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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-10-10
(45)【発行日】2025-10-21
(54)【発明の名称】飲料容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 51/24 20060101AFI20251014BHJP
   A47J 41/00 20060101ALI20251014BHJP
   A47J 41/02 20060101ALI20251014BHJP
【FI】
B65D51/24
A47J41/00 304A
A47J41/02 104A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2025105363
(22)【出願日】2025-06-23
【審査請求日】2025-06-23
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515043956
【氏名又は名称】株式会社アトラス
(74)【代理人】
【識別番号】100167184
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 真一郎
(72)【発明者】
【氏名】中澤 駿
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-168899(JP,A)
【文献】特開2017-200540(JP,A)
【文献】実開平5-1435(JP,U)
【文献】特開2018-87027(JP,A)
【文献】特開2015-193418(JP,A)
【文献】特開2005-312498(JP,A)
【文献】特開2021-143022(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 51/24
A47J 41/00
A47J 41/02
B65D 81/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部と、前記開口部の外側に設けられた被螺合部と、飲料が貯留される貯留部とを備える有底筒状の容器本体と、
前記被螺合部と螺合する螺合部を備え前記開口部を覆う外蓋と、前記外蓋と接合されることで第1の中空部を形成する有底の第1のパーツと、前記飲料を止水するパッキンを備え前記第1のパーツに取り付けられることで前記第1の中空部と別個の第2の中空部を形成する第2のパーツと、
前記第1の中空部及び前記第2の中空部それぞれに配置される第1の断熱部及び第2の断熱部と、
を有することを特徴とする飲料容器。
【請求項2】
前記第2のパーツは、前記第2の断熱部を収納する断熱材収納部と、前記断熱材収納部の端部から突出する嵌合部とを有し、
前記嵌合部は、前記第1のパーツの底部の一部を切り欠いて形成され前記嵌合部の形状に対応して設けられた部位を備える被嵌合部に嵌合する請求項1に記載の飲料容器。
【請求項3】
前記嵌合部は、側部の一部が開口した筒状をなしている請求項2に記載の飲料容器。
【請求項4】
前記第2の断熱部は、前記第2のパーツが取り付けられた前記第1のパーツにより一部が支持され移動が規制される請求項1に記載の飲料容器。
【請求項5】
開口部と、前記開口部の内側に設けられた被螺合部と、飲料が貯留される貯留部とを備える有底筒状の容器本体と、
前記開口部を覆う外蓋と、前記外蓋と接合されることで第1の中空部を形成する有底の第1のパーツと、前記飲料を止水するパッキンを備え前記第1のパーツに取り付けられることで前記第1の中空部と別個の第2の中空部を形成する第2のパーツと、
前記第1のパーツ又は前記第2のパーツに設けられ前記被螺合部と螺合する螺合部と、
前記第1の中空部及び前記第2の中空部それぞれに配置される第1の断熱部及び第2の断熱部と、
を有することを特徴とする飲料容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は飲料容器に関する。
【背景技術】
【0002】
容器本体の栓体が知られている。例えば、上方に開口する容器に装着される栓体であって、容器の開口に嵌め込まれる栓本体と、栓本体の下側に取り付けられるシール部材取付部材と、シール部材取付部材に取り付けられるシール部材と、を備え、シール部材は、容器と栓本体との間をシールする第1シール部、および、栓本体とシール部材取付部材との間をシールする第2シール部を有する栓体が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2024-80414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においては、飲料容器内の飲料が開口部に比較的近い天壁部まで達する。飲料と開口部の距離を離すことで飲料容器内の飲料の熱の変動を抑制することができる。
1つの側面では、本発明は、容器本体内の飲料の熱の変動を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、開示の飲料容器が提供される。この飲料容器は、開口部と、開口部に設けられた被螺合部と、飲料が貯留される貯留部とを備える有底筒状の容器本体と、被螺合部と螺合する螺合部を備え開口部を覆う外蓋と、外蓋と接合されることで第1の中空部を形成する第1のパーツと、飲料を止水するパッキンを備え第1のパーツに取り付けられることで第1の中空部と別個の第2の中空部を形成する第2のパーツと、第1の中空部及び第2の中空部それぞれに配置される第1の断熱部及び第2の断熱部と、を有している。
【発明の効果】
【0006】
1態様では、容器本体内の飲料の熱の変動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施の形態の飲料容器を示す斜視図である。
図2】第1の実施の形態の飲料容器の側部断面図である。
図3】第1の実施の形態の蓋部の展開図である。
図4図3に示す展開図の断面図である。
図5】第1の実施の形態の蓋部を説明する側部断面図である。
図6】第1の実施の形態の蓋部を説明する斜視図である。
図7】第2の実施の形態の飲料容器を示す斜視図である。
図8】第2の実施の形態の飲料容器の側部断面図である。
図9】第2の実施の形態の蓋部の展開図である。
図10図9に示す展開図の断面図である。
図11】第2の実施の形態の蓋部を説明する側部断面図である。
図12】第3の実施の形態の蓋部を説明する側部断面図である。
図13】第3の実施の形態の蓋部の展開図である。
図14図13に示す展開図の断面図である。
図15】第3の実施の形態の蓋部を説明する側部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態の飲料容器を、図面を参照して詳細に説明する。
【0009】
以下の図面等において示す各構成の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、形状、範囲等に限定されない。
実施の形態において単数形で表される要素は、文面で明らかに示されている場合を除き、複数形を含むものとする。
<第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態の飲料容器を示す斜視図である。図2は、第1の実施の形態の飲料容器の側部断面図である。
第1の実施の形態の飲料容器10は、容器本体1と、蓋部2とを有している。
【0010】
容器本体1は、例えば有底筒状の真空二重壁構造であり、飲料を貯留する貯留部11と、貯留部11の飲料が流出する開口部(飲み口)12とを備えている。開口部12の紙面やや下方の外側部には、蓋部2と螺合する被螺合部13が設けられている。また、貯留部11から開口部12に至る間には、貯留部11や開口部12に比べて流路が狭い狭窄部14が設けられている。
容器本体1の構成材料としては例えばステンレス鋼等が挙げられる。
【0011】
蓋部2は、外蓋21と第1の断熱材22とステンレスリング23と中栓上部(第1のパーツ)24とパッキン25と第2の断熱材26と中栓下部(第2のパーツ)27とパッキン28とを有している。
図3は、第1の実施の形態の蓋部の展開図である。図4は、図3に示す展開図の断面図である。図5は、第1の実施の形態の蓋部を説明する側部断面図である。
外蓋21は開口部12を覆う。この外蓋21の構成材料としては特に限定されないが例えばポリプロピレン等の樹脂が挙げられる。
図4及び図5に示すように外蓋21は、挿入部21aと溶着補佐部21bと螺合部21cとを有している。
挿入部21aは、外蓋21の内側の、中栓上部24の後述するステンレス配置部に対応する部位に、外蓋21の天板の内側から突出して配置されている。
【0012】
溶着補佐部21bは、外蓋21の天板の内側から突出して配置されている。この溶着補佐部21bは、挿入部21aとステンレスリング配置部24bの内側の側壁を挟み込むことでステンレスリング配置部24bの位置合わせ用として機能する。また、溶着補佐部21bは、第1の断熱材22の側部の一部を支持することで第1の断熱材22の紙面横方向の移動を規制してもよい。
螺合部21cは、外蓋21の内側の側部に配置されている。この螺合部21cは被螺合部13と螺合する。
【0013】
第1の断熱材22と第2の断熱材26は容器本体1に貯留される飲料の温度変化を抑制(保冷、保温)する。第1の断熱材22の形状は中栓上部24が備える断熱材収納部(次に述べる)の形状に対応して形成されている。本実施の形態では円筒状をなしている。第2の断熱材26の形状は中栓上部27が備える断熱材収納部(後述)の形状に対応して形成されている。本実施の形態では円筒状をなしている。
【0014】
中栓上部24は、断熱材収納部24aとステンレスリング配置部24bと被嵌合部24cと第1パッキン配置部24dとを有している。中栓上部24の構成材料としては特に限定されないが、例えばポリプロピレン等の樹脂が挙げられる。
断熱材収納部24aは有底の円筒状をなしている。
【0015】
ステンレスリング配置部24bは、断熱材収納部24aの上面の開口端部を取り囲むように設けられた溝を有している。このステンレスリング配置部24bにはステンレスリング23が配置されている。
【0016】
この中栓上部24はステンレスリング23によって外蓋21に固定されている。具体的には、ステンレスリング配置部24bにステンレスリング23が配置され、挿入部21aが挿入された状態でステンレスリング23に電磁誘導で熱を発生させることでステンレスリング23の周辺のステンレスリング配置部24bの樹脂を溶かして中栓上部24と挿入部21aを溶着する。また、溶着補佐部21bも溶着することで溶着する樹脂の面積(溶着面積)を増やすことができる。外蓋21と断熱材収納部24aによって囲まれた空間は第1の中空部の一例である。この空間に第1の断熱材22が配置されている。
図6は、第1の実施の形態の蓋部を説明する斜視図である。
【0017】
被嵌合部24cは、断熱材収納部24aの底部の一部を切り欠いて形成されている部位241cと、切り欠きの外側に設けられた平坦な爪受け部242cとを有している。被嵌合部24cの形状は後述する嵌合部の形状に対応して設けられている。爪受け部242cは、後述する爪部が配置される。
再び図4に戻って説明する。
第1パッキン配置部24dは、断熱材収納部24aの下面の開口端部を取り囲むように設けられた溝を有している。
パッキン25は、主に断熱材収納部24a内への液体の流入を抑制する。
【0018】
中栓下部27は断熱材収納部27aと嵌合部27bと第2パッキン配置部27cとを有している。中栓下部27の構成材料としては特に限定されないが、例えばコポリエステル樹脂等が挙げられる。
【0019】
断熱材収納部27aは円筒状をなしている。断熱材収納部27a内には第2の断熱材26が配置されている。図5に示すように第2の断熱材26の径は、断熱材収納部27aの径より少し小さく形成されている。
【0020】
嵌合部27bは、断熱材収納部27aの上部から突出するように配置され、断熱材収納部27aと一体的に形成されている。嵌合部27bは側部の一部が開口した(切り欠かれた)筒状をなしている。嵌合部27bの開口端部には外側に張り出す爪部271bが設けられている。
【0021】
図6に示すように、この爪部271bは部位241cに挿入された状態で爪受け部242cに嵌合している。爪部271bが爪受け部242cに嵌合することで、いわゆる嵌め殺しのようになっており、爪受け部242cから爪部271bを分離させることが困難な構造になっている。また、部位241cの長手方向の弧の長さH1は嵌合部27bの長手方向の弧の長さH2と略同じか若干長くなっている。このため爪部271bが爪受け部242cに嵌合することで、中栓下部27の中栓上部24に対する回転止めとして機能する。
嵌合部27bは側部の一部が開口した筒状をなしていることで、爪部271bを爪受け部242cに嵌合させるときに両者の嵌合が容易となる。
再び図5に戻って説明する。
【0022】
第2の断熱材26は断熱材収納部24aの底部と断熱材収納部27aの下部の支持部271aに取り囲まれる。断熱材収納部24aの底部と断熱材収納部27aによって囲まれた空間は第2の中空部の一例である。
なお、図5では第2の断熱材26の下部と断熱材収納部27aの下部との間に隙間27dが形成されているが、隙間27dはなくてもよい。
【0023】
第2パッキン配置部27cは、中栓下部27の下側の側面を取り囲む部位に配置されている。第2パッキン配置部27cには貯留部11の飲料を止水するパッキン28が本実施の形態では離脱できないように取り付けられている。
【0024】
パッキン25、28の構成材料としては特に限定されないが、例えばシリコーンゴム(Silicone rubber)、熱可塑性エラストマー(thermoplastic elastomer)が挙げられる。
【0025】
この蓋部2を容器本体1に取り付けたとき、パッキン28が狭窄部14の側部に位置してパッキン28より上部に飲料が侵入しないように貯留部11の飲料を止水する。
【0026】
以上述べたように、実施の形態の飲料容器10によれば、開口部12と、開口部12の外側に設けられた被螺合部13と、飲料が貯留される貯留部11とを備える有底筒状の容器本体1と、被螺合部13と螺合する螺合部21cを備え開口部12を覆う外蓋21と、外蓋21と接合されることで第1の中空部を形成する中栓上部24と、飲料を止水するパッキン28を備え中栓上部24に取り付けられることで第1の中空部と分離された第2の中空部を形成する中栓下部27と、第1の中空部及び第2の中空部それぞれに配置される第1の断熱材22及び第2の断熱材26と、を有する。
【0027】
第1の断熱材22と第2の断熱材26を設け、断熱層を二層に分けることで貯留部11の上部から蓋部2の外部への熱伝導率を下げる効果と空気の流動を抑えることができる。従って保温性能が上がる。
【0028】
また、中栓上部24及び中栓下部27を一体成型ではなく別部材で形成することにより、外蓋21及び中栓上部24をポリプロピレン等の樹脂で形成し、中栓下部27をコポリエステル樹脂で形成することができる。これにより、外蓋21、中栓上部24及び中栓下部27の全てをコポリエステル樹脂で形成する場合や、中栓上部24及び中栓下部27をコポリエステル樹脂で形成する場合に比べて価格を抑えることができる。
【0029】
また、中栓下部27は、第2の断熱材26を収納する断熱材収納部27aと、断熱材収納部27aの端部から突出する嵌合部27bとを有し、嵌合部27bは、断熱材収納部24aの底部の一部を切り欠いて形成され嵌合部27bの形状に対応して設けられた部位241cを備える被嵌合部24cに嵌合する。この構造により、中栓上部24と中栓下部27が分解困難になり、また、中栓下部27cの回転止めとしても機能する。
<第2の実施の形態>
図7は、第2の実施の形態の飲料容器を示す斜視図である。図8は、第2の実施の形態の飲料容器の側部断面図である。
第2の実施の形態の飲料容器10aは、容器本体3と、蓋部4とを有している。
【0030】
容器本体3は、例えば有底筒状の真空二重壁構造であり、飲料を貯留する貯留部31と、貯留部31の飲料が流出する開口部(飲み口)32とを備えている。開口部32の紙面やや下方の内側部には、蓋部4と螺合する被螺合部33が設けられている。また、貯留部31から開口部32に至る間には、貯留部31や開口部32に比べて流路が狭い狭窄部34が設けられている。
容器本体3の構成材料としては例えばステンレス鋼等が挙げられる。
【0031】
蓋部4は、外蓋41と第1の断熱材42とステンレスリング43と中栓上部(第1のパーツ)44とパッキン45と第2の断熱材46と中栓下部(第2のパーツ)47とを有している。
【0032】
図9は、第2の実施の形態の蓋部の展開図である。図10は、図9に示す展開図の断面図である。図11は、第2の実施の形態の蓋部を説明する側部断面図である。
外蓋41は開口部32を覆う。この外蓋41の構成材料としては特に限定されないが例えばポリプロピレン等の樹脂が挙げられる。
図10及び図11に示すように外蓋41は、挿入部41aと溶着補佐部41bとを有している。
挿入部41aは、外蓋41の内側の、中栓上部44の後述するステンレス配置部に対応する部位に、外蓋41の天板の内側から突出して配置されている。
【0033】
溶着補佐部41bは、外蓋41の天板の内側から突出して配置されている。この溶着補佐部41bは、挿入部41aとステンレスリング配置部44bの内側の側壁を挟み込むことでステンレスリング配置部44bの位置合わせ用として機能する。また、溶着補佐部41bは、第1の断熱材42の側部の一部を支持することで第1の断熱材42の紙面横方向の移動を規制してもよい。
【0034】
第1の断熱材42と第2の断熱材46は容器本体3に貯留される飲料の温度変化を抑制(保冷、保温)する。第1の断熱材42の形状は中栓上部44が備える断熱材収納部(次に述べる)の形状に対応して形成されている。本実施の形態では円筒状をなしている。第2の断熱材46の形状は中栓上部47が備える断熱材収納部(後述)の形状に対応して形成されている。本実施の形態では円筒状をなしている。
【0035】
中栓上部44は、断熱材収納部44aとステンレスリング配置部44bと螺合部44cと被嵌合部44dとを有している。中栓上部44の構成材料としては特に限定されないが、例えばポリプロピレン等の樹脂が挙げられる。
断熱材収納部44aは円筒状をなしている。
【0036】
ステンレスリング配置部44bは、断熱材収納部44aの上面の開口端部を取り囲むように設けられた溝を有している。このステンレスリング配置部44bにはステンレスリング43が配置されている。
【0037】
この中栓上部44はステンレスリング43によって外蓋41に固定されている。具体的には、ステンレスリング配置部44bにステンレスリング43が配置され、挿入部41aが挿入された状態でステンレスリング43に電磁誘導で熱を発生させることでステンレスリング43の周辺のステンレスリング配置部44bの樹脂を溶かして中栓上部44と挿入部41aを溶着する。また、溶着補佐部41bも溶着することで溶着する樹脂の面積(溶着面積)を増やすことができる。外蓋41と断熱材収納部44aによって囲まれた空間は第1の中空部の一例である。この空間に第1の断熱材42が配置されている。
螺合部44cは断熱材収納部44aの外側の側部に配置されている。この螺合部44cは被螺合部33と螺合する。
【0038】
被嵌合部44dは中栓上部44の下部に配置され、断熱材収納部44aと一体的に形成されている。被嵌合部44dは側部の一部が開口した筒状をなしている。この筒の径は第2の断熱部46の径に対応している。被嵌合部44dの開口端部には外側に張り出す爪部441dが設けられている。
【0039】
中栓下部47は断熱材収納部47aと爪受け部47bと第1パッキン配置部47cと第2パッキン配置部47dとを有している。中栓下部47の構成材料としては特に限定されないが、例えばコポリエステル樹脂等が挙げられる。
断熱材収納部47aは円筒状をなしている。断熱材収納部47a内には第2の断熱材46が配置されている。
【0040】
爪受け部47bは断熱材収納部47aの開口端部の内側に張り出す形で開口端部を取り囲んでいる。この爪受け部47bは爪部441dに嵌合している。被嵌合部44dは側部の一部が開口した筒状をなしていることで、爪部441dを爪受け部47bに嵌合させるときに両者の嵌合が容易となる。このとき、第2の断熱材46の上部が被嵌合部44dに取り囲まれて支持され、第2の断熱材46の下部は断熱材収納部47aの下部の支持部471aにより支持される。被嵌合部44dと断熱材収納部47aによって囲まれた空間は第2の中空部の一例である。この被嵌合部44dは、第2の断熱材46の側部の一部を支持することで第2の断熱材46の紙面横方向の移動を規制する。
なお、図11では第2の断熱材46の下部と断熱材収納部47aの下部との間に隙間47eが形成されているが、隙間47eはなくてもよい。
【0041】
第1パッキン配置部47cは、断熱材収納部47aの上面の開口端部を取り囲むように設けられた溝を有している。この第1パッキン配置部47cには断熱材収納部47a内への液体の流入を抑制するパッキン45が配置されている。
【0042】
第2パッキン配置部47dは、中栓下部47の下側の側面を取り囲む部位に配置されている。第2パッキン配置部47dには貯留部31の飲料を止水するパッキン48が本実施の形態では離脱できないように取り付けられている。
【0043】
パッキン45、48の構成材料としては特に限定されないが、例えばシリコーンゴム(Silicone rubber)、熱可塑性エラストマー(thermoplastic elastomer)が挙げられる。
【0044】
この蓋部4を容器本体3に取り付けたとき、パッキン48が狭窄部34の側部に位置してパッキン48より上部に飲料が侵入しないように貯留部31の飲料を止水する。
【0045】
以上述べたように、実施の形態の飲料容器10aによれば、開口部32と、開口部32の内側に設けられた被螺合部33と、飲料が貯留される貯留部31とを備える有底筒状の容器本体3と、開口部32を覆う外蓋41と、外蓋41と接合されることで第1の中空部を形成する中栓上部44と、飲料を止水するパッキン48を備え中栓上部44に取り付けられることで第1の中空部と分離された第2の中空部を形成する中栓下部47と、中栓上部44に設けられ被螺合部33と螺合する螺合部44cと、第1の中空部及び第2の中空部それぞれに配置される第1の断熱材42及び第2の断熱材46と、を有する。
【0046】
第1の断熱材42と第2の断熱材46を設け、断熱層を二層に分けることで貯留部31の上部から蓋部4の外部への熱伝導率を下げる効果と空気の流動を抑えることができる。従って保温性能が上がる。
【0047】
また、中栓上部44及び中栓下部47を一体成型ではなく別部材で形成することにより、外蓋41及び中栓上部44をポリプロピレン等の樹脂で形成し、中栓下部47をコポリエステル樹脂で形成することができる。これにより、外蓋41、中栓上部44及び中栓下部47の全てをコポリエステル樹脂で形成する場合や、中栓上部44及び中栓下部47をコポリエステル樹脂で形成する場合に比べて価格を抑えることができる。
なお、本実施の形態では螺合部44cは中栓上部44に配置したがこれに限らず螺合部を中栓下部47に配置してもよい。
<第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態の飲料容器について説明する。
【0048】
以下、第3の実施の形態の飲料容器について、前述した第2の実施の形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。また、第2の実施の形態の飲料容器10aと同じ機能を備える部位については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0049】
図12は、第3の実施の形態の飲料容器を示す側部断面図である。図13は、第3の実施の形態の蓋部の展開図である。図14は、図13に示す展開図の断面図である。図15は、第2の実施の形態の蓋部を説明する側部断面図である。
【0050】
第2の実施の形態の飲料容器10bは、容器本体3aと蓋部4aとを有している。飲料容器10bは、主に以下の3つの構成が第2の実施の形態とは異なっている。
(1)螺合構造
【0051】
第2の実施の形態の飲料容器10bは、いわゆる外蓋方式であり、容器本体3aの開口部32の近傍の外側部には、蓋部4aと螺合する被螺合部35が設けられている。また、蓋部4aが備える外蓋410に被螺合部35に螺合する螺合部41cが配置されている。
(2)パッキンの位置
【0052】
第2の実施の形態の飲料容器10bの(パッキン45を配置する)第1パッキン配置部は、中栓下部ではなく、中栓上部に配置されている。具体的には、第2の実施の形態の中栓上部440にパッキン45に対応する形状の第1パッキン配置部44eが設けられている。中栓上部440の外側の形状及びそれに対応する部位の第2の中栓下部470の形状はそれぞれ中栓上部44及び中栓下部47と多少異なってはいる。しかし第1パッキン配置部44eにパッキン45を配置することで断熱材収納部47a内への液体の流入を抑制する点は第2の実施の形態と同様である。
(3)被嵌合部及び爪受け部の形状
【0053】
第2の実施の形態の被嵌合部440dは、側部の一部が開口していない筒状をなしている。他方、第2の実施の形態の爪受け部470bは、側部の一部が開口した筒状をなしている。
第3の実施の形態の飲料容器10bによれば、第2の実施の形態の飲料容器10と同様の効果が得られる。
【0054】
以上、本発明の飲料容器を、図示の実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物や工程が付加されていてもよい。
また、本発明は、前述した各実施の形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【符号の説明】
【0055】
1、3、3a 容器本体
10、10a、10b 飲料容器
11、31 貯留部
12、32 開口部
13、33 被螺合部
14、34 狭窄部
2、4、4a 蓋部
21、41、410 外蓋
21a、41a 挿入部
21b、41b 溶着補佐部
21c、41c、44c 螺合部
22、42 第1の断熱材
23、43 ステンレスリング
24、44、440 中栓上部
24a、44a 断熱材収納部
24b、44b ステンレスリング配置部
24c、44d、440d 被嵌合部
241c 部位
242c、47b、470b 爪受け部
24d、44e、47c 第1パッキン配置部
25、28、45、48 パッキン
26、46 第2の断熱材
27、47、470 中栓下部
27a、47a 断熱材収納部
271a、471a 支持部
27b 嵌合部
271b、441d 爪部
27c、47d 第2パッキン配置部
27d、47e 隙間
【要約】
【課題】容器本体内の飲料の熱の変動を抑制すること。
【解決手段】飲料容器1は、開口部12と、開口部12の外側に設けられた被螺合部13と、飲料が貯留される貯留部11とを備える有底筒状の容器本体1と、被螺合部13と螺合する螺合部21cを備え開口部12を覆う外蓋21と、外蓋21と接合されることで第1の中空部を形成する中栓上部24と、飲料を止水するパッキン28を備え中栓上部24に取り付けられることで第1の中空部と分離された第2の中空部を形成する中栓下部27と、第1の中空部及び前記第2の中空部それぞれに配置される第1の断熱材22及び第2の断熱材26と、を有する。
【選択図】図2
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