(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-10-02
(45)【発行日】2025-10-10
(54)【発明の名称】遠隔操作システム
(51)【国際特許分類】
H04Q 9/00 20060101AFI20251003BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20251003BHJP
G05D 1/00 20240101ALI20251003BHJP
【FI】
H04Q9/00 301B
G08G1/09 V
G08G1/09 F
G05D1/00
(21)【出願番号】P 2022183848
(22)【出願日】2022-11-17
【審査請求日】2025-01-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002941
【氏名又は名称】弁理士法人ぱるも特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 和士
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 雅也
(72)【発明者】
【氏名】大曲 祐子
(72)【発明者】
【氏名】小林 寛征
【審査官】山中 実
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-22318(JP,A)
【文献】特開2018-77649(JP,A)
【文献】特開2016-136192(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
G08G 1/09
G05D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔制御装置と遠隔操作装置とを備え、車両の周囲の映像を含んだ車両情報を取得し、前記車両に遠隔操作量を出力する遠隔操作システムであって、
前記遠隔制御装置は、
前記車両と通信を行う第1制御通信部と、
複数の前記遠隔操作装置と通信を行う第2制御通信部と、
前記遠隔操作量を求める遠隔操作量演算部と、
ランダムに選んだ3つの前記遠隔操作装置を選択遠隔操作装置として選択する操作装置選択部とを備え、
前記遠隔操作装置は、
前記遠隔制御装置と通信を行う操作通信部と、
前記車両情報を表示する表示部と、
操作量を検出して個別遠隔操作量として出力する操作量検出部とを備え、
前記遠隔操作量演算部は、
それぞれの前記選択遠隔操作装置から前記個別遠隔操作量を取得し、
前記個別遠隔操作量の類似性が最も高い2つの前記選択遠隔操作装置を最終遠隔操作装置として選択し、
2つの前記最終遠隔操作装置から取得した2つの前記個別遠隔操作量のいずれかの値、あるいは、2つの最終遠隔操作装置から取得した2つの前記個別遠隔操作量の平均値を、前記遠隔操作量とすることを特徴とする遠隔操作システム。
【請求項2】
前記操作装置選択部は、異なる拠点にある前記遠隔操作装置を前記選択遠隔操作装置として選択することを特徴とする請求項1に記載の遠隔操作システム。
【請求項3】
前記表示部は、前記選択遠隔操作装置の前記個別遠隔操作量を表示することを特徴とする請求項1または2に記載の遠隔操作システム。
【請求項4】
前記遠隔操作量演算部は、前記選択遠隔操作装置の前記個別遠隔操作量から操作ミスを検出し、操作ミスが検出された前記選択遠隔操作装置を操作ミス検出装置として抽出し、
前記表示部は、前記操作ミス検出装置において操作ミスが発生していることを表示することを特徴とする請求項1または2に記載の遠隔操作システム。
【請求項5】
遠隔監視装置をさらに備え、
前記第2制御通信部は、前記遠隔監視装置と通信を行い、
前記遠隔監視装置は、
前記遠隔制御装置と通信を行う監視通信部と、
2つの前記最終遠隔操作装置から取得した2つの前記個別遠隔操作量を表示する監視表示部とを備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の遠隔操作システム。
【請求項6】
前記表示部は、前記選択遠隔操作装置の前記個別遠隔操作量を表示することを特徴とする請求項5に記載の遠隔操作システム。
【請求項7】
前記遠隔操作量演算部は、前記選択遠隔操作装置の前記個別遠隔操作量から操作ミスを検出し、操作ミスが検出された前記選択遠隔操作装置を操作ミス検出装置として抽出し、
前記表示部は、前記操作ミス検出装置において操作ミスが発生していることを表示することを特徴とする請求項5に記載の遠隔操作システム。
【請求項8】
複数の前記遠隔監視装置を備え、
前記遠隔制御装置は、複数の前記遠隔監視装置からランダムに1つの前記遠隔監視装置を選択する監視装置選択部を備え、
前記監視装置選択部において選択された前記遠隔監視装置の前記監視表示部が2つの前記最終遠隔操作装置から取得した2つの前記個別遠隔操作量を表示することを特徴とする請求項5に記載の遠隔操作システム。
【請求項9】
前記表示部は、前記選択遠隔操作装置の前記個別遠隔操作量を表示することを特徴とする請求項8に記載の遠隔操作システム。
【請求項10】
前記遠隔操作量演算部は、前記選択遠隔操作装置の前記個別遠隔操作量から操作ミスを検出し、操作ミスが検出された前記選択遠隔操作装置を操作ミス検出装置として抽出し、
前記表示部は、前記操作ミス検出装置において操作ミスが発生していることを表示することを特徴とする請求項8に記載の遠隔操作システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、遠隔操作システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両などの移動体を、その利用者に代わって移動させるサービスが検討されている。車両の遠隔操作装置として、第1操作者及び第2操作者のいずれか一方が遠隔操作による操作を行っているときに、必要と判定した場合に車両の操作を第1操作者及び第2操作者のいずれか他方へ車両の操作権を移行させるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示された遠隔操作装置では、遠隔操作者の操作が正しいという前提で操作の終了あるいは放棄が監視されているため、操作ミスが発生した場合、遠隔操作者による遠隔操作量として異常な値が出力されることがあるという課題があった。
【0005】
本願は、上述の課題を解決するためになされたものであり、遠隔操作量として異常な値が出力されることを抑制する遠隔操作システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に開示される遠隔操作システムは、遠隔制御装置と遠隔操作装置とを備え、車両の周囲の映像を含んだ車両情報を取得し、車両に遠隔操作量を出力する遠隔操作システムであって、遠隔制御装置は、車両と通信を行う第1制御通信部と、複数の遠隔操作装置と通信を行う第2制御通信部と、遠隔操作量を求める遠隔操作量演算部と、ランダムに選んだ3つの遠隔操作装置を選択遠隔操作装置として選択する操作装置選択部とを備え、遠隔操作装置は、遠隔制御装置と通信を行う操作通信部と、車両情報を表示する表示部と、操作量を検出して個別遠隔操作量として出力する操作量検出部とを備え、遠隔操作量演算部は、それぞれの選択遠隔操作装置から個別遠隔操作量を取得し、個別遠隔操作量の類似性が最も高い2つの選択遠隔操作装置を最終遠隔操作装置として選択し、2つの最終遠隔操作装置から取得した2つの個別遠隔操作量のいずれかの値、あるいは、2つの最終遠隔操作装置から取得した2つの個別遠隔操作量の平均値を、遠隔操作量とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本願に開示される遠隔操作システムは、遠隔制御装置と遠隔操作装置とを備え、車両の周囲の映像を含んだ車両情報を取得し、車両に遠隔操作量を出力する遠隔操作システムであって、遠隔制御装置は、車両と通信を行う第1制御通信部と、複数の遠隔操作装置と通信を行う第2制御通信部と、遠隔操作量を求める遠隔操作量演算部と、ランダムに選んだ3つの遠隔操作装置を選択遠隔操作装置として選択する操作装置選択部とを備え、遠隔操作装置は、遠隔制御装置と通信を行う操作通信部と、車両情報を表示する表示部と、操作量を検出して個別遠隔操作量として出力する操作量検出部とを備え、遠隔操作量演算部は、それぞれの選択遠隔操作装置から個別遠隔操作量を取得し、個別遠隔操作量の類似性が最も高い2つの選択遠隔操作装置を最終遠隔操作装置として選択し、2つの最終遠隔操作装置から取得した2つの個別遠隔操作量のいずれかの値、あるいは、2つの最終遠隔操作装置から取得した2つの個別遠隔操作量の平均値を、遠隔操作量とするので、遠隔操作量として異常な値が出力されることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1による遠隔操作システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】実施の形態2による遠隔操作システムの構成を示すブロック図である。
【
図3】実施の形態3による遠隔操作システムの構成を示すブロック図である。
【
図4】実施の形態による車両のハードウェア構成の一例を示す模式図である。
【
図5】実施の形態による車両のハードウェア構成の別の一例を示す模式図である。
【
図6】実施の形態による遠隔制御装置のハードウェア構成の一例を示す模式図である。
【
図7】実施の形態による遠隔制御装置のハードウェア構成の別の一例を示す模式図である。
【
図8】実施の形態による遠隔操作装置のハードウェア構成の一例を示す模式図である。
【
図9】実施の形態による遠隔監視装置のハードウェア構成の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本願を実施するための実施の形態に係る遠隔操作システムについて、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一符号は同一もしくは相当部分を示している。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1による遠隔操作システム100の構成を示すブロック図である。遠隔操作システム100は、遠隔制御装置20と遠隔操作装置30a、30b、30c、30dを備えている。遠隔操作装置30aは例えば第1遠隔操作者が操作するものであり、遠隔操作装置30bは例えば第2遠隔操作者が操作するものであり、遠隔操作装置30cは例えば第3遠隔操作者が操作するものであり、遠隔操作装置30dは例えば第4遠隔操作者が操作するものである。
図1においては、遠隔操作システム100は4つの遠隔操作装置を備えているが、4つ以上の遠隔操作装置を備えていればいくつでも構わない。遠隔操作システム100は、通信網1を通して車両10との通信を行い、車両10からは車両10の周囲の映像を含んだ車両情報を取得し、車両10へは車両10の遠隔操作量を出力する。通信網1は、例えば、インターネットである。
【0011】
車両10は、車両制御部11、車両通信部12および車両情報取得部13を備えている。車両情報取得部13は、少なくとも車両10の周囲の映像を含んだ車両情報を取得し、車両通信部12に出力する。車両情報は、例えば、車両10の速度情報、車両10のエンジンの回転数、車両10の燃料あるいは蓄電量の残量などの情報を含んでいてもよい。車両通信部12は、車両情報取得部13から取得した車両情報を遠隔制御装置20の第1制御通信部21に送信し、遠隔制御装置20の第1制御通信部21から受信した遠隔操作量の情報を車両制御部11に出力する。車両制御部11は、車両通信部12から取得した遠隔操作量の情報をもとに、車両10の走行を制御し、例えば、車両10の速度を制御し、車両10の進行方向を制御する。
【0012】
遠隔制御装置20は、第1制御通信部21、遠隔操作量演算部22、第2制御通信部23および操作装置選択部24を備えている。第1制御通信部21は、車両10の車両通信部12から車両情報を取得して遠隔操作量演算部22に出力する。操作装置選択部24は、ランダムに選んだ3つの遠隔操作装置を選択遠隔操作装置として選択して、選択遠隔操作装置の情報を遠隔操作量演算部22に送信する。操作装置選択部24がランダムに3つの遠隔操作装置を選択することにより、操作装置選択部24が4人以上の遠隔操作者の候補の中から3人の遠隔操作者を選択することになる。3人の遠隔操作者をランダムに選択することにより、遠隔操作者同士の独立性が保たれ、それぞれの遠隔操作者が同じ操作ミスをする可能性を抑えることができる。また、遠隔操作者同士が親密な人間関係にある場合に同じ操作ミスが発生する可能性が高くなることがあるため、3人の遠隔操作者をランダムに選択することにより、同じ操作ミスをする可能性を抑えることができる。
【0013】
また、操作装置選択部24は、ランダムに選んだ拠点が異なる3つの遠隔操作装置を選択遠隔操作装置として選択してもよい。ここで、拠点とは、遠隔操作者の候補が待機している場所であり、それぞれの遠隔操作装置が設置されている場所である。例えば、遠隔操作装置30cおよび遠隔操作装置30dが同じ拠点にあり、操作装置選択部24が遠隔操作装置30cおよび遠隔操作装置30dを選択遠隔操作装置として選択した場合、遠隔制御装置20と遠隔操作装置30cとの間に通信障害が発生したときに遠隔制御装置20と遠隔操作装置30dとの間にも同時に通信障害が発生してしまい、遠隔制御装置20は同時に2つの遠隔制御装置と通信ができなくなってしまう。操作装置選択部24が異なる拠点にある遠隔操作装置を選択遠隔操作装置として選択することにより、このような事態を避けることができる。操作装置選択部24が異なる拠点にある遠隔操作装置を選択遠隔操作装置として選択することにより、それぞれの遠隔操作者が同じ拠点にいないため、二人以上の遠隔操作者が同時に食中毒にかかるなどのリスクを低減することができ、二人以上の遠隔操作者が同時に操作ミスをする可能性を抑えることができる。
【0014】
遠隔操作量演算部22は、車両10の車両情報を、第2制御通信部23を通して選択遠隔操作装置に送信する。以下の説明においては、遠隔操作装置30aと遠隔操作装置30bと遠隔操作装置30cの3つの遠隔操作装置が選択遠隔操作装置として選択されたときの動作について説明する。このとき、車両10の車両情報は、第2制御通信部23から操作通信部31aと操作通信部31bと操作通信部31cに送信される。
【0015】
それぞれの遠隔操作装置は異なる遠隔操作者によって操作されるものであり、それぞれの遠隔操作装置の構成および動作は同じである。以下においては、遠隔操作装置について遠隔操作装置30aを例に説明する。遠隔操作装置30aは、操作通信部31a、操作量検出部32aおよび表示部33aを備えている。表示部33aは、操作通信部31aから取得した車両10の車両情報を表示する。表示部33aは、例えば、車両10の車両情報取得部13によって取得された車両10の周囲の映像を表示する。車両情報に車両10の速度情報、車両10のエンジンの回転数、車両10の燃料あるいは蓄電量の残量などの情報が含まれている場合は、表示部33aはこれらの情報を表示してもよい。操作量検出部32aは、車両10を操作するための操作量を検出して個別遠隔操作量として出力する。操作量検出部32aは、例えば、車両10の速度および操舵方向を含む操作量を検出するものであり、キーボードとマウスとの組み合わせでもよく、タッチパネルでもよく、ハンドルとペダルの組み合わせでもよい。例えば、遠隔操作装置30aを操作する第1遠隔操作者が、表示部33aに表示される車両情報を見ながら操作量検出部32aを操作した結果が、遠隔操作装置30aから個別遠隔操作量として出力される。遠隔操作装置30aから出力された個別遠隔操作量は、操作通信部31aおよび第2制御通信部23を通して遠隔操作量演算部22に送られる。
【0016】
遠隔操作量演算部22は、3つの選択遠隔操作装置のそれぞれから個別遠隔操作量を取得し、個別遠隔操作量の類似性が最も高い2つの選択遠隔操作装置を最終遠隔操作装置として選択する。例えば、遠隔操作装置30aと遠隔操作装置30bと遠隔操作装置30cとの3つ選択遠隔操作装置のそれぞれから個別遠隔操作量を取得し、3つの個別遠隔操作量から選んだ2つの個別遠隔操作量の類似度を求め、遠隔操作装置30aの個別遠隔操作量と遠隔操作装置30bの個別遠隔操作量との類似度が最も高かった場合には遠隔操作装置30aおよび遠隔操作装置30bを最終遠隔操作装置として選択する。2つの個別遠隔操作量の類似度は、例えば、あらかじめ定められた期間の2つの個別遠隔操作量の差分を求め、差分が少ない2つの個別遠隔操作量を類似度が高いものとする。あるいは、遠隔操作量演算部22は、過去に取得した正しい遠隔操作量のデータを基準遠隔操作量として蓄積しておき、3つの選択遠隔操作装置のそれぞれから個別遠隔操作量を取得し、基準遠隔操作量に最も近い個別遠隔操作量を出力する選択遠隔操作装置と、基準遠隔操作量に2番目に近い個別遠隔操作量を出力する選択遠隔操作装置との、2つの選択遠隔操作装置を、最終遠隔操作装置として選択してもよい。さらに、遠隔操作量演算部22は、2つの最終遠隔操作装置から取得した2つの個別遠隔操作量のいずれかの値、あるいは、2つの最終遠隔操作装置から取得した2つの個別遠隔操作量の平均値を、遠隔操作量として出力する。遠隔操作量演算部22から出力された遠隔操作量の情報は、第1制御通信部21を通して車両10の車両通信部12に送られる。車両通信部12は、取得した遠隔操作量の情報を車両制御部11に出力する。車両制御部11は、車両通信部12から取得した遠隔操作量をもとに車両10の走行を制御し、例えば、車両10の速度を制御し、車両10の進行方向を制御する。
【0017】
遠隔操作量演算部22は、個別遠隔操作量の類似性が最も高い2つの選択遠隔操作装置を最終遠隔操作装置として選択し、2つの最終遠隔操作装置から取得した2つの個別遠隔操作量のいずれかの値、あるいは、2つの最終遠隔操作装置から取得した2つの個別遠隔操作量の平均値を、遠隔操作量として出力するので、3人の遠隔操作者のいずれかが操作ミスを行い、3つの選択遠隔操作装置のいずれかから異常な個別遠隔操作量が出力されたときにこれを排除することができ、遠隔操作量として異常な値が出力されることを抑制することができる。
【0018】
遠隔操作量演算部22は、3つの選択遠隔操作装置のそれぞれから取得した3つの個別遠隔操作量の情報を、第2制御通信部23を通してそれぞれの選択遠隔操作装置に出力してもよい。選択遠隔操作装置の表示部は、操作通信部を通して取得した3つの個別遠隔操作量の情報を表示してもよい。あるいは、遠隔操作量演算部22は、3つの選択遠隔操作装置のそれぞれから取得した3つの個別遠隔操作量の情報を第2制御通信部23に送信し、第2制御通信部23はそれぞれの選択遠隔操作装置に対して他の2つの選択遠隔操作装置からの個別遠隔操作量の情報を送信してもよい。選択遠隔操作装置の表示部は、第2制御通信部23から操作通信部を通して取得した他の2つの選択遠隔操作装置からの個別遠隔操作量の情報を表示してもよい。例えば、遠隔操作装置30aと遠隔操作装置30bと遠隔操作装置30cの3つの遠隔操作装置が選択遠隔操作装置として選択されたときは、遠隔操作装置30aの表示部33aが、遠隔操作装置30bの個別遠隔操作量の情報と遠隔操作装置30cの個別遠隔操作量の情報とを表示してもよく、合わせて遠隔操作装置30aの個別遠隔操作量を表示してもよい。表示部が選択遠隔操作装置の個別遠隔操作量を表示することによって、遠隔操作者は、他の2名の遠隔操作者の操作量を確認することができ、自分自身の操作量と他の2名の遠隔操作者の操作量とを比較することができる。
【0019】
遠隔操作量演算部22は、3つの選択遠隔操作装置のそれぞれから取得した3つの個別遠隔操作量の情報のそれぞれをあらかじめ定められたルールで検証することにより、選択遠隔操作装置における操作ミスを検出してもよい。遠隔操作量演算部22は、操作ミスが検出された選択遠隔操作装置を操作ミス検出装置として抽出した情報を、第2制御通信部23を通してそれぞれの選択遠隔操作装置に出力してもよい。選択遠隔操作装置の表示部は、操作通信部を通して取得した操作ミスの情報をもとに、操作ミス検出装置において操作ミスが発生していることを表示してもよい。遠隔操作量演算部22が選択遠隔操作装置の個別遠隔操作量から操作ミスを検出し、操作ミスが検出された選択遠隔操作装置を操作ミス検出装置として抽出し、表示部が操作ミス検出装置において操作ミスが発生していることを表示することにより、遠隔操作者は、自分自身の操作ミスを含めて、遠隔操作者の操作ミスが発生していることを確認することができる。
【0020】
以上のように、実施の形態1による遠隔操作システム100は、遠隔制御装置20と遠隔操作装置30a、30b、30c、30dとを備え、車両10の周囲の映像を含んだ車両情報を取得し、車両10に遠隔操作量を出力する遠隔操作システムであって、遠隔制御装置20は、車両10と通信を行う第1制御通信部21と、複数の遠隔操作装置30a、30b、30c、30dと通信を行う第2制御通信部23と、遠隔操作量を求める遠隔操作量演算部22と、ランダムに選んだ3つの遠隔操作装置を選択遠隔操作装置として選択する操作装置選択部24とを備え、遠隔操作装置30a、30b、30c、30dは、遠隔制御装置20と通信を行う操作通信部31a、31b、31c、31dと、車両情報を表示する表示部33a、33b、33c、33dと、操作量を検出して個別遠隔操作量として出力する操作量検出部32a、32b、32c、32dとを備え、遠隔操作量演算部22は、それぞれの選択遠隔操作装置から個別遠隔操作量を取得し、個別遠隔操作量の類似性が最も高い2つの選択遠隔操作装置を最終遠隔操作装置として選択し、2つの最終遠隔操作装置から取得した2つの個別遠隔操作量のいずれかの値、あるいは、2つの最終遠隔操作装置から取得した2つの個別遠隔操作量の平均値を、遠隔操作量とするので、遠隔操作量として異常な値が出力されることを抑制することができる。
【0021】
実施の形態2.
図2は、実施の形態2による遠隔操作システム100aの構成を示すブロック図である。
図2に示す実施の形態2による遠隔操作システム100aを
図1に示す実施の形態1による遠隔操作システム100とを比較すると、遠隔制御装置20が遠隔制御装置20aになっており、遠隔操作量演算部22が遠隔操作量演算部22aになっており、第2制御通信部23が第2制御通信部23aになっており、遠隔監視装置40が追加されている。実施の形態2による遠隔操作システム100aの他の構成は、実施の形態1による遠隔操作システム100の構成と同じである。遠隔監視装置40は、監視通信部41および監視表示部42を備えている。遠隔監視装置40は、例えば、監視者が監視を行うためのものである。
【0022】
遠隔操作量演算部22aは、遠隔操作量演算部22と同じ動作を行うとともに、2つの最終遠隔操作装置から取得した2つの個別遠隔操作量の情報を第2制御通信部23aに出力する。第2制御通信部23aは、第2制御通信部23と同じ動作を行うとともに、遠隔操作量演算部22aから取得した2つの最終遠隔操作装置の個別遠隔操作量の情報を監視通信部41に出力する。監視表示部42は、監視通信部41から取得した2つの最終遠隔操作装置の個別遠隔操作量の情報を表示する。監視者は、監視表示部42に表示された2つの最終遠隔操作装置の個別遠隔操作量の情報を確認することができ、例えば、確認した2つの最終遠隔操作装置の個別遠隔操作量の情報をもとに遠隔操作システム100aの遠隔操作を停止することができる。
【0023】
以上のように、実施の形態2による遠隔操作システム100aは、遠隔監視装置40をさらに備え、第2制御通信部23aは、遠隔監視装置40と通信を行い、遠隔監視装置40は、遠隔制御装置20aと通信を行う監視通信部41と、2つの最終遠隔操作装置から取得した2つの個別遠隔操作量を表示する監視表示部42とを備えたので、監視者が2つの最終遠隔操作装置の個別遠隔操作量の情報を確認することができる。
【0024】
実施の形態3.
図3は、実施の形態3による遠隔操作システム100bの構成を示すブロック図である。
図3に示す実施の形態3による遠隔操作システム100bを
図1に示す実施の形態1による遠隔操作システム100とを比較すると、遠隔制御装置20が遠隔制御装置20bになっており、遠隔操作量演算部22が遠隔操作量演算部22bになっており、第2制御通信部23が第2制御通信部23bになっており、監視装置選択部25が追加されており、遠隔監視装置40a、40b、40cが追加されている。実施の形態3による遠隔操作システム100bの他の構成は、実施の形態1による遠隔操作システム100の構成と同じである。
図3には、3つの遠隔監視装置が示されているが、複数の遠隔監視装置であればいくつでも構わない。遠隔監視装置40aは監視通信部41aおよび監視表示部42aを備えており、遠隔監視装置40bは監視通信部41bおよび監視表示部42bを備えており、遠隔監視装置40cは監視通信部41cおよび監視表示部42cを備えている。遠隔監視装置40aは例えば第1監視者が監視を行うためのものであり、遠隔監視装置40bは例えば第2監視者が監視を行うためのものであり、遠隔監視装置40cは例えば第3監視者が監視を行うためのものである。
【0025】
監視装置選択部25は、複数の遠隔監視装置の中からランダムに選んだ1つの遠隔監視装置を選択遠隔監視装置として選択して、選択遠隔監視装置の情報を遠隔操作量演算部22bに送信する。監視装置選択部25がランダムに1つの遠隔監視装置を選択することにより、複数の監視者の候補の中から1人の監視者を選択することになる。1人の監視者をランダムに選択することにより、監視者と遠隔操作者の独立性を高めた状態で監視者が遠隔操作者の操作を監視することができ、監視者による監視作業の精度を高めることができる。以下においては、遠隔監視装置40aが選択遠隔監視装置として選択されたときの動作について説明する。
【0026】
遠隔操作量演算部22bは、遠隔操作量演算部22と同じ動作を行うとともに、2つの最終遠隔操作装置から取得した2つの個別遠隔操作量の情報を第2制御通信部23bに出力する。第2制御通信部23bは、第2制御通信部23と同じ動作を行うとともに、遠隔操作量演算部22bから取得した2つの最終遠隔操作装置の個別遠隔操作量の情報を、選択遠隔監視装置である遠隔監視装置40aの監視通信部41aに出力する。監視表示部42aは、監視通信部41aから取得した2つの最終遠隔操作装置の個別遠隔操作量の情報を表示する。遠隔監視装置40aの監視者である第1監視者は、監視表示部42aに表示された2つの最終遠隔操作装置の個別遠隔操作量の情報を確認することができ、例えば、確認した2つの最終遠隔操作装置の個別遠隔操作量の情報をもとに遠隔操作システム100bの遠隔操作を停止することができる。
【0027】
以上のように、実施の形態3による遠隔操作システム100bは、複数の遠隔監視装置を備え、遠隔制御装置20bは、複数の遠隔監視装置からランダムに1つの遠隔監視装置を選択する監視装置選択部25を備え、監視装置選択部25において選択された遠隔監視装置の監視表示部が2つの最終遠隔操作装置から取得した2つの個別遠隔操作量を表示するので、監視者と遠隔操作者の独立性を高めた状態で監視者が遠隔操作者の操作を監視することができ、監視者による監視作業の精度を高めることができる。
【0028】
図4は、実施の形態による車両10のハードウェア構成の一例を示す模式図である。車両制御部11は、メモリ202に記憶されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ201によって実現される。メモリ202は、プロセッサ201が実行する各処理における一時記憶装置としても使用される。メモリ202は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROMなどの不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク、または、これらを組み合わせたものである。車両通信部12は、車両通信機204によって実現される。車両情報取得部13は、カメラ205によって実現される。プロセッサ201、メモリ202、車両通信機204およびカメラ205が、バス203に接続されている。
【0029】
図5は、実施の形態による車両10のハードウェア構成の別の一例を示す模式図である。車両制御部11は、処理回路206によって実現される。処理回路206が専用のハードウェアである場合、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、または、これらを組み合わせたものが該当する。処理回路206、車両通信機204およびカメラ205が、バス203に接続されている。
【0030】
図6は、実施の形態による遠隔制御装置20、20a、20bのハードウェア構成の一例を示す模式図である。遠隔操作量演算部22、22a、22b、操作装置選択部24および監視装置選択部25は、メモリ212に記憶されたプログラムを実行するCPU等のプロセッサ211によって実現される。メモリ212は、プロセッサ211が実行する各処理における一時記憶装置としても使用される。メモリ212は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROMなどの不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク、または、これらを組み合わせたものである。第1制御通信部21は、第1制御通信機214によって実現される。第2制御通信部23、23a、23bは、第2制御通信機215によって実現される。プロセッサ211、メモリ212、第1制御通信機214および第2制御通信機215が、バス213に接続されている。
【0031】
図7は、実施の形態による遠隔制御装置20、20a、20bのハードウェア構成の別の一例を示す模式図である。
図7においては、処理回路216、第1制御通信機214および第2制御通信機215が、互いにバス213に接続されている。処理回路216が専用のハードウェアである場合、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、または、これらを組み合わせたものが該当する。遠隔操作量演算部22、22a、22b、操作装置選択部24および監視装置選択部25のそれぞれが処理回路216で実現されてもよいし、遠隔操作量演算部22、22a、22b、操作装置選択部24および監視装置選択部25をまとめて処理回路216で実現してもよい。また、遠隔操作量演算部22、22a、22b、操作装置選択部24および監視装置選択部25は、一部が専用のハードウェアで実現され、他の一部がソフトウェアまたはファームウェアで実現されるようにしてもよい。
【0032】
図8は、実施の形態による遠隔操作装置30a、30b、30c、30dのハードウェア構成の一例を示す模式図である。操作通信部31a、31b、31c、31dは、操作通信機221によって実現される。操作量検出部32a、32b、32c、32dは、操作量検出器222によって実現される。表示部33a、33b、33c、33dは、ディスプレイ223によって実現される。操作量検出器222およびディスプレイ223は、操作通信機221に接続されている。
【0033】
図9は、実施の形態による遠隔監視装置40、40a、40b、40cのハードウェア構成の一例を示す模式図である。監視通信部41、41a、41b、41cは、監視通信機231によって実現される。監視表示部42、42a、42b、42cは、監視ディスプレイ232によって実現される。監視ディスプレイ232は、監視通信機231に接続されている。
【0034】
本願は、様々な例示的な実施の形態が記載されているが、1つまたは複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、および機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
したがって、例示されていない無数の変形例が、本願に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
【0035】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限される
ことはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態
等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0036】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0037】
(付記1)
遠隔制御装置と遠隔操作装置とを備え、車両の周囲の映像を含んだ車両情報を取得し、前記車両に遠隔操作量を出力する遠隔操作システムであって、
前記遠隔制御装置は、
前記車両と通信を行う第1制御通信部と、
複数の前記遠隔操作装置と通信を行う第2制御通信部と、
前記遠隔操作量を求める遠隔操作量演算部と、
ランダムに選んだ3つの前記遠隔操作装置を選択遠隔操作装置として選択する操作装置選択部とを備え、
前記遠隔操作装置は、
前記遠隔制御装置と通信を行う操作通信部と、
前記車両情報を表示する表示部と、
操作量を検出して個別遠隔操作量として出力する操作量検出部とを備え、
前記遠隔操作量演算部は、
それぞれの前記選択遠隔操作装置から前記個別遠隔操作量を取得し、
前記個別遠隔操作量の類似性が最も高い2つの前記選択遠隔操作装置を最終遠隔操作装置として選択し、
2つの前記最終遠隔操作装置から取得した2つの前記個別遠隔操作量のいずれかの値、あるいは、2つの最終遠隔操作装置から取得した2つの前記個別遠隔操作量の平均値を、前記遠隔操作量とすることを特徴とする遠隔操作システム。
(付記2)
前記操作装置選択部は、異なる拠点にある前記遠隔操作装置を前記選択遠隔操作装置として選択することを特徴とする付記1に記載の遠隔操作システム。
(付記3)
前記表示部は、前記選択遠隔操作装置の前記個別遠隔操作量を表示することを特徴とする付記1または2に記載の遠隔操作システム。
(付記4)
前記遠隔操作量演算部は、前記選択遠隔操作装置の前記個別遠隔操作量から操作ミスを検出し、操作ミスが検出された前記選択遠隔操作装置を操作ミス検出装置として抽出し、
前記表示部は、前記操作ミス検出装置において操作ミスが発生していることを表示することを特徴とする付記1から3のいずれか1項に記載の遠隔操作システム。
(付記5)
遠隔監視装置をさらに備え、
前記第2制御通信部は、前記遠隔監視装置と通信を行い、
前記遠隔監視装置は、
前記遠隔制御装置と通信を行う監視通信部と、
2つの前記最終遠隔操作装置から取得した2つの前記個別遠隔操作量を表示する監視表示部とを備えたことを特徴とする付記1から4のいずれか1項に記載の遠隔操作システム。
(付記6)
複数の前記遠隔監視装置を備え、
前記遠隔制御装置は、複数の前記遠隔監視装置からランダムに1つの前記遠隔監視装置を選択する監視装置選択部を備え、
前記監視装置選択部において選択された前記遠隔監視装置の前記監視表示部が2つの前記最終遠隔操作装置から取得した2つの前記個別遠隔操作量を表示することを特徴とする付記5に記載の遠隔操作システム。
【符号の説明】
【0038】
1 通信網、10 車両、11 車両制御部、12 車両通信部、13 車両情報取得部、20、20a、20b 遠隔制御装置、21 第1制御通信部、22、22a、22b 遠隔操作量演算部、23、23a、23b 第2制御通信部、24 操作装置選択部、30a、30b、30c、30d 遠隔操作装置、31a、31b、31c、31d 操作通信部、32a、32b、32c、32d 操作量検出部、33a、33b、33c、33d 表示部、40、40a、40b、40c 遠隔監視装置、41、41a、41b、41c 監視通信部、42、42a、42b、42c 監視表示部、100、100a、100b 遠隔操作システム、201 プロセッサ、202 メモリ、203 バス、204 車両通信機、205 カメラ、206 処理回路、211 プロセッサ、212 メモリ、213 バス、214 第1制御通信機、215 第2制御通信機、216 処理回路、221 操作通信機、222 操作量検出器、223 ディスプレイ、231 監視通信機、232 監視ディスプレイ。