(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-19
(45)【発行日】2025-09-30
(54)【発明の名称】衣類自動洗浄装置
(51)【国際特許分類】
D06F 17/04 20060101AFI20250922BHJP
D06F 34/18 20200101ALI20250922BHJP
D06F 73/02 20060101ALI20250922BHJP
【FI】
D06F17/04
D06F34/18
D06F73/02
(21)【出願番号】P 2021177916
(22)【出願日】2021-10-29
【審査請求日】2024-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】波戸 成典
(72)【発明者】
【氏名】北山 直樹
【審査官】伊藤 孝佑
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-143744(JP,A)
【文献】特開2000-157941(JP,A)
【文献】特開2005-118462(JP,A)
【文献】特開2019-037385(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0026313(US,A1)
【文献】英国特許出願公開第02232068(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 17/04
D06F 34/18
D06F 73/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類を筐体に収容して所定の操作を行うことにより、前記衣類の洗浄が自動的に行える衣類自動洗浄装置であって、
前記筐体は、
前記衣類を吊した状態で収容する衣類収容室と、
前記衣類を洗浄する衣類洗浄機構と、
前記衣類洗浄機構の動作を制御する制御装置と、
ユーザが操作することによって前記制御装置を操作する操作装置と、
を備え、
前記衣類洗浄機構は、
先端に設けられた拭取口を通じて外部と連通する吸込スペースが内部に設けられていて、当該吸込スペースに、噴射ノズルが前記拭取口を指向するように設置されている洗浄ヘッドと、
前記噴射ノズルに送水チューブを通じて給水タンクに貯まる洗浄水を送水する給水ポンプと、
耐圧ホースを通じて前記吸込スペースの中を吸引する吸引装置と、
前記衣類収容室の内部の上下、左右、および、前後の3方向に前記洗浄ヘッドを移動させるヘッド移動装置と、
を有し、
前記操作装置は、前記衣類の洗浄対象部位の特定を可能にするモニターを前記筐体に有し、
前記制御装置が、前記操作装置の操作に応じて、
前記給水ポンプは作動させずに前記吸引装置を作動させ、前記拭取口を前記衣類の一部に吸着させた状態で、前記洗浄ヘッドを前記衣類の全域あるいはその一部にわたって移動させる吸引処理と、
前記給水ポンプおよび前記吸引装置の双方を作動させ、前記拭取口を前記衣類の一部に吸着させながら前記衣類の一部に前記洗浄水を噴射した状態で、前記洗浄ヘッドを前記衣類の洗浄対象部位に限って移動させる部分洗浄処理と、
を実行する、衣類自動洗浄装置。
【請求項2】
請求項1に記載の衣類自動洗浄装置において、
前記吸引装置は、
吸引力を発生させる吸引モータと、
前記吸引モータと前記耐圧ホースとの間に配置された気液分離機構と、
前記気液分離機構で分離される排水を貯める排水タンクと、
を有している、衣類自動洗浄装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の衣類自動洗浄装置において、
前記制御装置は、
前記洗浄ヘッドを下方から上方に移動させる上昇過程では前記吸引装置を作動させないで、前記洗浄ヘッドを上方から下方に移動させる下降過程で、前記拭取口を前記衣類に接触させた状態で前記吸引装置を作動させる、衣類自動洗浄装置。
【請求項4】
請求項3に記載の衣類自動洗浄装置において、
前記制御装置は、前記洗浄ヘッドを左右方向に移動させる過程では、前記拭取口の横幅以下のピッチで前記洗浄ヘッドを移動させ、目標とする左右方向の位置に達するまで、前記ピッチを移動する毎に前記上昇過程と前記下降過程とを繰り返す、衣類自動洗浄装置。
【請求項5】
請求項4に記載の衣類自動洗浄装置において、
前記制御装置は、前記下降過程に引き続いて、前記衣類から前記拭取口が離れるように前記洗浄ヘッドを後退させる後退過程を実行し、前記上昇過程に引き続いて、前記拭取口が前記衣類に接するように前記洗浄ヘッドを前進させる前進過程を実行する、衣類自動洗浄装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つに記載の衣類自動洗浄装置において、
前記筐体は、吊された状態の前記衣類を撮影するカメラを更に備え、
前記モニターは、前記カメラによって撮影される前記衣類を表示し、
前記衣類の洗浄対象部位の特定が、前記モニターに表示された前記衣類に基づいて行われる、衣類自動洗浄装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1つに記載の衣類自動洗浄装置において、
前記部分洗浄処理を実行する場合、前記制御装置が、当該部分洗浄処理の前処理として前記吸引処理を実行する、衣類自動洗浄装置。
【請求項8】
請求項3~5のいずれか1つに記載の衣類自動洗浄装置において、
前記部分洗浄処理の前記下降過程は、前記吸引処理の前記下降過程を含む他のいずれの過程よりも、前記洗浄ヘッドが遅く移動するように設定されている、衣類自動洗浄装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1つに記載の衣類自動洗浄装置において、
前記洗浄ヘッドは、前記ヘッド移動装置に着脱可能に取り付けられていて、
前記操作装置の操作により、前記ヘッド移動装置から独立した状態で、前記給水ポンプは作動させずに前記吸引装置を作動させる手動吸引処理と、前記給水ポンプおよび前記吸引装置の双方を作動させる手動洗浄処理とが実行可能な、衣類自動洗浄装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1つに記載の衣類自動洗浄装置において、
前記洗浄ヘッドおよび前記ヘッド移動装置が、前記衣類の両側に位置するように、前記衣類収容室に2つ設置されている、衣類自動洗浄装置。
【請求項11】
請求項10に記載の衣類自動洗浄装置において、
前記拭取口が前記衣類に吸着している状態では、双方の前記拭取口が前記衣類を挟んで重ならないように設定されている、衣類自動洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示する技術は、背広等の衣類に好適な一般家庭向けの自動洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
背広等の衣類は、型崩れやシワが発生するため、家庭用洗濯機では洗浄できないものが多い。そのため、そのような衣類の洗浄は、専門のクリーニング業者に委ねるのが一般的である。
【0003】
それに対し、このような衣類の洗浄を、家庭でも手軽に行えるようにする技術は、これまでも検討されている。例えば、特許文献1には、このような衣類の全体を自動的に洗浄できる衣類洗浄装置が開示されている。
【0004】
具体的には、その衣類洗浄装置の縦長なケースに、衣類をハンガーに吊した状態で収容する収容部が備えられていて、その収容部に、送水ポンプで洗浄水を循環させながら衣類に向けて噴射する衣類洗浄部が設置されている。衣類洗浄部は、衣類を間に挟んだ状態で対向するように配置された横長な噴射部と回収部とを有している。
【0005】
噴射部には、複数の噴射口が横方向に一定の間隔で配列されている。洗浄時には、これら噴射口から衣類に向けて洗浄水を噴射し、衣類を通過した洗浄水を回収部が回収しながら、これらが上下に移動するように構成されている。
【0006】
衣類洗浄部が更に吸引ポンプを有し、回収部が洗浄水を吸引できるようにした形態(形態2)も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の衣類洗浄装置は、改善の余地があり、実用化も容易でない。
【0009】
例えば、特許文献1の衣類洗浄装置では、衣類の幅方向の全域に洗浄水が当たるように洗浄水を噴射しなければならないので、多量でなくとも、それ相応の量の洗浄水を循環させる必要がある。衣類の幅方向の全域に洗浄水が均等に当たるように噴射するのも難しい。
【0010】
また、通常は衣類の横幅は上下で異なるが、その衣類の幅方向の全域、つまり衣類の最大幅よりも広い範囲に洗浄水が当たるように洗浄水を噴射するので、噴射した洗浄水のうち、一部の洗浄水は衣類に当たらず、そのまま回収される。つまり、無駄になる洗浄水の噴射がある。
【0011】
回収部が洗浄水を吸引する形態においても、衣類を介さずに直接洗浄水を吸引する場合があり、洗浄水の無駄を促進する。洗浄水を適切に回収して必要な循環量を確保するためには、洗浄水を溜める比較的大きなタンクも必要である。
【0012】
衣類に当たって衣類を通過しない洗浄水は、衣類に留まって垂れ落ちることになる。それにより、衣類の下部に洗浄水と共に汚れが集まるので、衣類の下部に染みなどが発生し易い。衣類全体が水浸しになるので乾燥させるのも大変である。従って、特許文献1の衣類洗浄装置は、改善の余地があり、実用化も容易でない。
【0013】
一方、背広等の衣類の日常的な汚れには、抜け毛、フケ、埃などが衣類の表面に付着することによって形成される汚れ(付着汚れ)と、ソース汚れなどが衣類に染み込むことによって形成される汚れ(染み汚れ)とがある。
【0014】
付着汚れの場合、特許文献1の衣類洗浄装置のように洗浄水を噴射すると、濡れた汚れが衣類に強固に付着してしまうおそれがある。また、背広等の上着の場合、ソース汚れのような、突発的かつ局所的に激しく汚れる部分的な染み汚れ(部分汚れ)が、洗浄の対象となり易い。そのような部分汚れに対し、特許文献1の衣類洗浄装置のように衣類全体を洗浄すると、非効率である。また、部分汚れを衣類に拡散してしまうおそれもある。
【0015】
開示する技術の目的は、衣類の全体的および部分的な汚れの双方を、手軽に効率的かつ効果的に自動洗浄できる装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
開示する技術は、衣類を筐体に収容して所定の操作を行うことにより、前記衣類の洗浄が自動的に行える衣類自動洗浄装置に関する。
【0017】
前記筐体は、前記衣類を吊した状態で収容する衣類収容室と、前記衣類を洗浄する衣類洗浄機構と、前記衣類洗浄機構の動作を制御する制御装置と、前記制御装置を操作する操作装置と、を備える。
【0018】
前記衣類洗浄機構は、先端に設けられた拭取口を通じて外部と連通する吸込スペースが内部に設けられていて、当該吸込スペースに、噴射ノズルが前記拭取口を指向するように設置されている洗浄ヘッドと、前記噴射ノズルに送水チューブを通じて給水タンクに貯まる洗浄水を送水する給水ポンプと、耐圧ホースを通じて前記吸込スペースの中を吸引する吸引装置と、前記衣類収容室の内部の上下、左右、および、前後の3方向に前記洗浄ヘッドを移動させるヘッド移動装置と、を有している。
【0019】
前記操作装置は、前記衣類の洗浄対象部位の特定を可能にするモニターを前記筐体に有している。そして、前記制御装置が、前記操作装置の操作に応じて、前記給水ポンプは作動させずに前記吸引装置を作動させ、前記拭取口を前記衣類の一部に吸着させた状態で、前記洗浄ヘッドを前記衣類の全域あるいはその一部にわたって移動させる吸引処理と、前記給水ポンプおよび前記吸引装置の双方を作動させ、前記拭取口を前記衣類の一部に吸着させながら前記衣類の一部に前記洗浄水を噴射した状態で、前記洗浄ヘッドを前記衣類の洗浄対象部位に限って移動させる部分洗浄処理と、を実行する。
【0020】
すなわち、この衣類の自動洗浄装置によれば、衣類を吊した状態で衣類収容室に収容することで洗浄が行えるので、クロゼットと同じように扱える。従って、手軽に衣類を洗浄できる。衣類の洗浄対象部位がモニターで特定できるので、衣類の部分汚れが有る部位だけを選択的に洗浄することができる。
【0021】
更に、衣類洗浄機構が、吸引と洗浄水の噴射とが行える特定の洗浄ヘッドを有している。つまり、この洗浄ヘッドにより、拭取口で衣類を吸引する処理(つまり付着汚れを除去する処理)と、洗浄水を噴射しながら拭取口で衣類を吸引することによる、洗浄水で衣類を濡らしながら衣類が含む水を吸引する処理(つまり染み汚れを除去する処理)とが選択的に行える。後者の処理では、多量の洗浄水は不要なため、給水タンクや排水タンクなど、関連機器を小型化できる。
【0022】
そして、洗浄ヘッドは、衣類収容室の内部の上下、左右、および、前後の3方向に移動できるように構成されているので、衣類の全体を含めた任意の部位に対して、それぞれの処理を自在に行える。
【0023】
そのうえで、操作により、衣類の全域あるいはその一部に対して吸引する吸引処理と、洗浄対象部位だけに対して吸引しながら洗浄水を噴射する部分洗浄処理とが実行できる。吸引処理では、衣類全体あるいは一部に汚れが及ぶ付着汚れを効果的に除去できる。そして、部分洗浄処理では、激しく汚れた汚れ部位だけに洗浄水を噴射し衣類を濡らしながら吸引して洗浄するので、衣類全体を濡らさずに済み、洗浄水も少量でよく、染み汚れを効率的かつ効果的に除去できる。従って、衣類の全体的および部分的な汚れの双方を、手軽に効率的かつ効果的に自動洗浄できる。
【0024】
前記吸引装置は、吸引力を発生させる吸引モータと、前記吸引モータと前記耐圧ホースとの間に配置された気液分離機構と、前記気液分離機構で分離される排水を貯める排水タンクと、を有している、としてもよい。
【0025】
そうすれば、吸引処理時には、吸引した塵埃を排水タンクに回収できるし、部分洗浄処理時にも、吸引される洗浄水を含む空気から、洗浄水を分離して排水タンクに回収できる。従って、排水タンクに貯まる排水等を処理すればよいので、洗浄後の後処理を手軽に行える。
【0026】
前記制御装置は、前記洗浄ヘッドを下方から上方に移動させる上昇過程では前記吸引装置を作動させないで、前記洗浄ヘッドを上方から下方に移動させる下降過程で、前記拭取口を前記衣類に接触させた状態で前記吸引装置を作動させる、としてもよい。
【0027】
そうすれば、吊された衣類を引っ張る状態でのみ衣類を吸引して拭き取ることとなり、衣類を特に支持しなくても適切な状態で衣類を吸着できるし、シワや解れなどの発生を効果的に抑制できる。
【0028】
前記制御装置は、前記洗浄ヘッドを左右方向に移動させる過程では、前記拭取口の横幅以下のピッチで前記洗浄ヘッドを移動させ、目標とする左右方向の位置に達するまで、前記ピッチを移動する毎に前記上昇過程と前記下降過程とを繰り返す、としてもよい。
【0029】
そうすれば、衣類の左右方向における全域に拭取口を吸着させることができ、漏れ無く拭き取ることができる。
【0030】
前記制御装置は、前記下降過程に引き続いて、前記衣類から前記拭取口が離れるように前記洗浄ヘッドを後退させる後退過程を実行し、前記上昇過程に引き続いて、前記拭取口が前記衣類に接するように前記洗浄ヘッドを前進させる前進過程を実行する、としてもよい。
【0031】
そうすれば、洗浄ヘッドが洗浄とは無関係に移動する場合には、確実に洗浄ヘッドを衣類から離すことができ、衣類に悪影響が及ぶのを防止できる。そして、洗浄時には、衣類を適度に吸着できる最適な状態に洗浄ヘッドを設定できる。従って、効果的に洗浄できる。
【0032】
前記筐体は、吊された状態の前記衣類を撮影するカメラを更に備え、前記モニターは、前記カメラによって撮影される前記衣類を表示し、前記衣類の洗浄対象部位の特定が、前記モニターに表示された前記衣類に基づいて行われる、としてもよい。
【0033】
そうすれば、洗浄対象とされる実物の衣類に基づいて、洗浄対象部位を特定できる。精度高く洗浄対象部位が特定できるので、洗浄対象部位を最小限に設定でき、部分洗浄処理を効率的かつ効果的に行える。
【0034】
前記部分洗浄処理を実行する場合、前記制御装置が、当該部分洗浄処理の前処理として前記吸引処理を実行する、としてもよい。
【0035】
吸引処理は、フケ、花粉等の微細塵による付着汚れに対応した処理であり、部分洗浄処理は、部分的な染み汚れ(部分汚れ)に対応した処理である。付着汚れは衣類に対して吸い取るのが好ましい。一方、部分汚れに対しては、衣類全体を洗浄水で洗浄すると、非効率である。また、部分汚れを衣類に拡散してしまうおそれもある。従って、染み汚れに対しては、衣類の対象部位を限って洗浄するのが好ましい。
【0036】
そして、付着汚れの場合、洗浄水を噴射すると、濡れた汚れが衣類に付着し、乾燥することで固着してしまうおそれがある。それに対し、付着汚れを除去した後に、部分洗浄処理を実行すれば、そのような不具合を軽減でき、衣類を適切に洗浄できる。
【0037】
前記部分洗浄処理の前記下降過程は、前記吸引処理の前記下降過程を含む他のいずれの過程よりも、前記洗浄ヘッドが遅く移動するように設定されている、としてもよい。
【0038】
染み汚れが衣類に浸みた洗浄水に十分に溶け込むためには、ある程度の時間が必要であり、また汚れた洗浄水を残さず吸引するためにも、ある程度の時間が必要である。従って、洗浄ヘッドの移動を遅く設定することで、染み汚れを適切に除去できる。また、洗浄速度を遅く設定しても、洗浄ヘッドの移動範囲は洗浄対象部位に限られているので、処理時間の遅れを抑制できる。
【0039】
前記洗浄ヘッドは、前記ヘッド移動装置に着脱可能に取り付けられていて、前記操作装置の操作により、前記ヘッド移動装置から独立した状態で、前記給水ポンプは作動させずに前記吸引装置を作動させる手動吸引処理と、前記給水ポンプおよび前記吸引装置の双方を作動させる手動洗浄処理とが実行可能にしてもよい。
【0040】
衣類の形態や汚れ部位(襟裏、裏地等)などによっては、自動洗浄処理では対応できない場合がある。それに対し、洗浄ヘッドを着脱可能にして、手動吸引処理および手動洗浄処理の各々を実行できるようにすれば、ユーザが任意に部位を選んで洗浄できるようになるので、そのような場合でも対応できる。従って、衣類自動洗浄装置の利便性が向上する。
【0041】
前記洗浄ヘッドおよび前記ヘッド移動装置が、前記衣類の両側に位置するように、前記衣類収容室に2つ設置されている、としてもよい。
【0042】
そうすれば、一度に衣類の両面を洗浄できる。処理時間を半減でき、短時間で自動洗浄処理が行えるので、利便性が向上する。
【0043】
前記拭取口が前記衣類に吸着している状態では、双方の前記拭取口が前記衣類を挟んで重ならないように設定するのが好ましい。
【0044】
拭取口が衣類に吸着している時に双方の拭取口が衣類を挟んで前後に重なると、衣類は前後両側から吸着される状態になる。そうすると、衣類に過度な吸引力が作用して、シワや解れ、場合によっては破れなどが発生するおそれがあるが、この自動洗浄装置では、そのようなおそれは無い。従って、衣類を適切な状態で自動洗浄できる。
【発明の効果】
【0045】
開示する技術を適用した衣類自動洗浄装置によれば、衣類の汚れの種類に応じて、衣類の全体的および部分的な汚れの双方を、手軽に効率的かつ効果的に自動洗浄できる。従って、一般家庭でも洗濯が困難な背広等の衣類の洗浄が可能になるので、利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】衣類自動洗浄装置の外観を示す概略斜視図である。
【
図2】
図1において矢印線A1aで示す概略断面図および矢印線A1bで示す概略断面図である。
【
図4】洗浄ヘッド、耐圧ホース、ホース接続口等を示す概略図である。
【
図5】制御装置とその周辺機器との関係を表したブロック図である。
【
図7】基本的な衣類の洗浄処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8】吸引処理の流れを示すフローチャートである。
【
図9】部分洗浄処理の流れを示すフローチャートである。
【
図10】吸引処理における主な自動洗浄装置の動作を説明するための図である。
【
図11】吸引処理における主な自動洗浄装置の動作を説明するための図である。
【
図12】部分洗浄処理における主な自動洗浄装置の動作を説明するための図である。
【
図13】部分洗浄処理における主な自動洗浄装置の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、開示する技術の実施形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下の説明は、本質的に例示に過ぎない。なお、説明で用いる前後、左右、上下の各方向は、衣類自動洗浄装置を基準とする。また、説明で用いるZ軸方向、X軸方向、およびY軸方向の各々は、前後、左右、上下の各方向に対応している。
【0048】
<衣類自動洗浄装置の構造>
図1、
図2に、開示する技術を適用した衣類自動洗浄装置1を例示する。
図1は、衣類自動洗浄装置1の外観を示す概略斜視図である。
図2の左側の
図F2aは、
図1において矢印線A1aで示す概略断面図である。
図2の右側の
図F2bは、
図1において矢印線A1bで示す概略断面図である。
【0049】
この衣類自動洗浄装置1は、背広やスーツ、シャツ、ドレスなど、主に上着に相当する衣類を収容して所定の操作を行うことにより、これら衣類の洗浄が自動的に行えるように構成されている。なお、ここでいう洗浄は、洗浄水を用いて洗浄することに限らず、広義に、衣類に付着した汚れを除去することを意味する。
【0050】
衣類自動洗浄装置1は、フレームやパネルなどで構成された矩形箱型の筐体2を有し、クロゼットのような外観に形成されている。その筐体2の下部に機器室3が設置されている。この機器室3の上側に、床パネル2aで筐体2の内部を区画することによって、衣類を吊した状態で収容する衣類収容室4が設置されている。
【0051】
筐体2の前面には、左右に揺動開閉する一対のドア2b,2bが設置されている。これらドア2b,2bを開くことで衣類収容室4の前面が開放される。一方のドア2bには、タッチ操作が可能なモニター5が設置されている。このモニター5をユーザが操作することによって、衣類自動洗浄装置1は所定の洗浄処理を実行する。すなわち、モニター5は操作装置を構成している。
【0052】
図2に示すように、本実施形態の衣類自動洗浄装置1の場合、衣類収容室4に面している筐体2の前後の内壁面の略中央部位に、カメラ6が設置されている。これらカメラ6は、ハンガー8に吊された状態の衣類の前面および後面を撮影するために設置されている。なお、カメラ6の種類や個数、配置等は仕様に応じて変更できる。要は、ハンガー8に吊された状態の衣類の前面や後面が撮影できればよい。
【0053】
図1に示すように、機器室3の前面には、排水タンク42および給水タンク40を出し入れ可能にする2つのタンク出入口2c,2cが開口している。排水タンク42に貯まる排水の廃棄処理および給水タンク40に貯める洗浄水の補給処理は、これらタンク出入口2c,2cを通じて行われる。
【0054】
図2に示すように、衣類収容室4の上部には、掛止バー7が設置されている。掛止バー7は、衣類収容室4の前後方向の略中央に位置した状態で左右方向に延び、筐体2の左右側面にその両端部が取り付けられている。掛止バー7の左右方向の略中央には掛止部7aが設けられている。
【0055】
衣類を吊したハンガー8を掛止部7aに掛け止めることにより、その衣類は、衣類収容室4の所定位置に位置決めされる。具体的には、ハンガー8が左右方向に延びるように配置され、衣類はそれに伴って前後方向に正対するように位置決めされる。
【0056】
筐体2の内部には、F2aに示すように、衣類を洗浄する衣類洗浄機構9、および、モニター5での操作に従って衣類洗浄機構9の動作を制御する制御装置10が備えられている。制御装置10は、機器室3に配置されている。衣類洗浄機構9は、衣類収容室4に配置される可動ユニット9Aと、機器室3に配置される不動ユニット9Bとで構成されている。
【0057】
この実施形態で示す衣類自動洗浄装置1の場合、可動ユニット9Aは、F2bに示すように、前後対称状に2つ設置されている(前側可動ユニット9Afおよび後側可動ユニット9Ar)。前側可動ユニット9Afおよび後側可動ユニット9Arの各々の基本的な構成は同じである。従って、区別を要する場合を除き、これらを包括的に可動ユニット9Aとして説明する。
【0058】
可動ユニット9Aは、主に、洗浄ヘッド20およびヘッド移動装置30で構成されている。洗浄ヘッド20は、衣類に直接的に作用して洗浄を行う装置であり、対応するヘッド移動装置30に支持されている。床パネル2aの二箇所に、ホース接続口11が設けられている。これらホース接続口11,11の各々に接続されている耐圧ホース12の上端部が、各洗浄ヘッド20に接続されている(洗浄ヘッド20、耐圧ホース12等の詳細は後述)。
【0059】
各ヘッド移動装置30は、衣類収容室4の内部の上下、左右、および、前後の3方向に洗浄ヘッド20を移動させる装置であり、一対のY軸スライダ31,31、X軸スライダ32、Z軸スライダ33、およびヘッド支持部34を有している。一対のY軸スライダ31,31は、衣類収容室4の左右の側面に沿って上下方向に延びるように設置されている。前側可動ユニット9AfのY軸スライダ31,31は、衣類収容室4の前縁の近傍に配置され、後側可動ユニット9ArのY軸スライダ31,31は、衣類収容室4の後縁の近傍に配置されている。
【0060】
X軸スライダ32は、左右方向に延びた状態で、その両端部がY軸スライダ31,31に支持されている。Z軸スライダ33は、前後方向に延びた状態で、その一方の端部がX軸スライダ32に片持ち状に支持されている。そして、Z軸スライダ33の他方の端部(衣類収容室4の内方に突出している端部)にヘッド支持部34が設置されていて、そのヘッド支持部34に洗浄ヘッド20が支持されている。
【0061】
Y軸スライダ31、X軸スライダ32、およびZ軸スライダ33の各々には、例えばボールねじ、サーボモータなど、リニアアクチュエータを構成する機器が組み込まれている(図示省略)。それにより、位置制御に応じた高精度な移動が可能となっており、X軸スライダ32は、Y軸スライダ31のアクチュエータの作動に応じて、矢印Ayが示すように上下方向にスライドする。Z軸スライダ33は、X軸スライダ32のアクチュエータの作動に応じて、矢印Axが示すように左右方向にスライドする。ヘッド支持部34は、Z軸スライダ33のアクチュエータの作動に応じて、矢印Azが示すように前後方向にスライドする。
【0062】
図3に、不動ユニット9Bの構造を示す。
図3におけるF3aは、機器室3の内部を上方から見た概略図である。
図3におけるF3bは、F3aの矢印線A3aにおける概略断面図である。
図3におけるF3cは、F3aの矢印線A3bにおける概略断面図である。なお、
図3では、不動ユニット9Bを除く機器は図示を省略している。
【0063】
不動ユニット9Bは、給水タンク40、給水ポンプ41、排水タンク42、気液分離機構43、吸引モータ44(吸引装置の一例)などで構成されている。給水タンク40および排水タンク42は、箱型の貯水可能な容器であり、上述したように機器室3に出し入れ可能な状態で収容されている。
【0064】
給水タンク40の内部は、可動ユニット9Aの各々に対応して2つの貯水領域に区画されている。各貯水領域の下部には、各貯水領域に貯まる水を取り出す水取出口40aが設けられている。各水取出口40aは、中継チューブ45を介して給水ポンプ41の注水口に連通している。給水ポンプ41は、電動ポンプであり、給水タンク40の後側に配置されている。
【0065】
給水ポンプ41は、送水チューブ46が接続されている2つの送水口を有している。給水ポンプ41が作動すると、これら送水口の双方または一方から、所定の圧力で給水タンク40に貯まる水が吐出される。
【0066】
排水タンク42の上部に気液分離機構43が設置されている。気液分離機構43は、可動ユニット9Aの各々に対応して形成された2つの上流側気液分離室43a,43aを有している。各上流側気液分離室43aの下面には、排水タンク42に連通する下流側通気孔43bが開口している。各上流側気液分離室43aの側面には、上流側吸引ダクト47を介してホース接続口11に連通する上流側通気孔43cが開口している。
【0067】
2つの上流側気液分離室43a,43aの後側に、排水タンク42に連通する下流側気液分離室43dが設けられている。下流側気液分離室43dの後面には、空気導出口43eが開口している。空気導出口43eは、下流側吸引ダクト48を介して吸引モータ44の吸込口に連通している。下流側吸引ダクト48には、水や塵埃を捕捉するフィルタ49が着脱可能に設置されている。
【0068】
吸引モータ44の吸込口とホース接続口11との間を接続している通路、つまり下流側吸引ダクト48、排水タンク42、気液分離機構43、および上流側吸引ダクト47は、空気漏れが発生しないように、互いに密閉した状態で接続されている。それにより、吸引モータ44が作動するとホース接続口11に吸引力が発生する。
【0069】
(洗浄ヘッド20等)
図4に、洗浄ヘッド20、耐圧ホース12、ホース接続口11等を示す。
図4のFdは、矢印線A4における概略断面図であり、洗浄ヘッド20の内部構造を表している。
【0070】
耐圧ホース12は、二重管構造で構成されており、その内部に、給水ポンプ41から延びる送水チューブ46が挿通されている。それに対応して、ホース接続口11の床パネル2aの下側部分には、L状に屈曲した状態で上流側吸引ダクト47と接続されるチューブ導入部11aが設けられている。そのチューブ導入部11aの屈曲部分を利用して、送水チューブ46は、密閉性を保持した状態でチューブ導入部11aに挿入されている。
【0071】
洗浄ヘッド20は、ヘッド本体部21、ホース接続部22、および拭取カバー23を有している。ヘッド本体部21は、側方から見た外観が略L形状をした中空の樹脂成形品からなる。ヘッド本体部21は、略円筒状に形成されている把持部21aと、把持部21aの上部に連なる突出部21bとを有している。突出部21bは、先端側に向かうに従って水平方向に拡がるように形成されている。
【0072】
突出部21bの先端には、横長な矩形の拭取口24が開口している。拭取口24には、所定形状の拭取カバー23が装着されている。拭取カバー23は、拭取口24の縁部に装着される矩形の枠形状をした装着フレーム23aと、装着フレーム23aの内側を覆うメッシュ23bとで構成されている。
【0073】
把持部21aの下端部は、ホース接続部22と一体化されている。ホース接続部22は、耐圧ホース12の上端部と、密閉性を確保した状態で接続されている。それにより、ヘッド本体部21の内部に拡がる空間(吸込スペース21c)は、耐圧ホース12の内部と連通するとともに、拭取口24を通じてヘッド本体部21の外部と連通している。
【0074】
洗浄ヘッド20は、把持部21aが鉛直方向に延びて、拭取口24が前後方向に面するように位置決めされた状態で、ヘッド支持部34に支持されている。
【0075】
吸込スペース21cには、噴射ノズル25が拭取口24を指向するように設置されている。噴射ノズル25は、突出部21bの内壁面に設けられたリブ21dに固定されている。噴射ノズル25の先端には、洗浄水を噴射する噴射孔25aが設けられている。噴射孔25aから噴射された洗浄水は、所定の噴射角度で拡散しながら拭取口24に向かうように設定されている。
【0076】
噴射ノズル25の基端には、洗浄水が流れる送水配管26の下流側の端部が接続されている。送水配管26には、噴射方向に対して逆向きに洗浄水が流れるのを防止する逆流防止弁27が設置されている。送水配管26の上流側の端部は、把持部21aの下端部に配置されていて、送水チューブ46と接続されている。
【0077】
従って、吸引モータ44が作動すると、耐圧ホース12を通じて吸込スペース21cの中が吸引される。拭取口24の近傍に衣類が有ると、衣類が吸着されて拭取カバー23に密着する。それにより、衣類に付着した汚れを吸引して除去することができる。そうした状態で、給水ポンプ41が作動すると、送水チューブ46を通じて給水タンク40に貯まる洗浄水が噴射ノズル25に送水され、拭取口24に向けて洗浄水が噴射される。
【0078】
それにより、衣類の吸着部位に洗浄水が衝突して衣類の吸着部位が濡れた状態になり、その衣類の吸着部位が含む洗浄水が吸込スペース21cに吸引されることで、少量の洗浄水で衣類の吸着部位に染みた汚れを除去できる。洗浄水は少量なので、水道等に接続して給水しなくてもよい。給水タンク40もコンパクトであり、手軽に給水できる。
【0079】
吸引された汚れや洗浄水は、耐圧ホース12および上流側吸引ダクト47を通じて、気液分離機構43に流入する。気液分離機構43を通過する過程で、塵埃や汚れを含む洗浄水(排水)は、空気と分離されて、排水タンク42に貯められる。排水は少量なので、排水タンク42もコンパクトであり、手軽に廃棄できる。
【0080】
(制御装置)
図5に、制御装置10とその周辺機器との関係を表したブロック図を示す。制御装置10は、プロセッサ10a、メモリ10b、入出力装置10cなどのハードウエアと、メモリ10bに実装された制御プログラム、制御データなどのソフトウエアとで構成されている。制御装置10では、これらハードウエアとソフトウエアとが協働することにより、衣類自動洗浄装置1の作動に関する所定の処理が実行される。
【0081】
制御装置10は、カメラ6、モニター5、給水ポンプ41、吸引モータ44、およびヘッド移動装置30と電気的に接続されている。制御装置10は、これら周辺機器との間でデータの入出力を実行する。例えば、カメラ6は、衣類を撮影してその画像データを制御装置10に出力する。制御装置10は、操作に必要な操作画面データをモニター5に出力し、ボタン等を表示させる。モニター5は、タッチ操作によって入力される操作データを制御装置10に出力する。そして、制御装置10は、その操作データに基づいて、給水ポンプ41、吸引モータ44、および、ヘッド移動装置30の作動を制御し、衣類の汚れに応じた自動洗浄処理を実行する。
【0082】
すなわち、背広等の衣類の日常的な汚れには、抜け毛、フケ、埃などが衣類の表面に付着することによって形成される汚れ(付着汚れ)と、ソース汚れなどが衣類に染み込むことによって形成される汚れ(染み汚れ)とがある。この衣類自動洗浄装置1の場合、これら付着汚れおよび染み汚れの双方を、効率的かつ効果的に自動洗浄できるように構成されている。
【0083】
具体的には、制御装置10は、モニター5の操作に応じて、給水ポンプ41は作動させずに吸引モータ44を作動させ、拭取口24を衣類の一部に吸着させた状態で、洗浄ヘッド20を衣類の全域あるいはその一部にわたって移動させる処理(吸引処理)と、給水ポンプ41および吸引モータ44の双方を作動させ、拭取口24を衣類の一部に吸着させながら衣類の一部に洗浄水を噴射した状態で、洗浄ヘッド20を衣類の洗浄対象部位に限って移動させる処理(部分洗浄処理)とを実行する。
【0084】
吸引処理は、付着汚れに対応した処理であり、部分洗浄処理は、染み汚れに対応した処理である。背広等の上着の場合、日常的に発生する付着汚れは、衣類全体あるいは一部の衣類の外面に付着した汚れなので、吸い取るのが好ましい。ただし、通常、付着汚れは、衣類の全域に及ぶ。従って、付着汚れに対しては、衣類全体を洗浄対象として吸引処理を行うのが好ましい。
【0085】
対して、突発的に発生する染み汚れは、衣類全体に及ぶことは希であり、局所的であること(いわゆる部分汚れ)が多い。そのような部分汚れに対し、衣類全体を洗浄水で洗浄すると、非効率である。また、部分汚れを衣類に拡散してしまうおそれもある。従って、染み汚れに対しては、衣類の対象部位を限って洗浄する部分洗浄処理を行うのが好ましい。
【0086】
特に、部分洗浄処理を実行する場合、制御装置10は、部分洗浄処理の前処理として吸引処理を実行する。すなわち、付着汚れの場合、洗浄水を噴射すると、濡れた汚れが衣類に付着し、乾燥することで固着してしまうおそれがある。それに対し、付着汚れを除去した後に、部分洗浄処理を実行すれば、そのような不具合を軽減でき、衣類を適切に洗浄できる。
【0087】
(洗浄対象部位の特定)
部分洗浄処理を実行するためには、事前に、洗浄を行う衣類の部位(洗浄対象部位)を特定する必要がある。それに対し、本実施形態の衣類自動洗浄装置1の場合、カメラ6で洗浄する衣類を撮影してその衣類をモニター5に表示し、モニター5に表示される実物の衣類に基づいて、衣類の洗浄対象部位が特定できるように構成されている。
【0088】
図6Aに、モニター5で衣類の洗浄対象部位を特定する時の表示画面の一例を示す。モニター5には、カメラ6で撮影された衣類、つまりハンガー8に吊された状態で衣類収容室4に収容されている衣類が表示されている。染み汚れを符号Dで示す。なお、
図6Aの表示は衣類の前面であり、画面の切替により、衣類の後面も同様に表示できるように構成されている。
【0089】
モニター5の画面にはまた、複数の区画線Lが格子状に表示されており、これら区画線Lによって、衣類は複数の部位(細分化部位)に分割されている。ユーザはこれら細分化部位の中から、部分汚れを含む細分化部位(
図6Aにおいて矢印Rで示す領域)を選んでモニター5の画面にタッチする。それにより、その細分化部位が洗浄対象部位として特定され、そのデータが制御装置10に出力される。
【0090】
なお、特定する洗浄対象部位は複数であってもよい。細分化部位の分割数は、ユーザが任意に調整できるようにするのが好ましい。また、細分化部位の表示を省略し、ユーザが部分汚れの有る部位それ自体にタッチすることで、その部位およびその周辺部位を洗浄対象部位として特定してもよい。
【0091】
また、衣類の実物表示を省略し、衣類をイメージした簡易なモデルMをモニター5に表示し、それに基づいて、ユーザが洗浄対象部位を指定できるようにしてもよい。その表示画面の一例を、
図6Bに示す。
図6Aの表示と同様に、区画線LによってモデルMが複数の細分化部位に分割されている。
【0092】
ユーザはこれら細分化部位の中から、部分汚れを含む細分化部位を選んでモニター5の画面にタッチする。この場合、洗浄対象部位の特定精度は落ちるが、カメラ6等の設置を省略できる利点がある。
【0093】
<衣類自動洗浄装置の動作>
衣類自動洗浄装置1が行う衣類の洗浄処理と、それに伴う衣類自動洗浄装置1の動作とについて説明する。
図7に、制御装置10が行う基本的な衣類の洗浄処理の流れを例示する。
図8に、吸引処理の流れを例示する。
図9に、部分洗浄処理の流れを例示する。
【0094】
図10、
図11に、吸引処理における主な衣類自動洗浄装置1の動作を例示する。
図12、
図13に、部分洗浄処理における主な衣類自動洗浄装置1の動作を例示する。なお、前側可動ユニット9Afおよび後側可動ユニット9Arの各々は、同時に連動して動作するが、
図10~
図13の各図では、前側可動ユニット9Afの動作を表し、後側可動ユニット9Arの動作は省略している。各過程を表した図のうち、左側の図は前方から見た図であり、右側の図は右側方から見た図である。
【0095】
図10におけるF10aは、ヘッド移動装置30の初期状態を表している。X軸スライダ32は下方の限界位置に位置し、Z軸スライダ33は左方の限界位置に位置し、ヘッド支持部34は前方の限界位置に位置している。洗浄ヘッド20が衣類から離れた状態になる衣類収容室4の左前下隅のこの位置が、ヘッド支持部34の原点に設定されている。後側可動ユニット9Arもこれと同様に、衣類収容室4の左後下隅がヘッド支持部34の原点に設定されている。
【0096】
ユーザが、汚れた衣類をハンガー8に掛けて衣類収容室4に収容し、ドア2bを閉じて衣類自動洗浄装置1の運転を開始する。そうすると、制御装置10は、カメラ6から入力される衣類の画像データを処理することにより、衣類の位置情報を取得する。制御装置10はまた、モニター5を通じて部分汚れの有無の入力をユーザに要求する。
【0097】
その結果、制御装置10は、
図7に示すように、部分汚れが無いと判断すると(ステップS1でNo)、吸引処理を実行する(ステップS2)。一方、制御装置10は、部分汚れが有ると判定すると(ステップS1でYes)、衣類の画像データを処理して、
図6Aに示したような衣類の画像をモニター5に表示する(ステップS3)。
【0098】
それにより、ユーザは、細分化部位の指定が可能になるので、部分汚れを含む細分化部位を選んでモニター5の画面にタッチする。細分化部位の指定が有ると(ステップS4でYes)、制御装置10は、その細分化部位を洗浄対象部位として特定する(ステップS5)。衣類の実物表示に基づいて指定できるので、洗浄対象部位を精度高く特定できる。
【0099】
そうして、制御装置10は、前処理として吸引処理を実行し(ステップS6)、その後、部分洗浄処理を実行する(ステップS7)。吸引処理または部分洗浄処理が終了すれば、制御装置10がブザー等で報知することにより、自動洗浄処理は完了となる。
【0100】
なお、前側可動ユニット9Afおよび後側可動ユニット9Arは、モニター5の画面の切替によって衣類の前面または後面が表示されるので、それらに対する指示に基づいて、個別に洗浄処理が実行される。例えば、部分汚れが衣類の前面のみの場合は、後側可動ユニット9Arは吸引処理のみを実行する。部分汚れが衣類の前後両面に有る場合は、前側可動ユニット9Afおよび後側可動ユニット9Arの双方が、それぞれの部分汚れに応じて部分洗浄処理を実行する。
【0101】
(吸引処理)
制御装置10は、衣類の位置情報に基づいて、洗浄ヘッド20が衣類を適切に吸着できる上下および左右の方向における移動範囲の境界となる移動目標位置を特定する。左側に特定されるその移動目標位置は、X軸方向の移動開始位置とされる。なお、カメラ6が無い場合には、衣類の位置情報が得られないので、原点位置をその移動開始位置とし、ヘッド移動装置30の移動可能な範囲全域を移動すればよい。
【0102】
そして、
図8、
図10のF10aに示すように、制御装置10は、吸引処理が開始されると、特定したX軸方向の移動開始位置に到達するまでX軸スライダ32を作動させ、洗浄ヘッド20を右方に移動させる(ステップS10でYes)。続いて、Y軸スライダ31を作動させ、特定したY軸方向の上側の目標位置まで洗浄ヘッド20を移動(上昇)させる(ステップS11)。
【0103】
洗浄ヘッド20がY軸方向の上側の目標位置に到達すると、
図10のF10bに示すように、制御装置10は、Z軸スライダ33を作動させ、洗浄ヘッド20を目標位置まで移動(前進)させる(ステップS12)。Z軸方向の目標位置は、拭取口24が衣類の近傍に位置して衣類を適切に吸着できる位置であり、予め制御装置10に設定されている。
【0104】
洗浄ヘッド20がZ軸方向の目標位置に到達すると、制御装置10は、
図8に示すように、吸引モータ44を作動させる(ステップS13)。それにより、衣類が拭取口24に吸着されて、その吸着部位に有る付着汚れは、吸込スペース21cや耐圧ホース12を通じて排水タンク42に集められる。
【0105】
そうして、制御装置10は、所定の拭取速度で、Y軸スライダ31を作動させ、
図10のF10cに示すように、目標位置まで移動(下降)させる(ステップS14)。それにより、拭取口24の横幅分だけ、衣類の上下方向の付着汚れを除去できる。
【0106】
洗浄ヘッド20がY軸方向の下側の目標位置に到達すると、制御装置10は、
図10のF10dに示すように、吸引モータ44を停止し、Z軸スライダ33を作動させ、洗浄ヘッド20を元の位置まで移動(後退)させる(ステップS15)。それにより、吸着力が無くなって、拭取口24が衣類から離れるので、衣類に余計な力が作用せず、シワや解れなどの発生を抑制できる。
【0107】
制御装置10は、X軸方向の移動終了位置、つまり右側に特定される移動目標位置に到達したか否かを判定する(ステップS16)。そして、X軸方向の移動終了位置に到達していない場合には(ステップS16でNo)、制御装置10は、
図11のF11aに示すように、X軸スライダ32を作動させ、洗浄ヘッド20を右方に所定のピッチPで移動させる(ステップS17)。所定のピッチPは、拭取口24の横幅以下の範囲で設定されている。それにより、衣類の全体に拭取口24を吸着させ、漏れ無く拭き取ることができる。
【0108】
そして、Y軸スライダ31を作動させ、Y軸方向の上側の目標位置まで移動(上昇)させるなど、ステップS11からの処理を繰り返す。すなわち、
図11のF11a~F11dに示すように、ピッチPを移動する毎に、上述した上昇過程、前進過程、下降過程、および後退過程を繰り返し実行する。
【0109】
洗浄ヘッド20を上方から下方に移動させる下降過程では、拭取口24を衣類に接触させた状態で吸引モータ44を作動させる。それに対し、洗浄ヘッド20を下方から上方に移動させる上昇過程では吸引モータ44を作動させない。従って、吊された衣類を引っ張った状態でのみ拭き取ることとなり、適切な状態で衣類を吸着できるし、シワや解れなどの発生を効果的に抑制できる。
【0110】
そして、X軸方向の移動終了位置に到達した場合には(ステップS16でYes)、衣類の全域に対して拭取口24を吸着、つまり付着汚れの除去が終了したことになるので、制御装置10は、X軸スライダ32を作動させ、洗浄ヘッド20を原点位置に戻す(ステップS18)。それにより、吸引処理は終了する。
【0111】
後側可動ユニット9Arも、前側可動ユニット9Afと同時に作動し、衣類の前後両面に対して吸引処理が実行される。ただし、拭取口24が衣類に吸着している状態では、双方の拭取口24は衣類を挟んで重ならないように設定されている。具体的には、一方の洗浄ヘッド20が、互いの拭取口24が前後に重ならないように、他方の洗浄ヘッド20の移動に遅れて追随するように設定されている。
【0112】
拭取口24が衣類に吸着している時に双方の拭取口24が衣類を挟んで前後に重なると、衣類は前後両側から吸着される状態になる。そうすると、衣類に過度な吸引力が作用して、シワや解れ、場合によっては破れなどが発生するおそれがある。それに対し、一方の洗浄ヘッド20が、互いの拭取口24が前後に重ならないように、他方の洗浄ヘッド20の移動に遅れて追随するように設定すれば、時間差を設けるだけの簡単な制御で、確実に拭取口24の重なりを防止できる。
【0113】
(部分洗浄処理)
吸引処理によって衣類全体あるいは一部の付着汚れを除去した後、部分洗浄処理が実行される。
図12のF12aに示すように、洗浄ヘッド20が原点位置に位置した状態から部分洗浄処理が開始される。部分洗浄処理は、吸引処理とは異なり、特定した洗浄対象部位に対してのみ、所定の処理を実行する。
【0114】
従って、洗浄対象部位の左端部がX軸方向における移動開始位置になる。
図9、
図12のF12aに示すように、制御装置10は、部分洗浄処理が開始されると、その移動開始位置に到達するまでX軸スライダ32を作動させ、洗浄ヘッド20を右方に移動させる(ステップS20でYes)。続いて、Y軸スライダ31を作動させ、洗浄対象部位の上端に相当するY軸方向の上側の目標位置まで洗浄ヘッド20を移動(上昇)させる(ステップS21)。
【0115】
洗浄ヘッド20がY軸方向の上側の目標位置に到達すると、
図12のF12bに示すように、制御装置10は、Z軸スライダ33を作動させ、洗浄ヘッド20を目標位置まで移動(前進)させる(ステップS22)。
【0116】
洗浄ヘッド20がZ軸方向の目標位置に到達すると、制御装置10は、
図9に示すように、吸引モータ44および給水ポンプ41の双方を作動させる(ステップS23)。それにより、衣類が拭取口24に吸着されるとともに、洗浄水の噴射によって衣類の吸着部位が濡らされる。
【0117】
衣類の吸着部位に染み汚れがあれば、衣類に浸み込んだ洗浄水にその汚れが溶け込む。そして、その衣類の吸着部位が含む汚れた洗浄水は、吸引力の作用で、吸込スペース21cや耐圧ホース12を通じて排水タンク42に集められる。噴射した洗浄水のほとんどが排水タンク42に回収されるので、衣類収容室4が洗浄水で汚れるのを効果的に防止できる。
【0118】
そうして、制御装置10は、所定の洗浄速度で、Y軸スライダ31を作動させ、
図12のF12cに示すように、洗浄対象部位の下端に相当する下側の目標位置まで移動(下降)させる(ステップS24)。それにより、拭取口24の横幅分だけ、衣類の上下方向の染み汚れを除去できる。
【0119】
この部分洗浄処理の下降過程は、吸引処理の下降過程を含む他のいずれの過程よりも、洗浄ヘッド20が遅く移動するように設定されている。
【0120】
すなわち、洗浄速度は、拭取速度やその他の洗浄ヘッド20の移動速度よりも遅く設定されている。染み汚れが洗浄水に十分に溶け込むためには、ある程度の時間が必要であり、また汚れた洗浄水を残さず吸引するためにも、ある程度の時間が必要である。そのため、洗浄速度が速いと染み汚れが残るおそれがあるが、洗浄速度を遅く設定することで、染み汚れを適切に除去できる。また、洗浄速度を遅く設定しても、洗浄ヘッド20の移動範囲は洗浄対象部位に限られているので、処理時間の遅れを抑制できる。
【0121】
洗浄ヘッド20がY軸方向の下側の目標位置に到達すると、制御装置10は、
図12のF12dに示すように、吸引モータ44および給水ポンプ41の双方を停止し、Z軸スライダ33を作動させ、洗浄ヘッド20を元の位置まで移動(後退)させる(ステップS25)。
【0122】
制御装置10は、X軸方向の移動終了位置、つまり右側に特定される移動目標位置(洗浄対象部位の右端部)に到達したか否かを判定する(ステップS26)。そして、X軸方向の移動終了位置に到達していない場合には(ステップS26でNo)、制御装置10は、
図13のF13aに示すように、X軸スライダ32を作動させ、洗浄ヘッド20を右方に所定のピッチPで移動させる(ステップS27)。
【0123】
そして、Y軸方向の上側の目標位置まで移動(上昇)させた後、
図13のF13bに示すように、洗浄ヘッド20を目標位置まで移動(前進)させるなど、ステップS21からの処理を繰り返す。すなわち、ピッチPを移動する毎に、上述した上昇過程、前進過程、下降過程、および後退過程を繰り返し実行する。
【0124】
そして、X軸方向の移動終了位置に到達した場合には(ステップS26でYes)、洗浄対象部位の全域に対して部分洗浄が終了したことになるので、制御装置10は、別の洗浄対象部位が有るか否かを判定する(ステップS28)。
【0125】
そして、別の洗浄対象部位が有る場合(ステップS28でNo)、制御装置10は、その洗浄対象部位に対して、ステップS20以降の一連の処理を実行する。一方、別の洗浄対象部位が無い場合には(ステップS28でYes)、制御装置10は、X軸スライダ32を作動させ、洗浄ヘッド20を原点位置に戻す(ステップS29)。それにより、部分洗浄処理は終了する。
【0126】
後側可動ユニット9Arも、前側可動ユニット9Afと同時に作動し、衣類の前後両面に対して部分洗浄処理が実行される。ただし、吸引処理と同様に、拭取口24が衣類に吸着している状態では、双方の拭取口24は衣類を挟んで重ならないように設定されている。具体的には、洗浄対象部位が前後で重なった場合には、一方の洗浄ヘッド20が、互いの拭取口24が前後に重ならないように、他方の洗浄ヘッド20の移動に遅れて追随するように設定されている。
【0127】
(変形例)
洗浄ヘッド20は、ヘッド支持部34に着脱可能な状態で取り付けるのが好ましい。例えば、ヘッド支持部34を左右両側から洗浄ヘッド20の下部を挟持する一対のアームで構成し、これらアームに圧入することで、洗浄ヘッド20の下部が両アームに嵌合して支持されるようにすればよい。洗浄ヘッド20は、比較的長く柔軟な耐圧ホース12に接続されているので、ヘッド支持部34から取り外せば自在に操作できる。
【0128】
そして、制御装置10に、付着汚れおよび染み汚れの各々に対応した手動による操作モードを設定する。すなわち、モニター5のタッチ操作により、ヘッド移動装置30から独立した状態、つまりヘッド移動装置30は作動させない状態で、給水ポンプ41は作動させずに吸引モータ44を作動させる処理(手動吸引処理)と、給水ポンプ41および吸引モータ44の双方を作動させる処理(手動洗浄処理)とを実行可能にする。
【0129】
衣類の形態や汚れ部位(襟裏、裏地等)などによっては、上述した自動洗浄処理では対応できない場合がある。それに対し、洗浄ヘッド20をヘッド支持部34から取り外して、手動吸引処理および手動洗浄処理の各々を実行できるようにすれば、ユーザが任意に部位を選んで洗浄できるようになるので、そのような場合でも対応できる。従って、衣類自動洗浄装置1の利便性が向上する。
【0130】
なお、開示する技術は、上述した実施形態に限定されず、それ以外の種々の構成をも包含する。
【0131】
上述した実施形態では、洗浄ヘッド20、ヘッド移動装置30、カメラ6などを衣類収容室4に2つ設置した衣類自動洗浄装置1を例示したが、衣類収容室4の前後のいずれかにこれらを1つ設置し、衣類の両面を洗浄する場合、衣類収容室4に収容する衣類の向きを変えることで対応するようにしてもよい。
【0132】
カメラ6に代えて、ヘッド支持部34に、赤外線センサなど、汚れを検知できる汚れ検知センサを取り付け、その汚れ検知センサの検出値に基づいて、洗浄対象部位を特定してもよい。そうすれば、吸引処理の実行時に、衣類の全域を汚れ検知センサで走査して汚れ部位を検知できるので、比較的簡単な構成で衣類の汚れ部位を精度高く検知できる。
【0133】
衣類洗浄機構9がスチーム(加熱した霧状の洗浄水)の噴射機能を備えている場合には、部分洗浄処理の前に、吸引しながら染み汚れにスチームを所定時間噴射するスチーム噴射処理を行ってもよい。そうすれば、よりいっそう染み汚れを効果的に除去できる。
【符号の説明】
【0134】
1 衣類自動洗浄装置
2 筐体
3 機器室
4 衣類収容室
5 モニター(操作装置)
6 カメラ
7 掛止バー
8 ハンガー
9 衣類洗浄機構
9A 可動ユニット
9B 不動ユニット
10 制御装置
12 耐圧ホース
20 洗浄ヘッド
21 ヘッド本体部
21c 吸込スペース
23 拭取カバー
24 拭取口
25 噴射ノズル
30 ヘッド移動装置
34 ヘッド支持部
40 給水タンク
41 給水ポンプ
42 排水タンク
43 気液分離機構
44 吸引モータ(吸引装置)
46 送水チューブ