(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-19
(45)【発行日】2025-09-30
(54)【発明の名称】冷却構造付き導体部材
(51)【国際特許分類】
H05K 7/20 20060101AFI20250922BHJP
F28D 1/06 20060101ALI20250922BHJP
H02G 5/10 20060101ALI20250922BHJP
H05K 7/06 20060101ALI20250922BHJP
H01L 23/473 20060101ALI20250922BHJP
【FI】
H05K7/20 M
F28D1/06 B
H02G5/10 301
H05K7/06 C
H01L23/46 Z
(21)【出願番号】P 2023152096
(22)【出願日】2023-09-20
【審査請求日】2024-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】東 純也
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏侑
(72)【発明者】
【氏名】城阪 和輝
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-145820(JP,A)
【文献】特開2020-038028(JP,A)
【文献】特開2011-029103(JP,A)
【文献】米国特許第05980306(US,A)
【文献】中国実用新案第216488640(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/06;7/20
F28D 1/00-13/00
H02B 1/56
H02G 5/00-5/10
H01L 23/34-23/473
H01M 10/52-10/667;50/50-50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性金属で帯状に形成され、一端側が所定の電気電子部品の部品端子に接続され、他端側が前記電気電子部品の電気的接続対象に接続されて通電する導体部材と、
内部を冷媒が流れる冷却配管と、
前記導体部材が前記電気電子部品とともに固定される絶縁樹脂製の壁であって、前記導体部材における前記部品端子との接続部に接して前記冷却配管が延在するように前記冷却配管が固定される固定璧と、
を備え
、
前記電気電子部品には、前記部品端子が一対設けられ、
前記導体部材が、一対の前記部品端子に一対一に接続されるとともに、各々が前記部品端子の配列方向に延在するように一対設けられ、
前記冷却配管が、一対の前記導体部材それぞれの前記接続部に接するように前記固定璧に一部が固定された1本の配管であって、一方の前記接続部に接触する第1接触位置から他方の前記接続部に接触する第2接触位置へと曲げられた状態で前記固定璧に固定されていることを特徴とする冷却構造付き導体部材。
【請求項2】
前記冷媒が、導電性を有する流体であり、
前記冷却配管が、導電性を有する金属配管であって、
前記導体部材において前記冷却配管に接触する導体側接触面と、前記冷却配管において前記導体部材に接触する配管側接触面と、のうちの少なくとも一方に絶縁処理が施されていることを特徴とする請求項1に記載の冷却構造付き導体部材。
【請求項3】
前記固定璧には、前記接続部に接する位置を通るように前記冷却配管が嵌め込まれる配管溝が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の冷却構造付き導体部材。
【請求項4】
前記固定璧が、所定の装置筐体の一部を構成する壁部分であることを特徴とする請求項1に記載の冷却構造付き導体部材。
【請求項5】
前記冷却配管が、前記第1接触位置と前記第2接触位置との間でU字状に曲げられていることを特徴とする請求項
1に記載の冷却構造付き導体部材。
【請求項6】
前記導体部材の前記接続部には、前記部品端子へのネジ締結のためのネジ貫通孔が形成されており、
前記第1接触位置及び前記第2接触位置が、一対の前記ネジ貫通孔を前記配列方向について相互間に挟むように設けられており、
前記冷却配管が、一方の前記接続部における一対の前記ネジ貫通孔の配列の外側に接触した後、前記配列の内側に向かって曲げられるとともに当該内側で折り返され、更に前記配列の外側に向かって折り返されて他方の前記接続部における前記配列の外側に接触するように、前記第1接触位置の部分から前記第2接触位置の部分までの形状がW字状に曲げられた形状となっていることを特徴とする請求項
1に記載の冷却構造付き導体部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気電子部品の部品端子を電気的接続対象に、自身の冷却を行いつつ接続する冷却構造付き導体部材に関するものとなっている。
【背景技術】
【0002】
従来、電気電子部品の部品端子を電気的接続対象に接続する導体部材に、自身の冷却機能を付加した冷却構造付き導体部材が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1の冷却構造付き導体部材は、導電性のパイプを導体部材として利用し、その両端を潰して電気電子部品の部品端子及び電気的接続対象との接続部とした構成を有している。電気的な接続は、導電性のパイプ自体によって行われ、冷却は、パイプ内に流される冷媒によって行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述の導電性のパイプを用いた冷却構造付き導体部材では、パイプの両端を潰して接続部としているため、この接続部に関して高い成型技術が必要となり、その分、製造コストが嵩みがちとなる。
【0005】
従って、本発明は、上記のような問題に着目し、製造コストを抑えて冷却を行うことができる冷却構造付き導体部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、冷却構造付き導体部材は、導電性金属で帯状に形成され、一端側が所定の電気電子部品の部品端子に接続され、他端側が前記電気電子部品の電気的接続対象に接続されて通電する導体部材と、内部を冷媒が流れる冷却配管と、前記導体部材が前記電気電子部品とともに固定される絶縁樹脂製の壁であって、前記導体部材における前記部品端子との接続部に接して前記冷却配管が延在するように前記冷却配管が固定される固定璧と、を備え、前記電気電子部品には、前記部品端子が一対設けられ、前記導体部材が、一対の前記部品端子に一対一に接続されるとともに、各々が前記部品端子の配列方向に延在するように一対設けられ、前記冷却配管が、一対の前記導体部材それぞれの前記接続部に接するように前記固定璧に一部が固定された1本の配管であって、一方の前記接続部に接触する第1接触位置から他方の前記接続部に接触する第2接触位置へと曲げられた状態で前記固定璧に固定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
上述の冷却構造付き導体部材によれば、製造コストを抑えて冷却を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る冷却構造付き導体部材を示す斜視図である。
【
図2】、
図1に示されている冷却構造付き導体部材について、電気電子部品及び導体部材を除いて示す斜視図である。
【
図3】
図1に示されている電気電子部品の部品端子と導体部材との接続箇所を、これに接触する冷却配管とともに示す平面図である。
【
図4】第2実施形態に係る冷却構造付き導体部材を、
図2と同様に、電気電子部品及び導体部材を除いて示した斜視図である。
【
図5】
図4に示されている冷却構造付き導体部材について、
図3と同様に、電気電子部品の部品端子と導体部材との接続箇所を、これに接触する冷却配管とともに示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、冷却構造付き導体部材の一実施形態について説明する。まず、第1実施形態について説明する。
【0010】
図1は、第1実施形態に係る冷却構造付き導体部材を示す斜視図であり、
図2は、
図1に示されている冷却構造付き導体部材について、電気電子部品及び導体部材を除いて示す斜視図である。また、
図3は、
図1に示されている電気電子部品の部品端子と導体部材との接続箇所を、これに接触する冷却配管とともに示す平面図である。
【0011】
本実施形態における冷却構造付き導体部材1は、電気電子部品E1であるリレーにおける一対の部品端子E11それぞれを、当該電気電子部品E1の電気的接続対象に接続するための部材である。この冷却構造付き導体部材1は、一対の部品端子E11に一対一に接続される一対の導体部材11と、1本の冷却配管12と、この冷却配管12が固定される固定璧13と、を備えている。
【0012】
導体部材11は、銅等の導電性金属で長方形帯板状に形成され、一端側が電気電子部品E1の部品端子E11に接続され、他端側が電気電子部品E1の電気的接続対象に接続されて通電するバスバーとなっている。両端部の接続はネジ締結によって行われ、各端部に締結用ネジE12が貫通するネジ貫通孔111が設けられている。この導体部材11が、一対の部品端子E11に一対一に接続されるとともに、各々が部品端子E11の配列方向D11に延在するように一対設けられている。
【0013】
冷却配管12は、1本の丸型配管が途中でU字状に曲げられたものであり、内部を冷媒が流れる。本実施形態では、冷媒として、導電性を有する流体である水が用いられている。また、この冷却配管12としては、導電性を有する金属配管が用いられている。この金属配管の一例としては銅配管等が挙げられる。
【0014】
また、導体部材11において冷却配管12に接触する導体側接触面11bと、冷却配管12において導体部材11に接触する配管側接触面12aとの両方に絶縁塗装等による絶縁処理が施されている。
【0015】
固定璧13は、導体部材11が電気電子部品E1とともに固定される絶縁樹脂製の壁であって、導体部材11における部品端子E11との接続部11aに接して冷却配管12が延在するように冷却配管12が固定される部位である。この固定璧13は、導体部材11及び電気電子部品E1が搭載される装置筐体の一部を構成する壁部分となっている。
【0016】
この固定璧13には、電気電子部品E1における一対の部品端子E11が一対の導体部材11の接続部11aを介して対面する部品対面部131と、一対の導体部材11が一対一に収められて取り付けられる一対の導体取付け溝132とが設けられている。一対の導体取付け溝132は、部品対面部131から部品端子E11の配列方向D11に延在するように形成されている。各導体取付け溝132は、長方形帯板状の導体部材11を、その厚み方向D12に半分程度収める薄底の角溝となっている。そして、部品対面部131と一対の導体取付け溝132との境界部に、導体部材11の接続部11aに接する位置を通るように冷却配管12が嵌め込まれる一対の配管溝133が形成されている。
【0017】
一対の配管溝133は、U字状に曲げられた冷却配管12における一対の腕部分121が、一対の導体部材11の接続部11aと導体部材11の幅方向D13に交差して延在するように、この幅方向D13に沿って形成された角溝となっている。冷却配管12は、これら一対の配管溝133の一方を一対の接続部11aの一方に接触する第1接触位置P11とし、他方の配管溝133を他方の接続部11aに接触する第2接触位置P12として取り付けられている。冷却配管12は、第1接触位置P11と第2接触位置P12との間で曲げられてU字曲げ部分122が形成された状態で固定璧13に固定されている。ここでの固定は、接着剤による冷却配管12と配管溝133との接着や、絶縁樹脂製の固定璧13の配管溝133の一部を溶融させて金属製の冷却配管12と一体化させる溶着等によって行われる。
【0018】
以上に説明した第1実施形態の冷却構造付き導体部材1によれば、電気電子部品E1の部品端子E11と電気的接続対象との導通を担う導体部材11については、冷却に関する追加工等を加えることなく使用できる。そして、通電時に発熱量が多くなりがちな導体部材11における部品端子E11との接続部11aについて、これに接して内部を冷媒が流れる冷却配管12によって効果的に冷却することができる。このように、本実施形態の冷却構造付き導体部材1によれば、導体部材11についての追加工等が不要であることから、製造コストを抑えて冷却を行うことができる。
【0019】
ここで、本実施形態では、冷媒が、導電性を有する流体としての水であり、冷却配管12が銅配管等といった導電性の金属配管であって、導体側接触面11bと配管側接触面12aとの両方に絶縁処理が施されている。この構成によれば、電気電子部品E1の部品端子E11及び接続部11aが冷媒や冷却配管12を介して意図しない箇所に短絡されることを回避しつつ、導電性を有する冷媒や冷却配管12として、一般的な水や銅配管等を利用することができる。
【0020】
また、本実施形態では、固定璧13には冷却配管12が嵌め込まれる配管溝133が形成されている。この構成によれば、冷却配管12が配管溝133に嵌め込まれる構造となっていることから、固定璧13に対する電機電子部品E11や導体部材11の固定を妨げることなく冷却配管12を固定できる。また、この配管嵌め込み構造の採用により冷却構造付き導体部材1のサイズを小型化することもできる。
【0021】
また、本実施形態では、固定璧13が、装置筐体の一部を構成する壁部分となっている。この構成によれば、装置筐体の一部を、冷却配管12の固定璧13として利用することで、別部品としての固定壁を用意する場合に比べて製造コストを一層抑えることができる。
【0022】
また、本実施形態では、導体部材11が、一対の部品端子E11に一対一に接続されるとともに、部品端子E11の配列方向D11に延在するように一対設けられている。そして、冷却配管12が1本の配管であって、一方の接続部11aに接触する第1接触位置P11から他方の接続部11aに接触する第2接触位置P12へと曲げられた状態で固定璧13に固定されている。この構成によれば、電気電子部品E1における一対の部品端子E11に接続される一対の導体部材11それぞれの接続部11aを、1本の冷却配管12によって効率的に冷却することができる。
【0023】
また、本実施形態では、冷却配管12が、第1接触位置P11と第2接触位置P12との間でU字状に曲げられている。この構成によれば、1本の冷却配管12についての曲げ加工が、U字曲げという簡易な加工で済むことから製造コストを一層抑えることができる。
【0024】
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、冷却配管の曲げ形状と、固定壁における冷却配管の固定構造が第1実施形態と異なっている。以下では、この第2実施形態について、第1実施形態との相違点に注目した説明を行う。
【0025】
図4は、第2実施形態に係る冷却構造付き導体部材を、
図2と同様に、電気電子部品及び導体部材を除いて示した斜視図である。また、
図5は、
図4に示されている冷却構造付き導体部材について、
図3と同様に、電気電子部品の部品端子と導体部材との接続箇所を、これに接触する冷却配管とともに示す平面図である。尚、
図4及び
図5では、
図1~
図3に示されている第1実施形態の構成要素と同等の構成要素については、説明に必要な要素についてのみ
図1~
図3と同じ符号が付されており、以下では、それらの構成要素については重複説明を割愛する。尚、
図5では、導体部材11の締結ネジについて、ネジ頭部が
図3とは異なる形状となってネジが示されているが、実質的に同じものなので、
図3と同じ符号「E12」が付されている。
【0026】
この第2実施形態の冷却構造付き導体部材2は、電気電子部品E1の一対の部品端子E11に一対一に接続される一対の導体部材11を備えている点は、上述の第1実施形態と同様である。ただし、本実施形態では、一対の導体部材11の接続部11aに接触する1本の冷却配管22の形状と、固定璧23におけるこの冷却配管22の固定構造が第1実施形態と異なっている。
【0027】
冷却配管22は、一方の接続部11aに接触する第1接触位置P11の部分と、他方の接続部11aに接触する第2接触位置P12の部分との双方が、直線状に延在する腕部分221となっている。そして、第1接触位置P11を通る一方の腕部分221から第2接触位置P12を通る他方の腕部分221までの形状が次のようにW字状に曲げられた形状となっている。冷却配管22は、まず、第1接触位置P11において一方の接続部11aにおける一対のネジ貫通孔111の配列の外側に一方の腕部分221で接触した後、ネジ貫通孔111の配列の内側に向かって曲げられるとともに当該内側で折り返される。更に冷却配管22は、配列の外側に向かって折り返されて他方の接続部11aにおける配列の外側に一方の腕部分221で接触する。冷却配管22は、一対のネジ貫通孔111の配列の外側を通る一対の腕部分221と、配列の内側での折返しを含む曲げ部分222と、でW字状の曲げ形状が構成される。
【0028】
固定璧23におけるこのW字状に曲げられた冷却配管22の固定構造は、第1実施形態と同様に直線状の一対の腕部分221が嵌め込まれる一対の配管溝133と、折返し端部保持溝234と、折返し保持リブ235とを備えている。折返し端部保持溝234は、一対のネジ貫通孔111の配列の内側での冷却配管22の折返し端部222aが嵌め込まれてこれを保持するU字状の溝部分である。折返し保持リブ235は、折返し端部保持溝234で保持された折返し端部222aから直線状に伸びる一対の直管部分222bの相互間に差し込まれるリブである。この折返し保持リブ235は、一対のネジ貫通孔111の配列方向D11について、折返し端部222a及び一対の直管部分222bを中央に位置付け、これらの部位を折返し端部保持溝234と協働して保持する。
【0029】
以上に説明した第2実施形態の冷却構造付き導体部材2によっても、上述の第1実施形態と同様に、導体部材11についての追加工等が不要であることから、製造コストを抑えて冷却を行うことができることは言うまでもない。
【0030】
また、本実施形態では、冷却配管22が上記のようにW字状に曲げられた形状となっている。この構成によれば、1本の冷却配管22についての曲げ加工はU字曲げに比べて複雑になる反面、各導体部材11の接続部11aがネジ貫通孔111の配列方向D11の内外の2方向から冷却されることとなるので冷却効率を向上させることができる。
【0031】
尚、以上に説明した第1及び第2実施形態は冷却構造付き導体部材の代表的な形態を示したに過ぎない。冷却構造付き導体部材は、これに限定されるものではなく種々変形して実施することができる。
【0032】
例えば、上述した実施形態では、冷却構造付き導体部材の一例として、電気電子部品E1であるリレーにおける一対の部品端子E11それぞれを電気的接続対象に接続するための冷却構造付き導体部材1,2が例示されている。しかしながら、冷却構造付き導体部材はこれに限るものではなく、接続される電気電子部品は、リレー以外の電気部品であってもよく、その他の電子部品であってもよい。
【0033】
また、上述した実施形態では、冷却構造付き導体部材の一例として、冷媒として導電性の液体である水が冷却配管12,22に流される液冷式の冷却構造付き導体部材1,2が例示されている。しかしながら、冷却構造付き導体部材はこれに限るものではなく、冷媒は、非導電性の液体であってもよく、空冷用の気体であってもよい。
【0034】
また、上述した実施形態では、冷却構造付き導体部材の一例として、一対の導体部材11を備えた冷却構造付き導体部材1,2が例示されている。しかしながら、冷却構造付き導体部材はこれに限るものではなく、導体部材を1つだけ備えるものや、3つ以上備えるもの等であってもよい。
【0035】
また、上述した実施形態では、冷却配管の一例として、銅配管等といった導電性を有する金属配管で構成される丸型の冷却配管12,22が例示されている。しかしながら、冷却配管は、これに限るものではなく、非導電性の金属や樹脂等で形成されたものであってもよく、その形状についても、丸型以外の角型やその他の多角形型等の配管であってもよい。尚、冷却配管が、非導電性の金属や樹脂等で形成されている場合、冷却配管と導体部材との間の絶縁処理は不要となる。
【0036】
また、上述した実施形態では、冷却構造付き導体部材の一例として、絶縁処理が次のように施された冷却構造付き導体部材1,2が例示されている。即ち、ここでの絶縁処理は、導体部材11における導体側接触面11bと、冷却配管12,22における配管側接触面12a,22bとの両方に施されている。しかしながら、冷却構造付き導体部材は、これに限るものではなく、絶縁処理は、導体部材の導体側接触面と、冷却配管の配管側接触面とのうちの何れか一方にのみ施されることとしてもよい。また、絶縁処理の範囲は、導体側接触面と配管側接触面のみに限るものではなく、導体部材において導体側接触面を含む広範囲に絶縁処理を施してもよく、冷却配管において配管側接触面を含む広範囲に絶縁処理を施してもよい。
【0037】
また、上述した実施形態では、冷却構造付き導体部材の一例として、導体側接触面11bと配管側接触面12a,22aとの両方に絶縁処理が施された冷却構造付き導体部材1,2が例示されている。しかしながら、冷却構造付き導体部材は、これに限るものではなく、冷却配管を絶縁樹脂等といった非導電性の素材で形成された配管とし、上記のような絶縁処理を行わないこととしてもよい。ただし、上記の絶縁処理を施すことで、冷媒や冷却配管12として、一般的な水や銅配管等を利用することができる点は上述した通りである。
【0038】
また、上述の実施形態では、固定壁の一例として、冷却配管12,22が嵌め込まれる配管溝133が形成された固定璧13,23が例示されている。しかしながら、固定璧は、これに限るものではなく、冷却配管の固定構造として任意の構造を採用し得るものである。ただし、配管溝133の形成により、固定璧13,23に対する電機電子部品E11や導体部材11の固定を妨げることなく冷却配管12,22を固定でき、冷却構造付き導体部材1,2のサイズを小型化することもできる点は上述した通りである。
【0039】
また、上述の実施形態では、固定壁の一例として、装置筐体の一部を構成する壁部分となった固定璧13,23が例示されている。しかしながら、固定璧は、これに限るものではなく、装置筐体とは別部品として設けることとしてもよい。ただし、装置筐体の一部を、冷却配管12,22の固定璧13,23として利用することで製造コストを一層抑えることができる点は上述した通りである。
【0040】
また、上述の実施形態では、冷却構造付き導体部材の一例として、1本の冷却配管12,22が、一対の導体部材11の接続部11aに接触するように途中で曲げられて固定璧13,23に固定された冷却構造付き導体部材1,2が例示されている。しかしながら、冷却構造付き導体部材は、これに限るものではなく、例えば一対の導体部材の接続部に一対一に接触する2本の直管状の冷却配管を設けることとしてもよい。ただし、1本の冷却配管12,22を曲げて一対の導体部材11の接続部11aに接触させる構成によれば、一対の導体部材11の接続部11aを、1本の冷却配管12によって効率的に冷却することができる点は上述した通りである。
【0041】
また、上述の実施形態では、途中で曲げられた冷却配管の一例として、U字状に曲げられた冷却配管12及びW字状に曲げられた冷却配管22が例示されている。しかしながら、冷却配管の曲げ形状は、U字状及びW字状に限るものではなく、一対の導体部材の接続部に接触して冷却可能であれば、任意の曲げ形状を採用し得るものである。ただし、U字状の曲げ形状によれば、曲げ加工の簡易さから製造コストを一層抑えることができ、W字状の曲げ形状によれば、各接続部を2方向から冷却することで冷却効率を向上させることができる点は上述した通りである。
【符号の説明】
【0042】
1,2 冷却構造付き導体部材
11 導体部材
11a 接続部
11b 導体側接触面
12,22 冷却配管
12a,22a 配管側接触面
13 固定璧
111 ネジ貫通孔
121,221 腕部分
122 U字曲げ部分
131 部品対面部
132 導体取付け溝
133 配管溝
222 曲げ部分
222a 折返し端部
222b 直管部分
234 折返し端部保持溝
235 折返し保持リブ
D11 配列方向
D12 厚み方向
D13 幅方向
E1 電気電子部品
E11 部品端子
E12 締結用ネジ
P11 第1接触位置
P12 第2接触位置