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▶ 株式会社永木精機の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-10-01
(45)【発行日】2025-10-09
(54)【発明の名称】締結用回動体
(51)【国際特許分類】
   B25B 13/48 20060101AFI20251002BHJP
【FI】
B25B13/48 F
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2024088646
(22)【出願日】2024-05-31
(65)【公開番号】P2025105401
(43)【公開日】2025-07-10
【審査請求日】2024-06-24
(31)【優先権主張番号】P 2023222241
(32)【優先日】2023-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591083772
【氏名又は名称】株式会社永木精機
(74)【代理人】
【識別番号】110003915
【氏名又は名称】弁理士法人岡田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田茂 皇壽
【審査官】山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-202651(JP,A)
【文献】特開2022-021011(JP,A)
【文献】特開平04-176568(JP,A)
【文献】特許第6378580(JP,B2)
【文献】実開平07-020262(JP,U)
【文献】登録実用新案第3237391(JP,U)
【文献】実公平07-042614(JP,Y2)
【文献】米国特許出願公開第2021/0316421(US,A1)
【文献】米国特許第06374707(US,B1)
【文献】中国特許出願公開第113618667(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 13/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側から与えられる外力により回動可能な軸部と、
前記軸部の他端側に設けられた、閉じた又は一部が切り欠かれた環状の外形を有する所定の対象物の内面に接触して前記対象物に引っ掛かる引っ掛かり部とを備え、
前記対象物から前記軸部に与えられた回動力に従動して、前記軸部の中心軸を回動軸として回動する締結用回動体であって、
前記引っ掛かり部は、前記対象物を引っ掛けた状態で回動する際に前記引っ掛かり部に従動して回動する前記対象物と干渉する面に、前記対象物の正面視及び平面視の形状に応じて前記回動軸に対して回転対称形成されている少なくとも1組の溝部を有し、
前記少なくとも1組の溝部のいずれか一つの組は、前記引っ掛かり部が前記対象物を引っ掛けた状態で回動する際に、前記対象物に同時に干渉する、
締結用回動体。
【請求項2】
前記溝部は、前記軸部の回動軸を含む平面の一方の面側に位置する正面溝と前記平面の他方の面側に位置する背面溝との組を少なくとも1組含み、
前記溝部の前記正面溝及び前記背面溝は、前記軸部の回動軸を間に挟んで配置されている、
請求項1に記載の締結用回動体。
【請求項3】
前記溝部は、前記正面溝と前記背面溝との組を2組含んでおり、
2組の前記溝部の一方の前記正面溝と2組の前記溝部の他方の前記正面溝とは、前記平面の一方の面側にて前記軸部の回動軸を間に挟んで配置されており、
2組の前記溝部の一方の前記背面溝と2組の前記溝部の他方の前記背面溝とは、前記平面の他方の側にて前記軸部の回動軸を間に挟んで配置されている、
請求項2に記載の締結用回動体。
【請求項4】
前記溝部の前記正面溝及び前記背面溝の配置は、前記軸部の前記回動軸に対して線対称を成している、
請求項2又は3に記載の締結用回動体。
【請求項5】
前記溝部の前記正面溝の形状及び前記背面溝の形状は、前記平面に直交する方向からの視点において、前記軸部の前記回動軸に対して左右対称を成している、
請求項2又は3に記載の締結用回動体。
【請求項6】
前記溝部の組における前記正面溝及び前記背面溝は、前記平面に直交する方向からの視点において、前記軸部の回動軸から離れる向きに凸な略弧状に湾曲している、
請求項2又は3に記載の締結用回動体。
【請求項7】
前記軸部は、回動力を発生させる機械または器具と脱着自在に結合するシャンク部として働き、
前記引っ掛かり部は、先端から前記対象物を引っ掛けるフック部として働き、
前記対象物を前記シャンク部に与えられた回動力に従動して回動させる回動治具として働く、
請求項1に記載の締結用回動体。
【請求項8】
請求項に記載の、前記回動治具として働く締結用回動体と、
前記シャンク部として働く前記軸部の一端側に接続される接続部とを備えた、
遠隔操作具。
【請求項9】
前記軸部は、外周面に形成された雄ねじまたは内周面に形成された雌ねじのいずれか一方を有し、固着対象に対して螺合する螺合部として働き、
前記引っ掛かり部は、フックである前記対象物に引っ掛けられる、環状の頭部として働き、
前記対象物からの回動力に従動して前記固着対象に螺合により固着する固着具として働く、
請求項1に記載の締結用回動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばアイボルトのような締結部品その他、主に環状の頭部を有する機械要素、または固着具を対象物としてこれを回動させるための回動治具及び、一般の回動治具により回動させられるアイボルトのような締結部品その他、主に環状の頭部を有する機械要素、または固着具として実施可能な締結用回動体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロープ等の吊り具や牽引フック等に用いられるアイボルトを、手回しに依らず効率的に締結するための種々の技術が提案されている。
【0003】
例として、特許文献1には、電動工具に装着して用いられるアイボルト回転治具として、アイボルトの輪状の頭部と嵌合する嵌合溝を形成している2つの側壁材と電動工具の回転部に嵌合して回転駆動される軸材とを備えたアイボルト回転治具が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、サイズの異なるアイボルトを効率的に締結できるアイボルト取付治具として、回転工具のチャックに挿着可能な取付軸部と同じ中心軸に接合された、筒形状をしたソケット部の中心軸に対し対称な位置に、複数種類のアイボルトのリング状頭部の形状に対応して設けられた複数対の溝を設けたアイボルト取付治具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実開平7-20262号公報
【文献】特開2004-202651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の技術におけるこれらの治具では、アイボルトの環状の頭部が嵌合溝や溝に嵌合することで、当該頭部をその外側から挟みこむようにしているが、アイボルトと治具との嵌合は、軸方向に沿って位置自在な状態にあるため、治具が外れてしまう恐れがあり、アイボルトを安定した状態で締結することが困難である。また、治具をアイボルトに嵌合させるための位置合わせはアイボルトの回転方向に沿った直線上にてアイボルトの頭部及び治具を合わせる必要があり、精度の高さが求められ、作業性が損なわれる。
【0007】
それゆえに、この発明の主たる目的は、アイボルトのような締結部品その他環状の頭部を有する機械要素、または固着具を対象物として、これを作業性良く安定した状態で保持して回動させることが可能な回動治具として実施可能であり、または、一般の回動治具により回動させられるアイボルトのような締結部品その他、主に環状の頭部を有する機械要素、または固着具として実施可能な、締結用回動体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の本発明は、一端側から与えられる外力により回動可能な軸部と、前記軸部の他端側に設けられた、閉じた又は一部が切り欠かれた環状の外形を有する所定の対象物の内面に接触して前記対象物に引っ掛かる引っ掛かり部とを備え、前記対象物から前記軸部に与えられた回動力に従動して、前記軸部の中心軸を回動軸として回動する締結用回動体であって、前記引っ掛かり部は、前記対象物を引っ掛けた状態で回動する際に前記引っ掛かり部に従動して回動する前記対象物と干渉する面に、前記対象物の正面視及び平面視の形状に応じて前記回動軸に対して回転対称形成されている少なくとも一組の溝部を有し、前記少なくとも一組の溝部のいずれか一つの組は、前記引っ掛かり部が前記対象物を引っ掛けた状態で回動する際に、前記対象物に同時に干渉する、締結用回動体である。
第2の本発明は、前記溝部は、前記軸部の回動軸を含む平面の一方の面側に位置する正面溝と前記平面の他方の面側に位置する背面溝との組を少なくとも1組含み、前記溝部の前記正面溝及び前記背面溝は、前記軸部の回動軸を間に挟んで配置されている、第1の本発明の締結用回動体である。
第3の本発明は、前記溝部は、前記正面溝と前記背面溝との組を2組含んでおり、2組の前記溝部の一方の前記正面溝と2組の前記溝部の他方の前記正面溝とは、前記平面の一方の面側にて前記軸部の回動軸を間に挟んで配置されており、2組の前記溝部の一方の前記背面溝と2組の前記溝部の他方の前記背面溝とは、前記平面の他方の面側にて前記軸部の回動軸を間に挟んで配置されている、第2の本発明の締結用回動体である。
第4の本発明は、前記溝部の前記正面溝及び前記背面溝の配置は、前記軸部の前記回動軸に対して線対称を成している、第2又は第3の本発明の締結用回動体である。
第5の本発明は、前記溝部の前記正面溝の形状及び前記背面溝の形状は、前記平面に直交する方向からの視点において、前記軸部の前記回動軸に対して左右対称を成している、
第2又は第3の本発明の締結用回動体である。
第6の本発明は、前記溝部の組における前記正面溝及び前記背面溝は、前記平面に直交する方向からの視点において、前記軸部の回動軸から離れる向きを凸な略弧状に湾曲している、第2又は第3の本発明の締結用回動体である。
第7の本発明は、前記軸部は、回動力を発生させる機械または器具と脱着自在に結合するシャンク部として働き、前記引っ掛かり部は、先端から前記対象物を引っ掛けるフック部として働き、前記対象物を前記シャンク部に与えられた回動力に従動して回動させる回動治具として働く、第1の本発明の締結用回動体である。
第8の本発明は、第の本発明の、前記回動治具として働く締結用回動体と、前記シャンク部として働く前記軸部の一端側に接続される接続部とを備えた、遠隔操作具である。
第9の本発明は、前記軸部は、外周面に形成された雄ねじまたは内周面に形成された雌ねじのいずれか一方を有し、固着対象に対して螺合する螺合部として働き、前記引っ掛かり部は、フックである前記対象物に引っ掛けられる、環状の頭部として働き、前記対象物からの回動力に従動して前記固着対象に螺合により固着する固着具として働く、第1の本発明の締結用回動体である。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係る締結用回動体によれば、アイボルトのような締結部品その他環状の頭部を有する機械要素、または固着具を対象物として、または、アイボルトのような締結部品その他環状の頭部を有する機械要素、または固着具それ自身として、これらを作業性良く安定した状態で保持して回動させることが可能となる。
【0010】
この発明の上記の目的、その他の目的、特徴及び利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】この発明の実施の形態に係る締結用回動体の一例である回動治具を示す斜視図である。
図2】この発明の実施の形態に係る締結用回動体の一例である回動治具を示す斜視図である。
図3】この発明の実施の形態に係る締結用回動体の一例である回動治具を示す正面図である。
図4】この発明の実施の形態に係る締結用回動体の一例である回動治具を示す背面図である。
図5】この発明の実施の形態に係る締結用回動体の一例である回動治具を示す右側面図である。
図6】この発明の実施の形態に係る締結用回動体の一例である回動治具を示す左側面図である。
図7】この発明の実施の形態に係る締結用回動体の一例である回動治具を示す平面図である。
図8図3に係る線VIII-VIIIにおける断面模式図である。
図9図3に係る線IX-IXにおける断面模式図である。
図10図3に係る線X-Xにおける断面模式図である。
図11】この発明の実施の形態に係る締結用回動体の一例である回動治具の使用状態を示す斜視図である。
図12】この発明の実施の形態に係る締結用回動体の一例である回動治具の使用状態を説明するための断面図である。
図13】この発明の実施の形態に係る締結用回動体の一例である回動治具の使用状態を説明するための断面図である。
図14】この発明に係る締結用回動体の一例である回動治具の溝部を説明するための断面図である。
図15】この発明に係る締結用回動体の一例である回動治具の溝部を説明するための正面図である。
図16】この発明の実施の形態に係る締結用回動体の一例である回動治具を備えた遠隔操作具を示す正面図である。
図17】この発明の実施の形態に係る締結用回動体の一例である固着具を示す斜視図である。
図18】この発明の実施の形態に係る締結用回動体の一例である固着具を示す斜視図である。
図19】この発明の実施の形態に係る締結用回動体の一例である固着具を示す正面図である。
図20】この発明の実施の形態に係る締結用回動体の一例である固着具を示す背面図である。
図21】この発明の実施の形態に係る締結用回動体の一例である固着具を示す右側面図である。
図22】この発明の実施の形態に係る締結用回動体の一例である固着具を示す左側面図である。
図23】この発明の実施の形態に係る締結用回動体の一例である固着具を示す平面図である。
図24図19に係る線XXIV-XXIVにおける断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明の一例として締結用回動体について本実施の形態にて説明する。
【0013】
(1.回動治具)
この発明の実施の形態に係る締結用回動体の一例である回動治具1について説明する。図1及び図2は、この発明の実施の形態に係る回動治具1を示す斜視図である。
【0014】
回動治具1は、図示しない回転工具その他の器具(以下、器具類)と協働して回動し、アイボルト等の対象物を従動させて、当該対象物を回動させるための器具である。回動治具1は、シャンク部10とフック部20とを備える。
【0015】
(シャンク部)
シャンク部10は、器具類とフック部20とを接続し、器具類からのトルクをフック部20に伝達する部位である。シャンク部10は、円、長円、又は楕円状の横断面形状を有する柱状の外形を有し、一端側である突端10aが器具類に脱着自在に接続されることにより当該器具類のトルクを受け、中心軸を回動軸ARとして回動する。シャンク部10の他端側である接続端10bは、フック部20に繋がっている。
【0016】
(フック部)
フック部20は、この発明の引っ掛かり部の一例であり、対象物に引っ掛けられ、器具類からのトルクを直接対象物に伝達させて、これを回動させる部位である。フック部20は、円、長円、又は楕円状の横断面形状を有するとともに外形が略Cの字状に湾曲した本体部21を有する。
【0017】
本体部21は略環状の外形の一部が切り欠かれた態様を有することで略Cの字状の外形を形成する。本体部21は略Cの字状の一端側が、アイボルト等の対象物を引っ掛けるための先端部21Tを形成し、他端側がシャンク部10と連続した基端部21Bを形成する。先端部21Tと基端部21Bとの間には間隙Gが形成され、先端部21Tにより引っ掛けられた対象物の一部は間隙G内を通過する。
【0018】
回動治具1において、シャンク部10及びフック部20は一体成型されている。これにより、シャンク部10の接続端10bと本体部21の基端部21Bとは継ぎ目なく連続した態様にて形成される。回動治具1は鋳鉄等の金属材料を用い精密鋳造により形成されることが好ましいが、鍛造その他任意の手段により形成されるものでもよい。
【0019】
以下の説明においては、回動治具1において、シャンク部10の位置する側を下側、フック部20の位置する側を上側、フック部20の先端部21Tが位置する側を左側、フック部20の先端部21Tと基端部21Bとの間になる側を右側と定める。これにより、シャンク部10の回動軸ARに平行な方向は上下方向となり、フック部20の左右側を結ぶ方向は左右方向となり、これらの方向に直交する方向は前後方向となる。
【0020】
これに基づき、図3を回動治具1の前側を表す正面図として示し、図4を回動治具1の後側を表す背面図として示し、図5を回動治具1の右側面図として示し、図6を回動治具1の左側面図として示し、図7を回動治具1の平面図として示す。図8は、図3に係る線VIII-VIIIにおける断面模式図である。図9は、図3に係る線IX-IXにおける断面模式図である。図10は、図3に係る線X-Xにおける断面模式図である。以後の説明は、上記の方向の定義及び各図に示した直交座標の参照に基づき行う。
【0021】
例えば、フック部20の本体部21の略Cの字状の外形は、図4に示すように、背面視による形状である。また、本体部21は、図7に示すように、シャンク部10の回動軸AR及び先端部21Tを含み、上下方向及び左右方向に広がる仮想的な平面Pの表面側に位置する正面部21aと、平面Pの裏面側に位置する背面部21bに区画される。図1及び4図2の斜視図においては、平面Pによる正面部21a及び背面部21bの境界は、一点鎖線で示される。
【0022】
なお、図3、4に示すように、シャンク部10の回動軸AR及びフック部20の中心Cは、前後方向において重なり、左右方向においてオフセットを有するため、回動治具1において、シャンク部10の回動に対してフック部20は偏心して回動する。しかしながら、フック部20の外径に比してオフセットの値が小さい場合(例:5%未満)は、回動軸AR及びフック部20の中心Cは実質的には同軸配置として扱うことができ、シャンク部10の回動に対してフック部20は偏心することなく回動するものとみなしてもよい。また、回動軸AR及び中心Cは、完全に同軸配置として構成されるものであってもよい。
【0023】
(溝部)
フック部20は、本体部21の表面上に、頂上部分から基端部21Bに向かって延出するように形成された溝部22及び溝部23を有する。
【0024】
溝部22は、本体部21の正面部21aに形成された正面溝22aと、本体部21の背面部21bに形成された背面溝22bとの組である。
【0025】
正面溝22aは、正面視にて、回動軸ARに対して左側に配置される。また、背面溝22bも、背面視にて、回動軸ARに対して左側に配置される。換言すれば、図3及び図4に示すように、本体部21において、正面溝22a及び背面溝22bの配置は、正面及び背面を含む投影面上にて、回動軸ARを中心線とした線対称を成している。
【0026】
正面溝22aは、特に図3に示すように、本体部21の頂上部分の近傍からフック部20の中心Cを越えて先端部21Tの近傍にかけて斜交する向きに延出するとともに、中央部分が上下両端よりも正面視にて左側、すなわち回動軸ARから離れる向きに凸に湾曲した、正面視で略弧状の形状を有する。正面溝22aのこの形状は、フック部20と後述する対象物としてのアイボルトの頭部との関係に基づき形成されることが好ましい。
【0027】
更に、正面溝22aは、図8図10の各々に示すように、本体部21の上下方向に沿って、本体部21における位置及び断面形状が変化する。具体的には、正面溝22aは、本体部21の頂上部分の近傍から先端部21Tの近傍にかけて、本体部21の外周に沿って右から左へ移動している。更に、正面溝22aは、横断面が凹に湾曲した円弧状の輪郭を有し、本体部21の頂上部分の近傍から中央部分にかけて幅及び深さを漸増させ、中央部分から先端部21Tの近傍にかけて幅及び深さを漸減させている。
【0028】
正面溝22aは、図1図3に示すように、当該正面溝22aの両外縁に位置する端縁部22a1、22a2を有する。端縁部22a1、22a2は、図9に示すように、突起している。端縁部22a1、22a2を有することにより、回動治具1の回動時に、アイボルト等の対象物の外縁が、端縁部22a1、22a2を超えて回動治具1から外れることを抑制することができる。
【0029】
背面溝22bは、特に図4に示すように、本体部21の頂上部分の近傍からフック部20の中心Cを越えて先端部21Tとの対向位置の近傍にかけて斜交する向きに延出するとともに、中央部分が上下両端よりも背面視にて左側、すなわち回動軸ARから離れる向きに凸に湾曲した、背面視で略弧状の形状を有する。背面溝22bのこの形状は、フック部20と後述する対象物としてのアイボルトの頭部との関係に基づき形成されることが好ましい。
【0030】
更に、背面溝22bは、図8図10の各々に示すように、本体部21の上下方向に沿って、本体部21における位置及び断面形状が変化する。具体的には、背面溝22bは、本体部21の頂上部分の近傍から先端部21Tとの対向位置の近傍にかけて、本体部21の外周に沿って左から右へ移動している。更に、背面溝22bは、横断面が凹に湾曲した円弧状の輪郭を有し、本体部21の頂上部分の近傍から中央部分にかけて幅及び深さを漸増させ、中央部分から先端部21Tとの対向位置の近傍にかけて幅及び深さを漸減させている。
【0031】
背面溝22bは、図2図4に示すように、当該背面溝22bの両外縁に位置する端縁部22b1、22b2を有する。端縁部22b1、22b2は、図9に示すように、突起している。端縁部22b1、22b2を有することにより、回動治具1の回動時に、アイボルト等の対象物の外縁が、端縁部22b1、22b2を超えて回動治具1から外れることを抑制することができる。
【0032】
溝部23は、本体部21の正面部21aに形成された正面溝23aと、本体部21の背面部21bに形成された背面溝23bとの組である。
【0033】
正面溝23aは、正面視にて、回動軸ARに対して右側に配置される。また、背面溝23bも、背面視にて、回動軸ARに対して右側に配置される。換言すれば、図3及び図4に示すように、本体部21において、正面溝23a及び背面溝23bの配置は、正面及び背面を含む投影面上にて、回動軸ARを中心線とした線対称を成している。
【0034】
正面溝23aは、特に図3に示すように、本体部21の頂上部分の近傍からフック部20の中心Cを越えて先端部21Tとの対向位置の近傍にかけて斜交する向きに延出するとともに、中央部分が上下両端よりも正面視にて右側、すなわち回動軸ARから離れる向きに凸に湾曲した、正面視で略弧状の外観を有する。正面溝23aのこの形状は、フック部20と後述する対象物としてのアイボルトの頭部との関係に基づき形成されることが好ましい。
【0035】
更に、正面溝23aは、図8図10の各々に示すように、本体部21の上下方向に沿って、本体部21における位置及び断面形状が変化する。具体的には、正面溝23aは、本体部21の頂上部分の近傍から先端部21Tとの対向位置の近傍にかけて、本体部21の外周に沿って左から右へ移動している。更に、正面溝23aは、横断面が凹に湾曲した円弧状の輪郭を有し、本体部21の頂上部分の近傍から中央部分にかけて幅及び深さを漸増させ、中央部分から先端部21Tとの対向位置の近傍にかけて幅及び深さを漸減させている。
【0036】
正面溝23aは、図1図3に示すように、当該正面溝23aの両外縁に位置する端縁部23a1、23a2を有する。端縁部23a1、23a2は、図9に示すように、突起している。端縁部23a1、23a2を有することにより、回動治具1の回動時に、アイボルト等の対象物の外縁が、端縁部23a1、23a2を超えて回動治具1から外れることを抑制することができる。
【0037】
背面溝23bは、特に図4に示すように、本体部21の頂上部分の近傍からフック部20の中心Cを越えて先端部21Tの近傍にかけて斜交する向きに延出するとともに、中央部分が上下両端よりも背面視にて右側、すなわち回動軸ARから離れる向きに凸に湾曲した、正面視で略弧状の外観を有する。背面溝23bのこの形状は、フック部20と後述する対象物としてのアイボルトの頭部との関係に基づき形成されることが好ましい。
【0038】
更に、背面溝23bは、図8図10の各々に示すように、本体部21の上下方向に沿って、本体部21における位置及び断面形状が変化する。具体的には、背面溝23bは、本体部21の頂上部分の近傍から先端部21Tの近傍にかけて、本体部21の外周に沿って右から左へ移動している。更に、背面溝23bは、横断面が凹に湾曲した円弧状の輪郭を有し、本体部21の頂上部分の近傍から中央部分にかけて幅及び深さを漸増させ、中央部分から先端部21Tの近傍にかけて幅及び深さを漸減させている。
【0039】
背面溝23bは、図2図4に示すように、当該背面溝23bの両外縁に位置する端縁部23b1、23b2を有する。端縁部23b1、23b2は、図9に示すように、突起している。端縁部23b1、23b2を有することにより、回動治具1の回動時に、アイボルト等の対象物の外縁が、端縁部23b1、23b2を超えて回動治具1から外れることを抑制することができる。
【0040】
更に、本体部21において、溝部22及び溝部23の配置は、回動軸ARを中心線として線対称を成している。これにより、図3に示すように、正面視で、溝部22の正面溝22aと溝部23の正面溝23aとは、回動軸ARを間に挟んで、それぞれ左右に分かれて配置される。同様に、図4に示すように、背面視で、溝部22の背面溝22bと溝部23の背面溝23bとは、回動軸ARを間に挟んで、それぞれ左右に分かれて配置される。
【0041】
この場合において、正面溝22aの形状と正面溝23aの形状は回転軸ARを中心線として線対称である。したがって、仮想的に回動軸ARを折り線として折り畳むと、正面溝22aと正面溝23aとは重なりあって一致する。同様に、背面溝22bの形状と背面溝23bの形状は回転軸ARを中心線として線対称である。したがって、仮想的に回動軸ARを折り線として折り畳むと、正面溝22aと正面溝23aとは重なりあって一致する。
【0042】
以上の構成を備えたこの発明の実施の形態による回動治具1は、溝部22及び溝部23を有するフック部20を備えたことにより、対象物を、作業性良く安定した状態で保持して回動させる。特に、例えば、回動治具1を回転させるために、電動ドリル等の駆動モータを用いて比較的、高速回転させても、本回動治具1は、対象物を安定した状態で保持したうえで回転させることができる。
【0043】
(動作)
以下、図11乃至図13を参照して、回動治具1の動作を説明する。この動作説明では、アイボルト100が台座200に螺合されており、そのアイボルト100を脱着する動作として説明する。
【0044】
図11は、治具1の操作の対象物となるアイボルト100と回動治具1とが組み合わされた状態を模式的に示す斜視図である。図12及び図13は、図11の状態において回動治具1を動作させた場合における、図9に相当する断面に対応する説明図である。
【0045】
図11に示すように、回動治具1の対象物となるアイボルト100は、台座200に螺合するボルト本体110とボルト本体110の端部と一体成型された頭部120とを有する。
【0046】
ボルト本体110には右ねじが切られており、頭部120から見て右回り(時計回り方向)に回動することで台座200に接近し、左回り(反時計回り方向)に回動することで台座200から離隔する。
【0047】
頭部120は、ボルト本体110の回動軸を含む平面視で切れ目のない環状の外形を有し、中央部分は開口120xを形成している。
【0048】
図示する例では、アイボルト100は台座200に螺合した状態で頭部120が鉛直方向下方へと突き出した態様を有する。
【0049】
回動治具1は、フック部20の先端部21Tを開口120xに挿入することによりフック部20を頭部120に引っ掛けることで、アイボルト100に組み合わされる。
【0050】
(接近時)
アイボルト100を台座200に接近させる動作は、頭部120にフック部20が引っ掛けられた状態の回動治具1を、図12に示すように、図中白矢印の通り上から見て左回り(頭部120から見て右回り)に回動させることにより行う。すなわち、回動治具1のフック部20は、フック部20の回動軸ARを挟んで、図中黒矢印の通り本体部21の正面部21a及び背面部21bが互いに相反する方向からアイボルト100の頭部120の両端にそれぞれ干渉し、押圧することにより、アイボルト100をフック部20と同一の向きに従動させて回動させる。
【0051】
この際、アイボルト100の頭部120において、本体部21の正面部21aと対向する表面120a2は、正面部21aに形成された正面溝22aに嵌まりこむ。一方、本体部21の背面部21bと対向する表面120b1は、背面部21bに形成された背面溝22bに嵌まりこむ。
【0052】
更に、図11に示すように、頭部120の表面120a2は、正面溝22aに嵌まり込んだ状態で、上下方向及び左右方向の移動が規制される。図11中死角に位置する頭部120の表面120b1も、フック部20の背面溝22bに嵌まり込んだ状態で、上下方向及び左右方向の移動が規制される。
【0053】
これにより、回動治具1の回動によるアイボルト100の従動に際しては、フック部20と頭部120とは、面接触するとともに、溝部22及び溝部23内にて上下方向および左右方向の移動が互いに規制された状態が保持される。
【0054】
なお、図3に示すように、フック部20の本体部21の略C字の中心線Oとし、正面溝22aにおいて、中心線Oと端縁部22a1との交点をP1とし、中心線Oと端縁部22a2との交点をP2としたとき、交点P1と交点P2との直線距離を正面溝22aの幅w1とする。そして、図12に示すように、アイボルト100の表面120a2及び表面120b1の幅w2とする。このとき、0.8≦w2/w1≦1.0の条件を満たすことが好ましい。これにより、アイボルト100を正面溝22aにより安定して保持することができる。その結果、アイボルト100の頭部120を安定して嵌めこませることが可能となる。なお、このようなw2/w1の関係は、背面溝22b、正面溝23aおよび背面溝22bについても同様である。
【0055】
また、図4および図12に示すように、フック部20の本体部21の略C字の中心線Oとし、背面溝22bにおいて、中心線Oと端縁部22b1との交点をP3とし、中心線Oと端縁部22b2との交点をP4としたとき、交点P3と交点P4との直線に対して背面溝22bの最下点までの垂直方向の距離を背面溝22bの深さt1とし、アイボルト100の頭部120の厚みt2とする。このとき、2.6≦t2/t1≦3.3の条件を満たすことが好ましい。これにより、アイボルト100を背面溝22bにより安定して保持することができる。その結果、アイボルト100の頭部120を安定して嵌めこませることが可能となる。なお、このようなt2/t1の関係は、正面溝22a、正面溝23aおよび背面溝22bについても同様である。
【0056】
(離隔時)
アイボルト100を台座200から離隔させる動作は、頭部120にフック部20が引っ掛けられた状態の回動治具1を、図13に示すように、図中白矢印の通り上から見て右回り(頭部120から見て左回り)に回動させることにより行う。すなわち、回動治具1のフック部20は、フック部20の回動軸ARを挟んで、図12とは逆向きの図中黒矢印の通り本体部21の正面部21a及び背面部21bが互いに相反する方向からアイボルト100の頭部120の両端にそれぞれ干渉し、押圧することにより、アイボルト100を従動させる。
【0057】
この際、アイボルト100の頭部120において、本体部21の背面部21bと対向する表面120a1は、正面部21aに形成された正面溝23aに嵌まりこむ。一方、本体部21の背面部21bと対向する表面120b2は、背面部21bに形成された背面溝23bに嵌まりこむ。
【0058】
更に、締結時と同様、頭部120において、表面120b2は背面溝23bに、表面120a1は正面溝23aにそれぞれ嵌まり込んだ状態で、正面視又は背面視にて上下方向及び左右方向の移動が規制される。
【0059】
これにより、回動治具1の回動によるアイボルト100の従動に際しては、フック部20と頭部120とは、面接触するとともに、溝部22及び溝部23内にて上下方向および左右方向の移動が互いに規制された状態が保持される。
【0060】
なお、溝部23の幅は、表面120b2及び表面120a1の幅に対し、80%以上であることが好ましい。これにより、アイボルト100の頭部120を良好に嵌めこませることが可能となる。また、溝部22の深さは、アイボルト100の頭部120の厚みに対し、最大となる箇所で20%以上であることが好ましい。これにより、アイボルト100の頭部120を安定して嵌めこませることが可能となる。
【0061】
以上、説明したように、この発明の実施の形態による回動治具1においては、溝部22及び溝部23を有するフック部20を備えたことにより、アイボルト100のような対象物を、溝部22及び溝部23に嵌めこんだ状態で、回動治具1の回動軸ARに沿った上下方向、並びに回動軸ARに直交する左右方向及び前後方向のいずれに沿っても移動が規制されて、安定した状態で保持したまま、回動させることができる。
【0062】
更に、この発明の実施の形態による回動治具1においては、フック部20とアイボルト100の頭部120との組み合わせを、フック部20の先端部21Tを開口120xに挿入することによりフック部20を頭部120に引っ掛けることで行なう。先端部21Tの挿入は、アイボルト100の回動軸方向に交差する任意の側面から行うことができるため、視認性が良好な状態で行うことができる。また、フック部20の先端部21Tの形状及び寸法に比して開口120xの正面形状及び寸法は大きいため、位置合わせの精度に大きなマージンが確保される。これらにより、回動治具1とアイボルト100との組み合わせはより簡便に行うことができ、作業性が向上する。
【0063】
したがって、この発明の実施の形態による回動治具1によれば、アイボルトのような対象物を、作業性良く安定した状態で保持して回動させることが可能となる。
【0064】
(溝部の位置及び形状)
溝部22の正面溝22a及び背面溝22b並びに溝部23の正面溝23a及び背面溝23bの平面視の形状は、フック部20と対象物としてのアイボルト100の頭部120との関係に基づき形成されることが好ましいとしたが、具体的には、溝部22及び溝部23の位置及び形状は、以下のように定められることが好ましい。
【0065】
以下、溝部22を例にとり説明する。図14は、回動治具1のフック部20とアイボルト100の頭部120とが組み合わされた状態を模式的に示す、図10に相当する断面に対応する説明図である。図15は、回動治具1のフック部20とアイボルト100の頭部120とが組み合わされた状態を模式的に示す、図3の正面図に対応する説明図である。
【0066】
図14に示すように、フック部20の正面部21aは、アイボルト100の頭部120の一方側の端部120aに対向する面Oaを含み、フック部20の背面部21bは、アイボルト100の頭部120の他方側の端部120bに対向する面Obを含む。面Oa及び面Obは、上下方向、すなわち回動軸ARに沿って正面部21a及び背面部21bの各々における左右方向の位置及び寸法(幅)が連続的に変化しており、この回動軸ARに沿った面Oa及び面Obの変化が、正面視及び背面視による溝部22の形状を与える。
【0067】
ここで、面Oa及び面Obの各々の左右方向の位置並び幅の変化の態様は、フック部20及びアイボルト100の頭部120の位置及び形状並びに組み合わせの態様に基づき規定される。具体的には、図15に示すように、フック部20とアイボルト100の頭部120との組み合わせにおいて、フック部20の中心Cはアイボルト100の頭部120の中心CIよりも下方にオフセットしている。また、フック部20の外径は頭部120の外径よりも大きくなっている。
【0068】
これにより、フック部20の回動の際に正面視でフック部20とアイボルト100の頭部120とが重なりあう面が、回動軸ARから離れる向きを凸に湾曲している面Oaとして得られる。同様に、背面視でフック部20とアイボルト100の頭部120とが重なりあう面が、回動軸ARから離れる向きを凸に湾曲している面Obとして得られる。
【0069】
正面部21aにおいて正面溝22aを面Oaに沿って形成し、背面部21bにおいて背面溝22bを面Obに沿って形成することにより、フック部20をアイボルト100の頭部120に組み合わせ、フック部20を上からみて左回りに回動させた際に、アイボルト100の頭部120が必ず正面溝22a及び背面溝22bの各々に嵌まり込んだ状態を得ることができる。
【0070】
正面溝22a及び背面溝22bの横断面は、凹に湾曲した円弧状の輪郭を有することが好ましい。また、正面溝22a及び背面溝22bの横断面は、その一部に平面部を有していてもよい。具体的には、図14に示すように、アイボルト100の頭部120の横断面の形状に対応していることが、より好ましい。また、溝部22の深さは、図8~10に示したように、面Oa及びOb上の位置に応じて異ならせてもよいし、任意の位置で同一寸法であるとしてもよい。
【0071】
同様に、溝部23を得る場合は以下のようになる。すなわち、図14に示す組み合わせの状態において、フック部20を頭部120に対して、図中黒矢印の逆向きとして上から見て右回りに回動すると、図示していないが、フック部20の背面部21bはアイボルト100の頭部120の他方側の端部120bに対向する面を含み、フック部20の正面部21aはアイボルト100の頭部120の一方側の端部120aに対向する面を含むこととなる。
【0072】
これら各々の面に沿って正面溝23a及び背面溝23bを形成することにより、フック部20をアイボルト100の頭部120に組み合わせ、フック部20を上から見て右回りに回動させた際に、頭部120を必ず正面溝23a及び背面溝23bの各々に嵌まり込んだ状態を得ることができる。
【0073】
なお、フック部20の中心Cと頭部120の中心CIとの上下方向のオフセットの距離を異ならせることにより、面Oa及び面Obの湾曲の態様を異ならせるようにしてもよい。具体的には、オフセットの距離を大きくとることにより、正面溝23a及び背面溝23bの各々の頂点(すなわち、回動軸ARから最も離れた点)の位置を下方にシフトさせることができる。
【0074】
また、フック部20の中心Cと頭部120の中心CIとの上下方向のオフセットの範囲に対応した全ての頂点を含むように、正面溝23a及び背面溝23bの形状を定めてもよい。
【0075】
また、フック部20の中心Cと頭部120の中心CIを左右方向にオフセットするようにしてもよい。これにより、面Oa及び面Obの位置及び形状の各々を、回動軸ARに対して左右非対称に異ならせることができる。
【0076】
これにより、回動治具1が回動させる対象となる対象物の種類や用途に応じて、溝部22及び溝部23を適切な形状にて形成して、対象物を作業性良く安定した状態で保持して回動させることが可能となる。
【0077】
以上のように、溝部22及び溝部23は、フック部20が、アイボルト100のような対象物を先端部21Tに引っ掛けた状態で回動する際にフック部20に従動して回動する対象物と対向する面に対象物の表面形状に沿って形成されるものであればよい。
【0078】
したがって、図3図13を参照した上記の説明においては、回動治具1の溝部22における正面溝22a及び背面溝22bの配置は、正面視又は背面視にて、回動軸ARに対して左右対称であるとしたが、正面溝22a及び背面溝22bは、回動軸ARを間に挟んで配置される関係であればよい。同様に、溝部23における正面溝23a及び背面溝23bの配置も、正面視又は背面視にて、回動軸ARを間に挟んで配置される関係であればよい。
【0079】
ただし、正面溝22a及び背面溝22b並びに正面溝23a及び背面溝23bの配置の各々を、回動軸ARに対して左右対称とすることは、回動治具1の軸ブレを抑制して安定して回動させることができ、より好ましい。
【0080】
さらに、回動治具1の溝部22における正面溝22a及び背面溝22bの形状は、正面視又は背面視にて、回動軸ARに対して左右対称であるとしたが、左右非対称であってもよい。同様に、溝部23における正面溝23a及び背面溝23bの形状も、正面視又は背面視にて、回動軸ARに対して左右非対称であってよい。
【0081】
ただし、正面溝22a及び背面溝22b並びに正面溝23a及び背面溝23bの形状の各々を、回動軸ARに対して左右対称とすることは、回動治具1の軸ブレを抑制して安定して回動させることができ、より好ましい。
【0082】
(2.固着具)
この発明の実施の形態に係る締結用回動体の一例である固着具3について説明する。図17及び図18は、この発明の実施の形態に係る固着具3を示す斜視図である。
固着具3は、図示しない器具類と協働して回動する回動治具により回動させられて、固着対象に締結により固着される。固着具3は、螺合部30と頭部40とを備える。
【0083】
(螺合部)
螺合部30は、回動治具が生じさせるトルクを頭部40から伝達されて、固着対象に直接締結される部位である。螺合部30は、円柱状の外形を有し、外周面に雄ねじ31が形成されている。固着具3は、螺合部30の一端側である突端30aが固着対象の図示しない雌ねじに嵌めこまれ、回動治具により回動させられることにより当該器具類のトルクを受け、螺合部30の中心軸を回動軸ARとして回動して、固着対象に螺合する。螺合部30の他端側である接続端32は、頭部40に繋がっている。
【0084】
(頭部)
頭部40は、この発明の引っ掛かり部の一例であり、回動治具の先端に設けられた、対象物としてのフックに引っ掛けられ、器具類からのトルクを螺合部30に伝達させて、これを回動させる部位である。頭部40は、円、長円、又は楕円状の横断面形状を有するとともに、正面視で、螺合部30の接続端32とともに円環状の外形を有する。
【0085】
頭部40は、正面視で円状の空隙CLを有する。空隙CLにフックが挿入されることで、頭部40は当該フックに引っ掛けられる。
【0086】
固着具3において、螺合部30及び頭部40は一体成型されている。これにより、螺合部30の接続端32と頭部40とは継ぎ目なく連続した態様にて形成される。固着具3は鋳鉄等の金属材料を用い精密鋳造により形成されることが好ましいが、鍛造その他任意の手段により形成されるものでもよい。
【0087】
以下の説明においては、固着具3において、螺合部30の位置する側を下側、頭部40の位置する側を上側と定める。正面視で頭部40の雄ねじ31の傾斜が下向きの側を左側、雄ねじ31の傾斜が上向きの側を右側と定める。これにより、螺合部30の回動軸ARに平行な方向は上下方向となり、頭部40の左右側を結ぶ方向は左右方向となり、これらの方向に直交する方向は前後方向となる。
【0088】
これに基づき、図19を固着具3の前側を表す正面図として示し、図20を固着具3の後側を表す背面図として示し、図21を固着具3の右側面図として示し、図22を固着具3の左側面図として示し、図23を固着具3の平面図として示す。図24は、図19に係る線XXIV-XXIVにおける断面模式図である。以後の説明は、上記の方向の定義及び各図に示した直交座標の参照に基づき行う。
【0089】
頭部40は、図17及び図18に示すように、螺合部30の回動軸AR及び頭部40の中心Cを含み、上下方向及び左右方向に広がる仮想的な平面Pの表面側に位置する正面部41aと、平面Pの裏面側に位置する背面部41bに区画される。図17及び図18の斜視図においては、平面Pによる正面部41a及び背面部41bの境界は、一点鎖線で示される。
【0090】
なお、螺合部30の回動軸AR上に頭部40の中心Cが、図中においては位置するものとして示したが、前後方向において重なり、左右方向においてオフセットを有していてもよい。
【0091】
(溝部)
頭部40は、その表面上に、頂上部分から下方に螺合部30に向かって延出するように形成された溝部42及び溝部43を有する。
【0092】
溝部42は、頭部40の正面部41aに形成された正面溝42aと、頭部40の背面部41bに形成された背面溝42bとの組である。
【0093】
正面溝42aは、正面視にて、回動軸ARに対して左側に配置される。また、背面溝22bも、背面視にて、回動軸ARに対して左側に配置される。換言すれば、図19及び図20に示すように、頭部40において、正面溝42a及び背面溝42bの配置は、正面及び背面を含む投影面上にて、回動軸ARを中心線とした線対称を成している。
【0094】
正面溝42aは、特に図19に示すように、頭部40の頂上部分の近傍から頭部40の中心Cを越えて周側に向かって斜交する向きに延出するとともに、中央部分が上下両端よりも正面視にて左側、すなわち回動軸ARから離れる向きに凸に湾曲した、正面視で略弧状の形状を有する。正面溝42aのこの形状は、頭部40と対象物としての回動治具のフックの形状との関係に基づき形成されることが好ましい。
【0095】
更に、正面溝42aは、回動治具1の正面溝22aと同様に、頭部40の上下方向に沿って、本体部21における位置及び断面形状が変化する。具体的には、正面溝42aは、上端から中心Cの近傍にかけて、頭部40の外周に沿って右から左へ移動している。更に、正面溝42aは、横断面が凹に湾曲した円弧状の輪郭を有し、上端から中央部分にかけて幅及び深さを漸増させ、中央部分から下端にかけて幅及び深さを漸減させている。
【0096】
正面溝42aは、図17図19に示すように、当該正面溝42aの両外縁に位置する端縁部42a1、42a2を有する。端縁部42a1、42a2は、図24に示すように、突起している。端縁部42a1、42a2を有することにより、固着具3の回動時に、対象物としての回動治具のフックの外縁が、端縁部42a1、42a2を超えて固着具3から外れることを抑制することができる。
【0097】
背面溝42bは、特に図20に示すように、頭部40の頂上部分の近傍から頭部40の中心Cを越えて周側に向かって斜交する向きに延出するとともに、中央部分が上下両端よりも正面視にて左側、すなわち回動軸ARから離れる向きに凸に湾曲した、背面視で略弧状の形状を有する。背面溝42bのこの形状は、頭部40と対象物としての回動治具のフックの形状との関係に基づき形成されることが好ましい。
【0098】
更に、背面溝42bは、回動治具1の背面溝22bと同様に、頭部40の上下方向に沿って、本体部21における位置及び断面形状が変化する。具体的には、背面溝42bは、上端から中心Cの近傍にかけて、頭部40の外周に沿って右から左へ移動している。更に、背面溝42bは、横断面が凹に湾曲した円弧状の輪郭を有し、上端から中央部分にかけて幅及び深さを漸増させ、中央部分から下端にかけて幅及び深さを漸減させている。
【0099】
背面溝42bは、図18図20に示すように、当該背面溝42bの両外縁に位置する端縁部42b1、42b2を有する。端縁部42b1、42b2は、図24に示すように、突起している。端縁部42b1、42b2を有することにより、固着具3の回動時に、対象物としての回動治具のフックの外縁が、端縁部42b1、42b2を超えて固着具3から外れることを抑制することができる。
【0100】
溝部43は、頭部40の正面部41aに形成された正面溝43aと、頭部40の背面部41bに形成された背面溝43bとの組である。
【0101】
正面溝43aは、正面視にて、回動軸ARに対して右側に配置される。また、背面溝43bも、背面視にて、回動軸ARに対して右側に配置される。換言すれば、図19及び図20に示すように、頭部40において、正面溝43a及び背面溝43bの配置は、正面及び背面を含む投影面上にて、回動軸ARを中心線とした線対称を成している。
【0102】
正面溝43aは、特に図19に示すように、頭部40の頂上部分の近傍から頭部40の中心Cを越えて周側に向かって斜交する向きに延出するとともに、中央部分が上下両端よりも正面視にて右側、すなわち回動軸ARから離れる向きに凸に湾曲した、正面視で略弧状の形状を有する。正面溝43aのこの形状は、頭部40と対象物としての回動治具のフックの形状との関係に基づき形成されることが好ましい。
【0103】
更に、正面溝43aは、回動治具1の正面溝23aと同様に、頭部40の上下方向に沿って、本体部21における位置及び断面形状が変化する。具体的には、正面溝43aは、上端から中心Cの近傍にかけて、頭部40の外周に沿って左から右へ移動している。更に、正面溝43aは、横断面が凹に湾曲した円弧状の輪郭を有し、上端から中央部分にかけて幅及び深さを漸増させ、中央部分から下端にかけて幅及び深さを漸減させている。
【0104】
正面溝43aは、図17図19に示すように、当該正面溝43aの両外縁に位置する端縁部43a1、43a2を有する。端縁部43a1、43a2は、図24に示すように、突起している。端縁部43a1、43a2を有することにより、固着具3の回動時に、対象物としての回動治具のフックの外縁が、端縁部43a1、43a2を超えて固着具3から外れることを抑制することができる。
【0105】
背面溝43bは、特に図20に示すように、頭部40の頂上部分の近傍から頭部40の中心Cを越えて周側に向かって斜交する向きに延出するとともに、中央部分が上下両端よりも正面視にて右側、すなわち回動軸ARから離れる向きに凸に湾曲した、背面視で略弧状の形状を有する。背面溝43bのこの形状は、頭部40と対象物としての回動治具のフックの形状との関係に基づき形成されることが好ましい。
【0106】
更に、背面溝43bは、回動治具1の背面溝23bと同様に、頭部40の上下方向に沿って、頭部40における位置及び断面形状が変化する。具体的には、背面溝43bは、上端から中心Cの近傍にかけて、頭部40の外周に沿って左から右へ移動している。更に、背面溝42bは、横断面が凹に湾曲した円弧状の輪郭を有し、上端から中央部分にかけて幅及び深さを漸増させ、中央部分から下端にかけて幅及び深さを漸減させている。
【0107】
背面溝43bは、図18図20に示すように、当該背面溝43bの両外縁に位置する端縁部43b1、43b2を有する。端縁部43b1、43b2は、図24に示すように、突起している。端縁部43b1、43b2を有することにより、固着具3の回動時に、対象物としての回動治具のフックの外縁が、端縁部43b1、43b2を超えて固着具3から外れることを抑制することができる。
【0108】
更に、頭部40において、溝部42及び溝部43の配置は、回動軸ARを中心線として線対称を成している。これにより、図19に示すように、正面視で、溝部42の正面溝42aと溝部43の正面溝43aとは、回動軸ARを間に挟んで、それぞれ左右に分かれて配置される。同様に、図20に示すように、背面視で、溝部22の背面溝42bと溝部43の背面溝43bとは、回動軸ARを間に挟んで、それぞれ左右に分かれて配置される。
【0109】
この場合において、正面溝42aの形状と正面溝43aの形状は回転軸ARを中心線として線対称である。したがって、仮想的に回動軸ARを折り線として折り畳むと、正面溝42aと正面溝43aとは重なりあって一致する。同様に、背面溝42bの形状と背面溝43bの形状は回転軸ARを中心線として線対称である。したがって、仮想的に回動軸ARを折り線として折り畳むと、正面溝42aと正面溝43aとは重なりあって一致する。
【0110】
以上の構成を備えたこの発明の実施の形態による固着具3は、溝部42及び溝部43を有する頭部40を備えたことにより、対象物としてのフックに接続された回動治具は、固着具3を作業性良く安定した状態で保持して回動させることができる。特に、例えば、回動治具を回転させるために、電動ドリル等の駆動モータを用いて比較的、高速回転させても、回動治具は、固着具3を安定した状態で保持したうえで回転させることができる。
【0111】
(動作)
固着具3における頭部40の溝部42及び溝部43の構成は、回動治具1における本体部21の溝部22及び溝部23の構成に対応しており、回動治具のフックと固着具3とが組み合わされた状態は、回動治具1のフック部20とアイボルト100とが組み合わされた状態に対応している。
【0112】
すなわち、回動治具により固着具3が固着対象に脱着する動作は、図11乃至図13を参照して説明した、回動治具1によるアイボルト100の脱着する動作と同様の作用に基づき行われる。
【0113】
したがって、この発明の実施の形態による固着具3においては、溝部42及び溝部43を有する頭部40を備えたことにより、回動治具のフックのような対象物を、溝部42及び溝部43に嵌めこんだ状態で、固着具3の回動軸ARに沿った上下方向、並びに回動軸ARに直交する左右方向及び前後方向のいずれに沿っても移動が規制されて、安定した状態で保持したまま、回動させることができる。
【0114】
更に、この発明の実施の形態による固着具3においては、従来の回動治具と同様、フックと固着具3の頭部40との組み合わせは、フックを空隙CLに挿入することによりフックを頭部40に引っ掛けることで行なわれる。フックの挿入は、固着具3の回動軸方向に交差する任意の側面から行うことができるため、視認性が良好な状態で行うことができる。また、フックの先端の形状及び寸法に比して空隙CLの正面形状及び寸法は大きいため、位置合わせの精度に大きなマージンが確保される。これらにより、回動治具と固着具3との組み合わせを簡便に行われ、作業性が損なわれることはない。
【0115】
したがって、この発明の実施の形態による固着具3によれば、回動治具のフックのような対象物が作業性良く安定した状態で当該固着具3を保持させて回動させることを可能としている。
【0116】
(溝部の位置及び形状)
固着具3における頭部40の溝部42及び溝部43の構成は、回動治具1における本体部21の溝部22及び溝部23の構成に対応している。
【0117】
すなわち、溝部42の正面溝42a及び背面溝42b並びに溝部43の正面溝43a及び背面溝43bの平面視の形状は、対象物としてのフックと頭部40との関係に基づき形成されることが好ましいとしたが、具体的には、溝部42及び溝部43の位置及び形状は、図14及び図15を参照して説明した、フック部20の本体部21の溝部22及び溝部23の位置及び形状と同様に定められることが好ましい。また、頭部40の溝部42及び溝部43の位置及び形状も、フック部20の本体部21の溝部22及び溝部23の位置及び形状と同様に異ならせるようにしてもよい。
【0118】
(3.遠隔操作具)
この発明の実施の形態に係る遠隔操作具の一例である遠隔操作具2について説明する。図16は、この発明の実施の形態に係る遠隔操作具2を示す斜視図である。
【0119】
遠隔操作具2は、回動治具1と協働する器具類の例である。遠隔操作具2は、タイスティック210と接続部211とを備える。
【0120】
タイスティック210は、複数の部材を連結してなる竿状の部位で、一端側を手元側とし、操作者による操作を受け付ける。
【0121】
接続部211は、回動治具1のシャンク部10に装着される部位で、遠隔操作具2と回動治具1を一体化させる。
【0122】
このような遠隔操作具2は、タイスティック210の操作により、回動治具1を回動させ、上述した回動動作を行わせることができる。
【0123】
なお、遠隔操作具2の使用例としては、電線、ワイヤ等の工事に用いられる掴線器や張線器の調節に用いることができる。すなわち、掴線器や張線器には開度や角度を調節するために頭部の平面形状が環状のアイリングが設けられており、遠隔操作具2の先端部として回動治具1を用いてアイリングを操作することにより、これら掴線器や張線器の開度や角度を作業性良く安定した状態で保持して調節することが可能となる。
【0124】
なお、回動治具1と協働する器具類は、回転工具のチャックのように、シャンク部10を装着してフック部20を回動させる機能を有することができるものであれば、周知慣用されるものを含め、任意の工具、器具であってよい。
【0125】
(4.変形例)
この発明の実施の形態による回動治具1においては、フック部20は、溝部22及び溝部23の2組の溝部を有するものとしたが、溝部22及び溝部23のいずれか一方の組を選択的に有するものとしてもよい。
【0126】
この場合において、溝部22又は溝部23の選択は、対象物の使用目的に応じて定めることが好ましい。すなわち、回動治具1による対象物の回動が締結動作のみを目的とする場合は、フック部20の正面部21a又は背面部21bのうち、対象物の締結に応じた回動方向にて対象物と相対する側に溝部22又は溝部23が形成されるようにすることが好ましい。同様に、回動治具1による対象物の回動が締結を解除させる動作のみを目的とする場合は、正面部21a又は背面部21bのうち、締結の解除に応じた回動方向にて対象物と相対する側にのみ溝部22又は溝部23が形成されるようにすることが好ましい。
【0127】
この発明の実施の形態による回動治具1においては、フック部20は、本体部21は略環状の外形の一部が切り欠かれた態様を有することで、正面視又は背面視で略Cの字状の外形を形成するとしたが、フック部20は、先端から対象物を引っ掛けることができるものであれば、長円形、矩形その他、任意の外形を有するものとしてもよい。
【0128】
この発明の実施の形態による回動治具1においては、当該回動治具1による回動の対象物は主にアイボルト100を例とするアイボルトとしたが、対象物は、フック部20に引っ掛けられて、回動治具1の回動に従動して回動するものであって、回動時に溝部22又は溝部23に嵌め込まれた状態とすることができるものであればよい。したがって、対象物は、アイナットや、上述したアイリングを含め、任意の目的、用途を有する機械要素、固着具であってもよい。
【0129】
また、この発明の実施の形態による固着具3においては、頭部40は、溝部42及び溝部43の2組の溝部を有するものとしたが、溝部42及び溝部43のいずれか一方の組を選択的に有するものとしてもよい。
【0130】
この場合において、溝部42又は溝部43の選択は、固着対象に応じて定めることが好ましい。すなわち、対象物としての回動治具のフックの回動が締結動作のみを目的とする場合は、頭部40の正面部41a又は背面部41bのうち、対象物による締結に応じた回動方向にて対象物と相対する側に溝部42又は溝部43が形成されるようにすることが好ましい。
【0131】
この発明の実施の形態による固着具3においては、頭部40は螺合部30の接続端32とともに円環状の外形を有するとしたが、フックにより引っ掛けられることができる環状の形状であれば、長円形、楕円形、矩形その他、任意の外形を有するものとしてもよい。
【0132】
この発明の実施の形態による固着具3においては、当該固着具3の例はアイボルトとしたが、固着具は、対象物としての回動治具のフックに引っ掛けられて、回動治具の回動に従動して回動するものであって、回動時に溝部22又は溝部23に嵌め込まれた状態とすることができるものであればよい。したがって、固着具は、アイボルトのほか、アイナットを含め、任意の目的、用途を有する機械要素、固着具であってもよい。
【0133】
更に、この発明の実施の形態による締結用回動体は、回動治具1又は固着具3であるとしたが、この発明の締結用回動体は、一端側から与えられる外力により回動可能な軸部と、前記軸部の他端側に設けられた、所定の対象物に対して引っ掛かる引っ掛かり部とを備え、前記対象物から前記軸部に与えられた回動力に従動して回動するものであれば、任意の目的、用途を有する他の工具又は機械要素であってもよい。
【0134】
以上のように、この発明の実施の形態は、前記記載で開示されているが、この発明は、これに限定されるものではない。
【0135】
すなわち、この発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施の形態及び各変形例に対し、機序、形状、材質、数量、位置又は配置等に関して、様々の変更を加えることができるものであり、それらは、この発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0136】
1 回動治具
2 遠隔操作具
3 固着具
10 シャンク部
10a、30a 突端
10b、32 接続端
20 フック部
21a、41a 正面部
21b、41b 背面部
21B 基端部
21T 先端部
21 本体部
22、23、42、43 溝部
22a、23a、42a、43a 正面溝
22b、23b、42b、43b 背面溝
22a1、22a2、22b1、22b2、23a1、23a2、23b1、23b2、42a1、42a2、42b1、42b2、43a1、43a2、43b1、43b2 端縁部
30 螺合部
31 雄ねじ
40、120 頭部
100 アイボルト
110 ボルト本体
120a、120b 端部
120a1、120a2、120b1、120b2 表面
120x 開口
200 台座
210 タイスティック
211 接続部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図12
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