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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-30
(45)【発行日】2025-10-08
(54)【発明の名称】機器ラックマウント用治具
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/18 20060101AFI20251001BHJP
   B25B 11/02 20060101ALI20251001BHJP
【FI】
H05K7/18 L
B25B11/02
H05K7/18 D
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2024177299
(22)【出願日】2024-10-09
【審査請求日】2024-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000162593
【氏名又は名称】エクシオグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(74)【代理人】
【識別番号】100174609
【弁理士】
【氏名又は名称】関 博
(72)【発明者】
【氏名】岡本 直樹
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/097797(WO,A1)
【文献】特開2017-204563(JP,A)
【文献】特開平11-040965(JP,A)
【文献】特開2006-190772(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0195408(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/18
B25B 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に沿って規則的な間隔で形成された複数の貫通孔を備える板面を有する支柱部材により構成される機器マウント用ラックに対して対象機器を搭載する際に用いる治具であって、
前記支柱部材を挟持する挟持面を有すると共に、前記支柱部材を挟持した状態で上面となる位置に前記対象機器を仮置きする載置面を構成する一対の挟持片と、
前記一対の挟持片による前記支柱部材の挟持状態を維持するための固定手段と、
前記固定手段による挟持状態を解除する解除手段と、を有し、
一方の挟持片は、前記挟持面に前記貫通孔の配置間隔に合わせて配置された複数の挿入ピンを突設させており、
他方の挟持片は、前記挟持面に前記複数の挿入ピンの配置位置に対応した嵌入孔を備えており、
前記挿入ピンの突設長さは、少なくとも前記支柱部材の厚みよりも長くなるように構成されていることを特徴とする機器ラックマウント用治具。
【請求項2】
前記一対の挟持片は、一方の挟持片を基部片、他方の挟持片を可動片とし、
前記可動片は、前記基部片を基点として立設されたスライドガイドに沿って移動を可能とし、
前記固定手段は、前記スライドガイドに対する移動を規制する手段であることを特徴とする請求項1に記載の機器ラックマウント用治具。
【請求項3】
前記可動片には、前記スライドガイドを挿通させるグリップと、
前記グリップを基点として握り込みを可能とするレバーと、が付帯され、
前記レバーを握り込む事により、前記スライドガイドに沿って前記可動片を前記基部片側へスライドさせる構成としたことを特徴とする請求項2に記載の機器ラックマウント用治具。
【請求項4】
前記解除手段は、前記可動片に備えられていることを特徴とする請求項3に記載の機器ラックマウント用治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器固定のために用いる仮止め用の治具に係り、特に中継装置や終端装置等の伝送装置をラックに固定する際に好適な機器ラックマウント用治具に関する。
【背景技術】
【0002】
業務用設備に設置される伝送装置等の機器は一般的に、専用のラックに複数段積層して配置固定されることとなる。機器の配置形態は多岐に亙るため、ラックに棚は無く、固定対象機器は支柱を構成する部材(アングル材等の支柱部材)に直接固定されることとなる。このため従来は、予め支柱部材に、搭載用のレールを仮固定した上で、固定対象機器をレール上に配置して支柱部材と固定対象機器とを固定するという手法が採られていた。しかし、搭載用のレールの仮固定も固定対象機器の固定と同様に、ボルト止めにより成される。このため、配置固定する固定対象機器が多くなればなるほど、レール自体の取り付け、取り外しに要する時間が膨大なものとなり、工期を長引かせる要因にもなっていた。
【0003】
このような実状を踏まえ、特許文献1や特許文献2に開示されているような治具が提案されている。特許文献1に開示されている治具は、長手方向に沿って規則的な間隔で形成された複数の貫通孔を備える支柱部材の板面に沿って配置される基台部と、この基台部に立設されて、貫通孔に挿入される挿入部と、基台部を基点として挿入部と平行に備えられた板状の載置部とから構成されるものである。
【0004】
このような構成の治具は、載置部が上面に位置するようにした上で、挿入部を支柱部材の貫通孔に挿入することで、固定対象機器の仮置き台を構成するというものである。このような構成の治具であれば、構造が簡易な上に、取り付け、取り外しも容易であり、迅速な作業が可能となる。しかし、特許文献1に開示されている治具の配置形態は、挿入部を貫通孔に差し込むだけであるため、安定性に不安が残り、高価な機器の載置にはリスクが高いといった問題がある。
【0005】
特許文献2に開示されている治具は、固定バーと可動バーを主体とし、固定バーには、アングル材に設けられた貫通孔に係合する爪を備え、可動バーには、その上面に固定対象機器を支持する回動部材が配置されている。
【0006】
このような構成の治具は、爪を貫通孔に引っ掛けるだけで安定した支持状態を得る事ができる。また、固定対象機器を固定した後には、可動バーを移動させ、固定対象機器の下部から退避させる事で、固定バーの係合を解除する事が可能となる。しかし、特許文献2に開示されている治具は、固定対象機器の支持を点で行うこととなるため、重量の大きな固定対象機器を支持した場合、固定対象機器の下面に損傷が生じる虞もあり、対応可能な機器が限られてしまうといった虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2002-344176号公報
【文献】特開2009-182192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明では、上記問題を解決し、着脱が容易で安定し、かつ機器への汎用性の高い機器ラックマウント用治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る機器ラックマウント用治具は、長手方向に沿って規則的な間隔で形成された複数の貫通孔を備える板面を有する支柱部材により構成される機器マウント用ラックに対して対象機器を搭載する際に用いる治具であって、前記支柱部材を挟持する挟持面を有すると共に、前記支柱部材を挟持した状態で上面となる位置に前記対象機器を仮置きする載置面を構成する一対の挟持片と、前記一対の挟持片による前記支柱部材の挟持状態を維持するための固定手段と、前記固定手段による挟持状態を解除する解除手段と、を有し、一方の挟持片は、前記挟持面に前記貫通孔の配置間隔に合わせて配置された複数の挿入ピンを突設させており、他方の挟持片は、前記挟持面に前記複数の挿入ピンの配置位置に対応した嵌入孔を備えており、前記挿入ピンの突設長さは、少なくとも前記支柱部材の厚みよりも長くなるように構成されていることを特徴とする。
【0010】
また、上記のような特徴を有する機器ラックマウント用治具において前記一対の挟持片は、一方の挟持片を基部片、他方の挟持片を可動片とし、前記可動片は、前記基部片を基点として立設されたスライドガイドに沿って移動を可能とし、前記固定手段は、前記スライドガイドに対する移動を規制する手段としていると良い。このような特徴を有する事によれば、スライドガイドに沿って可動片を動かす事で、支柱部材の挟持が可能となる。
【0011】
また、上記のような特徴を有する機器ラックマウント用治具において前記可動片には、前記スライドガイドを挿通させるグリップと、前記グリップを基点として握り込みを可能とするレバーと、が付帯され、前記レバーを握り込む事により、前記スライドガイドに沿って前記可動片を前記基部片側へスライドさせる構成とすると良い。このような特徴を有する事によれば、グリップを把持した状態でレバーを握り込むだけで支柱部材の挟持が可能となるため、片手で機器ラックマウント用治具の取り付けを行う事が可能となる。
【0012】
さらに、上記のような特徴を有する機器ラックマウント用治具において前記解除手段は、前記可動片に備えられていることが望ましい。このような特徴を有する事によれば、可動片に対する操作だけで、機器ラックマウント用治具の着脱の双方の動作を完了する事が可能となる。
【発明の効果】
【0013】
上記のような特徴を有する機器ラックマウント用治具によれば、ラック(ラックを構成する支柱部材)への着脱が容易で、取り付け状態においては安定し、かつ固定対象機器への汎用性も高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係る機器ラックマウント用治具の構成を示す斜視図(正面平面右側面)である。
図2】実施形態に係る機器ラックマウント用治具の構成を示す斜視図(正面平面左側面)である。
図3】実施形態に係る機器ラックマウント用治具の構成を示す正面図である。
図4】実施形態に係る機器ラックマウント用治具の構成を示す平面図である。
図5】実施形態に係る機器ラックマウント用治具の構成を示す底面図である。
図6図4におけるA-A断面を示す図である。
図7】押進プレートとスライドガイドの関係を示す図である。
図8】実施形態に係る機器ラックマウント用治具において、レバーを握った場合における押進プレートの作用を説明するための断面図である。
図9】実施形態に係る機器ラックマウント用治具において、解除手段を操作した場合における動作を説明するための断面図である。
図10】実施形態に係る機器ラックマウント用治具の使用方法を説明するための図であり、基部片と可動片を開いた状態を示す斜視図である。
図11】実施形態に係る機器ラックマウント用治具の使用方法を説明するための図であり、基部片の挿入ピンを支柱部材の貫通孔に挿通させた状態を示す斜視図である。
図12】実施形態に係る機器ラックマウント用治具の使用方法を説明するための図であり、支柱部材を挟持した状態を示す斜視図である。
図13】実施形態に係る機器ラックマウント用治具の使用方法を説明するための図であり、支柱部材の挟持状態を解除した状態を示す斜視図である。
図14】実施形態に係る機器ラックマウント用治具を用いて固定対象機器をラックに固定した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の機器ラックマウント用治具に係る実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施形態に係るラックマウント用治具は、詳細を後述するラック100を構成する支柱部材110に対して挟持固定して使用されるものである。
【0016】
[構成]
本実施形態に係るラックマウント用治具(以下、単に治具10と称す)は、少なくとも、基部片12と可動片22から成る一対の挟持片を有する。挟持片は、支柱部材110を構成する板片を厚み方向から挟持するための要素である。なお、本実施形態でいう支柱部材110とは、長尺な板材やアングル材など、ラック100の支柱となり得る部材であれば良い。実施形態に係る治具10の場合、挟持の際の基点となる要素を基部片12、基部片に対して開閉方向へのスライドを可能とする要素を可動片22としている。
【0017】
基部片12は、支柱部材110に当接する挟持面14を有し、挟持面14には、挿入ピン16と、スライドガイド18、及びガイド孔20が備えられている。挿入ピン16は、設置対象とする支柱部材110の長手方向に沿って規則的な間隔で形成されている複数の貫通孔112に挿通させるためのピンである。挿入ピン16の配置間隔は、支柱部材110に設けられた貫通孔112の配置間隔と一致、あるいはその倍数となるようにすれば良く、少なくとも2つのピン(理想的には3つ)を備えるようにすると良い。挿入ピン16は、単一のピンだけであっても、治具10が荷重によりずり落ちる事を防止する事ができる。一方で、挿入ピン16を2つ以上備えるようにした場合には、荷重によるずり落ちに加え、治具10が傾く事も防止する事が可能となる。
【0018】
スライドガイド18は、可動片22を挟持方向に沿って移動させるためのガイドである。実施形態に係るスライドガイド18は、帯状の平板部材であり、挟持面14を基点として、直角に立設されている。ガイド孔20は、可動片22に立設されるガイドピン28を挿入するための貫通孔であり、ガイドピン28がガイド孔20に挿通される事により、基部片12と可動片22との相対的なズレを抑える事ができる。
【0019】
可動片22は、スライドガイド18に沿って移動し、基部片12との間に支柱部材110を挟み込むための要素である。可動片22には、挟持面24の他、グリップ30やレバー32、及び解除手段34などが付帯されており、可動片22の移動に伴って、これらの要素も移動することとなる。挟持面24には、スライドガイド18を挿通させるための孔の他、嵌入孔26や、ガイドピン28が設けられている。嵌入孔26は、基部片12を構成する挿入ピン16を嵌入させるための要素であり、嵌入孔26で挿入ピン16を受ける事で、挿入ピン16が両持ち状態となり、負荷状態(固定対象機器120が搭載された状態)での安定性を向上させる事が可能となる。このため、嵌入孔26の直径は、挿入ピン16に対して僅かにプラス公差とし、ガタツキが少ない状態とすると良い。ガイドピン28は、基部片12の挟持面14に設けられたガイド孔20に挿通するための要素である。ガイドピン28をガイド孔20に挿通させることで、基部片12と可動片22との相対的なズレを抑える事ができる。
【0020】
グリップ30は、可動片22における挟持面24と反対側に延設される持ち手であり、挟持面24から挿入されたスライドガイド18を内部に挿通させる事を可能な構成とされている。
【0021】
レバー32は、可動片22を基部片12側へ移動させるための駆動要素である。レバー32は、可動片22におけるグリップ30の付け根部分から、グリップ30の延設方向へ向けて、グリップ30から離間する方向へ延設されている。このような構成としたレバー32は、グリップ30を把持した状態で握り込む事により、可動片22を基部片12側へ押し進める作用を奏する。
【0022】
本実施形態に係るレバー32は、図6に示すようにほぼL字状の体を成すように形成されており、支点O、力点P、作用点Aをそれぞれ備える。スライドガイド18には図6に示すように、2枚の押進プレート36a,36bが挿通されている。押進プレート36a,36bとスライドガイド18との関係を図6中B方向矢視から見た場合、図7に示すような形態となる。すなわち、スライドガイド18と押進プレート36a,36bの貫通孔36a1,36b1との間には、高さ方向に隙間が生じるように構成されている。このため、押進プレート36a,36bは、スライドガイド18に対して面方向に斜めに配置する事が可能となっている(図8参照)。スライドガイド18に対して押進プレート36a,36bを斜めに配置する事で、貫通孔36a1,36b1の上下辺に位置する厚み方向角部がスライドガイド18の上下面に接触し、高い摩擦力を生じさせることとなる。また、押進プレート36a,36bの上端側36a2,36b2は、レバー32の作用点Aに接触し、下端側36a3,36b3は、可動片22の一部である押圧壁38に接触している。そして、このように配置された2枚の押進プレート36a,36bは、グリップ30の一部を基点として、挟持面24側に向けた付勢力を生じさせる付勢手段40により付勢されている。
【0023】
このような構成とすることで、レバー32の力点Pをグリップ30に近付けるように握り込んだ場合、図8に示すように、レバー32の作用点Aが押進プレート36a,36bの上端側36a2,36b2を押圧することとなる。上端側36a2,36b2を押圧された押進プレート36a,36bは、スライドガイド18と、スライドガイド18を挿通させている貫通孔36a1,36b1との間に摩擦を生じさせると共に、付勢手段40による付勢力を受けているため、貫通孔36a1,36b1の上部辺を基点に下端側36a3,36b3が挟持面24側へ向けて回動することとなる。押進プレート36a,36bがこのように回動すると、下端側36a3,36b3は、可動片22の押圧壁38を押圧することとなる。摩擦力によってスライドガイド18に位置決めされた押進プレート36a,36bにより押圧壁38を押圧された可動片22は、付勢手段40を圧縮させつつ基部片12側へスライドすることとなる。
【0024】
可動片22をスライド移動させた後、レバー32を開放すると、押進プレート36a,36bは、付勢手段40の付勢力を受けてスライドガイド18に直交する姿勢に戻されると共に、再び押圧壁38に押し当てられる。また、レバー32は、押進プレート36a,36bが元の姿勢に押し戻される事に伴い、開放位置に押し戻されることとなる。
【0025】
解除手段34は、スライドガイド18に沿って移動した可動片22を引き戻す際に、引き戻しを妨げる固定手段42によるロックを解除する役割を担う要素である。解除手段34は、L字型のレバーであり、支点O1、力点P1、作用点A1を有しており、支点O1を基点として回動可能に配置されている。
【0026】
可動片22の引き戻しを妨げる固定手段42は、スライドガイド18に挿通されたプレートである。なお、プレートの形状は、上述した押進プレート36a,36bと同様であり、その作用も同様である。すなわち、プレートを傾斜させてスライドガイド18を挿通させた貫通孔の上下辺をスライドガイド18に押し当てる事で強い摩擦力を生じさせ、可動片22の引き戻しを妨げている。
【0027】
固定手段42を構成するプレートの上端側は、可動片22に設けられた基準壁44に当接している。このような状態で、固定手段42と可動片22との間に設けられた付勢手段46により挟持面24側へ押し付けられることで、固定手段42を構成するプレートの下端側は、上端側を基点として挟持面24側へ傾いた状態で解除手段34の作用点A1に当接することとなる。固定手段42においてはこの状態が、いわゆるロック状態となる。
【0028】
解除手段34は、力点P1を可動片22側へ押し込むことで、作用点A1が固定手段42の下端側を押圧することとなる。これにより図9に示すように、固定手段42を構成するプレートの板面がスライドガイド18と直交する形態となり、両者間に生じていた摩擦が低減され、ロックが解除される。よって、可動片22を基部片12から離間させるように動かす事が可能となる。
【0029】
このような構成を有する治具10には、基部片12と可動片22の両側辺に、載置面12a,22aが設けられている。平滑面である載置面12a,22aを設けることにより、ラック100に治具10を固定した後、載置面12a,22aに固定対象機器120を安定して載置する事が可能となる。
【0030】
[作用・効果]
次に、図10から図14を参照して、上記のような構成の治具10の使用方法について説明する。最初に、図10に示すように、基部片12と可動片22を離間させた状態とした上で、治具10を支柱部材110に近接させる。次に、図11に示すように、近接させた治具10の挿入ピン16を支柱部材110の貫通孔112に挿入する。次に、グリップ30を把持した状態でレバー32を繰り返し握り込む事で、可動片22を基部片12に近接させて行き、基部片12の挟持面14と可動片22の挟持面24で支柱部材110を厚み方向に挟み込む(図12参照)。
【0031】
同様の作業をラック100の足(支柱)の数、例えば4本分繰り返し行い、各支柱部材110に治具10を配置する。この時、図14に示すように、各治具10の配置高さが一致するようにする。全ての支柱部材110に治具10を配置した後、ラック100への固定対象機器120を治具10の載置面12a,22aに載置し、支柱部材110の貫通孔112に対し、ブラケット114等を介してボルト固定する。
【0032】
固定対象機器120をボルト固定した後、各治具10の解除手段34の力点P1を押圧し、固定手段42によるロックを解除して図13に示すように基部片12と可動片22を離間させ、ラック100から取り外すことで、作業が完了する。
【0033】
このような構成の治具によれば、レバー32を握り込むことで支柱部材110を挟持し、固定することができ、解除手段34を操作するだけで固定状態を解除することもできる。また、挿入ピン16を支柱部材110の貫通孔112に挿入しているため、載置面12a,22aに荷重が負荷された場合であっても、設置位置からズレる虞が無い。よって、着脱が容易であると共に、固定状態では安定することとなる。また、基部片12と可動片22に備えられた載置面12a,22aに対して固定対象機器120を載置して固定することができるため、種々の固定対象機器120の固定に利用することができる(汎用性の向上)。また、治具10に載置面12a,22aを設け、載置面12a,22aに固定対象機器120を載置した際に、固定対象機器120の固定孔、あるいは固定対象機器120を固定するためのブラケット114の固定孔と支柱部材110の貫通孔112とが一致するため、固定対象機器120の設置固定が容易となる。さらに、治具10の取り外しは、解除手段34を押圧して基部片12から可動片22を離間させるだけで足りるため、従来に比べて治具10の設置、及び撤去の時間を大幅に削減する事が可能となる。
【符号の説明】
【0034】
10………治具、12………基部片、12a………載置面、14………挟持面、16………挿入ピン、18………スライドガイド、20………ガイド孔、22………可動片、22a………載置面、24………挟持面、26………嵌入孔、28………ガイドピン、30………グリップ、32………レバー、34………解除手段、36a,36b………押進プレート、36a1,36b1………貫通孔、36a2,36b2………上端側、36a3,36b3………下端側、38………押圧壁、40………付勢手段、42………固定手段、44………基準壁、46………付勢手段、100………ラック、110………支柱部材、112………貫通孔、114………ブラケット、120………固定対象機器。
【要約】
【課題】着脱が容易で安定し、かつ機器への汎用性の高い機器ラックマウント用治具を提供する。
【解決手段】ラック100に対して固定対象機器120を搭載する際に用いる治具10であって、支柱部材110を挟持する挟持面14,24を有すると共に、支柱部材110を挟持した状態で上面となる位置に載置面12a,22aを構成する一対の挟持片(基部片12、可動片22)と、挟持状態を維持するための固定手段42と、挟持状態を解除する解除手段34と、を有し、基部片12は、挟持面14に支柱部材110の貫通孔112の配置間隔に合わせて配置された挿入ピン16を突設させており、可動片22は、挟持面24に挿入ピン16の配置位置に対応した嵌入孔26を備えており、挿入ピン16の突設長さは、少なくとも支柱部材110の厚みよりも長くなるように構成されていることを特徴とする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14