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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-25
(45)【発行日】2025-10-03
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/76 20060101AFI20250926BHJP
   H10D 12/00 20250101ALI20250926BHJP
   H10D 30/60 20250101ALI20250926BHJP
   H10D 62/10 20250101ALI20250926BHJP
   H10D 84/40 20250101ALI20250926BHJP
   H10D 84/80 20250101ALI20250926BHJP
【FI】
H01L21/76 L
H10D12/00 301
H10D30/60 R
H10D62/10 101M
H10D84/40 C
H10D84/80 101A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021138392
(22)【出願日】2021-08-26
(65)【公開番号】P2023032332
(43)【公開日】2023-03-09
【審査請求日】2024-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】足立 耕作
【審査官】安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-114673(JP,A)
【文献】特表2019-526932(JP,A)
【文献】特開2017-183402(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/76-21/768
H10D 62/10-62/17
H10D 30/00-30/01
H10D 30/60-30/66
H10D 84/40
H10D 84/80-84/85
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方側の第1主面および他方側の第2主面を有するチップと、
前記チップ内の前記第2主面側に形成された第1導電型の第1領域と、
前記チップ内の前記第1主面側に形成され、前記第1領域とpn接合部を形成する第2導電型の第2領域と、
前記第1主面に設けられたデバイス領域と、
前記第1主面から前記pn接合部を貫通する第1溝、前記第1溝の壁面から前記第1領域を露出させる第1絶縁膜、および、前記第1絶縁膜を挟んで前記第1溝に埋設された第1ポリシリコンを含み、前記デバイス領域を区画する第1溝構造と、
前記第1主面から前記pn接合部を貫通する第2溝、前記第2溝の壁面から前記第1領域を露出させる第2絶縁膜、および、前記第2絶縁膜を挟んで前記第2溝に埋設された第2ポリシリコンを含み、前記第1溝構造よりも前記デバイス領域側で前記デバイス領域を区画する第2溝構造と、
前記第1ポリシリコン内に形成された第1導電型の第1不純物領域と、
前記第2ポリシリコン内において、前記pn接合部の深さ位置を横切らないように前記第2ポリシリコンの下端部側の領域に形成された第1導電型の第2不純物領域と、
前記第2ポリシリコン内において前記第2不純物領域とは異なる領域に形成された第2導電型の第3不純物領域とを含み、
前記第3不純物領域は、前記第2不純物領域と第2pn接合部を形成するように前記第2ポリシリコンの内部に形成されている、半導体装置。
【請求項2】
前記第1ポリシリコンは、前記第1領域に接続され、前記第2領域から電気的に絶縁されるように前記第1絶縁膜を挟んで前記第1溝に埋設され、
前記第2ポリシリコンは、前記第1領域に接続され、前記第2領域から電気的に絶縁されるように前記第2絶縁膜を挟んで前記第2溝に埋設されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1不純物領域は、前記第1領域に電気的に接続されるように前記第1溝の底壁および前記pn接合部の間の厚さ範囲に位置し、
前記第2不純物領域は、前記第1領域に電気的に接続されるように前記第2溝の底壁および前記pn接合部の間の厚さ範囲に位置している、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2不純物領域は、前記第2ポリシリコンの上端部から下端部側に間隔を空けて前記第2ポリシリコンの下端部側の領域に形成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1不純物領域は、前記pn接合部の深さ位置を横切るように前記第1ポリシリコン内に形成されている、請求項のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1不純物領域は、前記第1ポリシリコンの全域に形成されている、請求項のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第3不純物領域は、前記pn接合部の深さ位置に対して前記第2ポリシリコンの下端部側の領域で前記第2不純物領域と前記第2pn接合部を形成している、請求項1~6のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1溝構造は、第1幅を有し、
前記第2溝構造は、前記第1幅未満の第2幅を有している、請求項1~のいずれか一項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、p型領域、第1のpエピタキシャル領域、n型埋め込み領域、第2のpエピタキシャル領域、および、DTI構造(deep trench isolation structure)を含む半導体装置を開示している。第1のp型エピタキシャル領域は、p型領域の上に形成されている。n型埋め込み領域は、第1のpエピタキシャル領域の上に形成されている。第2のpエピタキシャル領域は、n型埋め込み領域の上に形成されている。DTI構造は、平面視において高耐圧横型MOSトランジスタの形成領域を取り囲んでいる。DTI構造は、p型領域に達するように、第2のpエピタキシャル領域、n型埋め込み領域および第1のpエピタキシャル領域を貫通している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-122543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一実施形態は、耐圧を向上できる半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態は、一方側の第1主面および他方側の第2主面を有するチップと、前記チップ内の前記第2主面側に形成された第1導電型の第1領域と、前記チップ内の前記第1主面側に形成され、前記第1領域とpn接合部を形成する第2導電型の第2領域と、前記第1主面に設けられたデバイス領域と、前記第1主面から前記pn接合部を貫通する第1溝、前記第1溝の壁面から前記第1領域を露出させる第1絶縁膜、および、前記第1絶縁膜を挟んで前記第1溝に埋設された第1ポリシリコンを含み、前記デバイス領域を区画する第1溝構造と、前記第1主面から前記pn接合部を貫通する第2溝、前記第2溝の壁面から前記第1領域を露出させる第2絶縁膜、および、前記第2絶縁膜を挟んで前記第2溝に埋設された第2ポリシリコンを含み、前記第1溝構造よりも前記デバイス領域側で前記デバイス領域を区画する第2溝構造と、を含む、半導体装置を提供する。
【0006】
一実施形態は、主面を有するチップと、前記主面に沿って延びるように前記チップ内に形成された第1pn接合部と、前記主面に設けられたデバイス領域と、前記主面から前記第1pn接合部を貫通する溝、前記溝内で前記溝の底壁を露出させる絶縁膜、および、前記絶縁膜を挟んで前記溝に埋設されたポリシリコンを含み、前記デバイス領域を他の領域から区画する溝構造と、前記ポリシリコン内に形成された第2pn接合部と、を含む、半導体装置を提供する。
【0007】
上述のまたはさらに他の目的、特徴および効果は、添付図面の参照によって説明される実施形態により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係る半導体装置を示す平面図である。
図2図2は、図1に示す領域IIの拡大図である。
図3図3は、図2に示すIII-III線に沿う断面図である。
図4図4は、図3に示す構造の要部を拡大した断面図である。
図5図5は、参考形態に係る半導体装置の電界分布を示す要部拡大図である。
図6図6は、図1に示す半導体装置の電界分布を示す要部拡大図である。
図7A図7Aは、図1に示す半導体装置の製造方法の一例を示す断面図である。
図7B図7Bは、図7Aに示す工程の後の工程を示す断面図である。
図7C図7Cは、図7Bに示す工程の後の工程を示す断面図である。
図7D図7Dは、図7Cに示す工程の後の工程を示す断面図である。
図7E図7Eは、図7Dに示す工程の後の工程を示す断面図である。
図7F図7Fは、図7Eに示す工程の後の工程を示す断面図である。
図7G図7Gは、図7Fに示す工程の後の工程を示す断面図である。
図7H図7Hは、図7Gに示す工程の後の工程を示す断面図である。
図7I図7Iは、図7Hに示す工程の後の工程を示す断面図である。
図7J図7Jは、図7Iに示す工程の後の工程を示す断面図である。
図7K図7Kは、図7Jに示す工程の後の工程を示す断面図である。
図7L図7Lは、図7Kに示す工程の後の工程を示す断面図である。
図7M図7Mは、図7Lに示す工程の後の工程を示す断面図である。
図7N図7Nは、図7Mに示す工程の後の工程を示す断面図である。
図8図8は、第2実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
図9図9は、第3実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
図10図10は、第1変形例に係る第2領域を示す断面図である。
図11図11は、第2変形例に係る第2領域を示す断面図である。
図12図12は、第3変形例に係る第2領域を示す断面図である。
図13図13は、変形例に係る第1領域を示す断面図である。
図14図14は、変形例に係る第1除去部および第2除去部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、実施形態が詳細に説明される。添付図面は、模式図であり、厳密に図示されたものではなく、縮尺等は必ずしも一致しない。また、添付図面の間で対応する構造には同一の参照符号が付され、重複する説明は省略または簡略化される。説明が省略または簡略化された構造については、省略または簡略化される前になされた説明が適用される。
【0010】
図1は、第1実施形態に係る半導体装置1Aを示す平面図である。図2は、図1に示す領域IIの拡大図である。図3は、図2に示すIII-III線に沿う断面図である。図4は、図3に示す構造の要部を拡大した断面図である。図1図4を参照して、半導体装置1Aは、直方体形状のチップ2(半導体チップ)を含む。チップ2は、この形態では、Si(シリコン)チップからなる。チップ2は、一方側の第1主面3、他方側の第2主面4、ならびに、第1主面3および第2主面4を接続する第1~第4側面5A~5Dを有している。
【0011】
第1主面3および第2主面4は、それらの法線方向Zから見た平面視(以下、単に「平面視」という。)において四角形状に形成されている。法線方向Zは、チップ2の厚さ方向でもある。第1側面5Aおよび第2側面5Bは、第1主面3に沿う第1方向Xに延び、第1方向Xに交差(具体的には直交)する第2方向Yに対向している。第3側面5Cおよび第4側面5Dは、第2方向Yに延び、第1方向Xに対向している。
【0012】
半導体装置1Aは、チップ2内において第2主面4側の領域に形成されたp型(第1導電型)の第1領域6を含む。第1領域6は、「ベース領域」と称されてもよい。第1領域6は、チップ2の構成要素とみなされてもよい。第1領域6は、第2主面4に沿って層状に延び、第2主面4および第1~第4側面5A~5Dの一部から露出している。第1領域6は、第1主面3側のp型不純物濃度が第2主面4側のp型不純物濃度よりも低い濃度勾配を有している。第1領域6は、具体的には、第2主面4側からこの順に積層されたp型の第1高濃度領域6aおよびp型の第1低濃度領域6bを含む積層構造を有している。
【0013】
第1高濃度領域6aは、比較的高いp型不純物濃度を有している。第1高濃度領域6aのp型不純物濃度は、1×1017cm-3以上1×1020cm-3以下であってもよい。第1高濃度領域6aは、p型不純物としてのホウ素(B)を含んでいてもよい。第1高濃度領域6aは、50μm以上500μm以下の厚さを有していてもよい。第1高濃度領域6aは、この形態では、p型の半導体基板(Si基板)からなる。
【0014】
第1低濃度領域6bは、第1高濃度領域6aよりも低いp型不純物濃度を有し、第1高濃度領域6aの上に積層されている。第1低濃度領域6bのp型不純物濃度は、1×1014cm-3以上1×1017cm-3以下であってもよい。第1低濃度領域6bは、p型不純物としてのホウ素(B)を含んでいてもよい。第1低濃度領域6bは、第1高濃度領域6aの厚さ未満の厚さを有している。第1低濃度領域6bの厚さは、1μm以上20μm以下であってもよい。第1低濃度領域6bは、この形態では、p型のエピタキシャル層(Siエピタキシャル層)からなる。
【0015】
半導体装置1Aは、チップ2内において第1主面3側の領域に形成されたn型(第2導電型)の第2領域7を含む。第2領域7は、「埋設領域」と称されてもよい。第2領域7は、チップ2の構成要素とみなされてもよい。第2領域7は、第1領域6の上に積層され、第1領域6に電気的に接続されている。第2領域7は、第1領域6に沿って層状に延び、第1~第4側面5A~5Dの一部から露出している。第2領域7は、第1主面3側のn型不純物濃度が第2主面4側のn型不純物濃度よりも高い濃度勾配を有している。第2領域7は、具体的には、第1領域6側からこの順に積層された第2低濃度領域7aおよび第2高濃度領域7bを含む積層構造を有している。
【0016】
第2低濃度領域7aは、比較的低いn型不純物濃度を有し、第1領域6の第1低濃度領域6bの上に積層されている。第2低濃度領域7aのn型不純物濃度は、1×1014cm-3以上1×1018cm-3以下であってもよい。第2低濃度領域7aは、0.1μm以上5μm以下の厚さを有していてもよい。第2低濃度領域7aの厚さは、0.5μm以上2.5μm以下であることが好ましい。第2低濃度領域7aは、この形態では、n型のエピタキシャル層(Siエピタキシャル層)からなる。
【0017】
第2高濃度領域7bは、第2低濃度領域7aよりも高いn型不純物濃度を有し、第2低濃度領域7aの上に積層されている。第2高濃度領域7bのn型不純物濃度は、1×1016cm-3以上1×1021cm-3以下であってもよい。第2高濃度領域7bは、0.1μm以上5μm以下の厚さを有していてもよい。第2高濃度領域7bの厚さは、0.5μm以上2.5μm以下であることが好ましい。第2高濃度領域7bは、この形態では、n型のエピタキシャル層(Siエピタキシャル層)からなる。
【0018】
半導体装置1Aは、チップ2内において第1主面3側の領域に形成されたp型またはn型の第3領域8を含む。第3領域8は、「ドリフト領域」と称されてもよい。第3領域8は、チップ2の構成要素とみなされてもよい。第3領域8は、第2領域7に対して第1主面3側の領域に形成されている。第3領域8の導電型(p型またはn型)は任意であり、半導体装置1Aの仕様に応じて選択される。この形態では、第3領域8がn型である例が説明されるが、第3領域8の導電型をn型に限定する趣旨ではない。
【0019】
第3領域8は、第2領域7の上に積層され、第2領域7に電気的に接続されている。第3領域8は、第2領域7に沿って層状に延び、第1主面3および第1~第4側面5A~5Dの一部から露出している。第3領域8は、厚さ方向に一様なn型不純物濃度を有していてもよいし、第1主面3に向かってn型不純物濃度が上昇する濃度勾配を有していてもよい。
【0020】
第3領域8のn型不純物濃度は、第2領域7(第2高濃度領域7b)よりも低いn型不純物濃度を有していることが好ましい。第3領域8のn型不純物濃度は、1×1014cm-3以上1×1017cm-3以下であってもよい。第3領域8は、5μm以上30μm以下の厚さを有していてもよい。第3領域8は、この形態では、n型のエピタキシャル層(Siエピタキシャル層)からなる。
【0021】
半導体装置1Aは、チップ2内における第1主面3および第2主面4の間の厚さ方向の途中部に形成された第1pn接合部9(a first pn-junction portion)を含む。第1pn接合部9は、チップ2の構成要素とみなされてもよい。第1pn接合部9は、「第1pn接続部(a first pn-connection portion)」または「第1pn境界部(a first pn-boundary portion)」と称されてもよい。第1pn接合部9は、第1主面3に沿う水平方向(厚さ方向の直交方向)に延びている。
【0022】
第1pn接合部9は、第1領域6(第1低濃度領域6b)および第2領域7(第2低濃度領域7a)の間の境界部に形成されている。つまり、第2領域7は、第1領域6との間で第1pn接合部9を形成するように第1領域6の上に積層されている。これにより、半導体装置1Aは、第1領域6および第2領域7の間においてアノードとしての第1領域6およびカソードとしての第2領域7を有する第1ダイオードD1を含む。
【0023】
半導体装置1Aは、第1主面3に設けられた複数のデバイス領域10を含む。複数のデバイス領域10は、チップ2の内外の領域を利用して種々の機能デバイスがそれぞれ形成された領域である。複数のデバイス領域10は、平面視において第1~第4側面5A~5Dから間隔を空けて第1主面3の内方部にそれぞれ区画されている。デバイス領域10の個数、配置および形状は任意であり、特定の個数、配置および形状に限定されない。
【0024】
複数の機能デバイスは、半導体スイッチングデバイス、半導体整流デバイスおよび受動デバイスのうちの少なくとも1つをそれぞれ含んでいてもよい。半導体スイッチングデバイスは、JFET(Junction Field Effect Transistor:接合型トランジスタ)、MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor:絶縁ゲート型の電界効果トランジスタ)、BJT(Bipolar Junction Transistor:バイポーラトランジスタ)、および、IGBT(Insulated Gate Bipolar Junction Transistor:絶縁ゲート型のバイポーラトランジスタ)のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0025】
半導体整流デバイスは、pn接合ダイオード、pin接合ダイオード、ツェナーダイオード、ショットキーバリアダイオードおよびファストリカバリーダイオードのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。受動デバイスは、抵抗、コンデンサ、インダクタおよびヒューズのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。複数のデバイス領域10は、この形態では、少なくとも1つのトランジスタ領域11を含む。以下、トランジスタ領域11側の構造が具体的に説明される。
【0026】
図2図4を参照して、半導体装置1Aは、第1主面3においてトランジスタ領域11を区画する領域分離構造(a region separation structure)の一例としてのトレンチ分離構造12(溝構造)を含む。トレンチ分離構造12は、少なくとも1つの第1トレンチ構造13(第1溝構造)、および、少なくとも1つの第2トレンチ構造14(第2溝構造)を含むマルチトレンチ構造を有している。トレンチ分離構造12は、この形態では、単一の第1トレンチ構造13および単一の第2トレンチ構造14を含むダブルトレンチ構造を有している。
【0027】
図2を参照して、第1トレンチ構造13は、トランジスタ領域11を区画するように第1主面3に形成されている。第1トレンチ構造13は、この形態では、平面視において環状(この形態では四角環状)に形成され、所定形状(この形態では四角形状)のトランジスタ領域11を区画している。第1トレンチ構造13は、この形態では、平面視において円弧状に湾曲した角部(四隅)を有している。第1トレンチ構造13の平面形状(トランジスタ領域11の平面形状)は任意である。第1トレンチ構造13は、平面視において多角環状、円形環状または楕円環状に形成され、平面視において多角形状、円形形状または楕円形状のトランジスタ領域11を区画していてもよい。
【0028】
第1トレンチ構造13は、第1幅W1を有している。第1幅W1は、平面視において第1トレンチ構造13が延びる方向に直交する方向の幅(最大値)である。第1幅W1は、0.5μm以上10μm以下であってもよい。第1幅W1は、2μm以上4μm以下であることが好ましい。
【0029】
図3および図4を参照して、第1トレンチ構造13は、第1pn接合部9を貫通するように第1主面3に形成されている。第1トレンチ構造13は、具体的には、第1領域6に至るように第3領域8および第2領域7を貫通し、第3領域8においてトランジスタ領域11を区画している。第1トレンチ構造13は、より具体的には、第1領域6の第1高濃度領域6aに至るように第1主面3から第2主面4側に向けて延び、第3領域8、第2領域7および第1領域6の第1低濃度領域6bを貫通している。
【0030】
第1トレンチ構造13は、トランジスタ領域11側の内周壁、内周壁の反対側(チップ2の周縁側)の外周壁、ならびに、内周壁および外周壁を接続する底壁を含む。第1トレンチ構造13は、断面視において垂直形状に形成されていてもよい。第1トレンチ構造13は、断面視において第2主面4側に向かう先細り形状に形成されていてもよい。第1トレンチ構造13の底壁は、第2主面4に向かう湾曲形状に形成されていてもよい。第1トレンチ構造13の底壁は、第1主面3に平行な平坦面を有していてもよい。
【0031】
第1トレンチ構造13は、第1pn接合部9から第2主面4側に向けて第1突出量P1で突出している。第1突出量P1は、1μm以上30μm以下であってもよい。第1突出量P1は、5μm以上25μm以下であることが好ましい。第1突出量P1は、10μm以上20μm以下であることが特に好ましい。第1突出量P1は、第1主面3および第1pn接合部9の間の距離Dを超えている(D<P1)ことが好ましい。
【0032】
第1トレンチ構造13は、第1トレンチ15、第1絶縁膜16および第1ポリシリコン17を含む。第1トレンチ15は、第1pn接合部9を貫通するように第1主面3に形成され、第1トレンチ構造13の壁面を区画している。第1トレンチ15は、具体的には、第1領域6に至るように第2領域7を貫通している。第1トレンチ15は、より具体的には、第1領域6の第1高濃度領域6aに至るように第1主面3から第2主面4側に向けて延び、第2領域7および第1領域6の第1低濃度領域6bを貫通している。
【0033】
第1絶縁膜16は、第1トレンチ15の壁面を被覆し、第1トレンチ15から第1領域6を露出させる第1除去部16aを有している。第1絶縁膜16は、具体的には、第1トレンチ15の内周壁および外周壁において第1領域6、第2領域7および第3領域8を被覆している。第1除去部16aは、少なくとも第1トレンチ15の底壁から第1領域6の第1高濃度領域6aを露出させている。第1除去部16aは、この形態では、平面視において第1トレンチ15に沿って延びる環状に形成されている。第1除去部16aは、平面視において第1トレンチ15に沿って延びる有端帯状に形成されていてもよい。
【0034】
第1絶縁膜16は、この形態では、複数の絶縁膜が積層された積層構造を有している。第1絶縁膜16は、具体的には、第1トレンチ15の壁面側からこの順に積層された第1下側絶縁膜18および第1上側絶縁膜19を含む積層構造を有している(図4参照)。第1下側絶縁膜18は、第1トレンチ15の内周壁および外周壁を被覆し、第1トレンチ15の底壁から第1領域6の第1高濃度領域6aを露出させている。第1下側絶縁膜18は、比較的高い緻密度を有する絶縁膜からなることが好ましい。第1下側絶縁膜18は、酸化シリコン膜を含んでいてもよい。第1下側絶縁膜18は、チップ2の酸化物からなる酸化シリコン膜を含むことが好ましい。
【0035】
第1上側絶縁膜19は、第1下側絶縁膜18を挟んで第1トレンチ15の内周壁および外周壁を被覆し、第1トレンチ15の底壁から第1領域6の第1高濃度領域6aを露出させている。第1上側絶縁膜19は、第1下側絶縁膜18よりも厚い。第1上側絶縁膜19は、第1下側絶縁膜18よりも低い緻密度を有する絶縁膜からなることが好ましい。第1上側絶縁膜19は、酸化シリコン膜を含んでいてもよい。第1上側絶縁膜19は、TEOS(Tetraethyl orthosilicate)膜からなることが好ましい。
【0036】
第1ポリシリコン17は、第1絶縁膜16を挟んで第1トレンチ15に埋設されている。第1ポリシリコン17は、第1トレンチ15の底壁(第1絶縁膜16の第1除去部16a)から露出した露出部を有し、当該露出部において第1領域6(第1高濃度領域6a)に機械的に接続されている。第1ポリシリコン17は、第1絶縁膜16によって第2領域7および第3領域8から電気的に絶縁されている。
【0037】
第1ポリシリコン17は、第1部分20および第2部分21を含む。図3および図4では、第1部分20および第2部分21の間の境界部が破線によって示されている。第1部分20は、第1トレンチ15内においてリセス空間を区画するように第1トレンチ15の壁面(内周壁、外周壁および底壁)に沿って膜状に形成されている。第1部分20は、第1トレンチ15の底壁において第1領域6(第1高濃度領域6a)に機械的に接続されている。
【0038】
第2部分21は、第1部分20を挟んで第1トレンチ15に埋設されている。第2部分21は、第1部分20を挟んで第1トレンチ15の底壁(第1領域6)に対向している。第2部分21は、第1部分20との間で第1トレンチ15の壁面に沿って延びる境界部を形成している。第2部分21は、境界部において第1部分20と微細な空孔を形成していてもよい。むろん、第2部分21は、第1部分20との区別できない程度に第1部分20と完全に一体的に形成されていてもよい。
【0039】
第2トレンチ構造14は、平面視において第1トレンチ構造13よりもトランジスタ領域11側の領域において当該トランジスタ領域11を区画するように第1主面3に形成されている。第2トレンチ構造14は、平面視において第1トレンチ構造13からトランジスタ領域11側に間隔を空けて形成され、第1トレンチ構造13に沿って帯状に延びている。第2トレンチ構造14は、この形態では、平面視において第1トレンチ構造13に対してほぼ平行に延びる環状(この形態では四角環状)に形成され、所定形状(この形態では四角形状)のトランジスタ領域11を区画している。第2トレンチ構造14は、この形態では、平面視において第1トレンチ構造13の角部(四隅)に沿って円弧状に湾曲した角部(四隅)を有している。
【0040】
第2トレンチ構造14の平面形状(トランジスタ領域11の平面形状)は任意であり、第2トレンチ構造14は、必ずしも第1トレンチ構造13の平面形状に整合する平面形状を有している必要はない。第2トレンチ構造14は、平面視において多角環状、円形環状または楕円環状に形成され、平面視において多角形状、円形形状または楕円形状のトランジスタ領域11を区画していてもよい。
【0041】
第2トレンチ構造14は、第2幅W2を有している。第2幅W2は、平面視において第2トレンチ構造14が延びる方向に直交する方向の幅(最大値)である。第2幅W2は、第1幅W1未満(W2<W1)であることが好ましい。第2幅W2は、0.5μm以上10μm以下であってもよい。第2幅W2は、1.5μm以上3.5μm以下であることが好ましい。
【0042】
図3および図4を参照して、第2トレンチ構造14は、第1pn接合部9を貫通するように第1主面3に形成されている。第2トレンチ構造14は、具体的には、第1領域6に至るように第3領域8および第2領域7を貫通している。第2トレンチ構造14は、より具体的には、第1領域6の第1高濃度領域6aに至るように第1主面3から第2主面4側に向けて延び、第3領域8、第2領域7および第1領域6の第1低濃度領域6bを貫通している。
【0043】
第2トレンチ構造14は、トランジスタ領域11側の内周壁、第1トレンチ構造13側の外周壁、ならびに、内周壁および外周壁を接続する底壁を含む。第2トレンチ構造14は、断面視において垂直形状に形成されていてもよい。第2トレンチ構造14は、断面視において第1領域6側に向かう先細り形状に形成されていてもよい。第2トレンチ構造14の底壁は、第2主面4に向かう湾曲形状に形成されていてもよい。第2トレンチ構造14の底壁は、第1主面3に平行な平坦面を有していてもよい。
【0044】
図4を参照して、第2トレンチ構造14は、第1pn接合部9から第2主面4側に向けて第2突出量P2で突出している。第2突出量P2は、1μm以上30μm以下であってもよい。第2突出量P2は、5μm以上25μm以下であることが好ましい。第2突出量P2は、10μm以上20μm以下であることが特に好ましい。第2突出量P2は、第1突出量P1未満(P2<P1)であってもよい。
【0045】
この場合、第1突出量P1および第2突出量P2の差(P1-P2)は、5μm以下であることが好ましい。前記差(P1-P2)は、1μm以下であることが特に好ましい。むろん、第2突出量P2は、第1トレンチ構造13の第1突出量P1とほぼ等しくてもよい(P1≒P2)。第2突出量P2は、第1主面3および第1pn接合部9の間の距離Dを超えている(D<P2)ことが好ましい。
【0046】
第2トレンチ構造14は、第2トレンチ22、第2絶縁膜23および第2ポリシリコン24を含む。第2トレンチ22は、第1pn接合部9を貫通するように第1主面3に形成され、第2トレンチ構造14の壁面を区画している。第2トレンチ22は、具体的には、第1領域6に至るように第3領域8および第2領域7を貫通している。第2トレンチ22は、より具体的には、第1領域6の第1高濃度領域6aに至るように第1主面3から第2主面4側に向けて延び、第3領域8、第2領域7および第1領域6の第1低濃度領域6bを貫通している。
【0047】
第2絶縁膜23は、第2トレンチ22の壁面を被覆し、第2トレンチ22から第1領域6を露出させる第2除去部23aを有している。第2絶縁膜23は、具体的には、第2トレンチ22の内周壁および外周壁において第1領域6、第2領域7および第3領域8を被覆している。第2除去部23aは、少なくとも第2トレンチ22の底壁から第1領域6の第1高濃度領域6aを露出させている。第2除去部23aは、この形態では、平面視において第2トレンチ22に沿って延びる環状に形成されている。第2除去部23aは、平面視において第2トレンチ22に沿って延びる有端帯状に形成されていてもよい。
【0048】
第2絶縁膜23は、この形態では、複数の絶縁膜が積層された積層構造を有している。第2絶縁膜23は、具体的には、第2トレンチ22の壁面側からこの順に積層された第2下側絶縁膜25および第2上側絶縁膜26を含む積層構造を有している(図4参照)。第2下側絶縁膜25は、第2トレンチ22の内周壁および外周壁を被覆し、第2トレンチ22の底壁から第1領域6の第1高濃度領域6aを露出させている。
【0049】
第2下側絶縁膜25は、第1下側絶縁膜18の厚さとほぼ等しい厚さを有していることが好ましい。第2下側絶縁膜25は、比較的高い緻密度を有する絶縁膜からなることが好ましい。第2下側絶縁膜25は、酸化シリコン膜を含んでいてもよい。第2下側絶縁膜25は、チップ2の酸化物からなる酸化シリコン膜を含むことが好ましい。第2下側絶縁膜25は、第1下側絶縁膜18と同一の絶縁材料を含むことが好ましい。
【0050】
第2上側絶縁膜26は、第2下側絶縁膜25を挟んで第2トレンチ22の内周壁および外周壁を被覆し、第2トレンチ22の底壁から第1領域6の第1高濃度領域6aを露出させている。第2上側絶縁膜26は、第2下側絶縁膜25よりも厚い。第2下側絶縁膜25は、第1上側絶縁膜19の厚さとほぼ等しい厚さを有していることが好ましい。
【0051】
第2上側絶縁膜26は、第2下側絶縁膜25よりも低い緻密度を有する絶縁膜からなることが好ましい。第2上側絶縁膜26は、酸化シリコン膜または窒化シリコン膜を含んでいてもよい。第2上側絶縁膜26は、TEOS膜からなることが好ましい。第2下側絶縁膜25は、第1上側絶縁膜19と同一の絶縁材料を含むことが好ましい。
【0052】
第2ポリシリコン24は、第2絶縁膜23を挟んで第2トレンチ22に埋設されている。第2ポリシリコン24は、第2トレンチ22の底壁(第2絶縁膜23の第2除去部23a)から露出した露出部を有し、当該露出部において第1領域6(第1高濃度領域6a)に機械的に接続されている。第2ポリシリコン24は、第2絶縁膜23によって第2領域7および第3領域8から電気的に絶縁されている。
【0053】
半導体装置1Aは、チップ2内において第1トレンチ構造13および第2トレンチ構造14の間の領域に区画されたメサ部27を含む。メサ部27は、第1トレンチ構造13の内周壁および第2トレンチ構造14の外周壁によって区画され、第1領域6の一部、第2領域7の一部および第3領域8の一部を含む。
【0054】
メサ部27は、第3幅W3を有している。第3幅W3は、平面視においてメサ部27が延びる方向に直交する方向の幅(最大値)である。第3幅W3は、第1トレンチ構造13および第2トレンチ構造14の間の距離でもある。第3幅W3は、0.5μm以上10μm以下であってもよい。第3幅W3は、1μm以上3μm以下であることが好ましい。第3幅W3は、第1幅W1未満(W1>W3)であることが好ましい。第3幅W3は、第2幅W2未満(W3<W2)であることが特に好ましい。むろん、第3幅W3は、第2幅W2以上(W2≦W3)であってもよいし、第1幅W1以上(W1≦W3)であってもよい。
【0055】
半導体装置1Aは、第1ポリシリコン17内に形成されたp型の第1不純物領域31(半導体領域)を含む。第1不純物領域31は、第1トレンチ構造13の構成要素とみなされてもよい。第1不純物領域31は、第1領域6に電気的に接続されるように第1ポリシリコン17内に形成されている。第1不純物領域31は、具体的には、第1トレンチ15の底壁(第1絶縁膜16の第1除去部16a)から露出した露出部を有し、当該露出部において第1領域6の第1高濃度領域6aに電気的に接続されている。第1不純物領域31は、第1領域6とオーミック接触を形成していることが好ましい。
【0056】
第1不純物領域31は、断面視において少なくとも第1トレンチ15の底壁および第1pn接合部9の間の厚さ範囲に位置していることが好ましい。第1不純物領域31は、断面視において第1pn接合部9の深さ位置を横切るように第1ポリシリコン17内に形成されていることが特に好ましい。第1不純物領域31は、この形態では、断面視において第1ポリシリコン17の全域に形成されている。
【0057】
第1不純物領域31は、平面視において第1ポリシリコン17に沿って延びる帯状に形成されている。第1不純物領域31は、具体的には、平面視において第1ポリシリコン17に沿って延びる環状(この形態では四角環状)に形成されている。つまり、第1不純物領域31は、平面視および断面視において第1ポリシリコン17の全域に形成されている。
【0058】
第1不純物領域31は、この形態では、断面視において第1ポリシリコン17の内方部側から第1トレンチ15の壁面側に向けてp型不純物濃度が漸減する濃度勾配を有している。換言すると、第1不純物領域31は、第1ポリシリコン17の周縁部側のp型不純物濃度が第1ポリシリコン17の内方部側のp型不純物濃度よりも低い濃度勾配を有している。
【0059】
第1不純物領域31は、具体的には、第1濃度部32および第2濃度部33を含む。第1濃度部32は、比較的低いp型不純物濃度を有する低濃度部であり、第1ポリシリコン17の周縁部に形成されている。第1濃度部32は、具体的には、第1トレンチ15の壁面に沿って延びる膜状に形成され、第1トレンチ15の底壁において第1領域6の第1高濃度領域6aに電気的に接続されている。第1濃度部32は、より具体的には、第1ポリシリコン17の第1部分20に形成されている。第1濃度部32は、第1部分20の全域に形成されていることが好ましい。
【0060】
第1濃度部32は、第1濃度で導入されたn型不純物(5価元素)、および、第1濃度を超える第2濃度で導入されたp型不純物(3価元素)を含む。つまり、第1濃度部32は、n型部をp型部に置換したp型のオフセット領域からなる。オフセット領域は、「相殺領域(canceling region)」または「補償領域(compensation region)」と称されてもよい。
【0061】
第1濃度部32のp型不純物濃度(第1濃度)は、1×1016cm-3以上1×1019cm-3以下であってもよい。第1濃度部32のn型不純物濃度(第2濃度)は、1×1012cm-3以上1×1016cm-3以下であってもよい。第1濃度部32は、p型不純物としてのホウ素(B)を含み、n型不純物としての燐(P)または砒素(As)を含んでいてもよい。第1濃度部32は、n型不純物としての燐(P)を含むことが好ましい。
【0062】
第2濃度部33は、第1濃度部32よりも高いp型不純物濃度を有する高濃度部であり、第1ポリシリコン17の内方部に形成されている。第2濃度部33は、具体的には、第1ポリシリコン17内において第1濃度部32によって取り囲まれた領域に形成されている。第2濃度部33は、より具体的には、第1ポリシリコン17の第2部分21に形成されている。第2濃度部33は、第2部分21の全域に形成されていることが好ましい。
【0063】
第2濃度部33は、p型不純物(3価元素)を含む。第2濃度部33のp型不純物濃度は、1×1016cm-3以上1×1022cm-3以下であってもよい。第2濃度部33のp型不純物濃度は、第1濃度部32のp型不純物濃度(第1濃度)とほぼ等しくてもよい。第2濃度部33は、p型不純物としてのホウ素(B)を含んでいてもよい。むろん、第2濃度部33は、第1濃度部32から拡散した微量のn型不純物を含んでいてもよい。
【0064】
半導体装置1Aは、第2ポリシリコン24内に形成されたp型の第2不純物領域34(半導体領域)を含む。第2不純物領域34は、第2トレンチ構造14の構成要素とみなされてもよい。第2不純物領域34は、第1領域6に電気的に接続されるように第2ポリシリコン24内に形成されている。第2不純物領域34は、具体的には、第2トレンチ22の底壁(第2絶縁膜23の第2除去部23a)から露出した露出部を有し、当該露出部において第1領域6の第1高濃度領域6aに電気的に接続されている。第2不純物領域34は、第1領域6とオーミック接触を形成していることが好ましい。
【0065】
第2不純物領域34は、断面視において第2トレンチ22の底壁および第1pn接合部9の間の厚さ範囲に位置していることが好ましい。第2不純物領域34は、断面視において第2ポリシリコン24の全域に形成されていないことが好ましい。第2不純物領域34は、断面視において第2ポリシリコン24の上端部から露出しないように第2ポリシリコン24の上端部から下端部側に間隔を空けて形成されていることが好ましい。
【0066】
第2不純物領域34は、さらに、断面視において第1pn接合部9の深さ位置を横切らないように、第1pn接合部9の深さ位置から第2ポリシリコン24の下端部側に間隔を空けて形成されていることが好ましい。第2不純物領域34は、この形態では、第1pn接合部9および第2トレンチ22の底壁の中間部から第2ポリシリコン24の下端部側に間隔を空けて形成されている。
【0067】
第2不純物領域34は、第1領域6の第1高濃度領域6aおよび第1低濃度領域6bの間の境界部を横切らないように、当該境界部の深さ位置から第2ポリシリコン24の下端部側に間隔を空けて形成されている。つまり、第2不純物領域34は、第2絶縁膜23を挟んで第1高濃度領域6aに対向し、第2絶縁膜23を挟んで第1低濃度領域6bに対向していない。
【0068】
第2不純物領域34は、平面視において第2ポリシリコン24に沿って延びる帯状に形成されている。第2不純物領域34は、具体的には、平面視において第2ポリシリコン24に沿って延びる環状(この形態では四角環状)に形成されている。つまり、第1不純物領域31は、平面視において第1ポリシリコン17の下端部の全域に形成されている。
【0069】
第2不純物領域34は、第3濃度で導入されたn型不純物、および、第3濃度を超える第4濃度で導入されたp型不純物を含む。つまり、第2不純物領域34は、n型部をp型部に置換したp型のオフセット領域からなる。第2不純物領域34のp型不純物濃度(第3濃度)は、1×1017cm-3以上1×1020cm-3以下であってもよい。第2不純物領域34のn型不純物濃度(第4濃度)は、1×1012cm-3以上1×1016cm-3以下であってもよい。
【0070】
第2不純物領域34のn型不純物濃度(第3濃度)は、第1不純物領域31の第1濃度部32のn型不純物濃度(第1濃度)とほぼ等しいことが好ましい。第2不純物領域34のp型不純物濃度(第4濃度)は、第1不純物領域31の第2濃度部33のp型不純物濃度(第2濃度)と異なっていることが好ましい。第2不純物領域34は、p型不純物としてのホウ素(B)を含み、n型不純物としての燐(P)または砒素(As)を含んでいてもよい。第2不純物領域34は、第1濃度部32は、n型不純物としての燐(P)を含むことが好ましい。
【0071】
半導体装置1Aは、第2ポリシリコン24内において第2不純物領域34とは異なる領域に形成されたn型の第3不純物領域35(半導体領域)を含む。第3不純物領域35は、第2トレンチ構造14の構成要素とみなされてもよい。第3不純物領域35は、1×1012cm-3以上1×1016cm-3以下のn型不純物濃度を有していてもよい。
【0072】
第3不純物領域35のn型不純物濃度は、第1不純物領域31の第1濃度部32のn型不純物濃度(第1濃度)とほぼ等しいことが好ましい。つまり、第3不純物領域35のn型不純物濃度は、第2不純物領域34のn型不純物濃度(第4濃度)とほぼ等しいことが好ましい。第3不純物領域35は、n型不純物としての燐(P)または砒素(As)を含んでいてもよい。第3不純物領域35は、n型不純物としての燐(P)を含むことが好ましい。
【0073】
第3不純物領域35は、断面視において第2不純物領域34に対して第2ポリシリコン24の上端部側に形成されている。第3不純物領域35は、断面視において第2不純物領域34および第1pn接合部9の間の厚さ範囲に位置し、第2不純物領域34に電気的に接続されている。第3不純物領域35は、第1pn接合部9の深さ位置に対して第2トレンチ22の底壁側の領域(つまり第2ポリシリコン24の下端部側の領域)で第2不純物領域34に電気的に接続されていることが好ましい。
【0074】
第3不純物領域35は、断面視において第1pn接合部9の深さ位置を横切るように形成されていることが好ましい。第3不純物領域35は、この形態では、断面視において第2ポリシリコン24の上端部から露出するように第2ポリシリコン24の上端部および第2不純物領域34の間の厚さ範囲に形成されている。第3不純物領域35は、第2絶縁膜23を挟んで第1領域6、第2領域7および第3領域8に対向している。
【0075】
つまり、第3不純物領域35は、第2絶縁膜23によって第1領域6、第2領域7および第3領域8から電気的に絶縁されている。第3不純物領域35は、平面視において第2ポリシリコン24に沿って延びる帯状に形成されている。第3不純物領域35は、具体的には、平面視において第2ポリシリコン24に沿って延びる環状(この形態では四角環状)に形成されている。つまり、第3不純物領域35は、平面視において第2ポリシリコン24の上端部側の領域の全域に形成されている。
【0076】
半導体装置1Aは、第2ポリシリコン24の厚さ方向の途中部に形成された第2pn接合部36(a second pn-junction portion)を含む。第2pn接合部36は、第2トレンチ構造14の構成要素とみなされてもよい。第2pn接合部36は、「第2pn接続部(a second pn-connection portion)」または「第2pn境界部(a second pn-boundary portion)」と称されてもよい。第2pn接合部36は、第2不純物領域34および第3不純物領域35の間の境界部に形成されている。
【0077】
つまり、第3不純物領域35は、第2不純物領域34と第2pn接合部36を形成するように第2ポリシリコン24内に形成されている。第2pn接合部36は、第1pn接合部9の深さ位置に対して第2トレンチ22の底壁側の領域に位置している。また、第2pn接合部36は、第2絶縁膜23を挟んで第1領域6の第1高濃度領域6aに対向する厚さ範囲に形成されている。
【0078】
第2pn接合部36および第2トレンチ22の底壁の間の距離DJ(つまり第2不純物領域34の厚さ)は、第1主面3および第1pn接合部9の間の距離D未満(DJ<D)であることが好ましい。前記距離DJは、第1pn接合部9および第2pn接合部36の間の距離未満であることが好ましい。前記距離DJは、第2トレンチ構造14の第2突出量P2の1/2以下(DJ<1/2×P2)であることが好ましい。前記距離DJは、第1トレンチ構造13の第1突出量P1の1/2以下(DJ<1/2×P1)であることが好ましい。前記距離DJは、メサ部27の第3幅W3未満(DJ<W3)であってもよい。
【0079】
このように、半導体装置1Aは、第2トレンチ22内においてアノードとしての第2不純物領域34およびカソードとしての第3不純物領域35を有する第2ダイオードD2を含む。つまり、第2ダイオードD2は、第2トレンチ22の底壁を介して第1領域6および第3不純物領域35の間の領域に形成されている。第2ダイオードD2のアノードは、第1領域6を介して第1ダイオードD1のアノードに電気的に接続されている。つまり、第2ダイオードD2(第2pn接合部36)は、第2トレンチ22の底壁を介して第1ダイオードD1(第1pn接合部9)に逆バイアス接続されている。
【0080】
半導体装置1Aは、チップ2内において第2トレンチ構造14の側壁を被覆する少なくとも1つ(この形態では複数)のn型のシンカー領域37を含む。複数のシンカー領域37は、第2トレンチ構造14の内周壁および外周壁のそれぞれを被覆するように第3領域8内に形成されている。複数のシンカー領域37は、第3領域8よりも高いn型不純物濃度を有している。複数のシンカー領域37のn型不純物濃度は、1×1015cm-3以上1×1019cm-3以下であってもよい。
【0081】
複数のシンカー領域37は、断面視において第2トレンチ構造14の内周壁および外周壁のそれぞれに沿ってチップ2の厚さ方向に延びている。複数のシンカー領域37の下端部は、第2領域7(第2高濃度領域7b)に接続されていてもよい。複数のシンカー領域37は、平面視において第2トレンチ22の内周壁および外周壁に沿って延びる環状にそれぞれ形成されている。
【0082】
外周壁側のシンカー領域37は、この形態では、第1トレンチ構造13から間隔を空けて形成され、第1トレンチ構造13を被覆していない。むろん、第1トレンチ構造13の内周壁を被覆するシンカー領域37が形成されていてもよい。また、第1トレンチ構造13の外周壁を被覆するシンカー領域37が形成されていてもよい。
【0083】
半導体装置1Aは、チップ2内において第1トレンチ構造13の底壁に沿う領域に形成されたp型の底壁領域38を含む。底壁領域38は、第1トレンチ構造13の底壁を被覆するように第1領域6に形成されている。底壁領域38は、第1領域6よりも高いp型不純物濃度を有している。底壁領域38は、具体的には、第1領域6において第1高濃度領域6a内に形成され、第1高濃度領域6aよりも高いp型不純物濃度を有している。底壁領域38は、第1トレンチ構造13の側壁の下端部を被覆していてもよい。
【0084】
図3および図4を参照して、半導体装置1Aは、第1主面3に形成された複数の第1トレンチ絶縁構造41を含む。図2では、第1トレンチ絶縁構造41の図示が省略されている。複数の第1トレンチ絶縁構造41は、STI構造(shallow trench isolation structure)と称されてもよい。複数の第1トレンチ絶縁構造41は、第1トレンチ15の内周壁および外周壁をそれぞれ被覆し、第1ポリシリコン17を露出させるように互いに間隔を空けて形成されている。
【0085】
複数の第1トレンチ絶縁構造41は、第1pn接合部9から第1主面3側に間隔を空けて形成されている。複数の第1トレンチ絶縁構造41は、この形態では、第2領域7から第1主面3側に間隔を空けて形成されている。つまり、複数の第1トレンチ絶縁構造41は、第3領域8の厚さ範囲に形成されている。複数の第1トレンチ絶縁構造41は、平面視において第1トレンチ構造13に沿って延びる帯状に形成されている。複数の第1トレンチ絶縁構造41は、この形態では、平面視において第1トレンチ構造13に沿って延びる環状(この形態では四角環状)に形成されている。
【0086】
各第1トレンチ絶縁構造41は、第1シャロートレンチ42および第1埋設絶縁体43を含む。第1シャロートレンチ42は、第1トレンチ15の側壁(内周壁または外周壁)に重なる位置に形成され、第3領域8、第1絶縁膜16および第1ポリシリコン17を露出させている。つまり、第1シャロートレンチ42は、第1不純物領域31を露出させている。
【0087】
第1埋設絶縁体43は、第1シャロートレンチ42に埋設されている。第1埋設絶縁体43は、第1シャロートレンチ42内において第3領域8、第1絶縁膜16および第1ポリシリコン17に接している。つまり、第1埋設絶縁体43は、第1シャロートレンチ42内において第1不純物領域31(第1濃度部32および第2濃度部33)に接している。第1埋設絶縁体43は、酸化シリコンおよび窒化シリコンのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0088】
図3および図4を参照して、半導体装置1Aは、第1主面3に形成された複数の第2トレンチ絶縁構造44を含む。図2では、第2トレンチ絶縁構造44の図示が省略されている。複数の第2トレンチ絶縁構造44は、STI構造と称されてもよい。複数の第2トレンチ絶縁構造44は、第2トレンチ22の内周壁および外周壁をそれぞれ被覆し、第2ポリシリコン24を露出させるように互いに間隔を空けて形成されている。
【0089】
複数の第2トレンチ絶縁構造44は、第1pn接合部9から第1主面3側に間隔を空けて形成されている。複数の第2トレンチ絶縁構造44は、この形態では、第2領域7から第1主面3側に間隔を空けて形成されている。つまり、複数の第2トレンチ絶縁構造44は、第3領域8の厚さ範囲に形成されている。複数の第2トレンチ絶縁構造44は、平面視において第2トレンチ構造14に沿って延びる帯状に形成されている。複数の第2トレンチ絶縁構造44は、この形態では、平面視において第2トレンチ構造14に沿って延びる環状(この形態では四角環状)に形成されている。
【0090】
各第2トレンチ絶縁構造44は、第2シャロートレンチ45および第2埋設絶縁体46を含む。第2シャロートレンチ45は、第2トレンチ22の側壁(内周壁または外周壁)に重なる位置に形成され、第3領域8、第2絶縁膜23および第2ポリシリコン24を露出させている。第2シャロートレンチ45は、第3不純物領域35を露出させ、第2不純物領域34を露出させていない。第2シャロートレンチ45は、この形態では、複数のシンカー領域37を露出させている。
【0091】
第2埋設絶縁体46は、第2シャロートレンチ45に埋設されている。第2埋設絶縁体46は、第2シャロートレンチ45内において第3領域8、第2絶縁膜23および第2ポリシリコン24に接している。つまり、第2埋設絶縁体46は、第2シャロートレンチ45内において第3不純物領域35に接している。第2埋設絶縁体46は、酸化シリコンおよび窒化シリコンのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0092】
図3を参照して、半導体装置1Aは、トランジスタ領域11に形成された機能デバイスの一例としてのプレーナゲート型のMISFETセル50を含む。図2では、MISFETセル50の図示が省略されている。MISFETセル50は、ドレインソース電圧の大きさに応じて、HV(high voltage)-MISFETセル(たとえば100V以上1000V以下)、MV(middle voltage)-MISFETセル(たとえば30V以上100V以下)およびLV(low voltage)-MISFETセル(たとえば1V以上30V以下)のうちのいずれか一つの形態を採り得る。この形態では、MISFETセル50がHV-MISFETセルからなる例について説明するが、MISFETセル50の形態をHV-MISFETセルに限定する趣旨ではない。
【0093】
MISFETセル50は、この形態では、断面視において、少なくとも1つ(この形態では1つ)のn型の第1ウェル領域51、少なくとも1つ(この形態では複数)のp型の第2ウェル領域52、少なくとも1つ(この形態では複数)のn型のドレイン領域53、少なくとも1つ(この形態では複数)のn型のソース領域54、少なくとも1つ(この形態では複数)のp型のチャネル領域55、少なくとも1つ(この形態では複数)のp型のコンタクト領域56、および、少なくとも1つ(この形態では複数)のプレーナゲート構造57を含む。
【0094】
第1ウェル領域51は、トランジスタ領域11において第3領域8の表層部に形成されている。第1ウェル領域51は、第3領域8よりも高いn型不純物濃度を有している。複数の第2ウェル領域52は、トランジスタ領域11において第1ウェル領域51から間隔を空けて第3領域8の表層部に形成されている。一方の第2ウェル領域52は第1ウェル領域51から第1方向Xの一方側に間隔を空けて形成され、他方の第2ウェル領域52は第1ウェル領域51から第1方向Xの他方側に間隔を空けて形成されている。
【0095】
ドレイン領域53は、第1ウェル領域51の周縁から内方に間隔を空けて第1ウェル領域51の表層部に形成されている。複数のソース領域54は、対応する第2ウェル領域52の周縁から内方に間隔を空けて対応する第2ウェル領域52の表層部にそれぞれ形成されている。複数のチャネル領域55は、対応する第2ウェル領域52の表層部において第3領域8およびソース領域54の間にそれぞれ形成される。複数のコンタクト領域56は、対応する第2ウェル領域52の周縁から内方に間隔を空けて対応する第2ウェル領域52の表層部にそれぞれ形成されている。複数のコンタクト領域56は、対応するソース領域54に隣り合っている。
【0096】
複数のプレーナゲート構造57は、対応するチャネル領域55を被覆するように第1主面3の上にそれぞれ形成され、対応するチャネル領域55のオンオフを制御する。複数のプレーナゲート構造57は、この形態では、第1ウェル領域51および対応するソース領域54に跨るようにそれぞれ形成されている。
【0097】
複数のプレーナゲート構造57は、第1主面3側からこの順に積層されたゲート絶縁膜58およびゲート電極59を含む。ゲート絶縁膜58は、酸化シリコン膜を含んでいてもよい。ゲート絶縁膜58は、チップ2の酸化物からなる酸化シリコン膜を含むことが好ましい。ゲート電極59は、ポリシリコンを含むことが好ましい。ゲート電極59は、ポリシリコン内に形成されたn型領域およびp型領域のいずれか一方または双方を含んでいてもよい。
【0098】
図3を参照して、半導体装置1Aは、第1主面3に形成された複数の第3トレンチ絶縁構造60を含む。図2では、第3トレンチ絶縁構造60の図示が省略されている。複数の第3トレンチ絶縁構造60は、STI構造と称されてもよい。複数の第3トレンチ絶縁構造60は、この形態では、ドレイン領域53を他の領域から区画し、複数の第2ウェル領域52の外縁部を他の領域から区画するように互いに間隔を空けて形成されている。
【0099】
複数の第3トレンチ絶縁構造60は、第1pn接合部9から第1主面3側に間隔を空けて形成されている。複数の第3トレンチ絶縁構造60は、この形態では、第2領域7から第1主面3側に間隔を空けて形成されている。つまり、複数の第3トレンチ絶縁構造60は、第3領域8の厚さ範囲に形成されている。
【0100】
各第3トレンチ絶縁構造60は、第3シャロートレンチ61および第3埋設絶縁体62を含む。第3シャロートレンチ61は、第1主面3から第2主面4に向けて掘り下がっている。第3埋設絶縁体62は、第3シャロートレンチ61に埋設されている。第3埋設絶縁体62は、酸化シリコンおよび窒化シリコンのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0101】
トランジスタ領域11において、ドレイン領域53にはドレインコンタクト電極63を介してドレイン電位VDが付与される。図3では、ドレインコンタクト電極63が矢印によって簡略化して示されている。ドレイン電位VDは、トランジスタ領域11における最大のデバイス電位である。ソース領域54にはソースコンタクト電極64を介してドレイン電位VD未満のソース電位VSが付与される。図3では、ソースコンタクト電極64が矢印によって簡略化して示されている。ゲート電極59にはゲートコンタクト電極65を介してゲート電位VGが付与される。図3では、ゲートコンタクト電極65が矢印によって簡略化して示されている。
【0102】
第1トレンチ構造13には、第1コンタクト電極71を介して第1電位V1が付与される。図3および図4では、第1コンタクト電極71が矢印によって簡略化して示されている。第1電位V1は、第1不純物領域31に付与される電位でもある。第1トレンチ構造13に付与された第1電位V1は、第1トレンチ構造13を介して第1領域6に付与される。
【0103】
これにより、第1領域6が第1トレンチ構造13と同電位に固定される。第1電位V1は、ドレイン電位VD以下(好ましくはドレイン電位VD未満)の電位であることが好ましい。つまり、第1電位V1は、最大のデバイス電位未満であることが好ましい。第1電位V1は、回路動作の基準となる基準電位、または、グランド電位であってもよい。第1電位V1は、グランド電位であることが好ましい。
【0104】
第2トレンチ構造14には、第2コンタクト電極72を介して第2電位V2が付与される。図3および図4では、第2コンタクト電極72が矢印によって簡略化して示されている。第2電位V2は、ドレイン電位VD以下(好ましくはドレイン電位VD未満)の電位であることが好ましい。つまり、第2電位V2は、最大のデバイス電位未満であることが好ましい。
【0105】
第2電位V2は、第1電位V1以上(V1≦V2)であることが好ましい。第2電位V2は、第1電位V1を超えている(V1<V2)ことが特に好ましい。第2電位V2および第1電位V1の間の電位差V2-V1は、第2pn接合部36(第2ダイオードD2)に対して逆バイアス電圧になるように設定されていることが好ましい。この条件により、第2トレンチ構造14における第2ダイオードD2の導通(順方向電流)が確実に抑制される。
【0106】
第2電位V2は、基準電位、グランド電位またはフローティング電位であってもよい。フローティング電位は、第2トレンチ構造14が電気的にフローティング状態に形成されていることを意味する。この場合、特定の部材や領域から特定の電位が第2トレンチ構造14に付与されないので、第2トレンチ構造14の周囲の電位に起因して変動する第2電位V2が第2トレンチ構造14に付与される。
【0107】
メサ部27には、第3コンタクト電極73を介して第3電位V3が付与される。図3および図4では、第3コンタクト電極73が矢印によって簡略化して示されている。第3電位V3は、ドレイン電位VD以下(好ましくはドレイン電位VD未満)の電位であることが好ましい。つまり、第3電位V3は、最大のデバイス電位未満であることが好ましい。
【0108】
第3電位V3は、第1電位V1以上(V1≦V3)であることが好ましい。第3電位V3は、第1電位V1を超えている(V1<V3)ことが特に好ましい。第3電位V3は、第2電位V2以下(V3≦V2)であることが好ましい。第3電位V3は、第2電位V2未満(V3<V2)であることが特に好ましい。この場合、第1~第3電位V1~V3は、トランジスタ領域11から離れる方向に漸減する(VD>V2>V3>V1の順になる)ように設定されることが好ましい。
【0109】
第3電位V3および第1電位V1の間の電位差V3-V1は、第1pn接合部9(第1ダイオードD1)に対して逆バイアス電圧になるように設定されていることが好ましい。この条件により、メサ部27における第1ダイオードD1の導通(順方向電流)が確実に抑制される。
【0110】
第3電位V3は、基準電位、グランド電位またはフローティング電位であってもよい。フローティング電位は、メサ部27が電気的にフローティング状態に形成されていることを意味する。この場合、メサ部27では、特定の部材や領域から特定の電位が付与されないので、メサ部27の周囲の電位に起因して変動する第3電位V3がメサ部27に付与される。
【0111】
以上、半導体装置1Aは、チップ2、p型(第1導電型)の第1領域6、n型(第2導電型)の第2領域7、トランジスタ領域11(デバイス領域10)、第1トレンチ構造13(第1溝構造)および第2トレンチ構造14(第2溝構造)を含む。チップ2は、一方側の第1主面3および他方側の第2主面4を有している。第1領域6は、チップ2内の第2主面4側に形成されている。第2領域7は、チップ2内の第1主面3側に形成され、第1領域6と第1pn接合部9を形成している。トランジスタ領域11は、第1主面3に設けられている。
【0112】
第1トレンチ構造13は、第1主面3においてトランジスタ領域11を区画している。第1トレンチ構造13は、第1トレンチ15(第1溝)、第1絶縁膜16および第1ポリシリコン17を含む。第1トレンチ15は、第1主面3から第1pn接合部9を貫通している。第1絶縁膜16は、第1トレンチ15の壁面から第1領域6を露出させている。第1ポリシリコン17は、第1絶縁膜16を挟んで第1トレンチ15に埋設されている。
【0113】
第2トレンチ構造14は、第1主面3において第1トレンチ構造13よりもトランジスタ領域11側で当該トランジスタ領域11を区画している。第2トレンチ構造14は、第2トレンチ22(第2溝)、第2絶縁膜23および第2ポリシリコン24を含む。第2トレンチ22は、第1主面3から第1pn接合部9を貫通している。第2絶縁膜23は、第2トレンチ22の壁面から第1領域6を露出させている。第2ポリシリコン24は、第2絶縁膜23を挟んで第2トレンチ22に埋設されている。
【0114】
この構造によれば、第1領域6を露出させる第1トレンチ構造13、および、第1領域6を露出させる第2トレンチ構造14を含むマルチトレンチ分離構造によって、ブレークダウン電圧(耐圧)を向上できる半導体装置1Aを提供できる。
【0115】
第1ポリシリコン17は、第1領域6に接続され、第2領域7から電気的に絶縁されるように第1絶縁膜16を挟んで第1トレンチ15に埋設されていることが好ましい。第2ポリシリコン24は、第1領域6に接続され、第2領域7から電気的に絶縁されるように第2絶縁膜23を挟んで第2トレンチ22に埋設されていることが好ましい。
【0116】
半導体装置1Aは、第1ポリシリコン17内に形成されたp型の第1不純物領域31、および、第2ポリシリコン24内に形成されたp型の第2不純物領域34を含むことが好ましい。第1不純物領域31は、第1領域6に電気的に接続されるように第1トレンチ15の底壁および第1pn接合部9の間の厚さ範囲に位置していることが好ましい。第2不純物領域34は、第1領域6に電気的に接続されるように第2トレンチ22の底壁および第1pn接合部9の間の厚さ範囲に位置していることが好ましい。
【0117】
第2不純物領域34は、第2ポリシリコン24の上端部から下端部側に間隔を空けて第2ポリシリコン24の下端部側の領域に形成されていることが好ましい。第2不純物領域34は、第2ポリシリコン24の一部の領域に形成され、第2ポリシリコン24の全域に形成されていないことが好ましい。第2不純物領域34は、第1pn接合部9の深さ位置を横切らないように第2ポリシリコン24の下端部側の領域に形成されていることが好ましい。第1不純物領域31は、第1pn接合部9の深さ位置を横切るように第1ポリシリコン17内に形成されていることが好ましい。第1不純物領域31は、第1ポリシリコン17の全域に形成されていることが好ましい。
【0118】
半導体装置1Aは、第2ポリシリコン24の内部において第2不純物領域34とは異なる領域に形成されたn型の第3不純物領域35を含むことが好ましい。第3不純物領域35は、第2トレンチ22内において第2不純物領域34と第2pn接合部36を形成していることが好ましい。第3不純物領域35は、第1pn接合部9の深さ位置に対して第2ポリシリコン24の下端部側の領域で第2不純物領域34と第2pn接合部36を形成するように第2ポリシリコン24の上端部側の領域に形成されていることが好ましい。
【0119】
第2pn接合部36(第2不純物領域34および第3不純物領域35)を有する構造によれば、次の図5および図6を用いて説明される効果が奏される。図5は、参考形態に係る半導体装置74の電界分布(図5の太線参照)を示す要部拡大図である。参考例に係る半導体装置74では、第2トレンチ22の壁面の全域を被覆する第2絶縁膜23が形成され、第2ポリシリコン24が第1領域6から電気的に絶縁されている。
【0120】
参考例に係る半導体装置74は、第2ポリシリコン24の内部の全域に形成されたp型の不純物領域75を含む。つまり、第2ポリシリコン24内には、第2pn接合部36(つまり第2ダイオードD2)が形成されていない。参考例に係る半導体装置74では、第2トレンチ構造14および第1pn接合部9の交差部に電界分布が密になる領域が形成される(図5の二点鎖線の領域参照)。参考例に係る半導体装置74では、この種の電界集中に起因してブレークダウン電圧(つまり耐圧)が低下する。
【0121】
図6は、図1に示す半導体装置1Aの電界分布(図6の太線参照)を示す要部拡大図である。図6を参照して、半導体装置1Aは、参考例に係る半導体装置74とは異なり、チップ2、第1pn接合部9、トランジスタ領域11(デバイス領域10)、第2トレンチ構造14(溝構造)および第2pn接合部36を含む。チップ2は、第1主面3を有している。第1pn接合部9は、第1主面3に沿って延びるようにチップ2内に形成されている。トランジスタ領域11は、第1主面3に設けられている。
【0122】
第2トレンチ構造14は、第1主面3においてトランジスタ領域11を区画している。第2トレンチ構造14は、第2トレンチ22(溝)、第2絶縁膜23および第2ポリシリコン24を含む。第2トレンチ22は、第1主面3から第2pn接合部36を貫通している。第2絶縁膜23は、第2トレンチ22の壁面から第1領域6を露出させている。第2ポリシリコン24は、第2絶縁膜23を挟んで第2トレンチ22に埋設されている。第2pn接合部36は、第2ポリシリコン24内に形成されている。
【0123】
この構造によれば、第2トレンチ構造14および第1pn接合部9の交差部における電界分布を疎にすることができる。これにより、第2トレンチ構造14に対する電界集中を抑制できるから、ブレークダウン電圧(つまり耐圧)を向上できる半導体装置1Aを提供できる。
【0124】
このような構造において、第2pn接合部36は、第2トレンチ22の底壁を介して第1pn接合部9に逆バイアス接続されていることが好ましい。第2pn接合部36は、第1pn接合部9の深さ位置に対して第2トレンチ22の底壁側の領域に位置していることが好ましい。つまり、第2不純物領域34は第1pn接合部9の深さ位置に対して第2ポリシリコン24の下端部側の領域に形成され、第3不純物領域35は第1pn接合部9の深さ位置を横切るように第2ポリシリコン24内に形成されていることが好ましい。第1pn接合部9から第2トレンチ22の底壁までの距離は、第1pn接合部9から第1主面3までの距離よりも大きいことが好ましい。
【0125】
図7A図7Nは、図1に示す半導体装置1Aの製造方法の一例を示す断面図である。図7A図7Nは、図4に対応する部分の断面図である。以下では、トレンチ分離構造12およびその周辺の構造についての製造工程が示される。図7Aを参照して、円盤状のエピウエハ80が用意される。エピウエハ80は、ウエハ主面81を有している。エピウエハ80は、第1領域6、第2領域7および第3領域8を含む。第1領域6は、第1高濃度領域6aおよび第1低濃度領域6bを含む。第1高濃度領域6aはp型のウエハからなる。第1低濃度領域6bは、エピタキシャル成長法によって、ウエハの上に積層されたp型のエピタキシャル層からなる。
【0126】
第2領域7は、第2低濃度領域7aおよび第2高濃度領域7bを含む。第2低濃度領域7aは、エピタキシャル成長法によって、第1低濃度領域6bの上に積層されたn型のエピタキシャル層からなる。第2高濃度領域7bは、エピタキシャル成長法によって、第2低濃度領域7aの上に積層されたn型のエピタキシャル層からなる。第3領域8は、エピタキシャル成長法によって、第2高濃度領域7bの上に積層されたn型のエピタキシャル層からなる。
【0127】
次に、図7Bを参照して、所定パターンを有する第1マスク82がウエハ主面81の上に形成される。第1マスク82は、ウエハ主面81において第1トレンチ15および第2トレンチ22を形成すべき領域を露出させ、それら以外の領域を被覆している。次に、第1マスク82を介するエッチング法によって、エピウエハ80が選択的に除去される。エッチング法は、ドライエッチング法および/またはウエットエッチング法であってもよい。この工程では、少なくとも第3領域8を露出させ、第1領域6を露出させない第1トレンチ15および第2トレンチ22が形成される。第2トレンチ22の幅は、第1トレンチ15の幅未満である。その後、第1マスク82は、除去される。
【0128】
次に、図7Cを参照して、所定パターンを有する第2マスク83がウエハ主面81の上に形成される。第2マスク83は、第2トレンチ22を露出させ、それ以外の領域を被覆している。次に、第2マスク83を介するイオン注入法によって、第2トレンチ22の壁面にn型不純物が導入される。これにより、第3領域8内に第2トレンチ22の壁面に沿うn型のシンカー領域37が形成される。その後、第2マスク83は、除去される。
【0129】
次に、図7Dを参照して、所定パターンを有する第3マスク84がウエハ主面81の上に形成される。第3マスク84は、ウエハ主面81の上において第1トレンチ15および第2トレンチ22を形成すべき領域を露出させ、それら以外の領域を被覆している。次に、第3マスク84を介するエッチング法によって、エピウエハ80が選択的に除去され、第1トレンチ15および第2トレンチ22がさらに掘り下げられる。第1トレンチ15および第2トレンチ22は、第3領域8および第2領域7を貫通し、第1領域6に至るまで掘り下げられる。エッチング法は、ドライエッチング法の一例としてのRIE(reactive ion etching)法であることが好ましい。その後、第3マスク84は、除去される。
【0130】
次に、図7Eを参照して、第1絶縁膜16および第2絶縁膜23のベースとなるベース絶縁膜85がウエハ主面81の上に形成される。この工程は、下側ベース絶縁膜86および上側ベース絶縁膜87をウエハ主面81側からこの順に形成する工程を含む。下側ベース絶縁膜86は、第1絶縁膜16の第1下側絶縁膜18および第2絶縁膜23の第2下側絶縁膜25のベースとなる。下側ベース絶縁膜86は、酸化処理法(たとえば熱酸化処理法)によって形成されてもよい。上側ベース絶縁膜87は、CVD(chemical vapor deposition)法によって形成されてもよい。下側ベース絶縁膜86、および、下側ベース絶縁膜86とは異なる緻密度を有する上側ベース絶縁膜87をふくむベース絶縁膜85が形成される。
【0131】
次に、図7Fを参照して、所定パターンを有する第4マスク88がベース絶縁膜85の上に形成される。第4マスク88は、ベース絶縁膜85において第1トレンチ15および第2トレンチ22を被覆する部分を露出させ、それら以外の領域を被覆している。次に、第4マスク88を介するエッチング法によって、ベース絶縁膜85において第1トレンチ15の底壁および第2トレンチ22の底壁を被覆する部分が除去される。
【0132】
エッチング法は、異方性エッチング法であることが好ましい。エッチング法は、たとえば、ドライエッチング法の一例としてのRIE法であってもよい。これにより、第1トレンチ15の底壁を露出させる第1除去部16aおよび第2トレンチ22の底壁を露出させる第2除去部23aが形成される。この工程において、第1トレンチ15の側壁の下端部を露出させる第1除去部16aが形成されてもよい。また、第2トレンチ22の側壁の下端部を露出させる第2除去部23aが形成されてもよい。その後、第4マスク88は、除去される。
【0133】
次に、図7Gを参照して、第1ポリシリコン17の第1部分20および第2ポリシリコン24のベースとなる第1ポリシリコン膜89が、ベース絶縁膜85の上に形成される。第1ポリシリコン膜89は、この形態では、不純物無添加のノンドープドポリシリコンからなる。第1ポリシリコン膜89は、CVD法によって形成されてもよい。第1ポリシリコン膜89は、ベース絶縁膜85の上においてウエハ主面81、第1トレンチ15の壁面および第2トレンチ22の壁面に沿うように膜状に形成される。
【0134】
第1ポリシリコン膜89は、第2トレンチ22全体を埋め戻し、第1トレンチ15内においてリセス空間を区画する。第1ポリシリコン膜89は、必ずしも第2トレンチ22を完全に埋め戻す必要はなく、リセス空間を区画するように第2トレンチ22の壁面に膜状に形成されてもよい。
【0135】
次に、図7Hを参照して、イオン注入法によって、第1ポリシリコン膜89にn型不純物(5価元素)が導入される。これにより、第1ポリシリコン膜89にn型の導電型が付与される。第1ポリシリコン膜89が第2トレンチ22内でリセス空間を区画している場合、n型不純物の導入工程前またはn型不純物の導入工程後において、第2トレンチ22内のリセス空間を埋め込むように第1ポリシリコン膜89が再度形成されてもよい。むろん、第1ポリシリコン膜89は、n型不純物が添加されたドープドポリシリコンからなっていてもよい。この場合、図7Hの工程は省略されてもよい。
【0136】
次に、図7Iを参照して、第1ポリシリコン17の第2部分21のベースとなる第2ポリシリコン膜90が、第1ポリシリコン膜89の上に形成される。第1ポリシリコン膜89は、この形態では、p型不純物(3価元素)が導入されたドープドポリシリコンからなる。第1ポリシリコン膜89は、CVD法によって形成されてもよい。第2ポリシリコン膜90は、第1ポリシリコン膜89の上においてウエハ主面81および第1トレンチ15の壁面に沿うように膜状に形成される。第2ポリシリコン膜90は、第1トレンチ15内において第1ポリシリコン膜89によって区画されたリセス空間を埋め戻す。
【0137】
次に、図7Jを参照して、第1ポリシリコン膜89および第2ポリシリコン膜90が選択的に除去される。この工程は、研削法によってエピウエハ80(第3領域8)が露出するまで、第2ポリシリコン膜90、第1ポリシリコン膜89およびベース絶縁膜85を除去する工程を含む。研削法は、CMP(chemical mechanical polishing)法であってもよい。これにより、第1絶縁膜16および第1ポリシリコン17が第1トレンチ15内に形成され、第2絶縁膜23および第2ポリシリコン24が第2トレンチ22内に形成される。むろん、この工程において、研削法に代えて、エッチング法(ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法)が採用されてもよい。
【0138】
次に、図7Kを参照して、エピウエハ80に対する加熱処理法(ドライブイン処理法)によって、第1ポリシリコン17内のp型不純物が第1ポリシリコン17内に拡散される。この工程により、第1ポリシリコン17内の第1部分20の導電型がn型からp型に置換される。これにより、第1ポリシリコン17の内部の全域にp型の第1不純物領域31が形成される。
【0139】
また、この工程では、第2ポリシリコン24内のn型不純物が第2ポリシリコン24内に拡散される。また、この工程では、第1領域6(第1高濃度領域6a)のp型不純物(3価元素)が第2トレンチ22の底壁を介して第2ポリシリコン24の下端部に拡散する。これにより、第2ポリシリコン24の下端部側の領域にp型の第2不純物領域34が形成され、第2ポリシリコン24の上端部側の領域にn型の第3不純物領域35が形成される。さらに、この工程では、第1ポリシリコン17内のp型不純物が、第1トレンチ15の底壁を介して第1領域6に拡散する。これにより、第1領域6において第1トレンチ15の底壁に沿う領域に第1領域6よりも高濃度なp型の底壁領域38が形成される。
【0140】
次に、図7Lを参照して、所定パターンを有する第5マスク91がウエハ主面81の上に形成される。第5マスク91は、ウエハ主面81において複数の第1シャロートレンチ42、複数の第2シャロートレンチ45および複数の第3シャロートレンチ61を形成すべき領域を露出させ、それら以外の領域を被覆している。次に、第5マスク91を介するエッチング法(ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法)によって、エピウエハ80、第1絶縁膜16、第1ポリシリコン17、第2絶縁膜23および第2ポリシリコン24がそれぞれ選択的に除去される。これにより、複数の第1シャロートレンチ42、複数の第2シャロートレンチ45および複数の第3シャロートレンチ61が形成される。その後、第5マスク91は、除去される。
【0141】
次に、図7Mを参照して、複数の第1埋設絶縁体43、複数の第2埋設絶縁体46および複数の第3埋設絶縁体62のベースとなるベース埋設絶縁膜92がウエハ主面81の上に形成される。ベース絶縁膜85は、CVD法によって形成されてもよい。
【0142】
次に、図7Nを参照して、ベース埋設絶縁膜92の不要な部分が除去される。ベース埋設絶縁膜92の不要な部分は、この工程では、エピウエハ80(第3領域8)が露出するまで、研削法によって除去される。研削法は、CMP法であってもよい。これにより、複数の第1埋設絶縁体43、複数の第2埋設絶縁体46および複数の第3埋設絶縁体62が形成される。むろん、ベース埋設絶縁膜92の不要な部分は、研削法に代えて、エッチング法(ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法)によって除去されてもよい。以上を含む工程によって、半導体装置1Aが形成される。
【0143】
図8は、第3実施形態に係る半導体装置1Bを示す断面図である。図8を参照して、半導体装置1Bは、第1不純物領域31において第1濃度部32に代えて第1濃度部101を含む。第1濃度部101は、第1濃度部32と同様、比較的低いp型不純物濃度を有するであり、第1ポリシリコン17の周縁部に形成されている。第1濃度部101は、この形態では、p型不純物(3価元素)のみを含み、n型不純物(5価元素)を含まない。むろん、第1濃度部101は、n型不純物を含んでいてもよい。
【0144】
半導体装置1Bは、第2ポリシリコン24内において第3不純物領域35に代えて抵抗領域102を含む。抵抗領域102は、第2トレンチ構造14の構成要素とみなされてもよい。抵抗領域102は、第2不純物領域34よりも低い不純物濃度を有し、第2不純物領域34よりも高い抵抗値を有している。また、抵抗領域102は、第1不純物領域31よりも低い不純物濃度を有し、第1不純物領域31よりも高い抵抗値を有している。抵抗領域102は、この形態では、第2ポリシリコン24の不純物無添加領域からなる。
【0145】
抵抗領域102は、断面視において第2不純物領域34に対して第2ポリシリコン24の上端部側に形成されている。抵抗領域102は、断面視において第2不純物領域34および第1pn接合部9の間の厚さ範囲に位置し、第2不純物領域34に電気的に接続されている。抵抗領域102は、第1pn接合部9の深さ位置に対して第2トレンチ22の底壁側の領域(つまり第2ポリシリコン24の下端部側の領域)で第2不純物領域34に電気的に接続されていることが好ましい。
【0146】
抵抗領域102は、断面視において第1pn接合部9の深さ位置を横切るように形成されていることが好ましい。抵抗領域102は、この形態では、断面視において第2ポリシリコン24の上端部から露出するように第2ポリシリコン24の上端部および第2不純物領域34の間の厚さ範囲に形成されている。抵抗領域102は、第2絶縁膜23を挟んで第1領域6、第2領域7および第3領域8に対向している。
【0147】
つまり、抵抗領域102は、第2絶縁膜23によって第1領域6、第2領域7および第3領域8から電気的に絶縁されている。抵抗領域102は、平面視において第2ポリシリコン24に沿って延びる帯状に形成されている。抵抗領域102は、具体的には、平面視において第2ポリシリコン24に沿って延びる環状(この形態では四角環状)に形成されている。つまり、抵抗領域102は、平面視および断面視において第2ポリシリコン24の上端部側の領域の全域に形成されている。
【0148】
半導体装置1Bは、第2ポリシリコン24の厚さ方向の途中部に形成されたノード部103を含む。ノード部103は、第2トレンチ構造14の構成要素とみなされてもよい。ノード部103は、第2不純物領域34および抵抗領域102の間の接続部である。つまり、抵抗領域102は、第2不純物領域34とノード部103を形成するように第2ポリシリコン24内に形成されている。ノード部103は、第1pn接合部9の深さ位置に対して第2トレンチ22の底壁側の領域に位置している。また、ノード部103は、第2絶縁膜23を挟んで第1領域6の第1高濃度領域6aに対向する厚さ範囲に形成されている。
【0149】
ノード部103および第2トレンチ22の底壁の間の距離DN(つまり第2不純物領域34の厚さ)は、第1主面3および第1pn接合部9の間の距離D未満(DN<D)であることが好ましい(図4も併せて参照)。前記距離DNは、第1pn接合部9およびノード部103の間の距離未満であることが好ましい。前記距離DNは、第2トレンチ構造14の第2突出量P2の1/2以下(DN<1/2×P2)であることが好ましい。前記距離DNは、第1トレンチ構造13の第1突出量P1の1/2以下(DN<1/2×P1)であることが好ましい。前記距離DNは、メサ部27の第3幅W3未満(DN<W3)であってもよい。
【0150】
第1~第3電位V1~V3の印加条件は、第1実施形態の場合と同様である。半導体装置1Bに係る第1不純物領域31、第2不純物領域34および抵抗領域102は、前述の図7Gの工程において、比較的低い不純物濃度(p型不純物濃度またはn型不純物濃度)を有するポリシリコン、または、不純物無添加のノンドープドポリシリコンからなる第1ポリシリコン膜89を形成した後、図7Hの工程を省略することによって形成される。以上、半導体装置1Bによっても、半導体装置1Aに対して述べられた効果と同様の効果が奏される。
【0151】
図9は、第3実施形態に係る半導体装置1Cを示す断面図である。図9は、図4に対応する部分の断面図である。図9を参照して、半導体装置1Cは、第1ポリシリコン17の上端部側の表層部に形成されたp型の第1コンタクト領域104を含む。第1コンタクト領域104は、第1不純物領域31(第2濃度部33)よりも高いp型不純物濃度を有している。第1コンタクト領域104は、第2領域7(第3領域8の底部)の深さ位置から第1主面3側に間隔を空けて形成されていることが好ましい。
【0152】
半導体装置1Cは、第2ポリシリコン24の上端部側の表層部に形成されたn型の第2コンタクト領域105を含む。第2コンタクト領域105は、第3不純物領域35よりも高いn型不純物濃度を有している。第2コンタクト領域105は、第2領域7(第3領域8の底部)の深さ位置から第1主面3側に間隔を空けて形成されていることが好ましい。
【0153】
半導体装置1Cは、メサ部27の表層部に形成されたn型の第3コンタクト領域106を含む。第3コンタクト領域106は、第3領域8よりも高いn型不純物濃度を有している。第3コンタクト領域106は、第2領域7(第3領域8の底部)の深さ位置から第1主面3側に間隔を空けて形成されていることが好ましい。
【0154】
以上、半導体装置1Cによっても半導体装置1Aに対して述べられた効果と同様の効果が奏される。半導体装置1Cによれば、第1不純物領域31に対する第1コンタクト電極71のオーミック性を第1コンタクト領域104によって高めることができる。半導体装置1Cによれば、第3不純物領域35に対する第2コンタクト電極72のオーミック性を第2コンタクト領域105によって高めることができる。半導体装置1Cによれば、メサ部27に対する第3コンタクト電極73のオーミック性を第3コンタクト領域106によって高めることができる。
【0155】
半導体装置1Cは、第1~第3コンタクト領域104~106のうちの少なくとも1つを含んでいればよく、第1~第3コンタクト領域104~106の全てを同時に含む必要はない。また、第1~第3コンタクト領域104~106のうちの少なくとも1つは、第2実施形態に適用されてもよい。
【0156】
以下、図10図14を参照して、前述の第1~第3実施形態に適用され得る変形例が示される。以下の変形例、または、以下の変形例の組み合わせ形態は、前述の第1~第3実施形態に適宜適用される。
【0157】
図10は、第1変形例に係る第2領域7を示す断面図である。ここでは、第1変形例に係る第2領域7が第1実施形態に適用された例が示されるが、第1変形例に係る第2領域7は第2~第3実施形態にも適用できる。図10を参照して、第1変形例に係る第2領域7は、第2低濃度領域7aおよび第2高濃度領域7bのいずれか一方のみを含む単層構造を有していてもよい。このような構造によっても、半導体装置1Aに対して述べられた効果と同様の効果が奏される。
【0158】
図11は、第2変形例に係る第2領域7を示す断面図である。ここでは、第2変形例に係る第2領域7が第1実施形態に適用された例が示されるが、第2変形例に係る第2領域7は第2~第3実施形態にも適用できる。図11を参照して、第2変形例に係る第2領域7は、第2トレンチ構造14によって取り囲まれた領域内において第2トレンチ構造14から間隔を空けて形成されている。つまり、第2領域7は、第2トレンチ構造14との間の領域において第1領域6を露出させている。
【0159】
第2領域7は、第2低濃度領域7aおよび第2高濃度領域7bを含む積層構造を有していてもよいし、第2低濃度領域7aおよび第2高濃度領域7bのいずれか一方のみを含む単層構造を有していてもよい。第1pn接合部9は、この形態では、第1領域6および第2領域7の間の境界部、ならびに、第1領域6および第3領域8の間の境界部に形成されている。このような構造によっても、半導体装置1Aに対して述べられた効果と同様の効果が奏される。
【0160】
図12は、第3変形例に係る第2領域7を示す断面図である。ここでは、第3変形例に係る第2領域7が第1実施形態に適用された例が示されるが、第3変形例に係る第2領域7は第2~第3実施形態にも適用できる。図12を参照して、第3変形例に係る第2領域7は、第3領域8の一部として形成されている。つまり、第3変形例に係る第2領域7は、第3領域8のn型不純物濃度で形成されている。換言すると、第3領域8が第2領域7とほぼ等しいn型不純物濃度で形成されている。このような構造によっても、半導体装置1Aに対して述べられた効果と同様の効果が奏される。
【0161】
図13は、変形例に係る第1領域6を示す断面図である。ここでは、変形例に係る第1領域6が第1実施形態に適用された例が示されるが、変形例に係る第1領域6は第2~第3実施形態にも適用できる。図13を参照して、変形例に係る第1領域6は、この形態では、p型の半導体基板107からなる単層構造を有している。このような構造によっても、半導体装置1Aに対して述べられた効果と同様の効果が奏される。
【0162】
図14は、変形例に係る第1除去部16aおよび第2除去部23aを示す断面図である。ここでは、変形例に係る第1除去部16aおよび第2除去部23aが第1実施形態に適用された例が示されるが、変形例に係る第1除去部16aおよび第2除去部23aは第2~第3実施形態にも適用できる。
【0163】
図14を参照して、第1除去部16aは、第1トレンチ15の底壁に加えて、第1トレンチ15の内周壁の下端部および外周壁の下端部のいずれか一方または双方から第1領域6(第1高濃度領域6a)を露出させていてもよい。また、第2除去部23aは、第2トレンチ22の底壁に加えて、第2トレンチ22の内周壁の下端部および外周壁の下端部のいずれか一方または双方から第1領域6(第1高濃度領域6a)を露出させていてもよい。
【0164】
以上、実施形態および変形例が説明されたが、前述の実施形態はさらに他の形態で実施できる。たとえば、前述の各実施形態では、トレンチ分離構造12がトランジスタ領域11を区画している例が説明された。しかし、トレンチ分離構造12によって区画されるデバイス領域10は、トランジスタ領域11に限定されない。つまり、トレンチ分離構造12は、半導体スイッチングデバイス、半導体整流デバイスおよび受動デバイスのうちの少なくとも1つが形成されるデバイス領域10を区画していてもよい。
【0165】
前述の各実施形態において、トレンチ分離構造12は、複数の第1トレンチ構造13を含んでいてもよい。この場合、複数の第1トレンチ構造13は、デバイス領域10を取り囲むように互いに間隔(たとえば第3幅W3)を空けて形成されてもよい。つまり、複数の第1トレンチ構造13によって複数のメサ部27が区画されていてもよい。
【0166】
複数の第1トレンチ構造13には、同一の第1電位V1が印加されてもよいし、デバイス領域10から離れる方向に漸減するように設定された複数の第1電位V1が印加されてもよい。また、複数のメサ部27には、同一の第3電位V3が印加されてもよいし、デバイス領域10から離れる方向に漸減するように設定された複数の第3電位V3が印加されてもよい。
【0167】
前述の各実施形態において、トレンチ分離構造12は、複数の第2トレンチ構造14を含んでいてもよい。この場合、複数の第2トレンチ構造14は、デバイス領域10および第1トレンチ構造13の間の領域において、デバイス領域10を取り囲むように互いに間隔(たとえば第3幅W3)を空けて形成されてもよい。つまり、複数の第2トレンチ構造14によって複数のメサ部27が区画されていてもよい。
【0168】
複数の第2トレンチ構造14には、同一の第2電位V2が印加されてもよいし、デバイス領域10から離れる方向に漸減するように設定された複数の第2電位V2が印加されてもよい。また、複数のメサ部27には、同一の第3電位V3が印加されてもよいし、デバイス領域10から離れる方向に漸減するように設定された複数の第3電位V3が印加されてもよい。
【0169】
むろん、前述の各実施形態において、複数の第1トレンチ構造13および単一の第2トレンチ構造14が形成されていてもよい。また、前述の各実施形態において、単一の第1トレンチ構造13および複数の第2トレンチ構造14が形成されていてもよい。また、前述の各実施形態において、複数の第1トレンチ構造13および複数の第2トレンチ構造14が形成されていてもよい。これらの場合においても、第1~第3電位V1~V3は、デバイス領域10から離れる方向に漸減するように設定されていてもよい。
【0170】
前述の各実施形態では、第1導電型がp型、第2導電型がn型である例が説明されたが、第1導電型がn型、第2導電型がp型であってもよい。この場合の具体的な構成は、前述の説明および添付図面においてn型領域をp型領域に置き換え、p型領域をn型領域に置き換えることによって得られる。「第1導電型」および「第2導電型」は、説明の順序を明確にするための表現形式に過ぎず、p型が「第2導電型」と表現され、n型が「第1導電型」と表現されてもよい。
【0171】
前述の各実施形態では、第1方向Xおよび第2方向Yが第1~第4側面5A~5Dの延在方向によって規定された。しかし、第1方向Xおよび第2方向Yは、互いに交差(具体的には直交)する関係を維持する限り、任意の方向であってもよい。
【0172】
以下、この明細書および図面から抽出される特徴例が示される。以下、耐圧を向上できる半導体装置が提供される。以下、括弧内の英数字は前述の実施形態における対応構成要素等を表すが、各項目の範囲を実施形態に限定する趣旨ではない。
【0173】
[A1]一方側の第1主面(3)および他方側の第2主面(4)を有するチップ(2)と、前記チップ(2)内の前記第2主面(4)側に形成された第1導電型(p型)の第1領域(6)と、前記チップ(2)内の前記第1主面(3)側に形成され、前記第1領域(6)とpn接合部(9)を形成する第2導電型(n型)の第2領域(7、8)と、前記第1主面(3)に設けられたデバイス領域(10、11)と、前記第1主面(3)から前記pn接合部(9)を貫通する第1溝(15)、前記第1溝(15)の壁面から前記第1領域(6)を露出させる第1絶縁膜(16)、および、前記第1絶縁膜(16)を挟んで前記第1溝(15)に埋設された第1ポリシリコン(17)を含み、前記デバイス領域(10、11)を区画する第1溝構造(13)と、前記第1主面(3)から前記pn接合部(9)を貫通する第2溝(22)、前記第2溝(22)の壁面から前記第1領域(6)を露出させる第2絶縁膜(23)、および、前記第2絶縁膜(23)を挟んで前記第2溝(22)に埋設された第2ポリシリコン(24)を含み、前記第1溝構造(13)よりも前記デバイス領域(10、11)側で前記デバイス領域(10、11)を区画する第2溝構造(14)と、を含む、半導体装置(1A、1B、1C)。
【0174】
[A2]前記第1ポリシリコン(17)は、前記第1領域(6)に接続され、前記第2領域(7、8)から電気的に絶縁されるように前記第1絶縁膜(16)を挟んで前記第1溝(15)に埋設され、前記第2ポリシリコン(24)は、前記第1領域(6)に接続され、前記第2領域(7、8)から電気的に絶縁されるように前記第2絶縁膜(23)を挟んで前記第2溝(22)に埋設されている、A1に記載の半導体装置(1A、1B、1C)。
【0175】
[A3]前記第1ポリシリコン(17)内に形成された第1導電型(p型)の第1不純物領域(31)と、前記第2ポリシリコン(24)内に形成された第1導電型(p型)の第2不純物領域(34)と、をさらに含む、A1またはA2に記載の半導体装置(1A、1B、1C)。
【0176】
[A4]前記第1不純物領域(31)は、前記第1領域(6)に電気的に接続されるように前記第1溝(15)の底壁および前記pn接合部(9)の間の厚さ範囲に位置し、前記第2不純物領域(34)は、前記第1領域(6)に電気的に接続されるように前記第2溝(22)の底壁および前記pn接合部(9)の間の厚さ範囲に位置している、A3に記載の半導体装置(1A、1B、1C)。
【0177】
[A5]前記第2不純物領域(34)は、前記第2ポリシリコン(24)の上端部から下端部側に間隔を空けて前記第2ポリシリコン(24)の下端部側の領域に形成されている、A3またはA4に記載の半導体装置(1A、1B、1C)。
【0178】
[A6]前記第2不純物領域(34)は、前記pn接合部(9)の深さ位置を横切らないように前記第2ポリシリコン(24)の下端部側の領域に形成されている、A3~A5のいずれか一つに記載の半導体装置(1A、1B、1C)。
【0179】
[A7]前記第1不純物領域(31)は、前記pn接合部(9)の深さ位置を横切るように前記第1ポリシリコン(17)内に形成されている、A3~A6のいずれか一つに記載の半導体装置(1A、1B、1C)。
【0180】
[A8]前記第1不純物領域(31)は、前記第1ポリシリコン(17)の全域に形成されている、A3~A7のいずれか一つに記載の半導体装置(1A、1B、1C)。
【0181】
[A9]前記第2ポリシリコン(24)内において前記第2不純物領域(34)とは異なる領域に形成された第2導電型(n型)の第3不純物領域(35)をさらに含む、A3~A8のいずれか一つに記載の半導体装置(1A、1B、1C)。
【0182】
[A10]前記第3不純物領域(35)は、前記第2不純物領域(34)と第2pn接合部(36)を形成するように前記第2ポリシリコン(24)の内部に形成されている、A9に記載の半導体装置(1A、1B、1C)。
【0183】
[A11]前記第3不純物領域(35)は、前記pn接合部(9)の深さ位置に対して前記第2ポリシリコン(24)の下端部側の領域で前記第2不純物領域(34)と前記第2pn接合部(36)を形成している、A10に記載の半導体装置(1A、1B、1C)。
【0184】
[A12]前記第2ポリシリコン(24)内において前記第2不純物領域(34)よりも低い濃度で前記第2不純物領域(34)とは異なる領域に形成された抵抗領域(102)をさらに含む、A3~A8のいずれか一つに記載の半導体装置(1A、1B、1C)。
【0185】
[A13]前記抵抗領域(102)は、前記第1不純物領域(31)よりも低い濃度で前記第2ポリシリコン(24)の内部に形成されている、A12に記載の半導体装置(1A、1B、1C)。
【0186】
[A14]前記抵抗領域(102)は、前記第2ポリシリコン(24)の上端部側の領域に形成されている、A13に記載の半導体装置(1A、1B、1C)。
【0187】
[A15]前記抵抗領域(102)は、前記第2ポリシリコン(24)の不純物無添加領域からなる、A12~A14のいずれか一つに記載の半導体装置(1A、1B、1C)。
【0188】
[A16]前記第1溝構造(13)は、第1幅(W1)を有し、前記第2溝構造(14)は、前記第1幅(W1)未満の第2幅(W2)を有している、A1~A15のいずれか一つに記載の半導体装置(1A、1B、1C)。
【0189】
[B1]一方側の第1主面(3)および他方側の第2主面(4)を有するチップ(2)と、前記チップ(2)内の前記第2主面(4)側に形成された第1導電型(p型)の第1領域(6)と、前記チップ(2)内の前記第1主面(3)側に形成され、前記第1領域(6)とpn接合部(9)を形成する第2導電型(n型)の第2領域(7、8)と、前記第1主面(3)に設けられたデバイス領域(10、11)と、前記第1主面(3)から前記pn接合部(9)を貫通する第1溝(15)、前記第1溝(15)の壁面から前記第1領域(6)を露出させる第1絶縁膜(16)、および、前記第1絶縁膜(16)を挟んで前記第1溝(15)に埋設された第1ポリシリコン(17)を含み、前記デバイス領域(10、11)を区画する第1溝構造(13)と、前記第1主面(3)から前記pn接合部(9)を貫通する第2溝(22)、前記第2溝(22)の壁面から前記第1領域(6)を露出させる第2絶縁膜(23)、および、前記第2絶縁膜(23)を挟んで前記第2溝(22)に埋設された第2ポリシリコン(24)を含み、前記第1溝構造(13)よりも前記デバイス領域(10、11)側で前記デバイス領域(10、11)を区画する第2溝構造(14)と、前記第1ポリシリコン(17)内に形成された第1導電型(p型)の第1半導体領域(31)と、前記第2ポリシリコン(24)内に形成された第2導電型(n型)の第2半導体領域(35)と、含む、半導体装置(1A、1B、1C)。
【0190】
[B2]前記第1半導体領域(31)は、前記pn接合部(9)の深さ位置を横切るように前記第1ポリシリコン(17)内に形成され、前記第2半導体領域(35)は、前記pn接合部(9)の深さ位置を横切るように前記第2ポリシリコン(24)内に形成されている、B1に記載の半導体装置(1A、1B、1C)。
【0191】
[B3]前記第2ポリシリコン(24)内において前記第1領域(6)および前記第2半導体領域(35)の間に形成された第2pn接合部(36)をさらに含む、B1またはB2に記載の半導体装置(1A、1B、1C)。
【0192】
[B4]前記第2pn接合部(36)は、前記pn接合部(9)に対して逆バイアス接続されている、B3に記載の半導体装置(1A、1B、1C)。
【0193】
[B5]前記第2pn接合部(36)は、前記第1pn接合部(9)の深さ位置に対して前記溝(22)の底壁側の領域に位置している、B3またはB4に記載の半導体装置(1A、1B、1C)。
【0194】
[B6]前記第1溝構造(13)は、第1幅(W1)を有し、前記第2溝構造(14)は、前記第1幅(W1)未満の第2幅(W2)を有している、B1~B5のいずれか一つに記載の半導体装置(1A、1B、1C)。
【0195】
[C1]一方側の第1主面(3)および他方側の第2主面(4)を有するチップ(2)と、前記チップ(2)内の前記第2主面(4)側に形成された第1導電型(p型)の第1領域(6)と、前記チップ(2)内の前記第1主面(3)側に形成され、前記第1領域(6)とpn接合部(9)を形成する第2導電型(n型)の第2領域(7、8)と、前記第1主面(3)に設けられたデバイス領域(10、11)と、前記第1主面(3)から前記pn接合部(9)を貫通する第1溝(15)、前記第1溝(15)の壁面から前記第1領域(6)を露出させる第1絶縁膜(16)、および、前記第1絶縁膜(16)を挟んで前記第1溝(15)に埋設された第1ポリシリコン(17)を含み、前記デバイス領域(10、11)を区画する第1溝構造(13)と、前記第1主面(3)から前記pn接合部(9)を貫通する第2溝(22)、前記第2溝(22)の壁面から前記第1領域(6)を露出させる第2絶縁膜(23)、および、前記第2絶縁膜(23)を挟んで前記第2溝(22)に埋設された第2ポリシリコン(24)を含み、前記第1溝構造(13)よりも前記デバイス領域(10、11)側で前記デバイス領域(10、11)を区画する第2溝構造(14)と、前記第1ポリシリコン(17)内に形成された第1導電型(p型)の第1半導体領域(31)と、前記第1半導体領域(31)よりも低い濃度で前記第2ポリシリコン(24)内に形成された抵抗領域(102)と、含む、半導体装置(1A、1B、1C)。
【0196】
[C2]前記第1半導体領域(31)は、前記pn接合部(9)の深さ位置を横切るように前記第1ポリシリコン(17)内に形成され、前記抵抗領域(102)は、前記pn接合部(9)の深さ位置を横切るように前記第2ポリシリコン(24)内に形成されている、C1に記載の半導体装置(1A、1B、1C)。
【0197】
[C3]前記抵抗領域(102)は、前記第2ポリシリコン(24)の不純物無添加領域からなる、C1またはC2に記載の半導体装置(1A、1B、1C)。
【0198】
[C4]前記第1溝構造(13)は、第1幅(W1)を有し、前記第2溝構造(14)は、前記第1幅(W1)未満の第2幅(W2)を有している、C1~C3のいずれか一つに記載の半導体装置(1A、1B、1C)。
【0199】
[D1]主面(3)を有するチップ(2)と、前記主面(3)に沿って延びるように前記チップ(2)内に形成された第1pn接合部(9)と、前記主面(3)に設けられたデバイス領域(10、11)と、前記主面(3)から前記第1pn接合部(9)を貫通する溝(22)、前記溝(22)内で前記溝(22)の底壁を露出させる絶縁膜(23)、および、前記絶縁膜(23)を挟んで前記溝(22)に埋設されたポリシリコン(24)を含み、前記デバイス領域(10、11)を他の領域から区画する溝構造(14)と、前記ポリシリコン(24)内に形成された第2pn接合部(36)と、を含む、半導体装置(1A、1B、1C)。
【0200】
[D2]前記第2pn接合部(36)は、前記溝(22)の底壁を介して前記第1pn接合部(9)に逆バイアス接続されている、D1に記載の半導体装置(1A、1B、1C)。
【0201】
[D3]前記第2pn接合部(36)は、前記第1pn接合部(9)の深さ位置に対して前記溝(22)の底壁側の領域に位置している、D1またはD2に記載の半導体装置(1A、1B、1C)。
【0202】
[D4]前記第1pn接合部(9)から前記溝構造(14)の底壁までの距離は、前記第1pn接合部(9)から前記主面(3)までの距離よりも大きい、D1~D3のいずれか一つに記載の半導体装置(1A、1B、1C)。
【0203】
[E1]主面(3)を有するチップ(2)と、前記主面(3)に沿って延びるように前記チップ(2)内に形成されたpn接合部(9)と、前記主面(3)に設けられたデバイス領域(10、11)と、前記主面(3)から前記pn接合部(9)を貫通する溝(22)、前記溝(22)内で前記溝(22)の底壁を露出させる絶縁膜(23)、および、前記絶縁膜(23)を挟んで前記溝(22)に埋設されたポリシリコン(24)を含み、前記デバイス領域(10、11)を他の領域から区画する溝構造(14)と、前記ポリシリコン(24)内に形成された不純物無添加の抵抗領域(102)と、を含む、半導体装置(1A、1B、1C)。
【0204】
[E2]前記抵抗領域(102)は、前記pn接合部(9)の深さ位置を横切るように前記ポリシリコン(24)内に形成されている、E1に記載の半導体装置(1A、1B、1C)。
【0205】
[E3]前記pn接合部(9)から前記溝構造(14)の底壁までの距離は、前記pn接合部(9)から前記主面(3)までの距離よりも大きい、E1またはE2に記載の半導体装置(1A、1B、1C)。
【0206】
実施形態について詳細に説明してきたが、これらは技術的内容を明らかにするために用いられた具体例に過ぎず、本発明はこれらの具体例に限定して解釈されるべきではなく、本発明の範囲は添付の請求の範囲によって限定される。
【符号の説明】
【0207】
1A 半導体装置
1B 半導体装置
1C 半導体装置
2 チップ
3 第1主面
4 第2主面
6 第1領域
7 第2領域
8 第3領域
9 第1pn接合部
10 デバイス領域
11 トランジスタ領域(デバイス領域)
13 第1トレンチ構造(第1溝構造)
14 第2トレンチ構造(第2溝構造)
15 第1トレンチ(第1溝)
16 第1絶縁膜
17 第1ポリシリコン
22 第2トレンチ(第2溝)
23 第2絶縁膜
24 第2ポリシリコン
31 第1不純物領域
34 第2不純物領域
35 第3不純物領域
36 第2pn接合部
102 抵抗領域
W1 第1幅
W2 第2幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図7H
図7I
図7J
図7K
図7L
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図7N
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14