(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-19
(45)【発行日】2025-09-30
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法、プログラムおよび通信システム
(51)【国際特許分類】
H04M 11/00 20060101AFI20250922BHJP
G08B 29/12 20060101ALI20250922BHJP
H04M 11/04 20060101ALI20250922BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20250922BHJP
【FI】
H04M11/00 301
G08B29/12
H04M11/04
H02J13/00 301A
(21)【出願番号】P 2022106774
(22)【出願日】2022-07-01
【審査請求日】2024-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】工藤 浩喜
(72)【発明者】
【氏名】田中 康之
(72)【発明者】
【氏名】長久保 咲絵
【審査官】石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-113130(JP,A)
【文献】特開2021-162931(JP,A)
【文献】特開2007-151303(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B19/00-31/00
H03J9/00-9/06
H04L12/28
51/00-51/58
67/00-67/75
H04M3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
H04Q9/00-9/16
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバと、1つ以上の電子機器と、にネットワークを介して接続される制御装置であって、
前記サーバは、災害に応じた前記電子機器の制御の要否を判定し、前記制御が必要と判定した場合、前記災害に対する対策を示す対策情報を、前記制御装置を介して前記電子機器に送信し、
前記災害のリスクを表すリスク情報を用いて、前記災害の発生を推定する推定部と、
前記災害が発生することが推定された場合、
前記電子機器の制御の要否を
確認するメッセージを前記サーバに
送信する確認部と、
前記
メッセージに対して前記サーバから応答が送信されなかった場合、推定された前記災害に応じた前記制御の要否を
前記サーバの代わりに判定する判定部と、
前記制御が必要と判定された場合、または、前記サーバから前記制御が必要であることを示す応答が送信された場合、前記制御の指示を前記電子機器に送信する第1通信制御部と、
を備える制御装置。
【請求項2】
前記リスク情報を前記サーバから受信する第2通信制御部をさらに備える、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記リスク情報は、自然災害の警報および注意報を含む警告情報であり、
前記警告情報を受信する受信部をさらに備える、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記対策情報を前記サーバから受信する第2通信制御部をさらに備え、
前記判定部は、前記災害の種類と、前記対策情報と、を用いて、前記制御の要否を判定する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記第2通信制御部は、前記災害が発生することが推定された場合、前記対策情報を受信する頻度を変更する、
請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御装置の位置情報を取得する位置情報取得部をさらに備え、
前記推定部は、前記位置情報に応じたハザードマップと、前記リスク情報と、を用いて前記災害の発生を推定する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項7】
前記災害は停電であり、
前記リスク情報は、電力取引市場での電力の取引状況を示す情報、および、電力制御の状況を示す情報、の少なくとも一方である、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項8】
サーバと、1つ以上の電子機器と、にネットワークを介して接続される制御装置が備えるコンピュータに
実行させるためのプログラムであって、
前記サーバは、災害に応じた前記電子機器の制御の要否を判定し、前記制御が必要と判定した場合、前記災害に対する対策を示す対策情報を、前記制御装置を介して前記電子機器に送信し、
前記コンピュータに、
前記災害のリスクを表すリスク情報を用いて、前記災害の発生を推定する推定ステップと、
前記災害が発生することが推定された場合、
前記電子機器の制御の要否を
確認するメッセージを前記サーバに
送信する確認ステップと、
前記
メッセージに対して前記サーバから応答が送信されなかった場合、推定された前記災害に応じた前記制御の要否を
前記サーバの代わりに判定する判定ステップと、
前記制御が必要と判定された場合、または、前記サーバから前記制御が必要であることを示す応答が送信された場合、前記制御の指示を前記電子機器に送信する第1通信制御ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【請求項9】
サーバと、
1つ以上の電子機器と、前記サーバと前記電子機器とにネットワークを介して接続される制御装置と、を備える通信システムであって、
前記サーバは、災害に応じた前記電子機器の制御の要否を判定し、前記制御が必要と判定した場合、前記災害に対する対策を示す対策情報を、前記制御装置を介して前記電子機器に送信し、
前記制御装置は、
前記災害のリスクを表すリスク情報を用いて、前記災害の発生を推定する推定部と、
前記災害が発生することが推定された場合、
前記電子機器の制御の要否を
確認するメッセージを前記サーバに
送信する確認部と、
前記
メッセージに対して前記サーバから応答が送信されなかった場合、推定された前記災害に応じた前記制御の要否を
前記サーバの代わりに判定する判定部と、
前記制御が必要と判定された場合、または、前記サーバから前記制御が必要であることを示す応答が送信された場合、前記制御の指示を前記電子機器に送信する第1通信制御部と、
を備える、
通信システム。
【請求項10】
サーバと、1つ以上の電子機器と、にネットワークを介して接続される制御装置で実行される制御方法であって、
前記サーバは、災害に応じた前記電子機器の制御の要否を判定し、前記制御が必要と判定した場合、前記災害に対する対策を示す対策情報を、前記制御装置を介して前記電子機器に送信し、
前記災害のリスクを表すリスク情報を用いて、前記災害の発生を推定する推定ステップと、
前記災害が発生することが推定された場合、
前記電子機器の制御の要否を
確認するメッセージを前記サーバに
送信する確認ステップと、
前記
メッセージに対して前記サーバから応答が送信されなかった場合、推定された前記災害に応じた前記制御の要否を
前記サーバの代わりに判定する判定ステップと、
前記制御が必要と判定された場合、または、前記サーバから前記制御が必要であることを示す応答が送信された場合、前記制御の指示を前記電子機器に送信する第1通信制御ステップと、
を含む制御方法。
【請求項11】
災害のリスクを表すリスク情報を用いて、前記災害の発生を推定する推定部と、
前記災害が発生することが推定された場合、電子機器の制御の要否をサーバに確認する確認部と、
前記制御の要否の確認に対して前記サーバから応答が送信されなかった場合、推定された前記災害に応じた前記制御の要否を判定する判定部と、
前記制御が必要と判定された場合、または、前記サーバから前記制御が必要であることを示す応答が送信された場合、前記制御の指示を前記電子機器に送信する第1通信制御部と、
前記災害に対する対策を示す対策情報を前記サーバから受信する第2通信制御部と、を備え、
前記判定部は、前記災害の種類と、前記対策情報と、を用いて、前記制御の要否を判定する、
制御装置。
【請求項12】
前記第2通信制御部は、前記災害が発生することが推定された場合、前記対策情報を受信する頻度を変更する、
請求項11に記載の制御装置。
【請求項13】
災害のリスクを表すリスク情報を用いて、前記災害の発生を推定する推定部と、
前記災害が発生することが推定された場合、電子機器の制御の要否をサーバに確認する確認部と、
前記制御の要否の確認に対して前記サーバから応答が送信されなかった場合、推定された前記災害に応じた前記制御の要否を判定する判定部と、
前記制御が必要と判定された場合、または、前記サーバから前記制御が必要であることを示す応答が送信された場合、前記制御の指示を前記電子機器に送信する第1通信制御部と、を備え、
前記災害は停電であり、
前記リスク情報は、電力取引市場での電力の取引状況を示す情報、および、電力制御の状況を示す情報、の少なくとも一方である、
制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、制御装置、制御方法、プログラムおよび通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
地震、津波および大雨などの大規模な自然災害の脅威から、人、設備およびインフラを守る必要がある。自然災害により停電または通信の不通が発生すると、これらを守るための機能を維持することが困難になる。災害によって停電または通信の不通が発生しても、人、設備およびインフラの必要最低限の制御機能を維持することが望まれる。
【0003】
例えば、サーバが、各拠点に備えられる制御装置(ローカル制御装置)に対して、対策情報を定期的に送信し、制御装置が、サーバからの通信が途絶したときに記憶されている対策情報を読み出してエッジデバイス等に対策情報を送信する技術が提案されている。対策情報は、災害に対する対策を示す情報であり、例えば、避難行動を示す情報、および、災害発生時のエッジデバイスの制御方法を示す情報である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、災害に適切に対処できない場合があった。例えば、災害の状況は時々刻々と変化するため、通信が途絶する前に取得した対策情報では十分に災害に対処できない場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の制御装置は、推定部と、確認部と、判定部と、第1通信制御部と、を備える。推定部は、災害のリスクを表すリスク情報を用いて災害の発生を推定する。確認部は、災害が発生することが推定された場合、電子機器の制御の要否をサーバに確認する。判定部は、制御の要否の確認に対してサーバから応答が送信されなかった場合、推定された災害に応じた制御の要否を判定する。第1通信制御部は、制御が必要と判定された場合、または、サーバから制御が必要であることを示す応答が送信された場合、制御の指示を電子機器に送信する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態にかかる通信システムの構成例を示す図。
【
図3】実施形態における制御処理のフローチャート。
【
図5】変形例1における制御処理のフローチャート。
【
図7】実施形態にかかる制御装置のハードウェア構成図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる制御装置、制御方法、プログラムおよび通信システムの好適な実施形態を詳細に説明する。
【0009】
本実施形態の制御装置は、通常はクラウドサーバなどの上位のサーバからの指示に応じて設備およびインフラに含まれる電子機器(エッジデバイス)を制御する。また、制御装置は、気象庁などから発令される災害の警告情報(警報、注意報など)を用いて災害の発生を推定し、災害が発生すると推定される場合、対策情報を用いてエッジデバイスを制御する。災害が発生すると推定される場合、対策情報を収集する頻度が変更されてもよい。また、制御装置は、停電または通信断が発生した場合に、サーバに代わりエッジデバイスを制御する。
【0010】
これにより、災害時の設備およびインフラの管理が可能となる。停電などによりサーバとの通信が途絶した場合であっても、制御装置が制御主体となって縮退運転を実行することができる。すなわち、通信途絶以降も災害状況に応じた制御を実現することができる。
【0011】
図1は、実施形態にかかる通信システムの構成例を示す図である。
図1に示すように、実施形態の通信システムは、制御装置100a~100cと、サーバ200と、エッジデバイス300a~300r(電子機器の一例)と、を備えている。サーバ200と、制御装置100a~100cは、ネットワーク400により接続される。
【0012】
制御装置100a~100cは、それぞれ、エッジデバイス300a~300rのうち一部と接続される。
図1では、制御装置100a~100cとエッジデバイス300a~300rとが、マルチホップネットワークを構成する例が示されている。マルチホップネットワークは、例えば、無線通信を行う無線マルチホップネットワークである。
【0013】
制御装置100a~100c、および、エッジデバイス300a~300rの個数は、
図1に示す例に限られない。制御装置100a~100cは同様の構成を備えるため、区別する必要がない場合は単に制御装置100という。エッジデバイス300a~300rは同様の構成を備えるため、区別する必要がない場合は単にエッジデバイス300という。
【0014】
ネットワーク400は、例えばインターネットおよびLAN(ローカルエリアネットワーク)であるが、その他のどのような形態のネットワークであってもよい。ネットワーク400は、有線ネットワーク、無線ネットワーク、および、無線と有線とが混在したネットワークのいずれであってもよい。
【0015】
サーバ200は、制御装置100に対して、エッジデバイス300を制御するための各種情報を提供する。サーバ200は、例えばクラウド環境上に構築されるクラウドサーバとして実現されてもよい。通信システムは、2個以上のサーバ200を備えてもよい。
【0016】
エッジデバイス300は、制御対象となる設備およびインフラに含まれるどのような電子機器であってもよい。例えばエッジデバイス300は、アクチュエータでもよいし、以下のような予め定められた物理量を検知するセンサ(検知装置)であってもよい。
・カメラ(撮像装置)
・マイク(集音装置)
・温度センサ
・湿度センサ
・電波センサ
・水位計
・雨量計
・地震計
・モータ回転数、電圧および電力などを測定するセンサ
【0017】
制御装置100は、例えば、設備またはインフラなどの制御対象が存在する拠点ごとに設置される。各制御装置100は、該当する拠点の設備またはインフラに含まれるエッジデバイス300に接続される。
【0018】
サーバ200は、例えば制御装置100を介して、各拠点のエッジデバイス300からセンシングデータなどの各種データを収集し、災害の発生の推定などに利用する。例えばサーバ200は、収集したデータから災害の発生が予測される場合、または、気象庁などから発令される災害の警告情報を受信した場合に、災害に対する対策情報を、各制御装置100に送信する。
【0019】
対策情報は、例えば、エッジデバイス300の制御方法を示す情報、および、人の避難行動を示す避難情報である。エッジデバイス300の制御方法を示す情報は、例えば、センサであるエッジデバイス300に対してセンシングを指示する情報(センシングの頻度など)である。
【0020】
図2は、実施形態にかかる制御装置100の構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、制御装置100は、通信制御部101(第2通信制御部の一例)と、通信制御部102(第1通信制御部の一例)と、ローカル制御部110と、記憶部121と、を備えている。
【0021】
通信制御部101は、サーバ200との間の通信を制御する。例えば通信制御部101は、災害のリスクを表すリスク情報、および、対策情報をサーバ200から受信する。リスク情報は、判定部113が災害の発生を推定できる情報であればどのような情報であってもよいが、例えば、自然災害の警報および注意報を含む警告情報である。また通信制御部101は、ローカル制御部110から得られた制御結果をサーバ200に通知する。
【0022】
通信制御部102は、エッジデバイス300との間の通信を制御する。例えば通信制御部102は、エッジデバイス300の制御が必要な場合に、エッジデバイス300に対して制御を指示するための制御指示情報を送信する。エッジデバイス300の制御が必要な場合とは、例えば、判定部113によりエッジデバイス300の制御が必要と判定された場合、および、サーバ200からエッジデバイス300の制御が必要であることを示す応答が送信された場合である。通信制御部102は、ローカル制御部110から受け取った制御指示情報をエッジデバイス300に送信する。
【0023】
ローカル制御部110は、エッジデバイス300の制御を行う。例えばローカル制御部110は、サーバ200およびエッジデバイス300から得られたデータを用いて災害の発生を推定する機能、および、通信制御部102を用いてエッジデバイス300の制御指示を行う機能を備える。ローカル制御部110は、推定部111と、確認部112と、判定部113と、を備えている。
【0024】
推定部111は、リスク情報を用いて災害の発生を推定する。例えばリスク情報として自然災害の警告情報を用いる場合、推定部111は、警告情報により自然災害の発生が予測される地域を示す情報、および、制御装置100が設置された拠点を含む地域のハザードマップなどを用いて、当該拠点で発生する災害を推定する。例えば大雨に関する警報が発令されている場合、推定部111は、ハザードマップを参照し、洪水および土砂災害などの発生を推定する。ハザードマップは、例えば記憶部121に予め記憶される。
【0025】
災害の発生の推定方法はこれに限られず、どのような方法であってもよい。例えば、リスク情報を入力し、発生しうる災害を推定して出力するように学習された推定モデルを用いた推定方法が用いられてもよい。推定モデルは、例えばクラウドサーバなどで蓄積されたビッグデータを用いた機械学習および強化学習により構築される。学習は、クラウドサーバ(サーバ200など)で実行されてもよいし、制御装置100で実行されてもよい。
【0026】
確認部112は、推定部111により災害が発生することが推定された場合、エッジデバイス300の制御の要否をサーバ200に確認する。例えば確認部112は、通信制御部101を介して、エッジデバイス300の制御の要否を確認するためのメッセージをサーバ200に送信する。
【0027】
判定部113は、制御の要否の確認に対してサーバ200から応答が送信されなかった場合、推定された災害に応じた制御の要否を判定する。すなわち判定部113は、災害の発生が推定され、かつ、サーバ200との通信の途絶などが生じた場合に、サーバ200に代わり制御の要否を判定する。例えば判定部113は、推定された災害の種類と、既に受信された対策情報とを用いて、制御の要否を判定する。
【0028】
例えば判定部113は、推定される災害ごと、および、設備(インフラ)ごとに事前に割り当てられた影響度を用いて、影響度が大きい(例えば影響度が閾値を超える)場合に、制御が必要であると判定する。例えば災害が地震の場合、耐震性が大きい設備に対しては相対的に小さい影響度が割り当てられ、耐震性が小さい設備に対しては相対的に大きい影響度が割り当てられる。津波の発生が推定される場合、設備の海抜または設備が備えられる階の高さに応じて影響度が割り当てられてもよい。
【0029】
制御要否の判定方法はこれに限られず、どのような方法であってもよい。例えば、推定された災害を示す情報を入力し、制御要否を示す情報を出力するように学習された判定モデルを用いた判定方法が用いられてもよい。判定モデルは、例えばクラウドサーバなどで蓄積されたビッグデータを用いた機械学習および強化学習により構築される。学習は、クラウドサーバ(サーバ200など)で実行されてもよいし、制御装置100で実行されてもよい。
【0030】
判定部113によりエッジデバイス300への制御が必要と判定された場合、ローカル制御部110は、通信制御部102を介してエッジデバイス300に制御指示情報を送信する。また、制御指示情報の応答としてエッジデバイス300から制御結果が得られた場合、ローカル制御部110は、通信制御部101を介してサーバ200に制御結果を送信する。
【0031】
制御指示情報は、エッジデバイス300の制御を指示する情報であればどのような情報であってもよい。例えば制御指示情報は、以下のような指示を示す情報であってもよい。
・センサであるエッジデバイス300のセンシング頻度の変更
・無効となっている機能(例えばGPS(Global Positioning System)の機能)を有効にする指示
【0032】
サーバ200から制御指示情報として用いることができる対策情報が送信される場合は、ローカル制御部110は、対策情報を制御指示情報として用いてもよい。ローカル制御部110は、対策情報を参照して制御指示情報を生成して送信してもよい。
【0033】
なお、災害の発生が推定された場合、サーバ200から対策情報を取得する頻度を変更するように構成されてもよい。例えば、通信制御部101は、災害が発生することが推定された場合、対策情報を受信する頻度を変更(例えば頻度を大きくする)してもよい。これにより、エッジデバイス300に対して、災害に応じたより適切な制御を実行可能となる。
【0034】
上記各部(通信制御部101、通信制御部102、および、ローカル制御部110)は、例えば、1または複数のプロセッサにより実現される。例えば上記各部は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサにプログラムを実行させること、すなわちソフトウェアにより実現してもよい。上記各部は、専用のIC(Integrated Circuit)などのプロセッサ、すなわちハードウェアにより実現してもよい。上記各部は、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現してもよい。複数のプロセッサを用いる場合、各プロセッサは、各部のうち1つを実現してもよいし、各部のうち2つ以上を実現してもよい。
【0035】
記憶部121は、制御装置100で用いられる各種データを記憶する。例えば記憶部121は、サーバ200から受信したリスク情報および対策情報、並びに、エッジデバイス300から受信したデータ(制御結果、センシングデータなど)を記憶する。記憶部121は、フラッシュメモリ、メモリカード、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、および、光ディスクなどの一般的に利用されているあらゆる記憶媒体により構成することができる。
【0036】
次に、実施形態にかかる制御装置100による制御処理について説明する。
図3は、実施形態における制御処理の一例を示すフローチャートである。
【0037】
ローカル制御部110は、サーバ200からデータを受信したか否かを判定する(ステップS101)。例えばローカル制御部110は、通信制御部101からデータを受け取った場合に、サーバ200からデータを受信したと判定する。サーバ200から受信するデータは、例えばリスク情報および対策情報である。
【0038】
サーバ200からデータを受信した場合(ステップS101:Yes)、ローカル制御部110は、受信したデータがリスク情報であるか否かを判定する(ステップS102)。例えばローカル制御部110は、データのヘッダなどに設定されたデータの種別を示す情報を参照することにより、データがリスク情報であるか、または、対策情報であるかを判定する。
【0039】
受信したデータがリスク情報でない場合、すなわち、データが対策情報である場合(ステップS102:No)、ローカル制御部110は、対策情報を記憶部121に記憶する(ステップS103)。
【0040】
受信したデータがリスク情報である場合(ステップS102:Yes)、推定部111は、リスク情報を用いて、災害が発生するか否かを推定する(ステップS104)。
【0041】
災害が発生することが推定された場合、確認部112は、エッジデバイス300の制御の要否をサーバ200に確認する(ステップS105)。
【0042】
判定部113は、確認に対する応答が受信できたか否かを判定する(ステップS106)。例えば判定部113は、予め定められた応答期間内に応答を受信しない場合、応答が受信できないと判定する。
【0043】
応答が受信できない場合(ステップS106:No)、判定部113は、推定された災害に応じた制御の要否を判定する(ステップS107)。
【0044】
ローカル制御部110は、制御の要否の確認に対する応答が受信できた場合(ステップS106:Yes)、および、判定部113による制御要否の判定の後、エッジデバイス300の制御が必要か否かを判定する(ステップS108)。
【0045】
例えばサーバ200から、制御が不要であることを示す応答を受信した場合、または、判定部113により制御が不要と判定された場合、ローカル制御部110は、制御が必要でないと判定する(ステップS108:No)。この場合、ローカル制御部110は、制御処理を終了する。
【0046】
サーバ200から、制御が必要であることを示す応答を受信した場合、または、判定部113により制御が必要と判定された場合、ローカル制御部110は、制御が必要であると判定する(ステップS108:Yes)。この場合、ローカル制御部110は、通信制御部102を介して、エッジデバイス300に制御指示を送信し(ステップS109)、制御処理を終了する。
【0047】
ステップS101で、サーバ200からデータを受信していないと判定された場合(ステップS101:No)、ローカル制御部110は、エッジデバイス300からデータを受信したか否かを判定する(ステップS110)。例えばローカル制御部110は、通信制御部102からデータを受け取った場合に、エッジデバイス300からデータを受信したと判定する。エッジデバイス300から受信するデータは、例えば制御指示に対する制御結果である。
【0048】
エッジデバイス300からデータを受信していない場合(ステップS110:No)、制御装置100は、制御処理を終了する。エッジデバイス300からデータを受信した場合(ステップS110:Yes)、ローカル制御部110は、データ(制御結果)を記憶部121へ記憶する(ステップS111)。
【0049】
ローカル制御部110は、サーバ200と通信可能か否かを判定する(ステップS112)。通信可能な場合(ステップS112:Yes)、ローカル制御部110は、通信制御部101を介して、制御結果をサーバ200に送信する(ステップS113)。通信可能でない場合(ステップS112:No)、判定部113による制御要否の判定処理(ステップS107)が実行される。
【0050】
なお、ローカル制御部110は、通信可能か否かの判定の前に制御結果をサーバ200に送信し、サーバ200から応答がない場合に、通信可能でないと判定してステップS107を実行するように構成してもよい。
【0051】
このように、本実施形態では、サーバ200との通信が可能であればサーバ200からの制御要否に応じた制御、言い換えると、サーバ200を制御主体とするエッジデバイス300の制御が可能である。一方、災害発生時にサーバ200との通信が途絶した場合には、それまで得られた情報(リスク情報)を用いて、制御装置100が制御主体となって、制御要否を判定し、エッジデバイス300を制御する。これにより、災害に対してより適切に対処可能となる。
【0052】
なお、災害からの復旧などによりサーバ200との通信が再開されれば、通常運転に戻り、サーバ200が制御主体とする制御が実行される。制御装置100が設置された拠点を含む地域で災害に起因する停電が生じる場合を考慮し、制御装置100が無停電電源装置(UPS)を備えてもよい。
【0053】
(変形例1)
図4は、変形例1の制御装置100-2の構成の一例を示すブロック図である。
図4に示すように、制御装置100-2は、通信制御部101と、通信制御部102と、受信部103-2と、ローカル制御部110-2と、記憶部121と、を備えている。
【0054】
変形例1では、受信部103-2を追加したこと、および、ローカル制御部110-2の機能が、上記実施形態と異なっている。その他の構成および機能は、上記実施形態にかかる制御装置100のブロック図である
図2と同様であるので、同一符号を付し、ここでの説明は省略する。
【0055】
受信部103-2は、サーバ200を介さずに、リスク情報を受信する。例えば受信部103-2は、通信事業者が提供する緊急速報送信サービスなどを利用して、リスク情報(警告情報)を受信する。緊急速報送信サービスは、例えば、気象庁が配信する緊急地震速報、および、自治体が配信する災害情報または避難情報などの情報を、サービス利用者の端末に送信するサービスである。
【0056】
変形例1は、サーバ200からはリスク情報を受信しないように構成されてもよい。以下では、サーバ200からリスク情報を受信しない構成を例に説明する。
図5は、変形例1における制御処理の一例を示すフローチャートである。
【0057】
ローカル制御部110-2は、サーバ200からデータを受信したか否かを判定する(ステップS201)。変形例1では、サーバ200から受信するデータは、例えば対策情報である。
【0058】
サーバ200からデータを受信した場合(ステップS201:Yes)、ローカル制御部110-2は、ローカル制御部110-2は、対策情報を記憶部121に記憶する(ステップS203)。
【0059】
サーバ200からデータを受信していない場合(ステップS201:No)、ローカル制御部110-2は、受信部103-2によりリスク情報を受信したか否かを判定する(ステップS202)。
【0060】
受信部103-2によりリスク情報が受信された場合(ステップS202:Yes)、推定部111は、リスク情報を用いて、災害が発生するか否かを推定する(ステップS2104)。
【0061】
受信部103-2によりリスク情報が受信されていない場合(ステップS202:No)、ローカル制御部110-2は、エッジデバイス300からデータを受信したか否かを判定する(ステップS210)。
【0062】
ステップS205からステップS209、および、ステップS211からステップS213は、上記実施形態にかかる制御装置100におけるステップS105からステップS109、ステップS111からステップS113までと同様の処理なので、その説明を省略する。
【0063】
(変形例2)
図6は、変形例2の制御装置100-3の構成の一例を示すブロック図である。
図6に示すように、制御装置100-3は、通信制御部101と、通信制御部102と、受信部103-2と、位置情報取得部104-3と、ローカル制御部110-3と、記憶部121-3と、を備えている。
【0064】
変形例2では、位置情報取得部104-3をさらに追加したこと、および、ローカル制御部110-3(推定部111-3)と記憶部121-3の機能が、変形例1と異なっている。その他の構成および機能は、変形例1にかかる制御装置100-2のブロック図である
図4と同様であるので、同一符号を付し、ここでの説明は省略する。
【0065】
なお変形例2は、変形例1に対して位置情報取得部104-3を追加した構成に相当するが、上記実施形態に対して位置情報取得部104-3を追加する構成としてもよい。
【0066】
位置情報取得部104-3は、例えばGPS機能により、制御装置100-3の位置情報を取得する。
【0067】
ローカル制御部110-3は、取得された位置情報に対応するハザードマップを、例えばサーバ200などの外部装置から取得し、記憶部121-3に記憶する。記憶部121-3は、このようにして取得されたハザードマップを記憶する点が、上記変形例1の記憶部121と異なっている。
【0068】
推定部111-3は、位置情報に応じたハザードマップと、リスク情報と、を用いて災害の発生を推定する。
【0069】
変形例2では、位置情報取得部104-3により得られる位置情報に基づいてサーバ200などからハザードマップを取得することが可能となる。これにより、例えば制御装置100を各拠点に設置するときに、拠点に対応するハザードマップを入手し、予め制御装置100(記憶部121など)に記憶する必要がなくなる。
【0070】
なお、位置情報取得部104-3(例えばGPS機能)は、エッジデバイス300それぞれに備えられてもよい。この場合、例えば判定部113は、エッジデバイス300の位置情報取得部104-3により取得される位置情報に応じて、当該エッジデバイス300の制御要否を判定してもよい。すなわち、判定部113は、エッジデバイス300の位置ごとに制御要否を判定してもよい。
【0071】
(変形例3)
上記実施形態、変形例1および変形例2では、地震および津波などの自然災害を対象としていた。対象とする災害は、このような自然災害に限られず、どのような災害であってもよい。変形例3では、電力自由化に伴う電力取引市場による電力取引価格の乱高下による停電、および、バーチャルパワープラントなどの電力制御の不安定性を原因とする停電を災害とする例を説明する。
【0072】
この場合、リスク情報は、例えば、電力取引市場における、電力取引価格情報、電力取引実績情報、および、電力制御情報の少なくとも一部を含む。電力取引価格情報および電力取引実績情報は、電力取引市場での電力の取引状況を示す情報の一例である。電力制御情報は、電力制御の状況を示す情報の一例である。また、対策情報は、停電が発生しうる地点の情報などを含む。
【0073】
変形例3における災害の推定方法としては、電力取引価格情報および電力取引実績情報をリスク情報とする場合、電力価格および取引実績の変動幅が閾値を超える場合に、停電が発生すると推定する方法を採用できる。電力制御情報をリスク情報とする場合、制御不可能情報などのエラー情報を用いて推定する方法、並びに、電圧および電流の変動幅が閾値を超える場合に停電が発生すると推定する方法を採用できる。
【0074】
次に、実施形態にかかる制御装置のハードウェア構成について
図7を用いて説明する。
図7は、実施形態にかかる制御装置のハードウェア構成例を示す説明図である。
【0075】
実施形態にかかる制御装置は、CPU51などの制御装置と、ROM(Read Only Memory)52やRAM53などの記憶装置と、ネットワークに接続して通信を行う通信I/F54と、各部を接続するバス61を備えている。
【0076】
実施形態にかかる制御装置で実行されるプログラムは、ROM52等に予め組み込まれて提供される。
【0077】
実施形態にかかる制御装置で実行されるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、フレキシブルディスク(FD)、CD-R(Compact Disk Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録してコンピュータプログラムプロダクトとして提供されるように構成してもよい。
【0078】
さらに、実施形態にかかる制御装置で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、実施形態にかかる制御装置で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0079】
実施形態にかかる制御装置で実行されるプログラムは、コンピュータを上述した制御装置の各部として機能させうる。このコンピュータは、CPU51がコンピュータ読取可能な記憶媒体からプログラムを主記憶装置上に読み出して実行することができる。
【0080】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0081】
100、100-2、100-3 制御装置
101 通信制御部
102 通信制御部
103-2 受信部
104-3 位置情報取得部
110、110-2、110-3 ローカル制御部
111、111-3 推定部
112 確認部
113 判定部
121、121-3 記憶部
200 サーバ
300 エッジデバイス
400 ネットワーク