(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-10-09
(45)【発行日】2025-10-20
(54)【発明の名称】LED駆動装置及び駆動方法
(51)【国際特許分類】
H05B 45/385 20200101AFI20251010BHJP
H05B 45/382 20200101ALI20251010BHJP
H05B 45/38 20200101ALI20251010BHJP
【FI】
H05B45/385
H05B45/382
H05B45/38
(21)【出願番号】P 2022557635
(86)(22)【出願日】2021-03-19
(86)【国際出願番号】 EP2021057060
(87)【国際公開番号】W WO2021191067
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2024-03-15
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/080889
(32)【優先日】2020-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(32)【優先日】2020-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】ツォ ユーフェイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン シャン
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-208162(JP,A)
【文献】特開2018-074787(JP,A)
【文献】特開2013-157310(JP,A)
【文献】特開2018-160384(JP,A)
【文献】特開2009-238524(JP,A)
【文献】特表2013-506952(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0290117(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/385
H05B 45/382
H05B 45/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LED駆動装置であって、
入力と、
LEDユニットを接続するよう適合される、前記LED駆動装置の出力と、
主変換器段であって、前記入力における電力を変換し、前記主変換器段の出力における前記LEDユニットに変換器電流を出力するよう適合される主変換器段と、
前記主変換器段の前記出力に結合され、前記入力に結合される電力転流段と、
前記LEDユニットへの電流を設定電流に設定する信号を受信すると、エネルギ流用モードの動作を実施するよう適合されるコントローラであって、前記エネルギ流用モードの間、前記コントローラが
前記設定電流より大きい電流において前記変換器電流を出力するよう主変換器段を動作させ、
それと同時に、前記設定電流より大きい、前記主変換器段の前記変換器電流と、前記設定電流との間の電流差に対応する量において電気エネルギを流用し、流用される前記電気エネルギを前記主変換器段の入力に戻し、前記LED駆動装置の前記出力を通して前記LEDユニットに残りの電流を与えるよう前記電力転流段を作動させるよう適合され、それによって、前記LEDユニットへの前記残りの電流が、前記設定電流と等しくなるコントローラとを有するLED駆動装置。
【請求項2】
前記電力転流段の入力が、前記LED駆動装置の前記出力に結合され、前記電力転流段の出力が、前記LED駆動装置の前記入力に結合され、前記電力転流段が、電気的に前記LEDユニットと並列にあるよう適合され、前記コントローラが、
前記設定電流が閾値調光電流未満である場合に、前記LEDユニットに前記残りの電流を与えるために前記エネルギ流用モードを実施するよう適合され、
前記主変換器段が前記閾値調光電流未満の前記設定電流を直接出力するよう適合された場合には、前記主変換器段が
異常に動作する請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記コントローラが、前記LEDユニットへの電流を、前記閾値調光電流を上回る前記設定電流に設定する信号を受信すると、前記エネルギ流用モードとは異なる通常の調光モードを実施するよう適合される請求項2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記主変換器段が前記閾値調光
電流を上回る前記設定電流を直接出力するよう適合される場合には、前記主変換器段が正常に動作し、
前記コントローラが、前記通常の調光モードの間、
前記変換器電流を前記設定電流において前記LEDユニットに直接出力するよう前記主変換器段を動作させ、
前記変換器電流から前記電気エネルギが流用されるのを防止するよう前記電力転流段を動作停止させるよう適合される請求項3に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記閾値調光電流が、制御ループ、及び前記主変換器段の構成要素によって通常提供される最小設計調光電流を含む請求項2乃至4のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記閾値調光電流が、前記主変換器段の公称電流の1%乃至5%の範囲内である請求項2乃至5のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記電力転流段が、前記流用される電気エネルギの一部から、補助電源信号を非発光構成要素に供給するための巻線を更に有し、前記電力転流段が、前記流用される電気エネルギの残りの部分を前記入力に戻す請求項1乃至6のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記非発光構成要素によって使用される代替補助
電力を供給するための補助電源回路を更に有する請求項7に記載の駆動装置。
【請求項9】
前記補助電源回路が、
前記入力、及び
前記主変換器段の電源構成要素のうちのいずれか1つに接続される請求項8に記載の駆動装置。
【請求項10】
前記主変換器段が、共振コンバータを有する請求項1乃至9のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項11】
前記電力転流段が、前記主変換器段の前記出力と並列に電気的に接続され、前記LEDユニットと並列に接続するよう適合される一次フライバック巻線と、前記一次フライバック巻線に磁気的に結合され、前記入力に電気的に接続される二次フライバック巻線とを備えるフライバックコンバータを有する請求項1乃至10のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項12】
前記二次フライバック巻線が、バッファ回路を介して前記主変換器段及び前記入力に接続される請求項11に記載の駆動装置。
【請求項13】
前記電力転流段が、前記一次フライバック巻線と直列にスイッチを有し、前記コントローラが、前記スイッチを制御することによって、前記電力転流段を作動させる、及び動作停止させるよう適合される請求項11又は12に記載の駆動装置。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか一項に記載の駆動装置と、
前記LEDユニットとを有する照明回路。
【請求項15】
LEDユニットを駆動するための駆動方法であり、
主変換器段を使用して、入力における電力を変換し、それによって、前記主変換器段の出力における前記LEDユニットに変換器電流を出力するステップと、
前記LEDユニットへの電流を、閾値調光電流未満の設定電流に設定する信号を受信すると、エネルギ流用モードの動作を実施するステップとを有する駆動方法であって、前記主変換器段が前記閾値調光電流未満の前記設定電流を直接出力するよう適合された場合には、前記主変換器段が
異常に動作し、前記エネルギ流用モードの動作が、
前記設定電流より大きい電流において変換器電流を出力するよう主変換器段を動作させ、
前記主変換器段の前記出力に結合され、前記LEDユニットと並列に結合され、前記主変換器段の前記入力に結合される電力転流段を、前記設定電流より大きい、前記主変換器段の前記変換器電流と、前記設定電流との間の電流差に対応する量において電気エネルギを流用し、流用される前記電気エネルギを前記主変換器段の前記入力に戻し、それと同時に、前記LEDユニットに残りの電流を供給するよう作動させ、それによって、前記LEDユニットへの前記残りの電流が、前記設定電流と等しくなることを有する駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED駆動装置に関する。本発明は、とりわけ、調光機能を実施するLED駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば屋内及び屋外用途のためのスマート照明システムのために、調光機能を備えるLED駆動装置を設けることはよく知られている。スマート照明システムは、豊富で豊かな色を備え、広い範囲の所望の色又は色温度を作成する能力を持つ心地良い照明を提供することを目的とする。
【0003】
この可制御性を達成するための最も重要で最も基本的な要素は、(様々な色に対して)深い調光機能(deep dimming function)を実施する能力である。従って、深い調光は、スマート照明システムの所望の光学性能を満たすための重要なパラメータである。例えば、5%の調光機能と0.1%の調光機能との間のように達成されることができる色及び色温度範囲の間には大きな差がある。
【0004】
従来のドライバシステムは、一般的に、5%の輝度レベルのような下限まで下げる輝度の調光を可能にする。この下限を下回る所謂「深い調光」は、とりわけスイッチモード電力変換回路をベースとした、既存のドライバアーキテクチャでは達成することが困難である。
【0005】
この下限を下回る、例えば0.1%の輝度まで下げるような5%の輝度を下回る調光を可能にするよう調光機能を向上させることは、従来のドライバ回路にとって、特に低電力出力領域にあるときに大きな課題である。問題は、一段トポロジ(single stage topology)のスイッチモード電源システムは、例えば動的特性又は制御ループの制限の結果として、ドライバアーキテクチャのため、5%未満の深い調光に到達することができないことである。従って、所望の深い調光を達成することを困難にしているのは、ハードウェア設計である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の解決策は、更なるスイッチモード電力トポロジ構造を1つ以上追加するものである。しかしながら、これは、アーキテクチャ全体の複雑さ及びコストを増大させる。それ故、回路の複雑さを低減しながら、低減電流駆動(従って、深い調光)を可能にする駆動装置に対するニーズがある。別の従来の解決策は、LEDと並列に抵抗ブリーダ(resistive bleeder)を加えるものであるが、その抵抗ブリーダは、通常、電力を消散させ、高い損失をもたらす。
【0007】
US9538601B1は、LED12への電流をバイパスするためのバイパススイッチ22を開示している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、請求項によって規定されている。
【0009】
本発明の概念は、第1輝度レベルまで下げる調光(即ち、第1の深度の調光)を実施する主電力変換器を提供すること、及び電力転流段(power commutation stage)を使用して、エネルギをLED負荷からそらし(divert)、入力に戻すことによって、より低い輝度レベルまでの調光(第2の、より深い調光深度の調光)を可能にすることにある。従って、簡単なアーキテクチャで深い調光が可能になり、そらされる電力が消散される代わりに再利用されることから、電力効率は高い。好ましくは、前記主電力変換器は、安定動作のために、その最小出力より高く維持される。
【0010】
本発明の或る態様による例によれば、LED駆動装置であって、
入力と、
LEDユニットを接続するよう適合される、前記LED駆動装置の出力と、
主変換器段(main converter stage)であって、前記入力における電力を変換し、前記主変換器段の出力における前記LEDユニットに変換器電流を出力するよう適合される主変換器段と、
前記主変換器段の前記出力に結合される電力転流段と、
前記LEDユニットへの電流を設定電流に設定する信号を受信すると、エネルギ流用モードの動作(energy divert mode of operation)を実施するよう適合されるコントローラであって、前記エネルギ流用モードの間、前記コントローラが、
前記設定電流より大きい電流において前記変換器電流を出力するよう主変換器段を動作させ、
それと同時に、前記設定電流より大きい前記変換器電流からエネルギを流用し(divert)、流用される前記エネルギを前記主変換器段の前記入力に戻し、前記LED駆動装置の前記出力を通して前記LEDユニットに残りの電流を与える(allow)よう前記電力転流段を作動させるよう適合され、前記コントローラが、前記設定電流より大きい前記主変換器段の前記変換器電流と、前記設定電流との間の電流差に対応する量において前記エネルギを流用するよう適合され、それによって、前記LEDユニットへの前記残りの電流が、前記設定電流と等しくなるコントローラとを有するLED駆動装置が提供される。
【0011】
この駆動装置は、電流を前記LEDユニットからそらし、前記エネルギを前記LEDユニットに供給するのではなく、前記入力に戻すことによって、例えば深い調光を実施するための、閾値電流未満である設定電流まで、前記LEDユニットに供給される電流を低減することができる。このやり方においては、前記電力転流段によって調光機能が実施される。このことは、前記主変換器段によって到達される必要がある調光レベルが、その出力電流を前記閾値電流より高く維持することによって、緩和されることができる(即ち、あまり深くない調光にされることができる)ことを意味する。このことは、前記駆動装置全体が所望の全体的な調光レベルを実施することを可能にしながら、前記主変換器段における要件を緩和する。前記出力電流が流用されることから、(前記設定電流に対応する)全体で達成される調光レベルは、例えば(公称LEDユニット電流の)1%未満であり、例えば0.1%ほどの低さである。そして、流用される電流/エネルギは前記主変換器段に戻されることから、既存の解決策と比較して向上した効率での深い調光機能が可能になる。
【0012】
本発明は、既存のハードウェアを使用し得る。前記主変換器段は、共振コンバータを有してもよい。これは、LED照明ドライバにおける主変換器段として使用するための既知のタイプの変換器である。例えば、前記主変換器段においてハーフブリッジ(LLC/LCC)トポロジを備えると共に、フライバックトポロジをベースとした電力転流段を備えるドライバアーキテクチャ(シグニファイ社のXitaniumドライバ)が知られている。本発明は、更に(後述の)補助電源のためにこのフライバックトポロジを利用することができる。
【0013】
代替実施形態においては、前記主変換器段は、例えば、フライバックコンバータなどの絶縁変換器、又はブーストコンバータなどの非絶縁変換器を有してもよい。
【0014】
或る実施形態においては、前記電力転流段は、電気的に前記LEDユニットと並列にあるよう適合される。他の例においては、前記電力転流段は、前記主変換器段に磁気的に結合されるよう適合される。
【0015】
前記コントローラは、例えば、前記設定電流が閾値調光電流未満である場合に、前記LEDユニットに前記残りの電流を与えるために前記エネルギ流用モードを実施するよう適合され、前記主変換器段は、前記主変換器段が前記閾値調光電流未満の前記設定電流を直接出力するよう適合された場合には、正常以下に(sub-normally)動作する。
【0016】
その場合、前記閾値調光レベルは、前記主変換器段によって、所望の効率、安定性、力率補正レベル、全高調波歪みレベルなど(即ち、任意の所望のパラメータ又は定格パラメータ)のような所望の性能で達成されることができるレベルである。この閾値レベル未満の調光レベル(即ち、更により深い調光)に対しては、前記電力転流段が使用される。
【0017】
前記コントローラは、前記LEDユニットへの電流を、前記閾値調光電流を上回る前記設定電流に設定する信号を受信すると、前記エネルギ流用モードとは異なる通常の調光モードを実施するよう適合されてもよい。
【0018】
前記主変換器段は、前記主変換器段が前記閾値調光レベルを上回る前記設定電流を直接出力するよう適合される場合には、正常に動作する。前記通常の調光モードは、前記電力転流段の使用を必要とせずに、前記主変換器段によって実施され得る。従って、前記コントローラは、前記通常の調光モードの間、前記設定電流を前記LEDユニットに直接出力するよう前記主変換器段を動作させ、前記変換器電流からエネルギが流用されるのを防止するよう前記電力転流段を動作停止させるよう適合される。このやり方においては、前記主変換器段がその意図された動作範囲内で動作しているときには、前記電力転流段は前記主変換器段の通常の動作を損なわず、前記電力転流段は通常の動作には関与しない。他の例においては、後述するように、前記電力転流段は、補助電源のために電力を流用するように動作することもでき、このことは、専用の補助電源ユニットのサイズ又は定格を低減させることができる。
【0019】
前記閾値調光電流は、制御ループ、及び前記主変換器段の構成要素によって通常提供される最小設計調光電流を含み得る。前記閾値調光電流は、例えば、前記主変換器段の公称電流の1%乃至5%の範囲内である。
【0020】
前記主変換器段は、前記閾値調光レベル未満の出力を供給するように制御される場合、例えば、所望の効率又は安定性レベルで動作することができないが、前記閾値調光レベルより高くでは、前記所望の効率又は安定性レベル以上での動作が可能になる。
【0021】
前記電力転流段は、前記流用されるエネルギの一部から、補助電源信号を非発光構成要素に供給するための巻線を更に有してもよく、前記電力転流段は、前記流用されるエネルギの残りの部分を前記入力に戻す。
【0022】
前記LEDユニットがオンであるとき、この流用されるエネルギの使用は、(制御ICのような)非発光構成要素の給電に寄与する。従って、このエネルギは、前記非発光構成要素のピークエネルギ需要に寄与する。
【0023】
前記駆動装置は、好ましくは、前記非発光構成要素によって使用される代替補助電力を供給するための補助電源回路を(上述の補助電源信号に加えて)更に有する。これは、別の補助電源信号を生成するために前記流用されるエネルギの一部を使用する結果として、縮小されたサイズを有することができる。従って、スタンバイ電源のための別個の補助電源は、(前記LEDユニットがオフであるときには、制御ICはずっと少ないエネルギしか必要とせず、故に、前記別個の補助電源は小さな定格電力で設計されることができることから)より小さく作成されることができる。
【0024】
前記補助電源回路は、例えば、
前記入力、及び
前記主変換器段の電源構成要素(power component)のうちのいずれか1つに接続される。
【0025】
上記のものは、VCC電源のような、前記補助電源回路の既に知られている2つの実施例である。この接続は、前記補助電源回路に電源を供給する。補助電源信号を生成するために使用される巻線が、代替補助電源を提供する。
【0026】
前記電力転流段は、例えば、前記主変換器段の前記出力と並列に電気的に接続され、前記LEDユニットと並列に接続するよう適合される一次フライバック巻線と、前記一次フライバック巻線に磁気的に結合され、前記入力に電気的に接続される二次フライバック巻線とを備えるフライバックコンバータを有する。
【0027】
このフライバックコンバータは、補助電源を実施するための既知の装置である。前記巻線(前記補助電源を提供する1つの二次巻線)の他に、エネルギを前記入力に戻すよう前記入力に結合する更なる巻線(前記二次フライバック巻線)が追加される。
【0028】
前記二次フライバック巻線は、例えば、バッファ回路を介して入力に接続される。前記バッファ回路は、ダイオード又はダイオード・コンデンサ回路であってもよい。
【0029】
前記電力転流段は、前記一次フライバック巻線と直列にスイッチを有してもよく、前記コントローラは、前記スイッチを制御することによって、前記電力転流段を作動させる、及び動作停止させるよう適合される。また、このスイッチによって高周波フライバック転流が行われる。
【0030】
従って、前記スイッチが、前記主変換器段からの前記変換器電流のための迂回電流路(diversion current path)を開く、又は閉じる。
【0031】
本発明は、
上記で規定されているような駆動装置と、
前記LEDユニットとを有する照明回路も提供する。
【0032】
本発明は、LEDユニットを駆動するための駆動方法であり、
主変換器段を使用して、入力における電力を変換し、それによって、前記主変換器段の出力における前記LEDユニットに変換器電流を出力するステップと、
前記LEDユニットへの電流を、閾値調光電流未満の設定電流に設定する信号を受信すると、エネルギ流用モードの動作を実施するステップとを有する駆動方法であって、前記主変換器段が前記閾値調光電流未満の前記設定電流を直接出力するよう適合された場合には、前記主変換器段が正常以下に動作し、前記エネルギ流用モードの動作が、
前記設定電流より大きい電流において変換器電流を出力するよう主変換器段を動作させ、
前記主変換器段の前記出力に結合され、前記LEDユニットと並列に結合される電力転流段を、前記変換器電流からエネルギを流用し、流用される前記エネルギを前記主変換器段の前記入力に戻し、それと同時に、前記LEDユニットに残りの電流を供給するよう作動させ、前記設定電流より大きい前記主変換器段の前記変換器電流と、前記設定電流との間の電流差に対応する量において前記エネルギを流用し、それによって、前記LEDユニットへの前記残りの電流が、前記設定電流と等しくなることを有する駆動方法も提供する。
【0033】
下記の実施形態を参照して、本発明のこれら及び他の態様を説明し、明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0034】
本発明のより良い理解のために、及び本発明がどのようにして実施され得るかをより明確に示すために、ここで、ほんの一例として、添付図面を参照する。
【
図1】LEDユニットに接続されるLED駆動装置の第1例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図を参照して本発明について説明する。
【0036】
詳細な説明及び特定の例は、装置、システム及び方法の例示的な実施形態を示しているが、説明の目的のためのものでしかなく、本発明の範囲を限定しようとするものではないことは理解されたい。本発明の装置、システム及び方法のこれら及び他の特徴、態様及び利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲及び添付の図面からよりよく理解されるようになるだろう。図は、単に概略的なものに過ぎず、縮尺通りには描かれていないことは、理解されたい。図の全体を通して、同じ参照符号は、同じ又は同様のパーツを示すために使用されていることも、理解されたい。
【0037】
本発明は、主変換器段を有すると共に、LEDユニットと並列に電力転流段を有するLED駆動装置を提供する。エネルギ流用モードの動作が使用され、前記エネルギ流用モードの動作の間、設定電流がLEDユニットに供給され、主変換器段が設定電流より大きい電流を供給するために使用される。電力転流段は、エネルギをLEDユニットからそらし、そらされるエネルギを主変換器への入力に戻すために使用される。残りの設定電流はLEDユニットに供給される。これは、主変換器段に適用される調光レベルより深い調光を可能にし、主変換器段を依然として快適な動作領域内に保ち、そのエネルギを消散させることなくエネルギ流用(energy diversion)の効率を向上させる。
【0038】
図1は、LEDユニット50に接続されるLED駆動装置10の第1例を示している。それらは、一緒に、照明器具の一部のような照明回路を形成する。駆動装置は、示されている例においては主電源AC入力である入力12を有する。前記入力は、ブリッジ整流器14によって整流され、入力15として主変換器段に供給される。
【0039】
主変換器段は、スイッチモード電力変換器を有する。示されている例は、スイッチS1及びS2によって形成されるハーフブリッジと、スイッチ間のノードに接続されるLLC共振タンクとを有する。LLCはよく知られている技術であり、故に、本明細書は、不要な更なる説明をしない。変換器の出力は、一次側巻線Tprimと二次側巻線Tsecとを備える変圧器によって形成される。
【0040】
スイッチS1、S2は、制御回路18によって制御される。
【0041】
LEDユニット50は、整流ダイオードD1、D2を介して変圧器の二次側に接続される。
【0042】
主変換器段は、入力12における電力を変換し、主変換器段の出力16にあるLEDユニットに変換器電流を出力するよう適合される。LCCコンバータのような他のタイプの共振コンバータが使用されてもよい。主変換器段は、共振コンバータに代わるものとして、フライバックコンバータなどの絶縁変換器、又はブーストコンバータなどの非絶縁変換器であってもよい。
【0043】
出力16には電力転流段が結合される実施形態においては、電力転流段は、電気的にLEDユニット50と並列にあり、故に、電気エネルギ流用及び返還(returning)システムとして機能する。代替実施形態においては、電力転流段は、磁気エネルギ流用システムを形成するよう二次巻線Tsecに磁気的に結合され得る。以下の説明においては、電気エネルギ流用が、本発明を説明するための例にとられている。当業者は、磁気エネルギ流用及び返還は、概念及び実施において類似していることを理解するだろう。それ故、この代替手段については更に詳細には説明しない。
【0044】
電力転流段は、LEDユニット50と並列に電気的に接続される一次フライバック巻線L1と、一次フライバック巻線に磁気的に結合され、主変換器段の入力15に電気的に接続される二次フライバック巻線L2とを備えるフライバックコンバータを有する。
【0045】
入力15との結合は、ダイオードD3を介してハーフブリッジS1、S2に戻るものである。ダイオードD3は遮断回路として機能する。戻されたエネルギをバッファするためのバッファコンデンサがあってもよい。従って、インダクタL1において変動電流が生成されるときには、L2に誘導磁界及び誘導電流があり、このメカニズムによって、出力に供給されるエネルギが主変換器段の入力15に戻される。
【0046】
好ましい実施形態においては、エネルギ返還機能に加えて、フライバックコンバータが、補助電源を実施するための既知の装置である。従って、流用されるエネルギは、MCU/ICのような非照明構成要素の補助電源のために使用されてもよい。更なる巻線L3は、(後述の)この目的のためのものである。
【0047】
電力転流段は、一次フライバック巻線L1と直列にスイッチSを有する。
【0048】
コントローラ20は、スイッチSを制御することによって、電力転流段を作動させる、及び動作停止させる。スイッチSは、主変換器段からの変換器電流のためのバイパス電流路を開く、又は閉じる。このやり方においては、コントローラ20が、エネルギ流用モードの動作を実施する。
【0049】
この流用モードは、設定電流であって、前記設定電流でLEDユニットが駆動されるべきである設定電流が、主変換器段が、所望の効率及び/若しくは精度及び/若しくは安定性並びに/又は許容可能なPFC/THDなどで達成するには低すぎる場合に使用される。この流用モードの間、主変換器段の変換器電流は、設定電流より大きい電流に維持され、故に、変換器電流は、所望の精度及び効率などで供給されることができる。しかしながら、電力転流段が、変換器電流からエネルギを流用し、流用されるエネルギを入力15に戻すよう作動される。この結果、依然として所望の設定電流がLEDユニット50に供給される。
【0050】
従って、LEDユニットに供給される電流は、閾値電流未満である設定電流に低減される。閾値電流は、閾値調光レベルに対応する。これは、主変換器段によって所望の効率で達成でされることがきる調光レベルである。この閾値レベル未満の調光レベル(即ち、更により深い調光)に対しては、電力転流段が使用される。
【0051】
従って、深い調光は、電力転流段を使用して電流をLEDユニットからそらすことによって実施される。このことは、駆動装置全体が所望の全体的な調光レベルを実施することができるための主変換器段における要件を緩和する。(設定電流に対応する)全体で達成される調光レベルは、例えば(公称LEDユニット電流の)1%未満であり、例えば0.1%ほどの低さである。
【0052】
この閾値レベルを上回る輝度レベルに対しては、通常の調光モードが使用され、通常の調光モードは、電力転流段の使用を必要とせずに、主変換器段によって実施され得る。従って、通常の調光モードの間、主変換器段が、変換器電流を設定電流としてLEDユニットに直接出力するために使用され、電力転流段は、(変換器電流からエネルギが流用されるのを防止するために)動作停止される。
【0053】
本発明は、既存のハードウェアを使用し得る。例えば、示されているような主回路においてハーフブリッジ(LLC又はLCC)トポロジを備えるドライバアーキテクチャ(シグニファイ社のXitaniumドライバ)は知られている。
【0054】
フライバックトポロジを使用する補助電源が、インダクタL3として示されている。 示されているように、インダクタL3は、それぞれのコンデンサC1、C2に蓄えられる2つの異なる補助供給電圧を生成するための2つのタップを有する。これらは、例えば、3V、5V、12V及び24Vのうち2つ以上であってもよい。
【0055】
コイルL3を使用する補助電源は、主変換器が出力を供給しているときのみ動作可能であり、従って、スタンバイ中は動作可能ではない。巻線L3は、流用されるエネルギの一部から、補助電源信号を供給する。従って、流用されるエネルギは、コイルL3を通る電流に基づいており、これは、L2とL3との両方において電流を誘導するために使用され、従って、これらの各々が、流用されるエネルギの一部を形成する。流用されるエネルギのうちの、コイルL3において誘導される部分は、例えば、非発光構成要素に給電するために使用される。これは、例えば、コントローラ18若しくは他の制御回路又はセンサであってもよい。
【0056】
上記の調光モードと通常モードとの両方において、主変換器段が、更により多くのエネルギを出力し、コイルL3を使用する補助電源が補助電源用にエネルギを流用することを可能にしてもよい。
【0057】
スタンバイ中(LEDユニットにエネルギが供給されず、従って、フライバックコンバータによって誘導信号が生成されないとき)に機能する別個の補助電源回路30もある。
【0058】
従来、この専用の補助電源回路30は、大きな範囲の出力電力をカバーする必要がある。スタンバイ中は、必要とされる出力電力は小さいが、LEDユニットがオンであるときは、制御回路18がより大量の電力を必要とし、故に、補助電源は、より大きな電力を出力する必要がある。その故、補助電源の定格電力は、最も大きな需要を満たすのに十分なものであるが、この容量は、ほとんどの時間、冗長である。
【0059】
この発明においては、LEDがオンであるときには(LEDが深く調光されていない場合でも)インダクタL3が補助電力を供給することができることから、L1とL3との間の結合が、ピーク補助電源用にエネルギを流用するために使用されることができる。主変換器段は、一部がL1からL3へのエネルギ伝達を提供するために流用されることがように、所望のLED電流より大きい電流を出力するよう設定されることができる。
【0060】
このやり方においては、補助電源回路30は、スタンバイモード中に、又はコイルL3を補う、小さな出力電力を供給すればよいことから、このような高い電力定格で設計される必要はない。従って、補助電源回路30は、既存の設計のものよりも小さくすることができる。
【0061】
補助電源回路30は、専用の補助電源である。補助電源回路30は、整流器の後でバスに直接接続されてもよく、又はスイッチモード変換器のインダクタから、若しくは変圧器Tprim、Tsecから電力を誘導してもよい。補助電源回路30は、例えば、バックコンバータ及びリニアレギュレータを有してもよい。当業者は、通常の補助電源回路30はよく知られていることを理解しており、故に、本明細書は更なる詳細を示さない。
【0062】
光出力モードにおいて、流用されるエネルギがある場合、インダクタL3に蓄えられるエネルギは、非照明負荷(例えば、コントローラ18)にとって十分であってもよく、又は十分でなくてもよい。十分な場合は、本来の補助電源回路は必要とされず、故に、定格電力は低くすることができる。十分ではない場合は、本来の補助電源回路は、残りの部分を供給するために使用されてもよい。
【0063】
消灯(lights-off)モードにおいては、本来の補助電源回路30が単独で動作する。
【0064】
消灯モード中の極端な状況において、補助電源回路30がまだ十分ではない場合には、ハーフブリッジS1、S2が起動することができ、インダクタL1及びL3の間の結合が、全ての出力電力を非照明負荷に流用するために使用されることができる。
【0065】
従って、専用の補助電源回路30及び電力転流回路は、それら自身の動作及び機能を有する。深い調光段階にあるとき、それらは、所望の深い調光レベルを実施するために協力し、故に、LED色温度調整はより正確にすることができ、従って、より広い範囲の所望の色を可能にするよう、RGBW色混合が使用されることができる。
【0066】
本発明は、既存の回路を更に利用し、とりわけ、ハーフブリッジ回路との相互作用を提供することによって補助電源を再利用する。フライバックトポロジは、異なる調光レベルの2つの機能で動作する。
【0067】
図2は、LED駆動装置の第2例を示している。
図2は、主変換器によりフルブリッジトポロジS1乃至S4が使用されているという点で、
図1と異なる。
【0068】
【0069】
主変換器は、単にブロック40によって表されている。この例においては、ダイオードD3が、主バス、即ち、整流器の出力に戻るよう結合される。一次フライバック巻線L1は、ハーフブリッジ、即ち、LLCコンバータ段の出力に戻る接続を有する。これは単に代替トポロジである。
【0070】
本発明は、LEDユニットを駆動するための駆動方法であって、主変換器段を使用して、入力における電力を変換し、それによって、主変換器段の出力におけるLEDユニットに変換器電流を出力するステップを有する駆動方法も提供する。LEDユニットへの電流を、閾値調光電流未満の設定電流に設定する信号を受信すると、エネルギ流用モードの動作が実施され、主変換器段は、主変換器段が閾値調光電流未満の設定電流を直接出力するよう適合された場合には、正常以下に動作する。エネルギ流用モードの動作は、
主変換器段の変換器電流を、設定電流より大きい電流に維持し、
出力に結合され、LEDユニットと並列に結合される電力転流段を、変換器電流からエネルギを流用し、流用されるエネルギを入力に戻し、それと同時に、LEDユニットに残りの電流を供給するよう作動させ、設定電流より大きい主変換器段の変換器電流と、設定電流との間の電流差に対応する量においてエネルギを流用し、それによって、LEDユニットへの残りの電流が、設定電流と等しくなることを有する。
【0071】
当業者は、請求項記載の発明の実施において、図面、明細及び添付の特許請求の範囲の研究から、開示されている実施形態に対する変形を、理解し、達成することができる。特許請求の範囲において、「有する」という単語は、他の要素又はステップを除外せず、単数形表記は、複数性を除外しない。
【0072】
単に、或る特定の手段が、相互に異なる従属請求項において挙げられているという事実は、これらの手段の組み合わせは有利になるようには使用されることができないことを示すものではない。
【0073】
特許請求の範囲又は明細書において「~するよう適合される」という用語が使用されている場合には、「~するよう適合される」という用語は、「~するよう構成される」という用語と同等であるよう意図されていることに留意されたい。
【0074】
特許請求の範囲における如何なる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。