(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-30
(45)【発行日】2025-10-08
(54)【発明の名称】トリアゾール構造を含有するGalNAc化合物、およびそのオリゴヌクレオチドコンジュゲート
(51)【国際特許分類】
C07H 15/04 20060101AFI20251001BHJP
A61K 47/54 20170101ALI20251001BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20251001BHJP
A61K 31/7105 20060101ALI20251001BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20251001BHJP
【FI】
C07H15/04 B CSP
A61K47/54
A61K48/00
A61K31/7105
A61P1/16
(21)【出願番号】P 2025094843
(22)【出願日】2025-06-06
【審査請求日】2025-06-06
(31)【優先権主張番号】202411117768.7
(32)【優先日】2024-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】525219846
【氏名又は名称】ベイジン ユーカークチュアン ファーマシューティカル テクノロジー カンパニー,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Beijing Youcarekechuang Pharmaceutical Technology Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110003694
【氏名又は名称】弁理士法人有我国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホアン,ゼアオ
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ゲンシェン
(72)【発明者】
【氏名】リー,ジェンミン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ジエ
(72)【発明者】
【氏名】シエ,ハオ
【審査官】岡部 佐知子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第118146277(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第116854754(CN,A)
【文献】国際公開第2023/208023(WO,A1)
【文献】特表2023-546369(JP,A)
【文献】特表2024-532271(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07H
A61K
A61P
C12N
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で示されるGalNAc化合物、またはその医薬学的に許容される塩。
【化1】
(ただし、
L
1は、-C(O)NH-*であり、*端は、Gに連結され、
L
2は、-(CH
2)n
1-、または-(CH
2CH
2O)n
2CH
2-であり、ここで、n
1およびn
2は、1~7の整数であり、
Z
1は、-(CH
2)n
3-であり、ここで、n
3は、1~7の整数であり、
L
3は、-HNC(O)-、または-C(O)NH-であり、
nは、0であり、
L
4は、-(CH
2)n
4-であり、ここで、n
4は、0~7の整数であり、
Aは、
【化2】
であり、R
1は、水素、またはC
1~6アルコキシ基であり、R
2は、4,4'-ジメトキシトリチル基、またはモノメトキシトリチル基であり、R
3は、-CO(CH
2)
2CONH-Eであり、Eは、調整された多孔性ガラスであり、
Bは、酸素、または硫黄であり、
Gは、
【化3】
であり、
ここで、
X
1は、-(CH
2)
3-であり、
X
2は、-HNC(O)-**であり、**端は、X
3に連結され、
X
3は、-(CH
2)b-であり、bは、1~6の整数であり、
X
4は、
【化4】
であり、***端は、X
3に連結され、
Y
1は、1であり、
Y
2は、1であり、
Y
3は、3であり、
Kは、炭素である。)
【請求項2】
前記式(I)で示されるGalNAc化合物は、下記条件のうちの1つまたは複数を満たす、請求項1に記載の式(I)で示されるGalNAc化合物、またはその医薬学的に許容される塩。
(1)L
2は、-(CH
2)
3-、-(CH
2)
4-、-(CH
2)
5-、-(CH
2)
6-、または-(CH
2)
7-である;
(2)L
4は、無し、-(CH
2)
3-、-(CH
2)
4-、-(CH
2)
5-、-(CH
2)
6-、または-(CH
2)
7-である;
(3)R
1は、水素、またはメトキシ基である;
(4)R
2は、4,4'-ジメトキシトリチル基である;
(5)Bは、酸素である。
【請求項3】
L
2は、-(CH
2CH
2O)
3CH
2-である、請求項1に記載の式(I)で示されるGalNAc化合物、またはその医薬学的に許容される塩。
【請求項4】
Gは、
【化5】
【化6】
または
【化7】
である、請求項1に記載の式(I)で示されるGalNAc化合物、またはその医薬学的に許容される塩。
【請求項5】
以下の構造を有する化合物YK-GAL-401、YK-GAL-402、YK-GAL-403、YK-GAL-404、YK-GAL-405、またはYK-GAL-406であり、ここで、Eは、調整された多孔性ガラスである、請求項1に記載の式(I)で示されるGalNAc化合物、またはその医薬学的に許容される塩。
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
または
【化13】
【請求項6】
式(IIA)または(IIB)で示されるコンジュゲートまたはその医薬学的に許容される塩。
【化14】
または
【化15】
(ただし、Oligoは、オリゴヌクレオチドを表し、Xは、ヒドロキシ基、またはメルカプト基を表し、G
1は、
【化16】
であり、
R
2は、水素で、R
3は、水素で、L
1、L
2、Z
1、L
3、L
4、n、R
1、X
1、X
2、X
3、X
4、Y
1、Y
2、Y
3、およびKの定義は、請求項1に記載の通りであり、
前記オリゴヌクレオチドのセンス鎖は、配列番号46で示される配列を有し、アンチセンス鎖は、配列番号47で示される配列を有する。)
【請求項7】
前記コンジュゲートは、オリゴヌクレオチドと請求項5に記載のYK-GAL-401、YK-GAL-402、YK-GAL-403、YK-GAL-404、YK-GAL-405、またはYK-GAL-406とをコンジュゲートしたものであり、前記オリゴヌクレオチドのセンス鎖は、配列番号46で示される配列を有し、前記オリゴヌクレオチドのアンチセンス鎖は、配列番号47で示される配列を有する、請求項6に記載のコンジュゲートまたはその医薬学的に許容される塩。
【請求項8】
前記コンジュゲートは、以下のコンジュゲートのいずれかである、請求項6に記載のコンジュゲートまたはその医薬学的に許容される塩。
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
または
【化22】
(ただし、siRNAのセンス鎖は、配列番号46で示される配列を有し、siRNAのアンチセンス鎖は、配列番号47で示される配列を有する。)
【請求項9】
請求項6~8のいずれか一項に記載のコンジュゲートまたはその医薬学的に許容される塩と、少なくとも1種の医薬学的に許容される賦形剤と、を含む、医薬組成物。
【請求項10】
請求項6~8のいずれか一項に記載のコンジュゲートまたはその医薬学的に許容される塩を含むキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物医薬の分野に関し、具体的には、トリアゾール環構造を有するGalNAc化合物、およびそれで調製されるGalNAcオリゴヌクレオチドコンジュゲートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、低分子薬物および抗体薬物に続き、オリゴヌクレオチド薬物が徐々に新薬研究開発の第3波となりつつある。オリゴヌクレオチド薬物は、主に病原性タンパク質の上流mRNAに結合し、遺伝子レベルで制御できるため、利用可能な薬物が存在しない緊急の臨床ニーズに対して治療の可能性を提供し、かつ、神経障害および心血管疾患の治療において巨大な潜在力を示している。
【0003】
低分子核酸薬物(オリゴヌクレオチド)は、その自身のユニークな特性により、従来の低分子薬物の代替品として徐々に発展しており、疾患関連タンパク質の機能を制御するために使用されている。オリゴヌクレオチドは、特定の疾患における遺伝子の発現をサイレンシングまたは活性化するために使用することができ、それによって特定のタンパク質の形成を防止または促進し、疾患を治療する役割を果たす。オリゴヌクレオチドには、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子活性化RNA(saRNA)、およびマイクロRNA(microRNA、miRNA)が含まれるが、これらに限定されない。オリゴヌクレオチド薬物は、治療効果が比較的よく、技術的突破が得られたため、現在最も人気のある技術となり、世界中でいくつかの薬物の販売が承認されている。
【0004】
現在市販されているオリゴヌクレオチド薬物の送達システムには、脂質ナノ粒子(LNP:LipidNanoparticle)送達システムとN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)送達システムがあり、その中でGalNAc送達システムが最も広く使用されている。GalNAcは、肝細胞の表面に特異的に発現するエンドサイトーシス受容体であるASGPR(アシアロ糖タンパク質受容体)に結合することができ、オリゴヌクレオチド薬物の肝臓を標的とした送達を実現することができる。したがって、GalNAcの改良によりオリゴヌクレオチド薬物の送達効率を高めることができる。
【0005】
ガラクトース(Gal)とN-アセチルガラクトサミン(GalNAc:N-acetylgalgactosamine)は、肝表面のASGPRに結合できるリガンドである。GalNAcのASGPRへの結合の親和性は、Galよりも約50高い。研究により、さまざまなアンテナ構造を有するGalNAcの親和性の順序は、4アンテナ>3アンテナ>>2アンテナ>>1アンテナガラクトサミンであることがわかっている。近年、ASGPRの高親和性リガンドであるN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)を標的分子として使用することにより、核酸薬物の肝臓を標的とした送達において一定の進歩が遂げられている。さまざまなGalNAcをsiRNAやASOにコンジュゲートすることを実現でき、この技術を利用して、アミロイドーシス、血友病、高コレステロール血症、B型肝炎などの疾患を治療する薬物を開発している。
【0006】
GalNAc構造が異なれば、核酸送達効率も大きく異なる。補体阻害剤類の薬物などの肝臓標的薬の送達効率を高めるために、当該分野では、新たなGalNAc化合物を開発する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、トリアゾール構造を含有する新規GalNAc化合物を提供し、GalNAc化合物のリンカーにトリアゾールを導入し、クリックケミストリー(clickchemistry)の利点により、トリアゾール構造を含有する一連の新規GalNAc化合物をモジュール式に、簡単かつ迅速に構築することができる。ホスホロアミダイト固相合成法を用いてGalNAcリガンドをオリゴヌクレオチドの3'末端に結合する。従来技術と比較して、本発明のGalNAc化合物は、オリゴヌクレオチドを肝臓に送達する効率が著しく向上しており、肝組織関連疾患を治療する薬物の開発に使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、式(I)で示されるGalNAc化合物、またはその医薬学的に許容される塩を提供する。
【化1】
(ただし、L
1は、-HNC(O)-、または-C(O)NH-であり、
L
2は、-(CH
2)n
1-、または-(CH
2CH
2O)n
2CH
2-であり、ここで、n
1およびn
2は、1~7の整数であり、
Z
1は、-(CH
2)n
3-であり、ここで、n
3は、1~7の整数であり、
L
3は、-HNC(O)-、または-C(O)NH-であり、
nは、0~10の整数であり、
L
4は、-(CH
2)n
4-であり、ここで、n
4は、0~7の整数であり、
Aは、
【化2】
であり、R
1は、水素、C
1~6アルキル基、C
1~6アルコキシ基、またはハロゲンであり、R
2は、4,4'-ジメトキシトリチル基、モノメトキシトリチル基、トリチル基、tert-ブチルジメチルシリル基、tert-ブチルジフェニルシリル基、トリイソプロピルシリル基、またはイソプロピルジメチルシリル基であり、R
3は、水素、ヒドロキシ保護基、リン含有反応性基、-CO(CH
2)
xCONH-E、または-CO(CH
2)
xCOOHであり、ここで、xは、1~10の整数であり、Eは、調整された多孔性ガラス(CPG)、またはポリスチレンであり、
Bは、酸素、または硫黄であり、
Gは、
【化3】
であり、
ここで、
X
1は、-(CH
2)
a-、または-(CH
2CH
2O)
aCH
2-であり、aは、1~5の整数であり、
X
2は、-HNC(O)-、または-C(O)NH-であり、
X
3は、-(CH
2)
b-であり、bは、1~6の整数であり、
X
4は、
【化4】
であり、ここで、c、dは、0~5の整数であり、
Y
1は、0、または1であり、
Y
2は、0、または1であり、
Y
3は、1、2、または3であり、
Y
3が1である場合、Kは、CH
2であり、Y
3が2である場合、Kは、CHであり、Y
3が3である場合、Kは、炭素である。)
【0009】
本発明のいくつかの実施態様では、L1は、-C(O)NH-*であり、*端は、Gに連結される。
【0010】
本発明のいくつかの実施態様では、L2は、-(CH2)3-、-(CH2)4-、-(CH2)5-、-(CH2)6-、-(CH2)7-、または-(CH2CH2O)3CH2-である。
【0011】
本発明のいくつかの実施態様では、L2は、-(CH2)5-、または-(CH2CH2O)3CH2-である。
【0012】
本発明のいくつかの実施態様では、nは、0である。
【0013】
本発明のいくつかの実施態様では、L4は、無し、-(CH2)3-、-(CH2)4-、-(CH2)5-、-(CH2)6-、または-(CH2)7-である。
【0014】
本発明のいくつかの実施態様では、L4は、無し、-(CH2)3-、または-(CH2)5-である。
【0015】
本発明のいくつかの実施態様では、R1は、水素、またはメトキシ基である。
【0016】
本発明のいくつかの実施態様では、R2は、4,4'-ジメトキシトリチル基(DMTr)である。
【0017】
本発明のいくつかの実施態様では、R3は、-CO(CH2)2CONH-Eであり、Eは、調整された多孔性ガラスである。
【0018】
本発明のいくつかの実施態様では、Bは、酸素である。
【0019】
本発明のいくつかの実施態様では、X1は、-(CH2)3-である。
【0020】
本発明のいくつかの実施態様では、X2は、-HNC(O)-**であり、**端は、X3に連結される。
【0021】
本発明のいくつかの実施態様では、X3は、-(CH2)2-、-(CH2)4-、または-(CH2)5-である。
【0022】
本発明のいくつかの実施態様では、X
4は、
【化5】
であり、***端は、X
3に連結される。
【0023】
本発明のいくつかの実施態様では、Y1は、1である。
【0024】
本発明のいくつかの実施態様では、Y2は、1である。
【0025】
本発明のいくつかの実施態様では、Y3は、3であり、Kは、炭素である。
【0026】
本発明のいくつかの実施態様では、Aは、
【化6】
または
【化7】
であり、Eは、調整された多孔性ガラスである。
【0027】
本発明のいくつかの実施態様では、Gは、以下のものである。
【化8】
【化9】
または
【化10】
【0028】
本発明のいくつかの実施態様では、前記式(I)で示される化合物は、式(IA)で示される構造を有する。
【化11】
(ただし、L
1、L
2、L
4、B、A、X
1、X
2、X
3、X
4、Y
1、およびY
2の定義は、前記の通りである。)
【0029】
本発明のいくつかの実施態様では、前記式(I)で示される化合物、またはその医薬学的に許容される塩は、アシアロ糖タンパク質受容体(ASGPR)に結合可能である。
【0030】
本発明のいくつかの実施態様では、前記式(I)で示される化合物は、以下の化合物のいずれかである。
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
または
【化17】
【0031】
本発明はまた、式(IIA)または(IIB)で示されるコンジュゲートまたはその医薬学的に許容される塩を提供する。
【化18】
または
【化19】
(ただし、Oligoオリゴヌクレオチドを表し、Xは、ヒドロキシ基、またはメルカプト基を表し、G
1は、
【化20】
であり、
L
1、L
2、Z
1、L
3、L
4、n、R
1、R
2、R
3、X
1、X
2、X
3、X
4、Y
1、Y
2、Y
3、およびKの定義は、前記の通りである。)
当業者により理解されるように、前記式(IIA)または(IIB)で示されるコンジュゲートにおいて、構造単位
【化21】
は、固相合成中に前記オリゴヌクレオチドがモノマーによって5員糖環(すなわち、
【化22】
または
【化23】
)におけるヒドロキシ基に連結してから形成されたものである。
【0032】
前記式(IIA)で示されるコンジュゲートにおいて、R3は、水素が好ましい。
【0033】
前記式(IIB)で示されるコンジュゲートにおいて、R2は、水素が好ましい。
【0034】
本発明のいくつかの実施態様では、前記オリゴヌクレオチドは、低分子干渉ヌクレオチド(siRNA)、DNA、マイクロRNA(miRNA)、低分子活性化RNA(saRNA)、低分子ガイドRNA(sgRNA:smallguideRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、およびアプタマ(Aptamer)からなる群から選択されるいずれか1つまたは少なくとも2つの組み合わせ、好ましくは、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、または低分子干渉ヌクレオチド(siRNA)である。
【0035】
本発明のいくつかの実施態様では、前記アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)または低分子干渉ヌクレオチド(siRNA)のうちのそれぞれのヌクレオチドは、それぞれ独立して、修飾または未修飾ヌクレオチドである。
【0036】
本発明のいくつかの実施態様では、前記オリゴヌクレオチドは、標的遺伝子の発現を調節する。
【0037】
本発明のいくつかの実施態様では、前記オリゴヌクレオチドは、二本鎖RNAi剤である。
【0038】
本発明のいくつかの実施態様では、前記二本鎖RNAi剤は、PCSK9遺伝子の発現を阻害する二本鎖RNAi剤である。
【0039】
本発明のいくつかの実施態様では、前記二本鎖RNAi剤の少なくとも1つの鎖は、少なくとも1つのヌクレオチドである3'オーバーハングを含む。
【0040】
本発明のいくつかの実施態様では、前記二本鎖RNAi剤の少なくとも1つの鎖は、少なくとも2つのヌクレオチドである3'オーバーハングを含む。
【0041】
本発明のいくつかの実施態様では、前記二本鎖RNAi剤の二本鎖領域は、15~30対のヌクレオチドの長さ分である。
【0042】
本発明のいくつかの実施態様では、前記二本鎖RNAi剤の二本鎖領域は、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30対のヌクレオチドの長さ分である。
【0043】
本発明のいくつかの実施態様では、前記二本鎖RNAi剤の二本鎖領域は、17~25対のヌクレオチドの長さ分である。
【0044】
本発明のいくつかの実施態様では、前記二本鎖RNAi剤の二本鎖領域は、19~23対のヌクレオチドの長さ分である。
【0045】
本発明のいくつかの実施態様では、前記二本鎖RNAi剤の二本鎖領域は、21対のヌクレオチドの長さ分である。
【0046】
本発明のいくつかの実施態様では、前記二本鎖RNAi剤の各鎖は、15~30個のヌクレオチドを有する。
【0047】
本発明のいくつかの実施態様では、前記二本鎖RNAi剤のセンス鎖および/またはアンチセンス鎖のヌクレオチドの数は、それぞれ、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、および30から選択されるいずれかである。
【0048】
本発明のいくつかの実施態様では、前記二本鎖RNAi剤の各鎖は、19~25個のヌクレオチドを有する。
【0049】
本発明のいくつかの実施態様では、前記二本鎖RNAi剤のセンス鎖は、21個のヌクレオチドを有し、アンチセンス鎖は、23個のヌクレオチドを有する。
【0050】
本発明のいくつかの実施態様では、前記二本鎖RNAi剤は、下記の表に示される無修飾センス鎖と無修飾アンチセンス鎖とが対合してなるオリゴヌクレオチド二本鎖体からなる群から選択されるいずれか1つまたは少なくとも2つの組み合わせを含む(配列は、CN117210468Aの明細書の表8に記載されている)。
【表1】
【0051】
本発明のいくつかの実施態様では、前記二本鎖RNAi剤のセンス鎖は、配列番号1~12の配列のいずれかに比べて1~3個のヌクレオチドの置き換え、追加、または削除を有する。
【0052】
本発明のいくつかの実施態様では、前記二本鎖RNAi剤のアンチセンス鎖は、配列番号13~24の配列の何れかに比べて1~3個のヌクレオチドの置き換え、追加、または削除を有する。
【0053】
本発明のいくつかの実施態様では、前記二本鎖RNAi剤は、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含み、前記修飾ヌクレオチドは、デオキシヌクレオチド、3'-末端デオキシ-チミン(dT)ヌクレオチド、2'-O-メチル修飾ヌクレオチド、2'-フルオロ修飾ヌクレオチド、2'-デオキシ-修飾ヌクレオチド、ロックヌクレオチド、アンロックヌクレオチド、配座固定ヌクレオチド、拘束エチルヌクレオチド、脱塩基ヌクレオチド、2'-アミノ-修飾ヌクレオチド、2'-O-アリル-修飾ヌクレオチド、2'-C-アルキル-修飾ヌクレオチド、2'-ヒドロキシ-修飾ヌクレオチド、2'-O-メトキシエチル修飾ヌクレオチド、2'-O-アルキル-修飾ヌクレオチド、モルホリノヌクレオチド、ホスホロアミダイト、非天然塩基を含むヌクレオチド、テトラヒドロピラン修飾ヌクレオチド、1,5-アンヒドロヘキシトール修飾ヌクレオチド、シクロヘキセニル修飾ヌクレオチド、ホスホロチオエート基を含むヌクレオチド、メチルホスホネート基を含むヌクレオチド、5'-ホスフェートを含むヌクレオチド、および5'-ホスフェート模倣体を含むヌクレオチドからなる群から選択されるいずれか1つまたは少なくとも2つの組み合わせを含む。
【0054】
本発明のいくつかの実施態様では、前記二本鎖RNAi剤のセンス鎖およびアンチセンス鎖のヌクレオチド修飾形態は、ヌクレオチドリボースの2'位の化学修飾である。
【0055】
本発明のいくつかの実施態様では、前記二本鎖RNAi剤のヌクレオチドリボースの2'位の化学修飾は、2'-メトキシ修飾、2'-O-メトキシエチル修飾、2'-フルオロ修飾、2'-ベンジルオキシ修飾、2'-メチルカルボニルアミノ修飾、および2'-ピリジンメトキシ修飾からなる群から選択されるいずれか1つまたは少なくとも2つの組み合わせである。
【0056】
本発明のいくつかの実施態様では、前記二本鎖RNAi剤の各ヌクレオチドリボースの2'位の化学修飾は、2'-メトキシ基と2'-フルオロとの組み合わせから選択される。
【0057】
本発明のいくつかの実施態様では、前記二本鎖RNAi剤の各ヌクレオチドリボースの2'位の化学修飾形態は、センス鎖の奇数位をすべて2'-フルオロ修飾、かつ、偶数位をすべて2'-メトキシ修飾にし、アンチセンス鎖の奇数位をすべて2'-メトキシ修飾、かつ、偶数位をすべて2'-フルオロ修飾にすることである。
【0058】
本発明のいくつかの実施態様では、前記二本鎖RNAi剤のヌクレオチドモノマー同士は、3',5'-ホスホジエステル結合を介して連結される。
【0059】
本発明のいくつかの実施態様では、前記二本鎖RNAi剤のヌクレオチドモノマー同士は、チオ修飾3',5'-ホスホジエステル結合を介して連結される。
【0060】
本発明のいくつかの実施態様では、前記二本鎖RNAi剤は、以下の修飾を有する。
【0061】
アンチセンス鎖は、以下修飾形態A、B、Cのうちのいずれかを有し、
【表2】
センス鎖は、以下の修飾形態a、bのうちのいずれかを有し、
【表3】
表において、2'-OMeは、2'-メトキシ基であり、2'-Fは、2'-フルオロであり、PSは、チオリン酸骨格である。
【0062】
本発明のいくつかの実施態様では、前記二本鎖RNAi剤のアンチセンス鎖は、以下(I)~(X)修飾形態のうちのいずれかを有する。
(I)5'-3'方向において、第2位、第3位、第4位、第6位、第14位、第16位は、すべて2'位フルオロ修飾であり、第7位は、GNA修飾であり、残りの位は、すべて2'位メトキシ修飾であり、第1位と第2位のヌクレオチド同士、第2位と第3位のヌクレオチド同士、最後から第1位と第2位のヌクレオチド同士、最後から第2位と第3位のヌクレオチド同士は、すべてチオホスフェート結合を介して連結される。
(II)5'-3'方向において、第2位、第3位、第4位、第6位、第14位、第16位は、すべて2'位フルオロ修飾であり、残りの位は、すべて2'位メトキシ修飾であり、第1位と第2位のヌクレオチド同士、第2位と第3位のヌクレオチド同士、最後から第1位と第2位のヌクレオチド同士、最後から第2位と第3位のヌクレオチド同士は、すべてチオホスフェート結合を介して連結される。
(III)5'-3'方向において、第2位、第3位、第4位、第6位、第14位、第16位は、すべて2'位フルオロ修飾であり、残りの位は、すべて2'位メトキシ修飾であり、第1位と第2位のヌクレオチド同士、第2位と第3位のヌクレオチド同士、最後から第1位と第2位のヌクレオチド同士、最後から第2位と第3位のヌクレオチド同士は、すべてチオホスフェート結合を介して連結される。第1位は、5'-トランスビニルリン酸ヌクレオチドである。
(IV)5'-3'方向において、第2位、第4位、第5位、第6位、第14位、第16位は、すべて2'位フルオロ修飾であり、第7位は、GNA修飾であり、残りの位は、すべて2'位メトキシ修飾であり、第1位と第2位のヌクレオチド同士、第2位と第3位のヌクレオチド同士、最後から第1位と第2位のヌクレオチド同士、最後から第2位と第3位のヌクレオチド同士は、すべてチオホスフェート結合を介して連結される。第1位は、5'-トランスビニルリン酸ヌクレオチドである。
(V)5'-3'方向において、第2位、第4位、第5位、第6位、第14位、第16位は、すべて2'位フルオロ修飾であり、残りの位は、すべて2'位メトキシ修飾であり、第1位と第2位のヌクレオチド同士、第2位と第3位のヌクレオチド同士、最後から第1位と第2位のヌクレオチド同士、最後から第2位と第3位のヌクレオチド同士は、すべてチオホスフェート結合を介して連結される。
(VI)5'-3'方向において、第2位、第4位、第5位、第6位、第14位、第16位は、すべて2'位フルオロ修飾であり、残りの位は、すべて2'位メトキシ修飾であり、第1位と第2位のヌクレオチド同士、第2位と第3位のヌクレオチド同士、最後から第1位と第2位のヌクレオチド同士、最後から第2位と第3位のヌクレオチド同士は、すべてチオホスフェート結合を介して連結される。第1位は、5'-トランスビニルリン酸ヌクレオチドである。
(VII)5'-3'方向において、第2位、第6位、第14位、第16位は、すべて2'位フルオロ修飾であり、第7位は、GNA修飾であり、残りの位は、すべて2'位メトキシ修飾であり、第1位と第2位のヌクレオチド同士、第2位と第3位のヌクレオチド同士、最後から第1位と第2位のヌクレオチド同士、最後から第2位と第3位のヌクレオチド同士は、すべてチオホスフェート結合を介して連結される。
(VIII)5'-3'方向において、第2位、第6位、第14位、第16位は、すべて2'位フルオロ修飾であり、残りの位は、すべて2'位メトキシ修飾であり、第1位と第2位のヌクレオチド同士、第2位と第3位のヌクレオチド同士、最後から第1位と第2位のヌクレオチド同士、最後から第2位と第3位のヌクレオチド同士は、すべてチオホスフェート結合を介して連結される。
(IX)5'-3'方向において、第2位、第6位、第14位、第16位は、すべて2'位フルオロ修飾であり、残りの位は、すべて2'位メトキシ修飾であり、第1位と第2位のヌクレオチド同士、第2位と第3位のヌクレオチド同士、最後から第1位と第2位のヌクレオチド同士、最後から第2位と第3位のヌクレオチド同士は、すべてチオホスフェート結合を介して連結される。第1位は、5'-トランスビニルリン酸ヌクレオチドである。
(X)5'-3'方向において、第2、第4位、第5位、第6位、第8位、第10位、第12位、第14位、第16位、第18位は、すべて2'位フルオロ修飾であり、残りの位は、すべて2'位メトキシ修飾であり、第1位と第2位のヌクレオチド同士、第2位と第3位のヌクレオチド同士、最後から第1位と第2位のヌクレオチド同士、最後から第2位と第3位のヌクレオチド同士は、すべてチオホスフェート結合を介して連結される。
【0063】
本発明のいくつかの実施態様では、前記二本鎖RNAi剤のセンス鎖は、以下の(1)~(3)修飾形態のうちのいずれかを有する。
(1)5'-3'方向において、第7位、第9位、第10位、第11位、第17位は、すべて2'位フルオロ修飾であり、残りの位は、すべて2'位メトキシ修飾であり、第1位と第2位のヌクレオチド同士、第2位と第3位のヌクレオチド同士は、すべてチオホスフェート結合を介して連結される。
(2)5'-3'方向において、第7位、第9位、第11位、第17位は、すべて2'位フルオロ修飾であり、残りの位は、すべて2'位メトキシ修飾であり、第1位と第2位のヌクレオチド同士、第2位と第3位のヌクレオチド同士は、すべてチオホスフェート結合を介して連結される。
(3)5'-3'方向において、第7位、第9位は、すべて2'位フルオロ修飾であり、残りの位は、すべて2'位メトキシ修飾であり、第1位と第2位のヌクレオチド同士、第2位と第3位のヌクレオチド同士は、すべてチオホスフェート結合を介して連結され、第11位は、チミンヌクレオシドである。
【0064】
本発明のいくつかの実施態様では、前記二本鎖RNAi剤は、以下の修飾のうちのいずれかを有する。
アンチセンス鎖は、上記の修飾形態Aを有し、センス鎖は、上記の修飾形態aを有し、
アンチセンス鎖は、上記の修飾形態Bを有し、センス鎖は、上記の修飾形態aを有し、
アンチセンス鎖は、上記の修飾形態Cを有し、センス鎖は、上記の修飾形態aを有し、
アンチセンス鎖は、上記の修飾形態Bを有し、センス鎖は、上記の修飾形態bを有し、
アンチセンス鎖は、上記の修飾形態Cを有し、センス鎖は、上記の修飾形態bを有する。
【0065】
本発明のいくつかの実施態様では、前記二本鎖RNAi剤のアンチセンス鎖は、5'末端からの第2位~第8位において修飾基を有し、前記修飾基は、UNA、GNA、またはDNAであり、UNA、およびGNAの構造は、以下の通りである。
【化24】
(塩基は、アデニン、グアニン、シトシン、チミン、またはウラシルである。)
【0066】
本発明のいくつかの実施態様では、前記二本鎖RNAi剤における修飾アンチセンス鎖の5'末端ヌクレオチドのグリコシドの5'位炭素原子のリン酸化は、以下の5'位リン酸化基:5'-ビニルホスホネート基(5'-E-VP)、5'-メチルホスホネート基(5'-MP)、5'-C-メチルホスフェート基、5'-チオホスフェート基(5'-PS)、および5'-ホスフェート基(5'-P)を含むが、これらに限定されず、これらの構造は、以下に示される。
【化25】
(ただし、Rは、水素、ヒドロキシ基、アミン基、C
1~4アルキル基、芳香族基、C
1~4アルコキシ基、C
1~4アルキルカルボニルアミノ基、またはハロゲンであり、
塩基は、アデニン、グアニン、シトシン、チミンまたはウラシルである。)
【0067】
本発明のいくつかの実施態様では、前記二本鎖RNAi剤は、下記の表に示される修飾のセンス鎖と修飾のアンチセンス鎖とが対合してなるオリゴヌクレオチド二本鎖体のいずれかを含む(配列は、CN117210468Aの明細書の表38に記載されている)。
【表4】
【0068】
本発明のいくつかの実施態様では、前記式(IIA)または(IIB)で示されるコンジュゲートは、二本鎖RNAi剤と、前記YK-GAL-401、YK-GAL-402、YK-GAL-403、YK-GAL-404、YK-GAL-405、またはYK-GAL-406とをコンジュゲートしたものであり、前記二本鎖RNAi剤は、以下のセンス鎖とアンチセンス鎖とが対合してなるオリゴヌクレオチド二本鎖体のいずれかを含む。
(1)前記センス鎖は、配列番号29で示される配列を有し、また、前記アンチセンス鎖は、配列番号41で示される配列を有し、
(2)前記センス鎖は、配列番号30で示される配列を有し、また、前記アンチセンス鎖は、配列番号42で示される配列を有し、
(3)前記センス鎖は、配列番号30で示される配列を有し、また、前記アンチセンス鎖は、配列番号41で示される配列を有する。
【0069】
本発明のいくつかの実施態様では、前記コンジュゲートは、二本鎖RNAi剤と、前記YK-GAL-401、YK-GAL-402、YK-GAL-403、YK-GAL-404、YK-GAL-405、またはYK-GAL-406とをコンジュゲートしたものであり、前記二本鎖RNAi剤は、配列番号30で示されるセンス鎖と配列番号41で示されるアンチセンス鎖とが対合してなるオリゴヌクレオチド二本鎖体を含む。
【0070】
本発明のいくつかの実施態様では、前記式(IIA)または(IIB)で示されるコンジュゲートは、二本鎖RNAi剤と、前記YK-GAL-401、YK-GAL-402、YK-GAL-403、YK-GAL-404、YK-GAL-405、またはYK-GAL-406とをコンジュゲートしたものであり、前記二本鎖RNAi剤の配列は、以下の通りである。
センス鎖:5'-Cms-Ums-Am-Gm-Am-Cm-Cf-Um-Gf-Um-dT-Um-Um-Gm-Cm-Um-Um-Um-Um-Gm-Um-3'(配列番号46)
アンチセンス鎖:5'-Ams-Cfs-Am-Af-Af-Af-Gm-Cf-Am-Af-Am-Af-Cm-Af-Gm-Gf-Um-Cf-Um-Am-Gms-Ams-Am-3'(配列番号47)
【0071】
本発明のいくつかの実施態様では、前記式(IIA)で示されるコンジュゲートは、以下のコンジュゲートのいずれかである。
【化26】
【化27】
【化28】
【化29】
【化30】
または
【化31】
(ただし、siRNAのセンス鎖は、配列番号46で示される配列を有し、siRNAのアンチセンス鎖は、配列番号47で示される配列を有する。)
【0072】
本発明はまた、前記式(IIA)または(IIB)で示されるコンジュゲートと、少なくとも1種の医薬学的に許容される賦形剤と、を含む、医薬組成物を提供する。
【0073】
本発明はまた、肝細胞における特定の遺伝子の発現によって引き起こされる病理学的状態または疾患を治療および/または予防する薬物の調製における、前記式(IIA)または(IIB)で示されるコンジュゲートまたは前記医薬組成物の使用を提供する。
【0074】
本発明のいくつかの実施態様では、前記肝細胞における特定の遺伝子の発現によって引き起こされる疾患は、慢性肝疾患、肝炎、肝線維症、肝増殖性疾患、脂質異常症、および補体関連疾患から選択される。
【0075】
本発明はまた、肝細胞における特定遺伝子の発現を阻害する方法であって、前記式(IIA)または(IIB)で示されるコンジュゲートの有効量を前記肝細胞と接触させることを含む、方法を提供する。
【0076】
本発明は、前記式(IIA)または(IIB)に記載のコンジュゲートを含むキットを提供する。
【0077】
本発明で記載されているすべての出版物および特許は、その全体が引用により本発明に組み込まれている。引用により組み込まれた刊行物および特許のいずれかで使用される用途または用語が、本発明で使用される用途または用語と矛盾する場合は、本発明の用途および用語が優先される。
【0078】
本明細書で使用されているセクションの見出しは、文章を構成する目的のみであり、前記主題を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0079】
別途規定されていない限り、本明細書で使用されているすべての技術用語および科学用語は、請求された主題が属する分野における共通の意味を持つ。ある用語に複数の定義がある場合、本明細書における定義が優先される。
【0080】
実施例以外、または別途指摘されている場合を除いて、明細書および特許請求の範囲において、投与量などの定量的特性を示すすべての数値は、すべての場合において「約」という用語によって修飾されているものと理解されるものとする。また、本明細書で記載される数値範囲は、その範囲内のすべてのサブ範囲、およびその範囲またはサブ範囲のさまざまなエンドポイントの任意の組み合わせを含むことを意図していることも理解される。
【0081】
本発明で使用されている「備える」、「含有する」または「含む」などの単語は、その単語の前の要素が、その単語の後に記載された要素およびそれらの同等物を含むことを意味し、記載されていない要素を排除するものではない。本明細書で使用されている「含有する」または「備える(含む)」という用語は、オープン、セミクローズ、またはクローズドでっあてもよい。言い換えれば、前記用語には「本質的に...からなる」または「...からなる」も含まれる。
【0082】
本発明において、「ヒドロキシ保護基」とは、RNAまたはその誘導体の合成においてリボース構造のヒドロキシを保護するために通常用いられる保護基を指し、例えば、アセチル基、フェノキシアセチル基、ピバロイル基、ベンジル基、4-メトキシベンジル基、ベンゾイル基、トリフェニルメチル基、4,4'-ジメトキシトリチル基(DMr:4,4'-dimethoxytrityl)、モノメトキシトリチル基(MMTr:monomethoxytrityl)、9-フェニル-キサンテン-9-イル(9-phenylxanthen-9-yl)、9-(p-トリル)-キサンテン-9-イル(9-(p-tolyl)-xanthen-9-yl)、トリメチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基(TBDMS)、シアノメトキシメチル基、2-(シアノエトキシ)エチル基、シアノエトキシメチル基など、好ましくは4,4'-ジメトキシトリチル基である。
【0083】
本発明において、「リン含有反応性基」とは、他の分子、特に他のヌクレオチド単位または他のヌクレオチド類似体に含まれるヒドロキシ基、またはアミン基と求核攻撃反応により反応することができるリン含有基を指す。通常、このような反応により、ヌクレオチド単位またはヌクレオチド類似体単位を別のヌクレオチド単位またはヌクレオチド類似体単位に連結するエステル型ヌクレオシド間結合が生成される。これらのリン含有反応性基は、当該技術分野で知られており、P
IIIまたはP
V価数のリン原子を含み、前記リン含有反応性基は、ホスホロアミダイト、H-ホスホネート、リン酸トリエステル、およびリン含有キラル助剤、例えば、
【化32】
を含むが、これらに限定されない。
【0084】
本発明において、調整された多孔性ガラス(CPG)、およびポリスチレン(高度に架橋されたポリスチレンマイクロビーズ)は、オリゴヌクレオチド合成用の固体担体であり、合成プロセス中にオリゴヌクレオチドに結合する不溶性粒子であり、市販から入手可能なものである。
【0085】
「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を指す。
【0086】
「アルキル基」という用語は、指定された数の炭素原子(例えば、C1~C6)を有する直鎖または分岐鎖のアルキル基を指す。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基などが含まれるが、これらに限定されない。
【0087】
「アルコキシ基」という用語は、RX-O-基を指し、ここで、RXは、上記で定義したアルキル基である。
【0088】
「医薬学的に許容される塩」という用語は、化合物を医薬学的に許容される(比較的無毒で、安全で、患者による使用に適している)酸または塩基と反応させることによって得られる塩を指す。化合物が比較的酸性の官能基を含む場合、適切な不活性溶媒中で化合物の遊離形態を十分な量の医薬学的に許容される塩基と接触させることによって塩基付加塩を得ることができる。医薬学的に許容される塩基付加塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、マグネシウム塩、ビスマス塩、アンモニウム塩などが含まれるが、これらに限定されない。化合物が比較的塩基性の官能基を含む場合、適切な不活性溶媒中で化合物の遊離形態を十分な量の医薬学的に許容される酸と接触させることによって酸付加塩を得ることができる。医薬学的に許容される酸付加塩としては、塩酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩などが含まれるが、これらに限定されない。
【0089】
本発明において、「医薬学的に許容される賦形剤」とは、医薬製剤中に含まれる有効成分以外の全ての物質を指す。
【0090】
「治療」という用語は、次のいずれかを指す。(1)疾患の1つまたは複数の生物学的症状を緩和すること、(2)疾患につながる生物学的カスケードの1つまたは複数のポイントに干渉すること、(3)疾患の1つまたは複数の生物学的症状の進行を遅らせること。
【0091】
「予防」という用語は、疾患発生のリスクを軽減することを指す。
【0092】
本発明におけるオリゴヌクレオチドには、一本鎖オリゴヌクレオチド(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドで、簡単にASOと呼ばれる)、および二本鎖オリゴヌクレオチド(例えば、低分子干渉ヌクレオチドで、簡単にsiRNAと呼ばれる)が含まれる。
【0093】
本発明におけるオリゴヌクレオチドには、天然オリゴヌクレオチドおよび化学的に修飾されたオリゴヌクレオチドが含まれる。ここでの化学修飾には、ヌクレオシド修飾(糖部分の修飾および核酸塩基の修飾を含む)、およびヌクレオシド間の結合修飾が含まれる。オリゴヌクレオチドの化学修飾には、核酸塩基配列のみが異なる場合は含まれない。ここでの「天然」とは、天然に存在するRNAまたはDNAに対応する状況を指す。
【0094】
当該技術分野における常識に従えば、上記の好ましい条件を任意に組み合わせて、本発明の各実施例を得ることができる。
【0095】
本発明で使用されている試薬および原料はいずれも市販から入手できる。
【0096】
本発明の積極的かつ進歩的な効果は以下の通りである:本発明は、従来技術によるGalNAc化合物と比較して化学構造が完全に異なる一連の新規GalNAc化合物を設計することである。本発明により設計されたGalNAc化合物は、連結アームにトリアゾール構造を導入しており、クリックケミストリーの利点により、トリアゾール構造を含有する一連の新規GalNAc化合物を迅速に構築することができる。本発明のGalNAc化合物で調製されたGalNAcオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、肝臓を標的とした効率的な送達を実現することができ、従来技術の代表的なGalNAc化合物と比較してその活性は顕著に向上する。
【0097】
1.本発明のGalNAc化合物YK-Gal-401~YK-Gal-403で調製されたオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、従来技術によるGalNAcと比較して、マウスの血清中のPCSK9タンパク質の発現に対する阻害率が顕著に向上する。例えば、inc-YK-Gal-401による7日目の阻害率は、inc-YK-Gal-301、inc-GalNAc1b、およびinc-NAG0052による7日目の阻害率よりも21.5%、14.5%、および12.7%向上し、14日目の阻害率は、それぞれ17.3%、10.4%、および10.8%向上する。
【0098】
1)本発明のGalNAc化合物がコンジュゲートされたsiRNAでは、マウスの血清中のPCSK9タンパク質の発現に対する阻害率に顕著な差があり、YK-Gal-401~YK-Gal-403による阻害率は、YK-Gal-404~406による阻害率よりも顕著に高かった。例えば、inc-YK-Gal-401による阻害率は、7日目および14日目には、それぞれinc-YK-Gal-404による阻害率よりも20.7%、および16.0%向上した。
【0099】
2)本発明のGalNAc化合物YK-Gal-401~YK-Gal-403に関しては、従来技術によるGalNAc化合物と比較して、それがコンジュゲートされたsiRNAは、マウスの血清中のPCSK9タンパク質の発現に対する阻害率が顕著に向上する。例えば、inc-YK-Gal-401による阻害率は、7日目および14日目には、それぞれinc-YK-Gal-301による阻害率よりも21.5%、および17.3%向上する。
【0100】
3)構造が類似しているGalNAc化合物とsiRNAとのコンジュゲートでは、マウスの血清中のPCSK9タンパク質の発現に対する阻害率に顕著な差がある。したがって、化学構造が類似しているGalNAc化合物であれば、オリゴヌクレオチド送達効率が必ずしも近いわけではなく、それらで調製されるGalNAcオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、マウスの血清中のPCSK9タンパク質の発現に対する阻害率が一致しておらず、非常に大きな差がある可能性もある。
【0101】
2.本発明のGalNAc化合物YK-Gal-401~YK-Gal-403で調製されたオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、従来技術によるGalNAcと比較して、マウスの肝臓中のPCSK9遺伝子の発現に対する阻害率が顕著に向上する。例えば、inc-YK-Gal-401による阻害率は、それぞれinc-YK-Gal-301、およびinc-GalNAc1bによる阻害率よりも21.1%および9.8%向上し、顕著な向上が見られた。
【0102】
1)本発明のGalNAc化合物がコンジュゲートされたsiRNAでは、マウスの肝臓中のPCSK9遺伝子の発現に対する阻害率に顕著な差があり、YK-Gal-401~YK-Gal-403による阻害率は、YK-Gal-404~YK-Gal-406による阻害率よりも顕著に向上する。例えば、inc-YK-Gal-401による阻害率は、inc-YK-Gal-404による阻害率よりも19.4%向上する。
【0103】
2)本発明のGalNAc化合物YK-Gal-401~YK-Gal-403は、従来技術によるGalNAc化合物と比較して、マウスの肝臓中のPCSK9遺伝子の発現に対するそれがコンジュゲートされたsiRNAによる阻害率が顕著に向上する。例えば、inc-YK-Gal-401による阻害率は、inc-YK-Gal-301による阻害率よりも21.1%向上する。
【0104】
3)構造が類似しているGalNAc化合物とsiRNAとのコンジュゲートでは、マウスの肝臓中のPCSK9遺伝子の発現に対する阻害率に顕著な差がある。したがって、化学構造が類似しているGalNAc化合物であれば、オリゴヌクレオチド送達効率が必ずしも近いわけではなく、それらで調製されるGalNAcオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、マウスの肝臓中のPCSK9遺伝子の発現に対する阻害率が一致しておらず、非常に大きな差がある可能性もある。
【0105】
3.本発明のGalNAc化合物YK-Gal-401~YK-Gal-403で調製されたオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、従来技術によるGalNAcと比較して、マウスの血清中のLDL-Cに対する低下レベルが顕著に向上する。例えば、inc-YK-Gal-401群では、マウスの14日目のLDL-C低下レベルは、それぞれinc-YK-Gal-301、inc-GalNAc1b、およびNAG0052群よりも、36.4%、20.6%、および17.8%向上し、顕著な向上が見られた。
【0106】
1)本発明のGalNAc化合物がコンジュゲートされたsiRNAでは、マウスの血清中のLDL-Cレベルの低下には顕著な差があり、YK-Gal-401~YK-Gal-403による低下レベルは、YK-Gal-404~406よりも顕著に高かった。例えば、inc-YK-Gal-401による低下レベルは、7日目および14日目には、それぞれinc-YK-Gal-404による低下レベルよりも33.0%、および36.0%向上し、顕著な向上が見られた。
【0107】
2)本発明のGalNAc化合物YK-Gal-401~YK-Gal-403に関しては、従来技術によるGalNAc化合物と比較して、それがコンジュゲートされたsiRNAは、マウスの血清中のLDL-Cに対する低下レベルが顕著に向上する。例えば、inc-YK-Gal-401による低下レベルは、7日目および14日目には、それぞれinc-YK-Gal-301による低下レベルよりも33.4%、および36.4%向上する。
【0108】
3)構造が類似しているGalNAc化合物とsiRNAとのコンジュゲートでは、マウスの血清中のLDL-Cに対する低下レベルに顕著な差がある。したがって、化学構造が類似しているGalNAc化合物であれば、オリゴヌクレオチド送達効率が必ずしも近いわけではなく、それらで調製されるGalNAcオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、マウスの血清中のPCSK9タンパク質の発現に対する阻害率が一致しておらず、非常に大きな差がある可能性もある。
【0109】
4.本発明により設計される化合物は、オリゴヌクレオチドを肝臓に効率的に送達することができる。
【0110】
例えば、inc-YK-Gal-401、inc-YK-Gal-402、およびinc-YK-Gal-403群において、4時間で肝臓蛍光強度は、それぞれ、9.03E+09、8.79E+09、および8.92E+09に達し、8時間でそれぞれ、9.11E+09、8.95E+09、および9.01E+09に達し、これは、本発明により設計されたGalNAc化合物がオリゴヌクレオチドを動物の肝臓に効率的に送達できることを示している。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【
図1】各試験薬群(inc-YK-Gal-401、inc-YK-Gal-402、inc-YK-Gal-403、inc-YK-Gal-404、inc-YK-Gal-405、inc-YK-Gal-406、inc-YK-Gal-301、inc-GalNAc1b、およびinc-NAG0052)の投与7日後および14日後のマウスの血清中のPCSK9タンパク質の発現に対する阻害率である。
【
図2】各試験薬群(inc-YK-Gal-401、inc-YK-Gal-402、inc-YK-Gal-403、inc-YK-Gal-404、inc-YK-Gal-405、inc-YK-Gal-406、inc-YK-Gal-301、inc-GalNAc1b、およびinc-NAG0052)の投与14日後のマウスの肝臓中のPCSK9遺伝子の発現に対する阻害率である。
【
図3】各試験薬群(inc-YK-Gal-401、inc-YK-Gal-402、inc-YK-Gal-403、inc-YK-Gal-404、inc-YK-Gal-405、inc-YK-Gal-406、inc-YK-Gal-301、inc-GalNAc1b、およびinc-NAG0052)の投与7日後および14日後のマウスの血清中のLDL-Cの低下レベルである。
【
図4】各試験薬群(inc-YK-Gal-401、inc-YK-Gal-402、inc-YK-Gal-403、inc-YK-Gal-404、inc-YK-Gal-405、inc-YK-Gal-406、inc-YK-Gal-301、inc-GalNAc1b、およびinc-NAG0052)の投与4時間および8時間後の、マウスの肝臓および腎臓における蛍光強度である。
【発明を実施するための形態】
【0112】
本発明の実施例の目的、技術的解決手段および利点をより明確にするために、本発明の実施例の技術的解決手段を以下に明確かつ完全に説明する。明らかに、説明される実施例は、本発明の実施例のすべてではなく、実施例の一部にすぎない。説明される本発明の実施例に基づいて、当業者が創造的な努力を払わずに得た他のすべての実施例は、本発明の保護範囲内である。
【0113】
本発明は、その本質的な属性から逸脱することなく、他の特定の形態で実施されてもよい。矛盾がない場合、本発明のいずれかおよびあらゆる実施態様は、他の実施態様のいずれかまたは複数の他の実施態様の技術的特徴と組み合わせて、追加の実施態様を得ることができることを理解すべきである。本発明は、このような組み合わせから得られる追加の実施態様も含む。
【0114】
以下、実施例を参照して本発明をさらに説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。実施例で使用される実施条件は、特定の用途の異なる要件に応じてさらに調整することができ、明記されていない実施条件は、業界で通常の条件である。本発明の特定の実施例において、使用される原料は、商業的に入手可能である。特に記載がない限り、温度はすべて摂氏で示される。本発明の様々な実施形態に含まれる技術的特徴は、互いに矛盾しない限り、互いに組み合わせることができる。
【0115】
以下の略語は、それぞれ以下の試薬を表す。DCM:ジクロロメタン、PE:石油エテール、EA:酢酸エチル、THF:テトラヒドロフラン、DMF:N,N-ジメチルホルムアミド、ACN:アセトニトリル、KOH:水酸化カリウム、DCE:1,2-ジクロロエタン、TsOH・H2O:p-トルエンスルホン酸一水和物、EDCI:1-エチル-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、HOBt:1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、THPTA:トリス(3-ヒドロキシプロピルトリアゾリルメチル)アミン、VCNa:アスコルビン酸ナトリウム、TFA:トリフルオロ酢酸、TEAB:トリエチルアミン重炭酸アンモニウム水溶液、HBTU:O-ベンゾトリアゾリル-N,N,N′,N′-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート、DIPEA:N,N-ジイソプロピルエチルアミン、DMAP:4-ジメチルアミノピリジン、TMSOTf:トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル、Py:ピリジン、Ac2O:無水酢酸、CPG-NH2:アミノ修飾さらた調整された多孔性ガラス(ControlledPoreGlass)(薬明康徳社製)。
【0116】
実施例1:GalNAc化合物の合成
1.YK-GAL-401の合成
合成スキームは、以下の通りである。
【化33】
【化34】
【0117】
ステップ1:G1-2の合成
化合物G1-1(5.0g、22.6mmol、1.0eq)を無水DMF(60.0mL)に溶解し、0℃で撹拌した。次いで、プロパルギルブロマイド(40.3g、271mmol、29.2mL、12.0eq)を加え、細かく研磨したKOH(15.2g、271mmol、12.0eq)を15分間かけて反応液にバッチ式で加えた。35℃に昇温して24h撹拌した。サンプルを採取してLC/MSにより検出したところ、原料が消えたことを示した。反応液に酢酸エチル(300mL)を加え、水(50mL×3)で洗浄した。有機相をNa2SO4で乾燥し、濾過した後、減圧濃縮して溶媒を除去し、粗生成物をシリカゲルカラムで精製し(石油エーテル/酢酸エチル)、黄色油状物G1-2(5.30g、15.8mmol、69.9%歩留まり)を得た。MS(ESI)m/z[M-H]-:334.2;1HNMR:δppm4.90(s,1H),4.14(d,J=2.4,6H),3.77(s,6H),2.43-2.41(m,3H),1.41(s,9H)。
【0118】
ステップ2:G1-4の合成
化合物G1-3(22.3g、57.3mmol、1.2eq)をDCE(200mL)に溶解し、3A分子篩(20.0g)を加え、0℃に降温した。次に、TMSOTf(21.2g、95.6mmol、17.3mL、2.0eq)、および3-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-1-プロパノール(10.0g、47.8mmol、1.0eq)を0℃で順に加えた。15℃に昇温して、撹拌を10min持続した。サンプルを採取してLC/MSにより検出したところ、原料が消えたことを示した。反応液に飽和重炭酸ナトリウム溶液(200mL)を加え、ジクロロメタン(200mL×3)で抽出した。有機相をNa2SO4で乾燥し、濾過した後、減圧濃縮して溶媒を除去し、粗生成物をシリカゲルカラムで精製し(石油エーテル/酢酸エチル)、白色固体G1-4(13.4g、24.9mmol、52.1%歩留まり)を得た。MS(ESI)m/z[M+H]+:539.1;1HNMR(400MHz,CDCl3)δppm7.38-7.29(m,5H),6.31(d,J=8.7Hz,1H),5.33-5.28(m,1H),5.14-5.02(m,3H),4.98(dd,J=11.1,3.3Hz,1H),4.32(d,J=8.5Hz,1H),4.16-4.09(m,3H),3.98-3.93(m,1H),3.76(t,J=6.7Hz,1H),3.57-3.48(m,1H),3.39(td,J=9.9,3.1Hz,1H),3.12-3.05(m,1H),2.13(s,3H),2.04(s,3H),1.99(s,3H),1.93(s,3H),1.83-1.76(m,1H),1.65-1.57(m,1H)。
【0119】
ステップ3:G1-5の合成
化合物G1-4(13.0g、24.1mmol、1.0eq)、およびTsOH・H2O(4.59g、24.1mmol、1.0eq)をパラジウム炭素(6.50g、26.4mmol、1.09eq)のテトラヒドロフラン(130mL)溶液に加えた。水素ガス(15psi)の条件下で、反応液を25℃で2h撹拌した。サンプルを採取してLC/MSにより検出したところ、原料が消えたことを示した。反応液を濾過した後、減圧濃縮して溶媒を除去し、白色固体として粗生成物G1-5(15.0g)を得た。MS(ESI)m/z[M-H]-:403.2。
【0120】
ステップ4:G1-6の合成
EDCI(7.47g、38.9mmol、1.05eq)、HOBt(5.51g、40.8mmol、1.1eq)を5-アジドペンタン酸(5.31g、37.1mmol、1.0eq)のジクロロメタン溶液(150mL)に加え、0℃に降温した。次に、DIPEA(9.59g、74.2mmol、12.9mL、2.0eq)、および化合物G1-5(15.0g、37.1mmol、1.0eq)を上記の溶液に順に加えた。20℃に昇温して撹拌を1h持続した。サンプルを採取してLC/MSにより検出したところ、原料が消えたことを示した。反応液をジクロロメタン(150mL)で希釈し、飽和NaHCO3(150mL×3)で洗浄した。有機相をNa2SO4で乾燥し、濾過した後、減圧濃縮して溶媒を除去し、無色液体として粗生成物G1-6(18.0g)を得た。MS(ESI)m/z[M-H]-:528.3;1HNMR(400MHz,CDCl3)δppm6.30(d,J=8.8Hz,1H),6.17(dd,J=7.1,4.6Hz,1H),5.34(dd,J=3.4,1.1Hz,1H),5.03(dd,J=11.2,3.4Hz,1H),4.44(d,J=8.4Hz,1H),4.29-4.08(m,3H),4.03-3.98(m,1H),3.88(td,J=6.7,1.2Hz,1H),3.71-3.57(m,1H),3.45(td,J=9.2,3.5Hz,1H),3.31(t,J=6.7Hz,2H),3.14-3.02(m,1H),2.27(t,J=7.2Hz,2H),2.16(s,3H),2.04(s,3H),2.00(s,3H),1.96(s,3H),1.84-1.58(m,6H)。
【0121】
ステップ5:G1-7の合成
G1-2(400mg、1.19mmol、1.0eq)をG1-6(2.53g、4.77mmol、4.0eq)のDMSO溶液(50.0mL)に加えた。次に、CuSO4(1.71g、10.7mmol、1.65mL、9.0eq)、およびTHPTA(3.11g、7.16mmol、6.0eq)を水(15.0mL)に加え、次いで、VC Na(3.54g、17.89mmol、15.0eq)を加えて水溶液を調製し、この水溶液を上記のDMSO溶液に加え、25℃で2h撹拌した。サンプルを採取してLC/MSにより検出したところ、原料が消えたことを示した。反応液をジクロロメタン(100mL)で希釈し、水(100mL×2)で洗浄した。有機相をNa2SO4で乾燥し、濾過した後、減圧濃縮して溶媒を除去し、粗生成物をシリカゲルカラムで精製し(石油エーテル/酢酸エチル、ジクロロメタン/メタノール)、白色固体G1-7(1.90g、987.5μmol、82.8%歩留まり)を得た。MS(ESI)m/z[M-2H]2-:960.8;1HNMR(400MHz,CDCl3)δppm7.62(s,3H),6.99(d,J=9.0Hz,3H),6.73(t,J=6.2Hz,3H),5.32(d,J=3.3Hz,3H),5.28(s,3H),5.05(dd,J=11.2,3.4Hz,3H),4.55-4.49(m,10H),4.37(t,J=7.0Hz,6H),4.27-4.06(m,10H),4.00-3.95(m,3H),3.92-3.85(m,3H),3.67(s,6H),3.54-3.42(m,6H),3.13-3.08(m,3H),2.32-2.23(m,7H),2.13(s,10H),2.01(s,10H),1.96(s,10H),1.88(s,9H),1.70-1.61(m,9H),1.38(s,10H)。
【0122】
ステップ6:G1-8の合成
トリフルオロ酢酸(9.21g、80.7mmol、6.00mL、81.7eq)をG1-7(1.90g、988μmol、1.0eq)のジクロロメタン溶液(18.0mL)に加え、25℃で0.5h撹拌した。サンプルを採取してTLC(ジクロロメタン/メタノール)で検出したところ、原料が消えたことを示した。反応液をそのまま減圧濃縮して溶媒を除去し、粗生成物をトルエン(50.0mL)とともに合計3回回転蒸発させ、黄色油状物G1-8(1.80g、967μmol、97.8%歩留まり、98.0%純度)を得た。LC/MS(ESI)m/z[M-2H]2-:910.7。
【0123】
ステップ7:G1-10の合成
HBTU(174mg、460μmol、1.5eq)、およびDIPEA(79.4mg、614μmol、107μL、2.0eq)をG1-9(調製方法は、CN116854754Bを参照する)(200mg、307μmol、1.0eq)のDMF溶液(3.0mL)に加えた。次に、粗生成物G1-8(955mg、491μmol、1.6eq、TFA)(DIPEAでpHを約7に調節した)を上記の反応液に加え、25℃で6h撹拌した。サンプルを採取してLC/MSにより検出したところ、原料が消えたことを示した。反応液をそのまま次のステップに用いた。MS(ESI)m/z[M-2H]2-:1227.0。
【0124】
ステップ8:G1-11の合成
G1-10(750mg、305μmol、1.0eq)をDMF(4.0mL)に加えた。次いで、DIPEA(118mg、915μmol、159μL、3.0eq)、無水コハク酸(244mg、2.44mmol、8.00eq)、およびDMAP(37.3mg、305μmol、1.0eq)を加え、この反応液を25℃で40h撹拌した。サンプルを採取してLC/MSにより検出したところ、主ピークは、目的の生成物である。反応液を濾過し、濾液を分取クロマトグラフィーで精製し、白色固体G1-11(120.0mg、46.0μmol)を得た。MS(ESI)m/z[M-2H]2-:1276.8;1HNMR(400MHz,CDCl3)δ7.55(s,2H),7.43-7.36(m,2H),7.26(dd,J=9.1,2.8Hz,3H),7.21-7.17(m,6H),7.11(dd,J=8.3,6.2Hz,1H),6.88(d,J=9.0Hz,2H),6.76-6.70(m,3H),6.68(t,J=6.0Hz,2H),5.28(d,J=3.3Hz,2H),5.09(t,J=5.2Hz,1H),5.00(dd,J=11.2,3.4Hz,2H),4.93(d,J=2.3Hz,1H),4.57-4.41(m,7H),4.32(t,J=6.9Hz,4H),4.24-4.00(m,8H),3.95-3.90(m,2H),3.86-3.82(m,3H),3.71-3.61(m,10H),3.48-3.37(m,5H),3.34-3.29(m,3H),3.18-3.02(m,5H),2.73(q,J=7.3Hz,7H),2.64-2.57(m,2H),2.47(t,J=6.9Hz,2H),2.32-1.75(m,54H),1.72-1.58(m,11H),1.50-1.41(m,4H),1.19-1.09(m,20H)。
【0125】
ステップ9:YK-GAL-401の合成
G1-11(160mg、62.5μmol、1.0eq)をDMF(10.0mL)に加えた。次いで、DIPEA(64.7mg、500μmol、87.20μL、8.0eq)、HBTU(118mg、312μmol、5.0eq)、DMAP(37.3mg、305μmol、1.0eq)、およびCPG-NH2(1.1g)を加え、この反応液を40℃で16h撹拌した。サンプルを採取してLC/MSにより検出したところ、原料が消えたことを示した。反応液を濾過し、濾過ケーキをMeOH(20mL×4)、およびDCM(20mL×4)の順で洗浄し、窒素ガスの条件で乾燥し、淡黄色固体を得て、そのまま次のステップに用いた。
【0126】
粗生成物(1.2g)をピリジン(10.0mL)に溶解した。次いで、無水酢酸(2.17g、21.3mmol、2.0mL、45.3eq)を加え、この反応液を40℃で1h撹拌し、次いで、反応液を濾過し、濾過ケーキをMeOH(20mL×4)、およびDCM(20mL×4)の順で洗浄し、窒素ガスの条件で乾燥し、淡黄色固体YK-GAL-401(1.0g、担持量:37.1μmol/g)を得た。
【0127】
担体の担持量の一般的な測定方法:1.5mL遠心分離チューブにYK-GAL-401を秤取り、その後、遠心分離チューブにPTSA(CAS:104-15-4)(0.1MのACN溶液)1.0mLを加えた。試験管を密閉して均一に混合した。溶液はオレンジ色を呈しており、1時間静置した。溶液100μLを4.0mL遠心分離チューブに加えた。遠心分離チューブにPTSA(0.1MのACN溶液)3.0mLを加えた。試験管を密閉して均一に混合し、PTSA(ACN中で、0.1Mである)を参照キュベットに充填した。空白溶液の411nmにおける吸光度を計測した。サンプル溶液をキュベットに填充し、サンプル溶液の411nmにおける吸光度を計測し、計算により担持量を得た。
【0128】
2.YK-GAL-402の合成
合成スキームは、以下の通りである。
【化35】
【化36】
【0129】
ステップ1:G2-3の合成
化合物G2-1(1.30g、11.3mmol、1.04eq)、およびG2-2(2.00g、10.9mmol、1.0eq)を無水酢酸エチル(20.0mL)に溶解し、0℃に冷却した。次いで、EDCI(2.17g、11.3mmol、1.04eq)をバッチ式で加え、0℃で撹拌を1h持続した。次いで、25℃までゆっくりと昇温して4h撹拌した。サンプルを採取してLC/MSにより検出したところ、原料が消えたことを示した。反応液を水(20mL×3)、10%NaHCO3水溶液(20mL×3)、水(20mL×2)、5%KHSO4水溶液(20mL×2)、および水(20mL×3)の順で洗浄した。有機相をNa2SO4で乾燥、濾過した後、減圧濃縮して溶媒を除去し、茶色油状物G2-3(2.50g、8.89mmol、81.8%歩留まり)を得た。1HNMR(400MHz,CDCl3)δppm3.72(t,J=6.4Hz,2H),2.94(t,J=6.4Hz,2H);19FNMR(376MHz,CDCl3)δ-152.54~-152.63(m,2F),-157.46(t,J=21.8Hz,1F),-161.98~-162.13(m,2F)。
【0130】
ステップ2:G2-4の合成
DIPEA(1.54g、11.9mmol、2.08mL、2.0eq)を化合物G1-5(3.55g、5.97mmol、1.0eq)、および化合物G2-3(1.68g、5.97mmol、1.0eq)のジクロロメタン溶液(30.0mL)に加えた。25℃で2h撹拌した。サンプルを採取してLC/MSにより検出したところ、原料が消えたことを示した。反応液をNaHCO3水溶液(30.0mL×1)、水(30mL×3)の順で洗浄した。有機相をNa2SO4で乾燥し、濾過した後、減圧濃縮して溶媒を除去し、粗生成物を分取クロマトグラフィーで精製し、白色固体G2-4(710mg、1.42mmol、23.7%歩留まり)を得た。MS(ESI)m/z[M-H]-:500.2;1HNMR(400MHz,CDCl3)δppm6.37-6.28(m,1H),6.14(d,J=8.8Hz,1H),5.35(d,J=3.3Hz,1H),5.02(dd,J=11.2,3.4Hz,1H),4.43(d,J=8.4Hz,1H),4.30-4.23(m,1H),4.20-4.10(m,2H),4.06-4.01(m,1H),3.92-3.84(m,1H),3.71-3.57(m,3H),3.46(td,J=9.1,3.3Hz,1H),3.21-3.09(m,1H),2.62-2.44(m,2H),2.17(s,3H),2.04(s,3H),2.01(s,3H),1.98(s,3H),1.71-1.66(m,2H)。
【0131】
ステップ3:G2-5の合成
G1-2(110mg、328μmol、1.0eq)をG2-4(575mg、1.15mmol、3.5eq)のDMSO溶液(20.0mL)に加えた。次に、CuSO4(471mg、2.95mmol、453μL、9.0eq)、およびTHPTA(855mg、1.97mmol、6.0eq)を水(4.0mL)に加え、次に、VCNa(974mg、4.92mmol、15.0eq)を加えて水溶液を調製し、この水溶液を上記のDMSO溶液に加え、25℃で2h撹拌した。サンプルを採取してLC/MSにより検出したところ、原料が消えたことを示した。反応液に水(2.0mL)を加え、ジクロロメタン(3mL×3)で抽出し、水(2mL×3)で洗浄した。有機相をNa2SO4で乾燥し、濾過した後、減圧濃縮して溶媒を除去し、粗生成物を分取クロマトグラフィーで精製し、白色固体G2-5(350mg、190μmol、58.0%歩留まり)を得た。MS(ESI)m/z[M-2H]2-:918.6;1HNMR(400MHz,CDCl3)δppm7.69(s,3H),7.09(t,J=5.7Hz,3H),6.97(d,J=9.0Hz,3H),5.35(d,J=3.2Hz,3H),5.08(dd,J=11.3,3.4Hz,3H),4.77-4.66(m,6H),4.52(s,6H),4.47(d,J=8.5Hz,3H),4.26-4.11(m,9H),3.96-3.91(m,6H),3.60(s,6H),3.52-3.47(m,2H),3.42-3.36(m,3H),3.16-3.11(m,3H),3.04-2.97(m,3H),2.86-2.80(m,3H),2.15(s,9H),2.04(s,9H),2.00(s,9H),1.85(s,9H),1.78(s,8H),1.42(s,9H)。
【0132】
ステップ4:G2-6の合成
トリフルオロ酢酸(1.07g、9.42mmol、700μL、49.5eq)をG2-5(350mg、190μmol、1.0eq)のジクロロメタン溶液(2.8mL)に加え、25℃で0.5h撹拌した。サンプルを採取してLC/MSにより検出したところ、原料が消えたことを示した。反応液をそのまま減圧濃縮して溶媒を除去し、粗生成物をトルエン(10.0mL)とともに合計3回回転蒸発させ、赤色油状物G2-6(523mg)を得た。MS(ESI)m/z[M-2H]2-:868.6。
【0133】
ステップ5:G2-7の合成
HBTU(65.6mg、173μmol、1.5eq)、およびDIPEA(29.8mg、230μmol、40.2μL、2.0eq)をG1-9(75.0mg、115μmol、1.0eq)のDMF溶液(1.5mL)に加えた。次に、粗生成物G2-6(200mg、115μmol、1.0eq、TFA)(DIPEAでpHを約7に調節した)を上記の反応液に加え、25℃で2h撹拌した。サンプルを採取してLC/MSにより検出したところ、原料が消えたことを示した。反応液をそのまま次のステップに用いた。MS(ESI)m/z[M-2H]2-:1184.8。
【0134】
ステップ6:G2-8の合成
G2-7(273mg、115μmol、1.0eq)をDMF(3.0mL)に加えた。次いで、DIPEA(44.7mg、345μmol、60.2μL、3.0eq)、無水コハク酸(104mg、1.04mmol、9.0eq)、およびDMAP(56.3mg、461μmol、4.0eq)を加え、この反応液を30℃で24h撹拌した。サンプルを採取してLC/MSにより検出したところ、原料が消えたことを示した。反応液を濾過し、濾液を分取クロマトグラフィーで精製し、白色固体G2-8(110mg、44.5μmol、38.6%歩留まり)を得た。MS(ESI)m/z[M-2H]2-:1234.9;1HNMR(400MHz,CDCl3)δppm7.66(s,3H),7.45(d,J=7.7Hz,2H),7.33(d,J=8.8Hz,4H),7.28(s,1H),7.24(s,1H),7.20-7.13(m,4H),7.02(d,J=9.0Hz,2H),6.81(d,J=8.7Hz,3H),5.35(d,J=3.3Hz,3H),5.08(dd,J=11.2,3.4Hz,3H),4.73-4.69(m,5H),4.53-4.47(m,8H),4.26-4.10(m,11H),3.97-3.89(m,7H),3.78(s,6H),3.65(s,5H),3.56-3.44(m,4H),3.40-3.37(m,5H),3.24-3.21(m,2H),3.16-3.09(m,4H),3.01-2.94(m,4H),2.82-2.78(m,2H),2.69-2.64(m,2H),2.56-2.53(m,2H),2.15(s,9H),2.04(s,9H),2.00(s,9H),1.93-1.76(m,32H),1.27(br,10H)。
【0135】
ステップ7:YK-GAL-402の合成
G2-8(110mg、42.74μmol、1.0eq、TEA)をDMF(8.0mL)に加え、次いで、DIPEA(44.2mg、342μmol、59.5μL、8.0eq)、HBTU(81.0mg、213μmol、5.0eq)、DMAP(5.22mg、42.7μmol、1.0eq)、およびCPG-NH2(713mg、1.21mmol、28.4eq)を加え、この反応液を40℃で16h撹拌した。サンプルを採取してLC/MSにより検出したところ、原料が消えたことを示した。反応液を濾過し、濾過ケーキをMeOH(10mL×4)、およびDCM(10mL×4)の順で洗浄し、窒素ガスの条件で乾燥し、淡黄色固体を得て、そのまま次のステップに用いた。
【0136】
粗生成物をピリジンおよび無水酢酸溶液(Py/Ac2O=5/1、9.0mL)に溶解し、この反応液を40℃で40min撹拌し、次いで、反応液を濾過し、濾過ケーキをDCM(5.0mL×4)、およびMeOH(5.0mL×4)の順で洗浄し、窒素ガスの条件で乾燥し、淡黄色固体YK-GAL-402(726mg、担持量:33.15μmol/g)を得た。担体の担持量を上記の担体の担持量の一般的な測定方法に従って測定した。
【0137】
3.YK-GAL-403の合成
合成スキームは、以下の通りである。
【化37】
【化38】
【0138】
ステップ1:G3-1の合成
EDCI(1.92g、10.0mmol、1.05eq)、HOBt(1.42g、10.50mmol、1.1eq)を6-アジドヘキサン酸(1.50g、9.54mmol、1.0eq)のジクロロメタン溶液(40.0mL)に加え、0℃に降温した。次に、DIPEA(2.47g、19.1mmol、3.32mL、2.0eq)、および化合物G1-5(3.86g、9.54mmol、1.0eq)を上記の溶液に順に加えた。25℃に昇温して撹拌を2h持続した。サンプルを採取してLC/MSにより検出したところ、原料が消えたことを示した。反応液をジクロロメタンで希釈し(20.0mL)、飽和NaHCO3(40.0mL)で洗浄してから、水(40.0mL)で洗浄した。有機相をNa2SO4で乾燥し、濾過した後、減圧濃縮して溶媒を除去し、黄色油状の粗生成物G3-1(1.42g、2.61mmol、32.7%歩留まり)を得た。MS(ESI)m/z[M-H]-:542.2;1HNMR(400MHz,CDCl3)δppm6.32(d,J=8.8Hz,1H),6.09-6.01(m,1H),5.34(d,J=2.7Hz,1H),5.04(dd,J=11.2,3.3Hz,1H),4.45(d,J=8.4Hz,1H),4.28-4.09(m,3H),4.03-3.98(m,1H),3.88(td,J=6.7,1.2Hz,1H),3.71-3.62(m,1H),3.44(td,J=9.3,3.4Hz,1H),3.28(t,J=6.8Hz,2H),3.10-3.03(m,1H),2.24(t,J=7.5Hz,2H),2.16(s,3H),2.04(s,3H),2.01(s,3H),1.96(s,3H),1.76-1.63(m,6H),1.46-1.38(m,2H)。
【0139】
ステップ2:G3-2の合成
G1-2(230mg、686μmol、1.0eq)をG3-1(1.30g、2.40mmol、3.5eq)のDMSO溶液(50.0mL)に加えた。次に、CuSO4(985mg、6.17mmol、947μL、9.0eq)、およびTHPTA(1.79g、4.11mmol、6.0eq)を水(6.0mL)に加え、その後、VCNa(2.04g、10.3mmol、15.0eq)を加えて水溶液を調製し、この水溶液を上記のDMSO溶液に加え、25℃で2h撹拌した。サンプルを採取してLC/MSにより検出したところ、原料が消えたことを示した。反応液を水(30.0mL)で希釈し、ジクロロメタン(30.0mL×3)で抽出し、次に、水(30.0mL×3)で洗浄した。有機相をNa2SO4で乾燥し、濾過した後、減圧濃縮して溶媒を除去し、粗生成物を分取クロマトグラフィーで精製し、白色固体G3-2(1.0g、508μmol、74.2%歩留まり)を得た。MS(ESI)m/z[M-2H]2-:981.8;1HNMR(400MHz,CDCl3)δppm7.60(s,3H),6.84(d,J=8.9Hz,3H),6.62-6.54(m,3H),5.34(d,J=3.3Hz,3H),5.06(dd,J=11.2,3.4Hz,3H),4.57(s,6H),4.50(d,J=8.5Hz,3H),4.36(t,J=6.9Hz,6H),4.28-4.07(m,10H),4.00-3.95(dt,J=9.9,5.0Hz,3H),3.90(t,J=6.7Hz,3H),3.69(s,6H),3.59-3.55(m,3H),3.51-3.41(m,3H),3.11-3.06(m,3H),2.21(t,J=7.4Hz,6H),2.15(s,9H),2.03(s,9H),1.99(s,9H),1.93(s,9H),1.82(s,9H),1.72-1.61(m,9H),1.40(s,9H),1.37-1.29(m,6H)。
【0140】
ステップ3:G3-3の合成
トリフルオロ酢酸(3.07g、26.9mmol、2.0mL、52.9eq)をG3-2(1.00g、508μmol、1.00eq)のジクロロメタン溶液(10.0mL)に加え、25℃で1h撹拌した。サンプルを採取してTLC(ジクロロメタン/メタノール)で検出したところ、原料が消えたことを示した。反応液をそのまま減圧濃縮して溶媒を除去し、粗生成物をトルエン(20.0×3mL)とともに合計3回回転蒸発させ、黄色油状物G3-3(950mg、458.21μmol、90.09%歩留まり、90%純度)を得た。MS(ESI)m/z[M-2H]2-:931.7。
【0141】
ステップ4:G3-4の合成
HBTU(174mg、460μmol、1.5eq)、およびDIPEA(79.4mg、614μmol、107μL、2.0eq)をG1-9(200mg、307μmol、1.0eq)のDMF溶液(3.0mL)に加えた。次に、粗生成物G3-3(837mg、430μmol、1.4eq、TFA)(DIPEAでpHを約7に調節した)を上記の反応液に加え、25℃で4h撹拌した。サンプルを採取してLC/MSにより検出したところ、原料が消えたことを示した。反応液をそのまま次のステップに用いた。MS(ESI)m/z[M-2H]2-:1247.8。
【0142】
ステップ5:G3-5の合成
G3-4(760mg、304μmol、1.0eq)をDMF(4.0mL)に加えた。次いで、DIPEA(112mg、912μmol、158μL、3.0eq)、無水コハク酸(243mg、2.43mmol、8.0eq)、およびDMAP(37.1mg、304μmol、1.0eq)を加え、この反応液を35℃で24h撹拌した。サンプルを採取してLC/MSにより検出したところ、原料が消えたことを示し、目的の生成物は検出された。反応液を濾過し、濾液を分取クロマトグラフィーで精製し、白色固体G3-5(400mg、142μmol、46.7%歩留まり、96.0%純度、TEA)を得た。MS(ESI)m/z[M-2H]2-:1298.2;1HNMR(400MHz,CDCl3)δppm7.53(s,3H),7.40-7.36(m,2H),7.31-7.24(m,4H),7.22-7.07(m,6H),6.84(d,J=8.9Hz,2H),6.77-6.70(m,4H),6.59(t,J=6.1Hz,3H),6.08(s,1H),5.28(d,J=3.3Hz,3H),5.09(t,J=5.1Hz,1H),5.04-4.90(m,4H),4.50(s,6H),4.45(d,J=8.4Hz,3H),4.30(t,J=6.9Hz,6H),4.21-4.02(m,10H),3.93-3.88(m,3H),3.87-3.81(m,4H),3.70(d,J=9.3Hz,12H),3.50(d,J=7.8Hz,3H),3.39(td,J=9.2,3.7Hz,3H),3.32(s,3H),3.16(dd,J=9.8,4.3Hz,2H),3.08-2.99(m,4H),2.76(q,J=7.3Hz,9H),2.63-2.57(m,2H),2.47-2.44(m,2H),2.15(t,J=7.3Hz,6H),2.09(s,9H),1.97(s,9H),1.92(s,9H),1.87(s,9H),1.71-1.67(m,3H),1.66-1.56(m,9H),1.51-1.40(m,4H),1.29-1.24(m,6H),1.10(t,J=7.2Hz,11H)。
【0143】
ステップ6:YK-GAL-403の合成
G3-5(400mg、154μmol、1.0eq)をDMF(10.0mL)に加えた。次いで、DIPEA(159mg、1.23mmol、214μL,8.0eq)、HBTU(291mg、769μmol、5.0eq)、DMAP(18.8mg、154μmol、1.00eq)、およびCPG-NH2(2.25g)を加え、この反応液を40℃で16h撹拌した。サンプルを採取してLC/MSにより検出したところ、原料が消えたことを示した。反応液を濾過し、濾過ケーキをMeOH(20mL×4)、およびDCM(20mL×4)の順で洗浄し、窒素ガスの条件で乾燥し、淡黄色固体を得て、そのまま次のステップに用いた。
【0144】
粗生成物(2.4g)をピリジン(15.0mL)に溶解した。次に、無水酢酸(3.26g、31.9mmol、3.0mL、34.5eq)を加え、この反応液を40℃で1h撹拌し、次いで、反応液を濾過し、濾過ケーキをMeOH(30mL×4)、およびDCM(30mL×4)の順で洗浄し、窒素ガスの条件で乾燥し、淡黄色固体YK-GAL-403(2.2g、担持量:32.8μmol/g)を得た。担体の担持量を上記の担体の担持量の一般的な測定方法に従って測定した。
【0145】
4.YK-GAL-404の合成
合成スキームは、以下の通りである。
【化39】
【0146】
ステップ1:G4-1の合成
粗生成物G1-8(537mg、280μmol、1.4eq、TFA)、およびG1-9A(調製方法は、CN116854754Bを参照する)(124mg、200μmol、1.0eq)を原料として、G1-10の合成方法に従って反応を行い、サンプルを採取してLC/MSにより検出したところ、原料が消えたことを示した。反応液をそのまま次のステップに用いた。MS(ESI)m/z[M-2H]2-:1212.0。
【0147】
ステップ2:G4-2の合成
G4-1(485mg、200μmol、1.0eq)を原料として、G1-11の合成方法に従って反応を行い、白色固体G4-2(187mg、74.2μmol、37.1%)を得た。MS(ESI)m/z[M-2H]2-:1262.1;1HNMR(400MHz,CDCl3)δ7.63(s,2H),7.53-7.45(m,2H),7.36-7.33(m,3H),7.29-7.11(m,7H),6.92(d,J=9.1Hz,2H),6.79-6.68(m,5H),5.12-5.05(m,3H),5.06(d,J=2.3Hz,1H),5.01-4.97(m,2H),4.79-4.61(m,8H),4.53(t,J=6.0Hz,4H),4.34-4.20(m,3H),4.14-4.09(m,4H),3.98-3.86(m,5H),3.80(s,6H),3.77-3.65(m,2H),3.47-3.32(m,10H),3.25-3.12(m,3H),2.85-2.61(s,9H),2.53-2.44(m,2H),2.39-1.89(m,52H),1.82-1.49(m,19H),1.19-1.09(m,18H)。
【0148】
ステップ3:YK-GAL-404の合成
G4-2(126mg、50.0μmol、1.0eq)を原料として、YK-GAL-401の合成方法に従って反応を行い、淡黄色固体YK-GAL-404(783mg、担持量:35.9μmol/g)を得た。担体の担持量を上記の担体の担持量の一般的な測定方法に従って測定した。
【0149】
5.YK-GAL-405の合成
合成スキームは、以下の通りである。
【化40】
【0150】
ステップ1:G5-1の合成
粗生成物G1-8(537mg、280μmol、1.4eq、TFA)、およびG1-9B(調製方法は、CN116854754Bを参照する)(125mg、200μmol、1.0eq)を原料として、G1-10の合成方法に従って反応を行い、サンプルを採取してLC/MSにより検出したところ、原料が消えたことを示した。反応液をそのまま次のステップに用いた。MS(ESI)m/z[M-2H]2-:1215.2。
【0151】
ステップ2:G5-2の合成
G5-1(481mg、198μmol、1.0eq)を原料として、G1-11の合成方法に従って反応を行い、白色固体G5-2(173mg、68.4μmol)を得た。MS(ESI)m/z[M-2H]2-:1265.2;1HNMR(400MHz,CDCl3)δppm7.53(s,1H),7.50(s,1H),7.44(d,J=8.0Hz,2H),7.25-7.16(m,4H),7.05-6.91(m,4H),6.85-6.72(m,6H),6.85-6.72(m,2H),5.48-5.45(m,4H),5.39(d,J=4.0Hz,2H),5.12-4.99(m,3H),4.57-4.32(m,11H),4.19-4.06(m,6H),3.96-3.87(m,4H),3.85-3.79(m,14H),3.68(s,6H),3.63-3.56(m,12H),3.37-3.25(m,11H),3.15(t,J=5.9Hz,5H),3.11-2.89(m,4H),2.48-2.34(m,12H),2.21-1.98(m,25H),1.82-1.61(m,14H),1.28-1.08(m,13H)。
【0152】
ステップ3:YK-GAL-405の合成
G5-2(171mg、67.5μmol、1.0eq)を原料として、YK-GAL-401の合成方法に従って反応を行い、淡黄色固体YK-GAL-405(1.1g、担持量:35.9μmol/g)を得た。担体の担持量を上記の担体の担持量の一般的な測定方法に従って測定した。
【0153】
6.YK-GAL-406の合成
合成スキームは、以下の通りである。
【化41】
【0154】
ステップ1:G6-1の合成
粗生成物G1-8(402mg、210μmol、1.4eq、TFA)、およびG1-9C(調製方法は、CN116854754Bを参照する)(88mg、150μmol、1.0eq)を原料として、G1-10の合成方法に従って反応を行い、サンプルを採取してLC/MSで検出したところ、原料が消えたことを示した。反応液をそのまま次のステップに用いた。MS(ESI)m/z[M-2H]2-:1198.0。
【0155】
ステップ2:G6-2の合成
G6-1(479mg、150μmol、1.0eq)を原料として、G1-11の合成方法に従って反応を行い、白色固体G6-2(146mg、58.8μmol)を得た。MS(ESI)m/z[M-2H]2-:1247.8;1HNMR(400MHz,CDCl3)δppm7.47(d,J=6.4Hz,2H),7.36-7.31(m,3H),7.27-7.23(m,4H),7.20(d,J=6.0Hz,1H),7.15-7.08(m,2H),7.04-6.97(m,4H),6.90-6.83(m,3H),5.54-5.51(m,2H),5.42(d,J=3.9Hz,2H),5.36(t,J=4.0Hz,2H),4.89-4.81(m,1H),4.55-4.47(m,5H),4.38-4.24(m,7H),4.16-4.04(m,4H),3.80(s,6H),3.74-3.65(m,11H),3.59-3.52(m,4H),3.46-3.28(m,15H),2.83-2.78(m,7H),2.64(t,J=6.5Hz,4H),2.59-2.50(m,4H),2.47-2.41(m,4H),2.33-1.97(m,33H),1.86-1.62(m,20H),1.37-1.29(m,5H),1.16-1.13(m,13H)。
【0156】
ステップ3:YK-GAL-406の合成
G6-2(146mg、58.8μmol、1.0eq)を原料として、YK-GAL-401の合成方法に従って反応を行い、淡黄色固体YK-GAL-406(832mg、担持量:34.1μmol/g)を得た。担体の担持量を上記の担体の担持量の一般的な測定方法に従って測定した。
【0157】
7.対照品YK-GAL-301の合成
【化42】
CN116854754Bの明細書の第35ページにおけるYK-GAL-301の合成方法に従って、目的の生成物を得た。
【0158】
8.対照品GalNAc1bの合成
【化43】
WO2023014938A1の明細書の第145ページにおけるGalNAc1bの合成方法に従って、生成物377.2mg(総収率0.58%であった)を得た。MS(ESI)m/z[M+H]
+=1137.9。
【0159】
9.対照品NAG0052の合成
【化44】
WO2023109938A1の明細書の第100ページにおけるNAG0052の合成方法に従って、生成物288mg(総収率1.26%、担持量31.5μmol/g)を得た。
【0160】
実施例2:GalNAc化合物とオリゴヌクレオチドとの結合
本実施例では、合成に同一のsiRNA配列が使用され、コンジュゲートされたsiRNA配列は、番号がincの配列であり、inc配列は、以下の通りである。
センス鎖(inc-SS):5'-Cms-Ums-Am-Gm-Am-Cm-Cf-Um-Gf-Um-dT-Um-Um-Gm-Cm-Um-Um-Um-Um-Gm-Um-3'(配列番号46)
アンチセンス鎖(inc-AS):5'-Ams-Cfs-Am-Af-Af-Af-Gm-Cf-Am-Af-Am-Af-Cm-Af-Gm-Gf-Um-Cf-Um-Am-Gms-Ams-Am-3'(配列番号47)
ここで、A、U、C、Gは、ヌクレオチドの塩基組成、dTは、デオキシチミンヌクレオチド、mは、mの左側に隣接するヌクレオチドが2'-OMe修飾であること、fは、fの左側に隣接するヌクレオチドが2'-F修飾であること、sは、sの左側と右側に隣接する2つのヌクレオチド同士がチオホスフェート基によって連結されることを表す。
【0161】
この配列は、公開配列から取得されており、海外で販売されているsiRNA薬インクリシラン(inclisiran)のオリゴヌクレオチド配列である。
【0162】
インクリシラン配列は、PCSK9タンパク質をコードするmRNAを標的として結合し、RNA干渉メカニズムを通じてPCSK9タンパク質の生成を阻害することによってLDL受容体のリサイクルと再利用を調節し、LDLとの結合を強化し、血中のLDLレベルを低下させる目的を達成させる、化学的に修飾された合成二本鎖低分子干渉RNA(siRNA)である。
【0163】
1.GalNAcがコンジュゲートされたsiRNAセンス鎖の調製
ホスホロアミダイト化学法に従って、固相担体上にオリゴヌクレオチドGalNAcコンジュゲートを合成した。inc-YK-Gal-401、inc-YK-Gal-402、inc-YK-Gal-403、inc-YK-Gal-404、inc-YK-Gal-405、inc-YK-Gal-406、inc-YK-Gal-301、およびinc-NAG0052コンジュゲートを合成する場合、実施例1で合成されたGalNAc-CPG化合物を固相担体として使用した。inc-GalNAc1bコンジュゲートを合成する場合、一般的なCPGを固相担体として、対照品inc-GalNAc1bモノマーを最初のモノマーとして結合した。ここで、GalNAcは、すべてsiRNAセンス鎖の3'末端にコンジュゲートされ、使用されるGalNAc化合物の具体的な構造は、表1に示される。
【0164】
表1.siRNAセンス鎖にコンジュゲートされるGalNAc化合物
【表5】
【0165】
実験プロセス
(1)試薬およびモノマーの準備
モノマーのアセトニトリル溶液(1/20、w/v)、0.25Mの5-ベンジルメルカプトテトラゾールのアセトニトリル溶液を活性化剤とし、0.2Mのキサンタンヒドリドのアセトニトリル/ピリジン(1/4、v/v)溶液をチオ化試薬とし、0.05Mのヨウ素の水/ピリジン(1/9、v/v)溶液を酸化試薬し、20%の無水酢酸(アセトニトリル中(v/v)である)をキャップ剤Aとし、20/30/50(1-メチルイミダゾール/ピリジン/アセトニトリル、v/v/v)をキャップ剤Bとし、20%のジエチルアミン(アセトニトリル中(v/v)である)を脱シアノエチル化試薬とし、3%のジクロロ酢酸(トルエン中(v/v)である)を脱DMT試薬として、対応するCPG担体を選択し、192PモデルDNA/RNA自動合成装置の指定された試薬位置に置いた。
【0166】
(2)粗製品の合成
指定されたオリゴヌクレオチド配列を入力し、合成プログラムを設定し正しいことを確認した後、オリゴヌクレオチド合成を繰り返し始めた。モノマー結合時間は約1分間、そのうち、酸化時間は約30~45秒、硫化時間は約2分間である。サイクルが完了すると、オリゴヌクレオチドの固相合成が完了した。
【0167】
(3)脱保護
合成が完了した後、固相担体を反応器に移し、濃アンモニア水(25~28%)を用いて50~60℃の条件で16~24時間かけてオリゴヌクレオチドを固相担体から分解し、系を室温まで冷却した後、濾過し、精製水とエタノールとの混合溶液でリンスし、濾液を合わせ、濾液を低温で濃縮して粗残留物を得た。
【0168】
(4)精製
脱保護後の粗残留物を精製水に溶解し、HPLCで精製し、生成物のピ-ク溶液を回収してマイクロプレートリーダで含有量を測定し、ESIMSで分子量を確認した。
【0169】
2.GalNAcがコンジュゲートされていないsiRNAアンチセンス鎖の調製
siRNAセンス鎖の合成方法に従ってsiRNAアンチセンス鎖を合成した。ここで、一般的なCPG固相担体が使用され、センス鎖に相補的な各アンチセンス鎖の合成スケールは1μmolであった。
【0170】
3.コンジュゲートされる二本鎖siRNAの調製
siRNAセンス鎖と相補アンチセンス鎖をUV吸収含有量に従った1:1の比率で混合し、95℃に加熱し、3分間後に室温まで冷却して二重鎖を形成した。得られた二本鎖溶液をHPLCで表徴した結果、生成物の純度が合格すると、マイクロプレートリーダで含有量を測定し、凍結乾燥して固体粉末を得て、後で使用するために保存した。
【0171】
表1において、GalNAc化合物は、それぞれ、番号がincのsiRNAにコンジュゲートされ、得られたコンジュゲートは、それぞれ、inc-YK-Gal-401、inc-YK-Gal-402、inc-YK-Gal-403、inc-YK-Gal-404、inc-YK-Gal-405、inc-YK-Gal-406、inc-YK-Gal-301、inc-GalNAc1b、およびinc-NAG0052と命名される。
【0172】
【化45】
【化46】
【化47】
【化48】
【化49】
【化50】
【化51】
【化52】
【化53】
【0173】
実施例3:GalNAcがコンジュゲートされたsiRNAによるマウスの血清および肝臓中のPCSK9遺伝子の阻害作用およびLDL-Cレベルへの影響
GalNAcがコンジュゲートされたインクリシランsiRNA配列が血中に入ると、GalNAcを介して肝細胞膜上のASGPRに結合し、肝細胞内に入る。インクリシランsiRNA配列は、肝細胞に入ると、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)に結合し、アンチセンス鎖の仲介によりPCSK9タンパク質をコードするmRNAに結合し、PCSK9タンパク質の生成を阻害する。肝臓中のPCSK9タンパク質の減少は、LDL-Rの循環を促進し、肝細胞表面のLDL-R受容体の数を増加させ、さらに血漿LDL-Cレベルを低下させることができる。したがって、肝臓に送達されるインクリシランsiRNA配列の量が多いほど、つまりGalNAc送達効率が高いほど、肝臓および血清中のPCSK9タンパク質の量が少なくなり、肝臓内のLDL-Cレベルが低下する。
【0174】
結果は、従来技術によるGalNAcオリゴヌクレオチドコンジュゲートと比較して、inc-YK-Gal-401、inc-YK-Gal-402、およびinc-YK-Gal-403実験群では、マウスの血清および肝臓中のPCSK9遺伝子の発現に対する阻害率およびLDL-C低下レベルがすべて顕著に向上することを示している。例えば、inc-YK-Gal-401による血清中のPCSK9タンパク質の阻害率は、inc-YK-Gal-301、inc-GalNAc1b、inc-NAG0052と比較して、7日目にそれぞれ21.5%、14.5%、および12.7%向上し、14日目にそれぞれ17.3%、10.4%、および10.8%向上した。マウスの肝臓中のPCSK9遺伝子に対する阻害率は、14日目にそれぞれ21.1%、9.8%、および5.1%向上し、LDL-C低下レベルは、7日目にそれぞれ33.4%、19.1%、および16.7%向上し、14日目にそれぞれ36.4%、20.6%、および17.8%と向上し、顕著な向上が見られた。
【0175】
動物の準備
まず、hPCSK9トランスジェニックマウス(SPFグレ-ド、江蘇集萃薬康生物科技股▲ふん▼有限公司から購入した)を順応的に飼育し、血清PSCK9タンパク質含有量に応じて、群につき5匹のマウスをすべて雄として、陰性対照群(投与なし)とsiRNA試験薬群にランダムに分けた。
【0176】
投与方法および投与量
投与量6mg/kg、投与体積1mL/kg、投与濃度6mg/mLで単回皮下注射により投与し、投与日を0日目とした。
【0177】
1.マウスの血清中のPCSK9タンパク質の発現に対するさまざまなGalNAcがコンジュゲートされたsiRNAの阻害効率
本発明のGalNAc化合物で調製されたオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、従来技術によるGalNAcと比較して、マウスの血清中のPCSK9タンパク質の発現に対する阻害率が顕著に向上した。例えば、inc-YK-Gal-401による7日目の阻害率は、inc-YK-Gal-301、inc-GalNAc1b、およびinc-NAG0052による7日目の阻害率よりも21.5%、14.5%、および12.7%向上し、14日目の阻害率は、それぞれ17.3%、10.4%、および10.8%向上した。
【0178】
実験プロセス
投与前(D0)、投与後7日目(D7)、および投与後14日目(D14)に実験動物の眼窩静脈叢から約200μLの血液(抗凝固なし)を採取した。全血サンプルを遠心分離前に一時的にアイスボックスに保存し、4℃の条件、4000r/minで10分間遠心分離して血清を分離し、血清中のPCSK9タンパク質のレベルをELISAキット(SinoBiological社)で検出した。
【0179】
実験結果
投与後7日目と14日目に、陰性対照群と各試験薬群の血清中のPCSK9タンパク質に対する阻害率を表3と
図1に示す。GraphPadPrism9ソフトウェアを使用してデ-タの統計と分析をした。
【0180】
1.GalNAc化合物の構造的差異
表2.GalNAc化合物の構造の比較
【表6】
【0181】
1)本発明により設計されたGalNAc化合物YK-GAL-401~YK-Gal-406の化学構造は非常に類似している。
【0182】
表1および表2から、本発明により設計されたGalNAc化合物YK-GAL-401、YK-GAL-402、YK-GAL-403、YK-GAL-404、YK-GAL-405、およびYK-GAL-406の化学構造は、リボースの1'位がすべて酸素であり、アンテナの数がすべて3であり、アンテナにすべてトリアゾール構造が含まれているなど、非常に類似していることが分かった。
【0183】
これらの化合物では、個別の基はわずかに異なるのみであり、例えば、YK-GAL-401、YK-GAL-402、およびYK-GAL-403のリボースの2'置換基はメトキシ基であり、YK-GAL-404、YK-GAL-405、およびYK-GAL-406のそれは、水素であり、YK-GAL-401~YK-Gal-404の主鎖構造は、いずれも-(CH2)10C(O)NH-であり、YK-GAL-405のそれは、-(CH2CH2O)3CH2C(O)NH-であり、YK-GAL-406のそれは、-(CH2)8C(O)NH-である。また、アンテナの鎖の長さは、わずかに異なるが、残りの構造は、まったく同じである。
【0184】
2)従来技術によるGalNAc化合物と比較して、本発明により設計されたGalNAc化合物YK-GAL-401~YK-GAL-406のうち、化学構造が非常に類似しているものも、非常に異なっているものもある。
【0185】
本発明により設計されたGalNAc化合物YK-GAL-401、YK-GAL-402、YK-GAL-403、YK-GAL-404、YK-GAL-405、およびYK-GAL-406は、従来技術によるGalNAc化合物YK-GAL-301およびNAG0052と比較して、化学構造が非常に類似している。例えば、YK-GAL-301およびNAG0052も3つのアンテナを含み、主鎖構造には脂肪鎖とアミド結合が含まれているが、YK-GAL-301およびNAG0052のアンテナにはトリアゾール構造が含まれていない。
【0186】
本発明により設計されたGalNAc化合物は、GalNAc1bとは化学構造が大きく異なり、例えば、GalNAc1bは、アンテナが1つしかなく、鎖が非常に短く、鎖にトリアゾール構造が含まれていない。
【0187】
2.マウスの血清中のPCSK9タンパク質の発現に対するさまざまなGalNAcがコンジュゲートされたsiRNAによる阻害率
表3.マウスの血清中のPCSK9タンパク質の発現に対する阻害率
【表7】
【0188】
1)本発明のGalNAc化合物がコンジュゲートされたsiRNAでは、マウスの血清中のPCSK9タンパク質の発現に対する阻害率に顕著な差があり、YK-GAL-401~YK-Gal-403による阻害率は、YK-GAL-404~406による阻害率よりも顕著に高かった。例えば、inc-YK-Gal-401は、7日目および14日目には、それぞれinc-YK-Gal-404による阻害率よりも、20.7%、および16.0%向上した。
【0189】
表3から、本発明のGalNAc化合物がコンジュゲートされたsiRNAのいずれもマウスの血清中のPCSK9タンパク質の発現を阻害できることが分かった。異なるGalNAcコンジュゲート同士には、マウスの血清中のPCSK9タンパク質の発現に対する阻害率に顕著な差があった。inc-YK-Gal-401、inc-YK-Gal-402、inc-YK-Gal-403、inc-YK-Gal-404、inc-YK-Gal-405、およびinc-YK-Gal-406による7日目の阻害率は、それぞれ94.2%、92.4%、93.1%、73.5%、84.3%、および85.0%であり、14日目の阻害率は、それぞれ95.4%、92.8%、94.3%、79.4%、88.7%、および90.2%であった。
【0190】
inc-YK-Gal-401、inc-YK-Gal-402、およびinc-YK-Gal-403による阻害率は、すべて90%を超え、一方、inc-YK-Gal-404による阻害率は、70%~80%の間であり、阻害率の最も高いinc-YK-Gal-401は、7日目および14日目には、それぞれ阻害率の最も低いinc-YK-Gal-404よりも、阻害率がそれぞれ20.7%、および16.0%向上し、顕著な向上が見られた。
【0191】
2)本発明のGalNAc化合物YK-GAL-401~YK-GAL-403に関しては、従来技術によるGalNAc化合物と比較して、それがコンジュゲートされたsiRNAは、マウスの血清中のPCSK9タンパク質の発現に対する阻害率が顕著に向上した。例えば、inc-YK-Gal-401による阻害率は、7日目および14日目には、inc-YK-Gal-301による阻害率よりもそれぞれ21.5%、および17.3%向上した。
【0192】
従来技術によるGalNAc化合物で調製されたsiRNAコンジュゲートinc-YK-Gal-301、inc-GalNAc1b、およびinc-NAG0052の7日目の阻害率は、それぞれ72.7%、79.7%、および81.5%であり、14日目の阻害率は、それぞれ78.1%、85.0%、および84.6%であった。
【0193】
本発明のGalNAc化合物に関しては、従来技術によるGalNAc化合物と比較して、それがコンジュゲートされたsiRNAは、マウスの血清中のPCSK9タンパク質の発現に対する阻害率が顕著に向上した。例えば、inc-YK-Gal-401、inc-YK-Gal-402、およびinc-YK-Gal-403による7日目の阻害率は、inc-YK-Gal-301による7日目の阻害率よりもそれぞれ21.5%、19.7%、および20.4%向上し、inc-GalNAc1bによる7日目の阻害率よりも14.5%、11.9%、および13.4%向上し、inc-NAG0052による7日目の阻害率よりも12.7%、10.9%、および11.6%向上し、顕著な向上が見られた。14日目の阻害率は、それぞれinc-YK-Gal-301による14日目の阻害率よりも17.3%、14.7%、および16.2%向上し、inc-GalNAc1bによる14日目の阻害率よりも10.4%、7.8%、および9.3%向上し、inc-NAG0052による14日目の阻害率よりも10.8%、8.2%、および9.7%向上し、顕著な向上が見られた。
【0194】
3)構造が類似しているGalNAc化合物とsiRNAとのコンジュゲートでは、マウスの血清中のPCSK9タンパク質の発現に対する阻害率に顕著な差がある。
【0195】
本発明により設計されたGalNAc化合物は、構造が非常に類似しているが、siRNAコンジュゲートの活性が非常に顕著に異なる。例えば、YK-GAL-401とYK-GAL-404を比較すると、リボース環の2'位のみが異なり、YK-GAL-401は、メトキシ基であり、YK-GAL-404は、水素であり、残りの構造は、まったく同じであるが、inc-YK-Gal-401は、inc-YK-Gal-404よりもマウスの血清中のPCSK9タンパク質の発現に対する阻害率が20%以上向上し、顕著な向上が見られた。
【0196】
YK-GAL-406とYK-GAL-301を比較すると、主鎖とアテンナ鎖部のみが異なり、YK-GAL-406の主鎖は、YK-GAL-301よりも2つのメチレン基分少なく、YK-GAL-406のアテンナ鎖部にはトリアゾール構造があり、YK-GAL-301のアテンナ鎖部にはトリアゾール構造がなかった。しかし、inc-YK-Gal-406による7日目の阻害率は、inc-YK-Gal-301よりも12.3%向上し、顕著な向上が見られた。
【0197】
YK-GAL-401とinc-NAG0052を比較すると、個別の基はわずかに異なるのみであるが、inc-YK-Gal-401による7日目の阻害率は、inc-NAG0052による7日目の阻害率よりも12.7%向上し、顕著な向上が見られた。
【0198】
したがって、化学構造が類似しているGalNAc化合物であれば、オリゴヌクレオチド送達効率が必ずしも近いわけではなく、それらで調製されるGalNAcオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、マウスの血清中のPCSK9タンパク質の発現に対する阻害率が一致しておらず、非常に大きな差がある可能性もある。
【0199】
3.マウスの肝臓中のPCSK9に対するさまざまなGalNAcがコンジュゲートされたsiRNAの阻害効率
本発明のGalNAc化合物で調製されたオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、従来技術によるGalNAcと比較して、マウスの肝臓中のPCSK9遺伝子の発現に対する阻害率が顕著に向上した。例えば、inc-YK-Gal-401による阻害率は、それぞれinc-YK-Gal-301、およびinc-GalNAc1bによる阻害率よりも21.1%、および9.8%向上し、顕著な向上が見られた。
【0200】
実験プロセス
投与後14日目(D14)に実験動物を麻酔して殺し、灌流して肝臓を採取した。
【0201】
組織重量に応じて、RNA溶解液(trizol、Ambion社)=100mg:1mLを、RNA溶解液(trizol)1mLを容れた1.5mLRNaseフリーEPチューブに素早く入れ、チューブに3mmのスチールビーズ(RNAフリー処理済み)を3個加え、組織ホモジナイザ-に入れ、50Hzで30秒間運転し、10秒間停止し、3回運転すると、組織ホモジネートを調製した。
【0202】
4℃、12,000×gで3分間遠心分離し、ホモゲネート上清400μLを1.5mLRNaseフリーEPチューブに移し、氷上に置いた。各チューブにクロロホルム80μLを加え、15秒間激しく振とうし、室温で5分間静置した。4℃、12,000×gで15分間遠心分離し、上清150μLを新しいEPチューブに移した。
【0203】
等体積のイソプロパノールを加え、チューブを逆さまにしてその中の液体を軽く均一に混合し、-20℃で10分間放置した後、4℃、12,000×gで15分間遠心し、上清を捨てた。
【0204】
75%エタノール1mLを加えてRNA沈殿物を穏やかに洗浄し、4℃、7,500×gで5分間遠心分離し、上清を吸引除去した。リンスをもう一度繰り返し、4℃、7,500×gで5分間遠心分離し、マイクロピペットチップを使用して残留エタノールを除去した。
【0205】
残留エタノールを室温で10分間乾燥させ、RNaseフリーddH2O150μLを加えて溶解した。微量UV分光光度計を使用してRNA濃度を検出した。PCSK9遺伝子の発現をqPCRによって検出した。
【0206】
実験結果
qPCR結果(Mean±SD)を統計し、GraphPadPrism9ソフトウェアを使用してプロットしてデータを統計し、具体的な結果を表4と
図2に示す。
【0207】
表4.マウスの肝臓中のPCSK9遺伝子の発現に対する阻害率
【表8】
【0208】
1)本発明のGalNAc化合物がコンジュゲートされたsiRNAでは、マウスの肝臓中のPCSK9遺伝子の発現に対する阻害率に顕著な差があり、YK-GAL-401~YK-GAL-403による阻害率は、YK-GAL-404~YK-GAL-406による阻害率よりも顕著に向上した。例えば、inc-YK-Gal-401による阻害率は、inc-YK-Gal-404による阻害率よりも19.4%向上した。
【0209】
表4から、本発明のGalNAc化合物がコンジュゲートされたsiRNAのいずれもマウスの肝臓中のPCSK9遺伝子の発現を阻害できることが分かった。異なるGalNAcコンジュゲート同士には、マウスの肝臓中のPCSK9遺伝子の発現に対する阻害率に顕著な差があった。inc-YK-Gal-401、inc-YK-Gal-402、inc-YK-Gal-403、inc-YK-Gal-404、inc-YK-Gal-405、およびinc-YK-Gal-406による阻害率は、それぞれ90.9%、89.3%、90.1%、71.5%、83.2%、および81.6%であった。
【0210】
inc-YK-Gal-401、およびinc-YK-Gal-403による阻害率は、すべて90%を超え、一方、inc-YK-Gal-402による阻害率も89.3%に達し、一方、inc-YK-Gal-404による阻害率は、僅か71.5%であり、阻害率の最も高いinc-YK-Gal-401は、阻害率の最も低いinc-YK-Gal-404よりも阻害率が19.4%し向上、顕著な向上が見られた。
【0211】
2)本発明のGalNAc化合物YK-GAL-401~YK-GAL-403に関しては、従来技術によるGalNAc化合物と比較して、それがコンジュゲートされたsiRNAは、マウスの肝臓中のPCSK9遺伝子の発現に対する阻害率が顕著に向上した。例えば、inc-YK-Gal-401による阻害率は、inc-YK-Gal-301による阻害率よりも21.1%向上した。
【0212】
従来技術によるGalNAc化合物で調製されたsiRNAがコンジュゲートされたinc-YK-Gal-301、inc-GalNAc1b、およびinc-NAG0052の阻害率は、それぞれ69.8%、81.1%、および85.8%であった。
【0213】
本発明のGalNAc化合物に関しては、従来技術によるGalNAc化合物と比較して、それがコンジュゲートされたsiRNAは、マウスの血清中のPCSK9タンパク質の発現に対する阻害率が顕著に向上した。例えば、inc-YK-Gal-401、inc-YK-Gal-402、およびinc-YK-Gal-403による阻害率は、それぞれinc-YK-Gal-301による阻害率よりも21.1%、19.5%、および20.3%向上し、inc-GalNAc1bによる阻害率よりも9.8%、8.2%、および9.0%向上し、顕著な向上が見られた。
【0214】
3)構造が類似しているGalNAc化合物とsiRNAとのコンジュゲートは、マウスの肝臓中のPCSK9遺伝子の発現に対する阻害率に顕著な差がある。
【0215】
本発明により設計されたGalNAc化合物は、構造が非常に類似しているが、siRNAコンジュゲートの活性が非常に顕著に異なる。例えば、YK-GAL-401とYK-GAL-404を比較すると、リボース環の2'位のみが異なり、YK-GAL-401は、メトキシ基であり、YK-GAL-404は、水素であり、残りの構造は、まったく同じであるが、inc-YK-Gal-401は、inc-YK-Gal-404よりもマウスの肝臓中のPCSK9遺伝子の発現に対する阻害率が19.4%向上し、顕著な向上が見られた。
【0216】
YK-GAL-406とYK-GAL-301を比較すると、主鎖とアテンナ鎖部のみが異なり、YK-GAL-406の主鎖は、YK-GAL-301よりも2つのメチレン基分少なく、YK-GAL-406のアテンナ鎖部にはトリアゾール構造があり、YK-GAL-301のアテンナ鎖部にはトリアゾール構造がなかった。しかしながら、inc-YK-Gal-406による阻害率は、inc-YK-Gal-301による阻害率よりも11.8%向上し、顕著な向上が見られた。
【0217】
したがって、化学構造が類似しているGalNAc化合物であれば、オリゴヌクレオチド送達効率が必ずしも近いわけではなく、それらで調製されるGalNAcオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、マウスの肝臓中のPCSK9遺伝子の発現に対する阻害率が一致しておらず、非常に大きな差がある可能性もある。
【0218】
4.マウスの血清中のLDL-Cレベルに対するさまざまなGalNAcがコンジュゲートされたsiRNAの影響
本発明のGalNAc化合物で調製されたオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、従来技術によるGalNAcと比較して、マウスの血清中のLDL-Cに対する低下レベルが顕著に向上した。例えば、inc-YK-Gal-401群によるマウスの14日目のLDL-C低下レベルは、それぞれinc-YK-Gal-301、inc-GalNAc1b、およびNAG0052群のそれよりも36.4%、20.6%、および17.8%向上し、顕著な向上が見られた。
【0219】
実験プロセス
投与前(D0)、投与後7日目(D7)、および投与後14日目(D14)に実験動物の眼窩静脈叢から約200μLの血液(抗凝固なし)を採取した。全血サンプルを遠心分離前に一時的にアイスボックスに保存し、4℃、4000r/minで10分間遠心分離して血清を分離し、血清LDL-Cのレベルを検出した。
【0220】
実験結果
血清LDL-C(Mean±SD)を統計し、GraphPadPrism9ソフトウェアを使用してプロットしてデータを分析し、具体的な結果を表5と
図3に示す。
【0221】
表5.マウスの血清中のLDL-Cの低下レベル
【表9】
【0222】
1)本発明のGalNAc化合物がコンジュゲートされたsiRNAでは、マウスの血清中のLDL-Cレベルに対する低下に顕著な差があり、YK-GAL-401~YK-GAL-403による低下レベルは、YK-GAL-404~406による低下レベルよりも顕著に高かった。例えば、inc-YK-Gal-401による低下レベルは、7日目および14日目には、それぞれinc-YK-Gal-404による低下レベルよりも33.0%、および36.0%向上し、顕著な向上が見られた。
【0223】
表5から、本発明のGalNAc化合物がコンジュゲートされたsiRNAのいずれも、マウスの血清中のLDL-Cレベルを低下できることが分かった。異なるGalNAcコンジュゲートには、マウスの血清中のLDL-Cに対する低下レベルに顕著な差があった。inc-YK-Gal-401、inc-YK-Gal-402、inc-YK-Gal-403、inc-YK-Gal-404、inc-YK-Gal-405、およびinc-YK-Gal-406による7日目の低下レベルは、それぞれ49.2%、39.6%、44.5%、16.2%、33.7%、および30.3%であり、14日目の低下レベルは、それぞれ53.5%、41.3%、50.4%、17.5%、35.0%、および32.2%であった。
【0224】
inc-YK-Gal-401、およびinc-YK-Gal-403のいずれにおいても、7日目の低下レベルは、40%を超え、14日目の低下レベルは、50%を超え、inc-YK-Gal-402においても、7日目の低下レベルは39.6%に達し、14日目の低下レベルは、41.3%に達し、一方、inc-YK-Gal-404においては、7日目の低下レベルは、わずか16.2%であり、14日目の低下レベルは、僅かに17.5%であり、inc-YK-Gal-401、inc-YK-Gal-402、およびinc-YK-Gal-403による7日目の低下レベルは、それぞれinc-YK-Gal-404のそれよりも33.0%、23.4%、および28.3%向上し、14日目の低下レベルは、それぞれ36.0%、23.8%、および32.9%向上し、顕著な向上が見られた。
【0225】
2)本発明のGalNAc化合物YK-GAL-401~YK-GAL-403に関しては、従来技術によるGalNAc化合物と比較して、それがコンジュゲートされたsiRNAは、マウスの血清中のLDL-Cに対する低下レベルに顕著な向上が見られた。例えば、inc-YK-Gal-401による低下レベルは、7日目および14日目には、それぞれinc-YK-Gal-301による低下レベルよりも33.4%、および36.4%向上した。
【0226】
従来技術によるGalNAc化合物で調製されたsiRNAがコンジュゲートされたinc-YK-Gal-301、inc-GalNAc1b、およびinc-NAG0052においては、7日目のLDL-C低下レベルは、それぞれ15.8%、30.1%、および32.5%であり、14日目のLDL-C低下レベルは、それぞれ17.1%、32.9%、および35.7%であった。
【0227】
本発明のGalNAc化合物に関しては、従来技術によるGalNAc化合物と比較して、それがコンジュゲートされたsiRNAは、マウスの血清中のLDL-Cに対する低下レベルに顕著な向上が見られた。例えば、inc-YK-Gal-401、inc-YK-Gal-402、およびinc-YK-Gal-403は、それぞれinc-YK-Gal-301よりも7日目の低下レベルが33.4%、23.8%、および28.7%向上し、inc-GalNAc1bよりも7日目の低下レベルが19.1%、9.5%、および14.4%向上し、inc-NAG0052よりも7日目の低下レベルが16.7%、7.1%、および12.0%向上し、顕著な向上が見られた。それぞれinc-YK-Gal-301よりも14日目の低下レベルが36.4%、24.2%、および33.3%向上し、inc-GalNAc1bよりも14日目の低下レベルが20.6%、8.4%、および17.5%向上し、inc-NAG0052よりも14日目の低下レベルが17.8%、5.6%、および14.7%向上し、顕著な向上が見られた。
【0228】
3)構造が類似しているGalNAc化合物とsiRNAとのコンジュゲートでは、マウスの血清中のLDL-Cに対する低下レベルに顕著な差がある。
【0229】
本発明により設計されたGalNAc化合物は、構造が非常に類似しているが、siRNAコンジュゲートの活性が非常に顕著に異なる。例えば、YK-GAL-401とYK-GAL-404を比較すると、リボース環の2'位のみが異なり、YK-GAL-401は、メトキシ基であり、YK-GAL-404は、水素であり、残りの構造は、まったく同じであるが、inc-YK-Gal-401は、inc-YK-Gal-404よりもマウスの血清中のLDL-Cに対する低下レベルが30%以上向上し、顕著な向上が見られた。
【0230】
YK-GAL-406とYK-GAL-301を比較すると、主鎖とアテンナ鎖部のみが異なり、YK-GAL-406の主鎖は、YK-GAL-301よりも2つのメチレン基分少なく、YK-GAL-406のアテンナ鎖部にはトリアゾール構造があり、YK-GAL-301のアテンナ鎖部にはトリアゾール構造がなかった。しかし、inc-YK-Gal-406は、inc-YK-Gal-301よりもマウスの血清中のLDL-Cに対する低下レベルが15.1%向上し、顕著な向上が見られた。
【0231】
YK-GAL-401とinc-NAG0052を比較すると、個別の基はわずかに異なるのみであるが、inc-YK-Gal-401は、inc-NAG0052よりも、マウスの血清中のLDL-Cに対する低下レベルが17.8%向上し、顕著な向上が見られた。
【0232】
したがって、化学構造が類似しているGalNAc化合物であれば、オリゴヌクレオチド送達効率が必ずしも近いわけではなく、それらで調製されるGalNAcオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、マウスの血清中のPCSK9タンパク質の発現に対する阻害率が一致しておらず、非常に大きな差がある可能性もある。
【0233】
実施例4:マウスの体内のさまざまな組織と臓器におけるさまざまなGalNAcがコンジュゲートされたsiRNAの分布
結果は、本発明により設計されたGalNAc化合物が核酸を動物の肝臓に効率的に送達できることを示している。
【0234】
実験プロセス
6~8週齢の野生型C57BL/6マウスを1群あたり6匹使用した。各群には、それぞれCy5蛍光基を持つsiRNAコンジュゲートinc-YK-GAL-401、inc-YK-GAL-402、inc-YK-GAL-403、inc-YK-GAL-404、inc-YK-GAL-405、inc-YK-GAL-406、inc-YK-GAL-301、inc-GalNAc1b、およびinc-NAG0052が投与された。陰性対照群には投与されなかった。マウスの体重を測定し、皮下注射により6mg/kgの用量を投与した。注射量は、投与体積によって決定され、0.1~0.2mLを超えない。
【0235】
投与後、マウスの腹部の毛を剃毛し、イソフルラン麻酔下でマウスを小動物生体イメ-ジングシステム内に仰臥位で置き、投与4時間後と8時間後にCy5チャンネルでマウスのイメ-ジング状況を観察した。生体内イメ-ジングソフトウェアLivingImageを用いて、マウスの発光強度を統計し、各被検群間の違いを比較した。
【0236】
実験結果
マウスの肝臓および腎臓における蛍光強度(オリゴ核酸の相対含有量を表す)の検出結果を表6と
図4に示す。結果は、本発明により設計されたGalNAc化合物が核酸を動物の肝臓に効率的に送達できることを示している。
【0237】
表6.マウスの肝臓および腎臓における蛍光強度
【表10】
【0238】
表6からわかるように、Cy5蛍光標識されたオリゴヌクレオチドは、マウスの肝臓および腎臓のいずれにも分布していた。その中で、inc-YK-Gal-401は、マウスの肝臓で最も高い蛍光強度(すなわち、オリゴヌクレオチドの相対含有量が最も高い)を示し、肝臓の蛍光強度は、4時間で9.03E+09、8時間で9.11E+09に達した。inc-YK-Gal-402とinc-YK-Gal-403の肝臓の蛍光強度も非常に高く、4時間でそれぞれ8.79E+09と8.92E+09、8時間でそれぞれ8.95E+09と9.01E+09に達した。これは、本発明により設計されたGalNAc化合物がオリゴヌクレオチドを肝臓に効率的に送達できることを示している。
【0239】
以上の通り、本発明は、従来技術によるGalNAc化合物と比較して化学構造が完全に異なる一連の新規GalNAc化合物を設計する。本発明により設計されたGalNAc化合物は、連結アームにトリアゾール構造を導入しており、クリックケミストリーの利点により、トリアゾール構造を含有する一連の新規GalNAc化合物を迅速に構築することができる。本発明のGalNAc化合物で調製されたGalNAcオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、肝臓を標的とした効率的な送達を実現することができ、従来技術の代表的なGalNAc化合物と比較してその活性は顕著に向上する。
【0240】
1.本発明のGalNAc化合物YK-GAL-401~YK-GAL-403で調製されたオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、従来技術によるGalNAcと比較して、マウスの血清中のPCSK9タンパク質の発現に対する阻害率が顕著に向上した。例えば、inc-YK-Gal-401による7日目の阻害率は、inc-YK-Gal-301、inc-GalNAc1b、およびinc-NAG0052による7日目の阻害率よりも21.5%、14.5%、および12.7%向上し、14日目の阻害率は、それぞれ17.3%、10.4%、および10.8%向上した。
【0241】
1)本発明のGalNAc化合物がコンジュゲートされたsiRNAでは、マウスの血清中のPCSK9タンパク質の発現に対する阻害率に顕著な差があり、YK-Gal-401~YK-Gal-403による阻害率は、YK-Gal-404~406による阻害率よりも顕著に高かった。例えば、inc-YK-Gal-401は、7日目および14日目には、それぞれinc-YK-Gal-404による阻害率よりも、20.7%、および16.0%向上した。
【0242】
2)本発明のGalNAc化合物YK-Gal-401~YK-Gal-403に関しては、従来技術によるGalNAc化合物と比較して、それがコンジュゲートされたsiRNAは、マウスの血清中のPCSK9タンパク質の発現に対する阻害率が顕著に向上した。例えば、inc-YK-Gal-401による阻害率は、7日目および14日目には、それぞれinc-YK-Gal-301による阻害率よりも21.5%、および17.3%向上した。
【0243】
3)構造が類似しているGalNAc化合物とsiRNAとのコンジュゲートでは、マウスの血清中のPCSK9タンパク質の発現に対する阻害率に顕著な差がある。したがって、化学構造が類似しているGalNAc化合物であれば、オリゴヌクレオチド送達効率が必ずしも近いわけではなく、それらで調製されるGalNAcオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、マウスの血清中のPCSK9タンパク質の発現に対する阻害率が一致しておらず、非常に大きな差がある可能性もある。
【0244】
2.本発明のGalNAc化合物YK-GAL-401~YK-GAL-403で調製されたオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、従来技術によるGalNAcと比較して、マウスの肝臓中のPCSK9遺伝子の発現に対する阻害率が顕著に向上した。例えば、inc-YK-Gal-401による阻害率は、それぞれinc-YK-Gal-301、およびinc-GalNAc1bによる阻害率よりも21.1%、および9.8%向上し、顕著な向上が見られた。
【0245】
1)本発明のGalNAc化合物がコンジュゲートされたsiRNAでは、マウスの肝臓中のPCSK9遺伝子の発現に対する阻害率に顕著な差があり、YK-Gal-401~YK-Gal-403による阻害率は、YK-Gal-404~406による阻害率よりも顕著に向上する。例えば、inc-YK-Gal-401による阻害率は、inc-YK-Gal-404による阻害率よりも19.4%向上した。
【0246】
2)本発明のGalNAc化合物YK-Gal-401~YK-Gal-403に関しては、従来技術によるGalNAc化合物と比較して、コンジュゲートされたsiRNAは、マウスの肝臓中のPCSK9遺伝子の発現に対する阻害率が顕著に向上した。例えば、inc-YK-Gal-401による阻害率は、inc-YK-Gal-301による阻害率よりも21.1%向上した。
【0247】
3)構造が類似しているGalNAc化合物とsiRNAとのコンジュゲートでは、マウスの肝臓中のPCSK9遺伝子の発現に対する阻害率に顕著な差がある。したがって、化学構造が類似しているGalNAc化合物であれば、オリゴヌクレオチド送達効率が必ずしも近いわけではなく、それらで調製されるGalNAcオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、マウスの肝臓中のPCSK9遺伝子の発現に対する阻害率が一致しておらず、非常に大きな差がある可能性もある。
【0248】
3.本発明のGalNAc化合物YK-GAL-401~YK-GAL-403で調製されたオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、従来技術によるGalNAcと比較して、マウスの血清中のLDL-Cに対する低下レベルが顕著に向上した。例えば、inc-YK-Gal-401群では、マウスの14日目のLDL-C低下レベルは、それぞれinc-YK-Gal-301、inc-GalNAc1b、およびNAG0052群よりも36.4%、20.6%、および17.8%向上し、顕著な向上が見られた。
【0249】
1)本発明のGalNAc化合物がコンジュゲートされたsiRNAでは、マウスの血清中のLDL-Cレベルに対する低下に顕著な差があり、YK-Gal-401~YK-Gal-403による低下レベルは、YK-Gal-404~YK-Gal-406よりも顕著に高かった。例えば、inc-YK-Gal-401による低下レベルは、7日目および14日目には、それぞれinc-YK-Gal-404による低下レベルよりも33.0%、および36.0%向上し、顕著な向上が見られた。
【0250】
2)本発明のGalNAc化合物YK-Gal-401~YK-Gal-403に関しては、従来技術によるGalNAc化合物と比較して、それがコンジュゲートされたsiRNAは、マウスの血清中のLDL-Cに対する低下レベルが顕著に向上した。例えば、inc-YK-Gal-401による低下レベルは、7日目および14日目には、それぞれinc-YK-Gal-301による低下レベルよりも33.4%、および36.4%向上した。
【0251】
3)構造が類似しているGalNAc化合物とsiRNAとのコンジュゲートでは、マウスの血清中のLDL-Cに対する低下レベルに顕著な差がある。したがって、化学構造が類似しているGalNAc化合物であれば、オリゴヌクレオチド送達効率が必ずしも近いわけではなく、それらで調製されるGalNAcオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、マウスの血清中のPCSK9タンパク質の発現に対する阻害率が一致しておらず、非常に大きな差がある可能性もある。
【0252】
4.本発明により設計された化合物は、オリゴヌクレオチドを肝臓に効率的に送達できる。
【0253】
例えば、inc-YK-Gal-401、inc-YK-Gal-402、およびinc-YK-Gal-403群において、4時間で肝臓の蛍光強度は、それぞれ9.03E+09、8.79E+09、および8.92E+09に達し、8時間でそれぞれ9.11E+09、8.95E+09、および9.01E+09に達し、これは、本発明により設計されたGalNAc化合物がオリゴヌクレオチドを動物の肝臓に効率的に送達できることを示している。
【0254】
出願人は、本発明に係るGalNAc化合物及びその使用を上記実施例によって説明するものであると述べたが、本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、すなわち、上記実施例に依存しなければ実施できないことを意味するものではない。本発明に対するいかなる改良、本発明の製品の各原料の等価な置換、及び補助成分の添加、具体的な方法の選択なども、いずれも本発明の保護範囲及び開示範囲内に含まれることは、当業者に明らかである。
【要約】 (修正有)
【課題】トリアゾール構造を含有するGalNAc化合物、およびそのオリゴヌクレオチドコンジュゲートを提供する。
【解決手段】下記の式で示されるGalNAc化合物、またはその医薬学的に許容される塩が提供される。
本発明におけるGalNAc化合物は、オリゴヌクレオチドとコンジュゲートを形成することができ、このコンジュゲートは、オリゴヌクレオチドの肝臓を標的とした高効率な送達を達成し、遺伝子の発現を制御でき、肝細胞における特定の遺伝子の発現によって引き起こされる疾患の予防および/または治療に用いることができる。
【選択図】
図1