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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-19
(45)【発行日】2025-09-30
(54)【発明の名称】テンプレート
(51)【国際特許分類】
   B43L 13/20 20060101AFI20250922BHJP
【FI】
B43L13/20 F
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2024122917
(22)【出願日】2024-07-29
【審査請求日】2024-10-22
(73)【特許権者】
【識別番号】524285343
【氏名又は名称】鈴木 輝美
(74)【代理人】
【識別番号】100193998
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 純一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 輝美
【審査官】鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-169673(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108162644(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43L 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦方向及び/又は横方向に並ぶマス目で区切られた表を紙面上に作成し、必要に応じて拡張するためのテンプレートであって、
板状のテンプレート本体を備え、
前記テンプレート本体は、正方形中央領域と、前記正方形中央領域を取り囲む外周領域とを含み、前記正方形中央領域は、その全体が、横方向に等間隔で平行に延びるN+1本(ただし、Nは2以上の整数)の横グリッド線と、前記横グリッド線と同じ長さで縦方向に等間隔で平行に延びるN+1本の縦グリッド線とによりN個×N個の単位方眼グリッドに仮想的に分割されており、前記単位方眼グリッドのサイズは、前記表で表現可能な最小マス目のサイズに相当し、
前記テンプレート本体は、
前記N+1本の横グリッド線又は前記N+1本の縦グリッド線のいずれか一方の各グリッド線の全長に沿ってそれぞれ配置されたN+1個のスリット穴と、
前記紙面上の任意の位置に配置された前記テンプレート本体を、前記正方形中央領域の中心点を回転中心として現在の向きから±90度回転させた新たな向きに再配置するときに、前記テンプレート本体を前記任意の位置で前記新たな向きに位置決めするための回転方向位置決め手段と、
前記表を拡張しようとする方向に前記テンプレート本体を前記任意の位置から前記単位方眼グリッドN個分だけずれた新たな位置に再配置するときに、前記テンプレート本体を前記新たな位置で位置決めするための平面直交方向位置決め手段と
を備え、
前記平面直交方向位置決め手段は、前記正方形中央領域の周囲の1辺を構成する一の外側グリッド線の全長にわたって等間隔に分散したN+1個の点のうちのいずれか1つの点から前記一の外側グリッド線に対して直角をなす方向に前記単位方眼グリッド1個分に相当する距離だけテンプレート本体外周側に離れた位置に設けられた第1のV形溝を前記外周領域に含んで構成される、テンプレート。
【請求項2】
前記一の外側グリッド線の全長にわたって等間隔に分散した前記N+1個の点のうちの別のいずれか1つの点から前記一の外側グリッド線に対して直角をなす方向に前記単位方眼グリッド1個分に相当する距離だけテンプレート本体外周側に離れた位置に設けられた第2のV形溝を備え、
前記平面直交方向位置決め手段は、前記第2のV形溝をさらに含んで構成される、請求項1に記載のテンプレート。
【請求項3】
前記テンプレート本体は、第2のV形溝、第3のV形溝、及び第4のV形溝を備え、
前記第2のV形溝は、前記正方形中央領域の前記周囲の1辺を構成する前記一の外側グリッド線の全長にわたって等間隔に分散した前記N+1個の点のうちの別のいずれか1つの点から前記一の外側グリッド線に対して直角をなす方向に単位方眼マス目1個分に相当する距離だけテンプレート本体外周側に離れた点を、前記正方形中央領域の中心点を回転中心として0度、90度、180度、又は270度だけ回転させた位置に設けられ、
前記第3のV形溝及び前記第4のV形溝は、それぞれ、前記正方形中央領域の中心点を回転中心として同じ回転方向に、前記第1のV形溝及び前記第2のV形溝が設けられた位置を90度又は-90度回転させた位置に設けられ、
前記回転方向位置決め手段は、2組の溝ペアで構成され、第1組の溝ペアは、前記第1及び第3のV形溝のペアからなり、第2組の溝ペアは、前記第2及び第4のV形溝からなる、請求項1に記載のテンプレート。
【請求項4】
前記テンプレート本体は、第3のV形溝を備え、
前記第3のV形溝は、前記正方形中央領域の中心点を回転中心として同じ回転方向に、前記第1のV形溝が設けられた位置を90度又は-90度回転させた位置に設けられ、
前記回転方向位置決め手段は、前記第1及び第3のV形溝のペアを含んで構成される、請求項1に記載のテンプレート。
【請求項5】
前記テンプレート本体は、第2乃至第8のV形溝を備え、
前記第2のV形溝は、前記一の外側グリッド線の全長にわたって等間隔に分散した前記N+1個の点のうちの別のいずれか1つの点から前記一の外側グリッド線に対して直角をなす方向に単位方眼マス目1個分に相当する距離だけテンプレート本体外周側に離れた位置に設けられ、
前記第3、第5、及び第7のV形溝は、それぞれ、前記正方形中央領域の中心点を回転中心として、前記第1のV形溝の位置を90度、180度、及び270度だけ回転させた位置に設けられ、
前記第4、第6、及び第8のV形溝は、それぞれ、前記正方形中央領域の中心点を回転中心として、前記第2のV形溝を90度、180度、又は270度だけ回転させた位置に設けられ、
前記回転方向位置決め手段は、2組の溝ペアで構成され、前記2組の溝ペアは、第1及び第3のV形溝からなる溝ペア、第3及び第5のV形溝からなる溝ペア、第5及び第7のV形溝からなる溝ペア、第7及び第1のV形溝からなる溝ペア、第2及び第4のV形溝からなる溝ペア、第4及び第6のV形溝からなる溝ペア、第6及び第8のV形溝からなる溝ペア、並びに第8及び第2のV形溝からなる溝ペアのうちのいずれか2つの溝ペアである、請求項1に記載のテンプレート。
【請求項6】
前記テンプレート本体は、透明又は半透明の材料で作製されており、
前記テンプレート本体には、前記方眼グリッドを構成する複数のグリッド線のうち、前記N+1個のスリット穴の長手方向に対してそれぞれ直角をなす方向に延びる複数本のグリッド線のうちの少なくとも1本のグリッド線に沿って少なくとも1本の補助線が目視可能に設けられ、
前記回転方向位置決め手段は、前記少なくとも1本の補助線により構成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載のテンプレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筆記具を用いて線を描くためのテンプレートに関し、より詳細には、筆記具を用いて縦横に延びる平行線で構成される表を作成するためのテンプレートに関する。
【背景技術】
【0002】
スケジュール、統計結果、思考内容、その他様々な情報を視覚的に分かりやすく表示するために表(例えば、スケジュールを書き込めるカレンダー、各種の集計結果、マトリックス状の思考ツール等)が作成されることがよくある。このような表は、既製のカレンダーや住所録を利用できない場合、メモ用紙やノートなどに定規を用いて表を自作するのが通常である。
【0003】
このような表の自作については、きれいな表を作ろうとする場合、定規を正確な位置に慎重に配置するのに手間がかかり、又はそうした手間を省いて、フリーハンドなどで作成すると、雑な表になることがよくある。かかる事情から、従来から、予め決められたサイズの表を簡単に作成するためのテンプレート(テンプレート定規と呼ばれる場合もある)が提案されており、例えば、非特許文献1及び2によって示されるテンプレートがすでに存在する。
【0004】
このようなテンプレートは、典型的には、手帳サイズからノートサイズ程度の大きさのプラスチックシート又は厚紙で作製されている。このテンプレートのプラスチックシート又は厚紙には、数本から10本程度の同じ長さで互いに平行なスリット穴又は貫通穴が形成されている。
【0005】
ここで、非特許文献1及び2に記載のテンプレートの場合、最初に、紙面上でテンプレートを使用して複数本の平行線を描き、続いて、同一テンプレート上の90度角度が変更された別の1組の複数本の平行なスリット穴を用いて、最初の平行線に直交する新たな複数本の平行線を描くことで表を作成することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】和気文具,"手帳テンプレを作ってみた",[online],日本,Instagram,2019年04月12日,インターネット<URL:https://www.instagram.com/p/BwJNWScHsul/>(令和6年4月8日検索)
【文献】和気文具,"和気文具オリジナル 手帳テンプレート [4枚セット]",[online],日本,https://www.wakibungu.com/c/diary/set-0019(令和6年7月29日検索)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、非特許文献1及び2のテンプレートは、1組の互いに平行なスリット穴が1枚のプラスチックシート内又は厚紙内に収まるように形成されているものであるため、必然的に描くことができる表の外形サイズは、平行なスリット穴の寸法により決まってしまい、しかも表の最大サイズは、プラスチックシート又は厚紙のサイズによって制限される。さらに、この寸法の中で、平行なスリット穴の個数に応じて表が分割される。このため、分割数次第では、表の中に簡単な数字や文字を書き込むことはできても、数文字~10数文字程度の数字や文字を書き込むには適さない場合もあり得る。
【0008】
一方、上述したようなスケジュールを書き込めるカレンダー、各種の集計結果、マトリックス状の思考ツール等については、各マス目に、例えば、数文字から10数文字程度の文字を記入できることが望まれる場合がある。これに対して、従来のテンプレートについては、テンプレート自体のサイズを大きくすれば、すなわち、プラスチックシート又は厚紙のサイズを大きくすれば、表の各マス目のサイズを大きくすることができ、書き込める文字数を増やすことができる。しかしながら、この場合、テンプレートを小さなノート(例えば、A6サイズのノート)や手帳などに入れて簡単に持ち運べるという利便性が犠牲になってしまう。
【0009】
〔発明の目的〕
本発明は、以上に述べた不都合な点を解決するためになされたものであり、その目的は、縦方向及び/又は横方向に並ぶマス目で区切られた表を迅速に作成することができ、必要に応じて表を簡単に拡張することもできるテンプレートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するため、本発明は、縦方向及び/又は横方向に並ぶマス目で区切られた表を紙面上に作成し、必要に応じて拡張するためのテンプレートであって、
板状のテンプレート本体を備え、
前記テンプレート本体は、正方形中央領域と、前記正方形中央領域を取り囲む外周領域とを含み、前記正方形中央領域は、その全体が、横方向に等間隔で平行に延びるN+1本(ただし、Nは2以上の整数)の横グリッド線と、前記横グリッド線と同じ長さで縦方向に等間隔で平行に延びるN+1本の縦グリッド線とによりN個×N個の単位方眼グリッドに仮想的に分割されており、前記単位方眼グリッドのサイズは、前記表で表現可能な最小マス目のサイズに相当し、
前記テンプレート本体は、
前記N+1本の横グリッド線又は前記N+1本の縦グリッド線のいずれか一方の各グリッド線の全長に沿ってそれぞれ配置されたN+1個のスリット穴と、
前記紙面上の任意の位置に配置された前記テンプレート本体を、前記正方形中央領域の中心点を回転中心として現在の向きから±90度回転させた新たな向きに再配置するときに、前記テンプレート本体を前記任意の位置で前記新たな向きに位置決めするための回転方向位置決め手段と、
前記表を拡張しようとする方向に前記テンプレート本体を前記任意の位置から前記単位方眼グリッドN個分だけずれた新たな位置に再配置するときに、前記テンプレート本体を前記新たな位置で位置決めするための平面直交方向位置決め手段と
を備え、
前記平面直交方向位置決め手段は、前記正方形中央領域の周囲の1辺を構成する一の外側グリッド線の全長にわたって等間隔に分散したN+1個の点のうちのいずれか1つの点から前記一の外側グリッド線に対して直角をなす方向に前記単位方眼グリッド1個分に相当する距離だけテンプレート本体外周側に離れた位置に設けられた第1のV形溝を前記外周領域に含んで構成される、テンプレート、という構成を採っている。
【発明の効果】
【0011】
本発明をこのように構成したので、まず、テンプレート本体に備えられたN+1個のスリット穴を用いて、長さが単位方眼グリッドN個分及び相互間隔が単位方眼グリッド1個分のN本の直線を引くことができ、続いて回転方向位置決め手段を用いてテンプレート本体を90度回転した向きに再配置した後、再びN+1個のスリット穴を用いてN+1本の直線を引くことができ、これによりN×N個のマス目を有する表を迅速に作成することができる。
さらに、必要に応じて、表の拡張を望む方向に、平面直交方向位置決め手段を用いて、テンプレート本体を、単位方眼グリッドN個分、すなわち、スリット穴の長さ分ずらした位置に再配置し、N+1個のスリット穴を用いてN+1本の直線を引くことができる。さらに、再び、回転方向位置決め手段を用いてテンプレート本体を90度回転した向きに再配置した後、再びN+1個のスリット穴を用いてN+1本の直線を引くことができ、これにより、最初に作成したN×N個のマス目を有する表の隣側にN×N個のマス目を迅速に拡張することができる(言い換えれば、N×2Nの表を迅速に作成することができる)。
さらに、この拡張は、必要に応じて繰り返すことが可能であり、上述したN×2Nのみならず、2N×2N,2N×3N、3N×3Nなどの表を作成することができる
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施形態によるテンプレートの表側を示す平面図である。
図2】(A)は、図1のテンプレートの線II-IIを説明する断面図であり、(B)は、図1のテンプレートの側面図である。
図3】(A)~(F)は、様々なV形溝の平面拡大図である。
図4】(A)及び(B)は、図1のテンプレートの外周領域についての様々な変形例を示す図である。
図5A図1のテンプレートを使用して、3行×3列の正方形マス目で構成される表(以下、「3×3の表」ともいう)を作成する手順(表作成手順)の第1段階(作成開始時)を示す図であり、(A)テンプレートと描かれた線及び点とを示す図であり、(B)はテンプレートを取り除いて上記の線及び点のみを示す図である。
図5B】表作成手順の第2段階を示す図であり、(A)テンプレートと描かれた線及び点とを示す図であり、(B)はテンプレートを取り除いて上記の線及び点のみを示す図である。
図5C】表作成手順の第3段階を示す図であり、(A)テンプレートと描かれた線及び点とを示す図であり、(B)はテンプレートを取り除いて上記の線及び点のみを示す図である。
図6A図1のテンプレートを使用して、元の3×3の表に隣り合う新たな3×3の表を作成(拡張)する手順(表拡張手順)の第1段階を示す図であり、(A)テンプレートと描かれた線及び点とを示す図であり、(B)はテンプレートを取り除いて上記の線及び点のみを示す図である。
図6B】表拡張手順の第2段階を示す図であり、(A)テンプレートと描かれた線及び点とを示す図であり、(B)はテンプレートを取り除いて上記の線及び点のみを示す図である。
図6C】表拡張手順の第3段階を示す図であり、(A)テンプレートと描かれた線及び点とを示す図であり、(B)はテンプレートを取り除いて上記の線及び点のみを示す図である。
図6D】表拡張手順の第4段階を示す図であり、(A)テンプレートと描かれた線及び点とを示す図であり、(B)はテンプレートを取り除いて上記の線及び点のみを示す図である。
図7A図1のテンプレートを使用して、元の3×3の表に隣り合う新たな3×3の表を作成(拡張)する別の手順(表拡張手順)の第1段階を示す図であり、(A)テンプレートと描かれた線及び点とを示す図であり、(B)はテンプレートを取り除いて上記の線及び点のみを示す図である。
図7B】別の表拡張手順の第2段階を示す図であり、(A)テンプレートと描かれた線及び点とを示す図であり、(B)はテンプレートを取り除いて上記の線及び点のみを示す図である。
図7C】別の表拡張手順の第3段階を示す図であり、(A)テンプレートと描かれた線及び点とを示す図であり、(B)はテンプレートを取り除いて上記の線及び点のみを示す図である。
図7D】別の表拡張手順の第4段階を示す図であり、(A)テンプレートと描かれた線及び点とを示す図であり、(B)はテンプレートを取り除いて上記の線及び点のみを示す図である。
図8A】V形溝の個数及びレイアウトに関する様々変形例を示す図である。
図8B】V形溝の個数及びレイアウトに関する様々変形例を示す図である。
図9】本発明の第2の実施形態によるテンプレートの表側を示す平面図である。
図10】本発明の第3の実施形態によるテンプレートの表側を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明のいくつかの実施形態によるテンプレート10の構成を説明する。なお、各図に描かれている様々な構成要素及び構成要素間の寸法については、実寸に比例しているとは限らず、各特徴部分を分かりやすく示すために、必要に応じて、一部の構成要素については、拡大などの強調的な表示、省略等が行われている場合がある。
【0014】
〔第1の実施形態〕
まず、図1図3を参照して、本発明の第1の実施形態による板状のテンプレート1を説明する。図1は、テンプレート1の表側(表面)を示す平面図である。
【0015】
図1に示されるテンプレート1は、その下に敷かれる紙の紙面に、筆記具(例えば、ボールペン、シャープペンシル、鉛筆など)を用いて縦方向及び/又は横方向に直交する複数本の平行線を引くことで、縦方向及び/又は横方向に並ぶマス目で区切られた表を作成し、必要に応じてこの表をその隣側に拡張することができるテンプレートである。
【0016】
なお、表のマス目は、本実施形態では、正方形マス目として説明するが、これに限定されない。例えば、横に並ぶ2つの正方形マス目の境界に存在するマス目境界線を描かないようにして1つに合体させた長方形マス目としてもよい。本明細書では、前記「正方形マス目」及び前記「長方形マス目」を、「表で表現可能な最小マス目」とも呼ぶことにする。
【0017】
本実施形態におけるテンプレート1は、まず、3行×3列の正方形マス目で構成される表(以下、「3×3の表」ともいう)を作成し、必要に応じて、作成した現在(元)の3×3の表の隣側に3×3の表を拡張することができる(言い換えれば、連続する新しい3×3の表を作成することができる)テンプレートとして説明されるが、これに限定されない。本発明の他の実施形態によるテンプレートは、4行×4列の正方形マス目を有する表、2行×2列の正方形マス目を有する表などを作成及び拡張するためのテンプレートであってもよい。
【0018】
さらに、本発明によるテンプレートは、一般化して、N行×N列の正方形マス目を有する表を作成及び拡張するためのものとすることもできる。以下、しばらくの間、一般化した、N行×N列の正方形マス目として構成される表に関して説明を行うが、時々括弧書に示すように、本実施形態は、N=3のケースである。
【0019】
本発明は、表の正方形マス目の個数をN(Nは、2以上の自然数である。なお、本実施形態では、N=3である)として一般化したときに、N個×N個の正方形マス目を有する表を作成するためテンプレートであり得る。ただし、Nは、上限値があってもよく、例えば、Nの上限値は、テンプレート1の平面的なサイズとマス目1個の最小サイズ(例えば、マス目内に記入されることが望まれる文字数、例えば、1マス目あたり数個~10数個の文字数によって導かれるサイズ)とに基づいて決定されてもよい(具体的な寸法は、後述する)。
【0020】
本実施形態では、テンプレート1は、一定の厚さを有する薄い板状のテンプレート本体10を備える。また、このテンプレート本体10は、その中央に、正方形の中央領域(以下、「正方形中央領域」ともいう)と、この正方形中央領域を取り囲む外周部(「外周領域」ともいう)とを含む。この正方形中央領域は、その全体が、横方向(図1における紙面左右方向)に等間隔で平行に延びるN+1本(ただし、Nは2以上の整数である。本実施形態ではN=3であり、すなわち、4本である)の横グリッド線と、前記横グリッド線と同じ長さで縦方向(図1における紙面上下方向)に等間隔で平行に延びるN+1本(本実施形態ではN=3であり、すなわち、4本)の縦グリッド線とによりN個×N個の単位方眼グリッド(本実施形態では、N=3であり、すなわち、3個×3個の単位方眼グリッド)に仮想的に分割されている。
【0021】
ここで、正方形中央領域は、図1において、テンプレート本体10の中央部において正方形の太線で示されている領域である。また、横グリッド線及び縦グリッド線は、図1では、二点鎖線として表されている。なお、本明細書中で、「単位方眼グリッド」は、前述の横グリッド線と縦グリッド線で囲まれる最小単位の領域(セル)を指す。また、前述の「正方形マス目」1個のサイズは、単位方眼グリッドの1個のサイズに等しく、前記「長方形マス目」1個のサイズは、単位方眼グリッドの2個のサイズに等しい。
【0022】
テンプレート本体10は、正方形中央領域内で、N+1個のスリット穴(本実施形態では、N=3であり、すなわち、4個のスリット穴)を備える。より詳細には、N+1個のスリット穴は、正方形中央領域内で、N+1本(本実施形態では、4本)の仮想の横グリッド線(群)又は前記N+1本(本実施形態では、4本)の仮想の縦グリッド線(群)のいずれか一方のN+1個(本実施形態では、4本)のグリッド線(群)の各グリッド線の全長に沿ってそれぞれ配置されている。図1から明らかなように、各スリット穴の長さは、単位方眼グリッドN個分(本実施形態では、N=3であり、すなわち、単位方眼グリッド3個)であり、隣り合うスリット穴の中止線間の間隔は、等間隔であり、単位方眼グリッド1個分である。
【0023】
これ以降は、説明を簡潔するために、N=3である本実施形態の例についてのみ説明するが、以下の説明は、上記のように、表の正方形マス目の個数をN個として一般化した場合にも適用できる。
【0024】
上述したように、テンプレート本体10は、中央領域に、4個のスリット穴11、12、13、及び14を備える。各スリット穴11~14は、表の正方形マス目3個分の長さ、すなわち、単位方眼グリッド3個分の長さを有する。また、各スリット穴11~14は、等間隔で平行に配置されている。
【0025】
上述した方眼グリッドは、図1では2種類の方眼グリッドとして描かれている。1つは、5行×5列の「全体領域の方眼グリッドG」であり、もう1つは、この方眼グリッドGのさらに内側に位置する太線で示された3行×3列の「中央領域の方眼グリッドG’」である。前者は、主に、後述するV形溝の位置を示すために利用され、後者は、主に、スリット穴11、12、13、及び14の配置を説明するために用いられ、中央領域の範囲に一致する。
【0026】
図示されるように、上述した全体の方眼グリッドGは、単位方眼グリッド5個分の長さをそれぞれ有する等間隔で平行な6本の垂直方向に延びる垂直グリッド線V0、V、V、V、V、及びVと、単位方眼グリッド5個分の長さをそれぞれ有する等間隔で平行な6本の平面直交方向に延びる水平グリッド線H、H、H、H、H、H及びHとにより構成される。方眼グリッドGの最小単位は、上述した最小方眼グリッドである。垂直グリッド線V~V、及び水平グリッド線H~Hは、仮想の線であり、実際には、テンプレート本体10に可視的に付されている必要はない。
【0027】
一方、方眼グリッドG’は、点P、点Q、点R、及び点Sを頂点とする正方形PQRSの領域内に示される。ここで、点Pは、水平グリッド線Hと垂直グリッド線Vとの交点であり、点Qは、垂直グリッド線Vと水平グリッド線Hとの交点であり、点Rは、垂直グリッド線Vと水平グリッド線Hとの交点であり、点Sは、垂直グリッド線Vと水平グリッド線Hとの交点である。これらは、本明細書中で、点P(V,H)、点Q(V,H)、点R(V,H)、及び点S(V,H)のように座標形式で表現される場合もある(これらの点以外の点を示す場合も、同様である)。
【0028】
中央領域である正方形PQRSは、単位方眼グリッド3個分の長さをそれぞれ有する等間隔で平行な4本の横方向グリッド線v、v、v、及びvと、前記単位方眼グリッド3個分の長さをそれぞれ有する等間隔で平行な4本の縦方向グリッド線h、h、h、及びhとを含む。また、正方形PQRSの幾何学的な中心には、点Oが示されている。この点は、中央領域の中心点でもある。図1では、4個のスリット穴11、12、13、及び14は、水平グリッド線h、h、h、及びhのそれぞれの全長に沿って配置されているが、これに限定されない。4個のスリット穴11、12、13、及び14は、4本の垂直グリッド線v、v、v、及びvのそれぞれの全長に沿って配置されてもよい。
【0029】
次に、各スリット穴11、12、13、及び14の個々の構成について説明する。
図1に示された各スリット穴11、12、13、及び14は、テンプレート本体10を別々に貫通している細長い穴である。各スリット穴11、12、13、及び14は、所定の間隙幅でスリット穴の長さ方向に延びる一対の対向した立面壁と、これらの立面壁の両端側で両立面壁に連続して形成される端壁とによって画定されている。本実施形態では、立面壁及び端壁は、テンプレート本体10の表面及び裏面に対して垂直であり、面壁及び端壁の高さはテンプレート本体10の板厚に等しい。
【0030】
また、各スリット穴11、12、13、及び14の端部を示す端点は、それぞれ、符号11a及び11c、符号12a及び12c、符号13a及び13c、並びに符号14a及び14cで示されており、これらは、それぞれ、スリット穴に筆記具のペン先N(図2(A)を参照)を挿入して線を描くとき、ペン先Nの移動を規制するペン先移動規制位置11b及び11d、12b及び12d、13b及び13d、並びに14b及び14dに一致している。
【0031】
実際の使用場面では、各スリット穴11、12、13、及び14に、順次、筆記具のペン先Nが差し込まれ、続いて、ペン先Nが立面壁の少なくとも一部(例えば、立面壁の上縁)に接触させられた状態でスリット穴の全長に沿って移動させられる。これによって、それぞれ方眼グリッド3個分に相当する長さの直線を引くことができるように構成されている。
【0032】
なお、各スリット穴11、12、13、及び14の長さは、手帳、B5ノート、及びA6ノートの短辺に収まる寸法で構成されるとよく、好ましくは、それぞれ、例えば、約65mm、約80mm、約95mmなどである。このような寸法とすることで、小さな手帳やノートに挟んで持ち歩くことができ、さらに必要に応じて、例えば、A4、B4、及びA3サイズなどの比較的大きい用紙又はノート等に9×9の表などの拡張された表を作成することもできる。
【0033】
また、各スリット穴11、12、13、及び14のスリット幅は、各スリット穴の全長にわたって同じ大きさであり、限定するものではないが、例えば、約0.8mm~約2.3mmである。このスリット幅は、テンプレート本体10の厚さと使用が想定される筆記具のタイプとに基づいて設計されてよい。例えば、テンプレート本体10の厚さが1mmであり、一般的なペン用の場合、スリット幅は、例えば、約0.6~2.0mmであってよく、好ましくは、約1.0~1.2mmであり得る。なお、スリット幅については、狭くすることで作成する表の歪みを小さくすることができるが、本発明では、後述されるように、表を拡張するためにテンプレートを使用する際に、紙面に描かれた目印及び/又は線の一部をスリット穴内に目視可能に導入する必要がある場合もあるため、ある程度スリット幅を広く保つ方がこの目印及び/又は線の一部を捉えやすく、表作成時間の短縮につながり得る。
【0034】
次に、上述した外周部(又は外周領域)について説明する。図1に示されるように、テンプレート本体10は、中央領域の取り囲むように存在する外周部(中央領域の方眼グリッドG’よりも外側の領域)を備える。外周部は、最外部に外周16を含む。また、外周部は、全体の方眼グリッドGよりも外側の領域に耳部を備える。本実施形態では、外周16の4つの角部は、面取り部17の加工がなされている。これにより、テンプレート本体10から鋭利な部分をなくして安全性を向上させている。しかしながら、これに限定されない。面取り部17の全部又は一部は行われなくてもよい(図4(A)を参照)。
【0035】
テンプレート本体10は、上記の外周部に、V形溝21、22、23、及び24(以上、第1のV形溝群)、31、32、33、及び34(以上、第2のV形溝群)、41、42、43、及び44(以上、第3のV形溝群)、並びに51、52、53、及び54(以上、第4のV形溝群)を備えている。上記も各V形溝21~24等は、外周16に設けられている。より詳細には、各V形溝21等は、一対の切込み面21a,21a等により外周16に滑らかに連続している。しかしながら、V形溝は、必ずしも、外周16に滑らかに連続している必要はない。外周16は、次に説明されるV形溝(より詳細には、V形溝の谷)が適切な位置に存在する限り、図4(B)に示されるように、不規則な輪郭形状などの他の様々な形状をとってもよい。
【0036】
次に、これらのV形溝の位置について、まず、全体的な概要を説明する。図1から分かるように、V形溝21、22、23、及び24は、それぞれ方眼グリッドGの平面視左側の一辺上の点(V,H)、(V,H)、(V,H)、及び(V,H)に位置する。これらの点は、そこから最も近い正方形中央領域(正方形PQRS)の周囲境界の一辺(すなわち、中央領域の方形グリッドG’の外側グリッド枠の一辺)PQの全長にわたって等間隔に位置する4個の点から単位方眼マス目1個分に相当する距離だけ外周側に離れた点に位置する。
【0037】
他のV形溝31、32、33、及び34、V形溝41、42、43、及び44、並びにV形溝51、52、53、及び54も、それぞれから最も近い正方形PQRSのそれぞれに対応する一辺(すなわち、中央領域の方形グリッドG’の外側グリッド枠の一辺)QR,RS.及びSPのそれぞれの全長にわたって等間隔に位置する4個の点から単位方眼マス目1個分だけ外周側に離れた点に位置する。
【0038】
特に、本実施形態の場合、V形溝21、22、23、及び24は、それぞれ水平グリッド線H、H、H、及びH上にあり、V形溝41、42、43、及び44も、それぞれ水平グリッド線H、H、H、及びH上にある。
【0039】
次に、個々のV形溝の設置位置についてより詳細に説明する。
本実施形態では、例えば、第1のV形溝群20に含まれるV形溝21は、中央領域の方眼グリッドG’の外側グリッド枠(すなわち、正方形PQRS)の1辺を構成する外側グリッド線PQの全長にわたって等間隔に位置する4個の点(すなわち、点(V,H)、点(V,H)、点(V,H)、及び点(V,H))のうちのいずれか1つの点、例えば、点(H,V)から外側グリッド線PQに対して直角をなす方向(すなわち、水平グリッドHが紙面左方に延びる方向)に単位方眼マス目1個分に相当する距離だけテンプレート本体外周側に離れた位置である点U(V,H)に設けられる。
【0040】
また、V形溝24は、中央領域の方眼グリッドG’の外側グリッド枠(すなわち、正方形PQRS)の1辺を構成する外側グリッド線PQの全長にわたって等間隔に位置する4個の点のうちの別のいずれか1つの点、例えば、点(V,H)から外側グリッド線PQに対して直角をなす方向に単位方眼マス目1個分に相当する距離だけテンプレート本体外周側に離れた位置である点V(V,H)に設けられる。
【0041】
同様に、残りのV形溝22は、外側グリッド線PQの全長にわたって等間隔に位置する4個の点のうちの残りの別のいずれか1つの点、例えば、点(V,H)から外側グリッド線PQに対して直角をなす方向に単位方眼マス目1個分に相当する距離だけテンプレート本体外周側に離れた位置である点V(V,H)に設けられる。
【0042】
また、残りのV形溝23は、外側グリッド線PQの全長にわたって等間隔に位置する4個の点のうちの残りの点、例えば、点(V,H)から外側グリッド線PQに対して直角をなす方向に単位方眼マス目1個分に相当する距離だけテンプレート本体外周側に離れた位置である点V(V,H)に設けられる。
【0043】
なお、本実施形態では、第1のV形溝群20に4個のV形溝を備えるが、これに限定されない。好ましくは、第1のV形溝群20には、2個のV形溝を備え、この2個のV形溝は、V形溝21及びV形溝24であるとより好ましい。後述する第1及び平面直交方向位置決め手段の一部としてV形溝21及びV形溝24が働く際に、これらの間の距離は遠い方が、精度のよい位置決めを行うことができるからである。
【0044】
また、本実施形態では、第2のV形溝群30に含まれるV形溝31、第3のV形溝群40に含まれるV形溝41、及び第4のV形溝群50に含まれるV形溝51は、第1のV形溝群20に含まれるV形溝21の位置(点(v,h))を前記方眼グリッドの中心点Oを回転中心として、それぞれ、時計回りに90度、180度、又は270度だけ回転させた位置に設けられ得る。
【0045】
また、第2のV形溝群30に含まれるV形溝32、第3のV形溝群40に含まれるV形溝42、及び第4のV形溝群50に含まれるV形溝52は、第1のV形溝群20に含まれるV形溝24の位置(点(v,h))を前記方眼グリッドの中心点Oを回転中心として、それぞれ、時計回りに90度、180度、又は270度だけ回転させた位置に設けられ得る。
【0046】
さらに、第2のV形溝群30に含まれるV形溝33、第3のV形溝群40に含まれるV形溝43、及び第4のV形溝群50に含まれるV形溝53は、第1のV形溝群20に含まれるV形溝24の位置(点(v,h))を前記方眼グリッドの中心点Oを回転中心として、それぞれ、時計回りに90度、180度、又は270度だけ回転させた位置に設けられ得る。
【0047】
同様に、第2のV形溝群30に含まれるV形溝34、第3のV形溝群40に含まれるV形溝44、及び第4のV形溝群50に含まれるV形溝54は、第1のV形溝群20に含まれるV形溝24の位置(点(v,h))を前記方眼グリッドの中心点Oを回転中心として、それぞれ、時計回りに90度、180度、又は270度だけ回転させた位置に設けられ得る。
【0048】
次に、V形溝の個別の構造について説明する。図4(A)から図4(E)は、様々なタイプのV形溝の部分拡大図である。以下、V形溝21について説明するが、他のV形溝も同様である。
【0049】
図3A(A)に示されたV形溝21は、図1に示されたV形溝21である。V形溝21は、テンプレート本体10の外周16の一部をV字形に切り欠いた形状に構成される。このV形溝21は、外周16側から最内側に向かうにつれて直線的に溝幅が狭まる一対の切込み面21a,21aを備え、この切込み面21a,21aにより筆記具のペン先Nを最内側へガイドすることができる。また、切込み面21a,21aは、垂直面である。V形溝の開き角は鋭角であり、例えば、約60度である。V形溝21の最奥(最内側)には、切込み面21a,21aが交わる谷21bが存在する。この谷21bは、V形溝の位置を特定する際にV形溝側の位置の基準点となる。
【0050】
図4(B)に示されたV形溝21Bは、開き角が鈍角(例えば、約120度)である一対の垂直な切込み面21a’,21a’を備え得る。この開き角は、谷21b’の位置でペン先Nの先端を一定の位置に支持可能である限りさらに広げられ得る。
【0051】
図4(C)に示されたV形溝21Cは、一対の垂直な切込み面ではなく、ペン先Nをガイドすることができる一対の傾斜した切込み面21c,21cと、これらが交わる谷21dを備えてもよい。傾斜した切込み面21c,21cを採用したことにより、ペン先Nをより導入しやすくなるという利点を有する。
【0052】
図4(D)に示されたV形溝21Dは、谷21gでつながっている一対の垂直な切込み面21f,21fと外周16,16とを連絡する一対の垂直な通路壁21e,21eを備え、これらによりペン先Nを最内側へガイドすることができる。通路壁21e,21eは、図示された形状に限定されず、曲がっていてもよく、及び/又は非平行であってもよい。
【0053】
図4(E)に示されたV形溝21Eは、外周部内に三角穴21hを備え得る。この三角穴21hは、表面から裏面まで貫通しており、ペン先Nをガイドすることができる一対の垂直な切込み面21i,21iとそれらが交わる谷21jとを備え得る。
【0054】
次に、回転方向位置決め手段を説明する。本実施形態では、3行×3列のマス目で構成される表(以下、「3×3の表」ともいう)を作成するために、テンプレート本体10は、回転方向位置決め手段を備える。
【0055】
この回転方向位置決め手段は、紙面上の任意の位置に配置された前記テンプレート本体10を正方形中央領域の中心点を回転中心として現在の向きから±90度回転させた新たな向きに再配置するときに、前記テンプレート本体を前記任意の位置で前記新たな向きに位置決めするための回転方向位置決め手段である。
【0056】
より詳細には、回転方向位置決め手段は、第1の位置で第1の向きに配置されたテンプレート本体10の4個のスリット穴11~14のうちの外側の2つのスリット穴11及び14の各穴端11a及び11c並びに14a及び14cが、方眼グリッドの中心点Oを回転中心としてどちらも同じ回転方向に90度又は-90度回転された位置にそれぞれ移動するように(例えば、穴端11aは再配置直前に穴端14aがあった位置に、14aは再配置直前に穴端14cがあった位置に、14cは再配置直前に穴端11cがあった位置に、及び11cは再配置直前に穴端11aがあった位置にそれぞれ移るように)テンプレート本体10を再配置前の第1の位置における第1の向きから再配置後の第1の位置における第2の向きへ再配置するときに、テンプレート本体10を第1の位置で第2の向きに位置決めするためのものである。
【0057】
回転方向位置決め手段は、本実施形態では、2組の溝ペアで構成される。ここで、各組の溝ペアについては、ペアの一方のV形溝とペアの他方のV形溝とは、方眼グリッドGの中心点Oを回転中心とした時計回り又は反時計回りの回転において90度の角度差を有する位置に離れて設けられている。
【0058】
なお、各組の溝ペアの一方のV形溝は、筆記具のペン先を当てることで紙面上に目印を作成するためのものであり、各組の溝ペアの他方のV形溝は、作成された目印に合わされるものである。どちらの「一方のV形溝」も、方眼グリッドの中心点Oを回転中心として他方のV形溝に対して同じ回転方向に90度又は-90度回転した位置にある。
これにより、第1組の一方のV形溝を用いて作成した目印を、第1組の他方のV形溝で捉え、また、第2組の一方のV形溝を用いて作成した目印を、第2組の他方のV形溝で捉えることで、テンプレート本体10の第2の位置における第2の向きを特定し、位置決めることができる。
【0059】
図1に示される本実施形態では、例えば、第1のV形溝は、上述した位置に設けられており、第3、第5、及び第7のV形溝は、方眼グリッドの中心点Oを回転中心として、第1のV形溝を90度、180度、及び270度だけ回転した位置にて設けられている。また、第2のV形溝は、上述した位置に設けられており、第4、第6、及び第8のV形溝は、方眼グリッドの中心点Oを回転中心として、第2のV形溝を90度、180度、及び270度だけ回転した位置にて設けられている。この場合に、2組の溝ペアは、第1及び第3のV形溝(例えば、V形溝21及び31)からなる溝ペア、第3及び第5のV形溝(例えば、V形溝31及び41)からなる溝ペア、第5及び第7のV形溝(例えば、V形溝41及び51)からなる溝ペア、第7及び第1のV形溝(例えば、V形溝51及び21)からなる溝ペア、第2及び第4のV形溝(例えば、V形溝24及び34)からなる溝ペア、第4及び第6のV形溝(例えば、V形溝34及び44)からなる溝ペア、第6及び第8のV形溝(例えば、V形溝44及び54)からなる溝ペア、並びに第8及び第2のV形溝(例えば、V形溝54及び24)からなる溝ペアのうちのいずれか2つの溝ペアであってよい。
【0060】
より具体的な例としては、図1に示されている2組の溝ペアは、例えば、以下の通りでる。
例1:点Uに位置するV形溝21と点Wに位置するV形溝31からなる第1の溝ペアと、点Vに位置するV形溝24と点Xに位置するV形溝34からなる第2の溝ペアと含む2組の溝ペア。
例2:点Uに位置するV形溝21と点Wに位置するV形溝31からなる第1の溝ペアと、点Wに位置するV形溝31と点Yに位置するV形溝41からなる第2の溝ペアと含む2組の溝ペア。
例3:点Vに位置するV形溝24と点Xに位置するV形溝34からなる第1の溝ペアと、点Wに位置するV形溝31と点Yに位置するV形溝41からなる第2の溝ペアと含む2組の溝ペア。
例4:点Uに位置するV形溝21とWに位置するV形溝31からなる第1の溝ペアと、点Yに位置するV形溝41と点Zに位置するV形溝51からなる第2の溝ペアと含む2組の溝ペア。
【0061】
本実施形態では、回転方向位置決め手段を上述した2組の溝ペアで構成した例を説明したが、本発明はこれに限定されない。テンプレート本体10が、透明又は半透明の材料で作製されている場合、このテンプレート本体10に、位置決め用の補助線を形成しておくことで回転方向位置決め手段としてもよい。例えば、図1に示される方眼グリッドG’のうち、スリット穴11、12、13、及び14に対して直角をなす少なくとも1本、好ましくは少なくとも2本のグリッド線PQ、P‘Q‘、S‘R‘、及びSRの全長に沿って補助線が透明又は半透明のテンプレート本体10に目視可能に形成されてもよい。これにより、テンプレート本体10を第1の位置で第1の向きに配置したときに描いた4本の平行線のうち少なくとも1本、好ましくは2本に対して、テンプレート本体10の補助線が一致するように配置されることで、補助線を利用した回転方向位置決め手段により、テンプレート本体10の第1の位置における第2の向きを特定し、位置決めることができる。この回転方向位置決め用の補助線は、必要に応じて、平面直交方向位置決めに利用してもよい。例えば、スリット穴が目印を捉える場合に、目印を補助線の位置で捉えることで平面直交方向位置決めに利用することも可能である。
【0062】
次に、平面直交方向位置決め手段を説明する。
平面直交方向位置決め手段は、表を拡張しようとする方向にテンプレート本体10を任意の位置(例えば、第1の位置など)から単位方眼グリッドN個分だけずれた新たな位置(例えば、第2の位置)再配置するときに、テンプレート本体10を新たな位置で位置決めするためのものである。本実施形態では、例えば、上述した4個のスリット穴及び回転方向位置決め手段を用いて元になる3×3の表が作成された後、この元になる3×3の表の隣側に3×3の表を拡張するために、テンプレート本体10の位置を、表を拡張する方向に単位方眼マス目3個分だけ移動させた新たな位置へ再配置する必要がある。本実施形態による平面直交方向位置決め手段は、テンプレート本体10をこのような新たな位置へ位置決めするためのものである。
【0063】
平面直交方向位置決め手段は、正方形中央領域の周囲の1辺を構成する一の外側グリッド線の全長にわたって等間隔に分散したN+1個の点のうちのいずれか1つの点から前記一の外側グリッド線に対して直角をなす方向に前記単位方眼グリッド1個分に相当する距離だけテンプレート本体外周側に離れた位置に設けられた第1のV形溝を前記外周領域に含んで構成される。
【0064】
本実施形態の場合、例えば、以下の構成の組合せによって実現することができる。
例1:平面直交方向位置決め手段は、テンプレート本体10に備えられたV形溝21、22、23、41、42、43、及び44のいずれか1つと、テンプレート本体10が後述される所定の手順により所定の位置に適切に再配置されたときに、作成した表又は作成中の表の一部分(例えば、表を拡張しようとする側の外枠線より1つ内側の枠線上の枠線交点又は枠線頂点)を捉えることができる4個のスリット穴のうちの少なくともいずれか1個のスリット穴とにより構成される。好ましくは、このいずれか1個のスリット穴は、例えば、上記の表の一部分を、そのスリット穴の穴端近傍の穴領域内(本明細書では、単に「スリット穴の穴端で」とも表現され得る。)で捉える。
【0065】
例2:別の平面直交方向位置決め手段は、テンプレート本体10に備えられたV形溝21、22、23、41、42、43、及び44のいずれか1つと、テンプレート本体10が後述される所定の手順により所定の位置に適切に再配置されたときに、表を作成するときに用いたいずれか1つのV形溝に(好ましくは、表拡張のためにテンプレート本体10を再配置したときに、これから表を拡張しようとする方向に位置することになるV形溝)に筆記具のペン先Nを当てることによって作成された目印を捉えることができるスリット穴11~14のいずれか1つとにより構成される。
【0066】
なお、V形溝が1つしか存在しない場合、「目印を捉えることができるスリット穴」とは、V形溝に最も近い外側グリッド線の中点を対称の中心とした上記V形溝の位置に対応する位置に存在するスリット穴(例えば、V形溝21に対してはスリット穴14)のことである。ただし、V形溝が2個以上の場合は、そのような対称関係にあるスリット穴によって目印を捉えることに限定されない。例えば、V形溝21及び24を用いてそれぞれ目印P1及びP4を作成した場合、V形溝21が目印P1を捉えるとともにV形溝24が目印P4を捉えると考えてもよく。さらに、例えば、V形溝41(V形溝21とは原点Oを対称中心とした点対称の位置にある)が作成した目印P1をスリット穴41が捉えてもよい。
【0067】
例3:さらに別の平面直交方向位置決め手段は、図1を参照して説明すると、4つのスリット穴のうちの外側のスリット穴の1つと、このスリット穴の最も近くでこれと平行に延びるグリッド線上に位置する少なくとも1つのV形溝とにより構成される。具体的には、V形溝51、52、53、及び54のいずれか1つと、テンプレート本体10が後述される所定の手順により所定の位置に適切に再配置されたときに、作成した表の拡張側の外枠線全体を捉えることができる1個のスリット穴11とにより構成される、あるいは、V形溝31、32、33、及び34のいずれか1つと、テンプレート本体10が後述される所定の手順により所定の位置に適切に再配置されたときに、作成した表の拡張側の外枠線全体を捉えることができるスリット穴14とにより構成される。これは、後述の図7A(A)において説明される。
【0068】
例4:またさらに別の平面直交方向位置決め手段は、1つの外側グリッド線(線PQ、線QR、線RS、又は線SP)の全長にわたって等間隔に位置する4個の点のうちの2つの点から別々に外側グリッド線に対して直角をなす方向に単位方眼グリッド1個分に相当する距離だけテンプレート本体外周側に離れた位置に設けられた第1のV形溝及び第2のV形溝(例えば、1つの外側グリッド線が線PQである場合、V形溝21、22、23、及び24のうちのいずか2つのV形溝)により構成される。上記のまたさらに別の平面直交方向位置決め手段は、この第1のV形溝及び第2のV形溝が後述される所定の手順により所定の位置に適切に再配置されたときに機能する。
【0069】
なお、上記の「所定の手順」は、図5A図7Dを参照して次に説明される、テンプレート1の使用の仕方についての説明の中で明らかになる。なお、図5A図7Dの(A)は、図示されていない紙の上に配置されたテンプレート本体10と、このテンプレート本体10を用いて作成した線及び目印とを示す。一方、図5A図7Dの(B)は、テンプレート本体10を取り除き、作成した線及び目印だけを示す。
【0070】
次に、図5A図5Cを参照して、最初に作成する3×3の表の作成するためのテンプレート1の使用法を説明する。
【0071】
ステップS1において、図5A(A)に示されるように、例えば、紙(図示せず)の上の第1の位置で第1の向きにテンプレート本体10を配置し、テンプレート本体10が動かないようにしつつ、4本のスリット穴11、12、13、及び14に筆記具(例えば、ボールペン、シャープペンシル、鉛筆など)のペン先Nを順次差し込んでその全長にわたって動かし、紙面に4本の平行線L1、L2、L3、及びL4を描く。
また、2つのV形溝(例えば、V形溝41及び44)に筆記具のペン先Nを当てて、それぞれ目印P1及びP4を作成することもできる。
【0072】
なお、符号P11及びP14は、直線L1の各端を示す。P21及びP24は、直線L2の各端を示す。P31及びP34は、直線L3の各端を示す。P41及びP44は、直線L4の各端を示す。なお、ステップ1内での個々の作業については、作業を行う順番は自由である。
【0073】
ステップS2において、図5Bに示されるように、回転方向位置決め手段を用いて、テンプレート本体10を第1の位置で第2の向きに回転方向位置決めする。この位置決めは、ステップ1において目印P1及びP4が作成されている場合、この目印P1及びP4にV形溝31及びV形溝34を合わせることによって簡単に素早く行うことができる。
【0074】
なお、目印P1及びP4のいずれか一方のみが作成されている場合(例えば、目印P1にV形溝31を合わせるだけの場合)、回転方向位置決めに必要な2点のうち一方の点の特定は目印を利用して行うことができ、もう1一方の点は、目印P1から最も遠いスリット穴11の穴端11a及び/又は11cの近傍の穴領域内で、作成された直線のP11及びP41の先端部分を捉えることによって行ってもよい。この場合、先に目印P1にV形溝31を合わせてしまうことで、その後の直線L1のP11及び直線L4のP41のそれぞれの先端部分を穴端11a及び/又は11cの近傍の穴領域内で捉えるのは容易であり、したがって、迅速に回転方向位置決めを行うことができる。さらに、P1と11aとの間は単位方眼グリッド4個分離れており、またP1と11cとの間はそれよりも離れており、これによってより精度の良い回転方向位置決めを行うことができる。
【0075】
また、目印P1及びP4を用いない場合でも、例えば、テンプレート本体10が透明又は半透明の素材で作製され、テンプレート本体10上に上述した補助線を備える場合、この補助線を利用して回転方向位置決めを行うことができる。
【0076】
以上、第1の位置で第2の向きにテンプレート本体10を位置合わせするための様々な手法を説明したが、これに限定されない。第1の位置合わせを実現することできる限り、上述の説明とは異なる手順で位置合わせが行われてもよい。また、上述した2つ以上の手法を組み合せて第1の位置合わせが実行されてもよい。
【0077】
ステップS3において、図5Cに示されるように、4本のスリット穴11、12、13、及び14に、再び筆記具のペン先Nを順次差し込んでその全長にわたって動かし、紙面に新たな4本の平行線L5、L6、L7、及びL8を描く。これにより、図5C(B)に示されているように、3×3の表を作成することができる。
【0078】
次に、図6A図6Dを参照して、図5Cにおいて完成した3×3の表を拡張するためのテンプレート1の使用法を説明する。
【0079】
まず、ステップS4において、図6Aに示されるように、まず、テンプレート本体10が第1の位置(図5A図5Cを参照)から表を拡張しようとする方向にずらされた状態で、例えば、V形溝21の谷21b、V形溝22の谷22b、V形溝23の谷23b、及びV形溝24の谷24bが、表の拡張側の外枠線L8より1つ内側の枠線L7上の対応する枠線交点P12、P23、P33、及びP43にそれぞれ一致するようにテンプレート本体10の位置及び向きが合わされる。これにより、最も簡単で迅速な位置合わせが完了する。さらに、4個のスリット穴11~14のうちのスリット穴11及びスリット穴14が、それぞれ目印P4及びP1を捉える。これにより、テンプレート本体10は、既存の3×3の表の隣側に表を拡張するための(又は、既存の3×3の表の隣側に3×3の表を拡張するための)第2の位置及び第1の向きをより精度よく位置決めすることが可能である。
【0080】
なお、ここでは、2個の目印と4個のV形溝を用いたが、これらとは異なる個数のV形溝及び異なる個数の目印を用いて、テンプレート本体10を第2の位置に位置決めすることも可能である。
例えば、作成された目印が1個の場合でも、この目印に対応する1個のスリット穴がこの目印を捉えることで、テンプレート本体10を第2の位置に簡単に位置決めすることができる。
【0081】
また、目印を使用しない場合でも、目印に代えて、既存の3×3の表の特徴部分、例えば、表の角(P14及びP44の両方又は一方)を、対応するスリット穴11の穴端11a及び/又はスリット穴14の穴端14aの近傍の穴領域内で捉えることによって、テンプレート本体10を第2の位置に簡単に位置決めすることができる。
【0082】
さらに、例えば、V形溝が1個しかなく、このV形溝が目印作成に用いられる場合(一例として、V形溝がV形溝21の1個のみであり、V形溝21を用いて唯一の目印P1を作成したような場合)でも、対応するスリット穴(前の例の場合、スリット穴14)が目印を捉えることによって、テンプレート本体10を第2の位置に簡単に位置決めすることができる。さらに、目印P1を作成しなくても、いずれかのスリット穴の穴端が既存の3×3の表の上記のような特徴部分を捉えることによって、テンプレート本体10を第2の位置に位置決めすることができる。これら以外のケースについても、同様の考え方をもって、テンプレート本体10を第2の位置に位置決めすることが可能である。
【0083】
ステップS5において、図6Bに示されるように、4本のスリット穴11、12、13、及び14を用いて4本の平行線L1、L2、L3、及びL4の延長部分(P14~P17の区間、P24~P27の区間等)を描く。
【0084】
ステップS6において、図6Cに示されるように、テンプレート本体10を第2の位置で第2の向きに位置決めする。この位置決めは、ステップ2において、図5Bを参照して示したいくつかの手法を単独で又は組合せて用いて行うことができる。
例えば、本実施形態の場合、V形溝31~34のうちの少なくとも2つ、例えば、V形溝31及び34の2箇所が、既存の3×3の表を拡張しようとする側の枠線より1つ内側の枠線上の特定の枠線交点(前述の例の場合は、P13及びP43)に合わせることによって、テンプレート本体10を第2の位置で第2の向きに簡単に位置合わせすることができる。
また、例えば、目印P1及びP4の少なくとも一方が作成されている場合、作成された目印P1及び/又はP4を対応するスリット穴13で捉えることによって、単独で又はこれと他の手法(例えば、V形溝31及び/又は34を用いる手法)とを組合せて、やはり簡単に位置合わせすることができる。また、図6C(A)に示されるように、例えば、スリット穴14が既存の表の外枠線L8をスリット穴14全体で捉えることによっても、それ単独で又は他の手法と組合せて位置合わせすることができる。
さらに、ステップS5において延長されたL1及びL4の枠線のそれぞれの先端部分P17及びP47を、テンプレート本体10のスリット穴11の両端11a及び/又は11c近傍の穴領域内で捉え、これと他の手法(例えば、V形溝21及び/又は24による位置合わせ手段)との組合せによって、より高い精度でテンプレート本体10を第2の位置で第2の向きに位置合わせすることができる。
【0085】
ステップS7において、図6Dに示されるように、再び4本のスリット穴11、12、13、及び14を用いて4本の平行線L8、L9、L10、及びL11を描く。これにより、図6D(B)に示されているように、最初の3×3に隣り合う新たな3×3の表を連結することによって、3×6の表を作成することができる。
【0086】
本実施形態では、3×6の表の作成をもって説明を終了するが、本発明のテンプレート1は、これに限定されない。6×6、6×9など・・・以上説明してきた手順を用いて様々な表を作成することができる。
【0087】
また、図6A図6Dに示されたステップS4~S7に代えて、次に説明する図7A図7Dの手順が用いられてもよい。
【0088】
まず、ステップS4’において、図7Aに示されるように、まず、テンプレート本体10が第1の位置(図5A図5Cを参照)から表を拡張しようとする方向にずらされた状態で、例えば、V形溝51の谷51b、V形溝52の谷52b、V形溝53の谷53b、及びV形溝54の谷54bのうち少なくとも2つが、表の拡張側の外枠線L8より1つ内側の枠線L7上の対応する枠線交点P13、P23、P33、及びP43のうちの対応する少なくとも2つの点にそれぞれ一致するようにテンプレート本体10の位置及び向きが合わされる。これにより、最も簡単で迅速な位置合わせが完了する。さらに、スリット穴12が、目印P4及びP1をその両穴端12a及び12cの近傍の穴領域内で捉えることができる。これにより、テンプレート本体10は、既存の3×3の表の隣側に表を拡張するための(又は、既存の3×3の表の隣側に3×3の表を拡張するための)第2の位置及び第1の向きをより精度よく位置決めすることが可能である。
【0089】
なお、図7Aの場合には、スリット穴11が既存の3×3の表のL8の直線全体を捉えることができるので、これだけを利用して、又はこれと他の手法(例えば、V形溝51、54を用いる手法)とを組合せて、テンプレート本体10を第2の位置及び第1の向きで位置決めすることも可能である。いずれにしても、作業者は、テンプレート本体10を第2の位置で位置決めするための複数の選択肢を有し、その中から最も簡単に位置決めできると考える手法を選択できるので、より一層使いやすくなっている。
【0090】
ステップS5’において、図7Bに示されるように、3本のスリット穴12、13、及び14を用いて3本の平行線L9、L10、及びL11を描く。
【0091】
ステップS6’において、図7Cに示されるように、テンプレート本体10を第2の位置で第2の向きに位置決めする。この位置決めは、ステップ2において、図5Bを参照して上述したいくつかの手法を単独で又は組合せて用いて行うことができる。
例えば、本実施形態の場合、V形溝21、22、23及び24のうちの少なくとも2つ、例えば、V形溝21及び24の2箇所を既存の3×3の表を拡張しようとする側の枠線より1つ内側の枠線上の特定の枠線交点(前述の例の場合は、P13及びP43)に合わせることによって、テンプレート本体10を第2の位置で第2の向きに簡単に位置合わせことができる。
又は、例えば、目印P1及びP4の少なくとも一方が作成されている場合、スリット穴11及び14によって目印P1及びP4を捉えることによって、これ単独で又はこれと他の手法(例えば、V形溝21及び/又は24を用いる手法、並びに補助線を用いる手法)とを組合せて、より精度よくテンプレート本体10を第2の位置で第2の向きに簡単に位置合わせすることができる。
さらに、ステップS5’において延長されたL1及びL4の枠線のそれぞれの先端部分P17及びP47を、テンプレート本体10のスリット穴11の両端11a及び/又は11c近傍の穴領域内で捉え、これと他の手法(例えば、V形溝21及び/又は24による位置合わせ手段)との組合せによって、より高い精度でテンプレート本体10を第2の位置で第2の向きに位置合わせすることができる。
【0092】
ステップS7’において、図7Dに示されるように、再び4本のスリット穴11、12、13、及び14を用いて4本の平行線L1、L2、L3、及びL4の延長部分を描く。これにより、図7D(B)に示されているように、既存の3×3の表の隣側に新たな3×3の表を連結することによって、3×6の表を作成することができる。
また、前述したように、この後、さらに表拡張を続けて、6×6、6×9などの表を作成することも可能である。
【0093】
本実施形態では、テンプレート本体10の外周部に16個のV形溝を備える例を示してきた。この16個のV形溝を使用する例の場合、方眼グリッドGの四方にそれぞれ少なくとも2つのV形溝を備えるので、この構成を利用して、既存の3×3の表を上下左右いずれの方向にも拡張しやすいという利点がある。例えば、V形溝が、V形溝21及び24、並びにV形溝31及び34である場合でも、既存の3×3の表を拡張して3×6の表の作成を行うことはできるが、テンプレート本体10上でV形溝が存在しない方向に表を拡張する場合、必要に応じて、少ないV形溝をやり繰りして使用するためにテンプレート本体10を余分に回転させるような操作を行う必要が生じ得る。それに比べて、16個のV形溝を使用する例の場合を含む、方眼グリッドGの四方にそれぞれ少なくとも2つのV形溝を備える場合、そのような不便さがない。
【0094】
一方、テンプレート本体10が備えるV形溝の個数及びレイアウトは、図1に示されるようなものに限定されない。図8A及び図8Bには、V形溝の他のレイアウトが例示されている。実際の位置決めの手順は、当業者であれば上述の説明及び図6図8を参考にして容易に想像できるはずである。
【0095】
例えば、図8A(A)に示されるテンプレート1Aにおいて、テンプレート本体10Aは、等間隔で平行な4個のスリット穴11~14と、1個のV形溝21とを備える。また、図8A(A’)に示されるテンプレート1A’において、テンプレート本体10A’は、等間隔で平行な4個のスリット穴11~14と、1個のV形溝31とを備える。また、テンプレート本体10A及び10A’は透明又は半透明であり、回転方向位置決め手段として方眼グリッドGに沿った補助線を備える。
回転方向位置決め手順は、(A)の場合も(A’)の場合も、例えば、まず、スリット穴11~14を用いて4本の平行線を引くと共に、この4本の平行線に上記の補助線を一致させることで行われ得る。その後、スリット穴11~14を用いて別の4本の平行線を引いて表を完成させる。
さらに、第2の位置合わせ手順は、
(A)の場合、例えば、まず、V形溝21を表の(拡張側の外枠線よりも1つ内側の)特定の枠線交点に合わせ、その状態で、表の一部の特徴部分(例えば、枠線交点及び枠線頂点)をスリット穴11~14の少なくとも1つの穴端が捉える(より詳細には、穴端近傍の穴領域が捉える(以下、本明細書中で同様とする))ことで行われ得る。又は、まず、最初の表の作成中のいずれかの時点で(例えば、回転方向位置決めのための再配置前又は再配置後に(以下、本明細書中において同様とする))V形溝21を用いて目印を作成し、次に、V形溝21を表の特定の枠線交点に合わせ、その状態で、作成済みの目印をスリット穴14で捉えることにより行われ得る。
一方、(A’)の場合、第2の位置合わせ手順は、例えば、まず、V形溝31を表の特定の枠線交点に合わせ、その状態で、表の一部の特徴部分(ここでは、表を拡張しようとする拡張側の表の外枠線)をスリット穴14全体で捉えることで行われ得る。又は、例えば、最初の表の作成中のいずれかの時点でV形溝31を用いて目印を作成し、次に、V形溝31を表の特定の枠線交点に合わせ、その状態で、作成済みの目印をスリット穴13の穴端で捉えることにより行われ得る。
【0096】
例えば、図8A(B)に示されるテンプレート1Bにおいて、テンプレート本体10Bは、等間隔で平行な4個のスリット穴11~14と、V形溝21及び24とを備える。また、図8A(B’)に示されるテンプレート1B’において、テンプレート本体10B’は、等間隔で平行な4個のスリット穴11~14と、V形溝31及び34とを備える。また、テンプレート本体10B及び10B’は透明又は半透明であり、回転方向位置決め手段として方眼グリッドGに沿った補助線を備える。
回転方向位置決め手順は、(B)の場合も(B’)の場合も、例えば、まず、スリット穴11~14を用いて4本の平行線を引くと共に、この4本の平行線に上記の補助線を一致させることで行われ得る。その後、スリット穴11~14を用いて別の4本の平行線を引いて表を完成させる。
さらに、第2の位置合わせ手順は、
(B)の場合、例えば、V形溝21及び24を表の(拡張側の外枠線よりも1つ内側の)特定の枠線交点に合わせ、その状態で、表の一部の特徴部分(例えば、枠線交点及び枠線頂点)をスリット穴11~14の少なくとも1つの穴端が捉えることで行われ得る。又は、まず、最初の表の作成中のいずれかの時点でV形溝21及び24を用いて2つの目印を作成し、次に、V形溝21を表の特定の枠線交点に合わせ、その状態で、作成済みの2つの目印をスリット穴11及び14で捉えることにより行われ得る。
一方、(B’)の場合、平面直交方向位置決め手段は、例えば、V形溝31及び34を表の特定の枠線交点に合わせ、その状態で、表の一部の特徴部分(ここでは、表を拡張しようとする拡張側の表の外枠線)をスリット穴14全体で捉えることで行われ得る。又は、まず、最初の表の作成中のいずれかの時点でV形溝31及び34を用いて2つの目印を作成し、次に、V形溝31及び34を表の特定の枠線交点に合わせ、その状態で、作成済みの2つの目印をスリット穴13の両穴端で捉えることにより行われ得る。
【0097】
さらに、例えば、図8A(C)に示されたテンプレート1Cにおいて、テンプレート本体10Cは、等間隔で平行な4個のスリット穴11~14と、方眼グリッドの中心点を回転中心として相互に90度の角度差を有する位置に設けられたV形溝21及び31とを備え得る。また、図8B(C’)に示されたテンプレート1C’において、テンプレート本体10C’は、等間隔で平行な4個のスリット穴11~14と、方眼グリッドの中心点を回転中心として相互に90度の角度差を有する位置に設けられたV形溝31及び34とを備え得る。なお、テンプレート本体10C及び10C’は不透明であり得る。
回転方向位置決め手順は、(C)の場合、例えば、まず、スリット穴11~14を用いて4本の平行線を引くと共に、V形溝31(又はV形溝21)を用いて目印を作成し、次に、テンプレート本体10Cを再配置して目印にV形溝21(又はV形溝31)を合わせ、この状態で、スリット穴11及び/又は14のいずれかの穴端が平行線の末端を捉えることにより行われ得る。また、(C’)の場合、回転方向位置決め手順は、例えば、まず、スリット穴11~14を用いて4本の平行線を引くと共に、V形溝31(又はV形溝41)を用いて目印を作成し、次に、テンプレート本体10C’を再配置してこの目印にV形溝41(又はV形溝31)を合わせ、その状態で、スリット穴11及び/又は14のいずれかの穴端により平行線の末端を捉えることにより行われ得る。
それらの後、スリット穴11~14を用いて別の4本の平行線を引いて表を完成させる。
さらに、平面直交方向位置決め手順は、例えば、V形溝21((C)の場合)又はV形溝41((C’)の場合)を表の(拡張側の外枠線よりも1つ内側の)特定の枠線交点に合わせ、その状態で、表の一部の特徴部分(例えば、枠線頂点)をスリット穴11又は14の穴端が捉えることで行われ得る。又は、最初の表の作成中のいずれかの時点でいずれかのV形溝を用いて1つの目印を作成し、V形溝21((C)の場合)又はV形溝41((C’)の場合)を表の(拡張側の外枠線よりも1つ内側の)特定の枠線交点に合わせ、その状態で、作成済みの1つの目印をスリット穴11及び14で捉えることにより行われ得る。あるいは、平面直交方向位置決め手順は、例えば、V形溝31((C)の場合も(C’)の場合も)を表の特定の枠線交点に合わせ、その状態で、表の一部の特徴部分(ここでは、表を拡張しようとする拡張側の表の外枠線)をスリット穴14全体で捉えることで行われ得る。又は、例えば、最初の表の作成中のいずれかの時点でいずれかのV形溝を用いて1つの目印を作成し、次いで、V形溝31((C)及び(C’)の場合)を表の特定の枠線交点に合わせ、その状態で、作成済みの1つの目印をスリット穴13の穴端で捉えることにより行われ得る。
【0098】
例えば、図8B(D)に示されるテンプレート1Dにおいて、テンプレート本体10Dは、等間隔で平行な4個のスリット穴11~14と、方眼グリッドの中心点を回転中心として、相互に90度の角度差を有する位置に設けられたV形溝21及び31と、同様に、相互に90度の角度差を有する位置に設けられたV形溝24及び34とを備える。また、図8B(D’)に示されるテンプレート1D’において、テンプレート本体10D’は、等間隔で平行な4個のスリット穴11~14と、方眼グリッドの中心点を回転中心として、相互に90度の角度差を有する位置に設けられたV形溝31及び41と、同様に、相互に90度の角度差を有する位置に設けられたV形溝34及び44とを備える。
回転方向位置決め手順は、(D)の場合、例えば、まず、V形溝31及び34(又はV形溝21及び24)を用いて2つの目印を作成し、次に、テンプレート本体10Cを再配置して2つの目印にV形溝21及び24(又は、目印をV形溝21及び24で作成した場合は、V形溝31及び34)を合わせることで行われ得る。また、(D’)の場合、回転方向位置決め手順は、例えば、まず、V形溝31及び34(又はV形溝41及び44)を用いて2つの目印を作成し、次に、テンプレート本体10Cを再配置して2つの目印にV形溝41及び44(又はV形溝31及び34)を合わせることで行われ得る。さらに、(D)の場合も(D’)の場合も、スリット穴11及び/又は14の各穴端が各平行線の末端を捉えることを加えることでより精度よく位置決めされ得る。
それらの後、スリット穴11~14を用いて別の4本の平行線を引いて表を完成させる。
平面直交方向位置決め手順は、例えば、V形溝21及び24((D)の場合)又はV形溝41及び44((D’)の場合)を表の(拡張側の外枠線よりも1つ内側の)特定の枠線交点に合わせ、その状態で、表の一部の特徴部分(例えば、枠線頂点)をスリット穴11又は14の穴端が捉えることで行われ得る。又は、最初の表の作成中のいずれかの時点でいずれかのV形溝を用いて1つ又は隣り合う2つの目印を作成し、V形溝21及び24((D)の場合)又はV形溝41及び44((D’)の場合)を表の(拡張側の外枠線よりも1つ内側の)特定の枠線交点に合わせ、その状態で、作成済みの1つ又は隣り合う2つの目印をスリット穴11及び14で捉えることにより行われ得る。あるいは、平面直交方向位置決め手順は、例えば、V形溝31及び34((D)及び(D’)の場合)を表の特定の枠線交点に合わせ、その状態で、表の一部の特徴部分(ここでは、表を拡張しようとする拡張側の表の外枠線)をスリット穴14全体で捉えることで行われ得る。又は、例えば、最初の表の作成中のいずれかの時点でいずれかのV形溝を用いて1つ又は隣り合う2つの目印を作成し、次いで、V形溝31及び34((D)及び(D’)の場合)を表の特定の枠線交点に合わせ、その状態で、作成済みの1つ又は隣り合う2つの目印をスリット穴13の穴端で捉えることにより行われ得る。
【0099】
例えば、図8B(E)に示されるテンプレート1Eにおいて、テンプレート本体10Eは、等間隔で平行な4個のスリット穴11~14と、方眼グリッドの中心点を回転中心として、相互に180度の角度差を有する位置に設けられたV形溝21及び41と、同様に、相互に180度の角度差を有する位置に設けられたV形溝24及び44とを備える。また、テンプレート本体10B及び10B’は透明又は半透明であり、回転方向位置決め手段として方眼グリッドGに沿った補助線を備える。
回転方向位置決め手順は、(E)の場合も(E’)の場合も、例えば、まず、スリット穴11~14を用いて4本の平行線を引くと共に、この4本の平行線に上記の補助線を一致させることで行われ得る。その後、スリット穴11~14を用いて別の4本の平行線を引いて表を完成させる。
さらに、第2の位置合わせ手順は、(E)の場合、例えば、V形溝21及び24、又は41及び44を、表の(拡張側の外枠線よりも1つ内側の)特定の枠線交点に合わせ、その状態で、表の一部の特徴部分(例えば、枠線頂点)をスリット穴11又は14の穴端が捉えることで行われ得る。又は、例えば、最初の表の作成中のいずれかの時点でいずれかのV形溝群に属するV形溝21及び24の一方若しくは両方又は41及び44の一方若しくは両方を用いて1つ又は2つの目印を作成し、次いで、V形溝21及び24、又は41及び44を表の特定の枠線交点に合わせ、その状態で、作成済みの1つ又は2つの目印をスリット穴11又は14の穴端で捉えることにより行われ得る。一方、(E’)の場合、例えば、V形溝31及び34、又は51及び54を、表の(拡張側の外枠線よりも1つ内側の)特定の枠線交点に合わせ、その状態で、表の一部の特徴部分(ここでは、表を拡張しようとする拡張側の表の外枠線)をスリット穴14全体が捉えることで行われ得る。又は、例えば、最初の表の作成中のいずれかの時点でいずれかのV形溝群に属するV形溝31及び34又は51及び54を用いて1つ又は2つの目印を作成し、次いで、V形溝31及び34又は51及び54を表の特定の枠線交点に合わせ、その状態で、作成済みの1つ又は2つの目印をスリット穴13の穴端で捉えることにより行われ得る。
【0100】
さらに、例えば、図8B(F)に示されるテンプレート1Fにおいて、テンプレート本体10Fは、等間隔で平行な4個のスリット穴11~14と、方眼グリッドGの中心点を回転中心として、回転角度90度ごとに設けられたV形溝21、31、41、及び51と、同様に、回転角度90度ごとに設けられたV形溝24、34、44、及び54とを備える。図8B(F)のテンプレート1Fは、図8A(C)、図8A(C’)、図8B(D)、及び図8B(D’)に示されたンプレート1C、1C’、1D,及び1D’の構成要素を全て含むものであるため、回転方向位置決め手順、及び平面直交方向位置決め手順については、基本的な手順は同じになるため、ここでは説明を省略する。
【0101】
〔本実施形態の効果〕
(1)本実施形態に係るテンプレートについては、テンプレート本体が4本のスリット穴と、回転方向位置決め手段とを備える構成となっているので、本実施形態によるテンプレートは、これらを用いて、縦横にマス目を複数並べて構成される表を、その少なくとも一辺が4本のスリット穴の長さに応じたサイズの単位で、素早く作成することができる。
加えて、本実施形態に係るテンプレートでは、スリット穴からこのスリット穴の長さに等しい距離だけ離れた位置にあるV形溝を含む平面直交方向位置決め手段も備えるので、必要に応じて、使用者が表を拡張したい方向に、上記の平面直交方向位置決め手段及び前記回転方向位置決め手段を用いて、作成した表の隣側に表を迅速に拡張することもできる。さらに、平面直交方向位置決め手段及び回転方向位置決め手段を繰り返し用いることで、所望の方向に表の拡張を繰り返し行うことができる。
【0102】
(2)また、表を拡張するためにテンプレート本体を再配置するときのテンプレート本体の位置決めをV形溝を用いて行うように構成されているので、このようなV形溝を用いずにテンプレート本体を再配置する際の位置決めを行うのと比較して(例えば、スリット穴だけで表の特徴部分を捉える場合と比べて)、標的の表の特徴部分にテンプレート本体の特徴部分を合わせる作業が簡単になり、迅速に位置決めを行うことができる。
【0103】
(3)さらに、表作成中にV形溝を利用して紙面上に1つ以上の目印を作成し、この目印をテンプレート本体の平面直交方向再配置のための位置決めに利用することもできるため、位置合わせが容易になり、例えば、紙面上でテンプレート本体の平面直交方向位置決めを行うために必要な2箇所の点の特定の一方についてはV形溝を用いて行い、他方の1箇所の点の特定については目印をスリット穴の穴端近傍などで捉えることより行うことで、2箇所の距離間を広くとることができる場合、精度の良い位置決めを行うことができる。
【0104】
(4)また、正方形中央領域の中心点に対して90度の角度差を有するV形溝ペアが少なくとも1つ存在する場合、回転方向位置決めを行うために必要な2箇所の点のうちの1点について目印を利用した回転方向位置決め手段を採用することが可能になり、V形溝による目印を利用せずにスリット穴と表の特徴部分だけで回転方向位置合わせを行うのと比較して、回転方向位置決めが簡単となって迅速になり、さらに、スリット穴の穴端と中心点との間の距離よりも、V形溝(の谷)と中心点との間の距離の方が広くとれるため、精度の良い位置決めを行うことができる。
【0105】
(5)さらに、中央領域の中心点に対して90度の角度差を有するV形溝ペアが2組以上存在する場合、2組以上のV形溝ペアだけで、回転方向位置決め手段を構成することが可能になり、より一層、回転方向位置決め作業の迅速化及び位置決め精度の向上を図ることができる。
【0106】
(6)また、V形溝の形状自体が、筆記具のペン先を受け入れしやすい又は導入しやすい形状となっているため、これもよっても、回転方向位置合わせ及び平面直交方向位置合わせの作業を迅速化につながり、ひいては表の作成及び拡張を迅速化することができる。
【0107】
(7)V形溝群がテンプレート本体の四方に少なくとも1つずつ、紙面上に1つ目の表を作成するときに、テンプレートの向きを気にせずに使用者が使いやすいV形溝を利用して表を作成することができ、これによって表作成の迅速化が図られるとともに利便性が向上する。さらに、表の隣側に表を拡張するときも、テンプレート上のV形溝が存在する位置を気にせずに、表を拡張したい方向に位置する1つ以上のV形溝を用いてそれぞれの目印を作成し、この目印を利用して表を迅速に拡張することができるとともに利便性も向上する。より好ましくは、V形溝群がテンプレート本体の四方に少なくとも2つずつ備えられている場合、迅速化がさらにはかられ、利便性もさらに向上する。
【0108】
(8)またさらに、2組以上のV形溝ペアを用いる場合に、作成される2つの目印をできる限り遠く離す(例えば、正方形中央領域の中心点に関して正反対の位置にあるV形溝を用いて2つの目印を作成する)ことによって、回転方向位置決めの精度をより向上させることができる。
【0109】
(9)2つの位置決め手段それぞれについて、テンプレートの使用者が使用時に選択利用可能な複数の構成が用意されているので、状況に応じて、使用し易い構成を利用したり、迅速さを優先できる構成を利用したり、精度の高い位置決めが可能な構成を利用することができ、これによっても利便性の向上につながっている。
【0110】
(10)テンプレートの寸法を大きくすることなく、テンプレートよりも大きな表を作成することができるので、テンプレートの携帯性を損なうことなく、所望の文字数を書き込むのに十分なサイズのマス目を有する表を作成することができる。しかも、この表は、3×3の表を拡張した3×6、3×9、6×6、6×9、9×9などの様々な表に拡張することができる。
【0111】
(11)なお、表を作成する際に、一部の線を引くのを省略することも可能であり、これにより、表を構成する最小のマス目を1×3のマス目にすることも可能である。また、同様に、表を作成する際に、表の外枠線を一部引かないことによって2×3の表などを作成することも可能である。
【0112】
以上の効果は、第1の実施形態についての効果として記載したが、この後に記載する第2の実施形態、第3の実施形態、及び他の実施形態においても同様に当てはまるものである。
【0113】
〔他の実施形態〕
図9には、本発明の第2の実施形態によるテンプレート200が示されている。このテンプレート200は、正方形マス目が2行×2列で構成される表(以下、「2×2の表」ともいう)を作成し、さらに、作成済の2×2の表の隣側に表を拡張するのに適している。テンプレート200は、テンプレート本体210を備え、テンプレート本体210は、単位方眼マス目2個分の長さ及び単位方眼マス目1個分の相互間隔を有する3つのスリット穴211、212、及び213と、所定の位置に設けられている12個のV形溝221、222,及び213、231、232、及び233、241、242、及び243、並びに251、252、及び253を備える。
【0114】
図10には、本発明の第3の実施形態によるテンプレート300が示されている。このテンプレート300は、正方形マス目が4行×4列で構成される表(以下、「4×4の表」ともいう)を作成し、さらに、作成済の4×4の表の隣側に表を拡張するのに適している。テンプレート300は、テンプレート本体310を備え、テンプレート本体310は、単位方眼マス目3個分の長さ及び単位方眼マス目1個分の相互間隔を有する5つのスリット穴311、312、313、314、及び315と、所定の位置に設けられている20個のV形溝321、322、323、324、及び325、331、332、333、334、及び335、341、342、343、344、及び345、並びに351、352、353、354、及び355とを備える。
【0115】
テンプレート200を用いて2×2の表を作成するやり方、及びテンプレート300を用いて4×4の表を作成するやり方については、当業者であれば、第1の実施形態によるテンプレート1を用いて3×3の表を作成するやり方から類推して理解できるはずである。したがって、ここでは、説明を省略する。
【0116】
さらに、当業者であれば、上述した第1から第3の実施形態に基づいて、本発明の他の実施形態による、N行×N列の正方形マス目で構成される表を作成及び拡張するのに適したテンプレート(図示せず)についても理解できるはずである。このようなテンプレートは、テンプレート本体を備え、このテンプレート本体は、N+1個のスリット穴と、テンプレート本体をある位置で90度向きを変えて位置決めするための回転方向位置決め手段と、前記N+1個のスリット穴の位置に基づいて定められる所定の位置に1個ないし(N+1)×4個のV形溝を備える。
【0117】
より詳細には、
(1)例えば、本発明の他の実施形態によるテンプレートは、縦方向及び/又は横方向に並ぶマス目で区切られた表を紙面上に作成し、必要に応じて拡張するためのテンプレートであって、
板状のテンプレート本体を備え、
前記テンプレート本体は、正方形中央領域と、前記正方形中央領域を取り囲む外周領域とを含み、前記正方形中央領域は、その全体が、横方向に等間隔で平行に延びるN+1本(ただし、Nは2以上の整数)の横グリッド線と、前記横グリッド線と同じ長さで縦方向に等間隔で平行に延びるN+1本の縦グリッド線とによりN個×N個の単位方眼グリッドに仮想的に分割されており、前記単位方眼グリッドのサイズは、前記表で表現可能な最小マス目のサイズに相当し、
前記テンプレート本体は、
前記N+1本の横グリッド線又は前記N+1本の縦グリッド線のいずれか一方の各グリッド線の全長に沿ってそれぞれ配置されたN+1個のスリット穴と、
前記紙面上の任意の位置に配置された前記テンプレート本体を、前記正方形中央領域の中心点を回転中心として現在の向きから±90度回転させた新たな向きに再配置するときに、前記テンプレート本体を前記任意の位置で前記新たな向きに位置決めするための回転方向位置決め手段と、
前記表を拡張しようとする方向に前記テンプレート本体を前記任意の位置から前記単位方眼グリッドN個分だけずれた新たな位置に再配置するときに、前記テンプレート本体を前記新たな位置で位置決めするための平面直交方向位置決め手段と
を備え、
前記平面直交方向位置決め手段は、前記正方形中央領域の周囲の1辺を構成する一の外側グリッド線の全長にわたって等間隔に分散したN+1個の点のうちのいずれか1つの点から前記一の外側グリッド線に対して直角をなす方向に前記単位方眼グリッド1個分に相当する距離だけテンプレート本体外周側に離れた位置に設けられた第1のV形溝を前記外周領域に含んで構成される。
【0118】
(2)また、本発明の他の実施形態による、テンプレートは、前記一の外側グリッド線の全長にわたって等間隔に分散した前記N+1個の点のうちの別のいずれか1つの点から前記一の外側グリッド線に対して直角をなす方向に前記単位方眼グリッド1個分に相当する距離だけテンプレート本体外周側に離れた位置に設けられた第2のV形溝を備え、
前記平面直交方向位置決め手段は、前記第2のV形溝をさらに含んで構成されてもよい。
【0119】
(3)さらに、本発明の他の実施形態による、テンプレートにおいて、テンプレートは、第2のV形溝、第3のV形溝、及び第4のV形溝を備え、
前記第2のV形溝は、前記正方形中央領域の前記周囲の1辺を構成する前記一の外側グリッド線の全長にわたって等間隔に分散した前記N+1個の点のうちの別のいずれか1つの点から前記一の外側グリッド線に対して直角をなす方向に単位方眼マス目1個分に相当する距離だけテンプレート本体外周側に離れた点を、前記正方形中央領域の中心点を回転中心として0度、90度、180度、又は270度だけ回転させた位置に設けられ、
前記第3のV形溝及び前記第4のV形溝は、それぞれ、前記正方形中央領域の中心点を回転中心として同じ回転方向に、前記第1のV形溝及び前記第2のV形溝が設けられた位置を90度又は-90度回転させた位置に設けられ、
前記回転方向位置決め手段は、2組の溝ペアで構成され、第1組の溝ペアは、前記第1及び第3のV形溝のペアからなり、第2組の溝ペアは、前記第2及び第4のV形溝からなる、という構成であってもよい。
【0120】
(4)また、本発明の他の実施形態による、テンプレートにおいて、前記テンプレート本体は、第3のV形溝を備え、
前記第3のV形溝は、前記正方形中央領域の中心点を回転中心として同じ回転方向に、前記第1のV形溝が設けられた位置を90度又は-90度回転させた位置に設けられ、
前記回転方向位置決め手段は、前記第1及び第3のV形溝のペアを含んで構成されるものであってもよい。
【0121】
(5)さらに、本発明の他の実施形態による、テンプレートにおいて、前記テンプレート本体は、第2乃至第8のV形溝を備え、
前記第2のV形溝は、前記一の外側グリッド線の全長にわたって等間隔に分散した前記N+1個の点のうちの別のいずれか1つの点から前記一の外側グリッド線に対して直角をなす方向に単位方眼マス目1個分に相当する距離だけテンプレート本体外周側に離れた位置に設けられ、
前記第3、第5、及び第7のV形溝は、それぞれ、前記正方形中央領域の中心点を回転中心として、前記第1のV形溝の位置を90度、180度、及び270度だけ回転させた位置に設けられ、
前記第4、第6、及び第8のV形溝は、それぞれ、前記正方形中央領域の中心点を回転中心として、前記第2のV形溝を90度、180度、又は270度だけ回転させた位置に設けられ、
前記回転方向位置決め手段は、2組の溝ペアで構成され、前記2組の溝ペアは、第1及び第3のV形溝からなる溝ペア、第3及び第5のV形溝からなる溝ペア、第5及び第7のV形溝からなる溝ペア、第7及び第1のV形溝からなる溝ペア、第2及び第4のV形溝からなる溝ペア、第4及び第6のV形溝からなる溝ペア、第6及び第8のV形溝からなる溝ペア、並びに第8及び第2のV形溝からなる溝ペアのうちのいずれか2つの溝ペアである、
【0122】
(6)さらに、本発明において、前記テンプレート本体は、透明又は半透明の材料で作製されており、
前記テンプレート本体には、前記方眼グリッドを構成する複数のグリッド線のうち、前記N+1個のスリット穴の長手方向に対してそれぞれ直角をなす方向に延びる複数本のグリッド線のうちの少なくとも1本のグリッド線に沿って少なくとも1本の補助線が目視可能に設けられ、
前記回転方向位置決め手段は、前記少なくとも1本の補助線により構成されているものであってもよい。
【0123】
したがって、(6)のように構成したので、例えば、V形溝が1個だけの場合でも、第1の位置で第1の向きにテンプレート本体があるときに作成したN+1本の平行な直線に、透明又は半透明のテンプレート本体に設けられた補助線を合わせることによって、テンプレート本体を第1の位置で第2の向きに簡単に位置決めすることができる。
【0124】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明してきたが、これらは例示にすぎず、本発明の要旨から逸脱しない限り、本発明の構成要素に、様々な変更、修正、改良がなされてもよい。したがって、特許請求の範囲の解釈にあっては、本発明の実施形態に示された具体的な構成に限定して解釈されるべきではない。
【0125】
例えば、本発明の各実施形態によるテンプレートでは、3×3の表、4×4の表、N×Nの表などの正方状の表を作成するものとして説明してきたが、これに限定されない、テンプレート本体に備えられた複数本のスリット穴の一部を意図的に使用しないことで、3×2の表、4×3の表、N×(N-1)の表などを作成することできる。
これは、第1の実施形態のように、1つのV形溝群に3つ以上のV形溝が備えられている場合、外側以外のV形溝が、上述した3×2の表、4×3の表、N×(N-1)の表の作成及び拡張に役立つ場合がある。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明は、筆記具を用いて表を作成するためのツールであれば、文房具用、製図用、その他の用途用を問わず利用可能である。
【符号の説明】
【0127】
1 第1の実施形態によるテンプレート
10 テンプレート本体
11 第1のスリット穴
11a 穴端
11c 穴端
12 第2のスリット穴
12a 穴端
12c 穴端
13 第3のスリット穴
13a 穴端
13c 穴端
14 第4のスリット穴
14a 穴端
14c 穴端
16、16A、16B 外周
21、22、23、24 V形溝
21b、22b、23b、24b 谷
31、32、33、34 V形溝
31b、32b、33b、34b 谷
41、42、43、44 V形溝
41b、42b、43b、44b 谷
51、52、53、54 V形溝
51b、52b、53b、54b 谷
L1~L11 ペンにより描かれた線
10A,10B 変形例のテンプレート
21B~21F’ 変形例のV形溝
200 第2の実施形態によるテンプレート
300 第3の実施形態によるテンプレート
G 全体のグリッド
G’ 中央領域のグリッド
N ペン先
【要約】
【課題】表を迅速に作成することができ、必要に応じて簡単に表を拡張することもできるテンプレートを提供すること。
【解決手段】テンプレート1は、テンプレート本体10を備え、テンプレート本体10は、N+1個のスリット穴11~14と、テンプレート本体10を任意の位置で新たな向きに位置決めするための回転方向位置決め手段と、テンプレート本体10を新たな位置で位置決めするための平面直交方向位置決め手段とを備え、平面直交方向位置決め手段は、正方形中央領域の周囲の1辺を構成する一の外側グリッド線の全長にわたって等間隔に分散したN+1個の点のうちのいずれか1つの点から一の外側グリッド線に対して直角をなす方向に単位方眼グリッド1個分に相当する距離だけテンプレート本体外周側に離れた位置に設けられた第1のV形溝21等を外周領域に含んで構成される。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図9
図10