(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-19
(45)【発行日】2025-09-30
(54)【発明の名称】検査対象物の外観検査方法及び検査対象物の外観検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/952 20060101AFI20250922BHJP
【FI】
G01N21/952
(21)【出願番号】P 2021202921
(22)【出願日】2021-12-14
【審査請求日】2024-09-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古賀 啓資
【審査官】大野 倫太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-156301(JP,A)
【文献】特開平07-092099(JP,A)
【文献】特開2019-100851(JP,A)
【文献】特開平08-285780(JP,A)
【文献】特開2017-173234(JP,A)
【文献】特開2008-045957(JP,A)
【文献】米国特許第04483615(US,A)
【文献】中国特許出願公開第110763702(CN,A)
【文献】特開2004-317361(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111239142(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-G01N 21/958
G01B 11/00-G01B 11/30
A61Q 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円柱状の
棒状化粧料を、該
棒状化粧料の中心軸を中心に回転させる回転装置を用いて、2周以上回転させ、
前記
棒状化粧料が回転した回数ごとに、異なる照射条件で光を照射して該
棒状化粧料を撮像して検査用画像を取得し、
前記回数ごとに取得した複数の前記検査用画像それぞれについて画像処理を行うことによって、
欠陥の1つとして前記棒状化粧料の色ムラが含まれる複数種類の欠陥を検査し、
複数種類の前記欠陥の検査結果に基づいて、前記
棒状化粧料の外観の良否を判定する、
棒状化粧料の外観検査方法。
【請求項2】
異なる前記照射条件は、照射する光の波長、照射する光の照度、照射する光の照射方向、光源の形状、及び光源の設置位置から選択される1又は2以上が異なる、請求項1に記載の
棒状化粧料の外観検査方法。
【請求項3】
検出される前記欠陥が、前記
棒状化粧料に形成されたピンホール
、該棒状化粧料に形成された線状の傷、該
棒状化粧料に形成されたヒビ、該
棒状化粧料の形状の異常、及び該
棒状化粧料の表面の異物から選択される
1種以上
を更に含む、請求項1又は2に記載の
棒状化粧料の外観検査方法。
【請求項4】
検出される前記欠陥の一つに、前記
棒状化粧料の周方向に延在する線状の傷が含まれており、該線状の傷を検出する場合の照射条件は、該
棒状化粧料に対して、該
棒状化粧料の軸方向の一方側から、該軸方向に所定の角度をつけて斜めに照射する、請求項1~3のいずれか一項に記載の
棒状化粧料の外観検査方法。
【請求項5】
検出される前記欠陥の一つに、前記
棒状化粧料の軸方向に延在する線状の傷が含まれており、該線状の傷を検出する場合の照射条件は、該
棒状化粧料に対して、該
棒状化粧料の側方から照射する、請求項1~4のいずれか一項に記載の
棒状化粧料の外観検査方法。
【請求項6】
円柱状の
棒状化粧料を撮像する撮像部と、該
棒状化粧料に光を照射する照明と、該
棒状化粧料をその中心軸を中心に回転させる回転装置と、画像処理部と、良否判定部とを有し、
前記回転装置が前記
棒状化粧料を回転させた回数ごとに、異なる照射条件で前記照明が光を照射して該
棒状化粧料を前記撮像部により撮像して検査用画像を取得するようになされており、
前記画像処理部は、前記回数ごとに取得した複数の前記検査用画像それぞれについて画像処理を行うことによって、
欠陥の1つとして前記棒状化粧料の色ムラが含まれる複数種類の欠陥を検査するようになされており、
前記良否判定部は、複数種類の前記欠陥の検査結果に基づいて、前記
棒状化粧料の外観の良否を判定するようになされている、
棒状化粧料の外観検査装置。
【請求項7】
前記照明は、少なくとも2つの照明を含んでおり、
前記少なくとも2つの照明は、照射する光の波長、照射する光の照度、照射する光の照射方向、該照明の形状、及び該照明の設置位置から選択される1又は2以上が異なる、請求項6に記載の
棒状化粧料の外観検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象物の外観検査方法及び検査対象物の外観検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検査対象物の外観検査方法として、該検査対象物に光を照射した状態で該検査対象物を撮像し、得られた画像を画像処理することによって、該検査対象物の外観を検査する方法が知られている(特許文献1~3参照)。
本出願人は、先に、口紅等の棒状化粧料に近紫外線を均一に照射し、該棒状化粧料の外観画像を撮像し、該外観画像に対し画像処理を行い、棒状化粧料の外観不良を検査することを提案している(特許文献1参照)。
【0003】
また特許文献2には、ゴム栓等の検査対象物を搬送し、検査エリア内に進入したゴム栓を撮像し、得られた画像を画像処理することが記載されている。特許文献2には、照明部により検査エリアの照明を行うことが記載されている。また特許文献3には、フレキシブルプリント配線板に光を照射しながら該フレキシブルプリント配線板を撮像し、得られた画像を画像処理することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-118896号公報
【文献】特開2008-122080号公報
【文献】特開2004-317361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1においては、検査対象である棒状化粧料に照射する光として近紫外線を用いるところ、近紫外線では検出が困難な欠陥も存在する。また特許文献1では、検査対象物の周囲に複数のカメラを配置し、各カメラで撮像を行っているので、検査装置を設置するのに広いスペースが必要であり、また設置に手間がかかる。
特許文献2の検査方法は、上述のように、検査エリアに照明を当てた状態で且つゴム栓を搬送しつつ、該ゴム栓の撮像を行っている。そのため、複数種類の欠陥を検査するためには、検査エリアを複数設け、該検査エリアごとに、撮像装置及び照明を配置する必要がある。
このように特許文献1及び2の技術では、複数種類の欠陥を検査するには、検査装置の設置などに広いスペースが必要であり、検査に必要な空間の省スペース化や検査装置の小型化を図ることは困難である。
特許文献3の検査方法は、検査対象物がフレキシブルプリント配線板であるので、円柱状の検査対象物の外観を検査することができるものではない。
したがって、本発明の課題は、円柱状の検査対象物の検査において、検査に必要な空間の省スペース化又は検査装置の小型化が容易な、外観検査方法及び外観検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、円柱状の検査対象物を、該検査対象物の中心軸を中心に回転させる回転装置を用いて、2周以上回転させ、
前記検査対象物が回転した回数ごとに、異なる照射条件で光を照射して該検査対象物を撮像して検査用画像を取得し、
前記回数ごとに取得した複数の前記検査用画像それぞれについて画像処理を行うことによって、複数種類の欠陥を検査し、
複数種類の前記欠陥の検査結果に基づいて、前記検査対象物の外観の良否を判定する、検査対象物の外観検査方法を提供するものである。
【0007】
また本発明は、円柱状の検査対象物を撮像する撮像部と、該検査対象物に光を照射する照明と、該検査対象物をその中心軸を中心に回転させる回転装置と、画像処理部と、良否判定部とを有し、
前記回転装置が前記検査対象物を回転させた回数ごとに、異なる照射条件で前記照明が光を照射して該検査対象物を前記撮像部により撮像して検査用画像を取得するようになされており、
前記画像処理部は、前記回数ごとに取得した複数の前記検査用画像それぞれについて画像処理を行うことによって、複数種類の欠陥を検査するようになされており、
前記良否判定部は、複数種類の前記欠陥の検査結果に基づいて、前記検査対象物の外観の良否を判定するようになされている、検査対象物の外観検査装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の外観検査方法によれば、円柱状の検査対象物の外観の良否を高精度に判定することができるとともに、検査に必要な空間を省スペース化することができる。
また本発明の外観検査装置によれば、円柱状の検査対象物の外観の良否を高精度に判定することができるとともに、且つ検査装置の小型化も容易である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の外観検査装置の好ましい一実施形態を模式的に示す側面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す外観検査装置を鉛直方向上側から見たときの照明の配置位置を示す平面図である。
【
図3】
図3は、本発明の外観検査方法の好ましい一実施態様の手順を説明するフローチャートである。
【
図4】
図4は、本発明の外観検査方法の好ましい別の一実施態様の手順を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明についてその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1には、本発明の検査対象物の外観検査装置の一実施形態である外観検査装置1の概略構成が示されている。同図に示す外観検査装置1は、円柱状の検査対象物を撮像する撮像部10と、該検査対象物に光を照射する照明20と、該検査対象物をその中心軸を中心に回転させる回転装置30と、画像処理部40と、良否判定部50とを有している。外観検査装置1は、検査対象物として、口紅等の棒状化粧料71の外観の良否を判定する装置である。
【0011】
外観検査装置1は、回転装置30により、棒状化粧料71を、その中心軸CLを中心として回転させる。そして、棒状化粧料71が回転した回数ごとに、照明20が照射する光の照射条件を変えて、撮像部10により棒状化粧料71を撮像し、検査用画像を取得する。そして、画像処理部40により、各検査用画像それぞれについて、画像処理を行い、1種類以上の欠陥を検査する。そして、良否判定部50により、複数の欠陥の検査結果に基づいて、棒状化粧料71の外観の良否を判定する。
【0012】
回転装置30は、
図1に示すように、検査対象物保持部32と、回転機構31とを有している。検査対象物保持部32は、棒状化粧料71を保持するものである。詳細には、棒状化粧料71の軸方向が鉛直方向と一致した状態で、該棒状化粧料71を保持している。本実施形態では、棒状化粧料71は、化粧料容器72に取り付けられて化粧料製品70の一部となっている。検査対象物保持部32は、化粧料容器72を把持することにより、棒状化粧料71を保持している。
回転機構31は、検査対象物保持部32に保持された棒状化粧料71を回転させるものである。本実施形態では、回転機構31は、棒状化粧料71の中心軸を中心に、該棒状化粧料71を、
図2中R方向に回転させる。
【0013】
照明20は、棒状化粧料71が回転した回数ごとに、光を照射する照射条件が異なるようになされている。本実施形態では、照明20は、複数の照明21,22,23を含んでおり、棒状化粧料71の回転数ごとに、光を照射する照明が切り替わるようになされている。以下、照明20に含まれる各照明21,22,23をそれぞれ、第1照明21、第2照明22、第3照明23ともいう。
【0014】
第1照明21は、棒状化粧料71の斜め上方に配されている。第1照明21は、棒状化粧料71に、斜め上方から白色光を照射するようになされている。第1照明21は、円環状の光源21aを有している。
第2照明22は、棒状化粧料71の側面側に配されており、棒状化粧料71の側面に向かって、白色光を照射するようになされている。第2照明22は、矩形状の光源22aを有している。第2照明22は、光源22aの長手方向が鉛直方向と一致するように配されている。本実施形態では、外観検査装置1は、
図2に示すように、2つの第2照明22を有している。
第3照明23は、棒状化粧料71の鉛直方向上側に配されており、棒状化粧料71に、鉛直方向上側から白色光を照射するようになされている。第3照明23は、円環状の光源23aを有している。
【0015】
撮像部10は、棒状化粧料71の回転数ごとに、該棒状化粧料71を撮像し、検査用画像を取得するようになされている。外観検査装置1は、回転装置30を囲む周方向の一か所にのみ、撮像部10を有している。また撮像部10は、撮像手段を1つのみ有している。本実施形態では、撮像部10は、棒状化粧料71を、該棒状化粧料71の側面側から撮像するように配されている。撮像部10が有する撮像手段としては、例えば、RGBカメラ、赤外線カメラ等を用いることができる。
【0016】
画像処理部40は、撮像部10が取得した各検査用画像について、画像処理を行い、欠陥を検査するようになされている。画像処理部40が1つの検査用画像に基づき検出する欠陥は、1種でもよいし、複数類以上であってもよい。画像処理部40は、典型的には、撮像部10の制御機能、撮像部10によって撮像された画像データの処理機能、該画像データの保存機能などを有し、画像処理ソフトウェア等がインストールされたコンピュータや画像コントローラを基に構築した装置として構成されている。画像処理部40が行う画像処理としては、例えば、二値化、平均化、照度補正、色変換、シェーディング補正等が挙げられる。
欠陥を検出する方法は、特に制限されず、各種公知の検出方法を採用することができ、欠陥の種類に応じて適切な検出方法を選択することが好ましい。例えば、二値化処理後の検査用画像に、ブロブ計測、位置計測又は面積計測を行う等が挙げられる。
【0017】
良否判定部50は、複数の欠陥の検査結果に基づいて、棒状化粧料71の外観の良否を判定するようになされている。画像処理部40及び良否判定部50は、例えば、CPUなどの中央演算装置、ROM、RAMなどの記憶装置等を含むコンピュータ等に、所定のプログラムを組み込んで構成することができる。
本実施形態では、外観検査装置1は、制御部60を有しており、該制御部60により、回転装置30、照明20、撮像部10、画像処理部40、良否判定部50の動作を制御している。制御部60としては、例えば、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)やパーソナルコンピュータに各種のインターフェースを付加したもの等を用いることができる。制御部60は、画像処理部40及び良否判定部50と同じコンピュータに組み込まれていてもよい。
また、外観検査装置1は、記憶部を有し、該記憶部に、撮像部10が撮像した検査用画像、画像処理部40の検査結果等を記憶し、該記憶部が記憶した情報を適宜出力して、良否判定部50による外観の良否判定に使用可能であることが好ましい。
【0018】
次に、本発明の検査対象物の外観検査方法の好ましい実施態様について、上述した外観検査装置1を用いて棒状化粧料71の外観の良否を判定する方法を例に説明する。
本実施態様では、棒状化粧料71を、回転装置30により、該棒状化粧料71の中心軸を中心に2周以上回転させる。そして、棒状化粧料71が回転した回数ごとに、照明20を切り替え、異なる照射条件で光を照射して棒状化粧料71を撮像して検査用画像を取得する。そして、棒状化粧料71が回転した回数ごとに取得した複数の検査用画像それぞれについて、画像処理部40により画像処理を行うことによって、複数種類の欠陥を検査する。そして、良否判定部50により、複数種類の欠陥の検査結果に基づいて、棒状化粧料71の外観の良否を判定する。
【0019】
以下、本実施態様の外観検査方法について、
図3を参照しながら、更に詳細に説明する。以下に説明する実施態様は、棒状化粧料71を少なくとも3周回転させ、3種類の欠陥を検出する例である。
まず、回転装置30の検査対象物保持部32に、棒状化粧料71を把持させる。そして、回転装置30を起動し、棒状化粧料71を回転させる。
そして、ステップS1を行う。ステップS1では、棒状化粧料71が回転した回数を取得する。回転した回数を取得する手段としては、回転装置30のモータ部から得られるエンコーダ信号を用いてもよい。また、回転装置30と連動して回転するドグを設置し、近接センサによってそのドグを検出することによって、回転した回数を取得してもよい。回転した回数は、回転を開始して1周回転するまでを0回としてもよいし、回転が安定するまで回転させた後に、回転の回数のカウントを始めてもよい。
次に、ステップS2を行う。ステップS2では、照明20の照射条件を、ステップS1で取得した回数に応じたものとする。具体的には、棒状化粧料71の回転が1周目であるとき、即ち、ステップS1で取得した回数が0であるときは、予め決められた照明条件で光を照射する。そして、棒状化粧料71の回転が2周目以降であるとき、即ち、ステップS1で取得した回数が1以上であるときは、照明条件を変更する。ステップS2で設定する照射条件は、後続のステップS4で検査する欠陥を検出しやすい検査用画像(画像処理後の画像でもよい。)が得られやすい条件とすることが好ましい。
【0020】
本実施態様の第1例では、照射条件の変更は、例えば、棒状化粧料71の回転が1周目であるとき、即ち、ステップS1で取得した回転の回数が0であるときは、第1照明21のみを点灯させ、第1照明21により光を照射する。また、棒状化粧料71の回転が2周目であるとき、即ち、ステップS1で取得した回転数が1であるときは、第2照明22のみを点灯させ、第2照明22により光を照射する。また、棒状化粧料71の回転が3周目であるとき、即ち、ステップS1で取得した回転数が2であるときは、第3照明23のみを点灯させ、第3照明23により光を照射する。
【0021】
次に、ステップS3を行う。ステップS3では、照明20により光を照射した状態で、撮像部10により、棒状化粧料71を撮像し、検査用画像を取得する。ステップS3では、棒状化粧料71を撮像した回数(以下、「撮像回数)ともいう。)を記憶部に記憶させることが好ましい。具体的には、棒状化粧料71を撮像したときに、記憶部に記憶された撮像回数を1増やすことが好ましい。記憶部に記憶された撮像回数の初期値は0であることが好ましい。撮像回数とは、棒状化粧料71が1回転する間に撮像した回数である。
次に、ステップS4を行う。ステップS4では、ステップS3で取得した検査用画像について、画像処理部40により画像処理を行い、欠陥を検査する。ステップS4において、1つの検査用画像に基づき検査する欠陥は、1種でもよいし、2種以上であってもよい。
本実施態様の第1例では、棒状化粧料71の回転が1周目であるときは、該棒状化粧料71の軸方向の色ムラの有無を検査する。棒状化粧料71の回転が2周目であるときは、該棒状化粧料71の軸方向に延びる傷の有無を検査する。棒状化粧料71の回転が3周目であるときは、該棒状化粧料71の周方向に延びる傷の有無を検査する。そして、画像処理部40の検査結果を記憶部に記憶させる。
【0022】
次に、ステップS5を行う。ステップS5では、撮像回数が、既定の回数(以下、「撮像既定数」ともいう。)であるか否かを判定する。撮像既定数は任意に設定可能である。本実施態様では、棒状化粧料71が1回転する間に、棒状化粧料71が60°回転するごとに撮像を行い、合計6枚の検査用画像を取得する。つまり、本実施態様では、撮像既定数は6である。棒状化粧料71が1回転する間に検査用画像を複数枚取得することにより、棒状化粧料71の全周において欠陥を検査することができるようになる。撮像回数が、撮像既定数でない場合、ステップS3~ステップS5を繰り返す。撮像既定数は特に制限されず、1であってもよいし、2以上5以下であってもよいし、7以上であってもよい。
撮像回数が撮像既定数である場合、記憶部に記憶された撮像回数を0に設定した後、ステップS6を行う。
【0023】
ステップS6では、棒状化粧料71が回転した回数が、所定の回数(以下、「回転既定数」ともいう。)であるか否かを判定する。回転既定数は任意に設定可能である。本実施態様では、棒状化粧料を3周させるので、前述した回転既定数は2である。棒状化粧料71が回転した回数が、回転既定数でない場合、ステップS1~ステップS6を繰り返す。
棒状化粧料71が回転した回数が、(以下、「回転既定数」ともいう。)である場合、ステップS7を行う。ステップS7では、棒状化粧料71の外観の良否の判定を行う。ステップS7では、複数のステップS4で行った検査結果に基づいて、棒状化粧料71の外観の良否を判定する。本実施態様では、ステップS4は3回行っているので、3つの検査結果に基づいて、外観の良否を判定する。例えば、3つの検査結果のいずれか1つにおいて欠陥が発見された場合に、棒状化粧料71の外観が不良であると判定してもよい。また3つの検査結果の全てにおいて欠陥が発見された場合に、棒状化粧料71の外観が不良であると判定してもよい。
【0024】
本実施態様の外観検査方法によれば、棒状化粧料71が回転した回数ごとに照射条件を異ならせるため、該回数ごとに、検査内容に応じた適切な照射条件にて撮影できる。また、棒状化粧料71が回転した回数ごとに照射条件を異ならせるため、棒状化粧料71及び撮像部10を移動させることなく、複数の欠陥を検査することができる。また、棒状化粧料71を回転させながら撮像するため、撮像部10及び撮像手段を複数設置する必要がない。
したがって、本実施態様の外観検査方法によれば、円柱状の検査対象物の外観の良否を高精度に判定することができるとともに、検査に必要な空間を省スペース化することができる。
また本実施形態の外観検査装置1によれば、円柱状の検査対象物の外観の良否を高精度に判定することができるとともに、且つ検査装置の小型化も容易である。
【0025】
本実施態様では、上述のように、棒状化粧料71が回転した回数ごとに、照明20の照射条件を異ならせているところ、各照射条件は、照射する光の波長、照射する光の照度、照射する光の照射方向、光源の形状、及び光源の設置位置の少なくとも1つが異なることが好ましい。こうすることにより、棒状化粧料71が回転した回数ごとに、異なる欠陥を検出することが容易となる。光源の設置位置が異なる例としては、例えば、棒状化粧料71の軸方向に沿う高さ方向の位置が異なることが挙げられる。
【0026】
本実施態様では、棒状化粧料71を複数回回転させ、回転の回数ごとに照射条件を異ならせて欠陥を検査するので、2種以上の検査結果を得ることができる。しかも、各欠陥それぞれに適した照射条件で検査するので、複数の欠陥をそれぞれ発見しやすい方法で検査することができる。本実施態様によってされる欠陥は、例えば、棒状化粧料71に形成されたピンホール、棒状化粧料71の色ムラ、棒状化粧料71に形成された線状の傷、棒状化粧料71に形成されたヒビ、棒状化粧料71の形状の異常、及び棒状化粧料71の表面の異物から選択される2種以上とすることができる。棒状化粧料71の色ムラは、軸方向の色ムラであってもよいし、周方向の色ムラであってもよい。
【0027】
本実施態様では、上述のように、棒状化粧料71が回転した回数ごとに、照射条件を変えて欠陥の検査を行っている。各回数ごとの照射条件は、検出される欠陥に応じたものとすることが好ましい。
例えば、棒状化粧料71の周方向に延在する線状の傷を検出する場合の照射条件は、該棒状化粧料71に対して、該棒状化粧料71の軸方向の一方側から、該軸方向に所定の角度をつけて斜めに照射する、という条件であることが好ましい。こうすることにより、棒状化粧料71の周方向に延在する線状の傷の近辺の陰影が検査用画像に一層はっきり写るようになり、該傷を一層容易に検出することができる。
また、棒状化粧料71の軸方向に延在する線状の傷を検出する場合の照射条件は、該棒状化粧料71に対して、該棒状化粧料71の側方から照射する、という条件であることが好ましい。こうすることにより、棒状化粧料71の軸方向に延在する線状の傷の近辺の陰影が検査用画像に一層はっきり写るようになり、該傷を一層容易に検出することができる。
【0028】
また、棒状化粧料71に形成されたピンホールを検出する場合、照射条件は、該棒状化粧料71の軸方向の一方側から、該軸方向に所定の角度をつけて斜めに照射する、という条件であることが好ましい。
また、棒状化粧料71の軸方向の色ムラを検出する場合、照射条件は、該棒状化粧料71の側方から照射する、という条件であることが好ましい。
また、棒状化粧料71に形成されたヒビを検出する場合、照射条件は、該棒状化粧料71の軸方向の一方側から、該軸方向に所定の角度をつけて斜めに照射する、という条件であることが好ましい。
【0029】
また、棒状化粧料71の形状の異常を検出するため場合、照射条件は、該棒状化粧料71の軸方向の一方側から、該軸方向に所定の角度をつけて斜めに照射する、という条件であることが好ましい。
また、棒状化粧料71の表面の異物を検出するため場合、照射条件は、該棒状化粧料71の軸方向の一方側から、該軸方向に所定の角度をつけて斜めに照射する、という条件であることが好ましい。
【0030】
以下、本発明の外観検査方法の別の実施態様について、
図4を参照しながら説明する。
図4に示す実施態様については、
図3に示す実施態様と異なる点について説明する。特に説明しない点は、
図3に示す実施態様と同様であり、
図3に示す実施態様の説明が適宜適用される。
【0031】
図4に示す実施態様では、ステップS1及びステップS2を、
図3に示す実施態様と同様に行う。
次に、ステップS3bを行う。ステップS3bでは、ステップS3と同様に検査用画像を取得する。そして、得られた検査用画像を記憶部に記憶させる。またステップ3Sと同様に、記憶部に記憶された撮像回数を1増やすことが好ましい。
次に、ステップS5bを行う。ステップS5bでは、ステップS5と同様に、撮像回数が撮像既定数であるか否かを判定する。撮像既定数は任意に設定可能である。撮像回数が、撮像既定数でない場合、ステップS1、ステップS2、ステップS3b及びステップS5bを繰り返す。
撮像回数が撮像既定数である場合、記憶部に記憶された撮像回数を0に設定した後、ステップS6bを行う。
【0032】
ステップS6bでは、ステップS6と同様に、棒状化粧料71が回転した回数が、回転既定数であるか否かを判定する。棒状化粧料71が回転した回数が、回転既定数でない場合、ステップS1、ステップS2、ステップS3b、ステップS5b及びステップS6bを繰り返す。
棒状化粧料71が回転した回数が、既定の回数である場合、ステップS4bを行う。ステップS4bでは、記憶部に記憶された検査用画像について、画像処理部40により画像処理を行い、欠陥を検査する。ステップS4bにおいて、1つの検査用画像に基づき検査する欠陥は、1種でもよいし、2種以上であってもよい。例えば、棒状化粧料71の回転が1周目のときの検査用画像に基づいて、該棒状化粧料71の軸方向の色ムラの有無を検査し、棒状化粧料71の回転が2周目のときの検査用画像に基づいて、該棒状化粧料71の軸方向に延びる傷の有無を検査し、棒状化粧料71の回転が3周目のときの検査用画像に基づいて、該棒状化粧料71の周方向に延びる傷の有無を検査する。
【0033】
次にステップS6bを行う。ステップ6では、ステップS4bで行った検査結果に基づいて、棒状化粧料71の外観の良否を判定する。例えば、上述のように、ステップS4bで3つの欠陥について検査した場合、3つの検査結果に基づいて、外観の良否を判定することができる。例えば、3つの検査結果のいずれか1つにおいて欠陥が発見された場合に、棒状化粧料71の外観が不良であると判定してもよい。また3つの検査結果の全てにおいて欠陥が発見された場合に、棒状化粧料71の外観が不良であると判定してもよい。
図4に示す実施態様によっても、
図3に示す実施態様と同様に、円柱状の検査対象物の外観の良否を高精度に判定することができるとともに、検査に必要な空間を省スペース化することができる。
【0034】
以上、本発明を、その好ましい実施態様及び実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上述した実施態様及び実施形態に限定されるものではない。
例えば、本実施形態の外観検査装置1は、照明20として3つの照明21,22,23を含んでいるところ、外観検査装置1は、照明20として1つの照明のみを含んでいてもよい。本実施形態では、照明20は、少なくとも2つの照明を含んでいることが好ましく、各照明は、照射する光の波長、照射する光の照度、照射する光の照射方向、該照明の形状、及び該照明の設置位置の少なくとも1つが異なることが好ましい。こうすることにより、棒状化粧料71が回転した回数ごとに、照射条件を異ならせることが容易になる。なお、照明の数は、4つ以上であってもよい。
【0035】
また本実施形態では、照明20の光源の形状は、円環状又は矩形状であったが、光源の形状はこれに限られない。照明20の光源の形状は、例えば、ドーム状、同軸落射型等であってもよい。光源の形状は、検出される欠陥に応じて選択することが好ましい。
【0036】
また本実施形態では、照明20の光源の波長は、可視光領域の波長をまんべんなく含む白色光としたが、光源の波長はこれに限られない。照明20の光源の波長は、例えば、赤色、青色、赤外、紫外領域の波長であってもよい。光源の波長は、棒状化粧料71の色に応じて選択することが好ましい。
【0037】
また本実施形態では、棒状化粧料71が回転した回数ごとに、一の照射条件で撮像する回と、他の照射条件で撮像する回との間に、撮像しない回又は前記一の照射条件と同一条件で撮像する回を有していてもよい。
【0038】
また本実施態様では、棒状化粧料71を3周回転させていたが、棒状化粧料71を回転させる回数は2回でもよいし、4回以上でもよい。
【0039】
棒状化粧料71としては、前述した口紅の他、リップクリーム、リップグロス、スティックアイシャドウ、アイブロー、アイライナー、スティックファンデーション、コンシーラー、美白スティック等が挙げられる。口紅は、紅身のみであってもよいし、容器入りの口紅であってもよい。
検査対象物は、棒状化粧料71に制限されず、例えば、チョコレート、制汗剤、石鹸、ロウソク、医薬品、インテリア、玩具等であってもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 検査装置
10 撮像部
20 照明
30 回転装置
40 画像処理部
50 良否判定部
60 制御部