(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-19
(45)【発行日】2025-09-30
(54)【発明の名称】プロテクタ
(51)【国際特許分類】
H02G 3/04 20060101AFI20250922BHJP
F16L 57/00 20060101ALI20250922BHJP
B60R 16/02 20060101ALN20250922BHJP
【FI】
H02G3/04 087
F16L57/00 A
B60R16/02 623T
(21)【出願番号】P 2021167793
(22)【出願日】2021-10-13
【審査請求日】2024-07-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】太 彬人
(72)【発明者】
【氏名】横山 悟史
(72)【発明者】
【氏名】小川 真由
(72)【発明者】
【氏名】酒井 大輔
(72)【発明者】
【氏名】横関 敦
【審査官】北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-146669(JP,A)
【文献】特開平07-177633(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
F16L 57/00
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線が収容される電線収容室、前記電線収容室から前記電線を外方に引き出させる電線引出口及び前記電線収容室に前記電線を挿入する電線挿入口を有する本体と、
前記本体に組み付けて前記電線挿入口を塞ぐカバーと、
を備え、
前記本体は、前記電線収容室の底壁部を成す底壁と、前記底壁から各々立設させ且つ互いに間隔を空けて対向配置させた片持ちで且つ前記電線の配索経路に沿って延在させた壁体であり、前記電線収容室の側壁部を成す第1側壁及び第2側壁と、前記底壁よりも前記電線挿入口側に設けた壁体であり、前記第1側壁側の辺部を前記第1側壁に対して隙間を空けて設け、かつ、前記第2側壁側の辺部を前記第2側壁に対して隙間を空けて設けて、前記電線を前記底壁よりも前記電線挿入口側で前記配索経路に沿って配索させる底上げ壁と、前記底壁を前記底上げ壁における前記第1側壁側の辺部に繋ぎ、前記底壁及び前記第1側壁との間で側溝を形成する第1立壁と、前記底壁を前記底上げ壁における前記第2側壁側の辺部に繋ぎ、前記底壁及び前記第2側壁との間で側溝を形成する第2立壁と、を
有し、
それぞれの前記隙間は、各々の前記側溝に前記電線を落ち込ませない間隔に形成され、
前記本体は、前記底壁と前記底上げ壁と前記第1立壁と前記第2立壁とで囲われた前記配索経路の延在方向の一端の開口を塞ぐ第3立壁と、前記底壁と前記底上げ壁と前記第1立壁と前記第2立壁とで囲われた前記配索経路の延在方向の他端の開口を塞ぐ第4立壁と、を有し、
前記底上げ壁と前記第1立壁と前記第2立壁と前記第3立壁と前記第4立壁の組み合わせを隣り合うもの同士の間隔を空けて前記配索経路に沿って複数組設けることを特徴としたプロテクタ。
【請求項2】
電線が収容される電線収容室、前記電線収容室から前記電線を外方に引き出させる電線引出口及び前記電線収容室に前記電線を挿入する電線挿入口を有する本体と、
前記本体に組み付けて前記電線挿入口を塞ぐカバーと、
を備え、
前記本体は、前記電線収容室の底壁部を成す底壁と、前記底壁から各々立設させ且つ互いに間隔を空けて対向配置させた片持ちで且つ前記電線の配索経路に沿って延在させた壁体であり、前記電線収容室の側壁部を成す第1側壁及び第2側壁と、前記底壁よりも前記電線挿入口側に設けた壁体であり、前記第1側壁側の辺部を前記第1側壁に対して隙間を空けて設け、かつ、前記第2側壁側の辺部を前記第2側壁に対して隙間を空けて設けて、前記電線を前記底壁よりも前記電線挿入口側で前記配索経路に沿って配索させる底上げ壁と、前記底壁を前記底上げ壁における前記第1側壁側の辺部に繋ぎ、前記底壁及び前記第1側壁との間で側溝を形成する第1立壁と、前記底壁を前記底上げ壁における前記第2側壁側の辺部に繋ぎ、前記底壁及び前記第2側壁との間で側溝を形成する第2立壁と、を有し、
それぞれの前記隙間は、各々の前記側溝に前記電線を落ち込ませない間隔に形成され、
前記本体は、前記底壁における前記底上げ壁に対する対向配置箇所に形成された主貫通孔と、前記電線収容室を前記主貫通孔に連通させた貫通孔であり、前記第1側壁及び前記第2側壁の対向配置方向に並べた一対の第1排出口及び第2排出口並びに一対の第3排出口及び第4排出口と、を有し、
前記第1排出口は、前記底壁の第1主切欠きと前記第1立壁における前記底壁から前記底上げ壁までの間の第1副切欠きとが連なる貫通孔であり、
前記第2排出口は、前記底壁の第2主切欠きと前記第2立壁における前記底壁から前記底上げ壁までの間の第2副切欠きとが連なる貫通孔であり、
前記第3排出口は、少なくとも前記底壁の第3主切欠きから成る貫通孔であり、
前記第4排出口は、少なくとも前記底壁の第4主切欠きから成る貫通孔であることを特徴としたプロテクタ。
【請求項3】
前記第3排出口は、前記底壁の前記第3主切欠きと前記第1立壁の第3副切欠きとが連なる貫通孔であり、
前記第4排出口は、前記底壁の前記第4主切欠きと前記第2立壁の第4副切欠きとが連なる貫通孔であり、
前記本体は、前記第1立壁の前記第3副切欠きを前記主貫通孔側から囲う第1ガード壁と、前記第2立壁の前記第4副切欠きを前記主貫通孔側から囲う第2ガード壁と、を有し、
前記第1ガード壁は、前記第3副切欠きよりも前記第2立壁側で前記底上げ壁から前記主貫通孔に向けて立設させた第1主壁部と、前記底上げ壁から前記主貫通孔に向けて立設させ、かつ、前記第1主壁部における前記第1側壁及び前記第2側壁の延在方向の一方の端部を前記第1立壁における前記第3主切欠きの一方の周縁に繋ぐ第1副壁部と、前記底上げ壁から前記主貫通孔に向けて立設させ、かつ、前記第1主壁部における前記延在方向の他方の端部を前記第1立壁における前記第3主切欠きの他方の周縁に繋ぐ第2副壁部と、を有し、
前記第2ガード壁は、前記第4副切欠きよりも前記第1立壁側で前記底上げ壁から前記主貫通孔に向けて立設させた第2主壁部と、前記底上げ壁から前記主貫通孔に向けて立設させ、かつ、前記第2主壁部における前記延在方向の一方の端部を前記第2立壁における前記第4主切欠きの一方の周縁に繋ぐ第3副壁部と、前記底上げ壁から前記主貫通孔に向けて立設させ、かつ、前記第2主壁部における前記延在方向の他方の端部を前記第2立壁における前記第4主切欠きの他方の周縁に繋ぐ第4副壁部と、を有することを特徴とした請求項2に記載のプロテクタ。
【請求項4】
前記本体は、前記底壁の前記第3主切欠きと前記第1主壁部における立設方向側の端部との間の開口を前記底上げ壁に対向配置させ、かつ、前記底壁の前記第4主切欠きと前記第2主壁部における立設方向側の端部との間の開口を前記底上げ壁に対向配置させることを特徴とした請求項3に記載のプロテクタ。
【請求項5】
前記本体は、前記底壁にて前記主貫通孔及び前記底上げ壁よりも前記電線引出口側に配置され、かつ、前記電線収容室の中で前記電線引出口側に開口させると共に、前記電線収容室を当該電線収容室の外に連通させる主排出口を有することを特徴とした請求項2,3又は4に記載のプロテクタ。
【請求項6】
前記本体は、前記底壁と前記底上げ壁と前記第1立壁と前記第2立壁とで囲われた前記配索経路の延在方向の一端の開口を塞ぐ第3立壁と、前記底壁と前記底上げ壁と前記第1立壁と前記第2立壁とで囲われた前記配索経路の延在方向の他端の開口を塞ぐ第4立壁と、を有し、
前記底上げ壁と前記第1立壁と前記第2立壁と前記第3立壁と前記第4立壁の組み合わせを隣り合うもの同士の間隔を空けて前記配索経路に沿って複数組設けることを特徴とした請求項2,3又は4に記載のプロテクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロテクタに関する。
【背景技術】
【0002】
ここで示すプロテクタは、電線の保護対象部が収容される電線収容室を有するものであり、その電線収容室に収容されている保護対象部が周辺部品と干渉することを防いでいる。このプロテクタにおいては、電線収容室への水の浸入の可能性を考慮して、電線収容室に入り込んでしまった水を外に排出させる排出口が形成される。例えば、下記の特許文献1に記載のプロテクタは、電線収容室を成す壁体に排出口としての貫通孔が設けられており、電線収容室に入り込んでしまった水をその貫通孔から排出させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電線は、その通電機能という特性上、導体を備えており、また、シールド電線であれば、ノイズ除去機能という特性上、更にシールド用の編組導体を備えている。そして、電線は、原価等の観点から耐水性を持たせることができない場合もあるので、水に濡れさせないことが望ましい。しかしながら、従来のプロテクタは、電線収容室の中を排出口まで流れている水が途中で電線に触れてしまう可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は、電線の水濡れを抑え得るプロテクタを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する為、本発明は、電線が収容される電線収容室、前記電線収容室から前記電線を外方に引き出させる電線引出口及び前記電線収容室に前記電線を挿入する電線挿入口を有する本体と、前記本体に組み付けて前記電線挿入口を塞ぐカバーと、を備え、前記本体は、前記電線収容室の底壁部を成す底壁と、前記底壁から各々立設させ且つ互いに間隔を空けて対向配置させた片持ちで且つ前記電線の配索経路に沿って延在させた壁体であり、前記電線収容室の側壁部を成す第1側壁及び第2側壁と、前記底壁よりも前記電線挿入口側に設けた壁体であり、前記第1側壁側の辺部を前記第1側壁に対して隙間を空けて設け、かつ、前記第2側壁側の辺部を前記第2側壁に対して隙間を空けて設けて、前記電線を前記底壁よりも前記電線挿入口側で前記配索経路に沿って配索させる底上げ壁と、前記底壁を前記底上げ壁における前記第1側壁側の辺部に繋ぎ、前記底壁及び前記第1側壁との間で側溝を形成する第1立壁と、前記底壁を前記底上げ壁における前記第2側壁側の辺部に繋ぎ、前記底壁及び前記第2側壁との間で側溝を形成する第2立壁と、を有し、それぞれの前記隙間は、各々の前記側溝に前記電線を落ち込ませない間隔に形成され、前記本体は、前記底壁と前記底上げ壁と前記第1立壁と前記第2立壁とで囲われた前記配索経路の延在方向の一端の開口を塞ぐ第3立壁と、前記底壁と前記底上げ壁と前記第1立壁と前記第2立壁とで囲われた前記配索経路の延在方向の他端の開口を塞ぐ第4立壁と、を有し、前記底上げ壁と前記第1立壁と前記第2立壁と前記第3立壁と前記第4立壁の組み合わせを隣り合うもの同士の間隔を空けて前記配索経路に沿って複数組設けることを特徴としている。
また、上記目的を達成する為、本発明は、電線が収容される電線収容室、前記電線収容室から前記電線を外方に引き出させる電線引出口及び前記電線収容室に前記電線を挿入する電線挿入口を有する本体と、前記本体に組み付けて前記電線挿入口を塞ぐカバーと、を備え、前記本体は、前記電線収容室の底壁部を成す底壁と、前記底壁から各々立設させ且つ互いに間隔を空けて対向配置させた片持ちで且つ前記電線の配索経路に沿って延在させた壁体であり、前記電線収容室の側壁部を成す第1側壁及び第2側壁と、前記底壁よりも前記電線挿入口側に設けた壁体であり、前記第1側壁側の辺部を前記第1側壁に対して隙間を空けて設け、かつ、前記第2側壁側の辺部を前記第2側壁に対して隙間を空けて設けて、前記電線を前記底壁よりも前記電線挿入口側で前記配索経路に沿って配索させる底上げ壁と、前記底壁を前記底上げ壁における前記第1側壁側の辺部に繋ぎ、前記底壁及び前記第1側壁との間で側溝を形成する第1立壁と、前記底壁を前記底上げ壁における前記第2側壁側の辺部に繋ぎ、前記底壁及び前記第2側壁との間で側溝を形成する第2立壁と、を有し、それぞれの前記隙間は、各々の前記側溝に前記電線を落ち込ませない間隔に形成され、前記本体は、前記底壁における前記底上げ壁に対する対向配置箇所に形成された主貫通孔と、前記電線収容室を前記主貫通孔に連通させた貫通孔であり、前記第1側壁及び前記第2側壁の対向配置方向に並べた一対の第1排出口及び第2排出口並びに一対の第3排出口及び第4排出口と、を有し、前記第1排出口は、前記底壁の第1主切欠きと前記第1立壁における前記底壁から前記底上げ壁までの間の第1副切欠きとが連なる貫通孔であり、前記第2排出口は、前記底壁の第2主切欠きと前記第2立壁における前記底壁から前記底上げ壁までの間の第2副切欠きとが連なる貫通孔であり、前記第3排出口は、少なくとも前記底壁の第3主切欠きから成る貫通孔であり、前記第4排出口は、少なくとも前記底壁の第4主切欠きから成る貫通孔であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るプロテクタにおいては、電線を配索経路に沿って載せ置き可能な底上げ壁が設けられており、この底上げ壁の両脇に、底壁と第1側壁と第1立壁とで囲われた側溝と、底壁と第2側壁と第2立壁とで囲われた側溝と、が形成されている。このため、このプロテクタにおいては、電線収容室の中の水が側溝に案内されるので、底上げ壁に載せ置かれている電線の水濡れを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態のプロテクタを示す分解図である。
【
図2】
図2は、実施形態の車載状態のプロテクタを示す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態の車載状態のプロテクタをカバー側から見た平面図である。
【
図4】
図4は、実施形態の車載状態のプロテクタを側壁部側から見た平面図である。
【
図9】
図9は、実施形態のプロテクタを示す分解斜視図である。
【
図10】
図10は、実施形態のプロテクタを別角度から見た分解斜視図である。
【
図12】
図12は、本体の第1電線引出口側を示す斜視図である。
【
図13】
図13は、本体の第2電線引出口側を示す斜視図である。
【
図14】
図14は、第1排出口と第3排出口を抜き出した斜視図である。
【
図15】
図15は、第2排出口と第4排出口を抜き出した斜視図である。
【
図16】
図16は、実施形態のプロテクタの変形形態を示す分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明に係るプロテクタの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
[実施形態]
本発明に係るプロテクタの実施形態の1つを
図1から
図15に基づいて説明する。
【0011】
図1から
図10の符号1は、本実施形態のプロテクタを示す。このプロテクタ1は、互いに組み付けられる本体10とカバー20とを備える。ここで示す本体10とカバー20は、各々、合成樹脂等の絶縁性材料で成形されている。
【0012】
本体10は、電線We(
図2から
図8)が収容される電線収容室10aを有する(
図1及び
図5から
図9)。そして、この本体10は、その電線収容室10aから電線Weを外方に引き出させる電線引出口10bと、その電線収容室10aに電線Weを挿入する電線挿入口10cと、を有する(
図5から
図9)。カバー20は、この本体10に組み付けて、その電線挿入口10cを塞ぐ(
図1及び
図5から
図9)。
【0013】
ここで示す電線収容室10aは、底壁部と、この底壁部から各々立設させ、かつ、互いに間隔を空けて対向配置させた2箇所の側壁部と、で囲まれた空間である。この電線収容室10aにおいては、その底壁部と2箇所の側壁部とが電線Weの配索経路に沿って形成される。この例示の電線収容室10aの配索経路は、3つの直線状の配索経路(以下、「直線配索経路」という。)を並べたものであり、隣り合う直線配索経路同士を鈍角で交差させて繋いでいる(
図1、
図9及び
図10)。また、ここで示す電線引出口10bは、この電線収容室10aの配索経路の端部に設けられる(
図1、
図9及び
図10)。電線引出口10bは、1箇所又は2箇所に設ける。ここでは、電線収容室10aの配索経路における双方の端部が電線引出口10bとして利用される。また、ここで示す電線挿入口10cは、2箇所の側壁部におけるそれぞれの立設方向側の端部の間に設ける(
図9及び
図10)。
【0014】
本体10は、電線収容室10aの底壁部を成す底壁11を有する(
図1及び
図4から
図11)。ここで示す底壁11は、直線配索経路毎の底壁部(第1底壁部11A、第2底壁部11B、第3底壁部11C)を有する(
図1及び
図11)。第1底壁部11Aは、一端側の直線配索経路を成す底壁部である。第3底壁部11Cは、他端側の直線配索経路を成す底壁部である。第2底壁部11Bは、中間の直線配索経路を成す底壁部であり、第1底壁部11Aと第3底壁部11Cとを繋いでいる。
【0015】
ここで示す第1底壁部11Aは、その主な形状が一端側の直線配索経路に沿って延在させた平板として形成されている。そして、ここで示す第2底壁部11Bは、その主な形状が中間の直線配索経路に沿って延在させた平板として形成されている。この第1底壁部11Aと第2底壁部11Bは、その内の一方に対して当該一方の平面に対する直交方向に他方をオフセットさせ、かつ、その一方の平面に対して他方の平面を傾けている。
【0016】
また、ここで示す第3底壁部11Cは、その主な形状が他端側の直線配索経路に沿って延在させた平板として形成されている。この第3底壁部11Cは、第2底壁部11Bに対して、その壁面同士が鈍角で交差して交わるように配置される。
【0017】
第1底壁部11Aと第2底壁部11Bと第3底壁部11Cは、それぞれに、各々の直線配索経路に沿う2つの辺部を有している。
【0018】
このプロテクタ1においては、車両への設置状態で、第2底壁部11Bが鉛直下方に配置され、この第2底壁部11Bよりも上方に第1底壁部11Aがオフセットされている(
図4)。そして、このプロテクタ1においては、車両への設置状態で、第3底壁部11Cが上方に向けて立ち上げられている(
図4)。具体的に、このプロテクタ1は、第1底壁部11Aの平面に対する直交方向を鉛直方向に合わせると共に、その鉛直方向に対して第2底壁部11Bの平面に対する直交方向を傾け、かつ、その第2底壁部11Bと下記の第1側壁12との交差部が鉛直下方となるように、車両へと設置される。第1底壁部11Aと第2底壁部11Bは、その交差部分にて、なだらかな壁面を持つ連結部11Dで繋がれている(
図1、
図4及び
図11)。
【0019】
本体10は、その底壁11から各々立設させ且つ互いに間隔を空けて対向配置させた片持ちで且つ電線Weの配索経路に沿って延在させた壁体であり、電線収容室10aの側壁部を成す第1側壁12及び第2側壁13を有する(
図1及び
図5から
図9)。この第1側壁12及び第2側壁13は、第1底壁部11Aと第3底壁部11Cとの間に亘って延在させる。よって、第1側壁12は、第1底壁部11Aと第2底壁部11Bと第3底壁部11Cのそれぞれの一方の辺部から立設させている。また、第2側壁13は、第1底壁部11Aと第2底壁部11Bと第3底壁部11Cのそれぞれの他方の辺部から立設させている。
【0020】
本体10においては、底壁11の第1底壁部11Aと第1側壁12と第2側壁13のそれぞれの一方の端部が成す開口を一方の電線引出口10b(以下、「第1電線引出口10b1」という。)として利用し、底壁11の第3底壁部11Cと第1側壁12と第2側壁13のそれぞれの他方の端部が成す開口を他方の電線引出口10b(以下、「第2電線引出口10b2」という。)として利用する(
図1及び
図9)。更に、この本体10においては、底壁11の内壁面11aに間隔を空けて対向配置させた開口であり、第1側壁12と第2側壁13のそれぞれの自由端の間の開口が電線挿入口10cとして利用される(
図5から
図9)。
【0021】
本体10は、底壁11よりも電線挿入口10c側に設けた壁体であり、第1側壁12側の辺部を第1側壁12に対して隙間を空けて設け、かつ、第2側壁13側の辺部を第2側壁13に対して隙間を空けて設けて、電線Weを底壁11よりも電線挿入口10c側で配索経路に沿って配索させる底上げ壁14を有する(
図1及び
図5から
図11)。電線Weは、配索経路に沿って底上げ壁14における電線収容室10a側の壁面14aに載せ置かれる。ここで示す底上げ壁14は、底壁11における第1底壁部11Aと第2底壁部11Bとの間に亘って対向配置させている。この底上げ壁14は、第1底壁部11Aの略中央から第2底壁部11Bにおける第3底壁部11C側の端部の手前までの間で、これらに対向配置させたまま延在させる(
図1)。
【0022】
この底上げ壁14は、配索経路に沿って延在させた平板として形成されており、配索経路に沿う2つの辺部を有している(
図1)。この底上げ壁14における第1側壁12側の一方の辺部は、第1側壁12から略同等の隙間を空けた位置に設けられており、この第1側壁12の延在方向に沿って延在している。また、この底上げ壁14における第2側壁13側の他方の辺部は、第2側壁13から略同等の隙間を空けた位置に設けられており、この第2側壁13の延在方向に沿って延在している。
【0023】
本体10は、底壁11(第1底壁部11A、第2底壁部11B)を底上げ壁14における第1側壁12側の一方の辺部に繋ぎ、底壁11及び第1側壁12との間で側溝Drを形成する第1立壁15Aと、底壁11(第1底壁部11A、第2底壁部11B)を底上げ壁14における第2側壁13側の他方の辺部繋ぎ、底壁11及び第2側壁13との間で側溝Drを形成する第2立壁15Bと、を有する(
図1及び
図5から
図8)。
【0024】
この第1立壁15Aと第2立壁15Bは、各々、底上げ壁14におけるそれぞれの延在方向の一端と他端との間に亘って延在させる。よって、第1側壁12側の一方の側溝Drは、底壁11(第1底壁部11A、第2底壁部11B、連結部11D)と第1側壁12と第1立壁15Aとで囲われた空間であり、配索経路に沿って延在している。また、第2側壁13側の他方の側溝Drは、底壁11(第1底壁部11A、第2底壁部11B、連結部11D)と第2側壁13と第2立壁15Bとで囲われた空間であり、配索経路に沿って延在している。
【0025】
それぞれの側溝Drは、電線収容室10aの中の水を底上げ壁14の壁面14aの上の電線Weに触れさせぬよう設けた溝であり、その電線Weの水濡れを抑止させるものである。よって、第1側壁12と底上げ壁14における第1側壁12側の一方の辺部との間の隙間は、この隙間を開口とする第1側壁12側の側溝Drに電線Weを落ち込ませない間隔に形成される。そして、第2側壁13と底上げ壁14における第2側壁13側の他方の辺部との間の隙間は、この隙間を開口とする第2側壁13側の側溝Drに電線Weを落ち込ませない間隔に形成される。従って、このプロテクタ1においては、電線Weを側溝Drの中の水に触れさせぬように、この電線Weの電線収容室10aの中での位置を規制することができる。具体的に、それぞれの隙間は、第1側壁12と第2側壁13と底上げ壁14のそれぞれの電線収容室10a側の壁面形状と相俟って、側溝Drに電線Weが一部でも侵入することのできない形状に形成しておくことが望ましい。
【0026】
本体10は、底壁11(第1底壁部11A、第2底壁部11B、連結部11D)と底上げ壁14と第1立壁15Aと第2立壁15Bとで囲われた配索経路の延在方向の一端の開口を塞ぐ第3立壁15C(
図1及び
図12)と、底壁11(第1底壁部11A、第2底壁部11B、連結部11D)と底上げ壁14と第1立壁15Aと第2立壁15Bとで囲われた配索経路の延在方向の他端の開口を塞ぐ第4立壁15D(
図1及び
図13)と、を有する。
【0027】
更に、本体10は、底壁11における底上げ壁14に対する対向配置箇所に形成された貫通孔(以下、「主貫通孔」という。)11bを有する(
図1、
図5から
図8、
図10及び
図11)。よって、ここで示す主貫通孔11bは、底壁11における第1底壁部11Aと第2底壁部11Bとの間に亘って形成されている。つまり、この主貫通孔11bは、第1底壁部11Aの略中央から第2底壁部11Bにおける第3底壁部11C側の端部の手前までの間で延在させている(
図10及び
図11)。
【0028】
底壁11(第1底壁部11A、第2底壁部11B)における主貫通孔11bの第1側壁12側の一方の周縁は、この第1側壁12から略同等の間隔を空けた位置に設けられており、この第1側壁12の延在方向に沿って延在させている(
図10及び
図11)。また、底壁11(第1底壁部11A、第2底壁部11B)における主貫通孔11bの第2側壁13側の他方の周縁は、この第2側壁13から略同等の間隔を空けた位置に設けられており、この第2側壁13の延在方向に沿って延在させている(
図10及び
図11)。尚、ここで示す底壁11には、その第1側壁12側の周縁と第2側壁13側の周縁とを繋ぐ補強用のリブ11Eが複数設けられている(
図5から
図7、
図10及び
図11)。
【0029】
ここで示す底上げ壁14の一方の辺部は、底壁11(第1底壁部11A、第2底壁部11B)における主貫通孔11bの第1側壁12側の周縁の上方に配置されている。よって、ここで示す第1立壁15Aは、底壁11(第1底壁部11A、第2底壁部11B)における主貫通孔11bの第1側壁12側の一方の周縁を底上げ壁14における第1側壁12側の一方の辺部に繋いでいる。そして、この第1立壁15Aは、主貫通孔11bと底上げ壁14におけるそれぞれの延在方向の一端と他端との間に亘って延在している。また、ここで示す底上げ壁14の他方の辺部は、底壁11(第1底壁部11A、第2底壁部11B)における主貫通孔11bの第2側壁13側の周縁の上方に配置されている。よって、ここで示す第2立壁15Bは、底壁11(第1底壁部11A、第2底壁部11B)における主貫通孔11bの第2側壁13側の他方の周縁を底上げ壁14における第2側壁13側の他方の辺部に繋いでいる。そして、この第2立壁15Bは、主貫通孔11bと底上げ壁14におけるそれぞれの延在方向の一端と他端との間に亘って延在している。
【0030】
また、ここで示す第3立壁15Cは、主貫通孔11bと底上げ壁14と第1立壁15Aと第2立壁15Bにおけるそれぞれの延在方向の一端から成る開口を塞ぐものとして設けられている。そして、ここで示す第4立壁15Dは、主貫通孔11bと底上げ壁14と第1立壁15Aと第2立壁15Bにおけるそれぞれの延在方向の他端から成る開口を塞ぐものとして設けられている。
【0031】
この本体10においては、底上げ壁14の主貫通孔11b側を通した結束バンド31で電線Weを底上げ壁14に固定させる。その結束バンド31は、底上げ壁14と当該底上げ壁14に載せ置かれた電線Weとに巻き付けた上で、底上げ壁14における主貫通孔11b側の壁面14bと電線Weに締め付けていく(
図6及び
図7)。
【0032】
カバー20は、電線挿入口10cを塞ぐ閉塞壁21を有する(
図1から
図10)。この閉塞壁21は、平板状に形成され、かつ、電線Weの配索経路に沿って延在させる。ここで示す閉塞壁21は、底壁11における第1底壁部11Aと第2底壁部11Bと第3底壁部11Cと連結部11Dに各々間隔を空けて対向配置させた平板部の連接体であり、電線Weの配索経路に沿う2つの辺部を有している。
【0033】
更に、このカバー20は、その閉塞壁21から立設させた片持ちの壁体であり、第1側壁12の自由端に沿って当該第1側壁12の外壁面に対向配置させる第1カバー側壁22と、その閉塞壁21から第1カバー側壁22と同じ向きに立設させた片持ちの壁体であり、第2側壁13の自由端に沿って当該第2側壁13の外壁面に対向配置させる第2カバー側壁23と、を有する(
図1、
図3及び
図5から
図10)。第1カバー側壁22は、閉塞壁21の一方の辺部から立設させている。また、第2カバー側壁23は、閉塞壁21の他方の辺部から立設させている。
【0034】
このプロテクタ1においては、それぞれの電線引出口10b側の端部に、挿通させた電線Weを保護するコルゲートチューブCOTが組み付けられており(
図2から
図4)、そのそれぞれのコルゲートチューブCOTを介してそれぞれの電線引出口10bから電線Weが外方に引き出される。
【0035】
コルゲートチューブCOTは、環状の山部COTaと環状の谷部COTbとが筒軸方向で交互に並べられた筒状体である(
図3及び
図4)。本体10とカバー20は、各々、コルゲートチューブCOTの谷部COTbに嵌め込んで当該コルゲートチューブCOTを保持する当該谷部COTb毎の突起状の嵌合体であり、電線引出口10b側の端部に設けたコルゲート保持部16,24を有している(
図1、
図9及び
図10)。本体10のコルゲート保持部16は、底壁11と第1側壁12と第2側壁13のそれぞれの内壁面11a,12a,13aから突出させている。カバー20のコルゲート保持部24は、閉塞壁21の内壁面21aから突出させている(
図10)。
【0036】
ここで示すコルゲート保持部16,24は、円弧状に形成された円弧部を内周部として少なくとも有するものであり(
図9及び
図10)、それぞれの円弧部を円環状の谷部COTbに嵌合させる。但し、ここで示すコルゲート保持部16の内周部には、円弧部の両端から電線挿入口10cに向けて延在させ、その円弧部まで谷部COTbを案内させると共に当該谷部COTbに嵌め込ませるガイド部が設けられている。つまり、コルゲート保持部16は、その内周部がU字状に形成されている。そのガイド部は、第1側壁12と第2側壁13のそれぞれの内壁面12a,13aから突出させた突起部である。ここでは、1つの円環状の谷部COTbに対して一対のコルゲート保持部16,24を嵌合させる。この一対のコルゲート保持部16,24は、電線収容室10aの室内から電線引出口10b側に向けて、谷部COTb毎に複数並べられている。
【0037】
このプロテクタ1は、本体10とカバー20との間に、これらを組付け状態のまま保持させるロック機構40を備えている(
図1から
図4、
図9及び
図10)。このロック機構40は、複数箇所に設けている。このロック機構40は、本体10に設けた第1係止体41と、カバー20に設けた第2係止体42と、を備える。このロック機構40は、第1係止体41と第2係止体42の内の少なくとも一方が有する爪部を相手方に引っ掛けて係止させることによって、本体10とカバー20を組付け状態のまま保持させる。
【0038】
ここで示す本体10には、第1側壁12と第2側壁13のそれぞれの外壁面に第1係止体41を設けている。そして、ここで示すカバー20には、第1カバー側壁22と第2カバー側壁23から各々立設方向に向けて突出させた第2係止体42を設けている。このロック機構40においては、第2係止体42に爪部42aを設けている(
図2、
図9及び
図10)。
【0039】
このプロテクタ1においては、本体10とコルゲートチューブCOTの間やカバー20とコルゲートチューブCOTの間から外の水が電線収容室10aに入り込む可能性を考慮して、その入り込んだ水を電線収容室10aの外に排出させる排出口(以下、「主排出口」という。)17を設けている(
図1及び
図10から
図13)。この主排出口17は、本体10に設ける。この主排出口17は、底壁11にて主貫通孔11b及び底上げ壁14よりも電線引出口10b側に配置され、かつ、電線収容室10aの中で電線引出口10b側に開口させると共に、この電線収容室10aを当該電線収容室10aの外に連通させるものとして形成される。この主排出口17は、それぞれの電線引出口10b側に1つずつ設ける。
【0040】
第1電線引出口10b1側の主排出口17は、底壁11の第1底壁部11Aに設ける(
図1及び
図12)。この第1電線引出口10b1側の主排出口17は、その第1底壁部11Aの一部を内壁面11a側から凹ませた凹部17aに設けている。この凹部17aは、第1電線引出口10b1側の水を主排出口17に集めるべく、この第1電線引出口10b1側の水を主排出口17まで案内する傾斜面17a
1,17a
2を有している。一方の傾斜面17a
1は、第1側壁12側から主排出口17に向けて傾斜させた壁面である。他方の傾斜面17a
1は、第2側壁13側から主排出口17に向けて傾斜させた壁面である。
【0041】
第2電線引出口10b2側の主排出口17は、底壁11の第2底壁部11Bに設ける(
図1及び
図13)。この第2電線引出口10b2側の主排出口17は、その第2底壁部11Bの一部を内壁面11aよりも膨出させた膨出部17bに設けている。本体10には、この膨出部17bの主排出口17に第2電線引出口10b2側の水を集めるべく、この第2電線引出口10b2側の水を主排出口17に案内する突起部17c,17dが第2底壁部11Bの内壁面11aに形成されている。一方の突起部17cは、第1側壁12側から主排出口17に向けて傾斜させた傾斜面17c
1を有している。他方の突起部17dは、第2側壁13側から主排出口17に向けて傾斜させた傾斜面17d
1を有している。
【0042】
このプロテクタ1においては、例えば、第1電線引出口10b1側から電線収容室10aに入り込んだ水が凹部17aに伝わり、この凹部17aを経て、第1電線引出口10b1側の主排出口17から電線収容室10aの外に排出される。また、このプロテクタ1においては、例えば、第2電線引出口10b2側から電線収容室10aに入り込んだ水が第2底壁部11Bの内壁面11aと突起部17c,17dに案内されて第2電線引出口10b2側の主排出口17に伝わり、この主排出口17から電線収容室10aの外に排出される。
【0043】
このプロテクタ1においては、その主排出口17で排出しきれなかった水、本体10とカバー20の合わせ面から電線収容室10aに入り込んできた水が底上げ壁14の両脇の側溝Drに流れ込む(
図1及び
図5から
図9)。これにより、このプロテクタ1においては、これらの水による電線Weの水濡れを抑止することができる。
【0044】
更に、このプロテクタ1においては、その側溝Drに水が溜め込まれないように、この側溝Drの水を電線収容室10aの外に排出させるための排出口を設けている。本体10は、その排出口として、電線収容室10aを主貫通孔11bに連通させた貫通孔であり、第1側壁12及び第2側壁13の対向配置方向に並べた一対の第1排出口18A及び第2排出口18B並びに一対の第3排出口18C及び第4排出口18Dを有している(
図1及び
図11)。この一対の第1排出口18A及び第2排出口18Bと一対の第3排出口18C及び第4排出口18Dは、それぞれの主排出口17の間に設ける。ここで示す一対の第1排出口18A及び第2排出口18Bは、主貫通孔11bにおける延在方向の一端と他端に1組ずつ設けている。また、ここで示す一対の第3排出口18C及び第4排出口18Dは、底壁11の第2底壁部11Bにおける第1底壁部11A側(連結部11D側)の端部に1組設けている。
【0045】
第1排出口18Aは、底壁11(第1底壁部11A、第2底壁部11B)の第1主切欠き18A
1と第1立壁15Aにおける底壁11から底上げ壁14までの間の第1副切欠き18A
2とが連なる貫通孔である(
図6、
図7及び
図14)。そして、この第1排出口18Aは、結束バンド31の挿通孔を兼ねる貫通孔でもある。また、第2排出口18Bは、底壁11(第1底壁部11A、第2底壁部11B)の第2主切欠き18B
1と第2立壁15Bにおける底壁11から底上げ壁14までの間の第2副切欠き18B
2とが連なる貫通孔である(
図6、
図7及び
図15)。そして、この第2排出口18Bは、結束バンド31の挿通孔を兼ねる貫通孔でもある。
【0046】
このプロテクタ1においては、第1電線引出口10b1側の主排出口17で排出しきれなかった水、本体10とカバー20の合わせ面から電線収容室10aに入り込んできた水がそれぞれの側溝Drに流れ込むと、その水が第1電線引出口10b1側の一対の第1排出口18A及び第2排出口18Bにおける第1主切欠き18A1と第2主切欠き18B1から電線収容室10aの外に排出される。そして、このプロテクタ1においては、それぞれの側溝Drに流れ込む水量が多い場合、第1電線引出口10b1側の一対の第1排出口18A及び第2排出口18Bにおける第1副切欠き18A2と第2副切欠き18B2からも水が排出される。このプロテクタ1においては、第1電線引出口10b1側の一対の第1排出口18A及び第2排出口18Bで排出しきれなかった水、本体10とカバー20の合わせ面から電線収容室10aに入り込んできた水が例えば車両の走行振動等で側溝Drの中を流れながら、連結部11Dを介して第2底壁部11Bに伝わる。このプロテクタ1においては、その水を一対の第3排出口18C及び第4排出口18Dから排出させる。
【0047】
また、このプロテクタ1においては、第2電線引出口10b2側の主排出口17で排出しきれなかった水、本体10とカバー20の合わせ面から電線収容室10aに入り込んできた水がそれぞれの側溝Drに流れ込むと、その水が第2電線引出口10b2側の一対の第1排出口18A及び第2排出口18Bにおける第1主切欠き18A1と第2主切欠き18B1から電線収容室10aの外に排出される。そして、このプロテクタ1においては、それぞれの側溝Drに流れ込む水量が多い場合、第2電線引出口10b2側の一対の第1排出口18A及び第2排出口18Bにおける第1副切欠き18A2と第2副切欠き18B2からも水が排出される。このプロテクタ1においては、第2電線引出口10b2側の一対の第1排出口18A及び第2排出口18Bで排出しきれなかった水、本体10とカバー20の合わせ面から電線収容室10aに入り込んできた水が例えば車両の走行振動等によって側溝Drの中で連結部11D側まで流れていく。このプロテクタ1においては、その水を一対の第3排出口18C及び第4排出口18Dから排出させる。
【0048】
第3排出口18Cは、少なくとも底壁11(第2底壁部11B)の第3主切欠き18C
1から成る貫通孔である(
図8及び
図14)。また、第4排出口18Dは、少なくとも底壁11(第2底壁部11B)の第4主切欠き18D
1から成る貫通孔である(
図8及び
図15)。このプロテクタ1においては、側溝Drを流れてきた水がその第3主切欠き18C
1と第4主切欠き18D
1から電線収容室10aの外に排出される。
【0049】
底壁11(第2底壁部11B)には、内壁面11aを凹ませた凹部11cが形成されており(
図1、
図9及び
図14)、この凹部11cに第3主切欠き18C
1が形成されている。また、底壁11(第2底壁部11B)には、内壁面11aを凹ませた凹部11dが形成されており(
図1、
図9及び
図15)、この凹部11dに第4主切欠き18D
1が形成されている。本体10においては、側溝Drの水がその凹部11c、11dに集められて、第3排出口18Cや第4排出口18Dから電線収容室10aの外に排出される。
【0050】
ここで、本体10においては、第3排出口18Cが第3主切欠き18C1のみから成り、かつ、第4排出口18Dが第4主切欠き18D1のみから成る場合、その第3排出口18Cに向けて第1立壁15Aが底上げ壁14から立設され、かつ、その第4排出口18Dに向けて第2立壁15Bが底上げ壁14から立設されることになる(図示略)。このため、この本体10においては、例えば、その第1立壁15Aや第2立壁15Bが目印となって、第3排出口18Cや第4排出口18Dへの結束バンド31の差し込みを回避することができるので、結束バンド31の誤組付けの抑止が可能になる。更に、この本体10においては、その第1立壁15Aや第2立壁15Bが主貫通孔11b側で壁となり、主貫通孔11b側から向かってきた水の第3排出口18Cや第4排出口18Dへの浸入経路を規制する。よって、この本体10においては、その第1立壁15Aや第2立壁15Bが外からの水の浸入を抑えるガード壁として機能し、外の水が第3排出口18Cや第4排出口18Dから電線収容室10aの中に入り込み難くなっているので、第3排出口18Cや第4排出口18Dを介した外の水の浸入を抑制することができる。
【0051】
このような第3排出口18Cや第4排出口18Dが設けられている本体10においては、その第3排出口18Cや第4排出口18Dに対して結束バンド31を差し込めないように、孔の大きさを結束バンド31の肉厚よりも薄くするなど、結束バンド31の差し込みが不能な形状に第3排出口18Cと第4排出口18Dを形成することが望ましい。そして、この本体10は、このような形状の第3排出口18Cと第4排出口18Dを有することによって、第3排出口18Cや第4排出口18Dを介した外の水の浸入抑制効果を高めることができる。
【0052】
ここで示す第3排出口18Cは、底壁11(第2底壁部11B)の第3主切欠き18C
1と第1立壁15Aの第3副切欠き18C
2とが連なる貫通孔として形成されている(
図8及び
図14)。また、ここで示す第4排出口18Dは、底壁11(第2底壁部11B)の第4主切欠き18D
1と第2立壁15Bの第4副切欠き18D
2とが連なる貫通孔として形成されている(
図8及び
図15)。そして、ここで示す本体10は、その第3副切欠き18C
2を主貫通孔11b側から囲う壁体であり、外からの水の浸入を抑える第1ガード壁19Aと、その第4副切欠き18D
2を主貫通孔11b側から囲う壁体であり、外からの水の浸入を抑える第2ガード壁19Bと、を有している(
図8及び
図11)。
【0053】
第1ガード壁19Aは、第3副切欠き18C
2よりも第2立壁15B側で底上げ壁14から主貫通孔11bに向けて立設させた第1主壁部19A
1を有している(
図8及び
図14)。この第1主壁部19A
1は、第1側壁12や第3副切欠き18C
2に対して間隔を空けて対向配置させ、かつ、その第1側壁12の延在方向に沿って延在させる。第1ガード壁19Aは、更に、底上げ壁14から主貫通孔11bに向けて立設させ、かつ、第1主壁部19A
1における延在方向の一方の端部を第1立壁15Aにおける第3主切欠き18C
1の一方の周縁に繋ぐ第1副壁部19A
2と、底上げ壁14から主貫通孔11bに向けて立設させ、かつ、第1主壁部19A
1における延在方向の他方の端部を第1立壁15Aにおける第3主切欠き18C
1の他方の周縁に繋ぐ第2副壁部19A
3と、を有している(
図14)。この第1主壁部19A
1と第1副壁部19A
2と第2副壁部19A
3は、その端部を主貫通孔11bまで延在させている。
【0054】
第2ガード壁19Bは、第4副切欠き18D
2よりも第1立壁15A側で底上げ壁14から主貫通孔11bに向けて立設させた第2主壁部19B
1を有している(
図8及び
図15)。この第2主壁部19B
1は、第2側壁13や第4副切欠き18D
2に対して間隔を空けて対向配置させ、かつ、その第2側壁13の延在方向に沿って延在させる。第2ガード壁19Bは、更に、底上げ壁14から主貫通孔11bに向けて立設させ、かつ、第2主壁部19B
1における延在方向の一方の端部を第2立壁15Bにおける第4主切欠き18D
1の一方の周縁に繋ぐ第3副壁部19B
2と、底上げ壁14から主貫通孔11bに向けて立設させ、かつ、第2主壁部19B
1における延在方向の他方の端部を第2立壁15Bにおける第4主切欠き18D
1の他方の周縁に繋ぐ第4副壁部19B
3と、を有している(
図15)。この第2主壁部19B
1と第3副壁部19B
2と第4副壁部19B
3は、その端部を主貫通孔11bまで延在させている。
【0055】
本体10においては、例えば、この第1ガード壁19Aや第2ガード壁19Bが目印となって、また、この第1ガード壁19Aや第2ガード壁19Bに結束バンド31が引っ掛かって、第3排出口18Cや第4排出口18Dへの結束バンド31の差し込みを回避することができるので、結束バンド31の誤組付けの抑止が可能になる。更に、この本体10においては、この第1ガード壁19Aや第2ガード壁19Bが主貫通孔11b側から向かってきた水の第3排出口18Cや第4排出口18Dへの浸入経路を規制する。よって、この本体10においては、この第1ガード壁19Aや第2ガード壁19Bが外からの水の浸入を抑えるものとなり、外の水が第3排出口18Cや第4排出口18Dから電線収容室10aの中に入り込み難くなっているので、第3排出口18Cや第4排出口18Dを介した外の水の浸入を抑制することができる。
【0056】
この本体10は、底壁11(第2底壁部11B)の第3主切欠き18C
1と第1ガード壁19Aの第1主壁部19A
1における立設方向側の端部との間の開口を底上げ壁14に対向配置させ、かつ、底壁11(第2底壁部11B)の第4主切欠き18D
1と第2ガード壁19Bの第2主壁部19B
1における立設方向側の端部との間の開口を底上げ壁14に対向配置させている(
図8及び
図11)。つまり、底上げ壁14は、第3主切欠き18C
1と第1主壁部19A
1の端部との間の開口に対向配置させた第1対向部14cと、第4主切欠き18D
1と第2主壁部19B
1の端部との間の開口に対向配置させた第2対向部14dと、を有している。
【0057】
この本体10においては、第3副切欠き18C2に対して第2立壁15B側にオフセットさせた第1主壁部19A1と第4副切欠き18D2に対して第1立壁15A側にオフセットさせた第2主壁部19B1と底上げ壁14における第1対向部14c及び第2対向部14dとによって、第3排出口18Cや第4排出口18Dへの結束バンド31の差し込み方向が規制されるので、第1ガード壁19Aや第2ガード壁19Bに結束バンド31が引っ掛かり易くなる。よって、この本体10においては、結束バンド31の誤組付けの抑止効果を高めることができる。更に、この本体10においては、第3排出口18Cや第4排出口18Dから入り込んできた水を底上げ壁14の第1対向部14cや第2対向部14dが壁になって止めることができるので、第3排出口18Cや第4排出口18Dを介した外の水の浸入抑制効果を高めることができる。
【0058】
以上示したように、本実施形態のプロテクタ1においては、電線Weを配索経路に沿って載せ置き可能な底上げ壁14が設けられており、この底上げ壁14の両脇に、底壁11(第1底壁部11A、第2底壁部11B、連結部11D)と第1側壁12と第1立壁15Aとで囲われた側溝Drと、底壁11(第1底壁部11A、第2底壁部11B、連結部11D)と第2側壁13と第2立壁15Bとで囲われた側溝Drと、が形成されている。このため、このプロテクタ1においては、電線収容室10aの中の水が側溝Drに案内されるので、底上げ壁14に載せ置かれている電線Weの水濡れを抑えることができる。
【0059】
更に、本実施形態のプロテクタ1においては、底上げ壁14よりも電線引出口10b側の水を側溝Drに導き入れる前に主排出口17から電線収容室10aの外に排出させる。このため、このプロテクタ1においては、底上げ壁14側に流れる水の量を主排出口17で減らしてから側溝Drに導き入れるので、その底上げ壁14に載せ置かれている電線Weの水濡れ抑制効果を高めることができる。
【0060】
また更に、本実施形態のプロテクタ1においては、側溝Drの水を一対の第1排出口18A及び第2排出口18Bと一対の第3排出口18C及び第4排出口18Dから電線収容室10aの外に排出させる。このため、このプロテクタ1においては、側溝Drでの水溜を抑止でき、例えば、車両の走行振動等に起因した側溝Drの水の跳ね上がりを抑えることができるので、底上げ壁14に載せ置かれている電線Weの水濡れ抑制効果を高めることができる。
【0061】
また更に、本実施形態のプロテクタ1においては、一対の第1排出口18A及び第2排出口18Bが結束バンド31の挿通孔を兼務しているが、その第1排出口18Aの第1副切欠き18A2が第1立壁15Aにて底壁11と底上げ壁14との間に亘って形成され、かつ、その第2排出口18Bの第2副切欠き18B2が第2立壁15Bにて底壁11と底上げ壁14との間に亘って形成されている。このため、このプロテクタ1においては、結束バンド31を底上げ壁14における主貫通孔11b側の壁面14bと電線Weに締め付けることができるので、第1排出口18Aと第2排出口18Bに結束バンド31が存在していたとしても、この第1排出口18Aと第2排出口18Bに水抜き用の孔を残すことができる。例えば、第1排出口18Aと第2排出口18Bにおいては、少なくとも第1主切欠き18A1と第2主切欠き18B1とが水抜き用の孔として残る。従って、このプロテクタ1においては、一対の第1排出口18A及び第2排出口18Bに結束バンド31の挿通孔を兼務させたとしても、この一対の第1排出口18A及び第2排出口18Bによる水の排出機能が阻害されず、側溝Drの水を一対の第1排出口18A及び第2排出口18Bから排出させることができるので、底上げ壁14に載せ置かれている電線Weの水濡れ抑制効果を高めることができる。
【0062】
また更に、本実施形態のプロテクタ1においては、一対の第3排出口18C及び第4排出口18Dに連なるガード壁(第1立壁15A又は第1ガード壁19A、第2立壁15B又は第2ガード壁19B)が存在しているので、この一対の第3排出口18C及び第4排出口18Dを利用した結束バンド31の誤組付けを抑止することができる。このため、このプロテクタ1においては、一対の第3排出口18C及び第4排出口18Dをそのまま水抜き用の孔として利用でき、側溝Drの水を一対の第3排出口18C及び第4排出口18Dから排出させることができるので、底上げ壁14に載せ置かれている電線Weの水濡れ抑制効果を高めることができる。そして、このプロテクタ1においては、そのガード壁の存在によって、第3排出口18Cや第4排出口18Dを介した外の水の浸入を抑制できるので、この点からも、底上げ壁14に載せ置かれている電線Weの水濡れ抑制効果を高めることができる。
【0063】
ところで、本実施形態のプロテクタ1は、その本体10に、底上げ壁14と第1立壁15Aと第2立壁15Bと第3立壁15Cと第4立壁15Dの組み合わせを1組設けるものとして示している。しかしながら、ここでは、その組み合わせを本体10に複数組設けてもよい。
【0064】
その本体10は、底上げ壁14と第1立壁15Aと第2立壁15Bと第3立壁15Cと第4立壁15Dの組み合わせを隣り合うもの同士の間隔を空けて配索経路に沿って複数組設けたものである。よって、この本体10においては、隣り合う2組の組み合わせの間に、その間の底壁11と一方の組み合わせにおける第4立壁15Dと他方の組み合わせにおける第3立壁15Cとで形成され、第1側壁12側の一方の側溝Drと第2側壁13側の他方の側溝Drとを連通させる連通溝Drcが形成される(
図16)。例えば、この本体10を備えるプロテクタ2においては、登坂路等の路面の勾配で車両が傾いたときに、上方の一方の側溝Drの水を連通溝Drcから下方の他方の側溝Drに流すことができる。つまり、このプロテクタ2は、車両が傾いたときに、上方の一方の側溝Drの水を底上げ壁14の壁面14aの上に漏らすことなく連通溝Drcから下方の他方の側溝Drに移動させることができる。従って、このプロテクタ2は、その底上げ壁14の壁面14aに載せ置かれている電線Weの水濡れ抑制効果を高めることができる。
【0065】
ここで示す本体10は、底上げ壁14と第1立壁15Aと第2立壁15Bと第3立壁15Cと第4立壁15Dの組み合わせが2組設けられ、その間に1つの連通溝Drcが形成されている(
図16)。ここで示す連通溝Drcは、底壁11の第2底壁部11Bにおける第1底壁部11A側(連結部11D側)の端部に設けている。尚、この本体10は、先に例示したものとは異なり、第3排出口18Cと第4排出口18Dと凹部11c、11dを設けていない。
【符号の説明】
【0066】
1,2 プロテクタ
10 本体
10a 電線収容室
10b 電線引出口
10c 電線挿入口
11 底壁
11b 主貫通孔
12 第1側壁
13 第2側壁
14 底上げ壁
14a 壁面
15A 第1立壁
15B 第2立壁
15C 第3立壁
15D 第4立壁
17 主排出口
18A 第1排出口
18A1 第1主切欠き
18A2 第1副切欠き
18B 第2排出口
18B1 第2主切欠き
18B2 第2副切欠き
18C 第3排出口
18C1 第3主切欠き
18C2 第3副切欠き
18D 第4排出口
18D1 第4主切欠き
18D2 第4副切欠き
19A 第1ガード壁
19A1 第1主壁部
19A2 第1副壁部
19A3 第2副壁部
19B 第2ガード壁
19B1 第2主壁部
19B2 第3副壁部
19B3 第4副壁部
20 カバー
Dr 側溝
Drc 連通溝
We 電線