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  • 特許-ソーラシステムの保守方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-10-07
(45)【発行日】2025-10-16
(54)【発明の名称】ソーラシステムの保守方法
(51)【国際特許分類】
   B63B 35/00 20200101AFI20251008BHJP
   B64U 10/13 20230101ALI20251008BHJP
   B64U 20/87 20230101ALI20251008BHJP
   B64C 13/18 20060101ALI20251008BHJP
   B64C 27/04 20060101ALI20251008BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20251008BHJP
   B64D 47/08 20060101ALI20251008BHJP
   H02S 10/40 20140101ALI20251008BHJP
   H02S 50/00 20140101ALI20251008BHJP
   B64U 101/26 20230101ALN20251008BHJP
【FI】
B63B35/00 T
B64U10/13
B64U20/87
B64C13/18 Z
B64C27/04
B64C39/02
B64D47/08
H02S10/40
H02S50/00
B64U101:26
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021161332
(22)【出願日】2021-09-30
(65)【公開番号】P2023050949
(43)【公開日】2023-04-11
【審査請求日】2024-07-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 亮平
(72)【発明者】
【氏名】横井 慎司
(72)【発明者】
【氏名】加藤 孝幸
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2019-0049330(KR,A)
【文献】特開2020-129858(JP,A)
【文献】特開2019-009919(JP,A)
【文献】特開2018-074757(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 35/00
B64U 10/13
B64U 20/87
B64C 13/18
B64C 27/04
B64C 39/02
B64D 47/08
H02S 10/40
H02S 50/00
B64U 101/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソーラシステムの保守方法であって、
前記ソーラシステム内において、非接触の近距離情報読取りが可能な情報保持部が各々のソーラパネルに対応付けて設けられ、
ドローンで、前記情報保持部に対して前記非接触の近距離情報読取りを行うことで前記ソーラシステムの保守点検を行い、
前記方法は、点検工程を備え、
前記点検工程は、前記ドローンで撮像したソーラパネルを異常ソーラパネルとして検出した場合には、当該ソーラパネルに対応付けられた前記情報保持部に前記ドローンが接近して読取りをすることで当該異常ソーラパネルの位置特定を行うものである、保守方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記情報保持部が保持する情報は、前記情報保持部が対応付けられているソーラパネルの固有の識別情報を含む、方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の方法であって、
前記ソーラシステムは水上に設置される、方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の方法であって、
前記各々のソーラパネルの位置を規定した発電所マップに、前記情報保持部から読み取った情報に基づいて異常ソーラパネルの位置を書き込む、方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の方法であって、
前記方法は、移動工程をさらに備え
前記移動工程は、前記ドローンが前記各々のソーラパネル上を所定ルートで順次移動するものであり、
前記点検工程は、前記移動工程中に、前記ドローンで撮像したソーラパネルを異常ソーラパネルとして検出した場合には、当該ソーラパネルに対応付けられた前記情報保持部に前記ドローンが接近して読取りをすることで当該異常ソーラパネルの位置特定を行うものである、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、
前記点検工程では、前記移動工程中に、前記ドローンで撮像したソーラパネルを異常ソーラパネルとして検出しない場合には、前記ドローンは当該ソーラパネルに対応付けられた前記情報保持部の読取りをしない、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソーラシステムの保守方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ソーラシステムにRFIDタグを設置する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-028633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ソーラシステムでは、例えば設置面積が広大であったり、作業者のアクセスが容易ではなかったり、或いはソーラパネル枚数が多かったりする等の種々の理由で、保守作業の負担が増大しやすい問題があった。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、ソーラシステムの保守点検を容易に行うことができるソーラシステムの保守方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、ソーラシステムの保守方法であって、前記ソーラシステム内において、非接触の近距離情報読取りが可能な情報保持部が各々のソーラパネルに対応付けて設けられ、ドローンで、前記情報保持部に対して前記非接触の近距離情報読取りを行うことで前記ソーラシステムの保守点検を行う、保守方法が提供される。
【0007】
本発明では、ドローンを活用してソーラシステムの保守点検を容易に行うことができる。
【0008】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記ソーラシステムは水上に設置される。
好ましくは、前記ドローンが前記情報保持部から読み取った情報に基づき前記各々のソーラパネルの位置情報を取得する。
好ましくは、前記ドローンがカメラを持ち、前記カメラの撮像データに基づき前記各々のソーラパネルを点検する。
好ましくは、前記各々のソーラパネルの位置を規定した発電所マップに、前記情報保持部から読み取った情報に基づいて異常ソーラパネルの位置を書き込む。
好ましくは、前記保守方法は、移動工程と点検工程とを有し、前記移動工程は、前記ドローンが前記各々のソーラパネル上を所定ルートで順次移動するものであり、前記点検工程は、前記移動工程中に、前記ドローンで撮像したソーラパネルを異常ソーラパネルとして検出しない場合には、前記ドローンは当該ソーラパネルに対応付けられた前記情報保持部の読取りをせず、前記移動工程中に、前記ドローンで撮像したソーラパネルを異常ソーラパネルとして検出した場合には、当該ソーラパネルに対応付けられた前記情報保持部に前記ドローンが接近して読取りをすることで当該異常ソーラパネルの位置特定を行うものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ソーラシステムおよびドローンの一例を示す図である。
図2】フロートの一例を模式的に示した図である。
図3】フロートの連結構造の一例を示す平面図である。
図4】ソーラシステムの保守システムの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴事項について独立して発明が成立する。
【0011】
<1.実施の形態のソーラシステムの構成>
(1-1.ソーラフロートシステム)
図1に例示されるソーラシステム1は、一例として水上に設けられるソーラフロートシステムである。ソーラシステム1は、複数のフロート10と、各フロート10で支持されるソーラパネル50とを備える。図1では7列6行のソーラパネル50が例示されていて、当該ソーラパネル50を各フロート10が支持しているが、これは一例に過ぎない。実際には任意個数(例えば数十~数百枚でもよく、数千~数万枚でもよく、或いはそれ以上でもよい)のソーラパネル50とこれに応じた個数のフロート10が設けられてもよい。なお実施の形態では、一例としてソーラシステム1の外周にソーラシステムを支持しないフロート10が設けられている。
【0012】
なお、図1にはドローン100も記載されている。ドローン100の構成等は後ほど説明する。
【0013】
図2には、フロート10の一例が図示される。概要を述べると、フロート10は、ソーラパネル用の樹脂製フロートである。フロート10を用いて、例えば池や湖等の水上にソーラパネル50を設置することができる。ソーラパネル50がフロート10で支持される際には、長方形状のソーラパネル50が、その一方の長辺から他方の長辺へ向かって傾斜配置される。フロート10は、その内部に中空構造を有する。中空構造に気体(空気等)が注入されることで、浮力が発生する。
【0014】
図2の斜視図には、一つのフロート10にソーラパネル50を設置した様子が図示される。以下、フロート10における「ソーラパネル50の設置側」を上側と呼び、フロート10の水面側を下側と呼ぶことがある。ソーラパネル50等の部材との関係で上下方向を表すときも、水面側を下側と呼び、上空を向く側を上側と呼ぶことがある。
【0015】
詳細構造を述べると、図2に例示されるフロート10は、支持部11と受け部12と固定金具13と固定金具14とを備えており、これらの各部でソーラパネル50を支持することができる。フロート10の前方(Front)側には第1端部10aが設けられ、その逆の後方(Rear)側には第2端部10b(図3参照)が設けられる。図2は、支持部11が立ち上げられた状態を示す。なお、立ち上がらない状態では、支持部11は、後述の図3のように収納状態(倒れている状態)となる。図2の支持部11は、前方(Front)側を向く面11aを持つ。面11aに指挿入凹部91が設けられている。固定金具13は、一例として金属製であり、挟持部13aと、固定部材13bと、ネジ13cとを備える。更に、フロート10は、係合突起部61と、連結ボルト62と、ボルト孔62aと、ボルト孔62bとを備える。
【0016】
ソーラパネル50は、その表面にガラス部分50aを備える。ガラス部分50aを取り囲むように外枠が設けられる。ソーラパネル50のパネル内部構造等に限定はない。図2では、ソーラパネル50の外枠における前方(Front)側の一端部51と後方(Rear)側の他端部52とが図示されている。
【0017】
図3は、フロート10の連結構造の一例を示す平面図である。図3の平面図には、例としてソーラパネル50を支持していない状態のフロート10が図示される。連結構造として通路ジョイント60が例示される。フロート10は単体で使用されるのではなく、多数のフロート10が通路ジョイント60で連結されて集合フロート部(図1のソーラシステム1)を構成する。なお図3にはフロート10の表面壁16が現れており、支持部11の両端にストッパ部90が設けられる。
【0018】
通路ジョイント60は、一端60aと他端60bとボルト孔63とを備える。連結ボルト62が各ボルト孔62a、62b、63に挿通されることで、図3のW方向に並ぶ複数のフロート10が通路ジョイント60を介して接続される。通路ジョイント60は、メンテナンス等を行うときに作業者の足場(通路)となる。
【0019】
(1-2.情報保持部)
実施の形態では、ソーラシステム1内において、情報保持部120が各々のソーラパネル50に対応付けて設けられている。各々の情報保持部120は、固有の識別情報(識別ID)を記憶している。情報保持部120は、非接触の近距離情報読取りが可能な任意の物体である。「非接触の近距離読取り技術」は、例えば任意の「非接触型電子情報読取り技術」でもよく、或いは任意の「非接触型光学情報読取り技術」でもよい。例えば電子情報読取り技術を利用する場合、情報保持部120は、RFIDタグでもよく、あるいは近距離無線通信回路素子でもよい。近距離無線通信規格としてBluetooth(登録商標)等が利用されてもよい。
【0020】
更に他の例として、情報保持部120は、無線通信素子を持つ任意の物理センサでもよい。無線通信素子を用いて物理センサがドローン100と通信可能に構築されてもよい。物理センサの具体的構造に限定はない。物理センサは、ソーラパネル50の電気的情報を読み取るものでもよく、ソーラパネル50の任意箇所の温度を検知してもよく、あるいはソーラパネル50の付近の気温推移等を記録するものでもよい。光学情報読取り技術を利用する場合、情報保持部120は、任意の識別数値ラベル、識別情報を付与されたバーコードや二次元バーコード等の各種識別コードであってもよい。
【0021】
実施の形態では、一例として、フロート10の上側表面であって第1端部10aの側におけるZ方向(図2参照)の中央部に、情報保持部120が設けられている。この位置は、ソーラパネル50における一端部51の中央位置の直下でもある。通路ジョイント60の干渉を避け、ドローン100が接近しやすい利点がある。
【0022】
(1-3.ドローン)
図1に例示したドローン100は、各ソーラパネル50の上を飛行する。ドローン100は、制御ユニット102を備えている。制御ユニット102は、カメラおよび非接触読取装置を備えている。ドローン100の基本構造には各種公知の構造を適用できるので、詳細説明は省略する。
【0023】
制御ユニット102のカメラは、ソーラパネル50を撮像することができる。カメラの具体的構造に限定はないが、赤外線カメラ(サーモカメラ)を用いれば赤外線検出によるソーラパネル50の異常発熱検出等が可能となる。他の例として、制御ユニット102のカメラは、光学カメラつまり静止画又は動画を撮像するデジタルカメラであってもよい。これによりソーラパネル50の表面のガラス割れやガラス変質等の異常を検出してもよい。
【0024】
制御ユニット102の非接触読取装置は、情報保持部120への非接触近距離情報読取りを行うための装置である。非接触読取装置の具体的構成は、情報保持部120の構成によって決まる。例えば情報保持部120がRFIDタグであればRFIDリーダが用いられ、例えば情報保持部120が近距離無線通信回路素子であれば同じ規格の通信素子が用いられる。例えば情報保持部120が光学情報読取り技術で読み取られる場合は画像認識機能を持つ撮像カメラでもよく、この場合ソーラパネル50を撮像するカメラと兼用されてもよい。
【0025】
<2.実施の形態の保守方法>
実施の形態では、ドローン100で、情報保持部120に対して非接触の近距離情報読取りを行うことでソーラシステム1の保守点検を行う。例えば情報保持部120がRFIDタグである場合、ドローン100がある程度情報保持部120に接近することが好ましく、例えば図2の一点鎖線円の領域Cにドローン100ができるだけ接近することが好ましい。
【0026】
保守方法の一例として、ドローン100が、情報保持部120から読み取った情報に基づき各々のソーラパネル50の位置情報を取得してもよい。位置情報とともにフロート10の個数も取得することもできる。取得した情報に基づきソーラシステム1が正規の位置や個数を保っているかが監視されてもよい。なお、ドローン100が取得した位置情報が、GPSその他の衛星測位システムから提供される位置情報と紐付けられてもよい。特にソーラシステム1は水上発電であるため、フロート10は波や風によって動くことがあり、或いは、発電効率を向上させるために太陽を追尾させるように構築されることもある。ドローン100を自動運転させて検査を行う場合に、フロート10が移動するとソーラパネル50の位置もずれてしまうので、検査の障害となりうる。そこで、情報保持部120の読み取りを行うことでフロート10全体における現在地をドローン100が認識できるようにし、その現在地情報等に基づいてドローン100の飛行経路を適宜修正してもよい。
【0027】
保守方法の一例として、ドローン100は、カメラの撮像データに基づきソーラパネル50を点検してもよく、これにより異常ソーラパネルを検出してもよい。異常ソーラパネルの検出は、一例として赤外線カメラを用いることで異常温度(例えば異常発熱)を検出するものでもよい。他の例として、光学カメラつまり静止画又は動画を撮像するデジタルカメラを用いることで、ソーラパネル50の表面のガラス割れやガラス変質等の異常を検出するものでもよい。
【0028】
ドローン100が、上記の位置情報検出と異常ソーラパネル検出とを並行して行ってもよい。これにより異常ソーラパネルを検出したときにその位置情報を特定してもよく、保守作業員にとって作業時の利便性が高まる。
【0029】
保守方法の一例として、保守方法は、移動工程と点検工程とを有してもよい。移動工程は、ドローン100が各々のソーラパネル50上を所定ルートで順次移動するものでもよい。なおドローン100を所定ルートで移動させる場合、手動操縦でもよいが、これに限られず例えばドローン100のGPSセンサと発電所マップ等とに基づき設定される自動操縦でもよい。点検工程は、次に述べる第1ステップと第2ステップとを選択的に実施するもでもよい。第1ステップは、移動工程中に、ドローン100で撮像したソーラパネル50を異常ソーラパネルとして検出しない場合には、ドローン100は当該ソーラパネル50について非接触の近距離情報読取りをしないというものである。第2ステップは、移動工程中に、ドローン100で撮像したソーラパネル50を異常ソーラパネルとして検出した場合には、当該異常ソーラパネルに対応する情報保持部120にドローン100が接近して非接触の近距離情報読取りをすることで当該異常ソーラパネルの位置特定を行うものである。これにより異常ソーラパネルに絞って情報保持部120の読取りを行うことができる利点がある。第2ステップでドローン100が情報保持部120に近づく接近動作は手動操縦でもよく自動操縦でもよい。
【0030】
保守方法の一例として、情報保持部120が無線通信素子付きの物理センサを含む場合に、この物理センサが蓄積したセンサ値をドローン100が読み出してもよい。読み出したセンサ値がソーラパネル50の故障原因等の解析に用いられてもよい。
【0031】
保守方法の一例として、図4に示すような中央保守システム200が設けられていてもよい。中央保守システム200は、任意のサーバ装置であり、例えばクラウドサーバ等でもよい。中央保守システム200は、演算処理部と記憶部と通信部と入力操作部とモニタとを備える。中央保守システム200は通信回線202を介してドローン100と接続している。保守作業員は、中央保守システム200を利用して、ドローン100からの情報に基づきソーラシステム1の状態を監視することができる。
【0032】
中央保守システム200は、発電所マップ210を記憶している。発電所マップ210の各セル212には、各々のフロート10の位置(つまりソーラパネル50の位置)が設定されている。保守方法の一例として、ドローン100がカメラで異常ソーラパネルを検出したときに、そのソーラパネル50を支持するフロート10の情報保持部120を読取り、異常ソーラパネルの位置情報を発電所マップ210に書き込んでもよい。このようなマップ書込処理は、ドローン100から情報を受信した中央保守システム200で即時に実行されてもよい。発電所マップ210に基づくナビゲーション情報が作業者の携帯端末等に提示されてもよい。ナビゲーション情報は、発電所マップ210自体を提示するものでもよく、発電所マップ210に移動ルートが書き加えられてもよく、あるいは発電所マップ210に基づき他の地図アプリケーションが現場での移動ルートを提示するものでもよい。
【0033】
ソーラパネル発電所では、広大な面積と多数の点検枚数により、保守点検の効率化が求められている。実際に保守、点検および修理作業を行う際には、作業者が資材をもって現場で作業する必要がある。この点、発電所マップ210によれば異常ソーラパネルまで正確にたどり着くためのナビゲート技術が提供される利点がある。
【0034】
発電所マップ210は、ソーラシステム1の設置時(又はシステム設計時)に作成されてもよい。情報保持部120と発電所マップ210とを紐付けるタイミングは、ソーラシステム1の設置時でもよく、初回点検時などでもよい。設置時の場合、ソーラシステム設置時点で情報紐付けを行ってもよい。その際に、ドローン100を飛ばすことで各情報保持部120の読取りを行ってもよいが、設置作業者がシステム設置に付随して人手で紐付け作業を行ってもよい。点検時の場合は、点検時のドローンの所定飛行経路に沿って、順次、情報保持部120を読取りながら、発電所マップ210の各ソーラパネル位置と情報保持部120とを紐付けてもよい。
【0035】
<3.変形例>
各々の情報保持部120は、各々のソーラパネル50との対応関係が特定できれば任意の位置に設けてよい。情報保持部120は、フロート10の任意の位置に取り付けることができる。フロート10におけるソーラパネル50付近の任意箇所に情報保持部120を設けることができる。情報保持部120の設置箇所は、例えばフロート10の任意部分でもよく、例えば支持部11でもよい。情報保持部120は、ソーラパネル50に取り付けられてもよく、一例としてソーラパネル50の外枠に取り付けられてもよい。情報保持部120は、フロート10に代えて通路ジョイント60に設けられてもよい。情報保持部120は、フロート10と通路ジョイント60との間に挟まれてもよい。その場合の一例として、フロート10における係合突起部61が突出する面と、その面に被さる通路ジョイント60とによって、情報保持部120が挟まれてもよい。情報保持部120が通路ジョイント60で隠れることで、作業者が歩くときに情報保持部120に引っかかったり或いは踏み潰したりすることを抑制でき、野鳥により剥がされることも抑制できる。通路ジョイント60で情報保持部120の全体が目視できないように覆われた場合も、情報保持部120がRFIDタグや近距離無線通信素子等で構築されることで、樹脂製の通路ジョイント60で覆われた情報保持部120を支障なく読み取ることができる。なお情報保持部120はフロート10の第2端部10b側に設けられてもよい。
【0036】
ソーラシステム1は、水上フロートシステムに限定されない。陸上ソーラシステムや建造物設置型ソーラシステム等に、上記実施形態の保守方法が適用されてもよい。
【0037】
ドローン100の制御ユニット102は、「非接触の近距離情報書き込み装置」を備えてもよく、例えばRFIDライタが設けられてもよい。これにより制御ユニット102が、情報保持部120に検査情報、修理履歴その他の保守履歴等を書き込んでもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 :ソーラシステム
10 :フロート
10a :第1端部
10b :第2端部
11 :支持部
11a :面
12 :受け部
13 :固定金具
13a :挟持部
13b :固定部材
13c :ネジ
14 :固定金具
16 :表面壁
50 :ソーラパネル
50a :ガラス部分
51 :一端部
52 :他端部
60 :通路ジョイント
60a :一端
60b :他端
61 :係合突起部
62 :連結ボルト
62a、62b、63 :ボルト孔
90 :ストッパ部
91 :指挿入凹部
100 :ドローン
102 :制御ユニット
120 :情報保持部
200 :中央保守システム
202 :通信回線
210 :発電所マップ
212 :ソーラパネル位置を示すセル
212a :異常ソーラパネル位置
図1
図2
図3
図4