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特許7754927貯蔵安定な反応性樹脂の反応性を低下させたポリマー原料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-10-06
(45)【発行日】2025-10-15
(54)【発明の名称】貯蔵安定な反応性樹脂の反応性を低下させたポリマー原料
(51)【国際特許分類】
   C08F 6/24 20060101AFI20251007BHJP
   C08F 2/44 20060101ALI20251007BHJP
【FI】
C08F6/24
C08F2/44 C
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023528291
(86)(22)【出願日】2021-11-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-14
(86)【国際出願番号】 EP2021080291
(87)【国際公開番号】W WO2022101048
(87)【国際公開日】2022-05-19
【審査請求日】2024-11-01
(31)【優先権主張番号】20207077.7
(32)【優先日】2020-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】319013746
【氏名又は名称】レーム・ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Roehm GmbH
【住所又は居所原語表記】Deutsche-Telekom-Allee 9, 64295 Darmstadt, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー クライン
(72)【発明者】
【氏名】ヤーノシュ ロッツ
(72)【発明者】
【氏名】シビル ショル
(72)【発明者】
【氏名】イングリート キツェフスキー
【審査官】藤原 研司
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-059681(JP,A)
【文献】特開2014-141659(JP,A)
【文献】特開2010-241968(JP,A)
【文献】特開2008-056832(JP,A)
【文献】特開2001-151827(JP,A)
【文献】特開2002-188015(JP,A)
【文献】特表2016-535115(JP,A)
【文献】特表2012-532971(JP,A)
【文献】国際公開第2012/146438(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F
C08L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵安定な(メタ)アクリレート系反応性樹脂の製造方法であって、少なくとも1つのポリマー成分とモノマー成分とを、撹拌しながら気相下で互いに混合し、その際、前記ポリマー成分の少なくとも90重量%が前記モノマー成分中に溶解する方法において、前記気相は、3~8体積%の酸素含有量を有し、前記モノマー成分と混合する前の前記ポリマー成分は、1kgあたり最大で0.375ミリモルのペルオキシドの残留ペルオキシド含有量を有することを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記混合の前の前記ポリマー成分中の前記残留ペルオキシド含有量が、ポリマー1kgあたり最大で0.25ミリモルのペルオキシドであることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
使用される前記ポリマー成分が、ポリ(メタ)アクリレートであることを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
使用されるポリマーが、懸濁ポリマーであることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記懸濁ポリマーが、製造時にラウロイルペルオキシドで開始されたものであることを特徴とする、請求項記載の方法。
【請求項6】
前記モノマー成分が、メタクリレート、アクリレート、またはメタクリレートおよび/もしくはアクリレートの混合物であることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記ポリマー成分および前記モノマー成分を、パラフィン、調整剤、可塑剤、禁止剤、ワックス、油、消泡剤、レオロジー添加剤、安定剤、顔料、染料、湿潤助剤、分散助剤および/またはレベリング助剤と追加的に混合することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記気相が、少なくとも90体積%の窒素を含むことを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記気相が、少なくとも12体積%のアルゴンおよび/または二酸化炭素を含むことを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記ポリマー成分および前記モノマー成分が、アクリレート基およびメタクリレート基の合計を基準として最大で5重量%のアクリレート基およびアクリレート繰返し単位を含むことを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記混合の際に、
架橋剤0重量%~30重量%、
モノマー成分20重量%~85重量%、
ウレタン(メタ)アクリレート0重量%~60重量%、
ポリマー成分10重量%~40重量%、
パラフィン、調整剤、可塑剤、禁止剤、ワックス、油、消泡剤、レオロジー添加剤、安定剤、顔料、染料、湿潤助剤、分散助剤および/またはレベリング助剤から選択される単一または複数の物質を含む補助物質0重量%~5重量%、
および
促進剤0重量%~10重量%
を含む組成物が存在することを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記促進剤が、第三級アミンまたは第三級有機ホスファイトであることを特徴とする、請求項11記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、例えば道路標示、床用コーティング剤またはシーラントとして使用される2成分系の成分として使用される反応性樹脂、特に(メタ)アクリレート樹脂の製造である。ここで、この新規の方法の特別な特徴は、その使用により、製造時にも貯蔵および輸送時にも生成物の安全性および安定性を向上させ得ることである。
【0002】
先行技術
先行技術から、様々な構想に基づく数多くの(メタ)アクリレート樹脂が知られている。これらは、道路標示、床用コーティング剤、屋根または橋梁用コーティング剤、金属用コーティング剤、例えば防食または難燃性コーティング剤、ならびに接着剤およびシーラントなど、非常に多様な応用分野で使用することができる。
【0003】
(メタ)アクリレート樹脂とは、ポリ(メタ)アクリレートなどのポリマーの、(メタ)アクリル酸エステルモノマー溶液であると理解される。一般に、これらの樹脂にはさらなる添加剤や助剤が含まれている。重要な成分の1つとして、いわゆる活性化剤があり、これは促進剤とも呼ばれる。これらの成分は、例えばペルオキシドなどの開始剤が添加された際に(メタ)アクリレート樹脂中のモノマー分の重合を誘発する。(メタ)アクリレート樹脂を硬化させるための開始剤の添加は、例えば使用現場で、例えば建築現場で直接行われる。
【0004】
(メタ)アクリレート樹脂の成分は、一般に製造後すぐに使用されることはないため、比較的長期にわたって十分な貯蔵安定性を有する必要がある。このため、これらは製造後に長距離輸送されることが多く、大陸間海上貨物として輸送されることもある。(メタ)アクリレート樹脂の貯蔵安定性を特に高温下でも最大限に高めることは、品質面からだけでなく安全面からも重要である。また、このような貯蔵安定性の高い(メタ)アクリレート樹脂によって、高コストの温度管理された輸送や温度管理された貯蔵を省くことができる。そのため、製造時、輸送時または貯蔵時の制御不能な重合は避けなければならない。
【0005】
(メタ)アクリレート樹脂は、通常は化学プラントにおいて、ポリマー、例えば(メタ)アクリレート系ポリマーを(メタ)アクリレートモノマー混合物に溶解させ、任意に添加剤、促進剤およびさらなる添加物質と混合することにより製造される。ポリマーの溶解工程およびさらなる供給原料との混合は、通常は40~70℃の温度で行われる。好ましくは、反応性樹脂の製造時には、ポリマーペレットまたは好ましくはビーズポリマーとも呼ばれる懸濁ポリマーが使用される。懸濁ポリマーの利点は、一般にそれらが典型的には0.8mm未満の小さな粒径を有することである。このため、(メタ)アクリレートモノマー混合物へのこれらの小さな粒子の迅速な溶解を保証することができる。ペレットのような固体の塊状ポリマーは、反応性樹脂の製造時に使用するためには、まず複雑な粉砕プロセスでの準備が必要である。
【0006】
例えばメチルメタクリレートのような短鎖の(メタ)アクリル酸エステルは、易燃性であり、爆発性雰囲気を形成するのに十分な蒸気圧を既に低温で有している。そのため、実際には、(メタ)アクリレート樹脂の製造工程における製造タンクは、低酸素の空気、またはさらには純粋な保護ガス、例えば窒素によるブランケット状態とされている。しかし、酸素含有量の少ない雰囲気は、反応性樹脂の安定性に悪影響を及ぼす。酸素は(メタ)アクリル酸エステルの重合反応を抑制する作用があるが、これはラジカル鎖末端への酸素の付加がモノマーの付加よりも高い速度で起こるためである。
【0007】
反応性樹脂の製造時に使用される(メタ)アクリレート系ポリマーは、別の懸濁重合または塊状重合プロセスで製造される。これらのプロセスでは、モノマーは、開始剤としてペルオキシドを用いて制御された状態で重合される。塊状重合に関しては、Houben-Weyl, Band E20, Teil 2 (1987), pp. 1145ffにおいて参考となる指摘がなされている。懸濁重合については、該文献の第1149頁以降に記載されている。
【0008】
製造された懸濁または塊状ポリマー中には、一般にペルオキシドの残留分がなおも存在している。この残留含分は、対応する製造プロセスにおいて、使用するペルオキシド、温度レベル、および対応する温度での滞留時間に大きく左右される。製造、輸送および貯蔵に関して特に重要となるのがペルオキシドの残留であり、ペルオキシドは、例えば70~100℃の温度範囲内で1時間の半減期を有する。これらのペルオキシドは、反応性樹脂の製造時に、例えば40~70℃のような高温で制御不能な重合を招くことがある。また、輸送および貯蔵の際に、このようなペルオキシドの残留物は時間と共に分解してラジカルを生成し、このラジカルも同様に制御不能な重合を引き起こすことがある。
【0009】
米国特許第2,833,753号明細書には、市販のアクリルポリマーの残留ペルオキシド含有量は、低温、例えば50℃未満では、添加モノマーの重合を誘発するのに通常は十分でないことが開示されている。しかし、市販品に通常存在する残留ペルオキシド含有量に関する記述はなく、経験上、依然として必ず残留リスクがあることが明らかである。
【0010】
独国特許出願公開第19706064号明細書にも、市販のPMMA粉末あるいは懸濁ポリマーが、活性ペルオキシド基の残留含分を依然として有し得ることが開示されている。この残留含分について、この場合にはジベンゾイルペルオキシドの例を用いて0.24~45mg/gの範囲で示されている。これは、ポリマー中のペルオキシド0.99~186ミリモル/kgに相当し、ヨードメトリー滴定により求められたものである。この場合にも、この残留含分を有するモノマー/ポリマー混合物の貯蔵安定性に対する悪影響は予想されていない。
【0011】
懸濁ポリマーの製造に際して、ラウロイルペルオキシドによる開始の例を用いた独国特許出願公開第102009027620号明細書の先行技術による重合中の温度レベルは、65~90℃である。使用したモノマーの99%を超える転化率での本来の重合の終結後に、ポリマーは懸濁液から分離され、次に乾燥プロセス、例えば流動床での乾燥プロセスで乾燥される。実際には、このようなポリマーには、製造に由来する残留ペルオキシド分が依然として含まれており、これは、反応性樹脂の製造時に、特に混合タンクを不活性化する際に使用した場合に、望ましくない重合の重大な残留リスクを示しかねない。
【0012】
総括すると、先行技術のいくつかの文献が、懸濁ポリマー中のペルオキシド残留分が(メタ)アクリレート系反応性樹脂の貯蔵に及ぼすリスクは極めて低いという結論に達したとしても、実際には、この最小限のリスクでさえ、欠陥バッチや、貯蔵後にもはや使用できない生成物を必ず招き得ると明確に断言することができる。
【0013】
課題
したがって、この先行技術および実際の経験に関して、本発明の課題は、(メタ)アクリレート樹脂の製造において、ならびに特に輸送および貯蔵の際に残留ペルオキシド分を含むポリマー原料を使用した場合に、望ましくない重合の残留リスクをさらに最小化することにあった。特に、樹脂を高温で製造する際に、低酸素気相下、あるいは不活性ガス雰囲気下での防爆要求に基づいて、望ましくない重合を、たとえ部分的であっても抑制することが課題であった。
【0014】
さらに、高温になる可能性がある場合に反応性樹脂の各成分を貯蔵および/または輸送する際にも、反応性樹脂のこのような重合を回避することも課題であった。したがって、本発明は特に、防爆に対する要求が高い場合であっても、均一な品質で、かつ早期重合の危険性なく製造可能であり、またそれと同様に、製造後にも高温下であっても高い貯蔵安定性を有する新規の(メタ)アクリレート系反応性樹脂を提供するという課題に基づくものであった。
【0015】
明示されていない他の課題は、先行技術、発明の詳細な説明、実施例または本願の全体的な文脈から明らかとなり得る。
【0016】
解決
これらの課題は、貯蔵安定な(メタ)アクリレート系反応性樹脂の新規の製造方法を提供することによって解決された。本方法では、少なくとも1つのポリマー成分とモノマー成分とを、撹拌しながら気相下で互いに混合し、その際、ポリマー成分の少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも99重量%がモノマー成分中に溶解する。ここで、本方法は、気相が3~8体積%の酸素含有量を有することを特徴とする。さらに、本方法では、モノマー成分と混合する前のポリマー成分は、1kgあたり最大で0.375ミリモル、好ましくは最大で0.25ミリモルのペルオキシドの残留ペルオキシド含有量を有する。
【0017】
ペルオキシドの最大量は、例えばラウロイルペルオキシドの場合には、例えば好ましくは最大で約150重量ppm、特に好ましくは最大で約100重量ppmのラウロイルペルオキシドに相当する。極めて驚くべきことに、この低いペルオキシド含有量で、特に貯蔵安定性の高い反応性樹脂を製造することができる。
【0018】
ペルオキシド含有量は、ポリマー製造時に後加熱ステップによって低減できることが判明した。本来の重合の後に続くこの追加の後加熱ステップは、本来の重合プロセスと同じかまたは有利にはより高い温度で行われ、それにより、ペルオキシドの残留量は0.375ミリモル/kgポリマー未満に低減される。
【0019】
例えば、開始剤としてラウロイルペルオキシド(開始剤の50%が1時間以内に分解する1時間半減期温度=79℃)を用いたビーズ重合では、乾燥前の懸濁液を、有利には1時間半減期温度よりも少なくとも8℃高い温度に加熱し、少なくとも90分間この温度レベルに保持する。それによって、残留ペルオキシド含有量は、ポリマー中で最大で0.375ミリモル/kgあるいは150ppmのラウロイルペルオキシドに低減される。後加熱ステップが、開始剤の1時間半減期温度より少なくとも11℃高い温度で、少なくとも60分間あるいは少なくとも90分間行われる場合、残留ペルオキシド含有量は、最大で150ppmあるいは100ppmのラウロイルペルオキシドに低減される。
【0020】
同様に、好ましさの点で劣る塊状重合の場合にも、本来の重合反応の後に追加の後加熱ステップを行うことができる。この場合、熱処理により、存在する残留ペルオキシドが最大で0.375ミリモル/kgポリマーに低減される。後加熱も同様に、重合と同じ温度で、または有利にはより高い温度で行われる。
【0021】
気相に関しては、本発明により設定される酸素含有量を達成するための多くの方法が存在する。例えば、窒素やアルゴンのような保護ガスを、適切な量の純酸素と混合することができる。しかし好ましくは、適切な酸素濃度を達成するために、保護ガスと共に空気が導入される。窒素を供給する場合には、少なくとも90体積%の窒素を含むガス組成が達成される。保護ガスとしてアルゴンを使用する場合、気相は少なくとも12体積%のアルゴンを含む。
【0022】
好ましさの点で劣るがさらなる代替的形態では、反応器にCOを供給することもドライアイスとして加えることも可能である。この場合、気相は、少なくとも12体積%の二酸化炭素を含む。
【0023】
好ましくは、使用されるポリマー成分は、ポリ(メタ)アクリレートである。特に好ましくは、使用されるポリマーは、懸濁ポリマーである。
【0024】
ここで、懸濁ポリマーが製造時にラウロイルペルオキシドで開始されたものである場合に好都合であることが実証されたが、他のペルオキシドも使用可能であり、特に分解温度と分解時間との類似の組み合わせを有するものも使用可能である。
【0025】
モノマー成分も、好ましくはメタクリレート、アクリレート、またはメタクリレートおよび/もしくはアクリレートの混合物である。ここで、本発明において頻繁に使用される(メタ)アクリレートという表現は、メタクリレート、アクリレート、またはメタクリレートおよび/もしくはアクリレートの混合物の略称である。ポリ(メタ)アクリレートという表現にも、同様のことが当てはまる。
【0026】
反応性樹脂中に存在するモノマーは、特に、例えば1~40個の炭素原子を有する直鎖状、分岐状または脂環式アルコールのアルキル(メタ)アクリレート、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート;アリール(メタ)アクリレート、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート;5~80個の炭素原子を有するエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはそれらの混合物のモノ(メタ)アクリレート、例えば、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、メトキシ(メ)エトキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジルオキシメチル(メタ)アクリレート、1-エトキシブチル(メタ)アクリレート、1-エトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシメチル(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、およびポリ(プロピレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレートといった(メタ)アクリレート群から選択される化合物である。
【0027】
これらの(メタ)アクリレートに加えて、モノマー成分は、ラジカル重合によって上記の(メタ)アクリレートと共重合可能なさらなる不飽和モノマーを含むこともできる。これらには特に、1-アルケンまたはスチレンが含まれる。具体的には、ポリ(メタ)アクリレートの割合および組成は、所望の技術的機能に関して好都合となるように選択される。
【0028】
モノマー成分の構成成分としては、さらなる官能基を有する追加のモノマー、例えばα,β-不飽和モノもしくはジカルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸もしくはイタコン酸;アクリル酸もしくはメタクリル酸と二価アルコールとのエステル、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレートもしくはヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート;アクリルアミドもしくはメタクリルアミド;またはジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートも適している。モノマー混合物のさらなる適切な構成要素は、例えば、グリシジル(メタ)アクリレートまたはシリル官能性(メタ)アクリレートである。
【0029】
好ましくは、本発明により使用されるポリマー成分およびモノマー成分は、アクリレート基およびメタクリレート基の合計を基準として最大で5重量%のアクリレート基およびアクリレート繰返し単位を含む。混合物は、特に好ましくは、アクリレート基およびアクリレート繰返し単位を全く含まない。
【0030】
ポリマー成分は、接着促進のために、例えばヒドロキシ基の形態で、または任意の架橋反応における共重合のために、例えば二重結合の形態で、追加の官能基を有することができる。しかし、好ましくは、ポリマー成分は二重結合を有しない。
【0031】
特に好ましくは、混合の際に、以下の成分を有する組成物が存在する:
架橋剤0重量%~30重量%、
モノマー組成物20重量%~85重量%、
ウレタン(メタ)アクリレート0重量%~60重量%、
ポリマー組成物10重量%~40重量%、
パラフィン、添加剤、安定剤、顔料、染料および/または助剤から選択される単一または複数の物質を含む補助物質0重量%~5重量%、
および
促進剤0重量%、例えば少なくとも1.5重量%~10重量%。
【0032】
架橋剤が存在する場合、架橋剤は、好ましくは0.5重量%の最低濃度で使用される。
【0033】
この場合特に、以下の内容物を含む組成物が好ましい:
- 架橋剤、好ましくは多官能性(メタ)アクリレート、非常に特に好ましくはジ-、トリ-またはテトラ(メタ)アクリレート1.0重量%~20重量%、特に好ましくは1.5重量%~15重量%、
- (メタ)アクリレートおよび/または(メタ)アクリレートと共重合可能なモノマー25重量%~75重量%、特に好ましくは30重量%~40重量%、
- ウレタン(メタ)アクリレート0重量%~45重量%、特に好ましくは30重量%まで、
- ポリ(メタ)アクリレート10重量%~35重量%、特に好ましくは15重量%~25重量%、
- 任意にさらなる助剤、
- 促進剤0.5重量%~5重量%、特に好ましくは2重量%~4重量%。
【0034】
促進剤は、好ましくは、第三級アミンまたは第三級有機ホスファイトである。ここで、第三級アミンとは一般に、先行技術から知られているように、対称的な第三級芳香族アミンである。前述の対称的な第三級芳香族アミンとしては、例えば、N,N-ジメチル-p-トルイジン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-p-トルイジンまたはN,N-ビス(2-ヒドロキシプロピル)-p-トルイジンが挙げられる。
【0035】
本発明による反応性樹脂の任意成分の1つとして、架橋剤が挙げられる。特に、アリル(メタ)アクリレートなどの多官能性(メタ)アクリレートである。特に好ましいのは、例えば、ブタン-1,4-ジオールジ(メタ)アクリレート、ポリ(ウレタン)(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートまたはトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどのジ-またはトリ(メタ)アクリレートである。
【0036】
必要に応じて含まれるウレタン(メタ)アクリレートとは、本発明では、ウレタン基を介して互いに結合されている(メタ)アクリレート官能基を有する化合物であると理解される。これらは、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと、少なくとも2つのヒドロキシ官能基を有するポリイソシアネートおよびポリオキシアルキレンとの反応によって得ることができる。ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの代わりに、(メタ)アクリル酸とオキシラン、例えばエチレンオキシドもしくはプロピレンオキシド、または対応するオリゴオキシランあるいはポリオキシランとのエステルも使用可能である。例えば2つを超える官能基を有するウレタン(メタ)アクリレートの概要については、独国特許出願公開第19902685号明細書に示されている。ポリオール、イソシアネートおよびヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートから製造される市販の一例としては、Allnex社製EBECRYL 210-5129が挙げられる。反応性樹脂において、ウレタン(メタ)アクリレートは、比較的大きな温度依存性なく、柔軟性、破断強度および破断伸度を増加させる。驚くべきことに、新規の硬化系を用いることで、ウレタンアクリレートでも比較的高い重量比率で問題なくタックフリーで硬化することが判明した。これにより、典型的にはガラス転移温度が低いアクリレートモノマーをほとんど使用せずに、例えば路面標示やシーリング系に必要とされるような柔軟性の反応性樹脂を製造する可能性が拓かれる。
【0037】
反応性樹脂、特に(メタ)アクリレート樹脂の技術分野から知られているように、本発明による本方法においても、ポリマー成分およびモノマー成分を、添加剤および/または助剤、特にパラフィン、添加剤、安定剤および禁止剤、顔料、染料および/または助剤と追加的に混合することが可能である。
【0038】
ここで、添加剤または助剤とは特に、調整剤、可塑剤、安定剤および禁止剤、ワックスおよび/または油、ならびに消泡剤、レオロジー添加剤、湿潤助剤、分散助剤およびレベリング助剤であると理解される。パラフィンは、空気中の酸素による重合阻害を防ぐために添加される。この目的のために、融点の異なる複数のパラフィンを異なる濃度で使用することが可能である。本発明による2成分系反応性樹脂がさらに1つ以上のパラフィンを0.3重量%~3重量%含む場合に非常に有利であることが実証されている。ここで、これらのパラフィンの特徴は、DIN-ISO 2207による凝固点が35℃~75℃の温度範囲にあることである。
【0039】
調整剤としては、ラジカル重合から知られている全ての化合物を使用することができる。好ましくは、n-ドデシルメルカプタンのようなメルカプタンが使用される。可塑剤としては、有利には、エステル、ポリオール、油、低分子ポリエーテル、またはフタレートが使用される。
【0040】
湿潤助剤、分散助剤およびレベリング助剤としては、有利には、アルコール、炭化水素、グリコール誘導体、グリコール酸エステル誘導体、酢酸エステル誘導体およびポリシロキサン誘導体、ポリエーテル、ポリシロキサン、ポリカルボン酸、飽和および不飽和ポリカルボン酸アミンアミドの群から選択されたものが使用される。
【0041】
レオロジー添加剤としては、有利には、ポリヒドロキシカルボン酸アミド、尿素誘導体、不飽和カルボン酸エステルの塩、酸性リン酸誘導体のアルキルアンモニウム塩、ケトキシム、p-トルエンスルホン酸のアミン塩、スルホン酸誘導体のアミン塩、および化合物の水性または有機の溶液または混合物が使用される。消泡剤としては、有利には、アルコール、炭化水素、パラフィン系鉱油、グリコール誘導体、グリコール酸エステル誘導体、酢酸エステル誘導体およびポリシロキサン誘導体の群から選択されたものが使用される。
【0042】
また、UV安定剤も使用することができる。有利には、UV安定剤は、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、チオキサントネート誘導体、ピペリジノールカルボン酸エステル誘導体または桂皮酸エステル誘導体の群から選択される。安定剤あるいは禁止剤の群から、有利には、置換フェノール、ヒドロキノン誘導体および安定化ラジカル、例えば4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジニルオキシル(TEMPOL)が使用される。実際には、反応性樹脂に合理的に使用できる添加量には上限があり、なぜならば、さもなくば、意図的な硬化の際に、特に低温で不完全な硬化が起こるためである。反応性樹脂には、複数の異なる安定剤の組み合わせも使用でき、この場合、置換フェノール-好ましくは100~1000ppmの濃度-と、安定化ラジカル、例えばTEMPOL-好ましくは15~150ppmの濃度-との組み合わせが好ましい。
【0043】
本発明による方法の生成物がさらに1つ以上のパラフィンを0.3重量%~3重量%含む場合、いくつかの用途に非常に有利であることが実証された。ここで、これらのパラフィンの特徴は、DIN-ISO 2207による凝固点が35℃~75℃の温度範囲にあることである。
【0044】
本発明により製造された反応性樹脂の様々な使用分野、例えば、路面標示、特にライン、バーもしくは記号として、または例えば自転車道もしくはバスレーンもしくは駐車スペースを識別するための表面標示としての使用分野に関しては、助剤および添加物質として有利には染料が添加される。特に好ましいのは、白色、赤色、青色、緑色および黄色の無機顔料であり、特に好ましいのは、二酸化チタンのような白色顔料である。
【0045】
本発明により製造された反応性樹脂は、広範な技術分野で使用することができる。これらの例は、道路標示、床用被覆剤であって、好ましくは工業用途のもの、鋳造部品の製造のための、屋根、橋梁もしくはその接合部のシーリングもしくはコーティングのための、特にシーリング膜としての、橋梁のコーティング全般のための、屋根のシーリング膜としての、パネルの製造のための、例えばワークトップとしてのさらなる使用のための、特に金属表面の保護コーティングの製造のための、排水システム用樹脂としての、衛生用物品の製造のための、接着剤の製造のための、例えば建築物のひび割れ充填のための、または整形外科分野における使用のためのものである。
【0046】
実施例
以下に、比較例および選択された実施形態例を用いて、本発明をより詳細に説明する。
【0047】
ポリマーのペルオキシド残留含有量を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により求めた。
【0048】
試料調製:2.0gの(メタ)アクリレートポリマーを、室温で5.0mLのジクロロメタンに完全に溶解させた。その後、70mLのn-ヘキサンを加えて、(メタ)アクリレートポリマーを再び析出させた。濾過後、濾液を減圧下で乾燥させた。残った残渣をシクロヘキサン中に取り込み、HPLCで分析した。
【0049】
HPLCの固定相として、化学修飾シリカゲルを使用した(C18カラム)。検出を、UV-VIS検出器(220nm)で行った。HPLCの校正およびバリデーションを、ラウロイルペルオキシド/シクロヘキサン標準溶液(外部標準)を用いて行った。
【0050】
残留ペルオキシド含有量を調整したビーズポリマーの製造
ビーズポリマーの製造のために、まず、欧州特許出願公開第1219642号明細書(例1)の記載と同様に水酸化アルミニウムのピッカリング安定剤溶液を製造した。Inter-MIGスターラーおよび還流冷却器を備えた5Lのガラス製反応器に、3200mLのピッカリング安定剤溶液を装入し、スターラーを300rpmの回転数に設定し、40℃のジャケット温度に加熱した。ガラスビーカー内で、n-ブチルメタクリレート960g(60重量%)、メチルメタクリレート640g(40重量%)、ラウロイルペルオキシド8.0gおよび2-エチルヘキシルチオグリコレート12.30gを混合し、撹拌しながら均質化させた。このモノマーストック溶液を反応器にポンプ搬送し、反応器内部温度76℃(重合温度)で撹拌しながら110分間(重合時間)重合させた。重合後、得られた懸濁ポリマーを、以下の表に示すように熱により後処理した。熱による後処理の時間の長さおよび温度レベルにより、ビーズポリマー中のラウロイルペルオキシドの様々な残留含有量を調整することができた。
【0051】
【表1】
【0052】
その後、各バッチを45℃に冷却し、次いで50%硫酸の添加により安定剤を水溶性硫酸アルミニウムに変換させた。母液をヌッチェフィルターによりポリマービーズから分離除去し、脱塩水で洗浄を行い、ポリマービーズを、残留水分量が約0.5重量%となるまで流動床型乾燥機で給気温度70℃にて乾燥させた。
【0053】
比較例1
還流冷却器およびメカニカルスターラー(アンカー型)を備え、複数の入口およびガス供給口を有する容積2000mLの二重ジャケット付きガラス製反応器に、メチルメタクリレート(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール5ppmで安定化)515.1g、n-ブチルアクリレート(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール5ppmで安定化)510.0g、トリエチレングリコールジメタクリレート(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール250ppmで安定化)40.0g、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール0.900g、Sasolwax 5603(オレフィンワックス)20.0gおよびN,N-ビス(2-ヒドロキシプロピル)-p-トルイジン14.0gを加え、この混合物を撹拌した。その後、この反応器を窒素96%および酸素4%からなる混合ガスでパージし、この混合ガスでブランケット状態とした。その後、ビーズポリマー1kgあたり0.50ミリモルのラウロイルペルオキシドに相当する200重量ppmのラウロイルペルオキシドの比残留含有量を有するビーズポリマー400.0gを、激しく撹拌しながら添加した。次に、添加した成分の温度が55℃に達するまで、60℃の温水で二重ジャケットを調温した。全ての成分が溶解するまで撹拌し、これはビーズポリマーの添加から約75分後である。その後、樹脂を撹拌しながら23℃まで冷却した。
【0054】
実施例1
還流冷却器およびメカニカルスターラー(アンカー型)を備え、複数の入口およびガス供給口を有する容積2000mLの二重ジャケット付きガラス製反応器に、メチルメタクリレート(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール5ppmで安定化)515.1g、n-ブチルアクリレート(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール5ppmで安定化)510.0g、トリエチレングリコールジメタクリレート(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール250ppmで安定化)40.0g、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール0.900g、Sasolwax 5603(オレフィンワックス)20.0gおよびN,N-ビス(2-ヒドロキシプロピル)-p-トルイジン14.0gを加え、この混合物を撹拌した。その後、この反応器を窒素96%および酸素4%からなる混合ガスでパージし、この混合ガスでブランケット状態とした。
【0055】
その後、ビーズポリマー1kgあたり0.20ミリモルのラウロイルペルオキシドに相当する80重量ppmのラウロイルペルオキシドの比残留含有量を有するビーズポリマー400.0gを、激しく撹拌しながら添加した。次に、添加した成分の温度が55℃に達するまで、60℃の温水で二重ジャケットを調温した。全ての成分が溶解するまで撹拌し、これはビーズポリマーの添加から約75分後である。その後、樹脂を撹拌しながら23℃まで冷却した。
【0056】
実施例1および比較例1で得られた樹脂の90℃での貯蔵安定性の比較
貯蔵安定性を試験するために、製造したメタクリレート樹脂各90mLを、容積100mLのガラス瓶に充填した。ガラス瓶を閉め、90℃で加熱棚にて貯蔵した。メタクリレート樹脂の安定性を1日に複数回、目視で検査した。
【0057】
【表2】
【0058】
この結果を比較すると、本発明による実施例1の貯蔵安定性の方がはるかに高いことが、単なる目視でもはっきりとわかる。
【0059】
比較例2
還流冷却器およびメカニカルスターラー(アンカー型)を備え、複数の入口およびガス供給口を有する容積2000mLの二重ジャケット付きガラス製反応器に、メチルメタクリレート(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール5ppmで安定化)515.1g、n-ブチルアクリレート(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール5ppmで安定化)510.0g、トリエチレングリコールジメタクリレート(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール250ppmで安定化)40.0g、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール0.900g、Sasolwax 5603(オレフィンワックス)20.0gおよびN,N-ビス(2-ヒドロキシプロピル)-p-トルイジン14.0gを加え、この混合物を撹拌した。その後、この反応器を窒素でパージし、ブランケット状態とした。この後、ビーズポリマー1kgあたり0.63ミリモルのラウロイルペルオキシドに相当する250重量ppmのラウロイルペルオキシドの比残留含有量を有するビーズポリマー400.0gを、激しく撹拌しながら添加した。次に、添加した成分の温度が55℃に上昇するまで、60℃の温水で二重ジャケットを調温した。ビーズポリマーの添加後に45分間の撹拌時間が経過した後に、反応器内容物の重合が生じ、これは、特にゲル状成分の形成による強度の粘度上昇から明らかであった。
【0060】
比較例3
還流冷却器およびメカニカルスターラー(アンカー型)を備え、複数の入口およびガス供給口を有する容積2000mLの二重ジャケット付きガラス製反応器に、メチルメタクリレート(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール5ppmで安定化)515.1g、n-ブチルアクリレート(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール5ppmで安定化)510.0g、トリエチレングリコールジメタクリレート(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール250ppmで安定化)40.0g、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール0.900g、Sasolwax 5603(オレフィンワックス)20.0gおよびN,N-ビス(2-ヒドロキシプロピル)-p-トルイジン14.0gを加え、この混合物を撹拌した。その後、この反応器を窒素でパージし、ブランケット状態とした。その後、ビーズポリマー1kgあたり0.20ミリモルのラウロイルペルオキシドに相当する80重量ppmのラウロイルペルオキシドの比残留含有量を有するビーズポリマー400.0gを、激しく撹拌しながらこれに添加した。その後、添加した成分の温度が55℃に上昇するまで、60℃の温水で二重ジャケットを調温した。ビーズポリマーの添加後に120分間の撹拌時間が経過した後に、反応器内容物の重合が生じ、これは、特にゲル状成分の形成による強度の粘度上昇から明らかであった。
【0061】
【表3】
【0062】
この結果を比較すると、比較例3の窒素下での樹脂製造時の重合までの時間がはるかに長いことがわかる。それにもかかわらず、反応性樹脂の製造時には最小限の酸素の割合が重要であることがわかる。