(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-19
(45)【発行日】2025-09-30
(54)【発明の名称】処理装置、処理プログラム及び処理方法
(51)【国際特許分類】
G16H 15/00 20180101AFI20250922BHJP
G16H 10/60 20180101ALI20250922BHJP
【FI】
G16H15/00
G16H10/60
(21)【出願番号】P 2025108558
(22)【出願日】2025-06-26
(62)【分割の表示】P 2024164418の分割
【原出願日】2024-09-20
【審査請求日】2025-06-26
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1) 公開1 掲載日2024年1月30日における、URL:https://fcuro.com/products/cartaiのウェブサイト等にて、岡田直己、井上周祐及び本多峻が発明した処理装置、処理プログラム及び処理方法により実現されるシステムについて公開した。■ (2)公開2 株式会社fcuro(公開者)が、公開日2024年1月11日における、開催場所:Kawasaki-NEDO INNOVATION CENTER等にて、岡田直己、井上周祐及び本多峻が発明した処理装置、処理プログラム及び処理方法により実現されるシステムについて公開した。■ (3) 公開3 株式会社fcuro(公開者)が、公開日2023年10月10日における、公開場所:医療法人徳洲会 名瀬徳洲会病院等にて、岡田直己、井上周祐及び本多峻が発明した処理装置、処理プログラム及び処理方法により実現されるシステムについて公開した。■ (4) 公開4 株式会社fcuro(公開者)が、販売日2023年12月12日における、販売場所:医療法人徳洲会 神戸徳洲会病院等にて、岡田直己、井上周祐及び本多峻が発明した処理装置、処理プログラム及び処理方法により実現されるシステムについて公開した。■
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521177500
【氏名又は名称】株式会社fcuro
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100216839
【氏名又は名称】大石 敏幸
(72)【発明者】
【氏名】岡田 直己
(72)【発明者】
【氏名】井上 周祐
(72)【発明者】
【氏名】本多 峻
【審査官】甲斐 哲雄
(56)【参考文献】
【文献】特許第7385320(JP,B1)
【文献】中国特許出願公開第116312930(CN,A)
【文献】特開2017-016188(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報提供装置からカルテ情報を取得する手段と、
取得された前記カルテ情報から医用情報を抽出する手段と、
抽出された前記医用情報を正規化する手段と、
正規化された前記医用情報に基づく入力情報を学習済みモデルに入力することで医用文書を生成する手段と、
を有する処理装置。
【請求項2】
前記医用文書には、退院サマリ、看護サマリ、紹介状、及び症状詳記の少なくともいずれかが含まれる、請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記医用情報を抽出する手段は、取得された前記カルテ情報から疾患の名称に基づいて前記医用情報を抽出する、請求項1に記載の処理装置。
【請求項4】
前記医用情報を抽出する手段は、取得された前記カルテ情報から生成対象となる前記医用文書の種別に基づいて前記医用情報を抽出する、請求項1に記載の処理装置。
【請求項5】
前記カルテ情報から抽出される前記医用情報には、入退院情報と検査データとの少なくともいずれかが含まれる、
請求項1に記載の処理装置。
【請求項6】
生成された前記医用文書を、医療従事者が使用可能な端末装置へ出力する手段を有する、請求項1に記載の処理装置。
【請求項7】
抽出された前記医用情報を含む第1画面と生成された前記医用文書を含む第2画面とを、使用者が同時に視認可能な態様で出力する手段を有する、請求項1に記載の処理装置。
【請求項8】
前記第1画面に表示された第1医用情報に対する使用者からの編集の指示入力を受け付ける手段を有し、
前記指示入力が受け付けられた場合、前記第2画面には、前記指示入力に応じて編集された医用情報である第2医用情報に基づいて生成された医用文書が表示される、
請求項7に記載の処理装置。
【請求項9】
前記処理装置はオンプレミス型サーバ装置である、請求項1に記載の処理装置。
【請求項10】
コンピュータを、請求項1~9のいずれか1項に記載の処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項11】
コンピュータが、
情報提供装置からカルテ情報を取得し、
取得された前記カルテ情報から医用情報を抽出し、
抽出された前記医用情報を正規化し、
正規化された前記医用情報に基づく入力情報を学習済みモデルに入力することで医用文書を生成する、
処理を実行する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医用文書の生成が可能な処理装置、処理プログラム及び処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、医師の業務効率を向上させるためのシステムが考えられている。特許文献1には、予防接種に対応付けて予め登録された複数の項目に関する情報を入力支援画面に表示する第1処理部と、前記入力支援画面に対するユーザー操作に基づいて、当該入力支援画面に表示される前記予防接種の一又は複数の前記項目に関する情報を電子カルテに記録する第2処理部とを備える、電子カルテシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、上記のような技術を踏まえ、本開示では、より効率的に医用文書を生成することが可能な処理装置、処理プログラム及び処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、「少なくとも一つのプロセッサを具備する処理装置であって、前記少なくとも一つのプロセッサは、複数の種別に基づいて区分された医用文書の中から作成対象となる種別を決定し、一又は複数の対象者に関連付けられた複数の医用情報の中から、決定された前記種別に基づいて取得された医用情報である第1医用情報を含む第1画面を出力し、前記第1画面に出力された医用情報に対して使用者からの編集の指示入力を受け付けし、少なくとも決定された前記種別と前記指示入力に基づいて編集された医用情報である第2医用情報とに基づいて生成された医用文書を含む第2画面を出力するための処理を実行するように構成された処理装置」が提供される。
【0006】
本開示の一態様によれば、「少なくとも一つのプロセッサを具備するコンピュータにおいて、前記少なくとも一つのプロセッサを、複数の種別に基づいて区分された医用文書の中から作成対象となる種別を決定し、一又は複数の対象者に関連付けられた複数の医用情報の中から、決定された前記種別に基づいて取得された医用情報である第1医用情報を含む第1画面を出力し、前記第1画面に出力された医用情報に対して使用者からの編集の指示入力を受け付けし、少なくとも決定された前記種別と前記指示入力に基づいて編集された医用情報である第2医用情報とに基づいて生成された医用文書を含む第2画面を出力するように機能させる処理プログラム」が提供される。
【0007】
本開示の一態様によれば、「少なくとも一つのプロセッサを具備するコンピュータにおいて前記少なくとも一つのプロセッサにより実行される処理方法であって、複数の種別に基づいて区分された医用文書の中から作成対象となる種別を決定する段階と、一又は複数の対象者に関連付けられた複数の医用情報の中から、決定された前記種別に基づいて取得された医用情報である第1医用情報を含む第1画面を出力する段階と、前記第1画面に出力された医用情報に対して使用者からの編集の指示入力を受け付けする段階と、少なくとも決定された前記種別と前記指示入力に基づいて編集された医用情報である第2医用情報とに基づいて生成された医用文書を含む第2画面を出力する段階とを含む処理方法」が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、より効率的に医用文書を生成することができる処理装置、処理プログラム及び処理方法を提供することができる。
【0009】
なお、上記効果は説明の便宜のための例示的なものであるにすぎず、限定的なものではない。上記効果に加えて、又は上記効果に代えて、本開示中に記載されたいかなる効果や当業者であれば明らかな効果を奏することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】
図1Aは、本開示の一実施形態に係る処理システム1によって実行される処理の概要を示す図である。
【
図1B】
図1Bは、本開示の一実施形態に係る処理システム1の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本開示の一実施形態に係る処理装置100の構成を示すブロック図である。
【
図3A】
図3Aは、本開示の一実施形態に係る情報提供装置200に記憶される対象者管理テーブルを概念的に示す図である。
【
図3B】
図3Bは、本開示の一実施形態に係る処理装置100に記憶されるテンプレート管理テーブルを概念的に示す図である。
【
図3C】
図3Cは、本開示の一実施形態に係る処理装置100に記憶される使用者属性管理テーブルの例を示す図である。
【
図4A】
図4Aは、本開示の一実施形態に係る処理装置100において実行される処理フローを示す図である。
【
図4B】
図4Bは、本開示の一実施形態に係る処理装置100において実行される処理フローを示す図である。
【
図4C】
図4Cは、本開示の一実施形態に係る処理装置100において実行される処理フローを示す図である。
【
図5】
図5は、本開示の一実施形態に係る医用情報の例を示す図である。
【
図6】
図6は、本開示の一実施形態に係る処理装置100において処理されるテンプレート情報の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本開示の一実施形態に係る処理装置100において処理されるクエリ情報の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、本開示の一実施形態に係る処理装置100において出力される医用文書の一例を示す図である。
【
図9A】
図9Aは、本開示の一実施形態に係る処理装置100から出力される画面の例を示す図である。
【
図9B】
図9Bは、本開示の一実施形態に係る処理装置100から出力される画面の例を示す図である。
【
図9C】
図9Cは、本開示の一実施形態に係る処理装置100から出力される画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.処理システム1の概要
図1Aは、本開示の一実施形態に係る処理システム1によって実行される処理の概要を示す図である。
図1Aによれば、本開示に係る処理システム1は、医用装置、問診装置、電子カルテ装置、PACS(Picture Archiving and Communication Systems:画像保存通信システム)、医用従事者が使用可能な医療従事者端末装置、対象者が使用可能な対象者端末装置又はこれらに入力された情報が記録されたデータベース装置などの情報提供装置から取得した医用情報に基づいて、医用文書を生成するために用いられる。
【0012】
処理システム1は、情報提供装置として機能する医用装置、問診装置、電子カルテ装置、PACS、医療従事者端末装置、対象者端末装置及びデータベース装置の少なくともいずれかから、対象者の属性情報、来院時情報、問診情報、所見情報、診断情報又は退院時情報などの様々な情報を取得する。そして、取得した情報の中から所望の医用文書を生成するのに必要な医用情報(第1医用情報)を抽出する。この抽出に係る処理は、一例としては第1学習済みモデルを利用して行われる。医用情報の抽出が行われると、抽出された医用情報を用いて医用文書の生成を行う。この生成に係る処理は、一例としては第2学習済みモデルを利用して行われる。
【0013】
すなわち、処理システム1は、医用文書の生成に必要とされる医用情報の抽出に係る処理や、抽出された医用情報を用いた医用文書の生成に係る処理をすることが可能である。例えば、医療従事者などは医用文書の生成にあたって様々な情報の入力や文章の作成などが必要となるところ、処理システム1を利用することによってより効率的に医用文書を生成することが可能となる。
【0014】
本開示に係る処理システム1は、典型的には医療が関連する機関において利用される。このような施設としては、医療機関、福祉施設の運営機関、介護施設の運営機関、各種学校の運営機関、又は公共施設の運営機関など、好ましくは医療機関がその一例として挙げられる。このような医療機関においては、他の医療機関への紹介状や、学校や職場等への登校又は通勤を許可する許可書、国や地方公共団体などの所定の期間に対して特定の疾患への罹患を報告する報告書又は機関内部において診療状況の経過を報告する報告書などの様々な医用文書の作成が求められる。そのため、処理システム1を用いることにより、このような医用文書を効率よく出力することが可能となる。
【0015】
なお、本開示においては、「医用文書」は、医用情報を利用して生成される文書であればいずれであってもよい。したがって、医用文書は、例えば医療機関でのみ生成されたり、医療機関でのみ利用される文書に限られない。また、医用文書は、医療従事者による指示入力によって作成されるもののみに限らず、対象者や対象者の親族など、他の者によって作成されるものであってもよい。このような医用文書には、上記で例示した他の医療機関への紹介状や、学校や職場等への登校又は通勤を許可する許可書、国や地方公共団体などの所定の期間に対して特定の疾患への罹患を報告する報告書又は機関内部において診療状況の経過を報告する報告書などのほかに、入院中の経過を記録する退院サマリ、医療機関における対象者の状態や看護内容を記録する看護サマリ、診療報酬明細書(いわゆるレセプト)、診療報酬に関連する症状詳記、医療機関において対象者になされた手術記録、生命保険の運営機関に提出する意見書、主治医意見書、訪問看護指示書、来院報告、特別指示書、死亡診断書、又は死体検案書などの種々の文書が、その一例として挙げられる。
【0016】
また、本開示においては、「医用情報」は、医療が関連する機関において取得されるか、医療が関連する機関において利用される情報であればいずれであってもよい。したがって、例えば医療機関でのみ取得され、医療機関でのみ利用される情報のみに限られない。このような医用情報には、対象者の属性を示す属性情報、対象者又は医療従事者等によって入力される問診情報、医療従事者等によって入力される所見情報、医療従事者等による診断の結果を示す診断情報、又は医療従事者等によって処置された内容を示す処置情報が一例として挙げられる。より具体的には、医用情報の例としては、
・対象者名、生年月日、年齢、性別、家族構成、職業、移動手段、住所、及び連絡先等の対象者の属性を示す情報、
・カルテに記載された各種情報
・CT装置、MRI装置、レントゲン装置、心電計装置、超音波診断装置、内視鏡装置、血圧計装置若しくはアンギオグラフィー等の様々な医用装置から取得される情報、
・医療機関における診療の履歴を示す履歴情報
・主訴、既往歴、アレルギー歴、薬剤歴、疾患の名称/部位/重症度、検査内容と検査所見(上記医用装置を用いた検査、採血、生理検査及びこれらの検査日)、治療内容(手術手技、薬剤投与及びこれらの治療日)、退院時処方、患者状態(患者の自立度)、認知症の度合い、麻痺、四肢の欠損、移動手段、医学的管理の必要性(診療、介護及び看護関連のサービス要否)、退院時の転帰、使用医用装置、リハビリ内容、入院経路(救急搬送か紹介か)、添付資料(検査結果等))、来院日、退院日及び経過等の診断情報
などが挙げられる。
【0017】
また、本開示においては、「対象者」は、当該処理システム1を利用して生成される医用文書の対象となる者であればいずれでもよく、特定の属性を有する者のみに限られない。このような対象者としては、患者、被検者、診断対象者、健常者等、あらゆる者を含む。また、「使用者」は、当該処理システム1のうち処理装置100を使用する者であればいずれでもよく、特定の属性を有する者のみに限られない。このような使用者としては、医療機関の従事者(医師、看護師、検査技師、医療事務者、医療機関の職員や管理者、救急隊員、及び医用装置や医療設備の担当者などの医療従事者)等の上記に例示する機関に所属する者、並びに対象者自身など、あらゆる者を含む。
【0018】
図1Bは、本開示の一実施形態に係る処理システム1の構成を示すブロック図である。
図1Bによれば、処理システム1は、医用情報に基づいて医用文書を出力するための処理装置100と、処理装置100に医用情報を提供するための情報提供装置200とを少なくとも含む。また、当該処理システム1は、測定データを取得するための医用装置、医用文書の生成に用いられる各種学習済みモデルの生成をするためのモデル生成装置、医用文書の出力先となる出力装置(例えば、ディスプレイ装置、プリンタ装置又は他の機関の端末装置など)、又は使用者による指示入力を受け付ける入力装置などを、必要に応じて含んでもよい。処理システム1は、処理装置100及び情報提供装置200を含む各種装置が、無線ネットワーク及び有線ネットワークの少なくともいずれかによって互いに通信可能に接続される。
【0019】
2.処理装置100の構成
図2は、本開示の一実施形態に係る処理装置100の構成を示すブロック図である。
図2によると、処理装置100は、プロセッサ111、メモリ112、入力インターフェイス113、出力インターフェイス114及び通信インターフェイス115を含む。これらの各構成要素は、互いに、制御ライン及びデータラインを介して互いに電気的に接続される。なお、処理装置100は、
図2に示す構成要素のすべてを備える必要はなく、一部を省略して構成することも可能であるし、他の構成要素を加えることも可能である。例えば、処理装置100は、各構成要素を駆動するためのバッテリ等を含むことが可能である。
【0020】
このような処理装置100としては、ラップトップパソコン、デスクトップパソコン、スマートフォン、タブレット端末、オンプレミス型サーバ装置、及びクラウド型サーバ装置など、本開示に係る処理を実行可能な装置であればいずれでも好適に適用することが可能である。また、処理装置100は、少なくとも一部の処理をクラウド上の一又は複数のサーバ装置や特定の機関内で運用される一又は複数のサーバ装置で行うことも可能である。したがって、処理装置100には、ラップトップパソコン、デスクトップパソコン、スマートフォン、タブレット端末、オンプレミス型サーバ装置及びクラウド型サーバ装置の組み合わせを含む。
【0021】
処理装置100において、プロセッサ111は、メモリ112に記憶されたプログラムに基づいて処理装置100又は処理システム1の他の構成要素の制御を行う制御部として機能する。具体的には、プロセッサ111は、「複数の種別に基づいて区分された医用文書の中から作成対象となる種別を決定する処理」、「一又は複数の対象者に関連付けられた複数の医用情報の中から、決定された種別に基づいて取得された医用情報である第1医用情報を含む第1画面を出力する処理」、「第1画面に出力された医用情報に対して使用者からの編集の指示入力を受け付けする処理」、及び「少なくとも決定された種別と指示入力に基づいて編集された医用情報である第2医用情報とに基づいて生成された医用文書を含む第2画面を出力する処理」などを、メモリ112に記憶されたプログラムに基づいて実行する。プロセッサ111は、主に一又は複数のCPUにより構成されるが、適宜GPUやFPGAなどを組み合わせてもよい。
【0022】
メモリ112は、RAM、ROM、不揮発性メモリ、HDD、SSD等から構成され、記憶部として機能する。メモリ112は、本実施形態に係る処理システム1の様々な制御のための指示命令をプログラムとして記憶する。具体的には、メモリ112は、「複数の種別に基づいて区分された医用文書の中から作成対象となる種別を決定する処理」、「一又は複数の対象者に関連付けられた複数の医用情報の中から、決定された種別に基づいて取得された医用情報である第1医用情報を含む第1画面を出力する処理」、「第1画面に出力された医用情報に対して使用者からの編集の指示入力を受け付けする処理」、及び「少なくとも決定された種別と指示入力に基づいて編集された医用情報である第2医用情報とに基づいて生成された医用文書を含む第2画面を出力する処理」などをプロセッサ111が実行するためのプログラムを記憶する。また、メモリ112は、当該プログラムのほかに、対象者管理テーブル、テンプレート管理テーブル及び使用者属性管理テーブル(
図3A~
図3C)に記憶される各種情報を記憶してもよい。なお、これらの情報は常に処理装置100の内部に搭載されたメモリ112に記憶されている必要はなく、外部に無線又は有線ネットワークを介して接続されたデータベース装置内に記憶されていてもよい。したがって、このような場合は、データベース装置もメモリ112に含んでもよい。
【0023】
入力インターフェイス113は、処理装置100に対する使用者の指示入力を受け付ける入力部として機能する。入力インターフェイス113の一例としては、キーボード、マウス等の各種ハードキーや、ディスプレイ装置のディスプレイに重畳して設けられ、ディスプレイの表示座標系に対応する入力座標系を有するタッチパネルが挙げられる。タッチパネルの場合、ディスプレイに入力したいコマンドに対応したアイコンが表示され、当該タッチパネルを介して使用者が指示入力を行うことで、各アイコンに対する選択や指定が行われる。タッチパネルによる使用者の指示入力の検出方式は、静電容量式、抵抗膜式などいかなる方式であってもよい。入力インターフェイス113は、常に処理装置100に物理的に備えられる必要はなく、有線や無線ネットワークを介して必要に応じて接続されてもよい。
【0024】
出力インターフェイス114は、処理装置100から生成された医用文書を出力するための出力部として機能する。出力インターフェイス114の一例としては、液晶パネル、有機ELディスプレイ又はプラズマディスプレイ等から構成されるディスプレイ装置等の外部装置又は外部機器と接続するためのインターフェイスが挙げられる。しかし、処理装置100そのものがディスプレイを有する場合には、当該ディスプレイが出力インターフェイスとして機能することが可能である。また、ディスプレイ装置などに対して通信インターフェイス115を介して接続されている場合には、当該通信インターフェイス115が出力インターフェイス114として機能することも可能である。
【0025】
通信インターフェイス115は、有線又は無線で構成された通信ネットワークを介して情報提供装置200との間で上記に例示する医用情報等を送受信するための通信部として機能する。通信インターフェイス115の一例としては、USB、SCSIなどの有線通信用コネクタや、LTE、無線LAN、Bluetooth(登録商標)、赤外線などの無線通信用送受信デバイスや、プリント実装基板やフレキシブル実装基板用の各種接続端子など、様々なものが挙げられる。
【0026】
情報提供装置200については特に具体的な構成は説明しないが、少なくとも、プロセッサ、メモリ及び通信インターフェイスを有し、必要に応じて、入力インターフェイス及び出力インターフェイス等を含む。このような情報提供装置200としては、CT装置、MRI装置、レントゲン装置、心電計装置、超音波診断装置、内視鏡装置、血圧計装置若しくはアンギオグラフィー等の様々な医用装置、これら医用装置を制御するための制御装置、問診装置、電子カルテ装置、PACS、医療従事者端末装置、対象者端末装置、これらに入力された情報が記録されたデータベース装置又はこれらの組み合わせが例として挙げられる。当該情報提供装置200は、例えば処理装置100から受信した要求に応じて必要な情報を読み出し、処理装置100に提供する。
【0027】
3.各管理テーブルに記憶される情報
図3Aは、本開示の一実施形態に係る情報提供装置200に記憶される対象者管理テーブルを概念的に示す図である。対象者管理テーブルに記憶される情報は、処理装置100のプロセッサ111の処理の進行に応じて情報提供装置200から読み出されるとともに、情報提供装置200に更新して記憶される。
【0028】
図3Aによれば、対象者管理テーブルには、対象者ID情報に対応付けて、属性情報、問診情報、所見情報及び診断情報等が記憶される。「対象者ID情報」は、各対象者に固有の情報で各対象者を特定するための情報である。対象者ID情報は、使用者又は対象者自身によって新たな対象者が登録されるごとに生成される。「属性情報」は、各対象者の属性を示す情報である。属性情報は、例えば対象者や医療従事者等によって入力される。このような属性情報には、一例として、対象者名、生年月日、年齢、性別、家族構成、職業、移動手段、住所、及び連絡先などが挙げられる。
【0029】
「問診情報」は、例えば対象者や医療従事者等によって問診装置を介して入力される情報である。このような問診情報としては、一例として、自覚症状、既往歴、現在の内服薬、家族の既往歴、アレルギーの有無及び渡航先、体温、基礎疾患の有無、身体所見の有無、ワクチンの接種履歴、及びワクチンの接種時期などの情報が挙げられる。これらの問診情報は、一般的には、対象者が自ら申告するか、医療従事者が対象者から聞き取ることによって入力される。「所見情報」は、医師等の医療従事者によって入力される情報である。このような所見情報には、一例として、指診、問診、触診などの診察を介して得られる正常とは異なる様子を示す情報が挙げられる。
【0030】
「診断情報」は、医療機関における診断を補助する情報、診断の結果を示す情報、診断の結果に基づいて処置された内容を示す情報、及び診断の履歴を示す情報の少なくともいずれかを含む情報である。このような診断情報としては、一例として、CT装置、MRI装置、レントゲン装置、心電計装置、超音波診断装置、内視鏡装置、血圧計装置又はアンギオグラフィー等の様々な医用装置から取得される情報、主訴、疾患の名称(診断名)、部位及びその重症度、検査内容と検査所見(上記医用装置を用いた検査、採血、生理検査及びこれらの検査日)、治療内容(手術形式及び手術日、薬剤投与及び投与期間)、退院時処方、患者状態(患者の自立度)、認知症の度合い、麻痺、四肢の欠損、医学的管理の必要性(診療、介護及び看護関連のサービス要否)、退院時の転帰、使用医用装置、リハビリ内容、入院経路(救急搬送か紹介か)、来院日、退院日、並びに経過情報等の情報が挙げられる。
【0031】
なお、本開示においては、上記のとおり、医用情報は、属性情報、問診情報、所見情報及び診断情報のいずれをも含んでよい。
【0032】
図3Bは、本開示の一実施形態に係る処理装置100に記憶されるテンプレート管理テーブルの例を示す図である。テンプレート管理テーブルに記憶される情報は、処理装置100のプロセッサ111の処理の進行に応じてメモリ112から読み出されるとともに、任意のタイミングで更新して記憶される。
【0033】
図3Bによれば、テンプレート管理テーブルには、種別情報ごとに、テンプレートID情報、パーツID情報、配置情報及び医用情報等が記憶される。「種別情報」は、医用文書の種別を特定するための情報である。このような種別情報には、一例として、他の医療機関への紹介状や、学校や職場等への登校又は通勤を許可する許可書、国や地方公共団体などの所定の期間に対して特定の疾患への罹患を報告する報告書、機関内部において診療状況の経過を報告する報告書、入院中の経過を記録する退院サマリ、医療機関における対象者の状態や看護内容を記録する看護サマリ、診療報酬明細書(いわゆるレセプト)、診療報酬に関連する症状詳記、医療機関において対象者になされた手術記録、生命保険の運営機関に提出する意見書、主治医意見書、訪問看護指示書、来院報告、特別指示書、死亡診断書、又は死体検案書等が挙げられる。
【0034】
「テンプレートID情報」は、各テンプレート情報に固有の情報で、各テンプレート情報を特定するための情報である。テンプレートID情報は、新たなテンプレート情報が作成されるごとに生成される。「テンプレート情報」は、医用文書の生成において雛形として用いられる情報である。このようなテンプレート情報には、一例として、医用文書において対象者ごとに固有の情報が記載される箇所を除いた部分、すなわち複数の対象者に共通の部分の文書データが挙げられる。このような文書データのデータ形式は処理装置100や医療従事者が利用する端末装置等において処理可能な形式であればいずれでもよい。
【0035】
「パーツID情報」は、各パーツ情報に固有の情報で、各パーツ情報を特定するための情報である。ここで、「パーツ情報」は、医用文書の雛形となるテンプレート情報を構成する部品の情報である。例えば、紹介状を例にすると、紹介状は、前文及び末文パーツ、項目名パーツ、診断名パーツ、紹介目的パーツ、既往歴パーツ、経過パーツ及び退院時処方パーツなどの複数のパーツで構成される。すなわち、パーツ情報は、一例としては、これらパーツを構成する文書データが挙げられる。また、経過のように診断情報に応じて内容が変化する部分は、検査パーツ、手術パーツ、薬剤加療パーツ等のさらに細分化された複数のパーツの組み合わせとなる場合もある。パーツID情報には、医用文書を構成するパーツ情報を特定するための一又は複数の情報が記憶される。例えば、テンプレートID情報「K1」に対応付けて、パーツID情報として「L1,L2,L3・・・」が記憶されている場合、テンプレートID情報「K1」による特定されるテンプレート情報はL1~L3などにより特定されるパーツ情報によって構成されることを意味する。なお、このような文書データのデータ形式は処理装置100や医療従事者が利用する端末装置等において処理可能な形式であればいずれでもよい。
【0036】
「配置情報」は、パーツID情報により特定されるパーツ情報の医用文書において配置される場所を示す情報である。例えば、各パーツID情報により特定されるパーツ情報が配置される順番や、医用文書内における位置を示す座標等の情報が、配置情報として用いられる。また、この配置情報は、単体で医療文書内に配置される場所を示す情報となる場合に限らず、診断情報と組み合わせることにより医療文書内に配置される場所を示す情報となる場合もある。
【0037】
なお、テンプレート管理テーブルには、医用文書の種別情報ごとに、一又は複数のパーツ情報がパーツID情報に対応付けて記憶されている。これに加えて、さらに、医用情報(例えば、診断名)ごとにさらに細分化して異なるテンプレート情報が記憶されるようにしてもよい。例えば種別情報が「紹介状」である場合に、さらに診断名(医用情報)で細分化し、紹介状であっても「疾患A」と「疾患B」で異なるテンプレート情報が記憶されてもよい。これにより、より多様なテンプレート情報を運用することが可能となる。
【0038】
「医用情報」は、
図3Aにおいて示す属性情報、問診情報、所見情報及び診断情報のうちの少なくともいずれか一つを含む。すなわち、各種別の医用文書を生成するにあたり、必要となる一又は複数の医用情報を特定する情報が記憶されている。
【0039】
また、テンプレート管理テーブルに記憶される情報は、処理装置100のメモリ112に記憶されてもよいが、他の処理装置やデータベース装置など、他の装置に記憶されてもよい。
【0040】
図3Cは、本開示の一実施形態に係る処理装置100に記憶される使用者属性管理テーブルの例を示す図である。使用者属性管理テーブルに記憶される情報は、処理装置100のプロセッサ111の処理の進行に応じてメモリ112から読み出されるとともに、任意のタイミングで更新して記憶される。
【0041】
図3Cによれば、使用者属性管理テーブルには、使用者属性情報と種別情報とが互いに対応付けて記憶される。「使用者属性情報」は、使用者の属性を示す情報である。このような使用者属性情報としては、医療従事者、対象者及びその他などが例として挙げられる。また、上記の使用者属性情報に対してさらに細分化して区別することも可能である。その場合、使用者属性としては、医師、看護師、検査技師、医療事務者、医療機関の他の職員や管理者、救急隊員、医用装置や医療設備の担当者、対象者及びその他などが例として挙げられる。
【0042】
「種別情報」は、
図3Bに示す種別情報と同様に、医用文書の種別を特定する情報である。
図3Cにおいては、種別情報として、一又は複数の種別情報を含むことが可能である。すなわち、各属性情報に対応して一又は複数の種別情報が記憶されてもよい。例えば、「医師」の使用者属性情報に対応付けて種別情報として「J1、J2,J3」の種別情報が記憶されている場合には、医師はJ1、J2及びJ3の各種別の医用文書を選択することが可能であることを示す。
【0043】
なお、使用者属性管理テーブルに記憶される情報は、処理装置100のメモリ112に記憶されてもよいが、他の処理装置やデータベース装置など、他の装置に記憶されてもよい。
【0044】
また、
図3Cでは使用者属性情報と種別情報とを対応付けて管理する使用者管理テーブルを例に挙げて説明したが、使用者に応じて医用文書の種別が管理可能であればいずれでもよい。例えば、使用者の権限情報と種別情報とを対応付けて管理したり、各使用者と種別情報とを直接対応付けて管理することも可能である。
【0045】
また、
図3Cにおいては特に図示はしていないものの、使用者属性情報に対応付けられた種別情報に対して、医用文書の形式に基づいてさらに細分化して区分するようにしてもよい。例えば、種別情報J1に対して一又は複数の形式ID情報を対応付け、種別情報J2に対して一又は複数の形式ID情報を対応付けた種別管理テーブルを用意してもよい。具体的には、種別情報J1により特定される「紹介状」種別に対して、形式として「加療」を示す形式ID情報、「検査」を示す形式ID情報、「リハビリ」を示す形式ID情報、「経過観察」を示す形式ID情報、「検査結果報告」を示す形式ID情報、及び「経過報告」を示す経過ID情報を対応付けて記憶する。
【0046】
この場合、
図3Bのテンプレート管理テーブルは、種別情報ごとに各種情報が対応付けて記憶されているが、形式ID情報ごとに各種情報が対応付けて記憶されることとなる。また、この場合、
図4A及び
図4Bの各種処理において種別情報に基づいた処理がそれぞれ行われるが、形式ID情報に基づいて各種処理がそれぞれ行われることとなる。このように、形式の異なるより多様な医用文書を管理することができる。
【0047】
特に図示はしていないものの、
図3A~
図3Cの各テーブルのほかに、各使用者ID情報などの使用者を特定する情報と使用者の属性情報などが対応付けて記憶された使用者管理テーブルなど、他の情報がメモリ112に記憶されてもよい。
【0048】
4.処理装置100で実行される処理フロー
(1)医用情報を含む第1画面の出力に係る処理フロー
図4Aは、本開示の一実施形態に係る処理装置100において実行される処理フローを示す図である。具体的には、
図4Aは、使用者による医用文書の生成要求を受け付けてから医用文書の生成に用いられる医用情報を出力するまでの一連の処理フローを示す図である。当該処理フローは、主に処理装置100のプロセッサ111がメモリ112に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより行われる。
【0049】
(A)医用文書の生成要求受け付け処理
図4Aによると、プロセッサ111は、使用者による医用文書の生成要求を受け付ける(S111)。当該処理の一例としては、処理装置100の入力インターフェイス113を介して、医用文書の生成対象となる対象者を選択するための指示入力、及び医用文書の生成を実行するための指示入力を使用者から受け付けることにより行われる。すなわち、当該生成要求には、選択された対象者を特定するための対象者ID情報及び医用文書の生成を要求する旨を示す情報が含まれる。また、当該処理の他の例としては、使用者が使用する使用者端末装置の入力インターフェイスを介して、医用文書の生成対象となる対象者を選択するための指示入力、及び医用文書の生成を実行するための指示入力を使用者から受け付けることで生成要求を生成し、通信インターフェイス115を介して使用者端末装置から当該生成要求を受信することによって行われ得る。
【0050】
(B)医用文書の種別選択処理
次に、プロセッサ111は、生成する医用文書の種別の選択を行う(S112)。当該処理の一例としては、プロセッサ111が、出力インターフェイス114を介して出力された画面(例えば、
図9A)にしたがって、入力インターフェイス113を介して使用者属性情報の選択に関する使用者の指示入力を受け付ける。プロセッサ111は、使用者属性管理テーブル(
図3C)を参照して、選択された使用者属性情報に対応付けられた一又は複数の種別情報を特定する。プロセッサ111は、出力インターフェイス114を介して特定された一又は複数の種別情報が含まれる画面を出力するとともに、入力インターフェイス113を介して特定の種別情報の選択に関する使用者の指示入力を受け付ける。これにより、プロセッサ111は、受け付けられた種別情報により特定された種別を、生成する医用文書の種別として選択する。
【0051】
また、当該処理の他の例としては、プロセッサ111は、あらかじめ入力された使用者ID情報に基づいて使用者属性情報を特定する。プロセッサ111は、使用者属性管理テーブル(
図3C)を参照して、特定された使用者属性情報に対応付けられた一又は複数の種別情報を特定する。プロセッサ111は、出力インターフェイス114を介して特定された一又は複数の種別情報が含まれる画面を出力するとともに、入力インターフェイス113を介して特定の種別情報の選択に関する使用者の指示入力を受け付ける。これにより、プロセッサ111は、受け付けられた種別情報により特定された種別を、生成する医用文書の種別として選択する。
【0052】
このように、使用者の属性に応じて適切な種別が使用者に対して提示され、その中から所望の種別の選択が可能であるため、使用者は種別の選択をより効率的に行うことが可能である。なお、種別の選択に係る処理は、使用者属性情報ではなく、使用者の権限情報や使用者を特定する情報に基づいて行われてもよい。
【0053】
(C)対象者の医用情報読み出し処理
次に、プロセッサ111は、対象者の医用情報を読み出す(S113)。当該処理の一例としては、プロセッサ111は、対象者管理テーブルを参照して、S111の対象者ID情報に基づいて対象者の医用情報を読み出す。
【0054】
(D)対象者の医用情報の抽出処理
(D-1)抽出処理の例(その1)
次に、プロセッサ111は、読み出された医用情報の中から医用文書の生成に必要となる医用情報を抽出する(S114)。当該処理の一例としては、プロセッサ111は、テンプレート管理テーブル(
図3B)を参照して、S112において特定された種別情報に基づいて、当該種別情報に対応付けられた医用情報を特定する。そして、プロセッサ111は、S113において読み出された対象者の医用情報のうち、特定された医用情報(すなわち、医用情報の生成に必要となる医用情報)のみを抽出する。例えば、S113において読み出される医用情報には、対象者ID情報に対応付けられた属性情報、問診情報、所見情報及び診断情報(
図3A)の全てが含まれる。これらのうち、種別として選択された紹介状の生成においては、入退院情報、診断情報、診療内容、及び退院時処方のみが必要である。したがって、ここでは、属性情報、問診情報、所見情報及び診断情報の中から、必要な情報のみが抽出されることとなる。また、抽出される医用情報としては、問診情報、所見情報又は診断情報として記憶された情報に基づいて抽出されてもよい。具体的には、問診情報、所見情報又は診断情報として記憶された情報の一つである疾患の名称に基づいて、重要性や優先度がより高い情報が抽出されるようにしてもよい。例えば、疾患の名称として肺炎が記憶されている場合には、炎症反応を確認可能な検査データや画像所見の情報が優先的に抽出されたり、薬剤加療の情報の中でも抗菌薬に関する情報が優先的に抽出されるようにしてもよい(入院期間中に生理食塩水が投与されることもあるが、肺炎の医用情報としての重要性は低い。)。
【0055】
(D-2)抽出処理の例(その2)
ここで、属性情報、問診情報、所見情報及び診断情報の中には、情報の種類とその内容が体系的に管理されている情報もあれば、例えば自由文形式で入力されている情報も存在する。
図5は、本開示の一実施形態に係る医用情報の例を示す図である。具体的には、
図5は、医用情報の一つとして記憶されるカルテ情報10の例を示す図である。
図5によれば、カルテ情報10は、医師によって、「主観的情報」、「客観的情報」、「評価」、及び「計画」の順に診療の結果が体系立てて入力されている。このようなカルテ情報10は、医療従事者端末装置の入力インターフェイス等を介して入力され、対象者管理テーブルにおいて対象者に対応付けて記憶される。
【0056】
カルテ情報10は、「S」(主観的情報)として、「3日前から発熱と悪寒がある。既往御歴は、右肋骨骨折、腰椎圧迫骨折、血圧及び糖尿病のほかに、脂質異常症がある。」と自由文形式で表現された情報を含む。また、カルテ情報10は、「O」(客観的情報)として、「38.5℃ 酸素飽和度97% インフルエンザ迅速診断キットによる判定は陰性 CT検査、及び採血で異常所見あり。」と自由文形式で表現された情報を含む。また、カルテ情報10は、「A」(評価)として、「CT検査及び採血の結果により、肺炎と診断した。」という情報を含む。また、カルテ情報10は、「P」(計画)として、「ABPC/SBTの投与を行い、入院による経過観察を指示した。」という情報を含む。すなわち、カルテ情報10の中には、主訴、既往歴、疾患の名称、検査内容と検査所見及び治療内容等の情報が含まれる。
【0057】
再び、
図4Aに戻り、プロセッサ111は、
図5に例示されたカルテ情報の中から医用文書の生成に必要な医用情報を抽出することも可能である。このような処理は、一例としては、第1学習済みモデルを利用することにより行われる。当該第1学習済みモデルは、プロセッサ111又はモデル生成装置のプロセッサによって、所定のデータセットを用いて機械学習することによって生成された学習済みモデルである。具体的には、第1学習済みモデルは、あらかじめ用意された学習用文字列(例えば、
図5のカルテ情報10と同様のカルテ情報)と、当該学習用文字列に含まれる医用情報に対してラベル付けしたラベル情報(例えば、「発熱」及び「悪寒」に対して「主訴」ラベルを付与。「救急搬送」に対して「入院経路」ラベルを付与。)との組み合わせを用いて、学習器にラベルの付与パターンを機械学習させる。当該機械学習は、一例として、ニューロンを組み合わせたニューラルネットワークに対して、これら情報の組み合わせを与え、ニューラルネットワークからの出力が正解ラベルと同じになるように、各ニューロンのパラメータを調整しながら学習を繰り返すことにより行われる。そして、当該機械学習を通じて第1学習済みモデルが取得される。
【0058】
第1学習済みモデルは、上記に例示したニューラルネットワークに限らず、畳み込みニューラルネットワーク、多層ハーセプトン(MLP)、LSTM(Long Short Term Memory)、GRU(Gated Recurrent Unit)、GNN(Graph Neural Network)、トランスフォーマー(Transformer)等のニューラルネットワークを用いた手法、LightGBM(Light Gradient Boosting Machine)、XGBoost、CatBoost等の勾配ブースティング決定木(GBDT)を用いた手法、リッジ回帰、ロジスティック回帰、サポートベクター回帰(SVR)、ニアレストネイバー法、決定木、回帰木、ランダムフォレスト等の機械学習を用いて生成することも可能である。
【0059】
図4AのS114においては、プロセッサ111は、上記の通り生成された第1学習済みモデルをメモリ112から読み出して実行する。具体的には、プロセッサ111は、第1学習済みモデルに対して、入力情報として
図5に例示された対象者のカルテ情報10を入力し、出力情報として項目ごとの医用情報を取得する(例えば、「主訴」の項目に対して「発熱」及び「悪寒」の医用情報が、「入院経路」の項目に対して「救急搬送」の医用情報が取得される。)。そして、プロセッサ111は、テンプレート管理テーブル(
図3B)を参照して、S112において特定された種別情報に基づいて、当該種別情報に対応
付けられた医用情報を特定する。プロセッサ111は、出力情報として得られた項目ごとの医用情報のうち、特定された医用情報(すなわち、医用情報の生成に必要となる医用情報)のみを抽出する。例えば、出力情報として得られた医用情報には、様々な医用情報が含まれるが、種別として選択された紹介状の生成においては、入退院情報、診断情報、診療内容、及び退院時処方のみが必要である。したがって、ここでは様々な医用情報の中から、必要な情報のみが抽出されることとなる。
【0060】
なお、学習用文字列とラベル情報の組み合わせを用いて学習することにより得られた第1学習済みモデルによって医用情報を抽出する場合について説明した。しかし、第1学習済みモデルには、このような学習済みモデルに限らず、学習済み大規模言語モデル(すなわち、大量のテキストデータを使って学習された自然言語処理モデル)を用いることも可能である。この場合、GPT-3、GPT-4、Claude、PaLM、NeMo LLM又はLLaMA等の汎用的な言語モデルや、GPT-MD、MED-PaLM等の医療分野に関する言語モデル等の種々のモデルを利用することが可能である。ただしこれに限らず、BERT、Word2vec等のモデルや、その他のニューラルネットワーク、サポートベクターマシン、ロジスティック回帰、決定木、ランダムフォレスト、それらのモデルの組み合わせ等を学習済みモデルとして用いてもよい。また、医用情報に関する辞書を利用した形態素解析アルゴリズムを組み合わせて用いてもよい。
【0061】
第1学習済みモデルに大規模言語モデルを用いる場合、
図4AのS114においては、プロセッサ111は、大規模言語モデルに入力するクエリ情報を生成する。当該クエリ情報の一例としては、「以下のカルテ情報から、紹介状の生成に必要となる、入退院情報、診断情報、診療内容、及び退院時処方に関する情報を抽出し、項目ごとに分類してください。(当該記載の後にカルテ情報10の文字列が記載されるが、ここでは省略する。)」が挙げられる。このようなクエリ情報は、使用者が入力インターフェイス113を介して指示入力することにより生成されてもよいし、プロセッサ111の処理により自動的に生成されてもよい。
【0062】
プロセッサ111は、生成されたクエリ情報を大規模言語モデルに入力し、出力情報として医用文書の生成に必要となる医用情報を抽出する。
【0063】
このように、対象者の医用情報としては数多くの情報が含まれていたり、自由文形式で表現されていたりするため、医療従事者がその都度必要な情報を探し出すのが煩雑であるところ、S114のように医用文書の生成に必要な医用情報をプロセッサ111の処理により抽出することで、より効率的な医用文書の生成が可能となる。なお、対象者の医用情報の抽出処理について(D-1)及び(D-2)の項目において種々の方法を例示しているが、当該処理はこれらの方法を組み合わせて実行することも可能である。
【0064】
(E)対象者の医用情報の変換処理
次に、プロセッサ111は、抽出された各医用情報の表記ゆれなどを修正すべく、抽出された医用情報を正規表現に変換する処理を実行する(S115)。当該処理の一例としては、プロセッサ111は、あらかじめ用意された正規表現辞書テーブル(図示しない)を参照して、抽出された各医用情報を変換する。例えば、正規表現辞書テーブルには、あらかじめ、「ABPC/SBT」、「アンピシリン・スルバクタム」及び「Ampicillin/Sulbactam」に対応付けて、正規化表現として「ABPC/SBT」が記憶されている。したがって、プロセッサ111は、医用情報として「アンピシリン・スルバクタム」が抽出されている場合、当該正規表現辞書テーブルを参照して、「アンピシリン・スルバクタム」を「ABPC/SBT」に変換する。プロセッサ111は、変換後の医用情報を、対象者管理テーブルに対象者ID情報に対応付けて記憶する。
【0065】
なお、このような変換処理は、上記の正規表現辞書テーブルを用いた方法に限らず、学習済みモデルを用いる方法など種々の方法を利用することが可能である。また、このような変換処理は、抽出されたすべての医用情報に対して行われる必要はなく、抽出された医用情報のうちの一部にだけ行われてもよいし、全く行われなくてもよい。
【0066】
(F)対象者の医用情報の出力処理
次に、プロセッサ111は、S114で抽出された医用情報及びS115で変換された医用情報のうちの少なくともいずれかを第1医用情報として出力する(S116)。当該処理の一例としては、プロセッサ111は、S114及びS115の医用情報を第1医用情報として取得し、当該第1医用情報を含む第1画面を生成する。そして、プロセッサ111は、出力インターフェイス114を介して、ディスプレイ等に生成された第1画面を出力する。
【0067】
第1画面の詳細は後述するが、当該第1画面は、一例としては、生成された医用文書を含む第2画面に隣接して出力される。すなわち、第1画面は、使用者が第2画面と同時に視認可能な態様で表示されることとなる。したがって、使用者が第1画面に含まれる第1医用情報を参照しながら、第2画面に含まれる医用文書を確認することができ、使用者にとってより効率的に医用文書の確認が可能となる。
【0068】
以上により、当該処理フローを終了する。
【0069】
(2)医用文書を含む第2画面の出力に係る処理フロー
図4Bは、本開示の一実施形態に係る処理装置100において実行される処理フローを示す図である。具体的には、
図4Bは、医用文書を含む第2画面が出力されるまでの一連の処理フローを示す図である。当該処理フローは、主に処理装置100のプロセッサ111がメモリ112に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより行われる。
【0070】
(A)医用情報の編集処理
図4Bによると、第1医用情報を含む第1画面が出力された状態において、入力インターフェイス113を介して、使用者による第1医用情報の編集に対する指示入力を受け付けたか否かを判断する(S211)。そして、当該指示入力を受け付けた場合には、プロセッサ111は、当該指示入力に基づいて該当する第1医用情報を編集する(S212)。当該処理の一例としては、プロセッサ111は、第1画面に出力された第1医用情報に誤りがある場合や、第1医用情報に本来であれば含まれるべき医用情報が含まれていない場合などに、入力インターフェイス113を介して使用者による指示入力を受け付けるよって、第1医用情報を修正したり、新たに医用情報を入力する。そして、プロセッサ111は、修正や入力後の医用情報を第2医用情報として、対象者ID情報に対応付けて対象者管理テーブルに記憶するとともに、第1画面において編集前の医用情報と置き換えて出力する。なお、当該編集処理の詳細については後述する。また、S211において、指示入力が受け付けられていない場合には、プロセッサ111は、S212の編集処理をスキップする。
【0071】
(B)医用文書のテンプレートとなるテンプレート情報の生成処理
次に、プロセッサ111は、
図4AのS112の種別情報に基づいて、メモリ112のテンプレート管理テーブルを参照し、所望の医用文書の雛形となるテンプレート情報を取得する(S213)。当該処理の一例としては、プロセッサ111がテンプレート管理テーブル(
図3C)を参照し、生成要求に含まれる種別情報及び読み出された医用情報に対応付けられた一のテンプレートID情報を特定することにより行われる。また、テンプレート情報は、医用情報及び種別情報だけでなく、医用情報から決定されるクリニカルパスを用いて特定されてもよい。
【0072】
ここで、
図4Cは、本開示の一実施形態に係る処理装置100において実行される処理フローの例を示す図である。具体的には、
図4Cは、
図4BのS213のテンプレート情報を取得する処理の詳細な処理フローを示す図である。当該処理フローは、主に処理装置100のプロセッサ111がメモリ112に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより行われる。
【0073】
図4Cによれば、プロセッサ111は、
図4AのS116で出力される医用情報(第1医用情報)及び
図4BのS212の編集後の医用情報(第2医用情報)の少なくともいずれかを読み出す(S311)。当該医用情報が読み出されると、プロセッサ111は、テンプレート管理テーブル(
図3C)を参照する(S312)。このとき、プロセッサ111は、
図4AのS112で選択された種別情報、及び当該医用情報に基づいて、複数のテンプレートID情報の中から一のテンプレートID情報を特定する。そして、プロセッサ111は、特定されたテンプレートID情報に基づいて、テンプレート情報を構成する一又は複数のパーツID情報を特定する。プロセッサ111は、パーツID情報が特定されると、特定されたパーツID情報に対応付けられたパーツ情報を読み出す(S313)。プロセッサ111は、読み出された各パーツ情報を、テンプレートID情報に対応付けられた配置情報にしたがってつなぎ合わせることで、一のテンプレート情報を生成する(S314)。
【0074】
図6は、本開示の一実施形態に係る処理装置100において処理されるテンプレート情報の例を示す図である。具体的には、
図4Cの処理にしたがって生成されるテンプレート情報の一例を示す図である。
図6によれば、種別情報(例えば、紹介状)及び医用情報(例えば、胆石症(診断名))により特定されるテンプレートID情報に対応付けられた複数のパーツID情報と配置情報とにより生成されたテンプレート情報20が示されている。テンプレート情報20は、配置情報にしたがって、各パーツ情報が並んで配置されている。具体的には、テンプレート情報20の最初に前文パーツ21が配置されている。その下部には、
・「病名」という項目名パーツ22aと「<診断名>」という診断名パーツ22b
・「紹介目的」という項目名パーツ23aと「<紹介目的>のお願い」という紹介目的パーツ23b
・「既往歴」という項目名パーツ24aと「<既往歴>」という既往歴パーツ24b
・「診療経過」という項目名パーツ25aと経過パーツ25b~経過パーツ25e
・「退院時処方」という項目名パーツ26aと「<退院時処方>」という多淫時処方パーツ26b
・末文パーツ27
をそれぞれ含む。
【0075】
このように、プロセッサ111は、
図4Cの処理フローにしたがって複数のパーツ情報を組み合わせることにより一のテンプレート情報を生成することにより、テンプレート情報を取得する。
【0076】
(C)クエリ情報の生成処理
再び
図4Bに戻り、プロセッサ111は、
図4AのS116で出力された医用情報(第1医用情報)及びS212で編集された医用情報(第2医用情報)の少なくともいずれかに基づいてクエリ情報の生成を行う(S214)。ここで、
図4Bの処理フローにおいて、医用文書の生成には、一例として、第2学習済みモデルを利用する。このような第2学習済みモデルの例としては、学習済み大規模言語モデルが挙げられる。クエリ情報は、このような学習済み大規模言語モデルに入力される要求を示す情報である。プロセッサ111は、メモリ112等に記憶されたクエリ管理テーブル(図示しない)を参照し、上記医用情報及び
図4AのS112の種別情報に基づいて特定される一のクエリフォーム情報を読み出す。そして、プロセッサ111は、読み出されクエリフォーム情報に対して、上記医用情報、及びS213で生成されたテンプレート情報をそれぞれ上書きすることによりクエリ情報を生成する。
【0077】
図7は、本開示の一実施形態に係る処理装置100において処理されるクエリ情報の一例を示す図である。具体的には、
図4BのS214の処理によって生成されるクエリ情報30の例を示す図である。
図7によれば、クエリ情報30は、種別情報ごとに共通する内容である定型領域31及び定型領域33と、
図4AのS116で出力された医用情報(第1医用情報)及びS212で編集された医用情報(第2医用情報)の少なくともいずれかが入力される医用情報領域32と、S213で生成されたテンプレート情報が入力されるテンプレート領域34とを含む。このように、
図7に例示されるクエリ情報によれば、定型領域31に「外部の医療機関に患者を紹介するための紹介状を、当該医療機関に伝える丁寧な文章として、以下の情報をもとに作成してください。」という学習済み大規模言語モデルに対する要求、及び「以下のテンプレートの「<>」の部分を埋める形で文章化すること。」という学習済み大規模言語モデルに対する要求をそれぞれ平文形式として含む。なお、
図7に示す例では平文形式としているが、クエリ情報の形式は、学習済みモデルで処理可能な言語やモデルであればいずれであってもよく、テキストデータ、画像データ、診断情報の生データ、診断情報がテーブル化されたデータ、それらの組み合わせ等であってもよい。
【0078】
(D)医用文書の生成処理
再び
図4Bに戻り、プロセッサ111は、S214のクエリ情報に基づいて生成された医用文書を取得する(S215)。当該処理の一例としては、プロセッサ111は、第2学習済みモデルに生成されたクエリ情報を送信することにより取得される。具体的には、プロセッサ111は、第2学習済みモデルに当該クエリ情報を入力することで、クエリ情報により要求された医用文書を出力として取得する。
【0079】
ここで、第2学習済みモデルは、機械学習により生成されるモデルであればいずれでもよい。第2学習済みモデルとして、学習済み大規模言語モデル(すなわち、大量のテキストデータを使って学習された自然言語処理モデル)を用いる場合、GPT-3、GPT-4、Claude、PaLM、NeMo LLM又はLLaMA等の汎用的な言語モデルや、GPT-MD、MED-PaLM等の医療分野に関する言語モデル等の種々のモデルを利用することが可能である。ただしこれに限らず、BERT、Word2vec等のモデルや、その他のニューラルネットワーク、サポートベクターマシン、ロジスティック回帰、決定木、ランダムフォレスト、それらのモデルの組み合わせ等を学習済みモデルとして用いてもよい。
【0080】
図8は、本開示の一実施形態に係る処理装置100において出力される医用文書の一例を示す図である。具体的には、
図4BのS215の処理によって取得される医用文書40の一例を示す図である。
図8によれば、医用文書40では、クエリ情報に含まれる要求にしたがって、テンプレート情報中の「<○○○>」の部分にクエリ情報に含まれる医用情報を埋める形で文章化されている。また、医用文書40では、クエリ情報に含まれる要求にしたがって、より丁寧な文章となるように、単に医用情報をテンプレート情報に埋め込むだけでなく、テンプレート情報をより自然な言語表現やより一般的な用語に改変されている。
【0081】
具体的には、領域41~領域43及び領域57~領域59では、テンプレート情報の「<○○○>」による指定にしたがってクエリ情報に含まれる医用情報が埋め込まれている。また、領域44~領域56では、テンプレート情報の「<○○○>」による指定にしたがってクエリ情報に含まれる医用情報を埋め込むとともに、さらにより自然な言語表現となるように助詞や助動詞等の用語を補ったり、より一般的な用語に改選したりして、医用情報及びテンプレート情報の文章が修正されている。
【0082】
このように、学習済み大規模言語モデルを利用することによって、テンプレート情報と医用情報を単に埋め込んだだけの形式的な文章表現ではなく、より自然な言語表現で所望の医用文書を生成することが可能となる。
【0083】
大規模言語モデル以外のモデルやその組み合わせを第2学習済みモデルとして用いる場合は、クエリ情報に含まれる情報を学習済みモデルによって数値特徴量化し、数値特徴量をクラスタリング等により関連する医療用語や医用文書に紐づけることで医用文書を生成することが可能である。ただし、これに限らず、学習済みモデルを用いてクエリ情報に含まれる情報を生成する医療用語や文書に直接分類する手法等の、その他の学習済みモデルを用いた処理により医用文書を生成してもよい。
【0084】
再び
図4Bに戻り、プロセッサ111は、医用文書を取得すると、取得された医用文書をメモリ112に記憶するとともに、当該医用文書を含む第2画面を出力する(S216)。当該処理の一例としては、プロセッサ111は、S215で生成された医用文書を取得し、当該医用文書を含む第2画面を生成する。そして、プロセッサ111は、出力インターフェイス114を介して、ディスプレイ等に生成された第2画面を出力する。
【0085】
第2画面の詳細は後述するが、当該第2画面は、第1医用情報や第2医用情報を含む第1画面に隣接して出力される。すなわち、第2画面は、使用者が第1画面と同時に視認可能な態様で表示されることとなる。したがって、使用者が第2画面に表示された医用文書を確認するときに、その情報の元となった第1医用情報や第2医用情報を同時に参照することができ、使用者にとってより効率的に医用文書の確認が可能となる。
【0086】
以上により、当該処理フローを終了する。なお、
図4Bにおいて特に図示はしていないものの、当該処理は、あらかじめ決められた周期で定期的に行ってもよいし、使用者による指示入力を受け付けるたびに行ってもよいし、これら両方のタイミングで行ってもよい。
【0087】
5.処理装置100から出力される画面の例
図9A~
図9Cは、本開示の一実施形態に係る処理装置100から出力される画面の例を示す図である。具体的には、
図9Aは、
図4AのS116において出力される第1医用情報を含む第1画面が出力されるときの画面70aの例を示す。また、
図9Bは、
図4BのS212において出力される編集画面が出力されるときの画面70bの例を示す。また、
図9Cは、
図4BのS216において編集後の医用情報(第2医用情報)に基づいて生成された医用文書を含む第2画面が出力されるときの画面70cの例を示す。これら各画面は、処理装置100のプロセッサ111の処理によって出力インターフェイス114を介して出力される。なお、出力先は、処理装置100のディスプレイ、処理装置100に有線ケーブル等を介して接続されたディスプレイ装置、又は医療従事者端末装置や対象者端末装置などいずれであってもよい。
【0088】
図9Aによると、
図4AのS116において出力される第1医用情報を含む第1画面が出力されるときの画面70aが示されている。画面70aは、その上部に使用者属性情報を選択するための使用者属性タブを含む。当該画面において、プロセッサ111は、入力インターフェイス113を介して、使用者属性タブに含まれるいずれかのタブ(医師タブ71a、看護師タブ71b及びその他タブ71c)に対して、使用者による指示入力を受け付けることによって、所望の使用者属性が選択される。また、画面70aは、使用者属性タブの下部に、選択された使用者属性に応じて選択される種別候補選択領域72を含む。種別候補選択領域72は、選択された使用者属性に応じて、使用者属性管理テーブルに対応付けられた種別情報を選択肢として含む。プロセッサ111は、入力インターフェイス113を介して、種別候補選択領域72に表示された複数の選択肢のうちのいずれか一つに対する使用者の指示入力を受け付けることによって、所望の医用文書の種別を決定する。
【0089】
図9Aの例では、使用者属性タブのうち、医師タブ71aが、看護師タブ71b及びその他タブ71cに対して、識別可能な表示態様で出力されている。これは、現在使用者属性として「医師」が選択されたことを示している。また、種別候補選択領域72には、種別情報の候補として、「紹介状」、「返信」及び「退院時サマリー」が出力されている。これは、使用者属性管理テーブルにおいて選択された使用者属性である「医師」に対応付けられた種別情報が一覧として出力されていることを示している。また、各候補のうち、「紹介状」種別のチェックボックスにチェックが付されている。これは、作成対象の医用文書の種別として「紹介状」に決定していることを示している。
【0090】
なお、
図9Aにおいて特に図示はしていないものの、例えば、看護師タブ71bが選択された場合には、医師タブ71a及びその他タブ71cに対して、看護師タブ71bが識別可能な表示態様で出力されることとなる。また、種別候補選択領域72には、種別情報の候補として、使用者管理テーブルにおいて「看護師」に対応付けられた種別情報が一覧として出力されることとなる。その他タブ71cが選択された場合も同様である。
【0091】
また、選択可能な使用者属性タブや、選択可能な種別情報の候補は、
図9Aに示したもののみに限らない。当然、使用者属性の数に応じてより多様なタブがあってもよいし、各使用者属性に対応付けられた種別情報の数に応じてより多様な候補があってもよい。
【0092】
また、画面70aは、決定された種別に基づいて取得された医用情報である第1医用情報が少なくとも含まれる第1画面73を含む。第1画面73は、その上部に生成する医用文書について、複数の形式から一の形式を選択するための形式選択領域73aを含む。形式選択領域73aは、決定された種別情報にあらかじめ対応付けられた形式が一覧として含む。プロセッサ111は、入力インターフェイス113を介して、形式選択領域73aに表示された複数の形式のうちのいずれか一つに対する使用者の指示入力を受け付けることによって、所望の医用文書の形式を選択する。
【0093】
図9Aの例では、形式選択領域73aには、形式の候補として、「加療」、「検査」、「リハビリ」、「経過観察」、「検査結果報告」及び「経過報告」が出力されている。これは、種別情報管理テーブルにおいて、「紹介状」の種別情報に対応付けて、これら形式に対応する形式ID情報が記憶されているためである。また、各形式のうち、「経過観察」の形式のチェックボックスにチェックが付されている。これは、作成対象の医用文書の形式として「経過観察」の形式に決定していることを示している。すなわち、最終的に生成された医用文書は、経過観察に関する紹介状の医用文書が生成されることとなる。
【0094】
なお、
図9Aにおいて特に図示はしていないものの、例えば、形式選択領域73aにおいて「加療」が選択された場合には、第1画面73に出力される第1医用情報や、第2画面に出力される医用文書も、選択された形式に応じて随時変更されることとなる。また、種別候補選択領域72において、例えば「返信」に決定された場合には、形式選択領域73aに表示される形式の候補も、それぞれ異なるものに変更されることとなる。
【0095】
また、第1画面73は、形式選択領域73aの下部に、
図4AのS116の第1医用情報を含む。すなわち、第1画面73は、
図4AのS115及びS116において抽出又は変換された各医用情報の項目と、その具体的な情報とをそれぞれ含む。
【0096】
図9Aの例では、第1画面73には、
図4のS115及びS116において抽出又は変換された第1医用情報として、入院経路、来院日、主訴、退院日、退院時転帰、既往歴、診断名、発病日、診療内容、及び退院時処方の各項目が出力されている。また、各項目に対応して、抽出された具体的な情報として、「救急搬送」(チェックボックスに対するチェックが入力)、来院日の日付(2023/08/23)、主訴の内容(発熱、悪寒)等の各種情報が出力されている。これにより、使用者は、決定された医用文書の生成に必要な医用情報を迅速に確認することが可能となる。
【0097】
また、画面70aは、第1画面73に出力されている各医用情報に基づいて生成された医用文書(経過観察形式の紹介状)が少なくとも含まれた第2画面74を含む。なお、ここでは、
図4Bに示すS212の編集処理がまだ行われていない状況で生成された医用文書の情報が含まれている。したがって、例えば、第1画面73の診療内容には、「2023/08/23:レントゲン」と表示されているが、これに対応して第2画面74の診療経過には、「・・・レントゲンの結果により・・・」と表示されている。
【0098】
なお、画面70aは、
図9Aから明らかなとおり、第1画面73及び第2画面74は互いに隣接して出力される。つまり、使用者は、医用文書の生成に用いられる医用情報(第1医用情報)が含まれた第1画面73と、当該情報に基づいて生成された医用文書が含まれた第2画面74とを、同時に視認することが可能である。したがって、使用者は、生成された医用文書を確認するときに、その情報源となる医用情報を同時に参照しつ確認することが可能であり、より効率的に医用文書を確認することができる。
【0099】
ここで、
図4AのS115やS116の処理において、所望の情報が正しく抽出や変換できない場合がある。また、そもそも医用文書の生成に必要となる医用情報が対象者管理テーブルに記憶されていない場合がある。そのような場合に柔軟に対応するため、
図4BのS212に示すように、使用者の指示入力に基づいて出力した医用情報を編集することが可能である。
【0100】
図9Bは、上記の通り、
図4BのS212において出力される編集画面が出力されるときの画面70bの例を示す。具体的には、画面70bは、第1画面73及び第2画面74に重畳して表示される編集画面91及び第3画面92を含む。当該画面70bは、画面70aの第1画面73において、プロセッサ111が、入力インターフェイス113を介して、編集したい項目に対する使用者の指示入力を受け付けることによって出力する。
【0101】
使用者が画面70aの第1画面73において、「診療内容」の項目に対して指示入力をすることによって、出力された画面の例が示されている。したがって、編集画面91は、診療内容の項目の下部に、診療内容として入力される期間、分類及び詳細の各情報の入力ボックス(ボックス93a、ボックス93b及びボックス93c)を含む。また、編集画面91は、既に第1医用情報として出力されている情報が各入力ボックスには表示されているが、新たな診療内容の情報の追加や、既に入力された診療内容の情報の削除をするための追加アイコン94及び削除アイコン95を含む。さらに、編集画面91には、編集内容を確定させ画面70aに戻るための決定アイコン96を含む。
【0102】
また、診療内容の項目に入力される医用情報は、対象者管理テーブルに記憶された医用情報のうちカルテ情報に基づいて抽出された情報であるところ、第3画面92は診療内容の項目に使用されるカルテ情報を含む。すなわち、プロセッサ111は、対象者管理テーブルに記憶された複数の医用情報の中から、第1画面に出力される第1医用情報の情報源となった医用情報(第3医用情報)を含む第3画面92を出力する。また、第3画面92は、出力される医用情報を、第1医用情報の情報源となった他の医用情報(他の第3医用情報)に切り替えるための「戻る」アイコン98及び「次へ」アイコン97を含む。
【0103】
図9Bの例では、
図4AのS115及びS116において抽出された第1医用情報である「2023年8月23日:レントゲン」という情報の情報源となったカルテ情報10が第3画面92に含まれる。ところで、当該カルテ情報10を参照すると、「CT検査及び採血の結果により、肺炎と診断した。」と記載がされているものの、「レントゲン」という記載はない。つまり、2023年8月23日に入力されたカルテ情報10を参照することによって、編集画面91の分類の入力ボックス93bにおいて入力されている「レントゲン」という情報が誤りである。そこで、プロセッサ111は、入力インターフェイス113を介して、入力ボックス93bのうち「レントゲン」と入力された入力ボックスに対する使用者による指示入力を受け付けて、正しい情報である「採血」の情報に編集する。
【0104】
また、プロセッサ111は、入力インターフェイス113を介して、第3画面92の「戻る」アイコン98及び「次へ」アイコン97に対する使用者による指示入力を受け付けて、参照するカルテ情報等の情報源となる医用情報を切り替える。これにより、編集画面91に入力されている医用情報の誤りや不足等の確認が可能となる。そして、確認の結果に応じて、プロセッサ111は、追加アイコン94、削除アイコン95、及び各入力ボックスに対する使用者による指示入力を受け付けて、医用情報の編集を行う。
【0105】
このように、医用情報の編集を行うときに、その情報源となる情報を並列して表示することによって、より迅速かつ正確な編集が可能となる。
【0106】
図9Cは、
図4BのS216において編集後の医用情報(第2医用情報)に基づいて生成された医用文書を含む第2画面が出力されるときの画面70cの例を示す。画面70cは、
図9Aと同様に、使用者属性タブ(医師タブ71a、看護師タブ71b及びその他タブ71c)、種別候補選択領域72、第1画面73及び第2画面74を含む。これらのうち、使用者属性タブ及び種別候補選択領域72は
図9Aと同様であるため、その説明は省略する。
【0107】
図9Cによると、第1画面73は、
図9Aと同様に、各医用情報の項目と、その具体的な情報とをそれぞれ含む。ただし、
図9Cの第1画面73は、
図4BのS212において編集がされた後の医用情報(第2医用情報)を含む。具体的には、
図9Bに示す編集画面において既往歴及び診療内容の項目に対して編集がされたことによって、
図9Cの第1画面73には以下の編集後の医用情報(第2医用情報)が出力されている。
・破線枠81:既往歴の項目に対して「糖尿病、脂質異常症」という情報を新たに入力
・破線枠82:診療内容の項目において、「レントゲン」という情報を「採血」という情報に修正
・破線枠83:診療内容の項目において、「2023/08/24~2023/08/28:薬剤加療(フロセミド錠40mg「NP」)」という情報を新たに入力
・破線枠83:診療内容の項目において、ハンプ注射用1000の投与期間の「2023/08/24」という情報を「2023/08/24~2023/08/28」という情報に修正
・破線枠84:診療内容の項目において、「2023/08/28~2023/08/30:薬剤加療(エンレスト錠50mg、サムスカ錠7.5mg)」という情報を新たに入力
【0108】
なお、第1画面73に含まれる医用情報のうち、上記の破線枠81~破線枠84で示される医用情報(第2医用情報)以外は、特に編集等が行われていない情報である。したがって、
図9Aの第1画面73で出力された第1医用情報がそのまま出力されることとなる。
【0109】
第2画面74は、上記編集後の医用情報(第2医用情報)と編集がされていない医用情報(第1医用情報)とに基づいて、
図4BのS216の処理によって出力される医用文書を含む。すなわち、第2画面74は、種別が紹介状であって、形式が経過観察の形式の医用文書を含む。当該医用文書は、編集後の医用情報(第2医用情報)に基づいて生成されているため、編集前の医用情報に基づいて生成された医用文書(
図9A)に対して、以下の変更がなされている。
・破線枠85:既往歴の項目に対して「糖尿病、脂質異常症」という情報を追加
・破線枠86:診療経過の項目において、「レントゲン」という記載を「採血」という記載に修正
・破線枠87:診療経過の項目において、「また、ハンプの投与を翌日に行いました。」という記載を、「また、フロセミド・ハンプの投与を翌日から開始し8月28日まで行いました。」という記載に修正
・破線枠88:診療経過の項目において、「さらに、エンレスト・サムスカの投与を8月28日から退院まで行いました。」という記載を追加
【0110】
このように、使用者は、医用文書の生成に用いられる医用情報(第1医用情報)が含まれた第1画面73と、当該情報に基づいて生成された医用文書が含まれた第2画面74とを、同時に視認することが可能である。したがって、使用者は、生成された医用文書を確認するときに、その情報源となる医用情報を同時に参照しつ確認することが可能であり、より効率的に医用文書を確認することができる。また、第1画面73において医用情報の編集がなされたときに、編集後の医用情報に基づいて生成した医用文書を第2画面74に出力する。したがって、使用者は、編集後の医用情報に基づいて生成された医用文書をリアルタイムに確認することが可能である。
【0111】
なお、
図9Cにおいて、第1画面73は、上記の通り、編集された医用情報(第2医用情報)と編集されていない医用情報(第1医用情報)とを含む。したがって、第1画面73において、両医用情報を互いに区別して出力することが可能である。具体的には、プロセッサ111は、編集された医用情報(第2医用情報)に対して、例えば
図9Cに示し破線枠81~破線枠84を表示して、編集されていない医用情報(第1医用情報)と区別するように出力する。
【0112】
また、同様に、
図9Cにおいて、第2画面74は、上記の通り編集された医用情報(第2医用情報)と編集されていない医用情報(第1医用情報)とに基づいて生成された医用文書を含む。したがって、第2画面74において、第2医用情報に基づいて生成された医用文書の箇所と、第1医用情報に基づいて生成された医用文書の箇所とを互いに区別して出力することが可能である。具体的には、プロセッサ111は、編集された医用情報(第2医用情報)に基づいて生成された箇所に対して、例えば
図9Cに示し破線枠85~破線枠88を表示して、編集されていない医用情報(第1医用情報)に基づいて生成された箇所と区別するように出力する。
【0113】
なお、上記において破線枠による区別は単なる一例であるにすぎない。例えば、破線枠に代えて、又は破線枠に加えて、該当箇所にハイライトを付したり、入力インターフェイス113を介して該当箇所に対して指示入力をすることにより編集前の情報を表示したり、編集されたことを示す識別マークを表示したりするなど、種々の方法を採用することが可能である。
【0114】
以上、本実施形態においては、より効率的に医用文書を生成することが可能な処理装置、処理プログラム及び処理方法を提供することができる。
【0115】
6.その他
<第2学習済みモデル>
上記実施形態においては、医用文書の生成に学習済み大規模言語モデルを利用して生成する場合を中心に説明した。しかし、これに代えて、他の第2学習済みモデルを利用したり、あらかじめ決められた医用文書の生成ルールを利用して医用文書を生成することも可能である。例えば、第2学習済みモデルは、以下の処理フローによって生成される。プロセッサ111は、学習用の医用文書の作成の際に実際に医療従事者等によって指定された種別情報や、使用された医用情報をそれぞれ学習データとして取得する。次に、プロセッサ111は、これらの学習データを利用して実際に作成された学習用の医用文書の文書データを取得する。そして、プロセッサ111は、種別情報及び医用情報の学習データと学習用の医用文書の組み合わせを用いて、医用文書の作成パターンの機械学習を行うステップを実行する。当該機械学習は、一例として、ニューロンを組み合わせたニューラルネットワークに対して、これら情報の組を与え、ニューラルネットワークからの出力が正解ラベルである学習用の医用文書と同じになるように、各ニューロンのパラメータを調整しながら学習を繰り返すことにより行われる。そして、当該学習を通じて、プロセッサ111は、学習済みモデルを取得するステップが実行される(S215)。取得された学習済みモデルは、第2学習済みモデルとして、処理装置100のメモリ112や処理装置100と有線又は無線ネットワークを介して接続された他の装置内に記憶されていてもよい。
【0116】
そして、プロセッサ111は、上記のとおり生成された第2学習済みモデルに、生成要求に含まれる種別情報及び医用情報を入力することにより、医用文書を出力として取得する。
【0117】
<医用情報及びクエリ情報>
上記実施形態においては、
図4AのS112において対象者管理テーブルから医用情報を読み出す場合について説明した。しかし、これに代えて、例えば入力インターフェイス113を介して必要な医用情報の使用者による入力を受け付けて、当該医用情報をその後の処理に利用することも可能である。また、
図4BのS214において医用情報等に基づいてクエリ情報を生成する場合について説明した。しかし、これに代えて、例えば出力インターフェイス114を介してディスプレイ装置に出力された医用情報を使用者が参照しながら、入力インターフェイス113を介して使用者による入力を受け付けることで、クエリ情報を生成することも可能である。
【0118】
<テンプレート情報>
上記実施形態では、テンプレート管理テーブルには種別情報及び医用情報がテンプレートID情報に対応付けて記憶され、種別情報及び医用情報に基づいて一のテンプレート情報が取得される場合について説明した。しかし、種別情報及び医用情報に代えて、又は加えて、さらに属性情報がテンプレートID情報に対応付けて記憶され、属性情報に基づいて一のテンプレート情報が生成されるようにしてもよい。このような属性情報としては、医用文書に含まれる文章の語尾表現(「体言止め」又は「用言止め」)、詳細度(項目が多いバージョン又は少ないバージョン)、個人情報のあり又は無し、及び測定データの添付あり又は無し等が例として挙げられる。このように、属性情報をさらに考慮してテンプレート情報を取得することによって、より細かなテンプレート情報の設定が可能となる。
【0119】
<編集処理の利用>
上記実施形態では、
図4Aに示す通り、第1医用情報を含む第1画面を出力するにあたり、第1学習済みモデルを利用して第1医用情報が抽出される場合について説明した。また、上記実施形態では、
図4Bに示す通り、第1画面に含まれる第1医用情報が、使用者による指示入力を受け付けることで編集された第2医用情報に基づいて医用文書が生成される場合について説明した。そこで、使用者による編集の指示入力及び編集された第2医用情報の少なくともいずれかを利用して、第1医用情報又は当該第1医用情報を含む第1画面が最適かされるようにした。
【0120】
具体的には、プロセッサ111は、第1学習済みモデルのモデル生成装置に対して、
図4BのS211で受け付けられた指示入力又はS212で編集されることで取得された第2医用情報を学習用データとして与える。そして、モデル生成装置のプロセッサは、取得した指示入力又は第2医用情報に基づいて第1学習済みモデルの追加学習をおこなう。プロセッサ111は、
図4のS111で新たに対象者の選択を受け付けると、編集がなされた第1医用情報が含まれた第1画面とは異なる新たな第1医用情報が含まれた新たな第1医用画面を出力する(S116)。このとき、プロセッサ111は、追加学習がされた第1学習済みモデルを利用して第1医用情報の抽出を行うため(S114)、S211で受け付けられた指示入力又はS212で編集された内容を考慮して最適化された第1画面を出力することが可能である。
【0121】
なお、上記のような最適化に係る処理は、追加学習による方法に限らず、編集の指示入力や編集後の第2医用情報の情報に基づいて、第1画面に含まれる第1医用情報の抽出(S114)や変換(S115)に係る処理で利用されるパラメータを修正したり、上記処理で利用される抽出用テーブルや変換用テーブルの内容を更新することによって行うことも可能である。
【0122】
なお、上記変形例は、当然に適宜組み合わせて実施可能である。
【0123】
本明細書で説明される処理及び手順は、実施形態において明示的に説明されたものによってのみならず、ソフトウェア、ハードウェア又はこれらの組み合わせによっても実現可能である。具体的には、本明細書で説明された処理及び手順は、集積回路、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、磁気ディスク、光ストレージ等の媒体に、当該処理に相当するロジックを実装することによって実現される。また、本明細書で説明される処理及び手順は、それらの処理・手順をコンピュータプログラムとして実装し、処理装置やサーバ装置を含む各種のコンピュータに実行させることが可能である。
【0124】
本明細書中で説明される処理及び手順が単一の装置、ソフトウェア、コンポーネント、モジュールによって実行される旨が説明されたとしても、そのような処理又は手順は、複数の装置、複数のソフトウェア、複数のコンポーネント、及び/又は、複数のモジュールによって実行されるものとすることができる。また、本明細書中で説明される各種情報が単一のメモリや記憶部に格納される旨が説明されたとしても、そのような情報は、単一の装置に備えられた複数のメモリ又は複数の装置に分散して配置された複数のメモリに分散して格納されるものとすることができる。さらに、本明細書において説明されるソフトウェア及びハードウェアの要素は、それらをより少ない構成要素に統合して、又は、より多い構成要素に分解することによって実現されるものとすることができる。
【符号の説明】
【0125】
1 処理システム
100 処理装置
200 情報提供装置
【要約】
【課題】 より効率的に医用文書を生成することが可能な処理装置、処理プログラム及び
処理方法を提供する。
【解決手段】 複数の種別に基づいて区分された医用文書の中から作成対象となる種別を決定し、一又は複数の対象者に関連付けられた複数の医用情報の中から、決定された前記種別に基づいて取得された医用情報である第1医用情報を含む第1画面を出力し、前記第1画面に出力された医用情報に対して使用者からの編集の指示入力を受け付けし、少なくとも決定された前記種別と前記指示入力に基づいて編集された医用情報である第2医用情報とに基づいて生成された医用文書を含む第2画面を出力するための処理を実行する。
【選択図】
図9C