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  • 特許-吸音材 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-18
(45)【発行日】2025-09-29
(54)【発明の名称】吸音材
(51)【国際特許分類】
   G10K 11/16 20060101AFI20250919BHJP
   G10K 11/168 20060101ALI20250919BHJP
   B32B 5/24 20060101ALI20250919BHJP
【FI】
G10K11/16 120
G10K11/168
B32B5/24 101
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2024512487
(86)(22)【出願日】2023-03-27
(86)【国際出願番号】 JP2023012311
(87)【国際公開番号】W WO2023190398
(87)【国際公開日】2023-10-05
【審査請求日】2024-09-09
(31)【優先権主張番号】P 2022061014
(32)【優先日】2022-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023006893
(32)【優先日】2023-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】523419521
【氏名又は名称】エム・エーライフマテリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市川 太郎
(72)【発明者】
【氏名】花巻 千秋
【審査官】山本 章裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-192983(JP,A)
【文献】国際公開第2022/009835(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 11/16
G10K 11/168
B32B 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のスパンボンド不織布、メルトブローン不織布、及び第2のスパンボンド不織布を含む3層以上の不織布を有し、通気度が12.9cc/cm /sec以上42cc/cm/sec以下である層Aと、
通気度が20cc/cm/sec以上600cc/cm/sec以下の層又は発泡体である層Bと、
前記第1のスパンボンド不織布、メルトブローン不織布、及び第2のスパンボンド不織布を含む3層以上の不織布を有し、通気度が12.9cc/cm /sec以上42cc/cm/sec以下である層Cと、
通気度が20cc/cm/sec以上4500cc/cm/sec以下の層、発泡体、又は、背後空気層である層Dと、
を音が入射する入射面側から層厚方向にこの順に有し、
前記層A及び前記層Cの少なくとも一方は、音が入射する入射面側の最表面に、第3のスパンボンド不織布がさらに積層された4層以上の不織布を有し、
前記第3のスパンボンド不織布が含有する繊維の平均繊維径が前記第1のスパンボンド不織布及び前記第2のスパンボンド不織布が含有する繊維の平均繊維径よりも大きく、
且つ、
前記第3のスパンボンド不織布が含有する繊維の平均繊維径が20μm以上50μm以下である、吸音材。
【請求項2】
第1のスパンボンド不織布、メルトブローン不織布、及び第2のスパンボンド不織布を含む3層以上の不織布を有し、通気度が12.9cc/cm /sec以上42cc/cm/sec以下である層Aと、
通気度が20cc/cm/sec以上600cc/cm/sec以下の層又は発泡体である層Bと、
前記第1のスパンボンド不織布、メルトブローン不織布、及び第2のスパンボンド不織布を含む3層以上の不織布を有し、通気度が12.9cc/cm /sec以上42cc/cm/sec以下である層Cと
後空気層である層Dと、
を音が入射する入射面側から層厚方向にこの順に有する吸音材。
【請求項3】
前記層Aの通気度及び厚みの積と、前記層Cの通気度及び厚みの積との和ΣACmultiが10以上60以下であり、且つ、
前記層Aの通気度を厚みで除した値と、前記層Cの通気度を厚みで除した値との和ΣACdivが50以上200以下である、請求項1又は請求項2に記載の吸音材。
【請求項4】
前記層A及び前記層Cは、同一の層構成である、請求項1又は請求項2に記載の吸音材。
【請求項5】
前記層B及び前記層Dの少なくとも一方は、ポリエステル系樹脂を含む、請求項1又は請求項2に記載の吸音材。
【請求項6】
前記層B及び前記層Dの両方の層は、ポリエステル系樹脂を含む、請求項5に記載の吸音材。
【請求項7】
前記第1のスパンボンド不織布及び前記第2のスパンボンド不織布の少なくとも一方の不織布が含有する繊維の平均繊維径が、8μm以上30μm以下である、請求項1又は請求項2に記載の吸音材。
【請求項8】
前記層A又は前記層Cの目付(g/m)と、前記層Bの目付(g/m)との比(層A又は層C/層B)が0.50以上である、請求項1又は請求項2に記載の吸音材。
【請求項9】
層A又は層Cの通気度(cc/cm/sec)と、層Bの通気度(cc/cm/sec)との比(層A又は層C/層B)が0.03以上1.00以下である、請求項1又は請求項2に記載の吸音材。
【請求項10】
自動車用の吸音材である、請求項1又は請求項2に記載の吸音材。
【請求項11】
前記不織布は、導電性物質を付着させてなる又は混錬させてなる導電性不織布である、請求項1又は請求項2に記載の吸音材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吸音材に関する。
【背景技術】
【0002】
吸音材とは音を吸収する機能を有する製品であって、自動車、住宅、電気製品などの分野において多用されているが、近年製品の高機能化に伴い騒音環境も複雑化し、吸音のニーズも高度化している。例えば自動車業界では、電気自動車の普及により車内やエンジン音が静かになった一方で、モーター音や風切り音といった、人間の最小可聴値が小さくなると言われる1000Hz~6000Hzの周波数領域の騒音低減が必要とされている。
【0003】
吸音特性に優れる吸音材としては、グラスウール、ロックウール、アルミ繊維、発泡フォーム、多孔性セラミック等が従来から使用されてきた。これらの吸音材は、人体への健康影響、リサイクル性および環境適合性の観点から他の材料への代替が検討されている。代替する吸音材としては、合成繊維を絡合または接着して形成される不織布が、安価かつ成形加工性が良好であるため近年多々使用されている。特に合成繊維を用いた不織布の吸音性能は、高周波数帯での吸音性能が比較的良好である。
自動車等では、より軽量で且つ吸音性能に優れる吸音材が求められることから、吸音性能を改良する方法として、異なる合成繊維を積層させ2層以上にして用いることが提案されている(例えば、特開2021-113879号公報)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者による検討の結果、特許文献1で提案されている積層体のように、異なる合成繊維を積層させた吸音材では、特定の周波数領域において優れた吸音率を示すものの、当該周波数領域以外(例えば、人間の最小可聴値が小さくなると言われる高周波数領域1000Hz~6000Hz)における吸音率にばらつきが生じる場合があるとの知見が見出された。
【0005】
本開示は、前記知見に鑑みてなされたものであって、高周波数領域である1000Hz以降の広い周波数領域にわたって優れた吸音性を示し、かつ、前記周波数領域における吸音率のばらつきが低減された吸音材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための具体的手段は以下のとおりである。
<1> 第1のスパンボンド不織布、メルトブローン不織布、及び第2のスパンボンド不織布を含む3層以上の不織布を有し、通気度が48cc/cm/sec以下である層Aと、
通気度が20cc/cm/sec以上4500cc/cm/sec以下の層又は発泡体である層Bと、
前記第1のスパンボンド不織布、メルトブローン不織布、及び第2のスパンボンド不織布を含む3層以上の不織布を有し、通気度が48cc/cm/sec以下である層Cと、
通気度が20cc/cm/sec以上4500cc/cm/sec以下の層、発泡体、又は、背後空気層である層Dと、
を音が入射する入射面側から層厚方向にこの順に有する吸音材。
<2> 前記層Aの通気度及び厚みの積と、前記層Cの通気度及び厚みの積との和ΣACmultiが10以上60以下であり、且つ、
前記層Aの通気度を厚みで除した値と、前記層Cの通気度を厚みで除した値との和ΣACdivが50以上200以下である、前記<1>に記載の吸音材。
<3> 前記層A及び前記層Cの少なくとも一方は、音が入射する入射面側の最表面に、第3のスパンボンド不織布がさらに積層された4層以上の不織布を有し、
通気度が12cc/cm/sec以上48cc/cm/sec以下であり、
前記第3のスパンボンド不織布が含有する繊維の平均繊維径が前記第1のスパンボンド不織布及び前記第2のスパンボンド不織布が含有する繊維の平均繊維径よりも大きく、
且つ、
前記第3のスパンボンド不織布が含有する繊維の平均繊維径が20μm以上50μm以下である、前記<1>又は<2>に記載の吸音材。
<4> 前記層A及び前記層Cは、同一の層構成である、前記<1>~<3>のいずれか1つに記載の吸音材。
<5> 前記層B及び前記層Dの少なくとも一方は、ポリエステル系樹脂を含む、前記<1>~<4>のいずれか1つに記載の吸音材。
<6> 前記層B及び前記層Dの両方の層は、ポリエステル系樹脂を含む、前記<5>に記載の吸音材。
<7> 層Dが、背後空気層である、前記<1>~<6>のいずれか1つに記載の吸音材。
<8> 前記第1のスパンボンド不織布及び前記第2のスパンボンド不織布の少なくとも一方の不織布が含有する繊維の平均繊維径が、8μm以上30μm以下である、前記<1>~<7>のいずれか1つに記載の吸音材。
<9> 前記層A又は前記層Cの目付(g/m)と、前記層Bの目付(g/m)との比(層A又は層C/層B)が0.50以上である、前記<1>~<8>のいずれか1つに記載の吸音材。
<10> 層A又は層Cの通気度(cc/cm/sec)と、層Bの通気度(cc/cm/sec)との比(層A又は層C/層B)が0.03以上1.00以下である、前記<1>~<9>のいずれか1つに記載の吸音材。
<11> 自動車用の吸音材である、前記<1>~<10>のいずれか1つに記載の吸音材。
<12> 前記不織布は、導電性物質を付着させてなる又は混錬させてなる導電性不織布である、前記<1>~<11>のいずれか1つに記載の吸音材。
【発明の効果】
【0007】
本開示は、高周波数領域である1000Hz以降の広い周波数領域にわたって優れた吸音性を示し、かつ、前記周波数領域における吸音率のばらつきが低減された吸音材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示に係る吸音材の層構成の一例を示す概略部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本開示において段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合は、特に断らない限り、組成物中に存在する該複数の物質の合計量を意味する。
本開示において、「質量(mass)」と「重量(weight)」とは同義であり、「質量%(mass%)」と「重量%(weight%)」とは同義である。
本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本開示における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を含まないものと共に置換基を含むものをも包含するものである。
本開示において、「層」との語には、当該層が存在する領域を観察したときに、当該領域の全体に形成されている場合に加え、当該領域の一部にのみ形成されている場合も含まれる。
本開示において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本開示において、通気度の単位「cc/cm/sec」を、「ccs」と示すことがある。
【0010】
[本開示に係る吸音材]
本開示に係る吸音材は、第1のスパンボンド不織布、メルトブローン不織布、及び第2のスパンボンド不織布を含む3層以上の不織布を有し、通気度が48cc/cm/sec以下である層Aと、通気度が20cc/cm/sec以上4500cc/cm/sec以下の層又は発泡体である層Bと、前記第1のスパンボンド不織布、メルトブローン不織布、及び第2のスパンボンド不織布を含む3層以上の不織布を有し、通気度が48cc/cm/sec以下である層Cと、通気度が20cc/cm/sec以上4500cc/cm/sec以下の層、発泡体、又は、背後空気層である層Dと、を音が入射する入射面側から層厚方向にこの順に有する吸音材である。
【0011】
以下、通気度が20cc/cm/sec以上4500cc/cm/sec以下の層を総称して「高通気層」ともいう。
【0012】
本開示に係る吸音材は、上記構成を有する、つまり、所定の通気度を有する層A及び層Cと、所定の通気度を有する層、発泡体、又は、背後空気層である層B及び層Dと、を組み合わせた吸音材とすることで、高周波数領域である1000Hz以降の広い周波数領域にわたって優れた吸音性を示す。また、層A及び層Cが、第1のスパンボンド不織布、メルトブローン不織布、及び第2のスパンボンド不織布を含む3層以上の不織布とすることにより、前記周波数領域における吸音率のばらつきが低減される。
【0013】
さらに、本開示に係る吸音材は、上記構成を有する、つまり、毛羽立ち難い繊維質を有するスパンボンド不織布を含む層A及び層Cを、高通気な層B及び層Dの間に交互に介在させた構成としていることから、従来の吸音材に比べて、雹、霰、小石等の固体の衝突に対する耐性である耐摩耗性(サンドブラスト耐性)にも優れる。
【0014】
図1に、本開示に係る吸音材の層構成の一例を示す。
図1に示す吸音材10は、第1のスパンボンド不織布、メルトブローン不織布、及び第2のスパンボンド不織布を含む3層以上の不織布を有するA層12と、高通気なB層14と、第1のスパンボンド不織布、メルトブローン不織布、及び第2のスパンボンド不織布を含む3層以上の不織布を有するC層16と、高通気なD層18とが、音が入射する入射面側から層厚方向にこの順に積層されている。
【0015】
A層12とC層16とは、材質、特性、及び厚みが、それぞれ同じでもよく、異なって
いてもよい。B層14とD層18とは、材質、特性、及び厚みが、それぞれ同じでもよく、異なっていてもよい。
【0016】
本開示に係る吸音材について詳細に説明する。
【0017】
吸音材、及び各層の、目付、厚み、通気度、耐水圧、摩耗耐性、引張強度、及び平均繊維径の値は、後述する実施例で示す測定方法により得られる。
【0018】
<本開示に係る吸音材全体の特性>
・吸音材の目付
本開示に係る吸音材全体の目付は、広い周波数領域にわたって吸音性を向上させ且つ前記周波数領域における吸音率のばらつきをより低減する観点、吸音材の重量増による作業性の低下を防止する観点、及び、重量増による吸音材を支持する構造体の強度確保の観点から、100g/m以上4000g/m以下であることが好ましく、200g/m以上1500g/m以下であることがより好ましく、250g/m以上500g/m以下であることがさらに好ましい。本開示に係る吸音材全体の目付は、排出二酸化炭素量を低減する観点からは、250g/m以上400g/m以下であることが好ましい。
【0019】
・目付:層A又は層C/層B
本開示に係る吸音材は、広い周波数領域にわたって吸音性を向上させ且つ前記周波数領域における吸音率のばらつきをより低減する観点から、層A又は層Cの目付(g/m)と、層Bの目付(g/m)との比(目付:層A又は層C/層B)が、0.05以上であることが好ましく、0.70以上であることがより好ましく、0.10以上1.30以下であることがさらに好ましく、0.50以上1.20以下であることが特に好ましい。
【0020】
・目付:層A又は層C/層D
本開示に係る吸音材は、広い周波数領域にわたって吸音性を向上させ且つ前記周波数領域における吸音率のばらつきをより低減する観点からは、層A又は層Cの目付(g/m)と、層Dの目付(g/m)との比(層A又は層C/層D)が0.03以上0.60以下であることが好ましく、0.30以上であることがより好ましく、0.50以上であることがさらに好ましく、0.70以上であることが特に好ましい。なお、この場合、層Dは、通気度が30cc/cm/sec以上4500cc/cm/sec以下の層、又は発泡体であり、背後空気層ではない。
上記目付の比(層A又は層C/層D)の上限値は、特に制限されないが、例えば、1以下であってもよい。
【0021】
・目付:層A/層C
本開示に係る吸音材は、広い周波数領域にわたって吸音性を向上させ且つ前記周波数領域における吸音率のばらつきをより低減する観点から、層Aの目付(g/m)と、層Cの目付(g/m)との比(層A/層C)が0.10以上1.50以下であることが好ましく、0.30以上であることがより好ましく、0.70以上であることがさらに好ましい。
上記目付の比(層A/層C)の上限値は、特に制限されないが、例えば、5.00以下であってもよい。
【0022】
・吸音材全体の厚み
本開示に係る吸音材全体の厚みは、広い周波数領域にわたって吸音性を向上させ且つ前記周波数領域における吸音率のばらつきをより低減する観点から、1mm以上80mm以下であることが好ましく、5mm以上であることがより好ましく、10mm以上であることがさらに好ましく、30mm以上であることがさらに好ましい。
本開示に係る吸音材全体の厚みは、吸音材の重量増による作業性の低下を防止する観点、及
び、重量増による吸音材を支持する構造体の強度確保の観点から、100mm以下であることが好ましく、80mm以下であることがより好ましく、60mm以下であることがさらに好ましい。
【0023】
・厚み:層A又は層C/層B
本開示に係る吸音材は、広い周波数領域にわたって吸音性を向上させ且つ前記周波数領域における吸音率のばらつきをより低減する観点から、層A又は層Cの厚み(mm)と層Bの厚み(mm)との比(層A又は層C/層B)が、0.01以上1.00以下であることが好ましく、0.015以上0.50以下であることがより好ましく、0.02以上0.10以下であることがさらに好ましい。
【0024】
・厚み:層A又は層C/層D
本開示に係る吸音材は、広い周波数領域にわたって吸音性を向上させ且つ前記周波数領域における吸音率のばらつきをより低減する観点から、層A又は層Cの厚み(mm)と層Dの厚み(mm)との比(層A又は層C/層D)が、0.01以上1.00以下であることが好ましく、0.015以上0.50以下であることがより好ましく、0.02以上0.10以下であることがさらに好ましく、0.05以上0.10以下であることが特に好ましい。なお、この場合、層Dは、通気度が30cc/cm/sec以上4500cc/cm/sec以下の層、又は発泡体であり、背後空気層ではない。
【0025】
・厚み:層A/層C
本開示に係る吸音材は、広い周波数領域にわたって吸音性を向上させ且つ前記周波数領域における吸音率のばらつきをより低減する観点から、層Aの厚み(mm)と層Cの厚み(mm)との比(層A/層C)が、0.1以上5.0以下であることが好ましく、0.3以上であることがより好ましく、0.5以上であることがより好ましく、0.8以上であることがさらに好ましい。上記厚みの比(層A/層C)の上限値は、特に制限されないが、例えば、5以下であってもよく、3.0以下であってもよい。
【0026】
・通気度:層A又は層C/層B
本開示に係る吸音材は、広い周波数領域にわたって吸音性を向上させ且つ前記周波数領域における吸音率のばらつきをより低減する観点から、層A又は層Cの通気度(cm/cm/sec)と層Bの通気度(cm/cm/sec)との比(通気度:層A又は層C/層B)が、0.03以上1.00以下であることが好ましく、0.03以上0.80以下であることがより好ましく、0.03以上0.50以下であることがさらに好ましい。
【0027】
・ΣACmulti
本開示に係る吸音材は、層Aの通気度及び厚みの積と、層Cの通気度及び厚みの積との和ΣACmultiが、広い周波数領域にわたって吸音性を向上させ且つ前記周波数領域における
吸音率のばらつきをより低減する観点から、10以上60以下であることが好ましく、20以上40以下であることがより好ましい。
ΣACmultiは、上記と同様の観点から、10以上であることが好ましく、15以上であることがより好ましく、20以上であることがさらに好ましい。
ΣACmultiは、上記と同様の観点から、60以下であることが好ましく、50以下であることがより好ましく、40以下であることがさらに好ましい。
【0028】
ΣACmultiとは、層Aの通気度(cc/cm/sec)及び厚み(mm)の積と、層Cの通気度(cc/cm/sec)と厚み(mm)の積と、の和であり、音が入射する際に、繊維からの抵抗を実質的にどれだけ受けるかの大きさの指標を示す。この指標が上記範囲内となると、1000Hz近傍の吸音率がより良好となる傾向がある。
【0029】
・ΣACdiv
本開示に係る吸音材は、層Aの通気度を厚みで除した値と、前記層Cの通気度を厚みで除した値との和ΣACdivが、広い周波数領域にわたって吸音性を向上させ且つ前記周波数領
域における吸音率のばらつきをより低減する観点から、40以上200以下であることが好ましく、50以上200以下であることがより好ましく、60以上120以下であることがさらに好ましい。
ΣACdivは、上記と同様の観点から、40以上であることが好ましく、50以上であ
ることがより好ましく、60以上であることがさらに好ましい。
ΣACdivは、上記と同様の観点から、200以下であることが好ましく、150以下であることがより好ましく、120以下であることがさらに好ましい。
【0030】
本開示に係る吸音材は、広い周波数領域にわたって吸音性を向上させ且つ前記周波数領域における吸音率のばらつきをより低減する観点から、層Aの通気度及び厚みの積と、層Cの通気度及び厚みの積との和ΣACmultiが10以上60以下であり、且つ、層Aの通気度を厚みで除した値と、前記層Cの通気度を厚みで除した値との和ΣACdivが50以上200以下であることが好ましい。
【0031】
ΣACdivとは、層Aの通気度(cc/cm/sec)を厚み(mm)で除した値と、層Cの通気度(cc/cm/sec)を厚み(mm)で除した値と、の和であり、音が入射する際に、繊維とその空間との相互作用がどれだけ生じるかの大きさの指標を示す。この指標が上記範囲内となると、5000Hz近傍の吸音率がより良好となる傾向がある。
【0032】
上記のようにΣACmultiとΣACdivの両方が上記範囲内を満たすことで、低音側の吸音率から高音側の吸音率まで幅広い範囲でより良好な吸音率が得られる。
【0033】
・層構成
本開示に係る吸音材は、広い周波数領域にわたって吸音性を向上させ且つ前記周波数領域における吸音率のばらつきをより低減する観点から、層B及び層Dの少なくとも一方が、通気度が30cc/cm/sec以上4500cc/cm/sec以下の層であることが好ましく、層B及び層Dの両方の層が、通気度が30cc/cm/sec以上4500cc/cm/sec以下の層であることがより好ましい。
【0034】
本開示に係る吸音材は、広い周波数領域にわたって吸音性を向上させ且つ前記周波数領域における吸音率のばらつきをより低減する観点から、層B及び層Dの少なくとも一方がポリエステル系樹脂を含むことが好ましく、層B及び層Dの両方の層がポリエステル系樹脂を含むことがより好ましい。
【0035】
本開示に係る吸音材に含まれる不織布は、導電性物質を付着させてなる又は混錬させてなる導電性不織布であってもよい。不織布が導電性不織布であると、電磁波吸収性能が得られる。
ここで不織布とは、層A及び層Cが有する不織布(例えば第1のスパンボンド不織布、メルトブローン不織布、及び第2のスパンボンド不織布)だけでなく、層B及び層Dが所定の通気度を有する不織布で構成される場合にも適用してよい。
【0036】
導電性不織布は、例えば、第1のスパンボンド不織布、メルトブローン不織布、第2のスパンボンド不織布の少なくとも1つに導電性物質が付着又は混練されることにより、不織布に導電性物質を付着又は混連することができる。
【0037】
不織布の好ましい態様は後述するとおりである。
導電性物質としては、導電性高分子、カーボンブラック、グラファイト、アセチレンブラック、金属、軟磁性金属、ステアリン酸モノグリセリド等が挙げられ、電磁波吸収性能の観点からは、導電性高分子を含むことが好ましい。
【0038】
導電性物質の付着は、導電性物質の少なくとも一部が、不織布を構成する繊維の少なくとも一部の領域に付着していればよい。
導電性物質の付着は、導電性高分子が不織布の表面部分(即ち、不織布の外部から見える部分。以下同じ。)の繊維のみに付着している態様、導電性高分子が不織布の内部の繊維のみに付着している態様、及び、導電性高分子が不織布の表面部分の繊維及び不織布の内部の繊維の両方に付着している態様のいずれであってもよい。
【0039】
導電性高分子の種類は、特に制限されないが、例えば、ポリ3,4-エチレンジオキシチオフェン(以下、「PEDOT」ともいう)、PEDOTにポリ4-スチレンスルファネート(以下、「PSS」ともいう)をドープしたPEDOT-PSS、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリアニリン等が挙げられる。上記の中でも、導電性高分子としては、電磁波吸収性能の観点からは、PEDOT及びPEDOT-PSSの少なくとも一方を含むことが好ましく、PEDOT-PSSを含むことがより好ましい。PEDOT-PSSとしては、例えば、国際公開第2013/073673号に記載されたPEDOT-PSSを用いることができる。
【0040】
導電性物質を付着させてなる導電性不織布を製造する方法には特に制限はないが、例えば、不織布に導電性物質(より好ましくは導電性高分子)を含む液体を塗布して前記不織布に前記導電性物質を付着させる付着工程を含む、製造方法であってもよい。
【0041】
塗布方法は、特に制限されず、浸漬塗布(例えばディップコーティング)、噴霧塗布(例えばスプレーコーティング)、回転塗布(例えばスピンコーティング)、スリット塗布、カーテン塗布、グラビア塗布、フレキソ塗布等の公知の塗布方法が採用できる。
【0042】
上記導電性不織布の製造方法は、不織布に塗布された導電性物質を含む液体を乾燥させる乾燥工程をさらに含んでいてもよい。乾燥工程における乾燥手段は特に制限されず、送風による乾燥、加熱による乾燥、又はこれらの組み合わせ等の公知の手法によって実施することができる。
上記導電性不織布の製造方法は、前記塗布工程と乾燥工程とを複数回繰り返す態様であってもよい。
【0043】
導電性物質を含む液体としては、導電性物質が溶解する溶液、分散液のいずれであってもよいが、均一性高く導電性物質を不織布に付着させる観点からは、導電性物質が溶解する溶液が好ましい。
導電性物質を含む液体における溶媒としては、水、エタノール、プロピルアルコール等が挙げられる。溶媒は、1種単独の使用であってもよく、2種以上の併用であってもよい。
導電性物質を含む液体は、不織布面への導電性物質の定着性、安定性を向上させるために、バインダー樹脂を含んでいてもよい。バインダー樹脂としては、例えばオレフィン樹脂系、ポリエステル樹脂系、アクリル樹脂系、ポリウレタン樹脂系、ポリ酢酸ビニル樹脂系、塩化ビニリデン樹脂系、塩化ビニル樹脂系、ポリアミド樹脂系、ポリイミド樹脂系、スチレン樹脂系、フッ素樹脂系、シリコン樹脂系、エポキシ樹脂系、フェノール樹脂系や、脂肪族エステル系、脂肪族エーテル系の樹脂化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
導電性物質を含む液体の全体に占める導電性物質の含有量は、0.1質量%~10.0質量%が好ましく、0.2質量%~5.0質量%がより好ましい。
【0044】
付着工程の詳細については、国際公開第2013/073673号の記載を適宜参照できる。
【0045】
以下、本開示に係る吸音材について、層ごとに詳細に説明する。
【0046】
<層A>
層Aは、第1のスパンボンド不織布、メルトブローン不織布及び第2のスパンボンド不織布を含む3層以上の不織布を有し、通気度が48cc/cm/sec以下である。
【0047】
・層A:層構成
層Aの層構成は、第1のスパンボンド不織布、メルトブローン不織布及び第2のスパンボンド不織布を含む3層以上の不織布を有していればよく、その積層順序等の層構成は特に制限されない。
スパンボンド不織布は、十分な表面強度を有することから、鋭利なもので不織布の表面、裏面が破れる可能性が低いことから、不織布の表面、裏面が破れることに起因する吸音率の低下、吸音材自体の強度、取り付け強度、耐水性等が抑制され易くなる。
【0048】
層Aの層構成は、例えば、広い周波数領域にわたって吸音性を向上させ且つ前記周波数領域における吸音率のばらつきをより低減する観点からは、音が入射する入射面側の最表面に、第3のスパンボンド不織布がさらに積層された4層以上の不織布を有することが好ましい。
【0049】
層Aの層構成は、例えば、下記の(1)~(4)が挙げられるが第一の実施形態はこれに限定されない。
(1)第1のスパンボンド不織布、メルトブローン不織布、第2のスパンボンド不織布を、音が入射する入射面側から層厚方向にこの順で含む3層の不織布を有する層A(SMS層構成とも称す)。
(2)第1のスパンボンド不織布、第2のスパンボンド不織布、メルトブローン不織布を、音が入射する入射面側から層厚方向にこの順で含む3層の不織布を有する層A(SSM層構成とも称す)。
(3)メルトブローン不織布、第1のスパンボンド不織布、第2のスパンボンド不織布を、音が入射する入射面側から層厚方向にこの順で含む3層の不織布を有する層A(MSS層構成とも称す)。
(4)第3のスパンボンド不織布、第1のスパンボンド不織布、メルトブローン不織布、第2のスパンボンド不織布を、音が入射する入射面側から層厚方向にこの順で含む3層の不織布を有する層A(SSMS層構成とも称す)。
(5)第1のスパンボンド不織布、メルトブローン不織布、第2のスパンボンド不織布、第3のスパンボンド不織布を、音が入射する入射面側から層厚方向にこの順で含む3層の不織布を有する層A(SMSS層構成とも称す)。
【0050】
層A及び層Cは、通気度が同一であってもよく、異なっていてもよい。
層A及び層Cは、厚みが同一であってもよく、異なっていてもよい。
層A及び層Cは、材質が同一であってもよく、異なっていてもよい。層A及び層Cの材質が異なるとは、材料中に含まれる成分組成が異なることをいう。例えば、材料中に含まれる樹脂の種類及び配合量、フィラーの有無、並びに、フィラーを含む場合はフィラーの種類及び配合量からなる群より選択される少なくとも1つが異なる場合に、層A及び層Cの材質が異なるとみなす。
【0051】
層A及び前記層Cは、同一の層構成であることが、広い周波数領域にわたって吸音性を向上させ且つ前記周波数領域における吸音率のばらつきをより低減する観点から好ましい。同一の層構成とは、層を構成する第1のスパンボンド不織布、メルトブローン不織布及び第2のスパンボンド不織布を含む3層以上の不織布(第3のスパンボンド不織布を含む場合は4層以上の不織布)の積層順序、各不織布の目付、通気度、材料、厚み等が同じことをいう。
【0052】
一態様として、層Aは、音が入射する入射面側の最表面に、第3のスパンボンド不織布がさらに積層された4層以上の不織布を有し、通気度が12cc/cm/sec以上48cc/cm/sec以下であり、前記第3のスパンボンド不織布が含有する繊維の平均繊維径が第1のスパンボンド不織布及び第2のスパンボンド不織布が含有する繊維の平均繊維径よりも大きく、且つ、前記第3のスパンボンド不織布が含有する繊維の平均繊維径が20μm以上50μm以下であることが好ましい。層Aが上記構成を有すると、広い周波数領域にわたって吸音性を向上させ且つ前記周波数領域における吸音率のばらつきがより低減される。
【0053】
・層A:不織布の種類
第1のスパンボンド不織布、第2のスパンボンド不織布及び第3のスパンボンド不織布は、同じスパンボンド不織布であってもよく、異なるスパンボンド不織布であってもよい。同じスパンボンド不織布とは、不織布中に含まれる成分組成が同じであることをいう。例えば、第1のスパンボンド不織布と第2のスパンボンド不織布を対比して、材料中に含まれる樹脂の種類及び配合量、目付、不織布含まれる繊維の繊維径等が同じである場合に、第1のスパンボンド不織布と第2のスパンボンド不織布とは同じであるとみなす。
【0054】
層Aは、スパンボンド不織布及びメルトブローン不織布以外のその他の不織布(以下、「その他の不織布」とも称す。)を含んでいてもよい。その他の不織布としては、例えば、ニードルパンチ不織布、サーマルボンド不織布、ケミカルボンド不織布、ステッチボンド不織布、スパンレース不織布等が挙げられる。
【0055】
不織布は、長繊維不織布であっても、短繊維不織布であっても、両者の混合であってもよい。不織布に含まれる繊維は、単一繊維であっても、サイドバイサイド型あるいは芯鞘型の複合繊維であっても、あるいは捲縮繊維であってもよい。単一繊維の場合、複数の樹脂を含んでもよい。また、繊維の断面形状は丸型の他にV字型、十字型、T字型などの異型断面であってもよい。
不織布は、平均繊維径が互いに異なる複数の繊維を含んで構成されていてもよい。
不織布は、平均繊維長が互いに異なる複数の繊維を含んで構成されていてもよい。
不織布は、平均繊維径と平均繊維長が互いに異なる複数の繊維を含んで構成されていてもよい。
【0056】
不織布に含まれる繊維は、熱可塑性樹脂を含有することができる。熱可塑性樹脂は、特に限定されず、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン等のα-オレフィンの単独重合体又は共重合体;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ナイロン-6、ナイロン-66、ポリメタキシレンアジパミド等のポリアミド;ポリ塩化ビニル、ポリイミド、エチレン・酢酸ビニル共重合体;ポリアクリロニトリル;ポリカーボネート;ポリスチレン;アイオノマー;多分岐状ポリオレフィンなどが挙げられる。熱可塑性樹脂は、1種からなるものであってもよく、2種以上の混合物であってもよい。
【0057】
α-オレフィンの単独重合体又は共重合体としては、例えば、エチレン・プロピレンランダム共重合体、高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン、エチレン・1-ブテンランダム共重合体等のエチレンランダム共重合体などのエチレン系重合体;プロピレン系重合体(バイオマス由来プロピレン系重合体を含む);ポリ1-ブテン、ポリ4-メチル-1-ペンテンなどが挙げられる。
【0058】
熱可塑性樹脂は、高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン、プロピレン系重合体、ポリエチレンテレフタレート及びポリアミドからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。熱可塑性樹脂は、広い周波数領域にわたって吸音性をより向上させ且つ前記周波数領域における吸音率のばらつきをより低減する観点から、プロピレン系重合体を含むことが好ましい。
つまり、不織布は、広い周波数領域にわたって吸音性をより向上させ且つ前記周波数領域における吸音率のばらつきをより低減する観点、層A~層Dを超音波融着や輻射熱を用いた物理的圧着を容易にする観点、及び樹脂としての軽量性の観点から、プロピレン系重合体を含むことが好ましい。
【0059】
プロピレン系重合体としては、プロピレン単独重合体、主成分であるプロピレンと副成分である1種又は2種以上のα-オレフィンとの共重合体であるプロピレンランダム共重合体等が挙げられ、中でも、プロピレン単独重合体が好ましい。プロピレンランダム共重合体では、α-オレフィンに由来する構成単位の含有率は、全体の1モル%~10モル%であることが好ましく、全体の1モル%~5モル%であることがより好ましい。
【0060】
プロピレンランダム共重合体の共重合に用いるα-オレフィンとしては、炭素数2以上のα-オレフィン(プロピレンを除く)が好ましく、炭素数2又は4~8のα-オレフィンがより好ましい。α-オレフィンとしては、具体的には、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン等が好ましい。
【0061】
プロピレン系重合体は、バイオマス由来プロピレン系重合体であってもよい。
「バイオマス由来プロピレン系重合体」とは、バイオマス由来プロピレンを含む原料モノマーから製造されるプロピレン系重合体(A)を示す。バイオマス由来プロピレン系重合体は、カーボンニュートラルな材料であるため、不織布積層体の製造における環境負荷を低減することができる。
バイオマス由来プロピレン系重合体の原料となるバイオマス由来プロピレンを含むモノマーは、バイオマスナフサのクラッキングやバイオマス由来エチレンから合成することで得られる。バイオマス由来プロピレン系重合体は、このようにして合成したバイオマス由来プロピレン含有モノマーを、従来公知の石油由来プロピレンを用いる場合と同様の方法により重合することによって得られる。
バイオ由来プロピレン含有モノマーを原料として合成したプロピレン系重合体は、バイオマス由来プロピレン系重合体となる。原料モノマー中のバイオ由来プロピレン系重合体の含量は、原料モノマーの総量に対して、0質量%超であり、100質量%であってもよいし、それ以下でもよい。
バイオマス由来プロピレン系重合体の原料であるモノマーは、バイオ由来プロピレンの他、石油等の化石燃料由来のプロピレン、および/または、エチレンやプロピレン以外のα-オレフィン(1-ブテン、1-ヘキセン等)をさらに含んでもよい。
バイオマス由来プロピレン系重合体は、ヤシ殻等の空果房(EFB:Empty Fruit Bunches)を熱分解することで発生するガスを用いた、メタノールからのオレフィン(MTO:Methanol-to-Olefins)あるいはメタノールからのプロピレン(MTP:Methanol-to-Propylene)の合成によって得られるプロピレンを重合することによっても得られる。
さらに、バイオマス由来プロピレン系重合体は、ソルゴー等の非可食植物を主体とするバイオマス原料から、発酵によって製造したイソプロパノールを脱水して得られるプロピレンを重合することによっても得られる。
原料とするプロピレン等のモノマー中の放射性炭素(C14)の含有量をPC14とした場合、原料中のバイオマス由来の炭素の含有率Pbio(%)は、次の式により算出することができる。
式(2):Pbio(%)=PC14/105.5×100
すなわち、プロピレン系重合体の原料が全てバイオマス由来であれば、理論上は、バイオマス由来の炭素の含有率は100%となる。そのため、バイオマス由来プロピレン系重合体のバイオマス度は100%となる。化石燃料由来の原料にはC14が殆ど含まれていないので、化石燃料由来原料のみで製造されたプロピレン系重合体中の、バイオマス由来の炭素の含有率は0%となり、化石燃料由来プロピレン系重合体のバイオマス度は0%となる。
「バイオマス度」は、バイオマス由来の炭素の含有率を示し、放射性炭素(C14)を測定することにより算出される。大気中の二酸化炭素には、C14が一定割合(例えば約105.5pMC)で含まれている。そのため、大気中の二酸化炭素を取り入れて成長する植物(例えばトウモロコシ)中のC14含有量も約105.5pMC程度であることが知られている。化石燃料中にはC14が殆ど含まれていないことも知られている。したがって、プロピレン系重合体中の全炭素原子中に含まれるC14の割合を測定することにより、原料中のバイオマス由来の炭素の含有率を算出することができる。
「リサイクルポリマー」とは、廃ポリマー製品のリサイクルにより得られたポリマーを含むものであり、例えば、西独国特許出願公開第102019127827号明細書に記載の方法で製造することができる。リサイクルポリマーは、リサイクルにより得られたことが識別できるようなマーカーを含んでいてもよい。
【0062】
プロピレン系重合体の融点(Tm)は、155℃以上であることが好ましく、157℃~165℃であることがより好ましい。第一の実施形態において、融点は、示差走査熱量測定(DSC)を用いて、公知の方法により測定することができる。
【0063】
層Aを構成する不織布に含まれる繊維は、不織布全量に対して、熱可塑性樹脂を93.0質量%~100質量%含むことが好ましく、94.0質量%~99.5質量%含むことがより好ましい。また、本開示に係る不織布に含まれる繊維は、不織布全量に対して、プロピレン系重合体を70.0質量%~100質量%含むことが好ましく、90.0質量%~99.5質量%含むことがより好ましい。
【0064】
層Aを構成する不織布に含まれる繊維は、必要に応じて、通常用いられる添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、例えば、帯電剤、静電防止剤、吸収性粒子、ナノ粒子、イオン交換樹脂、消臭剤、芳香剤、接着剤、表面改質剤、殺生物剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、難燃剤、安定剤、酸化防止剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、耐光安定剤、防曇剤、滑剤、導電材、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス等の種々公知の添加剤が挙げられる。
【0065】
層Aを構成する不織布は、公知の不織布成型機を用いて製造することができる。例えば、スパンボンド不織布は、原料となる熱可塑性樹脂を、押出機を用い溶融し、溶融した組成物を、複数の紡糸口金から吐出し、繊維状の樹脂を必要に応じて冷却し延伸させた後、捕集面上に堆積させ、エンボスロールで加熱加圧処理することによって製造することができる。また、例えば、メルトブローン不織布は、原料となる熱可塑性樹脂を溶融し、紡糸ノズルから吐出するとともに、高温高圧ガスにより牽引して細繊維化された極細繊維を多孔ベルト又は多孔ドラムなどのコレクターに捕集して、堆積することによって製造することができる。
【0066】
・層A:通気度
層Aの通気度は、48cc/cm/sec以下である。さらに、広い周波数領域において、優れた吸音性を示し、かつ吸音率のばらつきを低減する観点から、通気度は、10cc/cm/sec以上42cc/cm/sec以下であることが好ましく、11cc/cm/sec以上35cc/cm/sec以下であることがより好ましく、12cc/cm/sec以上32cc/cm/sec以下であることがさらに好ましい。また層Aの通気度は、製造上の観点からは、1cc/cm/sec以上であることが好ましく、3cc/cm/sec以上であることがより好ましく、10cc/cm/sec以上であることがさらに好ましく、12cc/cm/sec以上であることが特に好ましい。
【0067】
層Aの通気度は、例えば、不織布の種類、層の厚み、目付、繊維径等を調整することで制御できる。
【0068】
・層A:平均繊維径
層Aは、層Aを構成する不織布が含有する繊維の平均繊維径が、広い周波数領域にわたって吸音性を向上させ且つ前記周波数領域における吸音率のばらつきをより低減する観点から、小さい(つまり繊維が細い)、より具体的には10μm以上100μm以下であることが好ましく、音が入射する入射面側の面の平均繊維径(以下「表面平均繊維径」とも称す。)が20μm以上100μm以下であることがより好ましく、30μm以上50μm以下であることがさらに好ましい。平均繊維径が下限値以上であると、積層体の力学的特性が低下し圧縮加工時に積層厚みが減少することが抑制される。
【0069】
層Aの平均繊維径は、層B及び層Dの少なくとも一方が不織布を含む場合は、これら層の不織布を構成する繊維の平均繊維径より小さいことが好ましい。
【0070】
第1のスパンボンド不織布、第2のスパンボンド不織布及び第3のスパンボンド不織布に含まれる繊維の平均繊維径は、特に制限されないが、広い周波数領域にわたって吸音性を向上させ且つ前記周波数領域における吸音率のばらつきをより低減する観点からは、メルトブローン不織布に含まれる繊維の平均繊維径よりも大きいことが好ましい。
【0071】
第1及び第2のスパンボンド不織布を構成する繊維の平均繊維径は、広い周波数領域における吸音率のばらつきをより低減する観点から、8μm以上30μm以下であることが好ましく、8μm以上25μm以下であることがより好ましい。
【0072】
層Aの第1及び第2のスパンボンド不織布を構成する繊維の平均繊維径は、層B及び層Dの少なくとも一方が不織布を含む場合は、これら層の不織布を構成する繊維の平均繊維径より小さいことが好ましい。
【0073】
層Aの第3のスパンボンド不織布が含有する繊維の平均繊維径(表面平均繊維径)は、サンドブラスト耐性(摩耗耐性)の観点からは、比較的大きいことが好ましく、20μm以上100μm以下であることが好ましく、
メルトブローン不織布を構成する繊維の平均繊維径は、広い周波数領域にわたって吸音性を向上させ且つ前記周波数領域における吸音率のばらつきをより低減する観点から、0.5μm以上、または1μm以上、かつ4μm以下であることが好ましい。
【0074】
上記繊維の平均繊維径を上記範囲内とする手法は特に制限されないが、例えば、エンボスロールを140℃~170℃の範囲の温度、ミラーロールを140℃~170℃の範囲の温度に設定してエンボス加工(例えば熱圧着加工)を施して溶着面積比率を15%以上30%以下とすることにより、非エンボス部における繊維間の融着が促進されることにより見かけ上の繊維径が太くさせる等して制御できる。また、エンボス加工時の溶着面積比率やエンボス柄を調整することでも制御できる。
【0075】
・層A:目付
層Aの目付は、広い周波数領域において、優れた吸音性を示し、かつ吸音率のばらつきを低減する観点から、30g/m以上230g/m以下であることが好ましく、40g/m以上180g/m以下であることがより好ましい。
層Aの音が入射する入射面側にあたるスパンボンド層の目付は、サンドブラスト耐性を保持する観点から、20g/m以上200g/m以下であることが好ましく、30g/m以上150g/m以下であることがより好ましく、90g/m以上150g/m以下であることがさらに好ましい。
目付は、例えば、層の厚みや繊維径等を調整することにより制御可能である。
【0076】
・層A:厚み
層Aの厚みは、0.1mm以上1.5mm以下、または0.3mm以上1.0mm以下であることが好ましい。
【0077】
<層B>
層Bは、通気度が20cc/cm/sec以上4500cc/cm/sec以下の層又は発泡体である。層Bは、単層であっても、2層以上の積層体であってもよい。
【0078】
層Bの材質は、通気度が前記範囲内となる材質又は発泡体であれば特に制限されない。
層Bの材質は、例えば、不織布、立体網目状構造を有する樹脂成形体、多孔フィルム、紙、織物、編物、フェルト、及び無機繊維等のシート状の素材が挙げられる。
【0079】
・層B:不織布
不織布は、長繊維不織布であっても、短繊維不織布であっても、混繊であってもよい。
【0080】
不織布に含まれる繊維は、単一繊維であっても、サイドバイサイド型あるいは芯鞘型等の複合繊維であっても、あるいは捲縮繊維であってもよい。単一繊維の場合、複数の樹脂を含んでもよい。また、繊維の断面形状は丸型の他にV字型、十字型、T字型などの異型断面であってもよい。
【0081】
不織布は、平均繊維径が互いに異なる複数の繊維を含んで構成されていてもよい。
不織布は、平均繊維長が互いに異なる複数の繊維を含んで構成されていてもよい。
不織布は、平均繊維径と平均繊維長が互いに異なる複数の繊維を含んで構成されていてもよい。
【0082】
不織布に含まれる繊維は、熱可塑性樹脂を含有することが好ましい。熱可塑性樹脂としては、先述の層Aで例示した熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂は、1種からなるものであってもよく、2種以上の混合物であってもよい。
【0083】
熱可塑性樹脂は、広い周波数領域にわたって吸音性を向上させ且つ前記周波数領域における吸音率のばらつきをより低減する観点から、ポリエステル系樹脂及びオレフィン系重合体の少なくとも一方を含むことがより好ましく、ポリエステル系樹脂を含むことが好ましく、ポリエステル系樹脂及びオレフィン系重合体の両方を含むことがさらに好ましく、ポリエステル系樹脂及びプロピレン系重合体の両方を含むことが特に好ましい。
【0084】
ポリエステル系樹脂は、例えば、ポリエステル系ホモポリマー樹脂とポリエステル系コポリマー樹脂とを含む。ポリエステル系樹脂(特にポリエステル系コポリマー樹脂と、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、オレフィン系樹脂等の各種低融点バインダー樹脂と、を含むポリエステル系樹脂)は、一般的に融点が低い傾向にあることから、ポリエステル系樹脂を含むことにより、層A、層Cを構成する樹脂種に関わらず、各層間の接合がより容易になるため好ましい。
【0085】
オレフィン系重合体としては、プロピレン系重合体及びエチレン系重合体の少なくとも一方を含むことが好ましい。
オレフィン系重合体を含むと、層B又は層Dの少なくとも一方の層を構成する不織布は、層A、層B、層C、及び層Dをそれぞれ形成した後に、得られた各層を接合することが容易になり易い。
特に、層A及び層Cの少なくとも一方の層を構成する不織布がプロピレン系重合体を含む場合、層B及び層Dの少なくとも一方の層を構成する不織布がプロピレン系重合体を含むと、層A及び層Cと高通気層である層B及び層Dとの接合が容易となるため好ましい。
【0086】
層Bを構成する繊維は、例えば、ポリエステル系樹脂(より好ましくはポリエチレンテレフタレート系樹脂)の繊維のみからなるものでもよく、さらにプロピレン系重合体の繊維を含んでいてもよい。
ポリエステル系樹脂(より好ましくはポリエチレンテレフタレート系樹脂)の繊維とプロピレン系重合体の繊維とを含むことにより、広い周波数領域にわたって吸音性がより向上しやすく、且つ、前記周波数領域における吸音率のばらつきもより低減され易い。また、嵩高さを調整しやすく、これにより層Bの通気度を20cc/cm/sec以上4500cc/cm/secの範囲に調整し易いため好ましい。
【0087】
層Bとして不織布の層を採用する場合、ポリエステル系樹脂の短繊維で構成される不織布、ポリエステル系樹脂の短繊維とプロピレン系重合体の短繊維の両方を含む不織布等を用いることができる。
ポリエステル系樹脂の短繊維と、プロピレン系重合体の短繊維とは、公知の溶融紡糸法により製造しても、市販のものを用いてもよい。
ポリエステル系樹脂の短繊維は、例えば、平均繊維長が10mm~100mmの範囲、平均繊維径が10μm~70μmの範囲のものを用いることができる。
プロピレン系重合体の短繊維は、例えば、平均繊維長が10mm~100mmの範囲、平均繊維径が10μm~50μmの範囲のものを用いることができる。
【0088】
層Bを構成する不織布全体におけるポリエステル系樹脂の短繊維と、プロピレン系重合体の短繊維との割合は、吸音率をより向上させる観点から、質量基準で、ポリエステル系樹脂の短繊維:プロピレン系重合体の短繊維が99:1~5:95の範囲であることが好ましく、95:5~10:90の範囲であることがより好ましく、80:20~20:80の範囲であることがさらに好ましい。
【0089】
ポリエステル系樹脂としてポリエチレンテレフタレート系樹脂を用いる場合、ポリエチレンテレフタレート系樹脂は、エチレングリコール等の多価アルコールと、テレフタル酸等の二塩基酸との共重合体を用いることができる。このようなポリエチレンテレフタレート系樹脂として、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、ポリブチレンイソフタレート(PBI)、ポリヘキサメチレンテレフタレート(PHT)、ポリヘキサメチレンイソフタレート(PHI)、ポリヘキサメチレンナフタレート(PHN)等を挙げることができる。
【0090】
プロピレン系重合体は、プロピレンの単独重合体であってもよく、プロピレンと共重合可能な他のα-オレフィンとの共重合体であってもよい。α-オレフィンとしては、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、4-メチル-1-ペンテン等の炭素数2以上、好ましくは2~8のα-オレフィンを挙げることができる。プロピレン系重合体は、プロピレンとα-オレフィンとの共重合体である場合、α-オレフィンから選択される1種又は2種以上のα-オレフィンとの共重合体であってもよい。プロピレン系重合体は、メルトフローレート(MFR:ASTM D-1238、230℃、荷重2160g)が例えば1g/分~500g/分の範囲のものを用いることができる。
【0091】
一態様として、不織布は、低融点樹脂と、高融点樹脂との2成分以上からなる繊維で構成されたものが好ましい。具体的には、低融点ポリエステル系樹脂/高融点ポリエステル系樹脂の複合繊維(好ましくは芯鞘構造型、サイドバイサイド型の複合繊維等)が挙げられる。不織布が、高融点ポリエステル系樹脂の繊維を含むことで、不織布の形状保持性を制御することができる。また、低融点ポリエステル系樹脂の繊維を含み、かつ繊維表面に露出することで、層A、層B、層C、及び層Dをそれぞれ形成した後に、得られた各層を接合することが容易になり易い。
【0092】
低融点ポリエステル系樹脂の融点は、好ましくは130以下、より好ましくは120以下である。下限は特に制限されないが、例えば、70℃以上であってもよい。
高融点ポリエステル系樹脂の融点は、低融点ポリエステル系樹脂の融点より高ければ特に制限されないが、例えば、200℃以上であってもよく、220℃以上であってもよい。これにより、層Bの不織布の形状保持性を制御することができる。また、これにより、層A、層B、層C、及び層Dをそれぞれ形成した後に、加熱・延展・圧縮加工した後の形状保持性に優れる。
【0093】
・バインダー繊維
層Bを構成する不織布に含まれる繊維は、不織布を構成する繊維間、各層間の接合性の観点、及び層Bの形状保持性を制御する観点から、バインダー繊維を更に含んでもよい。バインダー繊維は、層Bを構成する繊維間及び各層間の結着性するための繊維である。
【0094】
バインダー繊維としては、例えば、プロピレン系重合体の短繊維、低融点のエチレン系重合体の繊維、低融点のポリエステル系樹脂の繊維、低融点の多分岐状ポリオレフィン繊維(例えば、三井化学株式会社製のSWP(登録商標))、アクリル系繊維、低融点ポリエステル系樹脂/高融点ポリエステル系樹脂の複合繊維(好ましくは芯鞘構造型、サイドバイサイド型の複合繊維等)、プロピレン系重合体/エチレン系重合体の複合繊維(好ましくは芯鞘構造型、サイドバイサイド型の複合繊維等)、エチレン系重合体/ポリエステル系樹脂の複合繊維(好ましくは芯鞘構造型、サイドバイサイド型の複合繊維等)などが挙げられる。
【0095】
バインダー繊維を構成する樹脂は、合成品であっても、市販品であってもよい。市販品の場合、例えば、メルティ4080(ユニチカ株式会社製)が挙げられる。
【0096】
バインダー繊維は、例えば、層Bの作製時に、バインダー成分(例えば、繊維状のエマルジョン等)を含む溶液をスプレー塗布等で塗布し、塗布膜を加熱処理して得られるものであってもよい。この場合、バインダー成分としては、アクリル系樹脂のエマルジョン(例えば、DIC株式会社製のボンコート AN-1170等)を含むことが好ましい。バインダー成分としては、このほかに、ウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、オレフィン系樹脂等も挙げられる。
【0097】
一態様として、ポリエステル系樹脂のバインダー短繊維は、例えば、芯部にポリエチレンテレフタレート、鞘部にバインダー成分を備えるものを用いることができる。バインダー成分としては、アクリル、テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体、イソフタル酸又はそのエステル形成性誘導体、低級アルコール、ポリアルキレングリコール又はそのモノエーテルからなる共重合ポリエステルを挙げることができる。
【0098】
一態様として、層Bを構成する不織布は、例えば、1質量%~95質量%(好ましくは1質量%~60質量%)の前記プロピレン系重合体の短繊維を、99質量%~5質量%(好ましくは40質量%~5質量%)のポリエステル系樹脂のバインダー短繊維(好ましくはポリエチレンテレフタレート系樹脂の短繊維)と混合し、開繊機、カード機にてウェブを形成した後、得られたウェブをクロスレイヤー機にて多層積層し、所定のギャップ間距離に設定された熱風エアー処理機で処理し、前記ポリエステル系樹脂のバインダー短繊維と、前記プロピレン系重合体の短繊維と、を融着処理することにより得ることができる。
【0099】
一態様として、前記ポリエステル系樹脂のバインダー短繊維は、例えば、芯部にポリエチレンテレフタレート、鞘部にバインダー成分を備えるものを用いることができる。前記バインダー成分としては、アクリル、テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体、イソフタル酸又はそのエステル形成性誘導体、低級アルコール、ポリアルキレングリコール又はそのモノエーテルからなる共重合ポリエステルを挙げることができる。
【0100】
層Bを構成する不織布に含まれる繊維は、必要に応じて、通常用いられる添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、例えば、帯電剤、静電防止剤、吸収性粒子、ナノ粒子、イオン交換樹脂、消臭剤、芳香剤、接着剤、表面改質剤、殺生物剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、難燃剤、安定剤、酸化防止剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、耐光安定剤、防曇剤、滑剤、導電材、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス等の種々公知の添加剤が挙げられる。
【0101】
不織布の製造方法は、特に制限されず、公知の手法が適用できる。例えば、繊維をニードルパンチにより機械的に接合または加熱処理で融着させる方法を採り得る。
【0102】
・立体網目状構造を有する樹脂成形体
立体網目状構造を有する樹脂成形体としては、前述の熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物を立体網目状に成形した樹脂成形体が挙げられ、より好ましくはエチレン系重合体及びプロピレン系重合体のいずれか一方を含む樹脂組成物を立体網目状に成形した樹脂成形体が挙げられる。なお、立体網目状構造を有する樹脂成形体とは、三次元的な網目構造を有する樹脂成形体のことを指す。
【0103】
・多孔フィルム
多孔フィルムとしては、微多孔膜、メソポーラス膜等が挙げられる。多孔フィルムとしては、例えば、充填剤や相分離したポリマーアロイを含む樹脂の延伸により多孔化したフィルム等の樹脂多孔フィルム、セメント多孔体フィルム等の無機多孔フィルム、ニードルパンチ等の加工により孔の開けられたフィルム等が挙げられる。多孔フィルムの通気度は、例えば、厚み、密度、孔径等を調整することで制御できる。
【0104】
・無機繊維
無機繊維としては、例えばガラス繊維、カーボンファイバー等が挙げられる。
【0105】
・発泡体
発泡体としては、例えば、ゴム発泡体、ポリオレフィン発泡体(例えばポリエチレン発泡体、ポリプロピレン発泡体等)、ポリウレタン発泡体、ポリスチレン発泡体、アクリル系共重合体の発泡体等が挙げられる。
【0106】
発泡体の通気度は、例えば、厚み、密度、独立気泡率等を調整することで制御できる。
発泡体は、高通気層の通気度を高める観点及び吸音材の吸音性を高める観点から、連続気泡構造を有することが好ましい。
発泡体の密度は、9kg/m以上200kg/m以下であることが好ましく、10kg/m以上200kg/m以下であることがより好ましく、20kg/m
上200kg/m以下であることがさらに好ましい。発泡体の密度は、ASTM D792のA法(水中置換法)に準拠して測定される。
発泡体の独立気泡率は、0%以上60%未満であることが好ましく、0%以上55%以下であることがより好ましく、0%以上50%以下であることがさらに好ましい。発泡体の独立気泡率は、ASTM D2856のC法に準拠して測定される。
発泡体におけるセルの平均直径は、10μm以上2000μm以下であることが好ましく、300μm以上2000μm以下であることがより好ましく、600μm以上2000μm以下であることがさらに好ましい。
【0107】
・層B:通気度
層Bは、通気度が20cc/cm/sec以上4500cc/cm/sec以下の層又は発泡体であり、広い周波数領域においてより優れた吸音性を示し、かつ吸音率のばらつきをより低減する観点から、25cc/cm/sec以上の層であることが好ましく、30cc/cm/sec以上の層であることがより好ましく、50cm/cm/sec以上の層であることがさらに好ましい。
層Bの通気度は、強度等の観点から、4500cm/cm/sec以下であることが好ましく、1000cm/cm/sec以下であることがより好ましく、600cm/cm/sec以下であることがさらに好ましい。
【0108】
層Bの通気度は、例えば、層の厚み、目付を調整すること;層Bの材質を不織布とし繊維径、繊維長、繊維に含まれる樹脂(好適にはポリエステル系樹脂)等を調整すること;などで制御できる。また、カレンダー加工等の後加工により空隙率等を調整することでも制御できる。
【0109】
・層B:平均繊維径
層Bに含まれる繊維の繊維径(以下「層Bの平均繊維径」ということがある)は、広い周波数領域において、優れた吸音性を示し、かつ吸音率のばらつきを低減する観点から、10μm以上100μm以下、10μm以上70μm以下、10μm以上50μm以下、15μm以上45μm以下、または20μm以上40μm以下であることが好ましい。
【0110】
層Bの平均繊維径は、層Bが含有する全ての繊維から算出される。すなわち、層Bが1種の熱可塑性樹脂の繊維を含有する不織布で構成される場合は、「層Bの平均繊維径」とは、かかる1種の熱可塑性樹脂の繊維の平均繊維径を指す。層Bが2種以上の熱可塑性樹脂の繊維を含有する不織布で構成される場合は、かかる2種以上の熱可塑性樹脂が混在した全繊維の繊維径の算術平均値を意味する。層Bが、繊維径が異なる複数の繊維を含有する不織布で構成される場合は、かかる繊維径が異なる複数の繊維が混在した全繊維の繊維径の算術平均値を意味する。
層Bの平均繊維径は、所望の範囲内とする手法は特に制限されない。層Aの平均繊維径と同様に制御可能である。
【0111】
・層B:目付
層Bの目付は、広い周波数領域にわたって吸音性を向上させ且つ前記周波数領域における吸音率のばらつきをより低減する観点、及び、吸音材の重量増による作業性の低下を防止する観点から、50g/m以上1500g/m以下であることが好ましい。層Bの目付は、吸音材の重量増による作業性の低下を防止する観点及び排出二酸化炭素量削減の観点からは、60g/m以上400g/m以下であることがより好ましく、70g/m以上300g/m以下であることがさらに好ましく、70g/m以上200g/m以下であることが特に好ましい。
層Bの目付は、例えば、層の厚み、繊維径等を調整することで制御できる。
【0112】
・層B:厚み
層Bの厚みは、0.1mm以上100.0mm以下であることが好ましく、0.3mm以上60.0mm以下であることがより好ましく、5.0mm以上40.0mm以下であることがより好ましい。
【0113】
一態様として、層Bは、広い周波数領域にわたって吸音性を向上させ且つ前記周波数領域における吸音率のばらつきをより低減する観点から、ポリエステル系樹脂(より好ましくはポリエチレンテレフタレート)の短繊維と、プロピレン系重合体の短繊維とを、含む不織布であってもよい。この場合、ポリエステル系樹脂の短繊維の平均繊維径は10μm以上100μm以下であることが好ましく、10μm以上70μm以下であることがより好ましく、10μm以上50μm以下であることがさらに好ましい。
【0114】
上記の場合、ポリエステル系樹脂の短繊維と、プロピレン系重合体の短繊維との割合(エステル系樹脂の短繊維:プロピレン系重合体の短繊維)は、吸音性をより向上させる観点、及び、疎水性と排水性を向上させる観点から、質量基準で、99:1以上5:95以下であることが好ましく、95:5以上10:90以下であることがより好ましく、80:20以上20:80以下であることがさらに好ましい。
【0115】
上記の場合、例えば層Bは、プロピレン系重合体の短繊維を、ポリエステル系樹脂の短繊維と混合し、開繊機、カード機を経てウェブを形成した後、得られたウェブをクロスレイヤー機にて多層積層し、所定のギャップ間距離に設定された熱風エアー処理機で処理することで、ポリエステル系樹脂の短繊維と、プロピレン系重合体の短繊維とを融着処理した不織布として製造することができる。
【0116】
<層C>
層Cは、第1のスパンボンド不織布、メルトブローン不織布、及び第2のスパンボンド不織布を含む3層以上の不織布を有し、通気度が48cc/cm/sec以下である。
層Cにおける層構成、材質及び特性の好ましい態様は、層Aにおける層構成、材質及び特性の好ましい態様と同様である。
【0117】
層Cの層構成、材質及び特性は、層Aの層構成、材質及び特性と同じであってもよく、異なっていてもよいが、広い周波数領域にわたって吸音性をより向上させ且つ前記周波数領域における吸音率のばらつきをより低減する観点からは、層構成及び材質の少なくとも一方が同じであることが好ましい。
【0118】
例えば、層Cの材質と層Aの材質とが異なるとは、各層に含まれる成分組成(層構成、材質、及びこれらに起因する特性等)が異なることをいう。
例えば、層Cと層Aとでは、不織布に含まれる繊維を構成する樹脂の種類が異なる場合に、層Cと層Aとの材質が異なるとみなす。
例えば、層Cと層Aとでは、不織布の目付、通気度、又は不織布が含有する繊維の平均繊維径が異なる場合、層Cと層Aの特性は異なるとみなす。
【0119】
<層D>
層Dは、通気度が20cc/cm/sec以上4500cc/cm/sec以下の層、発泡体、又は、背後空気層である。層Dは、単層であってもよく、2層以上の積層体であってもよい。
【0120】
層Dは、広い周波数領域にわたって吸音性をより向上させ且つ前記周波数領域における吸音率のばらつきをより低減する観点から、通気度が20cc/cm/sec以上4500cc/cm/sec以下の層、発泡体、又は、背後空気層であり、通気度が30cc/cm/sec以上4500cc/cm/sec以下の層又は発泡体であることが好ましい。
【0121】
層Dにおける通気度が20cc/cm/sec以上4500cc/cm/sec以下の層及び発泡体の好ましい態様は、層Bにおける通気度が20cc/cm/sec以上4500cc/cm/sec以下の層及び発泡体の好ましい態様と同様である。
層Dの層構成、材質及び特性は、層Bの層構成、材質及び特性と同じであってもよく、異なっていてもよいが、広い周波数領域にわたって吸音性をより向上させ且つ前記周波数領域における吸音率のばらつきをより低減する観点からは、層構成及び材質の少なくとも一方が同じであることが好ましい。
【0122】
例えば、層Dの材質と層Bの材質とが異なるとは、各層に含まれる成分組成が異なることをいう。
例えば、層Dと層Bとでは、層を構成する樹脂、発泡体等の種類(例えば、不織布の場合は、不織布に含まれる繊維を構成する樹脂の種類)が異なる場合又は層Dが背後空気層である場合に、層Dと層Bとの材質が異なるとみなす。
例えば、層Dと層Bとでは、通気度、各層に含まれる繊維の目付、平均繊維径が異なる場合、層Dと層Bの特性は異なるとみなす。
【0123】
・背後空気層
層Dは、背後空気層であってもよい。
背後空気層とは、層Cにおける音の入射面とは反対側の面から、吸音材を設置する設置面までの空隙の層を指す。取付面は、いわゆる反射面であってもよい。
層Dが背後空気層である場合、吸音材は、前記層Cにおける音が入射する入射面の対面から、吸音材を取り付ける設置面までの空隙を保持するための支持材も併せて備える。支持材としては、例えば、金属又は樹脂製の支持棒、支持枠、基材等の公知の支持材を用いることができる。
【0124】
層Dが背後空気層である場合、広い周波数領域にわたって吸音性がより向上されやすく、かつ吸音率のばらつきがより低減されやすい。
【0125】
層Dが背後空気層である場合、本開示に係る他の層の材質やその他の特性により、音の入射対面と支持材との接合強度保持を達成する。特に、音の入射対面の端部と支持材と接合する場合、層A及び層Cの少なくとも一方の引張強度が高いことが好ましい。例えば、層A及び層Cの少なくとも一方の引張強度は、MD方向、CD方向を問わず50N/50mm以上、または60N/50mm以上であることが好ましい。
層Dが背後空気層である場合、層Cにおける音が入射する入射面の対面と支持材との接合強度を保持する観点から、層Cの目付の範囲、スパンボンド不織布の平均繊維径を先述の範囲とすることが好ましい。
【0126】
また、層Dが背後空気層である場合、吸音材の追従性や柔軟性の観点から、他の層の材質として、スパンボンド不織布、プロピレン系重合体を含むスパンボンド不織布を用いることが好ましい。また、スパンボンド不織布は、十分な表面強度を有することから、鋭利なもので不織布の表面、裏面が破れる可能性が低いことから、不織布の表面、裏面が破れることに起因する吸音率の低下、吸音材自体の強度、取り付け強度、耐水性等が抑制され易くなる。特に、表面強度を十分に付与する観点からは、層A及び層Cの少なくとも一方の目付、及び不織布の平均繊維径を、先述の範囲とすることが好ましい。
【0127】
背後空気層の厚み、つまり、音の入射対面から設置面までの空隙の最短距離は、特に制限されないが、例えば、2mm以上、5mm以上、8mm以上、または10mm以上、かつ50mm以下、30mm以下、または20mm以下とすることができ、2mm以上50mm以下であることが好ましい。
背後空気層の厚みは、層Cにおける音が入射する入射面の対面から、吸音材を取り付ける設置面までの最短距離を任意の5点について測定し、その算術平均した値である。
【0128】
<吸音材の製造方法>
本開示に係る吸音材の製造方法は、特に制限されず、公知の製造方法が適用できる。
本開示に係る吸音材の製造方法は、各層を別々に形成してから積層して製造されてもよく、積層しながら順次各層を形成して製造されてもよい。
例えば、吸音材を製造する場合、層A、層B、層C、及び層Dをそれぞれ形成した後に、得られた各層を積層して製造されていてもよい。また、例えば、層Aを形成した後、層A上で層Bの形成を行い、同様に層C及び層Dを順次形成してもよい。
【0129】
吸音材の各層間における接着方法は、層の材質により適宜選択できるが、例えば、接着剤(例えば、ホットメルト接着剤、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリアミド系接着剤、オレフィン系接着剤等)による接着、熱融着(例えば、熱処理、熱エンボス加工、超音波融着等)、機械的交絡(例えば、ニードルパンチ、ウォータージェット等)、物理的圧着、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0130】
一態様として、本開示に係る吸音材は、層A、層B、層C、及び層Dをそれぞれ形成した後に、得られた各層を各層の端部を超音波融着により接合し、輻射熱等で各層を予熱してから物理的圧着することにより製造されてもよい。
【0131】
各層間の接着方法として、熱融着を採用する場合、融着温度は、各層を融着できる温度であれば特に制限されないが、融着部の剥がれを抑制する観点から、130℃以上160℃以下とすることが好ましく、140℃以上155℃以下であることがより好ましい。
【0132】
各層間の接着方法として、物理的圧着を採用する場合、圧力は、各層を圧着できる圧力であれば特に制限されないが、圧着部の剥がれを抑制する観点から、0.1MPa以上5MPa以下であることが好ましい。圧着部を形成時の速度は、各層を圧着できる速度であれば特に制限されないが、圧着部の剥がれを抑制しつつ、作業効率を向上させる観点から、0.5m/分以上30m/分以下であることが好ましい。
また、本開示に係る吸音材は、その効果を損なわない範囲で、例えば、印刷、塗布、熱処理、及び賦型加工等の二次加工を施してもよい。
【0133】
<吸音材の用途>
本開示に係る吸音材は、高周波数領域、すなわち1000Hz以降の広い周波数領域、において、優れた吸音性を示し、かつ吸音率のばらつきが小さいため、自動車、電子機器、建築物、住宅用などの様々な用途に適用可能である。
【0134】
本開示に係る吸音材は、広い周波数領域にわたって優れた吸音性を示し、前記周波数領域における吸音率のばらつきが低減され、更に耐傷つき性(より具体的には摩耗耐性)にも優れる。そのため、広い周波数領域にわたる外音の遮断、及び耐傷つき性が求められる自動車や鉄道用の吸音材、より好ましくはタイヤ(例えばタイヤハウス)周辺やフロア周辺(例えばアンダーカバー)の吸音材として好適に用いることができる。
【0135】
本開示に係る吸音材は、音の入射面側の表面の耐水圧性も有する。そのため、水濡れによる吸音性の低下を抑えられるため、吸音性に加えて耐水性もあることが好ましい部位、例えば、タイヤ、フロア周辺の吸音材、船舶用吸音材、及び土木建築用の吸音材として好適に用いることができる。
【実施例
【0136】
以下、本開示を実施例により具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
本開示の実施例にて得られた吸音材の各物性の測定方法及び評価方法は以下の通りである。
【0137】
(1)目付
測定対象の層を吸音材から剥離した。続いて不織布から100mm(繊維の流れ方向:MD)×100mm(繊維の流れ方向と直交した方向(CD方向))の試験片を、10点採取した。試験片の採取場所は、CD方向にわたって10箇所とした。次いで、採取した各試験片に対して上皿電子天秤(研精工業社製)を用いて、それぞれ質量〔g〕を測定して各試験片の質量の算術平均値を求める。上記で求めた平均値を1m当たりの質量〔g〕に換算し、各不織布の目付〔g/m〕とした。なお、吸音材全体の合計目付については、各層の総和とした。
【0138】
(2)厚み
測定対象の層を吸音材から剥離し、試験片を10点採取した。採取した各試験片について、荷重が7g/cmの厚さ計を使用して中央及び四隅の5点の厚みを測定した。測定した50点の厚みの平均値を算出し、各層の厚み(mm)とした。なお、吸音材全体の合計厚みについては、各層の総和とした。
【0139】
(3)通気度
測定対象の層を吸音材から剥離し、試験片を5点採取した。試験片について、フラジール形試験機を用い、JIS L1096(2010)のA法(フラジール形法)に準拠して圧力差125Paでの通気量(層を通過した空気量)を測定し、その算術平均値を通気度とした。なお、吸音材全体の測定についても本測定方法を適用した。
【0140】
(4)耐水圧
測定対象の層Aから、JIS L 1096に規定されているA法(低水圧法)に準拠して、表皮材から150mm(MD)×150mm(CD)の試験片を採取し、試験片の耐水圧(スイステクステスト社製耐水圧試験機FX3000-4L)を測定した。5点を測定し、その算術平均値を耐水圧とした。
【0141】
(5)摩耗耐性(サンドブラスト耐性)
測定対象の層Aから200mm(MD)×25mm(CD)の試験片を採取し、台紙上に両面テープ(ニチバン製NW-25)で貼り付けた。この台紙を学振型摩擦堅牢度試験機((株)大栄科学精器製作所製RT-300S)の試料ホルダーに取り付け、#180のサンドペーパーを用いて、無荷重の状態で1mm大以上の遊離した毛玉が観察されるまでに必要な摩擦回数を測定した。この測定を5回繰り返し、その算術平均値を摩耗耐性とした。
【0142】
(6)引張強度:MD強度、CD強度(N/50mm)
測定対象の層Aから200mm(長さ方向)×50mm(幅方向)の試験片を採取し、引張試験機(島津製作所オートグラフAGS-J)を用いてチャック間距離100mm、ヘッドスピード100mm/minでMD:5点、CD:5点を測定し、平均値を算出し、引張強度(N/50mm)を求めた。
【0143】
(7)平均繊維径
スパンボンド不織布については、10mm×10mmの試験片を10点採取し、顕微鏡(株式会社ニコン製、商品名:ECLIPSE E400)を用い、倍率50倍で、1試験片毎に任意の30箇所の径をμm単位で小数点第1位まで読み取り、その算術平均値をスパンボンド不織布が含有する繊維の平均繊維径とした。
・少なくともポリエステル系樹脂からなる繊維を含む不織布については、10mm×10mm×5mm圧にスライスした試験片を10点採取し、顕微鏡(株式会社ニコン製、商品名:ECLIPSE E400)を用い、倍率50倍で、1試験片毎に任意の30箇所の径をμm単位で小数点第1位まで読み取り、その平均値を平均繊維径とした。
・メルトブローン不織布については、採取した試料片の構成繊維30本の繊維径(μm)を、走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、型式名:SU3500形)を用いて、倍率500倍又は1000倍で測定し、その算術平均値をメルトブローン不織布が含有する繊維の平均繊維径とした。
【0144】
[実施例1]
<層Aの作製>
MFRが60g/10分のプロピレン単独重合体を用い、直径0.6mmの紡糸口金を有するスパンボンド不織布成形機で、230℃にて常法のスパンボンド法による溶融紡糸を行い、紡糸により得られた繊維を捕集面上に堆積させ、平均繊維径が13μm、目付が10g/mの第1のスパンボンド不織布を得た。
次に、MFRが400g/10分のプロピレン単独重合体を、押出機を用いて280℃にて溶融し、得られた溶融物を、紡糸口金から吐出するとともに、280℃の加熱空気を吹付ける常法のメルトブローン法によって平均繊維径3μmの繊維を、第1のスパンボンド不織布上に堆積させ、目付が5g/mのメルトブローン不織布を形成した。
次に、メルトブローン不織布の上に、スパンボンド不織布と同一にして繊維を堆積させ、平均繊維径が13μm、目付が10g/mの第2のスパンボンド不織布を形成した。
次に、第1のスパンボンド不織布、メルトブローン不織布、及び第2のスパンボンド不織布がこの順で積層した積層体を、温度をエンボスロール145℃、ミラーロール150℃に設定した刻印面積率18%の熱エンボスロールにて一体化し、メルトブローン不織布の表裏両面に第1のスパンボンド不織布と第2のスパンボンド不織布とが積層された3層構造(以下、「SMS構造」または「PP-SMS」と称すことがある。)不織布を得た。得られたSMS構造不織布の目付は25g/mであった。
【0145】
次に、MFRが60g/10分のプロピレン単独重合体を用い、直径1.3mmの紡糸口金を有するスパンボンド不織布成形機で、230℃にて常法のスパンボンド法による溶融紡糸を行い、紡糸により得られた繊維を前記SMS構造不織布の上に堆積させ、平均繊維径が35μm、目付が100g/mの第3のスパンボンド不織布を形成した。
次に、前記SMS構造不織布とスパンボンド不織布との積層体を、温度をエンボスロール155℃、ミラーロール160℃に設定した刻印面積率18%の熱エンボスロール(エンボス柄0.9mm角)にて一体化し、表皮材として、前記SMS構造不織布の上に、前記スパンボンド不織布が積層された4層構造(以下、「SSMS構造」または「PP-SSMS」と称すことがある。)不織布を得た。
【0146】
<層Bの作製>
プロピレン系重合体の短繊維(宇部エクシモ株式会社製、商品名:UCファイバー、平均繊維径21μm、平均繊維長51mm)5質量部、及びポリエチレンテレフタレート系樹脂の短繊維(平均繊維径35μm、平均繊維長51mm)65質量部と、バインダー繊維であるポリエチレンテレフタレート系樹脂の短繊維(ユニチカ株式会社製、商品名:メルティ4080、平均繊維径14μm、平均繊維長51mm)30質量部と、を混合し、開繊機、カード機にてウェブを形成したのち、クロスレイヤー機にて多層積層し、約20mmのギャップ間距離に設定された熱風エアー処理機にて処理し、プロピレン系重合体の短繊維とポリエチレンテレフタレート系樹脂の短繊維とを含む約20mm厚のシート状不織布成形体(各表中では「PET系1」と称す。)を得た。
【0147】
<層Cの作製>
MFRが60g/10分のプロピレン単独重合体を用い、直径0.6mmの紡糸口金を有するスパンボンド不織布成形機で、230℃にて常法のスパンボンド法による溶融紡糸を行い、紡糸により得られた繊維を捕集面上に堆積させ、平均繊維径が21μm、目付が40g/mのスパンボンド不織布を得た。
次に、MFRが400g/10分のプロピレン単独重合体を、押出機を用いて280℃にて溶融し、得られた溶融物を、紡糸口金から吐出するとともに、280℃の加熱空気を吹付ける常法のメルトブローン法によって平均繊維径3μmの繊維を前記のスパンボンド不織布上に堆積させ、目付が25g/mのメルトブローン不織布を形成した。
次に、前記メルトブローン不織布の上に、前記スパンボンド不織布と同一にして繊維を堆積させ、平均繊維径が21μm、目付が20g/mの第2のスパンボンド不織布を形成した。
次に、前記スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンボンド不織布の積層体を、温度をエンボスロール145℃、ミラーロール150℃に設定した刻印面積率12%の熱エンボスロールにて一体化し、SMS構造不織布を得た。前記SMS構造不織布の目付は85g/mであった。
【0148】
<層Dの作製>
上記層Bと同様にして、約20mm厚のシート状不織布成形体を得た。
【0149】
<吸音材の作製>
各層A~層Dのサイズを、MD方向300mm、CD方向300mmに調整した。なお、層Aには、あらかじめ4辺端部から50mmずつ内面側に入った部分に250mm角の正方形の目印を記しておく。層A、層B、層C、及び層Dの順で、300mm角からずれが生じないように積層し、これら4層を重ねた状態で、超音波シーラー(本多電子(株)超音波溶着器SONAC-37)で端部を融着した。この際、層Aに記してある250mm角正方形のラインに沿って超音波シーラーで隙間なく圧着した。圧着部分は2mm幅以上とした。圧着部分に沿って切り抜き、250mm角の吸音材を得た。
【0150】
[実施例2~実施例7]
実施例1の層A及び層Cの層構成を、表に示す仕様とし、かつ、各層における目付、通気度、厚み等の物性を表に示す仕様とした以外は、実施例1と同様にして吸音材を得た。
【0151】
[実施例8]
各層における層構成、目付、通気度、厚み等の物性を表に示す仕様とした以外は、実施例1と同様にして層A~層Cを得た。続いて、層Dであるシート状不織布成形体を形成せずに背面保護層とし、層A、層B、及び層Cの順で積層し、実施例1と同様に超音波シーラーで融着し積層体を得た。この積層体を、29mmφの円形状に採取した。そして、後述する[吸音性能の評価]で用いる測定用の音響管の一端に、前記円形状の積層体の層Cにおける音が入射する入射面の対面と、反射板との間に、表2-1に示す厚みの背後空気層ができるように支持材としてスペーサーを設置して積層体を配置し、吸音材を得た。
【0152】
[実施例9]
各層における層構成、目付、通気度、厚み等の物性を表に示す仕様とした以外は、実施例1と同様にして層A及び層Cを得た。
続いて、ポリエチレンテレフタレート系樹脂の短繊維(平均繊維径20μm、平均繊維長51mm)10質量部と、ポリエチレンテレフタレート系樹脂の短繊維(平均繊維径25μm、平均繊維長51mm)45質量部と、ポリエチレンテレフタレート系樹脂の短繊維(平均繊維径35μm、平均繊維長51mm)45質量部と、を混合し、バインダー繊維を形成するバインダー成分としてアクリルエマルジョンバインダー(DIC社製ボンコートAN-1170、不揮発分50%濃度)を10重量部スプレー塗布し、約40mmのギャップ間距離に設定された熱風エアー処理機にて処理し、ポリエチレンテレフタレート系樹脂の短繊維とアクリルエマルジョンバインダーを含む約40mm厚のシート状不織布成形体(表中では「PET系2」と称す。)とし、目付、通気度、厚み等の物性を表に示す仕様とした以外は、実施例1と同様にして層Bを得た。
そして、層Dであるシート状不織布成形体を形成せずに背面保護層とし、層A、層B、及び層Cの順で積層し、実施例1と同様に超音波シーラーで融着し積層体を得た。この積層体を、29mmφの円形状に採取した。そして、後述する[吸音性能の評価]で用いる測定用の音響管の一端に、前記円形状の積層体の層Cにおける音が入射する入射面の対面と、反射板との間に、表2-1に示す厚みの背後空気層ができるように支持材としてスペーサーを設置して積層体を配置し、吸音材を得た。
【0153】
[実施例10]
各層における層構成、目付、通気度、厚み等の物性を表に示す仕様とした以外は、実施例1と同様にして層A及び層Cを得た。
層Bを、日東電工株式会社製のエプトシーラーEX100(厚み10mm、表中「発泡ゴム」と称す。)に変更した。
層Dであるシート状不織布成形体を形成せず、層A、層B、及び層Cの順で積層し、実施例1と同様に超音波シーラーで融着し積層体を得た。この積層体を、29mmφの円形状に採取した。そして、後述する[吸音性能の評価]で用いる測定用の音響管の一端に、前記円形状の積層体の層Cにおける音が入射する入射面の対面と、反射板との間に、表2-1に示す厚みの背後空気層ができるように支持材としてスペーサーを設置して積層体を配置し、吸音材を得た。
【0154】
[実施例11]
各層における層構成、目付、通気度、厚み等の物性を表に示す仕様とし、層Dの材質を新光ナイロン株式会社製のヘチマロン(製品名)350-1000(プロピレン系重合体の立体網目状構造を有する樹脂成形体;表中では「立体網目状樹脂成形体」と記載)とした以外は、実施例1と同様の手法により吸音材を得た。
【0155】
[実施例12]
各層における層構成、目付、通気度、厚み等の物性を表に示す仕様とした以外は、実施例1と同様にして層A~層Cを得た。
ポリエチレンテレフタレート系樹脂の短繊維(平均繊維径25μm、平均繊維長51mm)80質量部と、バインダー繊維であるポリエチレンテレフタレート系樹脂の短繊維(ユニチカ株式会社製、商品名:メルティ4080、平均繊維径20μm、平均繊維長51mm)20質量部と、を混合し、開繊機、カード機にてウェブを形成したのち、クロスレイヤー機にて多層積層し、約20mmのギャップ間距離に設定された熱風エアー処理機にて処理し、プロピレン系重合体の短繊維とポリエチレンテレフタレート系樹脂の短繊維とを含む約20mm厚のシート状不織布成形体(各表中では「PET系3」と称す。)を得た以外は、実施例1と同様にして層Dを得た。
得られた層A~層Dにより、実施例1と同様にして吸音材を得た。
【0156】
[実施例13]
各層における層構成、目付、通気度、厚み等の物性を表に示す仕様とした以外は、実施例1と同様にして層A、層C、及び層Dを得た。続いて、厚さ以外はPET系2と同様のシート状不織布成形体(各表中では「PET系4」と称す。)を層Bとし、実施例1と同様にして吸音材を得た。
【0157】
[実施例14~実施例16]
各層における層構成、目付、通気度、厚み等の物性を表に示す仕様とした以外は、実施例1と同様にして吸音材を得た。
【0158】
[実施例17]
実施例3における層Aを作製後に200mm角のサンプルを採取した。このサンプルについて、層Aの35μmスパンボンド層側から導電性物質を含む溶液であるPEDOT-PSS溶液(溶媒は水、エタノール、及びプロピルアルコールの混合溶媒;混合溶媒/PEDOT-PSS=100質量部/3質量部(うちバインダー樹脂成分2質量部))を塗布したのち、25℃室内に24時間放置して乾燥させ、導電性不織布とした。乾燥後の目付-塗布前の目付を10サンプルについて測定したところ、2g/mであった。この層Aの電磁波シールド性(近傍界測定装置)をAnritsu製 MS46122B(VNAベクトルネットワークアナライザ)を用いて測定した。サンプルサイズはMD方向100mm、CD方向50mmとし、10回の測定の平均値を得た。その結果、6GHzの減衰率(Rtp値)が19.7となった。塗布前の層Aの6GHzの減衰率(Rtp値)は0.0であった。得られたこの層Aを用い、層構成、層A全体の目付、通気度、厚み等の物性を表に示す仕様とした以外は、実施例3と同様にして吸音材を得た。
【0159】
[比較例1、比較例6]
層A及び層Cとして、国際公開公報第2018-182001号に記載の実施例1の第一層の製造条件から、加熱エアー温度、風量及び紡糸ノズルから捕集ベルトまでの距離を調整して製造したプロピレン系重合体からなるメルトブローン不織布(以下、前記層の構成を、「PP-MB」と称すことがある。)を用いる仕様とした以外は、実施例1と同様の手法により吸音材を得た。
【0160】
[比較例2~比較例3]
層A及び層Cの層構成、目付、通気度、厚み等の物性を表に示す仕様とした以外は、実施例1と同様の手法により吸音材を得た。
【0161】
[比較例4]
各層の層構成、目付、通気度、厚み等の物性を表に示す仕様とした以外は、実施例1と同様の手法により吸音材を得た。
層Cを形成せず、層A、層B及び層Dをこの順で積層し、実施例1と同様に超音波シーラーで融着し吸音材を得た。
【0162】
[比較例5]
層Aを、目付構成、スパンボンド不織布の平均繊維径、層A全体の通気度、及び厚みを表の通り変更した以外は、実施例1と同様の手法で得た。
層Bを、3M社製、シンサレート(登録商標)TC3403(ポリエステル繊維とポリプロピレン繊維との混繊、表中では「PP-MB/PET」と称す。)に変更した以外は、実施例1と同様の手法で得た。
層C及び層Dを形成せず、層A、及び層Bをこの順で積層し、実施例1と同様に超音波シーラーで融着し吸音材を得た。
【0163】
[比較例7]
層B及び層Dを、材質を発泡成形されたウレタン製シート(イノアック製、品名:ECS10、密度:22kg/m、表中では「発泡ウレタン」と称す。)とし、各層の層構成、目付、通気度、厚み等の物性を表に示す仕様とした以外は、比較例1と同様の手法により吸音材を得た。
【0164】
[比較例8]
層A及び層Cを実施例9と同様の仕様とした。
プロピレン系重合体の短繊維(宇部エクシモ株式会社製、商品名:UCファイバー、平均繊維径21μm、平均繊維長51mm)60質量部と、バインダー繊維であるポリエチレンテレフタレート系樹脂の短繊維(ユニチカ株式会社製、商品名:メルティ4080、平均繊維径14μm、平均繊維長51mm)40質量部とを混合し、開繊機、カード機にてウェブを形成したのち、クロスレイヤー機にて多層積層し、約50mmのギャップ間距離に設定された熱風エアー処理機にて処理し、プロピレン系重合体の短繊維とポリエチレンテレフタレート系樹脂の短繊維とを含む約50mm厚のシート状不織布成形体(表中では「PP-PET系」と称す。)からなる層Bを得た。
次に、層Bを250mm(縦)×250mm(横)×50mm(厚み)にカットした。次に、カットした前記層Bの表裏両面に、前記層Aと層Cをスパンボンド不織布4a及び4cが最表面になるようにして配置し、前記層Bの周囲の該表皮材の周縁部を、超音波シール機(精電舎電子工業株式会社製、商品名:J11430SA)にて出力2.0V、圧力0.3MPa、速度5m/分の条件で融着して0.3mm幅の連続したシール部を形成し、前記層Bが前記層Aと層Cに内包された吸音材を得た。
前記シール部の外周の余った部分は裁断して削除した。
その後、層Dを形成せず、層A、層B、及び層Cをこの順で積層し、実施例1と同様に超音波シーラーで融着し吸音材を得た。
【0165】
各例の吸音材について、先述の測定方法により測定した各物性の値を各表にまとめる。
表中、SBとはスパンボンド不織布の略称であり、MBとはメルトブローン不織布の略称である。
表中、通気度の単位ccsは、cc/cm/secの略記である。
表中、層A及び層Cにおける項目[SB平均繊維径]では、音が入射する入射面側から層厚方向に積層された複数のスパンボンド不織布それぞれが含有する繊維の平均繊維径が異なる場合、その複数のスパンボンド不織布が含有する繊維の平均繊維径それぞれの値を、左側からこの順に記載している。
【0166】
表中、層A及び層Cにおける項目[目付構成]とは、積層された不織布ごとの目付の値を示す。具体的に例えば実施例1では、層Aの層構成が、音が入射する入射面側から層厚方向に、第3のスパンボンド不織布、第1のスパンボンド不織布、メルトブローン不織布及び第2のスパンボンド不織布の順で積層されており(PP-SSMS構造)、これら4種の不織布それぞれの目付の値が、順に100(g/m)、10(g/m)、5(g/m)及び10(g/m)であることを意味している。なお、実施例17では、積層された不織布ごとの目付の値に加えて、導電性物質の目付(2g/m)を左端に添えて併記している。
表中、層A及び層Cにおける項目[目付]とは、層A及び層Cそれぞれの層全体について測定した値である。
【0167】
[吸音性能の評価]
・吸音率の測定
各例の吸音材について、以下のようにして垂直入射吸音率を測定した。結果を「吸音率」として各表に示す。
層Dが背後空気層でない各例の吸音材については、吸音材の任意の部分から29mmφの円形の試験片を採取した。そして、内径29mmの音響管を用いて、ASTM E 1050に準拠し、垂直入射吸音率測定装置(ブリュエル&ケアー社製、TYPE4206)により、周波数1000Hz~6300Hzの平面音波が試験片に垂直に入射するときの垂直入射吸音率を測定した。
層Dが背後空気層である各例の吸音材については、吸音材が設けられている音響管を用いて、ASTM E 1050に準拠し、垂直入射吸音率測定装置(ブリュエル&ケアー社製、TYPE4206)により、周波数1000Hz~6300Hzの平面音波が試験片に垂直に入射するときの垂直入射吸音率を測定した。
得られた1000Hz~6300Hzの吸音率カーブから、1000Hz、1250Hz、1600Hz、2000Hz、2500Hz、3150Hz、4000Hz、5000Hz及び6300Hzそれぞれの垂直入射吸音率(以下単に「吸音率」とも称す。)を求めた。
【0168】
・吸音率のばらつきの評価
下記式1~2により平均吸音率と吸音率の標準偏差を算出した。そして、吸音率のばらつきの指標1として、吸音率の標準偏差/平均吸音率×100の値を算出した。この値が小さいほど、吸音率のばらつきが小さいことを意味する。
また、吸音率のばらつきの指標2として、平均吸音率を、層A~Dの不織布の総目付(g/m)で除して100をかけた値を算出した。この値が小さいほど、吸音率のばらつきが小さいことを意味する。
各結果を、それぞれ「平均吸音率」、「吸音率の標準偏差」及び「吸音率の標準偏差/平均吸音率×100」及び「平均吸音率/目付×100」として各表に示す。
【0169】
〔式1〕平均吸音率=(1000Hzの吸音率+1250Hzの吸音率+1600Hzの吸音率+2000Hzの吸音率+2500Hzの吸音率+3150Hzの吸音率+4000Hzの吸音率+5000Hzの吸音率+6300Hzの吸音率))/9
【0170】
〔式2〕吸音率の標準偏差=(((1000Hzの吸音率-平均吸音率)+(1250Hzの吸音率-平均吸音率)+(1600Hzの吸音率-平均吸音率)+(2000Hzの吸音率-平均吸音率)+(2500Hzの吸音率-平均吸音率)+(3150Hzの吸音率-平均吸音率)+(4000Hzの吸音率-平均吸音率)+(5000Hzの吸音率-平均吸音率)+(6300Hzの吸音率-平均吸音率))/9)0.5
【0171】
【表1】
【0172】
【表2】
【0173】
【表3】
【0174】
【表4】
【0175】
【表5】
【0176】
【表6】
【0177】
【表7】
【0178】
【表8】
【0179】
【表9】
【0180】
【表10】
【0181】
各表に示すように、本開示に係る実施例の吸音材は、本開示に係る比較例の吸音材に比べて、高周波数領域である1000Hz以降の広い周波数領域にわたって優れた吸音性を示し、かつ、前記周波数領域における吸音率のばらつきが低減された。また、本開示に係る実施例の吸音材は、本開示に係る比較例の吸音材に比べて、耐摩耗性にも優れることがわかった。
【0182】
2022年3月31日に出願された日本国特許出願2022-061014号の開示、及び、2023年1月19日に出願された日本国特許出願2023-006893号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書に参照により取り込まれる。
図1