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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-19
(45)【発行日】2025-09-30
(54)【発明の名称】センサ及び検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 33/09 20060101AFI20250922BHJP
   G01R 33/02 20060101ALI20250922BHJP
   H10N 50/10 20230101ALI20250922BHJP
   A61B 5/242 20210101ALI20250922BHJP
【FI】
G01R33/09
G01R33/02 R
H10N50/10 Z
H10N50/10 P
A61B5/242
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022107817
(22)【出願日】2022-07-04
(65)【公開番号】P2024006691
(43)【公開日】2024-01-17
【審査請求日】2024-09-05
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期/フィジカル空間デジタルデータ処理基盤/サブテーマII:超低消費電力IoTデバイス・革新的センサ技術/超高感度センサシステムの研究開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】喜々津 哲
(72)【発明者】
【氏名】東 祥弘
(72)【発明者】
【氏名】白鳥 聡志
【審査官】永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-47887(JP,A)
【文献】特開2019-207167(JP,A)
【文献】特開2020-12831(JP,A)
【文献】特開2022-88883(JP,A)
【文献】特開2022-38821(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0003776(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 33/02
G01R 15/20
H10N 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1素子を含む素子部を備え、
前記第1素子は、第1磁気素子と第1導電部材と第1磁性部とを含み、
前記第1磁気素子は、第1磁性層及び第1対向磁性層を含み、
前記第1磁性層から前記第1対向磁性層への第1方向と交差する第2方向に沿う前記第1磁気素子の長さは、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差する第3方向に沿う前記第1磁気素子の長さよりも長く、
前記第1導電部材は、第1導電部分と第1他導電部分とを含み、
前記第1他導電部分から前記第1導電部分への方向は前記第2方向に沿い、
前記第1磁性部から前記第1磁気素子への方向は、前記第2方向に沿う、センサ。
【請求項2】
前記第3方向に沿う前記第1磁性部の長さは、前記第3方向に沿う前記第1磁気素子の前記長さよりも長い、請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
1回路を含む制御部をさらに備え、
前記第1回路は、前記第1導電部分及び前記第1他導電部分と電気的に接続され、
前記第1回路は、前記第1導電部材に第1電流を供給可能であり、
前記第1電流は、交流成分を含み、
前記第1電流の極小値は第1極性であり、
前記第1電流の極大値は前記第1極性である、請求項1に記載のセンサ。
【請求項4】
第1素子を含む素子部を備え、
前記第1素子は、第1磁気素子と第1導電部材と第1導電層とを含み、
前記第1磁気素子は、第1磁性層及び第1対向磁性層を含み、
前記第1磁性層から前記第1対向磁性層への第1方向と交差する第2方向に沿う前記第1磁気素子の長さは、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差する第3方向に沿う前記第1磁気素子の長さよりも長く、
前記第1導電部材は、第1導電部分と第1他導電部分とを含み、
前記第1他導電部分から前記第1導電部分への方向は前記第2方向に沿い、
前記第1導電層は、前記第1方向において前記第1磁気素子と重なり、
前記第1導電層は、第1導電層部分と第1他導電層部分とを含み、
前記第1導電層部分から前記第1他導電層部分への方向は、前記第3方向に沿い、
前記第1導電層部分と前記第1他導電層部分との間に第2電流が流れることが可能であり、
第1回路を含む制御部をさらに備え、
前記第1回路は、前記第1導電部分及び前記第1他導電部分と電気的に接続され、
前記第1回路は、前記第1導電部材に第1電流を供給可能であり、
前記第1電流は、交流成分を含み、
前記第1電流の極小値は第1極性であり、
前記第1電流の極大値は前記第1極性である、センサ。
【請求項5】
第4回路を備え、
前記第4回路は、前記第1導電層に前記第2電流を供給可能である、請求項4に記載のセンサ。
【請求項6】
請求項1~のいずれか1つに記載のセンサと、
前記センサから得られる出力信号を処理する処理部と、
を備えた検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、センサ及び検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、磁性層を用いたセンサがある。センサにおいて、特性の向上が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-155719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、特性の向上が可能なセンサ及び検査装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、センサは、第1素子を含む素子部を含む。前記第1素子は、第1磁気素子と第1導電部材と第1磁性部とを含む。前記第1磁気素子は、第1磁性層及び第1対向磁性層を含む。前記第1磁性層から前記第1対向磁性層への第1方向と交差する第2方向に沿う前記第1磁気素子の長さは、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差する第3方向に沿う前記第1磁気素子の長さよりも長い。前記第1導電部材は、第1導電部分と第1他導電部分とを含む。前記第1他導電部分から前記第1導電部分への方向は前記第2方向に沿う。前記第1磁性部から前記第1磁気素子への方向は、前記第2方向に沿う。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図2図2(a)~図2(c)は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図3図3(a)及び図3(b)は、センサの特性を例示するグラフである。
図4図4(a)及び図4(b)は、第1実施形態に係るセンサの動作を例示する模式図である。
図5図5は、センサの特性を例示するグラフである。
図6図6は、センサの特性を例示するグラフである。
図7図7は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図8図8(a)~図8(c)は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図9図9(a)~図9(c)は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図10図10(a)~図10(c)は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図11図11は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図12図12(a)~図12(c)は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図13図13は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図14図14は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図15図15(a)~図15(c)は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図16図16は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図17図17は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図18図18は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図19図19(a)~図19(c)は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図20図20(a)~図20(c)は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図21図21は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図22図22は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図23図23は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図24図24は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図25図25は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図26図26は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図27図27は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図28図28は、第2実施形態に係る検査装置を示す模式的斜視図である。
図29図29は、第2実施形態に係る検査装置を示す模式的平面図である。
図30図30は、実施形態に係るセンサ及び検査装置を示す模式図である。
図31図31は、実施形態に係る検査装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1及び図2(a)~図2(c)は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図2(a)は、平面図である、図2(b)は、図2(a)のA1-A2線断面図である。図2(c)は、図2(a)のB1-B2線断面図である。
【0009】
図1に示すように、実施形態に係るセンサ110は、素子部10Uを含む。素子部10Uは、第1素子10Aを含む。
【0010】
第1素子10Aは、第1磁気素子11と第1導電部材21と第1磁性部41とを含む。図2(b)及び図2(c)に示すように、第1磁気素子11は、第1磁性層11a及び第1対向磁性層11bを含む。
【0011】
第1磁性層11aから第1対向磁性層11bへの第1方向D1をZ軸方向とする。Z軸方向に対して垂直な1つの方向をY軸方向とする。Z軸方向及びY軸方向に対して垂直な方向をX軸方向とする。
【0012】
図2(a)に示すように、第1方向D1と交差する第2方向D2に沿う第1磁気素子11の長さを長さLe1とする。第2方向D2は、例えばY軸方向である。第3方向D3に沿う第1磁気素子11の長さをLe2とする。第3方向D3は、第1方向D1及び第2方向D2を含む平面と交差する。第3方向D3は、例えば、X軸方向である。長さLe1は、長さLe2よりも長い。第1磁気素子11において、長さLe1は、第1磁気素子11に含まれる磁化自由層の容易軸方向の長さである。第1磁気素子11において、長さLe2は、第1磁気素子11に含まれる磁化自由層の困難軸方向の長さである。
【0013】
図1に示すように、第1導電部材21は、第1導電部分21eと第1他導電部分21fとを含む。第1他導電部分21fから第1導電部分21eへの方向は、第2方向D2に沿う。
【0014】
図2(a)に示すように、第1磁気素子11は、第1素子部分11e及び第1他素子部分11fを含む。第1他素子部分11fから第1素子部分11eへの方向は、第2方向D2に沿う。長さLe1は、例えば、第1素子部分11eと第1他素子部分11fとの間の距離に対応する。
【0015】
第1素子部分11eは、第1導電部分21eに対応する。第1他素子部分11fは、第1他導電部分21fに対応する。第1素子部分11eと第1導電部分21eとの間の距離は、第1素子部分11eと第1他導電部分21fとの間の距離よりも短い。第1他素子部分11fと第1他導電部分21fとの間の距離は、第1他素子部分11fと第1導電部分21eとの間の距離よりも短い。
【0016】
1に示すように、第1磁性部41から第1磁気素子11への方向は、第2方向D2に沿う。
【0017】
第1磁性部41は、第1磁気素子11にバイアス磁界を印加可能である。バイアス磁界により、第1磁気素子11に含まれる磁性層の磁化が制御できる。
【0018】
図1に示すように、例えば、第1磁気素子11に検出対象磁界Htが印加される。検出対象磁界Htは、第2方向D2に沿う成分を含む。検出対象磁界Htに応じて、第1磁気素子11の電気抵抗が変化する。電気抵抗の変化を検出することで、検出対象磁界Htが検出できる。
【0019】
図3(a)及び図3(b)は、センサの特性を例示するグラフである。
図3(a)は、第1磁気素子11の特性を例示している。図3(a)の横軸は、第1磁気素子11に印加される磁界Hyである。磁界Hyは、第2方向D2に沿う。縦軸は、第1磁気素子11の第1電気抵抗R1である。第1電気抵抗R1は、第1磁気素子11の両端の電圧Ve(図1参照)に対応する。
【0020】
図3(a)に示すように、例えば、第1磁気素子11に印加される磁界Hyに対する第1電気抵抗R1の変化率は、磁界Hyの大きさに対して一定でない場合がある。この例では、磁界Hyの絶対値が小さいときに、第1電気抵抗R1の変化率が低い。一方、磁界Hyの絶対値が大きいときに、第1電気抵抗R1の変化率が高い。例えば、検出対象磁界Htが範囲DR1の場合には、第1電気抵抗R1の変化は小さい。
【0021】
図3(b)は、第1磁性部41によるバイアス磁界Hbが第1磁気素子11に印加された場合の特性を例示している。図3(a)の横軸は、磁界Hyと、バイアス磁界Hbと、の和である。縦軸は、第1磁気素子11の第1電気抵抗R1である。
【0022】
図3(b)に示すように、バイアス磁界Hbが第1磁気素子11に印加された場合、第1電気抵抗R1は、図3(a)の特性からシフトする。例えば、検出対象磁界Ht及びバイアス磁界Hbの和が範囲DR2の場合には、大きな第1電気抵抗R1の変化が得られる。
【0023】
このように、実施形態においては、第1磁性部41が設けられる。第1磁性部41によるバイアス磁界Hbが第1磁気素子11に印加される。これにより、検出対象磁界Htがシフトする効果が得られる。バイアス磁界Hbにより、第1磁気素子11の第1電気抵抗R1の変化率が高い領域で、検出対象磁界Htを検出できる。例えば、高い検出感度が得られる。実施形態によれば、特性の向上が可能なセンサを提供できる。
【0024】
図2(a)に示すように、第3方向D3に沿う第1磁性部41の長さを長さW41とする。長さW41は、長さLe2(第3方向D3に沿う第1磁気素子11の長さ)よりも長い。これにより、第1磁性部41からの磁界が第1磁気素子11に均一に効果的に印加できる。
【0025】
第1磁性部41は、例えば、強磁性体を含む。第1磁性部41は、例えば、Fe及びCoよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0026】
図1に示すように、第1素子10Aは、第1対向磁性部41Aをさらに含んで良い。第1磁気素子11の少なくとも一部は、第2方向D2において、第1磁性部41と第1対向磁性部41Aとの間にある。第1磁性部41及び第1対向磁性部41Aにより、第1磁気素子11にバイアス磁界Hbがより安定して効果的に印加される。第1対向磁性部41Aの材料は、第1磁性部41の材料と同じで良い。
【0027】
第1磁性部41の磁化41Mの向きは、第2方向D2の成分を含む。第1対向磁性部41Aの磁化41Mの向きは、第2方向D2の成分を含む。第1磁性部41の磁化41Mの向きは、第1対向磁性部41Aの磁化41AMの向きと同じ向きである。
【0028】
図2(a)に示すように、第3方向D3に沿う第1対向磁性部41Aの長さを長さW41Aとする。長さW41Aは、長さLe2(第3方向D3に沿う第1磁気素子11の長さ)よりも長い。バイアス磁界Hbが第1磁気素子11に均一に効果的に印加できる。
【0029】
図1に示すように、制御部70が設けられる。制御部70は、センサ110に含まれて良い。制御部70は、センサ110とは別に設けられても良い。制御部70は、第1回路71を含む。
【0030】
第1回路71は、第1導電部分21e及び第1他導電部分21fと電気的に接続される。第1回路71は、第1導電部材21に第1電流i1を供給可能である。第1電流i1は、交流成分を含む。
【0031】
後述するように、第1電流i1はDCバイアスを含んで良い。例えば、第1電流i1の極大値及び極小値は同じ極性で良い。例えば、第1電流i1は、交流変化の間に0になることがない。これにより、第1磁気素子11に含まれる磁性層の磁化がより安定になる。
【0032】
第1電流i1が第1導電部材21を流れることで、第1導電部材21から第1磁界Haが発生する。第1磁界Haは、第1方向D1及び第2方向D2を含む平面と交差する交差方向Dxに沿う。交差方向Dxは、第3方向D3に対応する。第1導電部材21は、磁界発生部28の例の1つである。磁界発生部28から交差方向Dxに沿う第1磁界Haが発生する。
【0033】
第1磁界Haは、第1磁気素子11に印加される。第1電流i1の変化に応じて第1磁気素子11の第1電気抵抗R1が変化する。第1磁気素子11の第1電気抵抗R1は、検出対象磁界Ht、及び、第1磁界Haの両方に応じて変化する。第1電流i1の交流成分の周波数に基づいて第1電気抵抗R1に対応する信号を処理することで、検出対象磁界Htをより高い精度で検出できる。
【0034】
図1に示すように、制御部70は、第2回路72及び第3回路73を含んで良い。第2回路72は、第1磁気素子11に検出電流idを供給可能である。第3回路73は、第1磁気素子11の第1電気抵抗R1の変化に対応する値を検出可能である。第1電気抵抗R1の変化に対応する値は、例えば、電圧Veである。電圧Veは、検出対象磁界Htに応じて変化する。第3回路73の出力部73oから検出対象磁界Htに応じた信号が得られる。検出電流idは、例えば、直流電流で良い。
【0035】
図2(b)及び図2(c)に示すように、第1磁気素子11は、第1非磁性層11nを含んで良い。第1非磁性層11nは、第1磁性層11aと第1対向磁性層11bとの間に設けられる。
【0036】
図2(b)に示すように、この例では、第1電流i1が流れていないときに、第1磁性層11aの磁化11aMは、第2方向D2に沿う。第1対向磁性層11bの磁化11bMは、第2方向D2に沿う。実施形態において、磁化11aMは、磁化11bMと交差しても良い。実施形態において、第1磁性層11aは、例えば、参照層及び磁化自由層の一方で良い。第1対向磁性層11bは、例えば、参照層及び磁化自由層の他方で良い。参照層は、例えばピン層である。
【0037】
第1磁気素子11の第1電気抵抗R1の変化は、例えば、第1磁気素子11に加わる磁界に応じて、磁化11aMと磁化11bMとの間の角度が変化することに基づく。
【0038】
図2(b)及び図2(c)に示すように、例えば、第1導電部材21から第1磁気素子11への方向は、第1方向D1に沿う。この例では、第1磁性層11aは、第1導電部材21と第1対向磁性層11bとの間にある。実施形態において、第1対向磁性層11bが第1導電部材21と第1磁性層11aとの間にあっても良い。
【0039】
実施形態において、第1非磁性層11nは導電性で良い。第1非磁性層11nは、例えば、Cuなどを含む。第1磁気素子は、GMR(Giant MagnetoResistive effect)素子として機能する。第1非磁性層11nは絶縁性でも良い。第1非磁性層11nは、例えば、MgOなどを含む。第1磁気素子は、TMR(Tunnel Magneto Resistance effect)素子として機能する。
【0040】
図2(b)及び図2(c)に示すように、第1素子10Aは、第1絶縁部材81を含んでも良い。第1絶縁部材81の少なくとも一部は、第1磁気素子11と第1導電部材21との間に設けられる。第1絶縁部材81は、第1磁気素子11と第1導電部材21との間を電気的に絶縁する。
【0041】
実施形態において、第1磁界Haにより、第1磁気素子11に含まれる磁化自由層(例えば第1磁性層11a)の磁化の向きが変化する。第1磁界Haは、交差方向Dx(例えば、第3方向D3)に沿う。検出対象磁界Htは、交差方向Dxと交差する方向(例えば第2方向D2)の成分を含む。検出対象磁界Htの第2方向D2の成分が、第1磁界Haによる磁化の向きに影響を与える。磁化の向きに基づく第1電気抵抗R1の変化を検出することで、検出対象磁界Htを検出できる。
【0042】
例えば、第1磁気素子11に、第2方向D2の成分を有する第2方向磁界を印加したときの第1電気抵抗R1の変化は大きい。一方、第1磁気素子11に交差方向Dx(第3方向D3)の成分を有する第3方向磁界を印加したときの第1電気抵抗R1の変化は小さい。第2方向磁界の変化に対する第1電気抵抗R1の変化率は、第3方向磁界の変化に対する第1電気抵抗R1の変化率よりも高い。
【0043】
図4(a)及び図4(b)は、第1実施形態に係るセンサの動作を例示する模式図である。
図4(a)は、第1電流i1を例示している。図4(a)の横軸は、時間tmである。図4(a)の縦軸は、第1電流i1の値である。図4(a)に示すように、第1電流i1は、交流成分ia1を含む。第1電流i1の極小値は第1極性であり、第1電流i1の極大値は第1極性である。
【0044】
例えば、第1極性は、正及び負の一方である。以下、第1極性が正である場合の例について説明する。
【0045】
例えば、第1電流i1は、交流成分ia1及び直流成分id1を含む。直流成分id1は、交流成分ia1の振幅ip1の1/2よりも大きい。第1電流i1において、極小値と極大値との差が振幅ip1に対応する。実施形態においては、極小値及び極大値の両方が第1極性(例えば正)である。第1電流i1が第2極性(例えば負)になることがない。第1電流i1が0になることがない。
【0046】
第1電流i1により第1磁界Haが生じる。図4(b)は、第1磁界Haを例示している。図4(b)の横軸は、時間tmである。図4(b)の縦軸は、第1磁界Haの強度である。図4(b)に示すように、第1磁界Haは、交流磁界成分Ha1を含む。第1磁界Haの極小値は第1極性であり、第1磁界Haの極大値は第1極性である。
【0047】
例えば、第1磁界Haは、交流磁界成分Ha1と、直流磁界成分Hd1と、を含む。直流磁界成分Hd1は、交流磁界成分Ha1の振幅Hp1の1/2よりも大きい。第1磁界Haにおいて、極小値と極大値との差が振幅Hp1に対応する。実施形態においては、極小値及び極大値の両方が第1極性(例えば正)である。第1磁界Haが第2極性(例えば負)になることがない。第1磁界Haが0になることがない。第1磁界Haの極小値Hminは、直流磁界成分Hd1と、交流磁界成分Ha1の振幅Hp1の1/2と、の差である。実施形態において、例えば、第1磁界Haの極小値Hminは正である。
【0048】
第1磁界Haの変化に応じて第1磁気素子11の第1電気抵抗R1が変化する。第1電気抵抗R1の変化は例えばMR(magnetoresistance effect)効果による。例えば、第1電流i1の変化に応じて、第1磁気素子11の第1電気抵抗R1が変化する。
【0049】
一方、検出対象磁界Htが第1磁気素子11に加わる。検出対象磁界Htによっても、第1磁気素子11の第1電気抵抗R1が変化する。第1電気抵抗R1は、第1電流i1(及び第1磁界Ha)と、検出対象磁界Htの両方に応じて変化する。実施形態において、例えば、第1電気抵抗R1の変化を検出し、その結果を第1電流i1の交流成分ia1の周波数(第1磁界Haの交流磁界成分Ha1の周波数)に基づいて処理することで、検出対象磁界Htを検出できる。
【0050】
極小値及び極大値の両方が第1極性(例えば正)である場合、例えば、第1電流i1及び第1磁界Haは、常に第1極性(正)であり、0または負になることがない。これにより、ノイズを抑制した検出が可能になる。
【0051】
例えば、第1電流i1(及び第1磁界)が正から0または負になるときに、第1磁性層11a及び第1対向磁性層11bの少なくともいずれかにおいて磁区の乱れが生じる。磁区の乱れは、例えば、磁区の生成、磁区の消滅、または、磁区の移動などを含む。磁区の乱れにより、第1磁気素子11から得られる信号にノイズが発生する、実施形態においては、第1電流i1及び第1磁界Haが常に1つの極性(例えば正)であると、磁区の乱れに起因するノイズが抑制できる。これにより、より安定して高い感度での検出が可能になる。実施形態によれば、特性の向上が可能なセンサ及び検査装置を提供できる。
【0052】
図2(a)に示すように、第2方向D2における第1導電部材21の長さを長さLc1とする。第3方向D3における第1導電部材21の長さを長さLc2とする。実施形態において、長さLc1は、長さLc2よりも長いことが好ましい。これにより、発生する磁界(第1磁界Ha)の向きがより安定になる。長さLc1の長さLc2に対する比(Lc1/Lc2)は、例えば、2以上1000以下である。
【0053】
第1磁気素子11において、長さLe1の長さLe2に対する比(Le1/Le2)は、例えば、2以上1000以下である。
【0054】
図5及び図6は、センサの特性を例示するグラフである。
図6は、第1磁性部41及び第1対向磁性部41Aが設けられていない場合におけるセンサ110の特性のシミュレーション結果を例示している。シミュレーションにおいて、第1磁性層11aが磁化自由層とされ、第1対向磁性層11bが参照層とされる。第2方向D2に沿う検出対象磁界Ht、及び、第3方向D3に沿う磁界(第1磁界Ha)が、第1磁気素子11に印加される。シミュレーションにおいて、これらの磁界は、直流成分を含まない。これらの磁界が印加されたときにおける、第1磁性層11aの磁化11aMの向き、及び、第1対向磁性層11bの磁化11bMが計算される。これらの磁化の向きの角度に基づいて磁気抵抗が計算される。
【0055】
図5の横軸は、第3方向D3に沿う磁界の磁界強度Hasである。磁界強度Hasは、磁化自由層の異方性磁界Hkで規格化されている。図5の縦軸は、磁気抵抗MR1である。磁気抵抗MR1は、磁気抵抗の最大値で規格化されている。図5には、各種の規格化検出対象磁界Htsのときの値が示されている。規格化検出対象磁界Htsは、磁化自由層の異方性磁界Hkで規格化されている。
【0056】
図5において、規格化検出対象磁界Htsが0.0001のときの磁気抵抗MR1は、第1磁気素子11に検出対象磁界Htが実質的に印加されていないときの磁気抵抗に対応する。このとき、第3方向D3に沿う磁界の磁界強度Hasが上昇すると、磁気抵抗MR1は上昇する。第3方向D3に沿う磁界の磁界強度Hasが1以上において、磁気抵抗MR1は飽和する。
【0057】
図5に示すように、規格化検出対象磁界Htsが大きくなるに従って、磁気抵抗MR1の変化はなだらかになる。例えば、第3方向D3に沿う磁界の磁界強度Hasが1.5のときに、磁気抵抗MR1は、規格化検出対象磁界Htsに応じて大きく変化する。このような特性を利用することで、磁気抵抗を検出することで、検出対象磁界Htを高い感度で検出できる。
【0058】
図6において、図5と同様のグラフにいくつかのパラメータの値が記載されている。第2方向D2に沿う検出対象磁界Htがゼロの場合(図6では、Hts=0.0001)の磁気抵抗MR1の飽和値を1とする。検出対象磁界Htがゼロの場合において、磁気抵抗MR1が0.9となる磁界強度を、第1磁界値Hs1とする。第1磁界値Hs1は、第1極性(この例では正)である。第1磁界値Hs1は、例えば、近似飽和磁界に対応する。実施形態において、第1磁界Haの極小値Hmin(図4(b)参照)の絶対値は、第1磁界値Hs1の絶対値よりも大きいことが好ましい。
【0059】
すなわち、実施形態において、例えば、
Hd1-Hp/2 > Hs1
が満たされることが好ましい。このような条件により、検出対象磁界Htをより高い感度で効率的に検出できる。
【0060】
第2方向D2に沿う検出対象磁界Htが第1磁気素子11に印加されていない状態において、第1極性の第1磁界値Hs1を有する、交差方向Dx(すなわち、第3方向D3)に沿う磁界が第1磁気素子11に印加されたときの第1磁気素子11の第1電気抵抗R1は、飽和電気抵抗(磁気抵抗MR1の飽和値)の0.9倍である。飽和電気抵抗は、交差方向Dx(すなわち、第3方向D3)に沿う磁界が増大したときの第1磁気素子11の第1電気抵抗R1の飽和値である。
【0061】
実施形態において、第1電流i1の極小値は、第1電流i1の直流成分id1と、交流成分ia1の振幅ip1の1/2と、の差に対応する。この差(第1電流i1の極小値の絶対値)は、第1磁界値Hs1に対応する第1極性の第1電流値の絶対値よりも大きいことが好ましい。例えば、第2方向D2に沿う検出対象磁界Htが第1磁気素子11に印加されていない状態において、第1極性の第1電流値を有する電流が第1導電部材21に流れたときの第1磁気素子11の第1電気抵抗R1は、飽和電気抵抗の0.9倍である。飽和電気抵抗は、第1導電部材21に流れる電流が増大したときの第1磁気素子11の第1電気抵抗R1の飽和値である。このような第1電流i1により、検出対象磁界Htをより高い感度で効率的に検出できる。
【0062】
図7及び図8(a)~図8(c)は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図8(a)は、平面図である、図8(b)は、図8(a)のA1-A2線断面図である。図8(c)は、図8(a)のB1-B2線断面図である。
【0063】
図7に示すように、実施形態に係るセンサ111も素子部10Uを含む。素子部10Uは、第1素子10Aを含む。センサ111においては、第1素子10Aは、第1磁気素子11と第1導電部材21と第1導電層61とを含む。センサ111において、第1磁性部41及び第1対向磁性部41Aは省略されて良い。これらを除くセンサ111の構成は、センサ110と同様で良い。
【0064】
図8(b)及び図8(c)に示すように、センサ111においても、第1磁気素子11は、第1磁性層11a及び第1対向磁性層11bを含む。図8(b)に示すように、第2方向D2に沿う第1磁気素子11の長さLe1は、第3方向D3に沿う第1磁気素子11の長さLe2よりも長い。既に説明したように、第2方向D2は、第1磁性層11aから第1対向磁性層11bへの第1方向D1と交差する。第3方向D3は、第1方向D1及び第2方向D2を含む平面と交差する。
【0065】
第1導電部材21は、第1導電部分21eと第1他導電部分21fとを含む。第1他導電部分21fから第1導電部分21eへの方向は、第2方向D2に沿う。
【0066】
第1導電層61は、第1方向D1において第1磁気素子11と重なる。第1磁気素子11、第1導電層61及び第1導電部材21の積層順は任意である。
【0067】
図7及び図8(a)に示すように、第1導電層61は、第1導電層部分61eと第1他導電層部分61fとを含む。第1導電層部分61eから第1他導電層部分61fへの方向は、第3方向D3に沿う。図7に示すように、第1導電層部分61eと第1他導電層部分61fとの間に第2電流i2が流れることが可能である。
【0068】
例えば、図7に示すように、第4回路74が設けられて良い。第4回路74は、センサ111に含まれて良い。第4回路74は、センサ111とは別に設けられて良い。第4回路74は、第1導電層61に第2電流i2を供給可能である。第1導電層部分61eに電気的に接続された第1端子61aが設けられて良い。第1他導電層部分61fに電気的に接続された第1他端子61bが設けられて良い。第4回路74は、第1端子61a及び第1他端子61bと電気的に接続される。第4回路74は、例えば、電流源である。第2電流i2は、例えば、直流電流で良い。
【0069】
第1導電層61に第2電流i2が流れることで、第1導電層61から磁界が生じる。この磁界は、第2方向D2の成分を含む。この磁界は、第1磁気素子11に印加される。この磁界は、バイアス磁界として機能する。センサ111においては、第1導電層61から生じる磁界により、第1磁気素子11の第1電気抵抗R1の変化率が高い領域で、検出対象磁界Htを検出できる。例えば、高い検出感度が得られる。実施形態によれば、特性の向上が可能なセンサを提供できる。
【0070】
センサ111において、図8(a)に示すように、第2方向D2に沿う第1導電層61の長さL61は、第2方向D2に沿う第1磁気素子11の長さLe1よりも長いことが好ましい。第1導電層61から生じる磁界が第1磁気素子11に均一に効果的に印加される。
【0071】
センサ111においても、図4(a)及び図4(b)に関して説明した第1電流i1(及び第1磁界Ha)が適用されて良い。例えば、図7に示すように、第1回路71は、第1導電部分21e及び第1他導電部分21fと電気的に接続される。第1回路71は、第1導電部材21に第1電流i1を供給可能である。第1電流i1は、交流成分ia1を含む。第1電流i1の極小値は第1極性である。第1電流i1の極大値は第1極性である。この場合も、第1電流i1の変化に応じて第1磁気素子11の第1電気抵抗R1が変化する。
【0072】
図7に示すように、センサ111において、制御部70は、第2回路72及び第3回路73を含んで良い。第2回路72は、第1磁気素子11に検出電流idを供給可能である。第3回路73は、第1電気抵抗R1の変化に対応する値を検出可能である。
【0073】
図9(a)~図9(c)は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図9(a)は、実施形態に係るセンサ112における第1磁気素子11及び第1導電部材21を例示する平面図である。図9(b)は、断面図である。センサ112において、第1磁性部41、第1対向磁性部41A及び第1導電層61は省略されて良い。
【0074】
センサ112においては、第1磁性層11a及び第1対向磁性層11bにおいて、負の交換結合が作用する。例えば、第1非磁性層11nがCu層である場合、Cu層の厚さは、約2nm以下である。第1磁性層11a、第1対向磁性層11b及び第1非磁性層11nの条件(例えば厚さ及び磁気特性など)を調整することで、負の交換結合が得られて良い。
【0075】
センサ112において、例えば、第1磁性層11aがピン層である。第1対向磁性層11bが磁化自由層である。第1磁性層11aの磁化11aMは、第2方向D2に沿う。第1対向磁性層11bの磁化11bMは、第2方向D2の成分を含む。磁化11bMは、磁化11aMと逆向きの成分を含む。
【0076】
図9(c)は、センサ112における第1磁気素子11の磁気特性を例示している。図9(c)の横軸は、第1磁気素子11に印加される磁界Hyである。磁界Hyは、第2方向D2に沿う。縦軸は、第1電気抵抗R1である。縦軸は、電圧Ve(図1参照)に対応して良い。
【0077】
図9(c)に示すように、第1磁気素子11の磁気特性(第1電気抵抗R1)は、0の磁界Hyに対してシフトして変化する。例えば、第1電気抵抗R1の変化の幅の1/2となる2つの磁界Hyを磁界H1及び磁界H2とする。磁界H1と磁界H2との和の1/2の磁界(H1+H2)/2は、負である。負の交換結合の作用により、このようなシフトが生じる。
【0078】
センサ112において、シフトした磁気特性により、第1磁気素子11の第1電気抵抗R1の変化率が高い領域で、検出対象磁界Htを検出できる。例えば、高い検出感度が得られる。実施形態によれば、特性の向上が可能なセンサを提供できる。
【0079】
センサ112において、センサ111に関して説明した第1回路71、第2回路72及び第3回路73が適用されて良い。センサ112においても、図4(a)及び図4(b)に関して説明した第1電流i1(及び第1磁界Ha)が適用されて良い。第1電流i1は、交流成分ia1を含む。第1電流i1の極小値は第1極性である。第1電流i1の極大値は第1極性である。
【0080】
図10(a)~図10(c)は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。 図10(a)は、実施形態に係るセンサ113における第1磁気素子11及び第1導電部材21を例示する平面図である。図10(b)は、断面図である。センサ113において、第1磁性部41、第1対向磁性部41A及び第1導電層61は省略されて良い。
【0081】
センサ113において、第1磁性層11a及び第1対向磁性層11bにおいて、交換結合が作用する。例えば、第1非磁性層11nがCu層である場合、Cu層の厚さは、約2nm以下である。第1磁性層11a、第1対向磁性層11b及び第1非磁性層11nの件(例えば厚さ及び磁気特性など)を調整することで、交換結合が得られて良い。
【0082】
センサ113において、例えば、第1磁性層11aがピン層である。第1対向磁性層11bが磁化自由層である。第1磁性層11aの磁化11aMは、第3方向D3に沿う。第1対向磁性層11bの磁化11bMは、第3方向D3の成分を含む。磁化11bMは、磁化11aMと同じ向きの成分を含む。このような構成により、第1磁気素子11の磁気特性は、外部からの印加される第1磁界Haをシフトさせる。
【0083】
図10(c)は、センサ112における第1磁気素子11の磁気特性を例示している。図10(c)の横軸は、第1磁気素子11に印加される磁界Hxである。磁界Hxは、第3方向D3に沿う。縦軸は、第1電気抵抗R1である。縦軸は、電圧Ve(図1参照)に対応して良い。
【0084】
図10(c)に示すように、第1磁気素子11の磁気特性(第1電気抵抗R1)は、0の磁界Hxに対してシフトして変化する。例えば、第1電気抵抗R1の変化の幅の1/2となる磁界Hmは、0ではない。磁界Hmは、負または正である。交換結合の作用により、このようなシフトが生じる。
【0085】
センサ113において、シフトした磁気特性により、図4に示した、極小値及び極大値の両方が第1極性(例えば正)の第1磁界Haが得られる。これにより、第1磁気素子11の第1電気抵抗R1の変化率が高い領域で、検出対象磁界Htを検出できる。例えば、高い検出感度が得られる。実施形態によれば、特性の向上が可能なセンサを提供できる。
【0086】
センサ113において、センサ111に関して説明した第1回路71、第2回路72及び第3回路73が適用されて良い。センサ11においても、図4(a)及び図4(b)に関して説明した第1電流i1(及び第1磁界Ha)が適用されて良い。第1電流i1は、交流成分ia1を含む。第1電流i1の極小値及び極大値が第1極性でもよい。センサ113においては、上記のシフトが利用できるため、第1電流i1の直流成分id1は種々の変形が可能である。例えば、第1電流i1は、直流成分id1を含まなくて良い。
【0087】
図11及び図12(a)~図12(c)は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図12(a)は、平面図である、図12(b)は、図12(a)のA1-A2線断面図である。図12(c)は、図12(a)のB1-B2線断面図である。
【0088】
図11に示すように、実施形態に係るセンサ114も素子部10Uを含む。素子部10Uは、第1素子10Aを含む。センサ114においては、第1素子10Aは、第1磁気素子11と第1導電部材21と第1磁性部41を含む。センサ114において、第1磁性部41の位置が、センサ110における位置と異なる。これを除くセンサ114の構成は、センサ110の構成と同じで良い。
【0089】
図12(b)に示すように、センサ114においても、第1磁気素子11は、第1磁性層11a及び第1対向磁性層11bを含む。第1磁性層11aから第1対向磁性層11bへの方向は、第1方向D1である。図12(a)に示すように、第2方向D2に沿う第1磁気素子11の長さLe1は、第3方向D3に沿う第1磁気素子11の長さLe2よりも長い。第2方向D2は、第1方向D1と交差する。第3方向D3は、第1方向D1及び第2方向D2を含む平面と交差する。
【0090】
図11及び図12(a)に示すように、第1導電部材21は、第1導電部分21eと第1他導電部分21fとを含む。第1他導電部分21fから第1導電部分21eへの方向は、第2方向D2に沿う。
【0091】
図11に示すように、第1磁性部41から第1磁気素子11への方向は、第3方向D3に沿う。センサ114においては、第1磁性部41からバイアス磁界が第1磁気素子11に印加される。これにより、第1磁気素子11の磁気特性は、外部から印加される磁界Hxの0に対してシフトする。例えば、図4に示した、極小値及び極大値の両方が第1極性(例えば正)の第1磁界Haが得られる。これにより、例えば、第1磁気素子11の第1電気抵抗R1の変化率が高い領域で、検出対象磁界Htを検出できる。例えば、高い検出感度が得られる。実施形態によれば、特性の向上が可能なセンサを提供できる。
【0092】
図12(a)に示すように、第2方向D2に沿う第1磁性部41の長さL41は、第2方向D2に沿う第1磁気素子11の長さLe1よりも長いことが好ましい。これにより、第1磁性部41から生じるバイアス磁界が、第1磁気素子11に均一に効果的に印加される。例えば、第1磁性部41は、強磁性体を含む。
【0093】
図11に示すように、第1素子10Aは、第1対向磁性部41Aをさらに含んで良い。第1磁気素子11の少なくとも一部は、第3方向D3において第1磁性部41と第1対向磁性部41Aとの間にある。第1磁性部41及び第1対向磁性部41Aにより、バイアス磁界が第1磁気素子11により効果的に印加される。例えば、第1対向磁性部41Aの材料は、第1磁性部41の材料と同じで良い。
【0094】
図11に示すように、第1磁性部41の磁化41Mの向きは、第3方向D3の成分を含む。第1対向磁性部41Aの磁化41AMの向きは、第3方向D3の成分を含む。第1磁性部41の磁化41Mの向きは、第1対向磁性部41Aの磁化41AMの向きと同じ向きである。
【0095】
図12(c)に示すように、例えば、第1磁性層11a及び第1対向磁性層11bの少なくとも一部が、第1磁性部41と第1対向磁性部41Aとの間に設けられて良い。第1導電部材21及び第1磁性部41の位置関係は任意である。第1導電部材21及び第1対向磁性部41Aの位置関係は任意である。
【0096】
センサ114においては、第1磁性部41(及び第1対向磁性部41A)によるバイアス磁界が第1磁気素子11に印加される。このバイアス磁界は、第3方向D3の成分を含む。このようなバイアス磁界は、例えば、第1電流i1に含まれる直流成分id1の機能を果たす。センサ114において、第1電流i1は直流成分id1を含まなくて良い。
【0097】
図11に示すように、センサ114において、制御部70は、第1回路71を含んで良い。第1回路71は、第1導電部分21e及び第1他導電部分21fと電気的に接続される。第1回路71は、第1導電部材21に第1電流i1を供給可能である。第1電流i1は、交流成分ia1を含む。第1電流i1は、直流成分id1を実質的に含まなくて良い。第1回路71の構成が簡単になる。
【0098】
センサ114においても、第1電流i1の変化に応じて第1磁気素子11の第1電気抵抗R1が変化する。制御部70は、第2回路72及び第3回路73を含んで良い。第2回路72は、第1磁気素子11に検出電流idを供給可能である。第3回路73は、第1電気抵抗R1の変化に対応する値を検出可能である。
【0099】
以下、実施形態に係るセンサのいくつかの例について説明する。
図13は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図13においては、理解を容易にするために、第1磁気素子11が、X軸方向において、第1導電部材21からシフトされて描かれている。第1磁気素子11は、第1導電部材21とZ軸方向において重なっても良い。
【0100】
図13に示すように、実施形態に係るセンサ121において、素子部10Uは、第1素子10A及び第1抵抗31を含む。第1抵抗31は、第1抵抗部分31eと第1他抵抗部分31fとを含む。この例では、第1素子部分11eは、第2回路72と電気的に接続される。第1他素子部分11fは、第1抵抗部分31eと電気的に接続される。第1他抵抗部分31fは、第2回路72と電気的に接続される。第3回路73は、第1他素子部分11fと第1抵抗部分31eとの接続点の電位の変化を検出する。
【0101】
図14、及び、図15(a)~図15(c)は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図14に示すように、実施形態に係るセンサ122において、素子部10Uは、第2素子10Bをさらに含む。第2素子10Bは、第2磁気素子12と第2導電部材22とを含む。
【0102】
図14においては、図を見やすくするために、第1磁気素子11が、X軸方向において、第1導電部材21からシフトされて描かれている。第1磁気素子11は、第1導電部材21とZ軸方向において重なっても良い。図14においては、図を見やすくするために、第2磁気素子12が、X軸方向において、第2導電部材22からシフトされて描かれている。第2磁気素子12は、第2導電部材22とZ軸方向において重なっても良い。
【0103】
図15(b)及び図15(c)に示すように、第2磁気素子12は、第2磁性層12a及び第2対向磁性層12bを含む。この例では、第2磁気素子12は、第2非磁性層12nを含む。第2非磁性層12nは、第2磁性層12aと第2対向磁性層12bとの間に設けられる。
【0104】
第2磁気素子12において、第2磁性層12aは、例えば、参照層及び磁化自由層の一方で良い。第2対向磁性層12bは、例えば、参照層及び磁化自由層の他方で良い。第2磁気素子12の電気抵抗の変化は、例えば、第2磁気素子12に加わる磁界に応じて、第2磁性層12aの磁化12aM、と、第2対向磁性層12bの磁化12bMとの間の角度が変化することに基づく。
【0105】
図14に示すように、第2導電部材22は、第2導電部分22eと第2他導電部分22fとを含む。第2導電部分22eから第2他導電部分22fへの方向は、第2方向D2に沿う。
【0106】
図14に示すように、この例では、第1導電部分21eは、第1回路71と電気的に接続される。第1他導電部分21fは、第2他導電部分22fと電気的に接続される。第2導電部分22eは、第1回路71と電気的に接続される。第1回路71は、第1導電部材21及び第2導電部材22に第1電流i1を供給可能である。
【0107】
第1磁気素子11は、第1素子部分11e及び第1他素子部分11fを含む。第1素子部分11eは、第1導電部分21eに対応する。第1他素子部分11fは、第1他導電部分21fに対応する。第1素子部分11eから第1他素子部分11fへの向きは、第1向きである。
【0108】
第2磁気素子12は、第2素子部分12e及び第2他素子部分12fを含む。第2素子部分12eは、第2導電部分22eに対応する。第2他素子部分12fは、第2他導電部分22fに対応する。第2素子部分12eから第2他素子部分12fへの向きは、第2向きである。
【0109】
第2回路72から供給される検出電流idは、第1向きに第1磁気素子11を流れ、第2向きに第2磁気素子12を流れる。第1回路71から供給される第1電流i1が第1導電部材21を第1向きに流れているときに、第1電流i1は第2導電部材22を第2向きの逆向きに流れる。
【0110】
図16は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図16に示すように、実施形態に係るセンサ123において、素子部10Uは、第1素子10A、第2素子10B、第1抵抗31及び第2抵抗32を含む。第1素子10Aは、第1磁気素子11と第1導電部材21とを含む。第2素子10Bは、第2磁気素子12と第2導電部材22とを含む。図16においては、図を見やすくするために、第1磁気素子11が、X軸方向において、第1導電部材21からシフトされて描かれている。図16においては、図を見やすくするために、第2磁気素子12が、X軸方向において、第2導電部材22からシフトされて描かれている。
【0111】
第1磁気素子11は、第1素子部分11e及び第1他素子部分11fを含む。第1素子部分11eは、第1導電部分21eに対応する。第1他素子部分11fは第1他導電部分21fに対応する。第1素子部分11eから第1他素子部分11fへの向きは、第1向きである。
【0112】
第2素子10Bは、第2磁気素子12と第2導電部材22とを含む。第2導電部材22は、第2導電部分22eと第2他導電部分22fとを含む。第2導電部分22eから第2他導電部分22fへの方向は、第2方向D2に沿う。
【0113】
第1抵抗31は、第1抵抗部分31eと第1他抵抗部分31fとを含む。第1抵抗部分31eから第1他抵抗部分31fへの方向は、第2方向D2に沿う。第2抵抗32は、第2抵抗部分32eと第2他抵抗部分32fとを含む。第2抵抗部分32eから第2他抵抗部分32fへの方向は、第2方向D2に沿う。
【0114】
第2磁気素子12は、第2素子部分12e及び第2他素子部分12fを含む。第2素子部分12eは、第2導電部分22eに対応する。第2他素子部分12fは、第2他導電部分22fに対応する。第2素子部分12eから第2他素子部分12fへの向きは、第2向きである。
【0115】
第1素子部分11eは第2回路72と電気的に接続される。第1他素子部分11fは、第2抵抗部分32eと電気的に接続される。第2他抵抗部分32fは、第2回路72と電気的に接続される。
【0116】
第1抵抗部分31eは、第2回路72と電気的に接続される。第1他抵抗部分31fは、第2素子部分12eと電気的に接続される。第2他素子部分12fは、第2回路72と電気的に接続される。
【0117】
検出電流idは、第1向きに第1磁気素子11を流れ、第2向きに第2磁気素子12を流れる。
【0118】
図16に示すように、この例では、第1導電部分21eは、第1回路71と電気的に接続される。第1他導電部分21fは、第2導電部分22eと電気的に接続される。第2他導電部分22fは、第1回路71と電気的に接続される。第1回路71は、第1導電部材21及び第2導電部材22に第1電流i1を供給可能である。
【0119】
第1電流i1が第1導電部材21を第1向きに流れているときに、第1電流i1は第2導電部材22を第2向きに流れる。
【0120】
第3回路73は、第1接続点CP1と第2接続点CP2との間の電位差を検出可能である。第1接続点CP1は、第1他素子部分11fと第2抵抗部分32eとの間の接続点である。第2接続点CP2は、第1他抵抗部分31fと第2素子部分12eとの間の接続点である。
【0121】
第3回路73は、差動アンプ76と処理回路75とを含んで良い。差動アンプ76は、第1接続点CP1と第2接続点CP2との間の電位差を検出する。処理回路75は、差動アンプ76からの出力信号を処理する。処理回路75は、例えば、ロックインアンプ、バンドパスフィルタ回路、及び、FFT(Fast Fourier Transform)回路の少なくともいずれかを含んで良い。処理回路75は、例えば、差動アンプ76の第1周波数成分を抽出する。第1周波数は、例えば、第1電流i1の交流成分ia1の周波数である。第1周波数は、例えば、第1磁界Haの交流磁界成分Ha1の周波数である。第1周波数は、例えば、第1電流i1の交流成分ia1の高調波成分を含んで良い。第1周波数は、例えば、第1磁界Haの交流磁界成分Ha1の高調波成分を含んで良い。
【0122】
このように、素子部10Uは、第1素子10Aを含むブリッジ回路10V(図16参照)を含んでも良い。第2回路72は、ブリッジ回路10Vに検出電流idを供給可能である。第3回路73は、ブリッジ回路10Vの第1中点(例えば第1接続点CP1)の電位と、ブリッジ回路10Vの第2中点(例えば第2接続点CP2)の電位と、の差に対応する値を検出可能である。
【0123】
図17は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図17に示すように、実施形態に係るセンサ124において、素子部10Uは、第1素子10A、第1抵抗31、第2抵抗32及び第3抵抗33を含む。第3抵抗33は、第3抵抗部分33e及び第3他抵抗部分33fを含む。第3抵抗部分33eから第3他抵抗部分33fへの方向は、第2方向D2に沿う。
【0124】
この例では、第1素子部分11eは、第2回路72と電気的に接続される。第1他素子部分11fは、第2抵抗部分32eと電気的に接続される。第2他抵抗部分32fは、第2回路72と電気的に接続される。第1抵抗部分31eは、第2回路72と電気的に接続される。第1他抵抗部分31fは、第3抵抗部分33eと電気的に接続される。第3他抵抗部分33fは、第2回路72と電気的に接続される。第1接続点CP1は、第1他素子部分11fと第2抵抗部分32eとの間の接続点である。第2接続点CP2は、第1他抵抗部分31fと第3抵抗部分33eとの間の接続点である。
【0125】
図18図19(a)~図19(c)、及び、図20(a)~図20(c)は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図18に示すように、実施形態に係るセンサ125において、素子部10Uは、第1素子10A、第2素子10B、第3素子10C及び第4素子10Dを含む。第1素子10Aは、第1磁気素子11と第1導電部材21とを含む。第2素子10Bは、第2磁気素子12と第2導電部材22とを含む。第3素子10Cは、第3磁気素子13と第3導電部材23とを含む。第4素子10Dは、第4磁気素子14と第4導電部材24とを含む。
【0126】
図19(b)及び図19(c)に示すように、第3磁気素子13は、第3磁性層13a及び第3対向磁性層13bを含む。この例では、第3磁気素子13は、第3非磁性層13nを含む。第3非磁性層13nは、第3磁性層13aと第3対向磁性層13bとの間に設けられる。
【0127】
第3磁気素子13において、第3磁性層13aは、例えば、参照層及び磁化自由層の一方で良い。第3対向磁性層13bは、例えば、参照層及び磁化自由層の他方で良い。第3磁気素子13の電気抵抗の変化は、例えば、第3磁気素子13に加わる磁界に応じて、第3磁性層13aの磁化13aM、と、第3対向磁性層13bの磁化13bMとの間の角度が変化することに基づく。
【0128】
図20(b)及び図20(c)に示すように、第4磁気素子14は、第4磁性層14a及び第4対向磁性層14bを含む。この例では、第4磁気素子14は、第4非磁性層14nを含む。第4非磁性層14nは、第4磁性層14aと第4対向磁性層14bとの間に設けられる。
【0129】
第4磁気素子14において、第4磁性層14aは、例えば、参照層及び磁化自由層の一方で良い。第4対向磁性層14bは、例えば、参照層及び磁化自由層の他方で良い。第4磁気素子14の電気抵抗の変化は、例えば、第4磁気素子14に加わる磁界に応じて、第4磁性層14aの磁化14aM、と、第4対向磁性層14bの磁化14bMとの間の角度が変化することに基づく。
【0130】
図19(a)に示すように、第3導電部材23は、第3導電部分23eと第3他導電部分23fとを含む。第3導電部分23eから第3他導電部分23fへの方向は、第2方向D2に沿う。
【0131】
図20(a)に示すように、第4導電部材24は、第4導電部分24eと第4他導電部分24fとを含む。第4導電部分24eから第4他導電部分24fへの方向は、第2方向D2に沿う。
【0132】
図18に示すように、第1磁気素子11は、第1素子部分11e及び第1他素子部分11fを含む。第1素子部分11eは、第1導電部分21eに対応する。第1他素子部分11fは、第1他導電部分21fに対応する。第1素子部分11eから第1他素子部分11fへの向きは、第1向きである。
【0133】
図18に示すように、第2磁気素子12は、第2素子部分12e及び第2他素子部分12fを含む。第2素子部分12eは、第2導電部分22eに対応する。第2他素子部分12fは、第2他導電部分22fに対応する。第2素子部分12eから第2他素子部分12fへの向きは、第2向きである。
【0134】
図18に示すように、第3磁気素子13は、第3素子部分13e及び第3他素子部分13fを含む。第3素子部分13eは、第3導電部分23eに対応する。第3他素子部分13fは、第3他導電部分23fに対応する。第3素子部分13eから第3他素子部分13fへの向きは、第3向きである。
【0135】
図18に示すように、第4磁気素子14は、第4素子部分14e及び第4他素子部分14fを含む。第4素子部分14eは、第4導電部分24eに対応する。第4他素子部分14fは、第4他導電部分24fに対応する。第4素子部分14eから第4他素子部分14fへの向きは、第4向きである。
【0136】
第1素子部分11eは、第2回路72と電気的に接続される。第1他素子部分11fは、第2素子部分12eと電気的に接続される。第2他素子部分12fは、第2回路72と電気的に接続される。
【0137】
第3素子部分13eは、第2回路72と電気的に接続される。第3他素子部分13fは、第4素子部分14eと電気的に接続される。第4他素子部分14fは、第2回路72と電気的に接続される。
【0138】
検出電流idは、第1向きに第1磁気素子11を流れ、第2向きに第2磁気素子12を流れ、第3向きに第3磁気素子13を流れ、第4向きに第4磁気素子14を流れる。
【0139】
この例では、第1導電部分21eは、第1回路71と電気的に接続される。第1他導電部分21fは、第4導電部分24eと電気的に接続される。第4他導電部分24fは、第3他導電部分23fと電気的に接続される。第3導電部分23eは、第2他導電部分22fと電気的に接続される。第2導電部分22eは、第1回路71と電気的に接続される。
【0140】
第1回路71から供給される第1電流i1が第1導電部材21を第1向きに流れているときに、第1電流i1は第2導電部材22を第2向きの逆向きに流れ、第1電流i1は第3導電部材23を第3向きの逆向きに流れ、第1電流i1は第4導電部材24を第4向ききに流れる。
【0141】
第1接続点CP1は、第1他素子部分11fと第2素子部分12eとの間の接続点である。第2接続点CP2は、第3他素子部分13fと第4素子部分14eとの間の接続点である。
【0142】
図21は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図21に示すように、実施形態に係るセンサ126において、素子部10Uは、第1素子10A、第2素子10B、第3素子10C及び第4素子10Dを含む。センサ126においては、複数の導電部材の接続関係が、センサ125における複数の導電部材の接続関係と異なる。センサ116において、複数の磁気素子の接続関係が、センサ125における複数の磁気素子の接続関係と同じで良い。
【0143】
センサ126において、第1導電部分21e及び第3導電部分23eは、第1回路71と電気的に接続される。第1他導電部分21fは、第2導電部分22eと電気的に接続される。第3他導電部分23fは、第4導電部分24eと電気的に接続される。第2他導電部分22f及び第4他導電部分24fは、第1回路71と電気的に接続される。
【0144】
センサ126において、第1磁気素子11の参照層における磁化の向きは、第4磁気素子14の参照層における磁化の向きと同じである。第2磁気素子12の参照層における磁化の向きは、第3磁気素子13の参照層における磁化の向きと同じである。第1磁気素子11の参照層における磁化の向き及び第4磁気素子14の参照層における磁化の向きは、第2磁気素子12の参照層における磁化の向き及び第3磁気素子13の参照層における磁化の向きと逆である。センサ116の構成においても、ノイズの影響が抑制され、特性の向上が可能なセンサが提供できる。
【0145】
上記のセンサ121~126において、センサ110~センサ114の構成が適用されて良い。例えば、センサ121~126において、センサ110に関して説明した第1磁性部41(及び第1対向磁性部41A)が設けられて良い。例えば、第2素子10B、第3素子10C及び第4素子10Dのそれぞれは、センサ110に関して説明した第1磁性部41(及び第1対向磁性部41A)と同様の磁性部材を含んで良い。
【0146】
例えば、センサ121~126において、センサ111に関して説明した第1導電層61が設けられて良い。例えば、センサ121~126において、センサ112に関して説明した第1磁気素子11の特性が適用されて良い。例えば、センサ121~126において、センサ113に関して説明した第1磁気素子11の特性が適用されて良い。例えば、センサ121~126において、センサ114に関して説明した第1磁性部41(及び第1対向磁性部41A)が設けられて良い。
【0147】
第2素子10B、第3素子10C及び第4素子10Dのそれぞれは、センサ114に関して説明した第1磁性部41(及び第1対向磁性部41A)と同様の磁性部材を含んで良い。
【0148】
第2素子10B、第3素子10C及び第4素子10Dのそれぞれは、センサ110~センサ114における第1素子10Aの構成を有して良い。
【0149】
例えば、センサ110~センサ114のそれぞれにおいて、素子部10Uは、第1素子10Aを含むブリッジ回路10Vを含んで良い。第2回路72は、ブリッジ回路10Vに検出電流idを供給可能である。第3回路73は、ブリッジ回路10Vの第1中点(例えば第1接続点CP1)の電位と、ブリッジ回路10Vの第2中点(例えば第2接続点CP2)の電位と、の差に対応する値を検出可能である。
【0150】
素子部10Uがブリッジ回路10Vを含む場合、第4回路74は、第1素子10A、第2素子10B、第3素子10C及び第4素子10Dに共通して設けられても良い。
【0151】
図22は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図22に示すように、センサ131において、第1素子10Aは、第1導電層61を含む。第1導電層61に第4回路74から第2電流i2が供給される。センサ131のこれ以外の構成は、センサ121の構成と同様で良い。
【0152】
図23は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図23に示すように、センサ132において、第1素子10Aは第1導電層61を含み、第2素子10Bは第2導電層62を含む。第1導電層61及び第2導電層62に第4回路74から第2電流i2が供給される。センサ132のこれ以外の構成は、センサ122の構成と同様で良い。
【0153】
例えば、第2導電層62は、第2導電層部分62eと第2他導電層部分62fとを含む。第2導電層部分62eから第2他導電層部分62fへの方向は、第3方向D3に沿う。第2導電層部分62eと第2他導電層部分62fとの間に第2電流i2の一部が流れることが可能である。
【0154】
図24は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図24に示すように、センサ133において、第1素子10Aは第1導電層61を含み、第2素子10Bは第2導電層62を含む。第1導電層61及び第2導電層62に第4回路74から第2電流i2が供給される。センサ133のこれ以外の構成は、センサ123の構成と同様で良い。
【0155】
図25は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図25に示すように、センサ134において、第1素子10Aは第1導電層61を含む。第1導電層61に第4回路74から第2電流i2が供給される。センサ134のこれ以外の構成は、センサ124の構成と同様で良い。
【0156】
図26は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図26に示すように、センサ135において、第1素子10Aは第1導電層61を含む。第2素子10Bは第2導電層62を含む。第3素子10Cは第3導電層63を含む。第4素子10Dは第4導電層64を含む。これらの導電層に第4回路74から第2電流i2が供給される。センサ135のこれ以外の構成は、センサ125の構成と同様で良い。
【0157】
例えば、第3導電層63は、第3導電層部分63eと第3他導電層部分63fとを含む。第3導電層部分63eから第3他導電層部分63fへの方向は、第3方向D3に沿う。第3導電層部分63eと第3他導電層部分63fとの間に第2電流i2の一部が流れることが可能である。
【0158】
例えば、第4導電層64は、第4導電層部分64eと第4他導電層部分64fとを含む。第4導電層部分64eから第4他導電層部分64fへの方向は、第3方向D3に沿う。第4導電層部分64eと第4他導電層部分64fとの間に第2電流i2の一部が流れることが可能である。
【0159】
図27は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図27に示すように、センサ136において、第1素子10Aは第1導電層61を含む。第2素子10Bは第2導電層62を含む。第3素子10Cは第3導電層63を含む。第4素子10Dは第4導電層64を含む。これらの導電層に第4回路74から第2電流i2が供給される。センサ136のこれ以外の構成は、センサ126の構成と同様で良い。
【0160】
(第2実施形態)
第2実施形態は、検査装置に係る。後述するように、検査装置は、診断装置を含んでも良い。
【0161】
図28は、第2実施形態に係る検査装置を示す模式的斜視図である。
図28に示すように、第2実施形態に係る検査装置710は、センサ150a(磁気センサ)と、処理部770と、を含む。センサ150aは、第1実施形態に係るセンサ及びその変形で良い。処理部770は、センサ150aから得られる出力信号を処理する。処理部770において、センサ150aから得られた信号と、基準値と、の比較などが行われても良い。処理部770は、処理結果に基づいて、検査結果を出力可能である。
【0162】
例えば、検査装置710により、検査対象680が検査される。検査対象680は、例えば、電子装置(半導体回路などを含む)である。検査対象680は、例えば、電池610などでも良い。
【0163】
例えば、実施形態に係るセンサ150aは、電池610とともに用いられても良い。例えば、電池システム600は、電池610及びセンサ150aを含む。センサ150aは、電池610に流れる電流により生じる磁界を検出できる。
【0164】
図29は、第2実施形態に係る検査装置を示す模式的平面図である。
図29に示すように、センサ150aは、例えば、実施形態に係る複数のセンサを含む。この例では、センサ150aは、複数のセンサ(センサ110などの素子部10Uなど)を含む。複数のセンサは、例えば、2つの方向(例えば、X軸方向及びY軸方向)に沿って並ぶ。複数のセンサ110は、例えば、基板の上に設けられる。
【0165】
センサ150aは、検査対象680(例えば電池610でも良い)に流れる電流により生じる磁界を検出できる。例えば、電池610が異常な状態に近づくと、電池610に異常な電流が流れる場合がある。センサ150aにより異常な電流を検出することで、電池610の状態の変化を知ることができる。例えば、電池610に近づけてセンサ150aが置かれた状態で、2つの方向のセンサ群駆動手段を用いて、電池610の全体を短時間で検査できる。センサ150aは、電池610の製造における、電池610の検査に用いられても良い。
【0166】
実施形態に係るセンサは、例えば、診断装置などの検査装置710に応用できる。
図30は、実施形態に係るセンサ及び検査装置を示す模式図である。
図30に示すように、検査装置710の例である診断装置500は、センサ150を含む。センサ150は、第1実施形態に関して説明したセンサ、及び、それらの変形を含む。
【0167】
診断装置500において、センサ150は、例えば、脳磁計である。脳磁計は、脳神経が発する磁界を検出する。センサ150が脳磁計に用いられる場合、センサ150に含まれる磁気素子のサイズは、例えば、1mm以上10mm未満である。このサイズは、例えば、MFCを含めた長さである。
【0168】
図30に示すように、センサ150(脳磁計)は、例えば、人体の頭部に装着される。センサ150(脳磁計)は、センサ部301を含む。センサ150(脳磁計)は、複数のセンサ部301を含んでも良い。複数のセンサ部301の数は、例えば、約100個(例えば50個以上150個以下)である。複数のセンサ部301は、柔軟性を有する基体302に設けられる。
【0169】
センサ150は、例えば、差動検出などの回路を含んでも良い。センサ150は、センサとは別のセンサ(例えば、電位端子または加速度センサなど)を含んでも良い。
【0170】
センサ150のサイズは、従来のSQUIDセンサのサイズに比べて小さい。このため、複数のセンサ部301の設置が容易である。複数のセンサ部301と、他の回路と、の設置が容易である。複数のセンサ部301と、他のセンサと、の共存が容易である。
【0171】
基体302は、例えばシリコーン樹脂などの弾性体を含んでも良い。基体302に、例えば、複数のセンサ部301が繋がって設けられる。基体302は、例えば、頭部に密着できる。
【0172】
センサ部301の入出力コード303は、診断装置500のセンサ駆動部506及び信号入出力部504と接続される。センサ駆動部506からの電力と、信号入出力部504からの制御信号と、に基づいて、センサ部301において、磁界測定が行われる。その結果は、信号入出力部504に入力される。信号入出力部504で得た信号は、信号処理部508に供給される。信号処理部508において、例えば、ノイズの除去、フィルタリング、増幅、及び、信号演算などの処理が行われる。信号処理部508で処理された信号が、信号解析部510に供給される。信号解析部510は、例えば、脳磁計測のための特定の信号を抽出する。信号解析部510において、例えば、信号位相を整合させる信号解析が行われる。
【0173】
信号解析部510の出力(信号解析が終了したデータ)が、データ処理部512に供給される。データ処理部512では、データ解析が行われる。このデータ解析において、例えば、MRI(Magnetic Resonance Imaging)などの画像データが取り入られることが可能である。このデータ解析においては、例えば、EEG(Electroencephalogram)などの頭皮電位情報などが取り入れられることが可能である。データ解析により、例えば、神経発火点解析、または、逆問題解析などが行われる。
【0174】
データ解析の結果は、例えば、画像化診断部516に供給される。画像化診断部516において、画像化が行われる。画像化により、診断が支援される。
【0175】
上記の一連の動作は、例えば、制御機構502によって制御される。例えば、一次信号データ、または、データ処理途中のメタデータなどの必要なデータは、データサーバに保存される。データサーバと制御機構とは、一体化されても良い。
【0176】
実施形態に係る診断装置500は、センサ150と、センサ150から得られる出力信号を処理する処理部と、を含む。この処理部は、例えば、信号処理部508及びデータ処理部512の少なくともいずれかを含む。処理部は、例えば、コンピュータなどを含む。
【0177】
図30に示すセンサ150では、センサ部301は、人体の頭部に設置されている。センサ部301は、人体の胸部に設置されても良い。これにより、心磁測定が可能となる。例えば、センサ部301を妊婦の腹部に設置しても良い。これにより、胎児の心拍検査を行うことができる。
【0178】
被験者を含めたセンサ装置は、シールドルーム内に設置されるのが好ましい。これにより、例えば、地磁気または磁気ノイズの影響が抑制できる。
【0179】
例えば、人体の測定部位、または、センサ部301を局所的にシールドする機構を設けても良い。例えば、センサ部301にシールド機構を設けても良い。例えば、信号解析またはデータ処理において、実効的なシールドを行っても良い。
【0180】
実施形態において、基体302は、柔軟性を有しても良く、柔軟性を実質的に有しなくても良い。図30に示す例では、基体302は、連続した膜を帽子状に加工したものである。基体302は、ネット状でも良い。これにより、例えば、良好な装着性が得られる。例えば、基体302の人体への密着性が向上する。基体302は、ヘルメット状で、硬質でも良い。
【0181】
図31は、実施形態に係る検査装置を示す模式図である。
図31に示す例では、平板状の硬質の基体305上にセンサ部301が設けられる。
【0182】
図31に示した例において、センサ部301から得られる信号の入出力は、図30に関して説明した入出力と同様である。図31に示した例において、センサ部301から得られる信号の処理は、図30に関して説明した処理と同様である。
【0183】
生体から発生する磁界などの微弱な磁界を計測する装置として、SQUID (Superconducting Quantum Interference Device:超伝導量子干渉素子)センサを用いる参考例がある。この参考例においては、超伝導を用いるため、装置が大きく、消費電力も大きい。測定対象(患者)の負担が大きい。
【0184】
実施形態によれば、装置が小型にできる。消費電力を抑制できる。測定対象(患者)の負担が軽減できる。実施形態によれば、磁界検出のSN比を向上できる。感度を向上できる。
【0185】
実施形態は、以下の構成(例えば技術案)を含んで良い。
(構成1)
第1素子を含む素子部を備え、
前記第1素子は、第1磁気素子と第1導電部材と第1磁性部とを含み、
前記第1磁気素子は、第1磁性層及び第1対向磁性層を含み、
前記第1磁性層から前記第1対向磁性層への第1方向と交差する第2方向に沿う前記第1磁気素子の長さは、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差する第3方向に沿う前記第1磁気素子の長さよりも長く、
前記第1導電部材は、第1導電部分と第1他導電部分とを含み、
前記第1他導電部分から前記第1導電部分への方向は前記第2方向に沿い、
前記第1磁性部から前記第1磁気素子への方向は、前記第2方向に沿う、センサ。
【0186】
(構成2)
前記第3方向に沿う前記第1磁性部の長さは、前記第3方向に沿う前記第1磁気素子の前記長さよりも長い、構成1に記載のセンサ。
【0187】
(構成3)
前記第1磁性部は、強磁性体を含む、構成1または2に記載のセンサ。
【0188】
(構成4)
前記第1素子は、第1対向磁性部をさらに含み、
前記第1磁気素子の少なくとも一部は、前記第2方向において前記第1磁性部と前記第1対向磁性部との間にある、構成1~3のいずれか1つに記載のセンサ。
【0189】
(構成5)
前記第1磁性部の磁化の向きは、前記第2方向の成分を含み、
前記第1対向磁性部の磁化の向きは、前記第2方向の成分を含み、
前記第1磁性部の前記磁化の前記向きは、前記第1対向磁性部の前記磁化の前記向きと同じ向きである、構成4に記載のセンサ。
【0190】
(構成6)
第1回路を含む制御部をさらに備え、
前記第1回路は、前記第1導電部分及び前記第1他導電部分と電気的に接続され、
前記第1回路は、前記第1導電部材に第1電流を供給可能であり、
前記第1電流は、交流成分を含み、
前記第1電流の極小値は第1極性であり、
前記第1電流の極大値は前記第1極性である、構成1~5のいずれか1つに記載のセンサ。
【0191】
(構成7)
前記制御部は、第2回路及び第3回路を含み、
前記第2回路は、前記第1磁気素子に検出電流を供給可能であり、
前記第3回路は、前記第1磁気素子の第1電気抵抗の変化に対応する値を検出可能である、構成6に記載のセンサ。
【0192】
(構成8)
第1素子を含む素子部を備え、
前記第1素子は、第1磁気素子と第1導電部材と第1導電層とを含み、
前記第1磁気素子は、第1磁性層及び第1対向磁性層を含み、
前記第1磁性層から前記第1対向磁性層への第1方向と交差する第2方向に沿う前記第1磁気素子の長さは、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差する第3方向に沿う前記第1磁気素子の長さよりも長く、
前記第1導電部材は、第1導電部分と第1他導電部分とを含み、
前記第1他導電部分から前記第1導電部分への方向は前記第2方向に沿い、
前記第1導電層は、前記第1方向において前記第1磁気素子と重なり、
前記第1導電層は、第1導電層部分と第1他導電層部分とを含み、
前記第1導電層部分から前記第1他導電層部分への方向は、前記第3方向に沿い、
前記第1導電層部分と前記第1他導電層部分との間に第2電流が流れることが可能である、センサ。
【0193】
(構成9)
第4回路を備え、
前記第4回路は、前記第1導電層に前記第2電流を供給可能である、構成8に記載のセンサ。
【0194】
(構成10)
前記第2方向に沿う前記第1導電層の長さは、前記第2方向に沿う前記第1磁気素子の前記長さよりも長い、構成8または9に記載のセンサ。
【0195】
(構成11)
第1回路を含む制御部をさらに備え、
前記第1回路は、前記第1導電部分及び前記第1他導電部分と電気的に接続され、
前記第1回路は、前記第1導電部材に第1電流を供給可能であり、
前記第1電流は、交流成分を含み、
前記第1電流の極小値は第1極性であり、
前記第1電流の極大値は前記第1極性である、構成8~10のいずれか1つに記載のセンサ。
【0196】
(構成12)
前記制御部は、第2回路及び第3回路を含み、
前記第2回路は、前記第1磁気素子に検出電流を供給可能であり、
前記第3回路は、前記第1磁気素子の第1電気抵抗の変化に対応する値を検出可能である、構成11に記載のセンサ。
【0197】
(構成13)
第1素子を含む素子部を備え、
前記第1素子は、第1磁気素子と第1導電部材と第1磁性部とを含み、
前記第1磁気素子は、第1磁性層及び第1対向磁性層を含み、
前記第1磁性層から前記第1対向磁性層への第1方向と交差する第2方向に沿う前記第1磁気素子の長さは、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差する第3方向に沿う前記第1磁気素子の長さよりも長く、
前記第1導電部材は、第1導電部分と第1他導電部分とを含み、
前記第1他導電部分から前記第1導電部分への方向は前記第2方向に沿い、
前記第1磁性部から前記第1磁気素子への方向は、前記第3方向に沿う、センサ。
【0198】
(構成14)
前記第2方向に沿う前記第1磁性部の長さは、前記第2方向に沿う前記第1磁気素子の前記長さよりも長い、構成13に記載のセンサ。
【0199】
(構成15)
前記第1磁性部は、強磁性体を含む、構成13または14に記載のセンサ。
【0200】
(構成16)
前記第1素子は、第1対向磁性部をさらに含み、
前記第1磁気素子の少なくとも一部は、前記第3方向において前記第1磁性部と前記第1対向磁性部との間にある、構成13~15のいずれか1つに記載のセンサ。
【0201】
(構成17)
前記第1磁性部の磁化の向きは、前記第3方向の成分を含み、
前記第1対向磁性部の磁化の向きは、前記第3方向の成分を含み、
前記第1磁性部の前記磁化の前記向きは、前記第1対向磁性部の前記磁化の前記向きと同じ向きである、構成16に記載のセンサ。
【0202】
(構成18)
第1回路を含む制御部をさらに備え、
前記第1回路は、前記第1導電部分及び前記第1他導電部分と電気的に接続され、
前記第1回路は、前記第1導電部材に第1電流を供給可能であり、
前記第1電流は、交流成分を含む、構成13~17のいずれか1つに記載のセンサ。
【0203】
(構成19)
前記制御部は、第2回路及び第3回路を含み、
前記第2回路は、前記第1磁気素子に検出電流を供給可能であり、
前記第3回路は、前記第1磁気素子の第1電気抵抗の変化に対応する値を検出可能である、構成18に記載のセンサ。
【0204】
(構成20)
構成1~19のいずれか1つに記載のセンサと、
前記センサから得られる出力信号を処理する処理部と、
を備えた検査装置。
【0205】
実施形態によれば、特性の向上が可能なセンサ及び検査装置が提供できる。
【0206】
以上、例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの例に限定されるものではない。例えば、センサまたは検査装置に含まれる、磁性層、磁気素子、導電部材、制御部及び処理部などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0207】
各例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0208】
本発明の実施の形態として上述したセンサ及び検査装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全てのセンサ及び検査装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0209】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0210】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0211】
10A~10D…第1~第4素子、 10U…素子部、 10V…ブリッジ回路、 11~14…第1~第4磁気素子、 11a~14a…第1~第4磁性層、 11aM~14aM…磁化、 11b~14b…第1~第4対向磁性層、 11bM~14bM…磁化、 11e~14e…第1~第4素子部分、 11f~14f…第1~第4他素子部分、 11n~14n…第1~第4非磁性層、 21~24…第1~第4導電部材、 21e~24e…第1~第4導電部分、 21f~24f…第1~第4他導電部分、 28…磁界発生部、 31~33…第1~第3抵抗、 31e~33e…第1~第3抵抗部分、 31f~33f…第1~第3他抵抗部分、 41…第1磁性部、 41A…第1対向磁性部、 41AM…磁化、 41M…磁化、 61~64…第1~第4導電層、 61e~64e…第1~第4導電層部分、 61f~64f…第1~第4他導電層部分、 70…制御部、 71~74…第1~第4回路、 73o…出力部、 75…処理回路、 76…差動アンプ、 81…絶縁部材、 110~116、121~126、131~136、150、150a…センサ、 301…センサ部、 302…基体、 303…入出力コード、 305…基体、 500…診断装置、 502…制御機構、 504…信号入出力部、 506…センサ駆動部、 508…信号処理部、 510…信号解析部、 512…データ処理部、 516…画像化診断部、 600…電池システム、 610…電池、 680…検査対象、 710…検査装置、 770…処理部、 CP1、CP2…第1、第2接続点、 D1~D3…第1~第3方向、 DR1、DR2…範囲、 Dx…交差方向、 H1、H2…磁界、 Ha…第1磁界、 Ha1…交流磁界成分、 Has…磁界強度、 Hb…バイアス磁界、 Hd1…直流磁界成分、 Hmin…極小値、 Hp1…振幅、 Hs1…第1磁界値、 Ht…検出対象磁界、 Hts…規格化検出対象磁界、 Hx、Hy…磁界、 L41、L61…長さ、 Lc1、Lc2、Le1、Le2…長さ、 MR1…磁気抵抗、 R1…第1電気抵抗、 Ve…電圧、 i1、i2…第1、第2電流、 ia1…交流成分、 id…検出電流、 id1…直流成分、 ip1…振幅、 tm…時間
図1
図2
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