好情報を生成し、
  前記レコメンド部は、前記利用者が属するグループに対応する前記グループごと嗜好情報に基づいて、前記レコメンド情報を生成する、
  情報処理装置。
【請求項4】
  店舗により発行されたレシートの画像から得られたレシート情報であって、少なくとも利用者が購入した商品またはサービス(以下、商品等)に関する情報を含むレシート情報を利用者端末装置から取得する取得部と、
            
  前記レシート情報に基づいて、少なくとも前記利用者端末装置を利用する利用者の利用者ごと嗜好情報を更新する更新部と、
            
  前記利用者ごと嗜好情報に基づいて前記利用者に提供するレコメンド情報を生成するレコメンド部と、
            
  を備え、
            
  前記レコメンド部は、前記利用者ごと嗜好情報に対して逆の傾向を有する嗜好情報に基づいて、前記レコメンド情報を生成する、
  情報処理装置。
【請求項5】
  店舗により発行されたレシートの画像から得られたレシート情報であって、少なくとも利用者が購入した商品またはサービス(以下、商品等)に関する情報を含むレシート情報を利用者端末装置から取得する取得部と、
            
  前記レシート情報に基づいて、少なくとも前記利用者端末装置を利用する利用者の利用者ごと嗜好情報を更新する更新部と、
            
  前記利用者ごと嗜好情報に基づいて前記利用者に提供するレコメンド情報を生成するレコメンド部と、
            
  を備え、
            
  前記レコメンド部は、前記利用者ごと嗜好情報が類似する利用者同士のマッチングをレコメンドする前記レコメンド情報を生成する、
  情報処理装置。
【請求項6】
  前記レコメンド部は、提供している商品等が前記利用者の嗜好情報に合致する店舗をレコメンドする情報を前記レコメンド情報として生成する、
  
請求項1から5のうちいずれか1項記載の情報処理装置。
【請求項7】
  店舗により発行されたレシートの画像から得られたレシート情報であって、少なくとも利用者が購入した商品またはサービス(以下、商品等)に関する情報を含むレシート情報を利用者端末装置から取得する取得部と、
            
  前記レシート情報に基づいて、少なくとも前記利用者端末装置を利用する利用者の利用者ごと嗜好情報を更新する更新部と、
            
  前記利用者ごと嗜好情報に基づいて前記利用者に提供するレコメンド情報を生成するレコメンド部と、
            
  前記レシート情報に基づいて店舗の解析を行い、解析結果を示す画面を加盟店向けインターフェースに表示させる解析部と、
            
  を備え、
            
  前記解析部は、対象店舗の商品等と比較対象の嗜好度合いとを対比した情報を示す画面を生成して前記加盟店向けインターフェースに表示させる、
  情報処理装置。
【請求項8】
  店舗により発行されたレシートの画像から得られたレシート情報であって、少なくとも利用者が購入した商品またはサービス(以下、商品等)に関する情報を含むレシート情報を利用者端末装置から取得する取得部と、
            
  前記レシート情報に基づいて、少なくとも前記利用者端末装置を利用する利用者の利用者ごと嗜好情報を更新する更新部と、
            
  前記利用者ごと嗜好情報に基づいて前記利用者に提供するレコメンド情報を生成するレコメンド部と、
            
  前記レシート情報に基づいて店舗の解析を行い、解析結果を示す画面を加盟店向けインターフェースに表示させる解析部と、
            
  を備え、
            
  前記解析部は、対象店舗に類似する比較対店舗の売上推移と、対象店舗の売上推移を比較可能に前記加盟店向けに表示させる、
  情報処理装置。
【請求項9】
  情報処理装置が、
  店舗により発行されたレシートの画像から得られたレシート情報であって、少なくとも利用者が購入した商品またはサービス(以下、商品等)に関する情報を含むレシート情報を利用者端末装置から取得する処理と、
  前記レシート情報に基づいて、少なくとも前記利用者端末装置を利用する利用者の利用者ごと嗜好情報を更新する処理と、
  前記利用者ごと嗜好情報に基づいて前記利用者に提供するレコメンド情報を生成する処理と、
  を実行し、
  
前記嗜好情報を更新する処理は、更に、前記利用者ごと嗜好情報の対象となる複数の商品等の間の類似度を示す指標値に基づいて、前記利用者ごと嗜好情報における、前記レシート情報に含まれる商品等と、前記レシート情報に含まれないが前記レシート情報に含まれる商品等に類似する商品等の嗜好度合いを更新することを含む、
            
  情報処理方法。
【請求項10】
  情報処理装置が、
  店舗により発行されたレシートの画像から得られたレシート情報であって、少なくとも利用者が購入した商品またはサービス(以下、商品等)に関する情報を含むレシート情報を利用者端末装置から取得する処理と、
  前記レシート情報に基づいて、少なくとも前記利用者端末装置を利用する利用者の利用者ごと嗜好情報を更新する処理と、
  前記利用者ごと嗜好情報に基づいて前記利用者に提供するレコメンド情報を生成する処理と、
  
前記利用者の位置情報を取得する処理と、
            
  を実行し、
  
前記レコメンド情報を生成する処理は、前記位置情報が示す位置に存在する、または近隣の店舗が提供している商品等のうち、前記利用者ごと嗜好情報に合致する商品等をレコメンドする情報を前記レコメンド情報として生成することを含む、
            
  情報処理方法。
【請求項11】
  コンピュータに、
  店舗により発行されたレシートの画像から得られたレシート情報であって、少なくとも利用者が購入した商品またはサービス(以下、商品等)に関する情報を含むレシート情報を利用者端末装置から取得する処理と、
  前記レシート情報に基づいて、少なくとも前記利用者端末装置を利用する利用者の利用者ごと嗜好情報を更新する処理と、
  前記利用者ごと嗜好情報に基づいて前記利用者に提供するレコメンド情報を生成する処理と、
  を実行させるためのプログラムであって、
  
前記嗜好情報を更新する処理は、更に、前記利用者ごと嗜好情報の対象となる複数の商品等の間の類似度を示す指標値に基づいて、前記利用者ごと嗜好情報における、前記レシート情報に含まれる商品等と、前記レシート情報に含まれないが前記レシート情報に含まれる商品等に類似する商品等の嗜好度合いを更新することを含む、
            
  プログラム。
【請求項12】
  コンピュータに、
  店舗により発行されたレシートの画像から得られたレシート情報であって、少なくとも利用者が購入した商品またはサービス(以下、商品等)に関する情報を含むレシート情報を利用者端末装置から取得する処理と、
  前記レシート情報に基づいて、少なくとも前記利用者端末装置を利用する利用者の利用者ごと嗜好情報を更新する処理と、
  前記利用者ごと嗜好情報に基づいて前記利用者に提供するレコメンド情報を生成する処理と、
  
前記利用者の位置情報を取得する処理と、
            
  を実行させるためのプログラムであって、
  
前記レコメンド情報を生成する処理は、前記位置情報が示す位置に存在する、または近隣の店舗が提供している商品等のうち、前記利用者ごと嗜好情報に合致する商品等をレコメンドする情報を前記レコメンド情報として生成することを含む、
            
  プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
  本発明は、情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
  従来、店舗が発行したレシートを利用者の端末装置に撮像させ、OCR(Optical Character Recognition)処理によって読み取られた情報を決済情報に加味して利用者に付与する特典を決定するシステムの発明が開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
  特許文献1に記載の技術では、レシートから得られた情報から店舗属性や商品属性を導出し、それらをテーブルに適用して評価係数を求めて特典を決定しているが、レシートから得られた情報には、更に活用できる余地がある。
【0005】
  本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、レシートから得られた情報を更に活用することが可能な情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
  本発明の一態様は、店舗により発行されたレシートの画像から得られたレシート情報を、利用者端末装置から取得する取得部と、前記レシート情報に基づいて、少なくとも前記利用者端末装置を利用する利用者の嗜好情報を更新する更新部と、前記利用者の嗜好情報に基づいて前記利用者に提供するレコメンド情報を生成するレコメンド部と、を備える情報処理装置である。
【発明の効果】
【0007】
  本発明の一態様によれば、レシートから得られた情報を更に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
            【
図1】実店舗型電子決済の基本的な態様を示す図である。
 
            【
図2】決済アプリを利用した電子決済(端末決済)を行うための構成の一例を示す図である。
 
            【
図3】利用者情報172の内容の一例を示す図である。
 
            【
図4】加盟店/店舗情報174の内容の一例を示す図である。
 
            【
図5】ユーザスキャンが行われる際の処理の流れの概要を示す図である。
 
            【
図6】ストアスキャンが行われる際の処理の流れの概要を示す図である。
 
            【
図7】決済カードを利用した電子決済(カード決済)を行うための構成の一例を示す図である。
 
            【
図8】個別清算に係る処理の流れの一例を示すフローチャートである。
 
            
            【
図10】支払いを行うべき利用者を特定する処理および支払いを受け付ける処理について説明するための図である。
 
            【
図11】店舗詳細情報176の内容の一例を示す図である。
 
            【
図12】利用者ごと嗜好情報178の内容の一例を示す図である。
 
            【
図13】商品等類似指標180の内容の一例を示す図である。
 
            【
図14】更新部154が利用者ごと嗜好情報178を更新する様子を例示した図である。
 
            【
図15】グループごと嗜好情報182の内容の一例を示す図である。
 
            【
図16】レコメンド情報選択画面IM4の一例を示す図である。
 
            【
図17】解析部158が加盟店向けインターフェース55に表示させる解析画面IM5の一例を示す図である。
 
            【
図18】解析部158が加盟店向けインターフェース55に表示させる解析画面IM6の一例を示す図である。
 
          
【発明を実施するための形態】
【0009】
  [概要]
  以下、図面を参照し、本発明に係る情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムの実施形態について説明する。情報処理装置は、アプリケーションプログラムと協働して利用者に種々のネットワークサービスを提供するサービスサーバに付随して設けられ、或いはそのようなサービスサーバに内蔵される機能として動作する。アプリケーションプログラムは、スマートフォンやタブレット端末などの端末装置(利用者端末装置)で動作する。以下の例では、ネットワークサービスは電子決済サービスであるものとするが、これに代えて、ショッピング、オークション、フリーマーケット、銀行サービスなどであってもよい。以下の説明においてサービスサーバを決済サーバ、アプリケーションプログラムを決済アプリと称する。そして、情報処理装置は、「情報処理部」として決済サーバに内蔵されるものとする。決済アプリと決済サーバおよびクレジットカードサーバは、協働して決済システムとして電子決済サービスを提供する。電子決済サービスは、店舗における商品やサービスの購買に係る決済をサポートするサービスである。店舗とは、例えば、現実空間に存在する物理的な店舗(実店舗)であるが、電子商取引の仮想店舗を含んでもよい。仮想店舗は、電子決済サービスの運営者とは異なる主体によって提供されるものを含んでもよい。その場合、仮想店舗における買い物の決済の際に、電子決済サービスのインターフェース画面に遷移するように制御される。電子決済サービスにおいて、店舗は、例えば加盟店(ブランド)に属するものとして扱われ、店舗において購買行動が行われた際の電子決済は、主として利用者と加盟店の間で行われる。これに代えて、電子決済が利用者と店舗との間で行われてもよい。
【0010】
  本発明に係る決済アプリおよび決済システムは、複数人が商品またはサービスの購買行動(例えば飲食店における飲食)を行った後、代表者がまとめて支払いを行った後の清算(以下、個別清算)を好適に支援するものである。なお、この動作はレシート情報を取得する動作の一例であり、個別清算とは関係なくレシート情報が取得されてもよい。その場合は電子決済後にポイント付与を前提にレシート情報を利用者に取得させる等の動作で、レシート情報が取得される。まずは電子決済サービス全般について説明し、その後で上記清算のための処理について説明する。
【0011】
  [実店舗型電子決済の態様]
  図1は、実店舗型電子決済の基本的な態様を示す図である。基本的に電子決済は、利用者Uが保持する媒体M、店舗設備E、決済システムSの三者によって実行される。媒体Mは、スマートフォンなどの可搬型コンピュータ装置やクレジットカードなどである。店舗設備Eは、現実空間に存在する物理的な実店舗(以下、単に店舗と称する)に存在するものであり、POS装置、無線通信装置、クレジットカードリーダ、QRコード(登録商標)などのコード画像の印刷物、またはコード画像を表示する表示装置などである。実店舗型電子決済では、まず媒体Mと店舗設備Eの間で、利用者の識別情報を認識可能な情報や決済金額の情報などが一方向または双方向に共有される。この際に、媒体Mまたは店舗設備Eのうち一方が、他方が表示するコード画像から各種の情報を光学的に読み取ったり、NFC(Near Field Communication)によって情報提供が行われたり、PAN(Primary Account Number)がクレジットカードリーダによって読み取られたりする。そして、媒体Mまたは店舗設備Eの一方(他方から情報を取得した側)が、ネットワークNWを介して決済に必要な決済情報を決済システムSに送信する。なお、媒体Mと店舗設備Eの双方が何らかの情報を決済システムSに情報を送信してもよい。決済システムSは、利用者Uの各種情報を管理しており、種々の態様で店舗と利用者Uとの間の電子決済を行う。電子決済は、プリペイド方式と後払い(ポストペイ)のうち一方または双方で、或いは他の手法により行われる。この他、電子決済には、利用者の端末装置と決済システムの二者で実行される、いわゆるネットショッピングの態様も含まれ得る。ネットワークNWは、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、無線基地局、プロバイダ装置などを含む。以降に登場する、ネットワークNWを介して通信する各種装置は、ネットワークカードや無線通信モジュールなどの通信装置を有しているものとする。
 
【0012】
  [構成(端末決済)]
  図2は、決済アプリを利用した電子決済(端末決済)を行うための構成の一例を示す図である。この電子決済は、媒体Mの一つである利用者端末装置10において動作する決済アプリ20、店舗設備Eの一つである一以上の店舗決済端末30および一以上の店舗コード画像40、決済システムSの一部を構成する決済サーバ100などを中心として実行される。決済サーバ100は、利用者端末装置10、店舗決済端末30、および一以上の情報端末50とネットワークNWを介して通信する。
 
【0013】
  利用者端末装置10は、例えば、スマートフォンやタブレット端末等の可搬型端末装置である。利用者端末装置10は、少なくとも、光学読取機能、通信機能、表示機能、入力受付機能、プログラム実行機能を有するコンピュータ装置である。以下の説明では、これらの機能を実現するための構成をそれぞれカメラ、通信装置、タッチパネル、CPU(Central Processing Unit)等と称する。利用者端末装置10では、CPU等のプロセッサにより決済アプリ20が実行されることで、決済サーバ100と連携して電子決済サービスを利用者に提供するように動作する。決済アプリ20は、例えば、アプリ配信サーバ(不図示)から利用者端末装置10にインストールされ、利用者端末装置10のカメラ、通信装置、タッチパネルなどを制御する。以下の説明において、「利用者端末装置10に情報を送信する(あるいは利用者端末装置10から情報を受信/取得する)」と表記される場合と、「決済アプリ20に情報を送信する(あるいは決済アプリ20から情報を受信/取得する)」と表記される場合が混在し得るが、これらは表現上の相違に過ぎず、何かを区別しようとするものではない。
【0014】
  店舗決済端末30は、例えば、店舗に設置される。店舗決済端末30は、少なくとも、商品価格取得機能、光学読取機能、プログラム実行機能、通信機能を有するコンピュータ装置(あるいはその集合体)である。店舗決済端末30は、いわゆるPOS(Point of Sale)装置を含み、POS装置が商品価格取得機能や光学読取機能を有してもよい。
【0015】
  店舗コード画像40は、店舗に置かれ、QRコード等のコード画像が紙やプラスチックの媒体に印刷されたものである。なお、店舗コード画像40は、店舗に置かれたディスプレイ(スマートフォンやタブレット端末等の端末装置のディスプレイでもよい)によって表示されてもよい。
【0016】
  情報端末50は、店舗を統括する加盟店の運営者によって使用される。電子決済サービスにおいて、商品またはサービスの提供者としての顧客は加盟店(ブランド)として扱われ、その傘下に一以上の店舗が存在する。一店舗のみ運営する加盟店が存在してもよい。情報端末50は、スマートフォンやタブレット端末、パーソナルコンピュータ等である。情報端末50は、加盟店向けインターフェース55が動作する。加盟店向けインターフェース55は、加盟店向けアプリであってもよいし、汎用のブラウザによって表示されるウェブページであってもよい。加盟店向けインターフェース55は、加盟店の運営者によるクーポンの設定等を受け付け、決済サーバ100に送信する。情報端末50は、加盟店向けインターフェース55を実行することで、店舗コード画像40に相当するコード画像を表示したり、利用者端末装置10が表示するコード画像を読み取ったりする機能を有してもよい(後者の場合、光学読取機能が必要である)。
【0017】
  決済サーバ100は、クレジットカードサーバ200とネットワークNWを介して通信する。決済サーバ100は、例えば、コンテンツ提供部110と、情報管理部120と、決済処理部130と、情報処理部150と、記憶部170とを有する。記憶部170以外の構成要素(情報処理部150の各部を含む)は、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable
Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶装置にインストールされてもよい。
【0018】
  記憶部170は、HDDやフラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)などである。記憶部170は、決済サーバ100がネットワークを介してアクセス可能なNAS(Network Attached Storage)装置であってもよい。記憶部170には、利用者情報172、加盟店/店舗情報174、情報処理部150によって使用される各種情報(後述)などの情報が格納される。
【0019】
  コンテンツ提供部110は、例えば、Webサーバの機能を有し、電子決済サービスの各種画面を表示するための情報(コンテンツ)を利用者端末装置10に提供する。コンテンツ提供部110は、ウェブページの形式でコンテンツを利用者端末装置10に提供したり、決済アプリ20が画像をレンダリングするのに必要なパラメータを利用者端末装置10に提供したりする。
【0020】
  情報管理部120は、利用者情報172や加盟店/店舗情報174の編集、追加、削除などを行い、これらを管理する。
【0021】
  図3は、利用者情報172の内容の一例を示す図である。利用者情報172は、例えば、利用者URL、アカウントID、電話番号、パスワード、登録日、チャージ残高、電子マネー種別、端末決済方法、カード決済方法、各種履歴情報、本人確認済フラグ、氏名・住所・生年月日、メールアドレス、銀行口座、後払い設定、後払い条件情報、友達リストなどの情報が互いに対応付けられたものである。以下、これらの情報が対応付けられた利用者のインスタンス(電子決済口座)のことをアカウントと称する場合がある。図中、「-」で示す項目は、未設定であることを示す。
 
【0022】
  利用者URLは、利用者間の送金処理に使用される。電子決済サービスへの新規登録時には、電話番号およびパスワードの登録が必須となる。アカウントIDは、決済サーバ100によって利用者に発行されるものである。登録日は利用者が電子決済サービスに登録した日(アカウントを作成した日)である。チャージ残高は、利用者が予めアカウントに送金することで設定された電子マネーの残高を示す情報である。送金の手段としては、指定業者(銀行)のATM(Automatic Teller Machine)への入金、登録された銀行口座からの送金などがある。電子マネーの種別は、例えば、電子マネーが出金可能なものであるか、電子決済にのみ使用可能なものであるかを示す情報である。端末決済方法は、端末決済において利用者がチャージ残高による電子決済を行うのか(残高払い)、後払いによる決済を行うのかを示す設定情報である。カード決済方法は、カード決済において利用者がチャージ残高による電子決済を行うのか(残高払い)、後払いによる決済を行うのかを示す設定情報である。各種履歴情報は、利用者が予め電子決済サービスに送金してチャージ残高を増加させた履歴であるチャージ履歴、利用者が行った決済の内訳(日時、購買行動が行われた店舗の店舗ID、加盟店ID、決済金額、決済方法など)を決済ごとに示す決済履歴などを含む。友達リストは、利用者間通信機能における通信相手の識別情報(アカウントIDでもよいし、利用者URLその他の情報でもよい)のリストである。
【0023】
  本人確認済フラグは、利用者が身分証明書を利用して行う本人確認が済んでいるか否かを示す情報である。後払いは本人確認が済んでいる場合に選択可能になり、図中のアカウントIDが「002」である利用者は本人確認が済んでいないため、端末決済方法として残高払いしか選択することができない。銀行口座は、電子決済サービスに入金可能な銀行口座の口座番号である。後払い設定は、後払いを選択可能にするための設定操作が済んでいるか否かを示す情報である。後払い条件情報は、後払いにおける限度額、当月利用額などの各種条件を示す情報である。
【0024】
  図4は、加盟店/店舗情報174の内容の一例を示す図である。加盟店/店舗情報174は、例えば、店舗URLに対して加盟店IDと店舗IDが対応付けられた第1テーブル174Aと、加盟店IDに対して加盟店名と売上金(前述)が対応付けられた第2テーブル174Bと、店舗IDに対して店舗IDが対応付けられた第3テーブル174Cとを含む。加盟店/店舗情報174には、これらの情報の他、加盟店または店舗のカテゴリ、店舗の所在地、決済パターン等の情報が含まれてもよい。
 
【0025】
  決済処理部130は、電子決済のための各種処理を行う。端末決済には、以下に説明する第1方式(ユーザスキャン)と第2方式(ストアスキャン)の二つの方式がある。
【0026】
  図5は、ユーザスキャンが行われる際の処理の流れの概要を示す図である。まず、決済アプリ20が起動した状態の利用者端末装置10が、光学読取機能によって店舗コード画像40を読み取り、デコードする(S1)。店舗コード画像40には、店舗URLの情報が含まれている。決済アプリ20は、店舗URLと利用者のアカウントIDを含む第1決済情報を決済サーバ100に送信する(S2)。決済サーバ100は、店舗URLに対応する加盟店ID、店舗IDを用いて加盟店/店舗情報174を検索し、加盟店名と店舗名の情報を取得し(S3)、決済アプリ20に送信する(S4)。利用者は、加盟店名や店舗名が表示された画面において、決済金額を決済アプリ20に入力する(S5)。そして、決済アプリ20は、少なくとも決済金額を含む第2決済情報を生成し、決済サーバ100に送信する(S6)。
 
【0027】
  決済サーバ100の決済処理部130は、当該利用者の利用者情報172における「端末決済方法」が「残高払い」になっている場合、受信した第2決済情報に基づいて電子決済を行う(S7-1)。このとき、決済処理部130は、例えば、利用者IDに対応付けて管理しているチャージ残高を減少させ、加盟店の売上金の項目値を増加させることで、電子決済を行う。加盟店の売上金の項目値は、例えば、それ自体が電子マネーとして使用されるものでは無く、加盟店と電子決済サービスとの取り決めに応じたサイクルで、売上金の項目値に対応する金額が銀行口座に送金される。一方、「端末決済方法」が「後払い」になっている場合、決済処理部130は、第1決済情報や第2決済情報をクレジットカードサーバ200に送信して電子決済を依頼する(S7-2)。クレジットカードサーバ200は、受信した情報に基づいて利用者の月ごと利用額に決済金額を加算し、締め日の後に利用者の銀行口座から月ごと利用額を差し引くなどして電子決済を行う(S7-3)。
【0028】
  そして、決済処理部130は、コンテンツ提供部110を介して、決済完了通知(決済完了画面を表示するための情報)を決済アプリ20に送信し(S8)、決済アプリ20は決済完了画面を表示する(S9)。なお、店舗コード画像40が店舗に置かれたディスプレイによって表示される場合、店舗コード画像40には、店舗URLだけでなく決済金額の情報が含まれる場合がある。この場合、利用者が決済金額を入力する手順が省略され、第1決済情報に決済金額の情報が含められて決済サーバ100に送信される。加盟店名や店舗名の情報は、決済完了画面に含めて表示されてよい。
【0029】
  図6は、ストアスキャンが行われる際の処理の流れの概要を示す図である。まず、決済アプリ20の起動時、決済アプリ20において支払う操作が行われたとき、自動更新のタイミング(例えば1分おき)になったとき、およびその他のタイミングで、決済アプリ20はワンタイムコードの発行要求を決済サーバ100に送信する(S11)。決済サーバ100の決済処理部130はワンタイムコードを生成し(S12)、決済アプリ20に送信する(S13)。決済アプリ20は、ワンタイムコードに基づいて生成した、QRコードやバーコード等のコード画像を表示する(S14)。利用者は利用者端末装置10の表示面を店舗決済端末30に翳し(提示し)、店舗決済端末30は、光学読取機能によってコード画像を読み取ってデコードし、ワンタイムコード等を取得する(S15)。そして、店舗決済端末30は、ワンタイムコード、決済金額、加盟店ID、店舗ID等を含む決済情報を生成し、決済サーバ100に送信する(S16)。決済金額の情報は、予めバーコード読み取りや手入力等によって取得されている。
 
【0030】
  決済サーバ100の決済処理部130は、受信した情報に基づいて、ワンタイムコードに対応する利用者を特定し、当該利用者の利用者情報172における「端末決済方法」が「残高払い」になっている場合、受信した第2決済情報に基づいて電子決済を行う(S17-1)。このときの処理の内容は
図5のS7-1の処理と同様である。一方、「端末決済方法」が「後払い」になっている場合、決済サーバ100は、第1決済情報や第2決済情報をクレジットカードサーバ200に送信して電子決済を依頼する(S17-2)。クレジットカードサーバ200は、受信した情報に基づいて利用者の月ごと利用額に決済金額を加算し、締め日の後に利用者の銀行口座から月ごと利用額を差し引くなどして電子決済を行う(S17-3)。
 
【0031】
  そして、決済処理部130は、コンテンツ提供部110を介して、決済完了通知を決済アプリ20に送信し(S18)、決済アプリ20は決済完了画面を表示する(S19)。
【0032】
  なお、上記のいずれか一方のみのパターンで電子決済が行われてもよい。また、
図2で説明した「アカウントID」は、利用者の識別情報として用いられ得る他の情報(例えば電話番号)であってもよい。また、ストアスキャンにおいてワンタイムコードの発行が省略され、決済アプリ20は、利用者のアカウントIDに基づいて生成したコード画像を表示してもよい。その場合、決済サーバ100は、ワンタイムコードに対応する利用者を特定するのに代えて、アカウントIDに対応する利用者を特定する。
 
【0033】
  なお、「後払い」決済をクレジットカードサーバ200の管理で行うのではなく、決済サーバ100の内部で行ってもよい。この場合、決済カード60、クレジットカードサーバ200などの構成は省略されてもよい。
【0034】
  [構成(カード決済)]
  図7は、決済カードを利用した電子決済(カード決済)を行うための構成の一例を示す図である。この電子決済は、媒体Mの一つである決済カード60、店舗設備Eの一つであるクレジット処理端末70、決済システムSの一部を構成する決済サーバ100およびクレジットカードサーバ200などを中心として実行される。クレジットカードサーバ200は、クレジット処理端末70とネットワークNWを介して通信する。
 
【0035】
  クレジット処理端末70は、店舗決済端末30と同様に、店舗に設置される。クレジット処理端末70は、例えば、クレジット決済端末(クレジットカードリーダー)と、POS装置とを含む。クレジット決済端末は、挿入され又は翳されたクレジットカードからPIN(Personal Identification Number)を読み取って、利用者により入力されたPINと照合したり、クレジットカードから読み取ったPAN(Primary Account Number)を、POS装置を介してクレジットカードサーバ200に送信したりする。POS装置は、クレジット決済端末と協働して決済金額等の情報をクレジットカードサーバ200に送信する。クレジット処理端末70とクレジットカードサーバ200との間に、立替払取次業者(acquirer)サーバが介在してもよいが、以下では説明を簡略化するために、立替払取次業者サーバについての記述を省略する。決済カード60は、例えば、一般的に普及しているクレジットカードと同様の態様のものであり、通信チップがカード基材に埋め込まれたものである。通信チップはPINを記憶した記憶媒体を内蔵し、コンタクタ(或いは無線アンテナ)を介して外部装置と通信する。これに代えて、決済カード60は、磁気カードであってもよい。なお、クレジットカードの使用に際して送受信される情報(電文)には、認証のためのオーソリ電文と、決済金額を伝えるための売り上げ電文が存在するが、以下ではこれらを区別した詳細な説明を省略する。
【0036】
  クレジットカードサーバ200は、決済サーバ100とネットワークNWを介して通信する。クレジットカードサーバ200は、例えば、情報管理部210と、クレジットインターフェース220と、決済振分部230と、クレジット決済処理部240と、記憶部270とを有する。記憶部270以外の構成要素は、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPUなどのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶装置にインストールされてもよい。記憶部270には、カード利用者情報272などの情報が格納される。
【0037】
  情報管理部210は、カード利用者情報272の編集、追加、削除などを行い、これらを管理する。カード利用者情報272は、例えば、利用者に固有の情報(例えばPAN)と、カード決済方法と、当該利用者のアカウントID(決済サーバ100が使用するもの)とが互いに対応付けられた情報である。カード決済方法は、カード決済において利用者がチャージ残高による電子決済を行うのか(残高払い)、後払いによる決済を行うのかを示す設定情報である。
【0038】
  クレジットインターフェース220は、クレジット処理端末70から受信した電文に含まれるPANの中のBIN(Bank Identification Number)が自社向けのコードであるか否かを判定し、自社向けのコードである場合はクレジット処理端末70から受信した電文を決済振分部230に渡し、自社向けのコードでない場合は受信した電文を破棄する。
【0039】
  決済振分部230は、クレジットインターフェース220から取得した電文に対応する利用者のカード利用者情報272を参照し、「カード決済方法」が「後払い」に設定されているか否かを判定する。「カード決済方法」が「後払い」に設定されている場合、決済振分部230は、その旨をクレジットインターフェース220に通知すると共に、クレジットインターフェース220から取得した電文をクレジット決済処理部240に渡す。一方、「カード決済方法」が「残高払い」に設定されている場合、決済振分部230は、クレジットインターフェース220から取得した電文に当該利用者のアカウントIDを追加して決済サーバ100に送信し、電子決済を依頼する。電子決済を依頼された決済サーバ100は、
図5のS7-1、
図6のS17-1と同様の処理を行う。
 
【0040】
  クレジットインターフェース220は、PANや有効期限を確認し、決済金額の累計が当月の上限を超えていないかどうかなどを確認する。クレジット決済処理部240は、決済振分部230から取得した電文に含まれる情報に基づいて利用者の月ごと利用額に決済金額を加算し、締め日の後に利用者の銀行口座から月ごと利用額を差し引くなどして電子決済を行う。
【0041】
  [個別清算]
  以下、決済アプリ20と決済サーバ100が協働して行う個別清算について説明する。
図8は、個別清算に係る処理の流れの一例を示すフローチャートである。以下の説明において、代表者と参加者を含む複数の利用者が、店舗の一例であるレストランで飲食を行い、代表者がまとめて支払いを行ったものとする。この場合、利用項目とは、各利用者が注文したフードやドリンク(メニュー)、お土産品などである。また、代表者と参加者のうち少なくとも一部は電子決済サービスを利用しており(アカウントを有し)、代表者の利用者端末装置を第1利用者端末装置10-1、参加者の利用者端末装置を第2利用者端末装置10-2と表記する。なお、レストランへの支払い自体は、必ずしも電子決済サービスを利用して行われていなくてもよい。
 
【0042】
  まず、決済アプリ20が、店舗により発行されたレシートの画像を取得する(S20)。例えば、決済アプリ20は、代表者の操作によって第1利用者端末装置10-1のカメラを起動し、カメラによってレシートを撮像した撮像画像を取得する。これに代えて、決済アプリ20は、店舗側のPOS装置などから電子的に送られてくるレシートの画像を通信によって取得してもよい。この場合、電子メール、Bluetooth(登録商標)、WイーFiなどが利用されてよい。
【0043】
  次に、レシートの画像に示された一以上の項目のそれぞれを示す明細情報を取得する(S21)。例えば、決済アプリ20は、レシートの画像に対してOCR(Optical Character Recognition)処理を行った結果に基づいて明細情報を取得する。OCR処理は、第1利用者端末装置10-1において行われてもよいし、決済サーバ100に処理を依頼することで行われてもよい。
図8の例では、決済アプリ20は、決済サーバ100にOCR処理を依頼し(S21-1)、決済サーバ100からOCR処理の結果を取得する(S21-2)。
 
【0044】
  図9は、明細情報の内容の一例を示す図である。明細情報は、例えば、店舗名、利用日時、人数、利用項目名および利用項目ごとの決済金額、総決済金額、税額、サービス料などの情報を含む。決済アプリ20は、OCR処理の結果に対して意味解釈などの処理を行ってこれらの情報を整理する。
 
【0045】
  次に、決済アプリ20は、一以上の利用項目について、代表者、および一以上の参加者のうちいずれが支払いを行うべき利用者であるかを特定する(S22)。例えば、決済アプリ20は、一以上の第2利用者端末装置10-2の決済アプリ20に明細情報を送信して情報を共有し、代表者と参加者の操作に応じて利用者を特定する(S22-1、S22-2)。そして、決済アプリ20は、特定された利用者のうち参加者からの支払いを受け付ける(S23)。
【0046】
  図10は、支払いを行うべき利用者を特定する処理および支払いを受け付ける処理について説明するための図である。例えば、第1段階(図中、(1))において、決済アプリ20は、明細情報を示す参加者選択画面IM1を第1利用者端末装置10-1に表示させる。インターフェース画面IM1には、前述した友達リストに登録されている他の利用者(参加者の候補)のリストが表示(提示)される。友達リストの情報は、決済サーバ100から第1利用者端末装置10-1の決済アプリ20に提供される。参加者選択画面IM1において、代表者Rが参加者をタップなどの操作で選択すると、第1利用者端末装置10-1の決済アプリ20は、選択された参加者Pの第2利用者端末装置10-2に対して明細情報の少なくとも一部を送信して情報を共有する。明細情報の送信は、例えば、電子決済サービスに付随する利用者間通信機能を利用して行われる。
 
【0047】
  第2段階(図中、(2))において、第1利用者端末装置10-1および第2利用者端末装置10-2において利用項目選択画面IM2が表示される。これに対して、代表者Rと参加者Pのそれぞれが、自身が注文した利用項目をタップなどの操作で選択する。第1利用者端末装置10-1の決済アプリ20は、参加者Pが選択した(入力した)利用項目の情報を第2利用者端末装置10-2の決済アプリ20から取得する。併せて、第1利用者端末装置10-1の決済アプリ20は、代表者Rが選択した(入力した)利用項目の情報を取得する。これらの取得結果は、例えば、リアルタイムで利用項目選択画面IM2に反映される。これによって、第1利用者端末装置10-1の決済アプリ20は、支払いを行うべき利用者を特定する。その後、代表者Rと参加者Pのそれぞれによって選択された結果が利用項目選択画面IM2に反映される。この状態で、例えば代表者により確定ボタンB1が操作されると、支払いを行うべき利用者を特定する処理が完了する。
【0048】
  第3段階(図中、(3))において、参加者Pの第2利用者端末装置10-2では、利用者間送金機能を利用して支払いを行うように誘導する支払い画面IM3が表示される。例えば、支払い画面IM3では、第2段階で特定した利用項目に応じた当該参加者の支払うべき金額がデフォルトで表示され、送金ボタンB2を操作することで参加者から代表者に送金が行われる。ここで金額の修正が可能であってもよい。これによって個別清算の処理が完了する。送金ボタンB2が表示されるのに代えて、代表者名を表示すると共に、利用者間送金の画面に遷移するためのボタンが表示され、参加者Pが手動で金額を入力して送金を行うようにしてもよい。
【0049】
  参加者Pからの送金がなされると、入金の情報が第1利用者端末装置10-1の決済アプリ20に通知される。このため、代表者Rが閲覧中である利用項目選択画面IM2において、支払いが完了した利用項目が未完了の利用項目と区別して(例えば、協調表示、網掛け、色彩や輝度を変える、支払いの完了/未完了をテキスト表示するなど)表示されてもよい。また、第3段階に移行して支払いを誘導する処理が行われてから一定期間が経過した場合、未送金である参加者Pの第2利用者端末装置10-2には、支払いを催促(リマインド)する通知が表示されてもよい。
【0050】
  ここで、レシートに表示される利用項目ごとの決済金額は、税込み価格ではなく税抜き価格である場合がある。この場合、総決済金額が利用項目ごとの決済金額の合計と一致しない筈であるので、明細情報を取得する処理において利用項目ごとの決済金額に税率を乗算して利用項目ごとの決済金額を補正してもよい。この場合、
図8のS21の処理において、決済アプリ20または決済サーバ100が税込みの利用項目ごとの決済金額を計算する。
 
【0051】
  また、参加者が電子決済サービスに加入しておらず、アカウントを有していない場合にも適用可能である。この場合、利用者情報172に、友達リストに加えて、本発明の個別決済の参加者となり得る利用者の通信識別情報(メールアドレス、電話番号、メッセージアプリのIDなど)が追加され、
図10の第2段階において参加者となり得る利用者を選択可能にしてもよい。また、決済アプリ20が電話帳やメッセージアプリにアクセスする権限を有している場合、電話帳から参加者となり得る利用者を選択可能にしてもよい。このように、第1利用者端末装置10-1の決済アプリ20は、参加者が電子決済サービスに加入していない場合、利用者間通信機能における通信相手のリストとは異なる個別決済用の通信相手のリストを参照して、情報共有処理を行う対象の参加者を利用者に選択させてもよい。
 
【0052】
  参加者が電子決済サービスに加入していない場合、第1利用者端末装置10-1から参加者に送信される電子メールやショートメッセージ、メッセージアプリのメッセージには、代表者Rが受け付け可能な支払い方法と支払いに必要な情報(支払い額、他の電子決済サービスの振込先ユーザID、銀行振込用の振込口座情報、送金先の電話番号等)が決済アプリ20の処理によって自動的に埋め込まれて、参加者の端末装置によって表示されてもよい。このための情報の一部は、例えば、予め代表者Rが決済アプリ20を操作して決済サーバ100の利用者情報172に登録される。
【0053】
  [情報処理]
  以下、情報処理部150の処理について説明する。
図2に示したように、情報処理部150は、取得部152と、更新部154と、レコメンド部156と、解析部158とを備える。また、情報処理部150は、記憶部170に、店舗詳細情報176、利用者ごと嗜好情報178、商品等類似指標180、グループごと嗜好情報182、店舗解析情報184などの情報を格納して処理に用いる。
 
【0054】
  取得部152は、店舗により発行されたレシートの画像から得られたレシート情報であって、少なくとも利用者が購入した商品またはサービス(以下、商品等)に関する情報を含むレシート情報を利用者端末装置10から取得する。ここでいう「商品等」は、上記の説明における「利用項目」と、「レシート情報」は「明細情報」と、多くの場合は同内容であるが、以下では「商品等」、「レシート情報」と表記して説明する。取得部152がレシート情報を取得する過程は、上記説明した「個別清算」に限らず、他の過程を経てレシート情報が取得されてもよい。
【0055】
  更新部154は、レシート情報に基づいて、店舗詳細情報176を更新し、更に、少なくとも利用者端末装置10を利用する利用者(上記の例における「代表者」)の利用者ごと嗜好情報178を更新する。更新部154は、「参加者」が電子決済サービスの利用者である場合は、参加者の利用者ごと嗜好情報178も併せて更新してよい。また、更新部154は、レシート情報に加えて、別の過程で得られている利用者の嗜好情報(例えば電子決済の履歴、アンケートなどを経て得られるもの)に基づいて利用者ごと嗜好情報178を更新してもよい。
【0056】
  レコメンド部156は、利用者ごと嗜好情報178に基づいて、利用者に提供するレコメンド情報を生成する。以下、これらの機能部の具体的処理について説明する。
【0057】
  図11は、店舗詳細情報176の内容の一例を示す図である。店舗詳細情報176は、例えば、店舗名、営業時間、休日、商品等(図では店舗は飲食店であるため、メニュー)、カテゴリ、顧客の男女比などの情報を含む。更新部154は、レシート情報を集約することで店舗詳細情報176を作成する。この際に、信頼度の低い情報を排除するため、複数回、レシート情報に記された情報のみを店舗詳細情報176に反映させてもよい。
 
【0058】
  図12は、利用者ごと嗜好情報178の内容の一例を示す図である。利用者ごと嗜好情報178は、例えば、それぞれの利用者のアカウントIDに対して、商品等と、それに対する嗜好度合いが対応付けられた情報である。嗜好度合いは、例えば、0%(興味なし)~100%(最も興味あり)で表される。
 
【0059】
  図13は、商品等類似指標180の内容の一例を示す図である。商品等類似指標180は、例えば、利用者ごと嗜好情報178の対象となる複数の商品等の間の類似度を示す指標値を示すものであり、例えば、商品等の代表的な組み合わせに対して、類似度合いを示す指標値が対応付けられた情報である。この指標値は、例えば、同じ利用者が購入した(注文した)履歴が多い程、高い値に設定される。図示する例では、指標値は0%(類似せず)~100%(とても類似)で表される。更新部154は、予めレシート情報その他の情報から商品等類似指標180の元になるデータ群を抽出しておき、同じ利用者が購入した回数に応じてポイントを加算するといった手法により、商品等類似指標180を作成しておく。この際に、商品等ごとに分散表現ベクトルを生成しておき、分散表現ベクトル同士の距離が近い程、指標値が高くなるように設定されてもよい。
 
【0060】
  図14は、更新部154が利用者ごと嗜好情報178を更新する様子を例示した図である。
図12に示すアカウントIDが「XXX」の利用者が、レストランで「ステーキ」を食べ(購入し)、その内容がレシート情報に記されていたものとする。この場合、更新部154は、レシート情報に含まれる「ステーキ」自体の嗜好度合いを上昇させると共に、レシート情報に含まれないが商品等類似指標180において「ステーキ」に類似する指標が設定されている「赤ワイン」、「ハンバーグ」、「焼肉」、「ビーフシチュー」の嗜好度合いも上昇させる。例えば、レシート情報に含まれる商品等をC1、レシート情報に含まれない商品等をC2、利用者uのC1の嗜好度合いをC1(u)、利用者uのC2の嗜好度合いをC2(u)、C1とC2の間の指標値をβ
12とすると、C1(u)およびC2(u)は以下のように更新される。αはゼロ~1の間の係数であり、nは当該商品等のこれまでの更新回数である。なお、更新部154の処理に忘却機能をもたせ、時間が経過すると嗜好度合いが漸減するようにしてもよい。
 
【0061】
  C1(u)=C1(u)+{100%-C1(u)}×(α/n)
  C2(u)=C2(u)+{100%-C2(u)}×(α×β12/n)
【0062】
  図14の例では、「ステーキ」の嗜好度合いが30%から55%に、「赤ワイン」の嗜好度合いが25%から43%に、「ハンバーグ」の嗜好度合いが0%から12%に、「焼肉」の嗜好度合いが0%から20%に、「ビーフシチュー」の嗜好度合いが0%から16%に、それぞれ更新されている。
 
【0063】
  レコメンド部156は、例えば以下のようなレコメンド情報を生成し、コンテンツ提供部110を介して決済アプリ20に提供する。レコメンド部156は、提供している商品等が対象利用者の嗜好情報に合致する店舗をレコメンドする情報を、レコメンド情報として生成する。この場合、レコメンド部156は、予め収集されている対象利用者の行動範囲の中に存在する店舗からレコメンドする店舗を選択する。行動範囲は、対象利用者の決済履歴の示す店舗の位置などから導出される。
【0064】
  また、レコメンド部156は、決済アプリ20が利用者端末装置10の位置情報(対象利用者の位置情報)にアクセスできる場合、位置情報が示す位置に存在する店舗が提供している商品等(店舗詳細情報176から取得できる)のうち、対象利用者の嗜好情報に合致する商品等(例えば嗜好度合いが最上位からn番目までの商品等)をレコメンドする情報を、レコメンド情報として生成してもよい。この場合、対象利用者が店舗に入店した状態でお奨めの商品等(メニュー)をレコメンドすることができる。また、上記に代えて、レコメンド部156は、位置情報が示す位置の近隣に存在する店舗が提供している商品等のうち、対象利用者の嗜好情報に合致する商品等をレコメンドする情報を、レコメンド情報として生成してもよい。この場合、対象利用者が店舗を選ぶ材料としての情報を提供することができる。
【0065】
  更に、更新部154は、利用者ごと嗜好情報178に加えて、利用者を類型化したグループごとに、グループごと嗜好情報182を生成し、レコメンド部156は、対象利用者が属するグループに対応するグループごと嗜好情報182に基づいて、レコメンド情報を生成してもよい。利用者を類型化したグループとは、例えば、「洋食好き」、「アジア好き」、「旅行好き」、「節約家」といった利用者タイプで表されるものであり、利用者がどの利用者タイプに属するかは、レシート情報以外にも、決済履歴等から収集された情報やアンケート結果等に基づいて判断されてよい。
図15は、グループごと嗜好情報182の内容の一例を示す図である。利用者タイプごとの嗜好度合いは、例えば、グループに属する利用者の嗜好度合いを平均して求められる。こうすることで、利用者は自分に似た属性を有する他の利用者の好みを知ることができ、利用者の購買行動を広げることができる。
 
【0066】
  また、レコメンド部156は、対象利用者の利用者ごと嗜好情報178に対して逆の傾向の嗜好情報に基づいて、レコメンド情報を生成してもよい。逆の傾向を有する嗜好情報とは、例えば、利用者ごと嗜好情報178のそれぞれの嗜好度合いを100%から減算することで求められる逆嗜好情報である。こうすることで、利用者は普段と違う購買行動を楽しむことができる。
【0067】
  レコメンド部156がレコメンドする内容は、対象利用者によって選択されてもよい。
図16は、レコメンド情報選択画面IM4の一例を示す図である。対象利用者が領域A1を選択すると対象利用者の嗜好情報に合致する店舗または商品等がレコメンドされ、領域A2のいずれかを選択すると複数の利用者タイプのそれぞれに対応する店舗または商品等がレコメンドされ、領域A3を選択すると対象利用者の嗜好情報の逆の傾向の嗜好情報に合致する店舗または商品等がレコメンドされる。
 
【0068】
  また、レコメンド部156は、店舗や商品等をレコメンドするのに代えて、利用者ごと嗜好情報178が類似する利用者同士のマッチングを、例えば友達リストに追加する利用者としてレコメンドしてもよい。なお、利用者ごと嗜好情報178やグループごと嗜好情報182が「類似する」とは、例えば、それらの要素(嗜好度合い)をベクトルの要素として、ベクトル間のコサイン類似度などの距離指標が小さいことをいう。他の「類似する」についても同様に、複数の要素のそれぞれの差分が小さいことを意味する。
【0069】
  解析部158は、レシート情報に基づいて店舗または加盟店の解析を行う。例えば、解析部158は、対象店舗に親和度合いが最も高いと考えられる利用者タイプを選択し、グループごと嗜好情報182における選択された利用者タイプに対応する嗜好度合いと、対象店舗の商品等とを対比した情報を示す画面を生成して加盟店向けインターフェース55に表示させる。
図17は、解析部158が加盟店向けインターフェース55に表示させる解析画面IM5の一例を示す図である。解析部158は、例えば、対象店舗にある商品等を実線で、対象店舗には無いが選択された利用者タイプに対応する嗜好度合いの高い商品等を破線で、嗜好度合いの高い順に並べた棒グラフを解析画面IM5として加盟店向けインターフェース55に表示させる。なお比較対象の嗜好情報は、グループごと嗜好情報182ではなく利用者ごと嗜好情報178であってもよい。この場合、対象店舗に訪れたことがある、或いは対象店舗のカテゴリに興味があると推定される利用者の利用者ごと嗜好情報178が選択されるとよい。
 
【0070】
  また、解析部158は、既存の商品等に対して親和度が高い他の商品等を加盟店向けインターフェース55にレコメンド情報として表示させてもよい。既存の商品等に対して親和度が高い他の商品等とは、商品等類似指標180において既存の商品等との間の指標値が高い他の商品等である。
【0071】
  また、解析部158は、対象店舗または対象店舗の属する加盟店(以下、対象店舗等)にカテゴリや営業情報(営業時間、男女比など)が類似する比較対象の店舗または加盟店(以下、比較店舗等)の売上推移と、対象店舗等の売上推移を比較可能に加盟店向けインターフェース55に表示させ、対象店舗等の営業情報等を表示可能にしてもよい。
図18は、解析部158が加盟店向けインターフェース55に表示させる解析画面IM6の一例を示す図である。売上推移に関して解析部158は、クロールによって取得した情報を用いてもよいし、LLM(Large Language Model)等を利用して情報を得てもよい。
 
【0072】
  以上説明した情報処理によれば、レシートから得られた情報を更に活用することができる。
【0073】
  以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0074】
E  店舗設備
M  媒体
S  決済システム
10  利用者端末装置
10-1  第1利用者端末装置
10-2  第2利用者端末装置
20  決済アプリ
30  店舗決済端末装置
40  店舗コード画像
60  決済カード
70  クレジット処理端末
100  決済サーバ
130  決済処理部
150  情報処理部
152  取得部
154  更新部
156  レコメンド部
158  解析部
170  記憶部
176  店舗詳細情報
178  利用者ごと嗜好情報
180  商品等類似指標
182  グループごと嗜好情報
184  店舗解析情報
200  クレジットカードサーバ
         
【要約】
【課題】レシートから得られた情報を更に活用すること。
【解決手段】店舗により発行されたレシートの画像から得られたレシート情報であって、少なくとも利用者が購入した商品またはサービスに関する情報を含むレシート情報を利用者端末装置から取得する取得部と、前記レシート情報に基づいて、少なくとも前記利用者端末装置を利用する利用者の利用者ごと嗜好情報を更新する更新部と、前記利用者ごと嗜好情報に基づいて前記利用者に提供するレコメンド情報を生成するレコメンド部と、を備える情報処理装置。
【選択図】
図2