(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-19
(45)【発行日】2025-09-30
(54)【発明の名称】車両用充電装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20250922BHJP
B60L 53/16 20190101ALI20250922BHJP
B60L 53/37 20190101ALI20250922BHJP
【FI】
H02J7/00 301B
H02J7/00 P
B60L53/16
B60L53/37
(21)【出願番号】P 2023154102
(22)【出願日】2023-09-21
【審査請求日】2025-01-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】長西 幸成
(72)【発明者】
【氏名】池谷 浩二
(72)【発明者】
【氏名】白木 孝
(72)【発明者】
【氏名】難波 政浩
(72)【発明者】
【氏名】尾城 創
(72)【発明者】
【氏名】坂本 優
(72)【発明者】
【氏名】大塚 康平
【審査官】佐藤 卓馬
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-172489(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
B60L 53/16
B60L 53/37
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に配置されたインレットに対して嵌合するコネクタと、
支持部材と、
前記コネクタと前記支持部材とを連結しており、かつ前記支持部材に対する前記コネクタの姿勢の変化を許容する連結機構と、
前記支持部材に連結される第一端部と、回動可能に支持される第二端部と、を有し、回動することにより前記支持部材を上下させるアームと、
前記支持部材を移動させ、かつ前記支持部材を回動させる駆動機構と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記インレットの開口部に対して前記コネクタの先端を対向させるときに、前記コネクタの傾斜角度を前記インレットの傾斜角度に合わせる角度制御を実行し、
前記制御部は、前記角度制御において前記支持部材の回転位置を所定の回転位置に設定し、
前記所定の回転位置は、
前記支持部材を上昇させるときに前記コネクタの先端が最初に前記インレットに当接し、
前記支持部材が目標位置まで上昇した場合に前記コネクタの傾斜角度が前記インレットの傾斜角度と一致する
回転位置である
ことを特徴とする車両用充電装置。
【請求項2】
前記インレットを検出する位置センサと、
前記支持部材に対して前記コネクタの先端が予め定められた所定位置まで下降した場合に検出信号を出力するコネクタセンサと、
を備え、
前記駆動機構は、
前記アームを水平方向の第一方向に移動させる第一駆動機構と、
前記アームを水平方向の第二方向に移動させる第二駆動機構と、
前記アームを回動させる第三駆動機構と、
前記第一方向に対する前記コネクタの角度を変化させるように前記支持部材を回動させる第四駆動機構と、
を有し、
前記制御部は、前記位置センサの検出結果から前記第一方向に対する前記インレットの傾斜角度を取得し、
前記所定の回転位置は、前記支持部材が目標位置まで上昇した場合に前記コネクタセンサが検出信号を出力する回転位置である
請求項1に記載の車両用充電装置。
【請求項3】
前記連結機構は、前記コネクタに対して初期位置の姿勢に向かう付勢力を付与するばねを有し、
前記コネクタセンサが前記検出信号を出力する前記所定位置は、前記コネクタが前記初期位置の姿勢にあるときの前記コネクタの先端の位置よりも下方の位置である
請求項2に記載の車両用充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に対して充電を行なう充電装置がある。特許文献1の車両用充電システムは、給電嵌合体を有し、車両の停車スペースに設けられた給電装置を備える。車両用充電システムは、給電嵌合体を車両の受電嵌合体に嵌合させる挿抜方向移動部を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
乗員や積載物の重量によって、車両およびインレットが傾きを有していることがある。インレットが傾いている場合であってもインレットに対してコネクタを適切に位置付けることができる技術が望まれている。
【0005】
本発明の目的は、インレットに対してコネクタを適切に位置付けることができる車両用充電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両用充電装置は、車両に配置されたインレットに対して嵌合するコネクタと、支持部材と、前記コネクタと前記支持部材とを連結しており、かつ前記支持部材に対する前記コネクタの姿勢の変化を許容する連結機構と、前記支持部材に連結される第一端部と、回動可能に支持される第二端部と、を有し、回動することにより前記支持部材を上下させるアームと、前記支持部材を移動させ、かつ前記支持部材を回動させる駆動機構と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記インレットの開口部に対して前記コネクタの先端を対向させるときに、前記コネクタの傾斜角度を前記インレットの傾斜角度に合わせる角度制御を実行し、前記制御部は、前記角度制御において前記支持部材の回転位置を所定の回転位置に設定し、前記所定の回転位置は、前記支持部材を上昇させるときに前記コネクタの先端が最初に前記インレットに当接し、前記支持部材が目標位置まで上昇した場合に前記コネクタの傾斜角度が前記インレットの傾斜角度と一致する回転位置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る車両用充電装置は、インレットの開口部に対してコネクタの先端を対向させるときに、コネクタの傾斜角度をインレットの傾斜角度に合わせる角度制御を実行する。角度制御における支持部材の所定の回転位置は、支持部材を上昇させるときにコネクタの先端が最初にインレットに当接し、支持部材が目標位置まで上昇した場合にコネクタの傾斜角度がインレットの傾斜角度と一致する回転位置である。本実施形態の車両用充電装置は、コネクタの先端をインレットに押し付けながらコネクタを上昇させることで、コネクタの姿勢をインレットの傾斜に合った姿勢とすることができる。本発明に係る車両用充電装置によれば、インレットに対してコネクタを適切に位置付けることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る車両用充電装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る車両用充電装置の斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る車両用充電装置の斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る車両用充電装置の側面図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る車両用充電装置のブロック図である。
【
図6】
図6は、センサによってスキャンされるインレットの側面図である。
【
図7】
図7は、センサによってスキャンされるインレットの側面図である。
【
図8】
図8は、センサによってスキャンされるインレットの下面図である。
【
図10】
図10は、センサによってスキャンされるインレットの下面図である。
【
図12】
図12は、実施形態に係るインレットの下面図である。
【
図13】
図13は、インレットおよびコネクタの断面図である。
【
図14】
図14は、インレットおよびコネクタの断面図である。
【
図15】
図15は、実施形態に係る連結機構の構成を示す図である。
【
図16】
図16は、角度制御における所定の回転位置を説明する図である。
【
図17】
図17は、インレットに接触したコネクタを示す図である。
【
図18】
図18は、インレットと平行になったコネクタを示す図である。
【
図19】
図19は、角度制御における所定の回転位置を説明する図である。
【
図20】
図20は、インレットと平行になったコネクタを示す図である。
【
図21】
図21は、コネクタとインレットとの間に生じる隙間を示す図である。
【
図22】
図22は、実施形態の第1変形例に係る角度制御を説明する図である。
【
図23】
図23は、実施形態の第2変形例に係る車両用充電装置の図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態に係る車両用充電装置につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
[実施形態]
図1から
図20を参照して、実施形態について説明する。本実施形態は、車両用充電装置に関する。
図1から
図3は、実施形態に係る車両用充電装置の斜視図、
図4は、実施形態に係る車両用充電装置の側面図、
図5は、実施形態に係る車両用充電装置のブロック図、
図6および
図7は、センサによってスキャンされるインレットの側面図、
図8は、センサによってスキャンされるインレットの下面図、
図9は、ピッチ角を示す側面図、
図10は、センサによってスキャンされるインレットの下面図である。
【0011】
図11は、ロール角を示す正面図、
図12は、実施形態に係るインレットの下面図、
図13および
図14は、インレットおよびコネクタの断面図、
図15は、実施形態に係る連結機構の構成を示す図、
図16は、角度制御における所定の回転位置を説明する図、
図17は、インレットに接触したコネクタを示す図、
図18は、インレットと平行になったコネクタを示す図、
図19は、角度制御における所定の回転位置を説明する図、
図20は、インレットと平行になったコネクタを示す図である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態の車両用充電装置1は、車両が停車される停車スペースの床部100に配置される。車両用充電装置1は、筐体2を有する。筐体2は、床部100に固定されている。筐体2は、スライド式のカバー2aおよび回動式のカバー2bを有する。カバー2a,2bは、筐体2の内部空間に収容された装置を上側から覆う。
【0013】
図2に示すように、車両用充電装置1は、筐体2の内部に配置されたスライド体3を有する。スライド体3は、板状の基盤部材であり、筐体2に対して第一方向Lおよび第二方向Wに移動可能である。第一方向Lおよび第二方向Wは、水平方向である。なお、床部100の床面が傾斜している場合、第一方向Lおよび第二方向Wは、床部100の床面と平行な方向であることが好ましい。
【0014】
第一方向Lは、充電対象である車両200の車両前後方向に対応する。第二方向Wは、車両200の車幅方向に対応する。車両200は、第一方向Lに沿って前進または後退しながら、車両用充電装置1によって充電される充電位置に位置付けられる。例示された車両用充電装置1において、第一方向Lは、筐体2の長手方向である。第二方向Wは、筐体2の短手方向であり、第一方向Lと直交している。
【0015】
車両用充電装置1は、位置センサ4と、コネクタ5と、支持部材6と、連結機構7と、アーム8と、を有する。車両用充電装置1は、更に、第一駆動機構10と、第二駆動機構20と、第三駆動機構30と、第四駆動機構40と、を有する。
【0016】
図4に示すように、コネクタ5は、車両200に配置されたインレット210と嵌合する。インレット210は、車両200の底部に配置されている。コネクタ5は、インレット210と嵌合することにより、車両200のバッテリと接続される。
【0017】
位置センサ4は、インレット210の位置を検出するために用いられる。位置センサ4は、測距用のセンサであってもよく、画像を撮像して画像内の対象物を検出するセンサであってもよく、その他の位置検出センサであってもよい。位置センサ4は、検出方法が異なる複数のセンサを含んでいてもよい。本実施形態の位置センサ4は、レーザ光によって反射物までの距離を検出するレーザセンサである。位置センサ4は、予め定められた方向にレーザ光を出射し、対象物によって反射されるレーザ光を受光する。
【0018】
位置センサ4は、スライド体3に配置されており、スライド体3と共に移動する。
図2に例示された位置センサ4は、第一センサ4A、第二センサ4B、および第三センサ4Cを有する。三つのセンサ4A,4B,4Cは、この順序で第二方向Wに並んで配置されている。第二センサ4Bは、上下方向Zの上側に向けてレーザ光を出射する。上下方向Zは、第一方向Lおよび第二方向Wの何れとも直交する方向であり、車両200の車両上下方向に対応する。第一センサ4Aおよび第三センサ4Cは、上下方向Zに対して傾斜した斜め方向にレーザ光を出射する。
【0019】
コネクタ5は、車両200のバッテリに対して充電を行なう充電コネクタである。コネクタ5は、充電用の端子を有している。本実施形態の車両用充電装置1は、コネクタ5の位置を第一方向L、第二方向W、および上下方向Zに移動させることができるように構成されている。
【0020】
第一駆動機構10は、コネクタ5を第一方向Lに移動させる機構である。第一駆動機構10は、第一モータ11および歯車12を有する。歯車12は、第一モータ11の出力軸に配置されており、かつスライド体3に配置されたラックギアと噛み合っている。第一モータ11は、正回転および逆回転することにより、コネクタ5を第一方向Lに移動させることができる。
【0021】
第二駆動機構20は、コネクタ5を第二方向Wに移動させる機構である。第二駆動機構20は、第二モータ21および歯車22を有する。歯車22は、第二モータ21の出力軸に配置されている。歯車22は、減速ギアを介して、筐体2に配置されたラックギアと噛み合っている。第二モータ21は、正回転および逆回転することにより、スライド体3を第二方向Wに移動させることができる。
【0022】
第三駆動機構30は、コネクタ5を上下方向Zに移動させる機構である。コネクタ5は、アーム8、支持部材6、および連結機構7を介してスライド体3に連結されている。アーム8は、板状の部材であり、第一端部81および第二端部82を有する。第一端部81は、支持部材6に連結される。第二端部82は、スライド体3によって回動可能に支持されている。つまり、アーム8は、第二端部82を回転中心として回転可能である。アーム8は、回動することにより支持部材6を上下させる。
【0023】
本実施形態の車両用充電装置1は、第一アーム8Aおよび第二アーム8Bを有する。第一アーム8Aおよび第二アーム8Bは、第一方向Lに延在しており、かつ第二方向Wにおいて互いに対向している。二本のアーム8A,8Bの第二端部82は、シャフトを介して互いに接続されている。従って、二本のアーム8A,8Bは連動して回転する。
【0024】
支持部材6は、第一アーム8Aの第一端部81および第二アーム8Bの第一端部81に連結されている。支持部材6は、板状の部材であって、第二方向Wに延在している。支持部材6は、アーム8に対して相対回転可能なように、アーム8の第一端部81によって軸支されている。
【0025】
連結機構7は、コネクタ5と支持部材6とを連結しており、かつ支持部材6に対するコネクタ5の姿勢の変化を許容するように構成されている。
図3に示すように、連結機構7は、ユニバーサルジョイント71と、ばね72と、を有する。ユニバーサルジョイント71およびばね72は、支持部材6とコネクタ5との間に配置されており、かつ第一方向Lに延在している。ユニバーサルジョイント71およびばね72の一端は、支持部材6に接続されており、ユニバーサルジョイント71およびばね72の他端は、コネクタ5に接続されている。
【0026】
ユニバーサルジョイント71とコネクタ5との間には、軸受が配置されていてもよい。この場合、軸受は、第一方向Lの中心軸線を回転中心とするコネクタ5の回転を許容する。軸受が設けられている場合、コネクタ5は、ユニバーサルジョイント71に対して相対回転可能である。
【0027】
本実施形態のユニバーサルジョイント71は、二つの回転方向におけるコネクタ5の姿勢の変化を許容する。より詳しくは、ユニバーサルジョイント71は、第二方向Wの中心軸線Wxを回転中心とするコネクタ5の回転を許容する。ユニバーサルジョイント71は、更に、上下方向Zの中心軸線Zxを回転中心とするコネクタ5の回転を許容する。ユニバーサルジョイント71は、例えば、十字継手である。
【0028】
ばね72は、第一ばね72Aおよび第二ばね72Bを有する。第一ばね72Aおよび第二ばね72Bは、ユニバーサルジョイント71を間において第二方向Wの両側に配置されている。第一ばね72Aおよび第二ばね72Bは、コネクタ5の位置を回転方向の中立位置に戻すばね力をコネクタ5に対して作用させる。言い換えると、第一ばね72Aおよび第二ばね72Bは、コネクタ5に対して中立位置の姿勢に向かう付勢力を付与する。例えば、下方へ向かう外力によってコネクタ5の姿勢が変化し、コネクタ5の先端が中立の位置よりも下方に移動した場合、ばね72は、コネクタ5の先端を上昇させる付勢力をコネクタ5に付与する。従って、ばね72は、他の部材との接触による外力がコネクタ5に作用していない場合、コネクタ5の姿勢を中立位置の姿勢に維持することができる。
【0029】
第三駆動機構30は、アーム8を回動させることにより、コネクタ5を上下方向Zに移動させる。
図2に示すように、第三駆動機構30は、第三モータ31、第一歯車32、および第二歯車33を有する。第一歯車32は、第三モータ31の出力軸に配置されている。第二歯車33は、二枚のアーム8A,8Bを連結するシャフトに接続されており、かつ第一歯車32と噛み合っている。第三モータ31は、正回転および逆回転することにより、アーム8を回転させる。
【0030】
第四駆動機構40は、コネクタ5の角度θを変化させるように構成されている。角度θは、第一方向Lに対するコネクタ5の傾斜角度である。第四駆動機構40は、第四モータ41、第一スプロケット42、および一対の第二スプロケット43を有する。第一スプロケット42は、第四モータ41の出力軸に配置されている。第二スプロケット43は、アーム8A,8Bを連結するシャフトと同軸上に配置されており、シャフトに対して相対回転する。第一スプロケット42および第二スプロケット43には、無端のチェーンが掛け回される。支持部材6には、第三スプロケット44が配置されている。第二スプロケット43および第三スプロケット44には、無端のチェーンが掛け回される。第四モータ41は、正回転および逆回転することにより、アーム8A,8Bに対して支持部材6を相対回転させる。支持部材6が回転することにより、コネクタ5の角度θが変化する。
【0031】
図2に示すように、支持部材6には、カバー61が固定されている。カバー61は、連結機構7における支持部材6の側の端部を覆っている。
図3に示すように、コネクタ5には、U字形状の当接部材52が固定されている。当接部材52は、カバー61と当接し、カバー61によって支持される。カバー61および当接部材52により、コネクタ5の駆動が規制される。この規制構造は、例えば、コネクタ5がインレット210に嵌合するときに、コネクタ5の姿勢の変化を許容しつつコネクタ5に対して嵌合方向の力を伝達する。
【0032】
図4に示すように、車両用充電装置1は、車両200のインレット210に対してコネクタ5を嵌合させる。以下に説明するように、車両用充電装置1は、コネクタ5をインレット210に対して嵌合させる前に、インレット210の位置およびインレット210の姿勢を検出する。車両用充電装置1は、検出結果に基づいてコネクタ5の位置およびコネクタ5の姿勢を制御しながらコネクタ5をインレット210と嵌合させる。
【0033】
図5には、本実施形態に係る車両用充電装置1のブロック図が示されている。
図5に示すように、車両用充電装置1は、制御部50を有する。制御部50は、位置センサ4を制御し、位置センサ4の検出結果を取得する。また、制御部50は、後述するコネクタセンサ73を制御し、コネクタセンサ73の検出信号を取得する。また、制御部50は、第一駆動機構10、第二駆動機構20、第三駆動機構30、および第四駆動機構40を制御する。制御部50は、位置センサ4の検出結果に基づいてインレット210の位置およびインレット210の姿勢を算出する。
【0034】
図6には、本実施形態において位置センサ4がインレット210をスキャンする様子が示されている。
図6に示すように、インレット210は、基部220および嵌合部230を有する。基部220は、車両200に対して固定される部分であり、略平板形状を有する。嵌合部230は、基部220から上下方向Zの下側に向けて隆起している。嵌合部230は、コネクタ5が挿入される開口部を有している。嵌合部230の内部には、端子が収容されている。本実施形態の嵌合部230は、直方体形状を有する。
【0035】
基部220の下面220aと嵌合部230の下面230aとの間には、上下方向Zの段差が存在する。制御部50は、この段差に基づいて嵌合部230の位置、および後述する突起260の位置を算出する。
図6に示すように、制御部50は、スライド体3を第一方向Lに移動させながら、位置センサ4にレーザ光LBを出射させる。位置センサ4は、例えば、第一方向Lに沿った等間隔の各位置でレーザ光LBを出射し、対象物までの距離を測定する。
図6には、第二センサ4Bから出射されるレーザ光LB1が示されている。第二センサ4Bによるレーザ光LB1の出射方向は、上下方向Zである。
【0036】
図7には、第一センサ4Aおよび第三センサ4Cから出射されるレーザ光LB2が示されている。レーザ光LB2は上下方向Zに対して傾斜した方向に出射される。レーザ光LB2の一部は、インレット210によって第一センサ4Aおよび第三センサ4Cに向けて反射される。レーザ光LB2の他の一部は、位置センサ4とは異なる方向に反射される。
【0037】
本実施形態の車両用充電装置1は、第一センサ4A、第二センサ4B、および第三センサ4Cを有している。これにより、
図8に示すように、第二方向Wの位置が異なる三つのラインL1,L2,L3に沿ってインレット210をスキャンすることができる。三つのラインL1,L2,L3は、例えば、等間隔で並んでいる。
【0038】
制御部50は、位置センサ4の検出結果に基づいて端部240の位置を検出する。端部240は、嵌合部230における第一方向Lの端部である。
図11に示すように、端部240は、コネクタ5が挿入される開口部230bを有している。制御部50は、位置センサ4によって検出される距離が大きく変化する箇所を端部240として判定する。
【0039】
図8に示すように、第一ラインL1と交差する端部240の位置241、第二ラインL2と交差する端部240の位置242、および第三ラインL3と交差する端部240の位置243が取得される。制御部50は、例えば、各方向L,W,Zにおける位置241,242,243の座標値を算出する。制御部50は、位置241,242,243の座標値に基づいて、インレット210のヨー角αを算出する。ヨー角αは、上下方向Zの線を回転中心とする車両200およびインレット210の回転角度である。ヨー角αは、第二方向Wに対する端部240の傾斜角度でもある。
【0040】
また、制御部50は、位置センサ4の検出結果に基づいてインレット210のピッチ角βを算出する。
図9に示すように、ピッチ角βは、第一方向Lに対するインレット210の傾斜角度である。また、ピッチ角βは、第二方向Wの線を回転中心とする車両200およびインレット210の回転角度である。
【0041】
図10には、第二方向Wに沿ってスキャンされるラインW1が示されている。制御部50は、ラインW1に沿って位置センサ4によりインレット210をスキャンする。第一方向LにおけるラインW1の位置は、例えば、検出された位置241,242,243に基づいて設定される。ラインW1は、嵌合部230と交差させるように設定される。制御部50は、スライド体3を第二方向Wに移動させながら、位置センサ4によってインレット210をスキャンさせる。
【0042】
制御部50は、ラインW1に沿ったスキャン結果に基づいて、インレット210の端部250を算出する。端部250は、嵌合部230における第二方向Wの端部である。端部250では、下面230aと基部220との間に段差が存在する。制御部50は、位置センサ4によって検出された距離が大きく変化する箇所を端部250として判定する。制御部50は、ラインW1と交差する端部250の位置251を取得する。制御部50は、例えば、各方向L,W,Zにおける位置251の座標値を算出する。
【0043】
また、制御部50は、ラインW1に沿った位置センサ4の検出結果に基づいてインレット210のロール角γを算出する。
図11に示すように、ロール角γは、第二方向Wに対するインレット210の傾斜角度である。また、ロール角γは、第一方向Lの線を回転中心とする車両200およびインレット210の回転角度である。
【0044】
図12に示すように、インレット210には、線状の突起260が配置されている。突起260は、コネクタ5がインレット210に対して挿入される挿入方向Insに沿って延在している。挿入方向Insは、例えば、車両200の車両前後方向である。また、挿入方向Insは、嵌合部230の軸方向である。開口部230bは、挿入方向Insに向けて開口している。突起260は、基部220の下面220aから下側に向けて隆起している。突起260は、嵌合部230から遠ざかる方向に向けて、嵌合部230の端部240から延在している。
【0045】
本実施形態の突起260は、挿入方向Insに沿って凸部260aおよび凹部260bが交互に並ぶ凹凸形状を有している。凸部260aは、幅方向Wdの両側に向けて突出している。幅方向Wdは、挿入方向Insと直交する方向であって、第二方向Wと対応している。幅方向Wdは、例えば、車両200の車幅方向である。
【0046】
図3等に示すように、コネクタ5は、突起260によってガイドされる溝部51を有する。溝部51は、コネクタ5の頂面5aに配置されている。頂面5aは、上下方向Zにおいてインレット210と対向する面である。コネクタ5は、頂面5aをインレット210の下面220aに摺動させながら嵌合部230に嵌合する。
【0047】
溝部51は、第一方向Lに沿って直線状に延在する第一溝部51aと、テーパ形状の第二溝部51bと、を有する。第一溝部51aの幅の大きさは、突起260の幅の大きさと対応している。突起260が第一溝部51aに挿入されることにより、コネクタ5が挿入方向Insに沿って嵌合部230の開口部230bに案内される。
【0048】
第二溝部51bは、第一溝部51aと連続しており、かつ第一方向Lに沿って第一溝部51aへ近づくに従って幅が狭くなるテーパ形状を有している。第二溝部51bは、第一溝部51aに対して挿入方向Insの先端側に配置されている。第二溝部51bは、突起260の先端260cを第一溝部51aに誘い込む。第二溝部51bの広がり角は、インレット210のヨー角αにおける許容可能な最大値に応じて決められる。つまり、第二溝部51bは、ヨー角αが設定された最大値の場合であっても突起260を収容して突起260を第一溝部51aに案内できるように構成されている。
【0049】
第二溝部51bは、第一方向Lに向けて開放した入口部51cを有する。第二溝部51bの幅は、入口部51cにおいて最大となっている。溝部51は、中心軸線Cxを有する。連結機構7が中立の状態である場合、中心軸線Cxは第一方向Lに延在する。
【0050】
制御部50は、嵌合部230の位置241,242,243の座標値、および位置251の座標値、およびインレット210のピッチ角β等に基づいて、突起260の座標値を算出する。制御部50は、例えば、突起260の先端260cの位置を算出する。制御部50は、突起260の座標値に基づいて、コネクタ5の目標位置および目標角度を算出する。
【0051】
コネクタ5の目標位置は、例えば、第一方向L、第二方向W、および上下方向Zのそれぞれにおける目標位置である。コネクタ5の目標位置は、コネクタ5における所定部の目標位置であってもよい。コネクタ5の所定部は、例えば、第二溝部51bにおける中心軸線Cxの位置である。所定部は、入口部51cと中心軸線Cxとが交差する部分であってもよい。
【0052】
第一方向Lにおけるコネクタ5の位置は、第一駆動機構10によって制御される。第二方向Wにおけるコネクタ5の位置は、第二駆動機構20によって制御される。上下方向Zにおけるコネクタ5の位置は、第三駆動機構30および第四駆動機構40によって制御される。
【0053】
コネクタ5の目標角度は、コネクタ5の角度θの目標値である。コネクタ5の目標角度は、コネクタ5の頂面5aをインレット210の下面220aに面接触させることができるように定められる。コネクタ5の角度θは、第四駆動機構40によって制御される。
【0054】
制御部50は、コネクタ5の目標位置および目標角度に基づいて、第一駆動機構10、第二駆動機構20、第三駆動機構30、および第四駆動機構40のそれぞれに対する指令値を設定する。第一駆動機構10の第一モータ11は、指令値に応じた駆動信号によって回転し、スライド体3を第一方向Lの目標位置に移動させる。第二駆動機構20の第二モータ21は、指令値に応じた駆動信号によって回転し、スライド体3を第二方向Wの目標位置に移動させる。
【0055】
第三駆動機構30の第三モータ31は、指令値に応じた駆動信号によって回転し、支持部材6を上下方向Zの目標位置に移動させる。第四駆動機構40の第四モータ41は、指令値に応じた駆動信号によって回転し、コネクタ5の角度θを目標角度とする。
【0056】
本実施形態の制御部50は、コネクタ5をインレット210に嵌合させるときに、位置付け制御、および嵌合制御を実行する。位置付け制御は、コネクタ5の先端をインレット210の開口部230bと対向する位置に位置付ける制御である。嵌合制御は、位置付け制御の後で実行される制御であり、コネクタ5をインレット210の嵌合部230に対して嵌合させる制御である。
【0057】
図13には、インレット210の開口部230bと対向する位置に位置付けられたコネクタ5が示されている。
図13に示すインレット210は、ヨー角αを有しており、第一方向Lおよび第二方向Wに対して傾斜している。溝部51の入口部51cは、突起260の先端260cに位置付けられている。入口部51cは、第一方向Lにおいて突起260と対向している。また、入口部51cは、嵌合部230の開口部230bと対向している。コネクタ5は、溝部51の中心軸線Cxと突起260の中心軸線とが入口部51cにおいて交差するように位置付けられる。
図13において、コネクタ5は、基部220の下面220aに接触している。つまり、コネクタ5の角度θは、インレット210のピッチ角βと一致している。
【0058】
制御部50は、
図13に示す状態から、嵌合制御を実行し、コネクタ5を嵌合部230に向けて第一方向Lに移動させる。突起260は、コネクタ5の第二溝部51bに入り込む。コネクタ5が更に嵌合部230に向けて移動すると、
図14に示すように突起260が第一溝部51aに誘い込まれる。突起260は、溝部51をガイドしてコネクタ5の姿勢を変化させる。より詳しくは、突起260は、溝部51の中心軸線Cxの方向を挿入方向Insと一致させるようにコネクタ5を回転させる。本実施形態の車両用充電装置1は、連結機構7のユニバーサルジョイント71によってコネクタ5の回転を許容する。コネクタ5は、突起260によって案内されながら嵌合部230の開口部230bに挿入される。
【0059】
ここで、コネクタ5が突起260によって適切にガイドされるためには、コネクタ5の頂面5aがインレット210の下面220aに接触し、かつインレット210の傾斜角度とコネクタ5の傾斜角度とが等しくなっていることが望ましい。本実施形態の車両用充電装置1は、以下に説明するように、コネクタ5の傾斜角度をインレット210の傾斜角度に合わせる角度制御を実行する。角度制御は、位置付け制御の一部であって、制御部50によって実行される。
【0060】
まず、連結機構7のコネクタセンサ73について説明する。
図15に示すように、本実施形態の連結機構7は、コネクタセンサ73を有する。コネクタセンサ73は、支持部材6に対してコネクタ5の先端5bが予め定められた所定位置まで下降した場合に検出信号を出力するセンサである。例示されたコネクタセンサ73は、フォトセンサ74と、遮光板75と、を有する。フォトセンサ74は、支持部材6に配置されている。フォトセンサ74は、光源と、光源の光を検出する受光部とを有する。
【0061】
遮光板75は、コネクタ5に配置された遮光性の板状部材である。
図15には、初期位置にあるコネクタ5が示されている。初期位置は、支持部材6に対するコネクタ5の相対位置であって、コネクタ5が他の部材から外力を受けていない場合のコネクタ5の位置である。ばね72は、コネクタ5に対して初期位置の姿勢に向かう付勢力を付与する。例えば、コネクタ5がインレット210に接触してコネクタ5の姿勢が初期位置からずれた場合、ばね72は、コネクタ5に対して初期位置の姿勢に向かう付勢力を付与する。
【0062】
遮光板75は、コネクタ5が初期位置にある場合にフォトセンサ74の光を遮らないように構成されている。位置付け制御においてコネクタ5が上昇していくときに、コネクタ5がインレット210に当接すると、インレット210から下向きの力を受ける。
図15に矢印AR1で示すようにコネクタ5の先端5bが支持部材6に対して相対的に下降すると、遮光板75がフォトセンサ74に挿入され、遮光板75がフォトセンサ74の光を遮る。コネクタセンサ73は、フォトセンサ74の受光部の受光量が閾値よりも小さい場合、検出信号を出力する。検出信号は、コネクタ5の先端5bが支持部材6に対して所定位置まで下降したことを示す信号である。
【0063】
図16には、車両用充電装置1がインレット210に向けてコネクタ5を上昇させていくときのコネクタ5の姿勢が示されている。制御部50は、角度制御において、インレット210に向けてコネクタ5を上昇させていくときの支持部材6の回転位置を所定の回転位置に設定する。支持部材6の回転位置は、例えば、第一方向Lまたは上下方向Zを基準とした回転位置である。第一方向Lが基準とされる場合、支持部材6の回転位置は、例えば、
図16に示す角度δで示される。所定の回転位置は、支持部材6を上昇させるときにコネクタ5の先端5bが最初にインレット210に当接するように定められる。
【0064】
図16に示すコネクタ5の姿勢は、支持部材6の回転位置が所定の回転位置である場合の姿勢である。この場合、コネクタ5の先端5bからインレット210の下面220aまでの距離Zbが頂面5aと下面220aとの間の最短距離となる。
図16では、基部220の下面220aが第一方向Lに対して平行である。この場合、支持部材6の角度δは0°とされてもよい。初期位置にあるコネクタ5の角度θは、仰角となり、コネクタ5は、先端5bへ向かうに従って上下方向Zの上側へ向かうように傾斜する。
【0065】
制御部50は、支持部材6の回転位置を所定の回転位置に維持しながらコネクタ5を上昇させる。第三駆動機構30は、支持部材6を上昇させるようにアーム8を回転させる。第四駆動機構40は、支持部材6の回転位置を所定の回転位置とするように、アーム8に対して支持部材6を相対回転させる。従って、コネクタ5は、同じ角度θを維持したままで下面220aに向けて上昇する。
【0066】
図17には、基部220の下面220aへの接触を開始するコネクタ5が示されている。
図17に示すように、コネクタ5の先端5bが最初に下面220aに接触する。このときに、コネクタセンサ73は、検出信号を出力していない。支持部材6が更に上昇すると、コネクタ5は矢印AR2で示すように回転する。すなわち、コネクタ5は、支持部材6に対して先端5bを下降させるように回転する。
【0067】
図18には、支持部材6が目標位置まで上昇した状態が示されている。支持部材6の目標位置は、上下方向Zの位置であって、かつコネクタ5の傾斜角度をインレット210の傾斜角度と一致させることができる位置である。支持部材6の目標位置は、算出されたインレット210の位置、ピッチ角β、ロール角γ等に基づき、連結機構7の寸法等を考慮して設定される。
【0068】
図18に示すように、支持部材6が目標位置まで上昇すると、第一方向Lに対するコネクタの角度θがインレット210の傾斜角度と一致する。基部220の下面220aが第一方向Lと平行である場合、コネクタ5の頂面5aも第一方向Lと平行になる。コネクタ5の角度θがインレット210の傾斜角度と等しくなるときに、コネクタセンサ73の遮光板75は、フォトセンサ74に挿入されて光源の光を遮る。これにより、コネクタセンサ73が検出信号を出力する。つまり、コネクタ5がインレット210に対して適切に位置付けられている場合、コネクタセンサ73は、支持部材6が目標位置まで上昇したときに検出信号を出力する。
【0069】
図18の例では、インレット210のピッチ角βが0°であり、支持部材6の角度δも0°である。この場合、コネクタセンサ73は、コネクタ5の角度θが0°となる位置までコネクタ5の先端5bが下降したときに検出信号を出力する。このときに、ユニバーサルジョイント71の第一の軸71aと第二の軸71bとが第二方向Wから見て直線状となる。つまり、第二方向Wの中心軸線Wxを回転中心とする回転方向において、二つの軸71a,71bが中立位置にある。従って、コネクタセンサ73は、上下方向Zの中心軸線Zxを回転中心とする回転に影響を受けずに精度よく検出信号を出力することができる。
【0070】
図18に示すように、コネクタセンサ73が検出信号を出力するときに、コネクタ5の頂面5aは、基部220の下面220aに接触し、下面220aと平行である。従って、この状態からコネクタ5を嵌合部230に向けて移動させることで、インレット210の突起260によってコネクタ5が適切に案内される。よって、スムーズにコネクタ5を嵌合部230に嵌合させることが可能となる。
【0071】
なお、制御部50は、目標位置とは異なる位置でコネクタセンサ73が検出信号を出力した場合、および支持部材6が目標位置まで上昇してもコネクタセンサ73が検出信号を出力しない場合には、位置付け制御を終了させ、かつ嵌合制御を禁止する。
【0072】
例えば、インレット210の位置が算出された後に、乗員の乗降によってインレット210の実際の位置が算出された位置よりも低い位置になったとする。この場合、支持部材6が目標位置まで上昇する前にコネクタセンサ73が検出信号を出力する。例えば、コネクタ5の頂面5aがインレット210の突起260に接触してしまった場合、支持部材6が目標位置まで上昇する前にコネクタセンサ73が検出信号を出力する。このような場合、制御部50は嵌合制御を中止する。
【0073】
例えば、インレット210の位置が算出された後に、乗員の乗降によってインレット210の実際の位置が算出された位置よりも高い位置になったとする。この場合、支持部材6が目標位置まで上昇したとしても、コネクタセンサ73が検出信号を出力しないことがある。制御部50は、検出信号の出力タイミングが早すぎる場合、または検出信号が出力されない場合、位置付け制御が失敗したとして嵌合制御を禁止する。制御部50は、位置付け制御が失敗した場合、制御中止を知らせるための音声や光を出力してもよく、車両用充電装置1が有する表示画面に制御中止を知らせるメッセージを表示してもよい。
【0074】
図19は、インレット210がピッチ角βを有する場合の角度制御を説明する図である。
図19に示すインレット210は、ピッチ角βを有しており、第一方向Lに対して傾斜している。制御部50は、支持部材6を上昇させるときにコネクタ5の先端5bが最初にインレット210に当接するように、支持部材6の回転位置を設定する。制御部50は、例えば、支持部材6の回転位置を示す角度δをインレット210のピッチ角βと同じ角度に設定する。
【0075】
図19に示す状態から支持部材6が上昇すると、コネクタ5の先端5bが基部220の下面220aに当接する。支持部材6が目標位置まで上昇すると、
図20に示すように、コネクタ5の頂面5aが基部220の下面220aと平行になり、コネクタセンサ73が検出信号を出力する。このときに、コネクタ5の角度θは、インレット210のピッチ角βと等しくなる。
【0076】
このように、本実施形態の車両用充電装置1は、インレット210が傾斜していたとしても、コネクタ5の頂面5aをインレット210の下面220aに接触させることができる。よって、本実施形態の車両用充電装置1は、インレット210に対してコネクタ5を適切に嵌合させることができる。
【0077】
以上説明したように、本実施形態の車両用充電装置1は、コネクタ5と、支持部材6と、連結機構7と、アーム8と、駆動機構と、制御部50と、を有する。コネクタ5は、車両200に配置されたインレット210に対して嵌合する。連結機構7は、コネクタ5と支持部材6とを連結しており、かつ支持部材6に対するコネクタ5の姿勢の変化を許容する。アーム8は、支持部材6に連結される第一端部81と、回動可能に支持される第二端部82と、を有し、回動することにより支持部材6を上下させる。
【0078】
駆動機構は、支持部材6を移動させ、かつ支持部材6を回動させる機構である。駆動機構は、例えば、第一駆動機構10、第二駆動機構20、第三駆動機構30、および第四駆動機構40で構成される。第一駆動機構10は、アーム8を水平方向の第一方向Lに移動させる。第二駆動機構20は、アーム8を水平方向の第二方向Wに移動させる。第三駆動機構30は、アーム8を回動させる。第四駆動機構40は、第一方向Lに対するコネクタ5の角度θを変化させるように支持部材6を回動させる。
【0079】
制御部50は、インレット210の開口部230bに対してコネクタ5の先端5bを対向させるときに、コネクタ5の傾斜角度をインレット210の傾斜角度に合わせる角度制御を実行する。インレット210の傾斜角度は、例えば、ピッチ角βやロール角γである。コネクタ5の傾斜角度は、例えば、第一方向Lに対する傾斜角度や第二方向Wに対する傾斜角度である。
【0080】
制御部50は、角度制御において支持部材6の回転位置を所定の回転位置に設定する。所定の回転位置は、支持部材6を上昇させるときにコネクタ5の先端5bが最初にインレット210に当接する回転位置である。また、所定の回転位置は、支持部材6が目標位置まで上昇した場合にコネクタ5の傾斜角度がインレット210の傾斜角度と一致する回転位置である。本実施形態の車両用充電装置1は、コネクタ5の先端5bをインレット210に押し付けながらコネクタ5を上昇させることで、コネクタ5の姿勢をインレット210の傾斜に合った姿勢とすることができる。よって、本実施形態の車両用充電装置1は、インレット210に対してコネクタ5を適切に位置付けることができる。なお、制御部50は、インレット210の傾斜角度を位置センサ4等のセンサによって取得してもよく、外部から取得してもよい。
【0081】
本実施形態の車両用充電装置1は、インレット210を検出する位置センサ4と、コネクタセンサ73と、を有する。コネクタセンサ73は、支持部材6に対してコネクタ5の先端5bが予め定められた所定位置まで下降した場合に検出信号を出力する。駆動機構は、第一駆動機構10、第二駆動機構20、第三駆動機構30、および第四駆動機構40を有する。制御部50は、位置センサ4の検出結果から第一方向Lに対するインレット210の傾斜角度を取得する。所定の回転位置は、支持部材6が目標位置まで上昇した場合にコネクタセンサ73が検出信号を出力する回転位置である。本実施形態の車両用充電装置1は、コネクタ5の傾斜角度がインレット210の傾斜角度と一致したかをコネクタセンサ73の出力に基づいて適切に判定することができる。
【0082】
本実施形態の連結機構7は、コネクタ5に対して初期位置の姿勢に向かう付勢力を付与するばね72を有する。コネクタセンサ73が検出信号を出力する上記の所定位置は、コネクタ5が初期位置の姿勢にあるときのコネクタ5の先端5bの位置よりも下方の位置である。これにより、下向きの外力によってコネクタ5の先端5bが下降した場合にコネクタセンサ73から検出信号を出力させることができる。
【0083】
本実施形態の制御部50は、支持部材6が目標位置まで上昇する前にコネクタセンサ73が検出信号を出力した場合、または支持部材6が目標位置まで上昇してもコネクタセンサ73が検出信号を出力しない場合、インレット210に対するコネクタ5の嵌合制御を禁止する。これにより、嵌合制御における不具合の発生を未然に防ぐことが可能となる。
【0084】
なお、コネクタセンサ73は、フォトセンサ74と遮光板75との組み合わせには限定されない。コネクタセンサ73は、例えば、近接センサであってもよく、リミットスイッチであってもよく、その他のセンサであってもよい。
【0085】
車両用充電装置1において、位置センサ4の個数、配置、および角度は、例示された個数、配置、および角度には限定されない。例えば、車両用充電装置1は、少なくとも一つの位置センサ4によって突起260の位置と、インレット210のヨー角α、ロール角γ、およびピッチ角βと、を取得することができる。
【0086】
[実施形態の第1変形例]
実施形態の第1変形例について説明する。
図21は、コネクタとインレットとの間に生じる隙間を示す図、
図22は、実施形態の第1変形例に係る角度制御を説明する図である。実施形態の第1変形例において、上記実施形態と異なる点は、例えば、角度制御において支持部材6を目標位置よりも上方まで移動させる点である。
【0087】
図21には、支持部材6を上下方向Zの目標位置Ztまで上昇させたときの支持部材6およびコネクタ5が示されている。
図21のインレット210は、ロール角γを有しており、第二方向Wに対して傾斜している。インレット210がロール角γを有する場合、第二方向Wに対するコネクタ5の傾斜角度がインレット210のロール角γと等しくなるためには、コネクタ5がばね72の付勢力に抗して支持部材6に対して相対回転する必要がある。支持部材6が目標位置Ztまで上昇した時点において、コネクタ5の回転量が不足していると、インレット210の下面220aとコネクタ5との間に隙間Gpが生じてしまうことがある。
【0088】
隙間Gpが大きくない場合、目標位置Ztの近傍においてコネクタセンサ73が検出信号を出力する。コネクタセンサ73が検出信号を出力するときの支持部材6の位置と目標位置Ztとの間のずれが、許容される誤差の範囲内となることがある。このような場合に、コネクタ5をインレット210に嵌合させる前に隙間Gpを無くせることが好ましい。
【0089】
第1変形例の制御部50は、目標位置Ztよりも上方まで支持部材6を上昇させることにより、隙間Gpの解消を図る。制御部50は、
図22に示すように、支持部材6を目標位置Ztよりも上方の位置Zuまで一度上昇させた後に支持部材6を目標位置Ztまで下降させる。支持部材6が位置Zuまで上昇するときに、コネクタ5は、基部220の端部220bを支点として回転する。この回転は、コネクタ5の先端5bを支持部材6に対して下降させる回転である。このときに、コネクタ5の頂面5aが端部220bに押し付けられる。従って、コネクタ5には、隙間Gpを減少させる方向のモーメントが作用し、隙間Gpが解消される。
【0090】
制御部50は、位置Zuから目標位置Ztまで支持部材6を下降させる。このときに、連結機構7のばね72は、頂面5aを基部220の下面220aに向けて押し付ける付勢力をコネクタ5に付与する。よって、車両用充電装置1は、支持部材6が目標位置Ztまで下降したときに、隙間Gpが解消された状態で頂面5aを下面220aに接触させることができる。これにより、下面220aに対するコネクタ5の頂面5aの平行度合いが向上し、インレット210に対してコネクタ5を適切に嵌合させることができる。
【0091】
[実施形態の第2変形例]
実施形態の第2変形例について説明する。
図23は、実施形態の第2変形例に係る車両用充電装置の図である。第2変形例の車両用充電装置1は、インレット210に配置された反射部材270を有する。反射部材270は、少なくともレーザ光LB1,LB2を反射する反射特性を有する。反射部材270は、反射部材270に対するレーザ光LB1,LB2の入射方向に向けてレーザ光LB1,LB2を反射するように構成されている。例示された反射部材270は、粘着テープを有する反射テープである。
【0092】
反射部材270は、第一反射部材270A、第二反射部材270B、および第三反射部材270Cを有する。第一反射部材270Aは、嵌合部230の下面230aに配置されている。第一反射部材270Aは、下面230aにおける端部240の近傍に配置されている。よって、位置センサ4がラインL1,L2,L3に沿ってスキャンするときの検出精度が向上する。例えば、第一反射部材270Aをスキャンするときの位置センサ4の受光量は、第一反射部材270Aとは異なる部分をスキャンするときの位置センサ4の受光量よりも大きくなる。よって、位置センサ4による検出距離の変化、および位置センサ4による受光量の変化の両方に基づいて端部240を検出することができる。これにより、端部240の検出精度が向上する。
【0093】
第一反射部材270Aは、下面230aにおける幅方向Wdの一端から他端まで延在している。よって、位置センサ4がラインW1に沿ってスキャンするときの検出精度が向上する。例えば、位置センサ4による検出距離の変化、および位置センサ4による受光量の変化の両方に基づいて嵌合部230の端部250を判定することができる。
【0094】
第二反射部材270Bおよび第三反射部材270Cは、インレット210の基部220に配置されている。第二反射部材270Bおよび第三反射部材270Cは、突起260を間において、幅方向Wdの両側に配置されている。二つの反射部材270B,270Cは、突起260の中心軸線260xに関して対称な位置に配置されている。第2変形例の制御部50は、二つの反射部材270B,270Cと交差させるようにスキャンのラインW2を設定する。これにより、突起260の位置を検出するための検出精度が向上する。
【0095】
上記の実施形態および変形例に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。
【符号の説明】
【0096】
1:車両用充電装置
2:筐体、 2a,2b:カバー、 3:スライド体
4:位置センサ、 4A:第一センサ、 4B:第二センサ、 4C:第三センサ
5:コネクタ、 5a:頂面、 5b:先端
6:支持部材
7:連結機構
8:アーム、 8A:第一アーム、 8B:第二アーム
10:第一駆動機構、 11:第一モータ、 12:歯車
20:第二駆動機構、 21:第二モータ、 22:歯車
30:第三駆動機構、 31:第三モータ、 32:第一歯車、 33:第二歯車
40:第四駆動機構、 41:第四モータ、 42:第一スプロケット
43:第二スプロケット、 44:第三スプロケット
50:制御部
51:溝部、 51a:第一溝部、 51b:第二溝部、 52:当接部材
61:カバー
71:ユニバーサルジョイント
72:ばね、 72A:第一ばね、 72B:第二ばね
73:コネクタセンサ、 74:フォトセンサ、 75:遮光板
81:第一端部、 82:第二端部
200:車両、 210:インレット、 220:基部、 230:嵌合部
240:端部、 241,242,243:位置
250:端部、 260:突起
LB,LB1,LB2:レーザ光
L:第一方向、 W:第二方向、 Z:上下方向
Wx:第二方向の中心軸線、 Zx:上下方向の中心軸線
Zt:目標位置
α:ヨー角、 β:ピッチ角、 γ:ロール角
δ:支持部材の角度
θ:コネクタの角度