(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-10-06
(45)【発行日】2025-10-15
(54)【発明の名称】指示装置、ハンドリングシステム、ハンドリング方法、プログラム、及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20251007BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20251007BHJP
B65G 1/10 20060101ALI20251007BHJP
【FI】
B65G1/137 A
B65G1/00 501C
B65G1/10 Z
(21)【出願番号】P 2024509170
(86)(22)【出願日】2023-03-22
(86)【国際出願番号】 JP2023011270
(87)【国際公開番号】W WO2023182369
(87)【国際公開日】2023-09-28
【審査請求日】2024-09-10
(31)【優先権主張番号】P 2022046875
(32)【優先日】2022-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】小川 昭人
(72)【発明者】
【氏名】平栗 一磨
(72)【発明者】
【氏名】矢部 洋祐
(72)【発明者】
【氏名】松村 淳
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】特表2021-520329(JP,A)
【文献】特開2020-050479(JP,A)
【文献】特開2021-176793(JP,A)
【文献】国際公開第2015/097736(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/137
B65G 1/00 - 1/133
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出荷処理において、
物品を搬送する複数の搬送装置を、作業員が
作業する作業エリアを挟んで互いに対向する第1エリア及び第2エリアにそれぞれ移動させ、
前記第1エリアに隣接する第1区画で、前記複数の搬送装置の1つに、前記作業員と前記物品を受け渡しさせ、
前記第2エリアに隣接する第2区画で、前記複数の搬送装置の別の1つに、前記複数の搬送装置の前記別の1つから前記物品を取り出す取出装置を介して前記作業員と前記物品を受け渡しさせる、
指示装置
であって、
前記出荷処理の前の入荷処理において、
棚の第1位置に、第1物品の収納を指示し、
前記第1位置よりも高い前記棚の第2位置に、前記第1物品よりも出荷の頻度が低い第2物品の収納を指示し、
前記出荷処理において、
前記第1物品が出荷される場合、前記複数の搬送装置のいずれかによって、前記第1物品を収納した前記棚を前記第1エリアに移動させ、
前記第2物品が出荷される場合、前記複数の搬送装置のいずれかによって、前記第2物品を収納した前記棚を前記第2エリアに移動させる、
指示装置。
【請求項2】
前記物品は、棚のコンテナに収納され、
前記入荷処理において、ピッキングロボットで取り扱い可能な前記物品は、前記棚から取り出し可能な前記コンテナへの収納を指示する、請求項
1記載の指示装置。
【請求項3】
前記第1エリア及び前記第2エリアのそれぞれに、進入した前記複数の搬送装置が作業区画まで移動する進入ラインと、退出する前記複数の搬送装置が前記作業区画から移動する退出ラインと、を設定し、
前記第1区画は、前記第1エリアの前記作業区画に隣接して設定され、
前記第2区画は、前記第2エリアの前記作業区画に隣接して設定される、請求項1又は2に記載の指示装置。
【請求項4】
前記第1エリア、前記作業エリア、及び前記第2エリアが、繰り返し設定され、
互いに隣接する複数の前記第1エリアの1つと複数の前記第2エリアの1つには、共通の前記進入ラインが設定される、請求項
3記載の指示装置。
【請求項5】
複数の前記進入ラインのそれぞれに、前記複数の搬送装置の1つ以上が待機する待機区画を設定する、請求項
4記載の指示装置。
【請求項6】
前記複数の第2エリアの前記1つに設定される前記待機区画の数は、前記複数の第1エリアの前記1つに設定される前記待機区画の数よりも多い、請求項
5記載の指示装置。
【請求項7】
前記物品は、棚に収納され、
前記棚に収納された前記物品の位置に応じて前記取出装置を上昇又は下降させる、請求項1又は2に記載の指示装置。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の指示装置と、
前記複数の搬送装置と、
前記取出装置と、
を備えたハンドリングシステム。
【請求項9】
物品を搬送する複数の搬送装置と、
前記複数の搬送装置がそれぞれ移動可能に設定され、作業員が
作業する作業エリアを挟んで互いに対向する第1エリア及び第2エリアと、
前記第1エリアに隣接して設定され、前記作業員が前記複数の搬送装置の一部との間で前記物品を受け渡しする第1区画と、
前記第2エリアに隣接して設定され、前記作業員が前記複数の搬送装置の別の一部との間で
、受け渡しを補助する補助装置を用いて前記物品を受け渡しする第2区画と、
を備え
、
入荷処理において、
棚の第1位置に、第1物品が収納され、
前記第1位置よりも高い前記棚の第2位置に、前記第1物品よりも出荷の頻度が低い第2物品が収納され、
前記入荷処理の後の出荷処理において、
前記第1物品が出荷される場合、前記複数の搬送装置のいずれかによって、前記第1物品を収納した前記棚が前記第1エリアに移動され、
前記第2物品が出荷される場合、前記複数の搬送装置のいずれかによって、前記第2物品を収納した前記棚が前記第2エリアに移動される、
ハンドリングシステム。
【請求項10】
物品を搬送する複数の搬送装置と、
前記複数の搬送装置がそれぞれ移動可能に設定され、作業員が作業する作業エリアを挟んで互いに対向する第1エリア及び第2エリアと、
前記第1エリアに隣接して設定され、前記作業員が前記複数の搬送装置の1つとの間で前記物品を受け渡しする第1区画と、
前記第2エリアに隣接して設定され、前記作業員が前記複数の搬送装置の別の1つとの間で、受け渡しを補助する補助装置を用いて前記物品を受け渡しする第2区画と、
を備え、
前記複数の搬送装置の前記1つと前記複数の搬送装置の前記別の1つは、前記物品を収納可能な棚を搬送し、
前記複数の搬送装置の前記別の1つは、前記棚よりも高い位置に増設された増設棚をさらに搬送する
、ハンドリングシステム。
【請求項11】
前記増設棚は、取り出し可能なコンテナを収納する、請求項
10記載のハンドリングシステム。
【請求項12】
前記補助装置は、前記複数の搬送装置の前記別の1つから前記物品を取り出す取出装置である、請求項
9又は
10に記載のハンドリングシステム。
【請求項13】
物品を搬送する複数の搬送装置を、作業員が
作業する作業エリアを挟んで互いに対向する第1エリア及び第2エリアにそれぞれ移動させ、
前記第1エリアに隣接する第1区画で、前記複数の搬送装置の1つに、前記作業員と前記物品を受け渡しさせ、
前記第2エリアに隣接する第2区画で、前記複数の搬送装置の別の1つに、前記複数の搬送装置の前記別の1つから前記物品を取り出す取出装置を介して前記作業員と前記物品を受け渡しさせる、ハンドリング方法
であって、
入荷処理において、
棚の第1位置に、第1物品を収納させ、
前記第1位置よりも高い前記棚の第2位置に、前記第1物品よりも出荷の頻度が低い第2物品を収納させ、
前記入荷処理の後の出荷処理において、
前記第1物品が出荷される場合、前記複数の搬送装置のいずれかによって、前記第1物品を収納した前記棚を前記第1エリアに移動させ、
前記第2物品が出荷される場合、前記複数の搬送装置のいずれかによって、前記第2物品を収納した前記棚を前記第2エリアに移動させる、
ハンドリング方法。
【請求項14】
物品を搬送する複数の搬送装置を、作業員が
作業する作業エリアを挟んで互いに対向する第1エリア及び第2エリアにそれぞれ移動させ、
前記第1エリアに隣接する第1区画で、前記複数の搬送装置の1つに、前記作業員と前記物品を受け渡しさせ、
前記第2エリアに隣接する第2区画で、前記複数の搬送装置の別の1つに、前記複数の搬送装置の前記別の1つから前記物品を取り出す取出装置を介して前記作業員と前記物品を受け渡しさせる、
指示をコンピュータに送信させるプログラム
であって、
入荷処理において、
棚の第1位置に、第1物品を収納させ、
前記第1位置よりも高い前記棚の第2位置に、前記第1物品よりも出荷の頻度が低い第2物品を収納させる、
指示を前記コンピュータに送信させ、
前記入荷処理の後の出荷処理において、
前記第1物品が出荷される場合、前記複数の搬送装置のいずれかによって、前記第1物品を収納した前記棚を前記第1エリアに移動させ、
前記第2物品が出荷される場合、前記複数の搬送装置のいずれかによって、前記第2物品を収納した前記棚を前記第2エリアに移動させる、
指示を前記コンピュータに送信させる、プログラム。
【請求項15】
請求項
14記載のプログラムを記憶した記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、指示装置、ハンドリングシステム、ハンドリング方法、プログラム、及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
物品の倉庫では、作業員が、物品の入荷又は出荷を行う。出荷される物品を作業員に渡したり、入荷された物品を作業員から受け取ったりするハンドリングシステムが用いられる。ハンドリングシステムでは、複数の搬送装置が用いられる。各搬送装置は、指示装置からの命令に従い、物品を搬送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第WO2015/097736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、物品をより効率的にハンドリング可能な、指示装置、ハンドリングシステム、ハンドリング方法、プログラム、及び記憶媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る指示装置は、出荷処理において、物品を搬送する複数の搬送装置を、作業員が居る作業エリアを挟んで互いに対向する第1エリア及び第2エリアにそれぞれ移動させる。前記指示装置は、さらに、前記第1エリアに隣接する第1区画で、前記複数の搬送装置の1つに、前記作業員と前記物品を受け渡しさせる。前記指示装置は、さらに、前記第2エリアに隣接する第2区画で、前記複数の搬送装置の別の1つに、前記複数の搬送装置の前記別の1つから前記物品を取り出す取出装置を介して前記作業員と前記物品を受け渡しさせる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】倉庫のレイアウトの一例を示す模式図である。
【
図2】実施形態に係るハンドリングシステムの作業エリア周辺のレイアウトを示す模式図である。
【
図6】倉庫のレイアウトの別の一例を示す模式図である。
【
図7】作業エリア周辺のレイアウトを示す模式図である。
【
図8】ロボット作業エリア周辺のレイアウトを示す模式図である。
【
図9】ピッキングロボットの具体例を示す斜視図である。
【
図10】実施形態に係るハンドリングシステムにおける制御を示す模式図である。
【
図11】実施形態に係るハンドリングシステムによる入荷処理を示すフローチャートである。
【
図12】実施形態に係るハンドリングシステムによる保管場所の選択処理を示すフローチャートである。
【
図13】実施形態に係るハンドリングシステムによる出荷処理を示すフローチャートである。
【
図14】参考例に係るハンドリングシステムの作業エリア周辺のレイアウトを示す模式図である。
【
図15】実施形態に係るハンドリングシステムに関するタイミングチャートである。
【
図16】実施形態に係るハンドリングシステムに関する別のタイミングチャートである。
【
図17】参考例に係るハンドリングシステムに関するタイミングチャートである。
【
図18】実施形態に係るハンドリングシステムの作業エリア周辺の他のレイアウトを示す模式図である。
【
図19】実施形態に係るハンドリングシステムのロボット作業エリア周辺のレイアウトを示す模式図である。
【
図20】参考例に係るハンドリングシステムのロボット作業エリア周辺のレイアウトを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既に説明したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
図1は、倉庫のレイアウトの一例を示す模式図である。
実施形態に係るハンドリングシステム1は、例えば
図1に示す倉庫に適用される。ハンドリングシステム1は、搬送装置100及び補助装置を含む。倉庫には、第1エリア10、第2エリア20、作業エリア30、保管エリア40、及び走行エリア50が設定される。
【0009】
保管エリア40には、複数の棚が配置される。各棚には、物品を収納可能な複数のコンテナが置かれる。1つのコンテナには、1種類の物品のみが収納されても良いし、複数種類の物品が収納されても良い。
【0010】
搬送装置100は、物品を搬送する。具体的には、搬送装置100は、保管エリア40から物品を運び出す。又は、搬送装置100は、保管エリア40に物品を運び入れる。搬送装置100は、1つ又は複数のコンテナを搬送することで、物品を搬送する。搬送装置100は、棚を搬送することで、複数のコンテナを搬送しても良い。
【0011】
走行エリア50は、保管エリア40と第1エリア10との間、保管エリア40と第2エリア20との間、及び保管エリア40と作業エリア30との間に設定される。搬送装置100は、走行エリア50を移動し、物品を第1エリア10又は第2エリア20に移動する。
【0012】
作業エリア30では、作業員Wが作業を行っている。第1エリア10及び第2エリア20は、作業エリア30の両側にそれぞれ設定される。複数の搬送装置100は、保管エリア40から第1エリア10及び第2エリア20にそれぞれ移動する。作業員は、第1エリア10又は第2エリア20に移動した搬送装置100との間で、物品を受け渡しする。
【0013】
ここでは、保管エリア40から物品を運び出して作業員に渡す動作、又は作業員から物品を受け取って保管エリア40に運び入れる動作などの物品を動かす行為を、「ハンドリング」と呼ぶ。
【0014】
図2は、実施形態に係るハンドリングシステムの作業エリア周辺のレイアウトを示す模式図である。
例えば、作業員Wは、作業エリア30において、物品の出荷作業を行う。作業エリア30では、第1エリア10と隣接する位置に、第1区画31が設定される。第2エリア20と隣接する位置に、第2区画32が設定される。作業員Wは、第1区画31又は第2区画32で、作業区画に停止した搬送装置100との間で物品の受け渡しを行う。
【0015】
第2区画32には、補助装置が設置される。補助装置は、作業員と搬送装置100によって搬送された棚との間の物品の受け渡しを補助するために設けられる。図示した例では、補助装置として、取出装置200が設置されている。取出装置200は、搬送装置100によって搬送された棚からコンテナを取出す。また、取出装置200は、コンテナを上昇又は下降させる。例えば、取出装置200は、搬送装置100からコンテナを受け取り、そのコンテナの中の物品を作業員が取れるように、コンテナを下降させる。また、取出装置200は、作業員による作業後にコンテナを上昇させ、そのコンテナを搬送装置100の所定の場所に戻す。
【0016】
第2区画32では、作業員は、取出装置200を介して搬送装置100と物品の受け渡しを行う。第1区画31では、作業員は、取出装置200を介さずに、搬送装置100と直接物品の受け渡しを行う。
【0017】
搬送装置100及び取出装置200は、
図1に示すように、指示装置90と通信可能である。指示装置90は、搬送装置100及び取出装置200へ指示を送信する。搬送装置100及び取出装置200は、受信した指示に従い動作する。
【0018】
実施形態の利点を説明する。
保管エリア40の有効な利用のためには、保管エリア40により多くの物品を保管可能であることが望ましい。保管可能な物品の数を増やすためには、保管エリア40の高い位置に棚を設けることが有効である。例えば、高い棚を用いる又は既存の棚の上に棚を増設することで、より多くの物品を棚に収納できる。
【0019】
それらの棚を搬送装置100が搬送した場合、必要な物品が作業員の手の届かない位置に存在する可能性がある。高い位置に収納された物品を取り出すためには、取出装置200が必要となる。一方で、取出装置200を介して搬送装置100と物品を受け渡しする場合、取出装置200による取出しの時間だけ、物品の受け渡しに要する時間が延びる。ハンドリングが遅延し、ハンドリングの効率が低下する。
【0020】
この課題について、実施形態に係るハンドリングシステム1では、作業員が居る作業エリアを挟んで互いに対向する場所に、第1エリア10及び第2エリア20がそれぞれ設定される。搬送装置100は、搬送する物品に応じて第1エリア10又は第2エリア20に移動する。そして、第1エリア10に隣接する第1区画31で、搬送装置100は、作業員と物品を受け渡しする。第2エリア20に隣接する第2区画32では、搬送装置100は、取出装置200を介して作業員と物品を受け渡しする。例えば、物品が棚に収納される際、扱われる頻度の高い物品は、作業員の手が届く位置(第1位置)に収納される。扱われる頻度の低い物品は、作業員の手が届かない、高い位置に収納される。
【0021】
作業員に渡される物品が作業員の手が届く高さに有る場合、搬送装置100は、第1エリア10に移動する。作業員は、第1区画31で、自らの手で搬送装置100から物品又はコンテナを受け取る。作業員に渡される物品が作業員の手が届かない高さに有る場合、搬送装置100は、第2エリア20に移動する。第2区画32で、取出装置200は、搬送装置100からコンテナを受け取る。作業員は、取出装置200からコンテナ内の物品を受け取る。
【0022】
第2区画32では、取出装置200が用いられるため、高い位置の物品でも受け渡し可能である。このため、物品を保管エリア40の高い位置に収納でき、保管エリア40をより有効に利用できる。第1区画31では、取出装置200を使用せずに物品が受け渡しされるため、ハンドリングの遅延を抑えることができる。例えば、取出装置200が物品を取出している間、作業員は、第1区画31で、搬送装置100と物品を受け渡しできる。実施形態によれば、ハンドリングの効率低下を抑制しつつ、搬送装置100の高い位置の物品を作業員と受け渡しできる。
【0023】
以降では、実施形態に係るハンドリングシステム1をより詳細に説明する。
【0024】
図3(a)及び
図3(b)は、搬送装置の具体例を表す斜視図である。
図3(a)に示すように、搬送装置100は、複数のコンテナCが収納された棚Aを上部に載せて移動できる。搬送装置100は、車体101、保持部102、走行部103、及び検出部104を含む。
【0025】
保持部102は、車体101の上部に設けられている。保持部102は、車体101に対して上下に可動である。走行部103は、モータ、車輪などを含み、車体101を走行させる。検出部104は、搬送対象の棚、コンテナなどを検出する。検出部104は、カメラ等のセンサを含む。検出部104は、測距センサなどを含んでも良い。
【0026】
棚Aの搬送時には、
図3(b)に示すように、搬送装置100は、棚Aの下に移動する。保持部102が上昇し、棚Aを下方から支持する。この状態で、走行部103が動作することで、棚Aを搬送できる。
【0027】
搬送装置100は、床に設置されたガイドに沿って走行する無人搬送車(AGV)である。又は、搬送装置100は、検出部104のセンサを用いて、周囲の状況に合わせて自律的に走行する自律移動ロボット(AMR)である。搬送装置100は、指示装置又は他のコンピュータによって設定された走行ルートに沿って走行しても良い。
【0028】
図4(a)~
図4(d)は、棚の具体例を示す斜視図である。
例えば
図4(a)に示すように、水平な仕切り板B1と、垂直な仕切り板B2と、を含む棚A1が用いられる。仕切り板B1とB2によって区画された空間SPが、コンテナとして用いられる。又は、
図4(b)に示すように、取り出し可能な箱B3を含む棚A2が用いられても良い。箱B3は、仕切り板B1の上に設けられ、コンテナとして用いられる。箱B3は、取出装置200によって、棚A2から取り出されたり、棚A2に戻されたりする。1つの棚に設けられるコンテナの大きさは、互いに同じでも良いし、互いに異なっていても良い。
【0029】
図4(c)に示すように、棚A1の構造と棚A2の構造とを有する棚A3が用いられても良い。棚A3の下部には、仕切り板B1及びB2が設けられている。棚A3の上部には、箱B3が設けられている。
図4(d)に示すように、棚A1の上に、棚A2が増設されても良い。保管エリア40の既存の棚A1の上に、棚A2を増設することで、棚に収納できる物品の数を増やすことができ、保管エリア40の利用効率を高めることができる。搬送装置100は、棚A1と、増設された棚A2と、を同時に搬送可能である。一般的に、空間がコンテナとして用いられる棚A1は、取り出し可能な箱B3を含む棚A2よりも安価である。棚A1又はA3を用いることで、保管エリア40に設けられる全ての棚に棚A2を適用する場合に比べて、必要なコストを低減できる。
【0030】
図5(a)及び
図5(b)は、取出装置の具体例を表す斜視図である。
図5(a)及び
図5(b)に示す取出装置200は、基台221、駆動機構222、及び保持部223を含む。基台221は、床面に設置されており、電装部品やモータ等の駆動部品が収納されている。駆動機構222は、基台221の上に設けられ、保持部223を上下方向に沿って駆動させる。
【0031】
保持部223は、支持機構224と、吸着部225と、駆動機構226と、載置台227と、を含む。支持機構224は、前後方向に沿って延びるフォーク形状を有する。支持機構224と吸着部225は、一体に構成されており、載置台227の上を前後方向に移動可能である。「前後方向」は、搬送装置100によって搬送された棚が取出装置200の隣に位置する場合に、取出装置200と棚とを結ぶ方向である。駆動機構226は、支持機構224及び吸着部225を前後方向に沿って駆動させる。載置台227の上には、物品を収納したコンテナを載置可能である。
【0032】
取出装置200は、搬送装置100によって搬送された棚が近接すると、駆動機構226を動作させ、
図5(a)に示すように、支持機構224及び吸着部225を棚に向けて移動させる。支持機構224は、棚とコンテナとの間に挿入される。支持機構224は、下方からコンテナを支持する。吸着部225は、コンテナの側面を吸着する。コンテナは、支持機構224及び吸着部225により保持される。
【0033】
コンテナが保持された状態で駆動機構226によりコンテナを取り出すことで、
図5(b)に示すように、コンテナCが載置台227の上に移動する。さらに、駆動機構222により載置台227が下降することで、物品をピッキング作業がしやすい位置に移動させることができる。ピッキング作業が完了した後、駆動機構222は、保持部223を元の高さに戻す。駆動機構226は、保持部223を棚に向けて駆動させる。吸着部225の吸着を解除することで、コンテナCを棚に戻す。駆動機構226が支持機構224と吸着部225を引き戻した後、搬送装置100は退出方向に移動する。保持部223は、吸着以外にも、コンテナの側面を挟み込む機構を有しても良い。保持部223は、かぎ状の爪機構などによりコンテナCを引っ掛けることで、コンテナCを保持しても良い。
【0034】
取出装置200は、さらに、コンテナ内を撮像するためのセンサ228、コンテナから取り出した物品の情報を取得するためのセンサ229を含んでも良い。コンテナ用のセンサ228として、コンテナの内部を撮像するRGB画像カメラ又は距離画像カメラ等が用いられる。撮像結果から、コンテナに収納された物品の数、置かれ方の状態、物品の種類などの情報を取得できる。保持物品計測用のセンサ229は、コンテナから取り出した物品の数、形状、又は情報を取得するためのセンサである。センサ229として、カメラ、ラインセンサ、レーザレンジファインダ(LRF)、Light Detection and Ranging(LiDAR)、又はバーコードリーダ等が用いられる。
【0035】
取出装置200の代わりに、補助装置として階段が設けられても良い。この場合、作業員は、階段を昇り、棚の高い位置から物品を出したり、棚の高い位置に物品を入れたりできる。
【0036】
図2に示すように、第1エリア10及び第2エリア20には、搬送装置100が進入する進入ライン11及び21がそれぞれ設定される。また、第1エリア10及び第2エリア20には、搬送装置100が退出する退出ライン12及び退出ライン22がそれぞれ設定される。進入ライン11は、第1エリア10において作業区画よりも前の領域である。退出ライン12は、第1エリア10において作業区画よりも後の領域である。搬送装置100は、進入ライン11を通過して第1エリア10の作業区画に移動し、退出ライン12を通過して第1エリア10から退出する。進入ライン21は、第2エリア20において作業区画よりも前の領域である。退出ライン22は、第2エリア20において作業区画よりも後の領域である。搬送装置100は、進入ライン21を通過して第2エリア20の作業区画に移動し、退出ライン22を通過して第1エリア10から退出する。
【0037】
ここでは、コンテナから特定の物品を取り出し、別のコンテナ又は箱にその物品を移す作業を「ピッキング」と呼ぶ。作業エリア30には、1つ以上の出荷箱35と、処理端末36と、が配置される。作業員Wは、処理端末36に表示された情報から、ピッキングされる物品を確認する。作業員Wは、第1エリア10又は第2エリア20のいずれかの搬送装置100から、ピッキングされる物品が収納されたコンテナを受け取る。作業員Wは、コンテナに収納された物品を出荷箱35に移した後、そのコンテナを搬送装置100に戻す。作業員は、作業進捗の報告を処理端末36に適宜入力する。
【0038】
作業エリア30では、複数の出荷箱が用意される。このため、作業員Wは、1つのコンテナから、配送先の異なる複数の出荷箱35に物品を収納でき、ピッキング作業を効率的に実行できる。また、搬送装置100と受け渡し可能な区画が複数設定されることで、作業員は、1つの区画でコンテナを受け渡しした後に、すぐ、別の区画でコンテナを受け渡しできる。これにより、ハンドリングの効率を向上させることができる。
【0039】
第1エリア10及び第2エリア20は、所定のサイズで区画された複数の区画を含む。各区画では、搬送装置100が取りうる動作が予め定められている。区画のサイズは任意である。倉庫の利用効率を考慮すると、区画のサイズは、搬送する棚又はコンテナのサイズに、マージンを加えた値であることが好ましい。マージンは、搬送装置100の移動時のばらつき等の誤差に基づいて設定される。
【0040】
図示した例では、進入ライン11が区画a、b、c、d、h、gを含み、退出ライン12が区画eを含む。進入ライン21が区画n、o、p、q、m、kを含み、退出ライン22が区画iを含む。第1エリア10と第2エリア20とを結ぶ方向を第1方向D1と呼ぶ。区画a~d、区画e~h、区画i~m、及び区画n~qは、第1方向D1と交差する第2方向D2に沿って設定される。区画e~hは、区画a~dと作業エリア30との間に位置する。区画i~mは、区画n~qと作業エリア30との間に位置する。区画a~hのうち、区画b、d、g、及びhは、待機区画に設定されている。区画a、c、及びeは、一時停止区画に設定されている。区画fは、作業区画に設定されている。区画i~qのうち、区画k、m、o、及びqは、待機区画に設定されている。区画i、n、及びpは、一時停止区画に設定されている。区画jは、作業区画に設定されている。
図2では、搬送装置100の進行可能な向きを示す矢印が記されている。待機区画に「〇」が記されている。一時停止区画に「□」が記されている。作業区画に「☆」が記されている。
【0041】
待機区画では、搬送装置100の待機が許可されている。搬送装置100は、待機区画で停止し、次の動作まで待機することができる。作業区画では、棚を搬送してきた搬送装置100が停止する。作業員は、作業区画に停止した搬送装置100と物品の受け渡しを行う。搬送装置100は、作業員による物品の受け取りが終わるまで、作業区画で待機する。第1区画31及び第2区画32は、それぞれ、第1エリア10の作業区画及び第2エリア20の作業区画に隣接して設定される。
【0042】
一時停止区画では、搬送装置100の停止が原則として許可されず、搬送装置100の一時的な停止が許可されている。搬送装置100は、次の移動先に別の搬送装置100が存在する場合などの緊急時にのみ、一時停止区画で停止できる。従って、例えば、第1エリア10又は第2エリア20において、最初の待機区画である区画b又はoに既に搬送装置100が待機している場合、第1エリア10又は第2エリア20に別の搬送装置100を移動させても、その別の搬送装置100が待機できないと判断される。別の搬送装置100は、第1エリア10又は第2エリア20に移動しない。一方で、最初の待機区画が空いている場合には、第1エリア10又は第2エリア20に別の搬送装置100が移動可能と判断される。区画b又はoで待機する搬送装置100は、区画d又はqが空いていれば、区画d又はqに移動する。搬送装置100は、区画d又はqが空いていなければ、区画b又はoでの待機を継続する。
【0043】
区画d又はqは、待機区画に加えて、回転区画に設定されている。回転区画では、搬送している棚の向きを変更するために、搬送装置100の回転が許可されている。例えば、
図4(a)に示す棚A1は、正面側と背面側から物品を取り出したり収納したりできる。
図4(b)に示す棚A2は、正面側のみから、物品を取り出したり収納したりできる。搬送装置100は、作業区画で、作業員が物品を取り出したり収納したりできるように、棚の向きを調整する。
【0044】
図3(a)及び
図3(b)に示す搬送装置100では、保持部102が、車体101に対して回転可能である。区画d又はqでは、車体101が、進行方向を変更する。保持部102は、車体101に対してさらに回転し、棚の向きを調整する。区画h又はmで、車体101は進行方向をさらに変更する。このとき、保持部102は、車体101の回転角度と同じ角度を、車体101の回転と反対の方向に回転する。これにより、棚の向きが変わることを回避できる。なお、第1エリア10において棚の向きを調整する必要が無い場合、搬送装置100は、棚を回転させるための区画dを通過せず、区画cから区画gに直接移動しても良い。同様に、第2エリア20において棚の向きを調整する必要が無い場合、搬送装置100は、棚を回転させるための区画qを通過せず、区画pから区画kに直接移動しても良い。
【0045】
第1エリア10及び第2エリア20に複数の待機区画が設定されることで、作業員Wによるピッキング作業中に、別の搬送装置100が待機区画で待機できる。ピッキング作業が完了すると、第1区画31又は第2区画32に隣接する作業区画で停止していた搬送装置100は、第1エリア10又は第2エリア20から退出する。待機区画で停止していた搬送装置100が、作業区画にすぐに移動できる。これにより、ハンドリングの効率を向上させることができる。
【0046】
第1エリア10及び第2エリア20について、
図2に示すように、進入ラインは、退出ラインに対してより長く設定され、退出ラインよりも多くの待機区画を含むことが好ましい。待機区画の数が多いほど、第1エリア10又は第2エリア20で待機できる搬送装置100の数が増える。待機している搬送装置100は、作業区画により短い時間で移動できる。これにより、作業区画から搬送装置100が移動した後、すぐに別の搬送装置100が作業区画に移動できる。搬送装置100を、途切れずに順次作業区画に移動できることで、作業効率を高めることができる。
【0047】
図6は、倉庫のレイアウトの別の一例を示す模式図である。
図6に示すように、第1エリア10、第2エリア20、作業エリア30、保管エリア40、走行エリア50に加えて、作業エリア30a及びロボット作業エリア60が設定されても良い。
【0048】
図7は、作業エリア周辺のレイアウトを示す模式図である。
図8は、ロボット作業エリア周辺のレイアウトを示す模式図である。
図6及び
図7に示すように、作業エリア30aの両側には、第1エリア10がそれぞれ設定される。作業エリア30aには、それぞれの第1エリア10に隣接して、第1区画31が設定される。作業エリア30aには、取出装置200が設置されない。このため、作業エリア30aでは、作業員の手が届く位置に収納された物品のみが扱われる。
【0049】
図6及び
図8に示すように、ロボット作業エリア60には、ピッキングロボット300が設置されている。ピッキングロボット300は、作業員と同様にピッキング作業を行う。ロボット作業エリア60の両側には、第2エリア20がそれぞれ設定される。ロボット作業エリア60には、2つの取出装置200が設置される。取出装置200は、物品の収納される高さに拘わらず、搬送装置100から物品を受け取り、ピッキングロボット300が物品を保持できる高さに物品を移動させる。ピッキングロボット300は、取出装置200によって取り出された物品を出荷箱35に移す。
【0050】
図6に示す例では、作業エリア30、作業エリア30a、及びロボット作業エリア60のいずれにおいても、第1区画31の第2方向D2における位置と第2区画32の第2方向D2における位置が互いに同じである。各エリアに対して、第2方向D2における同じ位置に各区画を設定することで、搬送装置100の制御が容易となる。
【0051】
図9は、ピッキングロボットの具体例を示す斜視図である。
図9に示したピッキングロボット300は、マニピュレータ310及びエンドエフェクタ320を含む。マニピュレータ310は、複数のサーボモータで駆動される多関節ロボットである。
図9に示す例では、マニピュレータ310は、第1軸311~第6軸316の6つの軸を有する垂直多関節ロボットである。マニピュレータ310は、垂直多関節ロボット、水平多関節ロボット、直動ロボット、及びパラレルリンクロボットから選択される2つ以上の組み合わせを含んでも良い。エンドエフェクタ320は、マニピュレータ310の先端に取り付けられている。
【0052】
エンドエフェクタ320は、吸着パッド321、屈曲軸322、及び力センサ323を含む。吸着パッド321は、エンドエフェクタ320の先端に設けられ、物品を吸着する。吸着パッド321の屈曲軸322により、マニピュレータ310の先端に対して回転可能である。力センサ323は、物品へのエンドエフェクタ320の接触を検出する。エンドエフェクタ320は、吸着の他、ジャミング、挟み込み、多指機構による把持などの方式により物品を把持しても良い。エンドエフェクタ320は、複数の方式を備えても良い。これにより、より多様な物品を扱うことが可能になる。
【0053】
ピッキングロボット300は、筐体301の上に設置される。図示した例では、エンドエフェクタ320は、物品の上面を吸着することで、物品を保持する。ピッキングロボット300は、コントローラ330をさらに含む。コントローラ330は、指示装置90からの指示を受信する。コントローラ330は、指示装置90から送信された指示に応じて、ピッキングロボット300を制御してピッキング処理を実行させる。これにより、ピッキングロボット300により、ピッキング処理が自動的に行われる。
【0054】
ピッキング処理のためのシステムは、ピッキングロボット300の他、センサ類、第1載置台、第2載置台、各種センサ、電源、ボンベ、コンプレッサー、真空ポンプ、UI等の外部インタフェース、安全機構などを含む。第1載置台には、ピッキング対象の物品が収納された第1コンテナが載置される。第2載置台には、取り出された物品が収納される第2コンテナが載置される。第2コンテナは、例えば出荷箱である。電源は、ピッキングロボット300の各種駆動部等に電力を供給する。ボンベは、圧縮空気を貯留している。安全機構は、例えばライトカーテン、衝突検知器などを含む。
【0055】
例えば
図9に示したセンサシステム400が設けられる。センサシステム400は、センサ401、センサ402、センサ403、センサ404、及びセンサ405を含む。センサ401は、第1載置台421の上方に設けられ、第1コンテナC1の内部の状態を計測する。センサ402は、第2載置台422の上方に設けられ、第2コンテナC2の内部の状態を計測する。センサ403は、センサ401の付近に設けられ、マニピュレータ310が把持した物体を計測する。センサ401~403は、それぞれ、支持部411~413によって支持されている。センサ401~403は、RGB画像カメラ、距離画像カメラ、LRF、又はLiDARなどの、画像情報又は3次元情報が取得可能なセンサを含む。センサ404は、第1載置台421に載置された第1コンテナC1の重量を計測する。センサ405は、第2載置台422に載置された第2コンテナC2の重量を計測する。
【0056】
第1載置台421及び第2載置台422として、
図9に示すように、専用の台が用いられても良い。コンベアのような移動機構が第1載置台421及び第2載置台422として用いられても良い。
図5(a)及び
図5(b)に示した取出装置200の載置台227が、第1載置台421として利用されても良い。また、
図5に示した取出装置200のセンサ228又は229が、センサシステム400の一部である画像センサ又は計測用センサとして利用されても良い。
【0057】
図10は、実施形態に係るハンドリングシステムにおける制御を示す模式図である。
ハンドリングシステム1における管理及び制御のシステムは、指示装置90と、各装置の制御部と、で構成されている。指示装置90は、1体の計算機(コンピュータ)にインストールされたソフトウェアであっても良いし、サーバ又はクライアント計算機などのように、複数の機器によって構成されても良い。指示装置90は、倉庫管理部91、機器実行制御部92、搬送装置群制御部93、作業エリア制御部94、データベース管理部95を含む。
【0058】
倉庫管理部91は、倉庫の物品の在庫状況、注文の処理などを統合して管理する。機器実行制御部92は、倉庫内の複数の機器を制御し、これらの機器を連携して運用可能とする。搬送装置群制御部93は、1つ又は複数の搬送装置100の搬送装置制御部100cに対して、搬送作業や運行等の指示を行う。作業エリア制御部94は、作業エリア30、作業エリア30a、及びロボット作業エリア60に設置される装置に対して、作業、動作、表示内容等を指示する。当該装置は、処理端末36、取出装置200、ピッキングロボット300などである。
【0059】
搬送装置制御部100cは、
図3(a)及び
図3(b)に示す搬送装置100の制御、情報の制御などを行う。制御される情報は、搬送される棚、その棚に含まれるコンテナ及び物品に関する。取出装置制御部200cは、
図5(a)及び
図5(b)に示した取出装置200の動作を制御する。ピッキングロボット制御部300cは、
図9に示したピッキングロボット300のピッキング動作、及びピッキングした物品に関連した情報を制御する。表示及び周辺機器制御部400cは、作業員のための処理端末36、コンベアや安全機器等の周辺機器を制御する。作業員と指示装置90との間で、処理端末36を通して情報が伝達される。データベース管理部95は、注文管理データ、物品管理データ、物品特性データ、棚管理データ、機器データ、運用状況データ等のデータを管理する。
【0060】
図11は、実施形態に係るハンドリングシステムによる入荷処理を示すフローチャートである。
図11は、倉庫に入荷された物品が保管エリア40のコンテナに保管される際の処理フローの一例である。入荷作業は、作業エリア30、作業エリア30a、又はロボット作業エリアのいずれかの作業エリアで行われる。ステップS1-1では、作業エリアに、入荷される物品が持ち込まれる。作業員又はピッキングロボット300は、物品管理データを第一物品情報として読み取る。読み取られる物品管理データは、外箱のバーコード、商品番号、商品名、製造メーカ、荷主等を含む。また、外箱に物品管理データが記載されていない場合には、外箱が開梱され、保管される物品に記載された物品管理データが読み取られる。読み取りでは、作業員による処理端末36への入力、バーコードリーダ等のハンディ端末の利用、ピッキングロボット300のセンサによるバーコード読み取り、又は記載文字の光学的文字認識(OCR)などが行われる。読み取られた情報は、倉庫管理部91、機器実行制御部92、作業エリア制御部94、データベース管理部95を通してデータベースに保存される。
【0061】
ステップS1-2では、ステップS1-1で入力が完了しなかった第二物品情報が、計測又は入力される。第二物品情報は、物品管理データの一部、物品特性データなどを含む。物品特性データは、物品の外形サイズ、重量、光沢の有無などの表面素材に関する情報、物品の硬さ又は柔らかさ、変形するか否かといった情報、包装カテゴリの分類情報を含む。包装カテゴリは、例えば、箱、容器、パウチ、ブリスター、袋を含み、物品が何に包装されているかを示す。物品特性データは、取扱注意、ピッキングロボット300による処理禁止または処理可能などの、取扱いに関する情報をさらに含んでも良い。物品特性データは、データベースに保存されている。ステップS1-1で読み取られた物品管理データを、データベースに保存されたデータと照合し、既にデータベースに該当の物品特性データが存在する場合には、その物品特性データを利用する。データベースに物品特性データが存在しないか、不足がある場合には、計測等を行い、データベースへの登録を行う。計測は作業員が行っても良いし、画像センサ、重量計、専用の計測装置を用いることができる。専用の計測装置は、例えば、吸着機構又は挟み込み支持機構を有し、保持した物品の特性を計測する。ピッキングロボット300が把持動作を行ったり、画像認識処理を行ったりすることで、特性が計測されても良い。ピッキングロボット300による処理の可否などの情報は、入力された重量や分類情報などに基づき、機器実行制御部92に搭載された判定ソフトが自動的に判定することができる。
【0062】
ステップS1-3では、第1エリア10又は第2エリア20への棚の呼び出し指示が、指示装置90から搬送装置100へ送信される。呼び出し指示は、作業エリア30の処理端末36によってステップS1-2が完了したことを作業エリア制御部94が判定したり、ピッキングロボット300及び周辺機器が作業を完了したことを作業エリア制御部94が判定したら、自動的に送信される。このほか、作業員が処理端末36を使って、搬送装置100へ呼び出し指示を送信しても良い。この際、作業員は、必要なコンテナのサイズ及び数などを指定しても良い。
【0063】
ステップS1-4では、機器実行制御部92が、ステップS1-1~S1-3で入力された情報を元に、適切な保管場所を決定する。保管場所として、棚、コンテナの種類、コンテナの数、棚が設置されている位置、コンテナの位置などが決定される。
【0064】
ステップS1-5では、機器実行制御部92が、決定された保管場所に応じて、棚またはコンテナの搬送先を判定する。呼び出し先が作業エリア30又は30aに隣接する第1エリア10又は第2エリア20であった場合には、ステップS1-6に移行する。呼び出し先がロボット作業エリア60に隣接する第2エリア20であった場合には、ステップS1-9に移行する。
【0065】
ステップS1-6では、機器実行制御部92が、決定された保管場所に応じて棚の搬送先を判定する。保管場所が高段のコンテナでない場合には、ステップS1-7に移行する。保管場所が高段のコンテナである場合には、ステップS1-8に移行する。例えば、平均的な身長を基準として、人の手が届かない高さ、又は人の身長よりも上の高さが、「高段」として設定される。
【0066】
ステップS1-7では、機器実行制御部92は、搬送装置群制御部93に呼び出された作業エリア30に、ステップS1-4で決定された棚を搬送する指示を出す。次に、搬送装置群制御部93は、複数の搬送装置100の中から、適切な搬送装置100を選択し、棚の搬送指示を出す。搬送指示が送信される搬送装置100の選択方法は、任意である。例えば、動作可能であり、且つ該当の棚に近い搬送装置100が選択される。搬送指示を受けた搬送装置100は、保管エリア40に置かれた該当の棚に移動し、棚を持ち上げるか、棚の中のコンテナ又は物品を取り出す。そして、走行エリア50を走行し、指定された作業エリア30に隣接する第1エリア10に進入し、第1区画31に向けて棚を搬送する。
【0067】
ステップS1-8では、機器実行制御部92からの指示により、搬送装置100は、指定された棚を持ち上げるか、棚の中のコンテナを取り出す。搬送装置100は、指定された作業エリア30に隣接する第2エリア20に進入する。搬送装置100は、取出装置200が設置された第2区画32に向けて棚を搬送する。
【0068】
ステップS1-9では、機器実行制御部92からの指示により、搬送装置100は、指定された棚を持ち上げるか、棚の中のコンテナを取り出す。搬送装置100は、指定されたロボット作業エリア60に隣接する第2エリア20に進入する。搬送装置100は、取出装置200が設置された第2区画32に向けて棚を搬送する。
【0069】
ステップS1-10では、搬送された棚又はコンテナの指定された位置に、物品が収納される。実行される具体的な内容は、ステップS1-7~S1-9のどれが実行されたかによる。ステップS1-7の後は、作業エリア30の第1区画31で、作業員が、棚に設けられたコンテナに物品を収納する。作業員は、処理端末36又はハンディ端末を使って、物品を収納したコンテナのID、物品の数等を登録する。登録された情報は、倉庫管理部91とデータベース管理部95によって、棚管理データ、物品管理データ等として、データベースに保存される。作業員は、処理端末36又はハンディ端末を使って、作業の完了を倉庫管理部91に通知して、作業を完了する。
【0070】
ステップS1-8の後は、作業エリア30の第2区画32で、取出装置200が、搬送装置100によって搬送された棚から指定されたコンテナを取出す。作業員は、取り出されたコンテナに物品を収納する。作業員は、処理端末36又はハンディ端末を使って、物品を収納したコンテナのID、物品の数等を登録する。作業員は、処理端末36又はハンディ端末を使って、作業の完了を倉庫管理部91に通知して、作業を完了する。通知を受けると、作業エリア制御部94は、取出装置200に指示を送信する。取出装置200は、指示を受けると、コンテナを棚の元の位置に戻す。作業エリア制御部94はコンテナが戻されたことを確認したら、機器実行制御部92に結果を通知し、作業を完了する。
【0071】
ステップS1-9の後は、ロボット作業エリア60の第2区画32で、取出装置200が、搬送装置100によって搬送された棚から指定されたコンテナを取出す。ピッキングロボット300は、取り出されたコンテナに物品を収納する。ピッキングロボット300に付設されたセンサシステム400により、物品が収納されたコンテナのID、物品の数等が検出され、これらの情報が登録される。センサシステム400により作業の完了が検出されると、作業エリア制御部94は、取出装置200に指示を送信する。取出装置200は、指示を受けると、コンテナを棚の元の位置に戻す。作業エリア制御部94はコンテナが戻されたことを確認したら、機器実行制御部92に結果を通知し、作業を完了する。
【0072】
ステップS1-11では、機器実行制御部92が、物品の収納完了が確認された後、搬送装置群制御部93を通じて、搬送装置100に移動指示を出す。移動指示を受けた搬送装置100は、作業エリア30又はロボット作業エリア60から、保管エリア40の指定された位置に移動する。これにより、入荷された物品を収納した棚又はコンテナが、保管エリア40に搬送される。搬送が完了し、保管エリア40の指定された位置に物品が保管され、棚管理データがデータベースに正しく登録されていることが確認されたら、入荷処理は終了する。棚管理データは、保管された物品について、物品管理データ、物品特性データ、物品が保存された棚、物品の数などを含む。
【0073】
図12は、実施形態に係るハンドリングシステムによる保管場所の選択処理を示すフローチャートである。
機器実行制御部92は、入荷される物品の適切な保管場所を選択するために、
図12に示す処理を実行する。まず、ステップS2-1では、機器実行制御部92は、データベースから、棚管理データ、物品管理データ、物品特性データ等のデータを読み込み、適切な保管場所の選択を開始する。
【0074】
ステップS2-2では、機器実行制御部92は、取得したデータを用いて、対象物品がピッキングロボット300で取り扱い可能かどうかを判断する。次に、機器実行制御部92は、出荷頻度、同一の商品が既に保管されているかなどの情報を確認する。対象物品がピッキングロボットでの取り扱いが可能で、出荷頻度などがピッキングロボット300に適していると判断された場合には、ステップS2-4に移行する。対象物品はピッキングロボットでの取り扱いが適さないと判断された場合、ステップS2-3に移行する。既に同一の物品がピッキングロボット300に対応したコンテナに多数保管されており、作業員でも対応可能と判断された場合にも、ステップS2-3に移行する。また、ピッキングロボット300に対応した空コンテナが無い場合にも、ステップS2-3に移行する。
【0075】
ステップS2-3では、機器実行制御部92は、物品管理データの出荷頻度等を用いた判定を行う。対象物品の出荷頻度が高いと判断された場合には、ステップS2-5に移行する。対象物品の出荷頻度が高くないと判断された場合には、ステップS2-6に移行する。例えば、過去の出荷頻度は高くても、同一の商品が既に多数保管されており、今後そちらの物品が出荷されるために対象物品の出荷は高頻度にしなくても良い場合は、出荷頻度が高くないと判断される。また、空コンテナに関する付帯情報がある場合には、その情報に従って移行するステップが決定される。
【0076】
ステップS2-4では、機器実行制御部92は、対象物品を保管するコンテナ属性情報を、取出装置200に対応したコンテナに設定する。ここで、比較的出荷頻度が高い場合には、低・中段のコンテナを指定するフラグを立てる。低段又は中段は、高段よりも低い位置を指す。作業者は、低段又は中段のコンテナを、取出装置200を用いずに棚から取り出すことができる。
【0077】
ステップS2-5では、機器実行制御部92は、対象物品を保管するコンテナ属性情報を、低・中段のコンテナとする。ステップS2-6では、機器実行制御部92は、対象物品を保管するコンテナ属性情報を、高段のコンテナとする。ステップS2-7では、機器実行制御部92は、コンテナ属性情報とフラグ情報に合致する空コンテナがあるかを探索する。
【0078】
ステップS2-8では、機器実行制御部92は、指定されたコンテナ属性情報とフラグ情報に合致する空コンテナが有るか判断する。空コンテナが無い場合、機器実行制御部92は、空コンテナに関する付帯情報を付与して、ステップS2-2に移行する。この付帯情報は、指定された属性情報に合致する空コンテナが無いことを示す。1つ以上の空コンテナが有る場合は、ステップS2-9に移行する。
【0079】
ステップS2-9では、機器実行制御部92は、指定されたコンテナ属性情報とフラグ情報に合致する空コンテナが1つある場合には、そのコンテナを保管場所に選択する。合致する空コンテナが複数ある場合には、適切な空コンテナの選択を行う。この際、同一の棚のコンテナの棚管理データを活用し、同じ属性に、同時に出荷される可能性が高い物品がある棚を優先的に選択する。
【0080】
また、中段と高段など、異なる属性に同時に出荷される可能性の高い物品がある場合には、異なる棚を優先的に選択する。これは、同一の棚の異なる属性の段に、同時に出荷される物品を保管すると、その棚を第1エリア10と第2エリア20の順次搬送する必要が生じる。それらの物品を順番にしかハンドリングできず、同時に処理が出来なくなる。空コンテナについてさらに複数の選択肢がある場合には、出荷頻度の予測に応じて、出荷頻度の高いものは作業エリアに近い位置のコンテナを選択するなどの選択を行い、保管するコンテナを決定し、作業を完了する。
【0081】
以上の処理によって選択された保管場所・コンテナに、入荷した物品が収納される。「低・中段」は、第1位置の一例である。「高段」は、第2位置の一例である。高段のコンテナには、低・中段のコンテナに収納される物品よりも出荷頻度の低い物品(第2物品)が収納される。低・中段のコンテナには、高段のコンテナに収納される物品よりも出荷頻度の高い物品(第1物品)が収納される。
【0082】
図13は、実施形態に係るハンドリングシステムによる出荷処理を示すフローチャートである。
ステップS3-1では、倉庫管理部91が、顧客又は外部システムからの受注に応じた出荷リストを生成し、機器実行制御部92に出荷指示を出す。この出荷リストは、複数のタスクで構成されている。各タスクには、注文に対応した出荷先の情報、出荷先に紐づいた物品の指定、及び物品の数が含まれる。
【0083】
ステップS3-2では、作業エリア30又は30aで、作業の準備が行われる。作業の開始時間になると、作業員が整頓等の作業準備を終え、作業エリア30又は30aの用意を完了する。作業員は、処理端末36を通じで、作業エリア30又は30aの準備完了を機器実行制御部92に通知する。ロボット作業エリア60では、機器実行制御部92からの準備指示を受けると、作業エリア制御部94が各制御部の初期化等の準備処理を行う。処理が完了すると、該当する作業エリアに設置された端末、又はピッキングロボット制御部300cは、準備完了の通知を返信する。機器実行制御部92は、準備完了の通知を受けた作業エリアの管理状態を準備完了の状態に遷移して、処理を完了する。
【0084】
ステップS3-3では、機器実行制御部92は、倉庫管理部91から受けた出荷リストと各作業エリアの準備完了状況から、出荷リストの各タスクをどの作業エリアのどの区画で実施するかを決定する。例えば、タスクに含まれる物品がすべてピッキングロボット300での処理が可能な場合には、機器実行制御部92は、ピッキング作業をロボット作業エリア60で実施するように指定する。タスクに含まれる物品がすべて低段に保管されている物品である場合には、機器実行制御部92は、作業員の居る作業エリア30で優先的に処理を行うように指定する。高段に保管されている物品がタスクに含まれる場合には、機器実行制御部92は、取出装置200の設置された作業エリア30でピッキング作業を実施するように指定する。
【0085】
ステップS3-4では、指定内容に従って、機器実行制御部92は、搬送装置群制御部93に動作指示を開始する。ロボット作業エリア60が指定された場合には、搬送装置群制御部93は、作業を受付可能な状態のロボット作業エリア60があるか確認する。受付可能な状態のロボット作業エリア60が複数ある場合には、搬送装置群制御部93は、待機区画に待機している搬送装置100の数が少ないロボット作業エリア60を優先的に選択する。搬送装置群制御部93は、選択したロボット作業エリア60に隣接する第2エリア20に、棚の搬送指示を出す。この際、出荷される物品と同じ物品が複数のコンテナに保管されている場合には、作業エリアに最も近いコンテナが選択される。作業が行われるロボット作業エリア60が決定されると、ステップS3-6に移行する。指定された作業エリアが、ロボット作業エリア60でない場合、ステップS3-5に移行する。また、指定された作業エリアがロボット作業エリア60であっても、すべてのロボット作業エリア60が受付不可である場合には、ステップS3-5に移行する。受付不可とは、既にすべてのロボット作業エリア60で作業が実行中であり、搬送装置100が待機できる場所がない状態などを指す。別の種類の作業エリアでの作業が困難な場合には、一定期間待機を行ってから、再び判定を実施する。
【0086】
ステップS3-5では、指定された作業エリア30が、取出装置200の設置された作業エリア30である場合には、搬送装置群制御部93は、現在の同種の作業エリア30から、作業を受付可能な状態の作業エリア30があるかを確認する。さらに、タスクに含まれる物品が複数あるなど、複数の棚が搬送される場合には、搬送装置群制御部93は、搬送される棚の数、それぞれの物品が保管された高さ(高段又は低・中段)を確認する。受付可能な状態の作業エリア30が複数ある場合には、搬送装置群制御部93は、待機区画に待機している搬送装置100の数が少ない作業エリア30、又は利用可能な区画の多い作業エリア30を優先的に選択する。利用可能な区画とは、ピッキング作業が行われていない第1区画31又は第2区画32を指す。搬送装置群制御部93は、選択した作業エリア30の第1区画31又は第2区画32に棚の搬送指示を出す。低中段からのピッキングが行われる棚は、取出装置200のない第1区画31への搬送が決定される。高段からのピッキングが行われる棚は、取出装置200の設置された第2区画32への搬送が決定される。選択された作業エリア30の特定の区画へ、棚の搬送指示が出される。この際、作業される物品と同一の物品が複数のコンテナに保管されている場合には、作業エリア30に最も近い棚が選択される。第1区画31への搬送が指示された場合には、ステップS3-7へ移行し、第2区画32への搬送が指示された場合には、ステップS3-8へ移行する。
【0087】
ステップS3-6では、搬送装置群制御部93が、指定された棚を指定されたロボット作業エリア60に搬送するための実行指示を搬送装置制御部100cに指示し、搬送装置100に棚を搬送させる。この際、搬送装置群制御部93は、複数の搬送装置100の中から、次に動作が可能な搬送装置100を確認し、もっとも移動時間が短いと予想される搬送装置100を優先的に選択し、その搬送装置100へ指示を送信する。搬送の指示を受けた搬送装置100は、指定された棚を指定されたピッキングロボット300のロボット作業エリア60に搬送する。
【0088】
同様に、ステップS3-7では、搬送装置群制御部93が、搬送装置100に搬送を指示する。搬送の指示を受けた搬送装置100は、指定された棚を指定された作業エリア30に向けて搬送する。
【0089】
ステップS3-8では、搬送装置群制御部93が、同様に搬送装置100に搬送を指示する。搬送の指示を受けた搬送装置100は、指定された棚を取出装置200が設置された作業エリア30に向けて搬送する。
【0090】
ステップS3-9では、到着した棚から作業員が指定の物品のピッキング作業を行う。作業員は、処理端末36の表示から、物品、物品が保管されたコンテナの位置、及び出荷数を確認し、コンテナから必要な数の物品を出荷箱35に移し替える。作業員は、物品の種類、数、コンテナ、出荷箱のそれぞれの確認を、ハンディ端末のバーコードリーダ等で行う。作業員は、作業完了を作業エリア制御部94に通知して作業を完了する。
【0091】
ステップS3-10では、ピッキングロボット300がピッキング作業を実施する。搬送装置100による棚の搬送が完了すると、作業エリア制御部94の指示で、取出装置200は指定のコンテナを取出し、ピッキング作業が可能な高さにコンテナを移動する。ピッキングロボット300は、コンテナの移動完了指示を受けると、コンテナを撮影し、物品の状態を認識する。ピッキングロボット300は、マニピュレータの動作計画を自律的に計算する。ピッキングロボット300は、マニピュレータを用いて物品を把持し、指定された出荷箱35に物品を収納する。ピッキングロボット300は、指定された個数の物品を収納したら、処理の完了を作業エリア制御部94に通知し、作業を完了する。
【0092】
ステップS3-11では、作業エリア30に到着した棚から作業員が指定の物品のピッキング作業を行う。作業員は、処理端末36の表示から、物品、物品が保管されたコンテナの位置、及び出荷数を確認する。取出装置200のある第2区画32に棚が搬送されると、作業員は、取出装置200の動作を待つ。作業エリア制御部94は、指定された第2区画32に対応する作業区画に搬送装置100が停止したことを確認したら、取出装置200に指定のコンテナを取り出す指示を出す。取出装置200は、指定されたコンテナを取出し、ピッキング作業が可能な高さにコンテナを移動する。作業員は、処理端末36の表示又は警告音等で、コンテナが所定の高さに移動したことを確認したら、そのコンテナから必要な物品のピッキングと出荷箱への収納を行う。作業員は、物品の種類、数、コンテナ、出荷箱のそれぞれの確認を、ハンディ端末のバーコードリーダ等で行う。作業員は、取出装置200を制御し、コンテナを棚に戻して、作業完了を作業エリア制御部94に通知して作業を完了する。作業エリア制御部94は、作業員の作業完了通知と、取出装置200がコンテナを棚に戻したことを確認し、ピッキング作業完了の状態に遷移する。
【0093】
ステップS3-12では、全ての指定された物品が収められた出荷箱を、必要に応じて出荷場所に移動する。ステップS3-13では、ピッキング作業の完了を確認したら、搬送装置100は、棚を、保管エリア40に搬送して戻す。
【0094】
図14は、参考例に係るハンドリングシステムの作業エリア周辺のレイアウトを示す模式図である。
図14に係るハンドリングシステム1rでは、1つの第2エリア20と1つの作業エリア30rとが互いに隣り合っている。作業エリア30rには、第2エリア20に隣接して第1区画31及び第2区画32が設けられている。
【0095】
図15は、実施形態に係るハンドリングシステムに関するタイミングチャートである。
図15では、
図2に示すレイアウトでピッキング作業が実行されたときのタイミングチャートが示されている。まず、搬送装置100が、待機区
画である区画gから作業区画である区画fに進入する。5秒後に、第1区画31でピッキング作業が開始される。これらの処理と並行して、別の搬送装置100が、待機区画である区画kから作業区画である区画jに進入する。5秒後に、取出装置200によって、搬送された棚からコンテナが取り出される。
【0096】
作業員は、5秒~15秒の間、第1区画31でピッキング作業を行う。第1区画31でのピッキング作業が完了した後、搬送装置100は、区画fから区画eに向けて退出する。続いて、次の搬送装置100が、区画gから区画fに進入する。第1エリア10で搬送装置100が移動している15秒~25秒の間、作業員は、第2区画32でピッキング作業を行う。
【0097】
第2区画32でのピッキング作業が完了すると、取出装置200は、コンテナを棚に戻す。棚が戻された搬送装置100は、区画jから区画iに向けて退出する。続いて、次の搬送装置100が、区画kから区画jに進入する。作業員は、第2区画32でのピッキング作業の後の25秒~35秒の間、第1区画31でピッキング作業を行う。
【0098】
以降は、同様の動作が繰り返される。この例では、75秒までの間に、第1区画31で4回ピッキング作業が行われ、第2区画32で2回ピッキング作業が行われる。
【0099】
このように、実施形態に係るハンドリングシステム1では、第1区画31及び第2区画32にそれぞれ対応して第1エリア10及び第2エリア20が設けられるため、搬送装置100の移動タイミングに対する制約が少ない。また、より時間の掛る第2区画32でのピッキング作業の頻度を、第1区画31でのピッキング作業の頻度よりも減らすことで、ピッキング作業を連続して行うことが可能である。物品の入荷時に、出荷頻度情報を利用して保管場所を決定することで、第1区画31及び第2区画32でのピッキング作業の頻度を調整できる。
【0100】
また、実施形態に係るハンドリングシステム1では、搬送装置100の移動時間、コンテナ取出しの時間などに余裕が生まれる。このため、棚がさらに高くなり、搬送装置100の移動速度が遅くなった場合、又はコンテナの取出しに要する時間が長くなった場合でも、ピッキング作業の効率低下を抑制できる。
【0101】
図16は、実施形態に係るハンドリングシステムに関する別のタイミングチャートである。
図16は、
図15に示すタイムチャートに比べて、コンテナの取出しに要する時間が2倍になった例を示す。
図15と
図16の比較から分かるように、コンテナの取出しに要する時間が長くなった場合でも、作業員はコンテナの取出し中に第1区画31で作業することで、ピッキング作業を連続して行うことが可能である。
図16に示す例では、75秒の間に、
図15に示す例と同じ回数のピッキング作業を実行できる。
【0102】
図17は、参考例に係るハンドリングシステムに関するタイミングチャートである。
図17では、
図14に示すレイアウトでピッキング作業が実行されたときのタイミングチャートが示されている。まず、搬送装置100が、区画gから区画fに進入する。5秒後に、第1区画31でピッキング作業が開始される。区画gが空くと、次の搬送装置100が区画hから区画gに進入する。10秒後から、取出装置200によるコンテナの取出しが開始される。コンテナの取出しが完了すると、作業員は、第2区画32でピッキング作業を開始する。ピッキング作業の間、他の搬送装置100は、区画gを通って区画fに移動することができない。このため、次の棚を区画fに搬送できるのは45秒過ぎとなる。この例では、75秒までの間に、第1区画31で2回ピッキング作業が行われ、第2区画32で2回ピッキング作業が行われる。このように、1つのエリアに隣接してピッキング作業のための区画が複数設定される場合、ピッキング作業の効率は大きく低下する。
【0103】
図18は、実施形態に係るハンドリングシステムの作業エリア周辺の他のレイアウトを示す模式図である。
図18に示すように、複数の作業エリア30が設けられる場合、互いに隣接する第1エリア10と第2エリア20には、共通の進入ライン15が設定されても良い。第1エリア10は、進入ライン15の少なくとも一部及び退出ライン12で構成される。第2エリア20は、進入ライン15の少なくとも一部及び退出ライン22で構成される。進入ライン15は、第1エリア10と第2エリア20との間に位置する。第1エリア10の退出ライン12は、第1エリア10と進入ライン15との間に位置する。第2エリア20の退出ライン22は、第2エリア20と進入ライン15との間に位置する。進入ライン15に進入した搬送装置100は、指定された第1区画31又は第2区画32に向けて、退出ライン12又は退出ライン22へ移動する。
【0104】
このように、隣り合う作業エリア30の間で、進入ラインを共通化することで、第1エリア10及び第2エリア20の面積を小さくできる。例えば、第1エリア10及び第2エリア20の面積を小さくした分、保管エリア40の面積を大きくし、倉庫での保管効率をさらに高めることができる。
【0105】
図18に示す例では、第1区画31に対する進入ラインは区画e、f、g、h、m、kを含み、第1区画31に対する退出ライン12は区画iを含む。また、第2区画32に対する進入ラインは区画e、f、g、h、d、cを含み、第2区画32に対する退出ライン22は区画aを含む。区画e、f、g、hは、第1区画31と第2区画32の進入ラインの共通部分である。
【0106】
また、第1エリア10の区画k及びmが、待機区画に設定されている。第2エリア20の区画cが、待機区画に設定されている。すなわち、第1エリア10に設定された待機区画の数が、第2エリア20に設定された待機区画の数よりも多い。
【0107】
さらに、共用の進入ライン15において、区画fは、第1区画31に向けて移動する搬送装置100に対しては、待機区画として設定され、第2区画32に向けて移動する搬送装置100に対しては、一時停止区画として設定される。区画e及び区画gは、全ての搬送装置100に対して、一時停止区画として設定される。区画hは、全ての搬送装置100に対して、待機区画且つ回転区画として設定される。
【0108】
このように、
図18に示す例では、第1エリア10に設定された待機区画の数が、第2エリア20に設定された待機区画の数よりも多い。ピッキング作業がより早く実行される第1エリア10に、より多くの待機区画が設定されることで、ピッキング作業をより確実に連続的に実行することが可能となる。
【0109】
区画dは、第2区画32に向けて移動する搬送装置100に対して、一時停止区画として設定される。区画hで搬送装置100が棚を回転させる際に、棚が周辺の区画にはみ出すため、区画g、d、mの3つの区画すべてが空いている必要がある。区画dが、一時停止区画であれば、ほとんどの時間で区画dと区画gは空いている。区画mに待機した搬送装置100が次の区画へ移動すれば、区画hの搬送装置100は、回転し、次の区画mに移動できる。例えば、第1区画31へ途切れることなく棚を搬送することができる。
【0110】
第2区画32での処理は、第1区画31での処理に比べて遅い。区画dが待機区画として設定される場合、区画dに搬送装置100が滞留し、第1区画31に向けて移動している搬送装置100が区画hで回転をするのを妨げる可能性がある。すなわち、区画dを待機区画とすると、処理の遅い第2区画32の影響で、第1区画31への搬送装置100の待機時間が長くなり、処理の効率が低下する。一方、第1区画31での処理は比較的速く、区画mで搬送装置100が留まる時間は短い。このため、区画dを一時停止区画とし、搬送装置100の滞留が抑制されれば、第1区画31での連続した処理が可能となる。このように、回転区画に隣接する区画を第1エリア10と第2エリア20で異なる機能の区画に設定することは、処理効率の向上に効果的である。
【0111】
上述した例では、区画fは、第1区画31に向けて移動する搬送装置100に対してのみ、待機区画として設定されていた。区画fは、第2区画32に向けて移動する搬送装置100に対しても、待機区画として設定されても良い。いずれの場合においても、第1エリア10に設定された待機区画の数は、第2エリア20に設定された待機区画の数よりも多い。
図18のレイアウトでは、少なくとも区画fが空いている場合に、第1区画31は受付可能となり、少なくとも区画fと区画hが空いている場合に、第2区画32は受付可能となる。
【0112】
図19は、実施形態に係るハンドリングシステムのロボット作業エリア周辺のレイアウトを示す模式図である。
図20(a)及び
図20(b)は、参考例に係るハンドリングシステムのロボット作業エリア周辺のレイアウトを示す模式図である。
図19のレイアウトでは、ロボット作業エリア60を挟んで、2つの第2エリア20が互いに対向する。それぞれの第2エリア20に隣接して、第2区画32が設けられている。
図20(a)及び
図20(b)のレイアウトでは、1つの第2エリア20とロボット作業エリア60rが互いに隣り合っている。1つの第2エリア20に隣接して、複数の第2区画32が設定されている。
【0113】
図19のレイアウトでは、第2区画32同士の間にピッキングロボット300を配置することで、第2区画32と出荷箱35を近づけることができる。ピッキングロボット300が物品を出荷箱35に収納する際、ピッキングロボット300のマニピュレータの動作距離を短くできる。また、取出装置200と出荷箱35とをそれぞれ第2区画32の反対側に設けることで、マニピュレータが、取出装置200と干渉せずに円弧状に動作できる。これにより、ピッキングロボット300の動作速度を高めることができる。
【0114】
図20(a)のレイアウトでは、取出装置200が障害物となり、マニピュレータは円弧状の軌道で動作出来ず、ピッキングロボット300の動作速度が遅くなる。
図20(b)のレイアウトでは、マニピュレータが円弧状に動作可能であるが、第2区画32と出荷箱35の間にピッキングロボット300が配置される。第2区画32と出荷箱35の距離が長くなり、マニピュレータの動作距離が長くなる。この結果、ピッキング作業に要する時間が延びる。
【0115】
このように、第2区画32を互いに対向する第2エリア20に隣接して設定することで、ピッキングロボット300の処理速度を高めることが可能となる。加えて、ハンドリングシステム1では、
図1に示すように、ロボット作業エリア60に対する2つの第2エリア20の位置関係を、作業エリア30に対する第1エリア10及び第2エリア20の位置関係と同じにしている。このため、機器実行制御部92による制御の統一化が容易である。
【0116】
図21は、ハードウェア構成を表す模式図である。
指示装置90は、例えば
図21に表したハードウェア構成を有する。
図21に表したコンピュータ500は、CPU501、ROM502、RAM503、記憶装置504、入力インタフェース505、出力インタフェース506、及び通信インタフェース507を含む。
【0117】
ROM502は、コンピュータ500の動作を制御するプログラムを格納している。ROM502には、上述した各処理をコンピュータ500に実現させるために必要なプログラムが格納されている。RAM503は、ROM502に格納されたプログラムが展開される記憶領域として機能する。
【0118】
CPU501は、処理回路を含む。CPU501は、RAM503をワークメモリとして、ROM502又は記憶装置504の少なくともいずれかに記憶されたプログラムを実行する。プログラムの実行中、CPU501は、システムバス508を介して各構成を制御し、種々の処理を実行する。
【0119】
記憶装置504は、プログラムの実行に必要なデータや、プログラムの実行によって得られたデータを記憶する。
【0120】
入力インタフェース(I/F)505は、コンピュータ500と入力装置505aとを接続する。入力I/F505は、例えば、USB等のシリアルバスインタフェースである。CPU501は、入力I/F505を介して、入力装置505aから各種データを読み込むことができる。
【0121】
出力インタフェース(I/F)506は、コンピュータ500と出力装置506aとを接続する。出力I/F506は、例えば、Digital Visual Interface(DVI)やHigh-Definition Multimedia Interface(HDMI(登録商標))等の映像出力インタフェースである。CPU501は、出力I/F506を介して、出力装置506aにデータを送信し、出力装置506aにデータを出力させることができる。
【0122】
通信インタフェース(I/F)507は、コンピュータ500外部のサーバ507aと、コンピュータ500と、を接続する。通信I/F507は、例えば、LANカード等のネットワークカードである。CPU501は、通信I/F507を介して、サーバ507aから各種データを読み込むことができる。
【0123】
記憶装置504は、Hard Disk Drive(HDD)及びSolid State Drive(SSD)から選択される1つ以上を含む。入力装置505aは、マウス、キーボード、マイク(音声入力)、及びタッチパッドから選択される1つ以上を含む。出力装置506aは、モニタ、及びプロジェクタ、及びプリンタから選択される1つ以上を含む。タッチパネルのように、入力装置505aと出力装置506aの両方の機能を備えた機器が用いられても良い。
【0124】
以上で説明した、指示装置、ハンドリングシステム、又はハンドリング方法によれば、ハンドリングの効率低下を抑制しつつ、搬送装置の高い位置の物品を作業員と受け渡しできる。また、コンピュータを、指示装置として動作させるためのプログラムを用いることで、同様の効果を得ることができる。
【0125】
上記の種々のデータの処理は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、磁気ディスク(フレキシブルディスク及びハードディスクなど)、光ディスク(CD-ROM、CD-R、CD-RW、DVD-ROM、DVD±R、DVD±RWなど)、半導体メモリ、又は、他の非一時的なコンピュータで読取可能な記録媒体(non-transitory computer-readable storage medium)に記録されても良い。
【0126】
例えば、記録媒体に記録された情報は、コンピュータ(または組み込みシステム)により読み出されることが可能である。記録媒体において、記録形式(記憶形式)は任意である。例えば、コンピュータは、記録媒体からプログラムを読み出し、このプログラムに基づいてプログラムに記述されている指示をCPUで実行させる。コンピュータにおいて、プログラムの取得(または読み出し)は、ネットワークを通じて行われても良い。
【0127】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。