(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-10-01
(45)【発行日】2025-10-09
(54)【発明の名称】発光装置及び発光装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H10H 20/857 20250101AFI20251002BHJP
H10H 20/00 20250101ALN20251002BHJP
【FI】
H10H20/857
H10H20/00 K
(21)【出願番号】P 2021155361
(22)【出願日】2021-09-24
【審査請求日】2024-08-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】下田 陽一
(72)【発明者】
【氏名】神原 大蔵
(72)【発明者】
【氏名】重枝 裕司
(72)【発明者】
【氏名】市川 幸治
(72)【発明者】
【氏名】石河 裕之
【審査官】右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-153766(JP,A)
【文献】特開2017-107989(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0228873(US,A1)
【文献】特表2015-502669(JP,A)
【文献】特開2008-147611(JP,A)
【文献】特開2017-011101(JP,A)
【文献】特開2012-146816(JP,A)
【文献】特開2014-060343(JP,A)
【文献】国際公開第2012/029910(WO,A1)
【文献】特開2002-064225(JP,A)
【文献】特開2009-302241(JP,A)
【文献】特開2016-051856(JP,A)
【文献】国際公開第2017/174647(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0098461(KR,A)
【文献】特開2017-010989(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10H 20/00 - 20/858
H01S 5/00 - 5/50
H01L 21/48
H01L 23/48 - 23/498
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の複数のリード電極と、
前記複数のリード電極の側部及び前記複数のリード電極間の離間部を覆い、前記複数のリード電極を露出する開口部を有する枠体と、
前記開口部から露出する前記複数のリード電極上に実装された発光素子と、を有し、
前記枠体は上面から見て矩形形状を有し、
前記複数のリード電極の配列方向に平行な前記枠体の外側面、
または、前記複数のリード電極の配列方向に垂直な前記枠体の外側面は、前記枠体の上面から底面に至る凹部を有し、
前記枠体の底面から上面までの高さは、前記複数のリード電極の厚みより大きく、
前記凹部内に前記リード電極の一部が突出した突出部を
前記枠体の底面側に有し、
前記突出部は、前記枠体の前記外側面よりも内側に配置されていて、
前記突出部の側面は、前記枠体の前記凹部を構成する内壁面と接し、
前記複数のリード電極の裏面と前記突出部の裏面が同一面である、発光装置。
【請求項2】
前記複数のリード電極は、前記複数のリード電極の裏面の外周に沿って形成された段差部を有する、請求項
1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記発光素子の周囲を被覆するように前記開口部に充填された被覆部材を有する、請求項1
又は2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記発光素子は、発光ダイオードと前記発光ダイオード上に載置された光学部材とを有する、請求項1ないし
3のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記リード電極の前記発光素子の載置部の周囲に、前記発光素子の外側面に沿った溝が設けられている、請求項1ないし
4のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項6】
(a1)リードフレームの複数の単位区画に応じて、各単位区画に含まれる複数のリード電極の裏面の外周に沿って段差部を形成するとともに、隣接する単位区画の前記複数のリード電極を互いに接続するリード接続部を形成し、
(a2)枠体樹脂のインサート成形を行って、前記複数のリード電極の側部及び前記複数のリード電極間の離間部を覆うとともに、前記複数のリード電極を露出する素子実装のための第1の開口部及び前記リード接続部を露出する第2の開口部を有する成形樹脂体を形成し、
(a3)前記第2の開口部から前記リード接続部の一部を打ち抜いてリードを切断し、
(a4)前記第1の開口部から露出する前記複数のリード電極上に発光素子を実装し、
(a5)前記複数の単位区画に応じてダイシングを行って個別の発光装置に分離する、工程を有
し、
前記個別の発光装置の枠体は上面から見て矩形形状を有し、
前記複数のリード電極の配列方向に平行な前記枠体の外側面、または、前記複数のリード電極の配列方向に垂直な前記枠体の外側面は、前記枠体の上面から底面に至る、前記単位区画に応じたダイシングによって前記第2の開口部が切断されることによって生じた凹部を有し、
前記枠体の底面から上面までの高さは、前記複数のリード電極の厚みより大きく、
前記凹部内に前記リード電極の一部が突出した突出部を前記枠体の底面側に有し、
前記突出部は、前記枠体の前記外側面よりも内側に配置されていて、
前記突出部の側面は、前記枠体の前記凹部を構成する内壁面と接している、
発光装置の製造方法。
【請求項7】
前記工程(a4)及び(a5)の間に、前記発光素子の電気試験を行う工程を有する、請求項
6に記載の発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置、特にリードフレームに発光ダイオード(LED)などの半導体発光素子が実装された発光装置及び当該発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インサート成形によって樹脂体をリードフレームに設け、ダイサーで切断して形成される発光装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、切り欠き部を設けたリードフレームに樹脂成形体を形成し、切り欠き部に沿って樹脂成形体とリードフレームとを切断して発光装置を形成する方法が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、発光素子と第1及び第2のリードとを一体成形してなる第1の樹脂成形体と、発光素子を被覆する蛍光体を含有する第2の樹脂成形体と有する表面実装型発光装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-62272号公報
【文献】特開2006-156704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、一体成形された樹脂及びリードフレームの切断によって、樹脂とリードフレームとの剥離、ダイシェア強度の低下、断線不良等の問題があった。
【0007】
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、樹脂とリードフレームとの剥離が防止され、はんだ接合のダイシェア強度が高く、また断線不良等が生じ難い発光装置及び当該発光装置の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1実施形態による発光装置は、
板状の複数のリード電極と、
前記複数のリード電極の側部及び前記複数のリード電極間の離間部を覆い、前記複数のリード電極を露出する開口部を有する枠体と、
前記開口部から露出する前記複数のリード電極上に実装された発光素子と、を有し、
前記枠体の外側面は、前記枠体の上面から底面に至る凹部を有し、
前記凹部内に前記リード電極の一部が突出した突出部を有し、
前記複数のリード電極の裏面と前記突出部の裏面が同一面である。
【0009】
本発明の他の実施形態による発光装置の製造方法は、
(a1)リードフレームの複数の単位区画に応じて、各単位区画に含まれる複数のリード電極の裏面の外周に沿って段差部を形成するとともに、隣接する単位区画の前記複数のリード電極を互いに接続するリード接続部を形成し、
(a2)枠体樹脂のインサート成形を行って、前記複数のリード電極の側部及び前記複数のリード電極間の離間部を覆うとともに、前記複数のリード電極を露出する素子実装のための第1の開口部及び前記リード接続部を露出する第2の開口部を有する成形樹脂体を形成し、
(a3)前記第2の開口部から前記リード接続部の一部を打ち抜いてリードを切断し、
(a4)前記第1の開口部から露出する前記複数のリード電極上に発光素子を実装し、
(a5)前記複数の単位区画に応じてダイシングを行って個別の発光装置に分離する、
工程を有している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】本発明の第1の実施形態による発光装置10を模式的に示す斜視図である。
【
図2A】発光装置10の内部を模式的に示す上面図である。
【
図2B】リード12A及びリード12Bを上面側から見た場合の上面図である。
【
図2E】発光装置10の右側面を示す側面図である。
【
図3】リード12Aの詳細な構成を示す上面図である。
【
図4】回路基板41への発光装置10の実装例を示す斜視図である。
【
図5A】樹脂枠体22の凹部23、リード12Aの突出部12APを拡大して示す部分拡大斜視図である。
【
図5B】回路基板41上に発光装置10を実装した場合の凹部23を模式的に示す斜視図である。
【
図5C】他の例の凹部23及びリード12Aの突出部12APの形状を模式的に示す図である。
【
図6】発光装置10の第1の製造方法を示すフローチャートである。
【
図7A】第1の製造方法の工程S11を示す上面図である。
【
図7B】第1の製造方法の工程S12を示す上面図である。
【
図7C】第1の製造方法の工程S13を示す上面図である。
【
図7D】第1の製造方法の工程S14を示す上面図である。
【
図7E】第1の製造方法の工程S15を示す上面図である。
【
図7F】第1の製造方法の工程S17を示す上面図である。
【
図8A】成形樹脂体22Fの開口部26を示す上面図である。
【
図8B】
図8AのP-P線に沿った断面及びリード切断方法を模式的に示す断面である。
【
図9A】凹部23内に突出するリード12Aの突出部12AP(又はリード12Bの突出部12BP)を示す上面図である。
【
図9B】凹部23内に突出する突出部12AP又は12BPの他の例を示す上面図である。
【
図10】発光装置10の第2の製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下においては、本発明の好適な実施形態について説明するが、適宜改変し、組合せてもよい。また、以下の説明及び添付図面において、実質的に同一又は等価な部分には同一の参照符を付して説明する。
[第1の実施形態]
図1Aは、本発明の第1の実施形態による発光装置10を模式的に示す斜視図である。発光装置10は、複数のリード電極(以下、単にリードという。)、樹脂枠体22及び発光素子30を有している。
図1B,
図1Cは、発光装置10のそれぞれ上面を示す図及び裏面を示す図である。
【0012】
発光装置10は、板状のリード12A(第1電極)及びリード12B(第2電極)を有している。リード12A及びリード12Bは、Cu(銅)からなり、表面にはNi/Au(ニッケル/金)がめっきされている。リード12A及び12Bからなるリード対12(以下、発光装置10のリードフレーム12ともいう。)は略同一面上に、離間部(スリット)12Gによって互いに離間して形成されている。
【0013】
樹脂枠体22がリード12A及び12B上に形成され、樹脂パッケージとして形成されている。樹脂枠体22は、シリコーン樹脂及び/又はエポキシ樹脂で形成され、酸化チタン粒子等の光反射性粒子が含まれている(いわゆる白樹脂)。また、カーボンブラック等の光吸収材が含まれていてもよい。
【0014】
樹脂枠体22は矩形形状を有し、樹脂枠体22の4つの外側面22A、22Bには、樹脂枠体22の上面から底面に至る凹部23が設けられている。凹部23内の樹脂枠体22の底面側において、リード12A又はリード12Bの一部が突き出て露出している。
【0015】
図1に示す発光装置10においては、リード12A及びリード12Bの配列方向に平行な外側面22A(以下、縦方向の外側面22Aともいう。)にはリード12A及びリード12Bの数に対応し、それぞれ2つ及び1つの凹部23(計3つ)が設けられている。凹部23内にはリード12A及びリード12Bの一部が突出してい
る。
また、当該配列方向に垂直な外側面22B(以下、横方向の外側面22Bともいう。)にはリード12A又はリード12Bの一部が突出している2つの凹部23が設けられている。
【0016】
樹脂枠体22は、枠体の内側領域である開口部25(第1の開口部)を有し、リード12A及びリード12Bの表面の一部が開口部25から露出している。開口部25内には発光素子30が実装されている。
【0017】
発光素子30は、本実施形態においてLED(Light Emitting Diode)であるが、レーザダイオードなどの他の発光素子であってもよい。
【0018】
より詳細には、例えば、リード12Aはアノード電極、リード12Bはカソード電極であり、リード12A上に発光素子30のp電極が接続されて載置され、発光素子30のn電極がリード12Bにボンディングワイヤで接続されている。
【0019】
また、発光素子30は、LEDチップ上に蛍光体が設けられている。あるいは、発光素子30は透光体、光学部材などを有していてもよい。蛍光体としては、特に限定されないが、例えばYAG(イットリウムムアルミニウムガーネット)、LuAG(ルテチウムアルミニウムガーネット)、GYAG(ガドリニウムアルミニウムガーネット)、α、βサイアロン、SCASN、CASN、KFS等の各種蛍光体を適宜用いることができる。
【0020】
さらに、開口部25から露出するリード12A及びリード12B上にはツェナーダイオードである保護素子35が設けられている。保護素子35としてバリスタ等を用いることができる。また、キャパシタ、抵抗、受光素子等の受動素子が設けられていてもよい。
【0021】
樹脂枠体22の開口部25は、封止樹脂又は被覆樹脂である被覆部材
36によって発光素子30の周囲の空間が充填されている。なお、
図1Aにおいては、内部構造の説明のため、被覆部材
36は図示されていない。そして、発光素子30の表面は被覆部材
36から露出している。また、被覆部材
36としては、シリコーン樹脂に酸化チタン粒子等が含有された光反射性の樹脂を例示することができるが、これに限定されない。
【0022】
図2Aは、発光装置10の内部を模式的に示す上面図である。なお、被覆部材
36は図示されていない。
図2Bは、リード12A及びリード12Bを上面側から見た場合の上面図である。
図2C及び2Dは、それぞれ
図2Aに示すA-A線、B-B線に沿った断面図である。
図2Eは、発光装置10の右側面を示す側面図である。
【0023】
図2Aの上面図に示すように、樹脂枠体22は上面視において矩形形状を有し、枠体の内側領域である矩形柱形状の開口部25を有する。開口部25内は、被覆部材
36(図示省略)によって充填されている。なお、開口部25は矩形柱形状に限らず、円柱形状等の形状を有していてもよい。
【0024】
リード12A上には発光素子30が接合され、リード12B上には保護素子35が接合されて実装されている。発光素子30の一方の電極、及び保護素子35の一方の電極がボンディングワイヤによって、それぞれリード12B及びリード12Aに接続されている。
【0025】
図2Bに示すように、リード12A及び12Bはスリット12Gによって隔てられている。また、リード12A及び12Bは、樹脂枠体22の凹部23に対応した位置に突出部を有している。以下、特にこれら突出部をリード12A及び12Bの突出部12AP及び12BPと称して説明する。
【0026】
また、リード12A及び12Bは、リード12A及び12Bの外周に沿って形成された矩形環状の段差部12Dが裏面に設けられている。段差部12Dは幅LSを有し、ハーフエッチングによって、リード12A及び12Bの厚さに対して、例えば50%程度の深さで削られて形成されている。
【0027】
なお、
図2B、
図2C及び
図2Dに示すように、リード12A及び12Bの突出部12AP及び12BPの形成領域RGでは段差部12Dは溝として形成され、それ以外の部分、すなわちリード12A及び12Bの本体部の縁部では段差として形成されている。
【0028】
また、段差部12Dはリード12A及び12Bの外周の全体に亘って形成されている場合を例に説明するが、これに限らない。リード12A及び12Bの外周の一部に段差部12Dが形成されていてもよく、例えば、リード12A及び12Bの角部を除く外周に沿って形成されていてもよい。また、突出部12AP及び12BPの形成領域RGを除く外周に沿って形成されていてもよい。
【0029】
図2C~
図2Eに示すように、樹脂枠体22は、リード12A及び12Bの周囲の側部を覆うようにインサート成形されている。また、樹脂枠体22は、リード12A及び12B間のスリット12G内に充填されている。また、樹脂枠体22は、リード12A及び12Bの段差部12D内にも充填されている。なお、段差部12Dが完全に埋め込まれる程度に樹脂枠体22が充填されていることが好ましいが、一定程度の深さ以上で段差部12Dが埋め込まれていてもよい。
【0030】
したがって、
図2Cに示すように、リード12A及び12Bの縁部は樹脂枠体22の樹脂によって覆われるので、樹脂枠体22の剥離が防止される。
【0031】
図2Cに示すように、発光素子30は、半導体素子であるLEDチップ(ダイ)31と、LEDチップ31上に載置された蛍光体32とを有している。また、
図1Bに示すように、樹脂枠体22の開口部25に被覆樹脂が充填され、発光素子30の周囲を被覆するように被覆部材
36が形成されている。
【0032】
図3は、リード12Aの詳細な構成を示す上面図である。リード12Aには、発光素子30の搭載領域の周囲に発光素子30の外側面に応じて延在するアライメント溝12Lが設けられている。アライメント溝12Lは、例えばリード12Aの表面をエッチングすることによって形成されている。
【0033】
リード12A上にアライメント溝12Lが形成されているので、LEDチップ31をAuSnなどの接合材で融着接合する際にLEDチップ31がアライメントされる(セルフアライメント)。
【0034】
図4は、回路基板41への発光装置10の実装例を示す斜視図である。回路基板41上に2つの発光装置10が実装されて発光システム40が形成される。
【0035】
回路基板41は、Cu(銅)などを金属コアとする基板層42と、基板層42上に配された絶縁膜43と、絶縁膜43上に形成された配線回路44とを有している。絶縁膜43は、例えばアルミナなどのセラミックス又はポリイミドや耐熱エポキシ等の樹脂からなる。配線回路44は、例えばCu上にNi(ニッケル)/Auが形成された配線層で形成されている。
【0036】
あるいは、回路基板41には、セラミックス等の絶縁基板の表面に金属配線が形成された基板を好適に用いることができる。当該絶縁基板としては、Al2O3、AlN、SiNなど熱伝導性に優れた材料からなる基板を用いることが好適である。
【0037】
発光装置10は、はんだ等の接合材を用いて配線回路44上に接合される。より詳細には、発光装置10のリード12A(アノード電極)及びリード12B(カソード電極)は、それぞれ配線回路44のアノード配線44A及びカソード配線44Bに接続される。
【0038】
図5Aは、樹脂枠体22の凹部23、リード12Aの突出部12APを拡大して示す部分拡大斜視図である。なお、以下においては、リード12Aについて説明するが、リード12Bの突出部12BPについても同様である。また、樹脂枠体22の縦方向の外側面22A及び横方向の外側面22Bにおける凹部23についても同様である。
【0039】
図5Aに示すように、リード12Aの突出部12APは、樹脂枠体22の凹部23内において露出している。すなわち、凹部23は内壁面23V,23Wを有し、リード12Aの突出部12APが内壁面23Wから突き出て外部に露出している。また、突出部12APは、樹脂枠体22の外側面22Aよりも内側に後退した位置に配置されている。かかる構造によって、発光装置10を回路基板41上に実装する前に上方からプローブ探針を当てて点灯確認を簡便に実施できる。
【0040】
また、回路基板41上に発光装置10をはんだで実装した場合、
図5Bに示すように、凹部23内において突出しているリード12Aの突出部12APの上面にはんだ45が這い上がるので、ダイシェア強度、はんだ接合強度ともに向上する。
【0041】
図5Cは、他の例の凹部23及びリード12Aの突出部12APの形状を模式的に示す図である。
図5Aに示す場合では、凹部23の内壁面23V,23Wは、リード12Aに対して略垂直面であるが、
図5Cに示すように、内壁面23V,23Wは、当該垂直面から傾斜し、リード12Aから離れるに従って開口が大きくなるようなテーパ面であってもよい。あるいは、リード12Aの突出部12APの側面に接する内壁面23Uが、樹脂枠体22の裏面の方向に開口が大きくなるようなテーパ面であってもよい。
[製造方法]
以下に発光装置10の第1及び第2の製造方法についてフローチャート及び図面を参照して詳細に説明する。
【0042】
[A]第1の製造方法
図6は、発光装置10の第1の製造方法を示すフローチャートである。また、
図7A~7Fは、各工程を示す上面図である。
図6、
図7A~7Fを参照しつつ、以下に発光装置10の製造方法について説明する。
【0043】
<ステップS11>:リードフレームのハーフエッチ、プレッシング及びメッキ
リードフレーム11は、マトリクス状に配列された複数の単位区画11Uを有している。より詳細には、リードフレーム11は、横方向(x方向)及び縦方向(y方向)に等間隔で配置された縦ダイシング線51及び横ダイシング線52により複数の単位区画11Uに区画されている。各単位区画11Uは、1つの発光装置10のリードフレーム12に対応している。
【0044】
まず、
図7Aに示すように、リードフレーム11の裏面にハーフエッチングによって所定の幅及び深さで削って段差部12Dを形成する。次に、型抜き(プレッシング)を行い、リード接続部11C、スリット12Gを形成する。これにより、リード12A及び12Bからなるリード対12と、隣接する単位区画11Uのリード対12を互いに接続するリード接続部11Cとが形成される。
【0045】
続いて、リードフレーム11の表面及び裏面にめっき、例えばNi/Auめっきを施す。
【0046】
<ステップS12>:枠体樹脂のインサート成形
図7Bに示すように、枠体樹脂のインサート成形を行い、成形樹脂体22Fを形成する。より詳細には、リードフレーム11を上金型及び下金型で挟み込み、熱硬化性樹脂を注入して成形樹脂体22Fを形成する。
【0047】
なお、
図7B~7Fにおいては、図の明確さ及び理解の容易さのため、縦ダイシング線51及び横ダイシング線52、及び、後述する打ち抜き孔(打ち抜き部26H)に対応する部分については実線で示している。
【0048】
成形樹脂体22Fは、単位区画11Uの各々に対応して、樹脂枠体22の内側領域である開口部25が設けられている。また、リード接続部11Cを露出する開口部26(第2の開口部)が設けられている。
【0049】
リード接続部11Cが露出する開口部26は、後述するダイシングによって切断され、前述の凹部23が形成される。開口部26は、凸部が設けられた上金型によってリードフレーム11のステー部(リード部)を押さえることによって形成される。したがって、樹脂インサート時のフレームのバタつきを抑制できるので、切断端部の裏面側に樹脂が回り込む不良を防止することができる。
【0050】
<ステップS13>:リード切断
続いて、開口部26からリード接続部11Cを打ち抜いてリードが切断される。
図8Aは、成形樹脂体22Fの開口部26を示す上面図であり、
図8Bは、
図8AのP-P線に沿った断面及びリード切断方法を模式的に示す断面である。
【0051】
図8Aには、リードフレーム11の単位区画11Uの周囲に設けられた開口部26及びリード接続部11Cの一部が打ち抜かれた部分である打ち抜き部(打ち抜き孔)26Hを示している。
【0052】
図8Bに示すように、成形樹脂体22Fが形成されたリードフレーム11は下刃BL上に載置される。上方から上刃BUによってリード接続部11Cの中央部の一部が打ち抜かれることによって打ち抜き部26Hが形成され、リード接続部11Cが切断される。
【0053】
なお、リードフレーム11の上面側の打ち抜き部26Hに対応する部分をハーフエッチングして打ち抜き易くすることもできる。
【0054】
図9Aは、リード接続部11Cの中央部の一部が打ち抜かれて形成されたリード12Aの突出部12AP又はリード12Bの突出部12BPを示す上面図である。打ち抜きによって残ったリード接続部11Cの一部が樹脂枠体22の凹部23内の空間に突出している。
【0055】
なお、
図9Bに示すように、リード接続部11Cの全体が打ち抜かれ、リード12A(又はリード12B)の側面と同一側面であるリード12Aの一部が凹部23内に突出するように形成されていてもよい。
【0056】
図7Cに示すように、隣接する単位区画11U間のリードを接続しているリード接続部11Cの全てが切断されることによって、各発光装置10のリードフレーム12が分離される。
【0057】
<ステップS14>:ダイボンディング、ワイヤボンディング、蛍光体の接着
続いて、
図7Dに示すように、LEDチップ31がリード12A上にAuSn接合材を用いて接合される。また、保護素子35がリード12Bに接合される。LEDチップ31及び保護素子35の上面に形成された電極は、それぞれリード12B及びリード12Aにワイヤボンディングによって接続される。
【0058】
次に、LEDチップ31上に接着剤を用いて蛍光体32が接着され、発光素子30が形成される。
【0059】
<ステップS15>:被覆部材充填及び硬化
続いて、
図7Eに示すように、発光素子30の表面が露出するように、樹脂枠体22の開口部25を、酸化チタン粒子を含有する光反射性の樹脂によって被覆し、硬化して被覆部材
36を形成する。
【0060】
<ステップS16>:通電チェック
この段階で、各発光装置10の通電チェック等、電気的特性の試験を行う。すなわち、リード切断(ステップS13)によって、リード接続部11Cが切断されるので、隣接する発光装置10のリードフレーム(リード対12)は電気的に切断されている。したがって、ダイシング等によって各発光装置10に分離(個片化)する前に発光装置10の通電チェックを行うことが可能である。
【0061】
<ステップS17>:個片化
最後に、
図7Fに示すように、縦ダイシング線51及び横ダイシング線52に沿ってダイシングして、すなわち成形樹脂体22Fを切断して個別の発光装置10に分離する。以上の工程により、発光装置10の製造が完了する。
【0062】
[B]第2の製造方法
以下に発光装置10の第2の製造方法について、
図10のフローチャートを参照して説明する。第2の製造方法は以下の工程からなる。第2の製造方法は上記した第1の製造方法とは工程の順序が異なっている。なお、以下において、「ステップS21(=ステップS11)」等は、ステップS21が上記したステップS11と同内容の工程であることを意味し、具体的な説明は省略する。
【0063】
第2の製造方法は以下の工程からなる。
<ステップS21(=ステップS11)>:リードフレームのハーフエッチ、プレッシング及びメッキ
<ステップS22(=ステップS12)>:枠体樹脂のインサート成形
<ステップS23(=ステップS14)>:ダイボンディング、ワイヤボンディング、蛍光体の接着
<ステップS24(=ステップS15)>:被覆部材充填及び硬化
<ステップS25(=ステップS13)>:リード切断
<ステップS26(=ステップS16)>:通電チェック
<ステップS27(=ステップS17)>:個片化
以上の工程により、発光装置10の製造が完了する。
【0064】
[C]第1及び第2の製造方法の利点
(C-1)第1及び第2の製造方法に共通の利点
第1及び第2の製造方法によれば、ダイシング等によって個別の発光装置10に分離(個片化)する前に、各発光装置10間のリード接続部11Cが切断され、各発光装置10のリードが分離される。
【0065】
したがって、ダイシング等によって各発光装置10を分離する前に発光装置10の各々の通電チェックを独立に行うことが可能である。
【0066】
また、ダイシングによる個片化工程(ステップS17、S27)においては、成形樹脂体22Fを切断し、リードを切断しないので、リードフレームの撓み等が発生し難く、断線不良が防止される。
【0067】
また、個片化工程(ステップS17、S27)の以前にリード切断(ステップS13、S25)を行う。すなわち、金属製のリードフレームの切断と、樹脂製の枠体の切断とを別々に行うので、樹脂枠体22とリード12A及び12Bとの剥離を防止することができる。また、切断ツールを金属及び樹脂に対して最適化できるので切断面を綺麗に仕上げることができる。
(C-2)第1の製造方法の利点
枠体樹脂のインサート成形後にリード切断を行うので、成形体シートの撓みを防止することができる。また、LEDチップ31を接合するダイボンディングにおいて、成形体シートの変形を防止することができる。
【0068】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、枠体とリードフレームとの剥離が防止され、はんだ接合のダイシェア強度が高く、また断線不良等が生じ難い発光装置及び発光装置の製造方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0069】
10:発光装置
11:リードフレーム
11C:リード接続部
11U:単位区画
12A,12B:リード
12AP,12BP:突出部
12D:段差部
12G:離間部(スリット)
12L:アライメント溝
22:樹脂枠体
22A、22B:外側面
23:凹部
25:開口部
26:開口部
26H:打ち抜き部
30:発光素子
31:LEDチップ31
51,52:ダイシング線