(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-10-01
(45)【発行日】2025-10-09
(54)【発明の名称】X線照射指示装置及びX線診断装置
(51)【国際特許分類】
A61B 6/00 20240101AFI20251002BHJP
【FI】
A61B6/00 530Z
(21)【出願番号】P 2021147083
(22)【出願日】2021-09-09
【審査請求日】2024-07-24
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 洋
(72)【発明者】
【氏名】菅原 佳祐
(72)【発明者】
【氏名】山下 智史
(72)【発明者】
【氏名】大橋 俊平
(72)【発明者】
【氏名】奈良部 優介
(72)【発明者】
【氏名】粥川 陽介
【審査官】竹村 美雪
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-148467(JP,A)
【文献】実開昭60-047505(JP,U)
【文献】特開2015-131009(JP,A)
【文献】特開平07-313499(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0303876(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線の照射指示を行うための照射指示スイッチ
と、
手の指に挿着可能な指支持部と、を備え、
前記手
の指に
挿着されている状態で、前記照射指示スイッチが前記手の中指と、薬指と、小指との少なくともいずれかの指にて操作可能なように構成されている、
X線照射指示装置。
【請求項2】
手に装着可能なX線照射指示装置であって、
X線の照射指示を行うための照射指示スイッチを備え、
前記手に装着されている状態で、前記照射指示スイッチが前記手の中指と、薬指と、小指との少なくともいずれかの指にて操作可能なように構成されており、
前記照射指示スイッチは、複数の撮影方法にそれぞれ対応する複数のスイッチ要素を含み、
前記複数のスイッチ要素はそれぞれ、前記複数の撮影方法に対応する前記X線の照射開始を示す信号と照射終了を示す信号とを発生する、
X線照射指示装置。
【請求項3】
手に装着可能なX線照射指示装置であって、
X線の照射指示を行うための照射指示スイッチを備え、
前記手に装着されている状態で、前記照射指示スイッチが前記手の中指と、薬指と、小指との少なくともいずれかの指にて操作可能なように構成されており、
前記照射指示スイッチは、撮影方法に対応する前記X線の照射開始を示す信号と照射終了を示す信号とを発生するスイッチ要素と、当該スイッチ要素の機能を切り替えるスイッチ要素とを含む、
X線照射指示装置。
【請求項4】
手に装着可能なX線照射指示装置であって、
X線の照射指示を行うための照射指示スイッチを備え、
前記手に装着されている状態で、前記照射指示スイッチが前記手の中指と、薬指と、小指との少なくともいずれかの指にて操作可能なように構成されており、
前記照射指示スイッチは、撮影方法に対応する前記X線の照射開始を示す信号と照射終了を示す信号とを発生するスイッチであり、
前記X線照射指示装置の振動を検知した場合に前記照射指示スイッチの機能を切り替える、
X線照射指示装置。
【請求項5】
前記X線照射指示装置の振動を検知する加速度センサをさらに備えた、
請求項4に記載のX線照射指示装置。
【請求項6】
前記照射指示スイッチの機能をサイクリックに切り替える、
請求項3乃至5のいずれか1項に記載のX線照射指示装置。
【請求項7】
X線の照射指示を行うための照射指示スイッチと、
手の指に挿着可能な指支持部と、
前記指支持部に接続され、前記照射指示スイッチを設ける指示装置本体と、
を備え、
前記指示装置本体は、前記指支持部が指に挿着された状態で、前記手の中指と、薬指と、小指との少なくともいずれかの指を曲げ
た場合の当該指の腹の可動範囲内に前記照射指示スイッチが配置されるように構成された、
X線照射指示装置。
【請求項8】
X線の照射指示を行うための照射指示スイッチと、
手の指に挿着可能な指支持部と、
前記指支持部に接続され、前記照射指示スイッチを設ける指示装置本体と、
を備え、
前記指示装置本体は、前記指支持部が指に挿着された状態で前記手の平の範囲内に収まるサイズ及び形状を備えた、
X線照射指示装置。
【請求項9】
前記指示装置本体は防水性を備えた、
請求項7又は8に記載のX線照射指示装置。
【請求項10】
X線の照射指示を行うための照射指示スイッチと、
手の指に挿着可能な指支持部と、
前記指支持部の先端側の内壁面に設けられる指示装置本体と、
を備え、
前記指示装置本体は、前記指支持部の先端を含む内壁面に前記照射指示スイッチが配置されるように構成された、
X線照射指示装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載のX線照射指示装置と、
前記X線照射指示装置からの指示に応じてX線を発生し、X線画像データを生成する画像生成装置と、
を備えたX線診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、X線照射指示装置及びX線診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線診断装置は、被検体内にX線を透過し、その透過像を画像化するものである。X線画像を取得する撮影方法としては、比較的弱いX線を照射する「透視モード」と、比較的強いX線を照射する「撮影モード」等がある。カテーテルを用いたインターベンション治療の手技者等の操作者は、撮影モード又は透視モードによるX線照射により血管内のカテーテルを確認しながら、患者にカテーテルを挿入する。そして、カテーテルの患部への到達後、X線によりあらゆる角度から患部の撮影が行われる。その後、確認された患部の治療をカテーテルによって行う。
【0003】
X線照射の開始や終了を指示するために、X線診断装置の寝台装置に、フットスイッチが設けられる。又は、X線照射の開始や終了を指示するために、X線診断装置のハンドヘルド式インタフェースデバイスに、スイッチが設けられる。ハンドヘルド式インタフェースデバイスは、操作者が把持した状態で操作者により指示されるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、操作者による把持の必要のない装置により手の指で簡易にX線の照射指示を可能にすることである。ただし、本明細書等に開示の実施形態により解決される課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を、本明細書等に開示の実施形態が解決する他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る、手に装着可能なX線照射指示装置は、X線の照射指示を行うための照射指示スイッチを備える。X線照射指示装置は、手に装着されている状態で、照射指示スイッチが手の中指と、薬指と、小指との少なくともいずれかの指にて操作可能なように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係るX線照射指示装置を備えたアンギオ装置の構成を示す概略図。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係るX線照射指示装置を備えたアンギオ装置を用いた手技中の状態を示す図。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係るX線照射指示装置の外観構成を示す図。
【
図4】
図4は、手に装着された、第1の実施形態に係るX線照射指示装置の操作方法を説明するための正面図である。
【
図5】
図5は、手に装着された、第1の実施形態に係るX線照射指示装置の操作方法を説明するための側方斜視図。
【
図6】
図6は、手に装着された、第1の実施形態に係るX線照射指示装置の第1変形例の操作方法を説明するための正面図。
【
図7】
図7は、第1の実施形態に係るX線照射指示装置の第3変形例を備えたアンギオ装置1の構成を示す概略図。
【
図8】
図8は、第2の実施形態に係るX線照射指示装置を備えたアンギオ装置の構成を示す概略図。
【
図9】
図9は、第2の実施形態に係るX線照射指示装置の外観構成を示す図。
【
図10】
図10は、手に装着された、第2の実施形態に係るX線照射指示装置の操作方法を説明するための側方斜視図。
【
図11】
図11は、第2の実施形態に係るX線照射指示装置の変形例の外観構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、X線照射指示装置及びX線診断装置の実施形態について詳細に説明する。
【0009】
実施形態に係るX線照射指示装置は、X線を発生し、そのX線を検出して画像化するX線診断装置の一部として設けられるものである。X線診断装置としては、例えば、X線撮影装置(レントゲン装置)、X線TV装置、乳房X線撮影装置(マンモグラフィ装置)、X線循環器装置(アンギオ(Angio)装置)等が挙げられるが、それらの場合に限定されるものではない。以下、X線照射指示装置が、X線診断装置としてのアンギオ装置の一部として設けられる場合について例示するが、その場合に限定されるものでない。アンギオ装置は、カテーテルを用いたインターベンション治療が行われる場合等に使用される。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るX線照射指示装置を備えたアンギオ装置の構成を示す概略図である。
図2は、第1の実施形態に係るX線照射指示装置を備えたアンギオ装置を用いた手技中の状態を示す図である。
【0011】
図1及び
図2は、第1の実施形態に係るX線照射指示装置を備えたアンギオ装置1を示す。アンギオ装置1は、X線照射指示装置10と、画像生成装置20とを備える。
【0012】
X線照射指示装置10は、操作者の手に装着可能であり、指支持部11と、指示装置本体12とを備える。指支持部11は、カテーテルを用いたインターベンション治療の手技者又は補助者等の操作者Dの指に挿着されることで、指示装置本体12を手に装着することができる。それにより、指示装置本体12を操作者Dの手に維持することができる。指示装置本体12は、照射指示スイッチ121と、送信回路122と、電源装置123とを備える。
【0013】
照射指示スイッチ121は、指示装置本体12が操作者Dの手に装着されている状態で、照射指示スイッチ121が手の中指と、薬指と、小指との少なくともいずれかの指にて操作可能なように構成されている。照射指示スイッチ121は、ボタンの押圧により、後述するX線照射装置22からのX線の照射指示するためのものである。なお、照射指示スイッチ121は、タクトスイッチであってもよいし、スイッチの種類には制限はない。例えば、照射指示スイッチ121は、レバー式のスイッチであってもよい。
【0014】
送信回路122は、無線を介して後述する受信回路26に信号を送信する装置、例えば、赤外線を利用したリモートコントローラである。この場合、画像生成装置20の受信回路26は、無線として出力された信号を受信する受信部として機能する。リモコン型の照射指示スイッチ121を用いた上で簡単な構成とすることで、ケーブルに煩わされることなくX線の照射指示を行うことができる。なお、無線は、赤外線によるIrDA通信に限定されるものではなく、無線LAN規格、Bluetooth(登録商標)、又は、これらに独自の通信規則を加えたカスタムインターフェースが採用されてもよい。
【0015】
電源装置123は、電池(battery)と、電源回路とを含む。例えば、電池は、再充電不可能な一次電池や、再充電可能な二次電池(蓄電池)を含む。電源装置123は、指示装置本体12の構成要素をワイヤレスで動作させるためにそれらに電力を供給する。
【0016】
なお、指示装置本体12に防水加工が施されることで、指示装置本体12は、防水性を備えることが好適である。例えば、指示装置本体12の筐体を浸透性のない材料(例えば、プラスチック)で構成し、指示装置本体12を構成する部材間の継ぎ目に防水性を担保する構造物(例えば、パッキン)等を配置する。また、指示装置本体12の筐体の全体を、浸透性がなく透明性のある材料(例えば、ゴム)で包み込んでもよい。指示装置本体12のそのような構成により、血液等が指示装置本体12の内部に浸透することを防止することができる。
【0017】
図3(A)~(C)は、X線照射指示装置10の外観構成を示す図である。
図3(A)は、X線照射指示装置10の正面図を示し、
図3(B),(C)は、X線照射指示装置10の側面図を示す。
【0018】
図3(A)に示すように、X線照射指示装置10の指支持部11は、指示装置本体12に接続される。指支持部11は、中指と、薬指と、小指との少なくともいずれかの指を挿入可能なように形成される。指支持部11は、典型的には一続きのリング状(例えば、O状)で形成される。しかしながらその場合に限定されるものではない。例えば、指支持部11は、指示装置本体12との接続部に対向する位置が開口したC状で形成されてもよい。また、指支持部11が指に挿着された状態で、中指と、薬指と、小指とのいずれかで押圧できる位置に照射指示スイッチ121(例えば、透視SW)が設けられる。
【0019】
図3(B)に示すように、指支持部11と指示装置本体12とは、指支持部11の面と指示装置本体12の筐体の面とが同一平面上で固定されるように接続される。又は、
図3(C)に示すように、指支持部11と指示装置本体12とは、指支持部11の面と指示装置本体12の筐体の面とが一定の角度をもった状態で固定されるように接続される。又は、図示しないが、指支持部11と指示装置本体12とは、指支持部11の面と指示装置本体12の筐体の面との間の角度が可変なように接続される。その場合、例えば、指支持部11と指示装置本体12との間に部材(例えば、蝶番(hinge))を設け、指支持部11と指示装置本体12とが部材の軸中心に回転可能なように接続される。
【0020】
さらに、X線照射指示装置10は、指支持部11が、指示装置本体12から取り外しが可能な構成であってもよい。その場合、サイズや形状の異なる複数の指支持部の中から操作者Dの挿着すべき指のサイズや形状に合った適切な指支持部11を選択し、それを指示装置本体12に取り付けることができる。
【0021】
図1及び
図2の説明に戻って、画像生成装置20は、高電圧供給装置21と、X線照射装置22と、X線検出装置23と、処理回路24と、記憶回路25と、受信回路26と、入力インターフェース27と、ディスプレイ28と、Cアーム29(
図2のみに図示)と、寝台30(
図2のみに図示)とを備える。画像生成装置20は、X線照射指示装置10からの指示に応じて、被検体、例えば患者Pの撮像部位に関するX線画像データを生成し、操作者Dに対して表示することができる。
【0022】
高電圧供給装置21は、処理回路24による制御の下、X線照射装置22のX線管に高電圧電力を供給する。
【0023】
X線照射装置22は、Cアーム29の一端に設けられる。X線照射装置22は、X線管(X線源)及び可動絞り装置を設ける。X線管は、処理回路24による制御の下、高電圧供給装置21から高電圧電力の供給を受けて、高電圧電力の条件に応じてX線を発生する。可動絞り装置は、処理回路24による制御の下、X線管のX線照射口で、X線を遮蔽する物質から構成された絞り羽根を移動可能に支持する。なお、X線管の前面に、X線管によって発生されたX線の線質を調整する線質調整フィルタ(図示省略)が備えられてもよい。
【0024】
X線検出装置23は、Cアーム29の他端に、X線照射装置22に対向するように設けられる。X線検出装置23は、処理回路24による制御の下、SID(Source-Image Distance)方向に沿って動作、すなわち、前後動作を行うことができる。また、X線検出装置23は、処理回路24による制御の下、SID方向を中心とした回転方向に沿って動作、すなわち、回転動作を行うことができる。
【0025】
処理回路24は、専用又は汎用のCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processor Unit)、又はGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサの他、ASIC、及び、プログラマブル論理デバイス等によって構成される。プログラマブル論理デバイスとしては、例えば、単純プログラマブル論理デバイス(SPLD:Simple Programmable Logic Device)、複合プログラマブル論理デバイス(CPLD:Complex Programmable Logic Device)、及び、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:Field Programmable Gate Array)等が挙げられる。
【0026】
また、処理回路24は、単一の回路によって構成されてもよいし、複数の独立した回路要素の組み合わせによって構成されてもよい。後者の場合、記憶回路25は回路要素ごとに個別に設けられてもよいし、単一の記憶回路25が複数の回路要素の機能に対応するプログラムを記憶するものであってもよい。なお、処理回路24は、処理部の一例である。
【0027】
記憶回路25は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等によって構成される。記憶回路25は、USB(Universal Serial Bus)メモリ及びDVD(Digital Video Disk)等の可搬型メディアによって構成されてもよい。記憶回路25は、処理回路24において用いられる各種処理プログラム(アプリケーションプログラムの他、OS(Operating System)等も含まれる)や、プログラムの実行に必要なデータを記憶する。また、OSに、操作者Dに対するディスプレイ28への情報の表示にグラフィックを多用し、基礎的な操作を入力インターフェース27によって行うことができるGUI(Graphical User Interface)を含めることもできる。なお、記憶回路25は、記憶部の一例である。
【0028】
受信回路26は、無線を介して信号を受信する装置、例えば、赤外線を受信する装置である。なお、無線は、赤外線によるIrDA通信に限定されるものではなく、無線LAN規格、Bluetooth(登録商標)、又は、これらに独自の通信規則を加えたカスタムインターフェースが採用されてもよい。なお、受信回路26は、受信部の一例である。
【0029】
入力インターフェース27は、操作者Dによって操作が可能な入力デバイスと、入力デバイスからの信号を入力する入力回路とを含む。入力デバイスは、トラックボール、スイッチ、マウス、キーボード、操作面に触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力デバイス、及び、音声入力デバイス等によって実現される。操作者Dにより入力デバイスが操作されると、入力回路はその操作に応じた信号を生成して処理回路24に出力する。なお、入力インターフェース27は、入力部の一例である。
【0030】
ディスプレイ28は、例えば液晶ディスプレイやOLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ等の一般的な表示出力装置により構成される。ディスプレイ28は、処理回路24の制御に従って各種情報を表示する。なお、ディスプレイ28は、表示部の一例である。
【0031】
Cアーム29は、X線照射装置22とX線検出装置23とを、対向配置するように支持する。Cアーム29は、処理回路24による制御の下、又は手動操作に従って、円弧方向の回転、すなわち、CRA(Cranial View)の向きの回転と、CAU(Caudal View)の向きの回転とが可能である。また、Cアーム29は、処理回路24による制御の下、又は手動操作に従って、支点中心の回転、すなわち、LAO(Left Anterior Oblique View)の向きの回転と、RAO(Right Anterior Oblique View)の向きの回転とに対応する。なお、Cアーム29の円弧方向の回転が、LAOの向きの回転とRAOの向きの回転とに対応し、Cアーム29の支点中心の回転が、CRAの向きの回転とCAUの向きの回転とに対応する構成を有していてもよい。
【0032】
また、
図2において、画像生成装置20が備えるCアーム構造は、X線照射装置22が寝台30の天板の下方に位置するアンダーテーブルの場合を示す。しかしながらその場合に限定されるものではなく、X線照射装置22が天板の上方に位置するオーバーテーブルの場合であってもよい。また、Cアーム29は、Ωアームにより代替されてもよいし、Ωアームが組み合わされてもよい。
【0033】
寝台30は、患者Pを載置可能な天板を備える。天板は、処理回路24による制御の下、X軸方向に沿って動作、すなわち、左右方向へのスライドを行うことができる。天板は、処理回路24による制御の下、Y軸方向に沿って動作、すなわち、昇降方向へのスライドを行うことができる。天板は、処理回路24による制御の下、Z軸方向に沿って動作、すなわち、頭足方向へのスライドを行うことができる。また、天板は、処理回路24による制御の下、ローリング動作や、チルト動作を行うことも可能である。
【0034】
図4(A),(B)は、手に装着されたX線照射指示装置10の操作方法を説明するための正面図である。
図5は、手に装着されたX線照射指示装置10の操作方法を説明するための側方斜視図である。
【0035】
図4(A),(B)と
図5に示すように、X線照射指示装置10の指支持部11が中指と、薬指と、小指とのいずれか(
図4では薬指の第二関節(PIP関節)と第三関節(MP関節)との間)に挿着されることで、指示装置本体12が操作者Dの手に装着される。また、指示装置本体12は、指支持部11が指(例えば、薬指)に挿着された状態で、中指と、薬指と、小指とのいずれかの指を曲げる場合のその指の腹の可動範囲内に照射指示スイッチ121(例えば、「透視SW」)が配置されるように構成される。具体的には、指示装置本体12は、指支持部11が指に挿着された状態で、手の平の範囲内に収まるサイズ及び形状を備える。より好適には、手の平の範囲は、手の平の、中指、薬指、小指の付け根付近に設けられる範囲である。
【0036】
このように、指示装置本体12が、指支持部11が指に挿着された状態で、四指基底部上の範囲内に収まるサイズ及び形状を備えることで、操作者Dは、指支持部11を挿着した状態で、5本の指を自由に扱えることになる。よって、操作者Dは、親指と人差し指とでカテーテルCの操作等の操作をしながら、他の指でX線の照射指示(つまり、照射指示スイッチ121のボタンの押圧)が可能となる。
【0037】
カテーテルCを親指と人差し指とで操作する
図4(A)に示す状態から、照射指示スイッチ121のボタンが押圧(
図4(B)に図示)されるとX線の照射開始を示す信号(照射開始信号)が発生され、照射開始信号が送信回路122を介して画像生成装置20の処理回路24に送られる。処理回路24の制御によりX線照射装置22からのX線照射が開始され、継続してX線照射が行われる。照射指示スイッチ121のボタンが押圧解除(
図4(A)に図示)されるとX線の照射終了を示す信号(照射終了信号)が発生され、照射終了信号が送信回路122を介して画像生成装置20の処理回路24に送られる。そして、処理回路24の制御によりX線照射装置22からのX線照射が終了される。
【0038】
又は、カテーテルCを親指と人差し指とで操作する
図4(A)に示す状態から、照射指示スイッチ121のボタンが押圧(
図4(B)に図示)及び押圧解除(
図4(A)に図示)されると照射開始信号が発生され、照射開始信号が送信回路122を介して画像生成装置20の処理回路24に送られる。処理回路24の制御によりX線照射装置22からのX線照射が開始され継続してX線照射が行われる。
図4(A)に示す状態から、照射指示スイッチ121のボタンが再び押圧(
図4(B)に図示)及び押圧解除(
図4(A)に図示)されると照射終了信号が発生され、照射終了信号が送信回路122を介して画像生成装置20の処理回路24に送られる。そして、処理回路24の制御によりX線照射装置22からのX線照射が終了される。この場合、照射指示スイッチ121のボタンを押圧し続けなくてもX線照射を行うことができるので、長時間X線照射を継続する場合においては、操作者Dの指への負担が小さくなる利点がある。なお、照射指示スイッチ121のボタンの1回の押圧(シングルアクション)で照射開始信号が発生するように構成してもよいし、照射指示スイッチ121のボタンの2回の押圧(ダブルアクション)で照射開始信号が発生するように構成してもよい。後者の場合、検知信号の発生に所定の閾値を設けることにより、意図しない押圧による照射指示信号の発生を防止することができる。
【0039】
ここで、X線の照射指示は、画像生成装置20が実行可能な複数の撮影方法(モード)のうちいずれか1つのモードにおいて行うことができる。例えば、モードとしては、透視モードと、撮影モードと、透視収集モードと、ワンショット(One Shot)モード等が挙げられる。ここで、透視モードとは、画像データの保存を目的とせず、比較的弱いX線を照射して画像データを動画像として取得してディスプレイ28に表示する撮影方法を意味する。撮影モードとは、画像データの保存を目的とし、比較的強いX線を照射して画像データを動画像として取得して記憶回路25に保存する撮影方法を意味する。透視収集モードとは、画像データの保存を目的とし、比較的弱いX線を照射して画像データを動画像として取得して記憶回路25に保存する撮影方法を意味する。ワンショットモードとは、画像データの保存を目的とし、比較的強いX線を照射して画像データを静止画像として取得して記憶回路25に保存する撮影方法を意味する。
【0040】
画像生成装置20は種々の撮影方法を採用してX線の照射を行うことができるので、照射指示スイッチ121に、複数のモードのうちいずれか1つのモードを割り当てることで、各モードに応じたX線の照射指示を行うことができる。例えば、照射指示スイッチ121に透視モードが割り当てられている場合に、照射指示スイッチ121のボタンが押圧されると照射開始信号が発生されて透視用のX線が照射されるか、又は、照射指示スイッチ121のボタンが押圧及び押圧解除されると照射開始信号が発生されて透視用のX線が照射される。また、例えば、照射指示スイッチ121にワンショットモードが割り当てられている場合に、照射指示スイッチ121のボタンが押圧されると照射開始信号が発生されてワンショット用のX線が1回照射されるか、又は、照射指示スイッチ121のボタンが押圧及び押圧解除されると照射開始信号が発生されてワンショット用のX線が1回照射される。
【0041】
X線照射指示装置10によれば、指支持部11により指示装置本体12が手に装着されているので、操作者Dによる把持の必要のない指示装置本体12により手の指で簡易にX線の照射指示を可能にする。また、X線照射指示装置10によれば、X線の照射指示を与えるためのフットスイッチを備える構成と比較して、足元への目視がなくなり、操作者Dのストレスを軽減させることができる。
【0042】
(第1変形例)
上述では、X線照射指示装置10の照射指示スイッチ121が1つのスイッチ要素を備える場合を例にとって説明したが、その場合に限定されるものではない。照射指示スイッチ121は、並列した複数のスイッチ要素を備えていてもよい。照射指示スイッチ121は、複数の撮影方法にそれぞれ対応する複数のスイッチ要素を含み、複数のスイッチ要素はそれぞれ、複数の撮影方法に対応するX線の照射開始を示す信号(照射開始信号)と照射終了を示す信号(照射終了信号)とを発生する。
【0043】
図6(A),(B)は、手に装着されたX線照射指示装置10の第1変形例の操作方法を説明するための正面図である。
図6(A)は、照射指示スイッチ121のボタンが押圧されていない状態を示し、
図6(B)は、照射指示スイッチ121のボタンが押圧されている状態を示す。
【0044】
図6(A),(B)に示すように、照射指示スイッチ121は、3個のスイッチ要素を備える。そして、3個のスイッチ要素のうちの1つには透視モードが割り当てられ、1つには撮影モードが割り当てられ、1つには透視収集モードが割り当てられている。例えば、操作者Dが透視モードによるX線の照射指示を行う場合は、中指を曲げて、透視モードが割り当てられたスイッチ要素のボタンを押圧する。例えば、操作者Dが撮影モードによるX線の照射指示を行う場合は、薬指を曲げて、撮影モードが割り当てられたスイッチ要素のボタンを押圧する。例えば、操作者Dが透視収集モードによるX線の照射指示を行う場合は、小指を曲げて、透視収集モードが割り当てられたスイッチ要素のボタンを押圧する。なお、照射指示スイッチ121に備えられるスイッチ要素の数は、3個に限定されるものではなく、2個でも、4個以上であってもよい。
【0045】
なお、照射指示スイッチ121が複数のスイッチ要素を備える場合、照射指示スイッチ121は、モードに対応する照射開始信号と照射終了信号とを発生するスイッチ要素と、当該スイッチ要素の機能を切り替えるスイッチ要素とを含んでいてもよい。例えば、照射指示スイッチ121が、照射開始信号と照射終了信号とを発生する第1のスイッチ要素と、当該スイッチ要素の機能を切り替える第2のスイッチ要素とを含む場合、第2のスイッチ要素の押圧及び押圧解除により、第1のスイッチ要素の機能がシーケンスに従い、透視モード、撮影モード、透視収集モード、ワンショットモードの順にサイクリックに切り替わる。
【0046】
X線照射指示装置10の第1変形例によれば、指支持部11により指示装置本体12が手に装着されているので、操作者Dによる把持の必要のない指示装置本体12により手の指で簡易に、複数のモードに亘るX線の照射指示を可能にする。また、X線照射指示装置10の第1変形例によれば、上述した効果と同様に、X線の照射指示を与えるためのフットスイッチを備える構成と比較して、足元への目視がなくなり、操作者Dのストレスを軽減させることができる。
【0047】
(第2変形例)
上述では、X線照射指示装置10の照射指示スイッチ121(又は、照射指示スイッチ121の各スイッチ要素)が1段スイッチである場合を例にとって説明したが、その場合に限定されるものではない。照射指示スイッチ121は、押し込み深さを多段で検知し得る多段スイッチであってもよい。
【0048】
照射指示スイッチ121は、多段スイッチを採用することで、複数のモードに亘るX線の照射指示を行うことができる。例えば、照射指示スイッチ121は多段スイッチとして2段スイッチ(例えば、透視及び撮影の兼用)を採用することができる。この場合、カテーテルCを親指と人差し指とで操作する
図4(A)に示す状態から、照射指示スイッチ121のボタンが半押しにより押圧されると透視用の照射指示信号が発生され、透視用の照射指示信号が送信回路122を介して画像生成装置20の処理回路24に送られる。処理回路24の制御によりX線照射装置22からの透視用のX線照射が開始され、継続して透視用のX線照射が行われる。照射指示スイッチ121のボタンが押圧解除されると透視用の照射終了信号が発生され、透視用の照射終了信号が送信回路122を介して画像生成装置20の処理回路24に送られる。そして、処理回路24の制御によりX線照射装置22からの透視用のX線照射が終了される。
【0049】
一方で、カテーテルCを親指と人差し指とで操作する
図4(A)に示す状態から、照射指示スイッチ121のボタンが全押しにより押圧されると撮影用の照射開始信号が発生され、撮影用の照射指示信号が送信回路122を介して画像生成装置20の処理回路24に送られる。処理回路24の制御によりX線照射装置22からの撮影用のX線照射が開始され、継続して撮影用のX線照射が行われる。照射指示スイッチ121のボタンが押圧解除されると撮影用の照射終了信号が発生され、撮影用の照射終了信号が送信回路122を介して画像生成装置20の処理回路24に送られる。そして、処理回路24の制御によりX線照射装置22からの撮影用のX線照射が終了される。
【0050】
このように、照射指示スイッチ121が多段スイッチを採用することで、照射指示スイッチ121は、複数のモードに亘るX線の照射指示を行うことができる。そして、多段スイッチによれば、多段スイッチの各段(各押し込み深さ)へのモードの割り当てを、操作者Dが自由にカスタマイズ設定することも可能である。
【0051】
なお、X線照射指示装置10の第2変形例の技術的思想を、上述の第1変形例の技術的思想に適用することもできる。具体的には、X線照射指示装置10の照射指示スイッチ121が複数のスイッチ要素を備え、その全部又は一部に多段スイッチを採用することができる。
【0052】
X線照射指示装置10の第2変形例によれば、指支持部11により指示装置本体12が手に装着されているので、操作者Dによる把持の必要のない指示装置本体12により手の指で簡易に、複数のモードに亘るX線の照射指示を可能にする。また、X線照射指示装置10の第2変形例によれば、上述した効果と同様に、X線の照射指示を与えるためのフットスイッチを備える構成と比較して、足元への目視がなくなり、操作者Dのストレスを軽減させることができる。
【0053】
(第3変形例)
上述では、照射指示スイッチ121(又は、照射指示スイッチ121の各スイッチ要素、又は、多段スイッチの各段)に、他のスイッチの機能の切り替えを割り当てるものとしたが、その場合に限定されるものではない。例えば、X線照射指示装置10は、スイッチ操作によらずに、照射指示スイッチ121へのモードの割り当てを切り替える、つまり、照射指示スイッチ121の機能を切り替えることができるように構成されてもよい。
【0054】
図7は、X線照射指示装置10の第3変形例を備えたアンギオ装置1の構成を示す概略図である。
【0055】
指示装置本体12は、照射指示スイッチ121と、送信回路122と、電源装置123とに加え、振動センサ124を備える。なお、
図7において、
図1に示すアンギオ装置1と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0056】
振動センサ124は、3次元空間におけるX線照射指示装置10の振動(直行3軸方向の並進運動)を検出する。振動センサ124としては、3次元空間における3軸の加速度センサ(例えば、3軸加速度センサ)や、3次元空間における3軸の角速度を検知するジャイロセンサや、3次元空間における3軸の地磁気を検知する磁気センサ(例えば、3軸地磁気センサ)等が挙げられる。また、振動センサ124は、いわゆる9軸センサであってもよい。X線照射指示装置10を振る等してモードの切替動作が行われると、振動センサ124は、X線照射指示装置10の振動、例えば加速度の大きさが所定の閾値を超えた場合に、検知信号を発生して送信回路122を介して処理回路24に送る。処理回路24は、X線照射指示装置10から検知信号を受けると、モードの切替動作があったと判断する。検知信号の発生に所定の閾値を設けることにより、意図しないモードの切り替えを防止することができる。
【0057】
第1に、振動センサ124は、モードの切替動作に応じた検知信号を発生すると、検知信号を、送信回路122を介して画像生成装置20の処理回路24に送る。処理回路24は、検知信号を受けるとモードの切替動作があったと判断し、照射指示スイッチ121の機能をシーケンスに従い第1のモードから第2のモードに切り替える。処理回路24は、切替後の第2のモードにて送信回路122を介して照射指示信号を受けた場合、X線照射装置22を制御して第2のモード用のX線の照射を行わせる。一方で、処理回路24は、切替後の第2のモードにて送信回路122を介して更に検知信号を受けた場合、処理回路24は、照射指示スイッチ121の機能をシーケンスに従い第2のモードから第3のモード(又は、第1のモード)に切り替える。
【0058】
処理回路24は、検知信号を受信するたびに、照射指示スイッチ121の機能を、予め定められたシーケンスに従ってサイクリックに切り替える。例えば、シーケンスは、X線照射指示装置10から検知信号を受信するたびに照射指示スイッチ121の機能を透視モード、撮影モード、透視収集モード、ワンショットモードに順に切り替え、また、ワンショットモードでの検知信号の受信で照射指示スイッチ121の機能を透視モードに戻すシーケンスである。シーケンスは、プロトコル又はプログラム毎に設定される。シーケンスは、アンギオ装置1の製造・出荷時に設定されるものであってもよいし、設置後に操作者Dが自由に設定可能であってもよい。これにより、操作者Dは、複雑な操作方法を記憶することなく、X線照射指示装置10を用いて容易にモードを切り替えることができる。
【0059】
第2に、振動センサ124は、モードの切替動作に応じて連続して(所定の期間以内に)複数個の検知信号を発生すると、複数個の検知信号を、送信回路122を介して画像生成装置20の処理回路24に連続して送る。処理回路24は、連続する複数個の検知信号を受けると回数に応じたモードの切替動作があったと判断し、照射指示スイッチ121の機能をシーケンスに従い第1のモードから該当モードに切り替える。処理回路24は、切替後の該当モードにて送信回路122を介して照射指示信号を受けた場合、X線照射装置22を制御して該当モード用のX線の照射を行わせる。例えば、処理回路24は、連続する2個の検知信号を受けると、照射指示スイッチ121の機能をシーケンスに従い現在のモードから、次のモードではなく更に次のモードに切り替える。これによれば、操作者Dはモードの切替動作により所望のモードを速やかに呼び出すことができるため、操作者Dの作業効率をさらに向上させることができる。
【0060】
また、上述の第1及び第2の方法を、ユーザ設定により切り替えられるようにしてもよい。
【0061】
さらに、X線照射指示装置10又は画像生成装置20は、モードの切替動作があった場合に、切替後のモードの種別を操作者Dに報知することもできる。例えば、X線照射指示装置10は、出力装置(図示省略)をさらに備え、出力装置(例えば、ディスプレイ)を介して切替後のモードの種別を視覚情報として出力してもよし、出力装置(例えば、スピーカ)を介して切替後のモードの種別を音声情報として出力してもよい。
【0062】
X線照射指示装置10の第3変形例によれば、指支持部11により指示装置本体12が手に装着されているので、操作者Dによる把持の必要のない指示装置本体12により手の指で簡易に、複数のモードに亘るX線の照射指示を可能にする。また、X線照射指示装置10の第3変形例によれば、上述した効果と同様に、X線の照射指示を与えるためのフットスイッチを備える構成と比較して、足元への目視がなくなり、操作者Dのストレスを軽減させることができる。
【0063】
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態に係るX線照射指示装置10や、第1~第3変形例では、操作者Dの指に挿着可能な指支持部11に、手の平の範囲内に配置可能な指示装置本体12が接続される場合について説明した。しかし、X線照射指示装置10は、その場合に限定されるものではない。例えば、操作者Dの指に挿着可能な指支持部11の指先側の内部に、指示装置本体12が接続されていてもよい。以下、その場合について説明する。
【0064】
図8は、第2の実施形態に係るX線照射指示装置を備えたアンギオ装置の構成を示す概略図である。
【0065】
図8は、第2の実施形態に係るX線照射指示装置を備えたアンギオ装置1Aを示す。アンギオ装置1Aは、X線照射指示装置10Aと、画像生成装置20とを備える。なお、
図8において、
図1に示すアンギオ装置1の構成と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。また、X線照射指示装置10Aを備えたアンギオ装置1Aを用いた手技中の状態を示す図は、
図2と同等であるので説明を省略する。
【0066】
X線照射指示装置10Aは、指支持部11Aと、指示装置本体12Aとを備える。指支持部11Aは、カテーテルを用いたインターベンション治療の操作者Dの指に挿着されることで、指示装置本体12Aを手に装着することができる。それにより、指示装置本体12Aを操作者Dの手に維持することができる。指示装置本体12Aは、照射指示スイッチ121Aと、送信回路122と、電源装置123とを備える。
【0067】
照射指示スイッチ121Aは、指示装置本体12が操作者Dの手に装着されている状態で、照射指示スイッチ121Aが手の中指と、薬指と、小指との少なくともいずれかの指にて操作可能なように構成されている。照射指示スイッチ121Aは、ボタンの押圧により、X線照射装置22からのX線の照射指示するためのものである。なお、照射指示スイッチ121Aは、照射指示スイッチ121と同様に、タクトスイッチであってもよいし、スイッチの種類には制限はない。例えば、照射指示スイッチ121Aは、レバー式のスイッチであってもよい。また、照射指示スイッチ121Aは、圧力センサ等として設けられ、接触を感知する部分として設けられてもよい。
【0068】
図9(A),(B)は、X線照射指示装置10Aの外観構成を示す図である。
図9(A)は,X線照射指示装置10Aの正面図であり、
図9(B)は、X線照射指示装置10AのIX-IX断面図である。
【0069】
図9(A),(B)に示すように、X線照射指示装置10Aの指支持部11Aは、指先全体をすっぽり覆うように被せるキャップ形状、いわゆる指サック(Finger Cot)のような形状を有する。指示装置本体12Aは、指支持部11Aの先端側の内壁面に設けられる。また、指示装置本体12Aは、指支持部11Aの先端を含む内壁面に照射指示スイッチ121Aが配置されるように構成される。
【0070】
図10は、手に装着されたX線照射指示装置10Aの操作方法を説明するための側方斜視図である。
【0071】
図10に示すように、X線照射指示装置10Aの指支持部11Aが中指と、薬指と、小指とのいずれか(
図10では中指)に挿着されることで、指示装置本体12Aが操作者Dの手に装着される。
【0072】
上述のX線照射指示装置10や、第1~第3変形例では予め用意された照射指示スイッチ121のボタンを、指を曲げて押圧する必要がある。一方で、X線照射指示装置10Aでは、指支持部11Aが挿着された指先の延長上に照射指示スイッチ121Aが設けられ、指先をどこかに押し付ければ、指支持部11Aの先端がたわみ、照射指示スイッチ121Aの方から指先に接近してくる。そのため、X線照射指示装置10Aでは、照射指示スイッチ121Aの設置場所を指の可動範囲内に最適化する必要がないという効果がある。例えば、操作者Dが、X線照射指示装置10Aが装着されている指先を寝台30上の任意の場所に押し付けることにより、指先により照射指示スイッチ121Aが押圧されるので、照射指示信号を発生させてX線を照射することができる。
【0073】
X線照射指示装置10Aによれば、上述のX線照射指示装置10の効果に加え、照射指示スイッチ121Aの設置場所を最適化する必要がないという効果を奏する。
【0074】
(変形例)
上述では、X線照射指示装置10Aの送信回路122が指支持部11Aの内壁面に設けれる場合を例にとって説明したが、その場合に限定されるものではない。X線照射指示装置10Aの送信回路122は、指支持部11Aの外側に設けられていてもよい。
【0075】
図11は、X線照射指示装置10Aの変形例の外観構成を示す図である。
【0076】
図10に示すように、X線照射指示装置10Aの送信回路122は、指支持部11Aの外側に設けられる。例えば、送信回路122は、指支持部11Aの外側の、リストバンドBに設けられる。そして、指支持部11Aの先端に設けれる照射指示スイッチ121Aからの信号は、有線ケーブルEを介して送信回路122に送られ、送信回路122から受信回路26に無線送信される。
【0077】
X線照射指示装置10Aの変形例によれば、上述のX線照射指示装置10Aの効果と同様に、照射指示スイッチ121Aの設置場所を最適化する必要がないという効果を奏する。また、X線照射指示装置10Aの変形例によれば、指支持部11Aの内壁面に設けられる部材の数を低減することができる。
【0078】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、操作者による把持の必要のない装置により手の指で簡易にX線の照射指示を可能にする。
【0079】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせ、実施形態と1又は複数の変形例との組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0080】
1,1A X線診断装置(例えば、アンギオ装置)
10,10A X線照射指示装置
11,11A 指支持部
12,12A 指示装置本体
121,121A 照射指示スイッチ
124 振動センサ
20 画像生成装置