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▶ サクミ コオペラティヴァ メッカニチ イモラ ソシエタ コオペラティヴァの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-10-09
(45)【発行日】2025-10-20
(54)【発明の名称】金型の雄要素
(51)【国際特許分類】
   B29C 43/36 20060101AFI20251010BHJP
   B29C 33/02 20060101ALI20251010BHJP
   B29C 49/48 20060101ALI20251010BHJP
   B29C 43/02 20060101ALI20251010BHJP
   B29C 49/02 20060101ALI20251010BHJP
   B29C 49/12 20060101ALI20251010BHJP
【FI】
B29C43/36
B29C33/02
B29C49/48
B29C43/02
B29C49/02
B29C49/12
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2023527664
(86)(22)【出願日】2021-11-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-13
(86)【国際出願番号】 IB2021060348
(87)【国際公開番号】W WO2022101770
(87)【国際公開日】2022-05-19
【審査請求日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】102020000026855
(32)【優先日】2020-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507015435
【氏名又は名称】サクミ コオペラティヴァ メッカニチ イモラ ソシエタ コオペラティヴァ
【住所又は居所原語表記】Via Selice Provinciale,17/A,I-40026 IMOLA(Bologna),Italy
(74)【代理人】
【識別番号】100159905
【弁理士】
【氏名又は名称】宮垣 丈晴
(72)【発明者】
【氏名】バルディッセリ,ダヴィデ
(72)【発明者】
【氏名】ベルガミ,ステファノ
(72)【発明者】
【氏名】ザーマ,マルチェッロ
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-183840(JP,A)
【文献】特表2009-530129(JP,A)
【文献】特表2015-516894(JP,A)
【文献】特開昭61-148020(JP,A)
【文献】スイス国特許発明第00431030(CH,A)
【文献】特開2005-288482(JP,A)
【文献】特表2002-531297(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 43/36
B29C 33/02
B29C 49/48
B29C 43/02
B29C 49/02
B29C 49/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め準備された熱可塑性材料の用量(2)からパリソンを圧縮成形するための金型(10)の雄要素(100)であって、当該雄要素(100)は前記パリソンを成形するための形成キャビティ(20)を画定するために前記金型(10)の雌要素(200)と関連付け可能であり、
当該雄要素(100)は、
長手方向軸(A)に沿って延在するダイ(110)であって、その内部に前記長手方向軸(A)に沿って延在する長手方向キャビティ(113)を有する本体(112)と、その一端に、前記長手方向キャビティ(113)と連通するソケット(111)と、を含むダイ(110)と、
前記長手方向キャビティ(113)にスライド可能に挿入された延伸ロッド(120)であって、その一端に末端部分(121)を含み、当該延伸ロッド(120)は、前記末端部分(121)が前記ソケット(111)内に収容されて前記ダイ(110)と共に前記形成キャビティ(20)を画定するのに寄与する格納位置と、前記末端部分(121)が前記パリソンを伸ばすように前記ソケット(111)から引き出された引出位置との間で、前記ダイ(110)に対して移動可能である、延伸ロッド(120)と、
前記パリソンをブロー成形して容器を形成するための空気流の通路と、を備え、
前記ダイ(110)は、冷却流体の流れを可能にするように構成された冷却回路(114)を内部に含み、
前記冷却回路(114)は、冷却流体の循環を可能にするように構成されており、前記ダイ(110)の端部(110A)の近くまで前記冷却流体を案内するための送出ダクト(117A)と、前記ダイ(110)の前記端部(110A)から戻る前記冷却流体を案内するための戻りダクト(117B)とを備え
当該雄要素(100)は、前記引出位置から前記格納位置へ、および前記格納位置から前記引出位置への前記延伸ロッド(120)の動作を駆動するように構成された作動ユニット(130)と、
前記作動ユニット(130)に関連付けられ且つ前記引出位置から前記格納位置への前記延伸ロッド(120)の前記動きを遅くするように構成された減衰装置(140)と、を備え、
当該雄要素(100)は、前記延伸ロッド(120)に接続された第1の端部(122A)と、前記第1の端部(122A)の反対側の第2の端部(122B)との間に延在するディフューザロッド(122)を備え、
前記作動ユニット(130)は、前記ディフューザロッド(122)の前記第2の端部(122B)に接続され且つ前記延伸ロッド(120)の前記引出位置に対応する第1の位置と、前記延伸ロッド(120)の前記格納位置に対応する第2の位置との間で前記ディフューザロッド(122)を動かすように構成され、
前記減衰装置(140)は、前記ディフューザロッド(122)の前記第2の端部(122B)に取り付けられ且つ前記第1の位置から前記第2の位置への前記ディフューザロッド(122)の動きを遅くするように構成される、ことを特徴とする雄要素(100)。
【請求項2】
前記空気流の前記通路は、前記延伸ロッド(120)の外面と前記長手方向キャビティ(113)を画定する前記ダイ(110)の内面との間に、前記長手方向キャビティ(113)の一部によって形成されるギャップ(115)を含む、請求項1に記載の雄要素(100)。
【請求項3】
前記ギャップ(115)は前記ソケット(111)まで延在しており、そこに前記空気流を排出することを可能にする出口(115A)があり、前記延伸ロッド(120)の前記末端部分(121)は、前記格納位置で、空気が前記ギャップ(115)から前記形成キャビティ(20)に流れ込むのを防止するために前記出口(115A)を塞ぎ、前記引出位置で、前記出口(115A)が開いて前記ギャップ(115)から空気が流れることを可能にするように、前記ソケット(111)から離れている、請求項2に記載の雄要素(100)。
【請求項4】
前記ギャップ(115)は、前記延伸ロッド(120)を取り囲む管状の形状を有する、請求項3に記載の雄要素(100)。
【請求項5】
前記減衰装置(140)は、前記ディフューザロッド(122)の前記第2の端部(122B)に取り付けられたばねを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の雄要素(100)。
【請求項6】
前記延伸ロッド(120)は、ねじ結合によって前記ディフューザロッド(122)の前記第1の端部(122A)に接続されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の雄要素(100)。
【請求項7】
前記冷却回路(114)は、前記冷却流体を前記ダイ(110)の端部に向かって循環させるための送出ダクト(117A)と、前記ダイ(110)の前記端部から戻る前記冷却流体を循環させる戻りダクト(117B)と、を含む請求項1からのいずれか一項に記載の雄要素(100)。
【請求項8】
前記戻りダクト(117B)は前記送出ダクト(117A)に直列に接続されており、前記送出ダクト(117A)は前記長手方向軸(A)の周りに巻かれた第1の螺旋の形状を有し、前記戻りダクト(117B)は、前記長手方向軸(A)の周りに巻かれた第2の螺旋の形状を有し、前記第1の螺旋の少なくとも一巻きは、前記長手方向軸(A)に沿って、前記第2の螺旋の第1の一巻きと第2の一巻きとの間に配置される、請求項に記載の雄要素(100)。
【請求項9】
前記雌要素(200)の環状周縁部に対して当接するように構成された当接要素(11)と、
支持要素(12)と、
前記当接要素(11)と前記支持要素(12)との間に接続された弾性要素(13)と、を備え、
前記当接要素(11)が休止位置と作業位置との間で前記支持要素(12)に対して移動可能であり、前記休止位置では、前記弾性要素(13)が前記当接要素(11)を前記支持要素(12)から離れた状態に保ち、前記作業位置では、前記当接要素(11)が前記支持要素(12)と接触しており、前記当接要素(11)は、前記雌要素(200)によって前記当接要素(11)に加えられる圧力の効果によって前記作業位置に配置でき、
前記金型(10)はまた、前記雌要素(200)が前記当接要素(11)に圧力をもはや加えていないときでも前記当接要素(11)を前記作業位置に保持するように、前記当接要素(11)と係合するように構成されたロック装置を備える、請求項1からのいずれか一項に記載の雄要素(100)。
【請求項10】
熱可塑性材料の用量(2)からパリソンを圧縮成形して前記パリソンをブロー成形するための金型(10)であって、
請求項1からのいずれか一項に記載の雄要素(100)と、
前記用量(2)から前記パリソンを形成する前記形成キャビティ(20)を画定するために前記雄要素(100)と関連付け可能な雌要素(200)と、
前記パリソンから容器を形成するためのブロー成形キャビティを画定するために前記雌要素(200)の代わりに前記雄要素(100)と関連付け可能なブロー成形キャビティと、を備え、
当該金型(10)は、前記雄要素(100)が前記雌要素(200)と関連付けられ且つ前記形成キャビティ(20)内で前記パリソンを形成するために前記延伸ロッド(120)が前記格納位置にある形成構成と、前記雄要素(100)が前記ブロー成形キャビティと関連付けられ且つ前記延伸ロッド(120)が前記引出位置にある延伸およびブロー成形構成と、を有する、金型(10)。
【請求項11】
前記雌要素(200)が前記用量(2)を受け取るために前記雄要素(100)から離れている、前記用量(2)を受け取るための構成も有する、請求項10に記載の金型(10)。
【請求項12】
前記雄要素(100)の前記ダイ(110)は、前記形成構成において、前記延伸およびブロー成形構成におけるのと同一の垂直高さに配置される、請求項10または11に記載の金型(10)。
【請求項13】
フォーミングおよびブロー成形機であって、
回転カルーセルと、
請求項10から12までのいずれか一項に記載の複数の金型(10)であって、前記回転カルーセルの円形周縁部に角度的に等間隔に配置された複数の金型(10)と、を備えるフォーミングおよびブロー成形機。
【請求項14】
パリソンの圧縮成形およびブロー成形のための方法であって、
予め準備された熱可塑性材料の用量(2)を金型(10)内に受け取るステップと、
前記金型(10)の雄要素(100)および雌要素(200)によって画定された形成キャビティ内で前記用量(2)から前記パリソンを形成するステップであって、前記雄要素(100)が長手方向軸(A)に沿って延在するダイ(110)であって、本体(112)を含むダイ(110)を含む、ステップと、
前記パリソンを延伸してブロー成形して容器を形成するステップであって、ブロー成形は、空気流を前記雄要素(100)の通路に吹き込むことを含む、ステップと、を含み、
前記雄要素(100)は、長手方向キャビティ(113)にスライド可能に挿入された延伸ロッド(120)であって、その一端に末端部分(121)を含む延伸ロッド(120)を備え、前記延伸ロッド(120)は前記ダイ(110)に対して移動可能であり、形成する前記ステップにおいて、前記延伸ロッド(120)は、前記末端部分(121)がソケット(111)内に収容されて前記ダイ(110)と共に前記形成キャビティ(20)を画定するのに寄与する格納位置にあり、延伸する前記ステップにおいて、前記延伸ロッド(120)は、前記末端部分(121)が前記パリソンを伸ばすように前記ソケット(111)から引き出された引出位置にあり、
当該方法は、前記ダイ(110)内の、冷却流体の循環を可能にするように構成された冷却回路(114)に冷却流体を通すことによって、前記ダイ(110)を冷却するステップであって、前記冷却回路(114)の送出ダクト(117A)によって前記冷却流体は前記ダイ(110)の端部(110A)の近くまで案内され、前記冷却回路(114)の戻りダクト(117B)によって前記ダイ(110)の前記端部(110A)から戻る前記冷却流体は案内される、ステップと、
前記延伸ロッド(120)に接続された第1の端部(122A)と、前記第1の端部(122A)の反対側の第2の端部(122B)との間に延在するディフューザロッド(122)を、前記延伸ロッド(120)の前記引出位置に対応する第1の位置と、前記延伸ロッド(120)の前記格納位置に対応する第2の位置との間で動かすステップと、
前記第1の位置から前記第2の位置への前記ディフューザロッド(122)の動きを遅くするステップと、を含む方法。
【請求項15】
前記空気流のための前記雄要素(100)の前記通路は、前記延伸ロッド(120)の外面と前記長手方向キャビティ(113)を画定する前記ダイの内面との間に、前記長手方向キャビティ(113)の一部によって形成されたギャップ(115)を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
予め準備された熱可塑性材料の用量(2)からパリソンを圧縮成形するための金型(10)の雄要素(100)であって、当該雄要素(100)は前記パリソンを成形するための形成キャビティ(20)を画定するために前記金型(10)の雌要素(200)と関連付け可能であり、
当該雄要素(100)は、
長手方向軸(A)に沿って延在するダイ(110)であって、その内部に前記長手方向軸(A)に沿って延在する長手方向キャビティ(113)を有する本体(112)と、その一端に、前記長手方向キャビティ(113)と連通するソケット(111)と、を含むダイ(110)と、
前記長手方向キャビティ(113)にスライド可能に挿入された延伸ロッド(120)であって、その一端に末端部分(121)を含み、当該延伸ロッド(120)は、前記末端部分(121)が前記ソケット(111)内に収容されて前記ダイ(110)と共に前記形成キャビティ(20)を画定するのに寄与する格納位置と、前記末端部分(121)が前記パリソンを伸ばすように前記ソケット(111)から引き出された引出位置との間で、前記ダイ(110)に対して移動可能である、延伸ロッド(120)と、
前記パリソンをブロー成形して容器を形成するための空気流の通路と、を備え、
前記ダイ(110)は、冷却流体の流れを可能にするように構成された冷却回路(114)を内部に含み、
当該雄要素(100)は、
前記雌要素(200)の環状周縁部に対して当接するように構成された当接要素(11)と、
支持要素(12)と、
前記当接要素(11)と前記支持要素(12)との間に接続された弾性要素(13)と、を備え、
前記当接要素(11)が休止位置と作業位置との間で前記支持要素(12)に対して移動可能であり、前記休止位置では、前記弾性要素(13)が前記当接要素(11)を前記支持要素(12)から離れた状態に保ち、前記作業位置では、前記当接要素(11)が前記支持要素(12)と接触しており、前記当接要素(11)は、前記雌要素(200)によって前記当接要素(11)に加えられる圧力の効果によって前記作業位置に配置でき、
前記金型(10)はまた、前記雌要素(200)が前記当接要素(11)に圧力をもはや加えていないときでも前記当接要素(11)を前記作業位置に保持するように、前記当接要素(11)と係合するように構成されたロック装置を備えることを特徴とする雄要素(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金型の雄要素、金型、フォーミングおよびブロー成形機並びにパリソンの圧縮成形およびブロー成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術において、成形によってパリソンを形成してパリソンをブロー成形して容器を得るように構成された機械が知られている。より具体的には、本出願人の名義の特許文献WO2008/110887A2およびWO2007107822A2から、圧縮成形によってパリソンを形成し、それをブロー成形するように構成された機械が知られている。この機械は複数の金型を備え、各金型は圧縮成形によってパリソンを形成するように構成された雄要素および雌要素を備える。成形後、雌要素は雄要素から離され、パリソンは雄要素に掛かったままである。次に、パリソンは、雌要素から抽出可能な延伸ロッドで伸ばされ、その後、ブロー成形キャビティにブロー成形されて容器が得られる。
【0003】
特許文献US10781010B2も、圧縮成形によってパリソンを形成し、それをブロー成形するように構成された機械を開示する。特許文献US8790112B2は、射出成形によってパリソンを形成し、それをブロー成形するように構成された機械を開示する。
【0004】
従来技術のフォーミングおよびブロー成形機には、いくつかの欠点がある。まず、成形による形成直後のパリソンは非常に熱く、ブロー成形前に冷却する必要がある。冷却は、容器が高品質であることを保証するために可能な限り均一でなければならず、サイクル時間を短縮するために高速でなければならない。この冷却の必要性は、成形が圧縮によって行われる場合に特に感じられる。
【0005】
また、従来技術の金型では、ブロー成形のための空気は、延伸ロッドに形成されたチャネルを通して吹き込まれる。この解決策では、延伸ロッドを比較的太くする必要があり、一般的に言えば複雑な設計になる。
【0006】
さらに、成形後、雌半金型が雄半金型から離される場合に、場合によっては、パリソンが雄半金型に適切に取り付けられたままにならず、パリソンひいては容器に表面欠陥が生じ得る。
【0007】
さらに、延伸ロッドの引出および/または格納動作中に延伸ロッドが破損することによって引き起こされる問題もあり得る。
【0008】
圧縮成形によってパリソンを形成し、それをブロー成形するように構成された機械の他の例は、特許文献CH431030A、US2012100241A1、US4150689AおよびUS4473515Aによって提供される。ただし、これらの文献には、市場の要件を満たすことができる解決策が開示されていない。
【発明の概要】
【0009】
本開示の目的は、従来技術の上述の欠点を克服するために、金型の雄要素、金型、フォーミングおよびブロー成形機並びにパリソンの圧縮成形およびブロー成形のための方法を提供することである。
【0010】
この目的は、添付の特許請求の範囲で特徴付けられる本開示の雄要素、金型、機械および方法によって完全に達成される。
【0011】
本開示は金型の雄要素に関する。金型はパリソンを形成するように構成されている。好ましくは、金型は、予め準備された熱可塑性材料の用量からパリソンを圧縮成形するように構成されている。とは言っても、この開示は、射出成形または射出圧縮成形の雄要素にも適用可能である。
【0012】
雄要素は、パリソンが形成される形成キャビティを画定するために金型の雌要素と関連付け可能である。例えば、雄要素は上側の半金型を規定し得、雌要素は下側の半金型を規定し得(または雄要素は下側の半金型を規定し得、雌要素は上側の半金型を規定し得)、雄要素および雌要素は、それらが熱可塑性材料の用量を受け取る開位置と、それらがパリソンを形成するために材料の用量を成形するための形成キャビティを画定する閉位置との間で、互いに近づいたり離れたりできる。好ましくは、用量は下側の半金型によって受け取られる。例えば、用量は、用量押出機によって下側の半金型上に押し出され得る。
【0013】
雄要素はダイを備える。ダイは長手方向軸に沿って延びる。ダイは、本体であって、その内部に、長手方向軸に沿って延びる長手方向キャビティを有する本体を含む。本体(すなわちダイ)の一端には、長手方向キャビティと連通するソケットが設けられている。ソケットとは、ダイの外面内に形成された窪んだまたは凹んだゾーンを意味する。
【0014】
雄要素は延伸ロッドを備える。延伸ロッドは長手方向キャビティにスライド可能に挿入される。延伸ロッドは、その一端に、末端部分を含む。延伸ロッドはまた、長手方向軸に沿って延在し且つ末端部分に接続された細長い本体を備える。好ましくは、末端部分の長手方向断面は延伸ロッドの細長い本体の長手方向断面よりも大きい。延伸ロッドは格納位置と引出位置との間でダイに対して移動可能(スライド可能)である。格納位置では、末端部分はソケット内に収納されており、したがって、ダイと共に、末端部分は形成キャビティを画定するのに寄与する。格納位置では、延伸ロッドの細長い本体は長手方向キャビティ内に収容される。引出位置では、末端部分はソケットから引き出されてパリソンを伸ばす。引出位置では、延伸ロッドの細長い本体は、部分的に長手方向キャビティの内側に収容され且つ部分的にその外側にある。
【0015】
雄要素は、パリソンをブロー成形して容器を形成するための空気流の通路を備える。
【0016】
延伸およびブロー成形中、雄要素は、雌要素の代わりに使用されるブロー成形キャビティと関連付けられることに留意されたい。ブロー成形キャビティは、形成される容器の形状を持つ。
【0017】
好ましくは、ダイは、冷却流体の流れを可能にするように構成された冷却回路を内部に含む。冷却流体は、例えば水であり得る。
【0018】
一例では、空気流の通路は長手方向キャビティの一部によって形成される。一例では、空気流の通路は、延伸ロッドの外面と長手方向キャビティを画定する本体の内面との間に長手方向キャビティの一部によって形成される。考えられる代替案として、空気流の通路は延伸ロッドの内部に形成されてもよい。
【0019】
空気流の通路は、長手方向キャビティの一部によって形成されるギャップを含んでもよい。好ましくは、空気流の通路は、延伸ロッドの外面と長手方向キャビティを画定するダイの内面との間に長手方向キャビティの一部によって形成されるギャップを含む。
【0020】
一例では、空気流の通路は、延伸ロッドの外面と長手方向キャビティを画定する本体の内面との間に長手方向キャビティの一部によって形成されるギャップを含む。
【0021】
実際には、延伸ロッドは、長手方向キャビティを画定するダイ本体の内壁から少なくとも部分的に離間しているので、空気流の通過を可能にするように構成されたギャップは延伸ロッドとダイ本体の内壁との間に規定される。ギャップは長手方向軸に沿って延びる。ギャップはソケットまで延びており、そこには空気流を排出することを可能にする出口があることに留意されたい。好ましくは、格納位置では、延伸ロッドの末端部分は空気がギャップから形成キャビティに流れるのを防止するために出口を塞ぐ。一方、引出位置では、末端部分はソケットから離れているので、出口は開いておりギャップから空気が流れることを可能にする。
【0022】
好ましくは、ギャップは、(少なくとも部分的に)管状の形状を有し、延伸ロッドを取り囲む。出口は環状の形状である。
【0023】
好ましくは、雄要素は、引出位置から格納位置へ、および格納位置から引出位置への延伸ロッドの動作を駆動するように構成された作動ユニットを備える。一実施形態では、雄要素はまた、引出位置から格納位置への延伸ロッドの動作を遅くするように構成された減衰装置を備える。減衰装置は、作動ユニットに関連付けられている。より具体的には、減衰装置は、延伸ロッドの引出位置から格納位置への移動の終わりに延伸ロッドを減速させるように構成されている。実際、延伸ロッドがあまりにも速い速度でストロークの終わりに達したら、衝撃によって延伸ロッドが損傷するだろう。
【0024】
一実施形態では、雄要素は、延伸ロッドに接続された第1の端部と、第1の端部の反対側の第2の端部との間に延在するディフューザロッドを備える。一実施形態では、ディフューザロッドの第1の端部は、ねじ結合によって延伸ロッドに接続される。より具体的には、ディフューザロッドの第1の端部は、延伸ロッドのねじ付き端部がねじ込まれるねじ付きキャビティを規定する。作動ユニットは、ディフューザロッドの第2の端部に接続され、延伸ロッドの引出位置に対応する第1の位置と、延長ロッドの格納位置に対応する第2の位置との間で、ディフューザロッドを動かすように構成されている。このように、作動ユニットはディフューザロッドを動かし、ディフューザロッドは延伸ロッドを動かす。好ましくは、減衰装置は、ディフューザロッドの第2の端部(すなわち、ディフューザロッドと作動ユニットとの間の接続ゾーン)に取り付けられ、第1の位置から第2の位置へのディフューザロッドの動きを遅くするように構成される。減衰装置は、好ましくは、第1の位置から第2の位置へのディフューザロッドの移動の終わりにディフューザロッドを減速させるように構成される。これにより、延伸ロッドおよび/または延伸ロッドとディフューザロッドとの間のねじ接続部の破損が回避される。より具体的には、減衰装置は、ディフューザロッドの第2の端部に取り付けられたばねを含んでもよい。
【0025】
一実施形態では、雄要素は、延伸ロッドまたは延伸ロッドがスライドする長手方向キャビティを含まなくてもよいことに留意されたい。実際、この実施形態では、ダイは雄要素の上部に対して引込可能であるので、上部と共に、形成キャビティを画定するのに寄与する格納位置と、特許文献US10781010B2に記載されているのと同じ方法でパリソンを伸ばすように構成された引出位置との間で移動できる。この実施形態では、空気の通路はダイ内部に形成される。冷却回路もダイ内部に形成される。
【0026】
冷却回路は、冷却流体をダイの端部に向かって循環させるための少なくとも1つの送出ダクトと、ダイの端部から戻る冷却流体を循環させるための少なくとも1つの戻りダクトとを含む。戻りダクトは送出ダクトに直列に接続されている。
【0027】
一実施形態では、送出ダクトおよび/または戻りダクトはコイル形状である、すなわち、複数の通路またはコイルを通して冷却流体を案内するように構成される。より具体的には、送出ダクトおよび/または戻りダクトは、螺旋形状であってもよい。一実施形態では、送出ダクトおよび/または戻りダクトは、各々が二重螺旋形状を有するように螺旋状に成形されてもよい。一実施形態では、送出ダクトは、長手方向軸の周りに巻かれた第1の螺旋形状を有し、戻りダクトは、長手方向軸の周りに巻かれた第2の螺旋形状を有する。より具体的には、第1の螺旋の少なくとも一巻きは、長手方向軸に沿って、第2の螺旋の第1の一巻きと第2の一巻きとの間に配置される。
【0028】
一例では、空気流の通路は、冷却回路に対して分離されている。好ましくは、空気流の通路および冷却回路は、別個の導管を規定する。
【0029】
一例では、本体は、内面の反対側、すなわち少なくとも部分的に長手方向キャビティを規定する表面の反対側の外面を有する。好ましくは、冷却回路は、本体の外面と少なくとも接触している。
【0030】
実際、冷却回路が本体の外面と接触している間、空気流の通路(またはギャップ)は本体の内面と接触しているので、冷却回路および空気流の通路は別個の導管を規定する。
【0031】
一実施形態では、ダイは本体の周りに取り付けられたライナーを備え、冷却回路は本体とライナーとの間に形成される。より具体的には、ライナーに面する本体の外面には、ライナーの内面の対応する部分と共に冷却流体用のダクトを画定するように作用する凹面を形成するように溝が付けられている。好ましくは、本体の外面はまた、ライナーと接触する接触または支持ゾーンを有する。
【0032】
本体の周りに取り付け且つ支持されたライナーおよび溝付き本体により規定される構造により、ライナーを比較的薄く形成することが可能であり、したがって、熱抵抗が小さく、それによって冷却効率が良くなる。
【0033】
好ましくは、雄要素は、雌要素の環状周縁部に対して当接するように構成された当接要素、支持要素および当接要素と支持要素との間に接続された弾性要素を備える。支持要素はダイに接続されている。好ましくは、ダイは支持要素に対して移動可能である。当接要素は、弾性要素が当接要素を支持要素から離れた状態に保つ休止位置と、当接要素が支持要素と接触する作業位置との間で、支持要素に対して移動可能である。当接要素は、雌要素によって当接要素に加えられる圧力の効果によって作業位置に配置できる。より具体的には、金型が雄要素および雌要素が互いに接近して形成キャビティを画定する閉構成にある場合に、雌要素は当接要素に圧力を加える。作業位置では、弾性要素は圧縮され、当接要素は支持要素に接近する。弾性要素は、金型を閉じる作動ユニットのわずかな不正確さが存在する場合でも、雌要素が雄要素と良好に接触することを保証する。
【0034】
好ましくは、金型はまた、雌要素がもはや当接要素に圧力を加えない場合でも、当接要素と係合して当接要素を作業位置に保つように構成されたロック装置を備える。実際、雌要素によって加えられる圧力がなく且つロック装置がない場合、当接要素は、弾性要素の作用の下で、支持要素から離れた休止位置に落ち着く傾向がある。
【0035】
ロック装置は、当接要素を作業位置にロックするロック位置に配置可能である。ロック装置はまた、当接要素と干渉しない休止位置に配置可能であり、当接要素を支持要素から離れた休止位置に配置することを可能にする。金型が閉じられている最中、ロック装置は休止位置にあり、当接要素は雌要素によって当接要素に加えられる圧力の効果によって作業位置に移動する。金型が閉じられると、ロック装置が作動して、当接要素と係合する作業位置に配置される。次いで、金型が開かれると(すなわち、雌要素が雄要素から取り外されて離されると)、当接要素はロック装置のおかげで作業位置に留まる。これは、パリソンが形成されたばかりでダイに掛かっている場合に当接要素が作業位置から休止位置へ不必要に移動するのを防止する。この不必要な移動は、パリソンをダイから引き離す傾向があり、パリソンがダイから外れる、および/またはパリソンの表面欠陥を引き起こし、上に述べたように、これらが防止される、または少なくとも軽減される。
【0036】
本開示はまた金型を提供する。金型は、パリソンをフォーミングおよびブロー成形するように構成されている。好ましくは、金型は、熱可塑性材料の用量からパリソンを圧縮成形するように構成されている。しかしながら、金型は、パリソンを射出成形または射出圧縮成形するように構成されてもよい。
【0037】
金型は、本開示の1つまたは複数の態様による雄要素を備える。金型は、パリソンを形成する形成キャビティを画定するために雄要素と関連付け可能である雌要素を備える。金型はまた、パリソンから容器を形成するためのブロー成形キャビティを画定するために、雌要素の代わりに雄要素と関連付け可能であるブロー成形キャビティを備える。
【0038】
金型は、雄要素が雌要素に関連付けられた形成構成を有する(すなわち、形成構成で動作可能である)。形成構成では、ブロー成形キャビティは雄要素から離れている。ダイに対して移動可能な延伸ロッドが存在する実施形態では、延伸ロッドは、形成構成では、格納位置にある。ダイが雄要素の上部に対して移動可能である実施形態では、ダイは、形成構成では、上部に近接している。
【0039】
金型は、雄要素がブロー成形キャビティに関連付けられた延伸およびブロー成形構成を有する(すなわち、延伸およびブロー成形構成で動作可能である)。延伸およびブロー成形構成では、雌要素は雄要素から離れている。ダイに対して移動可能な延伸ロッドが存在する実施形態では、延伸ロッドは、延伸およびブロー成形構成では、引出位置にある。ダイが雄要素の上部に対して移動可能である実施形態では、ダイは、延伸およびブロー成形構成では、上部から抽出されている、すなわち離れている。
【0040】
金型はまた、雌要素が用量を受け取るために雄要素から離れている用量受取構成を有する。好ましくは、金型は、用量を雌要素のキャビティに挿入する用量挿入装置から用量を受け取る。好ましくは、用量挿入装置は用量を雌要素のキャビティ内に押し出す。
【0041】
好ましくは、雄要素のダイは、形成構成では、延伸およびブロー成形構成におけるのと同一の垂直高さに配置される。一方、延伸ロッドは延伸のために抽出されてから下に移動する。したがって、パリソンは形成後で且つ伸ばされる前に下向きの動きを実行しない(実際、パリソンはダイに取り付けられたままである)。
【0042】
本開示はまた、本開示の1つまたは複数の態様による複数の金型を備えるフォーミングおよびブロー成形機を提供する。機械は、好ましくは、回転カルーセルを備え、回転カルーセルには、複数の金型が回転カルーセルの円形周縁部に配置され、好ましくは等間隔に配置される。
【0043】
本開示はまた、パリソンのフォーミングおよびブロー成形のための方法を提供する。好ましくは、パリソンは圧縮成形によって形成される。したがって、本方法は、好ましくは、予め準備された熱可塑性材料の用量を金型内に受け取るステップと、その用量からパリソンを形成するステップとを含む。他の実施形態では、パリソンは、射出成形または射出圧縮成形によって形成され得る。
【0044】
パリソンは、金型の雄要素および雌要素によって画定された形成キャビティ内で形成される。雄要素は、長手方向軸に沿って延びるダイであって、本体を含むダイを備える。好ましくは、本体は、その内部に、長手方向軸に沿って延びる長手方向キャビティと、その一端に、長手方向キャビティと連通するソケットとを有する。
【0045】
好ましくは、本方法は、容器を形成するためにパリソンを延伸およびブロー成形するステップを含み、当該ステップにおいてブロー成形は、雄要素の通路に空気流を吹き込むことを含む。
【0046】
好ましくは、雄要素はまた、長手方向キャビティにスライド可能に挿入され且つその一端に末端部分を含む延伸ロッドを備える。延伸ロッドはダイに対して移動可能、つまりスライド可能である。形成ステップでは、延伸ロッドは格納位置にあり、格納位置では、末端部分はソケット内に収容されてダイと共に形成キャビティを画定するのに寄与する。延伸ステップでは、延伸ロッドは引出位置にあり、引出位置では、末端部分はソケットから引き出されてパリソンを伸ばす。したがって、本方法は、延伸ロッドを格納位置から引出位置に移動させることを含む。
【0047】
好ましくは、本方法は、ダイ内部の冷却回路に冷却流体を通すことによってダイを冷却するステップを含む。
【0048】
一実施形態では、本方法はまた、減衰装置を用いて引出位置から格納位置への延伸ロッドの動きを遅くするステップを含む。
【0049】
一実施形態では、雄要素は、雌要素の環状周縁部に対して当接するように構成された当接要素、支持要素および当接要素と支持要素との間に接続された弾性要素を備える。この実施形態では、本方法は、弾性要素が当接要素を支持要素から離れた状態に保つ休止位置と、当接要素が支持要素と接触する作業位置との間で当接要素を支持要素に対して移動させるステップを含む。当接要素は、金型が閉じられている最中に雌要素によって当接要素に加えられる圧力の効果によって作業位置に配置される。この実施形態では、本方法はまた、金型が開かれている最中に、雌要素が当接要素に圧力を加えていなくても当接要素が作業位置に留まるように、当接要素と係合するロック装置を用いて当接要素を作業位置にロックすることを含んでもよい。したがって、ロック装置は、延伸およびブロー成形のステップの後、当接要素から取り外される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
これらおよび他の特徴は、添付の図面に非限定的な例として示される好ましい実施形態の以下の説明からより明らかになるであろう。
図1】本開示の1つまたは複数の態様による金型を示す。
図2図1の金型の詳細を示す。
図3A】形成構成にあり且つ延伸ロッドが格納位置にある図1の金型の詳細を示す。
図3B】延伸ロッドが引出位置にある図1の金型の雄要素を示す。
図4図1の金型の雄要素の本体を示す。
図5図1の金型の雄要素の延伸ロッドを駆動するための作動ユニットを示す。
図6A】開構成または用量受取構成の図1の金型を示す。
図6C】閉構成または形成構成の図1の金型を示す。
図6B図6Aおよび図6Cに示された構成の中間の構成にある図1の金型を示す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
添付の図面を参照すると、数字10は金型を示す。
【0052】
金型10は、雄要素100および雌要素200を備え、雄要素100および雌要素200は、用量2を受け取るためにそれらが離れている開構成と、用量2からパリソンを形成するための形成キャビティ20を画定するためにそれらが接近している閉構成との間で、移動可能である。
【0053】
金型10はまた、パリソンから容器を形成するために雌要素200の代わりに雄要素100と関連付け可能であるブロー成形キャビティ(図示せず)を備える。
【0054】
雄要素100はダイ110を備える。ダイ110は長手方向軸に沿って端部110Aまで延びる。ダイ110は長手方向軸Aに沿って雄要素110の残りの部分から突出する。したがって、ダイ110は、雌要素200に挿入されるように構成された、雄要素100の突出部を形成する。
【0055】
ダイ110は、その長手方向の端部110Aにソケット111または凹部を有する。ダイ110は、その内部に、長手方向軸Aに沿って延びる長手方向キャビティ113を有する。長手方向キャビティ113は、ソケット111と連通している、すなわち、ソケット111に開口している。
【0056】
雄要素100はまた、長手方向キャビティ113にスライド可能に挿入された延伸ロッド120を備える。延伸ロッド120は、長手方向軸Aに沿って延びる細長い本体と、細長い本体の一端に接続された末端部分121とを有する。末端部分121は、細長い本体よりも幅広である。好ましくは、末端部分121の長手方向断面は、細長い本体から離れるにつれて次第に幅広になる。延伸ロッド120は、細長い本体が長手方向キャビティ113に挿入され且つ末端部分121がソケット111に挿入された格納構成と、細長い本体が長手方向キャビティ113から部分的に引き出され且つ末端部分121がソケット111から引き出された引出位置との間で、移動可能である。末端部分121は、断面において長手方向キャビティ113よりも大きいので、長手方向キャビティ113に入ることができないことに留意されたい。好ましくは、末端部分121は、フレア形状である。
【0057】
ダイ110はまた、冷却流体の循環を可能にするように構成された冷却回路114を含む。冷却回路114は、ダイ110の端部110Aの近くまで流体を案内するための送出ダクト117Aと、ダイ110の端部110Aから戻る流体を案内するための戻りダクト117Bとを備える。好ましくは、送出ダクト117Aは、長手方向軸Aの周りに巻かれた第1の螺旋形状を有し、戻りダクト117Bは、長手方向軸Aの周りに巻かれた第2の螺旋形状を有する。第1の螺旋と第2の螺旋は、互いの周りに巻き付けられる。したがって、第1の螺旋の少なくとも一巻きは、第2の螺旋の2つの連続する一巻きの間に配置され、第2の螺旋の少なくとも一巻きは、第1の螺旋の2つの連続する一巻きの間に配置される。螺旋形状の送出ダクト117Aおよび戻りダクト117Bは、ダイ110のゾーンであって、その断面が端部110Aに向かって収束するダイ110のゾーンに配置される。冷却回路114はまた、冷却流体の流れをまとめるために送出ダクト117Aに接続された送出マニホルド117A’と、戻りダクト117Bに接続されてそこから冷却流体を抽出する戻りマニホルド117B’とを備える。送出マニホルド117A’および戻りマニホルド117B’は、長手方向軸Aに平行に延びる。したがって、冷却流体は、送出マニホルド117A’を下って、送出ダクト117Aに沿ってダイ110の端部110Aの近くまで流れ、その後、戻りダクト117Bに沿って戻りマニホルド117B’を上る。
【0058】
送出ダクト117Aと戻りダクト117Bとの間の接続ゾーンにおいて、冷却流体が漏れるのを防止するために、ダイ110の端部110Aに近接して、長手方向キャビティ113を取り囲むOリングがある。
【0059】
好ましくは、ダイ110は本体112を備える。ダイ110はまた、本体112の周りに取り付けられたライナー116を備える。送出ダクト117Aおよび戻りダクト117Bは、本体112とライナー116との間に形成される。より具体的には、本体112には、ライナー116の対応する内面部分と共に、ダクトシステム117を画定する窪みを作成するために溝が付けられている。ダクトシステム117は、冷却流体用のダクト117Aおよび117Bを規定する。本体112はまた、ライナー116が支持される支持面112Aを規定する溝のないゾーンを有する。好ましくは、送出ダクト117Aの各一巻きと戻りダクト117Bの隣接する一巻きとの間に支持面112Aが規定される。
【0060】
延伸ロッド120は、長手方向キャビティ113を規定する本体112の壁から離れていることに留意されたい。したがって、延伸ロッドと、長手方向キャビティ113を規定する本体112の壁との間にギャップ115がある。ギャップ115は、延伸ロッド120の周りに管状の形状を有する。図示の実施形態では、ギャップ115は、ダイ110の端部110Aから遠いゾーンで幅広で、ダイ110の端部110Aに近いゾーンで幅狭である。ギャップ115は、パリソンをブロー成形するために使用される空気流を導くように構成される。実際には、パリソンが形成されると、パリソンはブロー成形されて容器が形成される。ギャップ115は、長手方向軸Aに沿ってソケット111まで延び、そこでブロー成形空気が放出される出口115Aを有する。
【0061】
延伸ロッド120が格納位置にあるとき、末端部分121は出口115Aを塞ぐ。延伸ロッド120が引出位置にあるとき、出口115Aは開いており、ブロー成形空気がギャップ115から流れることを可能にする。
【0062】
延伸ロッド120は、末端部分とは反対側のその端部で、ディフューザロッド122に接続されている。同じく雄要素100の一部を形成するディフューザロッド122は、延伸ロッド120に接続された第1の端部122Aと、第1の端部122Aの反対側の第2の端部122Bとの間で長手方向軸Aに沿って延びる。第1の端部122Aは、延伸ロッド120のねじ付き端部がねじ込まれるリードナットを規定する。したがって、ディフューザロッド122は、延伸ロッド120に一体的に接続されている。好ましくは、ディフューザロッド122は、断面において延伸ロッド120よりも大きい。
【0063】
ディフューザロッド122の第2の端部122Bは、ディフューザロッド122および延伸ロッド120を動かすように構成された作動ユニット130に接続されている。より具体的には、作動ユニット130は、格納位置と引出位置との間で延伸ロッド120を移動させる。
【0064】
一実施形態では、雄要素100または金型10は、ディフューザロッド122の第2の端部122Bに接続された減衰装置140を備える。減衰装置140は、例えば、ディフューザロッド122の第2の端部122Bの周りに巻かれたばねを含んでもよい。減衰装置140は、引出位置から格納位置への延伸ロッド120の動きに対応するディフューザロッド122の動きを減衰させるように構成される。これにより、ディフューザロッド122の端部122Bと作動ユニット130との間の衝撃がディフューザロッド122および/または延伸ロッド120、および/またはディフューザロッド122と延伸ロッド120との間のねじ接続を破壊することが防止される。
【0065】
一実施形態では、雄要素100はまた、ダイ110を取り囲み且つ金型10が閉じるとき、すなわち、金型10の形成構成において、雌要素200の環状周縁部に対して当接するように構成された当接要素11を備える。雄要素100はまた、支持要素12および弾性要素13(例えば、ばね)を備え、当接要素11は、弾性要素13によって支持要素12に接続されている。弾性要素13は、停止時に、当接要素11を支持要素12から離れた状態に保つ傾向がある。
【0066】
金型10が閉じるとき、雌要素200が移動して当接要素11と接触し、そこに圧力を加えて当接要素11を支持要素12に近づけ、それによって弾性要素13を圧縮する。したがって、雄要素100に向かう雌要素200の変位s1は、支持要素12に向かう当接要素11の変位s2を生じ、s2はs1よりも小さい。このようにして、雌要素200のストロークが正確に適合していなくても、雄要素100との接触が保証される。
【0067】
パリソンが形成された後に雌要素200が雄要素100から離れるときに、当接要素11が支持要素12から離れてパリソンがダイ110から離れるのを防ぐために、雄要素100には、当接要素11と機械的に係合するように構成されたロック装置が設けられている。ロック装置のおかげで、当接要素11は支持要素12に対して静止したままであり、弾性要素13のばねは、雌要素200が当接要素11から離れるときであっても圧縮されたままである。
【0068】
参照用に英数字順に列挙された以下の段落は、本発明を説明する非限定的な例示モードである。
A.
予め準備された熱可塑性材料の用量(2)からパリソンを圧縮成形するための金型(10)の雄要素(100)であって、雄要素(100)はパリソンを形成するための形成キャビティ(20)を画定するために金型(10)の雌要素(200)と関連付け可能であり、雄要素(100)は、長手方向軸(A)に沿って延在するダイ(110)であって、本体(112)を含むダイ(110)を備える、雄要素(100)。
A1.
パリソンをブロー成形して容器を形成するための空気流の通路を備える、段落Aに記載の雄要素。
A1.1.
ダイは、その内部に、長手方向軸(A)に沿って延びる長手方向キャビティ(113)と、その一端に、長手方向キャビティ(113)と連通するソケット(111)とを有し、雄要素は、長手方向キャビティ(113)にスライド可能に挿入された延伸ロッド(120)であって、その一端に末端部分(121)を含む延伸ロッド(120)を備え、延伸ロッド(120)は、末端部分(121)がソケット(111)内に収容されてダイ(110)と共に形成キャビティ(20)を画定するのに寄与する格納位置と、末端部分(121)がパリソンを伸ばすようにソケット(111)から引き出された引出位置との間で、ダイ(110)に対して移動可能である、段落A1に記載の雄要素。
A1.1.1.
空気流の通路は、延伸ロッド(120)の外面と長手方向キャビティ(113)を画定するダイ(110)の内面との間に、長手方向キャビティ(113)の一部によって形成されたギャップ(115)を含む、段落A1.1に記載の雄要素。
A1.1.1.1.
ギャップ(115)はソケット(111)まで延在し、そこには空気流を排出することを可能にする出口(115A)があり、延伸ロッド(120)の末端部分(121)は、格納位置で、空気がギャップ(115)から形成キャビティ(20)に流れ込むのを防止するために出口(115A)を塞ぎ、引出位置で、出口(115A)が開いて空気がギャップ(115)から流れることを可能にするように、ソケット(111)から離れており、ギャップ(115)は、好ましくは、延伸ロッドを取り囲む管状の形状を有する、段落A1.1.1に記載の雄要素。
A1.2.
引出位置から格納位置へ、および格納位置から引出位置への延伸ロッド(120)の動作を駆動するように構成された作動ユニット(130)と、
作動ユニット(130)に関連付けられ且つ引出位置から格納位置への延伸ロッド(120)の動きを遅くするように構成された減衰装置(140)と、を備える段落A1.1からA1.1.1.1のいずれか一つに記載の雄要素。
A1.2.1.
好ましくはねじ結合によって延伸ロッド(120)に接続された第1の端部(122A)と、第1の端部(122A)と反対側の第2の端部(122B)との間に延在するディフューザロッド(122)を備え、
作動ユニット(130)は、ディフューザロッド(122)の第2の端部(122B)に接続され且つ延伸ロッド(120)の引出位置に対応する第1の位置と延伸ロッド(120)の格納位置に対応する第2の位置との間で、ディフューザロッド(122)を動かすように構成されており、
減衰装置(140)は、ディフューザロッド(122)の第2の端部(122B)に取り付けられ且つ第1の位置から第2の位置へのディフューザロッド(122)の動きを遅くするように構成される、段落A1.2に記載の雄要素。
A1.2.1.1.
減衰装置(140)は、ディフューザロッド(122)の第2の端部(122B)に取り付けられたばねを含む、段落A1.2.1に記載の雄要素。
A2.
上部をさらに備え、ダイ(110)は、上部と共に形成キャビティ(20)を画定するのに寄与する格納位置と、パリソンを伸ばすように構成された引出位置との間で移動できるように、上部に対して引込可能である、段落AまたはA1に記載の雄要素。
A3.
ダイ(110)は、その内部に、冷却流体が流れるように構成された冷却回路(114)を含む、段落AからA2のいずれか一つに記載の雄要素。
A3.1.
冷却回路は、冷却流体をダイの端部に向かって循環させるための送出ダクトと、ダイの端部から戻る冷却流体を循環させるための戻りダクトとを含み、戻りダクトは、送出ダクトに直列に接続されている、段落A3に記載の雄要素。
A3.1.1.
送出ダクト(117A)は長手方向軸(A)の周りに巻かれた第1の螺旋形状を有し、戻りダクト(117B)は長手方向軸(A)の周りに巻かれた第2の螺旋形状を有し、第1の螺旋の少なくとも一巻きは、長手方向軸(A)に沿って、第2の螺旋の第1の一巻きと第2の一巻きとの間に配置される、段落A3.1に記載の雄要素。
A3.1.2.
ダイ(110)は、本体(112)の周りに取り付けられたライナー(116)であって、形成キャビティ(20)を画定するために金型(10)の雌要素(200)と共に作用する外面と本体(112)の外面と接触する内面とを有するライナー(116)を備え、冷却回路は、本体(112)とライナー(116)との間に形成されたダクトシステム(117)を備える、段落A3.1またはA3.1.1に記載の雄要素。
A3.1.2.1.
ダクトシステム(177)を画定するためにライナー(116)の内面の対応する部分と共に作用する窪み面(112A)を形成するように、本体(112)の外面には溝が付けられている、段落A3.1.2に記載の雄要素。
A4.
雌要素(200)の環状周縁部に対して当接するように構成された当接要素(11)と、
支持要素(12)と、
当接要素(11)と支持要素(12)との間に接続された弾性要素(13)と、を備え、当接要素(11)は、弾性要素(13)が当接要素(11)を支持要素(12)から離れた状態に保つ休止位置と、当接要素(11)が支持要素(12)と接触する作業位置との間で、支持要素(12)に対して移動可能であり、当接要素(11)は、雌要素(200)によって当接要素(11)に加えられる圧力の効果によって作業位置に配置でき、
金型(10)はまた、当接要素(11)と係合して雌要素が当接要素に圧力を加えなくなったときでも当接要素を作業位置に保つように構成されたロック装置を備える、段落AからA3.1.2.1.のいずれかに記載の雄要素。
A4.1.
ロック装置は、当接要素と係合するロック位置と、当接要素から解放される休止位置との間で移動可能である、段落A4に記載の雄要素。
B00.
所定量の熱可塑性材料からパリソンを成形するための金型(10)であって、
段落AからA4.1のいずれかに記載の雄要素(100)と、
用量(2)からパリソンを形成する形成キャビティ(20)を画定するために雄要素(100)と関連付け可能である雌要素(200)と、を備え、
金型(10)は、形成キャビティ(20)内でパリソンを形成するために雄要素(100)が雌要素(200)と関連付けられた形成構成を有する、金型(10)。
B01.
パリソンの射出成形のための段落B00に記載の金型(10)。
B02.
所定量の熱可塑性材料が熱可塑性材料の用量(2)から用量を形成する(用量は加工可能である)、パリソンの圧縮成形のための段落B00に記載の金型(10)。
B.
熱可塑性材料の用量(2)からパリソンを圧縮成形するための金型(10)であって、
段落AからA4.1のいずれかに記載の雄要素(100)と、
用量(2)からパリソンを形成する形成キャビティ(20)を画定するために雄要素(100)と関連付け可能である雌要素(200)と、を備え、
金型(10)は、形成キャビティ(20)内でパリソンを形成するために雄要素(100)が雌要素(200)と関連付けられた形成構成を有する、金型(10)。
B1.
容器がパリソンから形成されるブロー成形キャビティを画定するために雌要素(200)の代わりに雄要素(100)と関連付け可能であるブロー成形キャビティを備え、金型は、雄要素(100)がブロー成形キャビティと関連付けられてパリソンを延伸およびブロー成形する延伸およびブロー成形構成を有する、段落BまたはB00またはB01またはB02に記載の金型(10)。
C.
パリソンの圧縮成形およびブロー成形の方法であって、
予め準備された熱可塑性材料の用量(2)を金型(10)内に受け取るステップと、
金型(10)の雄要素(100)および雌要素(200)によって画定される形成キャビティ内で用量(2)からパリソンを形成するステップであって、雄要素(100)は長手方向軸(A)に沿って延在するダイ(110)であって、本体(112)を含むダイ(110)を備える、ステップと、
容器を形成するためにパリソンを延伸およびブロー成形するステップと、を含む方法。
C1.
ダイ内部の冷却回路(114)に冷却流体を通すことによってダイ(110)を冷却するステップを含む、段落Cに記載の方法。
C2.
本体は、その内部に、長手方向軸(A)に沿って延びる長手方向キャビティ(113)と、その一端に、長手方向キャビティと連通するソケット(111)とを有し、雄要素は、長手方向キャビティ(113)にスライド可能に挿入された延伸ロッド(120)であって、その一端に末端部分を含む延伸ロッド(120)を備え、方法は、末端部分(121)がソケット(111)内に収容されてダイ(110)と共に形成キャビティ(20)を画定するのに寄与する格納位置と、末端部分(121)がソケット(111)から引き出されてパリソンを伸ばす引出位置との間で延伸ロッドを動かすステップを含む、段落CまたはC1に記載の方法。
C2.1.
ブロー成形は、空気流を雄要素(100)の通路に吹き込むことを含み、空気流の通路は、延伸ロッドの外面と長手方向キャビティを画定するダイの内面との間に、長手方向キャビティ(113)の一部によって形成されるギャップ(115)を含む、段落C2に記載の方法。
C2.2.
減衰装置を用いて引出位置から格納位置への延伸ロッドの動きを遅くするステップを含む、段落C2またはC2.1に記載の方法。
C3.
雄要素は、
雌要素(200)の環状周縁部に対して当接するように構成された当接要素(11)と、
支持要素(12)と、
当接要素(11)と支持要素(12)との間に接続された弾性要素(13)と、を備え、
本方法は、弾性要素(13)が当接要素(11)を支持要素(12)から離れた状態に保つ休止位置と、当接要素(11)が支持要素(12)と接触する作業位置との間で、当接要素(11)を支持要素(12)に対して移動させるステップを含み、当接要素(11)は、金型が閉じられている最中に雌要素(200)によって当接要素(11)に加えられる圧力の効果によって、作業位置に配置され、
本方法は、当接要素と係合するロック装置を用いて当接要素を作業位置にロックすることを含み、それにより、金型が開かれている最中に、たとえ雌要素が当接要素に圧力を加えていなくても、当接要素は作業位置に留まる、段落CからC2.2のいずれかに記載の方法。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0069】
【文献】WO2008/110887A2
【文献】WO2007107822A2
【文献】US10781010B2
【文献】US8790112B2
【文献】CH431030A
【文献】US2012100241A1
【文献】US4150689A
【文献】US4473515A
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6A-6B】
図6C