(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-24
(45)【発行日】2025-10-02
(54)【発明の名称】皮膚刺激装置および皮膚刺激方法
(51)【国際特許分類】
A61H 23/02 20060101AFI20250925BHJP
A61H 7/00 20060101ALI20250925BHJP
【FI】
A61H23/02 340
A61H23/02 386
A61H7/00 320Z
A61H7/00 300J
(21)【出願番号】P 2023502297
(86)(22)【出願日】2022-02-15
(86)【国際出願番号】 JP2022005845
(87)【国際公開番号】W WO2022181384
(87)【国際公開日】2022-09-01
【審査請求日】2024-06-12
(31)【優先権主張番号】P 2021031181
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【氏名又は名称】岡部 洋
(72)【発明者】
【氏名】曽我部 敦
(72)【発明者】
【氏名】金子 亮介
(72)【発明者】
【氏名】大谷 毅
【審査官】小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-513523(JP,A)
【文献】国際公開第2019/189306(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第111870496(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 23/02
A61H 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚表面に装着可能な装着部と、
前記装着部を前記皮膚表面に対して所定の圧力で付勢させる付勢部と、
前記装着部に設けられるとともに、前記皮膚表面に機械刺激を与える駆動部と、
前記圧力を検出し、前記圧力に応じた信号を出力する検出部とを備え、
前記駆動部は、積層された複数の駆動素子を含
み、
前記検出部は、前記装着部または前記付勢部の画像に基づき、前記圧力を検出することを特徴とする皮膚刺激装置。
【請求項2】
前記信号に応じた通知をユーザに対して行う通知部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の皮膚刺激装置。
【請求項3】
前記通知は、前記圧力が予め定められた目標圧力であるか否かを表すことを特徴とする請求項2に記載の皮膚刺激装置。
【請求項4】
前記圧力が予め定められた目標圧力になるように、前記信号に基づき前記付勢部を制御する制御部をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の皮膚刺激装置。
【請求項5】
前記目標圧力は、10乃至100gf/cm
2であることを特徴とする請求項3または4に記載の皮膚刺激装置。
【請求項6】
前記目標圧力は、前記機械刺激の方向に応じた値であることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の皮膚刺激装置。
【請求項7】
前記目標圧力は、前記皮膚表面の部位に応じた値であることを特徴とする請求項3乃至6のいずれか1項に記載の皮膚刺激装置。
【請求項8】
前記目標圧力は、前記皮膚表面の画像に基づき設定されることを特徴とする請求項3乃至7のいずれか1項に記載の皮膚刺激装置。
【請求項9】
前記検出部は、前記装着部と前記皮膚表面との間に配されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の皮膚刺激装置。
【請求項10】
複数の前記検出部が前記装着部における複数の部分に配されることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の皮膚刺激装置。
【請求項11】
前記検出部は、前記付勢部に配されることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の皮膚刺激装置。
【請求項12】
前記駆動部は、前記皮膚表面に機械刺激を与えない状態において、前記検出部として機能し得ることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の皮膚刺激装置。
【請求項13】
前記検出部は、前記装着部の画像に基づき、前記装着部の複数の部分のそれぞれにおける前記圧力を検出することを特徴とする請求項
1に記載の皮膚刺激装置。
【請求項14】
前記付勢部は、前記装着部の複数の部分のそれぞれを独立に付勢させることが可能であることを特徴とする請求項1乃至
13のいずれか1項に記載の皮膚刺激装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記信号に応じて前記機械刺激の方向、大きさ、周期の少なくともいずれかを制御することを特徴とする請求項4に記載の皮膚刺激装置。
【請求項16】
前記制御部は、被施術者の年齢、性別、および前記皮膚表面の部位の少なくとも1つに応じて前記機械刺激の方向、大きさ、周期の少なくともいずれかを決定することを特徴とする請求項
15に記載の皮膚刺激装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚刺激装置および皮膚刺激方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、顔に装着可能な皮膚刺激装置が案出されている。特許文献1に記載の皮膚刺激装置は、顔面形状のマスクと、マスクに取り付けられたベルトと、マスクに設けられた振動素子とを備える。ユーザの設定によって皮膚に付与する刺激が変化可能であり、多様な刺激を皮膚に付与する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の皮膚刺激装置は、振動素子の振動がマスクを介して伝達されることによって皮膚に機械刺激を加えている。このため、皮膚刺激装置が皮膚に加える機械刺激は、ユーザのマスクの装着具合によって変化する。マスクが十分に皮膚に密着していない場合、振動素子から皮膚に加えられる機械刺激が弱まってしまう。一方、マスクが皮膚を強く締め付けている場合、皮膚の炎症またはうっ血が生じ得る。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、マスクの圧力が適切か否かを判断可能な皮膚刺激装置および皮膚刺激方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点によれば、皮膚に装着可能な装着部と、前記装着部を前記皮膚表面に対して所定の圧力で付勢させる付勢部と、前記装着部に設けられるとともに、前記皮膚表面に機械刺激を与える駆動部と、前記圧力を検出し、前記圧力に応じた信号を出力する検出部とを備えることを特徴とする皮膚刺激装置が提供される。
【0007】
また、本発明の他の一観点によれば、付勢部によって、皮膚表面に装着可能な装着部を前記皮膚表面に対して所定の圧力で付勢させるステップと、前記装着部に設けられた駆動部によって、前記皮膚表面に機械刺激を与えるステップと、検出部によって、前記圧力を検出し、前記圧力に応じた信号を出力するステップとを備えることを特徴とする皮膚刺激方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、マスクの圧力が適切か否かを判断可能な皮膚刺激装置および皮膚刺激方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態における皮膚刺激システムの構成を示す図である。
【
図2】第1実施形態におけるマスクの上面図である。
【
図3】第1実施形態におけるマスクの断面図である。
【
図4】第1実施形態における皮膚刺激装置のブロック図である。
【
図5】第1実施形態におけるユーザ端末のブロック図である。
【
図6A】第1実施形態におけるユーザ端末の操作画面の一例である。
【
図6B】第1実施形態におけるユーザ端末の操作画面の一例である。
【
図6C】第1実施形態におけるユーザ端末の操作画面の一例である。
【
図6D】第1実施形態におけるユーザ端末の操作画面の一例である。
【
図6E】第1実施形態におけるユーザ端末の操作画面の一例である。
【
図7】第1実施形態における皮膚刺激方法のフローチャートである。
【
図8】第2実施形態における皮膚刺激装置の学習モデルの概念図である。
【
図9】第2実施形態における学習のフローチャートである。
【
図10】第2実施形態における皮膚刺激方法のフローチャートである。
【
図11】第2実施形態におけるユーザ端末の操作画面の一例である。
【
図12】第3実施形態におけるマスクの上面図である。
【
図13】第3実施形態におけるマスクの断面図である。
【
図14】第3実施形態における皮膚刺激装置のブロック図である。
【
図15】第3実施形態における皮膚刺激方法のフローチャートである。
【
図16】第4実施形態におけるマスクの上面図である。
【
図17】第5実施形態における駆動電圧の波形の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。各図面を通じて共通する機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略又は簡略化することがある。
【0011】
[第1実施形態]
図1は、本発明における皮膚刺激システムの構成を示す図である。皮膚刺激システムは、皮膚刺激装置1、ユーザ端末4を含む。皮膚刺激装置1は、皮膚に装着可能なマスク2、マスク2を制御する制御部3を備える。マスク2はアクチュエータ素子を備え、ユーザの皮膚に機械刺激を与えるために用いられる。
【0012】
制御部3は、マスク2と電気的に接続され、マスク2を制御する。制御部3はユーザによって操作されるタッチディスプレイを備え、ユーザの操作に応じてマスク2を駆動する。制御部3はさらにユーザ端末4によっても操作可能であって、ユーザ端末4と通信可能に接続される。
【0013】
ユーザ端末4は、皮膚刺激装置1を操作するために用いられ、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)を介して皮膚刺激装置1と通信可能である。皮膚刺激装置1とユーザ端末4との無線通信方式は、Bluetoothに限定されるものではなく、NFC(Near Field Communication)などの任意の通信方式であり得る。ユーザ端末4は、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末等の携帯端末、またはパーソナルコンピュータ等の据え置き型の端末であり得る。なお、ユーザ端末4は、必ずしも皮膚刺激装置1と別に設けられることを要せず、皮膚刺激装置1と一体に構成されてもよい。
【0014】
図2は本実施形態におけるマスク2の上面図である。
図2において、マスク2の表面に対して略鉛直方向をZ方向とし、マスク2の表面に対して略平行である任意の直交軸をX方向およびY方向とする。
【0015】
図2に示されるように、マスク2は装着部21、ベルト(付勢部)22、駆動部25、検出部26を有する。装着部21は、皮膚に密着可能であるとともに、柔軟性を有し、顔、手、足などの部位に応じた形状を有し得る。例えば、マスク2が顔に装着される場合、装着部21は顔を十分に覆う外形を有するとともに、目、鼻、口の位置における開口部を有する。
【0016】
ベルト22は、装着部21の両側部に取り付けられ、装着部21を所定の圧力で皮膚表面に付勢させる。ベルト22は、不織布、プラスチックフィルム、ゴム等の弾性材料によって構成され、ユーザの両耳に引っ掛ける一対の紐であり得る。ユーザは、ベルト22を伸ばした状態で左右の耳にベルト22を掛けることによって、装着部21を顔に装着することができる。このとき、ベルト22は装着部21を皮膚表面に対して所定の圧力で付勢させ得る。図示されていないが、ベルト22はユーザの操作によって伸縮自在に構成されてもよい。この場合、ユーザはベルト22の長さを調整することによって、装着部21の圧力を適宜変更することができる。なお、ベルト22は、装着部21と同一素材で構成されてもよく、異なる素材で構成されてもよい。
【0017】
駆動部25は装着部21において、頬、目じり、顎などの所望の身体部位に対応する位置に配され得る。駆動部25は、印加された電圧に応じて機械刺激を皮膚表面に与え得る。
図2の上面視において、駆動部25は例えば、円形をなしているが、楕円形、矩形、正多角形などであっても良い。また、駆動部25の個数も4つに限定されず、任意の個数の駆動部25が設けられても良い。
【0018】
検出部26は、装着部21において皮膚表面に近接した位置に配され、装着部21が皮膚表面に与える圧力を検出可能である。検出部26は、装着部21の圧力を検出し易い位置、例えばベルト22の近傍に配されている。装着部21における圧力が均一でない場合には、圧力が弱くなりやすい開口部近傍あるいは圧力が強くなりやすいベルト22の近傍などの複数の位置に配されてもよい。検出部26の形状は限定されず、上面視において、楕円形、矩形、正多角形などであっても良い。また、検出部26の数も2つに限定されず、任意の個数の検出部26が設けられても良い。
【0019】
図3は、本実施形態によるマスク2の断面図であり、
図2のIII―III’線におけるマスク2の断面図である。
図3に示されるように、マスク2は基材23、絶縁材24a、24bを更に有する。基材23は伸縮可能であるとともに絶縁性を有する薄膜であり、例えば、シリコーンゴム、樹脂等の素材で構成され得る。絶縁材24a、24bは、基材23の上下の表面に形成され、基材23と皮膚5とを電気的に絶縁する。絶縁材24a、24bは、例えば、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート等の素材で構成され得る。絶縁材24a、24bによって駆動部25と皮膚5との絶縁性を担保し、大きな駆動電圧を駆動部25に印加することが可能となる。
【0020】
駆動部25は、基材23の内部に埋め込まれている。駆動部25は、印加された電圧に応じて変位可能な複数の駆動素子250を有する。複数の駆動素子250はZ方向に積層されている。
【0021】
駆動素子250は、電極251、電極252、誘電体253を備える。電極251、252は、低剛性であることが望ましく、例えば、金または銀等を用いた薄膜状金属、黒鉛粉末、またはシリコーンオイルとグラファイトとの混合物から構成され得る。誘電体253は、電極251、252の間に形成され、例えば、誘電エラストマー、セラミック、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、酸化亜鉛等であり得る。電極251、252は交互に配列され、隣接する2つの駆動素子250は、電極251または電極252を共有する。複数の電極251は配線258を介して互いに電気的に接続され、複数の電極252は配線259を介して互いに電気的に接続される。配線258、259は、他の駆動部25の電極251、252に相互に接続され得る。配線258、259には制御部3から駆動電圧が印加される。
【0022】
駆動電圧が電極251、252に印加されると、電極251と電極252との間に静電力が生じる。電極251、252が静電力によって引き合うことで、誘電体253がZ方向において収縮する。これにより、装着部21はZ方向において収縮する。駆動電圧が電極251、252に印加されなくなると、電極251、252との間に生じた静電力が消滅する。静電力によって引き合う電極251、252が互いに離れることで、誘電体253がZ方向において伸展する。これにより、装着部21はZ方向において伸展する。即ち、電極251、252に印加された駆動電圧に応じて、装着部21が収縮および伸展し、駆動部25は装着部21を介してユーザの皮膚表面に機械刺激を与えることができる。
【0023】
複数の駆動素子250は積層されているため、駆動部25の全体の変位が大きくなる。すなわち、積層される駆動素子250の数を増やすことにより、駆動部25の収縮および伸展の変位を増大することが可能となる。
図3において、3個の駆動素子250が積層されているが、駆動部25を構成する駆動素子250の数は限定されない。また、駆動素子250の積層方向はZ方向に限らず、X方向あるいはY方向であってもよい。駆動素子250がX方向あるいはY方向に積層される場合、駆動部25は皮膚5の表面に対して水平方向に変位する機械刺激を付与することができる。
【0024】
検出部26は駆動部25と略同様に構成され、電極261、262、誘電体263を含む。すなわち、電極261、262は、金または銀等を用いた薄膜状金属、黒鉛粉末、またはシリコーンオイルとグラファイトとの混合物等から構成され、誘電体263は、誘電エラストマー、セラミック、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、酸化亜鉛等であり得る。誘電体263に圧力が加わると、電極261、262間に検出電圧が生じ得る。従って、検出部26から出力された検出電圧に基づき、装着部21が皮膚5に与える圧力を検出することが可能となる。
【0025】
検出部26は、装着部21が皮膚5に与える圧力を検出し易いように、皮膚5に近い位置に配されることが望ましい。
図3において、検出部26は、基材23と下面側の絶縁材24bとの間に配されているが、絶縁材24bと皮膚5との間に配されてもよい。
【0026】
なお、検出部26は駆動部25と同様にZ方向に積層された複数の素子を含んでもよい。すなわち、電極261、262は交互に配列され、隣接する2つの素子は電極261または電極262を共有し得る。複数の電極261は配線268を介して互いに電気的に接続され、複数の電極262は配線269を介して互いに電気的に接続される。配線268、269は、他の検出部26の電極261、262に相互に接続され得る。検出部26によって検出された圧力は、配線268、269を介して検出電圧として制御部3に出力される。複数の素子を接続した検出部26を用いることにより、装着部21の皮膚5への圧力を高感度に検出することができる。
【0027】
なお、検出部26は、皮膚刺激時において、駆動部25が皮膚5に与える機械刺激の強さ、皮膚の張り、柔軟性などを検出することも可能である。皮膚刺激装置1が駆動部25に駆動電圧を印加すると、駆動部25が収縮し、装着部21が変位する。この変位によって、皮膚は刺激を受ける。同時に検出部26は、装着部21の変位に応じて検出電圧を出力する。このとき、皮膚の状態に応じて、装着部21の変位量が異なり、皮膚における刺激は変わり得る。例えば、皮膚の柔軟性が高い場合には、装着部21の変位量が大きくなり、検出部26の検出電圧は大きくなる。一方、皮膚に張りがある場合には、装着部21の変位量は少なくなり、検出部26の検出電圧は小さくなる。このように、検出部26の検出電圧に基づき、皮膚の張り、柔軟性等を推定することも可能となる。
【0028】
図4は、本実施形態における皮膚刺激装置1のブロック図であって、マスク2、制御部3を示す。制御部3は、CPU(Central Processing Unit)301、ROM(Read Only Memory)302、RAM(Random Access Memory)303、記憶装置304、ディスプレイ305、タッチセンサ306、WAN(Wide Area Network)307、LAN(Local Area Network)308、バス310、発振回路311、昇圧回路315、スイッチング回路320、増幅器331、フィルタ回路332、AD変換器333を備える。制御部3の各部はバス310を介して相互に接続される。
【0029】
CPU301は、アプリケーションプログラムにより皮膚刺激装置1の各部を制御する。ROM302は、不揮発性メモリから構成され、皮膚刺激装置1の各部を制御するためのアプリケーションプログラムを記憶する。RAM303は、CPU301の動作に必要なメモリ領域を提供する。記憶装置304は、ハードディスク、半導体メモリ等から構成される。ディスプレイ305は、例えば、液晶ディスプレイ、OLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ等から構成される。ディスプレイ305の表面にはタッチセンサ306が配置される。タッチセンサ306は、静電容量式または抵抗式の検出回路を備える。ディスプレイ305およびタッチセンサ306は、皮膚刺激装置1を操作するためにユーザ端末4の代わりに用いられてもよい。WAN307は、移動体通信ネットワークを介して皮膚刺激装置1とユーザ端末4とを通信可能に接続してもよい。移動体通信ネットワークは、例えば、第3世代移動通信、LTE(Long Term Evolution)、第4世代移動通信、第5世代移動通信等であり得る。LAN308は、無線通信によりデータの送受信を行う通信部であり、例えば、Bluetooth等の近距離無線通信、Wi-Fi等の無線LAN接続による無線通信を実行可能に構成される。
【0030】
発振回路311は、複数のパルス信号を生成し、スイッチング回路320を駆動する。発振回路311は、CPU301の指令に従い、それぞれのパルス信号の周波数、パルス幅を独立に制御可能である。
【0031】
スイッチング回路320は、駆動部25毎に設けられ、インバータ321、スイッチ322、323を有する。インバータ321は、発振回路311から入力されたパルス信号の論理を反転した反転信号を出力する。スイッチ322、323は昇圧回路315の高電圧と接地電位との間にカスケード接続されている。スイッチ322のゲートにはパルス信号の反転信号が入力され、スイッチ323のゲートにはパルス信号が入力される。スイッチ322、323は相補的にオンまたはオフを行うことで、昇圧回路315の高電圧をスイッチングした駆動電圧を生成する。スイッチング回路320によって生成された駆動電圧は駆動部25に印加される。スイッチング回路320は、駆動部25毎に設けられ、制御部3は、複数の駆動部25を独立して制御することができる。これにより、皮膚刺激装置1は、皮膚表面の部位毎に異なる変位の皮膚刺激を与えることが可能となる。
【0032】
昇圧回路315は、5Vまたは12Vなどの電源電圧VDDを昇圧し、数十~数百V程の直流の高電圧を生成する。生成された高電圧はスイッチング回路320に供給され、駆動電圧のオン電圧を規定する。また、昇圧回路315はCPU301の指令によって、高電圧を制御可能である。例えば、皮膚に与える刺激を強くする必要がある場合には、昇圧回路315は500Vの高電圧を生成し、皮膚に与える刺激を弱くする場合には、昇圧回路315は100V程度の高電圧を生成し得る。
【0033】
なお、刺激を印加する部位に応じて、駆動電圧の振幅と周波数とを適宜変更することができる。例えば、額、こめかみ、目じり等のように骨格に近い部位においては、大きい振幅の駆動電圧が駆動部25に印加され得る。頬のように骨格から離れた部位においては、大きい振幅の駆動電圧が駆動部25に印加され得る。また、周波数は、例えば、60Hz以下であることが好ましいが、部位に応じて周波数を適宜変更してもよい。
【0034】
増幅器331は差動増幅回路を含み、検出部26から出力された微弱な検出電圧を増幅する。フィルタ回路332は、増幅器331によって増幅された電圧の特定周波数成分のみを通過させる。フィルタ回路332を設けることによって、検出電圧のノイズ成分を低減することができる。AD変換器333は、比較回路、基準電圧発生回路を含み、フィルタ回路332を通過した検出電圧をデジタル信号に変換する。AD変換器333は、バス310を介してLAN308にデジタル信号を出力する。なお、増幅器331、フィルタ回路332、AD変換器333は、検出部26毎に設けられる。LAN308に出力された検出電圧のデジタル信号は、ユーザ端末4に送信される。
【0035】
図5は本実施形態におけるユーザ端末4のブロック図である。ユーザ端末4はCPU401、ROM402、RAM403、記憶装置404、ディスプレイ405、タッチセンサ406、第1無線通信部407、第2無線通信部408、撮像部409、バス410を備える。各部は、バス410を介して相互に接続されている。
【0036】
CPU401は、アプリケーションプログラムによりユーザ端末4の各部を制御する。ROM402は、不揮発性メモリで構成され、ユーザ端末4の各部を制御するためのアプリケーションプログラムを記憶する。RAM403は、CPU401の動作に必要なメモリ領域を提供する。記憶装置404は、不揮発性メモリ、外部メモリなどである。
【0037】
ディスプレイ405は、例えば、液晶ディスプレイ、OLEDディスプレイ、LEDディスプレイ等から構成される。ディスプレイ405の表面には、タッチセンサ406が配されている。タッチセンサ406は静電容量式または抵抗式の検出回路を備える。
【0038】
第1無線通信部407は、移動体通信ネットワークにおいて無線通信を行う通信部であり、例えば、第3世代移動通信、LTE、第4世代移動通信、第5世代移動通信等を実行可能である。
【0039】
第2無線通信部408は、無線通信によりデータの送受信を行う通信部であり、例えば、Bluetooth等の近距離無線通信、Wi-Fi等の無線LAN接続による無線通信、赤外線無線通信等を実行可能に構成される。第2無線通信部408は、制御部3のLAN308から検出部26の検出電圧のデジタル信号を受信する。
【0040】
撮像部409は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)センサ、またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等のエリアセンサである。なお、皮膚刺激装置1またはユーザ端末4は、撮像部409によって撮像された画像を解析し、画像から駆動電圧の振幅、周波数等を決定してもよい。
【0041】
ユーザ端末4は、アプリケーションプログラムによって、ユーザの年齢、性別等の情報を取得し、装着部21の圧力をユーザに通知することができる。これにより、ユーザは、装着部21の圧力が適切か否かを判断することが可能となる。
【0042】
図6A~6Eは、本実施形態におけるユーザ端末4の操作画面の一例である。マスク2は、ユーザ端末4に入力されたユーザ情報に基づいて、ユーザに最適な機械刺激を付与することができる。ユーザがユーザ端末4においてアプリケーションプログラムを起動すると、ユーザ端末4は、
図6Aに示された画面をディスプレイ405に表示する。
図6Aの画面において、ユーザはディスプレイ405に配されたタッチセンサ406を操作することによって、性別、誕生日(年齢)、使用部位等の情報をユーザ端末4に入力し、駆動電圧を選択することができる。なお、駆動電圧はユーザによって選択されず、アプリケーションプログラムによって決定されてもよい。ユーザが情報を入力し、「次へ」のボタンに触れることによって、ユーザ端末4は
図6Bに示された画面をディスプレイ405に表示させる。
【0043】
図6Bの画面において、ユーザはディスプレイ405に表示された指示に従いマスク2を装着する。ユーザ端末4は、検出部26による検出圧力が所定の目標圧力であるか否かをグラフとして表示し得る。目標圧力は、所定の圧力範囲、例えば10乃至100gf/cm
2のように設定され得る。また、目標圧力は装着部21がユーザの皮膚5に対して与える機械刺激の方向、機械刺激を与える部位に応じて異なる値が設定され得る。検出圧力が予め定められた目標圧力よりも弱い場合、ユーザ端末4は
図6Bにおいてグラフの値を「too weak」とする。また、検出圧力が目標圧力よりも強い場合、ユーザ端末4は
図6Bにおいてグラフの値を「too strong」とする。ユーザは
図6Bの画面を見ながら、ベルト22の長さの調整などを行い、装着部21の圧力を調整することができる。検出圧力が予め定められた目標圧力である場合、ユーザ端末4は
図6Bにおいてグラフの値を「good」とし、
図6Cに示された画面をディスプレイ405に表示させる。
【0044】
図6Cの画面において、ユーザは現在の気分の状態をユーザ端末4に入力する。ユーザ端末4は、気分の状態を表す「good」、「not bad」、「bad」の3つのアイコンをディスプレイ405に表示する。ユーザは、3つのアイコンのいずれかに触れることで、ユーザの現在の気分をユーザ端末4に入力することができる。
図6Dの画面において、ユーザは行動予定を入力する。ユーザ端末4は、「スキンケア」、「のんびり」、「睡眠」等のアイコンをディスプレイ405に表示する。ユーザはこれらのアイコンのいずれかに触れることで、ユーザの行動予定を入力することができる。
【0045】
ユーザ端末4は以上のように入力されたユーザ情報に基づいて、駆動電圧、刺激時間などの皮膚刺激情報を決定する。駆動電圧の決定は、正弦波、アルファ波、音声信号などの信号種別の特定によってなされてもよく、振幅、周波数、波形等の信号波形の特定によってなされてもよい。ユーザ端末4は決定された皮膚刺激情報を制御部3に送信し、制御部3は皮膚刺激情報に基づき駆動電圧を出力する。駆動部25は駆動電圧に基づき所定の駆動パターンで機械刺激を変化させる。これにより、ユーザに最適な機械刺激を付与することが可能となる。また、ユーザ端末4は
図6Eに示される画面をディスプレイ405に表示させてもよい。
図6Eの画面において、入力されたユーザ情報に基づいて、最適な機械刺激を付与することができる施術スケジュールをユーザに提示する。ユーザは、この施術スケジュールに従って施術を行うことによって、適切な頻度、適切な施術時間で皮膚刺激装置1を使用することが可能となる。
【0046】
なお、ユーザ端末4によってユーザの顔画像を取得し、ユーザ端末4は顔画像に応じて皮膚刺激情報を自動的に決定してもよい。例えば、ユーザ端末4は顔画像に紐づけて皮膚刺激情報を学習することで、入力された顔画像に最適な皮膚刺激情報を決定することができる。
【0047】
図7は、本実施形態における皮膚刺激方法のフローチャートであり、皮膚刺激および圧力検出の動作を示している。
【0048】
まず、ユーザは、ディスプレイ405に配されたタッチセンサ406を操作することによって、
図6A、
図6C、
図6Dの画面において性別、誕生日(年齢)、使用部位、ユーザの気分の状態、ユーザの次の行動予定等の情報をユーザ端末4に入力する(ステップS101)。次に、ユーザは顔にマスク2を装着する(ステップS102)。なお、マスク2を装着した後に、ステップS101における情報入力を行ってもよい。
【0049】
検出部26は、装着部21が皮膚表面を押圧する圧力を検出し(ステップS103)、制御部3は、検出圧力が予め定められた目標圧力であるか否かを判断する(ステップS104)。検出圧力が目標圧力でない場合(ステップ104においてNO)、制御部3はユーザ端末4を介してユーザにマスク2の装着を調整するよう指示する(ステップS105)。例えば、検出圧力が目標圧力よりも強すぎる場合には、ユーザ端末4は
図6Bにおいてグラフの値を「too strong」と表示し、ユーザはベルト22を調整し、再度マスク2を装着し直すことができる。検出圧力が目標圧力である場合(ステップS104においてYES)、制御部3はユーザ端末4を介してユーザにマスク2の装着が適切であることを通知し(ステップS106)する。ユーザは、アプリケーションプログラムを操作し、皮膚刺激装置1は皮膚刺激を開始する(ステップS107)。
【0050】
制御部3は皮膚の部位毎に駆動電圧の振幅、周波数等を設定する(ステップS110)。さらに、制御部3は、設定された駆動電圧を駆動部25に印加し(ステップS111)、駆動部25は皮膚に刺激を与える。すなわち、制御部3が駆動部25に駆動電圧を印加すると、駆動部25は収縮および伸展によって皮膚を刺激する。皮膚刺激が開始された後において、検出部26は、装着部21が皮膚表面を押圧する圧力を検出し(ステップS112)、制御部3は、検出圧力が目標圧力であるか否かをユーザに通知する(ステップS113、S114、S115)。このため、ユーザは、皮膚刺激がなされている際においても、装着部21の圧力が適切か否かを判断することが可能となる。
【0051】
続いて、制御部3は、皮膚刺激を終了するか否かを判断する(ステップS116)。例えば、ユーザによって設定された動作時間が経過しないような場合(ステップS116においてNO)、制御部3は引き続き皮膚刺激を継続する。また、ユーザが設定した時間を経過した場合(ステップS116おいてYES)、制御部3は、皮膚刺激を停止する。さらに、制御部3は、施術結果および皮膚の状態をディスプレイ405に表示する(ステップS120)。以上の処理が完了すると、制御部3は主電源をオフにする。
【0052】
以上に述べたように本実施形態によれば、マスクの圧力が適切か否かを判断することが可能となり、適切な皮膚刺激を実現することが可能となる。
【0053】
[第2実施形態]
続いて、本実施形態における皮膚刺激装置について説明する。本実施形態における皮膚刺激装置は、マスクの画像に基づき圧力を検出する点において第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態と異なる構成を中心に説明する。
【0054】
本実施形態における皮膚刺激装置1は、ユーザ端末4の撮像部409によってマスク2の画像を撮像し、いわゆるAI(Artificial Intelligence)を用いて、撮像された画像に基づき装着部21の圧力を推定することが可能である。
図8は本実施形態における皮膚刺激装置の学習モデルの概念図である。学習モデルは、
図4に示された制御部3において構築され得る。学習モデルは、入力層91、中間層92、出力層93を含むニューラルネットワークから構成され、制御部3の記憶装置304に記憶される。入力層91のニューロン951、中間層92のニューロン952、出力層93のニューロン953はシナプス96によってそれぞれ結合されている。入力層91のニューロン951はユーザ情報、マスク2の画像を入力し、出力層93のニューロン953からは装着部21の複数の部分における圧力の値を出力する。例えば、学習モデルは、画像における装着部21またはベルト22の伸縮の程度と圧力との相関関係をニューラルネットワークとして含み得る。このようにして、制御部3は、マスク2がユーザの皮膚表面を押圧する圧力を算出することができる。なお、学習モデルによって装着部21の各部の圧力をそれぞれ算出してもよい。
【0055】
図9は、本実施形態における機械学習のフローチャートである。本実施形態における機械学習は教師データを用いた教師あり学習であり、検出部26によって検出される圧力は教師データとして用いられる。まず、制御部3は、入力層91のニューロンにユーザ情報およびマスク2の画像を入力する(ステップS201)。マスク2の画像は、ユーザ端末4の撮像部409によって撮像され得る。また、ユーザ情報は、ユーザ端末4に入力された年齢、性別などのユーザの属性であり得る。制御部3は、入力されたユーザ情報およびマスク2の画像に基づき、出力層93のニューロンから装着部21の圧力を算出する(ステップS202)。
【0056】
一方、制御部3は検出部26によって検出された検出圧力と機械学習によって算出された圧力との差分を算出する(ステップS203)。差分が大きい場合(ステップS204においてNO)、制御部3は差分を学習モデルにフィードバックし、差分が小さくなるようにシナプス96の重み付け係数を変更する(ステップS205)。差分が十分に小さくなるまで、制御部3はステップS202~S205の処理を繰り返す。差分が十分に小さくなると(ステップS204においてYES)、制御部3は学習モデルを生成し(ステップS206)、機械学習を終了する。このように、差分が十分に小さくなるまで上述の機械学習を繰り返すことにより、学習モデルを生成することができる。
【0057】
図10は、本実施形態における皮膚刺激方法のフローチャートであり、学習モデルを用いた圧力検出の処理を示している。また、
図11は、本実施形態におけるユーザ端末4の操作画面の一例を示している。
【0058】
まず、ユーザは、ユーザ端末4に記憶されたアプリケーションプログラムを起動し、皮膚刺激を使用する時間を設定する(ステップS211)。ユーザは、顔における刺激対象の部位等を設定してもよい。次に、ユーザはディスプレイ405に配されたタッチセンサ406を操作することによって、性別、誕生日(年齢)、刺激部位、ユーザの気分の状態、ユーザの次の行動予定等の情報をユーザ端末4に入力する(ステップS212)。
【0059】
次に、ユーザ端末4は、
図11の撮影画面をディスプレイ405に表示する(ステップS213)。
図11の撮影画面において、ユーザに装着されたマスク2を撮像するためのガイドが点線枠として表示される。ユーザは、撮影画面を見ながら、マスク2の画像がガイド内に収まるように撮像部409の向きおよび位置を調整することができる。また、画面の下部には、円形の撮像ボタンが表示される。ユーザが撮像ボタンに触れると、ユーザ端末4はマスク2の画像を記憶装置304に保存する(ステップS214)。このようにして取得されたマスク2の画像は、ユーザ情報とともに学習モデルに入力される。
【0060】
制御部3は、学習モデルによって、装着部21が皮膚表面を押圧する圧力を算出する(ステップS215)。推定された圧力が予め定められた目標圧力ではない場合(ステップS216においてNO)、ユーザ端末4は、ユーザにマスク2の装着を調整するよう指示する(ステップS217)。推定された圧力が予め定められた目標圧力である場合(ステップS216においてYES)、ユーザ端末4はユーザにマスク2の装着が適切であることを表示する(ステップS218)。ユーザはアプリケーションプログラムを操作して、皮膚刺激装置1に皮膚刺激を開始させる。
【0061】
以上に述べたように本実施形態によれば、マスク2の画像に基づき、装着部21が皮膚表面に与える圧力が適切か否かを検出することができる。また、マスク2に検出部26を設けることなく圧力を検出することが可能となる。
【0062】
[第3実施形態]
続いて、本実施形態における皮膚刺激装置について説明する。本実施形態における皮膚刺激装置は、マスクの圧力を制御する伸縮素子を備える点において、第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態と異なる構成を中心に説明する。
【0063】
図12は本実施形態におけるマスク2の上面図である。
図13は、本実施形態におけるマスク2の断面図であり、
図12のXIII―XIII’線におけるマスク2の断面図である。
【0064】
図12および
図13に示されるように、マスク2はベルト22を伸縮可能な伸縮素子27をさらに有する。伸縮素子27は装着部21の両側部に固定され、ベルト22の両端部は伸縮素子27に連結されている。伸縮素子27は、例えば、ソレノイド、リニアモータ、圧電素子、磁歪素子、形状記憶合金等のように、印加された駆動電圧に応じて変位可能な素子であり得る。伸縮素子27は、制御部3からの信号に応じてベルト22の端部の位置を変位させ、ベルト22を伸縮させることができる。これにより、装着部21がユーザの皮膚表面を押圧する圧力を変化させることができる。
【0065】
図14は、本実施形態における皮膚刺激装置のブロック図であって、マスク2、制御部3を示す。制御部3は、駆動回路341をさらに有する。駆動回路341は、電流増幅回路および電圧増幅回路などを含み、CPU301からの指示に基づき、伸縮素子27への駆動電圧を出力可能である。なお、伸縮素子27毎に駆動回路341を設けてもよい。この場合、制御部3は複数の伸縮素子27のそれぞれを独立に制御することができる。
【0066】
図15は、本実施形態における皮膚刺激方法のフローチャートであり、皮膚刺激および圧力制御の動作を示している。
【0067】
まず、ユーザは、ディスプレイ405に配されたタッチセンサ406を操作することによって、性別、誕生日(年齢)、使用部位、ユーザの気分の状態、ユーザの次の行動予定等の情報をユーザ端末4に入力する(ステップS301)。ユーザは、刺激したい顔の部位等を設定してもよい。次に、ユーザは顔の所定の位置にマスク2を装着する(ステップS302)。なお、マスク2の装着は、ステップS301における情報入力の前になされてもよい。
【0068】
検出部26は、装着部21の圧力を検出し(ステップS303)、制御部3は、検出圧力が予め定められた目標圧力であるか否かを判断する(ステップS304)。検出圧力が予め定められた目標圧力でない場合(ステップS304においてNO)、制御部3は目標圧力と検出圧力との差が小さくなるように伸縮素子27を駆動する(ステップS305)。検出圧力が目標圧力である場合(ステップS304においてYES)、ユーザに皮膚刺激を開始するように指示し、皮膚刺激装置1は皮膚刺激を開始する(ステップS306)。
【0069】
制御部3は皮膚の部位毎に駆動電圧の振幅、周波数等を設定する(ステップS310)。さらに、制御部3は、設定された駆動電圧を駆動部25に印加し(ステップS311)、駆動部25は皮膚に刺激を与える。すなわち、制御部3が駆動部25に駆動電圧を印加すると、駆動部25は収縮および伸展によって皮膚を刺激する。また、検出部26は、装着部21が皮膚表面を押圧する圧力を検出する(ステップS312)。制御部3は、検出圧力が目標圧力となるように伸縮素子27を駆動する(ステップS313)。すなわち、圧力が目標圧力ではない場合(ステップS313においてNO)、制御部3は伸縮素子27を駆動する(ステップS311)。このため、制御部3は、皮膚刺激がなされている際においても、装着部21の圧力が適切となるように制御することが可能となる(ステップS313においてYES)。
【0070】
続いて、制御部3は皮膚刺激を終了するか否かを判断する(ステップS314)。例えば、ユーザによって設定された動作時間が経過しないような場合(ステップS314においてNO)、制御部3は引き続き皮膚刺激を継続する。また、ユーザが設定した時間を経過した場合(ステップS314においてYES)、制御部3は、皮膚刺激を停止する。さらに、制御部3は、施術結果および皮膚の状態をディスプレイ405に表示する(ステップS320)。以上の処理が完了すると、制御部3は主電源をオフにする。
【0071】
以上に述べたように本実施形態によれば、検出部26が検出した圧力に基づき、マスク2の皮膚表面を押圧する圧力が目標圧力となるように制御される。これにより、皮膚刺激装置1は、自動的に装着部21の圧力を調整し、適切な圧力を容易に実現することができる。
【0072】
[第4実施形態]
続いて、本実施形態における皮膚刺激装置について説明する。本実施形態における皮膚刺激装置は、ベルト22の張力を検出することによって装着部21の圧力を推定する点において、上述の実施形態と異なっている。以下、第1実施形態と異なる構成を中心に説明する。
【0073】
図16は、本実施形態におけるマスクの上面図である。検出部260は、装着部21の両側部とベルト22の端部との間に設けられている。すなわち、検出部260の一端は装着部21の側部に固定され、検出部260の他端はベルト22の端部に固定されている。検出部260は、第1~第3実施形態における検出部26と同様に誘電体および電極を含み、ベルト22の張力を検出し、検出電圧を出力可能である。ベルト22の張力と装着部21の圧力とは相関関係にあることから、ベルト22の張力に基づき装着部21の圧力を算出し得る。従って、制御部3は、検出部260の検出電圧に基づき装着部21の圧力を算出することが可能である。
【0074】
なお、本実施形態における検出部260に加えて第3実施形態において説明した伸縮素子27が設けられてもよい。この場合、ベルト22の張力に応じて伸縮素子27の伸縮量を調整し、装着部21の圧力を最適に制御することができる。
【0075】
以上に述べたように本実施形態によれば、検出部26によってベルト22の伸縮が検出される。これにより、皮膚刺激装置1は、ユーザに対してベルト22の伸縮に応じた通知を行い、適切な圧力を容易に実現することができる。
【0076】
[第5実施形態]
続いて、本実施形態における皮膚刺激装置について説明する。本実施形態において、駆動部25は機械刺激だけでなく、装着部21の圧力を制御可能である。以下、第1実施形態と異なる構成を中心に説明する。
【0077】
図17(a)、
図17(b)は、本実施形態における駆動電圧の波形の一例を表している。
図17(a)、
図17(b)において、実線は発振回路311から出力されるパルス信号を表し、破線は駆動部25に供給される駆動電圧を示している。また、一点鎖線は駆動電圧の平均電圧を示している。
図4に示されたように、発振回路311は高周波、例えば、可聴領域以上の周波数のパルス信号を生成し、スイッチング回路320を駆動する。スイッチング回路320には容量性の負荷として駆動部25が接続されている。このため、スイッチング回路320から出力された駆動電圧は、破線で示されたように、パルス信号を積分した電圧となる。ここで、パルス信号のパルス幅に一定のオフセットを付加することにより、平均電圧にオフセット電圧ΔVを付加することが可能となる。すなわち、駆動部25は、正弦波に基づく機械刺激に加え、オフセット電圧ΔVが付加された平均電圧に基づく圧力を皮膚表面に印加し得る。また、パルス幅のオフセットを適宜変更することにより、駆動電圧のオフセット電圧をΔV1(
図17(a))、ΔV2(
図17(b))のように変更することができる。制御部3は、駆動部25毎に異なるオフセット電圧ΔVを設定することにより、平均電圧を変化させ、装着部21の頬、目じり、額などの部位毎に異なる圧力を印加することが可能となる。例えば、うっ血し易い部位においては圧力を弱めてもよい。また、装着部21の目、口、鼻の近傍は、開口部の影響によって皮膚表面と密着し難くなり、圧力が弱まることがある。この場合には、装着部21の開口部の近傍の圧力を強くし、他の部位と同等の圧力が加わるように制御してもよい。
【0078】
以上に述べたように、本実施形態によれば、駆動部25にオフセット電圧ΔVを印加することにより、皮膚表面に一定の圧力を印加することが可能となる。これにより、ベルト22によって装着部21全体の圧力を調整するとともに、駆動部25によって装着部21の部位毎に最適な圧力を印加することが可能となる。
【0079】
[他の実施形態]
本発明は、上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。例えば、駆動部25は誘電体における静電力を利用したものに限定されず、ソレノイドなどの電磁力を利用したものであってもよい。さらに、駆動部25の数および配置は上述の実施形態に限定されず、駆動部25は皮膚表面に対して水平方向に機械刺激を加えるように配されてもよい。
【0080】
なお、駆動部25は、制御部から電圧を印加されていない場合において、検出部26として機能し得る。この場合、駆動部25が機械刺激を与える皮膚の部位における圧力を検出することができる。
【0081】
さらに、いずれかの実施形態の一部の構成を他の実施形態に追加した例、ほかの実施形態の一部の構成と置換した例も、本発明の実施形態である。また、実施形態において特段の説明や図示のない部分に関しては、当該技術分野の周知技術や公知技術を適宜適用可能である。
【0082】
この出願は2021年2月26日に出願された日本国特許出願第2021-031181号からの優先権を主張するものであり、その内容を引用してこの出願の一部とするものである。
【符号の説明】
【0083】
1 皮膚刺激装置
2 マスク
3 制御部
4 ユーザ端末
21 装着部
22 ベルト
25 駆動部
26 検出部