(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-30
(45)【発行日】2025-10-08
(54)【発明の名称】置換フェノールヒドロキシ酸エステルのN含有誘導体、製造及び使用
(51)【国際特許分類】
C07C 229/08 20060101AFI20251001BHJP
C07D 295/15 20060101ALI20251001BHJP
C07D 211/60 20060101ALI20251001BHJP
A61K 31/222 20060101ALI20251001BHJP
A61K 31/5375 20060101ALI20251001BHJP
A61K 31/445 20060101ALI20251001BHJP
A61P 23/00 20060101ALI20251001BHJP
C07C 229/10 20060101ALI20251001BHJP
【FI】
C07C229/08 CSP
C07D295/15
C07D211/60
A61K31/222
A61K31/5375
A61K31/445
A61P23/00
C07C229/10
(21)【出願番号】P 2022523533
(86)(22)【出願日】2020-10-16
(86)【国際出願番号】 CN2020121527
(87)【国際公開番号】W WO2021078073
(87)【国際公開日】2021-04-29
【審査請求日】2023-10-02
(31)【優先権主張番号】201911009846.0
(32)【優先日】2019-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516175537
【氏名又は名称】ウェストチャイナホスピタル、スーチョワンユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】リウ ジン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ウェイイー
【審査官】堀 洋樹
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第102381997(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102617380(CN,A)
【文献】国際公開第2006/017351(WO,A1)
【文献】特表2007-521250(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0050920(US,A1)
【文献】特表2013-530966(JP,A)
【文献】Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2013年,23,1813-1816
【文献】European Journal of Pharmaceutical Sciences ,2003年,20,17-26
【文献】Pharmacol.Toxicol.,2002年,90(6),285-296
【文献】J. Med. Chem.,2020年,63,7857-7866
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の構造の化合物であって、
ここで、R6~9はそれぞれH、C1~8の直鎖、分岐鎖又は環状の炭化水素基から任意に選択され、R6とR7との間が共有結合で接続される場合、R6とR7は
それぞれC1~3のヒドロカルビレン基であってもよく、R7とR8との間が共有結合で接続される場合、R7とR8は
それぞれC1~3のヒドロカルビレン基であってもよく、R6~9の骨格上のHはハロゲン、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルバモイル基、グアニジノ基、カルボキシ基、4-イミダゾリル基、フェニル基、ヒドロキシフェニル基、β-インドリル基で置換されていてもよい、
ことを特徴とする、式(I)の構造の化合物。
【請求項2】
請求項1に記載の式(I)の構造の化合物の塩であって、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、4-アミノサリチル酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、ピログルタミン酸、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、炭酸塩、ケイ皮酸塩、クエン酸塩、シクロヘキシルスルファミン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、デカン酸塩、2,2-ジクロロ酢酸塩、重グルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタン-1,2-ジスルホン酸塩、エチルスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、粘液酸塩、ゲンチシン酸塩、グルコヘプタン酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、グリセロリン酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、イソ酪酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オクタン酸塩、オレイン酸塩、オロチン酸塩、シュウ酸塩、2-オキソグルタル酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、セバシン酸塩、セバシン酸水素塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、酒石酸水素塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩又はウンデカン酸塩、硫化水素塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩である、
ことを特徴とする、請求項1に記載の式(I)の構造の化合物の塩。
【請求項3】
R6~9はそれぞれH、C1~8の直鎖、分岐鎖又は環状の炭化水素基から任意に選択され、R6~9の骨格上のHはヒドロキシ基、メルカプト基、カルバモイル基、グアニジノ基、カルボキシ基、4-イミダゾリル基、フェニル基、ヒドロキシフェニル基、β-インドリル基で置換されていてもよい、
ことを特徴とする、請求項1に記載の式(I)の構造の化合物。
【請求項4】
R6とR7との間が共有結合で接続され、R6とR7はC1~3のヒドロカルビレン基であり、R8とR9はH、C1~8の直鎖、分岐鎖又は環状の炭化水素基から選択される、
ことを特徴とする、請求項1に記載の式(I)の構造の化合物。
【請求項5】
R7とR8との間が共有結合で接続され、R7とR8はC1~3のヒドロカルビレン基であり、R6とR9はH、C1~8の直鎖、分岐鎖又は環状の炭化水素基から選択される、
ことを特徴とする、請求項1に記載の式(I)の構造の化合物。
【請求項6】
前記化合物が以下であることを特徴とする請求項2に記載の式(I)の構造の化合物の塩。
【請求項7】
請求項1乃至
6の何れか1項に記載の式(I)の構造の化合物、及びその立体異性体、同位体置換物、薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、薬物組成物、薬学的に許容可能な補助材料、担体若しくは賦形剤とで形成される製剤の、ヒト又は動物に対して中枢神経の鎮静及び/又は麻酔の効果を生じさせる薬物の製造における使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、置換フェノールの水溶性プロドラッグ分子の化学構造、製造方法及び使用に関するものであり、上記分子は体内で迅速に分解して活性を有する置換フェノールを放出することができ、作用の発現が速く、置換フェノールの利用率が高く、薬物の摂取量が少ない。
【背景技術】
【0002】
本発明は、化学薬物のうち、プロドラッグの研究分野に属する。プロドラッグは、不活性であり、体内に入った後に、酵素の働きにより活性を有するプロトタイプ薬物を放出することで、治療効果を発揮する薬物である。プロドラッグ分子は、プロトタイプ薬物と比較して、水溶性の変化、脂溶性の変化、安定性の変化といった化学構造の明らかな変化により、プロトタイプ薬物とは異なる物理化学的性質を獲得している。プロドラッグの設計によって、プロトタイプ薬物の欠点を改善し、その治療効果、耐性、産業上の適用性等を高めることが可能となる。プロポフォールは、臨床において重要な静脈内全身麻酔薬であり、プロポフォール自身は水に溶けにくいことから、目下臨床では乳剤として製剤化されている。乳剤は製造コストが高く、細菌の汚染を受けやすく、また、注射疼痛の発生率が高く、長期間使用した場合、個体の脂質代謝障害を引き起こす可能性もある(Macario,A.,Weinger,M.,Truong,P.,Lee,M.,1999.Anesth.Analg.88,1085-1091;Bennett,S.N.,McNeil,M.M.,Bland,L.A.,Arduino,M.J.,Villarino,M.E.,Perrotta,D.M.,etal.,1995.N.Engl.J.Med.333(3),147-154;Kam,P.C.,Cardone,D.,2007.Anesthesia 62(7),690-701;Wolf,A.,Weir,P.,Segar,P.,Stone,J.,Shield,J.,2001.Lancet 357(9256),606-607))。従って、プロポフォールの水溶性プロドラッグは、常に薬物開発の注目点となっている。プロポフォールを水溶性分子と共有結合で接続させることにより、プロポフォール-アミノ酸コンジュゲート(Gallop,Mark A,Xu,Feng,Cundy,Kenneth C.,Sasikumar,Vivek,Woiwode,Thomas W.,2005.US20050004381)、プロポフォールグリコシルコンジュゲート(Brian,Shull,John,Baldwin,Ramesh,Gopalaswamy,Zishan,Haroon,2012.WO2012142141)、プロポフォールリン酸コンジュゲート(Fechner,J.,Ihmsen,H.,Hatterscheid,D.,Jeleazcov,C.,Schiessl,C.,Vornov,J.J.,Schwilden,H.,Schuettler,J.,2004.Anesthesiology 101(3),626-639)、プロポフォール有機多塩基酸コンジュゲート(Hendler,Sheldon S.,2002.WO2002013810)、プロポフォールオリゴエチレングリコールコンジュゲート(Tao Deng,Xianglan Mao,Yu Li,Shawwei Bo,Zhigang Yang,Zhong-Xing Jiang,2018.Bioorganic&Medicinal Chemistry Letters 283502-3505)等のような、水溶性が改善されたプロドラッグを得ることができ、多くのプロポフォール水溶性誘導体が合成され、さらに薬品としての開発が試みられてきた。最初のプロポフォール水溶性プロドラッグであるFospropofolは、2008年に米国で販売されたが、その後市場から撤退した。原因は不明である。そして2019年現在、新たなプロポフォール水溶性プロドラッグは販売されていない。
【0003】
プロポフォールの臨床における最大の優位性は、作用の発現が速く、投与停止後の回復が迅速であることであり、臨床の医師たちは、プロポフォールの水溶性プロドラッグにもこの利点が引き継がれるよう望んでいる。プロポフォール水溶性プロドラッグが体内で速やかにプロポフォールを放出できない場合、このプロドラッグは作用の発現が速いという優位性を失ってしまう。さらに、プロドラッグからのプロトタイプ薬物の放出が遅い場合、プロトタイプ薬物の有効血中濃度を保つためにプロドラッグの用量を増やさなければならず、体内に残ったプロドラッグがプロポフォールを放出し続け、覚醒の遅延を招いてしまう。Fospropofolは、体内でプロポフォールをゆっくりと放出するため、作用が発現するまでの時間及び麻酔維持の時間のいずれもが、プロポフォールよりも有意に長い。このため、プロポフォールプロドラッグの体内における原薬の放出速度を速め、原薬の分子利用率を向上させることが、上記プロドラッグの開発におけるポイントであり、これによってプロポフォールの臨床的優位性を維持できるだけでなく、プロドラッグの摂取量を減らすこともできるため、覚醒の質の改善にメリットをもたらし、且つ安全性も向上する、と提案する研究者もいる(Weichi Zhang,Jun Yang,Jing Fan,Bin Wang,Yi Kang,Jin Liu,Wensheng Zhang,Tao Zhu.European Journal of Pharmaceutical Sciences,2019,9~13.)。
【0004】
このような状況から、プロポフォールの水溶性プロドラッグは、生産、輸送、貯蔵を可能とするために、体外では十分に安定することが求められ、一方で、作用発現の速さと投与停止後の患者の迅速な回復のために、体内に入った後はできるだけ早く放出されることが求められる。この相反する要件が、プロポフォールの水溶性プロドラッグの開発を極めて困難なものにしており、安全性を維持しながらこれらの要件を満たすプロポフォールプロドラッグは、現時点では見当たらず、このような状況が上記薬物の研究開発の制約となっている。
【0005】
本発明は、上記の課題に対して、プロポフォールを含む置換フェノールの水溶性プロドラッグを提供する。この分子は、体外で安定し、かつ良好な水溶性を有し、体内に入っては、分子中に担持される置換フェノールを血漿の作用により迅速かつ完全に放出することができる。また、上記分子は、静脈投与され、注射後直ちに麻酔効果を生じさせることができる。そして、迅速に放出されるため、上記分子が麻酔効果を生じさせるのに必要な時間は、プロポフォールを直接使用した場合のそれと同等であり、有効用量のプロドラッグのモル量は、有効用量のプロポフォールのモル量に近い。従って、プロドラッグが原薬をゆっくりと放出することによる覚醒遅延が起こらず、実験では、動物の覚醒速度が速く、覚醒の質が高く、プロポフォール対照群の動物との差異がなかった。本発明が提供する上記分子は、プロポフォールプロドラッグが原薬をゆっくり放出するという課題を完全に解決し、プロトタイプ薬物の摂取量を最大限に低下させるものであり、安全性が良好で、将来性が見込まれる。以上のように、本発明の式(I)の化合物及びその薬学的に許容可能な塩は、動物又はヒトに対して鎮静・催眠及び/又は麻酔作用を生じさせる中枢神経抑制薬物の製造に用いることができる。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、プロポフォールを含む置換フェノールの水溶性プロドラッグ分子、製造方法及び使用を提供する。上記分子は、有効用量を用いた場合、動物の体内で速やかに分解されて置換フェノールを放出することができ、迅速に薬効を生じさせ、原薬の放出が遅いことによる蓄積効果がなく、置換フェノールの水溶性を改善した上で、効果発現及び回復が速いという置換フェノールの優位性を保っている。
【0007】
本発明に記載の置換フェノールヒドロキシ酸エステルのN含有誘導体は、構造が式(I)に示すとおりである。
【0008】
ここで、R1~R5はそれぞれH、C1~6の直鎖、分岐鎖又は環状の炭化水素基、ハロゲン、C1~4のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、エステル基等から任意に選択され、R6~9はそれぞれH、C1~8の直鎖、分岐鎖又は環状の炭化水素基から任意に選択され、R6とR7との間が共有結合で接続される場合、R6とR7はさらにC1~3のヒドロカルビレン基であってもよく、R7とR8との間が共有結合で接続される場合、R7とR8はさらにC1~3のヒドロカルビレン基であってもよく、R1~9の骨格上のHはハロゲン、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルバモイル基、グアニジノ基、カルボキシ基、4-イミダゾリル基、フェニル基、ヒドロキシフェニル基、β-インドリル基等で置換されていてもよく、R1~9の骨格中にO、S、N等のヘテロ原子が含まれていてもよい、ことを特徴とする請求項1に記載の式(I)の構造の化合物。
【0009】
式(I)の化合物の塩は、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、4-アミノサリチル酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、ピログルタミン酸、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、炭酸塩、ケイ皮酸塩、クエン酸塩、シクロヘキシルスルファミン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、デカン酸塩、2,2-ジクロロ酢酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタン-1,2-ジスルホン酸塩、エチルスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、粘液酸塩、ゲンチシン酸塩、グルコヘプタン酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、グリセロリン酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、イソ酪酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オクタン酸塩、オレイン酸塩、オロチン酸塩、シュウ酸塩、2-オキソグルタル酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、セバシン酸塩、セバシン酸水素塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、酒石酸水素塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩又はウンデカン酸塩、硫化水素塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩を含むが、これらに限定されるものではない。
【0010】
さらに、式(I)に記載の化合物の各置換基の範囲は好ましくは以下のとおりである。R1~R5はそれぞれH、C1~6の直鎖、分岐鎖又は環状の炭化水素基から任意に選択され、R6~9はそれぞれH、C1~8の直鎖、分岐鎖又は環状の炭化水素基から任意に選択され、R1~9の骨格上のHはヒドロキシ基、メルカプト基、カルバモイル基、グアニジノ基、カルボキシ基、4-イミダゾリル基、フェニル基、ヒドロキシフェニル基、β-インドリル基等で置換されていてもよく、R1~9の骨格中にO、S、N等のヘテロ原子が含まれていてもよい。
【0011】
又は、式(I)に記載の化合物の各置換基の範囲は好ましくは以下のとおりである。R1~R5はそれぞれH、C1~6の直鎖、分岐鎖又は環状の炭化水素基から任意に選択され、R6とR7との間が共有結合で接続され、R6とR7はC1~3のヒドロカルビレン基であり、R8とR9はH、C1~8の直鎖、分岐鎖又は環状の炭化水素基である。
【0012】
又は、式(I)に記載の化合物の各置換基の範囲は好ましくは以下のとおりである。R1~R5はそれぞれH、C1~6の直鎖、分岐鎖又は環状の炭化水素基から任意に選択され、R7とR8との間が共有結合で接続され、R7とR8はC1~3のヒドロカルビレン基であり、R6とR9はH、C1~8の直鎖、分岐鎖又は環状の炭化水素基である。
【0013】
さらに、式(I)に記載の化合物の各置換基の範囲は好ましくは以下のとおりである。R1とR5はイソプロピル基であり、R2~R4はHであり、R6~9はそれぞれH、C1~8の直鎖、分岐鎖又は環状の炭化水素基から任意に選択され、R6とR7との間が共有結合で接続される場合、R6とR7はさらにC1~3のヒドロカルビレン基であってもよく、R7とR8との間が共有結合で接続される場合、R7とR8はさらにC1~3のヒドロカルビレン基であってもよく、R1~9の骨格上のHはハロゲン、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルバモイル基、グアニジノ基、カルボキシ基、4-イミダゾリル基、フェニル基、ヒドロキシフェニル基、β-インドリル基等で置換されていてもよく、骨格中にO、S、N等のヘテロ原子が含まれていてもよい。上記化合物の好ましい具体的な分子は以下のとおりである。
【0014】
【0015】
又は、さらに、式(I)に記載の化合物の各置換基の範囲は好ましくは以下のとおりである。R1はイソプロピル基であり、R5は
又は
であり、R2~R4はHであり、R6~9はそれぞれH、C1~8の直鎖、分岐鎖又は環状の炭化水素基から任意に選択され、R6とR7との間が共有結合で接続される場合、R6とR7はさらにC1~3のヒドロカルビレン基であってもよく、R7とR8との間が共有結合で接続される場合、R7とR8はさらにC1~3のヒドロカルビレン基であってもよく、R1~9の骨格上のHはハロゲン、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルバモイル基、グアニジノ基、カルボキシ基、4-イミダゾリル基、フェニル基、ヒドロキシフェニル基、β-インドリル基等で置換されていてもよく、R1~9の骨格中にO、S、N等のヘテロ原子が含まれていてもよい。上記化合物の好ましい具体的な分子は以下のとおりである。
【0016】
【0017】
当分野の常識によれば、式(I)の構造の化合物、及びその立体異性体、同位体置換物、薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、薬物組成物、薬学的に許容可能な補助材料/担体/賦形剤とで形成される製剤等は、いずれも、ヒト又は動物に対して中枢神経の鎮静及び/又は麻酔の効果を生じさせる薬物の製造に使用することができる。
【0018】
本特許に記載の化合物は以下の一般的な方法に従って製造することができる。
【0019】
まずクロロアセチルクロリドを用いて置換フェノール(a)とエステルを形成し、置換フェノールのクロロ酢酸エステル系化合物(b)を得て、次に(b)と窒素含有カルボン酸化合物(c)を塩基性の条件下で求核置換反応させて目標化合物(I)の遊離塩基を生成する。この遊離塩基は、種類の異なる酸とでは、異なる塩を形成することができる。(I)の分子中にカルボキシ基が含まれる場合は、(I)を炭酸ナトリウム等の塩基性試薬と反応させて(I)の塩を得ることもできる。上記の一般的な合成方法では、クロロアセチルクロリドをより活性の高い臭化ブロモアセチルで置き換えることもできる。
【0020】
上記反応の過程において、窒素含有カルボン酸化合物(c)中のN原子が第一級アミン又は第二級アミンである場合、まず保護基(例えばBOC保護)を用いてそのアミノ基を保護した後、さらに(b)と反応させて保護基を含有する中間体を得て、次いでアミノ基の保護基を除去して目的化合物(I)を得る。
【0021】
特に相反する記述がない限り、本明細書及び特許請求の範囲において使用する用語は、以下の意味を有する。
【0022】
本発明に記載の基及び化合物に関する炭素、水素、酸素、硫黄、窒素又はハロゲンは、それらの同位体を含み、本発明に記載の基及び化合物に関する炭素、水素、酸素、硫黄、窒素又はハロゲンは、それらの対応する同位体(すなわち、同位体置換物)のうちの1つ又は複数によって、任意にさらに置換されており、ここで、炭素の同位体には12C、13C及び14Cが含まれ、水素の同位体にはプロチウム(H)、ジュウテリウム(D、重水素とも呼ばれる)及びトリチウム(T、三重水素とも呼ばれる)が含まれ、酸素の同位体には16O、17O及び18Oが含まれ、硫黄の同位体には32S、33S、34S及び36Sが含まれ、窒素の同位体には14N及び15Nが含まれ、フッ素の同位体には19Fが含まれ、塩素の同位体には35Cl及び37Clが含まれ、臭素の同位体には79Br及びび81Brが含まれる。
【0023】
「炭化水素基」とは、炭素と水素原子のみを含有した直鎖、分岐鎖又は環状の一価置換基を意味し、主鎖には1~10個の炭素原子が含まれ、好ましくは1~8個の炭素原子、より好ましくは1~6個の炭素原子が含まれる。炭化水素基は、直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基/アルケニル基/アルキニル基であってよい。前記の炭化水素基は、F、Cl、Br、I、=O、ヒドロキシ基、-SR10、ニトロ基、シアノ基、C1~6アルキル基、C1~6ヒドロキシアルキル基、C1~6アルコキシ基、C2~6アルケニル基、C2~6アルキニル基、C3~8カルボシクリル基、3~8員ヘテロシクリル基、-(CH2)a-(C=O)-SR10、-(CH2)a-(C=O)-O-R10、-(CH2)a-(C=O)-NR10R10a、-(CH2)a-S(C=O)b-R10、-O-(=O)-O-R10又は-NR10R10aから選択される0、1、2、3、4又は5個の置換基によって任意にさらに置換されていてもよく、ここで、R10及びR10aは、それぞれ独立して、H、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、C1~8アルキル基、C1~8アルコキシ基、C2~8アルケニル基、C2~8アルキニル基、3~10員カルボシクリル基、4~10員ヘテロシクリル基、3~10員カルボシクリルオキシ基又は4~10員ヘテロシクリルオキシ基から選択され、aは0、1、2、3、4又は5から選択され、bは0、1又は2から選択される。本文中に登場するアルキル基、a、b、R10及びR10aの定義は上記のとおりである。
【0024】
「アルキル基」とは、直鎖及び分岐鎖の一価の飽和炭化水素基を意味し、主鎖が1~10個の炭素原子、好ましくは1~8個の炭素原子、より好ましくは1~6個の炭素原子、さらにより好ましくは1~4個の炭素原子、最も好ましくは1~2個の炭素原子を含み、アルキル基の実施例には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、2-ペンチル基、3-ペンチル基、2-メチル-2-ブチル基、3-メチル-2-ブチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基及びn-デシル基が含まれるが、これらに限定されない。前記のアルキル基は、F、Cl、Br、I、=O、ヒドロキシ基、-SR10、ニトロ基、シアノ基、C1~6アルキル基、C1~6ヒドロキシアルキル基、C1~6アルコキシ基、C2~6アルケニル基、C2~6アルキニル基、C3~8カルボシクリル基、3~8員ヘテロシクリル基、-(CH2)a-(C=O)-SR10、-(CH2)a-(C=O)-O-R10、-(CH2)a-(C=O)-NR10R10a、-(CH2)a-S(C=O)b-R10、-O-(=O)-O-R10又は-NR10R10aから選択される0、1、2、3、4又は5個の置換基によって任意にさらに置換されていてもよく、ここで、R10及びR10aは、それぞれ独立して、H、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、C1~8アルキル基、C1~8アルコキシ基、C2~8アルケニル基、C2~8アルキニル基、3~10員カルボシクリル基、4~10員ヘテロシクリル基、3~10員カルボシクリルオキシ基又は4~10員ヘテロシクリルオキシ基から選択され、aは0、1、2、3、4又は5から選択され、bは0、1又は2から選択される。本文中に登場するアルキル基、a、b、R10及びR10aの定義は上記のとおりである。
【0025】
「ヒドロカルビレン基(hydrocarbylene group)」とは、直鎖及び分岐鎖の二価の飽和又は不飽和の炭化水素を意味する。ここで、飽和のヒドロカルビレン基はアルキレン基とも呼ばれ、-(CH2)k-(kは1~10の整数)で表される。アルキレン基の実施例には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基及びブチレン基が含まれるが、これらに限定されない。前記のアルキレン基は、F、Cl、Br、I、=O、ヒドロキシ基、-SR10、ニトロ基、シアノ基、C1~6アルキル基、C1~6ヒドロキシアルキル基、C1~6アルコキシ基、C2~6アルケニル基、C2~6アルキニル基、C3~8カルボシクリル基、3~8員ヘテロシクリル基、-(CH2)a-(C=O)-SR10、-(CH2)a-(C=O)-O-R10、-(CH2)a-(C=O)-NR10R10a、-(CH2)a-S(C=O)b-R10、-O-(=O)-O-R10又は-NR10R10aから選択される0、1、2、3、4又は5個の置換基によって任意にさらに置換されていてもよく、アルキレン基中の置換基の数が2個以上である場合、置換基は共に縮合して環状構造を形成してもよい。本文中に登場するアルキレン基の定義は、上記のとおりである。
【0026】
「アルコキシ基」とは、O-アルキル基の一価の基を意味し、ここで、アルキル基は本文で定義されるとおりであり、アルコキシ基の実施例には、メトキシ基、エトキシ基、1-プロポキシ基、2-プロポキシ基、1-ブトキシ基、2-メチル-1-プロポキシ基、2-ブトキシ基、2-メチル-2-プロポキシ基、1-ペントキシ基、2-ペントキシ基、3-ペントキシ基、2-メチル-2-ブトキシ基、3-メチル-2-ブトキシ基、3-メチル-1-ブトキシ基及び2-メチル-1-ブトキシ基等が含まれるが、これらに限定されない。本文に登場するアルコキシ基の定義は、上記のとおりである。
【0027】
「アルケニル基」とは、直鎖及び分岐鎖の一価の不飽和炭化水素基を意味し、少なくとも1個、通常は1、2又は3個の炭素-炭素二重結合を有し、主鎖に2~10個の炭素原子、より好ましくは2~6個の炭素原子、さらにより好ましくは2~4個の炭素原子を含み、アルケニル基の実施例には、ビニル基、プロペニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、1-メチル-1-ブテニル基、2-メチル-1-ブテニル基、2-メチル-3-ブテニル基、1-ヘキセニル基、2-ヘキセニル基、3-ヘキセニル基、4-ヘキセニル基、5-ヘキセニル基、1-メチル-1-ペンテニル基、2-メチル-1-ペンテニル基、1-ヘプテニル基、2-ヘプテニル基、3-ヘプテニル基、4-ヘプテニル基、1-オクテニル基、3-オクテニル基、1-ノネニル基、3-ノネニル基、1-デセニル基、4-デセニル基、1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,4-ペンタジエン、1,4-ヘキサジエンが含まれるが、これらに限定されない。前記のアルケニル基は、F、Cl、Br、I、=O、ヒドロキシ基、-SR10、ニトロ基、シアノ基、C1~6アルキル基、C1~6ヒドロキシアルキル基、C1~6アルコキシ基、C2~6アルケニル基、C2~6アルキニル基、C3~8カルボシクリル基、3~8員ヘテロシクリル基、-(CH2)a-(C=O)-SR10、-(CH2)a-(C=O)-O-R10、-(CH2)a-(C=O)-NR10R10a、-(CH2)a-S(C=O)b-R10、-O-(=O)-O-R10又は-NR10R10aから選択される0、1、2、3、4又は5個の置換基によって任意にさらに置換されていてもよい。本文に登場するアルケニル基の定義は、上記のとおりである。
【0028】
「アルキニル基」とは、直鎖及び分岐鎖の一価の不飽和炭化水素基を意味し、少なくとも1個、通常は1、2又は3個の炭素-炭素三重結合を有し、主鎖にはエチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、1-メチル-2-プロピニル基、3-ペンチニル基、4-ペンチニル基、1-メチル-2-ブチニル基、2-ヘキシニル基、2-ヘプチニル基、3-ヘプチニル基、4-ヘプチニル基、3-オクチニル基、3-ノニニル基及び4-ノニニル基等が含まれるが、これらに限定されない。前記のアルキニル基は、F、Cl、Br、I、=O、ヒドロキシ基、-SR10、ニトロ基、シアノ基、C1~6アルキル基、C1~6ヒドロキシアルキル基、C1~6アルコキシ基、C2~6アルケニル基、C2~6アルキニル基、C3~8カルボシクリル基、3~8員ヘテロシクリル基、-(CH2)a-(C=O)-SR10、-(CH2)a-(C=O)-O-R10、-(CH2)a-(C=O)-NR10R10a、-(CH2)a-S(C=O)b-R10、-O-(=O)-O-R10又は-NR10R10aから選択される0、1、2、3、4又は5個の置換基によって任意にさらに置換されていてもよい。本文に登場するアルキニル基の定義は、上記のとおりである。
【0029】
「シクロアルキル基」とは、一価の飽和炭素環式炭化水素基を意味し、通常は3~10個の炭素原子を有し、非限定的な実施例には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基又はシクロヘプチル基等が含まれる。前記のシクロアルキル基は、F、Cl、Br、I、=O、ヒドロキシ基、-SR10、ニトロ基、シアノ基、C1~6アルキル基、C1~6ヒドロキシアルキル基、C1~6アルコキシ基、C2~6アルケニル基、C2~6アルキニル基、C3~8カルボシクリル基、3~8員ヘテロシクリル基、-(CH2)a-(C=O)-SR10、-(CH2)a-(C=O)-O-R10、-(CH2)a-(C=O)-NR10R10a、-(CH2)a-S(C=O)b-R10、-O-(=O)-O-R10又は-NR10R10aから選択される0、1、2、3、4又は5個の置換基によって任意にさらに置換されていてもよい。本文中に登場するシクロアルキル基の定義は、上記のとおりである。
【0030】
「カルボシクリル」とは、飽和又は不飽和の芳香族環又は非芳香族環を意味し、芳香族環又は非芳香族環は、3~10員単環式、4~12員二環式又は10~15員三環式の環式であってよく、カルボシクリル基には、架橋環又はスピロ環が結合されていてよく、非限定的な実施例には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、1-シクロペンチル-1-アルケニル基、1-シクロペンチル-2-アルケニル基、1-シクロペンチル-3-アルケニル基、シクロヘキシル基、1-シクロヘキシル-2-アルケニル基、1-シクロヘキシル-3-アルケニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキサジエニル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロウンデシル基、シクロドデシル基、フェニル基、又はナフチル基が含まれる。前記のカルボシクリル基は、F、Cl、Br、I、=O、ヒドロキシ基、-SR10、ニトロ基、シアノ基、C1~6アルキル基、C1~6ヒドロキシアルキル基、C1~6アルコキシ基、C2~6アルケニル基、C2~6アルキニル基、C3~8カルボシクリル基、3~8員ヘテロシクリル基、-(CH2)a-(C=O)-SR10、-(CH2)a-(C=O)-O-R10、-(CH2)a-(C=O)-NR10R10a、-(CH2)a-S(C=O)b-R10、-O-(=O)-O-R10又は-NR10R10aから選択される0、1、2、3、4又は5個の置換基によって任意にさらに置換されていてもよい。本文中に登場するカルボシクリルの定義は、上記のとおりである。
【0031】
「ヘテロシクリル」とは、飽和又は不飽和の芳香族又は非芳香族環を意味し、芳香族又は非芳香族環は、3~10員単環式、4~10員二環式又は10~15員三環式の環式であってよく、さらにN、O又はSから選択される1~4個のヘテロ原子、好ましくは3~8員のヘテロシクリル基を含み、ヘテロシクリル基の環において選択的に置換されるN、Sは、種々の酸化状態に酸化されていてよい。ヘテロシクリル基は、ヘテロ原子又は炭素原子に結合していてもよく、ヘテロシクリル基には架橋環又はスピロ環が結合していてもよく、非限定的な実施例には、オキシラニル基、グリシジル基、アジリジニル基、オキセタニル基、アゼチジニル基、チエタニル基、1-3-ジオキソラニル基、1,4-ジオキソラニル基、1,3-ジオキサニル基、アゼパニル基、オキセパニル基、チエパニル基、オキサゼピニル基、ジアゼピニル基、チアゼピニル基、ピリジル基、ピペリジニル基、ホモピペリジニル基、フリル基、チエニル基、ピラニル基、N-アルキルピロリル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、ピペラジニル基、ホモピペラジニル基、イミダゾリル基、ピペリジニル基、ピペリジニル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、チオキサニル基、1,3-ジチアニル基、ジヒドロフラニル基、ジヒドロピラニル基、ジチラニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチエニル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、テトラヒドロピロリル基、テトラヒドロイミダゾリル基、テトラヒドロチアゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾピリジル基、ピロロピロリル基、ベンゾジヒドロフラニル基、2-ピロリニル基、3-ピロリニル基、ジヒドロインドリル基、ジヒドロチエニル基、ピラゾリジニル基、イミダゾリニル基、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリニル基、3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキシル基、3-アザビシクロ[4.1.0]ヘプチル基、アザビシクロ[2.2.2]ヘキシル基、3H-インドリルキノリジニル基、N-ピリジル尿素、1,1-ジオキソチオモルホリニル基、アザビシクロ[3.2.1]オクチル基、アザビシクロ[5.2.0]ノニル基、オキサトリシクロ[5.3.1.1]ドデシル基、アザアダマンチル基及びオキサスピロ[3.3]ヘプチル基が含まれる。前記のヘテロシクロアルキル基は、F、Cl、Br、I、=O、ヒドロキシ基、-SR10、ニトロ基、シアノ基、C1~6アルキル基、C1~6ヒドロキシアルキル基、C1~6アルコキシ基、C2~6アルケニル基、C2~6アルキニル基、C3~8カルボシクリル基、3~8員ヘテロシクリル基、-(CH2)a-(C=O)-SR10、-(CH2)a-(C=O)-O-R10、-(CH2)a-(C=O)-NR10R10a、-(CH2)a-S(C=O)b-R10、-O-(=O)-O-R10又は-NR10R10aから選択される0、1、2、3、4又は5個の置換基によって任意にさらに置換されていてもよい。本文中に登場するヘテロシクリルの定義は、上記のおとりである。
【0032】
「任意に」とは、その後に記載される事象又は状況が生じてもいいが必ずしも生じるものではないことを指し、この説明には、事象又は状況が生じる場合と生じない場合とが含まれる。
【0033】
「薬物組成物」とは、本明細書に記載の化合物又はその生理学的/薬学的に許容可能な塩のうちの1種以上と、生理学的/薬学的に許容可能な担体及び賦形剤を含む他の成分との混合物を指す。
【0034】
「担体」とは、生物に対して有意な刺激を引き起こさず、投与された化合物の生物活性及び特性を無効にしない担体又は希釈剤を指す。
【0035】
「賦形剤」とは、化合物の投与をより行い易くするために、医薬組成物に添加される不活性物質を指す。賦形剤の実例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、各種の糖及び異なるタイプのデンプン、セルロース誘導体(微結晶性セルロースを含む)、ゼラチン、植物油、ポリエチレングリコール類、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
「立体異性体」とは、分子中の原子の空間的な配置が異なることで生じる異性体を指し、シストランス異性体、エナンチオマー及び配座異性体を含む。
【0037】
「有効用量」とは、組織、系又は被験者の生理学的又は医学的な翻訳を引き起こす化合物の量を指す。この量は探求されたものであり、被治療者の体に投与した場合に、治療される疾患又は病態の1種以上の症状について発生を防止、又は一定程度に軽減させるのに十分な化合物の量が含まれる。
【0038】
「溶媒和物」とは、分子間非共有結合力により結合した化学量論的又は非化学量論的溶媒を含む本発明の化合物又はその塩を指す。溶媒が水である場合は水和物となる。
【0039】
以下、実施例を含む具体的な実施形態を用いて、本発明の上記内容をさらに詳細に説明する。但し、これをもって、本発明の上記主題の範囲が以下の実施例に限定されると理解してはならない。本発明の上記技術的思想から逸脱することなく、本分野の一般的な技術的知識及び慣用手段に基づいて行われる様々な置換又は変更は、いずれも本発明の範囲内に含まれるものとする。
【発明を実施するための形態】
【0040】
【0041】
プロポフォール(178mg,1mmol)とクロロアセチルクロリド(124mg,1.1mmol)を10mLのジクロロメタンに溶解させ、氷浴下でピリジン(237mg,3mmol)を加え、室温に戻して2時間撹拌し、溶媒を蒸発乾燥させ、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(シクロヘキサン/酢酸エチル=20/1)により180mgの無色の油状物、すなわち中間体bを得た。収率70.6%。
【0042】
中間体b(180mg,71mmol)とBOC-グリシン(140mg,80mmol)を10mLのDMFに混合し、無水炭酸カリウム(290mg,210mmol)を加え、室温で8時間撹拌し、濾過し、濾液を100mLの水に注ぎ入れ、50mLの酢酸エチルで抽出し、有機層を分取し、無水硫酸ナトリウムで一晩乾燥させ、翌日濾過し、濾液を減圧して蒸発乾燥させ、残留物をカラムクロマトグラフィ(シクロヘキサン/酢酸エチル=5/1)により183mgの白色の固体粉末、すなわち中間体cを得た。収率66%。183mgの中間体cを10mLの酢酸エチルに溶解させ、過剰量の乾燥した塩化水素ガスを導入し、室温で1時間撹拌し、減圧下で溶媒を蒸発乾燥させて粗生成物を得た。粗生成物をシクロヘキサンで3回洗浄し、減圧濾過し、濾過ケーキを65℃で乾燥させて白色の固体、すなわち115mgの目的化合物1を得た。収率75%。
【0043】
1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ8.52(s,3H),7.23~7.31(m,3H),5.29(s,2H),4.00(s,2H),2.94(hept,J=6.9Hz,2H),1.13(d,J=6.8Hz,12H)。
【0044】
【0045】
実施例1に記載の方法で中間体bを調製した。中間体b(180mg,71mmol)とBOC-サルコシン(151mg,80mmol)を10mLのDMFに混合し、無水炭酸カリウム(290mg,210mmol)を加え、室温で8時間撹拌し、濾過し、濾液を100mLの水に注ぎ入れ、50mLの酢酸エチルで抽出し、有機層を分取し、無水硫酸ナトリウムで一晩乾燥させ、翌日濾過し、濾液を減圧して蒸発乾燥させ、残留物をカラムクロマトグラフィ(シクロヘキサン/酢酸エチル=5/1)により186mgの白色の固体粉末、すなわち中間体cを得た。収率64.5%。186mgの中間体cを10mLの酢酸エチルに溶解させ、過剰量の乾燥した塩化水素ガスを導入し、室温で1時間撹拌し、減圧下で溶媒を蒸発乾燥させて粗生成物を得た。粗生成物をシクロヘキサンで3回洗浄し、減圧濾過し、濾過ケーキを65℃で乾燥させて白色の固体、すなわち113mgの目的化合物2を得た。収率72%。
【0046】
1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ9.46(s,2H),7.23~7.31(m,3H),5.31(s,2H),4.17(s,2H),2.94(hept,J=6.8Hz,2H),2.59(s,3H),1.13(d,J=6.8Hz,12H)。
【0047】
【0048】
実施例1に記載の方法で中間体bを調製した。中間体b(180mg,71mmol)とN,N-ジメチルグリシン(82.4mg,80mmol)を10mLのDMFに混合し、無水炭酸カリウム(290mg,210mmol)を加え、室温で8時間撹拌し、濾過し、濾液を100mLの水に注ぎ入れ、50mLの酢酸エチルで抽出し、有機層を分取し、無水硫酸ナトリウムで一晩乾燥させ、翌日濾過し、濾液を減圧して蒸発乾燥させ、残留物をカラムクロマトグラフィ(シクロヘキサン/酢酸エチル=30:1)により化合物3の遊離塩基123mgを得た。化合物3の遊離塩基123mgを10mLの酢酸エチルに溶解させ、乾燥後の塩化水素ガスを1時間導入し、室温で2時間撹拌し、溶媒を減圧して蒸発乾燥させて、粗生成物を得た。粗生成物をシクロヘキサンで3回洗浄し、減圧濾過し、濾過ケーキを65℃で乾燥させて白色の固体、すなわち87.6mgの目的化合物3を得た。収率64%。
【0049】
1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ10.78(s,1H),7.23~7.31(m,3H),5.32(s,2H),4.42(s,2H),2.94(hept,J=6.9Hz,2H),2.85(s,6H),1.13(d,J=6.8Hz,12H)。
【0050】
【0051】
Boc-L-アラニン(1.49g,7.87mmol)及びプロポフォールクロロ酢酸エステル(2g,7.85mmol)をDMF(10mL)に溶解させ、室温で40分間撹拌した。次いで、K2CO3(1.19g,8.6mmol)を該溶液に加え、該反応溶液を70℃で4時間撹拌し、濾過し、濾液から酢酸エチル(100mL)と水(50mL)で生成物を抽出し、有機層を水(3×50mL)で複数回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィ(シクロヘキサン/酢酸エチル 40:1から20:1)で精製し、2.18gの白色の固体、すなわち中間体aを得た。収率68%。中間体a(2.18g,5.35mmol)を50mLの酢酸エチルに溶解させ、乾燥した塩化水素ガスを1時間導入し、室温で4h撹拌して反応させた。減圧下で酢酸エチルを留去し、粗生成物を得た。粗生成物をシクロヘキサンで3回洗浄し、減圧濾過し、濾過ケーキを65℃で乾燥させて白色の固体1.28g、すなわち目的化合物4を得た。収率69.6%。
【0052】
1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ8.66(s,3H),7.23~7.31(m,3H),5.29(d,J=2.4Hz,2H),4.26(q,J=7.1Hz,1H),2.93(hept,J=6.9Hz,2H),1.48(d,J=7.2Hz,3H),1.13(d,J=6.8Hz,12H)。
【0053】
【0054】
Boc-D-アラニン(1.49g,7.87mmol)及びプロポフォールクロロ酢酸エステル(2g,7.85mmol)をDMF(10mL)に溶解させ、室温で40分間撹拌した。次いで、K2CO3(1.19g,8.6mmol)を該溶液に加え、該反応溶液を70℃で4時間撹拌し、濾過し、濾液から酢酸エチル(100mL)と水(50mL)で生成物を抽出し、有機層を水(3×50mL)で複数回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィ(シクロヘキサン/酢酸エチル 40:1から20:1)で精製し、2.01gの白色の固体、すなわち中間体aを得た。収率62.8%。中間体a(2.01g,4.93mmol)を50mLの酢酸エチルに溶解させ、乾燥した塩化水素ガスを1時間導入し、室温で4h撹拌して反応させた。減圧下で酢酸エチルを留去し、粗生成物を得た。粗生成物をシクロヘキサンで3回洗浄し、減圧濾過し、濾過ケーキを65℃で乾燥させて白色の固体1.15g、すなわち目的化合物5を得た。収率62.5%。
【0055】
1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ8.69(s,3H),7.21~7.30(m,3H),5.24(d,J=2.4Hz,2H),4.29(q,J=7.2Hz,1H),2.91(hept,J=6.9Hz,2H),1.44(d,J=7.2Hz,3H),1.11(d,J=6.8Hz,12H)。
【0056】
【0057】
(R)-2-シクロプロピルエチル-6-イソプロピルフェノール(CAS:1637741-58-2,204mg,1mmol)とクロロアセチルクロリド(124mg,1.1mmol)を10mLのジクロロメタンに溶解させ、氷浴下でピリジン(237mg,3mmol)を加え、室温に戻して2時間撹拌し、溶媒を蒸発乾燥させ、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(シクロヘキサン/酢酸エチル=20/1)により186mgの無色の油状物、すなわち中間体aを得た。収率66%。中間体a(186mg,0.66mmol)とモルホリン-4-イル酢酸(96mg,0.66mmol)をDMF(20mL)に溶解させ、室温で40分間撹拌した。次いで、K2CO3(97mg,0.7mmol)を該溶液に加え、該反応溶液を70℃で4時間撹拌した。反応液を冷却し、水(100mL)を加え、酢酸エチル(200mL)で抽出し、有機層を水(3x100mL)で洗浄し、有機層を分取し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。翌日濾過し、濾液の溶媒を蒸発乾燥させて粗生成物を得て、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(シクロヘキサン/酢酸エチル30:1)により141mgの無色の油状物、すなわち中間体bを得た。収率55%。141mgの中間体bを3mLのトリフルオロ酢酸に溶解させ、室温で30分間撹拌し、減圧して余分なトリフルオロ酢酸を蒸発乾燥させ、残留物に20mLのシクロヘキサンを加え、固体を析出させ、濾過し、シクロヘキサンで固体を3回洗浄し、減圧濾過し、濾過ケーキを65℃で乾燥させて、白色の固体114.7mgを得た。収率63%。
【0058】
1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ11.23(s,1H),7.30~7.36(3H,m),5.36(2H,s),4.41(2H,s),3.82~3.89(m,4H),3.21~3.28(m,5H),2.55~2.58(m,1H),1.31(d,J=7.2Hz,3H),1.26(d,J=7.2Hz,6H),1.03~1.07(m,1H),0.42~0.52(m,2H),0.17~0.25(m,2H)。
【0059】
【0060】
等モルの4-メチル-1-ピペラジン酢酸(CAS:54699-92-2)と等モルのクロロ酢酸プロポフォールエステルをDMFに溶解させ、2倍過剰量の炭酸カリウムを加え、40℃で6時間撹拌し、実施例3の後処理方法に従って調製し、中間体aを得た。プロポフォールクロロ酢酸エステルで計算した収率は46~68%であった。
【0061】
aを酢酸エチルに溶解させ、乾燥した塩化水素ガスを導入し、室温で30分間撹拌した後に酢酸エチルを留去し、残留物をシクロヘキサンで分散させ、減圧濾過し、固体を3回洗浄し、減圧濾過し、濾過ケーキを65℃で乾燥させて白色の固体、すなわち目的化合物7を得た。収率71~84%。
【0062】
1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ11.07(s,1H),7.20~7.27(m,3H),5.19(s,2H),3.85(s,broad,2H),3.42-3.47(m,2H),3.14~3.23(m,4H),2.89~2.98(m,4H),2.75(s,3H),1.13(d,J=6.9Hz,12H)。
【0063】
【0064】
等モルのN,N-ジメチルアラニン(CAS:19701-89-4)と等モルのクロロ酢酸プロポフォールエステルをDMFに溶解させ、2倍過剰量の炭酸カリウムを加え、40℃で6時間撹拌し、実施例3の後処理方法に従って調製し、中間体aを得た。プロポフォールクロロ酢酸エステルで計算した収率は51~63%であった。
【0065】
aをエタノールに溶解させ、0.5倍モル量の硫酸を加え、室温で30分間撹拌した後にエタノールを留去し、残留物をシクロヘキサンで分散させ、減圧濾過し、固体を3回洗浄し、減圧濾過し、濾過ケーキを65℃で乾燥させて白色の固体、すなわち目的化合物8を得た。収率61~71%。
【0066】
1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ8.91(s,1H),7.25~7.33(m,3H),5.21(s,2H),4.27(q,J=7.2Hz,1H),2.95(hept,J=6.8Hz,2H),2.83(s,6H),1.88(d,J=7.2Hz,3H),1.13(d,J=6.8Hz,12H)。
【0067】
【0068】
等モルの4-メチル-3-モルホリンカルボン酸(CAS:1240518-88-0)と等モルのクロロ酢酸プロポフォールエステルをDMFに溶解させ、2倍過剰量の炭酸カリウムを加え、40℃で6時間撹拌し、実施例3の後処理方法に従って調製し、中間体aを得た。プロポフォールクロロ酢酸エステルで計算した収率は52~71%であった。
【0069】
aを酢酸エチルに溶解させ、過剰量の乾燥した塩化水素ガスを導入し、室温で30分間撹拌した後に酢酸エチルを留去し、残留物をシクロヘキサンで分散させ、減圧濾過し、固体を3回洗浄し、減圧濾過し、濾過ケーキを65℃で乾燥させて白色の固体、すなわち目的化合物9を得た。収率49~71%。
【0070】
1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ10.91(s,1H),7.31~7.36(m,3H),5.16(s,2H),4.61~4.64(m,1H),3.91~4.13(m,4H),3.32~3.41(m,2H),2.85(s,3H),1.15(d,J=6.8Hz,12H)。
【0071】
【0072】
等モルの1-メチルピペリジン-2-カルボン酸(CAS:7730-87-2)と等モルのクロロ酢酸プロポフォールエステルをDMFに溶解させ、2倍過剰量の炭酸カリウムを加え、40℃で6時間撹拌し、実施例3の後処理方法に従って調製し、中間体aを得た。収率36~61%。
【0073】
aを酢酸エチルに溶解させ、過剰量の乾燥した塩化水素ガスを導入し、室温で30分間撹拌した後に酢酸エチルを留去し、残留物をシクロヘキサンで分散させ、減圧濾過し、固体を3回洗浄し、減圧濾過し、濾過ケーキを65℃で乾燥させて白色の固体、すなわち目的化合物10を得た。収率45~68%。
【0074】
1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ11.21(s,1H),7.27~7.36(m,3H),5.28(s,1H),4.38~4.32(m,1H),3.13~3.25(m,2H),2.97(hept,J=6.8Hz,2H),2.91(s,3H),2.01~2.18(m,2H),1.71~1.75(m,2H),1.13~1.35(m,14H)。
【0075】
【0076】
等モルの1-BOC-ピペリジン-2-カルボン酸(CAS:98303-20-9)と等モルのクロロ酢酸プロポフォールエステルをDMFに溶解させ、2倍過剰量の炭酸カリウムを加え、40℃で6時間撹拌し、実施例5の後処理方法に従って調製し、中間体aを得た。収率56~71%。
【0077】
aを過剰量のトリフルオロ酢酸に溶解させ、室温で6時間撹拌した後に減圧下でトリフルオロ酢酸を留去し、残留物をシクロヘキサンで分散させ、減圧濾過し、固体を3回洗浄し、減圧濾過し、濾過ケーキを65℃で乾燥させて白色の固体、すなわち目的化合物11を得た。収率は55~63%
1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ10.83(s,2H),7.23~7.30(m,3H),5.23(s,1H),4.33~4.30(m,1H),3.14~3.26(m,2H),2.94(hept,J=6.8Hz,2H),2.03~2.16(m,2H),1.72~1.77(m,2H),1.12~1.34(m,14H)。
【0078】
【0079】
等モルの4-BOC-モルホリン-3-カルボン酸(CAS:212650-43-6)と等モルのクロロ酢酸プロポフォールエステルをDMFに溶解させ、2倍過剰量の炭酸カリウムを加え、40℃で6時間撹拌し、実施例5の後処理方法に従って調製し、中間体aを得た。収率61~74%。
【0080】
aを酢酸エチルに溶解させ、過剰量の乾燥した塩化水素ガスを導入し、室温で30分間撹拌した後に酢酸エチルを留去し、残留物をシクロヘキサンで分散させ、減圧濾過し、固体を3回洗浄し、減圧濾過し、濾過ケーキを65℃で乾燥させて白色の固体、すなわち目的化合物12を得た。収率55~78%。
【0081】
1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ10.45(s,2H),7.29~7.34(m,3H),5.19(s,2H),4.63~4.65(m,1H),3.92~4.15(m,4H),3.30~3.39(m,2H),2.95(hept,J=6.8Hz,2H),1.13(d,J=6.8Hz,12H)。
【0082】
【0083】
等モルのN,N-ビス(2-メトキシエチル)アセトアミド(CAS:3235-71-0)とクロロ酢酸プロポフォールエステルをDMFに溶解させ、2倍過剰量の炭酸カリウムを加え、40℃で6時間撹拌し、実施例3の後処理方法に従って調製し、中間体aを得た。収率41~61%。
【0084】
aを酢酸エチルに溶解させ、過剰量の乾燥した塩化水素ガスを導入し、室温で30分間撹拌した後に酢酸エチルを留去し、残留物をシクロヘキサンで分散させ、減圧濾過し、固体をシクロヘキサンで3回洗浄し、減圧濾過し、濾過ケーキを65℃で乾燥させて白色の固体、すなわち目的化合物13を得た。収率65~69%。
【0085】
1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ8.95(s,1H),7.32~7.37(m,3H),5.22(s,2H),4.25(s,2H),3.73~3.81(m,4H),3.42~3.47(m,4H),3.24=(s,6H),2.94(hept,J=6.8Hz,2H),1.13(d,J=6.8Hz,12H)。
【0086】
【0087】
等モルのBOC-L-バリン(CAS:13734-41-3)と等モルのクロロ酢酸プロポフォールエステルをDMFに溶解させ、2倍過剰量の炭酸カリウムを加え、40℃で6時間撹拌し、実施例5の後処理方法に従って調製し、中間体aを得た。収率54~61%。
【0088】
aを酢酸エチルに溶解させ、過剰量の乾燥した塩化水素ガスを導入し、室温で30分間撹拌した後に酢酸エチルを留去し、残留物をシクロヘキサンで分散させ、減圧濾過し、固体を3回洗浄し、減圧濾過し、濾過ケーキを65℃で乾燥させて白色の固体、すなわち目的化合物14を得た。収率51~68%。
【0089】
1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ8.91(s,3H),7.31~7.35(m,3H),5.22(s,2H),4.16(d,J=6.8Hz,1H),2.96~3.04(m,3H),1.13(d,J=7.2Hz,12H),0.96(d,J=7.2Hz,6H)。
【0090】
【0091】
等モルのBOC-L-システイン(CAS:20887-95-0)と等モルのクロロ酢酸プロポフォールエステルをDMFに溶解させ、2倍過剰量の炭酸カリウムを加え、40℃で6時間撹拌し、実施例5の後処理方法に従って調製し、中間体aを得た。収率49~72%。
【0092】
aを酢酸エチルに溶解させ、過剰量の乾燥した塩化水素ガスを導入し、室温で30分間撹拌した後に酢酸エチルを留去し、残留物をシクロヘキサンで分散させ、減圧濾過し、固体を3回洗浄し、減圧濾過し、濾過ケーキを65℃で乾燥させて白色の固体、すなわち目的化合物15を得た。収率67~73%。
【0093】
1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ8.56(s,3H),7.28~7.33(m,3H),5.26(s,2H),4.70(t,J=6.8Hz,1H),3.46~3.64(m,3H),2.93(hept,J=6.8Hz,2H),1.16(d,J=7.2Hz,6H)。
【0094】
【0095】
等モルのBOC-N-メチル2-アミノプロピオン酸(CAS:13734-31-1)と等モルのクロロ酢酸プロポフォールエステルをDMFに溶解させ、2倍過剰量の炭酸カリウムを加え、40℃で6時間撹拌し、実施例5の後処理方法に従って調製し、中間体aを得た。収率52~66%。
【0096】
aを酢酸エチルに溶解させ、過剰量の乾燥した塩化水素ガスを導入し、室温で30分間撹拌した後に酢酸エチルを留去し、残留物をシクロヘキサンで分散させ、減圧濾過し、固体を3回洗浄し、減圧濾過し、濾過ケーキを65℃で乾燥させて白色の固体、すなわち目的化合物16を得た。収率61~69%。
【0097】
1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ8.71(s,2H),7.26~7.32(m,3H),5.25(s,2H),4.24(q,J=7.2Hz,1H),2.95(hept,J=6.8Hz,2H),2.84(s,3H),1.88(d,J=7.2Hz,3H),1.13(d,J=6.8Hz,12H)。
【0098】
【0099】
実施例6に記載の中間体bを酢酸エチルに溶解させ、過剰量の乾燥した塩化水素ガスを導入し、室温で30分間撹拌し、減圧して溶媒を蒸発乾燥させ、残留物をシクロヘキサンで分散させ、濾過し、固体をシクロヘキサンで3回洗浄し、減圧濾過し、濾過ケーキを65℃で乾燥させて白色の固体、すなわち目的化合物17を得た。収率51~64%。
【0100】
1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ10.91(s,1H),7.28~7.33(3H,m),5.29(2H,s),4.44(2H,s),3.78~3.85(m,4H),3.22~3.27(m,5H),2.55~2.59(m,1H),1.34(d,J=7.2Hz,3H),1.24(d,J=7.2Hz,6H),1.01~1.06(m,1H),0.41~0.51(m,2H),0.18~0.24(m,2H)。
【0101】
【0102】
実施例6に記載の中間体bを無水エタノールに溶解させ、等モルのベンゼンスルホン酸を加え、室温で30分間撹拌し、減圧して溶媒を蒸発乾燥させ、残留物をシクロヘキサンで分散させ、濾過し、固体をシクロヘキサンで3回洗浄し、減圧濾過し、濾過ケーキを65℃で乾燥させて白色の固体、すなわち目的化合物18を得た。収率70~84%。
【0103】
1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ10.73(s,1H),7.68~7.79(m,5H),7.31~7.35(3H,m),5.29(2H,s),4.44(2H,s),3.81~3.89(m,4H),3.22~3.26(m,5H),2.57~2.59(m,1H),1.32(d,J=7.2Hz,3H),1.28(d,J=7.2Hz,6H),1.04~1.07(m,1H),0.41~0.52(m,2H),0.16~0.23(m,2H)。
【0104】
【0105】
実施例6に記載の中間体bを無水エタノールに溶解させ、0.5モル当量の硫酸を加え、室温で30分間撹拌し、減圧して溶媒を蒸発乾燥させ、残留物をシクロヘキサンで分散させ、濾過し、固体をシクロヘキサンで3回洗浄し、減圧濾過し、濾過ケーキを65℃で乾燥させて白色の固体、すなわち目的化合物19を得た。収率80~88%。
【0106】
1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ11.24(s,1H),7.31~7.35(3H,m),5.33(2H,s),4.43(2H,s),3.83~3.89(m,4H),3.19~3.26(m,5H),2.53~2.57(m,1H),1.29(d,J=7.2Hz,3H),1.25(d,J=7.2Hz,6H),1.02~1.07(m,1H),0.39~0.51(m,2H),0.18~0.26(m,2H)。
【0107】
【0108】
実施例6に記載の中間体bを無水エタノールに溶解させ、等モルのp-トルエンスルホン酸を加え、室温で30分間撹拌し、減圧して溶媒を蒸発乾燥させ、残留物をシクロヘキサンで分散させ、濾過し、固体をシクロヘキサンで3回洗浄し、減圧濾過し、濾過ケーキを65℃で乾燥させて白色の固体、すなわち目的化合物20を得た。収率75~86%。
【0109】
1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ10.89(s,1H),7.68~7.79(m,2H),7.45~7.49(m,2H),7.28~7.32(3H,m),5.24(2H,s),4.41(2H,s),3.80~3.87(m,4H),3.19~3.23(m,5H),2.53~2.55(m,1H),2.43(s,3H),1.33(d,J=7.2Hz,3H),1.25(d,J=7.2Hz,6H),1.02~1.05(m,1H),0.40~0.51(m,2H),0.17~0.23(m,2H)。
【0110】
【0111】
実施例6に記載の中間体bを無水エタノールに溶解させ、等モルのメタンスルホン酸を加え、室温で30分間撹拌し、減圧して溶媒を蒸発乾燥させ、残留物をシクロヘキサンで分散させ、濾過し、固体をシクロヘキサンで3回洗浄し、減圧濾過し、濾過ケーキを65℃で乾燥させて白色の固体、すなわち目的化合物21を得た。収率75~86%。
【0112】
1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ11.21(s,1H),7.28~7.32(3H,m),5.25(2H,s),4.43(2H,s),3.81~3.87(m,4H),3.31(s,3H),3.15~3.22(m,5H),2.54~2.58(m,1H),2.42(s,3H),1.32(d,J=7.2Hz,3H),1.26(d,J=7.2Hz,6H),1.01~1.05(m,1H),0.40~0.51(m,2H),0.18~0.23(m,2H)。
【0113】
【0114】
モルホリン-4-イル酢酸(2.29g,15.8mmol)、NaI(1.18g,15.8mmol)及びプロポフォールクロロ酢酸エステル(4g,15.8mmol)をDMF(20mL)に溶解させ、K2CO3(2.25g,16.2mmol)を加え、40℃で6時間撹拌し、反応液を冷却し、酢酸エチル(200mL)及び水(100mL)で生成物を抽出し、且つ有機層を水(3×100mL)で複数回洗浄し、有機層を分取し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。翌日濾過し、濾液を減圧し蒸発乾燥させて粗生成物を得て、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(シクロヘキサン/酢酸エチル30:1)により精製し、3.16gの無色の油状物、すなわち中間体aを得た。収率55.34%。
【0115】
中間体a(1.02g,2.8mmol)を30mLの酢酸エチルに溶解させ、乾燥した塩化水素ガスを30分間導入し、室温で1時間撹拌し、酢酸エチルを減圧留去して、粗生成物を得た。粗生成物をシクロヘキサンで複数回洗浄し、減圧濾過した後、65℃で乾燥させて白色の固体0.78g、すなわち目的化合物22を得た。収率70.91%。
【0116】
1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ11.29(s,1H),7.24~7.29(m,3H),5.32(s,2H),4.43(s,2H),3.86(s,broad,4H),3.25(s,broad,4H),2.93(hept,J=6.8Hz,2H),1.13(d,J=6.8Hz,12H)。
【0117】
【0118】
実施例22に記載の中間体aを無水エタノールに溶解させ、0.5モル当量の硫酸を加え、室温で30分間撹拌し、減圧して溶媒を蒸発乾燥させ、残留物をシクロヘキサンで分散させ、濾過し、固体をシクロヘキサンで3回洗浄し、減圧濾過し、濾過ケーキを65℃で乾燥させて白色の固体、すなわち目的化合物23を得た。収率70~85%。
【0119】
1H NMR (400MHz,DMSO-d6):δ11.10(s,1H),7.25~7.31(m,3H),5.31(s,2H),4.41(s,2H),3.87(s,broad,4H),3.26(s,broad,4H),2.94(hept,J=6.8Hz,2H),1.14(d,J=6.8Hz,12H)。
【0120】
【0121】
実施例22に記載の中間体aを無水エタノールに溶解させ、等モルのベンゼンスルホン酸を加え、室温で30分間撹拌し、減圧して溶媒を蒸発乾燥させ、残留物をシクロヘキサンで分散させ、濾過し、固体をシクロヘキサンで3回洗浄し、減圧濾過し、濾過ケーキを65℃で乾燥させて白色の固体、すなわち目的化合物24を得た。収率71~79%。
【0122】
1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ11.32(s,1H),7.63~7.76(m,5H),7.28~7.32(m,3H),5.28(s,2H),4.37(s,2H),3.88(s,broad,4H),3.28(s,broad,4H),2.92(hept,J=6.8Hz,2H),1.13(d,J=6.8Hz,12H)。
【0123】
【0124】
実施例22に記載の中間体aを無水エタノールに溶解させ、等モルのp-トルエンスルホン酸を加え、室温で30分間撹拌し、減圧して溶媒を蒸発乾燥させ、残留物をシクロヘキサンで分散させ、濾過し、固体をシクロヘキサンで3回洗浄し、減圧濾過し、濾過ケーキを65℃で乾燥させて白色の固体、すなわち目的化合物25を得た。収率75~89%。
【0125】
1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ11.04(s,1H),7.65~7.77(m,2H),7.46~7.51(m,2H),,7.27~7.30(m,3H),5.22(s,2H),4.38(s,2H),3.85(s,broad,4H),3.23(s,broad,4H),2.93(hept,J=6.8Hz,2H),1.15(d,J=6.8Hz,12H)。
【0126】
【0127】
実施例22に記載の中間体aを無水エタノールに溶解させ、等モルのメタンスルホン酸を加え、室温で30分間撹拌し、減圧して溶媒を蒸発乾燥させ、残留物をシクロヘキサンで分散させ、濾過し、固体をシクロヘキサンで3回洗浄し、減圧濾過し、濾過ケーキを65℃で乾燥させて白色の固体、すなわち目的化合物26を得た。収率72~88%。
【0128】
1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ11.16(s,1H),7.29~7.31(m,3H),5.22(s,2H),4.37(s,2H),3.84(s,broad,4H),3.25~3.35(m,7H),2.95(hept,J=6.8Hz,2H),1.13(d,J=6.8Hz,12H)。
【0129】
【0130】
実施例22に記載の中間体aを過剰量のトリフルオロ酢酸に溶解させ、室温で30分間撹拌し、減圧して溶媒を蒸発乾燥させ、残留物をシクロヘキサンで分散させ、濾過し、固体をシクロヘキサンで3回洗浄し、減圧濾過し、濾過ケーキを65℃で乾燥させて白色の固体、すなわち目的化合物27を得た。収率68~79%。
【0131】
1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ11.16(s,1H),7.27~7.33(m,3H),5.32(s,2H),4.43(s,2H),3.88(s,broad,4H),3.25(s,broad,4H),2.92(hept,J=6.8Hz,2H),1.13(d,J=6.8Hz,12H)。
【0132】
【0133】
(S)-2-シクロプロピルエチル-6-イソプロピルフェノール(CAS:1637741-59-3,204mg,1mmoL)とクロロアセチルクロリド(124mg,1.1mmol)を10mLのジクロロメタンに溶解させ、氷浴下でピリジン(237mg,3mmol)を加え、室温に戻して2時間撹拌し、溶媒を蒸発乾燥させ、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(シクロヘキサン/酢酸エチル=20/1)により無色の油状物176mg、すなわち中間体aを得た。中間体a(176mg,0.62mmol)とモルホリン-4-イル酢酸(90mg,0.66mmol)をDMF(20mL)に溶解させ、室温で40分間撹拌した。次いで、K2CO3(97mg,0.7mmol)を該溶液に加え、該反応溶液を70℃で4時間撹拌した。反応液を冷却し、水(100mL)を加え、酢酸エチル(200mL)で抽出し、有機層を水(3x100mL)で洗浄し、有機層を分取し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。翌日濾過し、濾液の溶媒を蒸発乾燥させて粗生成物を得て、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(シクロヘキサン/酢酸エチル30:1)により138mgの無色の油状物、すなわち中間体bを得た。収率54%。138mgの中間体bを3mLの酢酸エチルに溶解させ、過剰量の塩化水素ガスを導入し、室温で30分間撹拌し、減圧して溶媒を蒸発乾燥させ、残留物に20mLのシクロヘキサンを加え、固体を析出させ、濾過し、シクロヘキサンで固体を3回洗浄し、減圧濾過し、濾過ケーキを65℃で乾燥させて、白色の固体101.2mgを得た。収率55.6%。
【0134】
1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ11.61(s,1H),7.31~7.38(3H,m),5.32(2H,s)4.39(2H,s),3.83~3.92(m,4H),3.20~3.26(m,5H),2.57~2.59(m,1H),1.35(d,J=7.2Hz,3H),1.28(d,J=7.2Hz,6H),1.02~1.09(m,1H),0.41~0.53(m,2H),0.17~0.26(m,2H)。
【0135】
【0136】
ピペリジン-1-酢酸(2.26g,15.8mmol)、NaI(1.18g,15.8mmol)及びプロポフォールクロロ酢酸エステル(4g,15.8mmol)をDMF(20mL)に溶解させ、K2CO3(2.25g,16.2mmol)を加え、40℃で6時間撹拌し、反応液を冷却し、酢酸エチル(200mL)及び水(100mL)で生成物を抽出し、且つ有機層を水(3×100mL)で複数回洗浄し、有機層を分取し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させる。翌日濾過し、濾液を減圧し蒸発乾燥させて粗生成物を得て、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(シクロヘキサン/酢酸エチル30:1)により精製し、3.31gの無色の油状物、すなわち中間体aを得た。収率58.1%。
【0137】
中間体a(1.01g,2.8mmol)を30mLの酢酸エチルに溶解させ、乾燥した塩化水素ガスを30分間導入し、室温で1時間撹拌し、酢酸エチルを減圧留去して、粗生成物を得た。粗生成物をシクロヘキサンで複数回洗浄し、減圧濾過した後、65℃で乾燥させて白色の固体0.82g、すなわち目的化合物29を得た。収率73.6%。
【0138】
1H NMR(400MHz,DMSO-d6):10.53(s,1H),7.2`~7.28(m,3H),5.33(s,2H),4.40(s,2H),3.45~3.48(m,2H),2.90~3.04(m,4H),1.68~1.80(m,5H),1.33~1.36(m,1H),1.13(d,J=6.9Hz,12H)。
【0139】
【0140】
中間体a(176mg,0.62mmol)とピペリジン-1-酢酸(89mg,0.66mmol)をDMF(20mL)に溶解させ、室温で40分間撹拌した。次いで、K2CO3(97mg,0.7mmol)を該溶液に加え、該反応溶液を70℃で4時間撹拌した。反応液を冷却し、水(100mL)を加え、酢酸エチル(200mL)で抽出し、有機層を水(3x100mL)で洗浄し、有機層を分取し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。翌日濾過し、濾液の溶媒を蒸発乾燥させて粗生成物を得て、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(シクロヘキサン/酢酸エチル30:1)により145mgの無色の油状物、すなわち中間体bを得た。収率60.4%。145mgの中間体bを3mLの酢酸エチルに溶解させ、過剰量の塩化水素ガスを導入し、室温で30分間撹拌し、減圧して溶媒を蒸発乾燥させ、残留物に20mLのシクロヘキサンを加え、固体を析出させ、濾過し、シクロヘキサンで固体を3回洗浄し、減圧濾過し、濾過ケーキを65℃で乾燥させて、白色の固体110.2mgを得た。収率69.4%。
【0141】
1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ11.12(s,1H),7.29~7.37(3H,m),5.30(2H,s)4.35(2H,s),3.81~3.91(m,4H),3.15~3.19(m,1H),2.56~2.59(m,1H),1.55~1.71(m,6H),1.34(d,J=7.2Hz,3H),1.26(d,J=7.2Hz,6H),1.01~1.07(m,1H),0.40~0.52(m,2H),0.18~0.25(m,2H)。
【0142】
実施例31
実施例1~30に記載の方法によれば、本発明の式(I)に記載の目的化合物の一般的な製造方法は具体的に以下のとおりである。すなわち、等モルの置換フェノールクロロ酢酸エステルとN-BOC保護のアミノ酸(アミノ基の水素が完全に置換されたアミノ酸はアミノ基を保護しなくてもよい)をDMFに混合し、室温から70℃の範囲で4~12時間撹拌して反応させ(等モルのヨウ化ナトリウムを加えて反応の発生を促進してよい)、反応液を冷却し、水を加えて無機塩を溶解させるとともにDMFを希釈し、酢酸エチルで生成物を抽出し、さらに水で有機層を3回洗浄し、有機層を分取し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。翌日濾過し、濾液の溶媒を蒸発乾燥させて粗生成物を得て、シリカゲルカラムクロマトグラフィにより式(I)に記載の目的化合物の遊離塩基を得た。収率15%~80%。遊離塩基は酢酸エチル又はエタノール溶液中で有機酸又は無機酸とにより塩を形成し、溶媒を除去した後に(I)化合物の水溶性塩を得た。収率35%~85%。上記の方法を用いて製造することができる式(I)の目的化合物の塩(主原料及び生成物の分子イオンピークを付す)には以下が含まれるが、これらに限定されない。
【0143】
【0144】
実施例32
試験対象のプロドラッグを10mg/mLの生理食塩水溶液に調製した。10μLの薬物含有溶液を990μLのマウス血漿に加え、30秒間ボルテックスした後に37℃でインキュベートした。30s、1min、5min、10min、30min、60min、120minに、それぞれ薬物含有血漿50μLを取り、直ちに150μLのアセトニトリルを加えて酵素反応を停止させ、次に20000回転/min、4℃で10min遠心分離し、上澄み液50μLを取って試料とし、内部標準法でプロポフォール濃度を測定した。プロポフォール又は他の置換フェノールの濃度から、プロドラッグの分解率を計算した。クロマトグラフィの条件:クロマトグラフィカラム Agilent Zorbax XDB C18 カラム(150mm×4.6mm,5μm)、カラム温度30℃、移動相は、純水:アセトニトリル(40:60,v/v)、蛍光波長:励起波長 (Ex):276nm、発光波長(Em):310nm、流速1.2mL/min、滞留時間:内部標準(チモール)3.9min、プロポフォール7.4min。プロポフォール又は他の置換フェノールの線形範囲:50~35000ng/mL。機器:Waters 2695型高速液体クロマトグラフ、Waters 2475型蛍光検出器。一部のプロドラッグの血漿分解実験の結果を表2に示す。
【0145】
【0146】
in vitroでの血漿分解実験により、本特許に記載のプロドラッグ分子は、マウス血漿において非常に速い速度で分解されることがわかった。上記のプロドラッグ分子は、血漿と共に30秒間インキュベートした後に平均で51%~98%が分解された一方で、市販の薬物Fopropofolは、血漿と共に10分間インキュベートした後も有意な分解が検出されず、2時間後でも38%しか分解されなかったことから、Fospropofolの血漿における分解速度はゆるやかであることがわかる。本発明により製造されたプロドラッグ分子は血漿において速やかに分解され、プロポフォール又は他の置換フェノールを得た。
【0147】
実施例33
各種薬物について、体重20~35グラムの雄の昆明マウス10匹を用いて実験を行い、用量は各薬物のマウス体内でのED50の2倍とした。本特許に記載の化合物及びFospropofolを生理食塩水に溶解させた後にマウスの尾静脈から注射した。プロポフォールは、市販の乳剤であるディプリバンのグルコース希釈液(5mg/mL)を使用して尾静脈から注射した。別の置換フェノール分子(CAS:1637741-58-2)は、30%脂肪乳剤を用いて薬物含有乳剤として調製し、使用した。本特許に記載の化合物の注射液濃度は10~15mg/mL、Fospropofolの注射液濃度は55mg/mL、別の置換フェノール分子(CAS:1637741-58-2)の乳剤の注射液濃度は1mg/mLとした。マウスに薬物を注射した後、立ち直り反射消失が現れた時間T1、立ち直り反射消失の持続時間T2(すなわち麻酔時間)及びマウスが覚醒した後、完全に回復するまでに要した時間T3を記録した。完全に回復するとは、自発動作が投薬前のレベルに戻ることを意味する。実験中は、動物に酸素吸入や挿管等の呼吸補助は行わなかった。
【0148】
【0149】
【0150】
実験結果から分かるように、本特許に記載のプロドラッグは、血漿分解速度が非常に速く、作用発現時間はプロポフォールと同等であるため、注射完了後はいずれの場合も即時に動物に麻酔をかけることができる。本特許に記載の化合物は、等価用量を用いた場合、動物が摂取するプロポフォールの量が、プロポフォールを直接使用して麻酔をかけた際の用量と同等であり、一方、市販の薬物Fospropofolが担持するプロポフォールの用量は、プロポフォールを直接使用して動物に麻酔をかけた場合よりもはるかに多い。本特許に記載のプロドラッグが有効用量の場合に担持するプロポフォールは、Fospropofolと比較して大幅に少ないため、動物に対する麻酔持続時間は市販の薬物Fospropofoと比べて著しく短縮されている。また、本特許に記載のプロドラッグ群の動物が覚醒してから完全に回復するまでの時間も、Fospropofol群の動物と比較して著しく短縮されている。同様に、本特許に記載の他の置換フェノールのプロドラッグ分子は、それが担持する置換フェノール分子と比較しても、作用発現と回復が速いという原薬の特徴を保っている。
【0151】
以上のように、本特許に記載の水溶性プロドラッグ分子は、プロポフォールを含む置換フェノール系麻酔薬の、作用発現が早く、投与停止後の回復が速いという優位性を完全に保っている。
【0152】
実施例34
プロドラッグ分子の治療指数の測定文献の方法(Dixon,W.Staircase bioassay:the up-and down method.Neurosci.Biobehav.Rev.1991,15,47-50)を参照し、昆明マウスを実験動物(体重25~30g,雌雄各半数)として、測定対象の分子の50%有効用量(ED50)及び50%致死用量(LD50)を測定した。各種分子の治療指数の計算方法は、TI=LD50/ED50とした。結果を表5に示す。
【0153】
【0154】
治療指数とは、薬物の有効用量と致死用量との差を反映した、薬物分子の最も基本的な安全性指標の1つである。実験の結果、本特許に記載の化合物の治療指数はプロポフォールに近似し、安全性はプロポフォールと同等であり、市販薬物であるFospropofolよりも明らかに優れていることが示された。一般に全身麻酔薬の治療指数は低い(3~5)ため、治療濃度域が元々狭いプロポフォールに対して、その水溶性プロドラッグがこれと近似の治療指数を保持できていることは、上記分子の安全性が高いことを示している。