(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-10-01
(45)【発行日】2025-10-09
(54)【発明の名称】半導体結晶の研削加工方法および当該研削加工方法において使用される研削加工用の砥石
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20251002BHJP
B24B 7/04 20060101ALI20251002BHJP
B24D 3/00 20060101ALI20251002BHJP
B24D 3/02 20060101ALI20251002BHJP
【FI】
H01L21/304 621A
B24B7/04 A
B24D3/00 350
B24D3/02 310A
(21)【出願番号】P 2025045690
(22)【出願日】2025-03-19
【審査請求日】2025-03-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】502330849
【氏名又は名称】有限会社サクセス
(73)【特許権者】
【識別番号】521081850
【氏名又は名称】有限会社ドライケミカルズ
(74)【代理人】
【識別番号】240000693
【氏名又は名称】弁護士法人滝田三良法律事務所
(72)【発明者】
【氏名】酒井 愼介
(72)【発明者】
【氏名】千葉 哲也
【審査官】柴垣 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特許第7381031(JP,B1)
【文献】特開2001-105329(JP,A)
【文献】特許第4283088(JP,B2)
【文献】特開2021-008016(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B24B 7/04
B24D 3/00
B24D 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に研削加工された半導体結晶インゴットの端面または該半導体結晶インゴットからスライス状に切り出されたウェハの表面を研削加工する半導体結晶の研削加工方法であって、
研削盤上に設けられ研削加工する砥石と、前記半導体結晶インゴットまたは前記ウェハを支持台を介して該砥石に押圧する押圧力とから、該半導体結晶インゴットの研削盤側の端面または該ウェハの研削盤側の表面に、該砥石との間の摩擦に起因する温度上昇により塑性変形領域を形成すると共に、
前記塑性変形領域の表面を前記砥石に機能性添加材を含有させることにより機能性研磨を行いつつ、該砥石で該塑性変形領域を研削加工する半導体結晶の研削加工方法として、
酸化セリウムに加えて過マンガン酸カリウムを含有させることにより前記塑性変形領域の表面に酸化膜を生成させつつ同時に該砥石で該酸化膜を除去することで、該砥石で該塑性変形領域を研削加工することを特徴とする半導体結晶の研削加工方法。
【請求項2】
請求項1記載の半導体結晶の研削加工方法において、
前記塑性変形領域のうち、研削盤側と反対側に存在する塑性脆性中間層をバッファー領域として、該塑性脆性中間層全体を残存させるように該塑性変形領域の表面のみを研削加工することを特徴とする半導体結晶の研削加工方法。
【請求項3】
請求項1または2記載の半導体結晶の研削加工方法において使用される研削加工用の砥石であって、
前記過マンガン酸カリウムを材料組成として0%より大きく10%以下含有することを特徴とする研削加工用の砥石。
【請求項4】
請求項
3記載の研削加工用の砥石において、
前記過マンガン酸カリウムを材料組成の一部に代えて炭酸カルシウムと水酸化カルシウムといずれか一方または両方を含有することを特徴とする研削加工用の砥石。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状に研削加工された半導体結晶インゴットの端面または該半導体結晶インゴットからスライス状に切り出されたウェハの表面を研削加工する半導体結晶の研削加工方法および当該研削加工方法において使用される研削加工用の砥石に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の半導体結晶ウェハの研削加工方法としては、下記特許文献1に示すように、本願発明者による、(1)研削加工するダイアモンド研磨砥粒(ダイアモンド砥石)の粒径と、(2)ウェハをスピンドルを介してプラテンに押圧する押圧力と、(3)スピンドルのプラテンに対する進行速度とから、ウェハのプラテン(研削定盤)側の表面に、プラテンとの間でダイアモンド研磨砥粒が介在する摩擦に起因する温度上昇により塑性変形領域を形成する方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで本願発明者は、塑性変形領域をより詳細に分析した鋭意研究の結果、塑性変形メカニズムをより緻密に管理することで、より高い研削精度が実現可能であるとの知見が得られた。
【0005】
本発明は、かかる知見に基づくものであり、塑性変形を半導体結晶インゴットの端面またはウェハ表面の塑性変形メカニズムとしてより緻密で詳細に管理することで、より高い研削精度を実現することができる半導体結晶の研削加工方法よび当該研削加工方法において使用される研削加工用の砥石を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明の半導体結晶の研削加工方法は、筒状に研削加工された半導体結晶インゴットの端面または該半導体結晶インゴットからスライス状に切り出されたウェハの表面を研削加工する半導体結晶の研削加工方法であって、
研削盤上に設けられ研削加工する砥石と、前記半導体結晶インゴットまたは前記ウェハを支持台を介して該砥石に押圧する押圧力とから、該半導体結晶インゴットの研削盤側の端面または該ウェハの研削盤側の表面に、該砥石との間の摩擦に起因する温度上昇により塑性変形領域を形成すると共に、
前記塑性変形領域の表面を前記砥石に機能性添加材を含有させることにより機能性研磨を行いつつ、該砥石で該塑性変形領域を研削加工する半導体結晶の研削加工方法として、
酸化セリウムに加えて過マンガン酸カリウムを含有させることにより前記塑性変形領域の表面に酸化膜を生成させつつ同時に該砥石で該酸化膜を除去することで、該砥石で該塑性変形領域を研削加工することを特徴とする。
【0007】
第1発明の半導体結晶の研削加工方法によれば、塑性変形領域をより詳細に分析した鋭意研究の結果、塑性変形領域の表面には種々の状態が存在し得るとの知見が得られた。
【0008】
かかる知見に基づいて、塑性変形領域の機能性研磨と研削加工とを一体とするように、砥石に機能性添加材を含有させて表面処理を行うと共に、塑性変形領域を研削加工する。
【0009】
このように、第1発明の半導体結晶の研削加工方法によれば、より緻密で詳細に塑性変形メカニズムを管理することで、より高い研削精度が実現することができる。
【0010】
また、第1発明の半導体結晶の研削加工方法によれば、塑性変形領域をより詳細に分析した鋭意研究の結果、塑性変形領域の表面には当該半導体結晶が酸化した酸化膜が絶えず生じるとの知見が得られた。
【0011】
かかる知見に基づいて、機能性研磨として半導体結晶の酸化膜の除去と塑性変形領域の研削加工とを一体とするように、機能性添加材として砥石に過マンガン酸カリウムを含有させることにより塑性変形領域の表面に酸化膜を生成させつつ同時に砥石でかかる酸化膜を除去しながら塑性変形領域を研削加工する。
【0012】
このように、第1発明の半導体結晶の研削加工方法によれば、より緻密で詳細に塑性変形メカニズムを管理することで、より高い研削精度が実現することができる。
【0013】
第2発明の半導体結晶の研削加工方法は、第1発明において、
前記塑性変形領域のうち、研削盤側と反対側に存在する塑性脆性中間層をバッファー領域として、該塑性脆性中間層全体を残存させるように該塑性変形領域の表面のみを研削加工することを特徴とする。
【0014】
第2発明の半導体結晶の研削加工方法によれば、塑性変形領域をより詳細に分析した鋭意研究の結果、塑性変形領域の研削盤側と反対側(結晶側)には塑性脆性中間層が存在し、これをバッファー領域として、かかるバッファー領域に入らない研削加工が結晶内への亀裂伝播などを生じさせない高品質の加工につながるとの知見が得られた。
【0015】
かかる知見に基づいて、半導体結晶の酸化膜の生成および除去と塑性変形領域の研削加工とを一体とするように砥石に過マンガン酸カリウムを含有させて塑性変形領域を研削加工する際に、塑性変形領域の表面のみを研削加工する(塑性脆性中間層を研削加工しない)。
【0016】
このように、第2発明の半導体結晶の研削加工方法によれば、より緻密で詳細に塑性変形メカニズムを管理することで、より高い研削精度が実現することができる。
【0017】
第3発明の研削加工用の砥石は、第1または第2発明のいずれかの半導体結晶の研削加工方法において使用される研削加工用の砥石であって、
前記過マンガン酸カリウムを材料組成として0%より大きく10%以下含有することを特徴とする。
【0018】
第3発明の研削加工用の砥石によれば、過マンガン酸カリウムを材料組成として0%より大きく10%以下含有させることで、実際に酸化膜の生成および除去と塑性変形領域の研削加工とを一体として研削加工することができる。
【0019】
このように、第3発明の研削加工用の砥石によれば、より緻密で詳細に塑性変形メカニズムを管理することで、より高い研削精度を実際に実現することができる。
【0020】
第4発明の研削加工用の砥石は、第3発明において、
前記過マンガン酸カリウムを材料組成の一部に代えて炭酸カルシウムと水酸化カルシウムといずれか一方または両方を含有することを特徴とする。
【0021】
第4発明の研削加工用の砥石によれば、過マンガン酸カリウムを材料組成の一部に代えて炭酸カルシウムと水酸化カルシウムといずれか一方または両方を含有させることにより、加工液である水溶液のpH値をコントロールして、加工に適したアルカリ性とすることができる。
【0022】
このように、第4発明の研削加工用の砥石によれば、加工条件を含めて、より緻密で詳細に塑性変形メカニズムを管理することで、より高い研削精度を実際に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本実施形態のSiウェハ(半導体結晶ウェハ)の製造工程全体を示すフローチャート。
【
図2】
図1のSiウェハの製造工程における第1面加工工程および第2面加工工程の内容を示す説明図。
【
図3】
図1のSiウェハの製造方法における第1面加工工程および第2面加工工程の内容を示す説明図。
【
図4】
図1のSiウェハの製造方法における第1面加工工程および第2面加工工程における加工状態を示す模式図。
【
図5A】従来のSiウェハの製造方法における第1面加工工程および第2面加工工程における加工状態を示す模式図。
【
図5B】
図1のSiウェハの製造方法における第1面加工工程および第2面加工工程における加工状態を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1に示すように、本実施形態において、半導体結晶ウェハであるSiウェハの製造方法は、円筒形状に研削加工されたSiインゴットからスライス状に切り出したウェハの一面のうねり除去を施したSiウェハを得る方法であって、溝加工工程(STEP100/
図1)と、切断工程(STEP110/
図1)と、第1面加工工程(STEP120/
図1)と、第2面加工工程(STEP130/
図1)とを備える。
【0025】
なお、STEP120の第1面加工工程と、STEP130の第2面加工工程とにおける加工処理、すなわちメカニカルポリッシュ(高精度研削加工)が、本発明の半導体結晶ウェハの研削加工方法(本発明の特徴的な研削加工および研削加工工程)に相当する。一方、STEP100の溝加工工程およびSTEP110の切断工程については、本願出願人による特許7104909号、特許7100864号等に記載されているため、ここでの詳細な説明を省略して、以下概要のみを説明する。
【0026】
まず、STEP100の溝加工工程では、予め結晶させたSi結晶に対して、インゴット加工工程において、結晶方位を定めて円筒研削加工を施して得られる円筒形状のSiインゴットを準備する。
【0027】
そして、STEP100の溝加工工程では、かかるSiインゴットに対して、側面全体に周回する複数の凹溝を形成する。
【0028】
具体的に、STEP100の溝加工工程では、凹溝に対応した凸部が側面に形成された溝加工ドラム砥石を互いに平行な回転軸上でそれぞれ回転させながらSiインゴットに圧接することにより凹溝を形成する。
【0029】
なお、溝加工工程により得られたSiインゴット(特に凹溝)に対して化学処理的手法によりノンダメージの鏡面加工を施すことが望ましい。
【0030】
次に、STEP110の切断工程では、溝加工工程において形成された複数の凹溝に配置された複数のワイヤーによりSiインゴットをスライス状に切断してSiウェハ100を得る。
【0031】
具体的に切断工程では、切断加工装置であるワイヤーソー装置は、ワイヤーソー部が、複数のワイヤーを溝加工工程で形成した複数の凹溝にそれぞれ合せて、ワイヤーを周回させながら前進させることによりSiインゴットをスライス状に切断する。
【0032】
次に、
図2に示すように、STEP120の第1面加工工程では、切断面のいずれか一方の一面110を支持面として、他面120にメカニカルポリッシュ(高精度研削加工)を施す。
【0033】
具体的には、第1面加工工程では、メカニカルポリッシュを施すメカニカルポリッシュ装置50(超高合成高精度研削加工装置)により、研削加工を行う。
【0034】
メカニカルポリッシュ装置50は、
図3に示すように、スピンドル51と、研削定盤であるプラテン52とを備え、プラテン52上には、スティック状の砥石53が放射状に設けられている。より具体的には、プラテン52に形成された凹部(図示省略)にスティック状の砥石53がその下側が部分的に嵌合するように固定される。
【0035】
砥石53は、例えば、Siウェハの研削加工に適したダイアモンド砥石等であって、後述する酸化膜の除去のため、酸化セリウムを材料組成として0%より大きく10%以下含有する。さらに、過マンガン酸カリウムを材料組成として0%より大きく10%以下含有する。ここで、酸化セリウムと過マンガン酸カリウムの材料組成の合計値は0%より大きく20%以下となるが、0%より大きく15%以下とすることが好ましい。
【0036】
さらに、砥石53は、過マンガン酸カリウムを材料組成の一部に代えて炭酸カルシウムと水酸化カルシウムといずれか一方または両方を含有させることにより、加工液である水溶液のpH値をコントロールして、加工に適したアルカリ性とすることが好ましい。
【0037】
まず、ここで一面110を上面として、ウェハを支持する支持台であるスピンドル51の吸着プレートである真空ポーラスチャック54に吸着させて支持させ、他面120を下面として、砥石53により他面120を研削加工する。
【0038】
このとき、スピンドル51およびプラテン52は、図示しない駆動装置により回転駆動されると共に、図示しないコンプレッサーなどによりスピンドル51がプラテン52に押圧されることにより他面120に研削加工が施される。
【0039】
なお、研削加工後には、ドレッサーなどにより砥石53へのドレッシングが施されてもよい。
【0040】
また、メカニカルポリッシュ装置50は、必要に応じて、加工時に複数の機能水を使用可能なように機能水供給配管を有してもよい。
【0041】
次に、STEP130の第2面加工工程では、第1面加工工程により、高精度研削加工が施された他面120を上面として、一面110に対して、第1面加工工程と同様の高精度研削加工を施す。
【0042】
すなわち、他面120を上面として、スピンドル51の吸着プレートである真空ポーラスチャック54に吸着させ、一面110を下面として、砥石53により一面110を研削加工する。
【0043】
この場合にも、必要に応じて、ドレッサーなどを砥石53に押圧することによりドレッシングが施されてもよい。
【0044】
かかるSTEP120の第1面加工工程およびSTEP130の第2面加工工程のメカニカルポリッシュ(高精度研削加工)処理において、本実施形態では、特に、
図4に示すように、砥石53と、ウェハ100をスピンドル51を介して砥石53に押圧する押圧力とから、ウェハ100の表面に、砥石53との間で摩擦に起因する温度上昇により塑性変形領域100Aを形成すると共に、砥石53に過マンガン酸カリウムを含有させることにより、塑性変形領域100Aの表面に酸化膜100Bを生成させつつ、生成した酸化膜100Bを砥石53に酸化セリウムを含有させることにより砥石53で除去しつつ、砥石53で塑性変形領域100Aを研削加工する。
【0045】
このとき、塑性変形領域100Aのうち、プラテン52と反対側に存在する塑性脆性中間層100Cが存在するが、かかる塑性脆性中間層100Cをバッファー領域として、塑性脆性中間層100C全体を残存させるように塑性変形領域100Aの表面のみを砥石53で研削加工する。
【0046】
かかる上記構成によれば、
図5Aに示すように、酸化セリウムを含有しない通常の砥石53´の場合には、酸化膜100Bを除去をすることができず、ウェハ100の研削加工に到らないところ、
図5Bに示すように、酸化セリウムを含有する本実施形態の砥石53の場合には、酸化膜100Bを除去されて(ウェハ100のプラテン52側への押圧により、相対的に図中に矢印で示すように)、砥石53が塑性変形領域100Aに到達して、塑性変形領域100Aの表面のみが研削加工される。
【0047】
このように、塑性脆性中間層100Cをバッファー領域として、かかるバッファー領域に入らない研削加工により、ウェハ100の結晶内への亀裂伝播などを生じさせない高品質の加工を実現することができる。
【0048】
すなわち、酸化膜100Bが除去されたウェハ100の塑性変形領域100Aでは、塑性変形が無い状態での表面研磨とは異なり、砥石53により研削効率が格段に向上し、平坦度の高い鏡面仕上げを一回的に実現することができる。すなわち1次~4次の複数回のラップなど複雑な製造工程を大幅に簡略化することができる。
【0049】
なお、スピンドル51の砥石53(プラテン52)に対する進行速度は、塑性変形領域100Aの深さを超えないことが重要となる。
【0050】
このように、本実施形態の半導体結晶ウェハであるSiウェハの研削加工方法によれば、従来忌み嫌われていた塑性変形をウェハ表面の塑性変形メカニズムとしてより緻密で詳細に管理することで、より高い研削精度を実現することができる半導体結晶ウェハの研削加工方法を実際に提供することができる。
【0051】
なお、本実施形態は、Siウェハの研削加工方法として、SiインゴットからSiウェハを製造する場合について説明したが、半導体結晶は、Siに限定されるものはなく、ガリヒソ、インジュウムリン、シリコンカーバイド(SiC)、その他の化合物半導体であってもよい。
【0052】
さらに、本実施形態では、溝加工工程により溝を形成した後に、切断工程により切断を行う場合について説明したが、溝加工工程は適宜省略してもよい。
【0053】
また、本実施形態では、酸化セリウムおよび過マンガン酸カリウム(炭酸カルシウムと水酸化カルシウムとのいずれか一方または両方を一部に含んでもよい)を含有する砥石53がスティック状である場合について説明したが、砥石53の形状はこれに限定されるものではなく、ウェハ100やインゴットの端面の研削加工目的に適した形状であれば、カップ形(カップホイール形)など種々の形状が採用され得る。
【0054】
さらに、本実施形態では、塑性変形領域の表面の機能性研磨として、機能性添加材として過マンガン酸カリウムおよび酸化セリウムを用いて酸化膜の生成および除去を例に、機能性研磨として、CMP(ケミカルメカニカルポリッシュ)を研削加工と一体に実行する場合について説明したが、機能性研磨(表面処理)およびこれに用いられる機能性添加材としてはこれに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0055】
50…メカニカルポリッシュ装置(超高合成高精度研削加工装置)、51…スピンドル(支持台)、52…プラテン(研削定盤)、53…砥石、54…真空ポーラスチャック(吸着プレート)、100…Siウェハ(半導体結晶ウェハ)、110…一面、120…他面。
【要約】
【課題】本発明は、塑性変形を半導体結晶インゴットの端面またはウェハ表面の塑性変形メカニズムとしてより緻密で詳細に管理することで、より高い研削精度を実現することができる半導体結晶の研削加工方法よび当該研削加工方法において使用される研削加工用の砥石を提供することを目的とする。
【解決手段】
Siウェハ100の研削加工方法では、砥石53と、ウェハ100をスピンドル51を介して砥石53に押圧する押圧力とから、ウェハ100の表面に、砥石53との間で摩擦に起因する温度上昇により塑性変形領域100Aを形成すると共に、塑性変形領域100Aの表面を砥石53に機能性添加材を含有させることにより機能性研磨を行いつつ、砥石53で塑性変形領域100Aを研削加工する。
【選択図】
図4