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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-24
(45)【発行日】2025-10-02
(54)【発明の名称】電池パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/50 20210101AFI20250925BHJP
   H01M 50/505 20210101ALI20250925BHJP
   H01M 50/507 20210101ALI20250925BHJP
   H01M 50/503 20210101ALI20250925BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20250925BHJP
   H01M 50/284 20210101ALI20250925BHJP
   H01M 50/569 20210101ALI20250925BHJP
【FI】
H01M50/50 101
H01M50/505
H01M50/507
H01M50/503
H01M50/209
H01M50/284
H01M50/569
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023139531
(22)【出願日】2023-08-30
(65)【公開番号】P2025033655
(43)【公開日】2025-03-13
【審査請求日】2024-09-03
(73)【特許権者】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲村 卓思
(72)【発明者】
【氏名】蔭山 崇俊
【審査官】土屋 知久
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/507
H01M 50/204
H01M 50/209
H01M 50/588
H01M 50/591
H01M 50/519
H01M 50/503
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に並ぶ複数の第1電池セルを含む第1積層体と、
前記第1の方向に並ぶ複数の第2電池セルを含む第2積層体と、
前記第1の方向に並ぶ複数の第3電池セルを含む第3積層体と、
前記第1積層体、前記第2積層体および前記第3積層体に電気的に接続される電気機器と、
前記第1積層体、前記第2積層体、前記第3積層体および前記電気機器を収容するケースと、
前記第1積層体と前記第2積層体とを電気的に接続する板状の第1導電部材と、
前記第3積層体と前記電気機器を電気的に接続する板状の第2導電部材とを備え、
前記ケースは、前記第1積層体、前記第2積層体および前記第3積層体を前記第1の方向の両側から支持する一対の側壁を含み、
前記第1の方向に直交する第2の方向において、前記電気機器、前記第1積層体、前記第2積層体および前記第3積層体がこの順で並び、
前記第1の方向および前記第2の方向に直交する第3の方向において、前記第1導電部材と前記第2導電部材とが重なっている、電池パック。
【請求項2】
前記第1積層体、前記第2積層体および前記第3積層体の上に配置されるバスバーモジュールをさらに備え、
前記バスバーモジュールは、前記第1積層体および前記第2積層体に前記第1導電部材を固定する締結部材と、前記第1導電部材の少なくとも一部および前記締結部材を被覆するカバー部を有するカバー部材とを含み、
前記第3の方向において、前記第2導電部材と前記カバー部とが重なっている、請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記カバー部は、前記第1導電部材の少なくとも一部および前記締結部材に対して隙間を有し、
前記カバー部は、前記第3の方向において、前記隙間の分だけ移動可能、かつ前記第2導電部材と当接可能である、請求項2に記載の電池パック。
【請求項4】
前記カバー部材は、前記第1導電部材および前記第2導電部材を前記バスバーモジュール上において固定可能な固定部を有する、請求項2または請求項3に記載の電池パック。
【請求項5】
前記第3の方向において、前記第1積層体、前記第2積層体および前記第3積層体のうちの少なくとも前記第1積層体上に配置される制御基板と、
前記制御基板を前記第3の方向から被覆する基板カバー部とをさらに備え、
前記基板カバー部は、前記第2導電部材を支持している、請求項1または請求項2に記載の電池パック。
【請求項6】
前記第1導電部材および前記第2導電部材の各々は、前記第2の方向に延びている、請求項1または請求項2に記載の電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
電池パックの構成を開示した先行技術文献として、国際公開第2021/123714号(特許文献1)がある。特許文献1に記載された電池パックにおいては、複数の電池モジュール上の同一平面に電池モジュールどうしを接続する複数のバスバーが配置されている構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2021/123714号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電池パックにおいて、複数の電池セルを拘束するエンドプレートおよびバインドバー(モジュール構造)を用いず、複数の電池セルを含む積層体をそのままケースに収納するCell-to-Pack構造が採用され始めている。特許文献1に記載された電池パックが備えるバスバーの構成を、Cell-to-Pack構造を採用する電池パックに適用する場合、エネルギー密度を向上させるために電池パック内のスペースを有効活用することができる余地がある。
【0005】
本技術は、上記の課題を解決するためになされたものであって、Cell-to-Pack構造を採用する電池パック内のスペースを有効活用することができる電池パックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術は、以下の電池パックを提供する。
[1]
第1の方向に並ぶ複数の第1電池セルを含む第1積層体と、
前記第1の方向に並ぶ複数の第2電池セルを含む第2積層体と、
前記第1の方向に並ぶ複数の第3電池セルを含む第3積層体と、
前記第1積層体、前記第2積層体および前記第3積層体に電気的に接続される電気機器と、
前記第1積層体、前記第2積層体、前記第3積層体および前記電気機器を収容するケースと、
前記第1積層体と前記第2積層体とを電気的に接続する板状の第1導電部材と、
前記第3積層体と前記電気機器を電気的に接続する板状の第2導電部材とを備え、
前記ケースは、前記第1積層体、前記第2積層体および前記第3積層体を前記第1の方向の両側から支持する一対の側壁を含み、
前記第1の方向に直交する第2の方向において、前記電気機器、前記第1積層体、前記第2積層体および前記第3積層体がこの順で並び、
前記第1の方向および前記第2の方向に直交する第3の方向において、前記第1導電部材と前記第2導電部材とが重なっている、電池パック。
[2]
前記第1積層体、前記第2積層体および前記第3積層体の上に配置されるバスバーモジュールをさらに備え、
前記バスバーモジュールは、前記第1積層体および前記第2積層体に前記第1導電部材を固定する締結部材と、前記第1導電部材の少なくとも一部および前記締結部材を被覆するカバー部を有するカバー部材とを含み、
前記第3の方向において、前記第2導電部材と前記カバー部とが重なっている、[1]に記載の電池パック。
[3]
前記カバー部は、前記第1導電部材の少なくとも一部および前記締結部材に対して隙間を有し、
前記カバー部は、前記第3の方向において、前記隙間の分だけ移動可能、かつ前記第2導電部材と当接可能である、[2]に記載の電池パック。
[4]
前記カバー部材は、前記第1導電部材および前記第2導電部材を前記バスバーモジュール上において固定可能な固定部を有する、[2]または[3]に記載の電池パック。
[5]
前記第3の方向において、前記第1積層体、前記第2積層体および前記第3積層体のうちの少なくとも前記第1積層体上に配置される制御基板と、
前記制御基板を前記第3の方向から被覆する基板カバー部とをさらに備え、
前記基板カバー部は、前記第2導電部材を支持している、[1]から[4]のいずれか1つに記載の電池パック。
[6]
前記第1導電部材および前記第2導電部材の各々は、前記第2の方向に延びている、[1]から[5]のいずれか1つに記載の電池パック。
【発明の効果】
【0007】
本技術によれば、Cell-to-Pack構造を採用する電池パック内のスペースを有効活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本技術の実施の形態1に係る電池パックの構成を示す斜視図である。
図2】本技術の実施の形態1に係る電池パックの内部構造を示す斜視図である。
図3】本技術の実施の形態1に係る電池セルの構成を示す斜視図である。
図4】第1導電部材および第2導電部材の位置関係を示す斜視図である。
図5】バスバーモジュールが備えるカバー部の構成を示す斜視図である。
図6図5のカバー部周辺の構造をVI-VI線矢印方向から見た断面図である。
図7】導電部材がバスバーモジュールに設けた固定部に固定されている状態を示す斜視図である。
図8】本技術の実施の形態1に係る電池パックが備える基板部材の構成を示す斜視図である。
図9図8の基板部材付近の構成をIX-IX線矢印方向から見た断面図である。
図10】本技術の実施の形態2に係る電池パックが備える導電部材の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本技術の実施の形態について説明する。なお、同一または相当する部分に同一の参照符号を付し、その説明を繰返さない場合がある。
【0010】
なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本技術の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、以下の実施の形態において、各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本技術にとって必ずしも必須のものではない。また、本技術は、本実施の形態において言及する作用効果を必ずしもすべて奏するものに限定されない。
【0011】
なお、本明細書において、「備える(comprise)」および「含む(include)」、「有する(have)」の記載は、オープンエンド形式である。すなわち、ある構成を含む場合に、当該構成以外の他の構成を含んでもよいし、含まなくてもよい。
【0012】
また、本明細書において幾何学的な文言および位置・方向関係を表す文言、たとえば「平行」、「直交」、「斜め45°」、「同軸」、「沿って」などの文言が用いられる場合、それらの文言は、製造誤差ないし若干の変動を許容する。本明細書において「上側」、「下側」などの相対的な位置関係を表す文言が用いられる場合、それらの文言は、1つの状態における相対的な位置関係を示すものとして用いられるものであり、各機構の設置方向(たとえば機構全体を上下反転させる等)により、相対的な位置関係は反転ないし任意の角度に回動し得る。
【0013】
本明細書において、「電池」は、リチウムイオン電池に限定されず、ニッケル水素電池およびナトリウムイオン電池などの他の電池を含み得る。本明細書において、「電極」は正極および負極を総称し得る。
【0014】
また、本明細書における「電池パック」は、ハイブリッド車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)、プラグインハイブリッド車(PHEV:Plug-in Hybrid Electric Vehicle)、および電気自動車(BEV:Battery Electric Vehicle)などに搭載可能である。ただし、本明細書における「電池パック」の用途は、車載用に限定されるものではない。
【0015】
なお、図面においては、複数の積層体および電気機器が並ぶ方向を第2の方向としてのX方向、複数の電池セルが並ぶ方向を第1の方向としてのY方向、第1導電部材および第2導電部材が並ぶ方向を第3の方向としてのZ方向とする。また、本技術の理解を容易にするため、図面における各構成の寸法比率は実際の寸法比率から変更して示している箇所がある。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本技術の実施の形態1に係る電池パックの構成を示す斜視図である。図2は、本技術の実施の形態1に係る電池パックの内部構造を示す斜視図である。なお、図1および図2においては、後述する基板部材60を省略している。
【0017】
図1および図2に示すように、本実施の形態における電池パック1は、積層体10と、ケース20と、バスバーモジュール30と、導電部材40と、電気機器50とを備える。
【0018】
積層体10は、第1積層体10Aと、第2積層体10Bと、第3積層体10Cとを含む。第1積層体10Aは、第1の方向(Y方向)に並ぶ複数の第1電池セルを含む。第2積層体10Bは、第1の方向(Y方向)に並ぶ複数の第2電池セルを含む。第3積層体10Cは、第1の方向(Y方向)に並ぶ複数の第3電池セルを含む。電池セル100(図3参照)である第1電池セル、第2電池セルおよび第3電池セルの詳細については、後述する。
【0019】
ケース20は、第1積層体10A、第2積層体10B、第3積層体10Cおよび電気機器50を収容する。
【0020】
ケース20は、一対の側壁21を含む。一対の側壁21は、一方の側壁22および他方の側壁23を有する。
【0021】
一対の側壁21は、第1積層体10A、第2積層体10Bおよび第3積層体10Cを第1の方向(Y方向)の両側から支持する。本実施の形態においては、一方の側壁22および他方の側壁23が、第1積層体10A、第2積層体10Bおよび第3積層体10CをY方向の両側から直接支持する。このように、本実施の形態に係る電池パック1は、複数の電池セルを含む積層体10をそのままケース20に収納するCell-to-Pack構造を採用するものである。
【0022】
バスバーモジュール30は、積層体10の上に配置される。バスバーモジュール30は、積層体10と積層体10の上に配置される他の構成部材とを絶縁する。バスバーモジュール30は、図示しないセル間バスバーによって積層体10における複数の電池セルどうしを電気的に接続する。
【0023】
バスバーモジュール30は、第1積層体10A上に配置される第1バスバーモジュール30Aと、第2積層体10B上に配置される第2バスバーモジュール30Bと、第3積層体10C上に配置される第3バスバーモジュール30Cとを含む。
【0024】
導電部材40は、各積層体どうし、ならびに積層体10および電気機器50を電気的に接続するために設けられている。導電部材40は、たとえば銅により構成されている。
【0025】
導電部材40は、板状の第1導電部材400と、板状の第2導電部材410と、板状の第3導電部材420と、板状の第4導電部材430とを含む。
【0026】
第1導電部材400および第2導電部材410は、一対の側壁21のうちの一方の側壁22に近接して配置されている。第1導電部材400は、第2の方向(X方向)に延びている。第2導電部材410は、屈曲しながら第2の方向(X方向)に沿って延びている。
【0027】
第1導電部材400は、第1積層体10Aと第2積層体10Bとを電気的に接続している。第2導電部材410は、第3積層体10Cと電気機器50とを電気的に接続している。
【0028】
第3導電部材420および第4導電部材430は、一対の側壁21のうちの他方の側壁23に近接して配置されている。第3導電部材420は、屈曲しながらX方向に沿って延びている。第4導電部材430は、X方向に延びている。
【0029】
第3導電部材420は、第1積層体10Aと電気機器50とを電気的に接続している。第4導電部材430は、第2積層体10Bと第3積層体10Cとを電気的に接続している。
【0030】
電気機器50は、たとえば積層体10と電池パック1の外部装置とを電気的に接続するためのジャンクションボックスである。電気機器50は、第1積層体10A、第2積層体10Bおよび第3積層体10Cに電気的に接続されている。なお、電気機器50は、ジャンクションボックスに限定されず、Y方向に複数の電池セルが並ぶ第4積層体であってもよいし、電池パック1と外部装置とを接続するための端子または端子箱であってもよい。
【0031】
第1の方向(Y方向)に直交する第2の方向(X方向)において、電気機器50、第1積層体10A、第2積層体10Bおよび第3積層体10Cがこの順で並んでいる。
【0032】
本実施の形態の電池パック1においては、電気機器50、第3導電部材420、第1積層体10A、第1導電部材400、第2積層体10B、第4導電部材430、第3積層体10C、第2導電部材410および電気機器50の順に電流が流れる。
【0033】
図3は、本技術の実施の形態1に係る電池セルの構成を示す斜視図である。図3に示すように、本実施の形態に係る電池セル100は、電極端子110と、筐体120と、ガス排出弁130とを含む。
【0034】
電極端子110は、筐体120上に形成されている。電極端子110は、正極端子111と、負極端子112とを有する。正極端子111と負極端子112とは、X方向において並んで配置されている。
【0035】
筐体120は、図示しない電極体および電解液を収容する容器である。筐体120は、略直方体形状を有している。筐体120は、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄またはステンレスなどの鉄合金により構成されている。
【0036】
筐体120は、封口板121と、底面122と、一対の長側壁123と、一対の短側壁124とを有する。
【0037】
封口板121は、筐体120の上面を構成している。封口板121には、電極端子110が配置されている。底面122は、Z方向において封口板121に対向している。
【0038】
一対の長側壁123および一対の短側壁124は、筐体120の側面を構成している。一対の長側壁123および一対の短側壁124は、封口板121および底面122の各々に交差している。一対の長側壁123の各々は、Y方向において電極体を間に挟んで互いに対向している。一対の短側壁124の各々は、X方向において電極体を間に挟んで互いに対向している。一対の長側壁123の各々は、一対の短側壁124の各々より大きな面積を有している。
【0039】
ガス排出弁130は、筐体120内の圧力が所定値以上となった際に破断する。これにより、筐体120内のガスが筐体120外に排出される。
【0040】
図4は、第1導電部材および第2導電部材の位置関係を示す斜視図である。図4に示すように、第2導電部材410は、第1屈曲部411と、第2屈曲部412とを有する。
【0041】
第1屈曲部411は、X方向において、第2導電部材410の中央から第3積層体10C側に位置している。第2屈曲部412は、X方向において、第2導電部材410の中央から電気機器50側に位置している。
【0042】
第2導電部材410は、第1屈曲部411において、第3積層体10Cから電気機器50に向かってZ方向の上方に屈曲している。また、第2導電部材410は、第2屈曲部412において、第3積層体10Cから電気機器50に向かってZ方向の下方に屈曲している。
【0043】
第1導電部材400は、X方向において、第2導電部材410の第1屈曲部411および第2屈曲部412の間に配置されている。これにより、第1の方向(Y方向)および第2の方向(X方向)に直交する第3の方向(Z方向)において、第1導電部材400と第2導電部材410とが重なっている。本実施の形態においては、第1導電部材400は、Z方向において、第2導電部材410の下方に配置されている。
【0044】
第2導電部材410は、第1屈曲部411および第2屈曲部412を有することによって、立体的な形状となる。第2バスバーモジュール30Bおよび第3バスバーモジュール30Cの各々の上面と電気機器50の上面とのZ方向における位置が異なることによって、Z方向において段差ができる場合がある。この場合、第2導電部材410は、第1屈曲部411および第2屈曲部412の屈曲角度を任意に変更することによって、段差に対応しやすい。
【0045】
第2導電部材410は、たとえばプレス加工などの打ち抜き加工で成形される。仮に、積層体10上の同一平面上に第1導電部材および第2導電部材を配置する場合、第2導電部材はXY平面上の複数方向に延びる構成となる。この第2導電部材を成形する際の第2導電部材となる部分以外の材料は廃材となる。一方、本実施の形態における第2導電部材410は、Z方向から見て、X方向に延びる一直線の材料から構成されている。このため、第2導電部材410を成形する際に、廃材となる部分が少なくなる。その結果、第2導電部材410を成形する際の歩留まりが向上する。
【0046】
図5は、バスバーモジュールが備えるカバー部の構成を示す斜視図である。図6は、図5のカバー部周辺の構造をVI-VI線矢印方向から見た断面図である。
【0047】
図4図6に示すように、バスバーモジュール30は、プレート部材300と、カバー部材310と、締結部材330とを含む。
【0048】
プレート部材300は、電池セル100上に設けられる絶縁性を有する板状部材である。プレート部材300上には、締結部材330およびセル間バスバーなどが配置される。
【0049】
カバー部材310は、締結部材330およびセル間バスバーなどを被覆する。カバー部材310は、本体部311と、カバー部320と、保持機構とを有する。本体部311は、主にセル間バスバーなどを被覆する部分である。
【0050】
カバー部320は、第1導電部材400の少なくとも一部および締結部材330を被覆する。カバー部320は、本体部311に設けられた開口部312の内側に配置されている。
【0051】
カバー部320は、凹部321と、操作部322と、図示しないヒンジ部とを有する。凹部321には、第1導電部材400が挿通している。操作部322は、カバー部320のY方向における一方の側壁22が配置される側とは反対側に設けられている。操作部322によって、本体部311に対してカバー部320が開閉可能である。ヒンジ部は、X方向において、締結部材330に対して、第1導電部材400が配置される側とは反対側に位置している。ヒンジ部は、カバー部320を開閉するときに第1の方向の軸まわり(図5中のDR1方向)にカバー部320を回動させる。
【0052】
保持機構は、本体部311に対してカバー部320が開いた状態を保持する。保持機構は、延出部323と、爪部314とを有する。延出部323は、カバー部320に配置されている。延出部323は、一方向に延び、弾性変形可能である。爪部314は、本体部311に配置されている。爪部314は、延出部323が係合可能である。延出部323が弾性変形して延出部323および爪部314が係合することによって、本体部311に対してカバー部320が開いた状態を保持可能である。
【0053】
締結部材330は、第1積層体10Aおよび第2積層体10Bに第1導電部材400を固定する。本実施の形態における締結部材330は、ボルト部材331およびナット部材332を有する。ボルト部材331が第1導電部材400の孔401に挿通される。ボルト部材331とナット部材332との間に第1導電部材400が配置された状態で、ボルト部材331がナット部材332と螺合している。
【0054】
図4に示すように、第3の方向(Z方向)において、第2導電部材410とカバー部320とが重なっている。カバー部320は、締結部材330と第2導電部材410との間に位置するため、締結部材330と第2導電部材410との干渉を防止することができる。
【0055】
図5および図6に示すように、カバー部320は、第1導電部材400の少なくとも一部および締結部材330に対して隙間Gを有している。これにより、カバー部320は、第3の方向(Z方向)において、隙間Gの分だけ移動可能である。カバー部320は、第2導電部材410と当接可能である。
【0056】
図7は、導電部材がバスバーモジュールに設けた固定部に固定されている状態を示す斜視図である。図7においては、導電部材40のうちの第1導電部材400が固定される状態を例示する。
【0057】
図7に示すように、カバー部材310は、固定部315を有する。固定部315は、第1導電部材400を第2バスバーモジュール30B上において固定可能である。
【0058】
具体的には、固定部315は、一対のフック同士が向き合っている構成を有している。一対のフック同士の間に第1導電部材400を挿入する。一対のフックの先端が弾性変形して一対のフック同士の間の隙間が広がり、第1導電部材400が挿入された後、一対のフックの弾性変形が元に戻る。第1導電部材400の上面部分に一対のフックの先端が当接する状態となる。これにより、第1導電部材400は、固定部315に固定される。
【0059】
本実施の形態においては、ガイド部材316が固定部315のX方向の両側に設けられている。ガイド部材316は、第1導電部材400の延在する方向に直交する方向において、第1導電部材400を固定する。固定部315が第1導電部材400のZ方向を位置決めし、ガイド部材316が第1導電部材400のY方向を位置決めする。
【0060】
第2導電部材410を含む第1導電部材400以外の導電部材40においても、固定部315によりバスバーモジュール30上において固定可能である。なお、固定部315が導電部材40のZ方向およびY方向の両方を位置決めする構成であってもよい。
【0061】
図8は、本技術の実施の形態1に係る電池パックが備える基板部材の構成を示す斜視図である。図9は、図8の基板部材付近の構成をIX-IX線矢印方向から見た断面図である。
【0062】
図8および図9に示すように、本実施の形態に係る電池パック1は、基板部材60をさらに備える。基板部材60は、複数の電池セル100の各々の温度などを検知して電流値などを制御する。基板部材60は、制御基板600と、基板カバー部610とを含む。
【0063】
制御基板600は、第3の方向(Z方向)において、第1積層体10A、第2積層体10Bおよび第3積層体10Cのうちの少なくとも第1積層体10A上に配置されている。本実施の形態における制御基板600は、Z方向において、第1バスバーモジュール30Aを介して第1積層体10A上のみに配置されている。
【0064】
基板カバー部610は、絶縁性を有している。基板カバー部610は、制御基板600を第3の方向(Z方向)から被覆する。基板カバー部610は、延出面部611と、折り返し部612を有している。
【0065】
延出面部611は、Y方向の一方の側壁22側において、基板カバー部610の上面の端部から第2導電部材410を覆うように延出している部分である。折り返し部612は、延出面部611のY方向の端部において、第2導電部材410のZ方向の下面側に位置するように折り返された部分である。
【0066】
延出面部611および折り返し部612に第2導電部材410が支持されている。これにより、基板カバー部610は、第2導電部材410を支持している。絶縁性を有する基板カバー部610により、絶縁性を確保しながら、第2導電部材410の振動を抑制することができる。
【0067】
本技術の実施の形態1に係る電池パック1においては、第3の方向(Z方向)において第1導電部材400と第2導電部材410とが重なっていることによって、積層体10上における同一平面に第1導電部材および第2導電部材を配置する場合と比較して、Z方向から見た場合の積層体10の上方における導電部材40の占有面積を小さくすることができる。その結果、積層体10の上方において導電部材40以外の構成部材を配置するスペースを確保することができるため、電池パック1内のスペースを有効活用することができる。
【0068】
本技術の実施の形態1に係る電池パック1においては、カバー部320が第1導電部材400および第2導電部材410の間に配置されることによって、第1導電部材400および第2導電部材410が干渉することを抑制することができる。
【0069】
本技術の実施の形態1に係る電池パック1においては、カバー部320が第1導電部材400および締結部材330に対して隙間Gを有することによって、カバー部320がZ方向において上下に移動することができるため、第2導電部材410が振動した場合にカバー部320に当接させてカバー部320により第2導電部材410の振動を吸収することができる。
【0070】
本技術の実施の形態1に係る電池パック1においては、導電部材40をカバー部材310の固定部315により固定することによって、第1導電部材400および第2導電部材410をZ方向に重ねた構造にした場合において振動に強い構成にすることができる。
【0071】
本技術の実施の形態1に係る電池パック1においては、基板部材60における基板カバー部610により第2導電部材410を支持することによって、第1導電部材400および第2導電部材410がZ方向に重なっている構成とし、かつ第2導電部材410が振動した場合であっても、第2導電部材410の振動を抑制することができる。
【0072】
本技術の実施の形態1に係る電池パック1においては、第1導電部材400および第2導電部材410の各々を第2の方向(X方向)に延在して設けることによって、第1導電部材400および第2導電部材410の各々をX方向から傾斜させて配置する場合と比較して、第1導電部材400および第2導電部材410の各々の長さを短くしつつ、電池パック1内の上方のスペースを有効活用することができる。
【0073】
(実施の形態2)
以下、実施の形態2に係る電池パックについて説明する。実施の形態2に係る電池パックは、第1導電部材と積層体との接続構造が本技術の実施の形態1に係る電池パック1と異なるため、本技術の実施の形態1に係る電池パック1と同様である構成については説明を繰り返さない。
【0074】
図10は、本技術の実施の形態2に係る電池パックが備える導電部材の構成を示す斜視図である。
【0075】
図10に示すように、本実施の形態に係る第1導電部材400Aは、積層体10に対して溶接により接続されている。
【0076】
具体的には、第1導電部材400Aには図示しない貫通孔が設けられる。この貫通孔にレーザを照射することによって、接合部402が形成される。これにより、積層体における電池セルの電極端子と第1導電部材400Aとが接合される。
【0077】
本技術の実施の形態2に係る電池パック1においても、第3の方向(Z方向)において第1導電部材400Aと第2導電部材410とが重なっていることによって、積層体10上における同一平面に第1導電部材および第2導電部材を配置する場合と比較して、Z方向から見た場合の積層体10の上方における導電部材の占有面積を小さくすることができる。その結果、積層体10の上方において導電部材以外の構成部材を配置するスペースを確保することができるため、電池パック内のスペースを有効活用することができる。
【0078】
以上、本技術の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本技術の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0079】
1 電池パック、10 積層体、10A 第1積層体、10B 第2積層体、10C 第3積層体、20 ケース、21 一対の側壁、22 一方の側壁、23 他方の側壁、30 バスバーモジュール、30A 第1バスバーモジュール、30B 第2バスバーモジュール、30C 第3バスバーモジュール、40 導電部材、50 電気機器、60 基板部材、100 電池セル、110 電極端子、111 正極端子、112 負極端子、120 筐体、121 封口板、122 底面、123 一対の長側壁、124 一対の短側壁、130 ガス排出弁、300 プレート部材、310 カバー部材、311 本体部、312 開口部、314 爪部、315 固定部、316 ガイド部材、320 カバー部、321 凹部、322 操作部、323 延出部、330 締結部材、331 ボルト部材、332 ナット部材、400,400A 第1導電部材、401 孔、402 接合部、410 第2導電部材、411 第1屈曲部、412 第2屈曲部、420 第3導電部材、430 第4導電部材、600 制御基板、610 基板カバー部、611 延出面部、612 折り返し部、G 隙間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10