(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-24
(45)【発行日】2025-10-02
(54)【発明の名称】設計支援システム、学習データ生成システム及び学習済みモデル生成システム
(51)【国際特許分類】
G06F 30/27 20200101AFI20250925BHJP
G06F 30/13 20200101ALI20250925BHJP
【FI】
G06F30/27
G06F30/13
(21)【出願番号】P 2025036086
(22)【出願日】2025-03-07
【審査請求日】2025-03-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524139633
【氏名又は名称】ガイア アーキテクト シドニー ピーティーワイ エルティーディー
(74)【代理人】
【識別番号】100155158
【氏名又は名称】渡部 仁
(72)【発明者】
【氏名】河内 孝英
【審査官】松浦 功
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-163658(JP,A)
【文献】特開2021-064351(JP,A)
【文献】特開2020-204580(JP,A)
【文献】特開2023-162562(JP,A)
【文献】特許第7534834(JP,B1)
【文献】特許第7471622(JP,B1)
【文献】特許第7440053(JP,B1)
【文献】特許第7341581(JP,B1)
【文献】特許第7341580(JP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0026605(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第113378520(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00 -30/398
G06F 3/048 - 3/04895
G06F 8/20 - 8/38
G06F 11/36
G06N 3/00 -20/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設計情報中の作成済み又は編集済みの要素に関する要素情報を取得する要素情報取得手段と、
作成済み又は編集済みの要素に関する要素情報、当該要素の次に連続して編集された複数の要素及びその編集順序(以下「複数の要素及びその編集順序」を「要素順序」という。)に関する要素順序情報、並びに当該複数の要素に関する評価値を含む学習データに基づいて学習された学習済みモデルを用いて、前記要素情報取得手段で取得した要素情報から前記要素順序情報を推定する推定手段とを備え、
前記評価値は、設計対象の品質又はリスクに関する評価値であることを特徴とする設計支援システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記設計対象の品質に関する評価値は、前記設計対象の安全性、機能性、利便性、美観性、環境性、経済性又は法適合性に関する評価値であることを特徴とする設計支援システム。
【請求項3】
請求項1において、
前記設計対象のリスクに関する評価値は、前記設計対象の品質が低下するリスク、前記設計対象が倒壊若しくは破損するリスク、前記設計対象が劣化するリスク、前記設計対象に関するコストが増大するリスク、天災事変により前記設計対象に生じるリスク、前記設計対象に関する資産価値が減少するリスク又は前記設計対象が社会的な問題を引き起こすリスクに関する評価値であることを特徴とする設計支援システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項において、
前記学習済みモデルは、前記要素情報、前記要素順序情報及び前記評価値を含む学習データに基づいて当該評価値が最大となるように学習されたものであることを特徴とする設計支援システム。
【請求項5】
請求項4において、
前記学習済みモデルは、前記要素情報、前記要素順序情報及び前記評価値の価値の指標を示す第1指標に基づく前記評価値を含む学習データに基づいて当該評価値が最大となるように学習された第1学習済みモデル、並びに、前記要素情報、前記要素順序情報及び前記第1指標とは異なる第2指標に基づく前記評価値を含む学習データに基づいて当該評価値が最大となるように学習され
た第2学習済みモデルを含み、
前記第1指標又は前記第2指標に関する指標情報を取得する指標情報取得手段と、
前記指標情報取得手段で取得した指標情報に基づいて前記第1学習済みモデル及び前記第2学習済みモデルのいずれかを選択する学習済みモデル選択手段とを備え、
前記推定手段は、前記学習済みモデル選択手段で選択した学習済みモデルを用いて前記要素順序情報を推定することを特徴とする設計支援システム。
【請求項6】
請求項1において、
前記複数の要素は、その設定又は変更に人の判断を要する要素であって、他の要素に対し当該設定又は変更が影響を与える要素であることを特徴とする設計支援システム。
【請求項7】
請求項1において、
前記設計情報は、建築の設計を行うための設計情報であることを特徴とする設計支援システム。
【請求項8】
連続して編集された複数の要素及びその編集順序(以下「複数の要素及びその編集順序」を「要素順序」という。)に関する要素順序情報を含み第1評価値が設定された第1設計情報、並びに前記要素順序に関する要素順序情報を含み第2評価値が設定された第2設計情報に基づいて前記要素順序情報の評価値を算出する算出手段と、
前記第1設計情報及び前記第2設計情報に含まれる前記要素順序情報及び前記算出手段で算出した評価値を含む学習データを生成する生成手段とを備えることを特徴とする学習データ生成システム。
【請求項9】
請求項8において、
前記算出手段は、
前記第1評価値に基づいて、前記第1設計情報に含まれる前記要素順序情報の評価値を算出し、
前記第2評価値に基づいて、前記第2設計情報に含まれる前記要素順序情報の評価値を算出し、
前記第1評価値及び前記第2評価値に基づいて、前記第1設計情報及び前記第2設計情報に共通に含まれる前記要素順序情報の評価値を算出することを特徴とする学習データ生成システム。
【請求項10】
作成済み又は編集済みの要素に関する要素情報と、当該要素の次に連続して編集された複数の要素及びその編集順序(以下「複数の要素及びその編集順序」を「要素順序」という。)に関する要素順序情報との組み合わせに対して、当該複数の要素に関する評価値を付与し
た学習データに基づいて、前記評価値が最大となるように学習を行うことにより学習済みモデルを生成する生成手段を備え、
前記評価値は、設計対象の品質又はリスクに関する評価値であることを特徴とする学習済みモデル生成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設計を支援するシステムに係り、特に、連続して編集される複数の要素及びその編集順序を把握するのに好適な設計支援システム、学習データ生成システム及び学習済みモデル生成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、AI(Artificial Intelligence)を用いて設計を支援する技術としては、例えば、特許文献1記載の技術が知られている。
【0003】
特許文献1記載の技術は、設計の活動の実行の有無に依存して定められる状態Sと、状態の下で選択可能な活動である行動Aとの組み合わせに対して報酬Rを付与し、価値を最大化することによって学習済みモデルを構築する。そして、学習済みモデルを用いて、現在の状態から次に行うべき行動を推論する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
建築の設計では、あるユニットについて関連のある複数の要素を連続して編集することがある。例えば、トイレの設計であれば便器の設計や手洗器の設計を続けて行う。しかしながら、特許文献1記載の技術にあっては、現在の状態から次に行うべき行動を推論するものであるため、連続して編集される複数の要素及びその編集順序を把握することができないという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、このような従来の技術の有する未解決の課題に着目してなされたものであって、連続して編集される複数の要素及びその編集順序を把握するのに好適な設計支援システム、学習データ生成システム及び学習済みモデル生成システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
〔発明1〕 上記目的を達成するために、発明1の設計支援システムは、設計情報中の作成済み又は編集済みの要素に関する要素情報を取得する要素情報取得手段と、作成済み又は編集済みの要素に関する要素情報、当該要素の次に連続して編集された複数の要素及びその編集順序(以下「複数の要素及びその編集順序」を「要素順序」という。)に関する要素順序情報、並びに当該複数の要素に関する評価値を含む学習データに基づいて学習された学習済みモデルを用いて、前記要素情報取得手段で取得した要素情報から前記要素順序情報を推定する推定手段とを備え、前記評価値は、設計対象の品質又はリスクに関する評価値である。
【0008】
このような構成であれば、要素情報取得手段により要素情報が取得される。そして、推定手段により、学習済みモデルを用いて、取得された要素情報から要素順序情報が推定される。
【0009】
ここで、学習済みモデルは、少なくとも要素情報、要素順序情報及び評価値を含む学習データに基づいて学習を行ったものであればよく、要素情報、要素順序情報、評価値及び他の情報を含む学習データに基づいて学習を行ったものも含まれる。
【0010】
また、要素情報取得手段は、例えば、入力装置等から要素情報を入力してもよいし、外部の端末等から要素情報を獲得又は受信してもよいし、記憶装置や記憶媒体等から要素情報を読み出してもよいし、情報処理等により要素情報を生成し又は算出してもよい。したがって、取得には、少なくとも入力、獲得、受信、読出(検索を含む。)、生成及び算出が含まれる。以下、取得の概念については同じである。
【0011】
また、要素情報は、例えば、要素そのもので構成することのほか、要素を識別するための情報(例えば、名称、番号、ID、コード、URL等のリンク情報)として、又は、要素の概要、統計量その他の特徴に関する特徴情報として構成することができる。また、要素情報は、例えば、文字、数字、図形、符合、記号、画像、音声その他の情報として構成することができる。また、要素情報は、要素に関するキーワード(例えば、要素の名称の一部を示す1又は複数のキーワード)として構成することができる。以下、発明10の学習済みモデル生成システムにおいて同じである。
【0012】
また、要素順序情報は、例えば、要素順序そのもので構成することのほか、要素及び編集順序を識別するための情報(例えば、名称、番号、ID、コード、URL等のリンク情報)として、又は、要素及び編集順序の概要、統計量その他の特徴に関する特徴情報として構成することができる。また、要素順序情報は、例えば、文字、数字、図形、符合、記号、画像、音声その他の情報として構成することができる。また、要素順序情報は、要素及び編集順序に関するキーワード(例えば、要素及び編集順序の名称の一部を示す1又は複数のキーワード)として構成することができる。以下、発明8の学習データ生成システム、及び発明10の学習済みモデル生成システムにおいて同じである。
【0013】
また、本システムは、単一の機器、装置、端末その他のデバイスとして実現するようにしてもよいし、複数の機器、装置、端末その他のデバイスを通信可能に接続したネットワークシステムとして実現するようにしてもよい。後者の場合、各構成要素は、それぞれ通信可能に接続されていれば、複数のデバイスのうちいずれに属していてもよい。以下、発明8の学習データ生成システム、及び発明10の学習済みモデル生成システムにおいて同じである。
【0014】
〔発明2〕 さらに、発明2の設計支援システムは、発明1の設計支援システムにおいて、前記設計対象の品質に関する評価値は、前記設計対象の安全性、機能性、利便性、美観性、環境性、経済性又は法適合性に関する評価値である。
【0015】
〔発明3〕 さらに、発明3の設計支援システムは、発明1の設計支援システムにおいて、前記設計対象のリスクに関する評価値は、前記設計対象の品質が低下するリスク、前記設計対象が倒壊若しくは破損するリスク、前記設計対象が劣化するリスク、前記設計対象に関するコストが増大するリスク、天災事変により前記設計対象に生じるリスク、前記設計対象に関する資産価値が減少するリスク又は前記設計対象が社会的な問題を引き起こすリスクに関する評価値である。
【0016】
〔発明4〕 さらに、発明4の設計支援システムは、発明1乃至3のいずれか1の設計支援システムにおいて、前記学習済みモデルは、前記要素情報、前記要素順序情報及び前記評価値を含む学習データに基づいて当該評価値が最大となるように学習されたものである。
【0017】
〔発明5〕 さらに、発明5の設計支援システムは、発明4の設計支援システムにおいて、前記学習済みモデルは、前記要素情報、前記要素順序情報及び前記評価値の価値の指標を示す第1指標に基づく前記評価値を含む学習データに基づいて当該評価値が最大となるように学習された第1学習済みモデル、並びに、前記要素情報、前記要素順序情報及び前記第1指標とは異なる第2指標に基づく前記評価値を含む学習データに基づいて当該評価値が最大となるように学習された第2学習済みモデルを含み、前記第1指標又は前記第2指標に関する指標情報を取得する指標情報取得手段と、前記指標情報取得手段で取得した指標情報に基づいて前記第1学習済みモデル及び前記第2学習済みモデルのいずれかを選択する学習済みモデル選択手段とを備え、前記推定手段は、前記学習済みモデル選択手段で選択した学習済みモデルを用いて前記要素順序情報を推定する。
【0018】
このような構成であれば、指標情報取得手段により指標情報が取得され、学習済みモデル選択手段により、取得された指標情報に基づいて学習済みモデルが選択される。そして、推定手段により、選択された学習済みモデルを用いて要素順序情報が推定される。
【0019】
ここで、第1学習済みモデルは、少なくとも要素情報、要素順序情報及び第1指標に基づく評価値を含む学習データに基づいて学習を行ったものであればよく、要素情報、要素順序情報、第1指標に基づく評価値及び他の情報を含む学習データに基づいて学習を行ったものも含まれる。
【0020】
また、第2学習済みモデルは、少なくとも要素情報、要素順序情報及び第2指標に基づく評価値を含む学習データに基づいて学習を行ったものであればよく、要素情報、要素順序情報、第2指標に基づく評価値及び他の情報を含む学習データに基づいて学習を行ったものも含まれる。
【0021】
〔発明6〕 さらに、発明6の設計支援システムは、発明1の設計支援システムにおいて、前記複数の要素は、その設定又は変更に人の判断を要する要素であって、他の要素に対し当該設定又は変更が影響を与える要素である。
【0022】
〔発明7〕 さらに、発明7の設計支援システムは、発明1の設計支援システムにおいて、前記設計情報は、建築の設計を行うための設計情報である。
【0023】
〔発明8〕 一方、上記目的を達成するために、発明8の学習データ生成システムは、連続して編集された複数の要素及びその編集順序(以下「複数の要素及びその編集順序」を「要素順序」という。)に関する要素順序情報を含み第1評価値が設定された第1設計情報、並びに前記要素順序に関する要素順序情報を含み第2評価値が設定された第2設計情報に基づいて前記要素順序情報の評価値を算出する算出手段と、前記第1設計情報及び前記第2設計情報に含まれる前記要素順序情報及び前記算出手段で算出した評価値を含む学習データを生成する生成手段とを備える。
【0024】
このような構成であれば、生成手段により、第1設計情報及び第2設計情報に基づいて評価値が算出され、生成手段により、第1設計情報及び第2設計情報に含まれる要素順序情報及び算出された評価値を含む学習データが生成される。
【0025】
〔発明9〕 さらに、発明9の学習データ生成システムは、発明8の学習データ生成システムにおいて、前記算出手段は、前記第1評価値に基づいて、前記第1設計情報に含まれる前記要素順序情報の評価値を算出し、前記第2評価値に基づいて、前記第2設計情報に含まれる前記要素順序情報の評価値を算出し、前記第1評価値及び前記第2評価値に基づいて、前記第1設計情報及び前記第2設計情報に共通に含まれる前記要素順序情報の評価値を算出する。
【0026】
このような構成であれば、算出手段により、第1評価値に基づいて、第1設計情報に含まれる要素順序情報の評価値が算出される。また、第2評価値に基づいて、第2設計情報に含まれる要素順序情報の評価値が算出される。また、第1評価値及び第2評価値に基づいて、第1設計情報及び第2設計情報に共通に含まれる要素順序情報の評価値が算出される。
【0027】
〔発明10〕 一方、上記目的を達成するために、発明10の学習済みモデル生成システムは、作成済み又は編集済みの要素に関する要素情報と、当該要素の次に連続して編集された複数の要素及びその編集順序(以下「複数の要素及びその編集順序」を「要素順序」という。)に関する要素順序情報との組み合わせに対して、当該複数の要素に関する評価値を付与し、前記評価値が最大となるように学習を行うことにより学習済みモデルを生成する生成手段を備え、前記評価値は、設計対象の品質又はリスクに関する評価値である。
【0028】
このような構成であれば、要素情報と要素順序情報との組み合わせに対して評価値が付与され、評価値が最大となるように学習が行われることにより学習済みモデルが生成される。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように、発明1の設計支援システムによれば、連続して編集される複数の要素及びその編集順序を把握することができる。また、設計対象の品質又はリスクに関する評価値に応じた要素順序を把握することができる。
【0030】
さらに、発明4の設計支援システムによれば、設計対象の品質又はリスクに関する評価値が高い要素順序を把握することができる。
【0031】
さらに、発明5の設計支援システムによれば、第1指標又は第2指標に基づく評価値が高い要素順序を把握することができる。
【0032】
さらに、発明6の設計支援システムによれば、その設定又は変更に人の判断を要する要素及びその設定又は変更により影響を受ける他の要素の関係を考慮した要素順序を把握することができる。
【0033】
一方、発明8の学習データ生成システムによれば、評価値が設定された設計情報に基づいて、要素順序情報及びその評価値を含む学習データを生成することができる。
【0034】
一方、発明10の学習済みモデル生成システムによれば、評価値が高い要素順序が得られる学習済みモデルを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】図面作成支援装置100のハードウェア構成を示す図である。
【
図2】矩計図のCADデータの構造を示す図である。
【
図4】学習データ生成処理を示すフローチャートである。
【
図6】学習済みモデル生成処理を示すフローチャートである。
【
図7】学習済みモデルの生成及び利用の工程を示すブロック図である。
【
図8】要素順序情報推定処理を示すフローチャートである。
【
図12】要素順序情報推定処理を示すフローチャートである。
【
図13】建築物に対する評価値から要素順序情報の評価値を算出する場合を説明するための図である。
【
図14】3つの学習済みモデル460~464を並列に接続した図である。
【
図15】3つの学習済みモデル470~474を直列に接続した図である。
【
図16】本実施の形態に係るネットワークシステムの構成を示すブロック図である。
【
図17】生成AIサーバ120の機能ブロック図である。
【
図18】学習データ登録処理を示すフローチャートである。
【
図19】要素順序情報取得処理を示すフローチャートである。
【
図20】要素順序情報取得処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
〔第1の実施の形態〕
以下、本発明の第1の実施の形態を説明する。
図1~
図9は、本実施の形態を示す図である。
【0037】
〔本実施の形態の構成〕
まず、本実施の形態の構成を説明する。
図1は、図面作成支援装置100のハードウェア構成を示す図である。
【0038】
図面作成支援装置100は、
図1に示すように、制御プログラムに基づいて演算及びシステム全体を制御するCPU(Central Processing Unit)30と、所定領域に予めCPU30の制御プログラム等を格納しているROM(Read Only Memory)32と、ROM32等から読み出したデータやCPU30の演算過程で必要な演算結果を格納するためのRAM(Random Access Memory)34と、外部装置に対してデータの入出力を媒介するI/F(InterFace)38とで構成されており、これらは、データを転送するための信号線であるバス39で相互に且つデータ授受可能に接続されている。
【0039】
I/F38には、外部装置として、ヒューマンインターフェースとしてデータの入力が可能なキーボードやマウス等からなる入力装置40と、データやテーブル等をファイルとして格納する記憶装置42と、画像信号に基づいて画面を表示する表示装置44とが接続されている。
【0040】
記憶装置42には、CAD(Computer Aided Design)ソフトウェアやBIM(Building Information Modeling)ソフトウェア(以下これらを総称して「CADソフトウェア」という。)がインストールされている。CADソフトウェアは、設計者の操作に応じて図面の作成を支援するソフトウェアである。CADソフトウェアの起動が要求されると、CPU30は、ROM32の所定領域に格納されているCADソフトウェア用のプログラムを起動させ、そのプログラムに従って処理を実行する。設計者は、CADソフトウェアを起動し、矩計図、平面詳細図その他の建築図面を作成することができる。
【0041】
次に、記憶装置42のデータ構造を説明する。
記憶装置42は、矩計図、平面詳細図その他の建築図面のCADデータを記憶している。
【0042】
図2は、矩計図のCADデータの構造を示す図である。
矩計図のCADデータは、
図2に示すように、建築物の断面を詳細に作図した図面を構成するデータであって、作成可能又は編集可能な要素(以下「編集要素」という。)を1又は複数含むデータとして構成されている。矩計図のCADデータは、設計者がCADソフトウェアを利用して作成するものである。設計者は、CADソフトウェアにおいて、編集要素を作成、設定、変更又は削除(以下「編集」という。)することにより矩計図を作成する。
図2の例では、「内部廊下」と表示された領域の床、壁及び天井の各編集要素が、「風除室」と表示された領域の床、壁及び天井の各編集要素がそれぞれ配置されている。
【0043】
平面詳細図その他の建築図面のCADデータについても同様であり、1又は複数の編集要素を含むデータとして構成されている。
【0044】
記憶装置42は、CADデータごとに、編集要素を編集した履歴を示す編集履歴データを記憶している。CADデータには、編集履歴データに係る最終的な編集結果が反映されている。
【0045】
図3は、編集履歴データの構造を示す図である。
編集履歴データは、
図3に示すように、編集した編集要素ごとに、その編集要素に関する要素情報400及びその編集要素の編集に要した編集時間402が編集順に含まれている。要素情報400は、編集要素を識別するための要素ID、編集要素の編集の対象となるエリア及び編集要素が含まれている。編集時間402は、例えば、編集終了時刻から編集開始時刻を減算することにより算出することができる。
【0046】
図3の例では、第1の関連のあるまとまりとして、トイレの編集要素「便器」「手洗いカウンター」「鏡」「タオル掛け」がその順で連続して編集されていることを示している。これら編集要素には、要素ID「52」「53」「54」「55」が割り当てられ、編集時間はそれぞれ35、38、70、94分要している。
【0047】
また、第2の関連のあるまとまりとして、トイレの編集要素「換気扇」「照明」「収納」「コンセント」がその順で連続して編集されていることを示している。これら編集要素には、要素ID「56」「57」「58」「59」が割り当てられ、編集時間はそれぞれ94、48、42、74分要している。
【0048】
また、第3の関連のあるまとまりとして、クローゼットの編集要素「棚板」「ハンガーパイプ」「引き出し」「カゴ」がその順で連続して編集されていることを示している。これら編集要素には、要素ID「60」「61」「62」「63」が割り当てられ、編集時間はそれぞれ96、74、84、22分要している。
【0049】
また、第4の関連のあるまとまりとして、キッチンの編集要素「床材」「壁材」「カウンター」「シンク」がその順で連続して編集されていることを示している。これら編集要素には、要素ID「64」「65」「66」「67」が割り当てられ、編集時間はそれぞれ42、44、35、32分要している。
【0050】
編集履歴データは、学習データの作成に用いるため、記憶装置42には、過去に作成された多数の編集履歴データが記憶されている。
【0051】
〔本実施の形態の動作〕
次に、本実施の形態の動作を説明する。
〔学習データ生成処理〕
図4は、学習データ生成処理を示すフローチャートである。
【0052】
学習データ生成処理は、学習データを生成する処理であって、CPU30において実行されると、
図4に示すように、ステップS100に移行する。
【0053】
ステップS100では、未処理の編集履歴データを記憶装置42から取得し、ステップS102に移行して、変数nに「2」を設定し、ステップS104に移行する。
【0054】
ステップS104~S108では、ステップS100で取得した編集履歴データから、作成済み又は編集済みの編集要素の要素ID(以下「作成済み又は編集済みの要素ID」と略記する。)、その編集要素の次に連続して編集されたn個(変数nの値で示す個数)の編集要素及びその編集順序、並びにその編集時間を取得する。以下、複数の編集要素及びその編集順序を「要素順序」と表記することがある。
図3を例に、変数nの値が「2」の場合について説明する。
図3の編集履歴データでは各行が編集順に並んでいる。
【0055】
2行目を対象とした場合、作成済み又は編集済みの要素IDとしてこれよりも前の編集要素の要素ID「01」~「51」が取得される。変数nの値が「2」であるので、編集要素として「便器」「手洗いカウンター」が、編集時間として「35」「38」がそれぞれ取得される。
【0056】
3行目を対象とした場合、作成済み又は編集済みの要素IDとしてこれよりも前の編集要素の要素ID「01」~「52」が取得される。変数nの値が「2」であるので、編集要素として「手洗いカウンター」「鏡」が、編集時間として「38」「70」がそれぞれ取得される。
【0057】
次いで、ステップS110に移行して、ステップS108で取得した編集時間を合計したものに「-1」を乗算することにより評価値を算出する。上記2行目の例では、編集時間「35」「38」が取得されるので、評価値は、(35+38)×-1=-73と算出される。「-1」を乗算するのは、編集時間が短いほど評価値を高く設定するためである。
【0058】
次いで、ステップS112に移行して、ステップS104~S108で取得した要素ID及び要素順序、並びにステップS110で算出した評価値を対応づけて学習データに登録し、ステップS114に移行して、変数nの値に「1」を加算し、ステップS116に移行する。
【0059】
ステップS116では、変数nの値が「4」よりも大きいか否かを判定し、「4」以下であると判定した場合(NO)は、ステップS104に移行する。そして、変数nの値が「4」になるまでステップS104~S114の処理を繰り返し実行する。
【0060】
図3を例に、変数nの値が「3」の場合についてステップS104~S110の処理を説明する。
【0061】
2行目を対象とした場合、作成済み又は編集済みの要素IDとしてこれよりも前の編集要素の要素ID「01」~「51」が取得される。変数nの値が「3」であるので、編集要素として「便器」「手洗いカウンター」「鏡」が、編集時間として「35」「38」「70」がそれぞれ取得される。評価値は、(35+38+70)×-1=-143と算出される。
【0062】
3行目を対象とした場合、作成済み又は編集済みの要素IDとしてこれよりも前の編集要素の要素ID「01」~「52」が取得される。変数nの値が「3」であるので、編集要素として「手洗いカウンター」「鏡」「タオル掛け」が、編集時間として「38」「70」「94」がそれぞれ取得される。評価値は、(38+70+94)×-1=-202と算出される。
【0063】
また、
図3を例に、変数nの値が「4」の場合についてステップS104~S110の処理を説明する。
【0064】
2行目を対象とした場合、作成済み又は編集済みの要素IDとしてこれよりも前の編集要素の要素ID「01」~「51」が取得される。変数nの値が「4」であるので、編集要素として「便器」「手洗いカウンター」「鏡」「タオル掛け」が、編集時間として「35」「38」「70」「94」がそれぞれ取得される。評価値は、(35+38+70+94)×-1=-237と算出される。
【0065】
3行目を対象とした場合、作成済み又は編集済みの要素IDとしてこれよりも前の編集要素の要素ID「01」~「52」が取得される。変数nの値が「4」であるので、編集要素として「手洗いカウンター」「鏡」「タオル掛け」「換気扇」が、編集時間として「38」「70」「94」「94」が取得される。評価値は、(38+70+94+94)×-1=-296と算出される。
【0066】
一方、ステップS116で、変数nの値が「4」よりも大きいと判定した場合(YES)は、ステップS118に移行して、すべての編集履歴データについてステップS100~S116の処理が終了したか否かを判定し、すべての編集履歴データについて処理が終了したと判定した場合(YES)は、ステップS120に移行する。
【0067】
ステップS120では、ステップS112で要素IDその他の情報を登録した学習データを記憶装置42に記憶する。
【0068】
図5は、学習データの構造を示す図である。
学習データは、
図5に示すように、各行ごとに、作成済み又は編集済みの要素ID410、要素順序情報412及び評価値414が含まれている。要素順序情報412は、編集要素の編集の対象となるエリア及び要素順序が含まれている。
【0069】
図5の2行目は、
図3の1行目の編集要素の次に連続して編集された2つの編集要素、その編集順序及び評価値を、
図5の3行目は、
図3の2行目の編集要素の次に連続して編集された2つの編集要素、その編集順序及び評価値を、
図5の4行目は、
図3の3行目の編集要素の次に連続して編集された2つの編集要素、その編集順序及び評価値をそれぞれ示している。また、
図5の6行目は、
図3の5行目の編集要素の次に連続して編集された2つの編集要素、その編集順序及び評価値を、
図5の7行目は、
図3の6行目の編集要素の次に連続して編集された2つの編集要素、その編集順序及び評価値を、
図5の8行目は、
図3の7行目の編集要素の次に連続して編集された2つの編集要素、その編集順序及び評価値をそれぞれ示している。
【0070】
また、
図5の10行目は、
図3の1行目の編集要素の次に連続して編集された3つの編集要素、その編集順序及び評価値を、
図5の11行目は、
図3の2行目の編集要素の次に連続して編集された3つの編集要素、その編集順序及び評価値をそれぞれ示している。また、
図5の13行目は、
図3の5行目の編集要素の次に連続して編集された3つの編集要素、その編集順序及び評価値を、
図5の14行目は、
図3の6行目の編集要素の次に連続して編集された3つの編集要素、その編集順序及び評価値をそれぞれ示している。
【0071】
また、
図5の16行目は、
図3の1行目の編集要素の次に連続して編集された4つの編集要素、その編集順序及び評価値を、
図5の18行目は、
図3の5行目の編集要素の次に連続して編集された4つの編集要素、その編集順序及び評価値をそれぞれ示している。
【0072】
〔学習済みモデル生成処理〕
図6は、学習済みモデル生成処理を示すフローチャートである。
【0073】
図7は、学習済みモデルの生成及び利用の工程を示すブロック図である。
学習済みモデル生成処理は、学習済みモデルを生成するために実行される処理であって、CPU30において実行されると、
図6に示すように、ステップS200に移行して、学習データ解析処理を実行する。学習データ解析処理では、学習データを記憶装置42から読み出し、読み出した学習データから、作成済み又は編集済みの要素ID410、要素順序情報412及び評価値414を抽出する。
【0074】
次いで、ステップS202に移行する。ステップS202では、
図7に示すように、ステップS200で抽出した情報に基づいて学習用データセットを生成し、ステップS204に移行して、生成した学習用データセットを学習用プログラムに入力し、学習用プログラムにより学習済みモデルを生成する。学習用プログラムは、学習前パラメータ及びハイパーパラメータを備え、入力した学習用データセット及びハイパーパラメータに基づいて学習を行い、学習前パラメータを更新する。学習方法としては、例えば、強化学習(例えば、教師あり強化学習、模倣学習)を採用することができる。強化学習では、作成済み又は編集済みの要素IDと、その編集要素の次に連続して編集された複数の編集要素及びその編集順序に関する要素順序情報との組み合わせに対して、その複数の編集要素の編集に関する評価値を付与し、評価値が最大となるように学習を行う。そして、学習結果として学習済みモデルを出力する。
【0075】
学習済みモデルは、作成済み又は編集済みの要素ID410、要素順序情報412及び評価値414に基づいて評価値414が最大となるように学習が行われている。学習済みモデルは、学習前パラメータが学習により更新された学習済みパラメータ及び推論プログラムを備える。推論プログラムは、作成済み又は編集済みの要素IDを入力し、学習済みパラメータに基づいて、入力した要素IDから要素順序情報を推定し、推定した要素順序情報を出力する。なお、入力した要素IDと出力される要素順序情報の関係は、AIの学習により決まるものであるので、過去の学習データの内容と同様の傾向を示すものの、必ずしも正確には一致しない曖昧さがある。ただし、この曖昧さは、学習データ量及び学習精度により小さくすることができる。
【0076】
次いで、ステップS206に移行して、ステップS204で生成した学習済みモデルを記憶装置42に記憶し、一連の処理を終了する。
【0077】
〔要素順序情報推定処理〕
図8は、要素順序情報推定処理を示すフローチャートである。
【0078】
要素順序情報推定処理は、設計者その他のユーザからの要求に応じて実行される処理であって、CPU30において実行されると、
図8に示すように、まず、ステップS300に移行する。
【0079】
ステップS300では、現在編集中のCADデータから作成済み又は編集済みの要素IDを取得し、ステップS302に移行する。
【0080】
ステップS302では、記憶装置42の学習済みモデルを用いて、ステップS300で取得した要素IDから、編集要素又は編集順序が異なる複数の要素順序情報を推定する。推定は、要素IDを学習済みモデルに入力し、学習済みモデルから出力される要素順序情報を取得することにより行う。学習済みモデルに対しては、1の入力から複数の出力を取得するようにしてもよいし、1の入力と1の出力を複数回繰り返すことにより複数の出力を取得するようにしてもよい。
【0081】
次いで、ステップS304に移行して、ステップS302で推定した複数の要素順序情報に基づいて、複数の表示規則のうちいずれかにより複数の要素順序のいずれかを表示装置44に表示する。どの表示規則を用いるかは、例えば、設計者その他のユーザが設定してもよいし、所定のアルゴリズムにより設定してもよい。
【0082】
第1の表示規則は、推定した複数の要素順序のうち編集要素の数が最も多い要素順序を表示することである。
【0083】
第2の表示規則は、推定した複数の要素順序のうち関連のあるまとまりを有する要素順序を表示することである。例えば、現在の編集状態から推定される複数の要素順序として、(1)A、B、(2)A、B、C、(3)A、B、C、D、(4)A、B、C、D、E、(5)A、B、C、D、E、Fがあり、このうちA~Dが関連のあるまとまりである場合、第2の表示規則によれば、(3)~(5)のいずれかを表示する。関連のあるまとまりであるかどうかの判定は、例えば、A~Fのうち2以上の編集要素及びその編集順序について学習データにおける出現回数が所定以上のものを特定することにより行うことができる。以下、第3及び第4の表示規則において同じである。
【0084】
第3の表示規則は、推定した複数の要素順序のうち関連のあるまとまりと同一の要素順序を表示することである。例えば、現在の編集状態から推定される複数の要素順序が上記(1)~(5)の場合、第3の表示規則によれば、(3)を表示する。
【0085】
第4の表示規則は、推定した複数の要素順序のうち、関連のあるまとまり及び他の編集要素を含む要素順序から関連のあるまとまりのある部分を表示することである。例えば、現在の編集状態から推定される複数の要素順序が上記(1)、(2)、(5)の場合、第4の表示規則によれば、(5)からA~Dを表示する。
【0086】
次いで、ステップS306に移行して、表示した要素順序をもとに設計者が編集要素を作成又は編集した場合、その編集要素の要素IDを含む作成済み又は編集済みの要素IDを現在編集中のCADデータから取得し、ステップS308に移行する。
【0087】
ステップS308では、ステップS304、S314で表示した要素順序及びステップS306で取得した要素IDに基づいて、設計者が作成又は編集した編集要素が、ステップS304、S314で表示した編集要素又は編集順序と異なるか否かを判定し、編集結果が推定結果と異なると判定した場合(YES)は、ステップS310に移行する。
【0088】
ステップS310では、ステップS304、S314で表示に用いる表示規則を変更する。例えば、編集結果が推定結果と一致するように最適な表示規則に変更する。表示規則の変更タイミングは、1の作成又は編集ごとでなくてもよく、複数の作成又は編集ごとであってもよい。
【0089】
次いで、ステップS312に移行して、ステップS302の処理と同様に、記憶装置42の学習済みモデルを用いて、ステップS306で取得した要素IDから複数の要素順序情報を推定し、ステップS314に移行する。
【0090】
ステップS314では、ステップS304の処理と同様に、ステップS312で推定した複数の要素順序情報に基づいて複数の要素順序のいずれかを表示装置44に表示し、ステップS316に移行する。
【0091】
ステップS316では、設計者による編集が終了したか否かを判定し、編集が終了したと判定した場合(YES)は、一連の処理を終了する。
【0092】
一方、ステップS316で、設計者による編集が終了していないと判定した場合(NO)は、ステップS306に移行する。
【0093】
一方、ステップS308で、編集結果が推定結果と一致すると判定した場合(NO)は、ステップS312に移行する。
【0094】
〔ピアノの搬入を想定する場合〕
次に、ピアノの搬入を想定する場合の動作を説明する。
【0095】
図9は、ピアノの搬入を想定する矩計図である。
設計者は、CADソフトウェアにおいて
図9の矩計図において幅が120[mm]のピアノを設置したい場合、ピアノを搬入するにあたってピアノとトイレの壁の干渉を防止するために、トイレの幅を短くする必要がある。しかしながら、トイレの幅を変更すると、トイレの他の編集要素についても編集を行う必要が生じてくる。そこで、設計者は、トイレの幅を変更した後に、トイレについて編集すべき要素順序の推定を要求すると、ステップS300~S304を経て、現在編集中のCADデータから作成済み又は編集済みの要素IDが取得され、取得された要素IDから要素順序が推定、表示される。例えば、
図5の16行目の要素順序情報が推定された場合、「便器→手洗いカウンター→鏡→タオル掛け」が表示される。
図9に示すようにこれら編集要素が既にCADデータに含まれている場合は、例えば、これら編集要素が強調表示(例えば、特定の色や模様で表示)されるとともに矢印等で結んで編集順序が表示される。CADデータに含まれていない場合は、例えば、これら編集要素がゴースト表示(例えば、編集要素のゴーストイメージをワイヤフレームで表示)されるとともに矢印等で結んで編集順序が表示される。
【0096】
そして、設計者は、推定、表示された要素順序をもとに編集要素「便器」を作成又は編集すると、ステップS306~S314を経て、次の要素順序が推定、表示される。設計者の編集結果と推定結果が異なる場合は、ステップS310を経て、表示規則が変更される。
【0097】
〔本実施の形態の効果〕
次に、本実施の形態の効果を説明する。
本実施の形態では、作成済み又は編集済みの要素IDを取得し、学習済みモデルを用いて、取得した要素IDから複数の要素順序情報を推定する。
【0098】
これにより、連続して編集される複数の編集要素及びその編集順序を把握することができる。
【0099】
さらに、本実施の形態では、編集要素又は編集順序が異なる複数の要素順序情報を推定し、推定した複数の要素順序情報に基づいて複数の要素順序のいずれかを表示する。
【0100】
これにより、連続して編集される複数の編集要素及びその編集順序について複数の候補を把握することができる。
【0101】
さらに、本実施の形態では、推定した複数の要素順序のうち編集要素の数が最も多い要素順序を表示する。
【0102】
これにより、設計者は、大きな編集単位をイメージしながら編集を行うことができる。
さらに、本実施の形態では、学習データにおける出現回数が所定以上の要素順序を関連のあるまとまりとして特定し、推定した複数の要素順序のうち関連のあるまとまりを有する要素順序を表示する。
【0103】
これにより、設計者は、関連のあるまとまりをイメージしながら編集を行うことができる。
【0104】
さらに、本実施の形態では、学習データにおける出現回数が所定以上の要素順序を関連のあるまとまりとして特定し、推定した複数の要素順序のうち関連のあるまとまりと同一の要素順序を表示する。
【0105】
これにより、設計者は、関連のあるまとまりをイメージしながら編集を行うことができる。
【0106】
さらに、本実施の形態では、学習データにおける出現回数が所定以上の要素順序を関連のあるまとまりとして特定し、推定した複数の要素順序のうち、関連のあるまとまり及び他の編集要素を含む要素順序から関連のあるまとまりのある部分を表示する。
【0107】
これにより、設計者は、関連のあるまとまりをイメージしながら編集を行うことができる。
【0108】
さらに、本実施の形態では、表示した要素順序をもとに設計者が作成又は編集した編集要素の要素IDを含む作成済み又は編集済みの要素IDを取得し、学習済みモデルを用いて、取得した要素IDから複数の要素順序情報を推定する。
【0109】
これにより、表示された要素順序をもとに作成又は編集を行った結果に対し要素順序が推定、表示されるので、連続して編集される複数の編集要素及びその編集順序を把握することができる。
【0110】
さらに、本実施の形態では、表示した要素順序をもとに設計者が作成又は編集した編集要素の要素IDを含む作成済み又は編集済みの要素IDを取得し、表示した要素順序及び取得した要素IDに基づいて表示規則を変更する。
【0111】
これにより、要素順序の表示結果及びその後の作成又は編集の結果に応じて表示規則を変更することができる。
【0112】
さらに、本実施の形態では、学習済みモデルは、作成済み又は編集済みの要素ID、その編集要素の次に連続して編集された複数の編集要素及びその編集順序に関する要素順序情報並びにその複数の編集要素の編集に関する評価値を含む学習データに基づいて評価値が最大となるように学習されたものである。
【0113】
これにより、評価値が高い要素順序を把握することができる。
さらに、本実施の形態では、作成済み又は編集済みの要素IDと、その編集要素の次に連続して編集された複数の編集要素及びその編集順序に関する要素順序情報との組み合わせに対して、その複数の編集要素の編集に関する評価値を付与し、評価値が最大となるように学習を行うことにより学習済みモデルを生成する。
【0114】
これにより、評価値が高い要素順序が得られる学習済みモデルを得ることができる。
〔第2の実施の形態〕
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。
図10~
図12は、本実施の形態を示す図である。その他、
図3、
図5、
図6及び
図9を援用する。
【0115】
本実施の形態は、上記第1の実施の形態に対し、異なる指標に基づく評価値によりそれぞれ学習を行った第1学習済みモデル及び第2学習済みモデルを用いて推定を行う点で異なる。以下、上記第1の実施の形態と異なる部分についてのみ説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0116】
〔本実施の形態の構成〕
まず、本実施の形態の構成を説明する。
図10は、編集履歴データの構造を示す図である。
【0117】
記憶装置42は、CADデータごとに、
図3の編集履歴データのほか、
図10の編集履歴データを記憶している。
【0118】
編集履歴データは、
図10に示すように、編集した編集要素ごとに、その編集要素に関する要素情報420及びその編集要素の編集に要した編集項目数422が編集順に含まれている。
【0119】
図10の例では、第1の関連のあるまとまりとして、トイレの編集要素「便器」「手洗いカウンター」「鏡」「タオル掛け」がその順で連続して編集されていることを示している。これら編集要素には、要素ID「52」「53」「54」「55」が割り当てられ、編集項目数はそれぞれ8、5、6、9となっている。
【0120】
また、第2の関連のあるまとまりとして、トイレの編集要素「換気扇」「照明」「収納」「コンセント」がその順で連続して編集されていることを示している。これら編集要素には、要素ID「56」「57」「58」「59」が割り当てられ、編集項目数はそれぞれ3、7、8、6となっている。
【0121】
また、第3の関連のあるまとまりとして、クローゼットの編集要素「棚板」「ハンガーパイプ」「引き出し」「カゴ」がその順で連続して編集されていることを示している。これら編集要素には、要素ID「60」「61」「62」「63」が割り当てられ、編集項目数はそれぞれ8、7、2、4となっている。
【0122】
また、第4の関連のあるまとまりとして、キッチンの編集要素「床材」「壁材」「カウンター」「シンク」がその順で連続して編集されていることを示している。これら編集要素には、要素ID「64」「65」「66」「67」が割り当てられ、編集項目数はそれぞれ7、4、3、8となっている。
【0123】
〔本実施の形態の動作〕
次に、本実施の形態の動作を説明する。
〔学習データ生成処理〕
学習データ生成処理では、
図5の学習データの生成と同様に、
図10の編集履歴データに基づいて学習データを生成する。
【0124】
図11は、学習データの構造を示す図である。
学習データは、
図11に示すように、各行ごとに、作成済み又は編集済みの要素ID430、要素順序情報432及び評価値434が含まれている。
【0125】
図11の2行目は、
図10の1行目の編集要素の次に連続して編集された2つの編集要素、その編集順序及び評価値を、
図11の3行目は、
図10の2行目の編集要素の次に連続して編集された2つの編集要素、その編集順序及び評価値を、
図11の4行目は、
図10の3行目の編集要素の次に連続して編集された2つの編集要素、その編集順序及び評価値をそれぞれ示している。また、
図11の6行目は、
図10の5行目の編集要素の次に連続して編集された2つの編集要素、その編集順序及び評価値を、
図11の7行目は、
図10の6行目の編集要素の次に連続して編集された2つの編集要素、その編集順序及び評価値を、
図11の8行目は、
図10の7行目の編集要素の次に連続して編集された2つの編集要素、その編集順序及び評価値をそれぞれ示している。
【0126】
また、
図11の10行目は、
図10の1行目の編集要素の次に連続して編集された3つの編集要素、その編集順序及び評価値を、
図11の11行目は、
図10の2行目の編集要素の次に連続して編集された3つの編集要素、その編集順序及び評価値をそれぞれ示している。また、
図11の13行目は、
図10の5行目の編集要素の次に連続して編集された3つの編集要素、その編集順序及び評価値を、
図11の14行目は、
図10の6行目の編集要素の次に連続して編集された3つの編集要素、その編集順序及び評価値をそれぞれ示している。
【0127】
また、
図11の16行目は、
図10の1行目の編集要素の次に連続して編集された4つの編集要素、その編集順序及び評価値を、
図11の18行目は、
図10の5行目の編集要素の次に連続して編集された4つの編集要素、その編集順序及び評価値をそれぞれ示している。
【0128】
〔学習済みモデル生成処理〕
学習済みモデル生成処理では、ステップS200~S204を経て、
図5の学習データに基づいて学習を行うことにより第1学習済みモデルを生成する。第1学習済みモデルは、上記第1の実施の形態における学習済みモデルと同様である。
【0129】
学習済みモデル生成処理では、ステップS200~S204を経て、第1学習済みモデルの生成と同様に、
図11の学習データに基づいて学習を行うことにより第2学習済みモデルを生成する。第2学習済みモデルは、作成済み又は編集済みの要素ID430、要素順序情報432及び評価値434に基づいて評価値434が最大となるように学習が行われている。
【0130】
そして、ステップS206に移行して、ステップS204で生成した第1学習済みモデル及び第2学習済みモデルを記憶装置42に記憶し、一連の処理を終了する。
【0131】
〔要素順序情報推定処理〕
図12は、要素順序情報推定処理を示すフローチャートである。
【0132】
要素順序情報推定処理は、設計者その他のユーザからの要求に応じて実行される処理であって、CPU30において実行されると、
図12に示すように、まず、ステップS330に移行する。
【0133】
ステップS330では、評価値の価値の指標を示す第1指標「編集時間」又は第2指標「編集項目数」に関する指標情報を取得し、ステップS332に移行して、取得した指標情報に係る指標が第1指標である場合は第1学習済みモデルを選択し、取得した指標情報に係る指標が第2指標である場合は第2学習済みモデルを選択する。
【0134】
次いで、ステップS334に移行して、現在編集中のCADデータから作成済み又は編集済みの要素IDを取得し、ステップS336に移行する。
【0135】
ステップS336では、記憶装置42の第1学習済みモデル及び第2学習済みモデルのうちステップS332で選択した学習済みモデル(以下「選択学習済みモデル」という。)を用いて、ステップS334で取得した要素IDから複数の要素順序情報を推定する。推定方法は、上記第1の実施の形態におけるステップS302の処理と同様である。
【0136】
次いで、ステップS338に移行して、ステップS304の処理と同様に、ステップS336で推定した複数の要素順序情報に基づいて複数の要素順序のいずれかを表示装置44に表示し、ステップS340に移行する。
【0137】
ステップS340では、表示した要素順序をもとに設計者が編集要素を作成又は編集した場合、その編集要素の要素IDを含む作成済み又は編集済みの要素IDを現在編集中のCADデータから取得し、ステップS342に移行する。
【0138】
ステップS342では、ステップS338、S348で表示した要素順序及びステップS340で取得した要素IDに基づいて、設計者が作成又は編集した編集要素が、ステップS338、S348で表示した編集要素又は編集順序と異なるか否かを判定し、編集結果が推定結果と異なると判定した場合(YES)は、ステップS344に移行する。
【0139】
ステップS344では、ステップS310の処理と同様に、ステップS338、S348で表示に用いる表示規則を変更し、ステップS346に移行する。
【0140】
ステップS346では、ステップS336の処理と同様に、選択学習済みモデルを用いて、ステップS340で取得した要素IDから複数の要素順序情報を推定し、ステップS348に移行する。
【0141】
ステップS348では、ステップS338の処理と同様に、ステップS346で推定した複数の要素順序情報に基づいて複数の要素順序のいずれかを表示装置44に表示し、ステップS350に移行する。
【0142】
ステップS350では、設計者による編集が終了したか否かを判定し、編集が終了したと判定した場合(YES)は、一連の処理を終了する。
【0143】
一方、ステップS350で、設計者による編集が終了していないと判定した場合(NO)は、ステップS340に移行する。
【0144】
一方、ステップS342で、編集結果が推定結果と一致すると判定した場合(NO)は、ステップS346に移行する。
【0145】
〔ピアノの搬入を想定する場合〕
次に、ピアノの搬入を想定する場合の動作を説明する。
【0146】
設計者は、CADソフトウェアにおいて
図9の矩計図において幅が120[mm]のピアノを設置したい場合、ピアノを搬入するにあたってピアノとトイレの壁の干渉を防止するために、トイレの幅を短くする必要がある。しかしながら、トイレの幅を変更すると、トイレの他の編集要素についても編集を行う必要が生じてくる。そこで、設計者は、トイレの幅を変更した後に、トイレについて編集すべき要素順序の推定を要求する。このとき、編集時間が短くなる要素順序が得たい場合、設計者は、指標として「編集時間」を選択すると、ステップS330~S332を経て、第1学習済みモデルが選択される。そして、ステップS334~S338を経て、現在編集中のCADデータから作成済み又は編集済みの要素IDが取得され、第1学習済みモデルにより、取得された要素IDから要素順序が推定、表示される。
【0147】
これに対し、編集項目数が少なくなる要素順序が得たい場合、設計者は、指標として「編集項目数」を選択すると、ステップS330~S332を経て、第2学習済みモデルが選択される。そして、ステップS334~S338を経て、現在編集中のCADデータから作成済み又は編集済みの要素IDが取得され、第2学習済みモデルにより、取得された要素IDから要素順序が推定、表示される。
【0148】
〔本実施の形態の効果〕
次に、本実施の形態の効果を説明する。
本実施の形態では、第1指標又は第2指標に関する指標情報を取得し、取得した指標情報に基づいて第1学習済みモデル及び第2学習済みモデルのいずれかを選択し、作成済み又は編集済みの要素IDを取得し、選択学習済みモデルを用いて、取得した要素IDから複数の要素順序情報を推定する。
【0149】
これにより、第1指標又は第2指標に基づく評価値が高い要素順序を把握することができる。
【0150】
〔第3の実施の形態〕
次に、本発明の第3の実施の形態を説明する。
図13は、本実施の形態を示す図である。
【0151】
本実施の形態は、上記第1及び第2の実施の形態に対し、編集時間又は編集項目数以外の評価値を採用する点で異なる。以下、上記第1及び第2の実施の形態と異なる部分についてのみ説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0152】
〔本実施の形態の構成〕
まず、本実施の形態の構成を説明する。
学習データに含める評価値として、建築物の品質又はリスクに関する評価値を採用する。
【0153】
建築物の品質としては、例えば、(1)建築物の安全性(例えば、構造安全性、防火安全性、使用安全性)、(2)建築物の機能性又は利便性(例えば、居住性、快適性)、(3)建築物の美観性(例えば、デザイン性)、(4)建築物の環境性(例えば、環境負荷低減、省エネルギー性)、(5)建築物の経済性(例えば、建築コスト、維持コスト、ライフサイクルコストその他のコスト)、(6)建築物の法適合性(例えば、法律や基準に適合する度合い又は適合の有無)を採用することができる。
【0154】
建築物のリスクとしては、例えば、(1)建築物の品質(例えば、上記安全性、機能性、利便性、美観性、環境性、経済性又は法適合性)が低下するリスク、(2)強度、耐久性、耐震性等の不足により建築物が倒壊、破損するリスク、(3)経年劣化等により建築物が劣化するリスク、(4)建築物に関するコストが増大するリスク、(5)火災、水災、風災、地震その他天災事変により建築物に生じるリスク、(6)建築物に関する資産価値が減少するリスク、(7)建築物が社会的な問題を引き起こすリスクを採用することができる。
【0155】
建築物の品質又はリスクは、所定範囲(例えば0~10)の数値として評価し、これを評価値とすることができる。また、異なる指標に基づく評価値を同程度に対比できるように各指標について評価値を標準化(平均値0、標準偏差1)することが好ましい。建築物の品質又はリスクに関する評価値は、上記第1及び第2の実施の形態のように要素順序情報に対して設定してもよいし、設計される建築物に対して設定してもよい。建築物に対して評価値を設定する場合、学習データでは、各要素順序情報に対応する評価値が必要となるので、建築物に対する評価値から、その建築物の設計に係る要素順序情報の評価値を算出する。
【0156】
図13は、建築物に対する評価値から要素順序情報の評価値を算出する場合を説明するための図である。
【0157】
図13の例では、3つのCADデータ450~454があり、各CADデータ全体に対し1つの評価値が設定されている。なお、評価値は、標準化されているものとする。
【0158】
CADデータ450は、建築物Aの設計に係るCADデータであって、建築物Aに対し指標1(例えば、建築物の安全性)の評価値が設定されている。例えば、CADデータ450に対しては、指標1に基づく評価値として「0.1」が設定されている。
【0159】
CADデータ452は、建築物Bの設計に係るCADデータであって、建築物Bに対し指標2(例えば、建築物の機能性)の評価値が設定されている。例えば、CADデータ452に対しては、指標2に基づく評価値として「0.2」が設定されている。
【0160】
CADデータ454は、建築物Cの設計に係るCADデータであって、建築物Cに対し指標3(例えば、建築物のリスク)に基づく評価値が設定されている。例えば、CADデータ454に対しては、指標3に基づく評価値として「0.3」が設定されている。
【0161】
CADデータ450~454には複数の要素順序情報が含まれている。ステップS110では、CADデータ450にのみ含まれる要素順序情報に対しては評価値を「0.1」、CADデータ452にのみ含まれる要素順序情報に対しては評価値を「0.2」、CADデータ454にのみ含まれる要素順序情報に対しては評価値を「0.3」としてそれぞれ算出する。また、CADデータ450、452に共通に含まれる要素順序情報に対しては評価値を0.1+0.2=「0.3」、CADデータ452、454に共通に含まれる要素順序情報に対しては評価値を0.2+0.3=「0.5」、CADデータ450、454に共通に含まれる要素順序情報に対しては評価値を0.1+0.3=「0.4」としてそれぞれ算出する。また、CADデータ450~454に共通に含まれる要素順序情報に対しては評価値を0.1+0.2+0.3=「0.6」として算出する。
【0162】
〔本実施の形態の効果〕
次に、本実施の形態の効果を説明する。
本実施の形態では、作成済み又は編集済みの要素IDを取得し、作成済み又は編集済みの要素ID、その編集要素の次に連続して編集された複数の編集要素及びその編集順序に関する要素順序情報、並びにその複数の編集要素に関する評価値であって建築物の品質又はリスクに関する評価値を含む学習データに基づいて学習された学習済みモデルを用いて、取得した要素IDから複数の要素順序情報を推定する。
【0163】
これにより、連続して編集される複数の編集要素及びその編集順序を把握することができる。また、建築物の品質又はリスクに関する評価値に応じた要素順序を把握することができる。
【0164】
さらに、本実施の形態では、学習済みモデルは、要素ID、要素順序情報及び評価値を含む学習データに基づいて評価値が最大となるように学習されたものである。
【0165】
これにより、建築物の品質又はリスクに関する評価値が高い要素順序を把握することができる。
【0166】
本実施の形態において、ステップS110は、発明8又は9の算出手段に対応し、ステップS120は、発明8又は10の生成手段に対応し、ステップS300、S306、S334、S340は、発明1の要素情報取得手段に対応し、ステップS302、S312、S336、S346は、発明1又は5の推定手段に対応している。また、ステップS330は、発明5の指標情報取得手段に対応し、ステップS332は、発明5のモデル選択手段に対応し、CADデータは、発明7乃至9の設計情報に対応し、作成済み又は編集済みの要素IDは、発明1、4、5又は10の要素情報に対応している。
【0167】
〔第4の実施の形態〕
次に、本発明の第4の実施の形態を説明する。
図14は、本実施の形態を示す図である。その他、
図5及び
図11を援用する。
【0168】
本実施の形態は、上記第3の実施の形態に対し、異なる指標に基づく評価値に基づいてそれぞれ学習された複数の学習済みモデルを用いて要素順序情報を推定する点で異なる。以下、上記第1~第3の実施の形態と異なる部分についてのみ説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0169】
〔本実施の形態の構成〕
まず、本実施の形態の構成を説明する。
図14は、3つの学習済みモデル460~464を並列に接続した図である。
【0170】
記憶装置42は、
図14に示すように、3つの学習済みモデル460~464を記憶している。
【0171】
図5又は
図11の学習データにおいて、第1指標(例えば、建築物の安全性)に基づく評価値を設定した学習データ1を用意する。学習済みモデル460は、学習データ1に基づいて学習が行われている。学習済みモデル460は、要素IDを入力し、入力した要素IDから、第1指標に基づく評価値が高い1又は複数の要素順序情報を推定し、推定した要素順序情報を出力する。
【0172】
図5又は
図11の学習データにおいて、第2指標(例えば、建築物の機能性)に基づく評価値を設定した学習データ2を用意する。学習済みモデル462は、学習データ2に基づいて学習が行われている。学習済みモデル462は、要素IDを入力し、入力した要素IDから、第2指標に基づく評価値が高い1又は複数の要素順序情報を推定し、推定した要素順序情報を出力する。
【0173】
図5又は
図11の学習データにおいて、第3指標(例えば、建築物のリスク)に基づく評価値を設定した学習データ3を用意する。学習済みモデル464は、学習データ3に基づいて学習が行われている。学習済みモデル464は、要素IDを入力し、入力した要素IDから、第3指標に基づく評価値が高い1又は複数の要素順序情報を推定し、推定した要素順序情報を出力する。
【0174】
学習済みモデル460~464の生成方法は、上記第1及び第2の実施の形態と同様である。
【0175】
ステップS302では、ステップS300で取得した要素IDを各学習済みモデル460~464に入力し、決定部466が出力する要素順序情報を取得することにより推定を行う。ステップS312、S336、S346についても同様である。
【0176】
決定部466は、学習済みモデル460~464が出力する要素順序情報から1又は複数の要素順序情報を決定部466により決定する。決定部466としては、例えば、次の構成を採用することができる。
【0177】
第1の構成は、要素順序情報の出現回数に応じて要素順序情報を決定する。例えば、学習済みモデル460から要素順序情報A、Bが、学習済みモデル462から要素順序情報A、B、Cが、学習済みモデル464から要素順序情報Aがそれぞれ出力された場合、要素順序情報A~Cの出現回数がそれぞれ「3」「2」「1」となるので、上位1つであれば要素順序情報Aを、上位2つであれば要素順序情報A、Bを出力する。
【0178】
第2の構成は、要素順序情報に含まれる編集要素の出現回数に応じて要素順序情報を決定する。例えば、第1の構成における上記例において、要素順序情報Aが編集要素a、bを、要素順序情報Bが編集要素b、cを、要素順序情報Cが編集要素a、cを含む場合、編集要素a、b、cの出現回数がそれぞれ「4」「5」「3」となる。要素順序情報A~Cの出現回数としてその要素順序情報に含まれる編集要素の出現回数を合計して算出すると、要素順序情報A~Cの出現回数がそれぞれ「9」「8」「3」となるので、上位1つであれば要素順序情報Aを、上位2つであれば要素順序情報A、Bを出力する。
【0179】
学習済みモデル460~464は、要素順序情報とともに評価値や適合値を出力するように構成する。第3の構成は、評価値等に応じて要素順序情報を決定する。第1の構成における上記例において、要素順序情報A~Cの評価値等がそれぞれ「0.2」「0.4」「0.5」である場合、要素順序情報A~Cの評価値等に出現回数を乗算して補正すると、要素順序情報A~Cの評価値等がそれぞれ「0.2×3=0.6」「0.4×2=0.8」「0.5×1=0.5」となるので、上位1つであれば要素順序情報Bを、上位2つであれば要素順序情報A、Bを出力する。
【0180】
〔本実施の形態の効果〕
次に、本実施の形態の効果を説明する。
本実施の形態では、異なる指標に基づく評価値に基づいてそれぞれ学習された複数の学習済みモデルを並列に接続し、各学習済みモデルに要素IDを入力し、各学習済みモデルの出力結果から要素順序情報を決定することにより要素順序情報を推定する。
【0181】
これにより、異なる複数の指標に基づく評価値に応じた要素順序を把握することができる。
【0182】
〔第5の実施の形態〕
次に、本発明の第5の実施の形態を説明する。
図15は、本実施の形態を示す図である。その他、
図5及び
図11を援用する。
【0183】
本実施の形態は、上記第3の実施の形態に対し、異なる指標に基づく評価値に基づいてそれぞれ学習された複数の学習済みモデルを用いて要素順序情報を推定する点で異なる。以下、上記第1~第3の実施の形態と異なる部分についてのみ説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0184】
〔本実施の形態の構成〕
まず、本実施の形態の構成を説明する。
図15は、3つの学習済みモデル470~474を直列に接続した図である。
【0185】
記憶装置42は、
図15に示すように、3つの学習済みモデル470~474を記憶している。
【0186】
図5又は
図11の学習データにおいて、第1指標(例えば、建築物の安全性)に基づく評価値を設定した学習データ1を用意する。学習済みモデル470は、学習データ1に基づいて学習が行われている。学習済みモデル470は、要素IDを入力し、入力した要素IDから、第1指標に基づく評価値が高い1又は複数の要素順序情報を推定し、推定した要素順序情報を出力する。
【0187】
図5又は
図11の学習データにおいて、要素ID410、430を削除し、第2指標(例えば、建築物の機能性)に基づく評価値を設定した学習データ2を用意する。学習済みモデル472は、学習データ2に基づいて学習が行われている。学習済みモデル472は、学習済みモデル470が出力する要素順序情報を入力し、入力した要素順序情報から、第2指標に基づく評価値が高い1又は複数の要素順序情報を推定し、推定した要素順序情報を出力する。
【0188】
図5又は
図11の学習データにおいて、要素ID410、430を削除し、第3指標(例えば、建築物のリスク)に基づく評価値を設定した学習データ3を用意する。学習済みモデル474は、学習データ3に基づいて学習が行われている。学習済みモデル474は、学習済みモデル472が出力する要素順序情報を入力し、入力した要素順序情報から、第3指標に基づく評価値が高い1又は複数の要素順序情報を推定し、推定した要素順序情報を出力する。
【0189】
学習済みモデル470~474の生成方法は、上記第1及び第2の実施の形態と同様である。
【0190】
ステップS302では、ステップS300で取得した要素IDを学習済みモデル470に入力し、学習済みモデル474が出力する要素順序情報を取得することにより推定を行う。ステップS312、S336、S346についても同様である。
【0191】
〔本実施の形態の効果〕
次に、本実施の形態の効果を説明する。
本実施の形態では、異なる指標に基づく評価値に基づいてそれぞれ学習された複数の学習済みモデルを直列に接続し、最前段の学習済みモデルに要素IDを入力し、最終段の学習済みモデルが出力する要素順序情報を取得することにより要素順序情報を推定する。
【0192】
これにより、異なる複数の指標に基づく評価値に応じた要素順序を把握することができる。
【0193】
〔第6の実施の形態〕
次に、本発明の第6の実施の形態を説明する。
図16~
図19は、本実施の形態を示す図である。その他、
図5及び
図9を援用する。
【0194】
本実施の形態は、上記第1の実施の形態に対し、大規模言語モデル(Large Language Model)を利用する点で異なる。以下、上記第1の実施の形態と異なる部分についてのみ説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0195】
〔本実施の形態の構成〕
まず、本実施の形態の構成を説明する。
図16は、本実施の形態に係るネットワークシステムの構成を示すブロック図である。
【0196】
インターネット199には、
図16に示すように、図面作成支援装置100と、リクエストに応じて回答情報をAI(Artificial Intelligence)モデルにより生成する生成AIサーバ120とが通信可能に接続されている。
【0197】
〔生成AIサーバ120〕
次に、生成AIサーバ120の構成を説明する。
生成AIサーバ120は、図面作成支援装置100と同様に、CPU、ROM、RAM及びI/F等をバス接続した一般的なコンピュータと同様のハードウェア構成を有し、例えばクラウドサーバとして構成されている。
【0198】
図17は、生成AIサーバ120の機能ブロック図である。
生成AIサーバ120は、
図17に示すように、複数のAIモデル50と、AIモデル50を制御するAIモデル制御部52と、AIモデル50が推論のために参照するデータを登録するナレッジベース54とを有して構成されている。
【0199】
AIモデル50は、大規模なデータセットで学習されたAIモデルであり、様々なタスクをこなすことができる汎用性の高いモデルである。AIモデル50としては、例えば、大規模言語モデルを採用することができる。大規模言語モデルとは、人間の話す言葉をその出現確率でモデル化した言語モデルと呼ばれるものを、膨大なデータから事前学習する深層学習モデルである。大規模言語モデルは、プロンプトが入力されると、入力されたプロンプトに含まれる文章から次の単語の生成確率を統計的に推論し、推論結果を出力する。大規模言語モデルとしては、例えば、インターネットサイト「https://chatgpt-lab.com/n/n418d3aa56f0b」「https://agirobots.com/chatgpt-mechanism-and-problem/」に記載されている公知の技術を採用することができる。より具体的には、例えば、Titan Text G1 - Express、Titan Text G1 - Lite、Titan Image Generator G1、Titan Embeddings G1 - Text、Titan Embeddings Text V2、Titan Multimodal Embeddings G1、Claude、Claude Instant、Claude 3 Sonnet、Claude 3 Haiku、Claude 3 Opus、Jurassic-2 Mid、Jurassic-2 Ultra、Command、Command Light、Command R、Command R+、Embed English、Embed Multilingual、Llama 2 Chat 13B、Llama 2 Chat 70B、Llama 2 13B、Llama 2 70B、Llama 3 8b Instruct、Llama 3 70b Instruct、Mistral 7B Instruct、Mixtral 8X7B Instruct、Mistral Large、Stable Diffusion XLを採用することができる。
【0200】
AIモデル制御部52は、リクエスト処理部58からの選択要求に応じて複数のAIモデル50から推論に使用するものを選択する。また、リクエスト処理部58から参照要求を入力した場合、選択したAIモデル50(以下「選択AIモデル」という。)に対し、入力した参照要求に応じてナレッジベース54のデータを参照させる。また、リクエスト処理部58からプロンプトを入力した場合、入力したプロンプトを選択AIモデルに入力する。そして、リクエスト処理部58から実行要求を入力した場合、入力した実行要求に応じて選択AIモデルに推論を実行させ、選択AIモデルから推論結果を取得し、取得した推論結果をリクエスト処理部58に出力する。
【0201】
ナレッジベース54は、学習データを登録することができる。ナレッジベース54の登録情報は、AIモデル50が参照可能なデータ形式(例えば、ベクトルデータ)となっている。
【0202】
生成AIサーバ120は、さらに、リクエストを受信するリクエスト受信部56と、リクエスト受信部56で受信したリクエストを処理するリクエスト処理部58と、リクエスト受信部56で受信したリクエストに対する回答情報を図面作成支援装置100に送信する回答情報送信部60とを有して構成されている。
【0203】
リクエスト受信部56は、回答情報の生成を要求するリクエストを図面作成支援装置100から受信し、受信したリクエストをリクエスト処理部58に出力する。リクエストには、(1)作成済み又は編集済みの要素ID、(2)作成済み又は編集済みの編集要素の次に連続して編集される複数の編集要素及びその編集順序に関する要素順序情報を生成する生成要求、(3)AIモデル50を選択する選択要求、及び(4)ナレッジベース54の学習データを参照する参照要求が含まれる。(3)(4)は必須ではなく付加的に含まれるものである。
【0204】
リクエスト処理部58は、リクエスト受信部56で受信したリクエストに選択要求又は参照要求が含まれる場合、選択要求又は参照要求をAIモデル制御部52に出力する。また、リクエスト受信部56で受信したリクエストに基づいて、AIモデル50への指示を行うプロンプトを生成する。プロンプトとしては、例えば、作成済み又は編集済みの要素IDに基づいて、作成済み又は編集済みの編集要素の次に連続して編集される複数の編集要素及びその編集順序に関する要素順序情報であって評価値が所定以上のものを生成することをAIモデル50に要求する内容である。そして、生成したプロンプト及び実行要求をAIモデル制御部52に出力し、実行要求に対しAIモデル制御部52から推論結果を入力した場合、入力した推論結果を回答情報送信部60に出力する。
【0205】
回答情報送信部60は、リクエスト処理部58から入力した推論結果を含む回答情報を図面作成支援装置100に送信する。
【0206】
生成AIサーバ120は、さらに、リクエストを受信するリクエスト受信部62と、学習データをナレッジベース54に登録する学習データ登録部64とを有して構成されている。
【0207】
リクエスト受信部62は、学習データの登録を要求するリクエストを図面作成支援装置100から受信し、受信したリクエストを学習データ登録部64に出力する。リクエストには、(1)学習データが含まれる。
【0208】
学習データ登録部64は、リクエスト受信部62で受信したリクエストに含まれる学習データをストレージ(不図示)に記憶するとともにAIモデル50が参照可能なデータ形式(例えば、ベクトルデータ)に変換する。ベクトルデータは、文字、画像、音声などを含むデータを数値ベクトルに変換する技術(エンベディング)により生成することができる。そして、変換した学習データをナレッジベース54に登録する。AIモデル制御部52は、リクエスト処理部58からの参照要求に応じて、学習データをAIモデル50に参照させる。
【0209】
〔本実施の形態の動作〕
次に、本実施の形態の動作を説明する。
〔学習データ登録処理〕
図18は、学習データ登録処理を示すフローチャートである。
【0210】
学習データ登録処理は、設計者その他のユーザからの要求に応じて実行される処理であって、CPU30において実行されると、
図18に示すように、まず、ステップS400に移行する。
【0211】
ステップS400では、
図5の学習データを記憶装置42から取得し、ステップS402に移行する。
【0212】
ステップS402では、学習データの登録を要求するリクエストを生成AIサーバ120に送信する。リクエストには、(1)ステップS400で取得した学習データが含まれる。
【0213】
ステップS402の処理が終了すると、一連の処理を終了する。
〔要素順序情報取得処理〕
図19は、要素順序情報取得処理を示すフローチャートである。
【0214】
要素順序情報取得処理は、設計者その他のユーザからの要求に応じて実行される処理であって、CPU30において実行されると、
図19に示すように、まず、ステップS500に移行する。
【0215】
ステップS500では、現在編集中のCADデータから作成済み又は編集済みの要素IDを取得し、ステップS502に移行する。
【0216】
ステップS502では、ステップS500で取得した要素IDに基づいて回答情報の生成を要求するリクエストを生成AIサーバ120に送信する。リクエストには、(1)ステップS500で取得した要素ID、(2)作成済み又は編集済みの編集要素の次に連続して編集される複数の編集要素及びその編集順序に関する要素順序情報であって、編集要素又は編集順序が異なる複数の要素順序情報を生成する生成要求、(3)所定のAIモデル50を選択する選択要求、及び(4)ナレッジベース54の学習データを参照する参照要求が含まれる。
【0217】
次いで、ステップS504に移行して、生成AIサーバ120から回答情報を受信し、ステップS506に移行して、ステップS304の処理と同様に、受信した回答情報に含まれる複数の要素順序情報に基づいて複数の要素順序のいずれかを表示装置44に表示し、ステップS508に移行する。
【0218】
ステップS508では、表示した要素順序をもとに設計者が編集要素を作成又は編集した場合、その編集要素の要素IDを含む作成済み又は編集済みの要素IDを現在編集中のCADデータから取得し、ステップS510に移行する。
【0219】
ステップS510では、ステップS506、S518で表示した要素順序及びステップS508で取得した要素IDに基づいて、設計者が作成又は編集した編集要素が、ステップS506、S518で表示した編集要素又は編集順序と異なるか否かを判定し、編集結果が推論結果と異なると判定した場合(YES)は、ステップS512に移行する。
【0220】
ステップS512では、ステップS310の処理と同様に、ステップS506、S518で表示に用いる表示規則を変更し、ステップS514に移行する。
【0221】
ステップS514では、ステップS502の処理と同様に、ステップS508で取得した要素IDに基づいて回答情報の生成を要求するリクエストを生成AIサーバ120に送信し、ステップS516に移行する。
【0222】
ステップS516では、ステップS504の処理と同様に、生成AIサーバ120から回答情報を受信し、ステップS518に移行して、ステップS304の処理と同様に、受信した回答情報に含まれる複数の要素順序情報に基づいて複数の要素順序のいずれかを表示装置44に表示し、ステップS520に移行する。
【0223】
ステップS520では、設計者による編集が終了したか否かを判定し、編集が終了したと判定した場合(YES)は、一連の処理を終了する。
【0224】
一方、ステップS520で、設計者による編集が終了していないと判定した場合(NO)は、ステップS508に移行する。
【0225】
一方、ステップS510で、編集結果が推論結果と一致すると判定した場合(NO)は、ステップS514に移行する。
【0226】
〔ピアノの搬入を想定する場合〕
次に、ピアノの搬入を想定する場合の動作を説明する。
【0227】
設計者は、CADソフトウェアにおいて
図9の矩計図において幅が120[mm]のピアノを設置したい場合、ピアノを搬入するにあたってピアノとトイレの壁の干渉を防止するために、トイレの幅を短くする必要がある。しかしながら、トイレの幅を変更すると、トイレの他の編集要素についても編集を行う必要が生じてくる。そこで、設計者は、トイレの幅を変更した後に、トイレについて編集すべき要素順序の推論を要求すると、ステップS500~S506を経て、現在編集中のCADデータから作成済み又は編集済みの要素IDが取得され、取得された要素IDから要素順序が推論、表示される。推論では、AIモデル50によりナレッジベース54の学習データが参照される。要素順序の表示方法は、上記第1の実施の形態と同様である。
【0228】
そして、設計者は、推論、表示された要素順序をもとに編集要素「便器」を作成又は編集すると、ステップS508~S518を経て、次の要素順序が推論、表示される。設計者の編集結果と推論結果が異なる場合は、ステップS512を経て、表示規則が変更される。
【0229】
〔本実施の形態の効果〕
次に、本実施の形態の効果を説明する。
本実施の形態では、作成済み又は編集済みの要素IDを含み、編集要素又は編集順序が異なる複数の要素順序情報を生成する生成要求を含むリクエストをAIモデル50に入力し、リクエストに対して、AIモデル50から出力される複数の要素順序情報を取得する。
【0230】
これにより、連続して編集される複数の編集要素及びその編集順序を把握することができる。
【0231】
さらに、本実施の形態では、編集要素又は編集順序が異なる複数の要素順序情報を生成する生成要求を含むリクエストをAIモデル50に入力し、リクエストに対して、AIモデル50から出力される複数の要素順序情報を取得し、取得した複数の要素順序情報に基づいて複数の要素順序のいずれかを表示する。
【0232】
これにより、連続して編集される複数の編集要素及びその編集順序について複数の候補を把握することができる。
【0233】
さらに、本実施の形態では、作成済み又は編集済みの要素ID、その編集要素の次に連続して編集された複数の編集要素及びその編集順序に関する要素順序情報並びにその複数の編集要素の編集に関する評価値を含む学習データをナレッジベース54に登録し、リクエストに対して、ナレッジベース54の学習データを参照させてAIモデル50から出力される複数の要素順序情報を取得する。
【0234】
これにより、評価値が高い要素順序を把握することができる。
さらに、本実施の形態では、表示した要素順序をもとに設計者が作成又は編集した編集要素の要素IDを含む作成済み又は編集済みの要素IDを取得し、取得した要素IDを含み、編集要素又は編集順序が異なる複数の要素順序情報を生成する生成要求を含むリクエストをAIモデル50に入力し、リクエストに対して、AIモデル50から出力される複数の要素順序情報を取得する。
【0235】
これにより、表示された要素順序をもとに作成又は編集を行った結果に対し要素順序が推論、表示されるので、連続して編集される複数の編集要素及びその編集順序を把握することができる。
【0236】
さらに、本実施の形態では、表示した要素順序をもとにユーザが作成又は編集した編集要素の要素IDを含む作成済み又は編集済みの要素IDを取得し、取得した要素IDを含み、編集要素又は編集順序が異なる複数の要素順序情報を生成する生成要求を含むリクエストをAIモデル50に入力し、リクエストに対して、AIモデル50から出力される複数の要素順序情報を取得し、取得した複数の要素順序情報に基づいて複数の要素順序のいずれかを表示する。
【0237】
これにより、表示された要素順序をもとに作成又は編集を行った結果に対し複数の要素順序が推論、表示されるので、連続して編集される複数の編集要素及びその編集順序について複数の候補を把握することができる。
【0238】
〔第7の実施の形態〕
次に、本発明の第7の実施の形態を説明する。
図20は、本実施の形態を示す図である。その他、
図5、
図9、
図11及び
図18を援用する。
【0239】
本実施の形態は、上記第2及び第6の実施の形態に対し、第1指標に基づく評価値を含む第1学習データ又は第2指標に基づく評価値を含む第2学習データをAIモデル50に参照させる点で異なる。以下、上記第2及び第6の実施の形態と異なる部分についてのみ説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0240】
〔本実施の形態の動作〕
次に、本実施の形態の動作を説明する。
〔学習データ登録処理〕
学習データ登録処理では、ステップS400~S402を経て、
図5の学習データ及び
図11の学習データを記憶装置42から取得し、学習データの登録を要求するリクエストを生成AIサーバ120に送信する。リクエストには、(1)
図5の学習データが第1学習データとして、(2)
図11の学習データが第2学習データとして含まれる。
【0241】
〔要素順序情報取得処理〕
図20は、要素順序情報取得処理を示すフローチャートである。
【0242】
要素順序情報取得処理は、設計者その他のユーザからの要求に応じて実行される処理であって、CPU30において実行されると、
図20に示すように、まず、ステップS530に移行する。
【0243】
ステップS530では、評価値の価値の指標を示す第1指標「編集時間」又は第2指標「編集項目数」に関する指標情報を取得し、ステップS532に移行して、現在編集中のCADデータから作成済み又は編集済みの要素IDを取得し、ステップS534に移行する。
【0244】
ステップS534では、ステップS530、S532で取得した指標情報及び要素IDに基づいて回答情報の生成を要求するリクエストを生成AIサーバ120に送信する。リクエストには、(1)ステップS532で取得した要素ID、(2)作成済み又は編集済みの編集要素の次に連続して編集される複数の編集要素及びその編集順序に関する要素順序情報であって、編集要素又は編集順序が異なる複数の要素順序情報を生成する生成要求、(3)所定のAIモデル50を選択する選択要求、及び(4)ステップS530で取得した指標情報に係る指標が第1指標である場合はナレッジベース54の第1学習データを参照する参照要求又はステップS530で取得した指標情報に係る指標が第2指標である場合はナレッジベース54の第2学習データを参照する参照要求が含まれる。
【0245】
次いで、ステップS536に移行して、生成AIサーバ120から回答情報を受信し、ステップS538に移行して、ステップS304の処理と同様に、受信した回答情報に含まれる複数の要素順序情報に基づいて複数の要素順序のいずれかを表示装置44に表示し、ステップS540に移行する。
【0246】
ステップS540では、表示した要素順序をもとに設計者が編集要素を作成又は編集した場合、その編集要素の要素IDを含む作成済み又は編集済みの要素IDを現在編集中のCADデータから取得し、ステップS542に移行する。
【0247】
ステップS542では、ステップS538、S550で表示した要素順序及びステップS540で取得した要素IDに基づいて、設計者が作成又は編集した編集要素が、ステップS538、S550で表示した編集要素又は編集順序と異なるか否かを判定し、編集結果が推論結果と異なると判定した場合(YES)は、ステップS544に移行する。
【0248】
ステップS544では、ステップS310の処理と同様に、ステップS538、S550で表示に用いる表示規則を変更し、ステップS546に移行する。
【0249】
ステップS546では、ステップS534の処理と同様に、ステップS530、S540で取得した指標情報及び要素IDに基づいて回答情報の生成を要求するリクエストを生成AIサーバ120に送信し、ステップS548に移行する。
【0250】
ステップS548では、ステップS536の処理と同様に、生成AIサーバ120から回答情報を受信し、ステップS550に移行して、ステップS304の処理と同様に、受信した回答情報に含まれる複数の要素順序情報に基づいて複数の要素順序のいずれかを表示装置44に表示し、ステップS552に移行する。
【0251】
ステップS552では、設計者による編集が終了したか否かを判定し、編集が終了したと判定した場合(YES)は、一連の処理を終了する。
【0252】
一方、ステップS552で、設計者による編集が終了していないと判定した場合(NO)は、ステップS540に移行する。
【0253】
一方、ステップS542で、編集結果が推論結果と一致すると判定した場合(NO)は、ステップS546に移行する。
【0254】
〔ピアノの搬入を想定する場合〕
次に、ピアノの搬入を想定する場合の動作を説明する。
【0255】
設計者は、CADソフトウェアにおいて
図9の矩計図において幅が120[mm]のピアノを設置したい場合、ピアノを搬入するにあたってピアノとトイレの壁の干渉を防止するために、トイレの幅を短くする必要がある。しかしながら、トイレの幅を変更すると、トイレの他の編集要素についても編集を行う必要が生じてくる。そこで、設計者は、トイレの幅を変更した後に、トイレについて編集すべき要素順序の推論を要求する。このとき、編集時間が短くなる要素順序が得たい場合、設計者は、指標として「編集時間」を選択すると、ステップS530~S538を経て、現在編集中のCADデータから作成済み又は編集済みの要素IDが取得され、取得された要素IDから要素順序が推論、表示される。推論では、AIモデル50によりナレッジベース54の第1学習データが参照される。
【0256】
これに対し、編集項目数が少なくなる要素順序が得たい場合、設計者は、指標として「編集項目数」を選択すると、ステップS530~S538を経て、現在編集中のCADデータから作成済み又は編集済みの要素IDが取得され、取得された要素IDから要素順序が推論、表示される。推論では、AIモデル50によりナレッジベース54の第2学習データが参照される。
【0257】
〔本実施の形態の効果〕
次に、本実施の形態の効果を説明する。
本実施の形態では、第1指標に基づく評価値を含む第1学習データ及び第2指標に基づく評価値を含む第2学習データをナレッジベース54に登録し、第1指標又は第2指標に関する指標情報を取得し、取得した指標情報に基づいて、ナレッジベース54の第1学習データ及び第2学習データのいずれかを参照する要求を含むリクエストをAIモデル50に入力する。
【0258】
これにより、第1指標又は第2指標に基づく評価値が高い要素順序を把握することができる。
【0259】
〔第8の実施の形態〕
次に、本発明の第8の実施の形態を説明する。
本実施の形態は、上記第6及び第7の実施の形態に対し、編集時間又は編集項目数以外の評価値を採用する点で異なる。以下、上記第6及び第7の実施の形態と異なる部分についてのみ説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0260】
記憶装置42は、上記第3の実施の形態における学習データ(以下「学習データ1」という。)を記憶している。
【0261】
学習データ登録処理では、ステップS400~S402を経て、学習データ1を記憶装置42から取得し、学習データ1の登録を要求するリクエストを生成AIサーバ120に送信する。生成AIサーバ120では、要素順序情報を推論する場合に、AIモデル50によりナレッジベース54の学習データ1が参照されるので、建築物の品質又はリスクに関する評価値に応じた要素順序を把握することができる。
【0262】
〔第9の実施の形態〕
次に、本発明の第9の実施の形態を説明する。
本実施の形態は、上記第8の実施の形態に対し、異なる指標に基づく評価値をそれぞれ含む複数の学習データを用いて要素順序情報を推論する点で異なる。以下、上記第6~第8の実施の形態と異なる部分についてのみ説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0263】
〔本実施の形態の構成〕
まず、本実施の形態の構成を説明する。
記憶装置42は、上記第4の実施の形態における学習データ1~3を記憶している。
【0264】
学習データ登録処理では、ステップS400~S402を経て、学習データ1~3を記憶装置42から取得し、学習データ1~3の登録を要求するリクエストを生成AIサーバ120に送信する。
【0265】
ステップS502、S504は、第1~第4の処理からなる。
第1の処理は、ステップS500で取得した要素IDに基づいて回答情報の生成を要求するリクエストを生成AIサーバ120に送信する。リクエストには、(1)ステップS500で取得した要素ID、(2)編集要素又は編集順序が異なる複数の要素順序情報を生成する生成要求、(3)所定のAIモデル50を選択する選択要求、及び(4)ナレッジベース54の学習データ1を参照する参照要求が含まれる。そして、リクエストに対して生成AIサーバ120から回答情報を受信し、受信した回答情報から複数の要素順序情報を取得する。
【0266】
第2の処理は、ステップS500で取得した要素IDに基づいて回答情報の生成を要求するリクエストを生成AIサーバ120に送信する。リクエストには、上記(1)(2)(3)のほか、(4)ナレッジベース54の学習データ2を参照する参照要求が含まれる。そして、リクエストに対して生成AIサーバ120から回答情報を受信し、受信した回答情報から複数の要素順序情報を取得する。
【0267】
第3の処理は、ステップS500で取得した要素IDに基づいて回答情報の生成を要求するリクエストを生成AIサーバ120に送信する。リクエストには、上記(1)(2)(3)のほか、(4)ナレッジベース54の学習データ3を参照する参照要求が含まれる。そして、リクエストに対して生成AIサーバ120から回答情報を受信し、受信した回答情報から複数の要素順序情報を取得する。
【0268】
第4の処理は、第1~第3の処理で取得した要素順序情報から1又は複数の要素順序情報を決定する。第4の処理としては、例えば、上記第3の実施の形態における決定部466に相当する処理を採用することができる。
【0269】
ステップS514、S516、ステップS534、S536及びステップS546、S548についても同様である。
【0270】
〔本実施の形態の効果〕
次に、本実施の形態の効果を説明する。
本実施の形態では、異なる指標に基づく評価値をそれぞれ含む複数の学習データをそれぞれ参照させてAIモデル50から出力される要素順序情報を取得し、取得結果から要素順序情報を決定することにより要素順序情報を取得する。
【0271】
これにより、異なる複数の指標に基づく評価値に応じた要素順序を把握することができる。
【0272】
〔第10の実施の形態〕
次に、本発明の第10の実施の形態を説明する。
本実施の形態は、上記第8の実施の形態に対し、異なる指標に基づく評価値をそれぞれ含む複数の学習データを用いて要素順序情報を推論する点で異なる。以下、上記第6~第8の実施の形態と異なる部分についてのみ説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0273】
〔本実施の形態の構成〕
まず、本実施の形態の構成を説明する。
記憶装置42は、上記第5の実施の形態における学習データ1~3を記憶している。
【0274】
学習データ登録処理では、ステップS400~S402を経て、学習データ1~3を記憶装置42から取得し、学習データ1~3の登録を要求するリクエストを生成AIサーバ120に送信する。
【0275】
ステップS502、S504は、第1~第3の処理からなる。
第1の処理は、ステップS500で取得した要素IDに基づいて回答情報の生成を要求するリクエストを生成AIサーバ120に送信する。リクエストには、(1)ステップS500で取得した要素ID、(2)編集要素又は編集順序が異なる複数の要素順序情報を生成する生成要求、(3)所定のAIモデル50を選択する選択要求、及び(4)ナレッジベース54の学習データ1を参照する参照要求が含まれる。そして、リクエストに対して生成AIサーバ120から回答情報を受信し、受信した回答情報から複数の要素順序情報を取得する。
【0276】
第2の処理は、第1の処理で取得した要素順序情報に基づいて回答情報の生成を要求するリクエストを生成AIサーバ120に送信する。リクエストには、上記(2)(3)のほか、(1)第1の処理で取得した要素順序情報、(4)ナレッジベース54の学習データ2を参照する参照要求が含まれる。そして、リクエストに対して生成AIサーバ120から回答情報を受信し、受信した回答情報から複数の要素順序情報を取得する。
【0277】
第3の処理は、第2の処理で取得した要素順序情報に基づいて回答情報の生成を要求するリクエストを生成AIサーバ120に送信する。リクエストには、上記(2)(3)のほか、(1)第2の処理で取得した要素順序情報、(4)ナレッジベース54の学習データ3を参照する参照要求が含まれる。そして、リクエストに対して生成AIサーバ120から回答情報を受信し、受信した回答情報から複数の要素順序情報を取得する。
【0278】
ステップS506では、第3の処理で取得した要素順序情報に基づいて複数の要素順序のいずれかを表示装置44に表示する。
【0279】
ステップS514~S518、ステップS534~S538及びステップS546~S550についても同様である。
【0280】
〔本実施の形態の効果〕
次に、本実施の形態の効果を説明する。
本実施の形態では、要素ID及び生成要求を含むリクエストに対し、第1指標に基づく評価値を含む学習データを参照させてAIモデル50から出力される要素順序情報を取得し、取得した要素順序情報及び生成要求を含むリクエストに対し、第2指標に基づく評価値を含む学習データを参照させてAIモデル50から出力される要素順序情報を取得する。
【0281】
これにより、第1指標及び第2指標に基づく評価値に応じた要素順序を把握することができる。
【0282】
さらに、本実施の形態では、要素順序情報及び生成要求を含むリクエストに対し、第2指標に基づく評価値を含む学習データを参照させてAIモデル50から出力される要素順序情報を取得し、取得した要素順序情報及び生成要求を含むリクエストに対し、第3指標に基づく評価値を含む学習データを参照させてAIモデル50から出力される要素順序情報を取得する。
【0283】
これにより、第2指標及び第3指標に基づく評価値に応じた要素順序を把握することができる。
【0284】
〔変形例〕
なお、上記第1、第2、第6及び第7の実施の形態並びにその変形例においては、編集時間又は編集項目数を評価値として採用したが、これに限らず、建築物の設計に関する他の評価値を採用することができる。
【0285】
また、上記第3~第5、第8~第10の実施の形態及びその変形例においては、各指標について評価値を標準化したが、これに限らず、正規化その他のスケーリング処理を行ってもよいし、標準化、正規化その他のスケーリング処理を行わなくてもよい。
【0286】
また、上記第4の実施の形態及びその変形例においては、建築物の品質又はリスクを指標として採用したが、これに限らず、ユーザに関するユーザ情報を指標として採用することができる。例えば、次の構成を採用することができる。
【0287】
学習データ1~3は、各行ごとに、要素ID410、430に係る編集要素を編集したユーザ(以下「編集ユーザ」という。)を識別するためのユーザIDを含む。
図5の例で説明すると、
図5の2行目は、
図3の1行目の編集要素の次に連続して編集された2つの編集要素、その編集順序、その編集ユーザのユーザID及び評価値を、
図5の3行目は、
図3の2行目の編集要素の次に連続して編集された2つの編集要素、その編集順序、その編集ユーザのユーザID及び評価値を、
図5の4行目は、
図3の3行目の編集要素の次に連続して編集された2つの編集要素、その編集順序、その編集ユーザのユーザID及び評価値をそれぞれ含んでいる。
【0288】
ステップS302では、現在編集中のユーザのユーザIDを取得し、ステップS300で取得した要素ID及びユーザIDを各学習済みモデル460~464に入力し、決定部466が出力する要素順序情報を取得することにより推定を行う。これにより、ユーザに適合する要素順序情報を推定することができる。
【0289】
この変形例において、編集履歴データ及び学習データは、ユーザIDを含んで構成したが、これに限らず、ユーザID以外の識別情報、又はユーザの概要、統計量その他の特徴に関する特徴情報を含んで構成することができる。
【0290】
この変形例は、上記第1~第3、第5~第10の実施の形態及びその変形例についても同様に適用することができる。
【0291】
また、上記第4の実施の形態及びその変形例においては、3つの学習済みモデル460~464を並列に接続して構成したが、これに限らず、2つの学習済みモデル又は4つ以上の学習済みモデルを並列に接続して構成することができる。
【0292】
また、上記第5の実施の形態及びその変形例においては、3つの学習済みモデル470~474を直列に接続して構成したが、これに限らず、2つの学習済みモデル又は4つ以上の学習済みモデルを直列に接続して構成することができる。
【0293】
また、上記第9及び第10の実施の形態並びにその変形例においては、3つの学習データをAIモデル50に参照させたが、これに限らず、2つの学習データ又は4つ以上の学習データを参照させることができる。
【0294】
また、上記第4及び第5の実施の形態並びにその変形例においては、複数の学習済みモデルを並列又は直列のいずれかに接続して構成したが、これに限らず、並列接続及び直列接続を任意に組み合わせて構成することができる。複数の学習済みモデルの出力結果を集約するノードにおいては、複数の学習済みモデルの出力結果から要素順序情報を決定する場合は決定部466を備える構成、又は複数の学習済みモデルの出力結果をそのまま次段の学習済みモデルに入力する構成を採用することができる。
【0295】
また、上記第4の実施の形態及びその変形例において、決定部466は、学習済みモデル460~464が出力する要素順序情報から1又は複数の要素順序情報を決定したが、これに限らず、要素順序情報を決定する方法として任意の方法を採用することができる。上記第9の実施の形態における第4の処理についても同様である。
【0296】
また、上記第1~第5の実施の形態及びその変形例において、ステップS302、S312、S336、S346では、複数の要素順序情報を推定したが、これに限らず、1つの要素順序情報を推定することができる。
【0297】
また、上記第6~第10の実施の形態及びその変形例において、ステップS502、S514、S534、S546では、複数の要素順序情報を生成する生成要求をリクエストに含めたが、これに限らず、1つの要素順序情報を生成する生成要求をリクエストに含めることができる。
【0298】
また、上記第1~第10の実施の形態及びその変形例においては、第1~4の表示規則を採用したが、これに限らず、例えば、編集要素の数が最も少ない、所定以上、所定以下又は所定順位の要素順序を表示する表示規則その他任意の表示規則を採用することができる。
【0299】
また、上記第1~第10の実施の形態及びその変形例においては、複数の表示規則のうちいずれかにより要素順序を表示したが、これに限らず、複数の表示規則を設けず、所定の表示規則により要素順序を表示することができる。
【0300】
また、上記第1~第10の実施の形態及びその変形例においては、1の要素順序を表示したが、これに限らず、複数の要素順序を表示することができる。
【0301】
また、上記第1~第10の実施の形態及びその変形例においては、表示規則を変更したが、これに限らず、表示規則を変更しない構成を採用することができる。
【0302】
また、上記第1~第5の実施の形態及びその変形例においては、推定及び表示を複数回繰り返し行ったが、これに限らず、推定及び表示を1回だけ行う構成を採用することができる。上記第6~第10の実施の形態及びその変形例についても同様である。
【0303】
また、上記第1~第5の実施の形態及びその変形例においては、学習方法として強化学習を採用したが、これに限らず、教師あり学習、半教師あり学習、教師なし学習、ディープラーニングその他任意の学習方法を採用することができる。
【0304】
また、上記第1~第10の実施の形態及びその変形例において、学習データは、評価値を含んで構成したが、これに限らず、評価値を含まずに構成することができる。
【0305】
また、上記第1~第10の実施の形態及びその変形例において、編集履歴データ及び学習データは、要素IDを含んで構成したが、これに限らず、要素ID以外の識別情報、又は編集要素の概要、統計量その他の特徴に関する特徴情報を含んで構成することができる。
【0306】
また、上記第2の実施の形態及びその変形例において、第1学習済みモデル及び第2学習済みモデルを1つの学習済みモデルとして構成することができる。上記第3~第5の実施の形態及びその変形例についても同様に、m(m≧2)個の学習済みモデルをn(1≦n≦m)個の学習済みモデルとして構成することができる。
【0307】
また、上記第6~第10の実施の形態及びその変形例において、AIモデル50は、上記第1~第5の実施の形態及びその変形例における学習済みモデルとして構成することができる。
【0308】
また、上記第1~第10の実施の形態及びその変形例において、学習データにおける出現回数が所定以上の要素順序を特定したが、これに限らず、編集履歴データにおける出現回数が所定以上の要素順序を特定することができる。
【0309】
また、上記第1~第10の実施の形態及びその変形例において、最大で4つの編集要素及びその編集順序を取り扱ったが、これに限らず、5つ以上の編集要素及びその編集順序を取り扱うことができる。編集要素は複数であればよく個数に制限を設ける必要はない。また、
図5及び
図11の学習データについて編集要素の個数をそれぞれ独立に設定することができる。
【0310】
また、上記第1~第10の実施の形態及びその変形例において、要素順序について編集要素が2~4個のすべての組み合わせを編集履歴データから取得し、学習データを生成したが、これに限らず、編集履歴データにおける出現回数が所定以上の要素順序を編集履歴データから取得し、学習データを生成することができる。この場合、複数の編集履歴データを学習させた学習済みモデルを用いて、出現頻度が高い要素順序を推定させてもよい。これにより、編集履歴データのなかで出現頻度が高い要素順序を学習又は推論させることができる。
【0311】
また、上記第1~第10の実施の形態及びその変形例において、編集履歴データは、CADデータとは別体のデータとして構成したが、これに限らず、CADデータに含め一体に構成することができる。
【0312】
また、上記第6~第10の実施の形態及びその変形例においては、ナレッジベース54の学習データをAIモデル50に参照させたが、これに限らず、ナレッジベース54で参照させるべき学習データをリクエストに含めることができる。これにより、ナレッジベース54を備えない構成であっても適用することができる。具体的には、例えば、次の構成を採用することができる。
【0313】
〔発明A1〕 設計情報中の作成済み又は編集済みの要素に関する要素情報を取得する要素情報取得手段と、
前記要素情報取得手段で取得した要素情報、並びに、作成済み又は編集済みの要素に関する要素情報、当該要素の次に連続して編集された複数の要素及びその編集順序(以下「複数の要素及びその編集順序」を「要素順序」という。)に関する要素順序情報、並びに当該複数の要素に関する評価値を含む参照情報を含み、前記要素順序に関する要素順序情報を生成する要求を含むリクエストを前記AIモデルに入力する入力手段と、
前記リクエストに対して、前記AIモデルから出力される前記要素順序情報を取得する取得手段とを備え、
前記評価値は、設計対象の品質又はリスクに関する評価値である。
【0314】
これにより、連続して編集される複数の要素及びその編集順序を把握することができる。また、設計対象の品質又はリスクに関する評価値に応じた要素順序を把握することができる。
【0315】
〔発明A2〕 発明A1において、
前記評価値の価値の指標を示す第1指標又は前記第1指標とは異なる第2指標に関する指標情報を取得する指標情報取得手段を備え、
前記入力手段は、前記指標情報取得手段で取得した指標情報に基づいて、前記要素情報、前記要素順序情報及び前記第1指標に基づく前記評価値を含む第1参照情報、並びに、前記要素情報、前記要素順序情報及び前記第2指標に基づく前記評価値を含む第2参照情報のいずれかを含む前記リクエストを前記AIモデルに入力する。
【0316】
これにより、第1指標又は第2指標に基づく評価値が高い要素順序を把握することができる。
【0317】
〔発明A3〕 発明A1、A2において、
前記設計対象の品質に関する評価値は、前記設計対象の安全性、機能性、利便性、美観性、環境性、経済性又は法適合性に関する評価値である。
【0318】
〔発明A4〕 発明A1、A2において、
前記設計対象のリスクに関する評価値は、前記設計対象の品質が低下するリスク、前記設計対象が倒壊若しくは破損するリスク、前記設計対象が劣化するリスク、前記設計対象に関するコストが増大するリスク、天災事変により前記設計対象に生じるリスク、前記設計対象に関する資産価値が減少するリスク又は前記設計対象が社会的な問題を引き起こすリスクに関する評価値である。
【0319】
上記第9の実施の形態の変形例として発明A1~A4の実施の形態を説明する。
第1の処理は、ステップS500で取得した要素IDに基づいて回答情報の生成を要求するリクエストを生成AIサーバ120に送信する。リクエストには、(1)ステップS500で取得した要素ID、(2)編集要素又は編集順序が異なる複数の要素順序情報を生成する生成要求、(3)所定のAIモデル50を選択する選択要求、及び(4)学習データ1が含まれる。そして、リクエストに対して生成AIサーバ120から回答情報を受信し、受信した回答情報から複数の要素順序情報を取得する。
【0320】
第2の処理は、ステップS500で取得した要素IDに基づいて回答情報の生成を要求するリクエストを生成AIサーバ120に送信する。リクエストには、上記(1)(2)(3)のほか、(4)学習データ2が含まれる。そして、リクエストに対して生成AIサーバ120から回答情報を受信し、受信した回答情報から複数の要素順序情報を取得する。
【0321】
第3の処理は、ステップS500で取得した要素IDに基づいて回答情報の生成を要求するリクエストを生成AIサーバ120に送信する。リクエストには、上記(1)(2)(3)のほか、(4)学習データ3が含まれる。そして、リクエストに対して生成AIサーバ120から回答情報を受信し、受信した回答情報から複数の要素順序情報を取得する。
【0322】
第4の処理は、第1~第3の処理で取得した要素順序情報から1又は複数の要素順序情報を決定する。第4の処理としては、例えば、上記第3の実施の形態における決定部466に相当する処理を採用することができる。
【0323】
ステップS514、S516、ステップS534、S536及びステップS546、S548についても同様である。
【0324】
次に、上記第10の実施の形態の変形例として発明A1~A4の実施の形態を説明する。
【0325】
第1の処理は、ステップS500で取得した要素IDに基づいて回答情報の生成を要求するリクエストを生成AIサーバ120に送信する。リクエストには、(1)ステップS500で取得した要素ID、(2)編集要素又は編集順序が異なる複数の要素順序情報を生成する生成要求、(3)所定のAIモデル50を選択する選択要求、及び(4)学習データ1が含まれる。そして、リクエストに対して生成AIサーバ120から回答情報を受信し、受信した回答情報から複数の要素順序情報を取得する。
【0326】
第2の処理は、第1の処理で取得した要素順序情報に基づいて回答情報の生成を要求するリクエストを生成AIサーバ120に送信する。リクエストには、上記(2)(3)のほか、(1)第1の処理で取得した要素順序情報、(4)学習データ2が含まれる。そして、リクエストに対して生成AIサーバ120から回答情報を受信し、受信した回答情報から複数の要素順序情報を取得する。
【0327】
第3の処理は、第2の処理で取得した要素順序情報に基づいて回答情報の生成を要求するリクエストを生成AIサーバ120に送信する。リクエストには、上記(2)(3)のほか、(1)第2の処理で取得した要素順序情報、(4)学習データ3が含まれる。そして、リクエストに対して生成AIサーバ120から回答情報を受信し、受信した回答情報から複数の要素順序情報を取得する。
【0328】
ステップS514~S518、ステップS534~S538及びステップS546~S550についても同様である。
【0329】
〔発明A5〕 発明A1において、
前記複数の要素は、その設定又は変更に人の判断を要する要素であって、他の要素に対し当該設定又は変更が影響を与える要素である。
【0330】
〔発明A6〕 発明A1において、
前記設計情報は、建築の設計を行うための設計情報である。
【0331】
また、上記第6~第10の実施の形態及びその変形例においては、ナレッジベース54の情報をAIモデル50に参照させたが、これに限らず、ナレッジベース54で参照させるべき情報(例えば、
図5又は
図11の学習データ)をWeb検索等により取得し、検索結果をAIモデル50に参照させて推論させることができる。この構成は、例えば、RAG(Retrieval Augmented Generation)により実現することができる。
【0332】
また、上記第1~第10の実施の形態及びその変形例においては、学習済みモデル又はAIモデル50を用いたが、これに限らず、例えば、次の構成を採用することができる。
【0333】
〔発明B1〕 設計情報中の作成済み又は編集済みの要素に関する要素情報を取得する要素情報取得手段と、
作成済み又は編集済みの要素の次に連続して編集された複数の要素及びその編集順序(以下「複数の要素及びその編集順序」を「要素順序」という。)に関する要素順序情報を、当該作成済み又は編集済みの要素に関する要素情報及び当該複数の要素に関する評価値と対応づけて記憶する記憶手段から、前記要素情報取得手段で取得した要素情報に対応する前記要素順序情報であって前記評価値が所定以上のものを検索する検索手段とを備え、
前記評価値は、設計対象の品質又はリスクに関する評価値である。
【0334】
これにより、連続して編集される複数の要素及びその編集順序を把握することができる。また、設計対象の品質又はリスクに関する評価値に応じた要素順序を把握することができる。
【0335】
〔発明B2〕 発明B1において、
前記設計対象の品質に関する評価値は、前記設計対象の安全性、機能性、利便性、美観性、環境性、経済性又は法適合性に関する評価値である。
【0336】
〔発明B3〕 発明B1において、
前記設計対象のリスクに関する評価値は、前記設計対象の品質が低下するリスク、前記設計対象が倒壊若しくは破損するリスク、前記設計対象が劣化するリスク、前記設計対象に関するコストが増大するリスク、天災事変により前記設計対象に生じるリスク、前記設計対象に関する資産価値が減少するリスク又は前記設計対象が社会的な問題を引き起こすリスクに関する評価値である。
【0337】
上記第4の実施の形態の変形例として発明B1~B3の実施の形態を説明する。
記憶装置42は、上記第4の実施の形態における学習データ1~3と同様のデータ構造からなる要素順序情報テーブル1~3を記憶している。ステップS302では、ステップS300で取得した要素IDに対応する1又は複数の要素順序情報であって評価値が所定以上のものを要素順序情報テーブル1~3からそれぞれ検索し、索出した要素順序情報から1又は複数の要素順序情報を決定する。この決定方法としては、決定部466による決定方法と同様の方法を採用することができる。ステップS304では、ステップS302で決定した要素順序情報に基づいて要素順序を表示装置44に表示する。ステップS312、S134、S336、S338、S346、S348についても同様である。
【0338】
次に、上記第5の実施の形態の変形例として発明B1~B3の実施の形態を説明する。
記憶装置42は、上記第5の実施の形態における学習データ1~3と同様のデータ構造からなる要素順序情報テーブル1~3を記憶している。ステップS302では、ステップS300で取得した要素IDに対応する1又は複数の要素順序情報であって評価値が所定以上のものを要素順序情報テーブル1から取得する。次いで、取得した要素順序情報に対応する1又は複数の要素順序情報であって評価値が所定以上のものを要素順序情報テーブル2から取得する。そして、取得した要素順序情報に対応する1又は複数の要素順序情報であって評価値が所定以上のものを要素順序情報テーブル3から取得する。ステップS304では、ステップS302で取得した要素順序情報に基づいて要素順序を表示装置44に表示する。ステップS312、S314、S336、S338、S346、S348についても同様である。
【0339】
〔発明B4〕 発明B1~B3において、
前記記憶手段は、前記要素情報及び前記評価値の価値の指標を示す第1指標に基づく前記評価値と対応づけて前記要素順序情報を記憶する第1記憶手段、並びに、前記要素情報及び前記第1指標とは異なる第2指標に基づく前記評価値と対応づけて前記要素順序情報を記憶する第2記憶手段を含み、
前記第1指標又は前記第2指標に関する指標情報を取得する指標情報取得手段と、
前記指標情報取得手段で取得した指標情報に基づいて前記第1記憶手段及び前記第2記憶手段のいずれかを選択する記憶手段選択手段とを備え、
前記検索手段は、前記記憶手段選択手段で選択した記憶手段から前記要素順序情報を検索する。
【0340】
これにより、第1指標又は第2指標に基づく評価値が高い要素順序を把握することができる。
【0341】
上記第4の実施の形態の変形例として発明B4の実施の形態を説明する。
記憶装置42は、上記第4の実施の形態における学習データ1、2と同様のデータ構造からなる要素順序情報テーブル1、2を記憶している。ステップS332では、ステップS330で取得した指標情報に係る指標が第1指標である場合は要素順序情報テーブル1を選択し、取得した指標情報に係る指標が第2指標である場合は要素順序情報テーブル2を選択する。ステップS336では、ステップS334で取得した要素IDに対応する1又は複数の要素順序情報であって評価値が所定以上のものを、ステップS332で選択した要素順序情報テーブルから検索する。ステップS346では、ステップS340で取得した要素IDに対応する1又は複数の要素順序情報であって評価値が所定以上のものを、ステップS332で選択した要素順序情報テーブルから検索する。
【0342】
〔発明B5〕 発明B1~B3において、
前記記憶手段は、前記要素情報、前記評価値及び前記評価値の価値の指標を示す第1指標又は前記第1指標とは異なる第2指標に関する指標情報と対応づけて前記要素順序情報を記憶し、
前記第1指標又は前記第2指標に関する指標情報を取得する指標情報取得手段を備え、
前記検索手段は、前記要素情報取得手段で取得した要素情報及び前記指標情報取得手段で取得した指標情報に対応する前記要素順序情報を検索する。
【0343】
これにより、第1指標又は第2指標に基づく評価値が高い要素順序を把握することができる。
【0344】
上記第4の実施の形態の変形例として発明B5の実施の形態を説明する。
記憶装置42は、各行ごとに、作成済み又は編集済みの要素ID430、要素順序情報432、評価値414、434及び第1指標又は第2指標に関する指標情報を登録した要素順序情報テーブルを記憶している。ステップS336では、ステップS330、S334で取得した要素ID及び指標情報に対応する1又は複数の要素順序情報であって評価値が所定以上のものを要素順序情報テーブルから検索する。ステップS346では、ステップS330、S340で取得した要素ID及び指標情報に対応する1又は複数の要素順序情報であって評価値が所定以上のものを要素順序情報テーブルから検索する。
【0345】
〔発明B6〕 発明B1において、
前記複数の要素は、その設定又は変更に人の判断を要する要素であって、他の要素に対し当該設定又は変更が影響を与える要素である。
【0346】
〔発明B7〕 発明B1において、
前記設計情報は、建築の設計を行うための設計情報である。
【0347】
また、発明B1~B7及びその変形例において、要素順序情報を要素情報等と対応づけて記憶することとしては、例えば、(1)要素順序情報及び要素情報等を同一のレコードに登録するなど、直接対応づけて記憶すること、(2)要素順序情報及び中間情報を対応づけて登録するテーブルと、要素情報等及び中間情報を対応づけて登録するテーブルを設けるなど、中間に1又は複数の情報を介して記憶することが含まれる。すなわち、要素情報等から要素順序情報を辿ることができる態様であれば、あらゆるデータ構造を採用することができる。なお、要素順序情報は、要素情報等と対応づけて記憶手段に記憶すればよく、記憶手段に要素情報等を記憶することは必ずしも要しない。
【0348】
また、発明B1~B7及びその変形例において、記憶手段は、要素順序情報をあらゆる手段で且つあらゆる時期に記憶するものであり、要素順序情報を予め記憶してあるものであってもよいし、要素順序情報を予め記憶することなく、図面作成支援装置100の動作時に外部からの入力等によって要素順序情報を記憶するようになっていてもよい。
【0349】
また、上記第6~第10の実施の形態及びその変形例においては、プロンプトとして、例えば、作成済み又は編集済みの要素IDに基づいて、作成済み又は編集済みの編集要素の次に連続して編集される複数の編集要素及びその編集順序に関する要素順序情報であって評価値が所定以上のものを生成することをAIモデル50に要求する内容としたが、これに限らず、作成済み又は編集済みの編集要素の次に連続して編集される複数の編集要素及びその編集順序に関する要素順序情報を生成することをAIモデル50に要求する内容とすることができる。
【0350】
また、上記第6~第10の実施の形態及びその変形例においては、
図5又は
図11の学習データをナレッジベース54に登録したが、これに限らず、(1)編集履歴データ、(2)作成済み又は編集済みの要素に関する要素情報、並びに当該要素の次に連続して編集される複数の要素及びその編集順序に関する要素順序情報を含む参照情報、又は(3)作成済み又は編集済みの要素に関する要素情報、当該要素の次に連続して編集される複数の要素及びその編集順序に関する要素順序情報並びに当該複数の要素の編集に関する評価値を含む参照情報をナレッジベース54に登録することができる。(2)又は(3)の参照情報には、上記第1~第5の実施の形態及びその変形例における学習済みモデルを用いて推定した要素順序情報を含めることができる。
【0351】
また、上記第6~第10の実施の形態及びその変形例においては、ナレッジベース54にベクトルデータを登録したが、これに限らず、任意の形式のデータを登録することができる。
【0352】
また、上記第1~第10の実施の形態及びその変形例においては、学習済みモデルを用いた推定処理、AIモデル50からの取得処理及びテーブルを用いた検索処理のいずれかを備える構成を採用したが、これに限らず、これら処理のうち複数を備える構成を採用することができる。具体的には、例えば、次の構成を採用することができる。
【0353】
第1の構成は、ステップS302の処理又はステップS312の処理を、推定処理、取得処理及び検索処理のいずれかにより行う構成である。ステップS312の2回目以降の処理については、ステップS302の処理又はステップS312の1回目の処理と同一又は異なる処理により行うことができる。
【0354】
第2の構成は、ステップS336の処理又はステップS346の処理を、推定処理、取得処理及び検索処理のいずれかにより行う構成である。ステップS346の2回目以降の処理については、ステップS336の処理又はステップS346の1回目の処理と同一又は異なる処理により行うことができる。
【0355】
第3の構成は、ステップS502、S504の処理又はステップS514、S516の処理を、推定処理、取得処理及び検索処理のいずれかにより行う構成である。ステップS514、S516の2回目以降の処理については、ステップS502、S504の処理又はステップS514、S516の1回目の処理と同一又は異なる処理により行うことができる。
【0356】
第4の構成は、ステップS534、S536の処理又はステップS546、S548の処理を、推定処理、取得処理及び検索処理のいずれかにより行う構成である。ステップS546、S548の2回目以降の処理については、ステップS534、S536の処理又はステップS546、S548の1回目の処理と同一又は異なる処理により行うことができる。
【0357】
第5の構成は、どの処理を優先に行うかを制御する構成である。例えば、(1)複数の処理のうち現在の負荷が低いものを優先に行う構成、(2)複数の処理のうち処理結果がユーザにより採用された採用度合い(採用の回数、割合その他の度合いをいう。)が高いものを優先に行う構成、(3)複数の処理のうちユーザの利用度合い(利用の回数、割合その他の度合いをいう。)が高いものを優先に行う構成を採用することができる。
【0358】
また、上記第1~第10の実施の形態及びその変形例においては、複数の編集要素及びその編集順序を学習又は推論させたが、これに限らず、学習又は推論の対象とする「複数の編集要素」は、その設定又は変更に人の判断を要する編集要素Aであって、他の編集要素Bに対しその設定又は変更が影響を与える編集要素とすることができる。これにより、編集要素A及び編集要素Bの関係を考慮した要素順序を把握することができる。人の判断を要しない編集要素であれば、例えば、特許第7341580号公報の技術により編集を自動化することができるので、自動化が難しい編集要素を対象にすることで編集作業を効率化することができる。
【0359】
また、上記第1~第5の実施の形態及びその変形例においては、単一の装置として実現したが、これに限らず、ネットワークシステムとして実現することもできる。ネットワークシステムの例として、図面作成支援装置100の機能の一部又は全部を、クラウドコンピューティングサービスを提供するサーバ上の仮想サーバとして構成することができる。
【0360】
また、上記第6~第10の実施の形態及びその変形例において、生成AIサーバ120は、AIモデル50、AIモデル制御部52、ナレッジベース54、リクエスト受信部56、リクエスト処理部58、回答情報送信部60、リクエスト受信部62及び学習データ登録部64からなる各機能を一体で構成したが、これに限らず、一部の機能を別のサーバ等で構成することができる。
【0361】
また、上記第6~第10の実施の形態及びその変形例においては、ネットワークシステムとして実現したが、これに限らず、単一のデバイス又はアプリケーションとして実現することができる。
【0362】
また、上記第6~第10の実施の形態及びその変形例においては、インターネット199からなるネットワークシステムに適用した場合について説明したが、これに限らず、例えば、インターネット199と同一方式により通信を行ういわゆるイントラネットに適用してもよい。もちろん、インターネット199と同一方式により通信を行うネットワークに限らず、任意の通信方式のネットワークに適用することができる。
【0363】
また、上記第1~第10の実施の形態及びその変形例において、図面作成支援装置100は、記憶装置42を利用するように構成したが、これに限らず、データベースサーバ等の外部の記憶装置を利用するように構成することもできる。
【0364】
また、上記第1~第10の実施の形態及びその変形例において、
図4、
図6、
図8、
図12、
図18~
図20のフローチャートに示す処理を実行するにあたってはいずれも、ROM32に予め格納されているプログラムを実行する場合について説明したが、これに限らず、これらの手順を示したプログラムが記憶された記憶媒体から、そのプログラムをRAM34に読み込んで実行するようにしてもよい。
【0365】
ここで、記憶媒体とは、RAM、ROM等の半導体記憶媒体、FD、HD等の磁気記憶型記憶媒体、CD、CDV、LD、DVD等の光学的読取方式記憶媒体、MO等の磁気記憶型/光学的読取方式記憶媒体であって、電子的、磁気的、光学的等の読み取り方法のいかんにかかわらず、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体であれば、あらゆる記憶媒体を含むものである。
【0366】
また、上記第1~第10の実施の形態及びその変形例は相互に適用することができる。
また、上記第1~第10の実施の形態及びその変形例に限らず、本発明の主旨を逸脱しない範囲で他の場合にも適用可能である。例えば、自動車設計、機械設計、回路設計など広く設計を行う場合(自動車、機械、回路その他を設計対象とする場合)について本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0367】
100…図面作成支援装置、 30…CPU、 32…ROM、 34…RAM、 38…I/F、 39…バス、 40…入力装置、 42…記憶装置、 44…表示装置、 120…生成AIサーバ、 50…AIモデル、 52…AIモデル制御部、 54…ナレッジベース、 56、62…リクエスト受信部、 58…リクエスト処理部、 60…回答情報送信部、 64…学習データ登録部、 199…インターネット、 400、420…要素情報、 402…編集時間、 422…編集項目数、 410、430…要素ID、 412、432…要素順序情報、 414、434…評価値、 450~454…CADデータ、 460~464、470~474…学習済みモデル、 466…決定部
【要約】
【課題】 連続して編集される複数の要素及びその編集順序を把握するのに好適な設計支援システムを提供する。
【解決手段】 図面作成支援装置100は、作成済み又は編集済みの要素IDを取得し、作成済み又は編集済みの要素ID、その編集要素の次に連続して編集された複数の編集要素及びその編集順序に関する要素順序情報、並びにその複数の編集要素に関する評価値であって建築物の品質又はリスクに関する評価値を含む学習データに基づいて学習された学習済みモデルを用いて、取得した要素IDから複数の要素順序情報を推定する。これにより、連続して編集される複数の編集要素及びその編集順序を把握することができる。また、建築物の品質又はリスクに関する評価値に応じた要素順序を把握することができる。
【選択図】
図13