(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-25
(45)【発行日】2025-10-03
(54)【発明の名称】インテリジェント投光型車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 41/36 20180101AFI20250926BHJP
F21S 43/13 20180101ALI20250926BHJP
F21S 43/16 20180101ALI20250926BHJP
F21V 14/04 20060101ALI20250926BHJP
F21V 9/45 20180101ALI20250926BHJP
F21V 9/20 20180101ALI20250926BHJP
F21S 41/16 20180101ALI20250926BHJP
F21S 41/176 20180101ALI20250926BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20250926BHJP
F21W 103/60 20180101ALN20250926BHJP
F21W 102/13 20180101ALN20250926BHJP
【FI】
F21S41/36
F21S43/13
F21S43/16
F21V14/04
F21V9/45
F21V9/20
F21S41/16
F21S41/176
F21Y115:30
F21W103:60
F21W102:13
(21)【出願番号】P 2024031988
(22)【出願日】2024-03-04
【審査請求日】2024-03-04
(73)【特許権者】
【識別番号】524082373
【氏名又は名称】台灣彩光科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】TAIWAN COLOR OPTICS, INC.
【住所又は居所原語表記】4F., No.32, Keya Rd., Daya Dist., Taichung City 428, TAIWAN,
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黄國胤
(72)【発明者】
【氏名】張可朋
(72)【発明者】
【氏名】王志峰
(72)【発明者】
【氏名】陳信安
(72)【発明者】
【氏名】張永朋
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-065144(JP,A)
【文献】国際公開第2018/021109(WO,A1)
【文献】特開2018-106928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/00-41/698
F21S 43/00-43/50
F21V 14/04
F21V 9/45
F21V 9/20
F21Y 115/30
F21W 103/60
F21W 102/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ軸を有
するインテリジェント投光型車両用灯具であって、
複数のレーザー光源と、
複数のレーザービームのそれぞれを動的に反射するように、前記複数のレーザー光源による
前記複数のレーザービームの経路上に対応して配置される複数の2Dミラーと、
前記複数の2Dミラーによって反射された前記レーザービームを収束させる複数の集光レンズと、
蛍光体層、及び前記蛍光体層の一方側に位置する反射層を含む、反射型蛍光体プレートと、
前記複数の集光レンズと前記反射型蛍光体プレートの間に設置され、前記レーザー光源の中の青色波長の光線を反射するように設計されると共に、一部の可視光を透過させる狭帯域青色光反射鏡と、
レンズセットと、
を備え、
前記狭帯域青色光反射鏡は前記レンズセットと前記反射型蛍光体プレートの間に位置し、
前記レーザービームが収束された後、前記狭帯域青色光反射鏡によって反射されて前記反射型蛍光体プレートに照射され、前記蛍光体層を励起して可視光として混合し、前記可視光が前記反射型蛍光体プレートの前記反射層によって反射されて前記狭帯域青色光反射鏡を通過する、
ことを特徴とする、インテリジェント投光型車両用灯具。
【請求項2】
複数の固定型反射鏡をさらに含み、
前記複数の固定型反射鏡はそれぞれ前記複数のレーザー光源と前記複数の2Dミラーの間に配置され、前記複数のレーザー光源の前記複数のレーザービームは前記レンズ軸に平行な方向へ前記複数の固定型反射鏡に照射され、前記複数の固定型反射鏡は前記複数のレーザービームを前記複数の2Dミラーに反射する、請求項1に記載のインテリジェント投光型車両用灯具。
【請求項3】
前記インテリジェント投光型車両用灯具は、ロービームとした2つの前記レーザー光源、ハイビームとした2つの前記レーザー光源、4つの前記固定型反射鏡、及び2つの前記2Dミラーを有し、1つの前記レーザー光源は1つの前記固定型反射鏡に対応し、前記2Dミラーの一方はロービームとした2つの前記レーザー光源に対応し、前記2Dミラーの他方はハイビームとした2つの前記レーザー光源に対応する、請求項2に記載のインテリジェント投光型車両用灯具。
【請求項4】
前記狭帯域青色光反射鏡は、ダイクロイックフィルター反射鏡であり、前記ダイクロイックフィルター反射鏡のスペクトルは、反射帯域及び透過帯域を有し、収束された前記レーザービームは、前記ダイクロイックフィルター反射鏡の前記反射帯域によって反射されて前記反射型蛍光体プレートに照射され、前記レーザービームは、前記蛍光体層を励起して可視光として混合し、前記可視光は、前記反射型蛍光体プレートの前記反射層によって反射されて前記透過帯域を通過し、前記集光レンズによって照射された前記レーザービームは、前記レンズ軸に対して40度超えの入射角度を有する、請求項1に記載のインテリジェント投光型車両用灯具。
【請求項5】
前記集光レンズによって照射された前記レーザービームは、前記レンズ軸に対して50度の入射角度を有し、従って、入射角が50度の藍光を反射し、かつ、入射角が50±2度の藍光以外の可視光を通過させる、請求項4に記載のインテリジェント投光型車両用灯具。
【請求項6】
前記狭帯域青色光反射鏡は、リング青色光反射鏡であり、前記リング青色光反射鏡は、反射部及び可透過部を有する、請求項1に記載のインテリジェント投光型車両用灯具。
【請求項7】
前記集光レンズによって照射された前記レーザービームは、前記レンズ軸に対して45度超えの入射角度を有する、請求項6に記載のインテリジェント投光型車両用灯具。
【請求項8】
前記蛍光体層は、蛍光粒子及び複数の散乱粒子を含み、前記レーザービームは青色光であり、前記レーザービームが前記蛍光粒子によって励起された後に黄色光を生成し、前記複数の散乱粒子は青色光を散乱し、そして前記黄色光と混合した後に白色光を生成し、前記散乱粒子の体積比率は0.1%~20%であり、前記散乱粒子の粒子径は1μm~30μmである、請求項1に記載のインテリジェント投光型車両用灯具。
【請求項9】
前記反射型蛍光体プレートの前記蛍光体層は、前記レンズ軸に対応して四つの領域に分割され、それぞれが前記インテリジェント投光型車両用灯具によって投射されるハイビームエリア、ロービームエリア、及び地面投影シンボルに対応し、前記レンズ軸は前記蛍光体層の幾何学的中心に位置し、光型の水平軸は前記レンズ軸の下方に位置する、請求項1に記載のインテリジェント投光型車両用灯具。
【請求項10】
前記インテリジェント投光型車両用灯具は、市街地モードの投影光パターンを提供し、前記市街地モードの前記蛍光体層は、2つの前記地面投影シンボルを設計しており、2つの前記地面投影シンボルは前記レンズ軸の上方に位置し、それぞれが2つのロービームの前記レーザー光源に対応する、請求項9に記載のインテリジェント投光型車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インテリジェント投光型車両用灯具に関し、特に車両の前照灯に関する。レーザー光源を用いて車両前方の照射エリアにスキャン照射し、車両の前進または曲がる動作に対応するシンボルを投影できるものである。
【背景技術】
【0002】
従来の投光型車両用灯具は、複数のレーザー光源を配置しており、通常、体積が大きくなり、より多くの空間を占めていた。さらに、複数回の反射を経ることで、光効率が低下する。上記の問題を解決するための課題は、投光型車両用灯具のサイズを小さくし、光効率を向上させる方法である。
【0003】
さらに、近年、交通事故が頻発していることから、車両が前進または曲がる動作の対応するシンボルを地面に追加で投影し、歩行者や他の車両に提示することができれば、交通の安全性をさらに向上させることができる。
【0004】
したがって、構造設計の改善を通じて投光型車両用灯具の全体的な構造配置を改善し、上記の不具合を克服する方法は、この技術分野で解決したい重要な課題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする技術的課題は、既存技術の不足を補うインテリジェント投光型車両用灯具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の技術的問題を解決するため、本発明が採用する技術的な解決策の一つは、レンズ軸を有するインテリジェント投光型車両用灯具を提供することである。前記インテリジェント投光型車両用灯具は、複数のレーザー光源、複数の2Dミラー、複数の集光レンズ、反射型蛍光体プレート、狭帯域青色光反射鏡、及びレンズセットを含む。複数の2Dミラーは、複数のレーザー光源からの複数のレーザービームの経路上にそれぞれ対応して設置され、複数のレーザービームはそれぞれ複数の2Dミラーによって動的に反射される。複数の集光レンズは、複数の2Dミラーによって反射されたレーザービームを集光するために用いられる。反射型蛍光体プレートは、蛍光体層及び反射層を含み、反射層は蛍光体層の一側に位置する。狭帯域青色光反射鏡は、複数の集光レンズと反射型蛍光体プレートの間に設置され、狭帯域青色光反射鏡はレーザー光源の青色波長の光を反射するように設計されており、同時に一部の可視光が透過することを許容する。集光されたレーザービームは狭帯域青色光反射鏡によって反射され、反射型蛍光体プレートに照射される。レーザービームは蛍光体層を激発し、可視光に混合され、前記可視光は反射型蛍光体プレートの反射層によって反射され、狭帯域青色光反射鏡を通過する。狭帯域青色光反射鏡は、レンズセットと反射型蛍光体プレートの間に位置するように設置される。
【0007】
本発明の一つの有益な効果は、複数のレーザー光源を含むインテリジェント投光型車両用灯具を提供することにあり、複数の2Dミラーを組み合わせて使用し、狭帯域青色光反射鏡による反射することによって、反射型蛍光体プレート上で異なるエリアをスキャンし、複数の投影光パターンを形成することができる。これには少なくともシンボル投影モードの投影光パターンが含まれる。
【0008】
発明の特徴及び技術内容がより一層分かるように、以下本発明に関する詳細な説明と添付図面を参照する。しかし、提供される添付図面は参考と説明のために提供するものに過ぎず、本発明の特許請求の範囲を制限するためのものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明のインテリジェント投光型車両用灯具の側面模式図である。
【
図2】本発明のインテリジェント投光型車両用灯具の立体模式図である。
【
図3A】本発明のダイクロイックフィルター反射鏡の模式図である。
【
図3B】本発明のダイクロイックフィルター反射鏡のダイクロイックフィルタースペクトルの曲線図である。
【
図4】本発明のリング青色光反射鏡の模式図である。
【
図5A】本発明のインテリジェント投光型車両用灯具の投影光パターンの模式図である。
【
図5B】本発明のインテリジェント投光型車両用灯具の投影光パターンの模式図である。
【
図6】本発明のインテリジェント投光型車両用灯具の投影角度範囲の模式図である。
【
図7A】本発明の蛍光体層の第1の計画モードの模式図である。
【
図7B】本発明の蛍光体層の第2の計画モードの模式図である。
【
図7C】本発明の蛍光体層の第3の計画モードの模式図である。
【
図7D】本発明の蛍光体層の第4の計画モードの模式図である。
【
図8A】
図7Aに対応する本発明の投影光パターンの模式図である。
【
図8B】
図7Bに対応する本発明の投影光パターンの模式図である。
【
図8C】
図7Cに対応する本発明の投影光パターンの模式図である。
【
図8D】
図7Dに対応する本発明の投影光パターンの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1及び
図2を参照すると、
図1は本発明のインテリジェント投光型車両用灯具の側面模式図であり、
図2は本発明のインテリジェント投光型車両用灯具の立体模式図である。
図2では、図面を簡潔にするためにいくつかの部品が省略されている。本実施形態は、レンズ軸Xを有するインテリジェント投光型車両用灯具100を提供し、複数のレーザー光源LS1、LS2、LH1、LH2、複数の2DミラーMR1、MR2、複数の集光レンズ(21、22)、反射型蛍光体プレート30、狭帯域青色光反射鏡40、及びレンズセット(50、60)を含む。この実施形態では、レーザー光源LS1、LS2、LH1、LH2は、複数の2DミラーMR1、MR2上に直接照射されるか、または複数の2DミラーMR1、MR2へ反射される。レンズ軸Xは、レンズセット(50、60)の中心を通過する。
【0011】
具体的には、この実施形態のインテリジェント投光型車両用灯具100は、複数の固定型反射鏡SR1、SR2、HR1、HR2も含む。複数の固定型反射鏡SR1、SR2、HR1、HR2は、複数のレーザー光源LS1、LS2、LH1、LH2と複数の2DミラーMR1、MR2の間にそれぞれ配置される。複数のレーザー光源LS1、LS2、LH1、LH2からの複数のレーザービーム(L1、L1’を代表とする)は、レンズ軸Xに平行な方向に複数の固定型反射鏡SR1、SR2、HR1、HR2へと照射され、複数の固定型反射鏡SR1、SR2、HR1、HR2は、複数のレーザービーム(L1、L1’を代表とする)を複数の2DミラーMR1、MR2へと反射する。固定型反射鏡SR1、SR2、HR1、HR2は、複数のレーザー光源LS1、LS2、LH1、LH2の位置を変更できるため、車両用灯具内の空間配置を容易にする。
【0012】
本実施形態における複数のレーザー光源LS1、LS2、LH1、LH2は、互いに近接するようにレンズセット(50、60)の直後に配置されることができる。複数のレーザー光源LS1、LS2、LH1、LH2から発射されるレーザービームL1、L1’は元々レンズ軸Xに平行である。固定型反射鏡SR1、SR2、HR1、HR2の数は、レーザー光源LS1、LS2、LH1、LH2の数に対応しており、レンズセット(50、60)の直後に配置される。固定型反射鏡SR1、SR2、HR1、HR2は、レーザー光源LS1、LS2、LH1、LH2と反射型蛍光体プレート30との間に位置する。前記固定型反射鏡SR1、SR2、HR1、HR2を通して、レーザービームL1、L1’は複数の2DミラーMR1、MR2へと反射される。
【0013】
例えば、本実施形態におけるインテリジェント投光型車両用灯具100は、2つのロービームエリアのレーザー光源(LS1、LS2)、2つのハイビームエリアのレーザー光源(LH1、LH2)、4つの固定型反射鏡(SR1、SR2、HR1、HR2)、及び2つの2Dミラー(MR1、MR2)を備える。しかし、本発明は上述の配置の数に限定されない。本実施形態のレーザー光源LS1、LS2、LH1、LH2は、例えば、波長450nmの青色のレーザービームL1、L1’を発する。そのうち、1つのレーザー光源は1つの固定型反射鏡に対応し、2DミラーMR1の一方は2つのロービームエリアのレーザー光源LS1、LS2に対応し、2DミラーMR2の他方は2つのハイビームエリアのレーザー光源LH1、LH2に対応する。
【0014】
複数の2DミラーMR1、MR2は、複数のレーザー光源LS1、LS2、LH1、LH2からの複数のレーザービームL1、L1’の経路上にそれぞれ対応して設置される。具体的には、2つの2DミラーMR1、MR2は、4つの固定型反射鏡SR1、SR2、HR1、HR2の外周に位置する。本実施形態では、例えば、2つのロービームエリアのレーザー光源LS1、LS2からの二束のレーザービームは、それぞれ1つの2DミラーMR1によって動的に反射される。2Dミラー、または2Dレーザースキャニングミラー(2D MEMS LASER SCANNING MIRROR)とも呼ばれる。MEMSは、マイクロエレクトロメカニカルシステム(Micro Electro Mechanical Systems)を指し、その内部には一次元または二次元のミラーがある。駆動される反射鏡は、レーザービームL2、L2’を正確に偏向および方向転換させ、特定の時間に目標点に到達させる。例えば、本実施形態のレーザービームL3、L3’は、Z字形に迅速にスキャンして平面光を形成するよう順次往復する。
【0015】
本実施形態の集光レンズ21、22は凸レンズであり、本実施形態のインテリジェント投光型車両用灯具100は、2つの2DミラーMR1、MR2によって反射されたレーザービームL3を反射型蛍光体プレート30上に集光させるために、2つの集光レンズ21、22を設置している。
【0016】
反射型蛍光体プレート(reflection type phosphor plate)30は、蛍光体層(phosphor layer)31及び反射層(reflective layer)32を含む。反射層32は蛍光体層31の一方側に位置する。
【0017】
本発明の1つの特徴は、狭帯域青色光反射鏡40を提供することであり、これはレーザー光源からの青色波長の光を反射し、同時に可視光を透過させることができる。狭帯域青色光反射鏡40は、複数の集光レンズ21、22と反射型蛍光体プレート30の間に配置される。
【0018】
図3Aに示されるように、狭帯域青色光反射鏡40はダイクロイックフィルター反射鏡であってもよい。具体的には、ダイクロイックフィルター反射鏡は、光学ガラス上に光学真空蒸着法で多層の光学薄膜を堆積させ、フィルタリング機能を実現する。ダイクロイックフィルター反射鏡は、特定の波長の光を通過させる一方で、他の波長の光を遮断する光学フィルターである。本実施形態のダイクロイックフィルター反射鏡のスペクトルは、反射帯域と透過帯域を持ち、特定の入射角度、例えば50度で、集光されたレーザービームL3、L3’の青色光が狭帯域青色光反射鏡40の反射帯域によって反射され、反射型蛍光体プレート30に照射される。レーザービームL4、L4’の青色光は、蛍光体層31の蛍光粒子(
図1参照、蛍光粒子318)を励起し、可視光W1、W2(白色光ともいう)として混合される。可視光W1、W2は、反射型蛍光体プレート30の反射層32によって反射され、狭帯域青色光反射鏡40の透過帯域を通じて外部に放出される。ダイクロイックフィルター反射鏡の透過帯域は、可視光W1、W2を通過させる。この実施形態では、蒸着特性を活用して、レーザービームL3、L3’の入射角度A1を制御し、青色光が反射型蛍光体プレート30に反射されるようにすることができる。
図1を参照すると、集光レンズ21、22を通じて狭帯域青色光40に照射されるレーザービームL3、L3’は、レンズ軸Xに対する入射角度A1が40度超えである。
【0019】
図3Bに示されるように、本発明は
図3Aの実施形態に合わせて、青色レーザーが狭帯域青色光反射鏡40によって反射され斜めに蛍光体層31に入射する。コーティングスペクトルは、入射角50度の青色光に対して高い反射率(%)を設計することができ、特に波長が440ナノメートルから460ナノメートルの間の青色光に対してである。他の波長の光は高い透過率(%)を持つ、例えば波長が470ナノメートル超えの光である。補足すると、入射角度A1が大きくなるほど、同じ光束で投影できる面積が大きくなる。集光レンズ21、22を通じて狭帯域青色光反射鏡40に照射されるレーザービームは、レンズ軸Xに対する入射角度が50度であり、これにより入射角50度の青色光を反射し、入射角50±2度の青色光以外の可視光を透過させる。
【0020】
図4に示されるように、本発明は上述の実施形態に限定されず、狭帯域青色光反射鏡はリング青色光反射鏡40aである場合がある。リング青色光反射鏡40aは、反射部41aおよび透過部42aを有する。反射部41aは、レーザービームL3、L3’を反射することができる。透過部42aは開口部であり、開口部は可視光(白色光)W1、W2を透過させる。
図1を参照してください。ここで、集光レンズ21、22を通じて反射部41aに照射されるレーザービームL3は、レンズ軸Xに対する入射角度A1が45度超えである。しかし、本発明はこれに限定されず、透過部42aはコーティング処理されていない透明な基板であってもよい。
【0021】
本発明の狭帯域青色光反射鏡40またはリング青色光反射鏡40aは、レンズセット(50、60)と反射型蛍光体プレート30の間に位置し、レーザー光源を反射しレンズのバックフォーカスを短縮し、レンズの集光効率を向上させる利点がある。
【0022】
図1を再度参照してください。ある実施形態において、蛍光体層31は、蛍光粒子318および複数の散乱粒子319を含む。入射したレーザービームL4、L4’は青色光であり、レーザービームL4、L4’は蛍光粒子318を励起して黄色光を生成し、複数の散乱粒子319は青色光を散乱し、黄色光と混合して白色光、すなわち可視光W1、W2を生成する。蛍光体層31の屈折および散乱を通じて、この実施形態の可視光W2は、レンズ軸Xに対する放出角度A2が30度未満である。この実施形態では、散乱粒子319の体積比率は0.1%~20%であり、散乱粒子319の平均粒子径は1μm~30μmである。
【0023】
図5Aおよび
図5Bに示されるように、本発明のインテリジェント投光型車両用灯具100の投影光パターンエリアPは、ロービームエリアWS、ハイビームエリアWHだけでなく、例えば直進矢印の地面投影シンボルWP1、右折矢印の地面投影シンボルWP2などのシンボルエリアも含むことが特徴であり、歩行者や他の車両に対してより具体的に警告することができる。
【0024】
図6に示されるように、側面から見た場合、本発明のインテリジェント投光型車両用灯具100が投影するハイビームエリアWHの光線は、水平軸Hに対して約+3度上向き、約-3度下向き(角度θ3参照)である。最も低い光線は、灯具から4.75メートルの位置に投影される。最も低い光線と水平軸Hとなす角度θ1は、約9度である。レンズ軸Xは、法規により、灯具から14.3メートルの位置に投影され、レンズ軸Xと地面となす角度θ6は約3度である。本実施形態におけるシンボルエリアは、レンズ軸Xと最も低い光線の間に位置する。つまり、シンボルエリアの角度θ5は、角度θ4と角度θ6の間にある。角度θ4は角度θ1と同じで、9度に達することができる。具体的には、シンボルエリアの角度θ5は、最も遠い3度から最も近い9度の間である。
【0025】
図7Aから
図7Dに示されるように、本発明のインテリジェント投光型車両用灯具100の蛍光体層31の4つの計画モードである。本発明の反射型蛍光体プレート30の蛍光体層31は、レンズ軸Xに対応して4つの領域に分割され、四つの象限エリアのようになっている。これにより、インテリジェント投光型車両用灯具100は、異なる配置のハイビームエリアWH、ロービームエリアWS、およびシンボルエリア(例えば地面投影シンボルWP1、WP2)を投影することができる。レンズ軸Xは、蛍光体層31の幾何学的中心に位置し、光型の水平軸Hはレンズ軸Xの下方に位置する。
【0026】
具体的には、
図7Aはフルオープン低速モードで、4つのレーザー光源(LS1、LS2、LH1、LH2)がすべてオンになり、蛍光体層31Aの約四分の一の領域をそれぞれスキャンする。レンズセット(50、60)の屈折を経て投影される光型は、上下左右が反転する。上部の2つの領域は、ロービームエリアのレーザー光源(LS1、LS2)がスキャンする領域であり、下部の2つの領域は、ハイビームエリアのレーザー光源(LH1、LH2)がスキャンする領域である。蛍光体層31の下端は、
図6の投影光パターンエリアの最も遠い範囲に相当し、蛍光体層31の上端は、
図6の投影光パターンエリアの最も近い範囲に相当する。
【0027】
図7Bは市街地モードで、4つのレーザー光源(LS1、LS2、LH1、LH2)がすべてオンになる。しかし、蛍光体層31Bの上部のロービームエリアの領域は、フルオープン低速モードの
図7Aに比べて幅が狭く、約半分である。
【0028】
図7Cはシンボル投影モードで、ロービームのレーザー光源(LS1、LS2)のみをオンにし、ハイビームのレーザー光源はオフにする。蛍光体層31Cのシンボルエリアは、蛍光体層31Cの中心点から上端までの範囲に設計される。市街地モードの
図7Bと比較して、下部の2つの領域はスキャンしない。投影後、
図6に示されるように、レンズ軸Xと最も低い光線の間に位置する。
【0029】
図7Dはハイビーム高速モードで、4つのレーザー光源(LS1、LS2、LH1、LH2)が全てオンになり、より高い明るさを提供し、全てをより遠い範囲に投影する。これは
図6中の水平軸H以上の範囲に相当する。このモードでは、上部のロービームエリアの区域はスキャンせず、下部のハイビームエリアのみをスキャンする。2つのロービームのレーザー光源(LS1、LS2)は下部区域の上半分をスキャンし、二つのハイビームのレーザー光源(LH1、LH2)は下部区域の下半分をスキャンする。
【0030】
図8Aから
図8Dまで、それぞれ
図7Aから
図7Bの蛍光体層の計画モードに対応する4つの投影光形を示す。
図8Aの投影光形PAは
図7Aのフルオープン低速モードに対応し、その投影光形の左右の角度は約正負15度、水平軸H上方は約正3度の範囲、水平軸H下方は約負9度の範囲である。
【0031】
図8Bの投影光形PBは
図7Bの市街地モードに対応する。この実施例のインテリジェント投光型車両用灯具は、市街地モードの投影光型を提供し、市街地モードの蛍光体層31Bは2つのシンボルエリアを設計しており、それぞれ二つのロービームのレーザー光源LS1、LS2に対応し、2つのシンボルエリアの合計幅は蛍光体層の総幅の半分未満である。その投影光形は、主照明エリアがレンズ中心軸Xの上方に位置し、左右の角度は約正負15度であり、水平軸H上方は約正負3度の範囲であり、水平軸H下方は約正負7度の範囲である。
【0032】
図8Cの投影光形PCは、
図7Cのシンボル投影モードに対応する。シンボルエリアのみを投影し、外界の光が十分な時に適しており、その投影光パターンエリアの左右の角度は約正負7度であり、水平軸Hの下方は約正負3度の範囲である。
【0033】
図8Dの投影光形PDは、
図7Dのハイビーム高速モードに対応している。その投影光形の左右の角度は約正負15度であり、水平軸Hの上方は約正3度の範囲である。
【0034】
[実施形態による有益な効果]
本発明による有益な効果の1つは、複数のレーザー光源と複数の2Dミラーを組み合わせ、狭帯域青色光反射鏡を通じて反射させることにより、反射型蛍光体プレート上で異なる区域をそれぞれスキャンし、複数の投影光形を形成できる点にある。これには少なくともシンボル投影モードが含まれる。さらに、本発明のインテリジェント投光型車両用灯具は、狭帯域青色光反射鏡をレンズセットと反射型蛍光体プレートの間に配置し、レーザー光源を反射させるとともに、レンズの背焦点を短縮し、レンズの集光効率を高めることができる。
【0035】
以上に開示された内容は本発明の好ましい実施形態に過ぎず、これにより本発明の特許請求の範囲を制限するものではない。そのため、本発明の明細書及び添付図面の内容に基づき為された等価の技術変形は、全て本発明の特許請求の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0036】
100 インテリジェント投光型車両用灯具
X レンズ軸
LS1、LS2、LH1、LH2 レーザー光源
MR1、MR2 2Dレンズ
21、22 集光レンズ
30 反射型蛍光体パネル
31、31A、31B、31C、31D 蛍光体層
318 蛍光粒子
319 散乱粒子
32 反射層
40 狭帯域青色光反射板
40a リング青色光反射板
41a 反射部
42a 透過部
SR1、SR2、HR1、HR2 固定型反射板
W1、W2 可視光
50、60 レンズセット
L1、L2、L3、L4、 L1’、L2’、L3’、L4’ レーザービーム
X レンズ軸
WS ロービームエリア
WH ハイビームエリア
WP1、WP2 地面投影シンボル
θ1~θ6 角度
PA、PB、PC、PD 投射光パターン
A1、A2 角度