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特許7753433デコードのための予測方法及びその装置、並びにコンピュータ記憶媒体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-10-03
(45)【発行日】2025-10-14
(54)【発明の名称】デコードのための予測方法及びその装置、並びにコンピュータ記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   H04N 19/59 20140101AFI20251006BHJP
   H04N 19/593 20140101ALI20251006BHJP
【FI】
H04N19/59
H04N19/593
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2024071490
(22)【出願日】2024-04-25
(62)【分割の表示】P 2021518718の分割
【原出願日】2018-12-25
(65)【公開番号】P2024099733
(43)【公開日】2024-07-25
【審査請求日】2024-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】516227559
【氏名又は名称】オッポ広東移動通信有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUANGDONG OPPO MOBILE TELECOMMUNICATIONS CORP., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 18 Haibin Road,Wusha, Chang’an,Dongguan, Guangdong 523860 China
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100152205
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 昌司
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100120385
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 健之
(72)【発明者】
【氏名】フオ、チュンイェン
(72)【発明者】
【氏名】マー、イェンチュオ
(72)【発明者】
【氏名】ワン、シューアイ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、フーチョン
(72)【発明者】
【氏名】リー、シンウェイ
【審査官】山内 裕史
(56)【参考文献】
【文献】特表2021-511698(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 19/00 - 19/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デコードのための予測方法であって、
デコードされるべきブロックの少なくとも1つの辺に隣接する参照サンプルを取得することと、
前記少なくとも1つの辺から1つの基準点を決定し、プリセットされたサンプル数に従って、前記少なくとも1つの辺に対応する選択されるべき参照サンプル位置を決定することと、
前記選択されるべき参照サンプル位置に基づいて、前記参照サンプルから、前記選択されるべき参照サンプル位置に対応する参照サンプルを選択することと、
前記選択した参照サンプルに基づいて、予測モデルのモデルパラメータを決定することであって、前記予測モデルは、前記デコードされるべきブロック内の各サンプルに対応する第1の色成分と第2の色成分との間の予測関係を表すために使用される、ことと、
前記予測モデルに基づいて、前記デコードされるべきブロックに対して予測デコードを実行することと、を含み、
前記少なくとも1つの辺から1つの基準点を決定し、プリセットされたサンプル数に従って、前記少なくとも1つの辺に対応する選択されるべき参照サンプル位置を決定することは、
前記プリセットされたサンプル数及び前記少なくとも1つの辺の長さに基づいて、第1サンプリング間隔を計算することと、
前記少なくとも1つの辺から1つの基準点を決定し、前記第1サンプリング間隔に従って、前記少なくとも1つの辺に対応する選択されるべき参照サンプル位置を決定することと、を含む、デコードのための予測方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの辺は前記デコードされるべきブロックの上側辺であり、前記少なくとも1つの辺から1つの基準点を決定することは、
前記少なくとも1つの辺の長さに基づいて、前記少なくとも1つの辺の中点を計算し、前記少なくとも1つの辺の中点が2つの参照サンプルの間の中間位置にある場合、前記中間位置の右側の最初の参照サンプル位置を前記少なくとも1つの辺の基準点として使用するか、または前記中間位置の左側の最初の参照サンプル位置を前記少なくとも1つの辺の基準点として使用することを含む、
請求項1に記載のデコードのための予測方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの辺は前記デコードされるべきブロックの左側辺であり、前記少なくとも1つの辺から1つの基準点を決定することは、
前記少なくとも1つの辺の長さに基づいて、前記少なくとも1つの辺の中点を計算し、前記少なくとも1つの辺の中点が2つの参照サンプルの間の中間位置にある場合、前記中間位置の下側の最初の参照サンプル位置を前記少なくとも1つの辺の基準点として使用するか、または前記中間位置の上側の最初の参照サンプル位置を前記少なくとも1つの辺の基準点として使用することを含む、
請求項1に記載のデコードのための予測方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの辺は前記デコードされるべきブロックの上側辺であり、
前記少なくとも1つの辺から1つの基準点を決定し、前記第1サンプリング間隔に従って、前記少なくとも1つの辺に対応する選択されるべき参照サンプル位置を決定することは、
前記少なくとも1つの辺の長さに基づいて、前記少なくとも1つの辺の中点値を計算することであって、前記中点値は前記少なくとも1つの辺の中点の座標値である、ことと、
前記中点値及び前記第1サンプリング間隔に従って、参照サンプル位置を計算することと、
前記中点値が非整数である場合、前記中点値の左側の参照サンプル位置を切り捨て、切り捨てた参照サンプル位置を前記選択されるべき参照サンプル位置として決定し、前記中点値の右側の参照サンプル位置を切り上げ、切り上げた参照サンプル位置を前記選択されるべき参照サンプル位置として決定することと、を含む、
請求項1に記載のデコードのための予測方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの辺は前記デコードされるべきブロックの上側辺であり、
前記少なくとも1つの辺から1つの基準点を決定し、前記第1サンプリング間隔に従って、前記少なくとも1つの辺に対応する選択されるべき参照サンプル位置を決定することは、
前記少なくとも1つの辺の長さに基づいて、前記少なくとも1つの辺の中点値を計算することであって、前記中点値は前記少なくとも1つの辺の中点の座標値である、ことと、
前記中点値及び前記第1サンプリング間隔に従って、参照サンプル位置を計算することと、
前記中点値が非整数である場合、前記中点値の左側の参照サンプル位置を切り上げ、切り上げた参照サンプル位置を前記選択されるべき参照サンプル位置として決定し、前記中点値の右側の参照サンプル位置を切り捨て、切り捨てた参照サンプル位置を前記選択されるべき参照サンプル位置として決定することと、を含む、
請求項1に記載のデコードのための予測方法。
【請求項6】
前記第1サンプリング間隔を計算した後、前記デコードのための予測方法は、
前記第1サンプリング間隔を調整して、第2サンプリング間隔を取得することと、
前記少なくとも1つの辺から1つの基準点を決定し、前記第2サンプリング間隔に従って、前記少なくとも1つの辺に対応する選択されるべき参照サンプル位置を決定することと、をさらに含み、
前記第1サンプリング間隔を調整するものは、前記第1サンプリング間隔に1を加算又は減算するものである
請求項1に記載のデコードのための予測方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの辺は前記デコードされるべきブロックの上側辺であり、
前記第2サンプリング間隔を取得した後、前記デコードのための予測方法は、
前記少なくとも1つの辺から1つの基準点を決定し、前記第1サンプリング間隔に従って前記基準点の左側に対応する選択されるべき参照サンプル位置を決定し、前記第2サンプリング間隔に従って前記基準点の右側に対応する選択されるべき参照サンプル位置を決定することをさらに含む、
請求項に記載のデコードのための予測方法。
【請求項8】
前記プリセットされたサンプル数及び前記少なくとも1つの辺の長さに基づいて、第1サンプリング間隔を計算することは、
前記プリセットされたサンプル数及び前記少なくとも1つの辺の長さに基づいて、下記の式(1)を使用して、前記第1サンプリング間隔を計算し、
【数1】
ここで、Δはサンプリング間隔を表し、lengthは、前記少なくとも1つの辺の長さを表し、Nは、前記プリセットされたサンプル数を表し、
前記少なくとも1つの辺から1つの基準点を決定し、前記第1サンプリング間隔に従って、前記少なくとも1つの辺に対応する選択されるべき参照サンプル位置を決定することは、
前記第1サンプリング間隔に基づいて、下記の式(2)を使用して、前記選択されるべき参照サンプルの開始位置を計算し、
前記選択されるべき参照サンプルの開始位置及び前記第1サンプリング間隔に基づいて、前記少なくとも1つの辺に対応する選択されるべき参照サンプル位置を決定し、
【数2】
ここで、shiftは参照サンプルの開始位置を表す、
請求項1に記載のデコードのための予測方法。
【請求項9】
前記選択されるべき参照サンプルの開始位置及び前記第1サンプリング間隔に基づいて、前記少なくとも1つの辺に対応する選択されるべき参照サンプル位置を決定することは、
前記選択されるべき参照サンプルの開始位置が2であり、前記前記第1サンプリング間隔が4である場合、前記少なくとも1つの辺に対応する選択されるべき参照サンプル位置を2、6、10、14と決定する、
請求項に記載のデコードのための予測方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの辺から1つの基準点を決定し、前記プリセットされたサンプル数に従って、前記少なくとも1つの辺に対応する選択されるべき参照サンプル位置を決定することは、
前記少なくとも1つの辺の長さが8であり、プリセットされたサンプル数が2である場合、前記少なくとも1つの辺に対応する選択されるべき参照サンプル位置を、2、6と決定するか、又は1、5と決定するか、又は1、6と決定するか、又は2、5と決定する、
請求項1に記載のデコードのための予測方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの辺から1つの基準点を決定し、前記プリセットされたサンプル数に従って、前記少なくとも1つの辺に対応する選択されるべき参照サンプル位置を決定することは、
前記少なくとも1つの辺から1つの基準点を決定し、前記プリセットされたサンプル数に従って、前記基準点の近くの連続する参照サンプル位置を選択されるべき参照サンプル位置として決定することを含み、前記基準点は、前記選択されるべき参照サンプル位置の中間位置にある、
請求項1に記載のデコードのための予測方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの辺の長さが8であり、プリセットされたサンプル数が3である場合、前記少なくとも1つの辺に対応する選択されるべき参照サンプル位置を、2、3、4と決定するか、又は3、4、5と決定する、
請求項11に記載のデコードのための予測方法。
【請求項13】
前記デコードされるべきブロックは、正方形のデコードブロックまたは非正方形のデコードブロックを含む、
請求項1ないし12のいずれか一項に記載のデコードのための予測方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの辺から1つの基準点を決定し、プリセットされたサンプル数に従って、前記少なくとも1つの辺に対応する選択されるべき参照サンプル位置を決定することは、
前記参照サンプルから、前記少なくとも1つの辺の開始位置及び終了位置にそれぞれ対応する参照サンプルを除いた残りの参照サンプルを取得することと、
前記少なくとも1つの辺から1つの基準点を決定し、前記残りの参照サンプルに基づいて、プリセットされたサンプル数に従って前記選択されるべき参照サンプル位置を決定することと、を含む、
請求項1に記載のデコードのための予測方法。
【請求項15】
前記選択した参照サンプルに基づいて、モデルパラメータを決定することは、
前記選択した参照サンプルから、前記第1の色成分の隣接参照値の最大値Lmax及び最小値Lmin、並びにLmax及びLminに対応する位置にある参照サンプルに対応する前記第の色成分の隣接参照値Cmax及びCminを決定し、
max、Lmin、Cmax及びCminに基づいて、下記の式(3)を使用して、前記モデルパラメータを計算し、
【数3】
ここで、αとβは前記モデルパラメータを表す、
請求項に記載のデコードのための予測方法。
【請求項16】
デコードのための予測装置であって、取得ユニットと、決定ユニットと、選択ユニットと、デコードユニットと、計算ユニットとを備え、
前記取得ユニットは、デコードされるべきブロックの少なくとも1つの辺に隣接する参照サンプルを取得するように構成され、
前記計算ユニットは、プリセットされたサンプル数及び前記少なくとも1つの辺の長さに基づいて、第1サンプリング間隔を計算するように構成され、
前記決定ユニットは、前記少なくとも1つの辺から1つの基準点を決定し、前記第1サンプリング間隔に従って、前記少なくとも1つの辺に対応する選択されるべき参照サンプル位置を決定するように構成され、
前記選択ユニットは、前記選択されるべき参照サンプル位置に基づいて、前記参照サンプルから、前記選択されるべき参照サンプル位置に対応する参照サンプルを選択するように構成され、
前記デコードユニットは、前記選択した参照サンプルに基づいて、予測モデルのモデルパラメータを決定し、前記予測モデルは、前記デコードされるべきブロック内の各サンプルに対応する第1の色成分と第2の色成分との間の予測関係を表すために使用され、前記予測モデルに基づいて、前記デコードされるべきブロックに対して予測デコードを実行するように構成される、デコードのための予測装置。
【請求項17】
デコードのための予測装置であって、メモリと、プロセッサとを備え、
前記メモリは、前記プロセッサで実行可能なコンピュータプログラムを記憶し、
前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムを実行するときに、請求項1ないし15のいずれか一項に記載の予測方法を実行する、デコードのための予測装置。
【請求項18】
コンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータ可読記憶媒体にデコードの予測プログラムが記憶され、前記デコードの予測プログラムが少なくとも1つのプロセッサによって実行されるときに、前記プロセッサに請求項1ないし15のいずれか一項に記載の予測方法を実行させる、コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願実施例は、ビデオ符号化及びデコードの技術分野に関し、特に、デコードのための予測方法及びその装置、並びにコンピュータ記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオ表示品質に対する人々の要求が高まるにつれて、高解像度及び超高解像度ビデオなどの新しいビデオアプリケーションが出現した。H.265/高效率ビデオコーディング(HEVC:High Efficiency Video Coding)は、現在の最新の国際ビデオ圧縮標準であり、前世代のビデオコーディング標準H.264/アドバンスドビデオコーディング(AVC:Advanced Video Coding)と比較すると、H.265/HEVCの圧縮パフォーマンスは約50%向上しているが、それでもビデオアプリケーション、特に、超高精細ビデオや仮想現実(VR:Virtual Reality)などの新しいビデオアプリケーションの急速な開発のニーズを満たすことはできない。
【0003】
国際電気通信連合・電気通信標準化部門(ITU-T)のビデオコーディング専門家グループと国際標準化機構(ISO)/国際電気標準会議(IEC)の映画専門家グループは、次世代のビデオコーディング標準を開発するために、2015年に合同ビデオ探査チーム(JVET:Joint Video Exploration Team)を設立した。共同探査テストモデル(JEM:Joint Exploration Test Model)は、一般的なリファレンスソフトウェアプラットフォームであり、このプラットフォームに基づいて異なるコーディングツールを検証する。2018年4月、JVETは、次世代のビデオコーディング標準を多機能ビデオコーディング(VVC:Versatile Video Coding)として正式に命名し、それに対応するテストモデルはVTMである。JEM及びVTMリファレンスソフトウェアでは、線形モデルに基づく符号化及びデコードの予測方法が統合されており、当該線形モデルを介して、現在のデコードされるブロックの輝度成分に従ってクロミナンス成分を予測する。ただし、線形モデルを構築する場合、隣接する参照サンプルで形成される隣接参照サンプルサブセットはそれほど合理的ではないため、検索の複雑さが比較的高くなり、ビデオ画像のデコードの予測パフォーマンスが低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の問題に鑑みて、本願実施例は、隣接参照サンプルサブセット内の隣接参照サンプルが重要性と分散性の両方を考慮するだけでなく、隣接参照サンプルサブセット内の画素数も少ないため、検索の複雑さを軽減させ、ビデオ画像のデコードの予測パフォーマンスを向上させ、ビットレートを低下させることができる、デコードのための予測方法及びその装置、並びにコンピュータ記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願実施例の技術的解決策は以下のように実現することができる。
【0006】
第1態様によれば、本願実施例は、デコードのための予測方法を提供し、前記方法は、 デコードされるべきブロックの少なくとも1つの辺に隣接する参照サンプルを取得し、第1隣接参照サンプルセットを取得することと、
前記少なくとも1つの辺から1つの基準点を決定し、プリセットされたサンプル数に従って、前記少なくとも1つの辺に対応する選択されるべき参照サンプル位置を決定することと、
前記選択されるべき参照サンプル位置に基づいて、前記第1隣接参照サンプルセットから、前記選択されるべき参照サンプル位置に対応する参照サンプルを選択し、選択した参照サンプルで隣接参照サンプルサブセットを形成することと、
前記隣接参照サンプルサブセットに基づいて、前記デコードされるべきブロックに対して予測デコードを実行することと、を含む。
【0007】
第2態様によれば、本願実施例は、デコードのための予測装置を提供し、前記デコードのための予測装置は、取得ユニットと、決定ユニットと、選択ユニットと、デコードユニットとを備え、
前記取得ユニットは、デコードされるべきブロックの少なくとも1つの辺に隣接する参照サンプルを取得し、第1隣接参照サンプルセットを取得するように構成され、
前記決定ユニットは、前記少なくとも1つの辺から1つの基準点を決定し、プリセットされたサンプル数に従って、前記少なくとも1つの辺に対応する選択されるべき参照サンプル位置を決定するように構成され、
前記選択ユニットは、前記選択されるべき参照サンプル位置に基づいて、前記第1隣接参照サンプルセットから、前記選択されるべき参照サンプル位置に対応する参照サンプルを選択し、選択した参照サンプルで隣接参照サンプルサブセットを形成するように構成され、
前記デコードユニットは、前記隣接参照サンプルサブセットに基づいて、前記デコードされるべきブロックに対して予測デコードを実行するように構成される。
【0008】
第3態様によれば、本願実施例は、デコードのための予測装置を提供し、前記デコードのための予測装置は、メモリと、プロセッサとを備え、
前記メモリは、前記プロセッサで実行可能なコンピュータプログラムを記憶するように構成され、
前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムを実行するときに、第1態様に記載の方法のステップを実行するように構成される。
【0009】
第4態様によれば、本願実施例は、コンピュータ可読記憶媒体を提供し、前記コンピュータ記憶媒体にデコードの予測プログラムが記憶され、前記デコードの予測プログラムが少なくとも1つのプロセッサによって実行されるときに、前記プロセッサに第1態様に記載の方法のステップを実現させる。
【発明の効果】
【0010】
本願実施例は、デコードのための予測方法及びその装置、並びにコンピュータ記憶媒体を提供する。前記デコードのための予測方法によれば、先ずデコードされるべきブロックの少なくとも1つの辺に隣接する参照サンプルを取得し、第1隣接参照サンプルセットを取得し、次に前記少なくとも1つの辺から1つの基準点を決定し、プリセットされたサンプル数に従って、前記少なくとも1つの辺に対応する選択されるべき参照サンプル位置を決定し、その後、前記選択されるべき参照サンプル位置に基づいて、前記第1隣接参照サンプルセットから、前記選択されるべき参照サンプル位置に対応する参照サンプルを選択し、選択された参照サンプルで隣接参照サンプルサブセットを形成し、最後に、前記隣接参照サンプルサブセットに基づいて、前記デコードされるべきブロックに対して予測デコードを実行する。当該隣接参照サンプルサブセット内の隣接参照サンプルの選択が重要性と分散性の両方を考慮するため、当該隣接参照サンプルサブセットに基づいて構築されたモデルパラメータはより正確であり、ビデオの画像デコードの予測パフォーマンスを向上させることができ、当該隣接参照サンプルサブセットにはサンプルがほとんど含まれていないため、検索の複雑さも軽減され、ビデオの画像デコードの予測パフォーマンスが向上し、これにより、ビットレートを低下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】関連する技術的解決策におけるビデオ画像サンプルフォーマットの概略構造図である。
図1B】関連する技術的解決策におけるビデオ画像サンプルフォーマットの概略構造図である。
図1C】関連する技術的解決策におけるビデオ画像サンプルフォーマットの概略構造図である。
図2A】関連する技術的解決策におけるデコードブロックの第1の色成分の隣接参照値のサンプリングを示す概略図である。
図2B】関連する技術的解決策におけるデコードブロックの第2の色成分の隣接参照値のサンプリングを示す概略図である。
図3】関連する技術的解決策において、デコードブロックの最大値及び最小値に基づいて予測モデルを構築することを示す概略構造図である。
図4A】関連する技術的解決策による、正方形のデコードブロックの場合、隣接参照サンプルを選択することを示す概略図である。
図4B】関連する技術的解決策による、非正方形のデコードブロックの場合、隣接参照サンプルを選択することを示す概略図である。
図5A】関連する技術的解決策による従来の技術的解決策に従って隣接参照サンプルを選択することを示す概略図である。
図5B】関連する技術的解決策によるL0138提案に従って隣接参照サンプルを選択することを示す概略図である。
図6】本願実施例によるビデオ符号化システムの概略ブロック図である。
図7】本願実施例によるビデオデコードシステムの概略ブロック図である。
図8】本願実施例によるデコードのための予測方法のフローチャートである。
図9】本願実施例によるデコードされるべきブロックの上側の辺に対応する隣接参照サンプルサブセットを選択することを示す概略図である。
図10】本願実施例によるデコードされるべきブロックの左側の辺に対応する隣接参照サンプルサブセットを選択することを示す概略図である。
図11】本願実施例による別のデコードされるべきブロック上側の辺に対応する隣接参照サンプルサブセットを選択することを示す概略図である。
図12】本願実施例によるさらに別のデコードされるべきブロック上側の辺に対応する隣接参照サンプルサブセットを選択することを示す概略図である。
図13】本願実施例によるさらに別のデコードされるべきブロック上側の辺に対応する隣接参照サンプルサブセットを選択することを示す概略図である。
図14】本願実施例によるさらに別のデコードされるべきブロック上側の辺に対応する隣接参照サンプルサブセットを選択することを示す概略図である。
図15】本願実施例によるデコードのための予測装置の概略構造図である。
図16】本願実施例によるデコードのための予測装置の具体的なハードウェア構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本願実施例の特徴及び技術的内容をより詳細に理解するために、以下、図面を参照して本願実施例の具現を詳細に説明し、添付の図面は、参照用のものに過ぎず、本願実施例を限定することを意図するものではない。
【0013】
ビデオ画像では、通常、第1の色成分、第2の色成分、及び第3の色成分を使用して、デコードブロックを表す。ここで、この3つの色成分は、それぞれ輝度成分、青彩成分、及び赤彩成分であり、具体的には、輝度成分は通常符号Yで表され、青彩成分は通常符号Cbで表され、赤彩成分は通常符号Crで表される。
【0014】
本願実施例では、第1の色成分は輝度成分Yであり得、第2の色成分は青彩成分Cbであり得、第3の色成分は赤彩成分Crであり得るが、本願実施例はこれを特に限定しない。現在、一般的に使用されているサンプリングフォーマットはYCbCrフォーマットであり、YCbCrフォーマットは、それぞれ図1Aから図1Cに示されるようなフォーマットを含む。ここで、図において、十字(X)は、第1の色成分のサンプリングポイントを表し、円(○)は、第2の色成分まだは第3の色成分のサンプリングポイントを表す。YCbCrフォーマットは、以下のフォーマットを含む。
【0015】
4:4:4フォーマット:図1Aに示されるように、第2の色成分または第3の色成分がダウンサンプリングされていないことを意味する。これは、各スキャンラインの4つの連続するサンプルごとに、4つの第1の色成分のサンプル、4つの第2の色成分のサンプル、及び4つの第3の色成分のサンプルを抽出することを意味する。
【0016】
4:2:2フォーマット:図1Bに示されるように、第1の色成分が第2の色成分または第3の色成分に対して2:1で水平サンプリングされ、垂直ダウンサンプリングが行われないことを意味する。これは、各スキャンラインの4つの連続するサンプルごとに、4つの第1の色成分のサンプル、2つの第2の色成分のサンプル、及び2つの第3の色成分のサンプルを抽出することを意味する。
【0017】
4:2:0フォーマット:図1Cに示されるように、第1の色成分が第2の色成分または第3の色成分に対して2:1で水平ダウンサンプリングされかつ2:1で垂直ダウンサンプリングされることを意味する。これは、水平スキャンライン及び垂直スキャンラインの2つの連続するサンプルごとに、2つの第1の色成分のサンプル、1つの第2の色成分のサンプル、及び1つの第3の色成分のサンプルを抽出することを意味する。
【0018】
ビデオ画像が4:2:0フォーマットのYCbCrフォーマットを採用する場合、ビデオ画像の第1の色成分が2N×2Nサイズのデコードブロックである場合、対応する第2の色成分または第3の色成分は、N×Nサイズのデコードブロックであり、ここで、Nはデコードブロックの辺の長さである。本願実施例では、4:2:0フォーマットを例として以下で説明するが、本願実施例の技術的解決策は、他のサンプリングフォーマットにも適用可能である。
【0019】
次世代ビデオ符号化規格H.266では、符号化及びデコードパフォーマンスをさらに向上させるために、成分間予測(CCP:Cross-component Prediction)が拡張及び改善され、成分間線形予測(CCLM:Cross-component Linear Model Prediction)が提案されている。H.266では、CCLMは、第1の色成分から第2の色成分へ、第1の色成分から第3の色成分へ、及び第2の色成分と第3色成分との間の予測を実現する。以下、第1の色成分から第2の色成分への予測を例として背説明するが、本願実施例の技術的解決策は、他の色成分の予測にも適用可能である。
【0020】
理解できることとして、第1の色成分と第2の色成分との間の冗長性を低減するために、VTMでは、CCLM予測モードを使用し、この場合、第1の色成分と第2の色成分は同一デコードブロックにあり、当該第2の色成分は、同一デコードブロックの第1の色成分再構成値に基づいて予測される。例えば、下記式(1)の予測モデルを採用する。
【数1】
【0021】
ここで、i,jはデコードブロック内のサンプルの位置座標を表し、iは水平方向を表し、jは垂直方向を表し、Pred[i,j]はデコードブロック内の位置座標が[i,j]であるサンプルに対応する第2の色成分予測値を表し、Rec[i,j]は同一デコードブロック内の(ダウンサンプリング後の)位置座標が[i,j]であるサンプルに対応する第1の色成分再構成値を表し、αとβは上記の予測モデルのモデルパラメータである。
【0022】
モデルパラメータα及びβを構築する方法は多数あり、最小二乗評価ベースの回帰構築方法を採用するか、最大値及び最小値に基づく構築方法を採用するか、あるいは他の構築方法を採用することができるが、本願実施例は、これを特に限定しない。以下では、それぞれ、最小二乗法に基づく回帰構築方法と最大値及び最小値ベースの構築方法を例として説明する。
【0023】
VVCでは、最小二乗法に基づく回帰構築モデルパラメータの導出方法が最初に受け入れられている。具体的には、下記式(2)に示されるαとβのように、デコードブロックの周囲の第1の色成分の隣接参照値及び第2の色成分の隣接参照値の回帰誤差を最小化することにより導出することができる。
【数2】
【0024】
ここで、L(n)は、ダウンサンプリング後の左側辺及び上側辺に対応する第1の色成分の隣接参照値を表し、C(n)は、左側辺及び上側辺に対応する第2の色成分の隣接参照値を表し、Nは第2の色成分デコードブロックの辺の長さであり、n=1,2,…,2Nである。図2A及び図2Bは、それぞれ、関連する技術的解決策におけるデコードブロックの第1の色成分の隣接参照値及び第2の色成分の隣接参照値のサンプリングを示す概略図である。ここで、図2Aでは、太字の大きい方のブロックは、第1の色成分デコードブロック21を強調するために使用され、灰色の実線の円は、第1の色成分デコードブロック21の隣接参照値L(n)を示すために使用される。図2Bでは、太字の大きい方のブロックは、第2の色成分デコードブロック22を強調するために使用され、灰色の実線の円は、第2の色成分デコードブロック22的隣接参照値C(n)を示すために使用される。図2Aは、2N×2Nサイズの第1の色成分デコードブロック21を示している。4:2:0フォーマットのビデオ画像の場合、1つの2N×2Nサイズの第1の色成分に対応する第2の色成分のサイズは、図2Bに示されるように、N×Nである。つまり、図2A及び図2Bは、同一デコードブロックに対して、それぞれ第1の色成分サンプリング及び第2の色成分サンプリングを実行することによって得られたデコードブロックの概略図である。
【0025】
VVCでは、最近、簡略化されたモデルパラメータの導出方法が受け入れられている。具体的には、下記式(3)に示されるαとβのように、最大の第1の色成分の隣接参照値及び最小の第1の色成分の隣接参照値を検索することにより、「2点が線を決定する」という原理に従って、モデルパラメータを導出することができる。
【数3】
【0026】
ここで、Lmax及びLminは、ダウンサンプリング後の左側辺及び上側辺に対応する第1の色成分の隣接参照値から検索することによって得られる最大値及び最小値を表し、Cmax及びCminは、Lmax及びLminに対応する位置にある参照サンプルに対応する第2の色成分の隣接参照値を表す。図3は、関連する技術的解決策において、デコードブロックの最大値及び最小値に基づいて予測モデルを構築することを示す概略図である。ここで、横軸は、デコードブロックの第1の色成分の隣接参照値を表し、縦軸は、デコードブロックの第2の色成分の隣接参照値を表す。LmaxとLmin、及びCmaxとCminに従って、式(3)を介してモデルパラメータαとβを計算することができ、構築された予測モデルはC=α・L+βであり、ここで、Lは、デコードブロック内の1つのサンプルに対応する第1の色成分再構成値を表し、Cは、デコードブロック内の当該サンプルに対応する第2の色成分予測値を表す。
【0027】
CCLMにおける隣接参照サンプルセットの構造について、従来技術には多数のケースがあり、以下にそれらをそれぞれ説明する。
【0028】
(a)デコードブロックの形状から区別する
図4Aは、関連する技術的解決策による、正方形のデコードブロックが隣接参照サンプルを選択することを示す概略図である。図4Aに示されるように、当該デコードブロックは正方形のデコードブロックであり、当該デコードブロックの左側辺及び上側辺に対応する全ての隣接サンプルは、参照サンプルとして決定されることができる。第1の色成分については、最初にダウンサンプリングを実行する必要があり、これにより、ダウンサンプリングされた第1の色成分が第2の色成分と同じ解像度を有する。図4Aでは、灰色の実線の円は、正方形のデコードブロックによって選択された隣接参照サンプルを表すために使用される。
【0029】
図4Bは、関連する技術的解決策による、非正方形のデコードブロックが隣接参照サンプルを選択することを示す概略図である。図4Bに示されるように、当該デコードブロックは非正方形のデコードブロックであり、当該デコードブロックの幅と高さは等しくない。第1の色成分については、最初にダウンサンプリングを実行する必要があり、これにより、ダウンサンプリングされた第1の色成分が第2の色成分と同じ解像度を有する。一方、当該デコードブロックの長辺に対応する隣接サンプルをさらにダウンサンプリングして、長辺で得られた隣接参照サンプルの数が短辺の隣接参照サンプルの数と等しくなるようにする必要がある。図4Bでは、灰色の実線の円は、非正方形のデコードブロックによって選択された隣接参照サンプルを表すために使用される。
【0030】
(b)デコードブロックの左側辺または上側辺に対応する隣接サンプルの存在性から区別する
デコードブロックの左側辺と上側辺に対応する隣接サンプルが全て使用可能である場合、上側辺に隣接する行のサンプルと左側辺に隣接する列の隣接サンプルは、全て隣接参照サンプルとして使用できる。
【0031】
デコードブロックの左側辺と上側辺の一方のみに対応する隣接サンプルが使用可能である場合、使用可能辺に対応する隣接サンプルを隣接参照サンプルとして決定する。
【0032】
デコードブロックの左側辺と上側辺に対応する全ての隣接サンプルが使用できない場合、隣接する参照サンプルがなく、モデルパラメータαが0に設定され、モデルパラメータβが第2の色成分の中間値512に設定され、つまり、デコードブロック内の全てのサンプルに対応する第2の色成分予測値は512である。
【0033】
説明を加えないといけないのは、Nが第2の色成分デコードブロック短辺の長さとして定義される場合、デコードブロックの左側辺及び上側辺に対応する隣接サンプルが全て使用可能である場合、CCLMで使用可能な隣接参照サンプルの数は合計2Nである。また、特に説明のない限り、以下の説明では、デコードブロックの左側辺と上側辺に対応する全ての隣接サンプルが使用可能である。
【0034】
(c)隣接参照サンプルサブセット(減点)のスキーム
CCLMのモデルパラメータを計算するプロセスでは、必要な計算の複雑さは、CCLMに使用される隣接参照サンプルの数に正比例する。したがって、計算の複雑さを軽減するために、JVETの第12回会議でのL0138提案では、デコードされるべきブロックに対応する第2の色成分ブロックのサイズに基づいて、CCLMに使用される隣接参照サンプルの数を減らす技術的解決策が提案された。表1は、関連する技術的解決策による、デコードされるべきブロックに対応する第2の色成分ブロックのサイズと、隣接参照サンプルの数との間の関係表である。表1では、Nは、従来の技術的解決策において、CCLMに使用される隣接参照サンプルの数であり、Nは、L0138提案によるサンプル削減後のCCLMに使用される隣接参照サンプルの数である。具体的には、L0138提案におけるサンプル削減方法は、従来の技術的解決策で隣接参照サンプルを取得した後、当該隣接参照サンプルに対してダウンサンプリングを実行することである。
【表1】
【0035】
(d)隣接参照サンプルのダウンサンプリングのスキーム
非正方形のデコードブロックの場合、VTMでは、既に長辺のダウンサンプリングスキーム(図4Bを参照)が提案されている。上記のL0138提案のように、当該提案では、さらなるサンプル削減によって得られたダウンサンプリングセットが提案されている。
【0036】
L0138提案では、ダウンサンプリングプロセスでの隣接参照サンプルの選択が、デコードの予測パフォーマンスに影響を与える可能性があり、VTMのデフォルトのダウンサンプリングスキームによって得られた隣接参照サンプルサブセットに対応するデコードの予測パフォーマンスは理想的ではない。したがって、L0138提案では、ダウンサンプリング時に、別の隣接参照サンプルサブセットの選択スキームが提案されている。具体的には、VTMで採用されている従来の技術的解決策では、非正方形のデコードブロックの長辺に対してダウンサンプリングを実行する場合、デコードブロック上側辺に対応する隣接する行のサンプルについては、左端からサンプルを選択し、左側辺に対応する隣接する列のサンプルについては、上端からサンプルを選択する。L0138提案では、従来の技術的解決策とは反対のエッジからサンプルを選択するスキームが提案され、具体的には、図5A及び図5Bに示される例示的なサンプル選択構造を参照することができる。
【0037】
図5Aは、関連する技術的解決策による従来の技術的解決策に従って隣接参照サンプルを選択することを示す概略図である。図5Aに示されるように、当該デコードブロック長辺に対応する隣接する行のサンプルについては、左端のサンプルからサンプリングされる。図5Bは、関連する技術的解決策によるL0138提案に従って隣接参照サンプルを選択することを示す概略図である。図5Bに示されるように、当該デコードブロック長辺に対応する隣接する行のサンプルについては、右端のサンプルからサンプリングされる。ここで、サンプリング間隔は、従来の技術的解決策と同じであり、本願実施例では詳細な説明を省略する。L0138提案のサンプル選択スキームでは、CCLMのモデルパラメータ計算中に、全ての隣接参照点画素の値の範囲を完全にカバーできるが、各隣接参照サンプルの重要性考慮されていないため、サンプルの数が限られている場合、依然として長辺の全体的な特性を最大限に表現することができない。
【0038】
関連する技術的解決策では、計算の複雑さが考慮され、VTMでは、2N個のポイントから最大の第1の色成分の隣接参照値及び最小の第1の色成分の隣接参照値を検索することが受け入れられており、「2点が線を決定する」という原理に従ってモデルパラメータを導出する(式(3)を参照)。当該スキームでは、2つの隣接参照サンプルのみを使用し、最小二乗ベースの回帰構築モデルパラメータと比較して、計算の複雑さが大幅に軽減されるが、当該スキームは、依然として相当な複雑さを有する。それは、主に、隣接参照サンプルセットで最大値と最小値を決定する必要があり、これにより、4N回の比較計算操作により最大値と最小値を決定する必要があるためである。さらに,デコードブロックの長さが長いほど、CCLMに使用される隣接参照サンプルの数が多くなり、その結果、最大値と最小値を決定するための検索回数が多くなる。したがって、当該スキームの計算の複雑さは依然として高くなっている。一方、予測精度を考慮すると、最大値と最小値を検索するプロセスで、検索により得られたサンプルと現在のデコードブロックとの相関性が非常に低い場合、当該サンプルが不良サンプルであると判断できる。このように、検索により得られた2つのサンプルに不良サンプルが含まれている場合、予測モデルに対して大きなモデル偏差をもたらす。したがって、最大値及び最小値に基づくモデルパラメータ構築方法は、複雑さは比較的低いが、ロバスト性は良くないため、デコードの予測パフォーマンスが低下する。
【0039】
これに基づき、最新のL0138提案では、隣接参照サンプルサブセットの概念が提案され、上記の欠点がある程度改善され、隣接参照サンプルの数を減らすだけでなく、計算の複雑さもさらに軽減し、適切な位置のサンプルを選択する(図5Bを参照)ことにより、デコードの予測パフォーマンスがわずかに向上する。ただし、当該スキームはまだ改善の余地がある。
【0040】
符号化及びデコード予測パフォーマンスをより良く改善するために、本願実施例によるデコードのための予測方法によれば、前記デコードされるべきブロックの少なくとも1つの辺の中点を基準点として、プリセットされたサンプル数に従って、選択されるべき参照サンプル位置を決定し、重要性と分散性の両方を考慮して選択された隣接参照サンプルを隣接参照サンプルサブセットに入れ、前記隣接参照サンプルサブセットに基づいて、前記デコードされるべきブロックに対して予測デコードを実行する。このようにして、当該隣接参照サンプルサブセットに基づいて構築されたモデルパラメータは比較的正確であるため、デコードの予測パフォーマンスを向上させることができ、さらに、当該隣接参照サンプルサブセット内の画素数が比較的少ないため、検索の複雑さも軽減され、ビットレートがさらに低下する。以下、添付の図面を参照して、本願実施例を詳細に説明する。
【0041】
図6は、本願実施例によるビデオ符号化システムの概略ブロック図である。図6に示されるように、当該ビデオ符号化システム600は、変換と量子化601、イントラ推定602、イントラ予測603、動き補償604、動き推定605、逆変換と逆量子化606、フィルタ制御分析607、デブロッキングフィルタリングとサンプル適応オフセット(SAO:Sample Adaptive 0ffset)フィルタリング608、ヘッダ情報符号化とコンテキストベースの適応バイナリ算術符号化(CABAC:Context-based Adaptive Binary Arithmatic Coding)609、及びデコードされた画像バッファ610などのコンポーネントを含む。入力された元のビデオ信号について、コーディングツリーユニット(CTU:Coding Tree Unit)の分割することによって、1つのビデオ符号化ブロックを取得でき、次に、ビットレートをさらに低減するために、変換と量子化601により、イントラまたはインター予測後に取得された残余画素情報を、画素ドメインから変換ドメインに変換し、得られた変換係数を量子化する。イントラ推定602及びイントラ予測603は、当該ビデオ符号化ブロックに対してイントラ予測を実行するために使用される。具体的には、イントラ推定602及びイントラ予測603は、当該ビデオ符号化ブロックを符号化するためのイントラ予測モードを決定するために使用される。動き補償604及び動き推定605は、時間予測情報を提供するために、1つまたは複数の参照イントラの1つまたは複数のブロックに対して受信されたビデオ符号化ブロックに対してインター予測符号化を実行するために使用される。動き推定605によって実行される動き推定は、動きベクトルを生成するプロセスであり、前記動きベクトルは、当該ビデオ符号化ブロックの動きを推定するために使用され、その後、動き補償604は、動き推定605によって決定された動きベクトルに基づいて動き補償を実行する。イントラ予測モードを決定した後、レーム内予測603はまた、選択されたイントラ予測データをヘッダ情報符号化とCABAC 609に提供するために使用され、動き推定605は、計算によって決定された動きベクトルデータをヘッダ情報符号化とCABAC 609に送信する。さらに、逆変換と逆量子化606は、当該ビデオ符号化ブロックの再構築、即ち、画素ドメインで残余ブロックを再構築するために使用され、当該再構築された残余ブロックは、フィルタ制御分析607及びデブロッキングフィルタリングとSAOフィルタリング608よってフィルタリングされて、ブロッキングアーチファクト(blocking artifacts)が除去され、次に、当該再構築された残余ブロックをデコードされた画像バッファ610のイントラの1つの予測ブロックに追加して、再構築されたビデオ符号化ブロックを生成する。ヘッダ情報符号化とCABAC 609は、各種符号化パラメータお及び量子化された変換係数を符号化するために使用され、CABACベースの符号化アルゴリズムでは、コンテキスト内容は、隣接する符号化ブロックに基づくことができ、決定されたイントラ予測モードを示す情報を符号化して、当該ビデオ信号のコードストリームを出力するために使用できる。デコードされた画像バッファ610は、予測参照のために再構成されたビデオ符号化ブロックを記憶するために使用される。ビデオ画像の符号化につれて、新しい再構築されたビデオ符号化ブロックが継続的に生成され、これらの再構築されたビデオ符号化ブロックは、デコードされた画像バッファ610に記憶される。
【0042】
図7は、本願実施例によるビデオデコードシステムの概略ブロック図である。図7に示されるように、当該ビデオデコードシステム700は、ヘッダ情報デコードとCABACデコード701、逆変換と逆量子化702、イントラ予測703、動き補償704、デブロッキングフィルタリングとSAOフィルタリング705、及びデコードされた画像バッファ706などのコンポーネントを含む。入力されたビデオ信号に対して、図6に示される符号化処理を実行した後、当該ビデオ信号のコードストリームを出力する。当該コードストリームをビデオデコードシステム700に入力し、最初にヘッダ情報デコードとCABACデコード701によって処理されて、デコードされた変換係数を取得する。当該変換係数は、逆変換と逆量子化702によって処理されて、画素ドメインに残余ブロックを生成する。イントラ予測703は、決定されたイントラ予測モード、及び現在のフレームまたは画像からの以前のデコードされたブロックのデータに基づいて、現在のビデオデコードブロックの予測データを生成するために使用されることができる。動き補償704は、動きベクトル及び他の構文要素を分析して、ビデオデコードブロックの予測情報を決定し、当該予測情報を使用して現在デコードされているビデオデコードブロックの予測ブロックを生成する。逆変換と逆量子化702からの残余ブロックと、イントラ予測703または動き補償704によって生成された対応する予測ブロックとを合計して、デコードされたビデオブロックを形成する。当該デコードされたビデオ信号は、デブロッキングフィルタリングとSAOフィルタリング705によってフィルタリングされることにより、ブロッキングアーチファクトが除去され、これにより、ビデオ品質を向上させることができる。その後、当該デコードされたビデオブロックをデコードされた画像バッファ706に記憶し、デコードされた画像バッファ706は、後続のイントラ予測または動き補償のための参照画像を記憶するために使用され、ビデオ信号の出力にも使用され、このようにして、復元された元のビデオ信号を取得する。
【0043】
本願実施例は、主に、図6に示されるイントラ予測603及び図7に示されるイントラ予測703に適用されることができる。つまり、本願実施例は、符号化システム及びデコードシステムの両方に適用されることができるが、本願実施例はこれを特に限定しない。
【0044】
図6または図7に示される適用シナリオの例に基づき、図8は、本願実施例によるデコードのための予測方法の概略フローチャートを示す。当該デコードのための予測方法は、以下のステップを含み得る。
【0045】
ステップS801において、デコードされるべきブロックの少なくとも1つの辺に隣接する参照サンプルを取得し、第1隣接参照サンプルセットを取得する。
【0046】
ステップS802において、前記少なくとも1つの辺から1つの基準点を決定し、プリセットされたサンプル数に従って、前記少なくとも1つの辺に対応する選択されるべき参照サンプル位置を決定する。
【0047】
ステップS803において、前記選択されるべき参照サンプル位置に基づいて、前記第1隣接参照サンプルセットから、前記選択されるべき参照サンプル位置に対応する参照サンプルを選択し、選択した参照サンプルで隣接参照サンプルサブセットを形成する。
【0048】
ステップS804において、前記隣接参照サンプルサブセットに基づいて、前記デコードされるべきブロックに対して予測デコードを実行する。
【0049】
説明を加えないといけないのは、デコードされるべきブロックは、現在、第2の色成分予測または第3の色成分予測を実行する必要のあるデコードブロックである。デコードされるべきブロックの少なくとも1つの辺は、デコードされるべきブロックの上側辺を指すことができ、またはデコードされるべきブロックの左側辺を指すことができ、あるいはデコードされるべきブロックの上側辺及び左側辺を指すことができ、本願実施例はこれを特に限定しない。
【0050】
説明を加えないといけないのは、基準点は、前記少なくとも1つの辺の中点であってもよいし、前記少なくとも1つの辺の中点の左側の最初の参照サンプル位置であってもよいし、前記少なくとも1つの辺の中点の右側の最初の参照サンプル位置であってもよいし、さらに、前記少なくとも1つの辺の他の参照サンプル位置であってもよいが、本願実施例はこれを特に限定しない。
【0051】
本願実施例では、本願実施例のデコードのための予測方法は、符号化システムにも適用されることができ、符号化システムで隣接参照サンプルサブセットを構築することにより、ビデオ画像の符号化予測パフォーマンスを改善し、符号化圧縮効率を改善して、符号化ビットレートを節約することができる。以下、デコードシステムにおいて隣接参照サンプルサブセットを構築することのみを例として説明する。
【0052】
本願実施例では、先ずデコードされるべきブロックの少なくとも1つの辺に隣接する参照サンプルを取得し、第1隣接参照サンプルセットを取得する。次に前記少なくとも1つの辺から1つの基準点を決定し、プリセットされたサンプル数に従って、前記少なくとも1つの辺に対応する選択されるべき参照サンプル位置を決定する。その後、前記選択されるべき参照サンプル位置に基づいて、前記第1隣接参照サンプルセットから、前記選択されるべき参照サンプル位置に対応する参照サンプルを選択し、選択した参照サンプルで隣接参照サンプルサブセットを形成する。最後に、前記隣接参照サンプルサブセットに基づいて、前記デコードされるべきブロックに対して予測デコードを実行する。本願実施例では、デコードの予測のための検索操作に、デコードされるべきブロックの上側辺または左側辺に隣接する全ての参照サンプルを使用することなく、重要性と分散性の両方を考慮して、適切な位置の隣接参照サンプルを選択して形成される隣接参照サンプルサブセットを使用することにより、当該隣接参照サンプルサブセット内の像画素数が比較的に少ないため、検索の複雑さを軽減し、デコードの予測パフォーマンスも向上させ、ビットレートをさらに低下させることができる。
【0053】
いくつかの実施例では、前記少なくとも1つの辺から1つの基準点を決定することは、
前記少なくとも1つの辺の長さに基づき、前記少なくとも1つの辺の中点を決定し、前記少なくとも1つの辺の中点を前記基準点として使用することを含む。
【0054】
いくつかの実施例では、前記基準点が前記少なくとも1つの辺の中点である場合、前記少なくとも1つの辺から1つの基準点を決定することは、
前記少なくとも1つの辺の長さに基づき、前記少なくとも1つの辺の中点が2つの参照サンプルの間の中間位置にある場合、前記中間位置の右側の最初の参照サンプル位置を前記少なくとも1つの辺の基準点として使用するか、または前記中間位置の左側の最初の参照サンプル位置を前記少なくとも1つの辺の基準点として使用することを含む。
【0055】
説明を加えないといけないのは、デコードされるべきブロックの少なくとも1つの辺に隣接する参照サンプルの重要性がその対応する位置に相関していることを考慮すると、隣接参照サンプルサブセット内の参照サンプルが、隣接する辺全体の特性を表すようにするために、可能な限り当該辺の中央位置にある参照サンプルを選択することにより、重要度が比較的低いサンプル(例えば、当該辺の両端にある参照サンプル)を除去する必要がある。本願実施例では、デコードされるべきブロックの上側辺を例として説明する場合、中間位置の右側または左側の最初の参照サンプル位置を当該辺の基準点として使用することができる。
【0056】
例示的に、図9は、本願実施例によるデコードされるべきブロックの上側辺に対応する隣接参照サンプルサブセットを選択することを示す概略図である。図9に示されるように、デコードされるべきブロックの上側辺に分布された全ての参照サンプルについて、当該辺の中点を中心として選択し(図9に示される点線の位置)、当該中心を基準点として、参照サンプルの選択を実行する。当該デコードブロックの上側辺の辺長さが16であり、プリセットされたサンプル数が4である場合、サンプリング間隔Δは16/4=4であることが得られる。この場合、上側辺の長さが16であるため、中点は7~8の間であると判断でき、つまり、7または8を中点として選択することができる。図9では、8を基準点として選択することを例として、プリセットされたサンプル数が4であるため、選択されるべき参照サンプル位置(図9に示される灰色の点)は2、6、10及び14であると決定でき、これらの参照サンプル位置に従って、対応する参照サンプルを選択し、選択した参照サンプルで隣接参照サンプルサブセットを形成することができる。
【0057】
いくつかの実施例では、前記基準点が前記少なくとも1つの辺の中点である場合、前記少なくとも1つの辺から1つの基準点を決定することは、
前記少なくとも1つの辺の長さに基づき、前記少なくとも1つの辺の中点が2つの参照サンプルの間の中間位置にある場合、前記中間位置の下側の最初の参照サンプル位置を前記少なくとも1つの辺の基準点として使用するか、または前記中間位置の上側の最初の参照サンプル位置を前記少なくとも1つの辺の基準点として使用することを含む。
【0058】
説明を加えないといけないのは、デコードされるべきブロックの少なくとも1つの辺に隣接する参照サンプルの重要性がその対応する位置に相関していることを考慮すると、隣接参照サンプルサブセット内の参照サンプルが、隣接する辺全体の特性を表し得るようにするために、可能な限り当該辺の中間位置にある参照サンプルを選択することにより、重要度が比較的低いサンプル(例えば、当該辺の両端にある参照サンプル)を除去する必要がある。本願実施例では、デコードされるべきブロックの左側辺を例として説明する場合、中間位置の下側または上側の最初の参照サンプル位置を当該辺の基準点として使用することができる。
【0059】
例示的に、図10は、本願実施例によるデコードされるべきブロックの左側辺に対応する隣接参照サンプルサブセットを選択することを示す概略図である。図10に示されるように、デコードされるべきブロックの左側辺に分布された全ての参照サンプルについて、当該辺の中点を中心として選択し(図10に示される点線の位置)、当該中心を基準点として、参照サンプルの選択を実行する。当該デコードブロックの上側辺の辺長さが8であり、プリセットされたサンプル数が2である場合、サンプリング間隔Δは8/2=4であることが得られる。この場合、左側辺の長さが8であるため、中点は3~4の間であると判断でき、つまり、3または4を中点として選択することができる。図10では、4を基準点として選択することを例として、プリセットされたサンプル数が2であるため、選択されるべき参照サンプル位置(図10に示される灰色の点)は2及び6であると決定でき、これらの参照サンプル位置に従って、対応する参照サンプルを選択し、選択した参照サンプルで隣接参照サンプルサブセットを形成することができる。
【0060】
実際の応用では、デコードされるべきブロックの左側辺または上側辺の辺長さが2の整数倍であるため、デコードされるべきブロックの左側辺または上側辺の中間位置は2点の間にある。図9に示される例では、中間位置の右側の最初のサンプルを当該辺の中点として使用する。しかしながら、本願実施例は、図11の構造例に示されるように、中間位置の左側の最初のサンプルを当該辺の中点として使用することもできる。図11では、中間位置の左側の最初のサンプル(例えば、図11の3)を当該辺の中点として使用し、プリセットされたサンプル数が2であるため、選択されるべき参照サンプル位置(図11に示される灰色の点)は1及び5であると決定でき、これらの参照サンプル位置に従って、対応する参照サンプルを選択し、選択した参照サンプルで隣接参照サンプルサブセットを形成することもできる。したがって、本願実施例では、デコードされるべきブロックの上側辺について、中間位置の右側の最初のサンプルを当該辺の中点として決定してもよいし、中間位置の左側の最初のサンプルを当該辺の中点として決定してもよいが、本願実施例はこれを特に限定しない。また、デコードされるべきブロックの左側辺について、中間位置の下側の最初のサンプルを当該辺の中点として決定してもよいし、中間位置の上側の最初のサンプルを当該辺の中点として決定してもよいが、本願実施例はこれを特に限定しない。
【0061】
特に明記しない限り、以下では、デコードされるべきブロックの上側辺を例として説明するが、本願実施例の予測方法は、デコードされるべきブロックの左側辺にも適用可能であり、あるいはデコードされるべきブロックの他の辺に適用可能である。
【0062】
理解できることとして、デコードされるべきブロックの左側辺または上側辺に隣接する参照サンプルの存在性を考慮しない場合、式(4)及び式(5)に従って隣接参照サンプルサブセットを構築することができる。
【数4】
【数5】
【0063】
ここで、Δはサンプリング間隔を表し、lengthは、デコードされるべきブロックの上側辺に隣接する行の参照サンプルの数、またはデコードされるべきブロックの左側辺に隣接する列の参照サンプルの数を表し、Nは、デコードされるべきブロックの隣接参照サンプルサブセットを形成する隣接参照サンプルの予想数を表し(一般的に、左側辺及び上側辺のそれぞれの1/2であるが、本願実施例はこれを特に限定しない)、shiftは参照サンプルの開始点位置を表す。ここで、デコードされるべきブロックの左側辺または上側辺の中間位置が2点の間にある場合、中間位置の右側の最初のサンプルを当該辺の中点として使用すると、開始点位置はshift=Δ/2であり、中間位置の左側の最初のサンプルを当該辺の中点として使用すると、開始点位置はshift=Δ/2-1である。
【0064】
例示的に、図9に示される上側辺を例にとると、lengthは16に等しく、Nは8に等しく、左側辺及び上側辺のそれぞれについて1/2、すなわち、上側辺のプリセットされたサンプル数が4である場合、式(4)及び式(5)に従って、それぞれΔ=length/(N/2)=4とshift=Δ/2=2を計算する。つまり、開始点位置2であり、サンプリング間隔は4であり、最初に、選択されるべき参照サンプル位置(2、6、10及び14など)を決定でき、次に、対応する参照サンプルを選択して、隣接参照サンプルサブセットを形成することができる。なお、左側辺に対応するプリセットされたサンプル数と上側辺に対応するプリセットされたサンプル数は、同じでも異なっていてもよく、本願実施例はこれを特に限定しないことに留意されたい。
【0065】
さらに、本願実施例は、表2に示されるように、プリセットされたサンプル数を決定するスキームも提供する。この場合、本願実施例では、表2のN’は、計算のためにNの代わりに上記の式(4)及び式(5)に代入されてもよく、これにより、形成された隣接参照サンプルサブセットがより正確になり、デコードの予測パフォーマンスが向上する。
【0066】
表2は、本願実施例による、デコードされるべきブロックに対応する第2の色成分ブロックのサイズと隣接参照サンプルの数との間の関係表である。表2では、Nはデコードされるべきブロックの短辺の長さを表し、Nは、従来の技術的解決策における隣接参照サンプルの数を表し、NはL0138提案における隣接参照サンプルの数を表し、N’は本願実施例における隣接参照サンプルの数を表す。表2によると、デコードされるべきブロックの短辺の長さが4より小さいか等しい場合、隣接参照サンプルサブセットには4つの参照サンプルが含まれ、デコードされるべきブロックの短辺の長さが4を超える場合、隣接参照サンプルサブセットには8つの参照サンプルが含まれることができる。
【表2】
【0067】
いくつかの実施例では、前記少なくとも1つの辺から1つの基準点を決定し、プリセットされたサンプル数に従って、前記少なくとも1つの辺に対応する選択されるべき参照サンプル位置を決定することは、
前記プリセットされたサンプル数及び前記少なくとも1つの辺の長さに基づいて、第1サンプリング間隔を計算することと、
前記少なくとも1つの辺の中点を基準点として、前記第1サンプリング間隔に従って、前記少なくとも1つの辺に対応する選択されるべき参照サンプル位置を決定することと、を含む。
【0068】
例示的に、前記少なくとも1つの辺の中点を基準点として、前記第1サンプリング間隔に従って、前記少なくとも1つの辺に対応する選択されるべき参照サンプル位置を決定することは、
前記少なくとも1つの辺の長さに基づいて、前記少なくとも1つの辺の中点値を計算することと、
前記中点値及び第1サンプリング間隔に従って、参照サンプル位置を計算することと、
前記中点値が非整数である場合、前記中点値の左側の参照サンプル位置を切り捨て、切り捨てた参照サンプル位置を選択されるべき参照サンプル位置として決定し、前記中点値の右側の参照サンプル位置を切り上げ、切り上げた参照サンプル位置を選択されるべき参照サンプル位置として決定することと、を含む。
【0069】
例示的に、前記少なくとも1つの辺の中点を基準点として、前記第1サンプリング間隔に従って、前記少なくとも1つの辺に対応する選択されるべき参照サンプル位置を決定することは、
前記少なくとも1つの辺の長さに基づいて、前記少なくとも1つの辺の中点値を計算することと、
前記中点値及び第1サンプリング間隔に従って、参照サンプル位置を計算することと、
前記中点値が非整数である場合、前記中点値の左側の参照サンプル位置を切り上げ、切り上げた参照サンプル位置を選択されるべき参照サンプル位置として決定し、前記中点値の右側の参照サンプル位置を切り捨て、切り捨てた参照サンプル位置を選択されるべき参照サンプル位置として決定することと、を含む。
【0070】
説明を加えないといけないのは、プリセットされたサンプル数及びデコードされるべきブロックの一辺の長さに従って、当該辺に対応する第1サンプリング間隔を計算することができる。また、デコードされるべきブロックの左側辺または上側辺の辺長さは2の整数倍であるため、デコードされるべきブロックの左側辺または上側辺の中間位置は2点の間にあり、この場合、計算によって得られた中点値は非整数であり、計算によって得られた参照サンプル位置も非整数である。一方、デコードされるべきブロックの左側辺または上側辺の辺長さが2の整数倍でない場合、デコードされるべきブロックの左側辺または上側辺の中間位置は2の間になく、この場合、計算によって得られた中点値は整数であり、計算によって得られた参照サンプル位置も整数である。つまり、計算によって得られた中点値は整数または非整数であり得、これに対応して、計算によって得られた参照サンプル位置も、整数または非整数であり得るが、本願実施例はこれを特に限定しない。
【0071】
したがって、計算によって得られた中点値が整数である場合、計算によって得られた参照サンプル位置も整数であり、この場合、計算によって得られた参照サンプル位置を選択されるべき参照サンプル位置として直接使用できる。計算によって得られた中点値が非整数である場合、計算によって得られた参照サンプル位置も非整数であり、この場合、切り上げまたは切り捨てによって、選択されるべき参照サンプル位置を決定できる。
【0072】
例えば、図11に示される上側辺を例にとると、プリセットされたサンプル数が2であり、上側辺の長さが8である場合、第1サンプリング間隔が4であると決定できる。上側辺の長さが8であり、つまり、上側辺の中間位置は2点の間にある。参照サンプルの配列は0から始まり、7で終わるため、計算により、上側辺の中点の実際の位置は3.5であることがわかる。第1サンプリング間隔が4であるため、中点の左側と右側でそれぞれ4/2ポイントをシフトすると、計算により、参照点位置が1.5及び5.5であることがわかる。この場合、中点値の左側の参照サンプル位置を切り捨てることにより、そのうちの1つの選択されるべき参照サンプル位置が1であると決定でき、中点値の右側の参照サンプル位置を切り上げることにより、もう1つの選択されるべき参照サンプル位置が6であると決定できる。当該方法は、図12に示されるように、外向き丸め(rounding-out)スキームと呼ばれることもできる。このように、1及び6の位置に対応する参照サンプルで、隣接参照サンプルサブセットを形成できる。また、計算によって得られた参照サンプル位置が1.5と5.5である場合、中点値の左側の参照サンプル位置を切り上げることにより、そのうちの1つの選択されるべき参照サンプル位置が2であると決定でき、中点値の右側の参照サンプル位置を切り捨てることにより、もう1つの選択されるべき参照サンプル位置が5であると決定できる。当該方法は、図13に示されるように、内向き丸め(rounding-in)スキームと呼ぶことをできる。このように、2及び5の位置に対応する参照サンプルで、隣接参照サンプルサブセットを形成できる。
【0073】
いくつかの実施例では、前記第1サンプリング間隔を計算した後、前記デコードのための予測方法は、
前記第1サンプリング間隔を調整して、第2サンプリング間隔を取得することと、
前記少なくとも1つの辺の中点を基準点として、前記第2サンプリング間隔に従って、前記少なくとも1つの辺に対応する選択されるべき参照サンプル位置を決定することと、をさらに含む。
【0074】
いくつかの実施例では、前記第2サンプリング間隔を取得した後、前記デコードのための予測方法は、
前記少なくとも1つの辺の中点を基準点として、前記第1サンプリング間隔に従って前記基準点の左側に対応する選択されるべき参照サンプル位置を決定し、前記第2サンプリング間隔に従って前記基準点の右側に対応する選択されるべき参照サンプル位置を決定することをさらに含む。
【0075】
説明を加えないといけないのは、第1サンプリング間隔を計算によって得られた後、第1サンプリング間隔を微調整することができる。例えば、第1サンプリング間隔に1を加算または減算して、第2サンプリング間隔を取得することができる。例えば、第1サンプリング間隔が4である場合、調整によって得られる第2サンプリング間隔は3または5であり得る。本願実施例では、第1サンプリング間隔に対する調整は、狭い範囲(例えば、1を加算または減算するなど)で調整することができるが、調整範囲の具体的な設定については、本願実施例では特に限定されない。
【0076】
さらに、デコードされるべきブロックの少なくとも1つの辺の基準点を決定した後、第1サンプリング間隔または第2サンプリング間隔に従って均一なサンプリングを行うか、または第1サンプリング間隔及び第2サンプリング間隔に従って不均一なサンプリングを行うことができ、さらに、サンプリング後に決定された、選択されるべき参照サンプル位置は、基準点の両側に対称的に分布されてもよく、基準点の両側に非対称に分布されてもよく、本願実施例はこれを特に限定しない。
【0077】
いくつかの実施例では、前記少なくとも1つの辺から1つの基準点を決定し、プリセットされたサンプル数に従って、前記少なくとも1つの辺に対応する選択されるべき参照サンプル位置を決定することは、
前記少なくとも1つの辺の中点を基準点として、前記プリセットされたサンプル数に従って、前記基準点の近くの連続する参照サンプル位置を選択されるべき参照サンプル位置として決定することを含み、前記基準点は、前記選択されるべき参照サンプル位置の中間位置にある。
【0078】
説明を加えないといけないのは、隣接参照サンプルのうち、デコードされるべきブロックの第1の色成分再構成値と相関しているものは、中間位置にある参照サンプルであるため、中間位置近くの連続するプリセットされたサンプル数の参照サンプル位置を選択されるべき参照サンプル位置として使用する。当該方法は、図14に示されるように、中間位置連続採点スキームと呼ばれることもできる。2、3及び4の位置に対応する参照サンプルで、隣接参照サンプルサブセットを形成することができる。
【0079】
デコードされるべきブロックの上側辺または左側辺に隣接する行/列の参照サンプル位置に0から番号を付けると、本実施例で形成された隣接参照サンプルサブセット内の隣接参照サンプルの数及び対応する選択されるべき参照サンプル位置は、表3に示される通りである。
【表3】
【0080】
本実施例では、中間位置近くの連続するプリセットされたサンプル数の参照サンプル位置を、選択されるべき参照サンプル位置として使用することにより、隣接参照サンプルサブセットを形成する。当該隣接参照サンプルサブセットに従って予測デコードを実行することにより、L0138提案に基づき、依然としてビットレートを低下させ、デコードゲインを向上させることができるため、デコードの予測パフォーマンスを向上させることができる。
【0081】
いくつかの実施例では、前記デコードされるべきブロックは、正方形のデコードブロックまたは非正方形のデコードブロックを含む。
【0082】
さらに、いくつかの実施例では、当前記デコードされるべきブロックが非正方形のデコードブロックである場合、前記デコードのための予測方法は、
前記デコードされるべきブロックの少なくとも1つの辺の長さに基づいて、前記デコードされるべきブロックの長辺及び前記長辺に対応する第3サンプリング間隔を決定することと、
前記長辺の終了位置に対応する参照サンプルを削除し、プリセットされたオフセットに従って、参照サンプルを削除した長辺に対して初期オフセットを行い、オフセットされた参照サンプル位置を開始点として使用し、前記第3サンプリング間隔に従って、参照サンプルを削除した長辺に対してサンプリングを実行することにより、前記長辺に対応する選択されるべき参照サンプル位置を決定することと、をさらに含む。
【0083】
説明を加えないといけないのは、本願実施例は、正方形のデコードブロックに適用されることができ、非正方形のデコードブロックにも適用されることもでき、本願実施例はこれを特に限定しない。
【0084】
また、デコードされるべきブロックが非正方形のデコードブロックである場合、デコードされるべきブロックの左側辺及び上側辺の一方が長辺であり、もう一方が短辺である。長辺と短辺の比率により、長辺に対応する第3サンプリング間隔を取得することができる。長辺をサンプリングする前に、最初に、前記長辺の終了位置に対応する参照サンプルを削除することができ、次に、プリセットされたオフセットに従って、参照サンプルを削除した長辺に対して初期オフセットを行い、オフセットされた参照サンプル位置を開始点として使用し、その後、参照サンプルを削除した長辺に対してサンプリングを実行することにより、当該長辺に対応する選択されるべき参照サンプル位置を決定する。本願実施例では、プリセットされたオフセットは、第3サンプリング間隔の1/2であってもよいし、他の値であってもよいが、本願実施例はこれを特に限定しない。
【0085】
例示的に、関連する技術的解決策では、非正方形のデコードブロックの長辺に対する参照サンプルサンプリングは、図4Bに示される通りである。図4Bでは、長辺と短辺の比率に従って、第3サンプリング間隔が4であると決定できる。長辺の左側の最初の参照サンプル位置を開始点として、第3サンプリング間隔に従って、短辺の隣接参照サンプルと同じ数の参照サンプルを選択する。このような場合、サンプリングされた参照サンプルは左側にあり、長辺全体の特性をカバーできない。したがって、本実施例では、非正方形のデコードブロックの長辺について、最初に、初期オフセットを実行することにより、サンプリングされた参照サンプルが長辺全体の特性をカバーできるようにする。例えば、プリセットされたオフセットは、第3サンプリング間隔の1/2であり、すなわち、プリセットされたオフセットは2である。つまり、本実施例では、サンプリングは2から始まる。このように形成された隣接参照サンプルサブセットは、長辺全体の特性をより適切にカバーすることができる。
【0086】
いくつかの実施例では、前記少なくとも1つの辺から1つの基準点を決定し、プリセットされたサンプル数に従って、前記少なくとも1つの辺に対応する選択されるべき参照サンプル位置を決定することは、
前記少なくとも1つの辺の開始位置及び終了位置にそれぞれ対応する参照サンプルを削除して、第2隣接参照サンプルセットを取得することと、
前記少なくとも1つの辺の中点を基準点として、前記第2隣接参照サンプルセットに基づいて、プリセットされたサンプル数に従って選択されるべき参照サンプル位置を決定することと、を含む。
【0087】
説明を加えないといけないのは、本願実施例では、デコードされるべきブロックの左側辺または上側辺の中点を基準点として、参照サンプルの選択を直接選択することにより、隣接参照サンプルサブセットを形成することができる。本願実施例ではまた、最初に、デコードされるべきブロックの左側辺/上側辺に対応する開始位置及び終了位置(例えば、上側辺の場合、開始位置は左端位置であり、終了位置は右端位置であり、左側辺の場合、開始位置は上端位置であり、終了位置は下端位置である)にそれぞれ対応する参照サンプルを削除し、中間部分の参照サンプルを保留し、その後、選択された参照サンプルで、隣接参照サンプルサブセットを形成する。
【0088】
プリセットされたサンプル数は任意の値であり得ることにも留意されたい。一般に、プリセットされたサンプル数は、表2のN未満であればよい。しかしながら、本願実施例は、プリセットされたサンプル数がNまたはN’に等しいことに限定されない。プリセットされたサンプル数が表2のN未満であるため、参照サンプルの検索の複雑さを軽減して、デコードの予測パフォーマンスを向上させることができる。具体的には、上記の式(4)及び式(5)におけるΔ及びshift値を変更することにより、異なる開始点及びサンプリング間隔に基づいて、選択されるべき参照サンプル位置の決定を実現し、さらに、対応する参照サンプルを選択して、隣接参照サンプルサブセットを形成することができる。
【0089】
いくつかの実施例では、前記隣接参照サンプルサブセットに基づいて、前記デコードされるべきブロックに対して予測デコードを実行することは、
前記隣接参照サンプルサブセットに基づいて、モデルパラメータを決定することと、
前記モデルパラメータに従って、予測モデルを確立することであって、前記予測モデルは、前記デコードされるべきブロック内の各サンプルに対応する第1の色成分と第2の色成分との間の予測関係を表すために使用される、ことと、
前記予測モデルに基づいて、前記デコードされるべきブロックに対して予測デコードを実行することと、を含む。
【0090】
説明を加えないといけないのは、隣接参照サンプルサブセットを取得した後、モデルパラメータα及びβを構築することができる。このように、上記の式(1)に従って予測モデルを確立することができる。予測モデルに従って、当該デコードされるべきブロックに対して予測デコードを実行することができる。隣接参照サンプルサブセットに含まれる隣接参照サンプルについて、重要性と分散性の両方が考慮されるため、構築されたモデルパラメータがより正確になり、デコードの予測パフォーマンスが向上し、ビットレートがさらに低下する。
【0091】
上記の実施例によるデコードのための予測方法によれば、デコードされるべきブロックの少なくとも1つの辺に隣接する参照サンプルを取得し、第1隣接参照サンプルセットを取得し、前記少なくとも1つの辺から1つの基準点を決定し、プリセットされたサンプル数に従って、前記少なくとも1つの辺に対応する選択されるべき参照サンプル位置を決定し、前記選択されるべき参照サンプル位置に基づいて、前記第1隣接参照サンプルセットから、前記選択されるべき参照サンプル位置に対応する参照サンプルを選択し、選択された参照サンプルで隣接参照サンプルサブセットを形成し、前記隣接参照サンプルサブセットに基づいて、前記デコードされるべきブロックに対して予測デコードを実行する。隣接参照サンプルサブセット内の隣接参照サンプルについて、重要性と分散性の両方が考慮され、隣接参照サンプルサブセットにはサンプルがほとんど含まれていないため、検索の複雑さが軽減され、ビデオの画像デコードの予測パフォーマンスが向上し、これにより、ビットレートを低下させることができる。
【0092】
図8に示される技術的解決策と同じ発明構想に基づき、図15は、本願実施例によるデコードのための予測装置150の概略構造図である。当該デコードのための予測装置150は、取得ユニット1501と、決定ユニット1502と、選択ユニット1503と、デコードユニット1504とを備えることができる。
【0093】
前記取得ユニット1501は、デコードされるべきブロックの少なくとも1つの辺に隣接する参照サンプルを取得し、第1隣接参照サンプルセットを取得するように構成され、 前記決定ユニット1502は、前記少なくとも1つの辺から1つの基準点を決定し、プリセットされたサンプル数に従って、前記少なくとも1つの辺に対応する選択されるべき参照サンプル位置を決定するように構成され、
前記選択ユニット1503は、前記選択されるべき参照サンプル位置に基づいて、前記第1隣接参照サンプルセットから、前記選択されるべき参照サンプル位置に対応する参照サンプルを選択し、選択した参照サンプルで隣接参照サンプルサブセットを形成するように構成され、
前記デコードユニット1504は、前記隣接参照サンプルサブセットに基づいて、前記デコードされるべきブロックに対して予測デコードを実行するように構成される。
【0094】
上記の解決策では、前記決定ユニット1502は、具体的に、前記少なくとも1つの辺の長さに基づき、前記少なくとも1つの辺の中点が2つの参照サンプルの間の中間位置にある場合、前記中間位置の右側の最初の参照サンプル位置を前記少なくとも1つの辺の基準点として使用するか、または前記中間位置の左側の最初の参照サンプル位置を前記少なくとも1つの辺の基準点として使用するように構成される。
【0095】
上記の解決策では、前記決定ユニット1502は、具体的に、前記少なくとも1つの辺の長さに基づき、前記少なくとも1つの辺の中点が2つの参照サンプルの間の中間位置にある場合、前記中間位置の下側の最初の参照サンプル位置を前記少なくとも1つの辺の基準点として使用するか、または前記中間位置の上側の最初の参照サンプル位置を前記少なくとも1つの辺の基準点として使用するように構成される。
【0096】
上記の解決策では、図15を参照すると、前記デコードのための予測装置150は、さらに、計算ユニット1505を備え、前記計算ユニット1505は、前記プリセットされたサンプル数及び前記少なくとも1つの辺の長さに基づいて、第1サンプリング間隔を計算するように構成され、
前記決定ユニット1502は、具体的に、前記少なくとも1つの辺の中点を基準点として、前記第1サンプリング間隔に従って、前記少なくとも1つの辺に対応する選択されるべき参照サンプル位置を決定するように構成される。
【0097】
上記の解決策では、前記計算ユニット1505は、さらに、前記少なくとも1つの辺の長さに基づいて、前記少なくとも1つの辺の中点値を計算し、前記中点値及び第1サンプリング間隔に従って、参照サンプル位置を計算するように構成され、
前記決定ユニット1502は、具体的に、前記中点値が非整数である場合、前記中点値の左側の参照サンプル位置を切り捨て、切り捨てた参照サンプル位置を選択されるべき参照サンプル位置として決定し、前記中点値の右側の参照サンプル位置を切り上げ、切り上げた参照サンプル位置を選択されるべき参照サンプル位置として決定するように構成される。
【0098】
上記の解決策では、前記計算ユニット1505は、さらに、前記少なくとも1つの辺の長さに基づいて、前記少なくとも1つの辺の中点値を計算し、前記中点値及び第1サンプリング間隔に従って、参照サンプル位置を計算するように構成され、
前記決定ユニット1502は、具体的に、前記中点値が非整数である場合、前記中点値の左側の参照サンプル位置を切り上げ、切り上げた参照サンプル位置を選択されるべき参照サンプル位置として決定し、前記中点値の右側の参照サンプル位置を切り捨て、切り捨てた参照サンプル位置を選択されるべき参照サンプル位置として決定するように構成される。
【0099】
上記の解決策では、図15を参照すると、前記デコードのための予測装置150は、さらに、調整ユニット1506を備え、前記調整ユニット1506は、前記第1サンプリング間隔を調整して、第2サンプリング間隔を取得するように構成され、
前記決定ユニット1502は、さらに、前記少なくとも1つの辺の中点を基準点として、前記第2サンプリング間隔に従って、前記少なくとも1つの辺に対応する選択されるべき参照サンプル位置を決定するように構成される。
【0100】
上記の解決策では、前記決定ユニット1502は、さらに、前記少なくとも1つの辺の中点を基準点として、前記第1サンプリング間隔に従って前記基準点の左側に対応する選択されるべき参照サンプル位置を決定し、前記第2サンプリング間隔に従って前記基準点の右側に対応する選択されるべき参照サンプル位置を決定するように構成される。
【0101】
上記の解決策では、前記決定ユニット1502は、さらに、前記少なくとも1つの辺の中点を基準点として、前記プリセットされたサンプル数に従って、前記基準点の近くの連続する参照サンプル位置を選択されるべき参照サンプル位置として決定するように構成され、前記基準点は、前記選択されるべき参照サンプル位置の中間位置にある。
【0102】
上記の解決策では、前記デコードされるべきブロックは、正方形のデコードブロックまたは非正方形のデコードブロックを含む。
【0103】
上記の解決策では、前記取得ユニット1501は、さらに、前記少なくとも1つの辺の開始位置及び終了位置にそれぞれ対応する参照サンプルを削除して、第2隣接参照サンプルセットを取得するように構成され、
前記決定ユニット1502は、さらに、前記少なくとも1つの辺の中点を基準点として、前記第2隣接参照サンプルセットに基づいて、プリセットされたサンプル数に従って選択されるべき参照サンプル位置を決定するように構成される。
【0104】
上記の解決策では、図15を参照すると、前記デコードのための予測装置150は、さらに、確立ユニット1507を備え、前記確立ユニット1507は、前記隣接参照サンプルサブセットに基づいて、モデルパラメータを決定し、前記モデルパラメータに従って、予測モデルを確立するように構成され、ここで、前記予測モデルは、前記デコードされるべきブロック内の各サンプルに対応する第1の色成分と第2の色成分との間の予測関係を表すために使用され、
前記デコードユニット1504は、具体的に、前記予測モデルに基づいて、前記デコードされるべきブロックに対して予測デコードを実行するように構成される。
【0105】
理解できることとして、本実施において、「ユニット」は、回路の一部、プロセッサの一部、プログラムの一部、またはソフトウェアなどであってもよく、もちろん、モジュールであってもよいし、非モジュール式ものであってもよい。さらに、本実施例における各構成要素は、1つの処理ユニットに統合されてもよく、各ユニットが物理的に別個に存在してもよく、2つ以上のユニットが1つのユニットに統合されてもよい。前述した統合されたユニットは、ハードウェアの形で実現されてもよく、ソフトウェア機能モジュールの形で実現されてもよい。
【0106】
前記統合されたユニットが、ソフトウェア機能モジュールの形で実装され、独立した製品として販売または使用されていない場合、1つのコンピュータ可読記憶媒体に記憶することができる。このような理解に基づいて、本実施例の技術的解決策の本質的な部分、即ち、先行技術に貢献のある部分、または当該技術の解決策の全部または一部は、ソフトウェア製品の形で具現されることができ、当該コンピュータソフトウェア製品は、1つの記憶媒体に記憶され、一台のコンピュータ機器(パーソナルコンピュータ、サーバ、またはネットワーク機器などであり得る)またはプロセッサ(processor)に、本実施例に記載の方法のステップの全部または一部を実行させるためのいくつかの命令を含む。前述した記憶媒体は、Uディスク、モバイルハードディスク、読み取り専用メモリ(ROM:read-only memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM:random access memory)、磁気ディスクまたは光ディスクなど、プログラムコードを記憶することができる様々な媒体を含む。
【0107】
したがって、本実施例は、コンピュータ記憶媒体を提供し、当該コンピュータ記憶媒体には、デコードの予測プログラムが記憶され、前記デコードの予測プログラムが少なくとも1つのプロセッサによって実行されるときに、前述した図8に示される技術的解決策における方法のステップを実現する。
【0108】
前記デコードのための予測装置150の構成及びコンピュータ記憶媒体に基づき、図16は、本願実施例で提供されるデコードのための予測装置150の具体的なハードウェア構造の例を示し、前記デコードのための予測装置150は、ネットワークインターフェース1601と、メモリ1602と、プロセッサ1603とを備えることができ、各コンポーネントは、バスシステム1604を介して結合される。バスシステム1604は、これらのコンポーネント間の接続通信を実現するために使用されることが理解できる。データバスに加えて、バスシステム1604は、電力バス、制御バス及びステータス信号バスを含む。しかしながら、説明を明確にするために、図16では様々なバスをバスシステム1604として表記されている。ここで、ネットワークインターフェース1601は、他の外部要素と情報を送受信するプロセスで、信号の受信及び送信をするように構成され、
メモリ1602は、プロセッサ1603で実行可能なコンピュータプログラムを記憶するように構成される。
【0109】
プロセッサ1603は、前記コンピュータプログラムを実行する時に、
デコードされるべきブロックの少なくとも1つの辺に隣接する参照サンプルを取得し、第1隣接参照サンプルセットを取得し、
前記少なくとも1つの辺から1つの基準点を決定し、プリセットされたサンプル数に従って、前記少なくとも1つの辺に対応する選択されるべき参照サンプル位置を決定し、
前記選択されるべき参照サンプル位置に基づいて、前記第1隣接参照サンプルセットから、前記選択されるべき参照サンプル位置に対応する参照サンプルを選択し、選択された参照サンプルで隣接参照サンプルサブセットを形成し、
前記隣接参照サンプルサブセットに基づいて、前記デコードされるべきブロックに対して予測デコードを実行するように構成される。
【0110】
本願実施例におけるメモリ1602は、揮発性メモリまたは不揮発性メモリであってもよく、または揮発性及び不揮発性メモリの両方を含んでもよいことが理解できる。ここで、不揮発性メモリは、読み取り専用メモリ(ROM:Read-Only Memory)、プログラム可能な読み取り専用メモリ(PROM:Programmable ROM)、消去可能なプログラム可能な読み取り専用メモリ(EPROM:Erasable PROM)、電気的に消去可能なプログラム可能な読み取り専用メモリ(EEPROM:Electrically EPROM)、またはフラッシュメモリであり得る。揮発性メモリは、外部キャッシュとして使用されるランダムアクセスメモリ(RAM:Random Access Memory)であってもよい。例示的であるが限定的な説明ではないが、例えば、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM:Static RAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM:Dynamic RAM)、同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(SDRAM:Synchronous DRAM)、ダブルデータレートの同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(DDRSDRAM:Double Data Rate SDRAM)、強化された同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(ESDRAM:Enhanced SDRAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリの同期接続(SLDRAM:Synchlink DRAM)及びダイレクトメモリバスランダムアクセスメモリ(DRRAM:Direct Rambus RAM)など様々な形のRAMを使用することができる。本明細書に記載のシステム及び方法のメモリ1602は、これら及び任意の他の適切なタイプのメモリを含むがこれらに限定されないことを意図する。
【0111】
プロセッサ1603は、信号処理機能を備えた集積回路チップであり得る。実現プロセスにおいて、上記の方法の各ステップは、プロセッサ1603内のハードウェアの集積論理回路またはソフトウェアの形の命令によって完了することができる。前記プロセッサ1603は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:Field Programmable Gate Array)、または他のプログラマブルロジックデバイス、ディスクリートゲートまたはトランジスタロジックデバイス、ディスクリートハードウェアコンポーネント等であってもよく、本願実施例で開示された各方法、ステップ、及び論理ブロック図を実現または実行することができる。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであってもよく、または前記プロセッサは、任意の従来のプロセッサ等であってもよい。本願実施例で開示される方法のステップは、ハードウェアデコードプロセッサによって直接実行されてもよいし、デコードプロセッサ内のハードウェアとソフトウェアモジュールの組み合わせによって実行されてもよい。ソフトウェアモジュールは、ランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ、読み取り専用メモリ、プログラム可能な読み取り専用メモリ、または電気的に消去可能なプログラム可能なメモリ、レジスタ等の従来の記憶媒体に配置されることができる。当該記憶媒体は、メモリ1602に配置され、プロセッサ1603は、メモリ1602内の情報を読み取り、そのハードウェアと組み合わせて上記の方法のステップを完成する。
【0112】
本明細書に記載のこれらの実施例は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコードまたはそれらの組み合わせで実現されることができることを理解することができる。ハードウェアの実現に対して、処理ユニットは、1つの或複数の特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuits)、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processing)、デジタル信号処理機器(DSPD:DSP Device)、プログラマブルロジックデバイス(PLD:Programmable Logic Device)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:Field-Programmable Gate Array)、汎用プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、本出願に記載の機能を実行するように構成される他の電子ユニットまたはその組み合わせに実現される。
【0113】
ソフトウェア実装の場合、本明細書に記載の機能のモジュール(例えば、プロセス、関数など)を実行することによって、本明細書で説明された技術的解決策を実現することができる。ソフトウェアコードは、メモリに記憶され、プロセッサによって実行されることができる。メモリは、プロセッサに実装することも、プロセッサの外部に実装することもできる。
【0114】
例示的に、別の実施例として、プロセッサ1603は、さらに、前記コンピュータプログラムを実行するときに、前述した図8に示される技術的解決策における方法のステップを実行するように構成される。
【0115】
説明を加えないといけないのは、本発明の実施例で説明された技術的解決策は、競合しない場合、任意に組み合わせることができる。
【0116】
上記の内容は、本願の具体的な実施形態に過ぎず、本願の保護範囲はこれに限定されない。当業者は、本願で開示された技術的範囲内で容易に想到し得る変更または置換は、すべて本願の保護範囲内に含まれるべきである。したがって、本出願の保護範囲は、特許請求の保護範囲に従うものとする。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本願実施例では、先ずデコードされるべきブロックの少なくとも1つの辺に隣接する参照サンプルを取得し、第1隣接参照サンプルセットを取得し、次に前記少なくとも1つの辺から1つの基準点を決定し、プリセットされたサンプル数に従って、前記少なくとも1つの辺に対応する選択されるべき参照サンプル位置を決定し、その後、前記選択されるべき参照サンプル位置に基づいて、前記第1隣接参照サンプルセットから、前記選択されるべき参照サンプル位置に対応する参照サンプルを選択し、選択された参照サンプルで隣接参照サンプルサブセットを形成し、最後に、前記隣接参照サンプルサブセットに基づいて、前記デコードされるべきブロックに対して予測デコードを実行する。当該隣接参照サンプルサブセット内の隣接参照サンプルの選択が重要性と分散性の両方を考慮するため、当該隣接参照サンプルサブセットに基づいて構築されたモデルパラメータはより正確であり、ビデオの画像デコードの予測パフォーマンスを向上させることができ、当該隣接参照サンプルサブセットにはサンプルがほとんど含まれていないため、検索の複雑さも軽減され、ビデオの画像デコードの予測パフォーマンスが向上し、これにより、ビットレートを低下させることができる。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16