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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-26
(45)【発行日】2025-10-06
(54)【発明の名称】複合導光光学要素
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20250929BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20250929BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
H04N5/64 511A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023516468
(86)(22)【出願日】2021-10-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-20
(86)【国際出願番号】 IL2021051185
(87)【国際公開番号】W WO2022070197
(87)【国際公開日】2022-04-07
【審査請求日】2024-06-14
(31)【優先権主張番号】63/086,136
(32)【優先日】2020-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/114,110
(32)【優先日】2020-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518010049
【氏名又は名称】ルムス エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】Lumus Ltd.
【住所又は居所原語表記】8 Pinchas Sapir Street, 7403631 Ness Ziona, Israel
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ローネン,イータン
【審査官】鈴木 俊光
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0126056(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0210202(US,A1)
【文献】特開2020-101717(JP,A)
【文献】国際公開第2019/087576(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/162611(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01 - 27/02
H04N 5/64
H04N 13/344
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
観賞するためにユーザの方に画像を向けるための光学系であって、前記光学系は、
(a)透明な材料から形成されており、相互に平行な第1及び第2の主外面を有する導光光学要素(LOE)であって、前記第1及び第2の主外面は、前記第1及び第2の主外面での内部反射による画像の伝播を支援するためのものであり、前記LOEは、前記ユーザの眼の方に前記画像を結合出力するための結合出力配置を有し、前記LOEは、前記第1及び第2の主外面に斜めに配備された結合入力反射器を有する、導光光学要素(LOE)と、
(b)画像プロジェクタであって、画像を生成するための画像生成器と、前記画像をコリメートするためのコリメート光学素子と、前記画像の共役画像を生成する共役画像生成器と、を備え、前記画像プロジェクタは、前記第1の主外面に当たり、前記第1の主外面で内部反射を受けるよう偏向されるように前記コリメートされた画像を前記結合入力反射器に向けるように、かつ前記第2の主外面に当たり、前記第2の主外面で内部反射を受けるよう偏向されるように前記画像の共役画像を前記結合入力反射器に向けるように、前記LOEに結合され、前記コリメートされた画像及び前記共役画像は、前記第1の主外面又は第2の主外面のいずれかから反射される前に、前記結合入力反射器によって偏向される、画像プロジェクタと、を備える、光学系。
【請求項2】
前記共役画像生成器が、第2の画像生成器を備える、請求項1に記載の光学系。
【請求項3】
前記共役画像生成器が、前記第1及び第2の主外面に非平行な少なくとも1つの反射面を備える、請求項1に記載の光学系。
【請求項4】
前記共役画像生成器が、前記第1及び第2の主外面に垂直な少なくとも1つの反射面を備える、請求項1に記載の光学系。
【請求項5】
前記共役画像生成器が、2つの高反射面の間に、かつ前記2つの高反射面と平行に配備された少なくとも1つのビームスプリッタを備えるビーム増倍器を備える、請求項1に記載の光学系。
【請求項6】
前記ビーム増倍器が、前記高反射面のうちの少なくとも3つの間に挿入された前記ビームスプリッタのうちの少なくとも2つを備える、請求項5に記載の光学系。
【請求項7】
前記ビーム増倍器が、前記LOEの厚さとは異なる外厚を有する、請求項5に記載の光学系。
【請求項8】
前記ビーム増倍器の前記反射面が、階層構造の層の間の界面にある反射面であり、前記階層構造の外面が、前記ビーム増倍器の光学的に非機能な表面である、請求項5に記載の光学系。
【請求項9】
前記結合入力反射器が、前記第1及び第2の主外面に45度の角度で配備されている、請求項1に記載の光学系。
【請求項10】
前記共役画像生成器が、前記結合入力反射器に隣接する前記LOEを横断する反射面を備え、前記LOEを横断する前記反射面の一部が、角度選択性の反射面である、請求項1に記載の光学系。
【請求項11】
前記角度選択性の反射面が、前記結合入力反射器に隣接する前記LOEの屈折率よりも低い屈折率を有する光学接着剤を使用して実装されている、請求項10に記載の光学系。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学系に関し、特に、ユーザに画像を表示するための光学系に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な種類のディスプレイ、特にニアアイディスプレイ(NED)は、典型的には1つ以上の導波路を採用し、その導波路内で、画像が全内部反射(TIR)によって伝播するように画像プロジェクタから出射され、次いで、1つ以上の結合出力(coupling-out)要素(例えば、部分反射内部表面(「ファセット」)、回折格子など)を介して観察者の眼に向かって結合出力される。そのような導波路は、一対の平行な主外面を有する透明な基板から作られ、その一対の主外面が導波路の長さに沿って伸長し、それらの間で画像及びその共役体が反射される。画像はコリメートされた画像であることが好ましく、導波路は平面であることが好ましい。性能を最良化するためには、画像の各画素及び共役画像の各画素に対応する照明が導波路の厚さ内の(ユーザの眼に到達することができる出力画像に寄与する導波路の領域に対して)全ての点に存在するように、画像とその共役体の双方が導波路を完全に充填する必要がある。
【0003】
その導波路の充填は、入射された画像の主光線にほぼ垂直に配向された結合入力(coupling-in)面を有する結合入力プリズムを提供することによって達成することができ、それにより、共役画像を生成するように画像が導波路の1つの表面の伸長領域上に到達することが可能になる。しかしながら、特に、画像が主外面に対して比較的浅い角度(すなわち、表面の法線に90度近く)で入射される実装態様では、共役画像で導波路を充填するために必要な結合入力領域の長さを導波路の寸法に追加することが重要である。これは、導波路10への典型的な結合入力を示す図2Aに示されている。導波路基板から切断された、又は導波路基板に取り付けられた結合入力プリズム14を使用して、光線40、41を浅い角度で導波路に向ける。光線40、41が導波路内を伝播すると、光線41が導波路の上面から反射され、それによって光線40の共役体となる。図1から明らかなように、結合入力プリズムを用いても、導波路内に浅い光線の共役体を生成するためには、比較的大きな入力開口(したがって、より大きなプロジェクタ)が必要となる。
【0004】
図2Bに示される導波路を充填するための代替の手法では、主外面間の導波路の厚さを細分化し、かつ外面に平行な導波路の長さに沿って少なくとも一部の経路に延びる中間点付近で、導波路10の内部に50%ビームスプリッタ(又は「ミキサ」)13が採用される。ビームスプリッタは、光線を部分的に反射して、導波路内でその共役体(例えば、光線41)を生成するのに効果的であり、図2Aに示されるように、入力開口及びウェッジプリズム14をより小さくすることが可能になる。
【0005】
ミキサ13の存在によって、より小さいプロジェクタ開口及び結合プリズムが使用可能となるが、重要なこととして、ミキサ自体が導波路の寸法に追加される。ミキサ13に必要な最短の長さは、式lmini=w・tan(Φ)によって表すことができ、式中、wは導波路の幅であり、Φは(LOE主表面の法線に対して)視野角の伝播である。したがって、ミキサの最短の長さに対する上記の制約によって、ミキサを収容するために導波路をより長くすることが必要となる。更に、ミキサを導波路内に組み込むことは、導波路表面との平行性が必要となるために、導波路の製造においてより高い精度が必要となる。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、鑑賞するためにユーザの方に画像を向けるための光学系である。
【0007】
本発明の実施形態の教示によれば、観賞するためにユーザの方に画像を向けるための光学系が提供される。その光学系は、(a)透明な材料から形成されており、相互に平行な第1及び第2の主外面を有する導光光学要素(LOE)であって、第1及び第2の主外面は、第1及び第2の主外面での内部反射による画像の伝播を支援するためのものであり、LOEは、ユーザの眼の方に画像を結合出力するための結合出力配置を有し、LOEは結合入力開口を有する、LOEと、(b)画像プロジェクタであって、画像を生成するための画像生成器と、画像をコリメートするためのコリメート光学素子と、画像共役生成器と、を備え、画像プロジェクタは、コリメートされた画像及びその共役画像が第1又は第2の主外面のいずれかに当たる前に、コリメートされた画像及びその共役画像を結合入力開口に導入するように、入力開口に結合されている、画像プロジェクタと、を備える。
【0008】
本発明の一実施形態の更なる特徴によれば、画像共役生成器は、第2の画像生成器を備える。
【0009】
本発明の一実施形態の更なる特徴によれば、画像共役生成器は、第1及び第2の主外面と不連続的な少なくとも1つの反射面を備える。
【0010】
本発明の一実施形態の更なる特徴によれば、画像共役生成器は、第1及び第2の主外面に非平行な少なくとも1つの反射面を備える。
【0011】
本発明の一実施形態の更なる特徴によれば、画像共役生成器は、2つの反射面の間に、かつこれらの反射面と平行に配備された少なくとも1つのビームスプリッタを備えるビーム増倍器を備える。
【0012】
本発明の一実施形態の更なる特徴によれば、ビーム増倍器は、反射面のうちの少なくとも3つの間に挿入されたビームスプリッタのうちの少なくとも2つを備える。
【0013】
本発明の一実施形態の更なる特徴によれば、ビーム増倍器は、LOEの厚さとは異なる外厚を有する。
【0014】
本発明の一実施形態の更なる特徴によれば、ビーム増倍器の反射面は、階層構造の層の間の界面における反射面であり、階層構造の外面は、ビーム増倍器の光学的に非機能な表面である。
【0015】
本発明の一実施形態の更なる特徴によれば、LOEは、第1及び第2の主外面に斜めに配備された結合入力反射器を更に備え、第1の主外面に当たるようにコリメートされた画像を向け直すために、かつ、第2の主外面に当たるように共役画像を向け直すために結合入力反射器が配備されている。
【0016】
本発明の一実施形態の更なる特徴によれば、結合入力反射器は、第1及び第2の主外面に45度の角度で配備されている。
【0017】
本発明の一実施形態の更なる特徴によれば、画像共役生成器は、結合入力反射器に隣接するLOEを横断する反射面を備え、LOEを横断する反射面の一部は、角度選択性の反射面である。
【0018】
本発明の一実施形態の更なる特徴によれば、角度選択性の反射面は、結合入力反射器に隣接するLOEの屈折率よりも低い屈折率を有する光学接着剤を使用して実装されている。
【0019】
本発明の一態様によれば、複数の平行な界面を画定する透明なプレートのスタックを含む光学ビーム増倍器も提供される。これらの複数の平行な界面は、(a)N個の一組の反射器であって、Nは少なくとも3である、反射器と、(b)少なくともN-1個の一組の部分反射ビームスプリッタであって、ビームスプリッタの各々は、一組の反射器のうちの2つの隣接する反射器の間に挿入されている、部分反射ビームスプリッタと、を画定するコーティングを備える。
【図面の簡単な説明】
【0020】
発明を、添付の図面を参照して、実施例として本明細書に記載する。
図1A】本発明の教示に従って構築され、かつ動作可能である、導光光学要素(LOE)を使用して実装された光学系の概略等角図であり、それぞれトップダウン及び側面入射構成を示す。
図1B】本発明の教示に従って構築され、かつ動作可能である、導光光学要素(LOE)を使用して実装された光学系の概略等角図であり、それぞれトップダウン及び側面入射構成を示す。
図2A】結合入力プリズムを介してLOEへの画像の従来の結合入力を示す概略側面図である(上述)。
図2B】一体化されたビーム増倍器を有するLOEへの画像の従来の結合入力を示す概略側面図である(上述)。
図3】画像及び共役画像対のLOEへの結合入力を示す、図1A及び1Bの光学系の一部の概略側面図である。
図4A】ビーム増倍器を採用した本発明の代替の実装態様を示す、図1A及び1Bの光学系の一部の概略側面図である。
図4B図4Aのビーム増倍器の拡大概略図である。
図5】ビーム増倍器及び斜め角度の結合入力反射器を採用した本発明の代替の実装態様を示す、図1A及び1Bの光学系の一部の概略側面図である。
図6】ユーザの眼の方に向けられた画像の異なる部分の光線経路を示す、図5による本発明の実装態様のための光線追跡図である。
図7A図6からのLOEの結合入力領域の拡大部分図であり、各々は、単一の画像画素についての光線経路の半分のみを示しており、その画素についての対応する画像照明でLOEを充填することに寄与している。
図7B図6からのLOEの結合入力領域の拡大部分図であり、各々は、単一の画像画素についての光線経路の半分のみを示しており、その画素についての対応する画像照明でLOEを充填することに寄与している。
図8】角度選択性の反射器としてLOEの厚みを横断する反射器表面を採用した本発明の代替的な実装態様を示す、図1A及び1Bの光学系の一部の概略側面図である。
【0021】
発明を実施するための実施形態
本発明は、鑑賞するためにユーザの方に画像を向けるための光学系である。
【0022】
本発明の特定の実施形態では、仮想現実ディスプレイ、又はより好ましくは拡張現実ディスプレイであり得る、ヘッドアップディスプレイ、最も好ましくはニアアイディスプレイの目的で、光学開口拡大を達成するための導光光学要素(LOE)を含む光学系が提供される。
【0023】
LOE10を採用し、かつ概して100で示された本発明の一実施形態の教示に従ったニアアイディスプレイの形態のデバイスの例示的な実装態様が図1A及び1Bに概略的に示されている。ニアアイディスプレイ100は、LOE(互換的に「導波路」、「基板」又は「スラブ」と称される)10に画像が入射するように光学的に結合された小型画像プロジェクタ(又は「POD」)114を採用し、画像光は、相互に平行な一組の平面外表面での内部反射によって一次元で捕捉される。
【0024】
光学開口の拡大は、画像照明を連続的に向け直すための1つ以上の配置によってLOE10内で達成され、典型的には、相互に平行で、かつ画像光の伝播方向に斜めに傾斜した一組の部分反射面(互換的に「ファセット」と称される)を採用し、各連続するファセットが、画像光の一部分を偏向方向に偏向させる。一次元に開口を拡大するために、ファセットはまた、画像光をユーザの眼に向かって結合出力する。場合によっては、ここに示されるように、2次元の開口の拡大は、領域116内の第1の組のファセットを採用して、内部反射によって補足/誘導された画像照明を連続的にLOE内に向け直すことによって達成される。次いで、偏向された画像照明が、隣接する異なる基板として、又は単一の基板の継続部として実装され得る第2の基板領域118に入り、その中では、結合出力配置(例えば、更なる1組の部分反射ファセット)が、アイモーションボックス(EMB)として画定される領域内に位置する観察者の眼に向かって、画像照明の一部を連続的に結合出力し、それによって、ニ次元の光学開口の拡大が達成される。同様の機能が、当技術分野で周知であるように、領域116及び118の一方又は双方内で画像照明を向け直し、かつ/又は結合出力するための回折光学要素(DOE)を使用して得られ得る。
【0025】
デバイス全体は、各眼に対して個別に実装されてよく、各LOE10がユーザの対応する眼に対向する状態で、ユーザの頭部に対して支持されることが好ましくい。ここに示されたような1つの特に好ましいオプションでは、支持配置が、ユーザの耳に対してデバイスを支持するための側部120を有する眼鏡フレームとして実装される。ヘッドバンド、サンバイザ、又はヘルメットから吊り下げられたデバイスを含むがそれらに限定されない、その他の形態の支持配置も使用され得る。
【0026】
本明細書では、図面及び特許請求の範囲において、LOEの第1の領域の一般的な伸長方向において水平(図1A)又は垂直(図1B)に伸長するX軸、及びそれに垂直に、すなわち図1Aでは垂直に、かつ図1Bでは水平に伸長するY軸が参照される。非常に大雑把に言えば、第1のLOE、すなわちLOE10の第1の領域116は、X方向の開口拡大を達成すると考えられ得る。その一方で、第2のLOE、すなわちLOE10の第2の領域118は、Y方向の開口拡大を達成する。視野の異なる部分が伝播する角度方向の広がりの詳細については、以下でより正確に説明する。図1Aに示されたような配向は、LOEの主部(第2の領域)に入る画像照明が上縁部から入る「トップダウン」実装態様とみなされ得るが、その一方で、図1Bに示された配向は、ここではY軸と称される軸が水平に配備されている「側面入射」の実装態様とみなされ得ることに留意されたい。残りの図面では、本発明の特定の実施形態の様々な特徴が、図1Aと同様の「トップダウン」方向のコンテクストで示される。しかしながら、これらの特徴の全ては、側面入射の実装態様にも同様に適用可能であり、それもまた発明の範囲内にあることが理解されるべきである。特定の場合では、他の中間配向も適用可能であり、明示的に除外される場合を除き、本発明の範囲内に含まれる。ここに示される二次元拡大の実施形態は単なる例示であるが、本発明は、LOEによって単一次元の開口拡大のみが実行される実施形態にも適用可能である。
【0027】
ニアアイディスプレイ100は、典型的には、小型の搭載電池(図示せず)又はその他の好適な電源からの電力を採用して、典型的には画像プロジェクタ114を作動させるためのコントローラ122を含む、様々な追加の構成要素を含むことが理解されよう。コントローラ122は、当技術分野で全て周知であるように、画像プロジェクタを駆動するための少なくとも1つのプロセッサ又は処理回路などの全ての必要な電子部品を含むことが理解されよう。
【0028】
本発明の一態様は、コリメートされた画像及びその共役画像の双方を画像プロジェクタがLOE10に入射させるように配置された画像共役生成器を含む画像プロジェクタ114の実装態様に関する。画像共役生成器の様々な非限定的な実施例が、図3~8を参照して以下に本明細書に示される。
【0029】
したがって、図3を参照すると、鑑賞するためにユーザの方に画像を向けるための、図1の光学系の拡大概略部分図が示されている。光学系は、透明な材料から形成されており、相互に平行な第1及び第2の主外面11a及び11bを有する、LOE10を含む。第1及び第2の主外面11a及び11bは、それらの表面での内部反射による画像の伝播を支持するためのものである。LOE10はまた、ユーザの眼の方に画像を結合出力するための(上記のように、かつ、ここには示されていない図1の領域118内の)結合出力配置と、この場合、LOE10の側面エッジとして示される結合入力開口15と、を有する。
【0030】
本発明の本態様に従った画像プロジェクタ114は、画像共役対を生成するためにLOE10と一体化された構造に依拠する代わりに、コリメートされた画像又は共役画像のいずれかがLOE10の主外面11a及び11bのいずれかに当たる前に画像共役対を生成する画像共役生成器を含む。
【0031】
したがって、図3の実施例では、画像プロジェクタ114が、画像を生成するための画像生成器32と、画像をコリメートするためのコリメート光学素子31と、画像共役生成器(ここでは、共役画像を生成する第2の画像生成器33として実装される)と、を含む。ここに示された実施例では、画像生成器32及び33は、共通のコリメート光学素子31を共有する。画像プロジェクタ114は、コリメート画像又はその共役画像がLOE10の主外面11a及び11bのいずれかに当たる前に、コリメート画像及びその共役画像をLOE10内に直接導入するように、結合入力開口15に結合されている。
【0032】
この解決策は、主外面(又はこれらの表面と連続し、本明細書ではこの目的のためにLOEの主外面の一部であると定義される結合プリズムの表面)からの反射によって共役画像がLOE自体内で生成される、図2A及び2Bの結合入力配置と明らかに対照的であることが理解されるであろう。
【0033】
2つの画像生成器32及び33は、一方が反転した同じ画像を生成するように駆動され、各フィールドが双方のフィールドから同一に示されている。デバイスの組み立て中に、画像生成器上で2つの画像を移動させて、それらがLOE内で相補的共役画像として位置合わせされるようにするために、機械的調整によって、又はより好ましくは画像表示位置のデジタル補正によって、能動的位置合わせが使用されることが好ましい。したがって、LOEは、結合入力開口からLOE全体にわたって主画像とその共役の双方で「充填」され、そのような充填を達成するためにLOEの拡張を必要としない。
【0034】
本発明及び本発明の他の全ての実装態様では、画像生成器は、当該技術分野で知られている任意の種類のマイクロディスプレイ画像生成器であってもよい。好適な実施例には、LCDディスプレイなどの透過性SLMと、LCOSディスプレイなどの反射型SLMと、OLEDディスプレイなどの能動性発光ディスプレイと、を含む空間光変調器(SLM)が含まれるが、これらに限定されない。また、高速走査レーザビームがその走査運動と同期して変調される走査画像生成器は、本発明に従った画像生成器として使用され得る。
【0035】
本発明の他の実装態様では、第2の画像生成器33の代替として、共役画像を生成するために、画像共役生成器が主外面と不連続の少なくとも1つの反射面として実装される。そのような実装態様の様々な実施例が、図4A~8を参照して提示される。
【0036】
図4Aは、画像共役生成器が、導波路10の外部にあるビーム増倍器又は「ミキサ」構成20である実装態様を示す。それ自体が特許性のあると考えられるミキサ20の1つの特に好ましい実装態様では、より詳細には図4Bに示される。
【0037】
概念的には、ミキサ20は、図2Bのミキサ13と同様の機能を果たすが、この場合、導波路10の一部ではなく、LOE10と、画像生成器及びコリメート光学素子を含むプロジェクタユニット30と、の間に配置された画像プロジェクタアセンブリ114の組み立て品の一部である。この場合、プロジェクタユニット30は、1つの画像を生成する単一の画像生成器32を有し、その一方で、ミキサ20は、部分反射光線40によって画像共役対を作成して共役体(光線41)を作成する。次いで、画像ペアは、導波路に入射される。ミキサ20は導波路の外部にあるため、導波路に製造上の制約を受けることなく、組み立て中に導波路と能動的に整列され得る。ミキサ20は、ミラー22、24と、ビームスプリッタ23と、光学的品質である必要がなく、かつLOE外部表面と同一平面にある必要がない外面21と、の複数の層を含むことができる。これにより、構造における製造上の制約が大幅に簡素化される。
【0038】
ビーム増倍器20の構造に関し、本発明のビーム増倍器は、少なくとも1つの中間の高反射層の存在がミキサを一方が他方の上に積み重ねられた2つの独立したミキサに効果的に細分化することにより、以前の公開物に記載されているものとは区別される。したがって、光学ビーム増倍器20は、以下を画定するようにコーティングされた複数の平行な界面を規定する透明なプレートのスタックから形成されることが好ましい。
(a)N個の反射器の一組(Nは少なくとも3である)
(b)少なくともN-1個の一組の部分反射ビームスプリッタであり、ビームスプリッタの各々が、この一組の反射器の2つの隣接する反射器の間に挿入されている。
【0039】
この場合の「反射器」は高反射型であることが好ましく、これは、少なくともLOEに沿った伝播に関連する角度の範囲内で、投射光の少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、典型的には少なくとも95%を反射することを意味する。部分反射ビームスプリッタは、約50%の反射器(50%±10%)であることが好ましい。ビーム増倍器がユーザの視野外にある用途では、反射器及びビームスプリッタの双方が、金属コーティングを使用して実装され得ることが有利である。ビーム増倍器を介してシーンを鑑賞するために透明性が必要とされる場合、当該技術分野で既知のように、小さい(ほぼ直交)角度で比較的高い透明性を提供しながら、高角度で必要なレベルの反射率を提供するために、多層誘電体コーティングが使用される。
【0040】
中間の反射器は、ミキサを2つ(又はそれ以上)のサブミキサに効果的に細分化する。これにより、導波路を画像及びその共役で充填するためにミキサが必要とする長さが1/2だけ減少する。一実施例に従ったミキサ20の入出力開口は、図4Bに暗線として示されている。これらの開口は、ミキサの幅全体を充填する必要はない。実際には、階層構造の外部表面が光学的に非機能な表面である一方で、反射器及びビームスプリッタの全てが、透明なプレート間の内部界面に実装されることが有利であり得る。ここで、「光学的に非機能」とは、画像光が到達しない表面、又はそれらに到達する任意の画像光がその後にLOEに入力しない表面を指す。このような場合、外面は、研磨された表面である必要はなく、他の要素に平行である必要はない。したがって、図4Aに示されるように、ミキサ20の外形の厚さは、LOE10の厚さ(すなわち、第1の主外面11aと第2の主外面11bとの間の距離)とは異なり、典型的にはより大きくてもよい。LOEを充填するために、最外側の反射器22間の距離は、LOE厚さと一致するか、又はわずかに長い必要がある。
【0041】
ここで図5~8を参照すると、いくつかの実装態様では、外部画像共役生成器を使用することによって、折り返された光経路の使用が容易になり、それによって、組み立て品の側面からバルクが除去される。したがって、本発明の特定の実施形態によれば、コリメートされた画像を第1の主外面11aに当たるように、かつ、共役画像を第2の主外面11bに当たるように向け直すために、LOE20は第1及び第2の主外面に斜めに配備された結合入力反射器12を更に含む。結合入力反射器12は、ある角度の範囲で実装され得るが、第1及び第2の主外面に45度で配備され、それによって、画像プロジェクタの光軸が90度まで効果的に折り返されることが最も好ましい。従来の特定の結合入力構成とは異なり、反射器12は、LOE20の厚み内に具体的に配置され、その結果、一次画像とその共役画像の双方をそれぞれの上/下伝播方向に向かって偏向させることができる。
【0042】
図5は、外部のミキサ20が導波路に垂直に配置されるそのような構成の1つを示す。この場合、45度を有する反射性の結合入力面12は、ミキサが出力する画像を導波路内に折り込む。ウェッジプリズム25は、プリズム表面に垂直な角度で中央のFOV光をミキサに結合入力するために使用されることが好ましい。折り込むためには、ミキサの開口の幅は導波路の開口の幅よりも大きくなければならない。開口の正確なサイズは、表示光の角度FOV及び表面12の折り返し角度に依存する。この実施例では、幅が66%だけ増加している。
【0043】
この場合、ミキサ20は3つのサブミキサに分割されることに留意されたい。結果として、ミキサの長さを増加させる必要はない(前述のように、lmini=w・tan(Φ)/2であり、折り返した後に幅(w)が60%増加する)。したがって、ミキサは、外部ミラーファセット22の間の2つの内部ミラーファセット24によって3つのサブミキサに分割される。各サブミキサの中心平面には、ビームスプリッタ23が設けられる。
【0044】
図6は、図5のミキサを組み込んだ全体的な光学系の光路図を示す。画像生成器32上の3つの例示的な点(画素)は、レンズ31によってコリメートされて、プロジェクタユニット30から出力し、結合ウェッジプリズム25及びミキサ20に入る。ミキサは、画像全体及びその共役が結合入力反射器12によって導波路10内に結合されるように共役フィールドを生成する。この実施例では、光は、平行な一組の部分反射ファセット11によって、導波路からアイモーションボックス(EMB)200に結合される。ファセット11の例は1つの非限定的な実施例であり、結合出力の他の機構、例えば、ホログラフィック又はダイクロイック格子も可能であり、これらは本明細書の範囲内に含まれることに留意されたい。最後に、異なるフィールドの伝播角は非常に浅い場合があるが、ミキサ25とプロジェクタユニット30との間の入力開口は比較的小さいままであることがわかる。
【0045】
図7A及び7Bは、導波路内で伝播する画像(図7A)及びその共役(図7B)の2つの断面図を示す。図7Aと7Bとを重ねることにより、どのようにして導波路が画像及びその共役で完全に充填されるかがわかる。したがって、光均質化は、導波路内で達成される。この図は、LOEに沿った部分的な任意の位置に従って、照明を「画像」及び「共役」に細分化するが、光は、それが伝播するにつれてLOEの第1及び第2の主外面から反射されながら画像と共役との間で絶えず交換されることに留意されたい。本発明の1つの特に好ましい態様の特定の定義的特徴は、LOEの結合入力開口に入力し、結合入力反射器12に到達する照明が、画像と共役画像の双方で反射器を充填することを既に含み、そのうちの一方は、図示のように上方に向けられて第1の主外面11aに最初に当たり、他方は、図示のように下方に向けられて第2の主外面11bに最初に当たる点である。どの画像が「主画像」であり、どの画像が「共役画像」であるか、あるいは、どの表面が「第1の」又は「第2の」主外面と呼ばれるかの定義は任意であり、画像生成器によって生成される「主画像」が、様々な設計上の考慮事項のみに依存して、ユーザによって鑑賞されるべき画像であるか、又はその画像の反転されたバージョンであるかは、一般的に重要ではない。
【0046】
図7Bに見られるように、結合入力反射器12から反射されて下方に向けられる光線の一部は、ビーム増倍器20によって重複する領域内の第2の主外面11bに衝突することに留意されたい。その重複する領域でTIRを維持するために、デバイスは、要素の間に小さな空隙を設けることで組み立てられることが好ましく、又は、部品間に低屈折率な接着剤を用いて組み立てられることがより好ましい。特に、浅い角度で光線を伝播するために、LOEの材料と接着剤との間の屈折率の差は比較的小さいことは、TIRによる伝播している画像照明を保持する臨界角度を規定するのに十分である。代替的に、角度選択性の多層誘電体コーティングを、LOEと重複する領域に適用して、適切な内部反射特性を提供してもよい。
【0047】
ミキサ20を採用する上記の実施形態の全てにおいて、ミキサは、画像をLOE10に入射する前に光学系の一部を形成し、LOEの任意の表面の拡張を含まないため、本明細書では、プロジェクタ114の一部であると任意に定義される。製品の実用的な構造では、ミキサは、画像生成器とコリメート光学素子を組み合わせたプロジェクタユニット30と必ずしも一体化されておらず、場合によっては、プロジェクタユニットの位置決めの前にLOEに取り付けられることによってより便利に組み立てられ得る。
【0048】
図8は、本発明の特定の特に好ましい実装態様の更なる特徴を示す。この特徴によれば、画像共役生成器は、結合入力反射器12に隣接するLOE10の厚みを横断する反射面34を含む。LOEを横断する反射面34の一部121は、反射器12で反射される前にプロジェクタ114からLOEに入る光線を反射するように角度選択性の反射面として実装され、その一方で、反射器12によって既に反射されている光線を、すなわち、LOE20に沿って画像伝播に関連する角度で透過させる。ここでも、角度選択性の反射面が、結合入力反射器に隣接するLOEの屈折率よりも低い屈折率を有する光学接着剤を使用して実装され得ることが最も好都合である。それによって、反射器12での反射の前後の光線の投射角の間にある臨界角を提供する。角度選択性の多層誘電体コーティングの使用、又は空隙の含有などの上記の他のオプションも使用され得る。
【0049】
図8に示される非限定的な実施例では、プロジェクタ114は、外部のミキサを介してではなく、LOEの主外面に垂直な単一の伸長された反射面34を使用することによって共役画像を生成する。第1の主外面11aに向かって上方に偏向された一次画像に対応する、投影及びコリメートされた画像の一部は、結合入力反射器12に直接投射される。画像の別の部分は、表面34から反射し、それによって共役画像を生成し、その共役画像は結合入力反射器12によって第2の主外面11bに向かって下方に偏向される。反射面領域121は、共役画像での結合入力反射器12の充填に寄与し、その一方で、重複領域122は、(上記のように)重複領域内の下方に反射された共役画像光の漏れを回避するために、同様に処理されて角度選択性の反射を提供する。
【0050】
図8のプロジェクタ114の構造の他の態様は、偏光ビームスプリッタプリズムに基づく従来の反射型SLM画像プロジェクタで採用された原理に基づいている。具体的には、照明源40は、光がLCOS、DLPなどの反射性のSLM32に向かって反射されるPBSプリズム35に照明を導入する。反射された画像照明は、PBSを通過して4分の1波長プレート(図示せず)に関連付けられた反射コリメートレンズ310に到達し、その結果、コリメート及び反射された画像がPBSからLOE結合入力開口に向かって反射される。画像の一部が反射器12に直接投射されることによって、画像とその共役の双方を提供するための画像の倍増が上述したように達成され、その一方で、他の画像照明が最初に表面34から反射される。また、PBSからの反射の後に関連する角度でTIRを達成するために、表面34の下方に存在する反射レンズ310の領域に低指数接着剤などの角度選択性の反射コーティングを備えることが有利である。光学性能を向上させるために、フィールドレンズ313などの他のレンズを追加し得る。
【0051】
本実装態様では、プリズム面34が導波路10の主表面に直交し、反射レンズ310を出た(ここに図示した)2つの平行光線が導波路に入る前に共役になることが特に有利である。更に、ソース40からの照明の必要な入力方向は、導波路の主表面に対して約110度であり、それにより、眼鏡フレームの形成要因に適切に適合するように、デバイスの両側部に一体化されるべき構成部品間にわずかな発散を伴う高度な人間工学的設計にそれ自体が加えられることがわかる。
【0052】
角度選択性の反射特性を有する領域121でのLOEの厚みを横断する反射面34を使用することは、上記の本発明の他の実装態様にも適用可能である。例えば、図5~7Bのビーム増倍器20の反射器のうちの1つが、LOE20の厚みを横断する表面として実装される場合には、ビーム増倍器20の必要な光学入出力開口が著しく縮小され得る。その結果、設計がよりコンパクトになる。
【0053】
上記の説明は、実施例として機能することのみを意図しており、添付の特許請求の範囲で定義されるような本発明の範囲内で、他の多くの実施形態が可能であることが理解されるであろう。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図8