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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-10-06
(45)【発行日】2025-10-15
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20251007BHJP
   G03G 15/20 20060101ALI20251007BHJP
【FI】
G03G21/00 370
G03G15/20 510
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021195868
(22)【出願日】2021-12-02
(65)【公開番号】P2023082247
(43)【公開日】2023-06-14
【審査請求日】2024-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 貴
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-198786(JP,A)
【文献】特開2017-032914(JP,A)
【文献】特開2016-095403(JP,A)
【文献】特開2016-085260(JP,A)
【文献】米国特許第05768675(US,A)
【文献】中国実用新案第201373977(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続紙に画像を形成する画像形成部と、
圧接離間可能な一対の回転部材を備え、前記画像形成部により前記連続紙に形成された画像を前記回転部材により挟持搬送して定着する定着部と、
前記回転部材とは異なる搬送部材と、
を備える画像形成装置であって、
動作モードとして、前記画像形成部により画像を形成せずに、少なくとも前記搬送部材により前記連続紙を搬送する用紙搬送モードを有し、
前記用紙搬送モードにおいて、予め定められた基準に基づいて、前記定着部の前記回転部材を圧接状態とするか離間状態とするかを決定し、当該決定に基づいて、前記回転部材を圧接又は離間させた状態で前記連続紙を搬送させる制御部、
を備え
前記制御部は、前記連続紙の用紙情報が予め定められた用紙情報であるか否かに基づいて、前記定着部の前記回転部材を圧接状態とするか離間状態とするかを決定する画像形成装置。
【請求項2】
連続紙に画像を形成する画像形成部と、
圧接離間可能な一対の回転部材を備え、前記画像形成部により前記連続紙に形成された画像を前記回転部材により挟持搬送して定着する定着部と、
前記回転部材とは異なる搬送部材と、
を備える画像形成装置であって、
動作モードとして、前記画像形成部により画像を形成せずに、少なくとも前記搬送部材により前記連続紙を搬送する用紙搬送モードを有し、
前記用紙搬送モードにおいて、予め定められた基準に基づいて、前記定着部の前記回転部材を圧接状態とするか離間状態とするかを決定し、当該決定に基づいて、前記回転部材を圧接又は離間させた状態で前記連続紙を搬送させる制御部、
を備え
前記制御部は、前記用紙搬送モードにおいて、前記回転部材を離間した状態で前記搬送部材により前記連続紙を搬送させて前記搬送部材を駆動する駆動部の駆動トルクを取得し、取得した駆動トルクと予め定められた閾値との比較に基づいて、前記定着部の前記回転部材を圧接状態とするか離間状態とするかを決定する画像形成装置。
【請求項3】
連続紙に画像を形成する画像形成部と、
圧接離間可能な一対の回転部材を備え、前記画像形成部により前記連続紙に形成された画像を前記回転部材により挟持搬送して定着する定着部と、
前記回転部材とは異なる搬送部材と、
を備える画像形成装置であって、
動作モードとして、前記画像形成部により画像を形成せずに、少なくとも前記搬送部材により前記連続紙を搬送する用紙搬送モードを有し、
前記用紙搬送モードにおいて、予め定められた基準に基づいて、前記定着部の前記回転部材を圧接状態とするか離間状態とするかを決定し、当該決定に基づいて、前記回転部材を圧接又は離間させた状態で前記連続紙を搬送させる制御部と、
前記連続紙の用紙速度を検出する検出部と、
を備え
前記制御部は、前記用紙搬送モードにおいて、前記回転部材を離間した状態で前記搬送部材により前記連続紙を搬送させて前記検出部から前記連続紙の用紙速度を取得し、取得した用紙速度と予め定められた閾値との比較に基づいて、前記定着部の前記回転部材を圧接状態とするか離間状態とするかを決定する画像形成装置。
【請求項4】
連続紙に画像を形成する画像形成部と、
圧接離間可能な一対の回転部材を備え、前記画像形成部により前記連続紙に形成された画像を前記回転部材により挟持搬送して定着する定着部と、
前記回転部材とは異なる搬送部材と、
を備える画像形成装置であって、
動作モードとして、前記画像形成部により画像を形成せずに、少なくとも前記搬送部材により前記連続紙を搬送する用紙搬送モードを有し、
前記用紙搬送モードにおいて、予め定められた基準に基づいて、前記定着部の前記回転部材を圧接状態とするか離間状態とするかを決定し、当該決定に基づいて、前記回転部材を圧接又は離間させた状態で前記連続紙を搬送させる制御部と、
前記定着部の前記回転部材の圧接力を調整する圧接力調整部と、を備え、
前記制御部は、前記用紙搬送モードにおいて、前記定着部の前記回転部材を圧接した状態で前記連続紙を搬送する場合に、前記回転部材の圧接力を前記圧接力調整部により調整させる画像形成装置。
【請求項5】
連続紙に画像を形成する画像形成部と、
圧接離間可能な一対の回転部材を備え、前記画像形成部により前記連続紙に形成された画像を前記回転部材により挟持搬送して定着する定着部と、
前記回転部材とは異なる搬送部材と、
を備える画像形成装置であって、
動作モードとして、前記画像形成部により画像を形成せずに、少なくとも前記搬送部材により前記連続紙を搬送する用紙搬送モードと、前記画像形成部により前記連続紙に画像を形成し、前記画像が形成された前記連続紙を前記回転部材により挟持搬送して前記画像を前記連続紙に定着させる画像形成モードを有し、
前記制御部は、前記用紙搬送モードにおける前記回転部材の圧接力が前記画像形成モードにおける前記回転部材の圧接力よりも弱くなるよう制御する画像形成装置。
【請求項6】
前記搬送部材は、前記定着部より用紙搬送方向の下流側に設けられている請求項1~5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記搬送部材の用紙搬送力は、前記定着部の用紙搬送力より小さい請求項1~6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記定着部は、前記回転部材の外部に熱源が備えられている請求項1~のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記定着部は、前記回転部材の一方にベルトが張架されており、前記ベルトが張架された前記回転部材とは別の位置で前記ベルトに内接する加熱ローラーを備え、前記熱源は、前記加熱ローラーに備えられている請求項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、連続紙に画像を形成する画像形成装置においては、画像形成時以外での用紙搬送時に、定着部の上加圧ローラーと下加圧ローラーを圧接状態から離間状態に切り替えて、定着部以外の搬送ローラーを用いて搬送することが行われている。
例えば、特許文献1には、印刷動作の中断時に定着部の上加圧ローラーと下加圧ローラーを離間して、定着部以外の搬送ローラーで搬送することが記載されている。
【0003】
また、例えば、連続紙のロールを別のロールに交換した際に、用紙のつなぎ目を画像形成部よりも用紙搬送方向の下流側に搬送するための用紙搬送モードを備えた画像形成装置も知られている。用紙搬送モードでは、皺の寄った用紙やテープでつないだ用紙が定着ニップを通過すると定着部の下加圧ローラー表面に皺の跡が残り、その状態で未定着画像を定着すると定着ムラが発生して画像不良となるため、定着部の上加圧ローラーと下加圧ローラーを離間させて定着部以外の搬送ローラーを用いて搬送することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-104174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、定着部の用紙搬送方向下流側の用紙弛みを防止するために、定着部の用紙搬送方向下流側には搬送ローラーが配置されており、用紙搬送モードでは、一般的に、この搬送ローラーで用紙搬送が行われる。ここで、定着部とこの搬送ローラー間はテンションを維持する必要があるため、この搬送ローラーの用紙搬送速度は定着部の用紙搬送速度と同等以上とする必要がある。そのため、この搬送ローラーの用紙搬送力は定着部の用紙搬送力より低く設定されている。しかしながら、コシの強い厚紙を搬送する場合、通紙経路のローラー巻き付け部(例えば、図1において一点鎖線で囲んだ部分)等において用紙を曲げる力が必要となるため搬送ローラーに必要な用紙搬送力が大きくなり、用紙搬送力の低い搬送ローラーでは搬送できない。
【0006】
下加圧ローラーを加熱することで下加圧ローラーに発生した皺の修復は可能となるため、下加圧ローラー内に熱源を有する構成とすれば、用紙搬送モードで上下の加圧ローラーを圧接させた状態としておくことができるが、下加圧ローラー内へのヒータ設置や電力が必要となる。また、下加圧ローラーに熱源を備える構成の場合、表面まで温めるまでに時間がかり、ウォームアップ時間が長くなる問題があった。
【0007】
本発明の課題は、用紙搬送モードにおいて、定着部のニップを形成する回転部材に皺が発生しにくく、薄い用紙から厚い用紙まで安定した用紙搬送ができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の画像形成装置は、
連続紙に画像を形成する画像形成部と、
圧接離間可能な一対の回転部材を備え、前記画像形成部により前記連続紙に形成された画像を前記回転部材により挟持搬送して定着する定着部と、
前記回転部材とは異なる搬送部材と、
を備える画像形成装置であって、
動作モードとして、前記画像形成部により画像を形成せずに、少なくとも前記搬送部材により前記連続紙を搬送する用紙搬送モードを有し、
前記用紙搬送モードにおいて、予め定められた基準に基づいて、前記定着部の前記回転部材を圧接状態とするか離間状態とするかを決定し、当該決定に基づいて、前記回転部材を圧接又は離間させた状態で前記連続紙を搬送させる制御部、
を備え
前記制御部は、前記連続紙の用紙情報が予め定められた用紙情報であるか否かに基づいて、前記定着部の前記回転部材を圧接状態とするか離間状態とするかを決定する。
また、本発明の画像形成装置は、
連続紙に画像を形成する画像形成部と、
圧接離間可能な一対の回転部材を備え、前記画像形成部により前記連続紙に形成された画像を前記回転部材により挟持搬送して定着する定着部と、
前記回転部材とは異なる搬送部材と、
を備える画像形成装置であって、
動作モードとして、前記画像形成部により画像を形成せずに、少なくとも前記搬送部材により前記連続紙を搬送する用紙搬送モードを有し、
前記用紙搬送モードにおいて、予め定められた基準に基づいて、前記定着部の前記回転部材を圧接状態とするか離間状態とするかを決定し、当該決定に基づいて、前記回転部材を圧接又は離間させた状態で前記連続紙を搬送させる制御部、
を備え、
前記制御部は、前記用紙搬送モードにおいて、前記回転部材を離間した状態で前記搬送部材により前記連続紙を搬送させて前記搬送部材を駆動する駆動部の駆動トルクを取得し、取得した駆動トルクと予め定められた閾値との比較に基づいて、前記定着部の前記回転部材を圧接状態とするか離間状態とするかを決定する。
また、本発明の画像形成装置は、
連続紙に画像を形成する画像形成部と、
圧接離間可能な一対の回転部材を備え、前記画像形成部により前記連続紙に形成された画像を前記回転部材により挟持搬送して定着する定着部と、
前記回転部材とは異なる搬送部材と、
を備える画像形成装置であって、
動作モードとして、前記画像形成部により画像を形成せずに、少なくとも前記搬送部材により前記連続紙を搬送する用紙搬送モードを有し、
前記用紙搬送モードにおいて、予め定められた基準に基づいて、前記定着部の前記回転部材を圧接状態とするか離間状態とするかを決定し、当該決定に基づいて、前記回転部材を圧接又は離間させた状態で前記連続紙を搬送させる制御部と、
前記連続紙の用紙速度を検出する検出部と、
を備え、
前記制御部は、前記用紙搬送モードにおいて、前記回転部材を離間した状態で前記搬送部材により前記連続紙を搬送させて前記検出部から前記連続紙の用紙速度を取得し、取得した用紙速度と予め定められた閾値との比較に基づいて、前記定着部の前記回転部材を圧接状態とするか離間状態とするかを決定する。
また、本発明の画像形成装置は、
連続紙に画像を形成する画像形成部と、
圧接離間可能な一対の回転部材を備え、前記画像形成部により前記連続紙に形成された画像を前記回転部材により挟持搬送して定着する定着部と、
前記回転部材とは異なる搬送部材と、
を備える画像形成装置であって、
動作モードとして、前記画像形成部により画像を形成せずに、少なくとも前記搬送部材により前記連続紙を搬送する用紙搬送モードを有し、
前記用紙搬送モードにおいて、予め定められた基準に基づいて、前記定着部の前記回転部材を圧接状態とするか離間状態とするかを決定し、当該決定に基づいて、前記回転部材を圧接又は離間させた状態で前記連続紙を搬送させる制御部と、
前記定着部の前記回転部材の圧接力を調整する圧接力調整部と、を備え、
前記制御部は、前記用紙搬送モードにおいて、前記定着部の前記回転部材を圧接した状態で前記連続紙を搬送する場合に、前記回転部材の圧接力を前記圧接力調整部により調整させる。
また、本発明の画像形成装置は、
連続紙に画像を形成する画像形成部と、
圧接離間可能な一対の回転部材を備え、前記画像形成部により前記連続紙に形成された画像を前記回転部材により挟持搬送して定着する定着部と、
前記回転部材とは異なる搬送部材と、
を備える画像形成装置であって、
動作モードとして、前記画像形成部により画像を形成せずに、少なくとも前記搬送部材により前記連続紙を搬送する用紙搬送モードと、前記画像形成部により前記連続紙に画像を形成し、前記画像が形成された前記連続紙を前記回転部材により挟持搬送して前記画像を前記連続紙に定着させる画像形成モードを有し、
前記制御部は、前記用紙搬送モードにおける前記回転部材の圧接力が前記画像形成モードにおける前記回転部材の圧接力よりも弱くなるよう制御する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、用紙搬送モードにおいて、定着部に皺が発生しにくく、薄い用紙から厚い用紙まで安定した用紙搬送ができる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】画像形成装置の概略構成を示す図である。
図2】画像形成装置の主要な機能構成を示すブロック図である。
図3】画像形成モードにおける定着部の状態を模式的に示す図である。
図4】用紙搬送モードにおいて離間状態とすると決定された場合の定着部の状態を模式的に示す図である。
図5】用紙搬送モードにおいて圧接状態とすると決定された場合の定着部の状態を模式的に示す図である。
図6図2の制御部により実行される用紙搬送モード処理Aの流れを示すフローチャートである。
図7図2の制御部により実行される用紙搬送モード処理Bの流れを示すフローチャートである。
図8】定着部の圧接力の調整を模式的に示す図である。
図9図2の制御部により実行される圧接力調整処理Aの流れを示すフローチャートである。
図10】用紙速度検出部の一例を示す図である。
図11図2の制御部により実行される用紙搬送モード処理Cの流れを示すフローチャートである。
図12図2の制御部により実行される圧接力調整処理Bの流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。
【0012】
<第1の実施形態>
[画像形成装置100の構成]
図1は、第1の実施形態に係る画像形成装置100を正面から見た全体構成例を示す図である。図2は、画像形成装置100の制御系の主要部を示す図である。画像形成装置100は、例えば、ロール状の連続紙Pに画像を形成する装置である。
【0013】
図1に示すように、画像形成装置100は、連続紙Pの搬送方向(用紙搬送方向)に沿って上流側から、給紙装置1、本体部2、巻取装置3が接続されて構成されている。なお、図1においては、給紙装置1及び巻取装置3が本体部2と別体に構成されている場合を示しているが、一体的に構成されていてもよい。
【0014】
給紙装置1は、連続紙Pを本体部2へ給紙する装置である。給紙装置1は、図示しないモーターの駆動により、支持軸Xに巻回された連続紙Pを下流の装置に給紙する。給紙装置1のモーターの動作は、図示しない制御部によって制御される。
【0015】
本体部2は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式で給紙装置1から給紙された連続紙Pに画像形成を行う。
図2に示すように、本体部2は、制御部10、記憶部20、操作表示部30、画像形成部40、用紙搬送部50、定着部60、通信部70等を備える。
【0016】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)10a、ROM(Read Only Memory)10b、RAM(Random Access Memory)10c等を備える。CPU10aは、ROM10bから処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM10cに展開し、展開したプログラムと協働して本体部2の各部や、給紙装置1、巻取装置3等の動作を集中制御する。
【0017】
記憶部20は、例えば、不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブ等により構成される。記憶部20には、入力された原稿データ、各種設定情報、画像データ等が記憶される。設定情報には、装填されている連続紙Pの用紙情報(紙種、坪量等)が含まれる。なお、これらのデータ等は制御部10のRAM10cに記憶されても良い。
【0018】
また、記憶部20には、圧接離間決定テーブル21が記憶されている。圧接離間決定テーブル21は、用紙搬送モード時に定着部60の上加圧ローラー63と下加圧ローラー65を離間させた状態で搬送が不可能な用紙の用紙情報に「圧接」を表すフラグを、用紙搬送モード時に定着部60の上加圧ローラー63と下加圧ローラー65を離間させた状態で搬送が可能な用紙の用紙情報に「離間」を表すフラグを対応付けて記憶したテーブルである。例えば、厚い紙や坪量の大きい紙の用紙情報には「圧接」、薄い紙や坪量の小さい紙の用紙情報には「離間」が対応付けられている。
なお、圧接離間決定テーブル21は、上記に限らず、用紙搬送モード時に定着部60の上加圧ローラー63と下加圧ローラー65を離間させた状態で搬送不可能な用紙の用紙情報の一覧を記憶していることとしてもよいし、用紙搬送モード時に定着部60の上加圧ローラー63と下加圧ローラー65を離間させた状態で搬送可能な用紙の用紙情報の一覧を記憶していることとしてもよい。
【0019】
操作表示部30は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部31及び操作部32として機能する。
表示部31は、制御部10から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態、各機能の動作状況等の表示を行う。
操作部32は、テンキー、スタートキー、用紙搬送キー、ストップキー等の各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部10に出力する。
【0020】
画像形成部40は、例えば、通信部70を介して外部装置(パーソナルコンピューター等)から入力された画像データに基づいて、感光体ドラム41Y、41M、41C、41K上にY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナー像を形成して順次中間転写ベルト42に一次転写して4色のトナー像を重ね合わせた後、転写ローラー43により給紙装置1から給紙された連続紙Pに二次転写することにより、画像を形成(印刷)する。
【0021】
用紙搬送部50は、搬送ローラー(搬送部材)53、54を備える通紙経路52等を有する。
用紙搬送部50は、制御部10の制御に基づいて給紙装置1から本体部2へ搬送された連続紙Pを画像形成部40に搬送し、画像形成部40においてトナー画像が形成された連続紙Pを定着部60に搬送する。そして、定着部60においてトナー画像が定着された連続紙Pを巻取装置3に搬送する。
【0022】
本実施形態において、通紙経路52における、定着部60の用紙搬送方向上流側かつ給紙装置1の用紙搬送方向下流側には、一対の搬送ローラー53が備えられている。また、定着部60の用紙搬送方向下流側かつ巻取装置3の用紙搬送方向上流側には、一対の搬送ローラー54が備えられている。なお、搬送ローラー53、54は、いずれか一方のみが備えられている構成であってもよい。搬送ローラー53、54は、それぞれモーター(図3に示すモーター55等)の駆動により回転する。搬送ローラー54は、定着部60との間の連続紙Pのテンションを維持するため、定着部60の上加圧ローラー63と下加圧ローラー65よりも用紙搬送力が小さくなっている。
【0023】
定着部60は、トナー画像が形成された連続紙Pを定着ニップで加熱、加圧することにより、連続紙Pにトナー画像を定着させる。
定着部60は、加熱ローラー61と、加熱ローラー61を加熱する加熱源62と、上加圧ローラー63と、加熱ローラー61と上加圧ローラー63との間に架け渡される無端状の定着ベルト64と、下加圧ローラー65と、を備えている。上加圧ローラー63は、図示しないモーターの駆動により回転可能に構成されている。加熱ローラー61及び定着ベルト64は、上加圧ローラー63に従動して回転する。下加圧ローラー65は、モーター66(図3等参照)の駆動により回転可能に構成されている。
【0024】
下加圧ローラー65は移動可能に構成されており、圧接離間機構67により下加圧ローラー65を移動させることで、定着ベルト64を介して上加圧ローラー63と下加圧ローラー65の圧接および離間が可能になっている(図8参照)。定着ベルト64を介して上加圧ローラー63と下加圧ローラー65が圧接することにより、連続紙Pを挟持して搬送する定着ニップが形成される。連続紙Pは、加熱源62によって加熱された状態の定着ベルト64と下加圧ローラー65による定着ニップを通過する際に加熱及び加圧され、トナー画像が定着される。上加圧ローラー63と下加圧ローラー65は、本発明の一対の回転部材を構成する。
【0025】
通信部70は、例えばLAN(Local Area Network)カード等の通信制御カードで構成され、LAN、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部装置(例えばパーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行う。
【0026】
巻取装置3は、本体部2から搬送されてきた連続紙Pを巻き取る装置である。巻取装置3は、図示しないモーターの駆動により、本体部2から搬送されてきた連続紙Pを支持軸Yに巻き取る。巻取装置3の巻き取り動作は、図示しない制御部によって制御される。
【0027】
[画像形成装置100の動作]
次に、画像形成装置100における動作について説明する。
画像形成装置100は、動作モードとして、画像形成モードの他、用紙搬送モードを有している。
画像形成モードは、画像形成部40により連続紙Pに画像を形成し、画像が形成された連続紙Pを定着部60により挟持搬送して画像を連続紙Pに定着させるモードである。画像形成モード時には、図3に示すように、定着部60の上加圧ローラー63と下加圧ローラー65を圧接させ、定着部60と用紙搬送部50とで連続紙Pを搬送する。
【0028】
用紙搬送モードは、画像形成部40により画像を形成せずに、少なくとも用紙搬送部50を用いて連続紙Pを搬送するモードである。連続紙Pを交換したり、画像形成装置100の部品を交換するために使用中の連続紙Pを切断したりした場合、画像形成前に用紙をつなぎ合わせるが、このつなぎ目に画像が形成されることのないように、つなぎ目を画像形成部40よりも用紙搬送方向下流側に搬送しておく必要がある。例えばこのような場合に、連続紙Pを画像形成部40より用紙搬送方向下流側に送るモードが用紙搬送モードである。画像形成が実行されていない状態で操作部32の用紙搬送キーが押下されると、制御部10は、動作モードを用紙搬送モードに移行し、少なくとも用紙搬送部50(本実施形態では、用紙搬送部50の搬送ローラー54)により連続紙Pを所定速度で搬送する。操作部32のストップキーが押下されると、制御部10は、用紙搬送を停止させ、用紙搬送モードを終了する。なお、本発明に係る実施形態では、用紙搬送モードは、操作部32のストップボタンの押下により終了することとして説明するが、これに限らず、例えば、連続紙Pを所定距離搬送後、自動的に終了することとしてもよい。
【0029】
ここで、用紙搬送モードにおいて、定着部60の上加圧ローラー63と下加圧ローラー65を圧接して連続紙Pを搬送した場合、用紙のつなぎ目の段差や蛇行によって連続紙Pに発生した皺により下加圧ローラー65に皺の跡が残ることがあり、その状態で、画像形成モードにおいて未定着画像の定着を実施すると定着ムラが発生して画像不良となる。そのため、従来、下加圧ローラー65に加熱源を有していない場合、図4に示すように、用紙搬送モードでは、定着部60の上加圧ローラー63と下加圧ローラー65を離間して、通紙経路52上の、定着部60以外の搬送ローラー54等で用紙搬送していた。
【0030】
しかし、連続紙Pが厚紙などのコシの強い用紙である場合、通紙経路52のローラー巻き付け部(例えば、図1の一点鎖線で囲んだ部分)等において用紙を曲げるために大きい用紙搬送力が必要となるため、搬送ローラー54の用紙搬送力[N]が低い場合、連続紙Pを所定速度で搬送することができない場合がある。例えば、定着部60とその下流側の搬送ローラー54間はテンションを維持する必要があるため、搬送ローラー54の用紙搬送速度を定着部60の用紙搬送速度と同等以上とするために、搬送ローラー54の用紙搬送力は定着部60の用紙搬送力より低く設定されている。そのため、用紙搬送モードにおいて、定着部60を離間させた状態で搬送ローラー54で用紙搬送を行うと、連続紙Pの種類や坪量によっては、所定速度で搬送できない場合がある。
【0031】
そこで、画像形成装置100の制御部10は、用紙搬送モード時において、予め定められた基準に基づいて、図4に示すように、定着部60の上加圧ローラー63と下加圧ローラー65を圧接状態とするか離間状態とするかを決定し、その決定に基づいて、定着部60の上加圧ローラー63と下加圧ローラー65を圧接させた状態又は離間させ状態で連続紙Pを搬送させるよう制御する。
具体的に、本実施形態では、圧接離間決定テーブル21で連続紙Pの用紙情報に「離間」が対応付けられている場合、すなわち、用紙搬送モードにおいて連続紙Pを搬送ローラー54で搬送可能である場合には、定着部60の上加圧ローラー63と下加圧ローラー65を離間状態に決定して離間状態で連続紙Pを搬送する。圧接離間決定テーブル21で連続紙Pの用紙情報に「圧接」が対応付けられている場合、すなわち、用紙搬送モードにおいて連続紙Pを搬送ローラー54で搬送不可能である場合には、定着部60の上加圧ローラー63と下加圧ローラー65を圧接状態に決定して、定着部60の用紙搬送力を付加して連続紙Pを搬送する。
【0032】
図6は、制御部10により実行される用紙搬送モード処理Aの流れを示すフローチャートである。用紙搬送モード処理Aは、操作部32の用紙搬送キーが押下されて用紙搬送モードへの移行が指示された際に、制御部10のCPU10aとROM10bに記憶されているプログラムとの協働により実行される。
なお、以下の説明において、定着部60の上加圧ローラー63と下加圧ローラー65を圧接(離間)することを定着部60を圧接(離間)する、という。また、用紙搬送モードでは、予め定着部60は離間されているものとして説明する。
【0033】
まず、制御部10は、連続紙Pの用紙情報を記憶部20から取得する(ステップS1)。
【0034】
次いで、制御部10は、連続紙Pの用紙情報に基づいて、定着部60を圧接状態とするか離間状態とするかを決定する(ステップS2)。
具体的には、連続紙Pの用紙情報が、圧接離間決定テーブル21において「圧接」が対応付けられている用紙情報である場合には、定着部60を圧接状態とすると決定し、それ以外の(「離間」が対応付けられている)用紙情報である場合には、定着部を離間状態とすると決定する。
【0035】
定着部60を圧接状態とすると決定した場合(ステップS3;YES)、制御部10は、圧接離間機構67により定着部60を圧接させ(ステップS4)、ステップS5に移行する。ここで、制御部10は、用紙搬送モードにおける上加圧ローラー63と下加圧ローラー65の圧接力が画像形成モードにおける上加圧ローラー63と下加圧ローラー65の圧接力よりも弱くなるように圧接離間機構67を制御する。下加圧ローラー65の皺の発生等のダメージを抑制するためである。
一方、定着部60を離間状態とすると決定した場合(ステップS3;NO)、制御部10は、ステップS5に移行する。
【0036】
ステップS5において、制御部10は、各種モーターを制御して連続紙Pを搬送させる(ステップS5)。
定着部60を圧接している場合は、搬送ローラー54と定着部60の各ローラーを回転させて連続紙Pを搬送させる。定着部60を離間している場合は、搬送ローラー54を回転させて連続紙Pを搬送させる。
【0037】
操作部32のストップボタンが押下され、用紙搬送モードの終了が指示されると(ステップS6;YES)、制御部10は、用紙搬送モード処理Aを終了する。
【0038】
上記用紙搬送モード処理Aでは、連続紙Pが皺の発生しやすい薄紙である場合には、用紙搬送力の低い搬送ローラー54だけでも搬送できるため定着部60を離間させた状態で搬送するため、下加圧ローラー65に皺の跡が残ることを防止することができる。また、連続紙Pが厚紙である場合には、大きい用紙搬送力が必要なため定着部60を圧接させた状態で搬送するが、厚紙は、皺が発生しにくく、定着部60の圧接力も用紙搬送に必要な圧接力で良いため、下加圧ローラー65へのダメージが発生しにくい。したがって、用紙搬送モードにおいて、下加圧ローラー65に熱源がなくても、下加圧ローラー65に皺が発生しにくく、かつ薄い用紙から厚い用紙まで安定した用紙搬送ができる。
【0039】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
第1の実施形態では、用紙搬送モードにおいて定着部60を圧接状態とするか離間状態とするかを、連続紙Pの用紙情報に基づいて決定する場合を例にとり説明したが、第2の実施形態では、用紙搬送モード開始後に搬送ローラー54を駆動するモーター55の駆動トルク(の情報)を取得し、取得した駆動トルクと予め定められた閾値との比較に基づいて、用紙搬送モードにおいて定着部60を圧接状態とするか離間状態とするかを決定する。
【0040】
第2の実施形態の構成は、第1の実施形態で説明したものと同様であるので説明を援用し、以下、第2の実施形態の動作について説明する。
【0041】
図7は、制御部10により実行される用紙搬送モード処理Bの流れを示すフローチャートである。用紙搬送モード処理Bは、操作部32の用紙搬送キーが押下されて用紙搬送モードへの移行が指示された際に、制御部10のCPU10aとROM10bに記憶されているプログラムとの協働により実行される。
【0042】
まず、制御部10は、搬送ローラー54をモーター55により回転させ、定着部60を離間した状態で連続紙Pの用紙搬送を開始する(ステップS11)。
【0043】
次いで、制御部10は、モーター55の駆動トルク(の情報)を取得する(ステップS12)。
ここで、搬送ローラー54を所定の速度で回転させるために、制御部10は、モーター55に与えるデューティー比又は電流量を制御している。例えば、連続紙Pが厚紙である場合、搬送ローラー54を所定の速度で回転させるには、薄紙である場合に比べて大きな力(駆動トルク)を搬送ローラー54に与える必要がある。そのため、制御部10は、連続紙Pが厚紙である場合、モーター55に与えるデューティー比や電流量(電流値)が、連続紙Pが薄紙である場合に比べて大きくなるよう制御する。このモーター55に与えるデューティー比や電流量は、モーター55の駆動トルクに対応しており、デューティー比や電流量が大きくなるほど、モーター55の駆動トルクは大きくなる。そこで、本実施形態では、制御部10は、モーター55に与えるデューティー比又は電流量の情報をモーター55の駆動トルク(の情報)として取得する。なお、モーター55に駆動トルクを検出するための駆動トルク検出器を備える構成とし、駆動トルク検出器からモーター55の駆動トルクを取得することとしてもよい。
【0044】
次いで、制御部10は、取得した駆動トルクが所定の閾値以上であるか否かを判断する(ステップS13)。
ここで、所定の閾値は、例えば、駆動トルクがこれ以上大きい値となるとモーター55の破壊につながる可能性があるため、これ以上には設定できないとされる限界の値である。すなわち、取得した駆動トルクが所定の閾値以上である場合、搬送ローラー54だけでは所定の速度で連続紙Pを搬送できない(定着部60を離間した状態では連続紙Pの搬送は不可能)と判断することができる。なお、所定の閾値は、実験的に求められた値である。
【0045】
取得した駆動トルクが所定の閾値以上であると判断した場合(ステップS13;所定閾値以上)、制御部10は、定着部60を圧接した状態とすると決定し、決定に基づいて、圧接離間機構67により定着部60を圧接させるとともに、定着部60の各ローラーを回転させ(ステップS14)、ステップS15に移行する。すなわち、搬送ローラー54とともに定着部60を用いて連続紙Pを搬送させる。なお、定着部60の各ローラーは事前に回転させておくこととしてもよい。ここで、制御部10は、用紙搬送モードにおける上加圧ローラー63と下加圧ローラー65の圧接力が画像形成モードにおける上加圧ローラー63と下加圧ローラー65の圧接力よりも弱くなるように圧接離間機構67を制御する。下加圧ローラー65の皺の発生等のダメージを抑制するためである。
【0046】
一方、取得した駆動トルクが所定の閾値未満であると判断した場合(ステップS13;所定閾値未満)、制御部10は、ステップS15に移行する。すなわち、定着部60を離間した状態で搬送ローラー54のみで連続紙Pの搬送を続行させる。
【0047】
ステップS15において、制御部10は、操作部32のストップキーが押下されて用紙搬送モードの終了が指示されたか否かを判断する(ステップS15)。
用紙搬送モードの終了が指示されていないと判断した場合(ステップS15;NO)、制御部10は、用紙搬送モードの終了が指示されるまで、搬送を続行させる。
用紙搬送モードの終了が指示されたと判断した場合(ステップS15;YES)、制御部10は、用紙搬送モード処理Bを終了する。
【0048】
上記用紙搬送モード処理Bでは、搬送ローラー54を回転させるためのモーター55の駆動トルクが所定の閾値未満である場合には、搬送ローラー54だけでも十分に連続紙Pを搬送できるため定着部60を離間させた状態で連続紙Pを搬送する。そのため、用紙搬送モードにおいて、下加圧ローラー65に皺の跡が残ることを防止することができる。また、モーター55の駆動トルクが所定の閾値以上である場合には、搬送ローラー54だけでは十分に連続紙Pを搬送できないため定着部60を圧接させた状態で搬送するが、搬送に大きい駆動トルクが必要となる厚紙は皺が発生しにくく、定着部60の圧接力も用紙搬送に必要な圧接力で良いため、下加圧ローラー65へのダメージが発生しにくい。したがって、用紙搬送モードにおいて、下加圧ローラーに熱源がなくても、定着部60に皺が発生しにくく、かつ薄い用紙から厚い用紙まで安定した用紙搬送ができる。
【0049】
ここで、用紙搬送モード処理Bにおいて定着部60を圧接させた場合、用紙搬送モード中のモーター55の駆動トルクの値に応じて、定着部60の圧接力を調整することとしてもよい。
例えば、図8に示すように、圧接離間機構67は、偏心カム671により、圧接/離間を切り替え可能であるだけでなく定着部60の圧接力を調整可能な圧接力調整部としての機能を有する構成とする。そして、用紙搬送モード処理Bにおいて定着部60を圧接させた場合、制御部10は、図9に示す圧接力調整処理Aを実行し、用紙搬送モード中の駆動トルクの値に応じて、圧接離間機構67により定着部60の圧接力を調整する。
なお、圧接離間機構67(圧接力調整部)は、ソレノイドにより構成されることとしてもよい。
【0050】
以下、図9を参照して、圧接力調整処理Aについて説明する。
圧接力調整処理Aにおいて、制御部10は、搬送ローラー54を回転させるためのモーター55の駆動トルク(の情報)を取得し(ステップS21)、取得した駆動トルクが所定の閾値未満か、所定の閾値と等しいか、所定の閾値を超えるかを判断する(ステップS22)。
ステップS22で使用される所定の閾値は、図7のステップS13の判断で用いられた所定の閾値と同等の値である。
【0051】
取得した駆動トルクの情報が所定の閾値未満であると判断した場合(ステップS22;所定の閾値未満)、制御部10は、圧接離間機構67により定着部60の圧接力を所定値減少させ(ステップS23)、ステップS25に移行する。
取得した駆動トルクの情報が所定の閾値であると判断した場合(ステップS22;所定の閾値と同じ)、制御部10は、ステップS25に移行する。
取得した駆動トルクの情報が所定の閾値より大きいと判断した場合(ステップS22;所定の閾値より大)、制御部10は、圧接離間機構67により定着部60の圧接力を所定値増加させ(ステップS23)、ステップS25に移行する。
【0052】
ステップS25において、制御部10は、用紙搬送モードの終了が指示されたか否かを判断する(ステップS25)。
用紙搬送モードの終了が指示されていないと判断した場合(ステップS25;NO)、制御部10は、ステップS21に戻る。
用紙搬送モードの終了が指示されたと判断した場合(ステップS25;YES)、制御部10は、圧接力調整処理Aを終了する。
【0053】
このように、用紙搬送モード中にモーター55の駆動トルクを取得し、取得した駆動トルクの値に応じて、定着部60の圧接力を調整するので、定着部60の圧接力を最低限の圧接力とすることができ、定着部60の下加圧ローラー65に皺が発生することを極力防止することができる。
【0054】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
第3の実施形態では、用紙搬送モード開始後に連続紙Pの用紙速度を取得し、取得した用紙速度(の情報)と予め定められた閾値との比較に基づいて、用紙搬送モードにおいて定着部60を圧接状態とするか離間状態とするかを決定する。
【0055】
第3の実施形態において、画像形成装置100は、図10に示すように、通紙経路52上に、連続紙Pの速度を検出する用紙速度検出部80を備えている。用紙速度検出部80は、制御部10に接続され、検出した用紙速度を制御部10に出力する。
なお、図10においては、用紙速度検出部80がローラーニップによる接触方式により連続紙Pの用紙速度を検出する構成である場合を図示しているが、レーザードップラーのような非接触方式により連続紙Pの用紙速度を検出するものであってもよい。
【0056】
その他の第3の実施形態の構成は、第1の実施形態で説明したものと同様であるので説明を援用し、以下、第3の実施形態の動作について説明する。
【0057】
図11は、制御部10により実行される用紙搬送モード処理Cの流れを示すフローチャートである。用紙搬送モード処理Cは、操作部32の用紙搬送ボタンが押下されて用紙搬送モードへの移行が指示された際に、制御部10のCPU10aとROM10bに記憶されているプログラムとの協働により実行される。
【0058】
まず、制御部10は、搬送ローラー54をモーター55により回転させ、定着部60を離間させた状態で連続紙Pの用紙搬送を開始する(ステップS31)。
【0059】
次いで、制御部10は、用紙速度検出部80により検出された用紙速度(の情報)を取得する(ステップS32)。
【0060】
次いで、制御部10は、取得した用紙速度が所定の閾値以上であるか否かを判断する(ステップS33)。
ここで、所定の閾値は、例えば、用紙搬送モードでの基準となる所定の用紙速度(目標用紙速度)であり、用紙搬送モードでは、連続紙Pの用紙速度がこの所定の用紙速度となるように、搬送ローラー54の回転が制御される。連続紙Pの用紙速度が所定の閾値未満である場合は、搬送ローラー54だけでは所定の速度で連続紙Pを搬送できない(定着部60を離間した状態では連続紙Pの搬送は不可能)と判断することができる。なお、所定の閾値は、実験的に求められた値である。
【0061】
取得した用紙速度が所定の閾値未満であると判断した場合(ステップS33;所定閾値未満)、制御部10は、定着部60を圧接した状態とすると決定し、決定に基づいて、圧接離間機構67により定着部60を圧接させるとともに定着部60の各ローラーを回転させ(ステップS34)、ステップS35に移行する。すなわち、搬送ローラー54とともに定着部60を用いて連続紙Pを搬送させる。なお、定着部60の各ローラーは事前に回転させておくこととしてもよい。ここで、制御部10は、用紙搬送モードにおける上加圧ローラー63と下加圧ローラー65の圧接力が画像形成モードにおける上加圧ローラー63と下加圧ローラー65の圧接力よりも弱くなるように圧接離間機構67を制御する。下加圧ローラー65の皺の発生等のダメージを抑制するためである。
【0062】
一方、取得した用紙速度が所定の閾値以上であると判断した場合(ステップS33;YES)、制御部10は、ステップS35に移行する。すなわち、定着部60を離間した状態で搬送ローラー54のみで連続紙Pの搬送を続行させる。
【0063】
ステップS35において、制御部10は、操作部32のストップボタンが押下されて搬送終了が指示されたか否かを判断する(ステップS35)。
搬送終了が指示されていないと判断した場合(ステップS35;NO)、制御部10は、搬送が終了するまで、搬送を続行させる。
搬送終了が指示されたと判断した場合(ステップS35;YES)、制御部10は、用紙搬送モード処理Cを終了する。
【0064】
上記用紙搬送モード処理Cでは、用紙速度検出部80により検出された連続紙Pの用紙速度が所定の閾値以上である場合には、搬送ローラー54だけでも十分に連続紙Pを搬送できるため定着部60を離間させた状態で連続紙Pを搬送する。そのため、下加圧ローラー65に皺の跡が残ることを防止することができる。また、用紙速度検出部80により検出された連続紙Pの用紙速度が所定の閾値未満である場合には、搬送ローラー54だけでは十分に連続紙Pを搬送できないため定着部60を圧接させて搬送するが、搬送ローラー54だけでは十分に連続紙Pを搬送できない厚紙は、皺が発生しにくく、定着部60の圧接力も用紙搬送に必要な圧接力で良いため、下加圧ローラー65へのダメージが発生しにくい。したがって、用紙搬送モードにおいて、下加圧ローラーに熱源がなくても、定着部に皺が発生しにくく、かつ薄い用紙から厚い用紙まで安定した用紙搬送ができる。
【0065】
ここで、用紙搬送モード処理Cにおいて定着部60を圧接させた場合、用紙搬送モード中に用紙速度検出部80により検出される用紙速度の値に応じて、定着部60の圧接力を調整することとしてもよい。
例えば、図8に示すように、圧接離間機構67は、偏心カム671により、圧接/離間を切り替え可能であるだけでなく定着部60の圧接力を調整可能な圧接力調整部としての機能を有する構成とする。そして、用紙搬送モード処理Cにおいて定着部60を圧接させた場合、制御部10は、図12に示す圧接力調整処理Bを実行し、用紙搬送モード中の用紙速度の値に応じて、圧接離間機構67により定着部60の圧接力を調整する。
なお、圧接離間機構67(圧接力調整部)は、ソレノイドにより構成されることとしてもよい。
【0066】
以下、図12を参照して、圧接力調整処理Bについて説明する。
圧接力調整処理Bにおいて、制御部10は、用紙速度検出部80から用紙速度を取得し(ステップS41)、取得した用紙速度(の情報)が所定の閾値未満か、所定の閾値と等しいか、所定の閾値を超えるかを判断する(ステップS42)。
ステップS42で使用される所定の閾値は、図11のステップS33の判断で用いられた所定の閾値と同等の値である。
【0067】
取得した用紙速度の情報が所定の閾値未満であると判断した場合(ステップS42;所定の閾値未満)、制御部10は、圧接離間機構67により定着部60の圧接力を所定値増加させ(ステップS43)、ステップS45に移行する。
取得した用紙速度の情報が所定の閾値であると判断した場合(ステップS42;所定の閾値と同じ)、ステップS45に移行する。
取得した用紙速度の情報が所定の閾値より大きいと判断した場合(ステップS42;所定の閾値より大)、制御部10は、圧接離間機構67により定着部60の圧接力を所定値減少させ(ステップS43)、ステップS45に移行する。
【0068】
ステップS45において、制御部10は、用紙搬送モードの終了が指示されたか否かを判断する(ステップS45)。
用紙搬送モードの終了が指示されていないと判断した場合(ステップS45;NO)、制御部10は、ステップS41に戻る。
用紙搬送モードの終了が指示されたと判断した場合(ステップS45;YES)、制御部10は、圧接力調整処理Cを終了する。
【0069】
このように、用紙搬送モード中の用紙速度の値に応じて、定着部60の圧接力を調整することで、定着部60の圧接力を最低限の圧接力とすることができ、定着部60の下加圧ローラー65に皺が発生することを極力防止することができる。
【0070】
以上説明したように、画像形成装置100の制御部10は、用紙搬送モードにおいて、予め定められた基準に基づいて定着部60を圧接状態とするか離間状態とするかを決定し、当該決定に基づいて、定着部60を圧接又は離間させた状態で連続紙Pを搬送させる。
例えば、制御部10は、連続紙Pの用紙情報が、圧接離間決定テーブル21において「圧接」が対応付けられた用紙情報であるか否かに基づいて、定着部60を圧接状態とするか離間状態とするかを決定する。
また、例えば、制御部10は、用紙搬送モードにおいて、定着部60を離間した状態で搬送ローラー54により連続紙Pを搬送させてモーター55の駆動トルクを取得し、取得した駆動トルクと予め定められた閾値との比較に基づいて、定着部60を圧接状態とするか離間状態とするかを決定する。
また、制御部10は、用紙搬送モードにおいて、定着部60を離間した状態で搬送ローラー54により連続紙Pを搬送させて用紙速度検出部80から連続紙Pの用紙速度を取得し、取得した用紙速度と予め定められた閾値との比較に基づいて、定着部60を圧接状態とするか離間状態とするかを決定する。
したがって、用紙搬送モードにおいて、定着部60の下加圧ローラー65に皺が発生しにくく、薄い用紙から厚い用紙まで安定した用紙搬送ができる。
【0071】
また、制御部10は、用紙搬送モードにおいて、定着部60を圧接した状態で連続紙Pを搬送する場合に、定着部60の圧接力を、例えば、モーター55の駆動トルクや用紙速度検出部80により検出された用紙速度に基づいて圧接力調整部としての圧接離間機構67により調整させる。
したがって、用紙搬送モードにおける動作状況に応じて定着部60の圧接力を調整することができるので、定着部60を圧接状態とする場合であっても、圧接力を必要最低限に抑えて下加圧ローラー65における皺の発生を抑制することができる。
【0072】
また、制御部10は、用紙搬送モードにおける定着部60の圧接力が画像形成モードにおける定着部60の圧接力よりも弱くなるよう制御するので、圧接力を必要最低限に抑えて下加圧ローラー65における皺の発生を抑制することができる。
【0073】
また、画像形成装置100において、用紙搬送モードで用いる搬送ローラー54は、定着部60より用紙搬送方向の下流側に設けられており、その用紙搬送力は、定着部60の用紙搬送力より小さいが、上記構成を有することにより、下加圧ローラー65に皺が発生しにくく、かつ薄紙から厚紙まで安定した用紙搬送を行うことができる。
【0074】
また、定着部60は、下加圧ローラー65の外部に加熱源が備えられている構成、具体的には、上加圧ローラー63に定着ベルト64が張架されており、定着ベルト64が張架された上加圧ローラー63とは別の位置で定着ベルト64に内接する加熱ローラー61を備え、加熱源62が加熱ローラー61に備えられている構成であるが、上記構成を有することにより、下加圧ローラー65に皺が発生しにくく、かつ薄紙から厚紙まで安定した用紙搬送を行うことができる。
【0075】
なお、上記した実施形態は本発明の好適な一例であり、これに限定されない。
例えば、第2の実施形態において、用紙搬送モードのはじめにモーター55の駆動トルクを取得し、取得した駆動トルクが所定の閾値以上か否かによって定着部60を圧接状態とするか離間状態とするかを決定したが、用紙搬送モード中、駆動トルクが所定の閾値以上となるまで、定着部60を離間状態とすると決定して、定着部60を圧接させずに搬送して駆動トルクの取得及び所定の閾値との比較を繰り返し、駆動トルクが所定の閾値以上となった場合に、定着部60を圧接状態とすると決定して定着部60を圧接することとしてもよい。
【0076】
同様に、第3の実施形態において、用紙搬送モードのはじめに用紙速度検出部80から連続紙Pの用紙速度を取得し、取得した用紙速度が所定の閾値未満であるか否かによって定着部60を圧接状態とするか離間状態とするかを決定したが、用紙搬送モード中、用紙速度が所定の閾値未満となるまで、定着部60を離間状態とすると決定して、定着部60を圧接させずに搬送して用紙速度の取得及び所定の閾値との比較を繰り返し、用紙速度が所定の閾値未満となった場合に、定着部60を圧接状態とすると決定して定着部60を圧接することとしてもよい。
【0077】
また、第1の実施形態の用紙モード処理Aにおいて定着部60を圧接状態とすると決定した場合、図9又は図12の圧接力調整処理A又はBを実行して、圧接力を調整することとしてもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、用紙搬送モードで用いる定着部以外の搬送ローラーとして搬送ローラー54を用いた例について説明したが、搬送ローラー53を用いてもよいし、搬送ローラー53と54の双方を用いることとしてもよい。
【0079】
その他、画像形成装置の細部構成及び細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0080】
100 画像形成装置
1 給紙装置
2 本体部
10 制御部
20 記憶部
30 操作表示部
31 表示部
32 操作部
40 画像形成部
50 用紙搬送部
52 通紙経路
53 搬送ローラー
54 搬送ローラー
55 モーター
60 定着部
61 加熱ローラー
62 加熱源
63 上加圧ローラー
64 定着ベルト
65 下加圧ローラー
66 モーター
67 圧接離間機構
671 偏心カム
70 通信部
3 巻取装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12