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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-24
(45)【発行日】2025-10-02
(54)【発明の名称】電池パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/35 20210101AFI20250925BHJP
   H01M 50/342 20210101ALI20250925BHJP
   H01M 50/367 20210101ALI20250925BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20250925BHJP
   H01M 50/276 20210101ALI20250925BHJP
   H01M 50/271 20210101ALI20250925BHJP
【FI】
H01M50/35 201
H01M50/342 101
H01M50/367
H01M50/209
H01M50/276
H01M50/271 B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023104397
(22)【出願日】2023-06-26
(65)【公開番号】P2025004606
(43)【公開日】2025-01-15
【審査請求日】2024-06-26
(73)【特許権者】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺内 忍
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-135763(JP,A)
【文献】特開2021-157978(JP,A)
【文献】特開2022-123376(JP,A)
【文献】特表2023-519469(JP,A)
【文献】特開2011-253735(JP,A)
【文献】特開2018-006724(JP,A)
【文献】国際公開第2022/158552(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/30-50/392
H01M 50/20-50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルと、
開口部を有するケース本体と、
前記開口部を閉塞するように前記ケース本体に取り付けられ、前記ケース本体とともに、複数の前記電池セルを収容する空間を形成するカバーと、
前記空間において複数の前記電池セルおよび前記カバーの間に配置される第1部分と、前記第1部分の周縁に設けられ、前記ケース本体および前記カバーにより挟持される第2部分とを有し、金属またはセラミックからなるプレート部材とを備え
前記電池セルは、
頂面と、側面とを含み、電極体および電解液を収容する外装体と、
前記外装体の内部の圧力が所定値以上になった場合に、前記外装体の内部から前記頂面を通じて前記空間にガスを流出させるガス流出弁とを有し、
前記第1部分は、前記頂面と対向し、さらに、
前記側面と対向して設けられ、前記空間と連通するガス流通路を形成し、前記ガスを前記空間から排出するダクトを備える、電池パック。
【請求項2】
前記ケース本体には、前記空間および前記ガス流通路を連通させる貫通孔からなるガス流通孔が設けられ、
前記外装体は、上方を向く前記頂面と、下方を向く底面とを含み、
前記ガス流通孔は、上下方向において、前記頂面よりも前記底面寄りの位置に配置される、請求項1に記載の電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、国際公開第2020/189590号(特許文献1)には、二次電池と、二次電池を収容する筐体と、筐体の長手方向における一端から他端まで延伸し、二次電池の高さ方向に配されて筐体を補強する板状の補強部とを備える電池パックが開示されている。
【0003】
また、特表2021-535556号公報(特許文献2)には、単電池と、単電池の上面および下面にそれぞれ接続される第1のパネルおよび第2のパネルと、単電池および第1のパネルの間に設けられる熱伝導板とを備える電池パックが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2020/189590号
【文献】特表2021-535556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1に開示される電池パックでは、二次電池を収容する筐体(ケース)が、上部が開放された矩形箱状の本体部と、本体部の開口を覆うカバーとから構成されている。このような電池パックにおいて、電池異常時に電池セルより可燃性の高圧ガスが発生したり、高圧ガスの発生により自然発火が生じた場合に、本体部およびカバーの間からガスが漏出したり、ガス、または、自然発火に伴う衝撃波によって、カバーが破損したりする懸念がある。
【0006】
そこでこの発明の目的は、上記の課題を解決することであり、簡易な構成により、ガスの漏出と、カバーの破損とを防ぐことが可能な電池パックを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]複数の電池セルと、開口部を有するケース本体と、上記開口部を閉塞するように上記ケース本体に取り付けられ、上記ケース本体とともに、複数の上記電池セルを収容する空間を形成するカバーと、上記空間において複数の上記電池セルおよび上記カバーの間に配置される第1部分と、上記第1部分の周縁に設けられ、上記ケース本体および上記カバーにより挟持される第2部分とを有し、金属またはセラミックからなるプレート部材とを備える、電池パック。
【0008】
このように構成された電池パックによれば、電池セルより発生するガス、または、自然発火に伴う衝撃波を、プレート部材の第1部分で受け止めることによって、カバーの破損を防ぎ、さらに、ケース本体およびカバーの間をプレート部材の第2部分でシールすることによって、ガスの露出を防ぐことができる。このよう構成において、第1部分および第2部分が、プレート部材に一体に設けられるため、簡易な構成により、カバーの破損と、ガスの漏出とを防ぐことができる。
【0009】
[2]上記電池セルは、頂面と、側面とを含み、電極体および電解液を収容する外装体と、上記外装体の内部の圧力が所定値以上になった場合に、上記外装体の内部から上記頂面を通じて上記空間にガスを流出させるガス流出弁とを有し、上記第1部分は、上記頂面と対向し、上記側面と対向して設けられ、上記空間と連通するガス流通路を形成し、上記ガスを上記空間から排出するダクトをさらに備える、[1]に記載の電池パック。
【0010】
このように構成された電池パックによれば、頂面を通じて外装体の内部から空間に流出したガスを、頂面およびカバーの間に配置された第1部分によってより確実に受け止めることができる。さらにそのガスをダクトにより排出することによって、複数の電池セルを収容する空間の内圧の高まりを抑制することができる。
【発明の効果】
【0011】
以上に説明したように、この発明に従えば、簡易な構成により、ガスの漏出と、カバーの破損とを防ぐことが可能な電池パックを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】この発明の実施の形態における電池パックを示す斜視図である。
図2図1中の電池パックを示す分解組み立て図である。
図3】電池セルを示す斜視図である。
図4図1中のIV-IV線上の矢視方向に見た電池パックを模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0014】
図1は、この発明の実施の形態における電池パックを示す斜視図である。図2は、図1中の電池パックを示す分解組み立て図である。図3は、電池セルを示す斜視図である。図4は、図1中のIV-IV線上の矢視方向に見た電池パックを模式的に示す断面図である。
【0015】
図1から図4を参照して、電池パック100は、ハイブリッド車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)、プラグインハイブリッド車(PHEV:Plug-in Hybrid Electric Vehicle)または電気自動車(BEV:Battery Electric Vehicle)などの車両の駆動用電源として用いられる。
【0016】
本明細書においては、電池パック100の構造を説明する便宜上、後述する複数の電池セル11の積層方向、かつ、水平方向に延びる軸を「Y軸」といい、Y軸と直交する方向、かつ、水平方向に延びる軸を「X軸」といい、上下方向に延びる軸を「Z軸」という。図4に示されるように、電池パック100は、基本的に、Y軸-Z軸平面に平行な仮想平面110を挟んで対称となる構造を有する。
【0017】
電池パック100は、複数の電池セル11を有する。複数の電池セル11は、Y軸方向に積層されている。電池セル11は、リチウムイオン電池からなる。電池セル11は、角形であり、直方体の薄板形状を有する。複数の電池セル11は、Y軸方向が電池セル11の厚み方向となるように積層されている。
【0018】
電池セル11は、外装体12を有する。外装体12は、直方体形状の筐体からなり、電池セル11の外観をなしている。外装体12には、電極体および電解液が収容されている。
【0019】
外装体12は、一対の第1側面14(14j,14k)と、一対の第2側面13(13j,13k)と、頂面15と、底面16とを有する。
【0020】
第1側面14は、X軸に直交する平面からなる。第1側面14は、電池セル11の積層方向であるY軸方向に平行である。第1側面14jおよび第1側面14kは、X軸方向において、互いに反対側を向いている。第2側面13は、Y軸に直交する平面からなる。第2側面13は、外装体12が有する複数の側面のうちで最も大きい面積を有する。第2側面13jおよび第2側面13kは、Y軸方向において、互いに反対側を向いている。頂面15および底面16の各面は、Z軸に直交する平面からなる。頂面15は、上方を向いている。底面16は、下方を向いている。
【0021】
電池セル11は、ガス流出弁17をさらに有する。ガス流出弁17は、頂面15に設けられている。ガス流出弁17は、X軸方向における頂面15の中心位置に設けられている。ガス流出弁17は、外装体12の内部の圧力が所定値以上になった場合に、外装体12の内部から頂面15を通じて外装体12の外部(後述の空間20)にガスを流出させる。
【0022】
電池セル11は、正極端子18Pおよび負極端子18Nが対となった電極端子18をさらに有する。電極端子18は、頂面15に設けられている。正極端子18Pおよび負極端子18Nは、X軸方向において、互いに離れて設けられている。正極端子18Pおよび負極端子18Nは、X軸方向におけるガス流出弁17の両側にそれぞれ設けられている。
【0023】
複数の電池セル11は、Y軸方向に隣り合う電池セル11,11の間において、第2側面13j同士が向かい合わせとなり、第2側面13k同士が向かい合わせとなるように積層されている。これにより、複数の電池セル11が積層されるY軸方向において、正極端子18Pと負極端子18Nとが、交互に並んでいる。Y軸方向に隣り合う電池セル11,11の間において、Y軸方向に並ぶ正極端子18Pと負極端子18Nとが、図示されないバスバーにより、互いに接続されている。複数の電池セル11は、互いに電気的に直列に接続されている。
【0024】
なお、本発明における電池セルは、角形に限られず、円筒形であってもよい。複数の電池セルは、たとえば、各電池セルの円筒軸がZ軸方向に延びる直立姿勢で、X軸-Y軸平面内において互いに間隔を開けて配列される。この場合に、ガス流出弁は、電池セルの頂面を構成する封口体の内側に設けられてもよい。
【0025】
図2に示されるように、Y軸方向に積層された複数の電池セル11によって、セル積層体120が構成されている。セル積層体120は、直方体形状をなしている。Y軸方向におけるセル積層体120の長さは、Z軸方向におけるセル積層体120の長さよりも大きく、X軸方向におけるセル積層体120の長さよりも大きい。セル積層体120は、Z軸方向に見た平面視において、Y軸方向が長手方向となり、Y軸方向に直交するX軸方向が短手方向となる矩形形状を有する。
【0026】
電池パック100は、一対のエンドプレート91と、一対のバインドバー66(図2では図示を省略、図4を参照のこと)とをさらに有する。一対のエンドプレート91は、それぞれ、Y軸方向におけるセル積層体120(複数の電池セル11)の両端に配置されている。一対のバインドバー66は、X軸方向におけるセル積層体120の両端に配置されている。バインドバー66は、Y軸方向に延び、その両端で一対のエンドプレート91にそれぞれ接続されている。複数の電池セル11は、一対のエンドプレート91および一対のバインドバー66により一体に保持されている。
【0027】
電池パック100は、ケース本体31と、カバー21とをさらに有する。ケース本体31およびカバー21は、金属製である。ケース本体31およびカバー21は、たとえば、アルミニウムから形成されている。ケース本体31は、開口部30を有する。開口部30は、上方を向いて開口している。カバー21は、開口部30を閉塞するようにケース本体31に取り付けられている。カバー21は、ケース本体31とともに、複数の電池セル11を収容する空間20を形成している。
【0028】
ケース本体31は、底部51と、一対の第1側部32と、一対の第2側部36とを有する。底部51は、Z軸方向が厚み方向となり、X軸-Y軸平面に沿って配置される壁形状をなしている。底部51は、Z軸方向に見た平面視において、矩形形状を有する。セル積層体120は、底部51上に載置されている。底部51およびセル積層体120の間には、冷却プレート61が介挿されている。冷却プレート61には、Y軸方向に延びる冷媒通路62が設けられている。
【0029】
一対の第1側部32および一対の第2側部36は、底部51の周縁から立ち上がっている。一対の第1側部32は、空間20を挟んで、X軸方向において互いに対向している。第1側部32は、X軸方向が厚み方向となり、Y軸-Z軸平面に沿って配置される壁形状をなしている。一対の第2側部36は、空間20を挟んで、Y軸方向において互いに対向している。第2側部36は、Y軸方向が厚み方向となり、X軸-Z軸平面に沿って配置される壁形状をなしている。
【0030】
底部51は、複数のボルト52を用いて、一対の第1側部32および一対の第2側部36と締結されている。このような構成に限られず、底部51と、一対の第1側部32および一対の第2側部36とは、金属により一体に成形されてもよい。
【0031】
空間20は、底部51上であって、一対の第1側部32および一対の第2側部36により取り囲まれた位置に形成されている。開口部30は、一対の第1側部32および一対の第2側部36の上端部により規定されている。空間20は、開口部30を通じて、ケース本体31の外側の空間に開放されている。
【0032】
ケース本体31は、第1鍔部33をさらに有する。第1鍔部33は、一対の第1側部32および一対の第2側部36の上端部から、X軸-Y軸平面の面方向に鍔状に広がっている。第1鍔部33は、一対の第1側部32および一対の第2側部36の上端部に沿って額縁状に設けられている。
【0033】
カバー21は、カバー本体部22と、第2鍔部24とを有する。カバー本体部22は、カバー21の主要部をなしており、開口部30を閉塞している。カバー本体部22は、Z軸方向が深さ方向となり、下方を向いて開口する受け皿形状を有する。第2鍔部24は、カバー本体部22の下端部から、X軸-Y軸平面の面方向に鍔状に広がっている。第2鍔部24は、カバー本体部22の下端部に沿って額縁状に設けられている。第2鍔部24は、Z軸方向において、第1鍔部33と重ね合わされている。第1鍔部33および第2鍔部24が、複数のボルト26を用いて互いに締結されることによって、カバー21が、ケース本体31に取り付けられている。
【0034】
電池パック100は、プレート部材41をさらに有する。プレート部材41は、電池セル11から発生する高温ガスや火炎に晒されても変形しない程度の耐熱性を備える材料から形成されており、好ましくは、金属製またはセラミック製である。プレート部材41は、たとえば、炭素鋼、ステンレス鋼、銅、アルミニウムもしくはチタンなどの金属、または、アルミナ、ジルコニアもしくはシリカなどのセラミックから形成されている。プレート部材41は、これらの表面に樹脂材料がコーティングされたものであってもよい。プレート部材41の厚みは、カバー21の厚みよりも小さい。
【0035】
プレート部材41は、第1部分42と、第2部分46とを有する。第1部分42および第2部分46は、金属またはセラミックにより一体に成形されている。第1部分42および第2部分46は、一続きに連なっている。第1部分42の材質と、第2部分46の材質とは、同じである。第1部分42の厚みと、第2部分46の厚みとは、同じである。
【0036】
第1部分42は、空間20に設けられている。第1部分42は、空間20において、複数の電池セル11と、カバー21との間に配置されている。第1部分42は、空間20において、セル積層体120およびカバー本体部22の間に配置されている。第1部分42は、Z軸方向において、電池セル11の頂面15と対向している。第1部分42は、Z軸方向において、ガス流出弁17と対向している。第1部分42は、Z軸方向において、電極端子18(正極端子18P,負極端子18N)と対向している。
【0037】
第1部分42は、Z軸方向が深さ方向となり、下方を向いて開口する受け皿形状を有する。第1部分42は、Z軸方向に見た平面視において、Y軸方向が長手方向となり、Y軸方向に直交するX軸方向が短手方向となる矩形形状を有する。Z軸方向に見た平面視におけるセル積層体120の範囲は、Z軸方向に見た平面視における第1部分42の範囲に含まれる。
【0038】
第2部分46は、第1部分42の周縁に設けられている。第2部分46は、Z軸方向に見た平面視における第1部分42の周縁に沿って設けられている。第2部分46は、第1部分42の下端部から、X軸-Y軸平面の面方向に鍔状に広がっている。第2部分46は、第1部分42の下端部に沿って額縁状に設けられている。
【0039】
第2部分46は、ケース本体31およびカバー21により挟持されている。第2部分46は、第1鍔部33および第2鍔部24の間に介挿されている。第2部分46は、第1鍔部33および第2鍔部24の間において、複数のボルト26による締結力を受けている。
【0040】
空間20は、プレート部材41によって、空間20Aおよび空間20Bに区画されている。空間20Bは、プレート部材41およびカバー21により囲まれている。空間20Aは、プレート部材41およびケース本体31により囲まれている。複数の電池セル11は、空間20Aに収容されている。
【0041】
電池パック100は、ダクト70をさらに有する。ダクト70は、電池セル11の第1側面14と対向して設けられている。ダクト70は、ガス流通路72を形成している。ガス流通路72は、空間20と連通している。ダクト70は、ガス流出弁17から流出したガスを空間20から排出する。
【0042】
ケース本体31は、リブ部34をさらに有する。リブ部34は、第1側部32からX軸方向に突出し、第1側部32の周縁に沿ってリブ状に延びている。ダクト70は、一対のダクトカバー71を有する。一対のダクトカバー71は、それぞれ、一対の第1側部32に取り付けられている。ダクトカバー71は、X軸方向において、リブ部34と当接するように第1側部32に取り付けられている。
【0043】
ダクトカバー71は、第1側部32とともに、ガス流通路72を形成している。第1側部32には、ガス流通孔35が設けられている。ガス流通孔35は、第1側部32を貫通する孔からなり、空間20(20A)およびガス流通路72を連通させている。ガス流通路72は、Y軸方向に延び、その一方端部で開放されている。
【0044】
電池セル11における内部短絡等の電池異常時に、外装体12の内部で可燃性のガスが発生する場合が想定される。そのガスは、ガス流出弁17が設けられた頂面15を通じて空間20(20A)に排出される(図4中の矢印Aに示すガス流れ)。ガスは、プレート部材41に衝突し、第1部分42に案内されることによって、X軸方向における空間20(20A)の中央部から両端部に向かって流れ、さらに、セル積層体120および第1側部32の間の隙間を通って下方に流れる(図4中の矢印B,Cに示すガス流れ)。ガスは、空間20(20A)から、ガス流通孔35を通ってガス流通路72に排出される(図4中の矢印Dに示すガス流れ)。ガスは、ガス流通路72を通ってY軸方向に流れ、ダクト70の外部に排出される(図1中の矢印Eに示すガス流れ)。
【0045】
近年における電池の高容量化に伴って、電池セル11で発生するガス量が増えている。このため、電池セル11から高圧ガスが噴出したり、ガスの圧力が高まることによってガスが高温となり、自然発火が生じたりする場合がある。このような場合に備えて、本実施の形態における電池パック100では、第1部分42および第2部分46を有するプレート部材41が設けられている。
【0046】
空間20において、複数の電池セル11(セル積層体120)およびカバー21の間に配置される第1部分42により、電池セル11から噴出する高圧ガス、または、自然発火に伴う衝撃波を受け止めることによって、カバー21の破損を防ぐことができる。加えて、第1部分42は、カバー21が高温ガスに晒されることを防ぐ遮熱機能も有する。また、ケース本体31およびカバー21により挟持される第2部分46によって、ガスが、上記の排ガス経路以外の箇所から漏出することを防止できる。このような構成において、第1部分42および第2部分46がプレート部材41に一体に設けられるため、電池パック100の構成を簡易にできる。
【0047】
また、本実施の形態では、第1部分42が、ガス流出弁17が設けられる頂面15と、カバー21との間に配置されるため、ガス流出弁17から流出した高圧ガスをより確実に第1部分42で受け止めることができる。
【0048】
以上に説明した、この発明の実施の形態における電池パック100の構造をまとめると、本実施の形態における電池パック100は、複数の電池セル11と、開口部30を有するケース本体31と、開口部30を閉塞するようにケース本体31に取り付けられ、ケース本体31とともに、複数の電池セル11を収容する空間20を形成するカバー21と、空間20において複数の電池セル11およびカバー21の間に配置される第1部分42と、第1部分42の周縁に設けられ、ケース本体31およびカバー21により挟持される第2部分46とを有し、金属またはセラミックからなるプレート部材41とを備える。
【0049】
このように構成された、この発明の実施の形態における電池パック100によれば、簡易な構成により、カバー21の破損を防ぎつつ、空間20からのガスの漏出を防ぐことができる。
【0050】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0051】
11 電池セル、12 外装体、13,13j,13k 第2側面、14,14j,14k 第1側面、15 頂面、16 底面、17 ガス流出弁、18 電極端子、18N 負極端子、18P 正極端子、20,20A,20B 空間、21 カバー、22 カバー本体部、24 第2鍔部、26,52 ボルト、30 開口部、31 ケース本体、32 第1側部、33 第1鍔部、34 リブ部、35 ガス流通孔、36 第2側部、41 プレート部材、42 第1部分、46 第2部分、51 底部、61 冷却プレート、62 冷媒通路、66 バインドバー、70 ダクト、71 ダクトカバー、72 ガス流通路、91 エンドプレート、100 電池パック、110 仮想平面、120 セル積層体。
図1
図2
図3
図4