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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-10-01
(45)【発行日】2025-10-09
(54)【発明の名称】溶接システム及び溶接モニタ装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/00 20140101AFI20251002BHJP
   B23K 11/24 20060101ALI20251002BHJP
   G06N 20/00 20190101ALI20251002BHJP
【FI】
B23K26/00 P
B23K11/24 394
G06N20/00 130
G06N20/00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021171196
(22)【出願日】2021-10-19
(65)【公開番号】P2023061287
(43)【公開日】2023-05-01
【審査請求日】2024-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダ
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松下 直樹
(72)【発明者】
【氏名】宍戸 勇斗
【審査官】田中 成彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0032281(US,A1)
【文献】特許第6818970(JP,B1)
【文献】特開2017-164801(JP,A)
【文献】国際公開第2021/186567(WO,A1)
【文献】特開2019-188437(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第113441827(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00
B23K 11/24
G06N 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物の溶接を行う溶接装置と、
前記溶接装置による溶接の進行状況をセンサによってモニタリングして得られたモニタリング情報を出力する溶接モニタ装置と、
前記溶接装置によって予め実施された溶接の加工条件を含む加工条件情報と、前記加工条件に基づく溶接後に得られた溶接結果に関連する溶接結果情報とを教師データとして入力し、これら教師データに基づき、溶接結果推定モデルを作成し出力する学習装置と、
前記学習装置で作成された前記溶接結果推定モデルに前記溶接装置に設定された加工条件を含む加工条件情報を推定用データとして入力し、前記加工条件に基づいて前記溶接装置で行われる溶接の溶接結果を推定し出力する推定装置と、を備え
前記学習装置は、
前記モニタリング情報の教師データから特徴量情報を補助変数の教師データとして算出する第1補助変数算出部と、
前記加工条件情報の教師データと、前記第1補助変数算出部により算出された補助変数の教師データとに基づいて、前記補助変数の教師データから前記加工条件情報の教師データとの間の相関性を次元削減又は次元圧縮して抽象的に表現可能な潜在変数の教師データを算出し、潜在変数算出情報を出力する第1潜在変数算出部と、
前記加工条件情報の教師データと、前記溶接結果情報の教師データと、前記潜在変数の教師データとに基づいて、前記溶接結果推定モデルを作成し出力する溶接結果学習部と、を含み、
前記推定装置は、
前記モニタリング情報の推定用データから前記特徴量情報を補助変数の推定用データとして算出する第2補助変数算出部と、
前記加工条件情報の推定用データと、前記第2補助変数算出部により算出された前記補助変数の推定用データと、前記潜在変数算出情報とに基づいて、前記補助変数の推定用データから前記加工条件情報の推定用データとの間の相関性を次元削減又は次元圧縮して抽象的に表現可能な潜在変数の推定用データを算出する第2潜在変数算出部と、
前記加工条件情報の推定用データと、前記潜在変数の推定用データとを、前記溶接結果推定モデルに入力して、前記溶接結果を推定し出力する溶接結果推定部と、を含む
溶接システム。
【請求項2】
被加工物の溶接を行う溶接装置と、
前記溶接装置による溶接の進行状況をセンサによってモニタリングして得られたモニタリング情報を出力する溶接モニタ装置と、
前記溶接装置によって予め実施された溶接の加工条件を含む加工条件情報と、前記加工条件に基づく溶接後に得られた溶接結果に関連する溶接結果情報とを教師データとして入力し、これら教師データに基づき、溶接結果推定モデルを作成し出力する学習装置と、
前記学習装置で作成された前記溶接結果推定モデルに前記溶接装置に設定された加工条件を含む加工条件情報を推定用データとして入力し、前記加工条件に基づいて前記溶接装置で行われる溶接の溶接結果を推定し出力する推定装置と、を備え、
前記学習装置は、
前記モニタリング情報の教師データから特徴量情報を補助変数の教師データとして算出する第1補助変数算出部と、
前記加工条件情報の教師データと、前記第1補助変数算出部により算出された補助変数の教師データとを次元削減又は次元圧縮した1次元又は2次元の情報を潜在変数の教師データとして算出し、潜在変数算出情報を出力する第1潜在変数算出部と、
前記加工条件情報の教師データと、前記溶接結果情報の教師データと、前記潜在変数の教師データとに基づいて、前記溶接結果推定モデルを作成し出力する溶接結果学習部と、を含み、
前記推定装置は、
前記モニタリング情報の推定用データから前記特徴量情報を補助変数の推定用データとして算出する第2補助変数算出部と、
前記潜在変数算出情報に基づいて、前記加工条件情報の推定用データと、前記第2補助変数算出部により算出された前記補助変数の推定用データとを次元削減又は次元圧縮した1次元又は2次元の情報を潜在変数の推定用データとして算出する第2潜在変数算出部と、
前記加工条件情報の推定用データと、前記潜在変数の推定用データとを、前記溶接結果推定モデルに入力して、前記溶接結果を推定し出力する溶接結果推定部と、を含む
溶接システム。
【請求項3】
前記第1補助変数算出部は、時系列データかなる前記モニタリング情報の教師データから、予め定められた複数の特徴を検出し、検出された各特徴の値を、前記特徴量情報として算出し、
前記第2補助変数算出部は、時系列データかなる前記モニタリング情報の推定用データから、予め定められた複数の特徴を検出し、検出された各特徴の値を、前記特徴量情報として算出する
請求項又は記載の溶接システム。
【請求項4】
前記溶接装置はレーザ溶接機であり、
前記加工条件情報は、被加工物の材質、前記被加工物の板厚、レーザパワー、レーザ照射時間、レーザ照射開始からピークパワーに到達するまでの時間、前記ピークパワーからレーザ照射終了までの時間、ファイバ径、レンズ焦点距離、焦点位置、及び照射点のレーザ径の少なくとも一つの加工条件を含む
請求項1~のいずれか1項記載の溶接システム。
【請求項5】
記モニタリング情報は、レーザパワーの時系列変動データ及び照射点の放射近赤外光強度の時系列変動データを含む
請求項記載の溶接システム。
【請求項6】
前記溶接装置は抵抗溶接機であり、
前記加工条件情報は、溶接電流、溶接加圧力、通電時間、溶接方式、被加工物の材質、前記被加工物の板厚、前記被加工物の表面処理、前記被加工物の組み合わせ条件、サンプリング周期、変位量検出分解能、及びナゲット径の少なくとも一つの加工条件を含む
請求項1~のいずれか1項記載の溶接システム。
【請求項7】
被加工物の溶接を行う溶接装置による溶接の進行状況をセンサによってモニタリングして得られるモニタリング情報を記憶する第1の記憶部と、
前記溶接装置によって予め実施された溶接の加工条件を含む加工条件情報の教師データと、前記加工条件情報に基づく溶接後に得られた溶接結果に関連する溶接結果情報の教師データと、前記加工条件情報の教師データ及び前記第1の記憶部から出力された前記モニタリング情報の教師データから特徴量情報として算出された補助変数の教師データに基づいて、前記補助変数の教師データから前記加工条件情報の教師データとの間の相関性を次元削減又は次元圧縮して抽象的に表現可能に算出された潜在変数の教師データとに基づき作成された溶接結果推定モデルと、潜在変数算出情報とを記憶する第2の記憶部と、
前記溶接装置に設定された加工条件を含む加工条件情報の推定用データと、前記第1の記憶部に記憶された前記モニタリング情報の推定用データから前記特徴量情報として算出された補助変数の推定用データと、前記第2の記憶部に記憶された前記潜在変数算出情報とに基づいて、前記補助変数の推定用データから前記加工条件情報の推定用データとの間の相関性を次元削減又は次元圧縮して抽象的に表現可能に算出された潜在変数の推定用データと、前記加工条件情報の推定用データとを前記第2の記憶部に記憶された前記溶接結果推定モデルに入力し、前記溶接装置で行われる溶接の溶接結果を推定し出力する溶接結果推定部と、を備える
溶接モニタ装置。
【請求項8】
被加工物の溶接を行う溶接装置による溶接の進行状況をセンサによってモニタリングして得られるモニタリング情報を記憶する第1の記憶部と、
前記溶接装置によって予め実施された溶接の加工条件を含む加工条件情報の教師データと、前記加工条件情報に基づく溶接後に得られた溶接結果に関連する溶接結果情報の教師データと、前記加工条件情報の教師データ及び前記第1の記憶部から出力された前記モニタリング情報の教師データから特徴量情報として算出された補助変数の教師データを次元削減又は次元圧縮した1次元又は2次元の情報として算出された潜在変数の教師データとに基づき作成された溶接結果推定モデルと、潜在変数算出情報とを記憶する第2の記憶部と、
前記第2の記憶部に記憶された前記潜在変数算出情報に基づいて、前記溶接装置に設定された加工条件を含む加工条件情報の推定用データと、前記第1の記憶部に記憶された前記モニタリング情報の推定用データから前記特徴量情報として算出された補助変数の推定用データとを次元削減又は次元圧縮した1次元又は2次元の情報として算出された潜在変数の推定用データと、前記加工条件情報の推定用データとを前記第2の記憶部に記憶された前記溶接結果推定モデルに入力し、前記溶接装置で行われる溶接の溶接結果を推定し出力する溶接結果推定部と、を備える
溶接モニタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接システム及び溶接モニタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より溶接においては、溶接の要求仕様に対応する適切な加工条件を決定する際に、必要に応じた加工実験を、どのような加工条件を用いてできるだけ少ない試行数で試行するかを自動的に決定し、適切な加工条件を探索すること(特許文献1参照)や、溶接を構成する材料や溶接時間等の多数の要素について考えられるすべての組み合わせを試す方法で探索実験を繰り返すことが行われていた。
【0003】
また、溶接完了後に溶接部が正しく溶接されているか、或いは必要な溶接強度が得られているかなどについて、超音波を用いた非破壊検査(特許文献2参照)や、実際に溶接部を破壊してその状態を確認する破壊検査が行われていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-236267号公報
【文献】特開2009-156701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示された装置では複数の加工実験が必要となると共に、考えられるすべての組み合わせを試す方法の探索実験では作業者の勘と経験に頼る点が多いため、結果的に適切な加工条件を見出すまでに大きく時間がかかってしまうという問題がある。
【0006】
また、上記特許文献2に開示された装置による非破壊検査で溶接部の溶接強度を確認するためには、装置にセンサやプローブ等の構成部が必要となるため、装置構成の最小化は図りにくく、更に、ある加工条件下で溶接が実施された溶接部について、その溶接強度が破壊検査をしたものとしていないものとで同程度であるかを確認するためには、非破壊検査を避けては通れないという問題がある。
【0007】
本発明の一態様は、溶接の適切な加工条件の探索を簡単な構成で短時間に容易に行うことができると共に、適切な加工条件下での溶接による溶接部の溶接結果を非破壊で推定することができる溶接システム及び溶接モニタ装置である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る溶接システムは、被加工物の溶接を行う溶接装置と、前記溶接装置によって予め実施された溶接の加工条件を含む加工条件情報と、前記加工条件に基づく溶接後に得られた溶接結果に関連する溶接結果情報とを教師データとして入力し、これら教師データに基づき、溶接結果推定モデルを作成し出力する学習装置と、前記学習装置で作成された前記溶接結果推定モデルに前記溶接装置に設定された加工条件を含む加工条件情報を推定用データとして入力し、前記加工条件に基づいて前記溶接装置で行われる溶接の溶接結果を推定し出力する推定装置と、を備える。
【0009】
本発明の一態様に係る溶接システムによれば、溶接装置によって予め実施された溶接の加工条件情報と、これに基づく溶接後に得られた溶接結果情報との教師データに基づいて、溶接結果推定モデルが作成される。また、溶接結果推定モデルに溶接装置に設定された加工条件情報を推定用データとして入力することで、加工条件に基づき溶接装置で行われる溶接の溶接結果を推定し出力するので、適切な加工条件下での溶接による溶接部の溶接結果を非破壊で推定することができる。また、溶接装置に設定された加工条件情報を溶接結果推定モデルに入力することで溶接結果を推定できるので、簡単な構成で加工条件の探索作業や探索数を減らして、溶接の適切な加工条件の探索を短時間に容易に行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、溶接の適切な加工条件の探索を簡単な構成で短時間に容易に行うと共に、適切な加工条件下での溶接による溶接部の溶接結果を非破壊で推定できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る溶接システムの基本的構成を示す説明図である。
図2図2は、溶接システムの学習装置および/または推定装置の基本的なハードウェア構成を示す説明図である。
図3図3は、本発明の第2実施形態に係る溶接システムの基本的構成を示す説明図である。
図4図4は、本発明の第3実施形態に係る溶接システムの基本的構成を示す説明図である。
図5図5は、時系列データの例を示すグラフである。
図6図6は、本発明の第4実施形態に係る溶接システムの基本的構成を示す説明図である。
図7図7は、本発明の第5実施形態に係る溶接システムの基本的構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施の形態に係る溶接システム及び溶接モニタ装置を詳細に説明する。ただし、以下の実施の形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施の形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。また、以下の実施の形態においては、各構成要素の配置、縮尺及び寸法等が誇張或いは矮小化されて示されている場合、並びに一部の構成要素の記載が省略されている場合がある。
【0013】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る溶接システムの基本的構成を示す説明図である。図2は、溶接システムの学習装置および/または推定装置の基本的なハードウェア構成を示す説明図である。
【0014】
図1に示すように、第1実施形態に係る溶接システム100は、溶接の溶接結果を推定し出力し得るシステムである。溶接システム100は、被加工物の溶接を行う溶接装置(レーザ溶接機40)と、溶接装置(レーザ溶接機40)によって予め実施された溶接の加工条件を含む加工条件情報2と、加工条件に基づく溶接後に得られた溶接結果に関連する溶接結果情報1とを教師データとして入力し、これら教師データに基づき、溶接結果推定モデル3を作成し出力する学習装置10と、学習装置10で作成された溶接結果推定モデル3に溶接装置(レーザ溶接機40)に設定された加工条件を含む加工条件情報4を推定用データとして入力し、加工条件に基づいて溶接装置(レーザ溶接機40)で行われる溶接の溶接結果を推定し出力する推定装置30と、を備える。推定装置30は、推定された溶接結果に基づき溶接結果を判定する溶接結果判定装置20に含まれる。
【0015】
この溶接システム100においては、例えば学習装置10に入力される目的変数の教師データとしては、レーザ溶接の溶接部の溶接強度F(N/mm)に関連する溶接結果情報1が挙げられ、説明変数の教師データとしては、種々の加工条件(レーザパワー(出力値)、レーザ照射時間等)を含む加工条件情報2が挙げられる。なお、溶接システム100で用いられる目的変数及び説明変数は、これら例示したものに限定されるものではない。
【0016】
そして、第1実施形態の溶接システム100において、溶接装置はレーザ溶接機40であり、加工条件情報2,4は、被加工物の材質、被加工物の板厚、レーザパワー、レーザ照射時間、レーザ照射開始からピークパワーに到達するまでの時間、前記ピークパワーからレーザ照射終了までの時間、ファイバ径、レンズ焦点距離、焦点位置、及び照射点のレーザ径の少なくとも一つの加工条件を含む。なお、レンズ・ファイバ・焦点位置の組み合わせで計算されるスポット径は、例えば溶接結果学習部11での機械学習に用いられる。
【0017】
また、レーザ溶接機40は、例えば外部からの入力によって指定された加工条件のレーザ光を被加工物に照射し、溶接を行う装置である。レーザ溶接機40は、各種通信(ネットワーク通信又は直接接続による通信)により、レーザ光を照射した各種の条件を取得可能に若しくは送受信可能に構成されている。また、溶接結果は、溶接強度、スポット径、及び溶接品質等を含む。
【0018】
このように、第1実施形態の溶接システム100は、例えばレーザ溶接機40によるレーザ溶接の溶接結果に含まれる溶接強度の推定システムとして用いられる。なお、溶接結果情報1には、上記スポット径が含まれていてもよく、上記溶接品質として外観や断面などから金属組織を評価した指標であってもよいし、耐食性を評価した指標であってもよい。従って、溶接システム100は、レーザ溶接の溶接結果に含まれるスポット径や溶接品質の推定システムとしても用いられ得る。
【0019】
学習装置10は、溶接結果学習部11を備える。溶接結果学習部11は、学習装置10に入力された加工条件情報2と、この加工条件に基づく溶接後に、例えば破壊検査等により取得された溶接部の溶接結果に関連する溶接結果情報1との教師データに基づいて、例えば所定の機械学習アルゴリズムを用いた機械学習を行って、溶接結果推定モデル3を作成する。なお、破壊検査等とは、一般社団法人日本溶接協会溶接情報センターのホームページに記載された破壊試験として掲げた、例えばJIS Z 2241 金属材料引張試験方法やその他掲載された溶接試験・検査に用い得るJIS規格の何れを選択してもよく、その実験方法や評価方法もそのJIS規格に記載されたものによる。また、学習済みの溶接結果推定モデル3は、例えばコンピュータにより動作するソフトウェアで構成され、本例では加工条件情報4を推定用データとして入力すると、溶接強度等を含む溶接結果推定値8を出力するプログラムが挙げられる。
【0020】
学習方法は、回帰、分類、クラスタリング、判別、補間、特徴量抽出、及び時系列モデリング等のアルゴリズムを含むが、これに限定されるものではない。溶接結果学習部11で学習された溶接結果推定モデル3は、学習済みモデルを特徴付ける予測・推定のための各種パラメータ、各種式および/またはアルゴリズムを含む。そして、学習装置10は、溶接結果推定モデル3を、推定装置30を備える溶接結果判定装置20に対して出力する。
【0021】
一方、推定装置30は、溶接結果判定装置20に含まれ、溶接結果推定部31を備える。溶接結果判定装置20は、推定装置30と共に、学習装置10から出力された溶接結果推定モデル3を備える。溶接結果推定部31は、推定装置30に入力されたレーザ溶接機40に設定された加工条件情報4を、推定用データとして溶接結果判定装置20に備えられた溶接結果推定モデル3に入力して、加工条件に基づいてレーザ溶接機40で行われる溶接の溶接結果を推定し溶接結果推定値8を出力する。
【0022】
溶接結果判定装置20は、推定装置30の溶接結果推定部31から出力された溶接結果推定値8に基づいて、例えば溶接の溶接強度および/またはスポット径(以下、「溶接強度等」と呼ぶ。)を判定し得る。なお、溶接結果推定値8は、溶接強度については、例えばある溶接点(溶接部)の引張強度(単位:N)及び強度の分布範囲を数値で表現し得る情報のことをいう。また、溶接結果推定値8は、スポット径については、例えばある溶接点(溶接部)の表面におけるレーザ光の照射範囲の大きさ、或いは溶接部の融解部分の大きさを数値で表現し得る情報のことをいう。
【0023】
なお、学習装置10及び推定装置30における機械学習や推定に際しては、アルゴリズムとして、回帰分析(Regression Analysis:RA)、主成分分析(Principal Component Analysis:PCA)、特異値分解(Singular Value Decomposition:SVD)、線形判別分析(Linear Discriminant Analysis:LDA)、独立成分分析(Independent Component Analysis:ICA)、ガウス過程潜在変数モデル(Gaussian Process Latent Variable Model:GPLVM)、ロジスティクス回帰(Logistic Regression:LR)、サポートベクターマシン(Support Vector Machine:SVM)、判別分析(Discriminant Analysis:DA)、ランダムフォレスト(Random Forest:RF)、ランキングSVM(Ranking Support Vector Machine:RSVM)、勾配ブースティング(Gradient Boosting:GB)、ナイーブベイズ(Naive Bayes:NB)、K近接法(K-Nearest Neighbor Algorithm:K-NN)等の各種のアルゴリズムを利用することができる。
【0024】
このように、第1実施形態の溶接システム100では、学習装置10の溶接結果学習部11で加工条件情報2及び溶接結果情報1に基づき、例えば機械学習を行って、溶接結果推定モデル3を作成する。そして、推定装置30の溶接結果推定部31でレーザ溶接機40に設定された加工条件情報4を溶接結果推定モデル3に入力することで、レーザ溶接機40で行われる溶接の溶接結果(溶接強度、スポット径)を推定し溶接結果推定値8を出力する。
【0025】
溶接システム100は、レーザ溶接機40に設定された加工条件情報4を学習済みの溶接結果推定モデル3に入力するだけで、溶接結果推定値8を得ることができるので、複数の加工条件情報4を用いて実際にレーザ光を照射し、その結果を測定する必要があった煩雑な作業を無くし、所望の溶接強度を実現する加工条件の探索に用いられる加工条件情報の組み合わせ等を減らすことが可能となる。このため、レーザ溶接の適切な加工条件の探索を簡単な構成で短時間に容易に行うことができ、適切な加工条件下でのレーザ溶接による溶接部の溶接結果を非破壊で推定することができる。
【0026】
なお、溶接システム100における溶接結果情報(目的変数の教師データ)1、及び加工条件情報(説明変数の教師データ)2の各データは、各々1つ以上の変数又はパラメータから構成され得るもので、例えば図示しない据置型若しくは可搬性を有する記憶装置又は記憶媒体に記憶され得る。また、各データは、例えばインターネット等の情報通信媒体を介して送受信され得るもので、図示しないセンサ等の測定装置によって取得された生データであってもよい。また、溶接結果推定モデル3は、学習装置10及び推定装置30間で上記記憶媒体又は情報通信媒体を介して入出力されてもよい。
【0027】
図2に示すように、溶接システム100の学習装置10および/または推定装置30は、基本的なハードウェア構成として、例えばCPU(中央処理装置)201と、RAM(ランダムアクセスメモリ)202と、ROM(リードオンリーメモリ)203と、HDD(ハードディスクドライブ)204および/またはSSD(ソリッドステートドライブ)205と、メモリカード206と、を備える。
【0028】
また、学習装置10および/または推定装置30は、例えば入力I/F(インタフェース)207と、出力I/F(インタフェース)208と、通信I/F(インタフェース)209と、を備える。各構成部201~209は、それぞれバス200によって相互に接続されている。
【0029】
CPU201は、RAM202、ROM203、HDD204、SSD205等に記憶された各種プログラムを実行することで、学習装置10および/または推定装置30を制御する。CPU201は、学習装置10においては学習プログラムを実行することで、上記溶接結果学習部11の機能を含めた学習装置10の各部の機能を実現する。
【0030】
また、CPU201は、推定装置30においては推定プログラムを実行することで、上記溶接結果推定部31の機能を含めた推定装置30の各部の機能を実現する。なお、学習装置10及び推定装置30の各CPU201が協働することで、溶接システム100の全体を制御するように構成し得る。
【0031】
RAM202は、CPU201の演算処理の作業領域として使用され得る。ROM203は、上記の各種プログラムを少なくとも読み出し可能に格納する。HDD204及びSSD205は、上述した各種のデータを読み書き可能に記憶する。メモリカード206は、これら各種のデータを読み書き可能に記憶すると共に、各装置10,30に対して着脱自在な記憶媒体を構成する。HDD204、SSD205及びメモリカード206は、上述した記憶装置又は記憶媒体の機能を実現する。
【0032】
入力I/F207には、例えばセンサ212が接続されて検出情報が取得される。センサ212は、温度センサ、光センサ、音響センサ、画像センサ等の各種センサが含まれる。なお、入力I/F207は、学習装置10および/または推定装置30の操作部又は入力部として機能するタッチパネル211が接続され、溶接システム100のユーザからの操作入力に伴う情報を受け付ける。入力I/F207には、図示しないキーボード及びマウス(トラックボールマウスを含む)等の各種の入力デバイスも接続され得る。
【0033】
出力I/F208には、例えば表示装置としてのディスプレイ210が接続され、学習装置10および/または推定装置30でモニタ表示される各種情報が出力される。タッチパネル211は、ディスプレイ210上に設けられていてもよい。また、学習装置10および/または推定装置30は、通信I/F209を介して、図示しないインターネット等のネットワークに接続されたサーバ装置及び外部機器等と間接的又は直接的に接続され得る。
【0034】
[第2実施形態]
図3は、本発明の第2実施形態に係る溶接システムの基本的構成を示す説明図である。なお、図3を含む以降の説明においては、第1実施形態及びその変形例と同一の構成要素に関しては同一の符号を付しているので、以下では重複する説明は省略する。
【0035】
図3に示すように、第2実施形態に係る溶接システム100Aは、溶接装置(レーザ溶接機40)による溶接の進行状況をセンサ212によってモニタリング(状態観測)して得られたモニタリング情報5,6を出力する溶接モニタ装置50を備え、学習装置10は、溶接モニタ装置50から出力されたモニタリング情報5の教師データから特徴量情報を補助変数の教師データとして算出し、この補助変数を加えた教師データに基づき溶接結果推定モデル3を作成して出力し、推定装置30は、溶接モニタ装置50から出力されたモニタリング情報6の推定用データから特徴量情報を補助変数の推定用データとして算出し、この補助変数を加えた推定用データを入力して溶接結果を推定し出力する。なお、溶接モニタ装置50は、被加工物の溶接部をセンサ212で監視し、センサ212からの出力情報をモニタリング情報5,6として取得し出力可能な装置をいう。
【0036】
すなわち、第2実施形態の溶接システム100Aは、溶接モニタ装置50からのモニタリング情報5,6を、加工条件情報2,4と相関を有する補助変数(の教師データ及び推定用データ)として用いたレーザ溶接に適用されるシステムである。なお、説明変数(加工条件情報)と相関を有する補助変数としては、例えばレーザ溶接時又は溶接後に観測される物理量(溶接温度、音、光、色等)が挙げられる。ただし、溶接システム100Aで用いられる補助変数は、例示したものに限定されるものではない。
【0037】
補助変数を用いるため、具体的には、溶接システム100Aの学習装置10は、モニタリング情報5の教師データから特徴量情報を補助変数の教師データとして算出する第1補助変数算出部12と、溶接結果情報1の教師データと、加工条件情報2の教師データと、第1補助変数算出部12により算出された補助変数の教師データ(特徴量情報)とに基づいて、例えば機械学習を行って、溶接結果推定モデル3を作成し出力する溶接結果学習部11と、を含む。
【0038】
推定装置30は、モニタリング情報6の推定用データから特徴量情報を補助変数の推定用データとして算出する第2補助変数算出部32と、第2補助変数算出部32により算出された補助変数の推定用データ(特徴量情報)と、加工条件情報4の推定用データとを溶接結果推定モデル3に入力して、溶接結果を推定し出力する溶接結果推定部31と、を含む。
【0039】
溶接モニタ装置50から出力されるモニタリング情報5,6は、例えばレーザ溶接時に観測される物理量(溶接温度、音、光、色等)の時系列データを含む情報が挙げられる。そして、モニタリング情報5に基づき算出される特徴量情報は、学習装置10における溶接結果推定モデル3の学習に際して与えられる補助変数の教師データとして用いられ、モニタリング情報6に基づき算出される特徴量情報は、推定装置30における溶接結果推定値8の推定に際して与えられる補助変数の推定用データとして用いられる。
【0040】
第2実施形態の溶接システム100Aにおいて、溶接装置はレーザ溶接機40である。また、加工条件情報2,4は、被加工物の材質、被加工物の板厚、レーザパワー、レーザ照射時間、レーザ照射開始からピークパワーに到達するまでの時間、前記ピークパワーからレーザ照射終了までの時間、ファイバ径、レンズ焦点距離、焦点位置、及び照射点のレーザ径の少なくとも一つの加工条件を含む。なお、レンズ・ファイバ・焦点位置の組み合わせで計算されるスポット径は、溶接結果学習部11での機械学習に用いられる。また、モニタリング情報5,6は、レーザパワーの時系列変動データ及び照射点の放射近赤外光強度の時系列変動データを含む。
【0041】
第2実施形態の溶接システム100Aでは、学習装置10の第1補助変数算出部12でモニタリング情報5の教師データから特徴量情報を補助変数の教師データとして算出し、この特徴量情報と、溶接結果情報1及び加工条件情報2の教師データとを含むデータを用いて、溶接結果学習部11で溶接結果推定モデル3の学習・作成を行う。そして、学習装置10で作成された溶接結果推定モデル3を溶接結果判定装置20の推定装置30に与える。
【0042】
溶接結果推定モデル3が与えられた推定装置30では、第2補助変数算出部32において、例えば第1補助変数算出部12が利用したアルゴリズムと同じアルゴリズムを用いて、モニタリング情報6の推定用データから特徴量情報を補助変数の推定用データとして算出し、この特徴量情報と加工条件情報4の推定用データとを含むデータを溶接結果推定モデル3に入力して、溶接結果推定部31で溶接結果を推定し溶接結果推定値8を出力する。
【0043】
なお、第1補助変数算出部12は、時系列データかなるモニタリング情報5の教師データから、予め定められた複数の特徴を検出し、検出された各特徴の値を、特徴量情報として算出するようにしてもよい。また、第2補助変数算出部32は、時系列データかなるモニタリング情報6の推定用データから、予め定められた複数の特徴を検出し、検出された各特徴の値を、特徴量情報として算出するようにしてもよい。この特徴量情報の算出については、後述する。
【0044】
これにより、第2実施形態の溶接システム100Aによれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。また、モニタリング情報5,6を補助変数として利用することで、溶接に起因する物理現象を溶接中に起きた事象として溶接状況の変動を含めた推定を行うことができる。これにより、より精緻な推定を可能にして推定の精度を向上させることができる。
【0045】
[第3実施形態]
図4は、本発明の第3実施形態に係る溶接システムの基本的構成を示す説明図である。
図4に示すように、第3実施形態に係る溶接システム100Bにおいて、学習装置10は、加工条件情報2の教師データと、補助変数の教師データ(特徴量情報)とに基づいて、補助変数の教師データ(特徴量情報)から加工条件情報2の教師データとの間の相関性を次元削減又は次元圧縮等の手法によって抽象的に表現可能な潜在変数の教師データ(図示せず)を算出し、潜在変数算出情報7を出力する第1潜在変数算出部13を含み、溶接結果学習部11は、加工条件情報2の教師データと、溶接結果情報1の教師データと、潜在変数の教師データとに基づいて、例えば機械学習を行って、溶接結果推定モデル3を作成して出力する。
【0046】
推定装置30は、加工条件情報4の推定用データと、補助変数の推定用データ(特徴量情報)と、潜在変数算出情報7とに基づいて、補助変数の推定用データ(特徴量情報)から加工条件情報4の推定用データとの間の相関性を次元削減又は次元圧縮等の手法によって抽象的に表現可能な潜在変数の推定用データ(図示せず)を算出する第2潜在変数算出部33を含み、溶接結果推定部31は、加工条件情報4の推定用データと、潜在変数の推定用データとを、溶接結果推定モデル3に入力して、溶接結果を推定し出力する。
【0047】
すなわち、第3実施形態の溶接システム100Bは、モニタリング情報5,6に基づき算出された補助変数(特徴量情報)および加工条件情報2,4との間の相関性を次元削減又は次元圧縮等の手法によって抽象的に表現した潜在変数(の教師データ及び推定用データ)を用いたレーザ溶接に適用されるシステムである。
【0048】
なお、第1潜在変数算出部13は、潜在変数の教師データの算出の際に決定された潜在変数算出情報7を、溶接結果判定装置20の推定装置30に利用可能に出力する。第1潜在変数算出部13は、加工条件情報2の教師データと、補助変数の教師データ(特徴量情報)とを次元削減又は次元圧縮した1次元又は2次元の情報を潜在情報の教師データとして算出するようにしてもよい。また、第2潜在変数算出部33は、加工条件情報4の推定用データと、補助変数の推定用データ(特徴量情報)とを次元削減又は次元圧縮した1次元又は2次元の情報を潜在情報の推定用データとして算出するようにしてもよい。
【0049】
潜在変数の教師データ及び推定用データは、それぞれ補助変数よりも説明変数との間の相関を減じるように補助変数が、又は補助変数及び説明変数が、例えば上記のように次元削減又は次元圧縮されたものである。潜在変数は、本実施形態においては、説明変数と同様に目的変数を特徴づける変数であり、直接は観測されないが観測された変数(補助変数)から推定される変数である。換言すれば、潜在変数は、観測された変数を特徴づける変数であって少なくとも補助変数から次元削減又は次元圧縮されたものを意味する。溶接システム100Bで用いられる説明変数、目的変数、潜在変数、並びに潜在変数算出情報7は、各々1つ以上の変数又はパラメータから構成され得る。本明細書においては、「目的変数の予測・推定」とは、「目的変数の予測」又は「目的変数の推定」の意味で用いられる。「目的変数の予測」は、未来(将来)に実現すると考えられる目的変数を想定することを意味し、「目的変数の推定」は、現在実現しているが、直接観測することのできない目的変数を推し量ることを意味する。なお、「相関」とは、複数の変数の間の線形の関係に限定せず、線形、非線形にかかわらず、複数の変数の間で、1つの変数が変化すれば他の変数が変化するという関係を意味する。
【0050】
潜在変数算出情報7は、第1潜在変数算出部13において、潜在変数の教師データの算出に際して決定され、追加の潜在変数の算出に際して用いられる各種情報を意味し、例えば各種パラメータ、各種式および/またはアルゴリズムが含まれる。例えば、潜在変数算出情報7がアルゴリズムを含んでいる場合、第2潜在変数算出部33は、学習装置10の第1潜在変数算出部13で潜在変数の教師データの算出に用いられたアルゴリズムと同じアルゴリズムを用いて、潜在変数の推定用データの算出を行い得る。このように、推定時においても、学習時と同じアルゴリズムを用いて潜在変数を算出することで、同一の溶接結果推定モデル3を用いた推定が可能になる。
【0051】
また、学習装置10側から推定装置30側へ渡される潜在変数算出情報7は、各装置10,30で潜在変数の算出に適切なものが選択され得る。例えば、学習装置10における潜在変数の教師データの算出が主成分分析によって行われる場合、潜在変数パラメータとして、主成分ベクトル及び固定値であって良く、これらに加え特定の補助変数(モニタリング情報5)の教師データの寄与率が所定値よりも高い主成分ベクトルを除外した潜在変数パラメータを選択するようにしてもよい。これにより、例えば補助変数よりも説明変数との間の相関が小さい潜在変数を、説明変数と共に教師データ及び推定用データに用いることができるので、多重共線性に起因する推定精度の悪化が回避可能となる。
【0052】
第1補助変数算出部12及び第2補助変数算出部32は、例えば時系列データからなるモニタリング情報5の教師データ及びモニタリング情報6の推定用データから、例えば事前に実験等で確認された選定条件に基づき計算機処理等で予め自動抽出された複数の特徴を検出し、検出された各特徴の値を特徴量情報として算出するが、その際に検出される複数の特徴としては、例えば次のようなものが想定される。
【0053】
図5は、時系列データの例を示すグラフである。
モニタリング情報5,6に含まれる時系列データとしては、例えば図5に示すように、レーザパワーの時系列変動データD1及び照射点の放射近赤外光強度の時系列変動データD2等が挙げられる。図5においては、横軸が時間(秒)を表し、縦軸が温度(×100℃)を表しており、データにおける特徴量情報を算出し得る複数の特徴が示されている。
【0054】
図5における複数の特徴の値として、「rise_period」は、レーザオンから変曲点(予測(70%))までの時間を意味する値である。この「rise_period」の値は、レーザオンの時刻から、レーザ立ち上がり完了時点での測定値の70%に達するまでの測定点数(×5μsで時間)で算出される。
【0055】
また、「inflection1_period」は、レーザオンから融解開始するまでの時間を意味する値である。この「inflection1_period」の値は、レーザオンの時刻から、レーザ立ち上がり完了の変曲点1までの測定点数(×5μsで時間)で算出される。「rise_value」は、変曲点(予測(70%))を意味する値である。この「rise_value」の値は、レーザ立ち上がり完了時刻での測定値の70%の値として算出される。「inflection1_value」は、融解開始(融点)の温度を意味する値である。この「inflection1_value」の値は、変曲点1での測定値として算出される。
【0056】
また、「inflection3_value」は、凝固開始(融点)の温度を意味する値である。この「inflection3_value」の値は、レーザ停止後、凝固が始まる変曲点3での測定値として算出される。「laseroff_inf3_period」は、レーザオフから凝固開始までの時間を意味する値である。この「laseroff_inf3_period」の値は、レーザオフから変曲点3までの測定点数(×5μsで時間)で算出される。「inflection3_5ms_value」は、固まり方の最初の5ms(冷えの速さ(固まった金属の硬さ)×(溶融体積に関係))を意味する値である。この「inflection3_5ms_value」の値は、変曲点3から5ms経過後の測定値として算出される。
【0057】
また、「inflection2_value」は、温度下がり始めの温度を意味する値である。この「inflection2_value」の値は、レーザオフ後、測定値が下がり始める変曲点2の測定値として算出される。「inf2_inf3_period」は、温度下がり始めから凝固開始するまでの時間を意味する値である。この「inf2_inf3_period」の値は、変曲点2から変曲点3までの測定点数(×5μsで時間)で算出される。「laseroff_inf2_period」は、レーザオフから温度が下がり始めるまでの時間を意味する値である。この「laseroff_inf2_period」の値は、レーザオフから変曲点2までの測定点数(×5μsで時間)で算出される。
【0058】
また、「trend_start_value」は、回帰線の区間最初の値(最小)を意味する。この「trend_start_value」の値は、変曲点1の時刻から変曲点2の時刻までの期間(以下、「特定期間」と称する。)の測定値の1次回帰式の、変曲点1の時刻での値として算出される。「trend_finish_value」は、回帰線の区間最後の値(最大)を意味する。この「trend_finish_value」の値は、特定期間の測定値の1次回帰式の、変曲点2の時刻での値として算出される。「trend_period」は、融解開始から温度の下がり始めまでの時間(時間計算済み)を意味する値である。この「trend_period」の値は、特定期間の時刻(μs)で算出される。「trend_slope」は、融解中の温度上昇率を意味する値である。この「trend_slope」の値は、特定期間の測定値の1次回帰式の傾きで算出される。
【0059】
その他、図5への図示は省略するが、複数の項目要素としては、「rise_value_sum」、「laserontime_value_sum」、「count」、「mean」、「std」、「min」、「25%」、「50%」、「75%」、「max」、「dence1~5」等が挙げられる。「rise_value_sum」は、立ち上がりの温度総量を意味する値である。この「rise_value_sum」の値は、レーザオンの時刻から「rise_period」までの期間の測定値の積分により算出される。「laserontime_value_sum」は、レーザ出力中の温度総量を意味する値である。この「laserontime_value_sum」の値は、レーザオンからレーザオフまでの期間の測定値の積分により算出される。
【0060】
また、「count」は、溶融開始から温度が下がり始めるまでの時間を意味する値である。この「count」の値は、特定期間の測定点数(×5μsで時間)で算出される。「mean」は、線形トレンドからの外れ具合(波打ち具合)を意味する値である。この「mean」の値は、特定期間の線形トレンド(1次回帰)を除外した測定値の平均値として算出される。また、「std」は、「mean」と同じく線形トレンドからの外れ具合(波打ち具合)を意味する値である。この「std」の値は、特定期間の測定値の標準偏差として算出される。
【0061】
また、「min」は、融解中の最小温度を意味する値である。この「min」の値は、特定期間の測定値の最小値として算出される。「25%」は、小さい順に25/100番の測定値を意味する。この「25%」の値は、特定期間の測定値の25%タイルとして算出される。「50%」は、小さい順に50/100番の測定値を意味する。この「50%」の値は、特定期間の測定値の50%タイルとして算出される。「75%」は、小さい順に75/100番の測定値を意味する。この「75%」の値は、特定期間の測定値の75%タイルとして算出される。「max」は、溶融中の最大温度を意味する値である。この「max」の値は、特定期間の測定値の最大値として算出される。
【0062】
また、「dence1」は、時系列変動データD2に基づく温度の(粗い)変動具合(ギザギザ具合)を意味する値である。この「dence1」の値は、195-585Hzのスペクトル密度(所定の3つの周波数のスペクトル密度の和)で算出される。「dence2」は、時系列変動データD2に基づく温度の(少し粗い)変動具合(ギザギザ具合)を意味する値である。この「dence2」の値は、781-1171Hzのスペクトル密度(所定の3つの周波数のスペクトル密度の和)で算出される。
【0063】
「dence3」は、時系列変動データD2に基づく温度の(中くらいの)変動具合(ギザギザ具合)を意味する値である。この「dence3」の値は、1367-1757Hzのスペクトル密度(所定の3つの周波数のスペクトル密度の和)で算出される。「dence4」は、時系列変動データD2に基づく温度の(少し細かい)変動具合(ギザギザ具合)を意味する値である。この「dence4」の値は、1953-2343Hzのスペクトル密度(所定の3つの周波数のスペクトル密度の和)で算出される。「dence5」は、時系列変動データD2に基づく温度の(細かい)変動具材(ギザギザ具合)を意味する値である。この「dence5」の値は、2539-2929Hzのスペクトル密度(所定の3つの周波数のスペクトル密度の和)で算出される。
【0064】
第1補助変数算出部12及び第2補助変数算出部32は、上記のような複数の特徴のうち、例えば自動抽出された複数の特徴を検出してその値を特徴量情報として算出するが、これに限定されるものではない。例えば、第1補助変数算出部12は、目的変数の推定への寄与度の大きさに基づき、自動抽出された複数の特徴を検出するようにしてもよい。寄与度は、溶接結果学習部11による溶接結果推定モデル3の作成時に用いられた、例えば所定の機械学習アルゴリズムによって、モニタリング情報5の教師データの時系列データに含まれる複数の特徴について、例えばスパッタやポロシティ等の溶接品質に関する各種の物理現象の推定への寄与度として重み付けされる。第1補助変数算出部12は、この寄与度に基づき自動抽出された複数の特徴を検出し、その値を特徴量情報として算出するようにしてもよい。
【0065】
この第3実施形態の溶接システム100Bによれば、モニタリング情報5,6に基づき第1及び第2補助変数算出部12,32で算出された補助変数の教師データ及び推定用データと共に、第1及び第2潜在変数算出部13,33で算出された潜在変数の教師データ及び推定用データを利用して、溶接状況の変動を含めた溶接結果の推定を、より精緻且つ精度よく行うことが可能である。また、モニタリング情報5,6と加工条件情報2,4の相関に起因する推定精度の悪化をより効果的に回避することが可能となる。
【0066】
[溶接システムの動作]
溶接システム100Bにおいて、例えば外部の記憶装置又は記憶媒体等に記憶された溶接結果情報1及び加工条件情報2並びに溶接モニタ装置50から出力されたモニタリング情報5は、例えばそれぞれ目的変数の教師データ、説明変数の教師データ及び補助変数の教師データとして、学習装置10に入力され図示しない記憶部に記憶される。
【0067】
学習装置10は、これらの入力されたデータのうち、溶接モニタ装置50からのモニタリング情報5の教師データを含むデータから第1補助変数算出部12において特徴量情報(補助変数の教師データ)を算出する。また、第1補助変数算出部12で算出された特徴量情報と、加工条件情報2の教師データとに基づき、第1潜在変数算出部13において、特徴量情報から加工条件情報2の教師データとの間の相関性を次元削減又は次元圧縮して抽象的に表現した(例えば、相関が小さい)潜在変数の教師データを算出し、潜在変数算出情報7を出力する。
【0068】
また、学習装置10は、溶接結果学習部11において溶接結果情報1の教師データと、加工条件情報2の教師データと、第1潜在変数算出部13により算出された潜在変数の教師データとに基づいて、例えば機械学習を行って、溶接強度等を含めた溶接結果を推定する溶接結果推定モデル3を作成する。学習装置10は、潜在変数の教師データの算出に用いられた潜在変数算出情報7及び作成した溶接結果推定モデル3を、装置内の記憶部に記憶すると共に、溶接結果判定装置20の推定装置30に利用可能に出力する。
【0069】
なお、学習装置10は、潜在変数算出情報7及び溶接結果推定モデル3を、例えば接続されたネットワーク等を介して外部の記憶装置(図示せず)に出力するようにしてもよい。この場合、外部の記憶装置は、入力された潜在変数算出情報7及び溶接結果推定モデル3を一時的或いは恒久的に記憶する。なお、各種のデータは、上記のような外部の記憶装置や記憶媒体ではなく、例えば溶接システム100Bの一部を構成する記憶装置(図示せず)に記憶されていてもよい。
【0070】
一方、レーザ溶接機40においては、設定された加工条件情報4に基づいてレーザ溶接が実行される。レーザ溶接機40に付属のセンサ212によって、推定対象(例えば、被加工物の溶接部)のレーザ溶接時の状態観測情報であるモニタリング情報6が溶接モニタ装置50により取得される。レーザ溶接機40に設定された加工条件情報4及び溶接モニタ装置50のモニタリング情報6は、それぞれ説明変数の推定用データ及び補助変数の推定用データとして溶接結果判定装置20の推定装置30に利用可能に入力される。
【0071】
推定装置30は、潜在変数算出情報7及び溶接結果推定モデル3と共に入力された各種のデータを図示しない記憶部に記憶すると共に、溶接モニタ装置50からのモニタリング情報6の推定用データを含むデータから第2補助変数算出部32において特徴量情報(補助変数の推定用データ)を算出する。また、第2補助変数算出部32で算出された特徴量情報と、加工条件情報4の推定用データと、潜在変数算出情報7とに基づき、第2潜在変数算出部33において、特徴量情報から加工条件情報4の推定用データとの間の相関性を次元削減又は次元圧縮して抽象的に表現した(例えば、相関が小さい)潜在変数の推定用データを算出する。
【0072】
また、推定装置30は、溶接結果推定部31において第2潜在変数算出部33により算出された潜在変数の推定用データと、加工条件情報4の推定用データとを、溶接結果推定モデル3に入力して、溶接強度等を含む溶接結果を推定し溶接結果推定値8を出力する。溶接結果推定値8は記憶部に記憶されると共に、表示、印刷等適宜利用可能な形態で推定装置30から出力され、溶接結果判定装置20で利用され得る。
【0073】
なお、学習装置10は、特徴量情報の算出、潜在変数の算出及び溶接結果推定モデル3の作成に際し、レーザ溶接機40に設定された加工条件情報4の推定用データ及び溶接モニタ装置50からのモニタリング情報6の推定用データを、説明変数及び補助変数の教師データとして加工条件情報2の教師データ及びモニタリング情報5の教師データに追加或いは説明変数及び補助変数の教師データとして参照して用いるようにしてもよい。このようにすれば、より多くのデータを利用して推定の精度向上に寄与することができる。
【0074】
第3実施形態の溶接システム100Bでは、溶接結果情報1の補助変数の教師データとしてのモニタリング情報5に基づく特徴量情報や潜在変数を算出した上で、これらの情報を用いた溶接結果推定モデル3が作成される。また、潜在変数算出情報7を用いて補助変数の推定用データとしてのモニタリング情報6に基づき特徴量情報や潜在変数を算出した上で、これらの情報と説明変数の推定用データである加工条件情報4とを溶接結果推定モデル3に入力することで、溶接強度等を含む溶接結果推定値8が出力される。
【0075】
従って、第3実施形態の溶接システム100Bによれば、レーザ溶接の加工条件に関するデータと溶接時にモニタリングされるデータから、非破壊で推定対象(被加工物の溶接部)の溶接結果を推定することができるので、溶接結果に含まれる溶接強度を推定したり、レンズ・ファイバ・焦点位置の組み合わせによるスポット径を推定したりすることが可能となる。
【0076】
一般的にレーザ溶接においては、同一の加工条件でレーザ溶接を施した場合であっても、被加工物の材質、溶接環境のばらつき等の要因によって溶接強度は変化するので、実際に製品を破壊しなければ溶接強度を測定することはできないという問題がある。また、実際にレーザ光を照射した実験を行わなければ、目的とする溶接結果を得るための種々の加工条件を知ることはできないという問題もある。
【0077】
しかし、第3実施形態の溶接システム100Bは、モニタリング情報からの特徴量情報を補助変数として利用した推定精度の向上及び相関による推定精度の悪化の回避を図ることができる構成、並びに溶接に起因する物理現象を溶接中に起きた事象として溶接状況の変動を含めた推定を行うことができる構成を採用するので、このような問題を解決することができる。これと共に、第1及び第2実施形態と同様の作用効果を奏することができるだけでなく、より精緻な推定を可能にして推定の精度向上、相関による精度悪化の回避が可能である。
【0078】
なお、第3実施形態の溶接システム100Bは、レーザ溶接の溶接強度等を含む溶接結果の推定を目的としているが、これに限定されず、例えばスパッタやポロシティ等の溶接品質に関する各種の物理現象に基づく溶接の良否を含む溶接結果の推定を行うことも可能である。この場合、学習装置10における目的変数をレーザ溶接の溶接品質とすればよい。
【0079】
溶接品質に関するデータは、溶接良を示すデータと溶接不良を示すデータの少なくとも一方を含み、そのときの加工条件情報2及びモニタリング情報5を説明変数及び補助変数の教師データとして、学習装置10で機械学習を行い溶接結果推定モデル3を作成する。この溶接結果推定モデル3を用いて推定装置30で加工条件情報4及びモニタリング情報6の推定用データに基づく推定を行えば、溶接の良否を含めた溶接結果の推定を、レーザ溶接中も含めて行うことができる。
【0080】
また、溶接システム100Bは、学習装置10及び推定装置30を、例えばそれぞれレーザ溶接機40の設置箇所と同じ現場に集中して或いは遠隔地に別々に設置可能である。このため、レーザ溶接の溶接強度等の推定に関して、グローバルな展開をも想定した多種多様な運用が可能となる。
【0081】
[第4実施形態]
図6は、本発明の第4実施形態に係る溶接システムの基本的構成を示す説明図である。図6に示すように、第4実施形態に係る溶接システム100Cでは、溶接モニタ装置50Aの内部に推定装置30が設けられている点が、第3実施形態の溶接システム100Bとは相違している。
【0082】
すなわち、溶接モニタ装置50Aは、被加工物の溶接を行う溶接装置(レーザ溶接機40)による溶接の進行状況をセンサによってモニタリングして得られるモニタリング情報5,6を記憶する第1の記憶部(図示せず)と、溶接装置(レーザ溶接機40)によって予め実施された溶接の加工条件を含む加工条件情報2と、加工条件情報2に基づく溶接後に得られた溶接結果に関連する溶接結果情報1と、第1の記憶部(図示せず)から出力されたモニタリング情報5とに基づき作成された溶接結果推定モデル3を記憶する第2の記憶部(図示せず)と、溶接装置(レーザ溶接機40)に設定された加工条件を含む加工条件情報4と、第1の記憶部(図示せず)に記憶されたモニタリング情報6とを第2の記憶部(図示せず)に記憶された溶接結果推定モデル3に入力し、溶接装置(レーザ溶接機40)で行われる溶接の溶接結果を推定し出力する溶接結果推定部31(推定装置30)と、を備える。
【0083】
従って、溶接モニタ装置50Aは、学習装置10から取得した潜在変数算出情報7及び溶接結果推定モデル3を内部の推定装置30に入力可能に構成されている。そして、溶接モニタ装置50Aでは、この内部の推定装置30おいて、センサ212で取得し第1の記憶部に記憶したモニタリング情報5,6と、レーザ溶接機40に設定された加工条件情報4とを、第2の記憶部に記憶された溶接結果推定モデル3に入力して溶接結果の推定が行われる。
【0084】
これにより、溶接モニタ装置50A単体で溶接強度等を含む溶接結果を推定し溶接結果推定値8を出力することが可能である。この第4実施形態の溶接システム100Cによれば、第3実施形態と同様の作用効果を奏することができると共に、溶接モニタ装置50A単体で推定装置30の機能を実現することができる。
【0085】
[第5実施形態]
図7は、本発明の第5実施形態に係る溶接システムの基本的構成を示す説明図である。図7に示すように、第5の実施形態に係る溶接システム100Dは、溶接モニタ装置(抵抗溶接チェッカ)51からのモニタリング情報5,6を、加工条件情報2,4と相関を有する補助変数(の教師データ及び推定対象データ)として用いる点は、第3実施形態の溶接システム100Bと同様であるが、抵抗溶接に適用される点が、第3実施形態の溶接システム100Bとは相違している。
【0086】
すなわち、第5実施形態の溶接システム100Dにおいて、溶接装置は抵抗溶接機(抵抗溶接電源・ヘッド41)である。また、加工条件情報2,4は、溶接電流、溶接加圧力、通電時間、溶接方式、被加工物の材質、被加工物の板厚、被加工物の表面処理、被加工物の組み合わせ条件、サンプリング周期、変位量検出分解能、及びナゲット径の少なくとも一つの加工条件を含む。また、モニタリング情報5,6は、溶接電流・電圧の時系列変動データ及び溶接点の加圧力・変位量の時系列変動データを含む。
【0087】
この第5実施形態の溶接システム100Dにおいても、学習装置10の第1補助変数算出部12でモニタリング情報5に基づき特徴量情報(補助変数の教師データ)を算出し、第1潜在変数算出部13で特徴量情報に基づき潜在変数の教師データを算出して潜在変数算出情報7を出力し、溶接結果学習部11で溶接結果推定モデル3の作成を行って、この溶接結果推定モデル3と潜在変数算出情報7を溶接結果判定装置20の推定装置30に与える。
【0088】
溶接結果判定装置20の推定装置30の第2補助変数算出部32では、潜在変数算出情報7を用いてモニタリング情報6に基づき特徴量情報(補助変数の推定用データ)を算出し、第2潜在変数算出部33で特徴量情報に基づき潜在変数の推定用データを算出して、溶接結果推定部31においてこの潜在変数の推定用データを含めたデータを溶接結果推定モデル3に入力し溶接結果の推定を行う。そして、得られた溶接結果推定値8により溶接強度等の推定を行ったり溶接結果を判定したり、溶接結果推定値8を外部に出力したりすることができる。このように、第5実施形態の溶接システム100Dにおいても、第3実施形態の溶接システム100Bと同様の作用効果を奏することができる。
【0089】
以上、本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0090】
1 溶接結果情報(目的変数の教師データ)
2 加工条件情報(説明変数の教師データ)
3 溶接結果推定モデル
4 加工条件情報(説明変数の推定用データ)
5 モニタリング情報(補助変数の教師データ)
6 モニタリング情報(補助変数の推定用データ)
7 潜在変数算出情報
8 溶接結果推定値
10 学習装置
11 溶接結果学習部
12 第1補助変数算出部
13 第1潜在変数算出部
20 溶接結果判定装置
30 推定装置
31 溶接結果推定部
32 第2補助変数算出部
33 第2潜在変数算出部
40 レーザ溶接機
41 抵抗溶接電源・ヘッド
50,50A 溶接モニタ装置
51 抵抗溶接チェッカ
100 溶接システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7