(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-24
(45)【発行日】2025-10-02
(54)【発明の名称】提供装置、提供方法および提供プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/04 20120101AFI20250925BHJP
【FI】
G06Q40/04
(21)【出願番号】P 2022043355
(22)【出願日】2022-03-18
【審査請求日】2022-11-17
【審判番号】
【審判請求日】2024-10-02
(73)【特許権者】
【識別番号】500257300
【氏名又は名称】LINEヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田島 玲
(72)【発明者】
【氏名】塚本 浩司
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 正一
(72)【発明者】
【氏名】福嶋 恵
【合議体】
【審判長】佐藤 智康
【審判官】安藤 一道
【審判官】間野 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特許第6902311(JP,B1)
【文献】特開2018-45649(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金融商品の売買取引を行った取引ユーザの取引履歴に基づいて、前記取引ユーザの中から取引実績における損益を示すスコアが閾値以上である取引ユーザを抽出する抽出部と、
抽出した前記取引ユーザの前記取引履歴の特徴を学習する学習部と、
前記学習部の学習結果に基づいた情報をユーザに提供する提供部と、
を備え、
前記スコアは、
利益につながった取引率または損失につながった取引率であ
り、
前記学習部は、
前記ユーザの取引履歴を入力とし、前記取引ユーザの模擬的な取引履歴を出力とするモデルを学習により生成し、
前記提供部は、
前記モデルの出力である前記取引ユーザの模擬的な取引履歴に基づいた情報を前記ユーザに提供する
提供装置。
【請求項2】
前記学習部は、
前記モデルとして、前記取引ユーザの模擬的な買い取引に関する取引履歴を出力する買いモデルを生成する
請求項
1に記載の提供装置。
【請求項3】
前記学習部は、
前記モデルとして、前記取引ユーザの模擬的な売り取引に関する取引履歴を出力する売りモデルを生成する
請求項
1または2に記載の提供装置。
【請求項4】
前記提供部は、
前記ユーザの取引履歴と前記取引ユーザの模擬的な取引履歴との比較結果に関する情報を前記ユーザに提供する
請求項
1~3のいずれか1つに記載の提供装置。
【請求項5】
前記提供部は、
前記比較結果に関する情報として、前記ユーザの取引履歴と前記取引ユーザの模擬的な取引履歴との差分を提供する
請求項
4に記載の提供装置。
【請求項6】
前記学習部は、
前記取引ユーザの種別毎に学習を行い、前記取引ユーザの種別毎に学習結果を生成する
請求項1~
5のいずれか1つに記載の提供装置。
【請求項7】
前記提供部は、
前記取引ユーザの最新の売買に関する情報を前記ユーザに通知する
請求項1~
6のいずれか1つに記載の提供装置。
【請求項8】
コンピュータが実行する提供方法であって、
金融商品の売買取引を行った取引ユーザの取引履歴に基づいて、前記取引ユーザの中から取引実績における損益を示すスコアが閾値以上である取引ユーザを抽出する抽出工程と、
抽出した前記取引ユーザの前記取引履歴の特徴を学習する学習工程と、
前記学習工程の学習結果に基づいた情報をユーザに提供する提供工程と、
を含み、
前記スコアは、
利益につながった取引率または損失につながった取引率であ
り、
前記学習工程は、
前記ユーザの取引履歴を入力とし、前記取引ユーザの模擬的な取引履歴を出力とするモデルを学習により生成し、
前記提供工程は、
前記モデルの出力である前記取引ユーザの模擬的な取引履歴に基づいた情報を前記ユーザに提供する
提供方法。
【請求項9】
金融商品の売買取引を行った取引ユーザの取引履歴に基づいて、前記取引ユーザの中から取引実績における損益を示すスコアが閾値以上である取引ユーザを抽出する抽出手順と、
抽出した前記取引ユーザの前記取引履歴の特徴を学習する学習手順と、
前記学習手順の学習結果に基づいた情報をユーザに提供する提供手順と、
をコンピュータに実行させ、
前記スコアは、
利益につながった取引率または損失につながった取引率であ
り、
前記学習手順は、
前記ユーザの取引履歴を入力とし、前記取引ユーザの模擬的な取引履歴を出力とするモデルを学習により生成し、
前記提供手順は、
前記モデルの出力である前記取引ユーザの模擬的な取引履歴に基づいた情報を前記ユーザに提供する
提供プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、提供装置、提供方法および提供プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、株や、為替、先物等の金融商品をインターネット上で取引することが活発に行われている。また、金融商品の取引を支援するために各種情報を提供する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、より有用な情報をユーザに提供する点で更なる改善の余地があった。
【0005】
本願は、上記に鑑みてなされたものであって、より有用な情報をユーザに提供することができる提供装置、提供方法および提供プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に係る提供装置は、抽出部と、学習部と、提供部とを備える。前記抽出部は、金融商品の売買取引を行った取引ユーザの取引履歴に基づいて、前記取引ユーザの中から取引実績が所定の条件を満たす取引ユーザを抽出する。前記学習部は、抽出した前記取引ユーザの前記取引履歴の特徴を学習する。前記提供部は、前記学習部の学習結果に基づいた情報をユーザに提供する。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様によれば、より有用な情報をユーザに提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る提供装置が実行する処理を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る提供システムの構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る提供装置の構成例を示す図である。
【
図5】
図5は、金融商品情報の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る提供装置が実行する処理の処理手順を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、ハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願に係る提供装置、提供方法および提供プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る提供装置、提供方法および提供プログラムが限定されるものではない。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0010】
(実施形態)
まず、
図1を用いて、実施形態に係る提供装置が実行する処理について説明する。
図1は、実施形態に係る提供装置が実行する処理を示す図である。なお、
図1では、実施形態に係る提供装置1を含む提供システムSの動作例を示している。
図1に示すように、実施形態に係る提供システムSは、提供装置1と、ユーザ端末50と、取引ユーザ端末51とを含む。
【0011】
図1に示すように、実施形態に係る提供システムSでは、まず、提供装置1は、金融商品の売買取引を行った取引ユーザから、取引ユーザ端末51を介して金融商品の取引履歴を取得する(ステップS1)。取引履歴は、取引した金融商品の銘柄や、取引数(売買した株数等)、売買時の価値(株価等)、取引タイミング、売買による利益(または損失)等の情報を含む。なお、提供装置1は、様々な取引ユーザから取引ユーザ端末51を介して取引履歴を収集するが、金融商品を扱う金融機関(金融機関端末)から様々な取引ユーザの取引履歴を収集してもよい。
【0012】
つづいて、提供装置1は、取得した取引履歴に基づいて、取引実績が所定の条件を満たす取引ユーザを抽出する(ステップS2)。例えば、提供装置1は、取引実績における利益額や、利益につながった取引数、利益につながった取引率(いわゆる勝率)が閾値以上の取引ユーザを抽出する。また、提供装置1は、取引実績における損失額や、損失につながった取引数、損失につながった取引率(いわゆる負率)が閾値以上の取引ユーザを抽出してもよい。
【0013】
つづいて、提供装置1は、抽出した取引ユーザの取引履歴の特徴を学習して取引ユーザモデルを生成する(ステップS3)。取引ユーザモデルは、ユーザ(取引ユーザ以外のユーザ)の取引履歴を入力し、取引ユーザの模擬的な取引履歴を出力するモデルである。言い換えれば、取引ユーザモデルは、ユーザの取引履歴と同様の取引を取引ユーザが模擬的に行った場合における取引タイミングや、取引数、売買時の価格等の模擬的な取引履歴を出力する。
【0014】
なお、取引ユーザモデルは、取引ユーザの種別毎に生成されてもよい。種別は、例えば、金融商品の保有タイプ(長期保有タイプ、短期保有タイプ等)、職業、性別、運用額、資産額等である。
【0015】
つづいて、提供装置1は、ユーザからユーザ端末50を介して金融商品の取引履歴を取得する(ステップS4)。取引履歴は、取引した金融商品の銘柄や、取引数(売買した株数等)、売買時の価値(株価等)、取引タイミング、売買による利益(または損失)等の情報を含む。
【0016】
つづいて、提供装置1は、ステップS4で取得したユーザの取引履歴をステップS3で生成した取引ユーザモデルに入力し、取引ユーザの模擬的な取引履歴を生成(出力)する(ステップS5)。
【0017】
つづいて、提供装置1は、ステップS4で取得したユーザの取引履歴と、取引ユーザの模擬的な取引履歴とを比較する(ステップS6)。
【0018】
つづいて、提供装置1は、学習結果に基づいた情報をユーザに提供する(ステップS7)。例えば、提供装置1は、学習結果である取引ユーザモデルから出力された取引ユーザの模擬的な取引履歴に関する情報を提供する。例えば、提供装置1は、ステップS6における比較結果をユーザに提供する。比較結果は、例えば、ユーザの取引履歴と、取引ユーザの模擬的な取引履歴との差分である。具体的には、提供装置1は、ユーザと取引ユーザとの取引タイミングの差分や、利益額(または損失額)の差分を提供する。
【0019】
また、提供装置1は、比較結果に基づいてユーザの取引履歴と、取引ユーザの模擬的な取引履歴との類似度を算出し、類似度に基づいた取引レベル(取引ユーザと近い取引を行えたかを示す指標)を提供してもよい。
【0020】
このように、実施形態に係る提供装置1では、例えば、取引実績が好調な取引ユーザの取引履歴を学習し、学習結果に基づいた情報をユーザに提供することで、ユーザが取引を上達したい場合の一助することができる。すなわち、実施形態に係る提供装置1によれば、より有用な情報を提供することができる。
【0021】
次に、
図2を用いて、実施形態に係る提供システムSの構成例について説明する。
図2は、実施形態に係る提供システムSの構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、実施形態に係る提供システムSは、提供装置1と、複数のユーザ端末50と、取引ユーザ端末51と、複数の金融機関端末100とがネットワークNに対して有線又は無線により接続される。ネットワークNは、例えば、インターネット、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)等のネットワークである。
【0022】
提供装置1は、実施形態に係る提供方法を実行するサーバ装置である。提供装置1は、取引実績が所定の条件を満たす取引ユーザの取引履歴の特徴を学習し、学習結果に基づいた情報を提供する。
【0023】
また、提供装置1は、各ユーザのユーザ端末50と連携し、各ユーザのユーザ端末50に対して、各種アプリケーション(以下、アプリ)等に対するAPI(Application Programming Interface)サービス等と、各種データを提供する情報処理装置であり、サーバ装置やクラウドシステム等により実現される。
【0024】
また、提供装置1は、各ユーザのユーザ端末50に対して、オンラインで何らかのWebサービスを提供する情報処理装置であってもよい。例えば、提供装置1は、Webサービスとして、インターネット接続、検索サービス、SNS(Social Networking Service)、電子商取引(EC:Electronic Commerce)、電子決済、オンラインゲーム、オンラインバンキング、オンライントレーディング、宿泊・チケット予約、動画・音楽配信、ニュース、地図、ルート検索、経路案内、路線情報、運行情報、天気予報等のサービスを提供してもよい。実際には、提供装置1は、上記のようなWebサービスを提供する各種サーバと連携し、Webサービスを仲介してもよいし、Webサービスの処理を担当してもよい。
【0025】
ユーザ端末50は、ユーザが所持する端末装置である。ユーザ端末50は、スマートフォン、デスクトップ型PC、ノート型PC、タブレット型PC等の任意のタイプの端末装置を用いることができる。ユーザ端末50は、提供装置1や金融機関端末100へ各種情報を送信したり、提供装置1や金融機関端末100から提供される情報を受信したりする。
【0026】
取引ユーザ端末51は、金融商品の売買取引を行ったユーザが所持する端末装置である。取引ユーザ端末51は、スマートフォン、デスクトップ型PC、ノート型PC、タブレット型PC等の任意のタイプの端末装置を用いることができる。取引ユーザ端末51は、提供装置1や金融機関端末100へ各種情報を送信したり、提供装置1や金融機関端末100から提供される情報を受信したりする。
【0027】
金融機関端末100は、金融商品を扱う金融機関の担当者が扱う端末装置である。金融機関端末100は、スマートフォン、デスクトップ型PC、ノート型PC、タブレット型PC等の任意のタイプの端末装置を用いることができる。金融機関端末100は、ユーザや取引ユーザが保有する金融商品の情報や、取引履歴、金融商品の価値の履歴等の情報を提供装置1へ提供する。
【0028】
次に、
図3を参照して、提供装置1の構成例について説明する。
【0029】
図3は、実施形態に係る提供装置1の構成例を示す図である。
図3に示されるように、提供装置1は、通信部2と、制御部3と、記憶部4とを有する。制御部3は、取得部31と、抽出部32と、学習部33と、生成部34と、提供部35とを備える。記憶部4は、ユーザ情報41と、金融商品情報42と、モデル情報43とを記憶する。
【0030】
通信部2は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。通信部2は、有線または無線によりネットワーク網と接続される。
【0031】
制御部3は、コントローラ(controller)であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサによって、提供装置1内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(提供プログラムの一例に相当)がRAM等を作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部3は、コントローラ(controller)であり、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、GPGPU(General Purpose Graphic Processing Unit)等の集積回路により実現されてもよい。
【0032】
記憶部4は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。
【0033】
ユーザ情報41は、ユーザ(取引ユーザを含む)に関する情報である。
図4は、ユーザ情報41の一例を示す図である。
図4に示すように、ユーザ情報41は、「ユーザID」、「属性情報」、「保有商品情報」、「取引履歴」等の項目を含む。
【0034】
「ユーザID」は、ユーザを識別する識別情報である。「属性情報」は、ユーザの属性に関する情報であり、サイコグラフィック属性や、デモグラフィック属性等を含む。「保有商品情報」は、ユーザが現在保有する金融商品に関する情報であり、金融商品の銘柄や、保有数(株数等)、取得時の価値(株価等)等の情報が含まれる。「取引履歴」は、ユーザや取引ユーザによる金融商品の取引の履歴であり、売買の日時や、売買した数量、売買当時の価値、取引実績(利益額または損失額や、利益率や損失率)等を含む。
【0035】
金融商品情報42は、金融機関が扱う金融商品に関する情報である。
図5は、金融商品情報42の一例を示す図である。
図5に示すように、金融商品情報42は、「商品ID」、「商品情報」、「価値情報」等の項目を含む。
【0036】
「商品ID」は、金融商品を識別する識別情報である。「商品情報」は、金融商品に関する情報であり、金融商品の種別(株式、債券等)や、銘柄名、構成内容(インデックスなら構成銘柄)等の情報である。「価値情報」は、金融商品の価値(株価等)に関する情報であり、現在の価値や、過去の所定期間における価値の履歴等を含む。
【0037】
モデル情報43は、後述する学習部33の学習結果であるモデルに関する情報である。
図6は、モデル情報43の一例を示す図である。
図6に示すように、モデル情報43は、「モデルID」、「種類(買or売)」、「種別」、「モデル情報」等の項目を含む。
【0038】
「モデルID」は、モデルを識別する識別情報である。「種類(買or売)」は、買いタイミングに関するスコアを出力するモデルか、売りタイミングに関するスコアを出力するモデルかを示す情報である。「種別」は、モデルが対応する取引ユーザの種別(長期保有ユーザ、短期保有ユーザ、サラリーマンユーザ等)を示す情報である。「モデル情報」は、モデルの変数や重み等といったモデルの内容を示す情報である。
【0039】
次に、提供装置1の制御部3の各機能(取得部31、抽出部32、学習部33、生成部34および提供部35)について説明する。
【0040】
取得部31は、各種情報を取得する。例えば、取得部31は、ユーザや取引ユーザの取引履歴を取得する。取引履歴は、ユーザ端末50や取引ユーザ端末51から取得されてもよく、金融機関端末100から取得されてもよい。
【0041】
抽出部32は、取引ユーザの取引履歴に基づいて、取引ユーザの中から取引実績が所定の条件を満たす取引ユーザを抽出する。例えば、抽出部32は、取引実績における利益額や、利益につながった取引数、利益につながった取引率(いわゆる勝率)が閾値以上の取引ユーザを抽出する。また、抽出部32は、取引実績における損失額や、損失につながった取引数、損失につながった取引率(いわゆる負率)が閾値以上の取引ユーザを抽出してもよい。
【0042】
なお、抽出部32は、抽出した取引ユーザが所定数以上である場合には、取引実績における利益額(または損失額)や、利益(または損失)につながった取引数、利益(または損失)につながった取引率の上位から所定数(所定比率)の取引ユーザを抽出してもよい。
【0043】
また、抽出部32は、取引実績における利益額(または損失額)や、利益(または損失)につながった取引数、利益(または損失)につながった取引率が閾値以上の取引ユーザのうち、取引回数が所定数以上の取引ユーザを抽出してもよい。
【0044】
学習部33は、抽出部32が抽出した取引ユーザの取引履歴の特徴を学習する。取引履歴の特徴は、例えば、取引した銘柄、取引したタイミング、取引数(売買した株数)、取引時の金融商品の価値(株価)、取引時から過去の金融商品の価値の変動(価値の履歴や、過去の下落率、上昇率等)、買ってから売るまでの期間等である。
【0045】
学習部33は、取引履歴の特徴を学習し、学習結果として取引ユーザモデルを生成する。具体的には、取引ユーザモデルは、ユーザの取引履歴を入力し、取引ユーザの模擬的な取引履歴を出力するモデルである。つまり、取引ユーザモデルは、ユーザの取引履歴と同様の取引を取引ユーザが模擬的に行った場合における取引タイミングや、取引数、売買時の価格等の模擬的な取引履歴を出力する。
【0046】
例えば、取引ユーザモデルは、取引ユーザの模擬的な買い取引に関する取引履歴を出力する買いモデルと、模擬的な売り取引に関する取引履歴を出力する売りモデルとで構成される。
【0047】
買いモデルは、取引履歴の特徴として、買った銘柄、買ったタイミング、買った数(買った株数)、購入時の金融商品の価値(株価)、購入時から過去の金融商品の価値の変動(価値の履歴や、過去の下落率、上昇率等)を学習することで生成される。
【0048】
売りモデルは、取引履歴の特徴として、売った銘柄、売ったタイミング、売った数(売った株数)、売却時の金融商品の価値(株価)、売却時から過去の金融商品の価値の変動(価値の履歴や、過去の下落率、上昇率等)、買ったタイミングから売ったタイミングまでの期間を学習することで生成される。
【0049】
取引ユーザモデルは、例えば、ユーザの種別毎に生成されてもよい。例えば、取引ユーザモデルは、長期保有の傾向にある取引ユーザの取引履歴を基にした長期保有ユーザモデルや、短期保有の傾向にある取引ユーザの取引履歴を基にした短期保有ユーザモデル、職業(正社員毎、アルバイト毎、職種毎)毎のモデル、性別毎のモデル、運用総額毎のモデル、資産額毎のモデル等がある。
【0050】
生成部34は、学習部33の学習結果に基づいた情報を生成する。例えば、生成部34は、取得部31が取得したユーザ(取引ユーザ以外のユーザ)の取引履歴を取引ユーザモデルに入力し、出力結果である取引ユーザの模擬的な取引履歴に関する情報を生成する。
【0051】
また、生成部34は、生成した取引ユーザの模擬的な取引履歴と、取得部31が取得したユーザの取引履歴とを比較し比較結果に基づいた情報を生成する。例えば、生成部34は、ユーザの取引履歴と、取引ユーザの模擬的な取引履歴との差分を示す情報を生成する。具体的には、生成部34は、ユーザと取引ユーザとの取引タイミングの差分や、利益額(または損失額)等の要素の差分を示す情報を生成する。
【0052】
また、生成部34は、ユーザの取引履歴と、取引ユーザの模擬的な取引履歴との差分のうち、差分の値が所定値以上の要素を抽出した情報を生成結果としてもよい。
【0053】
なお、生成部34は、ユーザと属性情報や取引タイプ(長期保有タイプや短期保有タイプ等)が類似する取引ユーザの取引履歴を比較対象として用いてもよい。
【0054】
また、生成部34は、比較結果に基づいてユーザの取引履歴と、取引ユーザの模擬的な取引履歴との類似度を算出し、類似度に基づいた取引レベル(取引ユーザと近い取引を行えたかを示す指標)を生成してもよい。
【0055】
また、生成部34は、特定の金融商品について、ユーザの売買タイミングと、取引ユーザの売買タイミングとの比較結果を示す情報を生成してもよい。
【0056】
提供部35は、生成部34によって生成された情報をユーザに提供する。また、提供部35は、学習部33によって生成された取引ユーザモデルの情報をユーザに提供してもよい。
【0057】
また、提供部35は、取引ユーザの最新の売買に関する情報をユーザにプッシュ通知等によって通知してもよい。つまり、提供部35は、取引ユーザが今日どのような金融商品をどのようなタイミングで売買したかの情報をユーザに通知する。
【0058】
次に、
図7を用いて、実施形態に係る提供装置1が実行する処理の処理手順について説明する。
図7は、実施形態に係る提供装置1が実行する処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0059】
図7に示すように、制御部3は、取引ユーザの取引履歴を取得する(ステップS101)。
【0060】
つづいて、制御部3は、取引実績が所定の条件を満たす取引ユーザを抽出する(ステップS102)。
【0061】
つづいて、制御部3は、抽出した取引ユーザの取引履歴の特徴を学習した取引ユーザモデルを生成する(ステップS103)。
【0062】
つづいて、制御部3は、取引ユーザモデルを用いて、ユーザへ提供する情報を生成する(ステップS104)。
【0063】
つづいて、制御部3は、生成した情報をユーザへ提供し(ステップS105)、処理を終了する。
【0064】
〔その他〕
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の一部を手動的に行うこともできる。あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0065】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0066】
例えば、
図3に示した記憶部4の一部又は全部は、各装置によって保持されるのではなく、ストレージサーバ等に保持されてもよい。この場合、各装置は、ストレージサーバにアクセスすることで、各種情報を取得する。
【0067】
〔ハードウェア構成〕
また、上述してきた実施形態に係る提供装置1は、例えば
図7に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。
図7は、ハードウェア構成の一例を示す図である。コンピュータ1000は、出力装置1010、入力装置1020と接続され、演算装置1030、一次記憶装置1040、二次記憶装置1050、出力IF(Interface)1060、入力IF1070、ネットワークIF1080がバス1090により接続された形態を有する。
【0068】
演算装置1030は、一次記憶装置1040や二次記憶装置1050に格納されたプログラムや入力装置1020から読み出したプログラム等に基づいて動作し、各種の処理を実行する。一次記憶装置1040は、RAM等、演算装置1030が各種の演算に用いるデータを一時的に記憶するメモリ装置である。また、二次記憶装置1050は、演算装置1030が各種の演算に用いるデータや、各種のデータベースが登録される記憶装置であり、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等により実現される。
【0069】
出力IF1060は、モニタやプリンタといった各種の情報を出力する出力装置1010に対し、出力対象となる情報を送信するためのインタフェースであり、例えば、USB(Universal Serial Bus)やDVI(Digital Visual Interface)、HDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)といった規格のコネクタにより実現される。また、入力IF1070は、マウス、キーボード、およびスキャナ等といった各種の入力装置1020から情報を受信するためのインタフェースであり、例えば、USB等により実現される。
【0070】
なお、入力装置1020は、例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等から情報を読み出す装置であってもよい。また、入力装置1020は、USBメモリ等の外付け記憶媒体であってもよい。
【0071】
ネットワークIF1080は、ネットワークNを介して他の機器からデータを受信して演算装置1030へ送り、また、ネットワークNを介して演算装置1030が生成したデータを他の機器へ送信する。
【0072】
演算装置1030は、出力IF1060や入力IF1070を介して、出力装置1010や入力装置1020の制御を行う。例えば、演算装置1030は、入力装置1020や二次記憶装置1050からプログラムを一次記憶装置1040上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。
【0073】
例えば、コンピュータ1000が提供装置1として機能する場合、コンピュータ1000の演算装置1030は、一次記憶装置1040上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部3の機能を実現する。
【0074】
〔効果〕
上述してきたように、実施形態に係る提供装置1は、抽出部32と、学習部33と、提供部35とを備える。抽出部32は、金融商品の売買取引を行った取引ユーザの取引履歴に基づいて、取引ユーザの中から取引実績が所定の条件を満たす取引ユーザを抽出する。学習部33は、抽出した取引ユーザの取引履歴の特徴を学習する。提供部35は、学習部33の学習結果に基づいた情報をユーザに提供する。このような構成により、より有用な情報をユーザに提供することができる。
【0075】
以上、本願の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0076】
〔その他〕
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0077】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0078】
また、上述してきた実施形態に記載した各処理は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0079】
また、上記してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、制御部3は、制御手段や制御回路に読み替えることができる。
【符号の説明】
【0080】
1 提供装置
2 通信部
3 制御部
4 記憶部
31 取得部
32 抽出部
33 学習部
34 生成部
35 提供部
41 ユーザ情報
42 金融商品情報
43 モデル情報
50 ユーザ端末
51 取引ユーザ端末
100 金融機関端末
S 提供システム