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特許7749522欠陥検査装置、欠陥検査方法、および欠陥検査プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-26
(45)【発行日】2025-10-06
(54)【発明の名称】欠陥検査装置、欠陥検査方法、および欠陥検査プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/956 20060101AFI20250929BHJP
【FI】
G01N21/956 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022114214
(22)【出願日】2022-07-15
(65)【公開番号】P2024011895
(43)【公開日】2024-01-25
【審査請求日】2024-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森谷 章
【審査官】貝沼 憲司
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-022421(JP,A)
【文献】特開平09-005255(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N21/84-G01N21/956
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象を撮影した検査画像および前記検査対象の設計時の基準画像を取得する取得部と、
前記検査画像および前記基準画像に応じた評価対象画像を生成する評価対象画像生成部と、
前記評価対象画像に含まれる第1閾値以上の画素値の画素が連続する画像領域に応じた欠陥候補領域の特徴量に基づいて、画素ごとに欠陥推定値を規定した欠陥推定画像を生成する欠陥推定画像生成部と、
前記欠陥推定画像を前記評価対象画像とした欠陥推定画像生成処理を繰り返すように前記欠陥推定画像生成部を制御する繰り返し制御部と、
を備え
前記欠陥推定画像生成部は、
前記評価対象画像に含まれる前記第1閾値以上の画素値の画素が連続する前記画像領域に応じた前記欠陥候補領域を特定する特定部と、
前記評価対象画像における特定された前記欠陥候補領域の特徴量を算出する特徴量算出部と、
第2閾値を用いて前記特徴量を補正した補正特徴量を算出する補正特徴量算出部と、
前記評価対象画像および前記補正特徴量を用いて前記欠陥推定画像を生成する欠陥判定部と、
を有し、
前記欠陥候補領域の特徴量は、前記評価対象画像における前記欠陥候補領域を構成する画素の特徴値の群によって表され、
前記補正特徴量算出部は、
前記評価対象画像における前記欠陥候補領域を構成する画素の内、前記第2閾値未満の前記特徴値を0に補正した後の前記特徴量を、前記補正特徴量として算出する、
欠陥検査装置。
【請求項2】
前記繰り返し制御部は、
前記欠陥判定部によって生成された前記欠陥推定画像を、次回の前記欠陥推定画像生成処理に用いる前記評価対象画像とし、前記欠陥候補領域の特定処理、前記特徴量の算出処理、前記補正特徴量の算出処理、および前記欠陥推定画像の生成処理、を順に実行する一連の処理である前記欠陥推定画像生成処理を、予め定められた終了条件を満たすと判断するまで繰り返すように前記欠陥推定画像生成部を制御する、
請求項に記載の欠陥検査装置。
【請求項3】
前記終了条件は、
前記欠陥推定画像生成処理の繰り返し実行回数が所定回数以上、
前記欠陥推定画像に含まれる前記欠陥候補領域の数が所定数以下、
および、
前記欠陥推定画像生成処理の前回実行時に生成された前記欠陥推定画像と前記欠陥推定画像生成処理の今回実行時に生成された前記欠陥推定画像とが一致する回数が所定回数以上、
の少なくとも1つの条件である、
請求項に記載の欠陥検査装置。
【請求項4】
前記基準画像に含まれる第3閾値以上の画素値の画素が連続するパターン領域を特定するパターン領域特定部を備え、
前記特定部は、
前記評価対象画像における前記画像領域の内、同一の前記パターン領域に重複する複数の前記画像領域を1つの前記欠陥候補領域として特定する、
請求項に記載の欠陥検査装置。
【請求項5】
前記特定部は、
前記評価対象画像における、同一の前記パターン領域に重複する複数の前記画像領域の内、前記特徴量が最も大きい前記画像領域である最大特徴量領域と、前記最大特徴量領域の重心座標との重心座標間の距離が所定値以下の前記画像領域と、を1つの前記欠陥候補領域として特定する、
請求項に記載の欠陥検査装置。
【請求項6】
前記補正特徴量算出部は、
予め定められた前記第2閾値の初期値を、前記欠陥推定画像生成処理の繰り返しごとに更新する、
請求項に記載の欠陥検査装置。
【請求項7】
前記補正特徴量算出部は、
前記評価対象画像に含まれる1または複数の前記欠陥候補領域の各々の前記補正特徴量のばらつき、1または複数の前記欠陥候補領域の前記補正特徴量の最大値、および前記欠陥推定画像生成処理の繰り返し回数、の少なくとも1つに比例した前記第2閾値となるように、前記欠陥推定画像生成処理の繰り返しごとに前記第2閾値を更新する、
請求項に記載の欠陥検査装置。
【請求項8】
前記欠陥判定部は、
前記評価対象画像における前記欠陥候補領域に含まれる画素ごとに、画素値と該画素の属する前記欠陥候補領域の前記補正特徴量との乗算値に応じた前記欠陥推定値を規定した、前記欠陥推定画像を生成する、
請求項に記載の欠陥検査装置。
【請求項9】
前記評価対象画像生成部は、
前記検査画像と前記基準画像との差分画像を、前記評価対象画像として生成する、
請求項1に記載の欠陥検査装置。
【請求項10】
検査対象を撮影した検査画像および前記検査対象の設計時の基準画像を取得する取得ステップと、
前記検査画像および前記基準画像に応じた評価対象画像を生成する評価対象画像生成ステップと、
前記評価対象画像に含まれる第1閾値以上の画素値の画素が連続する画像領域に応じた欠陥候補領域の特徴量に基づいて、画素ごとに欠陥推定値を規定した欠陥推定画像を生成する欠陥推定画像生成ステップと、
前記欠陥推定画像を前記評価対象画像とした欠陥推定画像生成処理を繰り返すように制御する繰り返し制御ステップと、
を含み、
前記欠陥推定画像生成ステップは、
前記評価対象画像に含まれる前記第1閾値以上の画素値の画素が連続する前記画像領域に応じた前記欠陥候補領域を特定する特定ステップと、
前記評価対象画像における特定された前記欠陥候補領域の特徴量を算出する特徴量算出ステップと、
第2閾値を用いて前記特徴量を補正した補正特徴量を算出する補正特徴量算出ステップと、
前記評価対象画像および前記補正特徴量を用いて前記欠陥推定画像を生成する欠陥判定ステップと、
を有し、
前記欠陥候補領域の特徴量は、前記評価対象画像における前記欠陥候補領域を構成する画素の特徴値の群によって表され、
前記補正特徴量算出ステップは、
前記評価対象画像における前記欠陥候補領域を構成する画素の内、前記第2閾値未満の前記特徴値を0に補正した後の前記特徴量を、前記補正特徴量として算出する、
欠陥検査方法。
【請求項11】
コンピュータに実行させるための欠陥検査プログラムであって、
検査対象を撮影した検査画像および前記検査対象の設計時の基準画像を取得する取得ステップと、
前記検査画像および前記基準画像に応じた評価対象画像を生成する評価対象画像生成ステップと、
前記評価対象画像に含まれる第1閾値以上の画素値の画素が連続する画像領域に応じた欠陥候補領域の特徴量に基づいて、画素ごとに欠陥推定値を規定した欠陥推定画像を生成する欠陥推定画像生成ステップと、
前記欠陥推定画像を前記評価対象画像とした欠陥推定画像生成処理を繰り返すように制御する繰り返し制御ステップと、
を含み、
前記欠陥推定画像生成ステップは、
前記評価対象画像に含まれる前記第1閾値以上の画素値の画素が連続する前記画像領域に応じた前記欠陥候補領域を特定する特定ステップと、
前記評価対象画像における特定された前記欠陥候補領域の特徴量を算出する特徴量算出ステップと、
第2閾値を用いて前記特徴量を補正した補正特徴量を算出する補正特徴量算出ステップと、
前記評価対象画像および前記補正特徴量を用いて前記欠陥推定画像を生成する欠陥判定ステップと、
を有し、
前記欠陥候補領域の特徴量は、前記評価対象画像における前記欠陥候補領域を構成する画素の特徴値の群によって表され、
前記補正特徴量算出ステップは、
前記評価対象画像における前記欠陥候補領域を構成する画素の内、前記第2閾値未満の前記特徴値を0に補正した後の前記特徴量を、前記補正特徴量として算出する、
欠陥検査プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、欠陥検査装置、欠陥検査方法、および欠陥検査プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体マスクパターンやプリント基板等の検査対象を撮影した検査画像を用いて、検査対象の欠陥領域を判定するシステムが知られている。例えば、検査画像と検査対象の設計時の基準画像とを比較し、画像に含まれるエッジ形状の変化に基づいて欠陥領域を判定する技術が開示されている。また、検査画像に複数のフィルタ処理を施すことによって多次元の特徴画像を生成し、多次元の特徴画像から欠陥を検出する技術が開示されている。
【0003】
しかしながら、エッジ形状の変化に基づいた判定技術では判定対象のパターンおよび欠陥の形状が限定され、判定対象以外の形状のパターンおよび欠陥を含む検査画像に含まれる欠陥領域を判定することは困難であった。また、多次元の特徴画像を用いる技術では、検査画像に含まれるノイズや検出条件等の影響により、欠陥ではない疑似欠陥を欠陥として検出する場合があった。すなわち、従来技術では、欠陥領域を高精度に検査することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6358351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、欠陥領域の検査精度の向上を図ることができる、欠陥検査装置、欠陥検査方法、および欠陥検査プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の欠陥検査装置は、取得部と、評価対象画像生成部と、欠陥推定画像生成部と、繰り返し制御部と、を備える。取得部は、検査対象を撮影した検査画像および前記検査対象の設計時の基準画像を取得する。評価対象画像生成部は、前記検査画像および前記基準画像に応じた評価対象画像を生成する。欠陥推定画像生成部は、前記評価対象画像に含まれる第1閾値以上の画素値の画素が連続する画像領域に応じた欠陥候補領域の特徴量に基づいて、画素ごとに欠陥推定値を規定した欠陥推定画像を生成する。繰り返し制御部は、前記欠陥推定画像を前記評価対象画像とした欠陥推定画像生成処理を繰り返すように前記欠陥推定画像生成部を制御する。前記欠陥推定画像生成部は、前記評価対象画像に含まれる前記第1閾値以上の画素値の画素が連続する前記画像領域に応じた前記欠陥候補領域を特定する特定部と、前記評価対象画像における特定された前記欠陥候補領域の特徴量を算出する特徴量算出部と、第2閾値を用いて前記特徴量を補正した補正特徴量を算出する補正特徴量算出部と、前記評価対象画像および前記補正特徴量を用いて前記欠陥推定画像を生成する欠陥判定部と、を有し、前記欠陥候補領域の特徴量は、前記評価対象画像における前記欠陥候補領域を構成する画素の特徴値の群によって表され、前記補正特徴量算出部は、前記評価対象画像における前記欠陥候補領域を構成する画素の内、前記第2閾値未満の前記特徴値を0に補正した後の前記特徴量を、前記補正特徴量として算出する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】欠陥検査装置のブロック図。
図2A】基準画像の模式図。
図2B】検査画像の模式図。
図3A】パターン領域の説明図。
図3B】基準画像の模式図。
図4】評価対象画像の説明図。
図5A】欠陥候補領域の特定の説明図。
図5B】欠陥候補領域の特定の説明図。
図5C】欠陥候補領域の特定の説明図。
図6A】欠陥推定画像の模式図。
図6B】欠陥推定画像の模式図。
図7】情報処理の流れのフローチャート。
図8】ハードウェア構成図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、本実施形態の欠陥検査装置、欠陥検査方法、および欠陥検査プログラムを詳細に説明する。
【0009】
図1は、本実施形態の欠陥検査装置10の構成の一例を示すブロック図である。
【0010】
欠陥検査装置10は、検査対象を撮影した検査画像を用いて、検査画像に含まれる欠陥領域を検査するための情報処理装置である。検査対象および検査画像の詳細は後述する。
【0011】
欠陥検査装置10は、撮影部12と、記憶部14と、通信部16と、UI(ユーザ・インタフェース)部18と、制御部20と、を備える。撮影部12、記憶部14、通信部16、UI部18、および制御部20は、バス19等を介して通信可能に接続されている。
【0012】
撮影部12は、撮影によって撮影画像データを取得する。以下では、撮影画像データを、撮影画像と称して説明する。記憶部14は、各種の情報を記憶する。
【0013】
通信部16は、欠陥検査装置10の外部の情報処理装置と通信するめの通信インターフェースである。例えば、通信部16は、Ethernet(登録商標)等の有線ネットワーク、Wi-Fi(Wireless Fidelity)またはBluetooth(登録商標)等の無線ネットワーク、等により外部の情報処理装置や電子機器と通信する。
【0014】
UI部18は、出力部18Aおよび入力部18Bを含む。
【0015】
出力部18Aは、各種の情報を出力する。出力部18Aは、例えば、ディスプレイである表示部、スピーカ、投影装置等である。入力部18Bは、ユーザによる操作指示を受付ける。入力部18Bは、例えば、マウスおよびタッチパッドなどのポインティングデバイス、キーボード、等である。UI部18は、出力部18Aと入力部18Bとを一体的に構成したタッチパネルであってもよい。
【0016】
制御部20は、欠陥検査装置10において情報処理を実行する。制御部20は、取得部20Aと、パターン領域特定部20Bと、評価対象画像生成部20Cと、欠陥推定画像生成部20Dと、繰り返し制御部20Iと、出力制御部20Jと、を備える。欠陥推定画像生成部20Dは、特定部20Eと、特徴量算出部20Fと、補正特徴量算出部20Gと、欠陥判定部20Hと、を含む。
【0017】
取得部20A、パターン領域特定部20B、評価対象画像生成部20C、欠陥推定画像生成部20D、特定部20E、特徴量算出部20F、補正特徴量算出部20G、欠陥判定部20H、繰り返し制御部20I、および出力制御部20Jは、例えば、1または複数のプロセッサにより実現される。例えば上記各部は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサにプログラムを実行させること、すなわちソフトウェアにより実現してもよい。上記各部は、専用のICなどのプロセッサ、すなわちハードウェアにより実現してもよい。上記各部は、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現してもよい。複数のプロセッサを用いる場合、各プロセッサは、各部のうち1つを実現してもよいし、各部のうち2以上を実現してもよい。
【0018】
なお、制御部20含まれる上記各部の内の少なくとも1つを、ネットワーク等を介して欠陥検査装置10に通信可能に接続された外部の情報処理装置に搭載した構成としてもよい。また、記憶部14に記憶される各種の情報の内の少なくとも1つを、ネットワーク等を介して欠陥検査装置10に通信可能に接続された外部の記憶装置に記憶してもよい。また、撮影部12、記憶部14、およびUI部18の少なくとも一つを、欠陥検査装置10に対して通信可能に接続された外部の情報処理装置に搭載した構成としてもよい。この場合、外部に搭載した構成要素と欠陥検査装置10とを含むシステムを、欠陥検査装置システムとして構成すればよい。
【0019】
取得部20Aは、検査対象を撮影した検査画像および検査対象の設計時の基準画像を取得する。
【0020】
検査対象とは、欠陥検査の対象となる物である。例えば、検査対象は、設計データによって表される仕様に沿って製造システム等によって製造された物である。検査対象は、具体的には、例えば、パターンプリント基板、半導体マスクパターン、金属板、鋼帯、等であるが、これらに限定されない。
【0021】
本実施形態では、検査対象が、半導体マスクパターンである形態を一例として説明する。また、本実施形態では、検査対象が、設計データによって表される仕様に沿って製造システム等によって製造された物である形態を一例として説明する。
【0022】
図2Aは、基準画像30Aの一例の模式図である。基準画像30Aは、基準画像30の一例である。
【0023】
基準画像30とは、検査対象の設計時の画像である。言い換えると、基準画像30とは、欠陥やノイズを含まない理想的な検査対象の画像である。上述したように、本実施形態では、検査対象は、設計データによって表される仕様に沿って製造システム等によって製造される。例えば、外部の情報処理装置は、設計データに沿って仮想的に製造された2次元または3次元の仮想検査対象の仮想検査対象データを生成し、仮想検査対象データによって表される仮想検査対象を所定方向から仮想的に撮影した画像を、基準画像30として生成する。なお、欠陥検査装置10の制御部20が、設計データを用いて予め基準画像30を生成してもよい。本実施形態では、予め生成された基準画像30が記憶部14に記憶されている形態を一例として説明する。
【0024】
図2Bは、検査画像40Aの一例の模式図である。検査画像40Aは、検査画像40の一例である。
【0025】
検査画像40とは、検査対象を撮影した撮影画像である。検査対象の撮影方向と、基準画像30の生成に用いられた仮想検査対象の撮影方向である上記所定方向とは、一致する。例えば、取得部20Aは、撮影部12から検査画像40を取得する。また、取得部20Aは、記憶部14から検査画像40を読取ることで、検査画像40を取得してもよい。また、取得部20Aは、通信部16を介して外部の情報処理装置から検査画像40を取得してもよい。
【0026】
検査対象が設計データを忠実に再現するように製造され、且つ検査対象にゴミ等の付着、損傷、位置ずれ、変形、などの欠陥が含まれない場合、および撮影画像にノイズが含まれない場合、検査画像40と基準画像30とは一致した画像となる可能性が高い。しかし、実際には、検査画像40には欠陥やノイズが含まれる場合がある。
【0027】
そこで、本実施形態の欠陥検査装置10は、検査画像40に含まれる欠陥を表す欠陥領域を高精度に検査する。
【0028】
図1に戻り説明を続ける。
【0029】
パターン領域特定部20Bは、基準画像30に含まれるパターン領域を特定する。
【0030】
図3Aは、パターン領域の特定の一例の説明図である。図3Aは、基準画像30Aの一例の模式図である。
【0031】
例えば、パターン領域特定部20Bは、基準画像30Aに含まれる第3閾値以上の画素値の画素が連続する領域を、パターン領域として特定する。第3閾値は、予め定めればよい。例えば、第3閾値には、検査対象の設計データによって表される仕様、検査対象の検査仕様、等に応じて予め定めればよい。また、第3閾値は、ユーザによるUI部18の操作指示等によって適宜変更可能としてもよい。
【0032】
詳細には、パターン領域特定部20Bは、基準画像30Aに含まれる画素の各々の画素値を読取る。そして、パターン領域特定部20Bは、基準画像30Aに含まれる画素の内、第3閾値以上の画素値の画素が連続する領域を、パターン領域Pとして特定する。画素が連続する領域とは、画像上において画素が隣接してつながるように配置された領域を意味する。なお、パターン領域Pは、1または複数の画素の群からなる領域であればよく、複数の画素からなる領域に限定されない。
【0033】
図3Aには、パターン領域特定部20Bが、パターン領域Pとしてパターン領域P1およびパターン領域P2を特定した状態を一例として示す。パターン領域特定部20Bは、特定したパターン領域Pの各々にラベルLを付与することでラベリングを行う。図3Aには、パターン領域P1にラベルL1、パターン領域P2にラベルL2を付与した形態を一例として示す。
【0034】
ラベリングを行うことで、パターン領域Pの各々の基準画像30Aにおける位置が特定される。基準画像30Aにおける位置は、例えば、ラベルLを付与されたパターン領域Pに含まれる各画素の画素位置、各画素の位置座標、パターン領域Pの重心座標、などによって表される。
【0035】
例えば、パターン領域特定部20Bは、特定したパターン領域Pごとに、ラベルLと、ラベルLを付与されたパターン領域Pに含まれる各画素の画素位置または位置座標と、を対応づけて記憶部14に記憶する。パターン領域PのラベルLを、ラベルLのID(識別情報)と、パターン領域Pに含まれる各画素の画素位置または位置座標と、を含む情報として扱ってもよい。また、ラベルLは、上述したように、パターン領域Pの重心座標を更に含んだ情報であってもよい。
【0036】
なお、図3Aには、基準画像30に含まれるパターン領域Pの形状が矩形状である形態を一例として示す。しかし、基準画像30に含まれるパターン領域Pの形状は、矩形に限定されない。
【0037】
図3Bは、基準画像30Bの一例の模式図である。基準画像30Bは、基準画像30の一例である。図3Bに示すように、基準画像30Bには、円形状などの矩形状以外の形状のパターン領域Pが含まれていてもよい。矩形形状以外の形状のパターン領域Pが含まれる場合についても、パターン領域特定部20Bは同様の処理によりパターン領域Pを特定すればよい。
【0038】
図3Bには、パターン領域特定部20Bが、パターン領域Pとしてパターン領域P1、パターン領域P2、およびパターン領域P3を特定した状態を一例として示す。パターン領域特定部20Bは、特定したパターン領域Pの各々にラベルLを付与することでラベリングを行う。図3Bには、パターン領域P1にラベルL1、パターン領域P2にラベルL2、パターン領域P3にラベルL3を付与した形態を一例として示す。
【0039】
図1に戻り説明を続ける。
【0040】
評価対象画像生成部20Cは、基準画像30および検査画像40に応じた評価対象画像を生成する。
【0041】
図4は、評価対象画像50Aの生成の一例の説明図である。評価対象画像50Aは、評価対象画像50の一例である。
【0042】
評価対象画像50とは、検査画像40の欠陥評価の対象として用いる画像である。評価対象画像生成部20Cは、1つの基準画像30と1つの検査画像40とから1つの評価対象画像50を生成する。詳細には、評価対象画像生成部20Cは、基準画像30と検査画像40との差分画像、または基準画像30と検査画像40との合成画像を、評価対象画像50として生成する。
【0043】
差分画像とは、基準画像30を構成する各画素の画素値と、検査画像40を構成する各画素の画素値と、の同じ画素位置ごとの画素値の差を、画素ごとに規定した画像である。また、差分画像は、この画素値の差に対して、予め定めた重み値の付与、飽和処理、等を施した後の値を画素ごとに規定した画像であってもよい。
【0044】
合成画像とは、基準画像30を構成する各画素の画素値と、検査画像40を構成する各画素の画素値と、の同じ画素位置の画素値の合成値を、画素ごとに規定した画像である。合成値には、加算値、乗算値、加算値または乗算値に重み付けの付与や飽和処理等を施した値等を用いればよい。
【0045】
本実施形態では、評価対象画像生成部20Cは、基準画像30と検査画像40との差分画像を評価対象画像50として生成する形態を一例として説明する。図4には、基準画像30Aと検査画像40Aとの差分画像を評価対象画像50Aとして示す。
【0046】
詳細には、評価対象画像生成部20Cは、例えば、基準画像30Aを構成する各画素の画素値と、検査画像40Aを構成する各画素の画素値と、の同じ画素位置の画素値の差を算出する。そして、評価対象画像生成部20Cは、画素値の差が0である画素の画素値として、「画像ダイナミックレンジ/2」を表す設定値Hを設定する。画像ダイナミックレンジは、基準画像30Aまたは検査画像40Aのダイナミックレンジである。なお、基準画像30Aおよび検査画像40Aのダイナミックレンジは同一であるものとして説明する。
【0047】
そして、評価対象画像生成部20Cは、画素ごとに算出した画素値の差の各々に対して、画素値の差が0である場合の上記設定値Hを基準として0から最大画素値-1の範囲の値となるように飽和処理を行う。そして、評価対象画像生成部20Cは、画素値の差に対して飽和処理を行った後の値を、該画素位置の画素の画素値として設定する。これらの処理により、評価対象画像生成部20Cは、評価対象画像50を生成する。
【0048】
図1に戻り説明を続ける。
【0049】
欠陥推定画像生成部20Dは、評価対象画像50に含まれる第1閾値以上の画素値の画素が連続する画像領域に応じた欠陥候補領域の特徴量に基づいて、画素ごとに欠陥推定値を規定した欠陥推定画像を生成する。
【0050】
欠陥推定画像生成部20Dは、特定部20Eと、特徴量算出部20Fと、補正特徴量算出部20Gと、欠陥判定部20Hと、を有する。
【0051】
特定部20Eは、評価対象画像50に含まれる第1閾値以上の画素値の画素が連続する画像領域に応じた欠陥候補領域を特定する。
【0052】
図5Aは、特定部20Eによる欠陥候補領域Dの特定の一例の説明図である。図5Aには、評価対象画像50Aを一例として示す。
【0053】
特定部20Eは、評価対象画像50Aに含まれる画素の各々の画素値を読取る。そして、特定部20Eは、評価対象画像50Aに含まれる画素の内、第1閾値以上の画素値の画素が連続する画像領域Qを特定する。なお、画像領域Qは、1または複数の画素の群からなる領域であればよく、複数の画素からなる領域に限定されない。
【0054】
第1閾値は、予め定めればよい。例えば、第1閾値には、検査対象の種類、検査対象に要求される欠陥検査精度、評価対象画像50Aの生成方法、等に応じて予め定めればよい。また、第1閾値は、ユーザによるUI部18の操作指示等によって適宜変更可能としてもよい。
【0055】
図5Aには、特定部20Eが、評価対象画像50Aに含まれる画像領域Qとして、画像領域Q1~画像領域Q5を特定した場面を一例として示す。
【0056】
例えば、特定部20Eは、特定した画像領域Qを欠陥候補領域Dとして特定する。詳細には、図5Aには、画像領域Q1~画像領域Q5の各々を、それぞれ、欠陥候補領域D1~欠陥候補領域D5として特定した場面を一例として示す。
【0057】
そして、特定部20Eは、特定した欠陥候補領域Dの各々にラベルLを付与することでラベリングを行う。図5Aには、欠陥候補領域D1~欠陥候補領域D5の各々に、ラベルLA~ラベルLEをそれぞれ付与した場面を一例として示す。
【0058】
特定部20Eがラベリングを行うことで、欠陥候補領域Dの評価対象画像50Aにおける位置、欠陥候補領域Dを構成する画素の画素数、欠陥候補領域Dに含まれる画素の画素値、欠陥候補領域Dに含まれる画素の画素値の内の最大画素値、などが特定される。欠陥候補領域Dの評価対象画像50Aにおける位置は、例えば、ラベルLを付与された欠陥候補領域Dに含まれる各画素の画素位置、各画素の位置座標、欠陥候補領域Dの重心座標、などによって表される。
【0059】
例えば、特定部20Eは、特定した欠陥候補領域Dごとに、ラベルLと、欠陥候補領域Dの評価対象画像50Aにおける位置、欠陥候補領域Dを構成する画素の画素数、欠陥候補領域Dに含まれる画素の画素値、および欠陥候補領域Dに含まれる画素の画素値の内の最大画素値と、を対応付けて記憶部14に記憶する。なお、欠陥候補領域DのラベルLを、ラベルLのID(識別情報)と、欠陥候補領域Dの評価対象画像50Aにおける位置、欠陥候補領域Dを構成する画素の画素数、欠陥候補領域Dに含まれる画素の画素値、および欠陥候補領域Dに含まれる画素の画素値の内の最大画素値と、を含む情報として扱ってもよい。
【0060】
特定部20Eは、評価対象画像50における画像領域Qの内、同一のパターン領域Pに重複する複数の画像領域Qを1つの欠陥候補領域Dとして特定することが好ましい。
【0061】
図5Bおよび図5Cは、欠陥候補領域Dの特定の一例の説明図である。図5Aおよび図5Bには、評価対象画像50Bを一例として示す。評価対象画像50Bは、評価対象画像50の一例である。
【0062】
例えば、特定部20Eが、評価対象画像50Bに含まれる画素の内、第1閾値以上の画素値の画素が連続する画像領域Qとして、画像領域Q1~画像領域Q4を特定した場面を想定する。
【0063】
特定部20Eは、パターン領域特定部20Bによって特定されたパターン領域Pを、評価対象画像50Bにおけるパターン領域Pによって示される同じ画素位置に配置することで、評価対象画像50B上にパターン領域Pを仮想配置する。図5Bには、ラベルL1を付与されたパターン領域P1およびラベルL2を付与されたパターン領域P2を仮想配置した場面を一例として示す。
【0064】
そして、特定部20Eは、評価対象画像50Bにおける画像領域Q1~画像領域Q4の内、同一のパターン領域Pに重複する複数の画像領域Qを1つの欠陥候補領域Dとして特定する。
【0065】
詳細には、特定部20Eは、同じパターン領域Pに重複する複数の画像領域Qを特定する。図5Bに示す例の場合、特定部20Eは、ラベルL1を付与されたパターン領域P1に重複する画像領域Qとして、画像領域Q1、画像領域Q2、および画像領域Q3を特定する。
【0066】
パターン領域Pに重複するとは、画像領域Qの内の少なくとも一部の領域がパターン領域Pに重複することを意味する。なお、1つの画像領域Qが異なる複数のパターン領域Pに重複して配置されている場合がある。この場合、重複する複数のパターン領域Pの内、画像領域Qとの重複面積が最大のパターン領域Pを、該画像領域Qが重複するパターン領域Pとして特定すればよい。
【0067】
そして、特定部20Eは、評価対象画像50Bにおける、同一のパターン領域P1に重複する複数の画像領域Q(画像領域Q1~画像領域Q3)の内、重心座標間の距離が所定値以下の画像領域Qを、1つの欠陥候補領域Dとして特定する。この所定値は、予め定めればよい。また、この所定値は、ユーザによるUI部18の操作指示などによって適宜変更可能としてもよい。
【0068】
また、特定部20Eは、評価対象画像50Bにおける、同一のパターン領域P1に重複する複数の画像領域Q(画像領域Q1~画像領域Q3)の内、特徴量が最も大きい画像領域Qである最大特徴量領域と、最大特徴量領域の重心座標との重心座標間の距離が所定値以下の他の画像領域Qと、を1つの欠陥候補領域Dとして特定してもよい。この所定値は、予め定めればよい。また、この所定値は、ユーザによるUI部18の操作指示などによって適宜変更可能としてもよい。
【0069】
画像領域Qの特徴量は、後述する特徴量算出部20Fと同様にして算出すればよい。
【0070】
例えば、パターン領域P1に重複する画像領域Q1~画像領域Q3の内、画像領域Q2の特徴量が最も大きい場合を想定する。この場合、特定部20Eは、画像領域Q2の重心座標と、該パターン領域P1に重複する他の画像領域Qである画像領域Q1および画像領域Q3の各々の重心座標と、の距離を算出する。例えば、画像領域Q2の重心座標と画像領域Q1の重心座標との距離が所定値以下である場合を想定する。また、画像領域Q2の重心座標と画像領域Q3の重心座標との距離が所定値を超える値である場合を想定する。
【0071】
この場合、図5Cに示すように、特定部20Eは、画像領域Q2と画像領域Q1とを1つの欠陥候補領域D1として特定する。そして、特定部20Eは、画像領域Q2と画像領域Q1とからなる欠陥候補領域D1に、ラベルLとして例えばラベルLAを付与する。そして、特定部20Eは、他の画像領域Qの各々(画像領域Q3、画像領域Q4)を、それぞれ別の欠陥候補領域D(欠陥候補領域D2、欠陥候補領域D3)として特定し、ラベルL(ラベルLB、ラベルLC)を付与する。
【0072】
このように、特定部20Eは、評価対象画像50における画像領域Qの内、同一のパターン領域Pに重複する複数の画像領域Qを1つの欠陥候補領域Dとして特定してよい。
【0073】
図1に戻り説明を続ける。
【0074】
特徴量算出部20Fは、評価対象画像50における特定された欠陥候補領域Dの特徴量を算出する。
【0075】
欠陥候補領域Dの特徴量は、評価対象画像50における欠陥候補領域Dを構成する画素の各々の特徴値の群によって表される。特徴値の群は、具体的には、例えば、特徴値の分布、特徴値の最大値、特徴値の数すなわち欠陥候補領域Dを構成する画素の数または画素群によって表される面積、特徴値の導出に用いた基準画像30と検査画像40との画素値の差分の最大値、等を表す。
【0076】
特徴量算出部20Fは、評価対象画像50に含まれる欠陥候補領域Dに画像処理フィルタによるフィルタ処理を施すことで、欠陥候補領域Dの特徴量を算出する。
【0077】
画像処理フィルタには、評価対象画像50に含まれるパターンとノイズとを分類可能なフィルタを用いればよい。評価対象画像50に含まれるパターンとは、評価対象画像50におけるパターン領域Pに相当する領域である。
【0078】
特徴量算出部20Fは、画像処理フィルタとして、例えば、Gaussian Filter、DoG(Difference of Gaussian)、などの画像処理フィルタを用いる。また、特徴量算出部20Fは、Gaussian Filter、DoGなどの複数種類のフィルタを組み合わせて画像処理フィルタとして用いてもよい。また、特徴量算出部20Fは、画像処理フィルタとして、ウェーブレット変換など周波数空間上のフィルタを用いてもよい。
【0079】
特徴量算出部20Fは、評価対象画像50に含まれる欠陥候補領域Dに画像処理フィルタによるフィルタ処理を施すことで、欠陥候補領域Dに含まれる画素の各々の特徴値を求める。そして、特徴量算出部20Fは、欠陥候補領域Dに含まれる画素の各々の特徴値の群によって表される特徴量を、評価対象画像50に含まれる欠陥候補領域Dごとに算出する。
【0080】
補正特徴量算出部20Gは、第2閾値を用いて特徴量を補正した補正特徴量を算出する。
【0081】
上述したように、特徴量は評価対象画像50における欠陥候補領域Dを構成する画素の特徴値の群によって表される。
【0082】
補正特徴量算出部20Gは、評価対象画像50における欠陥候補領域Dごとに、欠陥候補領域Dを構成する画素の内、第2閾値未値の特徴値を0に補正する。そして、補正特徴量算出部20Gは、補正した後の特徴値の群によって表される特徴量を、補正特徴量として算出する。
【0083】
例えば、補正特徴量算出部20Gは、欠陥候補領域Dを構成する画素の各々の特徴値を、第2閾値を用いた上記処理によって補正し、欠陥候補領域Dを構成する画素の各々の補正後の特徴値の合計値を、該欠陥候補領域Dの補正特徴量として算出する。
【0084】
このとき、補正特徴量算出部20Gは、ノイズ低減のために、例えばGaussian Filterなどの処理によって欠陥候補領域Dに含まれる各画素の補正後の特徴値を平滑化した後に、平滑化後の特徴値の合計値を、該欠陥候補領域Dの補正特徴量として算出してもよい。
【0085】
なお、補正特徴量算出部20Gは、評価対象画像生成部20Cが実行する欠陥推定画像生成処理の繰り返しごとに、第2閾値を更新してもよい。
【0086】
欠陥推定画像生成処理とは、欠陥推定画像生成部20Dに含まれる特定部20E、特徴量算出部20F、補正特徴量算出部20G、および欠陥判定部20Hによる一連の処理である。詳細には、欠陥推定画像生成処理は、特定部20Eによる欠陥候補領域Dの特定処理、特徴量算出部20Fによる特徴量の算出処理、補正特徴量算出部20Gによる補正特徴量の算出処理、および、後述する欠陥判定部20Hによる欠陥推定画像の生成処理、を順に実行する一連の処理である。
【0087】
詳細は後述するが、本実施形態では、欠陥推定画像生成部20Dは、後述する繰り返し制御部20Iによる制御によって、上記一連の処理である欠陥推定画像生成処理を繰り返す。
【0088】
補正特徴量算出部20Gは、1つの評価対象画像50に対する第1回目の欠陥推定画像生成処理時には、例えば、予め定められた初期値を第2閾値として設定する。第2閾値の初期値は、例えば、”0”等であるが、この値に限定されない。
【0089】
そして、補正特徴量算出部20Gは、予め定められた第2閾値の初期値を、欠陥推定画像生成処理の繰り返しごとに更新する。詳細には、補正特徴量算出部20Gは、今回処理対象として用いた評価対象画像50に含まれる1または複数の欠陥候補領域Dの各々の補正特徴量のばらつき、1または複数の欠陥候補領域Dの補正特徴量の最大値、および欠陥推定画像生成処理の繰り返し回数の少なくとも1つに比例した第2閾値となるように、欠陥推定画像生成処理の繰り返しごとに第2閾値を更新する。
【0090】
補正特徴量算出部20Gによって更新された第2閾値は、次回の欠陥推定画像生成処理時の第2閾値として用いられる。
【0091】
次に、欠陥判定部20Hについて説明する。欠陥判定部20Hは、評価対象画像50および欠陥候補領域Dの補正特徴量を用いて、欠陥推定画像を生成する。
【0092】
図6Aは、欠陥推定画像60の一例を示す模式図である。欠陥推定画像60は、画素ごとに画素値として欠陥推定値を規定した画像である。言い換えると、欠陥推定画像60は、評価対象画像50の画素値を、欠陥推定値に置換した画像である。
【0093】
例えば、欠陥判定部20Hは、評価対象画像50における欠陥候補領域Dに含まれる画素ごとに、評価対象画像50の該欠陥候補領域Dの該画素の画素値と該画素の属する欠陥候補領域Dの補正特徴量との乗算値に応じた欠陥推定値を規定した、欠陥推定画像60を生成する。
【0094】
詳細には、欠陥判定部20Hは、欠陥推定画像60を構成する座標(x,y)の位置の画素の欠陥推定値を、下記式(1)を用いて算出する。
【0095】
E(x,y)=α×P(x,y)×W(labelF(x,y)) ・・・式(1)
【0096】
式(1)中、E(x,y)は、座標(x,y)の位置の画素の欠陥推定値を表す。αは、調整係数を表す。P(x,y)は、評価対象画像50の座標(x,y)の画素値を表す。labelF(x,y)は、座標(x,y)の画素が属する欠陥候補領域Dの補正特徴量を表す。Wは、欠陥候補領域Dの補正特徴量から重み係数を算出する関数である。
【0097】
評価対象画像50を構成する画素の内、何れの欠陥候補領域Dにも属さない画素位置の画素の欠陥推定値には、labelF(x,y)=0として算出した値を規定する。
【0098】
αおよびWは、E(x,y)≦P(x,y)の関係を満たすように値を調整すればよい。
【0099】
なお、欠陥判定部20Hは、生成した欠陥推定画像60に基づいて、欠陥領域を更に判定してもよい。
【0100】
詳細には、欠陥判定部20Hは、生成した欠陥推定画像60に含まれる各画素の欠陥推定値E(x,y)が、第4閾値以上の画素を欠陥領域として判定する。第4閾値は、予め定めればよい。第4閾値は、ユーザによるUI部18の操作指示などによって適宜変更可能としてもよい。
【0101】
例えば、図6Aに示す欠陥推定画像60Aにおける、欠陥候補領域D1~欠陥候補領域D5の各々に含まれる画素の欠陥推定値が、第4閾値以上であった場合を想定する。この場合、欠陥判定部20Hは、欠陥候補領域D1~欠陥候補領域D5の各々を欠陥領域として判定する。
【0102】
また、欠陥判定部20Hは、生成した欠陥推定画像60に含まれる各画素の欠陥推定値E(x,y)が第4閾値以上の画素と、該画素の周辺の画素と、を欠陥領域として判定してもよい。該画素の周辺の画素とは、欠陥推定値E(x,y)が第4閾値以上の画素に対して隣接する画素と、第4閾値以上の画素および該画素に隣接する画素から離れる方向に向かってN個の画素を表す。Nは、1以上の整数であり、予め定めればよい。また、Nは、ユーザによるUI部18の操作指示などによって適宜変更可能としてもよい。
【0103】
また、欠陥判定部20Hは、生成した欠陥推定画像60に含まれる各画素の欠陥推定値E(x,y)が第5閾値以上第4閾値未満である場合であって、該範囲内の欠陥推定値E(x,y)の画素が連続してM個以上配置されている場合には、これらの画素からなる領域を欠陥領域として判定してもよい。第5閾値は、第4閾値未満の値であればよい。第5閾値およびM個の値は予め定めればよい。また、第5閾値およびM個の値は、ユーザによるUI部18の操作指示などによって適宜変更可能としてもよい。
【0104】
図1に戻り説明を続ける。
【0105】
繰り返し制御部20Iは、欠陥判定部20Hで生成された欠陥推定画像60を評価対象画像50とした欠陥推定画像生成処理を繰り返すように、欠陥推定画像生成部20Dを制御する。すなわち、繰り返し制御部20Iは、1つの検査画像40に対して、新たに生成された欠陥推定画像60を評価対象画像50として用いた欠陥推定画像生成処理を繰り返すように欠陥推定画像生成部20Dを制御する。
【0106】
詳細には、繰り返し制御部20Iは、欠陥判定部20Hによって生成された欠陥推定画像60を、次回の欠陥推定画像生成処理に用いる評価対象画像50とし、上述した一連の処理である欠陥推定画像生成処理を予め定められた終了条件を満たすと判断するまで繰り返すように欠陥推定画像生成部20Dを制御する。
【0107】
終了条件は、予め定めればよい。終了条件は、具体的には、欠陥推定画像生成処理の繰り返し実行回数が所定回数以上、欠陥推定画像60に含まれる欠陥候補領域Dの数が所定数以下、および、欠陥推定画像生成処理の前回実行時に生成された欠陥推定画像60と欠陥推定画像生成処理の今回実行時に生成された欠陥推定画像60とが一致する回数が所定回数以上、の少なくとも1つの条件を満たすことを表す。
【0108】
これらの所定回数および所定数は、予め設定すればよい。また、これらの所定回数および所定数は、ユーザによるUI部18の操作指示などによって適宜変更可能としてもよい。また、繰り返し制御部20Iは、基準画像30に含まれるパターン領域Pによって表されるパターン特有の条件、および欠陥検査装置10の性能に応じて、終了条件として何れの1または複数の上記条件を用いるかを調整してもよい。
【0109】
欠陥推定画像生成処理の繰り返し実行回数が少ないほど、ノイズや疑似欠陥が欠陥推定画像60に含まれている可能性が高い。また、欠陥推定画像60に含まれる欠陥候補領域Dの数が多いほど、ノイズや疑似欠陥が欠陥推定画像60に含まれている可能性が高い。また、欠陥推定画像生成処理の前回実行時に生成された欠陥推定画像60と欠陥推定画像生成処理の今回実行時に生成された欠陥推定画像60とが一致する回数が多いほど、より高精度な欠陥推定画像60が既に生成された状態となっている可能性が高い。
【0110】
このため、繰り返し制御部20Iが上記処理条件を満たすと判断するまで欠陥推定画像生成処理を繰り返すように制御することで、欠陥領域と、疑似欠陥の領域およびノイズと、を高精度に分離することが可能となる。また、パターン特有の条件および欠陥検査装置10の性能に応じて、終了条件として何れの1または複数の上記条件を用いるかを調整することで、効率よく欠陥領域の検査を行うことが可能となる。
【0111】
繰り返し制御部20Iが欠陥推定画像生成処理を繰り返すように欠陥推定画像生成部20Dを制御することで、終了条件を満たす段階で生成された欠陥推定画像60は、欠陥推定画像生成処理の終了条件を満たさない段階で生成された欠陥推定画像60に比べて、欠陥推定値の低い画素およびノイズの除去された欠陥推定画像60となる。
【0112】
図6Aは、例えば、推定画像生成処理の終了条件を満たさない段階で生成された欠陥推定画像60Aの一例を示す模式図である。図6Bは、推定画像生成処理の終了条件を満たす段階で生成された欠陥推定画像60Bの一例を示す模式図である。欠陥推定画像60Bは、欠陥推定画像60の一例である。
【0113】
図6Aに示すように、終了条件を満たさない段階で生成された欠陥推定画像60Aは、例えば、ノイズまたは欠陥推定画像生成処理の繰り返しにより欠陥推定値が低くなる領域である欠陥候補領域D4および欠陥候補領域D5などを含む。一方、図6Bに示すように、終了条件を満たす段階で生成された欠陥推定画像60Bは、例えば、終了条件を満たさない段階で生成された欠陥推定画像60Aに含まれていたノイズまたは欠陥推定画像生成処理の繰り返しにより欠陥推定値が低くなる領域である欠陥候補領域D4および欠陥候補領域D5を含まない。
【0114】
このため、繰り返し制御部20Iが欠陥推定画像生成処理を繰り返すように、欠陥推定画像生成部20Dを制御することで、欠陥推定画像生成部20Dは、より高精度に欠陥領域を検査可能な欠陥推定画像60を生成することができる。
【0115】
なお、欠陥推定画像生成処理の繰り返しにより欠陥推定値が低くなる領域であっても、実際には欠陥として検出されるべき領域である場合がある。例えば、同一のパターン領域P上に上述した画像領域Qが複数存在する場合がある。これらの複数の画像領域Qの少なくとも一部は、欠陥推定画像生成処理の繰り返しにより欠陥推定値が低くなる領域であっても、欠陥として検出されるべき領域である可能性が高い。
【0116】
そこで、本実施形態の欠陥推定画像生成部20Dの特定部20Eは、上述したように、評価対象画像50における画像領域Qの内、同一のパターン領域Pに重複する複数の画像領域Qを1つの欠陥候補領域Dとして特定する。
【0117】
詳細には、上述したように、特定部20Eは、評価対象画像50における、同一のパターン領域Pに重複する複数の画像領域Qの内、特徴量が最も大きい画像領域Qである最大特徴量領域と、最大特徴量領域の重心座標との重心座標間の距離が所定値以下の他の画像領域Qと、を1つの欠陥候補領域Dとして特定する。
【0118】
このため、欠陥推定画像生成部20Dは、欠陥推定画像生成処理の繰り返しにより欠陥推定値が低くなる領域であっても、欠陥として検出されるべき領域である可能性の高い領域について、事前に特徴量または補正特徴量が大きい値となるように、欠陥推定画像60の生成処理前に予め調整することができる。
【0119】
よって、本実施形態の欠陥推定画像生成部20Dは、欠陥推定画像生成処理の繰り返しにより欠陥推定値が低くなる領域であっても、欠陥として検出されるべき領域である可能性の高い領域を高精度に検査可能な欠陥推定画像60を生成することができる。
【0120】
図1に戻り説明を続ける。
【0121】
繰り返し制御部20Iが終了条件を満たすと判断すると、出力制御部20Jは、欠陥推定画像生成部20Dによる欠陥推定画像生成処理の繰り返しの最後に生成された欠陥推定画像60を、UI部18へ出力する。また、出力制御部20Jは、該欠陥推定画像60と共に、該欠陥推定画像60の欠陥推定画像生成処理に用いた検査画像40および基準画像30の少なくとも一方と、をUI部18へ出力してもよい。また、出力制御部20Jは、該欠陥推定画像60を、通信部16を介して外部の情報処理装置へ送信してもよい。また、出力制御部20Jは、該欠陥推定画像60を記憶部14に記憶してもよい。
【0122】
また、出力制御部20Jは、欠陥推定画像60と共にまたは欠陥推定画像60に替えて、欠陥推定画像60によって表される欠陥領域の判定結果を出力してもよい。判定結果には、欠陥判定部20Hによる欠陥領域の判定結果を用いればよい。判定結果は、例えば、欠陥推定画像60における欠陥領域を構成する画素の位置などによって表される。欠陥推定画像60に含まれる各画素の位置は、基準画像30、検査画像40、および評価対象画像50の各々の画素の位置に対応する。このため、出力制御部20Jは、欠陥推定画像60によって表される欠陥領域の判定結果を出力することで、検査画像40における何れの画素位置が欠陥であるかを表す情報を出力することができる。
【0123】
次に、本実施形態の欠陥検査装置10で実行する情報処理の流れの一例を説明する。
【0124】
図7は、本実施形態の欠陥検査装置10で実行する情報処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0125】
取得部20Aが、基準画像30および検査画像40を取得する(ステップS100)。パターン領域特定部20Bは、ステップS100で取得した基準画像30に含まれるパターン領域Pを特定する(ステップS102)。
【0126】
評価対象画像生成部20Cは、ステップS100で取得した基準画像30および検査画像40から評価対象画像50を生成する(ステップS104)。
【0127】
特定部20Eは、ステップS104で生成された評価対象画像50に含まれる欠陥候補領域Dを特定する(ステップS106)。
【0128】
特徴量算出部20Fは、ステップS104で生成された評価対象画像50における、ステップS106で特定された欠陥候補領域Dの特徴量を算出する(ステップS108)。
【0129】
補正特徴量算出部20Gは、ステップS108で算出された特徴量を、第2閾値を用いて補正し、補正特徴量を算出する(ステップS110)。
【0130】
補正特徴量算出部20Gは、ステップS110で補正量特徴量の算出に用いた第2閾値を更新する(ステップS112)。
【0131】
欠陥判定部20Hは、ステップS104で生成した評価対象画像50およびステップS110で算出した欠陥候補領域Dの補正特徴量を用いて、欠陥推定画像60を生成する(ステップS114)。
【0132】
繰り返し制御部20Iは、終了条件を満たすか否かを判断する(ステップS116)。終了条件を満たさないと判断すると(ステップS116:No)、ステップS118へ進む。
【0133】
ステップS118では、繰り返し制御部20Iは、ステップS114で生成された欠陥推定画像60を評価対象画像50として設定する(ステップS118)。繰り返し制御部20Iは、ステップS104で生成された評価対象画像50に替えて、ステップS114で生成された欠陥推定画像60を評価対象画像50として用いて処理を行うように、特定部20E、特徴量算出部20F、補正特徴量算出部20G、および欠陥判定部20Hの各々を制御する。そして、上記ステップS106へ戻る。
【0134】
このため、1つの評価対象画像50に対する最初の欠陥推定画像生成処理(ステップS106~ステップS114の処理)では、欠陥推定画像生成部20Dは、ステップS104で生成した評価対象画像50を用いる。一方、2回目以降の欠陥推定画像生成処理の繰り返し時には、欠陥推定画像生成部20Dは、前回の欠陥推定画像生成処理によって生成された欠陥推定画像60を評価対象画像50として用いて、欠陥推定画像生成処理を実行する。
【0135】
繰り返し制御部20Iが終了条件を満たすと判断すると(ステップS116:Yes)、ステップS120へ進む。ステップS120では、出力制御部20Jが、欠陥推定画像生成部20Dによる欠陥推定画像生成処理の繰り返しの最後に生成された欠陥推定画像60を、UI部18へ出力する(ステップS120)。そして、本ルーチンを終了する。
【0136】
以上説明したように、本実施形態の欠陥検査装置10は、取得部20Aと、評価対象画像生成部20Cと、欠陥推定画像生成部20Dと、繰り返し制御部20Iと、を備える。取得部20Aは、検査対象を撮影した検査画像40および検査対象の設計時の基準画像30を取得する。評価対象画像生成部20Cは、検査画像40および基準画像30に応じた評価対象画像50を生成する。欠陥推定画像生成部20Dは、評価対象画像50に含まれる第1閾値以上の画素値の画素が連続する画像領域Qに応じた欠陥候補領域Dの特徴量に基づいて、画素ごとに欠陥推定値を規定した欠陥推定画像60を生成する。繰り返し制御部20Iは、欠陥推定画像60を評価対象画像50とした欠陥推定画像生成処理を繰り返すように欠陥推定画像生成部20Dを制御する。
【0137】
ここで、従来技術として、検査画像と検査対象の設計時の基準画像とを比較し、画像に含まれるエッジ形状の変化に基づいて欠陥領域を判定する技術が開示されている。また、検査画像に複数のフィルタ処理を施すことによって多次元の特徴画像を生成し、多次元の特徴画像から欠陥を検出する技術が開示されている。
【0138】
しかしながら、エッジ形状の変化に基づいた判定技術では判定対象のパターンおよび欠陥の形状が限定され、判定対象以外の形状のパターンおよび欠陥を含む検査画像に含まれる欠陥領域を判定することは困難であった。また、多次元の特徴画像を用いる技術では、検査画像に含まれるノイズや検出条件等の影響により、欠陥ではない疑似欠陥を欠陥として検出する場合があった。すなわち、従来技術では、欠陥領域を高精度に検査することは困難であった。
【0139】
一方、本実施形態の欠陥検査装置10は、検査画像40および基準画像30に応じて生成した評価対象画像50に含まれる欠陥候補領域Dの特徴量に基づいて欠陥推定画像60を生成する欠陥推定画像生成処理を、生成した欠陥推定画像60を評価対象画像50として用いて繰り返し実行する。
【0140】
このため、本実施形態の欠陥検査装置10は、欠陥推定画像生成処理を繰り返し実行することで、欠陥推定画像生成処理の繰り返しにより欠陥推定値が低くなる欠陥候補領域Dを含まない欠陥推定画像60を生成することができる。すなわち、欠陥検査装置10は、欠陥推定画像生成処理の繰り返しにより、欠陥推定値の低い画素およびノイズを除去した欠陥推定画像60を生成することができる。また、欠陥検査装置10は、欠陥ではない疑似欠陥が欠陥推定画像60に含まれることを抑制することができる。すなわち、本実施形態の欠陥検査装置10は、欠陥推定画像生成処理を繰り返すように制御することで、欠陥領域と、疑似欠陥の領域およびノイズと、を高精度に分離することが可能となる。
【0141】
よって、本実施形態の欠陥検査装置10は、高精度に欠陥領域を検査可能な欠陥推定画像60を生成することができる。言い換えると、欠陥検査装置10は、高精度に欠陥領域を検査可能な欠陥推定画像60を用いることで、欠陥領域を高精度に検査することができる。
【0142】
従って、本実施形態の欠陥検査装置10は、欠陥領域の検査精度の向上を図ることができる。
【0143】
また、本実施形態の欠陥検査装置10は、検査画像40および基準画像30に応じて生成した評価対象画像50に含まれる欠陥候補領域Dの特徴量に基づいて欠陥推定画像60を生成する。このため、本実施形態の欠陥検査装置10は、上記効果に加えて、検査画像40に含まれるパターンおよび欠陥の形状に拘わらず、欠陥領域を高精度に検査することができる。
【0144】
また、本実施形態の欠陥検査装置10は、多次元の特徴画像を用いずに欠陥推定画像60を生成するため演算負荷の低減を図ることができる、また、本実施形態の欠陥検査装置10は、高精度に且つ効率よく欠陥領域を検査することができる。
【0145】
また、本実施形態の欠陥検査装置10は、検査画像40に対して直接フィルタ処理を施すのではなく、基準画像30および検査画像40に応じた評価対象画像50を用いて欠陥推定画像60を生成する。このように、本実施形態の欠陥検査装置10は、検査画像40に対して直接フィルタ処理を施さないため、欠陥の形状を保持した欠陥推定画像60を提供することができる。
【0146】
また、本実施形態の欠陥検査装置10の補正特徴量算出部20Gは、欠陥推定画像生成処理の繰り返しごとに第2閾値を更新する。詳細には、補正特徴量算出部20Gは、今回処理対象として用いた評価対象画像50に含まれる1または複数の欠陥候補領域Dの各々の補正特徴量のばらつき、1または複数の欠陥候補領域Dの補正特徴量の最大値、および欠陥推定画像生成処理の繰り返し回数の少なくとも1つに比例した前記第2閾値となるように、前記欠陥推定画像生成処理の繰り返しごとに前記第2閾値を更新する。
【0147】
このため、補正特徴量算出部20Gは、前回生成された評価対象画像50に含まれるノイズの状況に応じた補正特徴量を算出することができる。よって、本実施形態の欠陥検査装置10は、欠陥推定画像生成処理を繰り返し実行することで、ノイズがより低減された評価対象画像50を生成することができる。
【0148】
次に、上記実施形態の欠陥検査装置10のハードウェア構成の一例を説明する。
【0149】
図8は、上記実施形態の欠陥検査装置10の一例のハードウェア構成図である。
【0150】
上記実施形態の欠陥検査装置10は、CPU(Central Processing Unit)81、ROM(Read Only Memory)82、RAM(Random Access Memory)83、および通信I/F84等がバス85により相互に接続されており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
【0151】
CPU81は、上記実施形態の欠陥検査装置10を制御する演算装置である。ROM82は、CPU81による各種処理を実現するプログラム等を記憶する。ここではCPUを用いて説明しているが、欠陥検査装置10を制御する演算装置として、GPU(Graphics Processing Unit)を用いてもよい。RAM83は、CPU81による各種処理に必要なデータを記憶する。通信I/F84は、UI部18などに接続し、データを送受信するためのインターフェースである。
【0152】
上記実施形態の欠陥検査装置10では、CPU81が、ROM82からプログラムをRAM83上に読み出して実行することにより、上記各機能がコンピュータ上で実現される。
【0153】
なお、上記実施形態の欠陥検査装置10で実行される上記各処理を実行するためのプログラムは、HDD(ハードディスクドライブ)に記憶されていてもよい。また、上記実施形態の欠陥検査装置10で実行される上記各処理を実行するためのプログラムは、ROM82に予め組み込まれて提供されていてもよい。
【0154】
また、上記実施形態の欠陥検査装置10で実行される上記処理を実行するためのプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、メモリカード、DVD(Digital Versatile Disk)、フレキシブルディスク(FD)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶されてコンピュータプログラムプロダクトとして提供されるようにしてもよい。また、上記実施形態の欠陥検査装置10で実行される上記処理を実行するためのプログラムを、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するようにしてもよい。また、上記実施形態の欠陥検査装置10で実行される上記処理を実行するためのプログラムを、インターネットなどのネットワーク経由で提供または配布するようにしてもよい。
【0155】
なお、上記には、本発明の実施形態を説明したが、本実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0156】
10 欠陥検査装置
20A 取得部
20B パターン領域特定部
20C 評価対象画像生成部
20D 欠陥推定画像生成部
20E 特定部
20F 特徴量算出部
20G 補正特徴量算出部
20H 欠陥判定部
20I 繰り返し制御部
30 基準画像
40 検査画像
50 評価対象画像
60 欠陥推定画像
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7
図8