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特許7754694バックアップ電源装置、及びその充放電方法
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  • 特許-バックアップ電源装置、及びその充放電方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-10-06
(45)【発行日】2025-10-15
(54)【発明の名称】バックアップ電源装置、及びその充放電方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20251007BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20251007BHJP
   H02J 9/06 20060101ALI20251007BHJP
   H02H 7/20 20060101ALI20251007BHJP
【FI】
H02J7/02 F
H02J7/34 G
H02J9/06
H02H7/20 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021189344
(22)【出願日】2021-11-22
(65)【公開番号】P2023076127
(43)【公開日】2023-06-01
【審査請求日】2024-10-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000237721
【氏名又は名称】FDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉森 駿一郎
(72)【発明者】
【氏名】近田 尚章
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-236017(JP,A)
【文献】国際公開第2021/172464(WO,A1)
【文献】特開平07-282853(JP,A)
【文献】特開昭60-152232(JP,A)
【文献】特開2013-099046(JP,A)
【文献】特開2019-022318(JP,A)
【文献】特開2005-176461(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00-7/12,7/34-7/36
H02J 9/00-11/00
H02H 7/00,7/10-7/20
H01M 10/44-10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源から外部負荷への導電路に接続されるバックアップ電源装置であって、
並列に接続された複数の二次電池と、
前記導電路から複数の前記二次電池への充電電力を個別に断接可能な複数の充電スイッチと、
前記導電路の電源電圧が所定の停電検出閾値よりも低下した場合に複数の前記二次電池の放電制御を行う制御装置と、を備え、
前記制御装置は、複数の前記二次電池の電池電圧が所定の充電開始閾値よりも低下した場合に、それぞれの前記二次電池の充電を開始するタイミングに時間差を設けて充電制御を行い、
前記時間差は、前記二次電池の充電開始時における電圧降下が収束する収束時間よりも長く設定される、バックアップ電源装置。
【請求項2】
前記時間差が一定間隔に設定される、請求項1に記載のバックアップ電源装置。
【請求項3】
前記停電検出閾値は、1つの前記二次電池を個別に充電する場合に電圧降下する前記電源電圧の最小値を上限値とし、2つの前記二次電池を同時に充電する場合に電圧降下する前記電源電圧の最小値を下限値とする電圧範囲で設定される、請求項1又は2に記載のバックアップ電源装置。
【請求項4】
前記電圧範囲は、定常状態における前記電源電圧の変動幅で補正される、請求項に記載のバックアップ電源装置。
【請求項5】
前記制御装置は、運用開始時に前記電源電圧の前記変動幅を測定して前記停電検出閾値を設定する、請求項に記載のバックアップ電源装置。
【請求項6】
外部電源から外部負荷への導電路に接続され、並列に接続された複数の二次電池を備えるバックアップ電源装置の充放電方法であって、
前記導電路の電源電圧が所定の停電検出閾値よりも低下した場合に複数の前記二次電池の放電制御を行い、
複数の前記二次電池の電池電圧が所定の充電開始閾値よりも低下した場合に、それぞれの前記二次電池の充電を開始するタイミングに時間差を設けて充電制御を行い、
前記時間差は、1つの前記二次電池の充電を開始した場合の電圧降下が収束する収束時間よりも長く設定される、バックアップ電源装置の充放電方法。
【請求項7】
前記時間差が一定間隔に設定される、請求項に記載のバックアップ電源装置の充放電方法。
【請求項8】
前記停電検出閾値は、1つの前記二次電池を個別に充電する場合に電圧降下する前記電源電圧の最小値を上限値とし、2つの前記二次電池を同時に充電する場合に電圧降下する前記電源電圧の最小値を下限値とする電圧範囲で設定される、請求項6又は7に記載のバックアップ電源装置の充放電方法。
【請求項9】
前記電圧範囲は、定常状態における前記電源電圧の変動幅で補正される、請求項に記載のバックアップ電源装置の充放電方法。
【請求項10】
運用開始時に前記電源電圧の前記変動幅を測定して前記停電検出閾値を設定する、請求項に記載のバックアップ電源装置の充放電方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックアップ電源装置、及びその充放電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バックアップ電源装置は、停電等によって外部電源から負荷装置へ電力が供給されない状態になったときに、予め充電した二次電池から負荷装置へ電力を供給することにより、負荷装置の動作を継続させることができる。一般的にバックアップ電源装置は、複数の二次電池を内蔵し、外部電源と負荷装置との導電路上に接続されることにより、停電でない平時において外部電源から供給される電力で当該二次電池が充電される。
【0003】
このようなバックアップ電源装置は、停電時のバックアップ時間(放電可能時間)を勘案し、必要な個数の二次電池を並列に接続して構成されることが多い。ここで、それぞれの二次電池は、充電時においては並列充電により充電電圧が等しいものの、各電池の抵抗値等の違いにより充電電流が異なることがある。そこで、特許文献1に開示された従来技術では、各電池の抵抗を検出することにより、それぞれの充電電流を制御している。
【0004】
ところで、上記のようなバックアップ電源装置は、一般的に外部電源と負荷装置との導電路における電源電圧を監視し、当該電源電圧が所定の停電検出閾値よりも低下した場合に停電が発生したと判定することで、内蔵する二次電池を放電制御する。また、バックアップ電源装置は、複数の当該二次電池の電池電圧が所定の充電開始閾値よりも低下した場合に充電が必要であると判定することで、内蔵する二次電池を充電制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-22318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、並列に接続された複数の二次電池の充電を開始する場合、外部電源からそれぞれの二次電池に流れ込む突入電流により電源電圧の瞬間的な電圧降下が生じ、当該電源電圧が停電検出閾値を下回ることにより停電状態を誤検出することがある。この場合、バックアップ電源装置は、充電が必要であるにも拘らず放電が開始されてしまう虞が生じる。
【0007】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、充電開始時における停電誤検出を抑制することができるバックアップ電源装置、及びその充放電方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明のバックアップ電源装置は、外部電源から外部負荷への導電路に接続されるバックアップ電源装置であって、並列に接続された複数の二次電池と、前記導電路から複数の前記二次電池への充電電力を個別に断接可能な複数の充電スイッチと、前記導電路の電源電圧が所定の停電検出閾値よりも低下した場合に複数の前記二次電池の放電制御を行う制御装置と、を備え、前記制御装置は、複数の前記二次電池の電池電圧が所定の充電開始閾値よりも低下した場合に、それぞれの前記二次電池の充電を開始するタイミングに時間差を設けて充電制御を行う。
【0009】
また、上記目的を達成するため、本発明のバックアップ電源装置の充放電方法は、外部電源から外部負荷への導電路に接続され、並列に接続された複数の二次電池を備えるバックアップ電源装置の充放電方法であって、前記導電路の電源電圧が所定の停電検出閾値よりも低下した場合に複数の前記二次電池の放電制御を行い、複数の前記二次電池の電池電圧が所定の充電開始閾値よりも低下した場合に、それぞれの前記二次電池の充電を開始するタイミングに時間差を設けて充電制御を行う。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るバックアップ電源装置、及びその充放電方法によれば、充電開始時における停電誤検出を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】バックアップ電源装置が使用される場合の電源系統を表す回路図である。
図2】充電制御の開始時における充電スイッチの切り替えを示すタイミングチャートである。
図3】同時に複数の二次電池の充電を開始した場合の電源電圧及び充電電流を示す波形である。
図4】複数の二次電池の充電開始をずらした場合の電源電圧及び充電電流を示す波形である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ実施形態について詳細に説明する。尚、本開示は、以下に説明する内容に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において任意に変更して実施することが可能である。また、実施の形態の説明に用いる図面は、いずれも構成部材を模式的に示すものであって、理解を深めるべく部分的な強調、拡大、縮小、又は省略などを行っており、構成部材の縮尺や形状等を正確に表すものとはなっていない場合がある。
【0013】
図1は、バックアップ電源装置1が使用される場合の電源系統を表す回路図である。バックアップ電源装置1は、商用電源2から供給される交流電力を外部電源3で直流電力に変換して外部負荷4へ供給する導電路Pに接続される予備電源である。すなわち、バックアップ電源装置1は、停電時に外部電源3から外部負荷4へ電力が供給できなくなった場合に、内部に蓄えた電力を一定時間継続して外部負荷4へ供給する。また、バックアップ電源装置1は、停電でない平時において、外部電源3から供給される電力により後述する内部の二次電池B1~B7を満充電に近い充電量(SOC:State Of Charge)に維持することで停電の発生に備える。
【0014】
本実施形態におけるバックアップ電源装置1は、複数の二次電池B1~B7、複数の電流制限部L1~L7、複数の充電スイッチSW1~SW7、及び制御装置10を備える。ここで、二次電池B1、電流制限部L1、及び充電スイッチSW1は、直列接続体11を構成している。また、他の二次電池B2~B7、電流制限部L2~L7、充電スイッチSW2~SW7についても、直列接続体11と同様にそれぞれ直列接続体12~17を構成している。そして、これらの直列接続体11~17は、導電路Pと接地ラインとの間で並列に接続されている。これにより、複数の二次電池B1~B7は、並列接続されていることになる。
【0015】
二次電池B1~B7のそれぞれは、例えば複数のNiMH電池が直列に接続された組電池として構成されている。ここで、本実施形態におけるバックアップ電源装置1は、7個の二次電池B1~B7を含む構成として例示しているが、電池の個数はこれに限定されるものではなく、仕様に応じて適宜変更することができる。
【0016】
電流制限部L1~L7は、二次電池B1~B7のそれぞれへ供給する充電電流を制限するための回路である。二次電池B1~B7は、電流制限部L1~L7により定電流充電を行うことができる。
【0017】
充電スイッチSW1~SW7は、例えばMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)からなり、導電路Pから二次電池B1~B7のそれぞれへの充電電力を個別に断接可能となるよう接続されている。
【0018】
制御装置10は、例えば公知のマイコン制御回路からなり、以下に説明する充放電方法により、二次電池B1~B7の電池電圧を監視することで充電要否を判断して二次電池B1~B7を充電し、導電路Pの電源電圧を監視することにより停電の発生を検出して二次電池B1~B7を放電させる。より具体的には、制御装置10は、二次電池B1~B7の電池電圧が所定の充電開始閾値よりも低下した場合に充電スイッチSW1~SW7をONにして充電制御を開始する。また、制御装置10は、導電路Pの電源電圧が所定の停電検出閾値よりも低下した場合に二次電池B1~B7の放電制御を行う。
【0019】
ここで、制御装置10は、二次電池B1~B7の充電制御を開始する際に全ての充電スイッチSW1~SW7を同時にONに切り替えた場合、外部電源3から二次電池B1~B7のそれぞれへの突入電流により導電路Pの電源電圧に電圧降下を生じさせる。このとき、導電路Pの電圧降下により電源電圧が停電検出閾値よりも低下した場合には、停電状態を誤検出し、二次電池B1~B7に充電が必要であるにも拘らず放電が開始されてしまう虞が生じる。
【0020】
そこで、制御装置10は、二次電池B1~B7の充電を開始するタイミングに時間差を設けて充電制御を行うことで、突入電流を時間的に分散し、導電路Pの電圧降下を抑制する。図2は、充電制御の開始時における充電スイッチSW1~SW7の切り替えを示すタイミングチャートである。図2に示すように、充電スイッチSW1~SW7は、OFFからONへ切り替えるタイミングに時間差が設けられている。
【0021】
次に、本開示におけるバックアップ電源装置1の効果について説明する。図3は、同時に二次電池B1~B7の充電を開始した場合の電源電圧及び充電電流を示す波形である。また、図4は、二次電池B1~B7の充電開始をずらした場合の電源電圧及び充電電流を示す波形である。
【0022】
より具体的には、図3及び図4は、充電制御の開始から経過した時間を横軸とし、導電路Pの電源電圧の変化、及び導電路Pからバックアップ電源装置1へ流入する充電電流の変化を示している。ここで、本実施形態においては、外部電源3の定格出力電圧が27Vであり、停電検出閾値が23Vとして設定されている。尚、バックアップ電源装置1の定格電圧は、二次電池B1~B7のSOCに応じて約20V~約29Vであるものとする。
【0023】
図3に見られるように、二次電池B1~B7の充電を同時に開始した場合、充電制御を開始したタイミングで充電電流が瞬間的に増大し、これに伴う電圧降下により電源電圧が定格出力電圧の27Vから停電検出閾値の23V以下まで低下する(破線楕円DE)。これにより制御装置10は、停電状態であると誤検出して二次電池B1~B7の放電制御を開始してしまう。
【0024】
これに対し、本実施形態に係る制御装置10では、二次電池B1~B7それぞれの充電を開始するタイミングに時間差T=1sを設けて充電スイッチSW1~SW7を順次ONに切り替えるため、図4に見られるように電源電圧の電圧降下が抑制され停電誤検出が生じることは無く、それぞれの二次電池B1~B7に充電電流を供給することができる。尚、当該時間差Tは、1sに限定されるものではなく、後述するような条件が無い限り任意に設定することができる。
【0025】
ここで、充電開始の時間差Tは、全ての充電スイッチSW1~SW7を順次切り替える間隔を一定間隔に設定することにより、当該時間差を設ける制御を簡略化することができる。また、当該時間差Tは、二次電池B1~B7のそれぞれの充電開始時における電圧降下が収束する収束時間Tよりも長く設定されることにより、電圧降下による停電誤検出を確実に防止することができる。
【0026】
更に、上記した停電検出閾値は、二次電池B1~B7のうち1つを個別に充電する場合に電圧降下する電源電圧の最小値を上限値Vとし、二次電池B1~B7のうち2つを同時に充電する場合に電圧降下する電源電圧の最小値を下限値VLとする電圧範囲で設定されてもよい。例えば、図4の電圧波形の場合、充電開始前の電圧が27Vであり、1つの二次電池B1の充電を開始した場合の電圧が25.5Vであるため、上限値V=25.5V、下限値VL=24Vとなる。これらの数値は、バックアップ電源装置1の運用時までに確認し制御装置10に設定しておくことができる。
【0027】
そしてこの場合、制御装置10は、充電開始時の電圧低下を原因とする停電誤検出を回避できる範囲で停電検出閾値を高く設定することができるため、停電の発生を速やかに検出することができる。
【0028】
このとき、上記した下限値VLから上限値Vまでの電圧範囲は、定常状態における電源電圧の変動幅Rで補正されてもよい。例えば、図4において変動幅R=1Vである場合、上限値V=25.5V-1V=24.5V、下限値V=24V-1V=23.5Vと補正し、この電圧範囲で停電検出閾値を設定することにより、停電検出閾値を比較的高く設定する場合であっても電源電圧の揺らぎによる停電誤検出を回避することができる。
【0029】
更に、制御装置10は、運用開始時に電源電圧の変動幅Rを測定して停電検出閾値を設定してもよい。より具体的には、制御装置10は、バックアップ電源装置1が導電路Pに接続されて運用を開始した場合に、導電路Pの電源電圧を測定し、その変動幅Rに基づいて上記のように停電検出閾値を設定する。これにより、制御装置10は、バックアップ電源装置1の設置先の導電路Pに適した停電検出閾値を設定することができる。
【0030】
以上のように、本開示に係るバックアップ電源装置1は、複数の二次電池B1~B7の充電を開始するタイミングに時間差Tを設けることにより、外部電源3から流入する突入電流を分散して電源電圧の電圧降下が抑制されるため、当該電源電圧が停電検出閾値を下回る虞を低減することができる。従って、本開示に係るバックアップ電源装置1によれば、充電開始時における停電誤検出を抑制することができる。
【0031】
<本発明の実施態様>
本発明の第1の実施態様は、外部電源から外部負荷への導電路に接続されるバックアップ電源装置であって、並列に接続された複数の二次電池と、前記導電路から複数の前記二次電池への充電電力を個別に断接可能な複数の充電スイッチと、前記導電路の電源電圧が所定の停電検出閾値よりも低下した場合に複数の前記二次電池の放電制御を行う制御装置と、を備え、前記制御装置は、複数の前記二次電池の電池電圧が所定の充電開始閾値よりも低下した場合に、それぞれの前記二次電池の充電を開始するタイミングに時間差を設けて充電制御を行う、バックアップ電源装置である。
【0032】
第1の実施態様によれば、複数の二次電池の充電を開始するタイミングに時間差を設けることにより、外部電源から流入する突入電流を分散して電源電圧の電圧降下が抑制されるため、当該電源電圧が停電検出閾値を下回る虞を低減することができる。従って、第1の実施態様に係るバックアップ電源装置によれば、充電開始時における停電誤検出を抑制することができる。
【0033】
本発明の第2の実施態様は、上記した第1の実施態様において、前記時間差が一定間隔に設定される、バックアップ電源装置である。
【0034】
第2の実施態様によれば、充電開始のタイミングに時間差を設ける制御を簡略化することができる。
【0035】
本発明の第3の実施態様は、上記した第1又は2の実施態様において、前記時間差は、前記二次電池の充電開始時における電圧降下が収束する収束時間よりも長く設定される、バックアップ電源装置である。
【0036】
第3の実施態様によれば、1つの二次電池の充電開始時における電圧降下が収束した後に次の二次電池の充電を開始するため、電圧降下による停電誤検出を確実に防止することができる。
【0037】
本発明の第4の実施態様は、上記した第1乃至3のいずれかの実施態様において、前記停電検出閾値は、1つの前記二次電池を個別に充電する場合に電圧降下する前記電源電圧の最小値を上限値とし、2つの前記二次電池を同時に充電する場合に電圧降下する前記電源電圧の最小値を下限値とする電圧範囲で設定される、バックアップ電源装置である。
【0038】
第4の実施態様によれば、充電開始時の電圧低下を原因とする停電誤検出を回避できる範囲で停電検出閾値を高く設定することができるため、停電の発生を速やかに検出することができる。
【0039】
本発明の第5の実施態様は、上記した第4の実施態様において、前記電圧範囲は、定常状態における前記電源電圧の変動幅で補正される、バックアップ電源装置である。
【0040】
第5の実施態様によれば、停電検出閾値を比較的高く設定する場合であっても電源電圧の揺らぎによる停電誤検出を回避することができる。
【0041】
本発明の第6の実施態様は、上記した第5の実施態様において、前記制御装置は、運用開始時に前記電源電圧の前記変動幅を測定して前記停電検出閾値を設定する、バックアップ電源装置である。
【0042】
第6の実施態様によれば、バックアップ電源装置が導電路に接続されて運用を開始した場合に、導電路の電源電圧を測定し、その変動幅に基づいて停電検出閾値を設定することにより、バックアップ電源装置の設置先の導電路に適した停電検出閾値を設定することができる。
【0043】
本発明の第7の実施態様は、外部電源から外部負荷への導電路に接続され、並列に接続された複数の二次電池を備えるバックアップ電源装置の充放電方法であって、前記導電路の電源電圧が所定の停電検出閾値よりも低下した場合に複数の前記二次電池の放電制御を行い、複数の前記二次電池の電池電圧が所定の充電開始閾値よりも低下した場合に、それぞれの前記二次電池の充電を開始するタイミングに時間差を設けて充電制御を行う、バックアップ電源装置の充放電方法である。
【0044】
第7の実施態様によれば、複数の二次電池の充電を開始するタイミングに時間差を設けることにより、外部電源から流入する突入電流を分散して電源電圧の電圧降下が抑制されるため、当該電源電圧が停電検出閾値を下回る虞を低減することができる。従って、第7の実施態様に係るバックアップ電源装置の充放電方法によれば、充電開始時における停電誤検出を抑制することができる。
【0045】
本発明の第8の実施態様は、上記した第7の実施態様において、前記時間差が一定間隔に設定される、バックアップ電源装置の充放電方法である。
【0046】
第8の実施態様によれば、充電開始のタイミングに時間差を設ける制御を簡略化することができる。
【0047】
本発明の第9の実施態様は、上記した第7又は8の実施態様において、前記時間差は、1つの前記二次電池の充電を開始した場合の電圧降下が収束する収束時間よりも長く設定される、バックアップ電源装置の充放電方法である。
【0048】
第9の実施態様によれば、1つの二次電池の充電開始時における電圧降下が収束した後に次の二次電池の充電を開始するため、電圧降下による停電誤検出を確実に防止することができる。
【0049】
本発明の第10の実施態様は、上記した第7乃至9のいずれかの実施態様において、前記停電検出閾値は、1つの前記二次電池を個別に充電する場合に電圧降下する前記電源電圧の最小値を上限値とし、2つの前記二次電池を同時に充電する場合に電圧降下する前記電源電圧の最小値を下限値とする電圧範囲で設定される、バックアップ電源装置の充放電方法である。
【0050】
第10の実施態様によれば、充電開始時の電圧低下を原因とする停電誤検出を回避できる範囲で停電検出閾値を高く設定することができるため、停電の発生を速やかに検出することができる。
【0051】
本発明の第11の実施態様は、上記した第10の実施態様において、前記電圧範囲は、定常状態における前記電源電圧の変動幅で補正される、バックアップ電源装置の充放電方法である。
【0052】
第11の実施態様によれば、停電検出閾値を比較的高く設定する場合であっても電源電圧の揺らぎによる停電誤検出を回避することができる。
【0053】
本発明の第12の実施態様は、上記した第11の実施態様において、運用開始時に前記電源電圧の前記変動幅を測定して前記停電検出閾値を設定する、バックアップ電源装置の充放電方法である。
【0054】
第12の実施態様によれば、バックアップ電源装置が導電路に接続されて運用を開始した場合に、導電路の電源電圧を測定し、その変動幅に基づいて停電検出閾値を設定することにより、バックアップ電源装置の設置先の導電路に適した停電検出閾値を設定することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 バックアップ電源装置
2 商用電源
3 外部電源
4 外部負荷
10 制御装置
11~17 直列接続体
B1~B7 二次電池
L1~L7 電流制限部
SW1~SW7 充電スイッチ
図1
図2
図3
図4