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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-10-01
(45)【発行日】2025-10-09
(54)【発明の名称】アニメーション作成装置
(51)【国際特許分類】
   G06T 13/80 20110101AFI20251002BHJP
   A63B 69/00 20060101ALI20251002BHJP
   A63B 71/06 20060101ALI20251002BHJP
【FI】
G06T13/80 A
A63B69/00 509
A63B69/00 A
A63B71/06 T
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2025021522
(22)【出願日】2025-02-13
【審査請求日】2025-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】525053262
【氏名又は名称】株式会社総合管理
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】水野 博之
【審査官】鈴木 明
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-041725(JP,A)
【文献】国際公開第2022/249522(WO,A1)
【文献】特開2019-063121(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2024/0005572(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0142066(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 13/80
A63B 69/00
A63B 71/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプレイヤーがボールを用いてフィールドで行う競技を撮影して生成された動画データを取得するように構成された動画データ取得部と、
前記フィールドにおける前記ボールの位置と、前記フィールドにおける前記複数のプレイヤーの位置と、前記複数のプレイヤーのそれぞれに付された識別情報と、を関連づけた教師データを、前記フィールドにおける前記ボールの位置ごとに複数記憶した教師データ記憶部と、
前記動画データに含まれる複数のフレームのそれぞれにおいて、前記フレームにおける前記複数のプレイヤー及び前記ボールの位置を検出するように構成された位置検出部と、
前記複数のフレームのそれぞれにおいて、前記フレームにおける前記複数のプレイヤー及び前記ボールの位置を、前記フィールドにおける前記複数のプレイヤー及び前記ボールの位置に変換するように構成された位置変換部と、
前記動画データに含まれるいずれかのフレームである特定フレームにおいて、前記複数のプレイヤーのそれぞれに、前記識別情報を割り当てるように構成された第1識別情報割り当て部と、
トラッキングを行うことで、前記複数のフレームのそれぞれで検出された同一のプレイヤーを関連付けるように構成されたトラッキング部と、
前記第1識別情報割り当て部により前記特定フレームのプレイヤーに割り当てられた前記識別情報を、前記特定フレーム以外のフレームにおける、前記トラッキングによって前記特定フレームのプレイヤーと関連付けられたプレイヤーにも割り当てるように構成された第2識別情報割り当て部と、
前記複数のフレームのそれぞれについて、以下の(a)~(c)を表す画像を作成するように構成された画像作成部と、
前記画像作成部が作成した複数の前記画像を用いてアニメーションを作成するように構成されたアニメーション作成部と、
を備えるアニメーション作成装置。
(a)前記フィールドにおける前記複数のプレイヤー及び前記ボールの位置。
(b)前記複数のプレイヤーに割り当てられた前記識別情報。
(c)前記教師データにおいて、前記(a)における前記ボールの位置に関連付けられた前記複数のプレイヤーの位置、及び、前記教師データにおいて前記複数のプレイヤーのそれぞれに付された前記識別情報。
【請求項2】
請求項1に記載のアニメーション作成装置であって、
前記競技はサッカーである、
アニメーション作成装置。
【請求項3】
請求項2に記載のアニメーション作成装置であって、
前記画像は、ハーフコートを表す画像であり、
前記複数のプレイヤーは、前記ハーフコートにあるゴールを守るチームのプレイヤーである、
アニメーション作成装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のアニメーション作成装置であって、
前記特定フレームは、前記競技の開始時、又は、前記競技の後半の開始時のフレームである、
アニメーション作成装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のアニメーション作成装置であって、
前記複数のフレームは、前記動画データに含まれる全フレームから抽出された一部のフレームである、
アニメーション作成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アニメーション作成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1にイベントログ生成装置が記載されている。イベントログ生成装置は、サッカーの試合を撮影して生成されたビデオ画像を解析することで、イベントを検出する。イベントは、ボールをキックすること、別の選手にタックルすること等である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-41725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
サッカー等の競技を撮影して生成された動画データを用いて、競技のプレイヤーを指導することが考えられる。特に、競技の状況に応じて、プレイヤーが正しい位置に移動できるように指導することが望ましい。しかしながら、動画データには、プレイヤーの正しい位置は表示されないため、そのような指導は困難であった。
【0005】
本開示の1つの局面では、プレイヤーの指導に使用できるアニメーションを作成するアニメーション作成装置を提供することが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つの局面は、アニメーション作成装置である。アニメーション作成装置は、以下の構成を備える。複数のプレイヤーがボールを用いてフィールドで行う競技を撮影して生成された動画データを取得するように構成された動画データ取得部。
【0007】
前記フィールドにおける前記ボールの位置と、前記フィールドにおける前記複数のプレイヤーの位置と、前記複数のプレイヤーのそれぞれに付された識別情報と、を関連づけた教師データを、前記フィールドにおける前記ボールの位置ごとに複数記憶した教師データ記憶部。
【0008】
前記動画データに含まれる複数のフレームのそれぞれにおいて、前記フレームにおける前記複数のプレイヤー及び前記ボールの位置を検出するように構成された位置検出部。前記複数のフレームのそれぞれにおいて、前記フレームにおける前記複数のプレイヤー及び前記ボールの位置を、前記フィールドにおける前記複数のプレイヤー及び前記ボールの位置に変換するように構成された位置変換部。
【0009】
前記動画データに含まれるいずれかのフレームである特定フレームにおいて、前記複数のプレイヤーのそれぞれに、前記識別情報を割り当てるように構成された第1識別情報割り当て部。トラッキングを行うことで、前記複数のフレームのそれぞれで検出された同一のプレイヤーを関連付けるように構成されたトラッキング部。
【0010】
前記第1識別情報割り当て部により前記特定フレームのプレイヤーに割り当てられた前記識別情報を、前記特定フレーム以外のフレームにおける、前記トラッキングによって前記特定フレームのプレイヤーと関連付けられたプレイヤーにも割り当てるように構成された第2識別情報割り当て部。
【0011】
前記複数のフレームのそれぞれについて、以下の(a)~(c)を表す画像を作成するように構成された画像作成部。前記画像作成部が作成した複数の前記画像を用いてアニメーションを作成するように構成されたアニメーション作成部。
【0012】
(a)前記フィールドにおける前記複数のプレイヤー及び前記ボールの位置。
(b)前記複数のプレイヤーに割り当てられた前記識別情報。
(c)前記教師データにおいて、前記(a)における前記ボールの位置に関連付けられた前記複数のプレイヤーの位置、及び、前記教師データにおいて前記複数のプレイヤーのそれぞれに付された前記識別情報。
【0013】
本開示の1つの局面であるアニメーション作成装置は、プレイヤーの指導に使用できるアニメーションを作成できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】ハーフコートを表す平面図である。
図2】アニメーション作成装置の構成を表すブロック図である。
図3】演算部の機能的な構成を表すブロック図である。
図4】教師データの内容を表す説明図である。
図5】演算部が実行する処理を表すフローチャートである。
図6図6Aは、フレームにおいて複数のプレイヤーを検出する処理を表す説明図である。図6Bは、フレームにおいてボールを検出する処理を表す説明図である。
図7図7Aは、フレームにおいて、ハーフコートの4つの角の位置を特定する処理を表す説明図である。図7Bは、真上から見たハーフコートの図面において、4つの角の位置をマッピングする処理を表す説明図である。
図8】画像作成部が作成する画像を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
<第1実施形態>
1.アニメーション作成装置1の構成
アニメーション作成装置1の構成を、図1図4に基づき説明する。アニメーション作成装置1は、サッカーの試合又は練習を撮影して生成された動画データから、アニメーションを作成する装置である。サッカーは、複数のプレイヤーがボールを用いてフィールドで行う競技に対応する。
【0016】
動画データは、サッカーが行われるフィールドのうち、図1に示すハーフコート101を撮影して生成されたものである。動画データを生成するカメラは、ハーフコート101の外にあり、一定の高さを有する場所に設置されている。
【0017】
図2に示すように、アニメーション作成装置1は、演算部3と、教師データ記憶部5と、を備えている。演算部3は、クラウド7及び教師データ記憶部5とそれぞれ接続している。演算部3は、CPU11と、例えば、RAM又はROM等の半導体メモリ(以下、メモリ13とする)と、を有するマイクロコンピュータを備える。
【0018】
演算部3の各機能は、CPU11が非遷移的実体的記録媒体に格納されたプログラムを実行することにより実現される。この例では、メモリ13が、プログラムを格納した非遷移的実体的記録媒体に該当する。また、このプログラムが実行されることで、プログラムに対応する方法が実行される。なお、演算部3は、1つのマイクロコンピュータを備えてもよいし、複数のマイクロコンピュータを備えてもよい。
【0019】
演算部3は、機能的に、図3に示すように、動画データ取得部21と、フレーム抽出部23と、位置検出部25と、位置変換部27と、第1識別情報割り当て部29と、トラッキング部31と、第2識別情報割り当て部33と、画像作成部35と、アニメーション作成部37と、を備える。
【0020】
図2に示すように、教師データ記憶部5は、教師データ41を複数記憶している。教師データ41とは、図4に示すように、ハーフコート101におけるボール109の位置と、ハーフコート101における複数のプレイヤー107の位置と、複数のプレイヤー107のそれぞれに付された識別情報とを関連付けたデータである。本実施形態では、複数のプレイヤー107は8人である。教師データ記憶部5は、ボール109の位置ごとに異なる教師データ41を複数記憶している。
【0021】
例えば、図4において最も上側にある教師データ41は、ボール109の位置が「6-I」の場合の教師データ41である。また、図4において上から2番目にある教師データ41は、ボール109の位置が「6-H」の場合の教師データ41である。
【0022】
図4において最も上側にある教師データ41において、「3-C」の位置にいるプレイヤー107には、識別情報である「1」が対応付けられている。また、その教師データ41において、「7-D」の位置にいるプレイヤー107には、識別情報である「2」が対応付けられている。例えば、サッカーについて詳しい知識を有する者が、教師データ41を作成することができる。
【0023】
ハーフコート101におけるボール109の位置及びプレイヤー107の位置は、図1に示すX方向及びY方向での位置により表される。X方向では、ハーフコート101は、1~15の行に分割されている。Y方向では、ハーフコート101は、A~Iの列に分割されている。X方向での行と、Y方向での列とにより、ハーフコート101は、135個のグリッド102に分割されている。ハーフコート101における位置は、どのグリッド102にいるかにより表される。例えば、「3-C」で表される位置は、図1に示すように、X方向での行が「3」であり、Y方向での列が「C」であるグリッド102にある位置である。
【0024】
識別情報は、複数のプレイヤー107のそれぞれに1つ付されている。識別情報は、プレイヤー107ごとに異なる。任意の1人のプレイヤー107に付された識別情報は、時間が経過しても変化しない。本実施形態では、識別情報は、競技におけるプレイヤー107のポジション(例えば、フォワードの右端、ミッドフィルダーの中央、ディフェンダーの左端等)と対応する。識別番号1~8が付された複数のプレイヤー107は、ハーフコート101にあるゴール103を守る守備側のチームのプレイヤーである。
【0025】
2.アニメーション作成装置1が実行する処理
アニメーション作成装置1が実行する処理を、図5図8に基づき説明する。
ステップ1では、動画データ取得部21が、クラウド7にアップロードされていた動画データを取得する。動画データは、1秒間当たり24枚のフレーム105を有する。なお、ユーザは、動画データを予めクラウド7に保存しておくことができる。
【0026】
ステップ2では、フレーム抽出部23が、動画データのフレーム105の全部から、1部のフレーム105を抽出する。具体的には、動画データのフレーム105の全部を、連続する3つのフレーム105から成るグループに区分する。そして、各グループから1枚のフレーム105を抽出し、他の2枚のフレーム105は削除する。その結果、抽出後の動画データは、1秒間当たり8枚のフレーム105を有する。
【0027】
ステップ3では、位置検出部25が、ステップ2における抽出後の動画データに含まれる複数のフレーム105のそれぞれにおいて、フレーム105における複数のプレイヤー107及びボール109の位置を検出する。
【0028】
例えば、位置検出部25は、図6Aに示すように、それぞれのフレーム105において、複数のプレイヤー107を認識し、フレーム105における複数のプレイヤー107の位置を検出する。フレーム105における位置とは、図6Aに示すように、フレーム105の縦方向x、横方向yでの座標で表される位置である。
【0029】
なお、位置検出部25は、プレイヤー107と、ゴール103に向かって攻撃する攻撃側のチームのプレイヤー108とを、以下のようにして区別することができる。位置検出部25は、検出した全てのプレイヤーの色を認識し、色に応じてプレイヤーを2つのグループに分ける。2つのグループのうち、ハーフコート101内の人数が多いグループのプレイヤーを、プレイヤー107とする。
【0030】
なお、2つのチームのユニフォーム、ゼッケン等の色は通常異なるから、色に基づきプレイヤーを2つのグループに分けることができる。2つグループの一方は、ゴール103に向かって攻撃する攻撃側のチームであり、他方は、ゴール103を守る守備側のチームである。また、ハーフコート101において、守備側のチームのプレイヤーの数は、通常、攻撃側のチームのプレイヤーの数より多いから、人数が多いグループのプレイヤーは、守備側のチームのプレイヤー(すなわち、プレイヤー107)である蓋然性が高い。
【0031】
また、位置検出部25は、図6Bに示すように、それぞれのフレーム105において、ボール109を認識し、フレーム105におけるボール109の位置を検出する。
【0032】
ステップ4では、複数のフレーム105のそれぞれにおいて、複数のプレイヤー107及びボール109の位置の変換を行う。位置の変換とは、フレーム105における位置を、ハーフコート101における位置に変換することである。
【0033】
この変換は、例えば、以下のように行うことができる。図7Aに示すように、フレーム105において、ハーフコート101の4つの角111a~111dの位置を特定する。次に、図7Bに示すように、真上から見たときのハーフコート101の図面において、角111a~111dの位置をマッピングする。次に、アフィン変換と透視変換の行列を算出する。これらの行列により、フレーム105における位置を、ハーフコート101における位置に変換できる。
【0034】
ステップ5では、第1識別情報割り当て部29が、動画データのうち、最初のフレーム105(以下では特定フレーム105Aとする)を取得する。特定フレーム105Aは、競技の開始時、又は、競技の後半の開始時のフレーム105である。第1識別情報割り当て部29は、特定フレーム105Aで検出されている複数のプレイヤー107のそれぞれに、識別情報を割り当てる。
【0035】
なお、競技の開始時、又は、競技の後半の開始時において、複数のプレイヤー107は、それぞれ、識別情報に対応する位置にいる蓋然性が高い。例えば、競技の開始時、又は、競技の後半の開始時において、フォワードのプレイヤー107は、他のプレイヤー107に比べて、前方の位置(すなわち、フォワードの識別情報に対応する位置)にいる蓋然性が高い。よって、特定フレーム105Aで検出されている複数のプレイヤー107のそれぞれに、特定フレーム105Aにおけるプレイヤー107の位置に応じて、正しい識別情報を割り当てることができる蓋然性が高い。
【0036】
ステップ6では、トラッキング部31が、複数のフレーム105において、プレイヤー107に関してトラッキングを行うことで、複数のフレーム105のそれぞれで検出された同一のプレイヤー107を関連付ける。
【0037】
トラッキングは、公知の方法で行うことができる。例えば、あるフレーム105において検出されたプレイヤー107と、次のフレーム105で検出されたプレイヤー107とが、位置、及び移動方向等で近い場合、トラッキング部31は、それらのプレイヤー107は同一である蓋然性が高いと判断し、関連付ける。
【0038】
ステップ7では、第2識別情報割り当て部33が、特定フレーム105A以外のフレーム105において検出されたプレイヤー107にも、識別情報を割り当てる。具体的には、以下の処理を行う。
【0039】
例えば、ステップ5において、特定フレーム105Aで検出された1人のプレイヤー107aに識別情報aが割り当てられたとする。ステップ6においてプレイヤー107aと関連付けられた、特定フレーム105A以外の各フレーム105で検出されたプレイヤー107にも、第2識別情報割り当て部33は、同一の識別情報aを割り当てる。この処理を、全てのプレイヤー107について、また、全てのフレーム105について行う。ステップ7を行うことで、複数のフレーム105の全てを通して、同一のプレイヤー107には1つの識別情報が割り当てられる。
【0040】
ステップ8では、画像作成部35が、複数のフレーム105のそれぞれについて、図8に示す画像113を作成する。作成される画像113の数は、ステップ2で抽出されたフレーム105の数と等しい。任意の1枚のフレーム105から、1枚の画像113が作成される。任意の画像113は、それに対応する1枚のフレーム105について、ステップ3~7の処理で得られた情報を用いて作成される。画像113は、真上の視点から見たときのハーフコート101を表す図面である。
【0041】
画像113には、現実マーク115が、複数のプレイヤー107の数だけ表示されている。それぞれの現実マーク115は、1人のプレイヤー107に対応する。現実マーク115は、対応するプレイヤー107の現実の位置と、そのプレイヤー107の識別情報とを表す。現実マーク115は、対応するプレイヤー107の、ハーフコート101における位置に表示されている。現実マーク115の位置は、ステップ4の処理で算出されたプレイヤー107の位置である。現実マーク115に含まれる数値は、ステップ5又は7において、対応するプレイヤー107に割り当てられた識別情報である。
【0042】
現実マーク115は、ハーフコート101における複数のプレイヤー107の位置と、複数のプレイヤー107に割り当てられた識別情報とを表す。画像113には、教師マーク117が、複数のプレイヤー107の数だけ表示されている。それぞれの教師マーク117は、1人のプレイヤー107に対応する。教師マーク117に含まれる数値は、対応するプレイヤー107に付された識別情報である。
【0043】
画像作成部35は、以下の方法で教師マーク117を画像113に表示する。まず、画像作成部35は、ステップ4で変換して得られたボール109の位置に対応する教師データ41を、教師データ記憶部5から読み出す。例えば、ボール109の位置が「6-I」である場合、画像作成部35は、図4における最も上側にある教師データ41を読み出す。
【0044】
次に、画像作成部35は、画像113において、読み出した教師データ41に含まれる複数のプレイヤー107の位置に、それぞれ、教師マーク117を表示する。例えば、図4における最も上側にある教師データ41を読み出した場合、「3-C」、「7-D」、「12-C」「4-E」、「8-E」、「13-E」、「6-H」、「12-C」の位置に、それぞれ、教師マーク117を表示する。
【0045】
また、それぞれの教師マーク117には、読み出した教師データ41において、その教師マーク117の位置(すなわち対応するプレイヤー107の位置)と関連付けられている識別情報を表示する。例えば、図4における最も上側にある教師データ41を読み出した場合、「3-C」の位置にある教師マーク117には、読み出した教師データ41において、その教師マーク117の位置(すなわち対応するプレイヤー107の位置)と関連付けられている識別情報である「1」を表示する。
【0046】
教師マーク117は、教師データ41において、ステップ4で変換して得られたボール109の位置に関連付けられた複数のプレイヤー107の位置、及び、教師データ41において複数のプレイヤー107のそれぞれに付された識別情報を表す。画像113には、1つのボールマーク119が表示されている。ボールマーク119は、ステップ4で変換して得られたボール109の位置に表示されている。
【0047】
ステップ9では、アニメーション作成部37が、ステップ8で作成した複数の画像113を用いてアニメーションを作成する。アニメーションを表示したとき、複数の画像113が、1枚ずつ、順番に表示される。アニメーションを表示したとき、現実マーク115、教師マーク117、及びボールマーク119が、時間の経過とともに、ハーフコート101上で連続的に動くように見える。
【0048】
3.アニメーション作成装置1が奏する効果
(1A)アニメーション作成装置1が作成するアニメーションは、以下の(a)~(c)を表す画像113により構成される。
【0049】
(a)ハーフコート101における複数のプレイヤー107及びボール109の位置(すなわち、現実マーク115の位置、及びボールマーク119の位置)。
(b)複数のプレイヤー107に割り当てられた識別情報(すなわち、現実マーク115に付された識別情報)。
【0050】
(c)教師データ41において、前記(a)におけるボール109の位置に関連付けられた複数のプレイヤー107の位置、及び、教師データ41において複数のプレイヤー107のそれぞれに付された前記識別情報(すなわち、教師マーク117の位置、及びそれに付された識別情報)。
【0051】
よって、アニメーションは、それぞれのプレイヤー107の現実の位置(すなわち、現実マーク115の位置)と、それぞれのプレイヤー107の正しい位置(すなわち、教師マーク117の位置)とを同時に表示することができる。例えば、アニメーション作成装置1のユーザは、このアニメーションを使用して、それぞれのプレイヤー107が正しい位置に移動できるように、プレイヤー107を指導することができる。
【0052】
現実マーク115と教師マーク117とにはそれぞれ識別情報が付されているので、アニメーションを見るものは、識別情報を手掛かりとして、どの現実マーク115とどの教師マーク117とが対応するのか(すなわち、同一のプレイヤー107であるのか)を容易に認識することができる。
【0053】
(1B)競技は、例えば、サッカーである。この場合、アニメーションを使用して、サッカーのプレイヤー107に対する指導を行うことができる。
(1C)画像113は、サッカーのフィールドのうち、ハーフコート101を表す画像である。また、複数のプレイヤー107は、ハーフコート101にあるゴール103を守る守備側のチームのプレイヤーである。この場合、アニメーションを使用して、守備側のチームのプレイヤー107を指導することができる。
【0054】
(1D)ステップ3以降の処理では、動画データに含まれるフレーム105の全てから抽出された一部のフレーム105を使用する。そのため、ステップ3以降の処理を行うときの演算部3の処理負担を軽減できる。
【0055】
<他の実施形態>
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0056】
(1)上記実施形態では、競技はサッカーであったが、これに限定されるものではない。例えば、競技は、フットサル、ラグビー、アメリカンフットボール等であってもよい。
(2)画像113は、競技のフィールドの全体を表すものであってもよい。複数のプレイヤー107は、ゴール103に向かって攻撃する攻撃側のチームのプレイヤーであってもよい。また、複数のプレイヤー107はチームの全てのプレイヤーであってもよい。
【0057】
(3)現実マーク115、教師マーク117の態様は特に限定されず、それらの形状、大きさ、色、模様等を適宜設定することができる。例えば、現実マーク115、又は教師マーク117は、1つのグリッド102の色や模様等を、他のグリッド102とは異ならせたものであってもよい。
【0058】
(4)画像113は、他の要素をさらに含んでいてもよい。例えば、識別情報が同じである現実マーク115と教師マーク117とを関連付ける表示をさらに含んでいてもよい。関連付ける表示として、例えば、現実マーク115と教師マーク117とを結ぶ線等が挙げられる。
【0059】
また、識別情報が同じである現実マーク115と教師マーク117との距離を表す表示をさらに含んでいてもよい。距離を表す表示として、距離の数値の表示等が挙げられる。
(5)アニメーション作成装置1は、さらに他の機能を備えていてもよい。例えば、図3Aに示すような、複数のプレイヤー107にマーカーを付したフレーム105を複数組み合わせて、動画を作成してもよい。その動画では、図6Bに示すように、ボール109にもマーカーが表示されていてもよい。動画の形式は、例えばMP4である。
【0060】
(6)特定フレーム105Aは、プレイヤー107の位置と識別情報との関連が表れているフレーム105であればよく、競技の開始時、又は、競技の後半の開始時のフレーム105でなくてもよい。
【0061】
(7)本開示に記載の演算部3及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の演算部3及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の演算部3及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されてもよい。演算部3に含まれる各部の機能を実現する手法には、必ずしもソフトウェアが含まれている必要はなく、その全部の機能が、一つあるいは複数のハードウェアを用いて実現されてもよい。
【0062】
(8)上記各実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素に分担させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に発揮させたりしてもよい。また、上記各実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記各実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。
【0063】
(9)上述したアニメーション作成装置1の他、当該アニメーション作成装置1を構成要素とするシステム、演算部3としてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した半導体メモリ等の非遷移的実態的記録媒体、アニメーションの作成方法、フレーム105の加工方法等、種々の形態で本開示を実現することもできる。
【0064】
[本明細書が開示する技術思想]
[項目1]
複数のプレイヤーがボールを用いてフィールドで行う競技を撮影して生成された動画データを取得するように構成された動画データ取得部と、
前記フィールドにおける前記ボールの位置と、前記フィールドにおける前記複数のプレイヤーの位置と、前記複数のプレイヤーのそれぞれに付された識別情報と、を関連づけた教師データを、前記フィールドにおける前記ボールの位置ごとに複数記憶した教師データ記憶部と、
前記動画データに含まれる複数のフレームのそれぞれにおいて、前記フレームにおける前記複数のプレイヤー及び前記ボールの位置を検出するように構成された位置検出部と、
前記複数のフレームのそれぞれにおいて、前記フレームにおける前記複数のプレイヤー及び前記ボールの位置を、前記フィールドにおける前記複数のプレイヤー及び前記ボールの位置に変換するように構成された位置変換部と、
前記動画データに含まれるいずれかのフレームである特定フレームにおいて、前記複数のプレイヤーのそれぞれに、前記識別情報を割り当てるように構成された第1識別情報割り当て部と、
トラッキングを行うことで、前記複数のフレームのそれぞれで検出された同一のプレイヤーを関連付けるように構成されたトラッキング部と、
前記第1識別情報割り当て部により前記特定フレームのプレイヤーに割り当てられた前記識別情報を、前記特定フレーム以外のフレームにおける、前記トラッキングによって前記特定フレームのプレイヤーと関連付けられたプレイヤーにも割り当てるように構成された第2識別情報割り当て部と、
前記複数のフレームのそれぞれについて、以下の(a)~(c)を表す画像を作成するように構成された画像作成部と、
前記画像作成部が作成した複数の前記画像を用いてアニメーションを作成するように構成されたアニメーション作成部と、
を備えるアニメーション作成装置。
(a)前記フィールドにおける前記複数のプレイヤー及び前記ボールの位置。
(b)前記複数のプレイヤーに割り当てられた前記識別情報。
(c)前記教師データにおいて、前記(a)における前記ボールの位置に関連付けられた前記複数のプレイヤーの位置、及び、前記教師データにおいて前記複数のプレイヤーのそれぞれに付された前記識別情報。
[項目2]
項目1に記載のアニメーション作成装置であって、
前記競技はサッカーである、
アニメーション作成装置。
[項目3]
項目2に記載のアニメーション作成装置であって、
前記画像は、ハーフコートを表す画像であり、
前記複数のプレイヤーは、前記ハーフコートにあるゴールを守るチームのプレイヤーである、
アニメーション作成装置。
[項目4]
項目1~3のいずれか1つの項目に記載のアニメーション作成装置であって、
前記特定フレームは、前記競技の開始時、又は、前記競技の後半の開始時のフレームである、
アニメーション作成装置。
[項目5]
項目1~4のいずれか1つの項目に記載のアニメーション作成装置であって、
前記複数のフレームは、前記動画データに含まれる全フレームから抽出された一部のフレームである、
アニメーション作成装置。
【符号の説明】
【0065】
1…アニメーション作成装置、3…演算部、5…教師データ記憶部、7…クラウド、11…CPU、13…メモリ、21…動画データ取得部、23…フレーム抽出部、25…位置検出部、27…位置変換部、29…第1識別情報割り当て部、31…トラッキング部、33…第2識別情報割り当て部、35…画像作成部、37…アニメーション作成部、41…教師データ、101…ハーフコート、102…グリッド、103…ゴール、105…フレーム、107、108…プレイヤー、109…ボール、111a~111d…角、113…画像、115…現実マーク、117…教師マーク、119…ボールマーク
【要約】
【課題】プレイヤーの指導のために使用できるアニメーションを作成するアニメーション作成装置を提供すること。
【解決手段】アニメーション作成装置は、競技を撮影して生成された動画データを取得する。アニメーション作成装置は、教師データを記憶した教師データ記憶部を備える。アニメーション作成装置は、動画データにおいて複数のプレイヤー及びボールの位置を検出する。アニメーション作成装置は、複数のプレイヤーのそれぞれに、識別情報を割り当てる。アニメーション作成装置は、以下の(a)~(c)を表す画像を作成し、それらの画像を用いてアニメーションを作成する。(a)複数のプレイヤー及びボールの位置。(b)複数のプレイヤーに割り当てられた識別情報。(c)教師データに含まれる複数のプレイヤーの位置及び識別情報。
【選択図】図8
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8