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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-26
(45)【発行日】2025-10-06
(54)【発明の名称】除雪機のブロア
(51)【国際特許分類】
   E01H 5/09 20060101AFI20250929BHJP
【FI】
E01H5/09 C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021156869
(22)【出願日】2021-09-27
(65)【公開番号】P2023047768
(43)【公開日】2023-04-06
【審査請求日】2024-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木元 拓真
(72)【発明者】
【氏名】張 信吾
(72)【発明者】
【氏名】秋山 正広
【審査官】高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-031120(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2021/0040701(US,A1)
【文献】特開2005-336923(JP,A)
【文献】特開2004-027663(JP,A)
【文献】特開2005-068689(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01H 5/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後に延びる軸線を有する伝達軸によって回転駆動され、オーガによって掻き集められた雪を遠心力で投射する除雪機のブロアであって、
前記伝達軸に固定される円盤部と、
前記軸線に対して略直交する面に沿って延在するプレート基部、及び前記プレート基部の回転方向後方の縁から前方に起立したガイド部を有し、前記円盤部の外周に周方向に所定間隔を於いて配置される複数の作業プレートと、
各作業プレートの前記ガイド部を回転方向後方から支持する支持プレートとを備え、
前記支持プレートが、前記円盤部の外縁及び前記ガイド部の回転方向後方の縁と協働して開口を画定し、
前記支持プレートが、前記円盤部の前記外縁から帯状をなして延出し、前記ガイド部に接合された外端を有する本体部を有し、
前記本体部が、前記円盤部の前記外縁から外端にかけて、前方に向けて湾曲している除雪機のブロア。
【請求項2】
前記支持プレートが、更に、前記本体部の前記外端から屈曲部を介して、前記ガイド部の径方向略中央に沿って前方に延出し、前記ガイド部に接合された補強部を含む請求項1に記載の除雪機のブロア。
【請求項3】
前記開口が、前記軸線を中心とする回転対称に配置されている請求項1又は2に記載の除雪機のブロア。
【請求項4】
前記円盤部が、正面視に於いて円形の輪郭を有する請求項1~3のいずれか一項に記載の除雪機のブロア。
【請求項5】
前記支持プレートが、前記開口を画定する内縁と、前記内縁に対して略平行をなす外縁とを有する請求項1~4のいずれか一項に記載の除雪機のブロア。
【請求項6】
前記支持プレートの前記内縁が、前記円盤部の前記外縁に対して略接線方向に延在する請求項5に記載の除雪機のブロア。
【請求項7】
前記ガイド部が、
前記円盤部の前記外縁から径方向外側に延びるガイド壁後部と、
前記ガイド壁後部の径方向外側の部分から前方に延びるガイド壁前部とを含む請求項1~6のいずれか一項に記載の除雪機のブロア。
【請求項8】
前記円盤部が、径方向内側にかけて前方に膨出する略円錐形状をなし、
前記ガイド部が、前記円盤部の前記外縁から径方向内側に延びる内側延出部を含み、
前記内側延出部が、前記円盤部の前面に接合されている請求項1~7のいずれか一項に記載の除雪機のブロア。
【請求項9】
前記円盤部及び前記支持プレートが、互いに一体をなす鋼板のプレス成型品である請求項1~8のいずれか一項に記載の除雪機のブロア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雪を遠心力で投射する除雪機のブロアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、除雪機として、左右に延びる軸線を有するオーガと、オーガを軸線周りに回転可能に支持するオーガハウジングと、オーガの後方に配置され、前後に延びるブロア駆動軸を中心に回転可能なブロアと、ブロアを回転可能に収容し、オーガハウジングに接続されたブロアハウジングと、ブロアハウジングに接続され、機体外に開口するシュータとを含むものが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載の除雪機のブロアは、略前後を向く主面を有するブロワ基板と、ブロワ基板の前面に放射状に配設された、径方向に延びる複数のブロワ羽根と、各ブロワ羽根を回転方向後方から支持すべく、各ブロワ羽根の先端の回転方向後方に配設された補強プレートとを有する。
【0004】
この除雪機に於いては、ユーザがエンジンを駆動させることにより、エンジンの出力軸に連結されたブロア駆動軸が回転し、ブロア及びオーガがそれぞれ回転する。オーガハウジング内の雪は、オーガの回転によりブロアハウジング内に導かれた後、ブロア(ブロワ羽根)の回転により遠心力で跳ね上げられ、シュータを介して機体外に排雪される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-041544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の除雪機のブロワは、回転の始動及び停止等の動作性が良好でないという問題点があった。
【0007】
本発明は、以上の背景に鑑み、除雪機のブロアに於いて、その排雪性能を維持しつつ、動作性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明のある態様は、前後に延びる軸線(X)を有する伝達軸(12)によって回転駆動され、オーガ(7)によって掻き集められた雪を遠心力で投射する除雪機(1)のブロア(27、100)であって、前記伝達軸に固定される円盤部(40)と、前記軸線に対して略直交する面に沿って延在するプレート基部(55)、及び前記プレート基部の回転方向後方の縁から起立したガイド部(56)を有し、前記円盤部の外周に周方向に所定間隔を於いて配置される複数の作業プレート(57)と、各作業プレートの前記ガイド部を回転方向後方から支持する支持プレート(64)とを備え、前記支持プレートが、前記円盤部の外縁及び前記ガイド部の回転方向後方の縁と協働して開口(65)を画定する除雪機のブロアを提供する。
【0009】
この態様によれば、円盤部、作業プレートのガイド部、及び対応する支持プレートの間に開口が設けられることでブロアが軽量化され、これにより、ブロアの排雪性能が維持されたまま、その動作性が向上する。
【0010】
上記の態様に於いて、前記開口が、前記軸線を中心とする回転対称に配置されているとよい。
【0011】
この態様によれば、ブロアが安定性良く回転できるため、ブロアの動作性が一層向上する。
【0012】
上記の態様に於いて、前記円盤部が、正面視に於いて円形の輪郭を有するとよい。
【0013】
この態様によれば、円盤部の加工が容易である上、円盤部が安定性良く回転できるため、ブロアの動作性が一層向上する。
【0014】
上記の態様に於いて、前記支持プレートが、前記開口を画定する内縁(72)と、前記内縁に対して略平行をなす外縁(73)とを有するとよい。
【0015】
この態様によれば、支持プレートの全体に均等に応力が加えられるため、支持プレートが作業プレートを強固に支持することができる。
【0016】
上記の態様に於いて、前記支持プレートの前記内縁が、前記円盤部の前記外縁に対して略接線方向に延在するとよい。
【0017】
この態様によれば、支持プレートに発生する応力を低減させることができ、ブロアの耐久性が向上する。
【0018】
上記の態様に於いて、前記ガイド部が、前記円盤部の前記外縁から径方向外側に延びるガイド壁後部(59)と、前記ガイド壁後部の径方向外側の部分から前方に延びるガイド壁前部(60)とを含み、前記支持プレートが、前記円盤部の前記外縁から延出し、前記ガイド部に接合された外端を有する本体部(68)と、前記本体部の前記外端から屈曲部(69)を介して、前記ガイド壁前部の径方向略中央に沿って前方に延出し、前記ガイド壁前部に接合された補強部(70)とを含むとよい。
【0019】
上記の態様に於いて、前記円盤部が、径方向内側にかけて前方に膨出する略円錐形状をなし、前記ガイド部が、前記円盤部の外縁から径方向内側に延びる内側延出部(62)を含み、前記内側延出部が、前記円盤部の前面に接合されているとよい。
【0020】
この態様によれば、作業プレートの剛性が向上する。
【0021】
上記の態様に於いて、前記円盤部及び前記支持プレートが、互いに一体をなす鋼板のプレス成型品であるとよい。
【0022】
この態様によれば、ブロアの製造を容易にすることができる。
【0023】
この態様によれば、本体部がガイド部に接合され、かつガイド壁前部の径方向略中央に沿って前方に延出する補強部がガイド壁前部に接合されていることにより、支持プレートが作業プレートを一層強固に支持することができる。
【0024】
上記の態様に於いて、前記支持プレートが、前記円盤部の前記外縁から外端にかけて、前方に向けて湾曲しているとよい。
【0025】
この態様によれば、支持プレート及び円盤部を一体成型するための型を簡素化することができるため、ブロアの製造が一層容易となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、除雪機の
ブロアの排雪性能を維持しつつ、ブロアの動作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明に係るブロアを含む除雪機の側面図
図2】本発明に係るブロアの斜視図
図3】本発明に係るブロアの正面図
図4】本発明に係るブロアを、ブロアの回転方向前方から見た図
図5】本発明に係るブロアを、軸線Xについて径方向外側から見た図
図6】本発明に係るブロアの変形例を示す正面図
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る除雪機1について説明する。以下、前後、左右、上下等の方向を示す用語は、除雪機1を操作する作業者から見た方向を基準として用いる。また、図1に付した矢印Frは、除雪機1の前方を示す。
【0029】
まず、図1を参照しつつ、除雪機1の全体の構成について説明する。
【0030】
除雪機1は、その後方で作業者が歩行しながら除雪作業を行う歩行型の除雪機である。除雪機1は、その骨格を構成する機体3と、機体3の左右両側に設けられた一対の走行装置4(図1では機体3の左側に設けられた走行装置4のみを表示)と、機体3の後方に設けられたハンドル装置5と、機体3の前方に設けられたブロア装置6と、ブロア装置6の前方に設けられたオーガ装置7と、を有する。
【0031】
機体3の上部には、内燃機関10(以下、「エンジン10」と称する)が支持されている。他の実施形態として、エンジン10の代わりに、電動モータ等の他の適切な駆動源を用いてもよい。エンジン10は、前後方向に延びる軸線回りに回転可能なクランク軸11(図1ではその前端部のみを表示)を有する。なお、他の実施形態では、クランク軸11は、上下方向に延びる軸線回りに回転可能であっても良い。機体3の下部前方には、前後方向に延びる軸線回りに回転可能な伝達軸12が設けられている。伝達軸12は、減速機構(図示せず)を介してクランク軸11に接続されている。
【0032】
各走行装置4は、走行用モータ14と、走行用モータ14に接続された駆動輪15と、駆動輪15の後方に設けられた従動輪16と、駆動輪15及び従動輪16に巻き掛けられたクローラベルト17と、を有する。なお、他の実施形態では、従動輪16が駆動輪15の前方に設けられていても良い。
【0033】
ハンドル装置5は、機体3の下部から後上方へ延びる左右のアーム20(図1では左のアーム20のみを表示)と、左右のアーム20の上端部に取り付けられた入力装置21と、を有する。各アーム20の上端部には、作業者が把持するグリップ20aが設けられている。入力装置21は、作業者による入力操作を受け付ける装置である。入力装置21は、例えば、除雪機1の走行操作を受け付ける走行レバー22と、ブロア装置6及びオーガ装置7の稼働操作を受け付ける除雪スイッチ23と、グリップ20aに近接して配置されたデッドマンクラッチ24とを有する。
【0034】
ブロア装置6は、機体3の前部に固定されたブロアハウジング26と、ブロアハウジング26に収容されたブロア27と、ブロアハウジング26の上端から上方に延びるシュータ28と、を有する。ブロア27は、伝達軸12の後部に固定されている。なお、ブロア装置6の詳細については後述する。
【0035】
オーガ装置7は、ブロアハウジング26の前部に固定されたオーガハウジング31と、オーガハウジング31に収容されたトランスミッション32と、オーガハウジング31に回転可能に支持されたオーガ軸33と、オーガ軸33に固定されたオーガ爪34と、を有する。オーガ軸33は、トランスミッション32を介して伝達軸12に接続されている。
【0036】
次に、除雪機1の全体の動作について説明する。
【0037】
作業者が入力装置21の走行レバー22に対して除雪機1の走行操作を行うと、各走行装置4の走行用モータ14が回転する。走行用モータ14の回転は、駆動輪15を介してクローラベルト17に伝達され、クローラベルト17が周回する。これにより、除雪機1が走行する。
【0038】
また、作業者が入力装置21の除雪スイッチ23に対してブロア装置6及びオーガ装置7の稼働操作を行うと、エンジン10のクランク軸11が回転する。クランク軸11の回転は、減速機構(図示せず)を介して伝達軸12に伝達され、伝達軸12とブロア27が一体的に回転する。伝達軸12の回転は、トランスミッション32を介してオーガ軸33に伝達され、オーガ軸33とオーガ爪34が一体的に回転する。オーガ爪34が回転すると、除雪機1の前方の雪がオーガ爪34によって破砕され、オーガハウジング31の左右方向中央に集められる。この集められた雪は、ブロアハウジング26に導入され、ブロア27によってシュータ28を介して所望の方向に投射される。
【0039】
次に、本実施形態に係るブロア装置6のブロア27について、図2図5を参照して詳述する。
【0040】
図2図5に示すように、ブロア27は、伝達軸12(図4)に固定された円盤部40を有する。伝達軸12及び円盤部40は、前後に延びる軸線Xに対して同軸的に配置されている。円盤部40は、軸線Xに対して略直交する面に沿って延在する主面41(図4)を有する。円盤部40は、径方向内側にかけて、主面41に対して前方に膨出する略円錐形状をなす。これにより、図3に示すように、円盤部40は、正面視に於いて円形の輪郭を有する。円盤部40の外縁には、径方向フランジをなすリム42が設けられている。
【0041】
円盤部40の中心には、前後に延びる略筒形状に形成されたカラー44が設けられている。カラー44の径方向内側には、伝達軸12を挿通するための、円盤部40を前後に貫通する挿通孔45が画定されている。カラー44の前端には、径方向フランジ46が形成されている。フランジ46の周方向に於ける一部は、他部と比較して径方向外側により延出し、フランジ延出部47を形成している。フランジ延出部47には、フランジ延出部47を前後に貫通する締結孔が設けられている。
【0042】
伝達軸12には、フランジ46と略同形を有し、かつフランジ延出部47の締結孔に対応する締結孔を備えたフランジ50(図4)が形成されている。フランジ46及びフランジ50は互いに密接し、両締結孔を通過するボルト51にナット52を螺合することによって互いに締結されている。これにより、伝達軸12及び円盤部40は、軸線Xを中心として一体的に回転することとなる。本実施形態では、伝達軸12及び円盤部40は、前方から見て反時計回りに回転する。他の実施形態として、伝達軸12及び円盤部40は、前方から見て時計回りに回転してもよい。
【0043】
図2に示すように、ブロア27は、更に、円盤部40の外周に周方向に所定間隔を於いて配置された複数の作業プレート57を含む。各作業プレート57は、軸線Xに対して略直交する面に沿って延在するプレート基部55と、プレート基部55の回転方向後方の縁から起立したガイド部56とを有する。本実施形態では、3枚の作業プレート57が、互いに約120度の間隔を於いて円盤部40の外縁に溶接され、その接合部に於いてビード58が形成されている。
【0044】
プレート基部55は、前後に薄い略板形状を有する。図3に示すように、プレート基部55の回転方向後方の縁は、プレート基部55の外縁の回転方向後端と円盤部40の中心とを結ぶ直線に対し、径方向内側にかけて回転方向前方に傾斜している。すなわち、プレート基部55の径方向内側の縁が径方向外側の縁よりも回転方向前方に配置されることにより、作業プレート57が回転方向に対する後退角を有するように形成されている。プレート基部55の回転方向前方の縁は、径方向外側にかけて回転方向後方に傾斜している。また、図4に示すように、プレート基部55の後端は、円盤部40の外縁から径方向外側にかけてやや後方に傾斜している。
【0045】
図2に示すように、ガイド部56は、プレート基部55の回転方向後方の縁から略前方に延び、プレート基部55に対して略垂直をなす。ガイド部56は、周方向に薄い略板形状を有する。図4に併せて示すように、ガイド部56は、円盤部40の外縁から径方向外側に延びるガイド壁後部59と、ガイド壁後部59の径方向外側の部分から前方に延びるガイド壁前部60とを含む。これにより、ガイド部56は、回転方向前方から見て略L字状に形成されている。ガイド壁前部60の前端からは、回転方向前方に向けて爪部61が延びている。爪部61は、ガイド部56に対して略垂直をなす。爪部61は、前後に薄い略板形状を有する。
【0046】
ガイド部56は、更に、円盤部40の外縁から径方向内側に延びる内側延出部62を含む。本実施形態では、内側延出部62は、円盤部40の外縁に接続されたガイド壁後部59の内縁から径方向内側に向けて延びている。内側延出部62の先端は、円盤部40のカラー44よりも径方向外側に配置されている。内側延出部62は、ガイド壁後部59及びガイド壁前部60と略同一平面上に配置されている。内側延出部62は、円盤部40の前面に接合されている。本実施形態では、内側延出部62は、円盤部40の前面に溶接され、その回転方向後方側の接合部に於いてビード63が形成されている。
【0047】
ブロア27は、更に、各作業プレート57のガイド部56を回転方向後方から支持する支持プレート64を含む。支持プレート64は、円盤部40の外縁に於ける隣接する作業プレート57間に、周方向に所定間隔を於いて配置されている。本実施形態では、円盤部40及び支持プレート64は、互いに一体をなす鋼板のプレス成型品である。
【0048】
支持プレート64は、円盤部40の外縁から延出し、ガイド部56に接合された外端を有する本体部68を含む。本体部68は、円盤部40のリム42の外縁から延びている。本体部68は、円盤部40の外縁から外端にかけて、前方に向けて湾曲している。別の実施形態として、本体部68は、円盤部40の外縁から外端にかけて、軸線Xに対して略直交する面に沿って延在してもよい。本体部68の外端には、屈曲部69を介してガイド壁前部60の径方向略中央に沿って前方に延出する補強部70が設けられている。支持プレート64の本体部68及び補強部70はガイド壁前部60に接合されている。
【0049】
図2及び図3に示すように、支持プレート64は、円盤部40の外縁及びガイド部56の回転方向後方の縁と協働して、開口65を画定している。本実施形態では、本体部68は、開口65を画定する内縁72と、内縁72に対して略平行をなす外縁73とを有する。すなわち、開口65は、本体部68の内縁72、対応するガイド部56の回転方向後方の縁、及び円盤部40の外縁により画定されている。内縁72は、円盤部40の外縁に対して略接線方向に延在する。
【0050】
図3に示すように、開口65は、正面視に於いて略三角形状を有しており、その全てが円盤部40の外縁より径方向外側に配置されている。また、開口65は、軸線Xを中心とする回転対称に配置されている。
【0051】
図4及び図5に示すように、支持プレート64の補強部70は、屈曲部69の外縁から略前方に延びている。本体部68の外端及び補強部70は、前側及び径方向内側の縁に於いてガイド壁前部60に溶接され、これによりビード71aが形成されている。また、屈曲部69は、その径方向外側の縁に於いてガイド壁前部60に溶接され、これによりビード71bが形成されている。
【0052】
次に、本実施形態に係るブロア27の効果を説明する。
【0053】
図3に示すように、支持プレート64は、円盤部40の外縁及びガイド部56の回転方向後方の縁と協働して開口65を画定している。これにより、ブロア27が軽量化されるため、ブロア27の排雪性能が維持されたまま、その動作性が向上される。また、開口65が軸線Xを中心とする回転対象に配置されているため、ブロア27が安定性良く回転でき、ブロア27の動作性が一層向上されている。更に、円盤部40が正面視に於いて円形の輪郭を有するため、円盤部40の加工が容易である上、円盤部40が安定性良く回転でき、ブロア27の動作性が一層向上されている。
【0054】
支持プレート64は、開口65を画定する内縁72と、内縁72に対して略平行をなす外縁73とを有する。これにより、支持プレート64の全体に均等に応力が加えられるため、支持プレート64が作業プレート57を強固に支持することができる。また、支持プレート64の本体部68がガイド部56に接合され、かつガイド壁前部60の径方向略中央に沿って前方に延出する補強部70がガイド壁前部60に接合されているため、支持プレート64が作業プレート57を一層強固に支持することができる。
【0055】
図4に示すように、円盤部40は、径方向内側にかけて前方に膨出する略円錐形状をなし、ガイド部56は、円盤部40の外縁から径方向内側に延びて円盤部40の前面に接合された内側延出部62を含む。これにより、作業プレート57の剛性が向上されている。また、更に、図3に示すように、支持プレート64の内縁72は、円盤部40の外縁に対して略接線方向に延在する。これにより、支持プレート64に発生する応力を低減させることができ、ブロア27の耐久性が向上されている。
【0056】
円盤部40及び支持プレート64が互いに一体をなす鋼板のプレス成型品であるため、ブロア27の製造が容易である。また、支持プレート64が、円盤部40の外縁から外端にかけて、前方に向けて湾曲している。これにより、支持プレート64及び円盤部40を一体成型するための型を簡素化することができるため、ブロア27の製造が一層容易となる。
【0057】
次に、本発明のブロア27に係る変形例について、図6を参照して詳述する。図6に示された変形例に係るブロア100は、ブロア27と比較して円盤部101及び支持プレート102のみが異なる。以下では、上記実施形態と異なる部分を説明し、他の部分について説明を省略する。
【0058】
第1変形例に係る円盤部101及び支持プレート102は、互いに別個のプレス成型品である。円盤部101及び支持プレート102は、その接合部を溶接することにより接合されている。これにより、円盤部101及び支持プレート102の接合部には、ビード103が形成されている。これにより、両部材の寸法が小さくなるうえ、形状が簡素になるため、材料費が低廉化される。
【0059】
以上で具体的な実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、円盤部40に設けられる作業プレート57、及び対応する支持プレート64の数は、2以上の任意の適切な数であってもよい。また、隣接する内側延出部62同士は、溶接などの適切な方法を用いて互いに接合されてもよい。或いは、内側延出部62同士を一体的に形成することにより、複数の作業プレート57が一体的に形成されてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 :除雪機
6 :ブロア装置
7 :オーガ装置
12 :伝達軸
27 :ブロア
40 :円盤部
55 :プレート基部
56 :ガイド部
57 :作業プレート
59 :ガイド壁後部
60 :ガイド壁前部
62 :内側延出部
64 :支持プレート
65 :開口
68 :本体部
69 :屈曲部
70 :補強部
72 :内縁
73 :外縁
100 :ブロア
101 :円盤部
102 :支持プレート
103 :ビード
X :軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6