(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-10-10
(45)【発行日】2025-10-21
(54)【発明の名称】ロボット支援外科用プラットフォームのための協働的な外科的動作
(51)【国際特許分類】
A61B 34/35 20160101AFI20251014BHJP
【FI】
A61B34/35
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023148327
(22)【出願日】2023-09-13
(62)【分割の表示】P 2020535141の分割
【原出願日】2018-09-26
【審査請求日】2023-09-13
(32)【優先日】2017-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517076008
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Ethicon LLC
【住所又は居所原語表記】#475 Street C, Suite 401, Los Frailes Industrial Park, Guaynabo, Puerto Rico 00969, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】シェルトン・ザ・フォース・フレデリック・イー
(72)【発明者】
【氏名】ハリス・ジェイソン・エル
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/054256(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/193686(WO,A1)
【文献】特開2011-230239(JP,A)
【文献】特表2016-518877(JP,A)
【文献】特表2015-526116(JP,A)
【文献】特表2016-504077(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/30 - 34/37
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボット外科用システムであって、
第1のセンサを備える第1のロボットアームと、
第2のセンサを備える第2のロボットアームと、
プロセッサ及び前記プロセッサに通信可能に結合されたメモリ、を備える制御ユニットと、を備え、前記メモリが、
前記第1のセンサから第1の入力を受信し、
前記第2のセンサから第2の入力を受信し、
前記第1のセンサからの前記第1の入力及び前記第2のセンサからの前記第2の入力に基づいて、前記第1のロボットアーム及び前記第2のロボットアームの協働運動をもたらす、
ための、前記プロセッサによって実行可能な命令を記憶しており、
前記第1のセンサが第1の力センサを含み、前記第2のセンサが第2の力センサを含み、
前記第1のセンサからの前記第1の入力は、前記第1の力センサからの入力であり、前記第2のセンサからの前記第2の入力は、前記第2の力センサからの入力であり、
前記第1の力センサは、前記第1のロボットアームの動作
により前記第1のロボットアームの周囲組織に加えられる
第1の力を感知するように構成されており、
前記第2の力センサは、前記第2のロボットアームの動作
により前記第2のロボットアームの周囲組織に加えられる
第2の力を感知するように構成されている、ロボット外科用システム。
【請求項2】
前記メモリが、前記第1の力センサからの前記第1の入力及び前記第2の力センサからの前記第2の入力を受信すると第1のモードに入るための、前記プロセッサによって実行可能な命令を記憶している、請求項1に記載のロボット外科用システム。
【請求項3】
前記第2の力は、前記第1の力とは
反対向きの
力であり、
前記第1のセンサからの前記第1の入力は、前記第1の力センサによって感知された前記第1の力の大きさを示し、前記第2のセンサからの前記第2の入力は、前記第2の力センサによって感知された前記第2の力の大きさを示し、
前記
協働運動は、前記第1のモード中に、前記第2のロボットアームによって加えられる前記第2の力が増加して、前記第1の力の大きさと前記第2の力の大きさとの合計が所与の閾値に達すると、前記第1のロボットアームによって加えられる前記第1の力を減少させる
ことを含む、請求項2に記載のロボット外科用システム。
【請求項4】
前記第1のセンサが第1の位置センサを更に含み、前記第2のセンサが第2の位置センサを更に含む、請求項1に記載のロボット外科用システム。
【請求項5】
前記メモリが、前記第1の位置センサからの前記第1の入力及び前記第2の位置センサからの前記第2の入力を受信すると第2のモードに入るための、前記プロセッサによって実行可能な命令を記憶するように構成されている、請求項4に記載のロボット外科用システム。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記第1及び第2のロボットアームのうちの1つ
のロボットアームが定められた手術空間の外に移動すると前記第2のモードに入るように構成されている、請求項5に記載のロボット外科用システム。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記第2のモードに入ると、前記第1及び第2のロボットアームのうちの前記1つの
ロボットアームの更なる動きを防止し、及び/又は前記第1及び第2のロボットアームのうちの前記1つ
のロボットアームを前記定められた手術空間内へと戻すように更に構成されている、請求項6に記載のロボット外科用システム。
【請求項8】
前記第1及び第2の力センサは各々、感知された前記力を前記プロセッサに伝送するように構成されており、
前記プロセッサは、前記第1及び第2の力センサから伝送された情報を分析し、組織外傷を引き起こすリスクを低減するために前記第1及び第2のロボットアーム各々の力限界を設定するように構成されている、請求項1に記載のロボット外科用システム。
【請求項9】
前記第1の力は、前記第1のロボットアームの周囲組織を適所に保持し、
前記第2の力は、前記第2のロボットアームによって加えられる後退力又は牽引力である、請求項3に記載のロボット外科用システム。
【請求項10】
ロボット外科用システムであって、
第1のセンサを備える第1のロボットアームと、
第2のセンサを備える第2のロボットアームと、
制御回路であって、
前記第1のセンサから第1の入力を受信し、
前記第2のセンサから第2の入力を受信し、
前記第1のセンサからの前記第1の入力及び前記第2のセンサからの前記第2の入力に基づいて、前記第1のロボットアーム及び前記第2のロボットアームの協働運動をもたらす、
ように構成されている制御回路と、を備え、
前記第1のロボットアームは、前記第1のロボットアームの周囲組織を適所に保持するための保持力を、前記第1のロボットアームの周囲組織に加えるように構成されており、
前記第2のロボットアームは、前記第2のロボットアームの周囲組織に、前記保持力とは反対向きの牽引力を加えるように構成されており、
前記第1のセンサからの前記第1の入力は、前記第1のセンサで検出された前記保持力の大きさを示し、前記第2のセンサからの前記第2の入力は、前記第2のセンサで検出された前記牽引力の大きさを示し、
前記
協働運動は、前記第2のロボットアームによって周囲組織に加えられる前記牽引力が増加して、前記保持力の大きさと前記牽引力の大きさとの合計が所与の閾値に達すると、前記第1のロボットアームによって加えられる前記保持力を減少させる
ことを含む、ロボット外科用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許法第119条(e)の下で、その開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、「AUTOMATIC TOOL ADJUSTMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する2018年3月28日出願の米国特許仮出願第62/649,307号の優先権の利益を主張する。
【0002】
本出願は更に、米国特許法第119条(e)の下で、その各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する2017年12月28日出願の米国仮特許出願第62/611,341号、「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS」と題する2017年12月28日出願の米国仮特許出願第62/611,340号、及び「ROBOT ASSISTED SURGICAL PLATFORM」と題する2017年12月28日出願の米国仮特許出願第62/611,339号の優先権の利益を主張する。
【背景技術】
【0003】
本開示はロボット外科用システムに関する。ロボット外科用システムは、中央制御ユニットと、外科医のコマンドコンソールと、1つ又は2つ以上のロボットアームを持つロボットとを含むことができる。ロボット外科用ツールは、ロボットアームに取り外し可能に取り付けることができる。ロボット外科用ツールの数及び種類は、外科処置の種類によって異なってもよい。ロボット外科用システムは、外科処置中に1つ若しくは2つ以上のディスプレイ及び/又は1つ若しくは2つ以上のハンドヘルド式外科用器具と接続して使用することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一般的な一態様では、ロボット外科用システムが提供される。ロボット外科用システムが、第1の力センサを備える第1のロボットアームと、第2の力センサを備える第2のロボットアームと、制御ユニットと、を備える。制御ユニットは、プロセッサと、プロセッサに通信可能に結合されたメモリとを含む。メモリは、第1の力センサから第1の入力を受信し、第2の力センサから第2の入力を受信し、第1の力センサからの第1の入力及び第2の力センサからの第2の入力に基づいて、負荷制御モードで第1のロボットアーム及び第2のロボットアームの協働運動をもたらす、ための、プロセッサによって実行可能な命令を記憶している。
【0005】
別の一般的な一態様では、ロボット外科用システムが提供される。ロボット外科用システムは、第1のセンサを備える第1のロボットアームと、第2のセンサを備える第2のロボットアームと、制御ユニットと、を備える。制御ユニットは、プロセッサと、プロセッサに通信可能に結合されたメモリとを含む。メモリは、第1のセンサから第1の入力を受信し、第2のセンサから第2の入力を受信し、第1のセンサからの第1の入力及び第2のセンサからの第2の入力に基づいて、第1のロボットアーム及び第2のロボットアームの協働運動をもたらす、ための、プロセッサによって実行可能な命令を記憶している。
【0006】
更に別の一般的な一態様では、コンピュータ可読媒体が提供される。コンピュータ可読媒体は、実行されると、機械に、第1の力センサから第1の入力を受信させ、第2の力センサから第2の入力を受信させ、第1の力センサからの第1の入力及び第2の力センサからの第2の入力に基づいて、負荷制御モードで第1のロボットアーム及び第2のロボットアームの協働運動をもたらさせる、非一時的コンピュータ可読命令を記憶している。
【0007】
別の一般的な一態様では、ロボット外科用システムが提供される。ロボット外科用システムは、第1のセンサを備える第1のロボットアームと、第2のセンサを備える第2のロボットアームと、制御回路と、を備える。制御ユニットは、第1のセンサから第1の入力を受信し、第2のセンサから第2の入力を受信し、第1のセンサからの第1の入力及び第2のセンサからの第2の入力に基づいて、第1のロボットアーム及び第2のロボットアームの協働運動をもたらす、ための、プロセッサによって実行可能な命令を記憶している。
【図面の簡単な説明】
【0008】
様々な態様の特徴が、添付された特許請求の範囲で詳細に説明される。ただし、機構、及び動作の方法の両方についての様々な態様は、それらの更なる目的及び利点と共に、以降の添付図面と併せて、以下の説明を参照することにより最もよく理解されることができる。
【
図1】本開示の少なくとも1つの態様による、コンピュータ実施インタラクティブ外科システムのブロック図である。
【
図2】本開示の少なくとも1つの態様による、手術室内で外科処置を行うために使用される外科システムを示す図である。
【
図3】本開示の少なくとも1つの態様による可視化システム、ロボットシステム、及びインテリジェント器具とペアリングされた外科用ハブを示す図である。
【
図4】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用ハブ筐体、及び外科用ハブ筐体のドロアー内に摺動可能に受け入れ可能な組み合わせ発生器モジュールの部分斜視図である。
【
図5】本開示の少なくとも1つの態様による、双極、超音波、及び単極接点、並びに排煙構成要素を備える組み合わせ発生器モジュールの斜視図である。
【
図6】本開示の少なくとも1つの態様による、複数のモジュールを受け入れるように構成された横方向モジュール式ハウジングの複数の横方向ドッキングポートの個々の電力バスアタッチメントを示す図である。
【
図7】本開示の少なくとも1つの態様による、複数のモジュールを受け入れるように構成された垂直モジュール式ハウジングを示す図である。
【
図8】本開示の少なくとも1つの態様による、医療施設の1つ又は2つ以上の手術室、又は外科処置のための専門設備を備えた医療施設内の任意の部屋に配置されたモジュール式装置をクラウドに接続するように構成されたモジュール式通信ハブを備える外科用データネットワークを示す図である。
【
図9】本開示の少なくとも1つの態様による、コンピュータ実施インタラクティブ外科システムを示す図である。
【
図10】本開示の少なくとも1つの態様による、モジュール式制御タワーに連結された複数のモジュールを備える外科用ハブを示す図である。
【
図11】本開示の少なくとも1つの態様による、ユニバーサルシリアルバス(USB)ネットワークハブ装置の一態様を示す図である。
【
図12】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用器具又はツールの制御システムの論理図である。
【
図13】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用器具又はツールの態様を制御するように構成された制御回路を示す図である。
【
図14】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用器具又はツールの態様を制御するように構成された組み合わせ論理回路を示す図である。
【
図15】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用器具又はツールの態様を制御するように構成された順序論理回路を示す図である。
【
図16】本開示の少なくとも1つの態様による、様々な機能を実行するために起動され得る複数のモータを備える外科用器具又はツールを示す図である。
【
図17】本開示の少なくとも1つの態様による、本明細書で説明される外科用ツールを操作するように構成されたロボット外科用器具の回路図である。
【
図18】本開示の少なくとも1つの態様による、変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされた外科用器具のブロック図である。
【
図19】本開示の少なくとも1つの態様による、様々な機能を制御するように構成された外科用器具の回路図である。
【
図20】本開示の少なくとも1つの態様による、他の利点の中でも特に、インダクタを利用しない同調を提供するように構成された発生器の略ブロック図である。
【
図21】本開示の少なくとも1つの態様による、
図20の発生器の一形態である発生器の一実施例を示す図である。
【
図22】本開示の一態様によるロボット外科用システムの概略図である。
【
図23】本開示の少なくとも1つの態様によるロボット外科用システムの概略図である。
【
図24】本開示の少なくとも1つの態様による、
図23のロボット外科用システムの制御コンポーネントのブロック図である。
【
図25A】本開示の少なくとも1つの態様による、組織と接触しないように配置された超音波外科用ツールの立面図である。
【
図25B】本開示の少なくとも1つの態様による、組織と当接接触して配置された
図25Aの超音波外科用ツールの立面図である。
【
図26A】本開示の少なくとも1つの態様による、組織と接触しないように配置された単極の焼灼ペンシルの立面図である。
【
図26B】本開示の少なくとも1つの態様による、組織と当接接触して配置された
図26Aの単極の焼灼ペンシルの立面図である。
【
図27】本開示の少なくとも1つの態様による、
図25A及び
図25Bの超音波外科用ツールの経時的な連続性及び電流のグラフ表示である。
【
図28】本開示の少なくとも1つの態様による、ジョー部材上に位置する高周波(RF)データセンサを備えるエンドエフェクタを示す図である。
【
図29】本開示の少なくとも1つの態様による、フレキシブル回路に取り付けられるか、又はフレキシブル回路と一体に形成された
図28に示すセンサを示す図である。
【
図30】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用器具の自動起動モードを説明するフローチャートである。
【
図31】本開示の少なくとも1つの態様による、ロボット外科用システムで使用するための排煙ポンプを有する双極高周波(RF)外科用ツールのエンドエフェクタの斜視図であり、外科用ツールが組織を把持して治療する様子を描出している。
【
図32】本開示の少なくとも1つの態様による、ロボット外科用システム、ハンドヘルド式外科用器具及び外科用ハブを含む外科用システムのブロック図である。
【
図33】本開示の少なくとも1つの態様による、ディスプレイを含むハンドヘルド式外科用器具のハンドル部分の斜視図であり、器具自体からの情報を表示しているディスプレイの詳細図を更に示している。
【
図34】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用ハブとペアリングされた器具を示す
図33のハンドヘルド式外科用器具のハンドル部分の斜視図であり、外科用ハブからの情報を表示しているディスプレイの詳細図を更に含む。
【
図35】本開示の少なくとも1つの態様による、結腸切除処置の概略図である。
【
図36】本開示の少なくとも1つの態様による、
図35の器具ディスプレイ上に表示される結腸切除処置のための経時的な力のグラフ表示である。
【
図37】本開示の少なくとも1つの態様による、複数のハブ及びインタラクティブ二次ディスプレイを含む外科処置中のロボット外科用システムの概略図である。
【
図38】本開示の少なくとも1つの態様による、
図37のインタラクティブ二次ディスプレイの詳細図である。
【
図39】本開示の少なくとも1つの態様による、2つ以上のロボットアームを備えるロボット外科用システムのブロック図である。
【
図40】本開示の少なくとも1つの態様による、
図39のロボット外科用システムを利用する外科処置の概略図である。
【
図41】本開示の少なくとも1つの態様による、
図39のロボットアームが受ける力及び位置変位のグラフ表示である。
【
図42】本開示の少なくとも1つの態様による、ロボット外科用システムのロボットアームの位置を制御するためのアルゴリズムを示すフローチャートである。
【
図43】本開示の少なくとも1つの態様による、ロボット外科用システムのロボットアームによって加えられる力を制御するためのアルゴリズムを示すフローチャートである。
【
図44】本開示の少なくとも1つの態様による、ロボット外科用システムのロボットアームの位置及びこれらによって加えられる力を監視するためのアルゴリズムを示すフローチャートである。
【
図45】本開示の少なくとも1つの態様による、ロボット外科用システムと、電動ハンドヘルド式外科用器具と、外科用ハブと、を備える外科用システムのブロック図である。
【
図46】本開示の少なくとも1つの態様による、外科処置中のロボットツール及びハンドヘルド式外科用器具の斜視図である。
【
図47】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用ハブと一次サーバとの間の通信リンクを示す概略図である。
【
図48】本開示の少なくとも1つの態様による、
図47の様々な外科用ハブから受信したデータの外部出力キューを示すフローチャートである。
【
図49】本開示の一態様による、外科用ハブの状況認識を示す時間線である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本願の出願人は、各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年3月28日出願の以下の米国仮特許出願を所有する。
・「INTERACTIVE SURGICAL SYSTEMS WITH ENCRYPTED COMMUNICATION CAPABILITIES」と題する米国仮特許出願第62/649,302号、
・「DATA STRIPPING METHOD TO INTERROGATE PATIENT RECORDS AND CREATE ANONYMIZED RECORD」と題する米国仮特許出願第62/649,294号、
・「SURGICAL HUB SITUATIONAL AWARENESS」と題する米国仮特許出願第62/649,300号、
・「SURGICAL HUB SPATIAL AWARENESS TO DETERMINE DEVICES IN OPERATING THEATER」と題する米国仮特許出願第62/649,309号、
・「COMPUTER IMPLEMENTED INTERACTIVE SURGICAL SYSTEMS」と題する米国仮特許出願第62/649,310号、
・「USE OF LASER LIGHT AND RED-GREEN-BLUE COLORATION TO DETERMINE PROPERTIES OF BACK SCATTERED LIGHT」と題する米国仮特許出願第62/649,291号、
・「ADAPTIVE CONTROL PROGRAM UPDATES FOR SURGICAL DEVICES」と題する米国仮特許出願第62/649,296号、
・「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS FOR CUSTOMIZATION AND RECOMMENDATIONS TO A USER」と題する米国仮特許出願第62/649,333号、
・「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS FOR SECURITY AND AUTHENTICATION TRENDS AND REACTIVE MEASURES」と題する米国仮特許出願第62/649,327号、
・「DATA HANDLING AND PRIORITIZATION IN A CLOUD ANALYTICS NETWORK」と題する米国仮特許出願第62/649,315号、
・「CLOUD INTERFACE FOR COUPLED SURGICAL DEVICES」と題する米国仮特許出願第62/649,313号、
・「DRIVE ARRANGEMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国仮特許出願第62/649,320号、
・「AUTOMATIC TOOL ADJUSTMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国仮特許出願第62/649,307号、及び
・「SENSING ARRANGEMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国仮特許出願第62/649,323号。
【0010】
本願の出願人は、各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年3月29日出願の以下の米国特許出願を所有する。
・「INTERACTIVE SURGICAL SYSTEMS WITH ENCRYPTED COMMUNICATION CAPABILITIES」と題する米国特許出願第____________号、代理人整理番号END8499USNP/170766、
・「INTERACTIVE SURGICAL SYSTEMS WITH CONDITION HANDLING OF DEVICES AND DATA CAPABILITIES」と題する米国特許出願第____________号、代理人整理番号END8499USNP1/170766-1、
・「SURGICAL HUB COORDINATION OF CONTROL AND COMMUNICATION OF OPERATING ROOM DEVICES」と題する米国特許出願第____________号、代理人整理番号END8499USNP2/170766-2、
・「SPATIAL AWARENESS OF SURGICAL HUBS IN OPERATING ROOMS」と題する米国特許出願第____________号、代理人整理番号END8499USNP3/170766-3、
・「COOPERATIVE UTILIZATION OF DATA DERIVED FROM SECONDARY SOURCES BY INTELLIGENT SURGICAL HUBS」と題する米国特許出願第____________号、代理人整理番号END8499USNP4/170766-4、
・「SURGICAL HUB CONTROL ARRANGEMENTS」と題する米国特許出願第____________号、代理人整理番号END8499USNP5/170766-5、
・「DATA STRIPPING METHOD TO INTERROGATE PATIENT RECORDS AND CREATE ANONYMIZED RECORD」と題する米国特許出願第____________号、代理人整理番号END8500USNP/170767、
・「COMMUNICATION HUB AND STORAGE DEVICE FOR STORING PARAMETERS AND STATUS OF A SURGICAL DEVICE TO BE SHARED WITH CLOUD BASED ANALYTICS SYSTEMS」と題する米国特許出願第____________号、代理人整理番号END8500USNP1/170767-1、
・「SELF DESCRIBING DATA PACKETS GENERATED AT AN ISSUING INSTRUMENT」と題する米国特許出願第____________号、代理人整理番号END8500USNP2/170767-2、
・「DATA PAIRING TO INTERCONNECT A DEVICE MEASURED PARAMETER WITH AN OUTCOME」と題する米国特許出願第____________号、代理人整理番号END8500USNP3/170767-3、
・「SURGICAL HUB SITUATIONAL AWARENESS」と題する米国特許出願第____________号、代理人整理番号END8501USNP/170768、
・「SURGICAL SYSTEM DISTRIBUTED PROCESSING」と題する米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8501USNP1/170768-1、
・「AGGREGATION AND REPORTING OF SURGICAL HUB DATA」と題する米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8501USNP2/170768-2、
・「SURGICAL HUB SPATIAL AWARENESS TO DETERMINE DEVICES IN OPERATING THEATER」と題する米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8502USNP/170769、
・「DISPLAY OF ALIGNMENT OF STAPLE CARTRIDGE TO PRIOR LINEAR STAPLE LINE」と題する米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8502USNP1/170769-1、
・「STERILE FIELD INTERACTIVE CONTROL DISPLAYS」と題する米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8502USNP2/170769-2、
・「COMPUTER IMPLEMENTED INTERACTIVE SURGICAL SYSTEMS」と題する米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8503USNP/170770、
・「USE OF LASER LIGHT AND RED-GREEN-BLUE COLORATION TO DETERMINE PROPERTIES OF BACK SCATTERED LIGHT」と題する米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8504USNP/170771、
・「CHARACTERIZATION OF TISSUE IRREGULARITIES THROUGH THE USE OF MONO-CHROMATIC LIGHT REFRACTIVITY」と題する米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8504USNP1/170771-1、及び
・「DUAL CMOS ARRAY IMAGING」と題する米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8504USNP2/170771-2。
【0011】
本願の出願人は、各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年3月29日出願の以下の米国特許出願を所有する。
・「ADAPTIVE CONTROL PROGRAM UPDATES FOR SURGICAL DEVICES」と題する米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8506USNP/170773、
・「ADAPTIVE CONTROL PROGRAM UPDATES FOR SURGICAL HUBS」と題する米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8506USNP1/170773-1、
・「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS FOR CUSTOMIZATION AND RECOMMENDATIONS TO A USER」と題する米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8507USNP/170774、
・「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS FOR LINKING OF LOCAL USAGE TRENDS WITH THE RESOURCE ACQUISITION BEHAVIORS OF LARGER DATA SET」と題する米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8507USNP1/170774-1、
・「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS FOR MEDICAL FACILITY SEGMENTED INDIVIDUALIZATION OF INSTRUMENT FUNCTION」と題する米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8507USNP2/170774-2、
・「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS FOR SECURITY AND AUTHENTICATION TRENDS AND REACTIVE MEASURES」と題する米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8508USNP/170775、
・「DATA HANDLING AND PRIORITIZATION IN A CLOUD ANALYTICS NETWORK」と題する米国仮特許出願第__________号、代理人整理番号END8509USNP/170776、及び
・「CLOUD INTERFACE FOR COUPLED SURGICAL DEVICES」と題する米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8510USNP/170777。
【0012】
本願の出願人は、各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年3月29日出願の以下の米国特許出願を所有する。
・「DRIVE ARRANGEMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8511USNP/170778、
・「COMMUNICATION ARRANGEMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8511USNP1/170778-1、
・「CONTROLS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8511USNP2/170778-2、
・「AUTOMATIC TOOL ADJUSTMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第______号、代理人整理番号END8512USNP/170779、
・「CONTROLLERS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8512USNP1/170779-1、
・「DISPLAY ARRANGEMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8512USNP3/170779-3、及び
・「SENSING ARRANGEMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8513USNP/170780。
【0013】
外科用装置及び発生器の様々な態様を詳細に説明する前に、例示される実施例は、適用又は用途において、添付の図面及び説明で示される部品の構造及び配置の詳細に限定されないことに留意すべきである。例示的な実施例は、他の態様、変形形態、及び修正形態で実施されるか、又はそれらに組み込まれてもよく、様々な方法で実施又は実行されてもよい。更に、特に明記しない限り、本明細書で用いられる用語及び表現は、読者の便宜のために例示的な実施例を説明する目的で選択されたものであり、それらを限定するためのものではない。更に、以下に記述される態様、態様の具現、及び/又は実施例のうち1つ又は2つ以上を、以下に記述される他の態様、態様の具現、及び/又は実施例のうち任意の1つ又は2つ以上と組み合わせることができるものと理解されたい。
【0014】
図1を参照すると、コンピュータ実施インタラクティブ外科システム100は、1つ又は2つ以上の外科システム102と、クラウドベースのシステム(例えば、ストレージ装置105に連結されたリモートサーバ113を含み得るクラウド104)と、を含む。各外科システム102は、リモートサーバ113を含み得るクラウド104と通信する少なくとも1つの外科用ハブ106を含む。一実施例では、
図1に示すように、外科システム102は、互いに、及び/又はハブ106と通信するように構成された、可視化システム108と、ロボットシステム110と、ハンドヘルド式インテリジェント外科用器具112と、を含む。いくつかの態様では、外科システム102は、M個のハブ106と、N個の可視化システム108と、O個のロボットシステム110と、P個のハンドヘルド式インテリジェント外科用器具112と、を含んでもよく、ここでM、N、O、及びPは1以上の整数である。
【0015】
図3は、外科手術室116内の手術台114上に横たわる患者に対して外科処置を実施するために使用されている外科システム102の一例を示す。ロボットシステム110は、外科処置において外科システム102の一部として使用される。ロボットシステム110は、外科医のコンソール118と、患者側カート120(外科用ロボット)と、外科用ロボットハブ122と、を含む。患者側カート120は、患者の身体の低侵襲切開中に、外科医が外科医のコンソール118を介して手術部位を見る間、少なくとも1つの取り外し可能に連結された外科用ツール117を操作することができる。手術部位の画像は医療用撮像装置124によって得ることができ、医療用撮像装置124は撮像装置124の向きを決めるために患者側カート120によって操作され得る。ロボットハブ122は、外科医に対する外科医のコンソール118を介したその後の表示のために、手術部位の画像を処理するよう用いることができる。
【0016】
他の種類のロボットシステムを、外科システム102と共に使用するために容易に適合させることができる。本開示と共に使用するのに好適なロボットシステム及び外科用ツールの様々な例は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年12月28日出願の「ROBOT ASSISTED SURGICAL PLATFORM」と題する米国仮特許出願第62/611,339号に記載されている。
【0017】
クラウド104によって実施され、本開示と共に使用するのに好適なクラウドベース分析の様々な例は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年12月28日出願の「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS」と題する米国仮特許出願第62/611,340号に記載されている。
【0018】
様々な態様では、撮像装置124は、少なくとも1つの画像センサと1つ又は2つ以上の光学構成要素とを含む。好適な画像センサとしては、電荷結合素子(CCD)センサ及び相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサが挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
撮像装置124の光学構成要素は、1つ若しくは2つ以上の照明光源及び/又は1つ若しくは2つ以上のレンズを含んでもよい。1つ又は2つ以上の照明光源は、手術野の一部を照明するように方向付けられてもよい。1つ又は2つ以上の画像センサは、組織及び/又は外科用器具から反射又は屈折された光を含む、手術野から反射又は屈折された光を受信することができる。
【0020】
1つ又は2つ以上の照明光源は、可視スペクトル及び不可視スペクトル内の電磁エネルギーを放射するように構成され得る。光学スペクトル又は発光スペクトルと呼ばれることもある可視スペクトルは、人間の目に可視の(すなわち、人間の目で検出可能な)電磁スペクトルの一部分であり、可視光、又は単に光と呼ばれることがある。典型的な人間の目は、空気中の約380nm~約750nmの波長に反応する。
【0021】
不可視スペクトル(すなわち、非発光スペクトル)は、可視スペクトルの下方及び上方に位置する電磁スペクトルの一部分である(すなわち、約380nm未満及び約750nm超の波長)。不可視スペクトルは、人間の目で検出可能ではない。約750nmを超える波長は、赤色可視スペクトルよりも長く、これらは不可視赤外線(IR)、マイクロ波、及び無線電磁放射線になる。約380nm未満の波長は、紫色スペクトルよりも短く、これらは不可視紫外線、X線、及びガンマ線電磁放射線になる。
【0022】
様々な態様では、撮像装置124は、低侵襲性手術で使用するように構成されている。本開示と共に使用するのに好適な撮像装置の例としては、関節鏡、血管鏡、気管支鏡、胆道鏡、結腸鏡、サイトスコープ(cytoscope)、十二指腸鏡、腸鏡、食道胃十二指腸鏡(胃鏡)、内視鏡、喉頭鏡、鼻咽喉-腎盂鏡(nasopharyngo-neproscope)、S状結腸鏡、胸腔鏡、及び尿管鏡が挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
一態様では、撮像装置は、トポグラフィーと下層構造とを区別するためにマルチスペクトルモニタリングを用いる。マルチスペクトル画像は、電磁スペクトルにわたって特定の波長範囲内の画像データを取り込むものである。波長は、フィルタによって、又は可視光範囲を超える周波数、例えば、IR及び紫外光を含む特定の波長からの光に感受性の器具を使用することによって分離することができる。スペクトル撮像法は、人間の目がその赤色、緑色、及び青色の受容体で捕捉することのできない追加情報の抽出を可能にすることができる。マルチスペクトル撮像法の使用は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる2017年12月28日出願の「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する米国仮特許出願第62/611,341号の「Advanced Imaging Acquisition Module」の項で詳細に説明されている。マルチスペクトルモニタリングは、1つの手術作業が完了した後に、処置された組織上で上述の試験の1つ又は2つ以上を実施するために手術野を再配置するのに有用なツールであり得る。
【0024】
あらゆる外科手術において手術室及び外科用器具の厳格な滅菌が必要であることは自明である。「手術現場(surgical theater)」、すなわち手術室又は処置室に必要とされる厳格な衛生及び滅菌条件は、全ての医療装置及び機器の最大級の滅菌性を必要とする。その滅菌プロセスの一部は、撮像装置124並びにその付属品及び構成要素を含む、患者と接触する、又は滅菌野に侵入するあらゆるものを滅菌する必要性である。滅菌野は、トレイ内又は滅菌タオル上などの、微生物を含まないと見なされる特定の領域と見なされ得ること、又は滅菌野は、外科処置のために準備された患者のすぐ周囲の領域と見なされ得ることは理解されよう。滅菌野は、適切な衣類を着用した洗浄済みのチーム構成員、並びにその領域内の全ての備品及び固定具を含み得る。
【0025】
様々な態様において、可視化システム108は、
図2に示されるように、滅菌野に対して戦略的に配置された1つ又は2つ以上の撮像センサと、1つ又は2つ以上の画像処理ユニットと、1つ又は2つ以上のストレージアレイと、1つ又は2つ以上のディスプレイと、を含む。一態様では、可視化システム108は、HL7、PACS、及びEMRのインターフェースを含む。可視化システム108の様々な構成要素については、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる2017年12月28日出願の「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する米国仮特許出願第62/611,341号の「Advanced Imaging Acquisition Module」の項で説明されている。
【0026】
図2に示すように、一次ディスプレイ119は、手術台114のところにいる操作者に見えるように、滅菌野内に配置される。加えて、可視化タワー111は、滅菌野の外に位置決めされる。可視化タワー111は、互いに離れる方に面する第1の非滅菌ディスプレイ107及び第2の非滅菌ディスプレイ109を含む。ハブ106によって誘導される可視化システム108は、ディスプレイ107、109、及び119を使用して、滅菌野の中及び外の操作者に対する情報フローを調整するように構成されている。例えば、ハブ106は、可視化システム108に、一次ディスプレイ119上の手術部位のライブ映像を維持させながら、撮像装置124によって記録される手術部位のスナップショットを非滅菌ディスプレイ107又は109上に表示させることができる。非滅菌ディスプレイ107又は109上のスナップショットは、例えば、非滅菌操作者が外科処置に関連する診断工程を実施することを可能にすることができる。
【0027】
一態様では、ハブ106は、滅菌野内で、可視化タワー111のところにいる非滅菌操作者によって入力された診断入力又はフィードバックを滅菌領域内の一次ディスプレイ119に送り、これを手術台のところにいる滅菌操作者が見ることができるようにも構成される。一実施例では、入力は、ハブ106によって一次ディスプレイ119に送ることのできる、非滅菌ディスプレイ107又は109上に表示されるスナップショットに対する修正の形態であってもよい。
【0028】
図2を参照すると、外科用器具112は、外科処置において外科システム102の一部として使用されている。ハブ106はまた、外科用器具112のディスプレイへの情報フローを調整するようにも構成されている。例えば、「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する2017年12月28日出願の米国仮特許出願第62/611,341号における、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。可視化タワー111のところにいる非滅菌操作者によって入力される診断入力又はフィードバックは、ハブ106によって滅菌野内の外科用器具ディスプレイ115に送られてもよく、ここで診断入力又はフィードバックは外科用器具112の操作者によって見られてもよい。外科システム102と共に用いるのに好適な例示的外科用器具については、例えば、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、「Surgical Instrument Hardware」の項目、及び「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する2017年12月28日出願の米国仮特許出願第62/611,341号で説明されている。
【0029】
ここで
図3を参照すると、ハブ106が、可視化システム108、ロボットシステム110、及びハンドヘルド式インテリジェント外科用器具112と通信している状態で示されている。ハブ106は、ハブディスプレイ135、撮像モジュール138、発生器モジュール140、通信モジュール130、プロセッサモジュール132、及びストレージアレイ134を含む。特定の態様では、
図3に示すように、ハブ106は、排煙モジュール126及び/又は吸引/灌注モジュール128を更に含む。
【0030】
外科処置中、封止及び/又は切断のため組織へのエネルギー印加は、一般に、排煙、過剰な流体の吸引、及び/又は組織の灌注を伴う。異なる供給源からの流体、電力、及び/又はデータラインは、外科処置中に絡まり合うことが多い。外科処置中にこの問題に対処することで貴重な時間が失われる場合がある。ラインの絡まりをほどくには、それらの対応するモジュールからラインを抜くことが必要となる場合があり、そのためにはモジュールをリセットすることが必要となる場合がある。ハブのモジュール式筐体136は、電力、データ、及び流体ラインを管理するための統一環境を提供し、このようなライン間の絡まりの頻度を低減させる。
【0031】
本開示の態様は、手術部位における組織へのエネルギー印加を伴う外科処置において使用するための外科用ハブを提示する。外科用ハブは、ハブ筐体と、ハブ筐体のドッキングステーション内に摺動可能に受け入れ可能な組み合わせ発生器モジュールと、を含む。ドッキングステーションはデータ及び電力接点を含む。組み合わせ発生器モジュールは、単一ユニット内に収容された、超音波エネルギー発生器構成要素、双極RFエネルギー発生器構成要素、及び単極RFエネルギー発生器構成要素のうちの2つ以上を含む。一態様では、組み合わせ発生器モジュールは、更に、排煙構成要素と、組み合わせ発生器モジュールを外科用器具に接続するための少なくとも1つのエネルギー供給ケーブルと、組織への治療エネルギーの印加によって発生した煙、流体、及び/又は微粒子を排出するように構成された少なくとも1つの排煙構成要素と、遠隔手術部位から排煙構成要素まで延びる流体ラインと、を含む。
【0032】
一態様では、流体ラインは第1の流体ラインであり、第2の流体ラインは、遠隔手術部位から、ハブ筐体内に摺動可能に受け入れられる吸引及び灌注モジュールまで延びる。一態様では、ハブ筐体は、流体インターフェースを備える。
【0033】
特定の外科処置は、2つ以上のエネルギータイプを組織に印加することを必要とする場合がある。1つのエネルギータイプは、組織を切断するのにより有益であり得るが、別の異なるエネルギータイプは、組織を封止するのにより有益であり得る。例えば、双極発生器は組織を封止するために使用することができ、一方で、超音波発生器は封止された組織を切断するために使用することができる。本開示の態様は、ハブのモジュール式筐体136が様々な発生器を収容して、これらの間の双方向通信を促進するように構成される解決法を提示する。ハブのモジュール式筐体136の利点の1つは、様々なモジュールの迅速な取り外し及び/又は交換を可能にすることである。
【0034】
本開示の態様は、組織へのエネルギー印加を伴う外科処置で使用するためのモジュール式外科用筐体を提示する。モジュール式外科用筐体は、組織に印加するための第1のエネルギーを発生させるように構成された第1のエネルギー発生器モジュールと、第1のデータ及び電力接点を含む第1のドッキングポートを備える第1のドッキングステーションと、を含み、第1のエネルギー発生器モジュールは、電力及びデータ接点と電気係合するように摺動可能に移動可能であり、第1のエネルギー発生器モジュールは、第1の電力及びデータ接点との電気係合から外れるように摺動可能に移動可能である。
【0035】
上記に加えて、モジュール式外科用筐体は、第1のエネルギーとは異なる、組織に印加するための第2のエネルギーを発生させるように構成された第2のエネルギー発生器モジュールと、第2のデータ及び電力接点を含む第2のドッキングポートを備える第2のドッキングステーションと、を更に含み、第2のエネルギー発生器モジュールは、電力及びデータ接点と電気係合するように摺動可能に移動可能であり、第2のエネルギー発生器モジュールは、第2の電力及びデータ接点との電気係合から外れるように摺動可能に移動可能である。
【0036】
更に、モジュール式外科用筐体は、第1のエネルギー発生器モジュールと第2のエネルギー発生器モジュールとの間の通信を容易にするように構成された、第1のドッキングポートと第2のドッキングポートとの間の通信バスを更に含む。
【0037】
図3~
図7を参照すると、発生器モジュール140と、排煙モジュール126と、吸引/灌注モジュール128と、のモジュール式統合を可能にするハブのモジュール式筐体136に関する本開示の態様が提示される。ハブのモジュール式筐体136は、モジュール140、126、128間の双方向通信を更に促進する。
図5に示すように、発生器モジュール140は、ハブのモジュール式筐体136に摺動可能に挿入可能な単一のハウジングユニット139内に支持される、統合された単極、双極、及び超音波構成要素を備える発生器モジュールであってもよい。
図5に示すように、発生器モジュール140は、単極装置146、双極装置147、及び超音波装置148に接続するように構成され得る。あるいは、発生器モジュール140は、ハブのモジュール式筐体136を介して相互作用する一連の単極、双極、及び/又は超音波発生器モジュールを備えてもよい。ハブのモジュール式筐体136は、複数の発生器が単一の発生器として機能するように、複数の発生器の挿入と、ハブのモジュール式筐体136にドッキングされた発生器間の双方向通信と、を促進するように構成されてもよい。
【0038】
一態様では、ハブのモジュール式筐体136は、モジュール140、126、128の取り外し可能な取り付け及びそれらの間の双方向通信を可能にするために、外部及び無線通信ヘッダを備えるモジュール式電力及び通信バックプレーン149を備える。
【0039】
一態様では、ハブのモジュール式筐体136は、モジュール140、126、128を摺動可能に受け入れるように構成された、本明細書ではドロアーとも称されるドッキングステーション又はドロアー151を含む。
図4は、外科用ハブ筐体136、及び外科用ハブ筐体136のドッキングステーション151に摺動可能に受け入れ可能な組み合わせ発生器モジュール145の部分斜視図を示す。組み合わせ発生器モジュール145の後側に電力及びデータ接点を有するドッキングポート152は、組み合わせ発生器モジュール145がハブのモジュール式筐体136の対応するドッキングステーション151内の位置へと摺動されると、対応するドッキングポート150をハブのモジュール式筐体136の対応するドッキングステーション151の電力及びデータ接点と係合するように構成される。一態様では、組み合わせ発生器モジュール145は、
図5に示すように、双極、超音波、及び単極モジュールと、単一のハウジングユニット139と共に一体化された排煙モジュールと、を含む。
【0040】
様々な態様では、排煙モジュール126は、捕捉/回収された煙及び/又は流体を手術部位から遠ざけて、例えば、排煙モジュール126へと搬送する流体ライン154を含む。排煙モジュール126から発生する真空吸引は、煙を手術部位のユーティリティ導管の開口部に引き込むことができる。流体ラインに連結されたユーティリティ導管は、排煙モジュール126で終端する可撓管の形態であってもよい。ユーティリティ導管及び流体ラインは、ハブ筐体136内に受け入れられる排煙モジュール126に向かって延びる流体経路を画定する。
【0041】
様々な態様では、吸引/灌注モジュール128は、吸い込み(aspiration)流体ライン及び吸引(suction)流体ラインを含む外科用ツールに連結される。一実施例では、吸い込み及び吸引流体ラインは、手術部位から吸引/灌注モジュール128に向かって延びる可撓管の形態である。1つ又は2つ以上の駆動システムは、手術部位への、及び手術部位からの流体の灌注及び吸い込みを引き起こすように構成され得る。
【0042】
一態様では、外科用ツールは、その遠位端にエンドエフェクタを有するシャフトと、エンドエフェクタに関連付けられた少なくとも1つのエネルギー処置部と、吸い込み管と、灌注管と、を含む。吸い込み管は、その遠位端に入口ポートを有することができ、吸い込み管はシャフトを通って延びる。同様に、灌注管はシャフトを通って延びることができ、かつ、エネルギー送達器具に近接した入口ポートを有することができる。エネルギー送達器具は、超音波及び/又はRFエネルギーを手術部位に送達するように構成され、最初にシャフトを通って延びるケーブルによって発生器モジュール140に連結される。
【0043】
灌注管は流体源と流体連通することができ、吸い込み管は真空源と流体連通することができる。流体源及び/又は真空源は、吸引/灌注モジュール128内に収容され得る。一実施例では、流体源及び/又は真空源は、吸引/灌注モジュール128とは別にハブ筐体136内に収容され得る。このような実施例では、流体インターフェースは、吸引/灌注モジュール128を流体源及び/又は真空源に接続するように構成され得る。
【0044】
一態様では、モジュール140、126、128及び/又はハブのモジュール式筐体136上のそれらの対応するドッキングステーションは、モジュールのドッキングポートを位置合わせして、ハブのモジュール式筐体136のドッキングステーション内でこれらの対応部品と係合させるように構成された位置合わせ機構を含み得る。例えば、
図4に示すように、組み合わせ発生器モジュール145は、ハブのモジュール式筐体136の対応するドッキングステーション151の対応するブラケット156と摺動可能に係合するように構成された側部ブラケット155を含む。ブラケットは協働して、組み合わせ発生器モジュール145のドッキングポート接点をハブのモジュール式筐体136のドッキングポート接点と電気係合させるように誘導する。
【0045】
いくつかの態様では、ハブのモジュール式筐体136のドロアー151はサイズが同じ又は実質的に同じであり、モジュールはドロアー151内に受け入れられるサイズに調整される。例えば、側部ブラケット155及び/又は156は、モジュールのサイズに応じてより大きくなっても小さくなってもよい。他の態様では、ドロアー151はサイズが異なり、それぞれ特定のモジュールを収容するように設計される。
【0046】
更に、適合しない接点を備えるドロアーにモジュールを挿入することを避けるために、特定のモジュールの接点を、特定のドロアーの接点と係合するように鍵付きにしてもよい。
【0047】
図4に示されるように、1つのドロアー151のドッキングポート150は、通信リンク157を介して別のドロアー151のドッキングポート150に連結されて、ハブのモジュール式筐体136内に収容されたモジュール間の双方向通信を容易にすることができる。ハブのモジュール式筐体136のドッキングポート150は、加えて又は代わりに、ハブのモジュール式筐体136内に収容されたモジュール間の無線双方向通信を容易にしてもよい。例えば、Air Titan-Bluetoothなどの任意の好適な無線通信を用いてもよい。
【0048】
図6は、外科用ハブ206の複数のモジュールを受け入れるように構成された横方向モジュール式ハウジング160の複数の横方向ドッキングポートの個々の電力バスアタッチメントを示す。横方向モジュール式ハウジング160は、モジュール161を横方向に受け入れて相互接続するように構成される。モジュール161は、モジュール161を相互接続するためのバックプレーンを含む横方向モジュール式ハウジング160のドッキングステーション162内に摺動可能に挿入される。
図6に示すように、モジュール161は、横方向モジュール式ハウジング160内で横方向に配置される。あるいは、モジュール161は、横方向モジュール式ハウジング内で垂直方向に配置されてもよい。
【0049】
図7は、外科用ハブ106の複数のモジュール165を受け入れるように構成された垂直モジュール式ハウジング164を示す。モジュール165は、モジュール165を相互接続するためのバックプレーンを含む垂直モジュール式ハウジング164のドッキングステーション又はドロアー167内に摺動可能に挿入される。垂直モジュール式ハウジング164のドロアー167は垂直方向に配置されているが、特定の場合では、垂直モジュール式ハウジング164は、横方向に配置されたドロアーを含んでもよい。更に、モジュール165は、垂直モジュール式ハウジング164のドッキングポートを介して互いに相互作用し得る。
図7の実施例では、モジュール165の動作に関連するデータを表示するためのディスプレイ177が提供される。加えて、垂直モジュール式ハウジング164は、マスタモジュール178内に摺動可能に受け入れられる複数のサブモジュールを収容するマスタモジュール178を含む。
【0050】
様々な態様では、撮像モジュール138は、内蔵型のビデオプロセッサ及びモジュール式光源を備え、様々な撮像装置と共に使用するように適合されている。一態様では、撮像装置は、光源モジュール及びカメラモジュールと共に組み立てることが可能なモジュール式ハウジングで構成される。ハウジングは、使い捨て式ハウジングであってもよい。少なくとも1つの実施例では、使い捨て式ハウジングは、再利用可能なコントローラ、光源モジュール、及びカメラモジュールと取り外し可能に連結される。光源モジュール及び/又はカメラモジュールは、外科処置の種類に応じて選択的に選択することができる。一態様では、カメラモジュールはCCDセンサを含む。別の態様では、カメラモジュールはCMOSセンサを含む。別の態様では、カメラモジュールは走査されたビームの撮像用に構成される。同様に、光源モジュールは、外科処置に応じて白色光又は異なる光を送達するように構成することができる。
【0051】
外科処置中に、手術野から外科用装置を除去して異なるカメラ又は異なる光源を含む別の外科用装置と交換することは非効率的となり得る。手術野の視野を一時的に喪失することは、望ましからぬ結果をもたらし得る。本開示のモジュール撮像装置は、手術野から撮像装置を除去する必要なく、外科処置中に光源モジュール又はカメラモジュール中間体(midstream)の交換を可能にするように構成される。
【0052】
一態様では、撮像装置は、複数のチャネルを含む管状ハウジングを備える。第1のチャネルは、第1のチャネルとスナップ嵌め係合するように構成され得るカメラモジュールを摺動可能に受け入れるように構成されている。第2のチャネルは、第2のチャネルとスナップ嵌め係合するように構成され得る光源モジュールを摺動可能に受け入れるように構成されている。別の実施例では、カメラモジュール及び/又は光源モジュールは、これらの対応するチャネル内の最終位置へと回転させることができる。スナップ嵌め係合の代わりにねじ係合が採用されてもよい。
【0053】
様々な実施例で、複数の撮像装置が、複数の視野を提供するために手術野内の様々な位置に位置決めされる。撮像モジュール138は、最適な視野を提供するために撮像装置間を切り替えるように構成することができる。様々な態様では、撮像モジュール138は、異なる撮像装置からの画像を統合するように構成することができる。
【0054】
本開示と共に使用するのに好適な様々な画像プロセッサ及び撮像装置は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる「COMBINED SBI AND CONVENTIONAL IMAGE PROCESSOR」と題する2011年8月9日発行の米国特許第7,995,045号に記載されている。更に、その全体が参照により本明細書に組み込まれる「SBI MOTION ARTIFACT REMOVAL APPARATUS AND METHOD」と題する2011年7月19日発行の米国特許第7,982,776号は、画像データからモーションアーチファクトを除去するための様々なシステムについて記載している。こうしたシステムは、撮像モジュール138と一体化され得る。更に、「CONTROLLABLE MAGNETIC SOURCE TO FIXTURE INTRACORPOREAL APPARATUS」と題する2011年12月15日公開の米国特許出願公開第2011/0306840号、及び「SYSTEM FOR PERFORMING A MINIMALLY INVASIVE SURGICAL PROCEDURE」と題する2014年8月28日公開の米国特許出願公開第2014/0243597号は、それぞれその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0055】
図8は、医療施設の1つ又は2つ以上の手術室、又は外科処置のための専門設備を備えた医療施設内の任意の部屋に配置されたモジュール式装置をクラウドベースのシステム(例えばストレージ装置205に連結されたリモートサーバ213を含み得るクラウド204)に接続するように構成されたモジュール式通信ハブ203を備える外科用データネットワーク201を示す。一態様では、モジュール式通信ハブ203は、ネットワークルータと通信するネットワークハブ207及び/又はネットワークスイッチ209を備える。モジュール式通信ハブ203は更に、ローカルコンピュータ処理及びデータ操作を提供するために、ローカルコンピュータシステム210に連結することができる。外科用データネットワーク201は、受動的、インテリジェント、又は切替式として構成されてもよい。受動的外科用データネットワークはデータの導管として機能し、データが1つの装置(又はセグメント)から別の装置(又はセグメント)に、及びクラウドコンピューティングリソースに行くことを可能にする。インテリジェントな外科用データネットワークは、トラフィックが監視対象の外科用データネットワークを通過することを可能にし、ネットワークハブ207又はネットワークスイッチ209内の各ポートを構成する追加の機構を含む。インテリジェントな外科用データネットワークは、管理可能なハブ又はスイッチと称され得る。スイッチングハブは、各パケットの宛先アドレスを読み取り、次いでパケットを正しいポートに転送する。
【0056】
手術室に配置されるモジュール式装置1a~1nは、モジュール式通信ハブ203に連結されてもよい。ネットワークハブ207及び/又はネットワークスイッチ209は、ネットワークルータ211に連結されて、装置1a~1nをクラウド204又はローカルコンピュータシステム210に接続することができる。装置1a~1nに関連付けられたデータは、遠隔データ処理及び操作のためにルータを介してクラウドベースのコンピュータに転送されてもよい。装置1a~1nに関連付けられたデータはまた、ローカルでのデータ処理及び操作のためにローカルコンピュータシステム210に転送されてもよい。同じ手術室に位置するモジュール式装置2a~2mもまた、ネットワークスイッチ209に連結されてもよい。ネットワークスイッチ209は、ネットワークハブ207及び/又はネットワークルータ211に連結されて、装置2a~2mをクラウド204に接続することができる。装置2a~2nに関連付けられたデータは、データ処理及び操作のためにネットワークルータ211を介してクラウド204に転送されてもよい。装置2a~2mに関連付けられたデータはまた、ローカルでのデータ処理及び操作のためにローカルコンピュータシステム210に転送されてもよい。
【0057】
複数のネットワークハブ207及び/又は複数のネットワークスイッチ209を複数のネットワークルータ211と相互接続することによって、外科用データネットワーク201が拡張され得ることが理解されるであろう。モジュール式通信ハブ203は、複数の装置1a~1n/2a~2mを受け入れるように構成されたモジュール式制御タワー内に収容され得る。ローカルコンピュータシステム210もまた、モジュール式制御タワーに収容されてもよい。モジュール式通信ハブ203は、ディスプレイ212に接続されて、例えば外科処置中に、装置1a~1n/2a~2mのうちのいくつかによって取得された画像を表示する。様々な態様では、装置1a~1n/2a~2mとしては、外科用データネットワーク201のモジュール式通信ハブ203に接続され得るモジュール式装置の中でもとりわけ、例えば、内視鏡に連結された撮像モジュール138、エネルギーベースの外科用装置に連結された発生器モジュール140、排煙モジュール126、吸引/灌注モジュール128、通信モジュール130、プロセッサモジュール132、ストレージアレイ134、ディスプレイに連結された外科用装置、及び/又は非接触センサモジュールなどの様々なモジュールが挙げられ得る。
【0058】
一態様では、外科用データネットワーク201は、装置1a~1n/2a~2mをクラウドに接続する、ネットワークハブ、ネットワークスイッチ、及びネットワークルータとの組み合わせを含んでもよい。ネットワークハブ又はネットワークスイッチに連結された装置1a~1n/2a~2mのいずれか1つ又は全ては、リアルタイムでデータを収集し、データ処理及び操作のためにデータをクラウドコンピュータに転送することができる。クラウドコンピューティングは、ソフトウェアアプリケーションを取り扱うために、ローカルサーバ又はパーソナル装置を有するのではなく、共有コンピューティングリソースに依存することは理解されるであろう。用語「クラウド」は「インターネット」の隠喩として用いられ得るが、この用語はそのように限定はされない。したがって、用語「クラウドコンピューティング」は、本明細書では「インターネットベースのコンピューティングの一種」を指すために用いることができ、この場合、サーバ、ストレージ、及びアプリケーションなどの様々なサービスは、手術現場(例えば、固定式、移動式、一時的、又は現場の手術室又は空間)に位置するモジュール式通信ハブ203及び/又はコンピュータシステム210に、並びに、インターネットを介してモジュール式通信ハブ203及び/又はコンピュータシステム210に接続された装置に送達される。クラウドインフラストラクチャは、クラウドサービスプロバイダによって維持され得る。この文脈において、クラウドサービスプロバイダは、1つ又は2つ以上の手術室内に位置する装置1a~1n/2a~2mの使用及び制御を調整する事業体であり得る。クラウドコンピューティングサービスは、スマート外科用器具、ロボット、及び手術室内に位置する他のコンピュータ化装置によって収集されたデータに基づいて、多数の計算を実行することができる。ハブハードウェアは、複数の装置又は接続部がクラウドコンピューティングリソース及びストレージと通信するコンピュータに接続することを可能にする。
【0059】
装置1a~1n/2a~2mによって収集されたデータにクラウドコンピュータデータ処理技術を適用することで、外科用データネットワークは、外科的成果の改善、コスト低減、及び患者満足度の改善を提供する。組織の封止及び切断処置後に、組織の状態を観察して封止された組織の漏出又は灌流を評価するために、装置1a~1n/2a~2mのうちの少なくともいくつかを用いることができる。クラウドベースのコンピューティングを使用して、身体組織のサンプルの画像を含むデータを診断目的で検査して疾患の影響などの病状を特定するために、装置1a~1n/2a~2mのうちの少なくともいくつかを用いることができる。これは、組織及び表現型の位置特定及びマージン確認を含む。撮像装置と一体化された様々なセンサ、及び複数の撮像装置によってキャプチャされた画像をオーバーレイするなどの技術を使用して、身体の解剖学的構造を特定するために、装置1a~1n/2a~2mのうちの少なくともいくつかを用いることができる。画像データを含む、装置1a~1n/2a~2mによって収集されたデータは、画像処理及び操作を含むデータ処理及び操作のために、クラウド204若しくはローカルコンピュータシステム210又はその両方に転送されてもよい。データは、組織特異的部位及び状態に対する内視鏡的介入、新興技術、標的化放射線、標的化介入、及び精密ロボットの適用などの更なる治療を遂行できるかを判定することによって、外科処置の結果を改善するために分析することができる。こうしたデータ分析は、予後分析処理を更に採用してもよく、標準化されたアプローチを使用することは、外科治療及び外科医の挙動を確認するか、又は外科治療及び外科医の挙動に対する修正を提案するかのいずれかのために有益なフィードバックを提供することができる。
【0060】
一実装態様では、手術室装置1a~1nは、ネットワークハブに対する装置1a~1nの構成に応じて、有線チャネル又は無線チャネルを介してモジュール式通信ハブ203に接続されてもよい。ネットワークハブ207は、一態様では、開放型システム間相互接続(OSI)モデルの物理層上で機能するローカルネットワークブロードキャスト装置として実装されてもよい。ネットワークハブは、同じ手術室ネットワーク内に位置する装置1a~1nに接続性を提供する。ネットワークハブ207は、パケット形態のデータを収集し、それらを半二重モードでルータに送信する。ネットワークハブ207は、装置データを転送するための任意の媒体アクセス制御/インターネットプロトコル(MAC/IP)は記憶しない。装置1a~1nのうちの1つのみが、ネットワークハブ207を介して一度にデータを送信することができる。ネットワークハブ207は、情報の送信先に関する経路選択テーブル又はインテリジェンスを有さず、全てのネットワークデータを各コネクション全体、及びクラウド204上のリモートサーバ213(
図9)にブロードキャストする。ネットワークハブ207は、コリジョンなどの基本的なネットワークエラーを検出することができるが、全ての情報を複数のポートにブロードキャストさせることは、セキュリティリスクとなりボトルネックを引き起こすおそれがある。
【0061】
別の実装形態では、手術室装置2a~2mは、有線チャネル又は無線チャネルを介してネットワークスイッチ209に接続されてもよい。ネットワークスイッチ209は、OSIモデルのデータリンク層内で機能する。ネットワークスイッチ209は、同じ手術室内に位置する装置2a~2mをネットワークに接続するためのマルチキャスト装置である。ネットワークスイッチ209は、フレームの形態のデータをネットワークルータ211に送信し、全二重モードで機能する。複数の装置2a~2mは、ネットワークスイッチ209を介して同時にデータを送信することができる。ネットワークスイッチ209は、データを転送するために装置2a~2mのMACアドレスを記憶かつ使用する。
【0062】
ネットワークハブ207及び/又はネットワークスイッチ209は、クラウド204に接続するためにネットワークルータ211に連結される。ネットワークルータ211は、OSIモデルのネットワーク層内で機能する。ネットワークルータ211は、装置1a~1n/2a~2mのいずれか1つ又は全てによって収集されたデータを更に処理及び操作するために、ネットワークハブ207及び/又はネットワークスイッチ211から受信したデータパケットをクラウドベースのコンピュータリソースに送信するための経路を作成する。ネットワークルータ211は、例えば、同じ医療施設の異なる手術室、又は異なる医療施設の異なる手術室に位置する異なるネットワークなどの、異なる位置に位置する2つ以上の異なるネットワークを接続するために用いられてもよい。ネットワークルータ211は、パケット形態のデータをクラウド204に送信し、全二重モードで機能する。複数の装置が同時にデータを送信することができる。ネットワークルータ211は、データを転送するためにIPアドレスを使用する。
【0063】
一実施例では、ネットワークハブ207は、複数のUSB装置をホストコンピュータに接続することを可能にするUSBハブとして実装されてもよい。USBハブは、装置をホストシステムコンピュータに接続するために利用可能なポートが多くなるように、単一のUSBポートをいくつかの階層に拡張することができる。ネットワークハブ207は、有線チャネル又は無線チャネルを介して情報を受信するための有線又は無線機能を含むことができる。一態様では、無線USB短距離高帯域無線通信プロトコルが、手術室内に位置する装置1a~1nと装置2a~2mとの間の通信のために使用されてもよい。
【0064】
他の実施例では、手術室装置1a~1n/2a~2mは、固定及びモバイル装置から短距離にわたってデータを交換し(2.4~2.485GHzのISM帯域における短波長UHF電波を使用して)、かつパーソナルエリアネットワーク(PAN)を構築するために、Bluetooth無線技術規格を介してモジュール式通信ハブ203と通信することができる。他の態様では、手術室装置1a~1n/2a~2mは、Wi-Fi(IEEE802.11ファミリー)、WiMAX(IEEE802.16ファミリー)、IEEE802.20、ロング・ターム・エボリューション(LTE)、並びにEv-DO、HSPA+、HSDPA+、HSUPA+、EDGE、GSM、GPRS、CDMA、TDMA、DECT、及びこれらのイーサネット派生物、のみならず3G、4G、5G、及びそれ以降と指定される任意の他の無線及び有線プロトコルが挙げられるがこれらに限定されない数多くの無線又は有線通信規格又はプロトコルを介してモジュール式通信ハブ203と通信することができる。コンピューティングモジュールは、複数の通信モジュールを含んでもよい。例えば、第1の通信モジュールは、Wi-Fi及びBluetoothなどの短距離無線通信専用であってもよく、第2の通信モジュールは、GPS、EDGE、GPRS、CDMA、WiMAX、LTE、Ev-DOなどの長距離無線通信専用であってもよい。
【0065】
モジュール式通信ハブ203は、手術室装置1a~1n/2a~2mの1つ又は全ての中央接続部として機能することができ、フレームとして知られるデータ型を取り扱う。フレームは、装置1a~1n/2a~2mによって生成されたデータを搬送する。フレームがモジュール式通信ハブ203によって受信されると、フレームは増幅されてネットワークルータ211へ送信され、ネットワークルータ211は本明細書に記載される数多くの無線又は有線通信規格又はプロトコルを使用することによってこのデータをクラウドコンピューティングリソースに転送する。
【0066】
モジュール式通信ハブ203は、スタンドアロンの装置として使用されてもよく、又はより大きなネットワークを形成するために互換性のあるネットワークハブ及びネットワークスイッチに接続されてもよい。モジュール式通信ハブ203は、一般に据え付け、構成、及び維持が容易であるため、モジュール式通信ハブ203は手術室装置1a~1n/2a~2mをネットワーク接続するための良好な選択肢となる。
【0067】
図9は、コンピュータ実施インタラクティブ外科システム200を示す。コンピュータ実施インタラクティブ外科システム200は、多くの点で、コンピュータ実施インタラクティブ外科システム100と類似している。例えば、コンピュータ実施インタラクティブ外科システム200は、多くの点で外科システム102と類似する1つ又は2つ以上の外科システム202を含む。各外科システム202は、リモートサーバ213を含み得るクラウド204と通信する少なくとも1つの外科用ハブ206を含む。一態様では、コンピュータ実施インタラクティブ外科システム200は、例えば、インテリジェント外科用器具、ロボット、及び手術室内に位置する他のコンピュータ化装置などの複数の手術室装置に接続されたモジュール式制御タワー236を備える。
図10に示されるように、モジュール式制御タワー236は、コンピュータシステム210に連結されたモジュール式通信ハブ203を備える。
図9の実施例に例示するように、モジュール式制御タワー236は、内視鏡239に連結された撮像モジュール238、エネルギー装置241に連結された発生器モジュール240、排煙器モジュール226、吸引/灌注モジュール228、通信モジュール230、プロセッサモジュール232、ストレージアレイ234、任意でディスプレイ237に連結されたスマート装置/器具235、及び非接触センサモジュール242に連結される。手術室装置は、モジュール式制御タワー236を介してクラウドコンピューティングリソース及びデータストレージに連結される。ロボットハブ222もまた、モジュール式制御タワー236及びクラウドコンピューティングリソースに接続されてもよい。中でもとりわけ、装置/器具235、可視化システム208が、本明細書に記載される有線又は無線通信規格又はプロトコルを介してモジュール式制御タワー236に連結されてもよい。モジュール式制御タワー236は、撮像モジュール、装置/器具ディスプレイ、及び/又は他の可視化システム208から受信した画像を表示及びオーバーレイするためにハブディスプレイ215(例えば、モニタ、スクリーン)に連結されてもよい。ハブディスプレイはまた、画像及びオーバーレイ画像と共にモジュール式制御タワーに接続された装置から受信したデータを表示してもよい。
【0068】
図10は、モジュール式制御タワー236に連結された複数のモジュールを備える外科用ハブ206を示す。モジュール式制御タワー236は、例えばネットワーク接続装置などのモジュール式通信ハブ203と、例えば局所処理、可視化、及び撮像を提供するためのコンピュータシステム210と、を備える。
図10に示すように、モジュール式通信ハブ203は、モジュール式通信ハブ203に接続できるモジュール(例えば、装置)の数を拡張するために階層化構成で接続されて、モジュールに関連付けられたデータをコンピュータシステム210、クラウドコンピューティングリソース、又はその両方に転送することができる。
図10に示すように、モジュール式通信ハブ203内のネットワークハブ/スイッチのそれぞれは、3つの下流ポート及び1つの上流ポートを含む。上流のネットワークハブ/スイッチは、クラウドコンピューティングリソース及びローカルディスプレイ217への通信接続を提供するためにプロセッサに接続される。クラウド204への通信は、有線又は無線通信チャネルのいずれかを介して行うことができる。
【0069】
外科用ハブ206は、非接触センサモジュール242を使用して、手術室の寸法を測定し、また超音波又はレーザ型非接触測定装置のいずれかを使用して手術現場のマップを生成する。その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する2017年12月28日出願の米国仮特許出願第62/611,341号中の「Surgical Hub Spatial Awareness Within an Operating Room」の項で説明されるように、超音波ベースの非接触センサモジュールは、超音波のバーストを送信し、超音波のバーストが手術室の周囲壁に反射したときのエコーを受信することによって手術室を走査し、ここでセンサモジュールが、手術室のサイズを判定し、かつBluetoothペアリングの距離限界を調整するように構成される。レーザベースの非接触センサモジュールは、例えば、レーザ光パルスを送信し、手術室の周囲壁に反射するレーザ光パルスを受信し、送信されたパルスの位相を受信したパルスと比較して、手術室のサイズを判定し、かつBluetoothペアリング距離限界を調整することによって手術室を走査する。
【0070】
コンピュータシステム210は、プロセッサ244とネットワークインターフェース245とを備える。プロセッサ244は、システムバスを介して、通信モジュール247、ストレージ248、メモリ249、不揮発性メモリ250、及び入力/出力インターフェース251に連結される。システムバスは、9ビットバス、業界標準アーキテクチャ(ISA)、マイクロチャネルアーキテクチャ(MSA)、拡張ISA(EISA)、インテリジェントドライブエレクトロニクス(IDE)、VESAローカルバス(VLB)、周辺装置相互接続(PCI)、USB、アドバンスドグラフィックスポート(AGP)、パーソナルコンピュータメモリカード国際協会バス(PCMCIA)、小型計算機システム・インターフェース(SCSI)、又は任意の他の独自バス(proprietary bus)が挙げられるがこれらに限定されない任意の様々なバスアーキテクチャを用いる、メモリバス若しくはメモリコントローラ、ペリフェラルバス若しくは外部バス、及び/又はローカルバスを含むいくつかの種類のバス構造のうちのいずれかであっってもよい。
【0071】
プロセッサ244は、Texas Instruments製のARM Cortexの商品名で知られているものなど、任意のシングルコア又はマルチコアプロセッサであってもよい。一態様では、プロセッサは、例えば、その詳細が製品データシートで入手可能である、最大40MHzの256KBのシングルサイクルフラッシュメモリ若しくは他の不揮発性メモリのオンチップメモリ、性能を40MHz超に改善するためのプリフェッチバッファ、32KBのシングルサイクルシリアルランダムアクセスメモリ(SRAM)、StellarisWare(登録商標)ソフトウェアを搭載した内部読み出し専用メモリ(ROM)、2KBの電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、及び/又は、1つ若しくは2つ以上のパルス幅変調(PWM)モジュール、1つ若しくは2つ以上の直交エンコーダ入力(QEI)アナログ、12個のアナログ入力チャネルを備える1つ若しくは2つ以上の12ビットアナログ-デジタル変換器(ADC)を含む、Texas Instrumentsから入手可能なLM4F230H5QR ARM Cortex-M4Fプロセッサコアであってもよい。
【0072】
一態様では、プロセッサ244は、同じくTexas Instruments製のHercules ARM Cortex R4の商品名で知られるTMS570及びRM4xなどの2つのコントローラ系ファミリーを含む安全コントローラを含んでもよい。安全コントローラは、拡張性のある性能、接続性、及びメモリの選択肢を提供しながら、高度な集積型安全機構を提供するために、中でも特に、IEC61508及びISO26262の安全限界用途専用に構成されてもよい。
【0073】
システムメモリとしては、揮発性メモリ及び不揮発性メモリが挙げられる。起動中などにコンピュータシステム内の要素間で情報を転送するための基本ルーチンを含む基本入力/出力システム(BIOS)は、不揮発性メモリに記憶される。例えば、不揮発性メモリとしては、ROM、プログラマブルROM(PROM)、電気的プログラマブルROM(EPROM)、EEPROM、又はフラッシュメモリが挙げられ得る。揮発性メモリとしては、外部キャッシュメモリとして機能するランダムアクセスメモリ(RAM)が挙げられる。更に、RAMは、SRAM、ダイナミックRAM(DRAM)、シンクロナスDRAM(SDRAM)、ダブルデータレートSDRAM(DDR SDRAM)、エンハンスドSDRAM(ESDRAM)、シンクリンクDRAM(SLDRAM)、及びダイレクトランバスRAM(DRRAM)などの多くの形態で利用可能である。
【0074】
コンピュータシステム210はまた、取り外し可能/取り外し不可能な揮発性/不揮発性コンピュータストレージ媒体、例えばディスクストレージなどを含む。ディスクストレージとしては、磁気ディスクドライブ、フロッピーディスクドライブ、テープドライブ、Jazドライブ、Zipドライブ、LS-60ドライブ、フラッシュメモリカード、又はメモリスティックのようなデバイスが挙げられるが、これらに限定されない。加えて、ディスクストレージは、ストレージ媒体を、独立して、又はコンパクトディスクROM装置(CD-ROM)、コンパクトディスク記録可能ドライブ(CD-Rドライブ)、コンパクトディスク書き換え可能ドライブ(CD-RWドライブ)、若しくはデジタル多用途ディスクROMドライブ(DVD-ROM)などの光ディスクドライブが挙げられるがこれらに限定されない他のストレージ媒体との組み合わせで含むことができる。ディスクストレージ装置のシステムバスへの接続を容易にするために、取り外し可能な又は取り外し不可能なインターフェースが用いられてもよい。
【0075】
コンピュータシステム210は、好適な動作環境で説明されるユーザと基本コンピュータリソースとの間で媒介として機能するソフトウェアを含むことを理解されたい。このようなソフトウェアとしてはオペレーティングシステムが挙げられる。ディスクストレージ上に記憶され得るオペレーティングシステムは、コンピュータシステムのリソースを制御及び割り当てするように機能する。システムアプリケーションは、システムメモリ内又はディスクストレージ上のいずれかに記憶されたプログラムモジュール及びプログラムデータを介して、オペレーティングシステムによるリソース管理を活用する。本明細書に記載される様々な構成要素は、様々なオペレーティングシステム又はオペレーティングシステムの組み合わせで実装することができることを理解されたい。
【0076】
ユーザは、I/Oインターフェース251に連結された入力装置を介してコンピュータシステム210にコマンド又は情報を入力する。入力装置としては、マウス、トラックボール、スタイラス、タッチパッドなどのポインティングデバイス、キーボード、マイクロフォン、ジョイスティック、ゲームパッド、サテライト・ディッシュ、スキャナ、TVチューナカード、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、ウェブカメラなどが挙げられるが、これらに限定されない。これら及び他の入力装置は、インターフェースポートを介し、システムバスを通してプロセッサに接続する。インターフェースポートとしては、例えば、シリアルポート、パラレルポート、ゲームポート、及びUSBが挙げられる。出力装置は、入力装置と同じ種類のポートのうちのいくつかを使用する。したがって、例えば、USBポートを使用して、コンピュータシステムに入力を提供し、またコンピュータシステムからの情報を出力装置に出力してもよい。出力アダプタは、特別なアダプタを必要とする出力装置の中でもとりわけ、モニタ、ディスプレイ、スピーカ、及びプリンタなどのいくつかの出力装置が存在することを示すために提供される。出力アダプタとしては、例示としてのものであり限定するものではないが、出力装置とシステムバスとの間の接続手段を提供するビデオ及びサウンドカードが挙げられる。遠隔コンピュータなどの他の装置及び/又は装置のシステムは、入力及び出力機能の両方を提供することに留意されたい。
【0077】
コンピュータシステム210は、クラウドコンピュータなどの1つ若しくは2つ以上の遠隔コンピュータ又はローカルコンピュータへの論理接続を使用するネットワーク化環境で動作することができる。遠隔クラウドコンピュータは、パーソナルコンピュータ、サーバ、ルータ、ネットワークPC、ワークステーション、マイクロプロセッサベースの機器、ピア装置、又は他の一般的なネットワークノードなどであってよく、典型的には、コンピュータシステムに関して説明される要素の多く又は全てを含む。簡潔にするために、遠隔コンピュータと共にメモリストレージ装置のみが示される。遠隔コンピュータは、ネットワークインターフェースを介してコンピュータシステムに論理的に接続され、続いて、通信接続を介して物理的に接続される。ネットワークインターフェースは、ローカルエリアネットワーク(LAN)及びワイドエリアネットワーク(WAN)などの通信ネットワークを包含する。LAN技術としては、光ファイバ分散データインターフェース(FDDI)、銅線分散データインターフェース(CDDI)、Ethernet/IEEE802.3、Token Ring/IEEE802.5などが挙げられる。WAN技術としては、ポイントツーポイントリンク、統合サービスデジタルネットワーク(ISDN)及びその変形などの回路交換ネットワーク、パケット交換ネットワーク、並びにデジタル加入者回線(DSL)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0078】
様々な態様では、
図10のコンピュータシステム210、
図9~
図10の撮像モジュール238、及び/又は可視化システム208、及び/又はプロセッサモジュール232は、画像プロセッサ、画像処理エンジン、メディアプロセッサ、又はデジタル画像の処理に使用される任意の専用デジタル信号プロセッサ(DSP)を含んでもよい。画像プロセッサは、単一命令複数データ(SIMD)、又は複数命令複数データ(MIMD)技術を用いた並列コンピューティングを使用して速度及び効率を高めることができる。デジタル画像処理エンジンは、様々なタスクを実行することができる。画像プロセッサは、マルチコアプロセッサアーキテクチャを備えるチップ上のシステムであってもよい。
【0079】
通信接続とは、ネットワークインターフェースをバスに接続するために用いられるハードウェア/ソフトウェアを指す。例示の明瞭さのために通信接続はコンピュータシステム内部に示されているが、通信接続はコンピュータシステム210の外部にあってもよい。例示のみを目的として、ネットワークインターフェースへの接続に必要なハードウェア/ソフトウェアとしては、通常の電話グレードモデム、ケーブルモデム、及びDSLモデムを含むモデム、ISDNアダプタ、並びにイーサネットカードなどの内部及び外部技術が挙げられる。
【0080】
図11は、本開示の一態様による、USBネットワークハブ300装置の一態様の機能ブロック図を示す。図示した態様では、USBネットワークハブ装置300は、Texas Instruments製TUSB2036集積回路ハブを採用する。USBネットワークハブ300は、USB2.0規格に準拠する、上流USB送受信ポート302及び最大3つの下流USB送受信ポート304、306、308を提供するCMOS装置である。上流USB送受信ポート302は、差動データプラス(DP0)入力とペアリングされた差動データマイナス(DM0)入力を含む差動ルートデータポートである。3つの下流USB送受信ポート304、306、308は、各ポートが差動データマイナス(DM1~DM3)出力とペアリングした差動データプラス(DP1~DP3)出力を含む差動データポートである。
【0081】
USBネットワークハブ300装置は、マイクロコントローラの代わりにデジタル状態マシンを備えて実装され、ファームウェアのプログラミングを必要としない。完全準拠したUSB送受信機が、上流USB送受信ポート302及び全ての下流USB送受信ポート304、306、308の回路に統合される。下流USB送受信ポート304、306、308は、ポートに取り付けられた装置の速度に応じてスルーレートを自動的に設定することによって、最高速度及び低速の装置の両方をサポートする。USBネットワークハブ300装置は、バスパワーモード又はセルフパワーモードのいずれかで構成されてもよく、電力を管理するためのハブパワー論理312を含む。
【0082】
USBネットワークハブ300装置は、シリアルインターフェースエンジン310(SIE)を含む。SIE310は、USBネットワークハブ300ハードウェアのフロントエンドであり、USB仕様書の第8章に記載されているプロトコルの大部分を取り扱う。SIE310は、典型的には、トランザクションレベルまでのシグナリングを理解する。これが取り扱う機能としては、パケット認識、トランザクションの並べ替え、SOP、EOP、RESET、及びRESUME信号の検出/生成、クロック/データ分離、非ゼロ復帰逆転(NRZI)データ符号化/復号及びビットスタッフィング、CRC生成及びチェック(トークン及びデータ)、パケットID(PID)の生成、及びチェック/復号、並びに/又はシリアル・パラレル/パラレル・シリアル変換が挙げられ得る。310はクロック入力314を受信し、ポート論理回路320、322、324を介して上流USB送受信ポート302と下流USB送受信ポート304、306、308との間の通信を制御するためにサスペンド/レジューム論理並びにフレームタイマー316回路及びハブリピータ回路318に連結される。SIE310は、シリアルEEPROMインターフェース330を介してシリアルEEPROMからコマンドを制御するためのインターフェース論理を介してコマンドデコーダ326に連結される。
【0083】
様々な態様では、USBネットワークハブ300は、最大6つの論理層(階層)内に構成された127個の機能を単一のコンピュータに接続することができる。更に、USBネットワークハブ300は、通信及び電力分配の両方を提供する標準化された4本のワイヤケーブルを使用して全ての周辺機器に接続することができる。電力構成は、バスパワーモード及びセルフパワーモードである。USBネットワークハブ300は、個々のポート電力管理又は連動ポート電力管理のいずれかを備えるバスパワーハブ、及び個々のポート電力管理又は連動ポート電力管理のいずれかを備えるセルフパワーハブの、電力管理の4つのモードをサポートするように構成されてもよい。一態様では、USBケーブル、USBネットワークハブ300を使用して、上流USB送受信ポート302はUSBホストコントローラにプラグ接続され、下流USB送受信ポート304、306、308はUSBに互換性のある装置を接続するために露出される、といった具合である。
【0084】
外科用器具のハードウェア
図12は、本開示の1つ又は2つ以上の態様による、外科用器具又はツールの制御システム470の論理図を示す。システム470は制御回路を備える。制御回路は、プロセッサ462及びメモリ468を備えるマイクロコントローラ461を含む。例えば、センサ472、474、476のうちの1つ又は2つ以上が、プロセッサ462にリアルタイムなフィードバックを提供する。モータ駆動器492によって駆動されるモータ482は、長手方向に移動可能な変位部材を動作可能に連結して、Iビームナイフ要素を駆動する。追跡システム480は、長手方向に移動可能な変位部材の位置を決定するように構成されている。位置情報は、長手方向に移動可能な駆動部材の位置、並びに発射部材、発射バー、及びIビームナイフ要素の位置を決定するようにプログラム又は構成され得るプロセッサ462に提供される。追加のモータが、Iビームの発射、閉鎖管の移動、シャフトの回転、及び関節運動を制御するために、ツールドライバインターフェースに提供されてもよい。ディスプレイ473は、器具の様々な動作条件を表示し、データ入力のためのタッチスクリーン機能を含んでもよい。ディスプレイ473上に表示された情報は、内視鏡撮像モジュールを介して取得された画像とオーバーレイさせることができる。
【0085】
一態様では、マイクロコントローラ461は、Texas Instruments製のARM Cortexの商品名で知られているものなど、任意のシングルコア又はマルチコアプロセッサであってもよい。一態様では、主マイクロコントローラ461は、例えば、その詳細が製品データシートで入手可能である、最大40MHzの256KBのシングルサイクルフラッシュメモリ若しくは他の不揮発性メモリのオンチップメモリ、性能を40MHz超に改善するためのプリフェッチバッファ、32KBのシングルサイクルSRAM、StellarisWare(登録商標)ソフトウェアを搭載した内部ROM、2KBのEEPROM、1つ若しくは2つ以上のPWMモジュール、1つ若しくは2つ以上のQEIアナログ、及び/又は12個のアナログ入力チャネルを備える1つ若しくは2つ以上の12ビットADCを含む、Texas Instrumentsから入手可能なLM4F230H5QR ARM Cortex-M4Fプロセッサコアであってもよい。
【0086】
一態様では、マイクロコントローラ461は、同じくTexas Instruments製のHercules ARM Cortex R4の商品名で知られるTMS570及びRM4xなどの2つのコントローラ系ファミリーを含む安全コントローラを含んでもよい。安全コントローラは、拡張性のある性能、接続性、及びメモリの選択肢を提供しながら、高度な集積型安全機構を提供するために、中でも特に、IEC61508及びISO26262の安全限界用途専用に構成されてもよい。
【0087】
マイクロコントローラ461は、ナイフ及び関節運動システムの速度及び位置に対する精密制御など、様々な機能を実行するようにプログラムされてもよい。一態様では、マイクロコントローラ461は、プロセッサ462及びメモリ468を含む。電動モータ482は、ギアボックス、及び関節運動又はナイフシステムへの機械的連結部を備えたブラシ付き直流(DC)モータであってもよい。一態様では、モータ駆動器492は、Allegro Microsystems,Incから入手可能なA3941であってもよい。他のモータ駆動器を、絶対位置決めシステムを備える追跡システム480で使用するために容易に置き換えることができる。絶対位置決めシステムの詳細な説明は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる「SYSTEMS AND METHODS FOR CONTROLLING A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT」と題する2017年10月19日公開の米国特許出願公開第2017/0296213号に記載されている。
【0088】
マイクロコントローラ461は、変位部材及び関節運動システムの速度及び位置に対する正確な制御を提供するようにプログラムされてもよい。マイクロコントローラ461は、マイクロコントローラ461のソフトウェア内で応答を計算するように構成されてもよい。計算された応答は、実際のシステムの測定された応答と比較されて「観測された」応答が得られ、これが実際のフィードバックの判定に用いられる。観測された応答は、シミュレーションによる応答の滑らかで連続的な性質と、測定による応答とのバランスを取る好適な調整された値であり、これはシステムに及ぼす外部の影響を検出することができる。
【0089】
一態様では、モータ482は、モータ駆動器492によって制御されてもよく、外科用器具又はツールの発射システムによって使用され得る。様々な形態において、モータ482は、例えば、約25,000RPMの最大回転速度を有するブラシ付きDC駆動モータであってもよい。別の構成において、モータ482はブラシレスモータ、コードレスモータ、同期モータ、ステッパモータ、又は任意の他の好適な電気モータを含んでよい。モータ駆動器492は、例えば、電界効果トランジスタ(FET)を含むHブリッジ駆動器を含んでもよい。モータ482は、外科用器具又はツールに制御電力を供給するために、ハンドルアセンブリ又はツールハウジングに解除可能に装着された電源アセンブリによって給電され得る。電源アセンブリは、外科用器具又はツールに給電するための電源として使用され得る、直列に接続された多数の電池セルを含み得る電池を含んでもよい。特定の状況下では、電源アセンブリの電池セルは、交換可能及び/又は再充電可能であってよい。少なくとも1つの例では、電池セルは、電源アセンブリに連結可能かつ電源アセンブリから分離可能であり得るリチウムイオン電池であり得る。
【0090】
モータ駆動器492は、Allegro Microsystems,Incから入手可能なA3941であってもよい。A3941 492は、特にブラシ付きDCモータなどの誘導負荷を目的として設計された外部Nチャネルパワー金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)と共に使用するためのフルブリッジコントローラである。駆動器492は、固有の電荷ポンプレギュレータを備え、これは、完全(10V超)ゲート駆動を最低7Vの電池電圧に提供し、A3941が最低5.5Vの低減ゲート駆動で動作することを可能にする。NチャネルMOSFETに必要な上記の電池供給電圧を与えるために、ブートストラップコンデンサが用いられてもよい。ハイサイド駆動用の内部電荷ポンプにより、DC(100%デューティサイクル)動作が可能となる。フルブリッジは、ダイオード又は同期整流を用いて高速又は低速減衰モードで駆動され得る。低速減衰モードにおいて、電流の再循環は、ハイサイドのFETによっても、ローサイドのFETによっても可能である。電力FETは、レジスタで調節可能なデッドタイムによって、シュートスルーから保護される。統合診断は、低電圧、温度過昇、及びパワーブリッジの異常を指示するものであり、ほとんどの短絡状態下でパワーMOSFETを保護するように構成され得る。他のモータ駆動器を、絶対位置決めシステムを備えた追跡システム480で使用するために容易に置換することができる。
【0091】
追跡システム480は、本開示の一態様による位置センサ472を備える制御されたモータ駆動回路構成を備える。絶対位置決めシステム用の位置センサ472は、変位部材の位置に対応する固有の位置信号を提供する。一態様では、変位部材は、ギア減速機アセンブリの対応する駆動ギアと噛合係合するための駆動歯のラックを備える長手方向に移動可能な駆動部材を表す。他の態様では、変位部材は、駆動歯のラックを含むように適合及び構成され得る発射部材を表す。更に別の態様では、変位部材は、発射バー又はIビームを表し、それらの各々は、駆動歯のラックを含むように適合及び構成され得る。したがって、本明細書で使用する場合、変位部材という用語は、一般的に、駆動部材、発射部材、発射バー、Iビーム、又は変位され得る任意の要素など、外科用器具又はツールの任意の可動部材を指すために使用される。一態様では、長手方向に移動可能な駆動部材は、発射部材、発射バー及びIビームに連結される。したがって、絶対位置決めシステムは、実際には、長手方向に移動可能な駆動部材の直線変位を追跡することによって、Iビームの直線変位を追跡することができる。様々な他の態様では、変位部材は、直線変位を測定するのに好適な任意の位置センサ472に連結されてもよい。したがって、長手方向に移動可能な駆動部材、発射部材、発射バー、若しくはIビーム、又はそれらの組み合わせは、任意の好適な直線変位センサに連結され得る。直線変位センサは、接触式又は非接触式変位センサを含んでよい。直線変位センサは、線形可変差動変圧器(linear variable differential transformers、LVDT)、差動可変磁気抵抗型変換器(differential variable reluctance transducers、DVRT)、スライドポテンショメータ、移動可能な磁石及び直線上に配置された一連のホール効果センサを備える磁気感知システム、固定された磁石及び移動可能な直線上に配置された一連のホール効果センサを備える磁気感知システム、移動可能な光源及び直線上に配置された一連の光ダイオード若しくは光検出器を備える光学検出システム、固定された光源及び移動可能な直線上に配置された一連の光ダイオード若しくは光検出器を備える光学検出システム、又はこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0092】
電動モータ482は、変位部材上の駆動歯のセット又はラックと噛合係合で装着されるギアアセンブリと動作可能に連携する回転式シャフトを含んでもよい。センサ素子は、位置センサ472素子の1回転が、変位部材のいくらかの直線長手方向並進に対応するように、ギアアセンブリに動作可能に連結されてもよい。ギアリング及びセンサ機構を、ラックピニオン機構によって直線アクチュエータに、又はスパーギア若しくは他の接続によって回転アクチュエータに接続することができる。電源は、絶対位置決めシステムに電力を供給し、出力インジケータは、絶対位置決めシステムの出力を表示することができる。変位部材は、ギア減速機アセンブリの対応する駆動ギアと噛合係合するために、その上に形成された駆動歯のラックを備える長手方向に移動可能な駆動部材を表す。変位部材は、長手方向に移動可能な発射部材、発射バー、Iビーム、又はこれらの組み合わせを表す。
【0093】
位置センサ472に付随するセンサ素子の1回転は、変位部材の長手方向直線変位d1に相当し、d1は、変位部材に連結したセンサ素子の1回転した後で、変位部材が点「a」から点「b」まで移動する長手方向の直線距離である。センサ機構は、位置センサ472が変位部材のフルストロークに対して1回以上の回転を完了する結果をもたらすギアの減速を介して接続されてもよい。位置センサ472は、変位部材のフルストロークに対して複数回の回転を完了することができる。
【0094】
位置センサ472の2回以上の回転に対する固有の位置信号を提供するために、一連のスイッチ(ここでnは1より大きい整数である)が、単独で、又はギアの減速との組み合わせで用いられてもよい。スイッチの状態はマイクロコントローラ461にフィードバックされ、マイクロコントローラ461は論理を適用して、変位部材の長手方向の直線変位d1+d2+...dnに対応する固有の位置信号を判定する。位置センサ472の出力はマイクロコントローラ461に提供される。センサ機構の位置センサ472は、位置信号又は値の固有の組み合わせを出力する、磁気センサ、電位差計などのアナログ回転センサ、又はアナログホール効果素子のアレイを備えてもよい。
【0095】
位置センサ472は、例えば、磁界の全磁界又はベクトル成分を測定するか否かに基づいて分類される磁気センサなどの、任意の数の磁気感知素子を備えてもよい。両方の種類の磁気センサを生産するために用いられる技術は、物理学及び電子工学の多数の側面を含んでいる。磁界の感知に用いられる技術としては、とりわけ、探りコイル、フラックスゲート、光ポンピング、核摂動(nuclear precession)、SQUID、ホール効果、異方性磁気抵抗、巨大磁気抵抗、磁気トンネル接合、巨大磁気インピーダンス、磁歪/圧電複合材、磁気ダイオード、磁気トランジスタ、光ファイバ、磁気光学、及び微小電気機械システムベースの磁気センサが挙げられる。
【0096】
一態様では、絶対位置決めシステムを備える追跡システム480の位置センサ472は、磁気回転絶対位置決めシステムを備える。位置センサ472は、Austria Microsystems,AGから入手可能なAS5055EQFTシングルチップ磁気回転位置センサとして実装されてもよい。位置センサ472は、マイクロコントローラ461と連携して絶対位置決めシステムを提供する。位置センサ472は、低電圧低電力の構成要素であり、磁石の上方に位置する位置センサ472の領域に、4つのホール効果素子を含む。更に、高解像度ADC及びスマート電力管理コントローラがチップ上に設けられている。加算、減算、ビットシフト、及びテーブル参照演算のみを必要とする、双曲線関数及び三角関数を計算する簡潔かつ効率的なアルゴリズムを実装するために、桁毎法(digit-by-digit method)及びボルダーアルゴリズム(Volder's algorithm)としても知られる、座標回転デジタルコンピュータ(CORDIC)プロセッサが設けられる。角度位置、アラームビット、及び磁界情報は、シリアル周辺インターフェース(SPI)インターフェースなどの標準的なシリアル通信インターフェースを介してマイクロコントローラ461に伝送される。位置センサ472は、12ビット又は14ビットの解像度を提供する。位置センサ472は、小型のQFN16ピン4×4×0.85mmパッケージで提供されるAS5055チップであってもよい。
【0097】
絶対位置決めシステムを備える追跡システム480は、PID、状態フィードバック、及び適応コントローラなどのフィードバックコントローラを備えてもよく、かつ/又はこれを実装するようにプログラムされてもよい。電源が、フィードバックコントローラからの信号を、システムへの物理的入力、この場合は電圧へと変換する。他の例としては、電圧、電流、及び力のPWMが挙げられる。位置センサ472によって測定される位置に加えて、物理的システムの物理パラメータを測定するために、他のセンサが設けられてもよい。いくつかの態様では、他のセンサとしては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「STAPLE CARTRIDGE TISSUE THICKNESS SENSOR SYSTEM」と題する2016年5月24日発行の米国特許第9,345,481号、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「STAPLE CARTRIDGE TISSUE THICKNESS SENSOR SYSTEM」と題する2014年9月18日公開の米国特許出願公開第2014/0263552号、及びその全体が参照により本明細書に組み込まれる、「TECHNIQUES FOR ADAPTIVE CONTROL OF MOTOR VELOCITY OF A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT」と題する2017年6月20日出願の米国特許出願第15/628,175号に記載されているものなどのセンサ機構を挙げることができる。デジタル信号処理システムでは、絶対位置決めシステムはデジタルデータ取得システムに連結され、ここで絶対位置決めシステムの出力は有限の解像度及びサンプリング周波数を有する。絶対位置決めシステムは、計算された応答を測定された応答に向けて駆動する加重平均及び理論制御ループなどのアルゴリズムを用いて、計算された応答を測定された応答と組み合わせるために、比較及び組み合わせ回路を備え得る。入力を知ることによって物理的システムの状態及び出力がどうなるかを予測するために、物理的システムの計算された応答は、質量、慣性、粘性摩擦、誘導抵抗などの特性を考慮に入れる。
【0098】
絶対位置決めシステムは、モータ482が単に前方又は後方に経た工程の数をカウントして装置アクチュエータ、駆動バー、ナイフなどの位置を推定する従来の回転エンコーダで必要となり得るような、変位部材をリセット(ゼロ又はホーム)位置へ後退又は前進させることなしに、器具の電源投入時に変位部材の絶対位置を提供する。
【0099】
例えば歪みゲージ又は微小歪みゲージなどのセンサ474は、例えば、アンビルに適用される閉鎖力を示すことができる、クランプ動作中にアンビルに及ぼされる歪みの振幅などのエンドエフェクタの1つ又は2つ以上のパラメータを測定するように構成される。測定された歪みは、デジタル信号に変換されて、プロセッサ462に提供される。センサ474の代わりに、又はこれに加えて、例えば、負荷センサなどのセンサ476が、閉鎖駆動システムによってアンビルに加えられる閉鎖力を測定することができる。例えば、負荷センサなどのセンサ476は、外科用器具又はツールの発射ストローク中にIビームに加えられる発射力を測定することができる。Iビームは、楔形スレッドと係合するように構成されており、楔形スレッドは、ステープルドライバを上向きにカム作用して、ステープルを押し出してアンビルと変形接触させるように構成されている。Iビームはまた、発射バーによってIビームが遠位に前進される際に組織を切断するために使用することができる、鋭利な切刃を含む。あるいは、モータ482によって引き込まれる電流を測定するために、電流センサ478を用いることができる。発射部材を前進させるのに必要な力は、例えば、モータ482によって引き込まれる電流に相当し得る。測定された力は、デジタル信号に変換されて、プロセッサ462に提供される。
【0100】
一形態では、歪みゲージセンサ474を使用して、エンドエフェクタによって組織に加えられる力を測定することができる。治療される組織に対するエンドエフェクタによる力を測定するために、歪みゲージをエンドエフェクタに連結することができる。エンドエフェクタによって把持された組織に加えられる力を測定するためのシステムは、例えば、エンドエフェクタの1つ又は2つ以上のパラメータを測定するように構成された微小歪みゲージなどの歪みゲージセンサ474を備える。一態様では、歪みゲージセンサ474は、把持動作中にエンドエフェクタのジョー部材に及ぼされる歪みの振幅又は大きさを測定してもよく、これは組織の圧縮を示してもよい。測定された歪みはデジタル信号に変換されて、マイクロコントローラ461のプロセッサ462に提供される。負荷センサ476は、例えば、アンビルとステープルカートリッジとの間に捕捉された組織を切断するために、ナイフ要素を操作するのに用いられる力を測定することができる。磁界センサは、捕捉された組織の厚さを測定するために用いることができる。磁界センサの測定値もデジタル信号に変換されて、プロセッサ462に提供され得る。
【0101】
センサ474、476によってそれぞれ測定される、組織の圧縮、組織の厚さ、及び/又はエンドエフェクタを組織上で閉鎖するのに必要な力の測定値は、発射部材の選択された位置、及び/又は発射部材の速度の対応する値を特性決定するために、マイクロコントローラ461によって使用することができる。一例では、メモリ468は、評価の際にマイクロコントローラ461によって用いることができる技術、等式及び/又はルックアップテーブルを記憶することができる。
【0102】
外科用器具又はツールの制御システム470はまた、
図8~
図11に示されるようにモジュール式通信ハブと通信するための有線又は無線通信回路を備えてもよい。
【0103】
図13は、本開示の一態様による、外科用器具又はツールの態様を制御するように構成された制御回路500を示す。制御回路500は、本明細書に説明される様々なプロセスを実装するように構成することができる。制御回路500は、少なくとも1つのメモリ回路504に連結された1つ又は2つ以上のプロセッサ502(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ)を備えるマイクロコントローラを備えることができる。メモリ回路504は、プロセッサ502によって実行されると、本明細書に記載される様々なプロセスを実装するための機械命令をプロセッサ502に実行させる、機械実行可能命令を記憶する。プロセッサ502は、当該技術分野で既知の多数のシングル又はマルチコアプロセッサのうち任意の1つであってもよい。メモリ回路504は、揮発性及び不揮発性の記憶媒体を含むことができる。プロセッサ502は、命令処理ユニット506及び演算ユニット508を含むことができる。命令処理ユニットは、本開示のメモリ回路504から命令を受信するように構成されてもよい。
【0104】
図14は、本開示の一態様による、外科用器具又はツールの態様を制御するように構成された組み合わせ論理回路510を示す。組み合わせ論理回路510は、本明細書に記載される様々なプロセスを実装するように構成することができる。組み合わせ論理回路510は、入力514で外科用器具又はツールと関連付けられたデータを受信し、組み合わせ論理512によってデータを処理し、出力516を提供するように構成された組み合わせ論理512を含む有限状態マシンを含み得る。
【0105】
図15は、本開示の一態様による、外科用器具又はツールの態様を制御するように構成された順序論理回路520を示す。順序論理回路520又は組み合わせ論理522は、本明細書に記載される様々なプロセスを実装するように構成することができる。順序論理回路520は有限状態マシンを含んでもよい。順序論理回路520は、例えば、組み合わせ論理522、少なくとも1つのメモリ回路524、及びクロック529を含んでもよい。少なくとも1つのメモリ回路524は、有限状態マシンの現在の状態を記憶することができる。特定の例では、順序論理回路520は、同期式又は非同期式であってもよい。組み合わせ論理522は、入力526から外科用器具又はツールと関連付けられたデータを受信し、組み合わせ論理522によってデータを処理し、出力528を供給するように構成される。他の態様では、回路は、プロセッサ(例えば、
図13のプロセッサ502)と、本明細書の様々なプロセスを実装する有限状態マシンと、の組み合わせを含んでもよい。他の態様では、有限状態マシンは、組み合わせ論理回路(例えば
図14の組み合わせ論理回路510)と順序論理回路520の組み合わせを含むことができる。
【0106】
図16は、様々な機能を実行するために起動され得る複数のモータを備える外科用器具又はツールを示す。特定の例では、第1のモータを起動させて第1の機能を実行することができ、第2のモータを起動させて第2の機能を実行することができ、第3のモータを起動させて第3の機能を実行することができ、第4のモータを起動させて第4の機能を実行することができる、といった具合である。特定の例では、ロボット外科用器具600の複数のモータは個々に起動されて、エンドエフェクタにおいて発射運動、閉鎖運動、及び/又は関節運動を生じさせることができる。発射運動、閉鎖運動、及び/又は関節運動は、例えばシャフトアセンブリを介してエンドエフェクタに伝達することができる。
【0107】
特定の例では、外科用器具システム又はツールは発射モータ602を含んでもよい。発射モータ602は、具体的にはIビーム要素を変位させるために、モータ602によって生成された発射運動をエンドエフェクタに伝達するように構成可能な発射モータ駆動アセンブリ604に動作可能に連結されてもよい。特定の例では、モータ602によって生成される発射運動によって、例えば、ステープルをステープルカートリッジから、エンドエフェクタによって捕捉された組織内へと展開させ、かつ/又はIビーム要素の切刃を前進させて、捕捉された組織を切断してもよい。Iビーム要素を、モータ602の方向を逆転させることによって後退させてもよい。
【0108】
特定の例では、外科用器具又はツールは閉鎖モータ603を含んでもよい。閉鎖モータ603は、具体的には閉鎖管を変位させてアンビルを閉鎖し、アンビルとステープルカートリッジとの間で組織を圧縮するためにモータ603によって生成された閉鎖運動をエンドエフェクタに伝達するように構成され得る、閉鎖モータ駆動アセンブリ605と動作可能に連結されてもよい。閉鎖運動によって、例えば、エンドエフェクタが開放構成から接近構成へと遷移して組織を捕捉することができる。エンドエフェクタは、モータ603の方向を逆転させることによって開放位置に遷移され得る。
【0109】
特定の例では、外科用器具又はツールは、例えば、1つ又は2つ以上の関節運動モータ606a、606bを含んでもよい。モータ606a、606bは、モータ606a、606bによって生成された関節運動をエンドエフェクタに伝達するように構成され得る、それぞれの関節運動モータ駆動アセンブリ608a、608bに動作可能に連結され得る。特定の例では、関節運動によって、例えば、エンドエフェクタがシャフトに対して関節運動することができる。
【0110】
上述したように、外科用器具又はツールは、様々な独立した機能を実施するように構成され得る複数のモータを含んでもよい。特定の例では、外科用器具又はツールの複数のモータは、他のモータが停止したままである間に、独立して又は別個に起動させて、1つ又は2つ以上の機能を実行することができる。例えば、関節運動モータ606a、606bを起動させて、発射モータ602が停止したままである間に、エンドエフェクタを関節運動させることができる。あるいは、発射モータ602を起動させて、関節運動モータ606が停止している間に、複数のステープルを発射させ、及び/又は刃先を前進させることができる。更に、閉鎖モータ603は、本明細書の以下でより詳細に説明されるように、閉鎖管及びIビーム要素を遠位に前進させるために、発射モータ602と同時に起動されてもよい。
【0111】
特定の例では、外科用器具又はツールは、外科用器具又はツールの複数のモータと共に用いることができる、共通の制御モジュール610を含んでもよい。特定の例では、共通の制御モジュール610は、一度に複数のモータのうちの1つに対応することができる。例えば、共通の制御モジュール610は、ロボット外科用器具の複数のモータに対して個々に連結及び分離が可能であってもよい。特定の例では、外科用器具又はツールの複数のモータは、共通の制御モジュール610などの1つ又は2つ以上の共通の制御モジュールを共有してもよい。特定の例では、外科用器具又はツールの複数のモータは、共通の制御モジュール610に独立してかつ選択的に係合することができる。特定の例では、共通の制御モジュール610は、外科用器具又はツールの複数のモータのうちの1つとの連携から、外科用器具又はツールの複数のモータのうちの別の1つとの連携へと選択的に切り替えることができる。
【0112】
少なくとも1つの例では、共通の制御モジュール610は、関節運動モータ606a、606bとの動作可能な係合と、発射モータ602又は閉鎖モータ603のいずれかとの動作可能な係合と、の間で選択的に切り替えることができる。少なくとも1つの実施例では、
図16に示すように、スイッチ614は、複数の位置及び/又は状態間を移動又は遷移させることができる。例えば、第1の位置616では、スイッチ614は、共通の制御モジュール610を発射モータ602と電気的に連結してもよく、第2の位置617では、スイッチ614は、共通の制御モジュール610を閉鎖モータ603と電気的に連結してもよく、第3の位置618aでは、スイッチ614は、共通の制御モジュール610を第1の関節運動モータ606aと電気的に連結してもよく、第4の位置618bでは、スイッチ614は、共通の制御モジュール610を第2の関節運動モータ606bと電気的に連結してもよい。特定の例では、同時に、別個の共通の制御モジュール610を、発射モータ602、閉鎖モータ603、及び関節運動モータ606a、606bと電気的に連結してもよい。特定の例では、スイッチ614は、機械的スイッチ、電気機械的スイッチ、固体スイッチ、又は任意の好適な切り替え機構であってもよい。
【0113】
モータ602、603、606a、606bのそれぞれは、モータのシャフト上の出力トルクを測定するためのトルクセンサを備えてもよい。エンドエフェクタ上の力は、ジョーの外側の力センサによって、又はジョーを作動させるモータのトルクセンサなどによって、任意の従来の方法で感知されてもよい。
【0114】
様々な例では、
図16に示されるように、共通の制御モジュール610は、1つ又は2つ以上のHブリッジFETを備え得るモータ駆動器626を備えてもよい。モータ駆動器626は、例えば、マイクロコントローラ620(「コントローラ」)からの入力に基づいて、電源628から共通の制御モジュール610に連結されたモータへと伝達された電力を変調してもよい。特定の例では、上述したように、例えば、モータが共通の制御モジュール610に連結されている間にマイクロコントローラ620を用いて、モータによって引き込まれる電流を判定することができる。
【0115】
特定の例では、マイクロコントローラ620は、マイクロプロセッサ622(「プロセッサ」)と、1つ又は2つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体又はメモリユニット624(「メモリ」)と、を含んでもよい。特定の例では、メモリ624は、実行時にプロセッサ622に本明細書で説明する複数の機能及び/又は計算を実行させる様々なプログラム命令を記憶してもよい。特定の例では、メモリユニット624の1つ又は2つ以上が、例えば、プロセッサ622に連結されてもよい。
【0116】
特定の例では、電源628を用いて、例えばマイクロコントローラ620に電力を供給してもよい。特定の例では、電源628は、例えばリチウムイオン電池などの電池(又は「電池パック」若しくは「パワーパック」)を含んでもよい。特定の例では、電池パックは、外科用器具600に電力を供給するため、ハンドルに解除可能に装着されるように構成されてもよい。直列で接続された多数の電池セルを、電源628として使用してもよい。特定の例では、電源628は、例えば、交換可能及び/又は再充電可能であってもよい。
【0117】
様々な例では、プロセッサ622は、モータ駆動器626を制御して、共通の制御モジュール610に連結されたモータの位置、回転方向、及び/又は速度を制御することができる。特定の例では、プロセッサ622は、モータ駆動器626に信号伝達して、共通の制御モジュール610に連結されたモータを停止及び/又は使用不能にすることができる。用語「プロセッサ」は、本明細書で使用されるとき、任意の好適なマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、又は、コンピュータの中央処理装置(CPU)の機能を1つの集積回路又は最大で数個の集積回路上で統合した他の基本コンピューティング装置を含むと理解されるべきである。プロセッサは、デジタルデータを入力として受理し、メモリに記憶された命令に従ってそのデータを処理し、結果を出力として提供する、多目的のプログラマブルデバイスである。これは、内部メモリを有するので、逐次的デジタル論理の一例である。プロセッサは、二進数法で表される数字及び記号で動作する。
【0118】
一例では、プロセッサ622は、Texas Instruments製のARM Cortexの商品名で知られているものなど、任意のシングルコア又はマルチコアプロセッサであってもよい。特定の例では、マイクロコントローラ620は、例えばTexas Instrumentsから入手可能なLM 4F230H5QRであってもよい。少なくとも1つの実施例では、Texas InstrumentsのLM4F230H5QRは、製品データシートで容易に利用可能な特性の中でもとりわけ、最大40MHzの256KBのシングルサイクルフラッシュメモリ若しくは他の不揮発性メモリのオンチップメモリ、性能を40MHz超に改善するためのプリフェッチバッファ、32KBのシングルサイクルSRAM、StellarisWare(登録商標)ソフトウェアを搭載した内部ROM、2KBのEEPROM、1つ又は2つ以上のPWMモジュール、1つ又は2つ以上のQEIアナログ、12個のアナログ入力チャネルを備える1つ又は2つ以上の12ビットADCを含むARM Cortex-M4Fプロセッサコアである。他のマイクロコントローラが、モジュール4410と共に使用するのに容易に代用されてもよい。したがって、本開示は、この文脈に限定されるべきではない。
【0119】
特定の例では、メモリ624は、共通の制御モジュール610に連結可能な外科用器具600のモータをそれぞれ制御するためのプログラム命令を含んでもよい。例えば、メモリ624は、発射モータ602、閉鎖モータ603、及び関節運動モータ606a、606bを制御するためのプログラム命令を含んでもよい。このようなプログラム命令は、プロセッサ622に、外科用器具又はツールのアルゴリズム又は制御プログラムからの入力に従って、発射機能、閉鎖機能、及び関節運動機能を制御させることができる。
【0120】
特定の例では、例えば、センサ630などの1つ又は2つ以上の機構及び/又はセンサを用いて、特定の設定で使用すべきプログラム命令をプロセッサ622に警告することができる。例えば、センサ630は、エンドエフェクタの発射、閉鎖、及び関節運動に関連するプログラム命令を使用するようにプロセッサ622に警告することができる。特定の例では、センサ630は、例えば、スイッチ614の位置を感知するために用いることができる位置センサを含んでもよい。したがって、プロセッサ622は、例えば、センサ630を介してスイッチ614が第1の位置616にあることを検出すると、エンドエフェクタのIビームの発射と関連付けられたプログラム命令を使用することができ、プロセッサ622は、例えば、センサ630を介してスイッチ614が第2の位置617にあることを検出すると、アンビルの閉鎖と関連付けられたプログラム命令を使用することができ、プロセッサ622は、例えば、センサ630を介してスイッチ614が第3の位置618a又は第4の位置618bにあることを検出すると、エンドエフェクタの関節運動と関連付けられたプログラム命令を使用することができる。
【0121】
図17は、本開示の一態様による、本明細書で説明される外科用ツールを操作するように構成されたロボット外科用器具700の回路図である。ロボット外科用器具700は、単一又は複数の関節運動駆動連結部のいずれかを用いて、変位部材の遠位/近位並進、閉鎖管の遠位/近位変位、シャフトの回転、及び関節運動を制御するようにプログラム又は構成されてもよい。一態様では、外科用器具700は、発射部材、閉鎖部材、シャフト部材、又は1つ若しくは2つ以上の関節運動部材を個別に制御するようにプログラム又は構成されてもよい。外科用器具700は、モータ駆動式の発射部材、閉鎖部材、シャフト部材、又は1つ若しくは2つ以上の関節運動部材を制御するように構成された制御回路710を備える。
【0122】
一態様では、ロボット外科用器具700は、複数のモータ704a~704eを介して、エンドエフェクタ702のアンビル716及びIビーム714(鋭利な切刃を含む)部分、取り外し可能なステープルカートリッジ718、シャフト740、並びに1つ又は2つ以上の関節運動部材742a、742bを制御するように構成された制御回路710を備える。位置センサ734は、Iビーム714の位置フィードバックを制御回路710に提供するように構成されてもよい。他のセンサ738は、制御回路710にフィードバックを提供するように構成されてもよい。タイマー/カウンタ731は、制御回路710にタイミング及びカウント情報を提供する。モータ704a~704eを動作させるためにエネルギー源712が設けられてもよく、電流センサ736はモータ電流フィードバックを制御回路710に提供する。モータ704a~704eは、開ループ又は閉ループフィードバック制御において制御回路710によって個別に操作することができる。
【0123】
一態様では、制御回路710は、1つ若しくは2つ以上のマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、又はプロセッサ若しくは複数のプロセッサに1つ又は2つ以上のタスクを実施させる命令を実行するための他の好適なプロセッサを備えてもよい。一態様では、タイマー/カウンタ731が、経過時間又はデジタルカウントなどの出力信号を制御回路710に提供して、位置センサ734によって測定されたIビーム714の位置をタイマー/カウンタ731の出力と相関させることにより、制御回路710が、特定の時点(t)におけるIビーム714の開始位置に対する位置、又はIビーム714が開始位置に対して特定の位置にあるときの時点(t)を求めることができる。タイマー/カウンタ731は、経過時間を測定するか、外部イベントを計数するか、又は外部イベントの時間を測定するように構成されてもよい。
【0124】
一態様では、制御回路710は、1つ又は2つ以上の組織状態に基づいてエンドエフェクタ702の機能を制御するようにプログラムされてもよい。制御回路710は、本明細書に説明されるように、厚さなどの組織状態を直接的又は間接的のいずれかで感知するようにプログラムされてもよい。制御回路710は、組織状態に基づいて発射制御プログラム又は閉鎖制御プログラムを選択するようにプログラムされてもよい。発射制御プログラムは、変位部材の遠位運動を記述することができる。様々な組織状態をより良好に処理するために様々な発射制御プログラムを選択することができる。例えば、より厚い組織が存在する場合、制御回路710は、変位部材をより低速で、かつ/又はより低電力で並進させるようにプログラムされてもよい。より薄い組織が存在する場合、制御回路710は、変位部材をより高速で、かつ/又はより高電力で並進させるようにプログラムされてもよい。閉鎖制御プログラムは、アンビル716によって組織に加えられる閉鎖力を制御することができる。他の制御プログラムは、シャフト740及び関節運動部材742a、742bの回転を制御する。
【0125】
一態様では、制御回路710は、モータ設定値信号を生成することができる。モータ設定値信号は、様々なモータコントローラ708a~708eに提供されてもよい。モータコントローラ708a~708eは、本明細書で説明するように、モータ704a~704eにモータ駆動信号を提供してモータ704a~704eを駆動するように構成された1つ又は2つ以上の回路を備えてもよい。いくつかの実施例では、モータ704a~704eはブラシ付きDC電動モータであってもよい。例えば、モータ704a~704eの速度は、それぞれのモータ駆動信号に比例してもよい。いくつかの実施例では、モータ704a~704eはブラシレスDC電動モータであってもよく、それぞれのモータ駆動信号は、モータ704a~704eの1つ又は2つ以上の固定子巻線に提供されるPWM信号を含んでもよい。また、いくつかの実施例では、モータコントローラ708a~708eは省略されてもよく、制御回路710がモータ駆動信号を直接生成してもよい。
【0126】
一態様では、制御回路710は、最初に、モータ704a~704eのそれぞれを、変位部材のストロークの第1の開ループ部分では開ループ構成で動作させてもよい。ストロークの開ループ部分の間のロボット外科用器具700の応答に基づいて、制御回路710は、閉ループ構成の発射制御プログラムを選択してもよい。器具の応答としては、開ループ部分の間の変位部材の並進距離、開ループ部分の間に経過する時間、開ループ部分の間にモータ704a~704eのうちの1つに供給されるエネルギー、モータ駆動信号のパルス幅の合計などが挙げられ得る。開ループ部分の後で、制御回路710は、変位部材ストロークの第2の部分に対して選択された発射制御プログラムを実施してもよい。例えば、ストロークの閉ループ部分の間、制御回路710は、変位部材の位置を記述する並進データに基づいてモータ704a~704eのうちの1つを閉ループ式に変調して、変位部材を一定速度で並進させてもよい。
【0127】
一態様では、モータ704a~704eは、エネルギー源712から電力を受け取ることができる。エネルギー源712は、主交流電源、電池、超コンデンサ、又は任意の他の好適なエネルギー源によって駆動されるDC電源であってもよい。モータ704a~704eは、それぞれの伝達装置706a~706eを介して、Iビーム714、アンビル716、シャフト740、関節運動742a、及び関節運動742bなどの個々の可動機械的要素に機械的に連結されてもよい。伝達装置706a~706eは、モータ704a~704eを可動機械的要素に連結するための1つ又は2つ以上のギア又は他の連結構成要素を含んでもよい。位置センサ734が、Iビーム714の位置を感知してもよい。位置センサ734は、Iビーム714の位置を示す位置データを生成可能なあらゆる種類のセンサであってもよく、又はそれを含んでもよい。いくつかの例では、位置センサ734は、Iビーム714が遠位及び近位に並進すると一連のパルスを制御回路710に提供するように構成されたエンコーダを含んでもよい。制御回路710は、パルスを追跡してIビーム714の位置を判定してもよい。例えば近接センサを含む他の好適な位置センサが使用されてもよい。他の種類の位置センサが、Iビーム714の運動を示す他の信号を提供してもよい。また、いくつかの実施例では、位置センサ734は省略されてもよい。モータ704a~704eのいずれかがステッパモータである場合、制御回路710は、モータ704が実行するように指示された工程の数及び方向を合計することによって、Iビーム714の位置を追跡することができる。位置センサ734は、エンドエフェクタ702内、又は器具の任意の他の部分に配置することができる。モータ704a~704eのそれぞれの出力は、力を感知するためのトルクセンサ744a~744eを含み、駆動シャフトの回転を感知するエンコーダを有する。
【0128】
一態様では、制御回路710は、エンドエフェクタ702のIビーム714部分などの発射部材を駆動するように構成されている。制御回路710はモータ制御部708aにモータ設定値を提供し、モータ制御部708aはモータ704aに駆動信号を提供する。モータ704aの出力シャフトは、トルクセンサ744aに連結される。トルクセンサ744aは、Iビーム714に連結された伝達装置706aに連結される。伝達装置706aは、エンドエフェクタ702の長手方向軸線に沿って遠位方向及び近位方向へのIビーム714の移動を制御するための回転要素及び発射部材などの可動機械的要素を備える。一態様では、モータ704aは、第1のナイフ駆動ギア及び第2のナイフ駆動ギアを含むナイフギア減速セットを含むナイフギアアセンブリに連結されてもよい。トルクセンサ744aは、制御回路710に発射力フィードバック信号を提供する。発射力信号は、Iビーム714を発射又は変位させるために必要な力を表す。位置センサ734は、発射ストロークに沿ったIビーム714の位置又は発射部材の位置を、フィードバック信号として制御回路710に提供するように構成されてもよい。エンドエフェクタ702は、制御回路710にフィードバック信号を提供するように構成された追加のセンサ738を含んでもよい。使用準備が整ったら、制御回路710は、モータ制御部708aに発射信号を提供することができる。発射信号に応答して、モータ704aは、発射部材をエンドエフェクタ702の長手方向軸線に沿って、近位のストローク開始位置からストローク開始位置の遠位にあるストローク終了位置まで遠位方向に駆動することができる。発射部材が遠位に並進すると、遠位端に位置決めされた切断要素を備えるIビーム714は、遠位に前進して、ステープルカートリッジ718とアンビル716との間に位置する組織を切断する。
【0129】
一態様では、制御回路710は、エンドエフェクタ702のアンビル716などの閉鎖部材を駆動するように構成されている。制御回路710は、モータ704bに駆動信号を提供するモータ制御部708bにモータ設定値を提供する。モータ704bの出力シャフトは、トルクセンサ744bに連結される。トルクセンサ744bは、アンビル716に連結された伝達装置706bに連結される。伝達装置706bは、開位置及び閉位置からのアンビル716の移動を制御するための回転要素及び閉鎖部材などの可動機械的要素を含む。一態様では、モータ704bは、閉鎖スパーギアと噛合係合して支持される閉鎖減速ギアセットを含む閉鎖ギアアセンブリに連結される。トルクセンサ744bは、制御回路710に閉鎖力フィードバック信号を提供する。閉鎖力フィードバック信号は、アンビル716に加えられる閉鎖力を表す。位置センサ734は、閉鎖部材の位置をフィードバック信号として制御回路710に提供するように構成されてもよい。エンドエフェクタ702内の追加のセンサ738は、閉鎖力フィードバック信号を制御回路710に提供することができる。枢動可能なアンビル716は、ステープルカートリッジ718に対向して位置決めされる。使用準備が整うと、制御回路710は、モータ制御部708bに閉鎖信号を提供することができる。閉鎖信号に応答して、モータ704bは、閉鎖部材を前進させて、アンビル716とステープルカートリッジ718との間で組織を把持する。
【0130】
一態様では、制御回路710は、エンドエフェクタ702を回転させるためにシャフト740などのシャフト部材を回転させるように構成されている。制御回路710は、モータ704cに駆動信号を提供するモータ制御部708cにモータ設定値を提供する。モータ704cの出力シャフトは、トルクセンサ744cに連結される。トルクセンサ744cは、シャフト740に連結された伝達装置706cに連結される。伝達装置706cは、シャフト740の時計回り又は反時計回りの回転を360度まで及びそれを超えて制御するために回転要素などの可動機械的要素を含む。一態様では、モータ704cは、ツール装着プレート上に動作可能に支持された回転ギアアセンブリによって動作可能に係合されるように、近位閉鎖管の近位端上に形成された(又はこれに取り付けられた)管状ギアセグメントを含む回転伝達装置アセンブリに連結される。トルクセンサ744cは、制御回路710に回転力フィードバック信号を提供する。回転力フィードバック信号は、シャフト740に加えられる回転力を表す。位置センサ734は、閉鎖部材の位置をフィードバック信号として制御回路710に提供するように構成されてもよい。シャフトエンコーダなどの追加のセンサ738が、シャフト740の回転位置を制御回路710に提供してもよい。
【0131】
一態様では、制御回路710は、エンドエフェクタ702を関節運動させるように構成されている。制御回路710は、モータ704dに駆動信号を提供するモータ制御部708dにモータ設定値を提供する。モータ704dの出力シャフトは、トルクセンサ744dに連結される。トルクセンサ744dは、関節運動部材742aに連結された伝達装置706dに連結される。伝達装置706dは、エンドエフェクタ702の±65°の関節運動を制御するための関節運動要素などの可動機械的要素を含む。一態様では、モータ704dは、関節運動ナットに連結され、関節運動ナットは、遠位スパイン部分の近位端部分上で回転可能に軸支され、遠位スパイン部分の近位端部分上で関節運動ギアアセンブリによって回転可能に駆動される。トルクセンサ744dは、制御回路710に関節運動力フィードバック信号を提供する。関節運動力フィードバック信号は、エンドエフェクタ702に適用される関節運動力を表す。関節運動エンコーダなどのセンサ738は、エンドエフェクタ702の関節運動位置を制御回路710に提供してもよい。
【0132】
別の態様では、ロボット外科システム700の関節運動機能は、2つの関節運動部材、又は連結部742a、742bを含んでもよい。これらの関節運動部材742a、742bは、2つのモータ708d、708eによって駆動されるロボットインターフェース(ラック)上の個別のディスクによって駆動される。個別の発射モータ704aが提供されると、ヘッドが運動していないときにヘッドに抵抗保持運動及び負荷を提供するために、かつヘッドが関節運動しているときに関節運動を提供するために、関節運動連結部742a、742bのそれぞれは他の連結部に対して拮抗的に駆動され得る。関節運動部材742a、742bは、ヘッドが回転するときに固定された半径でヘッドに取り付けられる。したがって、ヘッドが回転すると、プッシュプル連結部の機械効率は変化する。この機械効率の変化は、他の関節運動連結部の駆動システムでより顕著であり得る。
【0133】
一態様では、1つ又は2つ以上のモータ704a~704eは、ギアボックス、及び発射部材、閉鎖部材、又は関節運動部材への機械的連結部を備えるブラシ付きDCモータを備えてもよい。別の例としては、変位部材、関節運動連結部、閉鎖管、及びシャフトなどの可動機械的要素を動作させる電動モータ704a~704eが挙げられる。外部影響とは、組織、周囲体、及び物理系上の摩擦などのものの、測定されていない予測不可能な影響である。こうした外部影響は、電動モータ704a~704eの1つに反して作用する障害(drag)と呼ばれることがある。障害などの外部影響は、物理系の動作を物理系の所望の動作から逸脱させることがある。
【0134】
一態様では、位置センサ734は、絶対位置決めシステムとして実装されてもよい。一態様では、位置センサ734は、Austria Microsystems,AGから入手可能なAS5055EQFTシングルチップ磁気回転位置センサとして実装される磁気回転絶対位置決めシステムを備えてもよい。位置センサ734は、制御回路710と連携して絶対位置決めシステムを提供することができる。位置は、磁石の上方に位置し、加算、減算、ビットシフト、及びテーブル参照演算のみを必要とする、双曲線関数及び三角関数を計算する簡潔かつ効率的なアルゴリズムを実装するために設けられた、桁毎法及びボルダーアルゴリズムとしても知られるCORDICプロセッサに連結された、複数のホール効果素子を含み得る。
【0135】
一態様では、制御回路710は、1つ又は2つ以上のセンサ738と通信してもよい。センサ738は、エンドエフェクタ702上に位置決めされ、ロボット外科用器具700と共に動作して、間隙距離対時間、組織圧縮対時間、及びアンビル歪み対時間などの様々な導出パラメータを測定するように適合されてもよい。センサ738は、磁気センサ、磁界センサ、歪みゲージ、ロードセル、圧力センサ、力センサ、トルクセンサ、渦電流センサなどの誘導センサ、抵抗センサ、容量センサ、光学センサ、及び/又はエンドエフェクタ702の1つ又は2つ以上のパラメータを測定するための任意の他の好適なセンサを含んでもよい。センサ738が、1つ又は2つ以上のセンサを含んでもよい。センサ738は、分割された電極を使用して組織の位置を測定するために、ステープルカートリッジ718のデッキ上に配置されてもよい。トルクセンサ744a~744eは、とりわけ、発射力、閉鎖力、及び/又は関節運動力などの力を感知するように構成されてもよい。したがって、制御回路710は、(1)遠位閉鎖管によって経験される閉鎖負荷及びその位置、(2)ラックにある発射部材及びその位置、(3)ステープルカートリッジ718のどの部分がその上に組織を有しているか、及び(4)両方の関節運動ロッド上の負荷及び位置を感知することができる。
【0136】
一態様では、1つ又は2つ以上のセンサ738は、把持状態中のアンビル716における歪みの大きさを測定するように構成された、微小歪みゲージなどの歪みゲージを含んでもよい。歪みゲージは、歪みの大きさに伴って振幅が変動する電気信号を提供する。センサ738は、アンビル716とステープルカートリッジ718との間で圧縮された組織の存在によって生成された圧力を検出するように構成された圧力センサを含んでもよい。センサ738は、アンビル716とステープルカートリッジ718との間に位置する組織部分のインピーダンスを検出するように構成されてもよく、このインピーダンスは、それらの間に位置する組織の厚さ及び/又は充満度を示す。
【0137】
一態様では、センサ738は、とりわけ、1つ又は2つ以上のリミットスイッチ、電気機械装置、固体スイッチ、ホール効果装置、磁気抵抗(MR)装置、巨大磁気抵抗(GMR)装置、磁力計として実装されてもよい。他の実装形態では、センサ738は、とりわけ光センサ、IRセンサ、紫外線センサなどの光の影響下で動作する固体スイッチとして実装されてもよい。更に、スイッチは、トランジスタ(例えば、FET、接合FET、MOSFET、双極など)などの固体装置であってもよい。他の実装形態では、センサ738は、とりわけ、導電体非含有スイッチ、超音波スイッチ、加速度計、及び慣性センサを含んでもよい。
【0138】
一態様では、センサ738は、閉鎖駆動システムによってアンビル716に及ぼされる力を測定するように構成されてもよい。例えば、1つ又は2つ以上のセンサ738は、閉鎖管によってアンビル716に加えられる閉鎖力を検出するために、閉鎖管とアンビル716との間の相互作用点に位置してもよい。アンビル716に対して及ぼされる力は、アンビル716とステープルカートリッジ718との間に捕捉された組織部分が受ける組織圧縮を表すものであってもよい。1つ又は2つ以上のセンサ738を、閉鎖駆動システムに沿って様々な相互作用点に配置して、閉鎖駆動システムによりアンビル716に適用される閉鎖力を検出することができる。1つ又は2つ以上のセンサ738は、制御回路710のプロセッサによるクランプ動作中にリアルタイムでサンプリングされてもよい。制御回路710は、リアルタイムのサンプル測定値を受信して時間ベースの情報を提供及び分析し、アンビル716に適用される閉鎖力をリアルタイムで評価する。
【0139】
一態様では、電流センサ736を用いて、モータ704a~704eのそれぞれによって引き込まれる電流を測定することができる。Iビーム714などの可動機械的要素のいずれかを前進させるのに必要な力は、モータ704a~704eのうちの1つによって引き込まれる電流に対応する。力はデジタル信号に変換されて、制御回路710に提供される。制御回路710は、器具の実際のシステムの応答をコントローラのソフトウェアでシミュレートするように構成され得る。変位部材を作動させて、エンドエフェクタ702内のIビーム714を目標速度又はその付近で移動させることができる。ロボット外科用器具700は、フィードバックコントローラを含むことができ、フィードバックコントローラは、例えば、PID、状態フィードバック、線形二次(LQR)、及び/又は適応コントローラが挙げられるがこれらに限定されない任意のフィードバックコントローラのうちの1つであってもよい。ロボット外科用器具700は、フィードバックコントローラからの信号を、例えば、ケース電圧、PWM電圧、周波数変調電圧、電流、トルク、及び/又は力などの物理的入力に変換するための電源を含むことができる。更なる詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年6月29日出願の「CLOSED LOOP VELOCITY CONTROL TECHNIQUES FOR ROBOTIC SURGICAL INSTRUMENT」と題する米国特許出願第15/636,829号に開示されている。
【0140】
図18は、本開示の一態様による、変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされた外科用器具750のブロック図を示す。一態様では、外科用器具750は、Iビーム764などの変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされる。外科用器具750は、アンビル766、Iビーム764(鋭利な切刃を含む)、及び取り外し可能なステープルカートリッジ768を備え得るエンドエフェクタ752を備える。
【0141】
Iビーム764などの直線変位部材の位置、移動、変位、及び/又は並進は、絶対位置決めシステム、センサ機構、及び位置センサ784によって測定することができる。Iビーム764が長手方向に移動可能な駆動部材に連結されているため、Iビーム764の位置は、位置センサ784を使用する長手方向に移動可能な駆動部材の位置を測定することによって判定することができる。したがって、以下の説明では、Iビーム764の位置、変位、及び/又は並進は、本明細書に記載される位置センサ784によって達成され得る。制御回路760は、Iビーム764などの変位部材の並進を制御するようにプログラムされてもよい。いくつかの実施例では、制御回路760は、1つ若しくは2つ以上のマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、又はプロセッサ若しくは複数のプロセッサに、説明した方法で例えばIビーム764などの変位部材を制御させる命令を実行するための、他の好適なプロセッサを備えてもよい。一態様では、タイマー/カウンタ781が、経過時間又はデジタルカウントなどの出力信号を制御回路760に供給して、位置センサ784によって判定されたIビーム764の位置をタイマー/カウンタ781の出力と相関させることにより、制御回路760が、特定の時点(t)におけるIビーム764の開始位置に対する位置を求めることができる。タイマー/カウンタ781は、経過時間を測定するか、外部イベントを計数するか、又は外部イベントの時間を測定するように構成されてよい。
【0142】
制御回路760は、モータ設定値信号772を生成してもよい。モータ設定値信号772は、モータコントローラ758に供給されてもよい。モータコントローラ758は、本明細書で説明するように、モータ754にモータ駆動信号774を供給してモータ754を駆動するように構成された1つ又は2つ以上の回路を備えてもよい。いくつかの実施例では、モータ754は、ブラシ付きDC電動モータであってもよい。例えば、モータ754の速度は、モータ駆動信号774に比例してもよい。いくつかの例では、モータ754はブラシレスDC電動モータであってもよく、モータ駆動信号774は、モータ754の1つ又は2つ以上の固定子巻線に提供されるPWM信号を含んでもよい。また、いくつかの実施例では、モータコントローラ758は省略されてもよく、制御回路760がモータ駆動信号774を直接生成してもよい。
【0143】
モータ754は、エネルギー源762から電力を受信することができる。エネルギー源762は、電池、超コンデンサ、又は任意の他の好適なエネルギー源であってもよく、あるいはそれを含んでもよい。モータ754は、伝達装置756を介してIビーム764に機械的に連結され得る。伝達装置756は、モータ754をIビーム764に連結するための1つ又は2つ以上の歯車又は他の連結構成要素を含んでもよい。位置センサ784が、Iビーム764の位置を感知してもよい。位置センサ784は、Iビーム764の位置を示す位置データを生成可能なあらゆる種類のセンサであってよく、又はそれを含んでもよい。いくつかの例では、位置センサ784は、Iビーム764が遠位及び近位に並進すると一連のパルスを制御回路760に供給するように構成されたエンコーダを含んでもよい。制御回路760は、パルスを追跡してIビーム764の位置を判定してもよい。例えば近接センサを含む他の好適な位置センサが使用されてもよい。他の種類の位置センサが、Iビーム764の運動を示す他の信号を提供してもよい。また、いくつかの実施例では、位置センサ784は省略されてもよい。モータ754がステッパモータである場合、制御回路760は、モータ754が実行するように指示された工程の数及び方向を合計することによって、Iビーム764の位置を追跡することができる。位置センサ784は、エンドエフェクタ752内、又は器具の任意の他の部分に配置することができる。
【0144】
制御回路760は、1つ又は2つ以上のセンサ788と通信することができる。センサ788は、エンドエフェクタ752上に位置決めされ、外科用器具750と共に動作して、間隙距離対時間、組織圧縮対時間、及びアンビル歪み対時間などの様々な導出パラメータを測定するように適合され得る。センサ788は、エンドエフェクタ752の1つ又は2つ以上のパラメータを測定するための、磁気センサ、磁界センサ、歪みゲージ、圧力センサ、力センサ、渦電流センサなどの誘導センサ、抵抗センサ、容量センサ、光学センサ、及び/又は任意の他の好適なセンサを含み得る。センサ788が、1つ又は2つ以上のセンサを含んでもよい。
【0145】
1つ又は2つ以上のセンサ788は、クランプ留め状態中のアンビル766における歪みの大きさを測定するように構成された、微小歪みゲージなどの歪みゲージを含んでもよい。歪みゲージは、歪みの大きさに伴って振幅が変動する電気信号を提供する。センサ788は、アンビル766とステープルカートリッジ768との間で圧縮された組織の存在によって生成された圧力を検出するように構成された圧力センサを含んでもよい。センサ788は、アンビル766とステープルカートリッジ768との間に位置する組織部分のインピーダンスを検出するように構成されてもよく、このインピーダンスは、それらの間に位置する組織の厚さ及び/又は充満度を示す。
【0146】
センサ788は、閉鎖駆動システムによってアンビル766に及ぼされる力を測定するように構成されてよい。例えば、1つ又は2つ以上のセンサ788は、閉鎖管によってアンビル766に加えられる閉鎖力を検出するために、閉鎖管とアンビル766との間の相互作用点に位置してもよい。アンビル766に対して及ぼされる力は、アンビル766とステープルカートリッジ768との間に捕捉された組織部分が受ける組織圧縮を表すものであってもよい。1つ又は2つ以上のセンサ788を、閉鎖駆動システムに沿って様々な相互作用点に配置して、閉鎖駆動システムによりアンビル766に適用される閉鎖力を検出することができる。1つ又は2つ以上のセンサ788は、制御回路760のプロセッサによるクランプ動作中にリアルタイムでサンプリングされてもよい。制御回路760は、リアルタイムのサンプル測定値を受信して時間ベースの情報を提供及び分析し、アンビル766に適用される閉鎖力をリアルタイムで評価する。
【0147】
モータ754によって引き込まれる電流を測定するために、電流センサ786を用いることができる。Iビーム764を前進させるのに必要な力は、モータ754によって引き込まれる電流に相当する。力はデジタル信号に変換されて、制御回路760に供給される。
【0148】
制御回路760は、器具の実際のシステムの応答をコントローラのソフトウェアでシミュレートするように構成され得る。変位部材を作動させて、エンドエフェクタ752内のIビーム764を目標速度又はその付近で移動させることができる。外科用器具750は、フィードバックコントローラを含むことができ、フィードバックコントローラは、例えば、PID、状態フィードバック、LQR、及び/又は適応コントローラが挙げられるがこれらに限定されない任意のフィードバックコントローラのうちの1つであってもよい。外科用器具750は、フィードバックコントローラからの信号を、例えば、ケース電圧、PWM電圧、周波数変調電圧、電流、トルク、及び/又は力などの物理的入力に変換するための電源を含むことができる。
【0149】
外科用器具750の実際の駆動システムは、ギアボックス、並びに関節運動及び/又はナイフシステムへの機械的連結部を備えるブラシ付きDCモータによって、変位部材、切断部材、又はIビーム764を駆動するように構成されている。別の例は、交換式シャフトアセンブリの、例えば変位部材及び関節運動駆動器を操作する電気モータ754である。外部影響とは、組織、周囲体、及び物理系上の摩擦などのものの、測定されていない予測不可能な影響である。こうした外部影響は、電気モータ754に反して作用する障害と呼ばれることがある。障害などの外部影響は、物理系の動作を所望の物理系の動作から逸脱させることがある。
【0150】
様々な例示的態様は、モータ駆動の外科用ステープル留め及び切断手段を有するエンドエフェクタ752を備える外科用器具750を対象とする。例えば、モータ754は、エンドエフェクタ752の長手方向軸線に沿って遠位方向及び近位方向に変位部材を駆動してもよい。エンドエフェクタ752は、枢動可能なアンビル766と、使用のために構成される場合は、アンビル766の反対側に配置されたステープルカートリッジ768とを備えてもよい。臨床医は、本明細書に記載されるように、アンビル766とステープルカートリッジ768との間に組織を把持してもよい。器具750を使用する準備が整うと、臨床医は、例えば器具750のトリガを押すことによって発射信号を提供してもよい。発射信号に応答して、モータ754は、変位部材をエンドエフェクタ752の長手方向軸線に沿って、近位のストローク開始位置からストローク開始位置の遠位にあるストローク終了位置まで遠位方向に駆動することができる。変位部材が遠位方向に並進すると、遠位端に位置決めされた切断要素を有するIビーム764は、ステープルカートリッジ768とアンビル766との間の組織を切断することができる。
【0151】
様々な実施例で、外科用器具750は、1つ又は2つ以上の組織状態に基づいて、例えば、Iビーム764などの変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされた制御回路760を備えてもよい。制御回路760は、本明細書に説明されるように、厚さなどの組織状態を直接的又は間接的のいずれかで感知するようにプログラムされてもよい。制御回路760は、組織状態に基づいて発射制御プログラムを選択するようにプログラムされてもよい。発射制御プログラムは、変位部材の遠位運動を記述することができる。様々な組織状態をより良好に処理するために様々な発射制御プログラムを選択することができる。例えば、より厚い組織が存在する場合、制御回路760は、変位部材をより低速で、かつ/又はより低電力で並進させるようにプログラムされてもよい。より薄い組織が存在する場合、制御回路760は、変位部材をより高速で、かつ/又はより高電力で並進させるようにプログラムされてもよい。
【0152】
いくつかの実施例では、制御回路760は、最初に、モータ754を、変位部材のストロークの第1の開ループ部分に対する開ループ構成で動作させてもよい。ストロークの開ループ部分の間の器具750の応答に基づいて、制御回路760は、発射制御プログラムを選択してもよい。器具の応答としては、開ループ部分の間の変位部材の並進距離、開ループ部分の間に経過する時間、開ループ部分の間にモータ754に供給されるエネルギー、モータ駆動信号のパルス幅の合計などが挙げられ得る。開ループ部分の後、制御回路760は、変位部材ストロークの第2の部分に対して、選択された発射制御プログラムを実施してもよい。例えば、ストロークの閉ループ部分の間、制御回路760は、変位部材の位置を記述する並進データに基づいてモータ754を閉ループ式に変調して、変位部材を一定速度で並進させてもよい。更なる詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年9月29日出願の「SYSTEM AND METHODS FOR CONTROLLING A DISPLAY OF A SURGICAL INSTRUMENT」と題する米国特許出願第15/720,852号に開示されている。
【0153】
図19は、本開示の一態様による、様々な機能を制御するように構成された外科用器具790の回路図である。一態様では、外科用器具790は、Iビーム764などの変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされる。外科用器具790は、アンビル766と、Iビーム764と、RFカートリッジ796(破線で示す)と交換することができる取り外し可能なステープルカートリッジ768と、を備え得るエンドエフェクタ792を備える。
【0154】
一態様では、センサ788は、とりわけ、リミットスイッチ、電気機械装置、固体スイッチ、ホール効果装置、MR装置、GMR装置、磁力計として実装されてもよい。他の実装形態では、センサ638は、とりわけ光センサ、IRセンサ、紫外線センサなどの光の影響下で動作する固体スイッチであってもよい。更に、スイッチは、トランジスタ(例えば、FET、接合FET、MOSFET、双極など)などの固体装置であってもよい。他の実装形態では、センサ788は、とりわけ、導電体非含有スイッチ、超音波スイッチ、加速度計、及び慣性センサを含んでもよい。
【0155】
一態様では、位置センサ784は、Austria Microsystems,AGから入手可能なAS5055EQFTシングルチップ磁気回転位置センサとして実装される磁気回転絶対位置決めシステムを備える絶対位置決めシステムとして実装されてもよい。位置センサ784は、制御回路760と連携して絶対位置決めシステムを提供することができる。位置は、磁石の上方に位置し、加算、減算、ビットシフト、及びテーブル参照演算のみを必要とする、双曲線関数及び三角関数を計算する簡潔かつ効率的なアルゴリズムを実装するために設けられた、桁毎法及びボルダーアルゴリズムとしても知られるCORDICプロセッサに連結された、複数のホール効果素子を含み得る。
【0156】
一態様では、Iビーム764は、上に組織切断刃を動作可能に支持するナイフ本体を備えるナイフ部材として実装されてもよく、アンビル係合タブ又は特徴部及び通路係合特徴部又は足部を更に含んでよい。一態様では、ステープルカートリッジ768は、標準的な(機械式)外科用締結具カートリッジとして実装されてもよい。一態様では、RFカートリッジ796はRFカートリッジとして実装されてもよい。これら、及び他のセンサ構成は、その全体が本明細書に参照により組み込まれる、2017年6月20日出願の「TECHNIQUES FOR ADAPTIVE CONTROL OF MOTOR VELOCITY OF A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT」と題する同一出願者の米国特許出願第15/628,175号に記載されている。
【0157】
Iビーム764などの直線変位部材の位置、移動、変位、及び/又は並進は、絶対位置決めシステム、センサ構成、及び位置センサ784として表される位置センサにより、測定可能である。Iビーム764が長手方向に移動可能な駆動部材に連結されているため、Iビーム764の位置は、位置センサ784を使用する長手方向に移動可能な駆動部材の位置を測定することによって判定することができる。したがって、以下の説明では、Iビーム764の位置、変位、及び/又は並進は、本明細書に記載される位置センサ784によって達成され得る。本明細書で説明するように、制御回路760は、Iビーム764などの変位部材の並進を制御するようにプログラムされてもよい。いくつかの実施例では、制御回路760は、1つ若しくは2つ以上のマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、又はプロセッサ若しくは複数のプロセッサに、説明した方法で例えばIビーム764などの変位部材を制御させる命令を実行するための、他の好適なプロセッサを備えてもよい。一態様では、タイマー/カウンタ781が、経過時間又はデジタルカウントなどの出力信号を制御回路760に供給して、位置センサ784によって判定されたIビーム764の位置をタイマー/カウンタ781の出力と相関させることにより、制御回路760が、特定の時点(t)におけるIビーム764の開始位置に対する位置を求めることができる。タイマー/カウンタ781は、経過時間を測定するか、外部イベントを計数するか、又は外部イベントの時間を測定するように構成されてよい。
【0158】
制御回路760は、モータ設定値信号772を生成してもよい。モータ設定値信号772は、モータコントローラ758に供給されてもよい。モータコントローラ758は、本明細書で説明するように、モータ754にモータ駆動信号774を供給してモータ754を駆動するように構成された1つ又は2つ以上の回路を備えてもよい。いくつかの実施例では、モータ754は、ブラシ付きDC電動モータであってもよい。例えば、モータ754の速度は、モータ駆動信号774に比例してもよい。いくつかの例では、モータ754はブラシレスDC電動モータであってもよく、モータ駆動信号774は、モータ754の1つ又は2つ以上の固定子巻線に提供されるPWM信号を含んでもよい。また、いくつかの実施例では、モータコントローラ758は省略されてもよく、制御回路760がモータ駆動信号774を直接生成してもよい。
【0159】
モータ754は、エネルギー源762から電力を受信することができる。エネルギー源762は、電池、超コンデンサ、又は任意の他の好適なエネルギー源であってもよく、あるいはそれを含んでもよい。モータ754は、伝達装置756を介してIビーム764に機械的に連結され得る。伝達装置756は、モータ754をIビーム764に連結するための1つ又は2つ以上の歯車又は他の連結構成要素を含んでもよい。位置センサ784が、Iビーム764の位置を感知してもよい。位置センサ784は、Iビーム764の位置を示す位置データを生成可能なあらゆる種類のセンサであってよく、又はそれを含んでもよい。いくつかの例では、位置センサ784は、Iビーム764が遠位及び近位に並進すると一連のパルスを制御回路760に供給するように構成されたエンコーダを含んでもよい。制御回路760は、パルスを追跡してIビーム764の位置を判定してもよい。例えば近接センサを含む他の好適な位置センサが使用されてもよい。他の種類の位置センサが、Iビーム764の運動を示す他の信号を提供してもよい。また、いくつかの実施例では、位置センサ784は省略されてもよい。モータ754がステッパモータである場合、制御回路760は、モータが実行するように指示された工程の数及び方向を合計することによって、Iビーム764の位置を追跡することができる。位置センサ784は、エンドエフェクタ792内、又は器具の任意の他の部分に配置することができる。
【0160】
制御回路760は、1つ以上のセンサ788と通信することができる。センサ788は、エンドエフェクタ792上に位置決めされ、外科用器具790と共に動作して、間隙距離対時間、組織圧縮対時間、及びアンビル歪み対時間などの様々な導出パラメータを測定するように適合され得る。センサ788は、エンドエフェクタ792の1つ又は2つ以上のパラメータを測定するための、磁気センサ、磁界センサ、歪みゲージ、圧力センサ、力センサ、渦電流センサなどの誘導センサ、抵抗センサ、容量センサ、光学センサ、及び/又は任意の他の好適なセンサを含み得る。センサ788が、1つ又は2つ以上のセンサを含んでもよい。
【0161】
1つ又は2つ以上のセンサ788は、クランプ留め状態中のアンビル766における歪みの大きさを測定するように構成された、微小歪みゲージなどの歪みゲージを含んでもよい。歪みゲージは、歪みの大きさに伴って振幅が変動する電気信号を提供する。センサ788は、アンビル766とステープルカートリッジ768との間で圧縮された組織の存在によって生成された圧力を検出するように構成された圧力センサを含んでもよい。センサ788は、アンビル766とステープルカートリッジ768との間に位置する組織部分のインピーダンスを検出するように構成されてもよく、このインピーダンスは、それらの間に位置する組織の厚さ及び/又は充満度を示す。
【0162】
センサ788は、閉鎖駆動システムによってアンビル766に及ぼされる力を測定するように構成されてよい。例えば、1つ又は2つ以上のセンサ788は、閉鎖管によってアンビル766に加えられる閉鎖力を検出するために、閉鎖管とアンビル766との間の相互作用点に位置してもよい。アンビル766に対して及ぼされる力は、アンビル766とステープルカートリッジ768との間に捕捉された組織部分が受ける組織圧縮を表すものであってもよい。1つ又は2つ以上のセンサ788を、閉鎖駆動システムに沿って様々な相互作用点に配置して、閉鎖駆動システムによりアンビル766に適用される閉鎖力を検出することができる。1つ又は2つ以上のセンサ788は、制御回路760のプロセッサ部分によるクランプ動作中にリアルタイムでサンプリングされてもよい。制御回路760は、リアルタイムのサンプル測定値を受信して時間ベースの情報を提供及び分析し、アンビル766に適用される閉鎖力をリアルタイムで評価する。
【0163】
モータ754によって引き込まれる電流を測定するために、電流センサ786を用いることができる。Iビーム764を前進させるのに必要な力は、モータ754によって引き込まれる電流に相当する。力はデジタル信号に変換されて、制御回路760に供給される。
【0164】
RFエネルギー源794はエンドエフェクタ792に連結され、RFカートリッジ796がステープルカートリッジ768の代わりにエンドエフェクタ792内に装填されている場合に、RFカートリッジ796に印加される。制御回路760は、RFエネルギーのRFカートリッジ796への送達を制御する。
【0165】
更なる詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年6月28日出願の「SURGICAL SYSTEM COUPLABLE WITH STAPLE CARTRIDGE AND RADIO FREQUENCY CARTRIDGE,AND METHOD OF USING SAME」と題する米国特許出願第15/636,096号に開示されている。
【0166】
発生器ハードウェア
図20は、他の利点の中でも特に、インダクタを利用しない同調を提供するように構成された発生器800の略ブロック図である。発生器800の更なる詳細は、その開示の全体が参照により本明細書に組み込まれている、「SURGICAL GENERATOR FOR ULTRASONIC AND ELECTROSURGICAL DEVICES」と題する2015年6月23日発行の米国特許第9,060,775号に記載されている。発生器800は、電力変圧器806を介して非絶縁段階804と通信する患者絶縁段階802を含んでもよい。電力変圧器806の二次巻線808は、絶縁段階802内に収容され、例えば、超音波外科用器具、RF電気外科用器具、並びに単独又は同時に送達可能な超音波及びRFエネルギーモードを含む多機能型外科用器具などの様々な外科用器具に駆動信号を送達するために駆動信号出力部810a、810b、810cを定義するためのタップ構成(例えば、センタタップ又は非センタタップ構成)を備え得る。具体的には、駆動信号出力部810a、810cは、超音波駆動信号(例えば、420Vの二乗平均根(RMS)駆動信号)を超音波外科用器具に出力してもよく、駆動信号出力部810b、810cは、電力変圧器806のセンタタップに対応する駆動信号出力部810bにより、RF電気外科用駆動信号(例えば、100VのRMS駆動信号)をRF電気外科用器具に出力してもよい。
【0167】
特定の形態では、超音波及び電気外科用の駆動信号は、別個の外科用器具に、及び/又は超音波エネルギー及び電気外科用エネルギーの両方を組織に送達する能力を有する、多機能外科用器具などの単一の外科用器具に、同時に供給されてもよい。専用の電気外科用器具及び/又は複合多機能超音波/電気外科用器具のどちらかへと供給される電気外科用信号は、治療用又は治療量以下のレベルの信号のどちらかであり、治療量以下の信号は、例えば、組織又は器具状態を監視して、発生器へとフィードバックを提供することに使用され得る、と理解されよう。例えば、超音波及びRF信号は、以下でより詳細に論じられるように、所望の出力信号を外科用器具に供給するために、単一の出力ポートを有する発生器から別個に又は同時に送達され得る。したがって、発生器は、超音波エネルギー及び電気外科用RFエネルギーを組み合わせて、複合エネルギーを多機能超音波/電気外科用器具に送達することができる。双極電極は、エンドエフェクタの一方又は両方のジョーの上に配置することができる。一方のジョーは、同時に働く、電気外科用RFエネルギーに加えて超音波エネルギーによって駆動されてもよい。超音波エネルギーが組織を切開するために用いられてもよい一方で、電気外科用RFエネルギーは、血管封止に用いられてもよい。
【0168】
非絶縁段階804は、電力変圧器806の一次巻線814に接続された出力部を有する電力増幅器812を含んでもよい。特定の形態では、電力増幅器812は、プッシュプル増幅器を含んでもよい。例えば、非絶縁段階804は、対応するアナログ信号を電力増幅器812の入力に続いて供給するデジタル-アナログ変換器(DAC)回路818に、デジタル出力を供給するための論理機構816を更に含んでもよい。特定の形態では、論理機構816は、数ある論理回路の中で、例えば、プログラマブルゲートアレイ(PGA)、FPGA、プログラマブル論理機構(PLD)を含んでもよい。したがって、論理機構816は、DAC回路818を介して電力増幅器812の入力を制御することにより、駆動信号出力部810a、810b、810cで出現する駆動信号の多くのパラメータ(例えば、周波数、波形形状、波形振幅)のうちのいずれかを制御することができる。特定の態様では、また以下で説明するように、プログラム可能な論理機構816は、プロセッサ(例えば、以下で説明するDSP)と共に、多くのDSPベースの及び/又は他の制御アルゴリズムを実行して、発生器800によって出力される駆動信号のパラメータを制御することができる。
【0169】
電力は、例えば電力変換装置などのスイッチモードレギュレータ820によって、電力増幅器812の電力レールに供給され得る。特定の形態では、スイッチモードレギュレータ820は、例えば、調整可能なバックレギュレータを含んでもよい。非絶縁段階804は、第1のプロセッサ822を更に含んでもよく、この第1のプロセッサは、一形態では、例えば、Analog Devices(Norwood,MA)から入手可能なAnalog Devices ADSP-21469 SHARC DSPなどのDSPプロセッサを含んでもよいが、様々な形態において、任意の好適なプロセッサが使用されてもよい。特定の形態では、DSPプロセッサ822は、電力増幅器812からDSPプロセッサ822がADC回路824を介して受信する、電圧フィードバックデータに応答するスイッチモードレギュレータ820の動作を制御し得る。一形態では、例えば、DSPプロセッサ822は、電力増幅器812によって増幅された信号(例えば、RF信号)の波形エンベロープを、ADC回路824を介して入力として受信し得る。次いで、DSPプロセッサ822は、電力増幅器812に供給されるレール電圧が、増幅された信号の波形エンベロープを追跡するように、(例えばPWM出力を介して)スイッチモードレギュレータ820を制御し得る。波形エンベロープに基づいて、電力増幅器812のレール電圧を動的に変調することにより、電力増幅器812の効率は、固定レール電圧増幅器スキームに対して顕著に改善され得る。
【0170】
特定の形態では、論理機構816は、DSPプロセッサ822と共に、直接デジタルシンセサイザ制御スキームなどのデジタル合成回路を実装して、発生器800によって出力される駆動信号の波形形状、周波数及び/又は振幅を制御してもよい。一形態では、例えば、論理機構816は、FPGA内に埋め込まれてもよいRAM LUTなどの、動的に更新されるルックアップテーブル(LUT)内に記憶された波形サンプルを呼び出すことによって、DDS制御アルゴリズムを実装してもよい。この制御アルゴリズムは、超音波変換器などの超音波変換器が、その共振周波数における明瞭な正弦波電流によって駆動され得る超音波用途で特に有用である。他の周波数が寄生共振を励起し得るため、動作分岐電流の全歪みの最小化又は低減は、これに対応して望ましくない共振効果を最小化又は低減することができる。発生器800によって出力される駆動信号の波形形状が、出力駆動回路内に存在する歪みの様々な発生源(例えば、電力変圧器806、電力増幅器812)によって影響されるため、駆動信号に基づく電圧及び電流のフィードバックデータを、DSPプロセッサ822によって実装される誤差制御アルゴリズムなどのアルゴリズムに入力することができ、このアルゴリズムは、動的かつ継続的に(例えば、リアルタイムで)、LUTに記憶された波形サンプルを好適に予め歪ませるか又は修正することによって、歪みを補償する。一形態では、LUTサンプルに加えられる予歪みの量又は程度は、計算された動作分岐電流と所望の電流波形形状との間の誤差に基づいてもよく、誤差は、サンプル毎に決定される。このようにして、予め歪ませたLUTサンプルは、駆動回路により処理される場合、超音波変換器を最適に駆動するために、所望の波形形状(例えば、正弦波)を有する動作分岐駆動信号を生じ得る。そのような形態では、LUT波形サンプルは、したがって、駆動信号の所望の波形形状を表すのではなく、歪み効果を考慮した際の、動作分岐駆動信号の所望の波形形状を最終的に生成するために必要な波形形状を表す。
【0171】
非絶縁段階804は、発生器800によって出力される駆動信号の電圧及び電流をそれぞれサンプリングするために、それぞれの絶縁変圧器830、832を介して電力変圧器806の出力部に連結された第1ADC回路826及び第2ADC回路828を更に含んでもよい。特定の形態では、ADC回路826、828は、駆動信号のオーバーサンプリングを可能にするために、高速(例えば、毎秒80メガサンプル(MSPS))でサンプリングするように構成され得る。一形態では、例えば、ADC回路826、828のサンプリング速度は、駆動信号のおよそ200倍(周波数による)のオーバーサンプリングを可能にし得る。特定の形態では、ADC回路826、828のサンプリング動作は、双方向マルチプレクサを介し、入力電圧及び電流信号を受信する単一のADC回路によって実施され得る。発生器800の形態での高速サンプリングの使用は、とりわけ、動作分岐を通って流れる複素電流の計算(これは、上述のDDSベースの波形形状制御を実施するために、特定の形態で使用され得る)、サンプリングされた信号の正確なデジタルフィルタリング、及び高精度での実電力消費の計算を可能にし得る。ADC回路826、828によって出力される電圧及び電流フィードバックデータは、論理機構816によって受信され処理され得(例えば、先着順処理方式(FIFO)バッファ、マルチプレクサなど)、例えば、DSPプロセッサ822による以後の読み出しのために、データメモリに記憶されてもよい。上記のように、電圧及び電流のフィードバックデータは、動的及び進行に応じたベースで、LUT波形サンプルを予め歪ませるか又は修正するための、アルゴリズムへの入力として使用され得る。特定の形態では、これは、電圧及び電流のフィードバックデータ対が得られる場合に、論理機構816によって出力された対応するLUTサンプルに基づき、又は別の方法でこれに関連して、記憶された各電圧及び電流のフィードバックデータ対が索引されることを必要とし得る。この方法によるLUTサンプルと電圧及び電流のフィードバックデータとの同期は、予歪みアルゴリズムの正確なタイミング及び安定性に寄与する。
【0172】
特定の形態では、電圧及び電流のフィードバックデータは、駆動信号の周波数及び/又は振幅(例えば、電流振幅)を制御するために使用されてもよい。例えば、一形態では、電圧及び電流のフィードバックデータは、インピーダンス相を決定するために使用されてもよい。駆動信号の周波数はその後、判定されたインピーダンス相とインピーダンス相設定点(例えば、0°)との間の差を最小化又は低減するように制御されてもよく、それによって高調波歪みの効果を最小化又は低減し、これに対応してインピーダンス相測定正確性を向上させる。相インピーダンス及び周波数制御信号の決定は、例えば、DSPプロセッサ822に実装されてもよく、周波数制御信号は、論理機構816によって実装されるDDS制御アルゴリズムへの入力として供給される。
【0173】
別の形態では、例えば、電流のフィードバックデータは、駆動信号の電流振幅を電流振幅設定点で維持するために監視されてもよい。電流振幅設定値は、直接指定されてもよく、又は指定された電圧振幅及び電力設定値に基づいて間接的に判定されてもよい。特定の形態では、電流振幅の制御は、例えば、DSPプロセッサ822内の比例-積分-微分(PID)制御アルゴリズムといった制御アルゴリズムによって実行され得る。駆動信号の電流振幅を好適に制御するために、制御アルゴリズムにより制御される変数には、例えば、論理機構816に記憶されるLUT波形サンプルのスケーリング、及び/又はDAC回路834を介したDAC回路818(これは電力増幅器812に入力を供給する)のフルスケール出力電圧が挙げられ得る。
【0174】
非絶縁段階804は、とりわけユーザインターフェース(UI)機能性を提供するために、第2のプロセッサ836を更に含んでもよい。一形態では、UIプロセッサ836は、例えば、Atmel Corporation(San Jose,California)から入手可能な、ARM 926EJ-Sコアを有するAtmel AT91SAM9263プロセッサを含んでもよい。UIプロセッサ836によってサポートされるUI機能の例としては、聴覚的及び視覚的なユーザフィードバック、周辺装置との通信(例えばUSBインターフェースを介して)、フットスイッチとの通信、入力装置(例えば、タッチスクリーンディスプレイ)との通信、並びに出力装置(例えば、スピーカ)との通信を挙げることができる。UIプロセッサ836は、DSPプロセッサ822及び論理機構816(例えばSPIバス)と通信し得る。UIプロセッサ836は、UI機能性を主にサポートしてもよいが、特定の形態では、DSPプロセッサ822と協調して、危険の緩和を実現してもよい。例えば、UIプロセッサ836は、ユーザ入力及び/又は他の入力(例えば、タッチスクリーン入力、フットスイッチ入力、温度センサ入力)の様々な態様を監視するようにプログラミングされてもよく、誤った状態が検出される際に、発生器800の駆動出力を無効化することができる。
【0175】
特定の形態では、DSPプロセッサ822及びUIプロセッサ836の両方は、例えば、発生器800の動作状態を判定かつ監視してもよい。DSPプロセッサ822に関し、発生器800の動作状態は、例えば、どの制御及び/又は診断プロセスがDSPプロセッサ822によって実行されるかを規定してもよい。UIプロセッサ836に関し、発生器800の動作状態は、例えば、UI(例えば、ディスプレイスクリーン、音)のどの要素がユーザに提供されるのかを規定してもよい。DSPプロセッサ822及びUIプロセッサ836はそれぞれ、発生器800の現在の動作状態を別個に維持し、現在の動作状態からの可能な遷移を、認識して評価してもよい。DSPプロセッサ822は、この関係におけるマスタとして機能し、動作状態間の遷移が生じたことを判定してもよい。UIプロセッサ836は、動作状態間の有効な遷移を認識してもよく、また特定の遷移が適切であるかを確認してもよい。例えば、DSPプロセッサ822が、UIプロセッサ836に特定の状態へと遷移するように命令すると、UIプロセッサ836は、要求される遷移が有効であることを確認してもよい。要求される状態間の遷移がUIプロセッサ836によって無効であると判定される場合、UIプロセッサ836は、発生器800を故障モードにしてもよい。
【0176】
非絶縁段階804は、入力装置を監視するためのコントローラ838(例えば、発生器800をオン及びオフするために使用される静電容量式タッチセンサ、静電容量式タッチスクリーン)を更に含んでもよい。特定の形態では、コントローラ838は、少なくとも1つのプロセッサ及び/又はUIプロセッサ836と通信する他のコントローラデバイスを含んでもよい。一形態では、例えば、コントローラ838は、1つ又は2つ以上の容量性タッチセンサを介して提供されるユーザ入力を監視するように構成されたプロセッサ(例えば、Atmelから入手可能なMeg168 8ビットコントローラ)を含んでもよい。一形態では、コントローラ838は、容量性タッチスクリーンからのタッチデータの取得を制御及び管理するための、タッチスクリーンコントローラ(例えば、Atmelから入手可能なQT5480タッチスクリーンコントローラ)を含んでもよい。
【0177】
特定の形態では、発生器800が「電力オフ」状態にある場合、コントローラ838は、(例えば、後述の電源854などの、発生器800の電源からのラインを介して)動作電力を受信し続けてもよい。このようにして、コントローラ838は、発生器800をオンオフするための入力装置(例えば、発生器800の前側パネルに配置された静電容量式タッチセンサ)を監視し続けることができる。発生器800が電源オフ状態にある場合、コントローラ838は、ユーザによる「オン/オフ」入力装置の起動が検出されれば、電源を起動することができる(例えば、電源854の1つ又は2つ以上のDC/DC電圧変換器856の動作を有効化する)。その結果、コントローラ838は、発生器800を「電源オン」状態に移行させるためのシーケンスを開始することができる。逆に、発生器800が電源オン状態にある場合に「オン/オフ」入力装置の起動が検出されると、コントローラ838は発生器800を電源オフ状態に遷移させるためのシーケンスを開始することができる。例えば、特定の形態では、コントローラ838は、「オン/オフ」入力装置の起動をUIプロセッサ836に報告してもよく、続いてUIプロセッサ836は、発生器800を電源オフ状態に遷移させるために必要な処理シーケンスを実行する。この形態では、コントローラ838は、発生器800の電源オン状態が確立された後に発生器800から電力を排除させるための別個の能力を有さなくてもよい。
【0178】
特定の形態では、コントローラ838は、ユーザに電源オン又は電源オフシーケンスが開始されたことを警告するために、発生器800に聴覚的又は他の感覚的フィードバックを提供させてもよい。そのような警告は、電源オン又は電源オフシーケンスの開始時、及びシーケンスと関連する他のプロセスの開始前に提供されてもよい。
【0179】
特定の形態では、絶縁段階802は、例えば、外科用器具の制御回路(例えば、ハンドピーススイッチを含む制御回路)と、例えば論理機構816、DSPプロセッサ822及び/又はUIプロセッサ836などの非絶縁段階804の構成要素との間に通信インターフェースを提供するための器具インターフェース回路840を含んでもよい。器具インターフェース回路840は、例えば、IRベースの通信リンクなどの、絶縁段階802と非絶縁804との間の適切な程度の電気的絶縁を維持する通信リンクを介して、非絶縁段階804の構成要素と情報を交換することができる。例えば、非絶縁段階804から駆動される絶縁変圧器によって電力供給される低ドロップアウト電圧レギュレータを使用して、器具インターフェース回路840に電力を供給することができる。
【0180】
一形態では、器具インターフェース回路840は、信号調整回路844と通信を行う論理回路842(例えば、論理回路、プログラマブル論理回路、PGA、FPGA、PLD)を含んでもよい。信号調整回路844は、同一の周波数を有する双極呼掛け信号を生成するために、論理回路842から周期信号(例えば、2kHz方形波)を受信するように構成されてもよい。呼掛け信号は、例えば、差動増幅器によって供給される双極電流源を使用して生成することができる。呼掛け信号は、(例えば、発生器800を外科用器具に接続するケーブル内の導電ペアを使用して)外科用器具制御回路に伝送され、制御回路の状態又は構成を判定するために監視されてもよい。制御回路は、多数のスイッチ、抵抗器、及び/又はダイオードを含んでもよく、制御回路の状態又は構成が1つ以上の特性に基づいて個別に識別可能であるように、呼掛け信号の1つ又は2つ以上の特性(例えば、振幅、整流)を修正してもよい。例えば、一形態では、信号調整回路844は、呼掛け信号が通過する経路から生じる制御回路の入力にわたって出現する電圧信号のサンプルを生成するためのADC回路を含み得る。論理回路842(又は、非絶縁段階804の構成要素)はその後、ADC回路サンプルに基づく制御回路の状態又は構成を判定し得る。
【0181】
一形態では、器具インターフェース回路840は、第1のデータ回路インターフェース846を含んで、論理回路842(又は器具インターフェース回路840の他の要素)と、外科用器具内に配置されるか又は別の方法で関連付けられた第1のデータ回路と、の間の情報交換を可能にしてもよい。特定の形態では、例えば、第1のデータ回路は、発生器800を有する特定の外科用器具の種類又はモデルとインターフェース接続させるために、外科用器具ハンドピースに一体的に取り付けられたケーブル内、又はアダプタ内に配設されてもよい。第1のデータ回路は、任意の好適な方法で実装されてもよく、例えば、第1のデータ回路に関して本明細書に記載されたものを含む任意の好適なプロトコルに従って、発生器と通信してもよい。特定の形態では、第1のデータ回路は、EEPROMデバイスなどの、不揮発性ストレージ装置を含み得る。特定の形態では、第1のデータ回路インターフェース846は、論理回路842とは別個に実装されてもよく、論理回路842と第1のデータ回路との間の通信を可能にする好適な回路(例えば、別個の論理機構、プロセッサ)を備えてもよい。他の形態では、第1のデータ回路インターフェース846は、論理回路842と一体であってもよい。
【0182】
特定の形態では、第1のデータ回路は、第1のデータ回路が関連付けられる特定の外科用器具に関する情報を記憶することができる。そのような情報は、例えば、モデル番号、シリアル番号、外科用器具が使用された動作数、及び/又は任意の他の種類の情報を含むことができる。この情報は、器具インターフェース回路840によって(例えば、論理回路842によって)読み出されて、出力装置を介してユーザに提示するために、及び/又は発生器800の機能若しくは動作を制御するために、非絶縁段階804の構成要素(例えば、論理機構816、DSPプロセッサ822、及び/又はUIプロセッサ836)に転送され得る。加えて、任意の種類の情報を、第1のデータ回路インターフェース846を介して内部に記憶させるために、(例えば、論理回路842を使用して)第1のデータ回路に伝送することができる。そのような情報は、例えば、外科用器具が使用された最新の動作数、並びに/又はその使用の日付及び/若しくは時間を含んでもよい。
【0183】
上記のように、外科用器具は、器具の互換性及び/又は廃棄性を促進するために、ハンドピースから取り外し可能であってもよい(例えば、多機能外科用器具は、ハンドピースから取り外し可能であってもよい)。そのような場合、従来の発生器は、使用されている特定の器具構成を認識し、これに対応して制御及び診断プロセスを最適化する能力が制限されている場合がある。しかし、この問題に対処するために、外科用器具に読み取り可能なデータ回路を追加することは、適合性の観点から問題がある。例えば、必要なデータ読み取り機能性を欠く発生器との後方互換性を保つように外科用器具を設計することは、例えば、異なる信号スキーム、設計複雑性及び費用のために、実用的でない場合がある。本明細書で論じられる器具の形態は、既存の外科用器具に実装されてもよいデータ回路を経済的に使用し、外科用器具と最新の発生器プラットフォームとの適合性を維持するための設計変更を最小限にすることによってこれらの懸念に対処する。
【0184】
加えて、発生器800の形態は、器具ベースのデータ回路との通信を可能にしてもよい。例えば、発生器800は、器具(例えば多機能外科用器具)内に収容される第2のデータ回路と通信を行うように構成することができる。いくつかの形態では、第2のデータ回路は、本明細書に記載の第1のデータ回路と類似の方法で実装されてもよい。器具インターフェース回路840は、この通信を可能にする第2のデータ回路インターフェース848を含むことができる。一形態では、第2のデータ回路インターフェース848は、トライステートデジタルインターフェースを含んでもよいが、他のインターフェースも使用されてもよい。特定の形態では、第2のデータ回路は、一般にデータを送信及び/又は受信するための任意の回路であってもよい。一形態では、例えば、第2のデータ回路は、第2のデータ回路が関連付けられた特定の外科用器具に関する情報を記憶してもよい。そのような情報は、例えば、モデル番号、シリアル番号、外科用器具が使用された動作数、及び/又は任意の他の種類の情報を含むことができる。
【0185】
いくつかの形態では、第2のデータ回路は、関連する超音波変換器、エンドエフェクタ、又は超音波駆動システムの電気的及び/又は超音波的特性に関する情報を記憶してもよい。例えば、第1のデータ回路は、本明細書に記載されるバーンイン周波数スロープを示してもよい。加えて又は代わりに、任意の種類の情報を、第2のデータ回路インターフェース848を介して内部に記憶させるために、(例えば、論理回路842を使用して)第2のデータ回路に伝送することができる。そのような情報は、例えば、器具が使用された最新の動作数、並びに/又はその使用の日付及び/若しくは時間を含んでもよい。特定の形態では、第2のデータ回路は、1つ又は2つ以上のセンサ(例えば、器具ベースの温度センサ)によって取得されたデータを送信してもよい。特定の形態では、第2のデータ回路は、発生器800からデータを受信し、その受信したデータに基づいてユーザに表示(例えば、発光ダイオード表示又は他の可視表示)を提供することができる。
【0186】
特定の形態では、第2のデータ回路及び第2のデータ回路インターフェース848は、論理回路842と第2のデータ回路との間の通信を、この目的での更なる導体(例えば、ハンドピースを発生器800に接続するケーブルの専用導体)の提供を必要とせずに行うことができるように構成されてもよい。一形態では、例えば、使用される導体のうちの1つが、信号調整回路844からハンドピース内の制御回路へ呼掛け信号を送信するなど、既存のケーブル配線上に実装されたワンワイヤバス通信方式を使用して、第2のデータ回路との間で情報を伝送することができる。このようにして、元来必要とされる場合がある外科用器具への設計変更又は修正は、最小化されるか又は低減される。更に、一般的な物理的チャネル上で実施される異なる種類の通信を周波数帯域分離することができるため、第2のデータ回路の存在は、必要なデータ読み取り機能を有しない発生器にとって「不可視」であり、したがって、外科用器具の後方互換性を可能にする。
【0187】
特定の形態では、絶縁段階802は、直流電流が患者を通るのを防ぐために、駆動信号出力部810bに接続された、少なくとも1つの阻止コンデンサ850-1を含んでもよい。単一の阻止コンデンサは、例えば、医学的規制又は基準に準拠することが必要とされる場合がある。単一コンデンサ設計における故障は比較的稀であるが、それでもなおそのような故障は否定的な結果をもたらすおそれがある。一形態では、第2の阻止コンデンサ850-2が、阻止コンデンサ850-1と直列に設けられ、漏洩電流により誘発される電圧をサンプリングするために、阻止コンデンサ850-1と阻止コンデンサ850-2との間の点からの電流漏洩が、例えば、ADC回路852によって監視されてもよい。サンプルは、例えば、論理回路842によって受信されてもよい。発生器800は、(電圧サンプルによって示される)漏れ電流の変化に基づいて、阻止コンデンサ850-1、阻止コンデンサ850-2のうちの少なくとも1つが故障したことを判定することにより、故障ポイントが1つしかない単一コンデンサ設計に勝る利益を提供することができる。
【0188】
特定の形態では、非絶縁段階804は、好適な電圧及び電流でDC電力を送達するための電源854を含んでもよい。電源は、例えば、48VDCシステム電圧を送達するための、400W電源を含み得る。電源854は、電源の出力を受信して発生器800の様々な構成要素によって必要とされる電圧及び電流でDC出力を生成するための1つ又は2つ以上のDC/DC電圧変換器856を更に備えることができる。コントローラ838に関連して上述したように、ユーザによる「オン/オフ」入力装置の起動がコントローラ838によって検出されると、1つ又は2つ以上のDC/DC電圧変換器856がコントローラ838から入力を受信し、DC/DC電圧変換器856の動作を可能にするか又はこれを起動させてもよい。
【0189】
図21は、発生器800(
図20)の一形態である発生器900の一例を示す。発生器900は、複数のエネルギーモダリティを外科用器具に送達するように構成されている。発生器900は、エネルギーを外科用器具に送達するためのRF信号及び超音波信号を単独で又は同時にのいずれかで提供する。RF信号及び超音波信号は、単独で、又は組み合わせて提供されてもよく、また同時に提供されてもよい。上述したように、少なくとも1つの発生器出力部は、単一のポートを通して複数のエネルギーモダリティ(例えば、とりわけ超音波、双極若しくは単極RF、不可逆及び/若しくは可逆電気穿孔法、並びに/又はマイクロ波エネルギー)を送達することができ、これらの信号は、組織を治療するために個別に又は同時にエンドエフェクタに送達することができる。
【0190】
発生器900は、波形発生器904に連結されたプロセッサ902を備える。プロセッサ902及び波形発生器904は、プロセッサ902に結合されたメモリに記憶された情報(開示を明瞭にするために示されず)に基づいて、様々な信号波形を発生するように構成されている。波形に関連するデジタル情報は、デジタル入力をアナログ出力に変換するために1つ又は2つ以上のDAC回路を含む波形発生器904に提供される。アナログ出力は、信号調節及び増幅のために、増幅器1106に供給される。増幅器906の調節され増幅された出力は、電力変圧器908に連結される。信号は、電力変圧器908を横断して患者絶縁側にある二次側に連結される。第1のエネルギーモダリティの第1の信号は、ENERGY1とラベルされた端子とRETURNとラベルされた端子との間の外科用器具に供給される。第2のエネルギーモダリティの第2の信号は、コンデンサ910を横断して連結され、ENERGY2とラベルされた端子とRETURNとラベルされた端子との間の外科用器具に供給される。2つより多いエネルギーモダリティが出力されてもよく、したがって添え字「n」は、最大n個のENERGYn端子が設けられ得ることを表示するために使用することができ、このnは、1超の正の整数であることが理解されよう。最大「n」個のリターンパス(RETURNn)が、本開示の範囲から逸脱することなく提供されてもよいことも理解されよう。
【0191】
第1の電圧感知回路912は、ENERGY1とラベルされた端子とRETURNパスとラベルされた端子との間に連結され、それらの間の出力電圧を測定する。第2の電圧感知回路924は、ENERGY2とラベルされた端子とRETURNパスとラベルされた端子との間に連結され、それらの間の出力電圧を測定する。電流感知回路914は、いずれかのエネルギーモダリティの出力電流を測定するために、図示される電力変圧器908の二次側のRETURN区間と直列に配設される。異なるリターンパスが各エネルギーモダリティに対して設けられる場合、別個の電流感知回路が、各リターン区間に設けられねばならない。第1の電圧感知回路912及び第2の電圧感知回路924の出力がそれぞれの絶縁変圧器916、922に供給され、電流感知回路914の出力は、別の絶縁変圧器918に供給される。電力変圧器908の一次側(非患者絶縁側)上における絶縁変圧器916、928、922の出力は、1つ又は2つ以上のADC回路926に供給される。ADC回路926のデジタル化された出力は、更なる処理及び計算のためにプロセッサ902に供給される。出力電圧及び出力電流のフィードバック情報は、外科用器具に供給される出力電圧及び電流を調整するために、またいくつかあるパラメータの中で出力インピーダンスを計算するために使用することができる。プロセッサ902と患者絶縁回路との間の入力/出力通信は、インターフェース回路920を通して提供される。センサもまた、インターフェース回路920を介してプロセッサ902と電気通信してもよい。
【0192】
一態様では、インピーダンスは、ENERGY1とラベルされた端子とRETURNとラベルされた端子との間に連結された第1の電圧感知回路912、又はENERGY2とラベルされた端子とRETURNとラベルされた端子との間に連結された第2の電圧感知回路924のいずれかの出力を、電力変圧器908の二次側のRETURN区間と直列に配置された電流感知回路914の出力で割ることによって、プロセッサ902により算出されてもよい。第1の電圧感知回路912及び第2の電圧感知回路924の出力は、個別の絶縁変圧器916、922に供給され、電流感知回路914の出力は、別の絶縁変圧器916に供給される。ADC回路926からのデジタル化された電圧及び電流感知測定値は、インピーダンスを計算するためにプロセッサ902に供給される。一例として、第1のエネルギーモダリティENERGY1は、超音波エネルギーであってもよく、第2のエネルギーモダリティENERGY2は、RFエネルギーであってもよい。それでも、超音波エネルギーモダリティ及び双極又は単極RFエネルギーモダリティに加えて、他のエネルギーモダリティには、数ある中でも不可逆並びに/又は可逆電気穿孔法及び/若しくはマイクロ波エネルギーが挙げられる。また、
図21に例示された例は、単一のリターンパス(RETURN)が2つ以上のエネルギーモダリティに提供され得ることを示しているが、他の態様では、複数のリターンパスRETURNnが、各エネルギーモダリティENERGYnに提供されてもよい。したがって、本明細書に記載されるように、超音波変換器のインピーダンスは、第1の電圧感知回路912の出力を電流感知回路914で割ることによって測定されてもよく、組織のインピーダンスは、第2の電圧感知回路924の出力を電流感知回路914で割ることによって測定されてもよい。
【0193】
図21に示すように、少なくとも1つの出力ポートを含む発生器900は、実行される組織の処置の種類に応じて、電力を、例えば、とりわけ、超音波、双極若しくは単極RF、不可逆及び/若しくは可逆電気穿孔法、並びに/又はマイクロ波エネルギーなどの1つ又は2つ以上のエネルギーモダリティの形態でエンドエフェクタに供給するために単一の出力部を有し、かつ複数のタップを有する電力変圧器908を含むことができる。例えば、発生器900は、単極又は双極RF電気外科用電極のいずれかを用いて、超音波変換器を駆動するために高電圧かつ低電流で、組織封止のためのRF電極を駆動するために低電圧かつ高電流で、又はスポット凝固のための凝固波形で、エネルギーを送達することができる。発生器900からの出力波形は、周波数を外科用器具のエンドエフェクタに提供するために、誘導、切り替え、又はフィルタリングされ得る。超音波変換器の発生器900の出力部への接続部は、
図21に示したENERGY1とラベルされた出力部とRETURNとラベルされた出力部との間に位置することが好ましいであろう。一例では、RF双極電極の発生器900の出力部への接続部は、ENERGY2とラベルされた出力部とRETURNとラベルされた出力部との間に位置することが好ましいであろう。単極出力の場合、好ましい接続部は、ENERGY2出力部及びRETURN出力部に接続された好適なリターンパッドへの活性電極(例えば、ペンシル型又は他のプローブ)であろう。
【0194】
更なる詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「TECHNIQUES FOR OPERATING GENERATOR FOR DIGITALLY GENERATING ELECTRICAL SIGNAL WAVEFORMS AND SURGICAL INSTRUMENTS」と題する2017年3月30日公開の米国特許出願公開第2017/0086914号に開示されている。
【0195】
本説明全体で使用される用語「無線」及びその派生語は、非固体媒体を介して変調電磁放射線の使用を通じてデータを通信し得る回路、装置、システム、方法、技術、通信チャネルなどを説明するために使用されてもよい。この用語は、関連する装置がいかなる有線も含まないことを意味するものではないが、一部の態様では、それらは存在しない可能性がある。通信モジュールは、Wi-Fi(IEEE802.11ファミリー)、WiMAX(IEEE802.16ファミリー)、IEEE802.20、ロング・ターム・エボリューション(LTE)、Ev-DO、HSPA+、HSDPA+、HSUPA+、EDGE、GSM、GPRS、CDMA、TDMA、DECT、Bluetooth、これらのイーサネット派生物、のみならず3G、4G、5G、及びそれ以降と指定される任意の他の無線及び有線プロトコルが挙げられるがこれらに限定されない多数の無線又は有線通信規格又はプロトコルのうちのいずれかを実装してもよい。コンピューティングモジュールは、複数の通信モジュールを含んでもよい。例えば、第1の通信モジュールは、Wi-Fi及びBluetoothなどの短距離無線通信専用であってもよく、第2の通信モジュールは、GPS、EDGE、GPRS、CDMA、WiMAX、LTE、Ev-DOなどの長距離無線通信専用であってもよい。
【0196】
本明細書で使用するとき、プロセッサ又は処理ユニットは、いくつかの外部データソース、通常はメモリ又は何らかの他のデータストリーム上で動作を実行する電子回路である。この用語は、本明細書では、多くの専用「プロセッサ」を組み合わせたシステム又はコンピュータシステム(特にシステムオンチップ(SoC))内の中央プロセッサ(中央処理ユニット)を指すために使用される。
【0197】
本明細書で使用するとき、チップ上のシステムつまりシステムオンチップ(SoC又はSOC)は、コンピュータ又は他の電子システムの全ての構成要素を統合する集積回路(「IC」又は「チップ」としても知られる)である。これは、デジタル、アナログ、混合信号、及び多くの場合は高周波数機能を、全て単一の基材上に含むことができる。SoCは、マイクロコントローラ(又はマイクロプロセッサ)を、グラフィックス処理ユニット(GPU)、Wi-Fiモジュール、又はコプロセッサなどの最新の周辺装置と統合する。SoCは、内蔵メモリを含んでもよく、含まなくてもよい。
【0198】
本明細書で使用するとき、マイクロコントローラ又はコントローラは、マイクロプロセッサを周辺回路及びメモリと統合するシステムである。マイクロコントローラ(又はマイクロコントローラユニットを意味するMCU)は、単一の集積回路上の小型コンピュータとして実装されてもよい。これはSoCと同様であってもよく、SoCは、その構成要素の1つとしてマイクロコントローラを含み得る。マイクロコントローラは、1つ又は2つ以上のコア処理ユニット(CPU)と共にメモリ及びプログラム可能な入力/出力周辺機器を収容することができる。強誘電性のRAM、NORフラッシュ、又はOTP ROMの形態のプログラムメモリ、及び少量のRAMもまた、チップ上にしばしば含まれる。マイクロコントローラは、パーソナルコンピュータ又は様々な個別のチップで構成された他の汎用用途で使用されるマイクロプロセッサとは対照的に、組み込み型用途に採用され得る。
【0199】
本明細書で使用するとき、コントローラ又はマイクロコントローラという用語は、周辺装置と連携するスタンドアロンIC又はチップ装置であってもよい。これは、その装置の動作(及び装置との接続)を管理する外部装置上のコンピュータ又はコントローラの2つの部分間の連結部であってもよい。
【0200】
本明細書で説明されるプロセッサ又はマイクロコントローラはいずれも、Texas Instruments製のARM Cortexの商品名で知られているものなど、任意のシングルコア又はマルチコアプロセッサによって実装されてもよい。一態様では、プロセッサは、例えば、その詳細が製品データシートで入手可能である、最大40MHzの256KBのシングルサイクルフラッシュメモリ若しくは他の不揮発性メモリのオンチップメモリ、性能を40MHz超に改善するためのプリフェッチバッファ、32KBのシングルサイクルシリアルランダムアクセスメモリ(SRAM)、StellarisWare(登録商標)ソフトウェアを搭載した内部読み出し専用メモリ(ROM)、2KBの電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、1つ又は2つ以上のパルス幅変調(PWM)モジュール、1つ又は2つ以上の直交エンコーダ入力(QEI)アナログ、12個のアナログ入力チャネルを備える1つ又は2つ以上の12ビットアナログ-デジタル変換器(ADC)を含む、Texas Instrumentsから入手可能なLM4F230H5QR ARM Cortex-M4Fプロセッサコアであってもよい。
【0201】
一態様では、プロセッサは、同じくTexas Instruments製のHercules ARM Cortex R4の商品名で知られるTMS570及びRM4xなどの2つのコントローラ系ファミリーを含む安全コントローラを含んでもよい。安全コントローラは、拡張性のある性能、接続性、及びメモリの選択肢を提供しながら、高度な集積型安全機構を提供するために、中でも特に、IEC61508及びISO26262の安全限界用途専用に構成されてもよい。
【0202】
モジュール式装置は、外科用ハブ内に受け入れ可能な(例えば
図3及び
図9に関連して説明される)モジュールと、対応する外科用ハブと接続又はペアリングするために様々なモジュールに接続され得る外科用装置又は器具と、を含む。モジュール式装置としては、例えば、インテリジェント外科用器具、医療用撮像装置、吸引/灌注装置、排煙器、エネルギー発生器、ベンチレータ、吸入器、及びディスプレイが挙げられる。本明細書に記載されるモジュール式装置は、制御アルゴリズムによって制御することができる。制御アルゴリズムは、モジュール式装置自体上で、特定のモジュール式装置がペアリングされる外科用ハブ上で、又はモジュール式装置及び外科用ハブの両方の上で(例えば、分散コンピューティングアーキテクチャを介して)、実行され得る。いくつかの例示では、モジュール式装置の制御アルゴリズムは、モジュール式装置自体によって(すなわち、モジュール式装置内の、モジュール式装置上の、又はモジュール式装置に接続されたセンサによって)感知されたデータに基づいて装置を制御する。このデータは、手術中の患者(例えば、組織特性又は注入圧)又はモジュール式装置自体(例えば、前進するナイフの速度、モータ電流、又はエネルギーレベル)に関連し得る。例えば、外科用ステープル留め及び切断器具の制御アルゴリズムは、ナイフが前進する際にナイフが遭遇する抵抗に基づき、器具のモータが組織を貫いてそのナイフを駆動させる速度を制御することができる。
【0203】
状況認識
状況認識は、外科用システムのいくつかの局面が、データベース及び/又は器具から受信したデータから外科処置に関連する情報を判定又は推測する能力である。情報は、実施中の処置の種類、処置中の組織の種類、又は処置の対象である体腔を含むことができる。外科処置に関連するコンテキスト情報により、外科用システムは、外科処置の過程で、例えば、それに接続されているモジュール式装置(ロボットアーム及び/又はロボット外科用ツールなど)を制御する方法を改善し、外科医にコンテキスト化された情報又は提案を提供することができる。
【0204】
ここで
図49を参照すると、例えば、外科用ハブ106又は206などのハブの状況認識を示す時間線5200が示されている。時間線5200は例示的な外科処置、及び外科用ハブ106、206が、外科処置の各工程でデータソースから受信したデータから導き出すことができるコンテキスト情報である。時間線5200は、手術室を設置することから開始し、患者を術後回復室に移送することで終了する肺区域切除手術の過程で、看護師、外科医、及び他の医療関係者によって取られるであろう典型的な工程を示す。
【0205】
状況認識外科用ハブ106、206は、外科処置の過程全体にわたって、医療関係者が外科用ハブ106、206とペアリングされたモジュール式装置を使用する度に生成されるデータを含むデータをデータソースから受信する。外科用ハブ106、206は、ペアリングされたモジュール式装置及び他のデータソースからこのデータを受信して、任意の所与の時間に処置のどの工程が実施されているかなどの新しいデータが受信されると、進行中の処置に関する推定(すなわち、コンテキスト情報)を継続的に導出することができる。外科用ハブ106、206の状況認識システムは、例えば、レポートを生成するために処置に関するデータを記録する、医療関係者によって取られている工程を検証する、特定の処置工程に関連し得るデータ又はプロンプトを(例えば、ディスプレイスクリーンを介して)提供する、コンテキストに基づいてモジュール式装置を調節する(例えば、モニタを起動する、医療用撮像装置の視界(FOV)を調節する、又は超音波外科用器具若しくはRF電気外科用器具のエネルギーレベルを変更するなど)、及び上記の任意の他のこうした動作を行うことが可能である。
【0206】
この例示的な処置における第1の工程5202として、病院職員は、患者の電子医療記録(Electronic Medical Record、EMR)を病院のEMRデータベースから読み出す。EMRにおける選択された患者データに基づいて、外科用ハブ106、206は、実行される処置が胸郭処置であることを判定する。
【0207】
第2の工程5204では、職員は、処置のために入来する医療用品をスキャンする。外科用ハブ106、206は、スキャンされた用品を様々な種類の処置で利用される用品のリストと相互参照し、用品の組み合わせ(mix of supplies)が胸郭処置に対応することを確認する。更に、外科用ハブ106、206はまた、処置が楔形処置ではないと判定することができる(入来する用品が、胸郭楔形処置に必要な特定の用品を含まないか、又は別の点で胸郭楔形処置に対応していないかのいずれかであるため)。
【0208】
第3の工程5206では、医療関係者は、外科用ハブ106、206に通信可能に接続されたスキャナを介して患者のバンドをスキャンする。続いて、外科用ハブ106、206は、スキャンされたデータに基づいて患者の識別情報を確認することができる。
【0209】
第4の工程5208では、医療スタッフが補助装置をオンにする。利用される補助装置は、外科処置の種類及び外科医によって使用される技術に従って変わり得るが、この例示的な場合では、これらとしては、排煙器、吸入器、及び医療用撮像装置が挙げられる。起動されると、モジュール式装置である補助装置は、その初期化プロセスの一部として、モジュール式装置の特定の近傍内に位置する外科用ハブ106、206と自動的にペアリングすることができる。続いて、外科用ハブ106、206は、この術前又は初期化段階中に外科用ハブとペアリングされるモジュール式装置の種類を検出することによって、外科処置に関するコンテキスト情報を導出することができる。この特定の実施例では、外科用ハブ106、206は、ペアリングされたモジュール式装置のこの特定の組み合わせに基づいて、外科処置がVATS手術であると判定する。患者のEMRからのデータ、手術に用いられる医療用品のリスト、及びハブに接続するモジュール式装置の種類の組み合わせに基づいて、外科用ハブ106、206は、外科チームが実施する特定の処置を概ね推定することができる。外科用ハブ106、206が、何の特定の処置が実施されているかを知ると、続いて外科用ハブ106、206は、メモリから、又はクラウドからその処置の工程を読み出して、次に接続されたデータソース(例えば、モジュール式装置及び患者監視装置)からその後受信したデータを相互参照して、外科処置のどの工程を外科チームが実行しているかを推定することができる。
【0210】
第5の工程5210では、職員は、EKG電極及び他の患者監視装置を患者に取り付ける。EKG電極及び他の患者監視装置は、外科用ハブ106、206とペアリングすることができる。外科用ハブ106、206が患者監視装置からデータの受信を開始すると、外科用ハブ106、206は患者が手術室にいることを確認する。
【0211】
第6の工程5212では、医療関係者は患者に麻酔を誘発する。外科用ハブ106、206は、例えば、EKGデータ、血圧データ、ベンチレータデータ、又はこれらの組み合わせを含む、モジュール式装置及び/又は患者監視装置からのデータに基づいて、患者が麻酔下にあることを推定することができる。第6の工程5212が完了すると、肺区域切除手術の術前部分が完了し、手術部分が開始する。
【0212】
第7の工程5214では、操作されている患者の肺が虚脱される(換気が対側肺に切り替えられる間に)。外科用ハブ106、206は、例えば、患者の肺が虚脱されたことをベンチレータデータから推定することができる。外科用ハブ106、206は、患者の肺が虚脱したのを検出したことを、処置の予期される工程(事前にアクセス又は読み出すことができる)と比較することができるため、処置の手術部分が開始したことを推定して、それによって肺を虚脱させることがこの特定の処置における第1の手術工程であると判定することができる。
【0213】
第8の工程5216では、医療用撮像装置(例えば、スコープ)が挿入され、医療用撮像装置からのビデオ映像が開始される。外科用ハブ106、206は、医療用撮像装置への接続を通じて医療用撮像装置データ(すなわち、ビデオ又は画像データ)を受信する。医療用撮像装置データを受信すると、外科用ハブ106、206は、外科処置の腹腔鏡部分が開始したことを判定することができる。更に、外科用ハブ106、206は、実施されている特定の処置が、肺葉切除とは対照的に区域切除術であると判定することができる(処置の第2の工程5204で受信したデータに基づいて、楔形処置は外科用ハブ106、206によって既に無視されていることに留意されたい)。医療用撮像装置124(
図2)からのデータは、患者の解剖学的構造の可視化に関して配向されている医療用撮像装置の角度を判定することによる、用いられている(すなわち、起動されており、外科用ハブ106、206とペアリングされている)数又は医療用撮像装置を監視することによる、及び用いられている可視化装置の種類を監視することによる、ことを含む多くの異なる方法の中から実施されている処置の種類に関するコンテキスト情報を判定するために用いられ得る。例えば、VATS肺葉切除術を実施するための1つの技術は、カメラを患者の胸腔の前下方角部の横隔膜上方に配置し、一方で、VATS区域切除術を実施するための1つの技術は、カメラを、区域裂に対して前肋間位置に配置する。例えば、パターン認識又は機械学習技術を使用して、状況認識システムは、患者の解剖学的構造の可視化に基づいて、医療用撮像装置の位置を認識するように訓練され得る。別の例として、VATS肺葉切除術を実施するための1つの技術は単一の医療用撮像装置を利用するが、VATS区域切除術を実施するための別の技術は複数のカメラを利用する。更に別の例として、VATS区域切除術を実施するための1つの技術は、区域裂を可視化するために赤外線光源(可視化システムの一部として外科用ハブに通信可能に連結され得る)を使用し、これはVATS肺葉切除術では使用されない。医療用撮像装置からのこのデータのいずれか又は全てを追跡することによって、外科用ハブ106、206は、実行中の特定の種類の外科処置、及び/又は特定の種類の外科処置に使用されている技術を判定することができる。
【0214】
第9の工程5218で、外科チームは、処置の切開工程を開始する。外科用ハブ106、206は、エネルギー器具が発射されていることを示すRF又は超音波発生器からのデータを受信するため、外科医が患者の肺を切開して分離するプロセスにあると推定することができる。外科用ハブ106、206は、受信されたデータを外科処置の読み出しされた工程と相互参照して、プロセスのこの時点(すなわち、上述された処置の工程が完了した後)で発射されているエネルギー器具が切開工程に対応していると判定することができる。特定の例では、エネルギー器具は、ロボット外科システムのロボットアームに取り付けられたエネルギーツールであり得る。
【0215】
第10の工程5220で、外科チームは、処置の結紮工程に進む。外科用ハブ106、206は、器具が発射されていることを示す外科用ステープル留め及び切断器具からのデータを受信するため、外科医が動脈及び静脈を結紮していると推定することができる。前工程と同様に、外科用ハブ106、206は、外科用ステープル留め及び切断器具からのデータの受信を、読み出しされたプロセス内の工程と相互参照することによって、この推定を導出することができる。特定の例では、外科用器具は、ロボット外科システムのロボットアームに取り付けられた外科用ツールであり得る。
【0216】
第11の工程5222では、処置の区域切除部分が実施される。外科用ハブ106、206は、外科用ステープル留め及び切断器具からのデータ(そのカートリッジからのデータを含む)に基づいて、外科医が実質組織を横切開していると推定することができる。カートリッジのデータは、例えば、器具によって発射されるステープルのサイズ又は種類に対応することができる。異なる種類のステープルが異なる種類の組織に利用されているため、カートリッジのデータは、ステープル留め及び/又は横切開されている組織の種類を示すことができる。この場合、発射されるステープルの種類は実質組織(又は他の同様の組織種)に用いられ、これにより、外科用ハブ106、206は、処置の区域切除部分が実行されていると推定することができる。
【0217】
続いて第12の工程5224で、結節切開工程が実行される。外科用ハブ106、206は、RF又は超音波器具が発射されていることを示す発生器から受信したデータに基づいて、外科チームが結節を切開し、漏れ試験を実施していると推定することができる。この特定の処置の場合、実質組織が横切開された後に用いられるRF又は超音波器具は結節切開工程に対応しており、この結節切開工程により外科用ハブ106、206がこの推定を行うことが可能となる。異なる器具が特定の作業に対してより良好に適合するため、外科医は、処置中の特定の工程に応じて、定期的に外科用ステープル留め/切断器具と外科用エネルギー(すなわち、RF又は超音波)器具との間で交互に切り替えることに留意されたい。したがって、ステープル留め/切断器具及び外科用エネルギー器具が使用される特定のシーケンスは、外科医が処置のどの工程を実施中であるかを示すことができる。更に、特定の例では、外科処置中の1つ又は2つ以上の工程にロボットツールを使用することができ、かつ/又は外科処置中の1つ又は2つ以上の工程にハンドヘルド式外科用器具を使用することができる。外科医は、例えば、ロボットツールとハンドヘルド式外科用器具とを順に交代させることができ、かつ/又は、例えば、装置を同時に使用することができる。第12の工程5224が完了すると、切開部が閉鎖され、処置の術後部分が開始する。
【0218】
第13の工程5226では、患者の麻酔が逆転される。外科用ハブ106、206は、例えば、ベンチレータデータに基づいて(すなわち、患者の呼吸速度が増加し始める)、患者が麻酔から覚醒しつつあると推定することができる。
【0219】
最後に、第14の工程5228は、医療関係者が患者から様々な患者監視装置を除去することである。したがって、外科用ハブ106、206は、ハブがEKG、BP、及び患者監視装置からの他のデータを喪失したとき、患者が回復室に移送されていると推定することができる。この例示的な処置の説明から分かるように、外科用ハブ106、206と通信可能に連結された各種データソースから受信されたデータに基づいて、外科用ハブ106、206は、所与の外科処置の各工程が行われているときを判定又は推定することができる。
【0220】
状況認識については、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する2017年12月28日出願の米国仮特許出願第62/611,341号で更に説明されている。特定の例では、例えば本明細書で開示される様々なロボット外科用システムを含むロボット外科用システムの動作は、その状況認識、及び/若しくはその構成要素からのフィードバックに基づいて、並びに/又はクラウド104からの情報に基づいて、ハブ106、206によって制御され得る。
【0221】
ロボットシステム
ロボット外科用システムは、低侵襲性の医療処置で使用することができる。このような医療処置の間、患者はロボット外科用システムに隣接するプラットフォーム上に配置されることができ、外科医は、プラットフォームから離れた、及び/又はロボットから離れたコマンドコンソールのところにいることができる。例えば、外科医は、手術部位を取り囲む滅菌野の外に配置されてもよい。外科医は、ロボットシステムのアームに結合された外科用ツールを操作するために、コマンドコンソールの入力装置を介してユーザインターフェースに入力を提供する。入力装置は、例えば、制御ハンドル若しくはジョイスティックなどの機械的入力装置、又は、例えば光学式ジェスチャセンサなどの非接触入力装置であってもよい。
【0222】
ロボット外科用システムは、1つ又は2つ以上のロボットアームを支持するロボットタワーを含むことができる。少なくとも1つの外科用ツール(例えば、エンドエフェクタ及び/又は内視鏡)をロボットアームに取り付けることができる。外科用ツールは、例えば、関節運動式手首アセンブリを介してそれぞれのロボットアームに対して関節運動するように、及び/又は、線形スライド機構を介してロボットアームに対して並進するように構成されてもよい。外科処置中、外科用ツールを、例えばカニューレ若しくはトロカールを介して患者の小さな切開部又は患者の自然開口部の中に挿入して、外科用ツールの遠位端を患者の身体内の手術部位に位置決めすることができる。加えて又は代わりに、ロボット外科用システムを、特定の例において開放外科処置で使用することができる。
【0223】
ロボット外科用システム15000の概略図が
図22に示されている。ロボット外科用システム15000は、中央制御ユニット15002と、外科医のコンソール15012と、1つ又は2つ以上のロボットアーム15024を含むロボット15022と、制御ユニット15002に動作可能に結合された一次ディスプレイ15040とを含む。外科医のコンソール15012は、ディスプレイ15014と、外科医がロボット15022のロボットアーム15024を操作することを可能にする少なくとも1つの手動入力装置15016(例えば、スイッチ、ボタン、タッチスクリーン、ジョイスティック、ジンバルなど)を含む。読者は、更なる及び代わりの入力装置を使用することができることを理解するであろう。
【0224】
中央制御ユニット15002は、メモリ15006に動作可能に結合されたプロセッサ15004を含む。プロセッサ15004は、ロボット外科用システム回路15000の構成要素とインターフェースするための複数の入力部及び出力部を含む。プロセッサ15004は、ロボット外科用システム15000の様々な構成要素(例えば、1つ又は2つ以上のモータ、センサ、及び/又はディスプレイ)のうちの1つ又は2つ以上を制御するために、入力信号を受信し、及び/又は出力信号を生成するように構成することができる。出力信号は、外科医又は別の臨床医が事前にプログラム及び/又は入力することができるアルゴリズム命令を含むことができ、かつ/又はそれに基づくことができる。プロセッサ15004は、コンソール15012の外科医などのユーザから複数の入力を受けるように構成することができ、かつ/又は遠隔システムとインターフェースしてもよい。メモリ15006は、命令及び/又はデータベースを記憶するために、プロセッサ15004に直接及び/又は間接的に結合することができる。
【0225】
ロボット15022は、1つ又は2つ以上のロボットアーム15024を含む。各ロボットアーム15024は1つ又は2つ以上のモータ15026を含み、各モータ15026は、1つ以上のモータ駆動器15028に連結されている。例えば、異なる駆動器及び/又は機構に割り当てることができるモータ15026を、キャリッジアセンブリ又はハウジング内に収容することができる。特定の例では、モータ15026と1つ又は2つ以上の駆動器15028との間の動力伝達が、モータ15026と1つ又は2つ以上の駆動器15028との結合分離を可能にしてもよい。駆動器15028は、1つ又は2つ以上の外科的機能を実装するように構成することができる。例えば、1つ又は2つ以上の駆動器15028は、ロボットアーム15024及び/又はその連結部及び/又は継手を回転させることによってロボットアーム15024を動かしてもよい。加えて、1つ又は2つ以上の駆動器15028は、外科用ツール15030に結合することができ、例えば、関節運動、回転、クランプ、封止、ステープル留め、通電、発射、切断、及び/又は開放を実施することができる。特定の例では、外科用ツール15030は、交換可能及び/又は付け替え可能であってもよい。ロボット外科用システム及び外科用ツールの例が、本明細書に更に記載されている。
【0226】
読者は、コンピュータ実施インタラクティブ外科システム100(
図1)及びコンピュータ実施インタラクティブ外科システム200(
図9)がロボット外科用システム15000を組み込むことができることを容易に理解するであろう。加えて又は代わりに、ロボット外科用システム15000は、コンピュータ実施インタラクティブ外科システム100及び200の様々な特徴及び/又は構成要素を含むことができる。
【0227】
1つの例示では、ロボット外科用システム15000はロボットシステム110(
図2)を包含することができ、ロボットシステム110は、外科医のコンソール118、外科用ロボット120、及びロボットハブ122を含む。加えて又は代わりに、ロボット外科用システム15000は、例えば、外科用ハブ106などの別のハブと通信することができる。一例では、ロボット外科用システム15000は、例えば、コンピュータ実施インタラクティブ外科システム100(
図1)又はコンピュータ実施インタラクティブ外科システム200(
図9)などの外科用システムに組み込むことができる。そのような例では、ロボット外科用システム15000は、クラウド104又はクラウド204とそれぞれ相互作用し、また外科用ハブ106又は外科用ハブ206とそれぞれ相互作用してもよい。特定の例では、ロボットハブ又は外科用ハブは、中央制御ユニット15002を含むことができ、かつ/又は中央制御ユニット15002はクラウドと通信することができる。他の例では、外科用ハブは、中央制御ユニット15002とは別個であり、中央制御ユニット15002と通信することができる別個のユニットを具現化することができる。
【0228】
図23及び
図24に別のロボット外科用システムが示されている。
図23を参照すると、ロボット外科用システム13000は、ロボットアーム13002、13003と、制御装置13004と、制御装置13004に連結されたコンソール13005とを含む。
図23に示されるように、外科用システム13000は、低侵襲性の外科手術の実施のために患者テーブル13012上に横たわっている患者13013に対して使用するように構成されている。コンソール13005は、表示装置13006及び入力装置13007、13008を含む。表示装置13006は、三次元画像を表示するように設定され、手動入力装置13007、13008は、臨床医がロボットアーム13002、13003を遠隔操作することを可能にするように構成されている。コンソール13005などの外科医のコンソールの制御は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「HAPTIC FEEDBACK FOR A ROBOTIC SURGICAL SYSTEM INTERFACE」と題する2016年10月27日出願の国際公開第2017/075121号に更に記載されている。
【0229】
ロボットアーム13002、13003のそれぞれは、関節を介して接続された複数の部材から構成され、対応するロボットアーム13002、13003の遠位端に接続された外科用アセンブリ13010を含む。複数のアームの支持体は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、「SURGICAL ROBOTIC ARM SUPPORT SYSTEMS AND METHODS OF USE」と題する2016年11月11日出願の米国特許出願公開第2017/0071693号に更に記載されている。様々なロボットアーム構成が、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、「ROBOTIC SURGICAL CONTROL SCHEME FOR MANIPULATING ROBOTIC END EFFECTORS」と題する2016年9月6日出願の国際公開第2017/044406号に更に記載されている。一例では、外科用アセンブリ13010は、エンドエフェクタ13023を支持する外科用器具13020を含む。2つのロボットアーム13002、13003が示されているが、外科用システム13000は、単一のロボットアーム又は2つを超えるロボットアーム13002、13003を含んでもよい。更なるロボットアームが同様に制御装置13004に接続され、コンソール13005を介して遠隔操作可能である。したがって、1つ又は2つ以上の更なる外科用アセンブリ13010及び/又は外科用器具13020を、更なるロボットアームに取り付けることもできる。
【0230】
ロボットアーム13002、13003は、制御装置13004に接続された電気駆動装置によって駆動されてもよい。一例では、制御装置13004は、ロボットアーム13002、13003と、外科用アセンブリ13010及び/又はロボットアーム13002、13003に対応する外科用器具13020とが、手動入力装置13007、13008を通じて受け取られた所望の動きを実行するように、例えばコンピュータプログラムを介して駆動装置を起動するように構成されている。制御装置13004を、ロボットアーム13002、13003及び/又は駆動装置の動きを調整するように構成してもよい。
【0231】
制御装置13004は、複数のモータ(例えば、モータl...n)を制御してもよく、各モータは、外科用器具13020のエンドエフェクタ13023に連結されたケーブルなどの1つ又は2つ以上のケーブルの押込み又は引出しを駆動するように構成されている。使用中、これらのケーブルが押し込まれる及び/又は引き出されると、1つ又は2つ以上のケーブルがエンドエフェクタ13023の動作及び/又は移動に影響を及ぼす。制御装置13004は、1つ以上のケーブルを押し込むか又は引き出す動きを調整して1つ又は2つ以上のエンドエフェクタ13023の動作及び/又は動きを調整するために、様々なモータの起動を調整する。例えば、外科用アセンブリ13010などのロボットアセンブリによるエンドエフェクタの関節運動は、それぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる、2016年6月6日出願の「WRIST AND JAW ASSEMBLIES FOR ROBOTIC SURGICAL SYSTEMS」と題する米国特許出願公開第2016/0303743号及び、2016年3月8日出願の「MEASURING HEALTH OF A CONNECTOR MEMBER OF A ROBOTIC SURGICAL SYSTEM」と題する国際公開第2016/144937号に更に記載されている。一例では、各モータは、1つ又は2つ以上のケーブルに加えて、又はその代わりに、駆動ロッド又はレバーアームを作動させてエンドエフェクタ13023の動作及び/又は動きに影響を及ぼすように構成されている。
【0232】
外科用エンドエフェクタの駆動構成などの外科用器具の駆動装置の構成は、更に、それぞれが参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2016年5月10日出願の「COUPLING INSTRUMENT DRIVE UNIT AND ROBOTIC SURGICAL INSTRUMENT」と題する国際公開第2016/183054号、2016年6月15日出願の「ROBOTIC SURGICAL SYSTEM TORQUE TRANSDUCTION SENSING」と題する国際公開第2016/205266号、2016年6月16日出願の「CONTROLLING ROBOTIC SURGICAL INSTRUMENTS WITH BIDIRECTIONAL COUPLING」と題する国際公開第2016/205452号、及び2016年9月22日出願の「ELASTIC SURGICAL INTERFACE FOR ROBOTIC SURGICAL SYSTEMS」と題する国際公開第2017/053507号に記載されている。外科用器具の駆動装置へのモジュール式取り付けは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2016年6月20日出願の「ROBOTIC SURGICAL ASSEMBLIES」と題する国際公開第2016/209769号に更に記載されている。外科用器具の駆動装置及びインターフェースのためのハウジング構成は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2016年3月9日出願の「ROBOTIC SURGICAL SYSTEMS,INSTRUMENT DRIVE UNITS,AND DRIVE ASSEMBLIES」と題する米国特許出願公開第2016/144998号に更に記載されている。ロボットアーム13002、13003で使用する様々なエンドカッター器具構成は、それぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる、「SURGICAL ROBOTIC ASSEMBLIES AND INSTRUMENT ADAPTERS THEREOF」と題する2016年9月21日出願の国際公開第2017/053358号、及び「ROBOTIC SURGICAL ASSEMBLIES AND INSTRUMENT DRIVE CONNECTORS THEREOF」と題する2016年9月21日出願の国際公開第2017/053363号に更に記載されている。ロボットアーム13002、13003で使用する双極器具構成は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、「ROBOTIC SURGICAL ASSEMBLIES AND ELECTROMECHANICAL INSTRUMENTS THEREOF」と題する2016年9月23日出願の国際公開第2017/053698号に更に記載されている。ロボットアーム13002、13003で使用する取り外し可能な(reposable)シャフト配置は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、「ROBOTIC SURGICAL SYSTEMS AND INSTRUMENT DRIVE ASSEMBLIES」と題する2016年12月19日出願の国際公開第2017/116793号に更に記載されている。
【0233】
制御装置13004は、命令のセットに従って計算及び/又は動作を実行するよう適合された任意の好適な論理制御回路を含む。制御装置13004は、無線(例えば、Wi-Fi、Bluetooth、LTEなど)及び/又は有線接続を介して遠隔システム「RS」と通信するように構成することができる。遠隔システム「RS」は、システム13000の様々な構成要素、アルゴリズム、及び/又は動作に関連するデータ、命令、及び/又は情報を含んでもよい。遠隔システム「RS」は、任意の好適な電子サービス、データベース、プラットフォーム、クラウド「C」(
図23を参照)などを含むことができる。制御装置13004は、メモリに動作可能に接続された中央処理ユニットを含んでもよい。メモリは、一時的なメモリ(例えば、RAM)及び/又は非一時的なメモリ(例えば、フラッシュメディア、ディスクメディアなど)を含んでもよい。いくつかの例示では、メモリは、遠隔システム「RS」の一部であり、かつ/又は遠隔システム「RS」に動作可能に結合されている。
【0234】
制御装置13004は、ドライバ回路などを介して、システム13000の構成要素とインターフェースするための複数の入力部及び出力部を含むことができる。制御装置13004は、システム13000の様々な構成要素(例えば、1つ又は2つ以上のモータ)のうちの1つ又は2つ以上を制御するために、入力信号を受信し、及び/又は出力信号を生成するように構成することができる。出力信号は、ユーザが事前にプログラム及び/又は入力することができるアルゴリズム命令を含むことができ、かつ/又はそれに基づくことができる。制御装置13004は、遠隔システム「RS」に結合可能なユーザインターフェース(例えば、コンソール13005を動作させるスイッチ、ボタン、タッチスクリーンなど)からの複数のユーザ入力を受け付けるように構成することができる。
【0235】
メモリ13014は、制御装置13004に直接及び/又は間接的に結合されて、生体からの手術前データ及び/又は解剖学的属性を含む命令及び/又はデータベースを記憶することができる。メモリ13014は、遠隔システム「RS」の一部であってもよく、及び/又は遠隔システム「RS」に動作可能に結合されてもよい。
【0236】
一例によれば、各ロボットアーム13002、13003の遠位端は、その中にエンドエフェクタ13023(又は他の外科用ツール)を解放可能に固定するように構成され、例えばトロカール又はリトラクタなどの任意の数の外科用ツール又は器具を受け入れるように構成されてもよい。
【0237】
ロボット外科用システム13010のシステムアーキテクチャ13400の簡略化された機能ブロック図を
図24に示す。システムアーキテクチャ13400は、コアモジュール13420、外科医マスタモジュール13430、ロボットアームモジュール13440、及び器具モジュール13450を含む。コアモジュール13420は、ロボット外科用システム13000の中央制御装置として機能し、他の全てのモジュール13430、13440、13450の動作を調整する。例えば、コアモジュール13420は、制御装置をアーム13002、13003にマップし、現在の状態を判定し、全ての運動学的な変換及びフレーム変換を実行し、結果として生じる移動コマンドを中継する。これに関して、コアモジュール13420は、他のモジュール13430、13440、13450のそれぞれからデータを受信して分析し、ロボット外科用システム13000内で実行するための命令又はコマンドを、他のモジュール13430、13440、13450に提供する。1つ又は2つ以上のモジュール13420、13430、13440及び13450は、別個のモジュールとして示されているが、他の例示では単一の構成要素である。
【0238】
コアモジュール13420は、モデル13422、オブザーバ13424、衝突マネージャ13426、コントローラ13428、及びスケルトン13429を含む。モデル13422は、モータ(例えば、モータl...n)及び/又はアーム13002、13003などの制御された構成要素のための抽象化された表現(ベースクラス)を提供するユニットを含む。オブザーバ13424は、他のモジュール13430、13440、13450から受信した入力信号及び出力信号に基づいて状態推定値を生成する。衝突マネージャ13426は、システム13010内に登録された構成要素間の衝突を防止する。スケルトン13429は、運動学的及び力学的観点からシステム13010を追跡する。例えば、運動学的項目は、順運動学又は逆運動学のいずれかとして実施されてもよい。力学的項目は、システムの構成要素の動態をモデル化するために使用されるアルゴリズムとして実装されてもよい。
【0239】
外科医マスタモジュール13430は、コンソール13005で外科医制御装置と通信し、コンソール13005から受信した入力をコアモジュール13420に中継する。一例では、外科医マスタモジュール13430は、ボタン状態及び制御装置位置をコアモジュール13420に伝送し、状態/モードマネージャ13434、フェイルオーバーコントローラ13436及びN自由度(「DOF」)アクチュエータ13438を含むノードコントローラ13432を含む。
【0240】
ロボットアームモジュール13440は、ロボットアームサブシステム、アームカートサブシステム、セットアップアーム、及び器具サブシステムの動作を協調させて、対応するアーム13002、13003の動きを制御する。単一のロボットアームモジュール13440が含まれているが、ロボットアームモジュール13440は単一のアームに対応し、これを制御することが理解されるであろう。したがって、システム13010が複数のアーム13002、13003を含む構成には、追加のロボットアームモジュール13440が含まれる。ロボットアームモジュール13440は、ノードコントローラ13442、状態/モードマネージャ13444、フェイルオーバーコントローラ13446、及びN自由度(「DOF」)アクチュエータ13348を含む。
【0241】
器具モジュール13450は、アーム13002、13003に取り付けられた器具及び/又はツール構成要素の動きを制御する。器具モジュール13450は、単一の器具に対応し、これを制御するように構成されている。したがって、複数の器具が含まれる構成では、追加の器具モジュール13450も同様に含まれる。一例では、器具モジュール13450は、エンドエフェクタ又はジョーアセンブリ(ジョーのピッチ及びヨー角を含み得る)の位置、ジョー間の幅又はジョー間の角度、及びアクセスポートの位置に関するデータを取得し、伝送する。器具モジュール13450は、ノードコントローラ13452、状態/モードマネージャ13454、フェイルオーバーコントローラ13456、及びN自由度(「DOF」)アクチュエータ13458を有する。
【0242】
器具モジュール13450によって収集された位置データは、器具が手術部位内、アクセスポートに隣接するカニューレ内、又は自由空間内のアクセスポートの上方にあることを判定するために、コアモジュール13420によって使用される。コアモジュール13420は、その配置に基づいて、器具のジョーを開閉するための命令を提供するか否かを決定することができる。例えば、器具がカニューレ内にあることを器具の位置が示している場合には、ジョーアセンブリを閉位置に維持するための命令が提供される。器具がアクセスポートから出ていることを器具の位置が示している場合には、ジョーアセンブリを開くための命令が提供される。
【0243】
図23及び
図24に示される外科用ロボットシステムなどのロボット外科用システムの更なる特徴及び動作は、それぞれが参照によりその全体が本明細書に組み込まれる以下の参考文献に更に記載されている。
・「WRIST AND JAW ASSEMBLIES FOR ROBOTIC SURGICAL SYSTEMS」と題する2016年6月6日出願の米国特許出願公開第2016/0303743号、
・「SURGICAL ROBOTIC ARM SUPPORT SYSTEMS AND METHODS OF USE」と題する2016年11月11日出願の米国特許出願公開第2017/0071693号、
・「MEASURING HEALTH OF A CONNECTOR MEMBER OF A ROBOTIC SURGICAL SYSTEM」と題する2016年3月8日出願の国際公開第2016/144937号、
・「ROBOTIC SURGICAL SYSTEMS,INSTRUMENT DRIVE UNITS,AND DRIVE ASSEMBLIES」と題する2016年3月9日出願の国際公開第2016/144998号、
・「COUPLING INSTRUMENT DRIVE UNIT AND ROBOTIC SURGICAL INSTRUMENT」と題する2016年5月10日出願の国際公開第2016/183054号、
・「ROBOTIC SURGICAL SYSTEM TORQUE TRANSDUCTION SENSING」と題する2016年6月15日出願の国際公開第2016/205266号、
・「CONTROLLING ROBOTIC SURGICAL INSTRUMENTS WITH BIDIRECTIONAL COUPLING」と題する2016年6月16日出願の国際公開第2016/205452号、
・「ROBOTIC SURGICAL ASSEMBLIES」と題する2016年6月20日出願の国際公開第2016/209769号、
・「ROBOTIC SURGICAL CONTROL SCHEME FOR MANIPULATING ROBOTIC END EFFECTORS」と題する2016年9月6日出願の国際公開第2017/044406号、
・「SURGICAL ROBOTIC ASSEMBLIES AND INSTRUMENT ADAPTERS THEREOF」と題する2016年9月21日出願の国際公開第2017/053358号、
・「ROBOTIC SURGICAL ASSEMBLIES AND INSTRUMENT DRIVE CONNECTORS THEREOF」と題する2016年9月21日出願の国際公開第2017/053363号、
・「ELASTIC SURGICAL INTERFACE FOR ROBOTIC SURGICAL SYSTEMS」と題する2016年9月22日出願の国際公開第2017/053507号、
・「ROBOTIC SURGICAL ASSEMBLIES AND ELECTROMECHANICAL INSTRUMENTS THEREOF」と題する2016年9月23日出願の国際公開第2017/053698号、
・「HAPTIC FEEDBACK CONTROLS FOR A ROBOTIC SURGICAL SYSTEM INTERFACE」と題する2016年10月27日出願の国際公開第2017/075121号、
・「ROBOTIC SURGICAL SYSTEMS AND INSTRUMENT DRIVE ASSEMBLIES」と題する2016年12月19日出願の国際公開第2017/116793号。
【0244】
本明細書に開示されるロボット外科用システム及び機構は、
図23及び
図24のロボット外科用システムで使用することができる。読者は更に、本明細書に開示される様々なシステム及び/又は特徴を、例えば、コンピュータ実施インタラクティブ外科システム100、コンピュータ実施インタラクティブ外科システム200、ロボット外科用システム110、ロボットハブ122、ロボットハブ222及び/又はロボット外科用システム15000を含む代替的な外科用システムで使用してもよいことを更に理解するであろう。
【0245】
様々な例において、ロボット外科用システムは、システムの制御ユニットを収容することができるロボット制御タワーを含むことができる。例えば、ロボット外科用システム13000(
図23)の制御ユニット13004は、ロボット制御タワー内に収容されていてもよい。ロボット制御タワーは、例えばロボットハブ122(
図2)又はロボットハブ222(
図9)などのロボットハブを含むことができる。このようなロボットハブは、超音波発生器及び/若しくは高周波発生器などの1つ又は2つ以上の発生器、並びに/又は撮像モジュール、吸引モジュール、灌流モジュール、排煙モジュール、及び/又は通信モジュールなどの1つ又は2つ以上のモジュールと結合するためのモジュール式インターフェースを含むことができる。
【0246】
ロボットハブは、複数のソースからのデータを合成して、外科的事象に対する適切な応答を決定するように構成可能な状況認識モジュールを含むことができる。例えば、状況認識モジュールは、本明細書に更に記載されるように、外科処置の種類、外科処置の工程、組織の種類、及び/又は組織特性を判定することができる。更に、このようなモジュールは、合成されたデータに基づいて、ロボットシステムに対して特定の手順又は可能な選択肢を推奨することができる。様々な例において、ロボットシステム全体に分散された複数のセンサを包含するセンサシステムは、データ、画像、及び/又は他の情報を状況認識モジュールに提供することができる。そのような状況認識モジュールは、例えば制御ユニット13004などの制御ユニットに組み込むことができる。様々な例において、状況認識モジュールは、例えば、外科用ハブ106(
図1)、外科用ハブ206(
図10)、クラウド104(
図1)、及び/又はクラウド204(
図9)などの非ロボット外科用ハブ及び/又はクラウドから、データ及び/又は情報を取得することができる。外科用システムの状況認識は、本明細書に、及びそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる、「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する2017年12月28日出願の米国特許仮出願第62/611,341号、及び「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS」と題する2017年12月28日出願の米国特許仮出願第62/611,340号に更に開示されている。
【0247】
特定の例では、外科処置の間の特定の時点における、及び/又は特定の持続時間にわたる外科用ツールの起動は、組織外傷を引き起こし、及び/又は外科処置を長引かせ得る。例えば、ロボット外科用システムが、閾値条件が満たされている場合にのみ通電されるべきエネルギー送達表面を有する電気外科用ツールを利用してもよい。一例では、エネルギー送達表面は、エネルギー送達表面が適切な、又は標的とされた組織と接触している場合にのみ起動されるべきである。別の一例として、ロボット外科用システムは、適切な量の流体が存在する場合など、閾値条件が満たされている場合にのみ起動されるべき吸引要素を利用することができる。視界の制限、進展する状況、及びロボット外科処置中の可動部品の多さのために、臨床医が手術部位の特定の状態を判定及び/又は監視するのが困難な場合がある。例えば、電気外科用ツールのエネルギー送達表面が組織と接触しているか否かを判断するのが困難な場合がある。特定の吸引圧力が吸引ポートの近くの流体の量に対して十分であるか否かを判断するのが難しい場合もある。
【0248】
更に、特定のロボット外科処置では、複数の外科用装置が使用される場合がある。例えば、ロボット外科用システムが、外科処置中に1つ以上の外科用ツールを使用する場合がある。加えて、1つ又は2つ以上のハンドヘルド式器具を外科処置中に使用する場合もある。外科用装置の1つ又は2つ以上が、センサを含んでもよい。例えば、複数のセンサが手術部位及び/又は手術室の周囲に配置されてもよい。1つ以上のセンサを含むセンサシステムを、手術部位で1つ又は2つ以上の状態を検出するように構成してもよい。例えば、センサシステムからのデータが、外科用ロボットに装着された外科用ツールが使用されているか否か、及び/又は外科用ツールの機能が起動されるべきか否かを判定してもよい。より具体的には、センサシステムは、例えば、電気外科用装置が組織と当接するように位置決めされているか否かを検出することができる。別の一例として、センサシステムは、外科用ツールの吸引要素が手術部位の流体に十分な吸引力を加えているか否かを検出することができる。
【0249】
自動起動モードにある場合、ロボット外科用システムは、センサシステムから受信したデータ、画像、及び/又は他の情報に基づいて、1つ又は2つ以上の外科用ツールの1つ以上の機能を自動的に起動させることができる。例えば、電気外科用ツールが(組織と当接して接触するように配置されているなど)使用中であることが検出されると、電気外科用ツールのエネルギー送達表面が起動されてもよい。別の一例として、外科用ツール上の吸引要素が、吸引ポートが流体と接触するように動かされたときに起動されてもよい。特定の例では、外科用ツールを、感知された状態に基づいて調整してもよい。
【0250】
自動起動モードを組み込んだロボット外科用システムは、手術部位における検出された状態に基づいて、シナリオ固有の結果を自動的に提供することができる。シナリオ固有の結果は、例えば転帰ベースであってもよく、臨床医の意思決定プロセスを合理化することができる。特定の例では、このような自動起動モードは、臨床医の効率及び/又は有効性を改善することができる。例えば、ロボット外科用システムは、データを集約して手術部位及び/又は外科処置のより完全なビューをコンパイルし、最良の手順を決定することができる。加えて又は代わりに、臨床医が行う決定がより少ない場合には、臨床医は他のタスクにより良好に集中することができ、かつ/又は他の情報をより効果的に処理することができる。
【0251】
一例では、ロボット外科用システムは、視覚的に検出可能な必要性に対するツールの近接性及び/又はシステムの状況認識に基づいて、外科処置ツールを自動的に調整することができる。
図25A及び
図25Bを参照すると、ロボットシステム13050のための超音波外科用ツールが2つの異なる位置に示されている。
図25Aに示すように、第1の位置では、超音波外科用ツール13050のブレード13052は、組織13060と接触しないように配置されている。そのような位置で、超音波外科用ツール13050上のセンサが高い抵抗を検出する場合がある。検出された抵抗が閾値を上回る場合、超音波ブレード13052の通電をオフにしてもよい。ここで
図25Bを参照すると、超音波ブレード13052は、ブレード13052の遠位端が組織13060と当接接触するように配置された第2の位置に示されている。そのような場合に、超音波外科用ツール13050上のセンサが低い抵抗を検出する場合がある。検出された抵抗が閾値を下回る場合、超音波ブレード13052を起動して、治療エネルギーが組織13060に送達されるようにしてもよい。代替的なセンサ構成も想定され、様々なセンサが本明細書に更に記載される。
【0252】
図26A及び
図26Bを参照すると、別の外科用ツールである単極の焼灼ペンシル13055が、2つの異なる位置に示されている。
図26Aに示すように、第1の位置では、単極の焼灼ペンシル13055は、組織と接触しないように配置されている。このような位置で、単極の焼灼ペンシル13055上のセンサが高い抵抗を検出する場合がある。検出された抵抗が閾値を上回る場合、単極の焼灼ペンシル13055の通電をオフにしてもよい。ここで
図26Bを参照すると、単極の焼灼ペンシル13055は、単極の焼灼ペンシル13055の遠位端が組織と当接接触するように配置された第2の位置に示されている。そのような場合に、単極の焼灼ペンシル13055上のセンサが低い抵抗を検出する場合がある。検出された抵抗が閾値を下回る場合、単極の焼灼ペンシル13055を起動して、治療エネルギーが組織に送達されるようにしてもよい。代替的なセンサ構成も想定され、様々なセンサが本明細書に更に記載される。
【0253】
図27は、
図25A及び
図25Bの超音波外科用ツール13050の時間tにわたる連続性C及び電流Iのグラフ表示13070を示す。同様に、単極の焼灼ペンシル13055は、いくつかの例では、グラフ表示13070に多くの点で類似したグラフ表示を生成することができる。グラフ表示13070において、連続性Cは点線で表され、電流Iは実線で表されている。抵抗が高く、閾値を上回る場合、連続性Cも高くなる可能性がある。閾値は、例えば、40~400オームであり得る。時点A’において、連続性Cが閾値を下回り、組織接触の程度を示す場合がある。その結果、ロボット外科用システムが組織の高度なエネルギー治療を自動的に起動してもよい。
図27に示す超音波変換器電流は、連続性パラメータが組織接触の程度を示すと、時点A’からB’まで増加する。様々な例において、電流Iに、例えば
図25A及び
図25Bに示すようなジョーがクランプされていない場合などのジョー開放変換器限界に対応する、B’で示す最大値で上限を設けることができる。様々な例において、ロボット外科用システムの状況認識モジュールは、ジョーがクランプされていないことを示し得る。
図27のグラフ表示13070を再び参照すると、時点C’までエネルギーが印加され、この時点で連続性Cが閾値を超えて増加したことによって、組織接触が喪失したことが示される。この結果、超音波ブレードへの通電がオフにされ、超音波変換器電流Iがゼロに減少してもよい。
【0254】
様々な例において、センサシステムは、手術部位における少なくとも1つの状態を検出するように構成することができる。例えば、センサシステムのセンサは、超音波ブレードのエネルギー送達表面に沿った連続性を測定することによって、組織接触を検出してもよい。加えて又は代わりに、センサシステムは、手術部位の周囲に配置された1つ又は2つ以上の更なるセンサを含んでもよい。例えば、外科処置で使用される1つ又は2つ以上の外科用ツール及び/又は器具を、手術部位における状態を検出するように構成してもよい。センサシステムは、ロボット外科用システムのプロセッサと信号通信を行うことができる。例えば、ロボット外科用システムは、本明細書で更に説明するように、プロセッサ及びメモリを収容する制御ユニットを含む中央制御タワーを含むことができる。プロセッサは、センサシステムからの入力に基づいて、外科用ツールに対してコマンドを発することができる。様々な例において、状況認識もまた、プロセッサによって発せられるコマンドを規定し、及び/又はこれに影響を与えてもよい。
【0255】
ここで
図28を参照すると、エンドエフェクタ196400は、ジョー部材196402上に位置するRFデータセンサ196406、196408a、196408bを備える。エンドエフェクタ196400は、ジョー部材196402及び超音波ブレード196404を含む。ジョー部材196402は、ジョー部材196402と超音波ブレード196404との間に位置する組織196410をクランプした状態で示されている。第1のセンサ196406は、ジョー部材196402の中央部に位置する。第2のセンサ196408a及び第3のセンサ196408bは、それぞれ、ジョー部材196402の外側部分に位置する。センサ196406、196408a、196408bは、ジョー部材196402に固定的に取り付けられるように構成されたフレキシブル回路196412(
図29でより具体的に示す)に取り付けられるか、又は一体的に形成される。
【0256】
エンドエフェクタ196400は、本明細書で説明される様々な外科用装置のためのエンドエフェクタの一例である。センサ196406、196408a、196408bは、インターフェース回路を介して制御回路に電気的に接続される。センサ196406、196408a、196408bは電池によって電力供給され、センサ196406、196408a、196408bによって生成された信号は、制御回路のアナログ及び/又はデジタル処理回路に提供される。
【0257】
一態様では、第1のセンサ196406は、ジョー部材196402によって組織196410に加えられる垂直力F3を測定するための力センサである。第2のセンサ196408a及び第3のセンサ196408bは、組織196410にRFエネルギーを印加し、他のパラメータの中でも特に、組織インピーダンス、下向きの力F1、横向きの力F2及び温度を測定するための1つ又は2つ以上の要素を含む。電極196409a、196409bは、電気回路などのエネルギー源に電気的に連結され、RFエネルギーを組織196410に印加する。一態様では、第1のセンサ196406、第2のセンサ196408a及び第3のセンサ196408bは、力又は単位面積当たりの力を測定するための歪みゲージである。下向きの力F1、横向きの力F2及び垂直力F3の測定値は、力センサ196406、196408a、196408bが作用している表面積を決定することによって、圧力に容易に変換され得ることが理解されよう。更に、本明細書に詳細に記載するように、フレキシブル回路196412は、フレキシブル回路196412の1つ又は2つ以上の層内に埋め込まれた温度センサを含んでもよい。1つ又は2つ以上の温度センサは、対称的に又は非対称的に配置されてよく、超音波駆動回路及びRF駆動回路の制御回路に組織196410の温度フィードバックを提供してもよい。
【0258】
例えば、磁界センサ、歪みゲージ、圧力センサ、力センサ、例えば渦電流センサなどの誘導センサ、抵抗センサ、容量センサ、光センサ、及び/又は任意の他の好適なセンサなどの1つ又は2つ以上のセンサが、組織圧縮及び/又はインピーダンスを測定するように適合及び構成されてもよい。
【0259】
図29は、センサ196406、196408a、196408bがフレキシブル回路196412に取り付けられ得るか、又はフレキシブル回路196412と一体に形成され得る、
図28に示すフレキシブル回路196412の一態様を示す。フレキシブル回路196412は、ジョー部材196402に固定的に取り付けられるように構成されている。
図29で具体的に示すように、非対称型温度センサ196414a、196414bは、フレキシブル回路196412に取り付けられ、組織196410(
図28)の温度を測定することを可能にする。
【0260】
読者は、代替的な外科用ツールを、
図25A~
図29に関して上記で説明した自動起動モードで利用してもよいことを理解するであろう。
【0261】
図30は、外科用ツールの自動起動モード13151を示すフローチャート13150である。様々な例において、ロボット外科用システム及びそのプロセッサは、
図30に示されるプロセスを実施するように構成されている。最初に、センサシステムが、工程13152で状態を検出するように構成されている。検出された状態はプロセッサに伝送され、プロセッサは、工程13154で、検出された状態を閾値パラメータと比較する。閾値パラメータは、最大値、最小値、又は値の範囲であり得る。感知された状態が境界外の状態である場合、プロセッサは、工程13156で外科的機能を調整することができ、プロセッサは、工程13152及び工程13154の比較プロセスを繰り返してもよい。感知された状態が境界外の状態ではない場合、調整は不要であり(13158)、工程13152及び工程13154の比較プロセスが再び繰り返されてもよい。
【0262】
様々な場合において、ロボット外科用システムは手動オーバーライドモード13153を可能にすることができる。例えば、臨床医によって手動オーバーライド入力13160が起動されると、外科用システムは、
図30に示される工程13162で自動起動モード13151を終了してもよい。そのような場合、感知された状態が境界外の状態であっても、外科的機能はプロセッサによって自動的に調整されない。しかしながら、このような場合、プロセッサは、感知された状態に基づいて、特定の手順を推奨する警告又は推奨を臨床医に対して発することができる。
【0263】
様々な例において、自動起動モードは、吸引機構を含むロボット外科用システムで利用することができる。一例では、ロボット外科用システムは、吸引及び/又は灌注ツールと通信を行うことができる。例えば、吸引及び/又は灌注装置(
図3のモジュール128を参照)は、外科用ハブ106(
図1)及び/又は外科用ハブ206(
図9)を介してロボット外科用システムと通信することができ、吸引及び/又は灌注ツールをロボットアームに取り付けることができる。吸引/灌注装置は、遠位吸引ポート及びセンサを含むことができる。別の場合には、電気外科用ツールなどのロボット外科用ツールが、ツールのエンドエフェクタ上に吸引機構及び吸引ポートを含んでもよい。
【0264】
図31を参照すると、エンドエフェクタ13210上の吸引ポートが流体と接触すると、ロボット外科用システムのプロセッサが吸引機構を自動的に起動させることができる。例えば、ツール13200上の流体検出センサ13230は、ツール13200の近くの、及び/又はツール13200に接触している流体13220を検出することができる。流体検出センサ13230は、例えば連続性センサであってもよい。流体検出センサ13230は、プロセッサが流体検出センサ13230から入力及び/又はフィードバックを受信するように構成されるように、プロセッサと信号通信を行うことができる。特定の例では、吸引ポートが流体13220の近くに移動すると、吸引機構が自動的に起動されてもよい。例えば、吸引ポートが流体13220の所定の空間範囲内に移動すると、吸引機構がプロセッサによって起動されてもよい。流体13220は、例えば、組織の伝導性を高めるため及び/又は組織を灌注するために手術部位に供給され得る生理食塩水であってもよい。
【0265】
様々な例において、ツールは、排煙ツールであってもよく、及び/又は例えば、排煙システムを含むことができる。双極高周波外科用ツール13200のエンドエフェクタ13210の詳細図を
図31に示す。エンドエフェクタ13210は、クランプされた構成で示されている。更に、RF溶接部からの煙及び蒸気13220が、エンドエフェクタ13210の周囲に蓄積する。様々な例において、ツール13200の可視性及び効率を改善するために、手術部位の煙及び蒸気13220は、エンドエフェクタから近位方向に延びる排煙チャネル13240に沿って排出されてもよい。排煙チャネル13240は、外科用ツール13200のシャフト13205を通って、外科用ツール13200及びロボットのインターフェースまで延びることができる。排煙チャネル13240は、外科用ツール13200のシャフト13205内の排煙チャネル13240に沿って煙及び/又は蒸気13220を引き込むためのポンプに連結されてもよい。様々な例において、外科用ツール13200は、送気、冷却、及び/又は灌注機能も含むことができる。
【0266】
一例では、吸引圧力の強度は、1つ又は2つ以上の外科用装置からの測定されたパラメータに基づいて自動的に調整することができる。このような場合、吸引圧力は、感知されたパラメータに応じて変化し得る。吸引管が、手術部位から抽出される流体の量を検出するためのセンサを含むことができる。抽出される流体の量が増えると、吸引機構への電力を増加させて、吸引圧力を上昇させる場合がある。同様に、抽出される流体の量が減少すると、吸引機構への電力を減少させて、吸引圧力を低下させる場合がある。
【0267】
様々な例において、吸引ツール用の感知システムは、圧力センサを含むことができる。圧力センサが、閉塞が流体の流れを妨げている、又は部分的に妨げていることを検出してもよい。圧力センサはまた、吸引ポートが移動して組織と当接接触していることを検出してもよい。そのような場合、プロセッサは、吸引力を低減及び/又は一時停止して組織を解放し、及び/又は障害物を取り除くことができる。様々な場合において、プロセッサは、検出された圧力を最大閾値圧力と比較することができる。最大閾値圧力を超えると、吸引ツールによる意図しない組織外傷が生じる場合がある。したがって、このような外傷を回避するために、プロセッサは、吸引力を低減及び/又は一時停止して、その付近の組織の完全性を保護することができる。
【0268】
ユーザは、本明細書に記載する自動起動モードで実施される自動調整を手動でオーバーライドすることができる。手動オーバーライドは、外科用ツールに対する1回限りの調整であってもよい。他の場合には、手動オーバーライドは、特定の外科的動作、特定の持続時間、及び/又は処置全体のグローバルオーバーライドのために自動起動モードをオフにする設定であってもよい。
【0269】
一態様では、ロボット外科用システムは、本明細書で説明するように、プロセッサと、プロセッサに通信可能に結合されたメモリとを含む。本明細書で説明するように、プロセッサは、センサシステムに通信可能に結合されており、メモリは、センサシステムからの入力に基づいてロボットツールの使用を決定し、使用が決定されると、ロボットツールのエネルギー送達表面に自動的に通電するための、プロセッサによって実行可能な命令を記憶している。
【0270】
様々な態様では、本開示は、本明細書で説明するように、エネルギー送達表面に自動的に通電するための制御回路を提供する。様々な態様において、本開示は、実行されると、本明細書で説明するように、機械に、ロボットツールのエネルギー送達表面を自動的に通電させるためのコンピュータ可読命令を記憶している非一時的コンピュータ可読媒体を提供する。
【0271】
一態様では、ロボット外科用システムは、本明細書で説明するように、プロセッサと、プロセッサに通信可能に結合されたメモリとを含む。本明細書で説明するように、プロセッサは流体検出センサに通信可能に結合されており、メモリは、流体検出センサからの入力を受信し、流体が検出されると吸引モードを自動的に起動するための、プロセッサによって実行可能な命令を記憶している。
【0272】
様々な態様では、本開示は、本明細書で説明するように、吸引モードを自動的に起動するための制御回路を提供する。様々な態様では、本開示は、実行されると、本明細書に記載されるように、機械に、吸引モードを自動的に起動させるためのコンピュータ可読命令を記憶している非一時的コンピュータ可読媒体を提供する。
【0273】
ロボット外科用システム及び様々なハンドヘルド式器具を含む複数の外科用装置を、臨床医が特定の外科処置中に使用することができる。臨床医は、多くの場合、ロボット外科用システムの1つ又は2つ以上のロボットツールを操作する際に、遠隔制御コンソールとも呼ばれる外科医のコマンドコンソール又はモジュールのところにいる。様々な例において、遠隔制御コンソールは、滅菌野の外に配置され、したがって、滅菌野から離れていてもよく、場合によっては、患者から、更には手術室から離れていてもよい。臨床医がハンドヘルド式器具を使用することを望む場合、臨床医は遠隔制御コンソールから離れることを要求される場合がある。この時点で、臨床医はロボットツールを制御することができない場合がある。例えば、臨床医は、ロボットツールの位置を調節することや、ロボットツールの機能を利用することができない場合がある。また、臨床医は、遠隔制御コンソールから離れると、ロボット外科用システム上の1つ又は2つ以上のディスプレイが見えなくなる場合がある。ハンドヘルド式器具の制御点とロボット外科システムとが離れていると、臨床医がロボットツールと外科用器具の両方の外科用装置を一緒に利用できる有効性が損なわれる可能性がある。
【0274】
様々な例において、インタラクティブ二次ディスプレイは、ロボット外科用システムと信号通信を行うように構成される。インタラクティブ二次ディスプレイは、様々な例において制御モジュールを含む。更に、インタラクティブ二次ディスプレイは、ワイヤレスで、手術室中をあちらこちらに移動できるように構成されている。様々な例において、インタラクティブ二次ディスプレイは滅菌野内に配置される。一例では、インタラクティブ二次ディスプレイは、臨床医が、遠隔制御コンソールのところに物理的に存在する必要なくロボット外科用システムの1つ又は2つ以上のロボットツールを操作及び制御することを可能にする。一例では、臨床医がロボット外科用システムを遠隔制御コンソールから離れて操作できることにより、複数の装置を同期させて使用することが可能となる。安全対策として、特定の例では、遠隔制御コンソールは、インタラクティブ二次ディスプレイによるロボットツールの制御を禁止するように構成されたオーバーライド機能を含む。
【0275】
図32は、外科用器具13140及びロボット外科用システム13110を利用する外科処置中に使用するための外科用システム13100を示す。外科用器具13140は、電動ハンドヘルド式器具である。外科用器具13140は、例えば、高周波(RF)器具、超音波器具、外科用ステープラ、及び/又はこれらの組み合わせであってもよい。外科用器具13140は、ディスプレイ13142及びプロセッサ13144を含む。特定の例では、ハンドヘルド式外科用器具13140は、複数のセンサ及び無線通信モジュールを有するスマート又はインテリジェントな外科用器具であってもよい。
【0276】
ロボット外科用システム13110は、特定の外科的機能を実行するように構成された少なくとも1つのロボットツール13117を含むロボット13112を含む。ロボット外科用システム13110は、本明細書で論じられる外科用システム13000と多くの点で類似している。ロボットツール13117は、ロボット外科用システム13110の制御エンベロープによって定められた空間内で移動可能である。様々な例において、ロボットツール13117は、遠隔制御コンソール13116で様々な臨床医入力によって制御される。換言すれば、臨床医が遠隔制御コンソール13116で入力を行うとき、臨床医は患者の身体から離れ、滅菌野13138の外にいる。遠隔制御コンソール13116への臨床医入力は、ロボットディスプレイ13113及びプロセッサ13115を含むロボット制御ユニット13114に伝送される。プロセッサ13115は、ロボットツール13117に所望の機能を実行するように指示する。
【0277】
様々な例において、外科用システム13100は、例えば、ハブ106、ハブ206、ロボットハブ122、又はロボットハブ222と多くの点で類似している外科用ハブ13120を含む。外科用ハブ13120は、ロボット外科用システム13110及び外科用器具13140の協働的かつ/又は協調的な使用を強化するように構成されている。外科用ハブ13120は、ロボット外科用システム13110の制御ユニット13114及び外科用器具13140のプロセッサ13144と信号通信を行う。様々な例において、信号は無線接続を介して送信されるが、通信を容易にするために任意の好適な接続を使用することができる。ロボット外科用システム13110の制御ユニット13114は、ロボットツール13117に関する情報を外科用ハブ13120に送信するように構成されている。このような情報には、例えば、手術部位内のロボットツール13117の位置、ロボットツール13117の動作状態、ロボットツールによって検出された力、及び/又はロボット外科用システム13110に取り付けられたロボットツール13117の種類が含まれるが、あらゆる関連する情報及び/又は動作パラメータが伝送されてよい。外科用ハブの例については、本明細書中、及びその開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する2017年12月28日出願の米国仮特許出願第62/611,341号で更に説明されている。
【0278】
他の例では、ロボット外科用システム13110は、外科用ハブ13120を包含することができ、かつ/又は制御ユニット13114は、外科用ハブ13120に組み込まれてもよい。例えば、ロボット外科用システム13110は、コンピュータシステム及びモジュール式通信ハブを含むモジュール式制御タワーを含むロボットハブを含むことができる。1つ又は2つ以上のモジュールをロボットハブのモジュール式制御タワー内に設置してもよい。ロボットハブの例については、本明細書中、及びその開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する2017年12月28日出願の米国仮特許出願第62/611,341号で更に説明されている。
【0279】
外科用器具13140のプロセッサ13144は、外科用器具13140に関する情報を外科用ハブ13120に送信するように構成されている。そのような情報には、例えば、手術部位内の外科用器具13140の位置、外科用器具13140の動作状態、外科用器具13140によって検出された力及び/又は外科用器具13140に関する識別情報が含まれるが、あらゆる関連する情報及び/又は動作パラメータが外科用ハブに伝送されてよい。
【0280】
様々な例において、ハブディスプレイ13125は、外科用ハブ13120と信号通信し、例えばモジュール式制御タワーに組み込まれてもよい。ハブディスプレイ13125は、ロボット外科用システム13110及び外科用器具13140から受信した情報を表示するように構成されている。ハブディスプレイ13125は、例えば、可視化システム108(
図1)に多くの点で類似していてもよい。一態様では、ハブディスプレイ13125は、例えば、ビデオモニタ及び/又はヘッドアップディスプレイなどのディスプレイのアレイを手術室の周囲に含むことができる。
【0281】
様々な例において、外科用ハブ13120は、無線通信信号を介して外科用器具13140が臨床医によって起動されたことを認識するように構成されている。外科用器具13140は、起動時に識別情報を外科用ハブ13120に送信するように構成されている。そのような識別情報は、例えば、外科用器具のモデル番号、外科用器具の動作状態、及び/又は外科用器具の位置を含んでもよいが、他の好適な装置パラメータが伝送されてもよい。様々な例において、外科用ハブ13120は、伝送された情報を利用して、外科用器具13140と外科用ハブ13120の機能との互換性を評価するように構成されている。本明細書では、互換性のある外科用器具を備えた外科用ハブの機能の例について更に説明する。
【0282】
様々な例において、ロボット外科用システム13110の制御ユニット13114は、ビデオフィードを外科用ハブ13120に通信するように構成され、外科用ハブ13120は、情報又はその一部分を外科用器具13140に伝送するように構成され、外科用器具13140は、ロボットディスプレイ13113の一部分又はロボット外科用システム13110からの他の情報を外科用器具13140のディスプレイ13142上に再現してもよい。他の例では、ロボット外科用システム13110(例えば、制御ユニット13114又は外科用ツール13117)は、例えばロボット外科用システム13110がロボットハブを含む場合及び/又は外科用ツール13117が無線通信モジュールを含む場合などに、外科用器具13140と直接通信を行ってもよい。外科用器具13140上におけるロボットディスプレイ13113の一部分の再現により、臨床医は、例えば、位置合わせデータを提供してロボットツール13117に対する外科用器具13140の統合的な位置決めを達成することにより、両方の外科用装置を協働的に使用することができる。様々な例において、臨床医は、外科用器具13140のディスプレイ13142上に表示される任意の不要な情報を取り除くことができる。
【0283】
図32を更に参照すると、様々な例において、外科用システム13100は、滅菌野13138内にインタラクティブ二次ディスプレイ13130を更に含む。インタラクティブ二次ディスプレイ13130は、滅菌野13138内のローカル制御モジュールでもある。遠隔制御コンソール13116又は主制御装置を、滅菌野13138の外に配置することができる。例えば、インタラクティブ二次ディスプレイ13130は、外科処置の間、患者又は患者テーブル上に配置することができるiPad(登録商標)タブレットなどのハンドヘルド式モバイル電子デバイスであってもよい。例えば、インタラクティブ二次ディスプレイ13130は、外科処置の間、患者の腹部又は脚部上に配置されてもよい。他の例では、インタラクティブ二次ディスプレイ13130は、滅菌野13138内の外科用器具13140に組み込むことができる。様々な例において、インタラクティブ二次ディスプレイ13130は、ロボット外科用システム13110及び/又は外科用器具13140と信号通信を行うように構成されている。そのような例では、インタラクティブ二次ディスプレイ13130は、ロボットツール13117(例えば、ロボットツール1、ロボットツール2...ロボットツールn)及び外科用器具13140(例えば、外科用器具1、外科用器具2...外科用器具n)から受信した情報を表示するように構成されている。インタラクティブ二次ディスプレイ13130は、ツール情報13133及び器具情報13135を示す。様々な例において、ユーザはインタラクティブ二次ディスプレイ13130と対話して、表示される情報のサイズ及び/又は場所をカスタマイズすることが可能である。
【0284】
更に
図32を参照すると、様々な例において、外科用ハブ13120は、外科用ロボットシステム13100のロボット状態情報を外科用器具13140に送信するように構成され、外科用器具13140は、外科用器具13140のディスプレイ13142にロボット状態情報を表示するように構成されている。
【0285】
様々な例において、外科用器具13140のディスプレイ13142は、外科用ハブ13120を通じてロボット外科用システム13110の制御ユニット13114にコマンドを伝送するように構成されている。臨床医は、本明細書に記載される外科用器具13140のディスプレイ13142上に表示されたロボット状態情報を閲覧及び解釈した後に、ロボット外科用システム13110の1つ又は2つ以上の機能を利用することを望む場合がある。臨床医は、外科用器具13140上のボタン及び/又はタッチ感知ディスプレイ13142を使用して、ロボット外科用システム13110の所望の利用及び/又は調節を入力することが可能である。臨床医入力は、外科用器具13140から外科用ハブ13120に伝送される。次いで、外科用ハブ13120は、所望の機能を実現するために、臨床医入力をロボット外科用システム13110の制御ユニット13114に伝送するように構成されている。他の例では、ハンドヘルド式外科用器具13140は、例えばロボット外科用システム13110がロボットハブを含む場合などに、ロボット外科用システム13110の制御ユニット13114と直接通信を行ってもよい。
【0286】
様々な例において、外科用ハブ13120は、ロボット外科用システム13110及び外科用器具13140の両方と信号通信して、外科用システム13100が複数の外科用装置を同期、協調及び/又は協働する方法で調整することを可能にする。外科用ハブ13120と様々な外科用装置との間で伝送される情報は、例えば、外科用器具識別情報及び/又は様々な外科用装置の動作状態を含む。様々な例において、外科用ハブ13120は、外科用器具13140が起動されたことを検出するように構成されている。一例では、外科用器具13140は超音波ダイセクタである。外科用ハブ13120は、超音波ダイセクタの起動時に、受信した起動情報をロボット外科用システム13110の制御ユニット13114に伝送するように構成されている。
【0287】
様々な例において、外科用ハブ13120は、ロボット外科用システム13110の制御ユニット13114に情報を自動的に伝送する。読者は、情報があらゆる好適な時間、速度、間隔、及び/又はスケジュールで伝送されてよいことを理解するであろう。ロボット外科用システム13110の制御ユニット13114は、外科用ハブ13120から受信した情報に基づいて、少なくとも1つのロボットツール13117を起動するか否か、及び/又は、例えば、排煙モードなどの特定の動作モードを起動するか否かを決定するように構成されている。例えば、超音波ダイセクタなどの手術部位に煙及び/又は汚染物質を発生させるか、又は発生させる可能性があることが知られている外科用ツールの起動時に、ロボット外科用システム13110は、排煙モードを自動的に起動するか、又は外科医に排煙モードを起動するように指示してもよい。様々な例において、外科用ハブ13120は、ロボット外科用システム13110の制御ユニット13114に様々な感知された組織状態などの更なる情報を連続的に伝送して、ロボットツール13117及び/又は入力された動作モードの更なる動きを調整、継続、及び/又は中断するように構成されている。
【0288】
様々な例において、外科用ハブ13120は、例えば、外科用器具13140から伝送される更なる情報に基づいて、煙発生強度などのパラメータを計算してもよい。制御ユニット13114は、計算されたパラメータをロボット外科用システム13110の制御ユニット13114に伝送すると、少なくとも1つのロボットツールを動かし、及び/又は、計算されたパラメータを考慮して動作モードを調整するように構成されている。例えば、制御ユニット13114は、ロボット外科用システム13110が排煙モードに入ると、算出された煙発生強度に比例するように排煙モータ速度を調整するように構成されている。
【0289】
特定の例では、ロボット13112に取り付けられた超音波ツールが、制御ユニット13114によって起動されて排煙モードで動作可能な排煙機構を含んでもよい。他の例では、別個の排煙装置を利用してもよい。例えば、排煙ツールが別のロボットアームに取り付けられ、外科処置中に利用されてもよい。更に他の例では、ロボット外科用システム13110とは別個の排煙器具を利用してもよい。外科用ハブ13120が、例えば、ロボット制御された超音波ツールと排煙器具との間の通信を調整してもよい。
【0290】
図33~
図36に、様々な外科用装置及びその構成要素が、結腸切除処置に関連して説明されている。読者は、これらの図に関連して説明される外科用装置、システム及び処置が、
図32のシステムの例示的な適用であることを理解するであろう。ここで
図33を参照すると、ハンドヘルド式外科用器具13300のハンドル部分13202が図示されている。特定の態様では、ハンドヘルド式外科用器具13300は、
図32の外科用システム13100の外科用器具13140に対応する。一例では、ハンドヘルド式外科用器具13300は、電動円形ステープラであり、そのハンドル部分13302上にディスプレイ13310を含む。
【0291】
ハンドヘルド式外科用器具13300を、本明細書で説明するようにロボット外科用システム(例えば、
図32のロボット外科用システム13110)に外科用ハブ13320(
図34)を介してペアリングする前に、ハンドヘルド式外科用器具13300のハンドル13302上のディスプレイ13310は、例えば、クランプ負荷13212、アンビル状態13214、及び/又は器具若しくはカートリッジ状態13216などの、器具13300の状態に関する情報を含むことができる。様々な例において、ハンドヘルド式外科用器具13300のディスプレイ13310は、発射システムの状態を伝える、ユーザへの警告13318を含む。様々な例において、ディスプレイ13310は、最も重要な情報をユーザに伝える方法で情報を表示するように構成されている。例えば、様々な例において、ディスプレイ13310は、警告情報をより大きなサイズで、点滅表示で、及び/又は異なる色で表示するように構成されている。ハンドヘルド式外科用器具13300が外科用ハブとペアリングされていない場合、ディスプレイ13310は、ハンドヘルド式外科用器具13300自体からのみ収集された情報を表示してもよい。
【0292】
ここで
図34を参照すると、例えば、ハンドヘルド式外科用器具13300を
図32に関して本明細書に記載するように外科用ハブ13320とペアリングした後、ハンドヘルド式外科用器具13300によって検出及び表示された情報は、外科用ハブ13320に伝送され、ハブディスプレイ(例えば、
図32のハブディスプレイ13125)上に表示されてもよい。加えてに又は代わりに、情報がロボット外科用システムのディスプレイ上に表示されてもよい。加えて又は代わりに、情報がハンドヘルド式外科用器具13300のハンドル部分13302上のディスプレイ13310上に表示されてもよい。様々な場合において、臨床医は、1つ又は複数の場所に表示される情報を決定することができる。上述のように、様々な例において、臨床医は、ハンドヘルド式外科用器具13300のディスプレイ13310、ロボット外科用システムのディスプレイ、及び/又はハブディスプレイ上のディスプレイに表示される任意の不要な情報を取り除くことができる。
【0293】
引き続き
図34を参照すると、ハンドヘルド式外科用器具13300をロボット外科用システムとペアリングした後、ハンドヘルド式外科用器具13300のハンドル部分13302上のディスプレイ13310は、ロボット外科用システムとのペアリング前のハンドヘルド式外科用器具13300上のディスプレイ13310とは異なっていてもよい。例えば、外科用ハブ13320及び/又はロボット外科用システムからの処置情報が、電動円形ステープラ上に表示されてもよい。例えば、
図34に示すように、外科用ハブ13320からの位置合わせ情報13312、及び特定の組織に対してロボットツールによって加えられる1つ又は2つ以上の後退張力13316、13317を含むロボット状態情報が、臨床医の便宜のためにハンドヘルド式外科用器具13300のディスプレイ13310上に表示される。様々な例において、ハンドヘルド式外科用器具13300のディスプレイ13310は、外科処置の間外科用ハブ13320によって監視されるパラメータを伝えるユーザへの警告13318を含む。様々な例において、ディスプレイ13310は、最も重要な情報をユーザに伝える方法で情報を表示するように構成されている。例えば、様々な例において、ディスプレイ13310は、警告情報をより大きなサイズで、点滅表示で、及び/又は異なる色で表示するように構成されている。
【0294】
図34を更に参照すると、ハンドヘルド式外科用器具13300のディスプレイ13310は、1つ又は2つ以上のロボットツールを使用する外科処置中に、1つ又は2つ以上の装置によって加えられる1つ又は2つ以上の後退張力13316、13317に関する情報を表示するように構成されている。例えば、
図35の結腸切除処置に、電動円形ステープラであるハンドヘルド式外科用器具13300が使用されている。この処置では、1つの装置(例えばロボットツール)が結腸組織を把持するように構成され、別の装置(例えば、ハンドヘルド式円形ステープラ)が直腸組織を把持するように構成されている。装置が互いから離れるように動くのに伴い、結腸組織を後退させる力F
RC及び直腸組織を後退させる力F
RRが監視される。図示された実施例では、警告通知13318は、結腸組織を後退させる力が所定の閾値を超えるとユーザに対して発せられる。後退力F
RC、F
RRの両方に対する所定の閾値は、ディスプレイ13310上の水平な点線によって示される。周囲の組織への損傷及び/又は外傷を最小限に抑えるために、閾値の一方若しくは双方を超える場合、及び/又はこれに達した場合には、このことがユーザに通知される。
【0295】
図36に、後退力F
RCのグラフ表示13330、F
RRのグラフ表示13340が示されている。グラフ表示13330、13340に示される状況では、所定の閾値を超えるとユーザに対して通知がなされるが、グラフ表示13330の影付き領域13332によって、結腸組織の後退力F
RCが所定の閾値0.5lbsを超えていることが示されている。
【0296】
特定の例では、視認性が制限されるために、結腸処置中に円形ステープラのエンドエフェクタを標的組織と位置合わせすることが困難な場合がある。例えば、再び
図35を参照すると、結腸切除中に、円形ステープラである外科用器具13300が離断された直腸13356に隣接して配置される場合がある。更に、外科用器具13300のアンビル13301を、離断された結腸13355と係合させる場合がある。ロボットツール133175は、アンビル13301に係合し、後退力F
RCを加えるように構成されている。例えば、外科用器具13300の標的組織との相対位置を、離断された結腸13355を通るステープルラインを用いて確認することは困難な場合がある。特定の例では、外科用ハブ13320及びロボット外科用システムからの情報が、位置合わせを容易にすることができる。例えば、
図34に示すように、標的組織13318の中心に対する外科用器具13300の中心が、外科用器具13300のディスプレイスクリーン13310に示されてもよい。特定の例では、
図35に示すように、外科用器具13300上のセンサ及び無線送信機は、例えば、位置決め情報を外科用ハブ13320に伝送するように構成されてもよい。
【0297】
大腸処置、その視認性の制限、及び外科用ハブの位置合わせツールについては、本明細書中、及びその開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する2017年12月28日出願の米国仮特許出願第62/611,341号で更に説明されている。
【0298】
上述のように、ハンドヘルド式器具13300上のディスプレイ13310を、特定のシナリオで臨床医に警告するように構成してもよい。例えば、
図34のディスプレイ13310は、1つ又は2つ以上の力が所定の力閾値を超えていることを知らせる警告13318を含む。再び
図35及び
図36を参照すると、結腸切除の間、ロボットアームはアンビルに第1の力F
RCを加えてもよく、ハンドヘルド式器具13300は直腸13356に第2の力F
RRを加えてもよい。円形ステープラによって直腸13356に加えられる張力は、第1の限界(例えば、
図36の0.5lb)で制限されてもよく、ロボットアームによって結腸13355に加えられる張力は、第2の限界(例えば、
図36の0.5lb)で制限されてもよい。直腸13356又は結腸13355に加えられる張力が閾値を超えると、臨床医に介入が提案されてもよい。
【0299】
図35及び
図36における結腸の張力F
RCは、ロボットアームに対する抵抗によって確認することができ、したがって、制御ユニット(例えばロボット外科用システム13110の制御ユニット13114)によって判定することができる。このような情報は、ハンドヘルド式外科用器具13300に伝送され、滅菌野内のそのディスプレイ13310上に、例えば、適切な臨床医が情報をリアルタイムで又はほぼリアルタイムで、あるいは任意の好適な間隔、速度、及び/又はスケジュールで容易に利用可能であるように表示されてもよい。
【0300】
様々な例において、
図37及び
図38の外科用システム13360などの外科用システムは、滅菌野内にインタラクティブ二次ディスプレイ13362、13364を含む。インタラクティブ二次ディスプレイ13362、13364は、特定の例ではモバイル制御モジュールでもあり、例えば、
図32のインタラクティブ二次ディスプレイ13130と同様であってもよい。外科医のコマンドコンソール又は遠隔制御モジュール13370は、主制御モジュールであり、滅菌野の外に配置することができる。一例では、インタラクティブ二次ディスプレイ13362は、ユーザの手首及び/又は前腕に装着することができるモバイルデバイス、腕時計、及び/又は小型タブレットであってもよく、インタラクティブ二次ディスプレイ13364は、外科処置の間、患者13361又は患者テーブル上に配置することができるiPad(登録商標)タブレットなどのハンドヘルド式モバイル電子デバイスであってもよい。例えば、インタラクティブ二次ディスプレイ13362、13364は、外科処置の間、患者13361の腹部又は脚部上に配置されてもよい。他の例では、インタラクティブ二次ディスプレイ13362、13364は、滅菌野内のハンドヘルド式外科用器具13366に組み込むことができる。
【0301】
一例では、外科用システム13360は外科処置中に示される。例えば、外科処置は、
図33~
図36に関連して本明細書に記載される結腸切除処置であってもよい。そのような例では、外科用システム13360は、ロボット13372と、手術部位内へと延びるロボットツール13374とを含む。ロボットツールは、例えば、超音波ブレード及びクランプアームを備える超音波装置であってもよい。外科用システム13360はまた、ロボットハブ13380を包含する遠隔コマンドコンソール13370を含む。ロボット13372の制御ユニットはロボットハブ13380内に収容される。外科医13371が、最初は遠隔コマンドコンソール13370のところにいる。助手13367が、手術部位内へと延びる円形ステープラであるハンドヘルド式外科用器具13366を保持する。助手13367はまた、ロボットハブ13380と通信を行う二次ディスプレイ13364も保持する。二次ディスプレイ13364は、例えば、助手の前腕に固定可能な携帯デジタル電子機器である。ハンドヘルド式外科用器具13366は、無線通信モジュールを含む。第2の外科用ハブ13382もまた、手術室内に配置される。外科用ハブ13382は、発生器モジュールを含み、本明細書中、及びその開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する2017年12月28日出願の米国仮特許出願第62/611,341号で更に説明されている更なるモジュールを含んでもよい。
【0302】
主に
図37を参照すると、ハブ13380、13382は、2つのハブ13380、13382間に無線通信リンクが確立されるように無線通信モジュールを含む。加えて、ロボットハブ13380は、滅菌野内のインタラクティブ二次ディスプレイ13362、13364と信号通信を行う。ハブ13382は、ハンドヘルド式外科用システム13366と信号通信を行う。外科医13371が(参照記号13371’で示されるように)患者13361に向かって滅菌野内で移動する場合、外科医13371は、無線インタラクティブディスプレイ13362、13364のうちの1つを使用して、遠隔コマンドコンソール13370から離れてロボット13372を操作することができる。滅菌野内の複数の二次ディスプレイ13362、13364により、外科医13371は、外科処置及びその中で利用されるロボットツールの制御のための重要な情報を見失うことなく、遠隔コマンドコンソール13370から離れることができる。
【0303】
インタラクティブ二次ディスプレイ13362、13364により、臨床医は、ロボット13372の制御を維持しながら、遠隔コマンドコンソール13370から離れて滅菌野に入ることができる。例えば、インタラクティブ二次ディスプレイ13362、13364により、臨床医は、電動ハンドヘルド式外科用器具13366及びロボット外科用システムの同時的な協働的かつ/又は協調的な制御を維持することができる。様々な例において、情報は、ロボット外科用システムと、1つ又は2つ以上の電動ハンドヘルド式外科用器具13366と、外科用ハブ13380、13382と、インタラクティブ二次ディスプレイ13362、13364との間で伝送される。このような情報は、例えば、ロボット外科用システム及び/若しくは電動ハンドヘルド式外科用器具のディスプレイ上の画像、ロボット外科用システム及び/若しくは電動ハンドヘルド式外科用器具のパラメータ、並びに/又はロボット外科用システム及び/若しくは電動ハンドヘルド式外科用器具の制御コマンドを含んでもよい。
【0304】
様々な例において、ロボット外科用システムの制御ユニット(例えばロボット外科用システム13110の制御ユニット13113)は、少なくとも1つの表示要素を外科医のコマンドコンソール(例えば、コンソール13116)からインタラクティブ二次ディスプレイ(例えば、ディスプレイ13130)に伝送するように構成されている。換言すれば、外科医のコンソールにおける表示の一部分は、インタラクティブ二次ディスプレイの表示上で再現され、ロボットディスプレイをインタラクティブ二次ディスプレイと統合させる。インタラクティブ二次ディスプレイの表示上でロボットディスプレイを再現することにより、臨床医は、そこに表示される視覚画像を見失うことなく、遠隔コマンドコンソールから離れることができる。例えば、インタラクティブ二次ディスプレイ13362、13364のうちの少なくとも1つは、ロボットディスプレイ及び/又は外科医のコマンドコンソール13370からの情報などのロボットからの情報を表示することができる。
【0305】
様々な例において、インタラクティブ二次ディスプレイ13362、13364は、ロボット外科用システムの少なくとも1つの動作パラメータを制御及び/又は調整するように構成されている。このような制御が、自動的に及び/又は臨床医入力に応答して発生してもよい。臨床医は、インタラクティブ二次ディスプレイ13362、13364上のタッチ感知スクリーン及び/又はボタンとの相互作用によって、1つ又は2つ以上のロボットツールの動き及び/又は機能を制御するコマンドを入力することができる。例えば、ハンドヘルド式外科用器具13366を利用する場合、臨床医はロボットツール13374を異なる位置に動かすことを望む場合がある。ロボットツール13374を制御するために、臨床医はインタラクティブ二次ディスプレイ13362、13364に入力を行い、インタラクティブ二次ディスプレイ13362、13364はそれぞれ、ロボットハブ13380内のロボット外科用システムの制御ユニットに臨床医入力を伝送する。
【0306】
様々な例において、ロボット外科用システムの遠隔コマンドコンソール13370のところにいる臨床医は、1つ又は2つ以上のインタラクティブ二次ディスプレイ13362、13364上の臨床医入力によって開始された任意のロボットコマンドを手動でオーバーライドすることができる。例えば、臨床医入力が1つ又は2つ以上のインタラクティブ二次ディスプレイ13362、13364から受信されると、遠隔コマンドコンソール13370のところにいる臨床医がコマンドを発して所望の機能を実行させることを可能としてもよく、又は、臨床医が遠隔コマンドコンソール13370と対話してコマンドをオーバーライドし、コマンドが発行されることを禁止してもよい。
【0307】
特定の例において、滅菌野内の臨床医は、ロボット13372及び/又はこれに取り付けられたロボットツール13374を制御するための許可を要求することが必要であってもよい。遠隔コマンドコンソール13370の外科医13371は、臨床医の要求を承諾又は拒否することができる。例えば、外科医は、ハンドヘルド式外科用器具を操作している、及び/又はインタラクティブ二次ディスプレイ13362、13364と対話している別の臨床医によって許可が要求されていることを示すポップアップ又は他の通知を受信してもよい。
【0308】
様々な例において、ロボット外科用システム13000(
図23)、13400(
図24)、13150(
図30)、13100(
図32)、及び/又は外科用ハブ13380、13382などのロボット外科用システムのプロセッサには、例えば、ロボット外科用システムの事前に承認された機能がプログラムされている。例えば、インタラクティブ二次ディスプレイ13362、13364からの臨床医入力が事前に承認された機能に対応している場合、ロボット外科用システムは、インタラクティブ二次ディスプレイ13362、13364がロボット外科用システムを制御することを可能にし、かつ/又はインタラクティブ二次ディスプレイ13362、13364がロボット外科用システムを制御することを禁止しない。インタラクティブ二次ディスプレイ13362、13364からの臨床医入力が予め承認された機能に対応していない場合、インタラクティブ二次ディスプレイ13362、13364は、ロボット外科用システムに所望の機能を実行するように指示することができない。一例では、ロボットハブ13370及び/又は外科用ハブ13382内の状況認識モジュールは、インタラクティブ二次ディスプレイがいつロボット外科用システムに対する制御動作を発することができるのかを規定及び/又はこれに影響を与えるように構成されている。
【0309】
様々な例において、インタラクティブ二次ディスプレイ13362、13364は、ロボット外科用システムの一部分と接触すると、ロボット外科用システムのこの部分を制御する。例えば、インタラクティブ二次ディスプレイ13362、13364がロボットツール13374と接触すると、接触したロボットツール13374の制御がインタラクティブ二次ディスプレイ13362、13364に許可される。臨床医は次に、インタラクティブ二次ディスプレイ13362、13364上のタッチ感知スクリーン及び/又はボタンを利用して、接触したロボットツール13374の動き及び/又は機能を制御するコマンドを入力することができる。この制御スキームにより、臨床医はロボットアームの位置を変えたり、ロボットツールをリロードしたり、他の方法でロボット外科用システムを再構成したりすることができる。上記と同様の方法で、ロボット外科用システムの遠隔コマンドコンソール13370のところにいる臨床医13371は、インタラクティブ二次ディスプレイ13362、13364によって開始された任意のロボットコマンドを手動でオーバーライドすることができる。
【0310】
一態様では、ロボット外科用システムは、本明細書で説明するように、プロセッサと、プロセッサに通信可能に結合されたメモリとを含む。本明細書で説明するように、メモリは、コンソールから第1のユーザ入力を受信し、ロボット外科用ツールの機能を制御するためのモバイル無線制御モジュールから第2のユーザ入力を受信するための、プロセッサによって実行可能な命令を記憶している。
【0311】
様々な態様では、本開示は、本明細書で説明するように、コンソールから第1のユーザ入力を受信し、ロボット外科用ツールの機能を制御するためのモバイル無線制御モジュールから第2のユーザ入力を受信するための制御回路を提供する。様々な態様では、本開示は、本明細書で説明するように、実行されると、機械に、コンソールから第1のユーザ入力を受信させ、ロボット外科用ツールの機能を制御するためのモバイル無線制御モジュールから第2のユーザ入力を受信させるためのコンピュータ可読命令を記憶している非一時的コンピュータ可読媒体を提供する。
【0312】
ロボット外科用システムは、外科処置中に臨床医を支援するように構成された複数のロボットアームを含んでもよい。各ロボットアームは、他のロボットアームとは独立して動作可能であってもよい。ロボットアームのそれぞれが独立して動作しているため、ロボットアーム間にコミュニケーションの欠如が存在する可能性があり、組織の外傷のリスクを増大させる可能性がある。例えば、1つのロボットアームが、第2のロボットアームによって加えられるように構成された力よりも強く、かつこれとは異なる方向の力を加えるように構成されているシナリオでは、組織外傷が生じ得る。例えば、第2のロボットアームが組織を適所にしっかりと保持するように構成されている一方で、第1のロボットアームが強力な後退力を組織に加えると、組織の外傷及び/又は引き裂きが起こり得る。
【0313】
様々な例において、1つ又は2つ以上のセンサがロボット外科用システムの各ロボットアームに取り付けられている。1つ又は2つ以上のセンサは、ロボットアームの動作中に周囲組織に加えられる力を感知するように構成されている。このような力は、例えば、保持力、後退力及び/又は牽引力を含み得る。各ロボットアームからのセンサは、検出された力の大きさ及び方向をロボット外科用システムの制御ユニットに伝送するように構成されている。制御ユニットは、手術部位における組織への外傷を引き起こすことを回避するために、伝送された力を分析し、最大負荷の限界値を設定するように構成されている。例えば、制御ユニットは、第2のロボットアームによって加えられる後退力又は牽引力が増加した場合、第1のロボットアームによって加えられる保持力を最小限に抑えることができる。
【0314】
図39は、制御ユニット13820及びロボット13810を含むロボット外科用システム13800を示す。ロボット外科用システム13800は、例えばロボット13002(
図23)を含むロボット外科用システム13000と多くの点で類似している。制御ユニット13820は、プロセッサ13822及びディスプレイ13824を含む。ロボット13810は、様々な外科的機能を実行するように構成された2つのロボットアーム13830、13840を含む。ロボットアーム13830、13840のそれぞれは、独立して動作可能であり、ロボット外科用システム13800の制御エンベロープを画定する空間内で自由に動くことができる。1つ又は2つ以上のロボットアーム13830、13840は、例えば、ステープラ、高周波(RF)ツール、超音波ブレード、把持具、及び/又は切断器具などのツールを受け入れるように構成されている。他の好適な外科用ツールを使用してもよい。様々な例において、ロボットアーム13830、13840はそれぞれ、異なる機能を実行するように構成された異なるツールを含む。他の例では、ロボットアーム13830、13840の全てが同じツールを含むが、あらゆる好適な構成を使用してよい。
【0315】
第1のロボットアーム13830は、第1の駆動器13834及び第1のモータ13836を含む。第1のモータ13836は、プロセッサ13822によって起動されると、第1のロボットアーム13830の対応する構成要素を作動させる第1の駆動器13834を駆動する。第2のロボットアーム13840は、第2の駆動器13844及び第2のモータ13846を含む。第2のモータ13846は、プロセッサ13822によって起動されると、第2のロボットアーム13840の対応する構成要素を作動させる第2の駆動器13844を駆動する。
【0316】
ロボットアーム13830、13840のそれぞれは、制御ユニット13820のプロセッサ13822と信号通信を行うセンサ13832、13842を含む。センサ13832、13842は、それぞれ駆動器13834、13844上、及び/又はそれぞれモータ13836、13846上に配置することができる。様々な例において、センサ13832、13842は、ロボット外科用システム13800の制御エンベロープ内のロボットアーム13830、13840それぞれの位置を検出するように構成されている。センサ13832、13842は、ロボット外科用システム13800のプロセッサ13822に検出された位置を伝送するように構成されている。様々な例において、ロボットアーム13830、13840の位置は、制御ユニット13820のディスプレイ13824上に表示される。以下でより詳細に記載するように、様々な例において、プロセッサ13822は、例えば、組織外傷及びロボット外科用システム13800への損傷を回避するために、各ロボットアーム13830、13840に固有の位置限界を実装するためのアルゴリズムを実行するように構成されている。そのような位置限界は、臨床医がロボット外科用システム13800の多数のロボットアーム13830、13840を同時に協働的に操作する能力を増大させることができる。
【0317】
様々な例において、センサ13832、13842は、各ロボットアーム13830、13840によって加えられる力を検出するように構成されている。センサ13832、13842は、トルクセンサであってもよい。上述のように、ロボット外科用システム13800の各ロボットアーム13830、13840は、独立して動作可能である。特定の外科処置の間、臨床医は、ロボットアーム13830、13840ごとに異なる外科的機能を実行することを望む場合がある。各センサ13832、13842は、各ロボットアーム13830、13840によって加えられる力を検出すると、検出された力をプロセッサ13822に伝送するように構成されている。次いで、プロセッサ13822は、伝送された情報を分析し、例えば組織外傷を引き起こすリスクを低減するために、各ロボットアーム13830、13840の最大及び/又は最小の力限界を設定するように構成されている。加えて、プロセッサ13822は、各ロボットアーム13830、13840によって加えられる力を継続的に監視し、加えられる力の方向及び大きさに基づいて、各ロボットアーム13830、13840を互いに対して比例的に制御するように構成されている。例えば、2つのロボットアーム13830、13840間の反対向きの力を測定し、最大力限界未満に維持してもよい。反対向きの力を最大力限界未満に維持するためには、力のうちの少なくとも1つを低減させてもよいが、その結果、ロボットアーム13830、13840が変位する場合がある。
【0318】
例として、
図40は、手術部位と、
図39にも概略的に示されているロボットアーム13830及び13840に加えてロボットアーム13850(第3のロボットアーム)を含む3つのロボットアームを含む外科用システム13800の一部分とを示している。第1のロボットアーム13830は、胃結合組織の一部分を保持するように構成されている。第1のロボットアーム13830は、胃結合組織の一部を保持するために、上向きの力F
H1を加える。第2のロボットアーム13840は、組織に牽引力及び/又は切断力F
D2を加える。同時に、第3のロボットアーム13850は、肝組織の一部を現在の外科的切断位置から後退させ、次の外科的切断位置を更に露出させる。前進している第2のロボットアーム13840の邪魔にならないよう肝組織の一部分を動かすために、第3のロボットアーム13850は、第2のロボットアーム13840から離れるように後退力F
R3を加える。様々な例示では、第2のロボットアーム13840が手術部位内に更に前進するのに伴い、ロボット外科用システムの制御ユニットは、第3のロボットアーム13850に対し、加える後退力F
R3を増加させて、次の外科的切断位置の露出を継続するように指示する。
図40は、特定の外科処置及び特定のロボットアームを描写しているが、任意の好適な外科的処置を実行することができ、ロボットアームのあらゆる好適な組み合わせが、本明細書に開示される制御アルゴリズムを利用することができる。
【0319】
図41は、上で詳述した特定の外科的処置から、
図40のロボットアーム13830、13840及び13850によって加えられる力、並びにロボットアーム13830、13840及び13850それぞれの相対位置のグラフ表示13852、13854を示す。
図41のグラフ表示13852は、ある期間にわたって各ロボットアーム13830、13840及び13850によって加えられる力を表し、一方、グラフ表示13854は、同じ期間にわたる各ロボットアーム13830、13840及び13850の相対位置を表す。上述のように、第1のロボットアーム13830は、胃結合組織の一部に保持力F
H1を加えるように構成されている。保持力F
H1は、グラフ13852、13854上に実線で表されている。第2のロボットアーム13840は、胃結合組織上に牽引力及び/又は切断力F
D2を加えるように構成されている。牽引力F
D2は、グラフ13852、13854上に破線で表されている。第3のロボットアーム13850は、肝組織の一部に後退力F
R3を加えるように構成されている。後退力F
R3は、グラフ13852、13854上に点線で表されている。
【0320】
様々な例において、ロボット外科用システムの制御ユニットは、グラフ表示13852に示されるように、最大力閾値などの少なくとも1つの力閾値を課す。したがって、第3のロボットアーム13850が最大後退力閾値よりも大きい後退力FR3を加えることが防止される。そのような最大力限界は、例えば、組織の外傷を回避するため、及び/又は様々なロボットアーム13830、13840及び13850への損傷を回避するために課される。
【0321】
加えて又は代わりに、ロボット外科用システム13800の制御ユニット13820は、グラフ表示13852に示されるように、最小力閾値などの少なくとも1つの力閾値を課すことができる。図示された例では、第1のロボットアーム13830が最小保持力閾値未満の保持力FH1を加えることが防止される。このような最小力限界は、例えば、適切な組織張力及び/又は手術部位の視認性を維持するために課される。
【0322】
様々な例において、ロボット外科用システム13800の制御ユニット13820は、負荷制御モード中に様々なロボットアーム間で検出される最大の力の差を課す。最大の力の差を設定するために、ロボット外科用システムの制御ユニット13820は、ロボットアームによる反対向きの力の大きさ及び方向の差を継続的に監視するように構成されている。上述のように、第1のロボットアーム13830は、保持力FH1を加えることによって、胃結合組織の一部分を保持するように構成されている。第2のロボットアーム13840は、第1のロボットアーム13830によって加えられる保持力FH1とは反対向きの牽引力FD2を加えるように構成されている。様々な例において、最大の力の差により、ロボットアーム13830、13840、13850の間に挟まれた物体の不注意による過負荷や損傷が防止される。このような物体には、例えば、周囲の組織並びに/又は、クラスプ、胃バンド及び/若しくは括約筋補強装置などの外科用構成要素が挙げられる。Fmax opposingは、この特定の例示において、制御ユニット13820によって設定された最大の力の差を表す。
【0323】
グラフ表示13852に見られるように、保持力FH1及び牽引力FD2は、いずれも外科処置の開始時に大きさが増加する。そのような大きさの増加は、組織の引っ張りを示している可能性がある。保持力FH1及び牽引力FD2は、反対向きの力の間の差がFmax opposingと等しくなる点まで反対方向に増加する。グラフ表示13852は、Fmax opposingに達した時点を斜線で強調している。Fmax opposingに達すると、プロセッサ13822は、第1のロボットアーム13830に保持力FH1を低下させるように指示して、引き続き第2のロボットアーム13840が同じ値で牽引力FD2を発揮できるようにし、また臨床医が牽引力を増加させることを可能にしてもよい。様々な例において、Fmax opposingの値は、手術の種類及び/又は関連する患者の人口統計などの様々な変数に基づいて、プロセッサ13822によって設定される。様々な例において、Fmax opposingは、プロセッサ13822のメモリに記憶されたデフォルト値である。
【0324】
手術部位内のロボットアーム13830、13840及び13850の相対位置は、
図41のグラフ表示13854に示されている。第1のロボットアーム13830が胃結合組織に保持力F
H1を加え、第3のロボットアーム13850が肝組織に後退力F
R3を加えると、手術部位が明確になり、第2のロボットアーム13840が所望の組織上に牽引力及び/又は切断力F
D2を加えることが可能となる。第2のロボットアーム13840及び第3のロボットアーム13850は、処置が進行するにつれて、第1のロボットアーム13830から更に離れていく。保持力F
H1と牽引力F
D2との間の力の差がF
max opposingに達すると、第1のロボットアーム13830は第2のロボットアーム13840に近づき、第1のロボットアーム13830によって加えられる保持力F
H1が減少する。一態様では、プロセッサ13822は、第1のロボットアーム13830の位置が一定に保持されるように、第1のロボットアーム13830を負荷制御モードから位置制御モードに移行させることができる。
図41のグラフ表示に示されるように、第1のロボットアーム13830が一定の位置に保持されていると、第2のロボットアーム13840の力制御は、第2のロボットアーム13840を変位させ続けることができる。
【0325】
様々な場合において、ロボット外科用システムの制御ユニット13820は、第1のロボットアーム13830と第2のロボットアーム13840との間の所定の力閾値に達するまで特定の位置を保持するように、第1のロボットアーム13830に指示する。所定の力閾値に達すると、第1のロボットアーム13830は、所定の力閾値を維持するために、第2のロボットアーム13840と共に自動的に動くように構成されている。第1のロボットアーム13830は、第2のロボットアーム13840の検出された力が所定の力閾値を維持しなくなると、動きを停止する(又は異なる速度で移動してもよい)。
【0326】
様々な例において、ロボット外科用システムの制御ユニット13820は、ロボットアーム13830、13840及び13850によって検出された条件に応じて、位置制御モードと負荷制御モードとの間で切り替わるように構成されている。例えば、ロボット外科用システム13800の第1のロボットアーム13830及び第2のロボットアーム13840が、手術部位全体にわたって自由に動いている場合、制御ユニット13820は、各アーム13830、13840が加えることの可能な最大力を課してもよい。様々な例において、第1のアーム13830及び第2のアーム13840はそれぞれ、抵抗を検出するように構成されたセンサを含む。他の例では、センサは、インテリジェントな外科用ステープラ又はジョー付きツールなどの外科用ツール上に配置することができる。組織及び/又は他の外科器具と接触すると、抵抗に遭遇する可能性がある。このような抵抗が検出されると、制御ユニット13820は、負荷制御モードを起動し、例えば組織への損傷を低減するために、ロボットアーム13830、13840のうちの1つ及び/又は2つ以上によって加えられる力を低下させてもよい。様々な例において、制御ユニット13820は、位置制御モードを起動し、ロボットアーム13830、13840のうちの1つ及び/又は2つ以上を、そのような抵抗が検出されない位置まで動かしてもよい。
【0327】
一態様では、制御ユニット13820のプロセッサ13822は、ロボットアーム13830、13840のうちの1つに取り付けられた外科用ツールが定められた手術空間の外に移動すると、負荷制御モードから位置制御モードに切り替わるように構成されている。例えば、ロボットアーム13830、13840のうちの1つが、手術部位の周囲の定められた境界から外に移動した場合、器官若しくは他の組織と当接接触した場合、又は別の外科用装置に近づきすぎた場合に、プロセッサ13822は、位置制御モードに切り替わり、ロボットアーム13830、13840の更なる動きを防止し、及び/又はロボットアーム13830、13840を定められた手術空間内へと戻してもよい。
【0328】
ここで
図42に示すフローチャートを参照すると、アルゴリズム13500が工程13501で開始され、工程13505で臨床医及び/又はロボット外科用システムがロボットアームのうちの1つ又は2つ以上を起動させる。アルゴリズム13500は、例えば、
図39のロボット外科用システム13800によって使用することができる。各ロボットアームは、ロボット外科用システムのプロセッサ13822と信号通信を行う。各ロボットアームは、起動後にプロセッサに情報を送信するように構成されている。様々な例において、情報は、例えば、ツールアタッチメントの識別及び/又は起動されたロボットアームの初期位置を含んでもよい。様々な例において、そのような情報は、ロボットアームへのツールの取り付け時、ロボット外科用システムによるロボットアームの起動時、及び/又はプロセッサによるロボットアームへの呼掛け後に自動的に伝送されるが、情報はあらゆる好適な時点で送信されてよい。更に、情報は、自動的に及び/又は呼掛け信号に応答して送信されてもよい。
【0329】
プロセッサは、工程13510で起動されたロボットアームのそれぞれから収集された情報に基づいて、工程13515でロボット外科用システムの作業エンベロープ内の位置限界を各特定のロボットアームに設定するように構成されている。位置限界が、各ロボットアームが移動できる場所の三次元境界を設定してもよい。位置限界の設定により、例えば、周囲の組織への外傷、及び/又は起動されたロボットアーム間の衝突を防止しながら、起動された各ロボットアームを効率的かつ協働的に使用することができる。様々な例において、プロセッサは、各位置限界の定義を支援するために記憶されたデータのセットを含むメモリを含む。記憶されたデータは、例えば、特定の外科処置、ロボットツールアタッチメント、及び/又は関連する患者の人口統計に固有であってもよい。様々な例において、臨床医は、起動された各ロボットアームの位置限界の定義を支援してもよい。プロセッサは、工程13520でロボットアームがまだ起動されているか否かを判定するように構成されている。プロセッサがロボットアームがもはや起動されていないと判定した場合、プロセッサは、工程13522で位置監視を終了するように構成されている。プロセッサがロボットアームがまだ起動されていると判定すると、プロセッサは、工程13525で起動されている各ロボットアームの位置を監視するように構成されている。
【0330】
次いで、プロセッサは、工程13530で検出された位置が所定の位置限界内にあるか否かを評価するように構成されている。ロボットアームから情報を収集できず、臨床医の入力がない場合には、工程13533でデフォルトの位置限界が割り当てられる。そのようなデフォルトの位置限界は、例えば、組織外傷及び/又はロボットアーム間の衝突を最小限に抑える保護的な三次元境界を割り当てる。検出された限界が位置限界内にある場合、プロセッサは、工程13535でロボットアームが所定の位置に留まること及び/又は手術部位内を自由に移動することを可能にするように構成されており、監視プロセスはロボットアームが起動されている限り継続する。検出された限界が位置限界の外にある場合、プロセッサは、工程13532でロボットアームを位置限界内に戻すように構成されており、監視プロセスはロボットアームが起動されている限り継続する。
【0331】
プロセッサは、工程13525で各ロボットアームの位置を継続的に監視するように構成されている。様々な例において、プロセッサは、所定の時間間隔で呼掛け信号を繰り返し送信するように構成されている。上述のように、検出された位置が特定のロボットアームに設定された位置限界を超えている場合、特定の例では、プロセッサは、工程13532でロボットアームを三次元境界内に自動的に戻すように構成されている。特定の例では、プロセッサは、1つのロボットアームがその元の位置限界を超えたことに応答して、他のロボットアームの位置限界を再調整するように構成されている。特定の例では、プロセッサは、ロボットアームをその位置限界内に戻す前、及び/又は他のロボットアームの位置限界を調整する前に、臨床医に警告するように構成されている。検出された位置がロボットアームに設定された位置限界内にある場合、プロセッサは、工程13535で、ロボットアームが同じ位置に留まること、及び/又は検出された位置が位置限界を超えるまで自由に移動することを許可する。プロセッサがロボットアームの位置を検出できない場合、プロセッサは、臨床医に警告し、かつ/又は工程13533でロボットアームにデフォルトの位置限界を割り当てるように構成されている。プロセッサは、手術が完了するまで、及び/又はロボットアームが停止されるまで、各ロボットアームの位置を監視するように構成されている。
【0332】
図42のアルゴリズムと同様に、
図43のフローチャートは、アルゴリズム13600が工程13601で開始され、工程13605で臨床医及び/又はロボット外科用システムがロボットアームのうちの1つ又は2つ以上を起動させることを示している。アルゴリズム13600は、例えば、
図39のロボット外科用システム13800によって使用されてもよい。各ロボットアームは、プロセッサと信号通信を行う。各ロボットアームは、起動後に工程13610でプロセッサに情報を送信するように構成されている。様々な例において、情報は、例えば、ツールアタッチメントの識別、ロボットアーム上の1つ又は2つ以上の力センサによって検出される加えられた力、及び/又は起動されたロボットアームの初期位置を含んでもよい。様々な例において、そのような情報は、ロボットアームへのツールの取り付け時、ロボット外科用システムによるロボットアームの起動時、及び/又はプロセッサによるロボットアームへの呼掛け後に自動的に伝送されるが、情報はあらゆる好適な時点で送信されてよい。更に、情報は、自動的に及び/又は呼掛け信号に応答して送信されてもよい。
【0333】
起動されたロボットアームのそれぞれから収集された情報に基づいて、プロセッサは、工程13615において、各特定のロボットアームに力限界を設定するように構成されている。力限界は、各ロボットアームによって加えられる力に対する最大力閾値及び最小力閾値を設定する。加えて又は代わりに、力限界は、2つ以上のアーム間の最大の力の差であってもよい。力限界の設定により、例えば、周囲の組織への外傷及び/又はロボットアームへの損傷を防止しながら、起動されたロボットアーム全てを効率的かつ協働的に使用することができる。様々な例において、プロセッサは、各力限界の定義を支援するために記憶されたデータのセットを含むメモリを含む。記憶されたデータは、例えば、特定の外科処置、ロボットツールアタッチメント、及び/又は関連する患者の人口統計に固有であってもよい。様々な例において、臨床医は、起動された各ロボットアームの力限界の定義を支援してもよい。ロボットアームから情報を収集できず、臨床医の入力がない場合には、デフォルトの力限界が割り当てられる。そのようなデフォルトの力限界は、例えば、組織外傷及び/又はロボットアームへの損傷を最小限に抑える保護的な最大力閾値及び最小力閾値を割り当てる。
【0334】
プロセッサは、工程13620でロボットアームが起動されているか否かを判定するように構成されている。プロセッサがロボットアームが停止されていると判定した場合、プロセッサは、工程13622で力監視を終了するように構成されている。工程13620でロボットアームがまだ起動されていると判定されると、プロセッサは、工程13625で各ロボットアームによって加えられる力を継続的に監視するように構成されている。様々な例において、プロセッサは、所定の時間間隔で呼掛け信号を繰り返し送信するように構成されている。検出された力が特定のロボットアームに設定された最大力閾値を超えている場合、特定の例では、プロセッサは、工程13632でロボットアームによって加えられる力を自動的に低減させ、及び/又は別のロボットアームによって加えられる反対向きの力を減少させるように構成されている。特定の例では、プロセッサは、1つのロボットアームがその元の力限界を超えたことに応答して、他のロボットアームに割り当てられた力限界を再調整するように構成されている。特定の例では、プロセッサは、ロボットアームによって加えられる力を調整する前、別のロボットアームによって加えられる反対向きの力を調整する前、及び/又は他のロボットアームの力限界を調整する前に、臨床医に警告するように構成されている。検出された力がロボットアームに設定された力限界内にある場合、工程13635でロボットアームは力の印加を維持することが許可され、及び/又は臨床医は、力が設定された力限界から外れるまで、加えられる力を増加又は減少させることができる。ロボットアームによって加えられる力をプロセッサが検出できない場合、プロセッサは、臨床医に警告し、かつ/又は工程13633でロボットアームにデフォルトの力限界を割り当てるように構成されている。プロセッサは、手術が完了するまで、及び/又はロボットアームが工程13620で停止されるまで、各ロボットアームによって加えられる力を監視するように構成されている。
【0335】
図42及び
図43のアルゴリズムと同様に、
図44のフローチャートは、13701で開始され、臨床医及び/又はロボット外科用システムがロボットアーム13705のうちの1つ又は2つ以上を起動させる、アルゴリズム13700を示している。アルゴリズム13700は、例えば、
図39のロボット外科用システム13800によって使用されてもよい。各ロボットアームは、プロセッサと信号通信を行う。各ロボットアームは、起動後に工程13710でプロセッサに情報を送信するように構成されている。様々な例において、情報は、例えば、ツールアタッチメントの識別、ロボットアーム上の1つ又は2つ以上の力センサによって検出される力、及び/又は起動されたロボットアームの初期位置を含んでもよい。様々な例において、そのような情報は、ロボットアームへのツールの取り付け時、ロボット外科用システムによるロボットアームの起動時、及び/又はプロセッサによるロボットアームへの呼掛け後に自動的に伝送されるが、情報はあらゆる好適な時点で送信されてよい。様々な例において、情報は、自動的に及び/又は呼掛け信号に応答して送信される。
【0336】
プロセッサは、起動されたロボットアームの全てから収集された情報に基づいて、工程13715で、ロボット外科用システムの作業用エンベロープ内の位置限界及び力限界の両方を各特定のロボットアームに設定するように構成されている。位置限界は、各ロボットアームが移動することができる場所の三次元境界を設定する。位置限界の設定により、例えば、周囲の組織への外傷や、起動されたロボットアーム間の衝突を防止しながら、起動されたロボットアーム全てを効率的かつ協働的に使用することができる。力限界は、各ロボットアームによって加えられる力に対する最大力閾値及び/又は最小力閾値を設定する。加えて又は代わりに、力限界は、2つ以上のアーム間の最大の力の差であってもよい。力限界の設定により、例えば、周囲の組織への外傷及び/又はロボットアームへの損傷を防止しながら、起動されたロボットアームを効率的かつ協働的に使用することができる。
【0337】
様々な例において、プロセッサは、各位置限界及び力限界の定義を支援するために記憶されたデータのセットを含むメモリを含む。記憶されたデータは、例えば、特定の外科処置、ロボットツールアタッチメント、及び/又は関連する患者の人口統計に固有であってもよい。様々な例において、臨床医は、起動された各ロボットアームの位置限界及び力限界の定義を支援してもよい。ロボットアームから情報を収集できず、臨床医の入力がない場合には、デフォルトの位置限界及び/又はデフォルトの力限界がロボットアームに割り当てられる。そのようなデフォルトの位置限界は、例えば、組織外傷及び/又はロボットアーム間の衝突を最小化する保護的な三次元境界を割り当て、一方、デフォルトの力限界は、例えば、組織外傷及び/又はロボットアームへの損傷を最小限に抑える保護的な最大閾値及び/又は最小力閾値を割り当てる。様々な場合において、プロセッサは、1つのロボットアームの位置限界を別のロボットアームの力限界に基づいて調整し、1つのロボットアームの力限界を別のロボットアームの位置限界に基づいて調整するよう構成され、逆もまた同様である。
【0338】
プロセッサは、工程13720で、ロボットアームが起動されているか否かを判定するように構成されている。プロセッサが工程13720でロボットアームが起動されていると判定すると、プロセッサは、工程13725で、各アーム13737の位置及び各ロボットアームによって加えられる力を継続的に監視するように構成されている。ロボットアームがもはや起動されていない場合、プロセッサは、工程13727で位置監視を終了し、工程13722で力監視を終了するように構成されている。様々な例において、プロセッサは、所定の時間間隔で呼掛け信号を繰り返し送信するように構成されている。検出された位置が特定のロボットアームに設定された位置限界を超えている場合、いくつかの例では、プロセッサは、工程13742でロボットアームを三次元境界内に自動的に戻すように構成されている。特定の例では、プロセッサは、ロボットアームをその位置限界内に戻す前に、臨床医に警告するように構成されている。検出された位置がロボットアームに設定された位置限界内にある場合、ロボットアームは、工程13745で、同じ位置に留まること、及び/又は検出された位置が位置限界を超えるまで自由に移動することを許可される。プロセッサがロボットアームの位置を検出できない場合、プロセッサは、臨床医に警告し、かつ/又は工程13743でロボットアームの元の位置限界をデフォルトの位置限界に書き換えるように構成されている。プロセッサは、手術が完了するまで、及び/又はロボットアームが停止されるまで、各ロボットアームの位置を監視するように構成されている。
【0339】
特定の例では、ロボット外科用システムは、各ロボットアームの位置を制御するように構成された手動オーバーライドを含む。検出された力が特定のロボットアームに設定された最大力閾値を超えている場合、特定の例では、プロセッサは、工程13732でロボットアームによって加えられる力を自動的に低減させ、及び/又は別のロボットアームによって加えられる反対向きの力を減少させるように構成されている。特定の例では、プロセッサは、ロボットアームによって加えられる力を低減させる前及び/又は別のロボットアームによって加えられる反対向きの力を低減させる前に、臨床医に警告するように構成されている。検出された力がロボットアームに設定された力限界内にある場合、工程13735で、ロボットアームは力の印加を維持すること、及び/又は力が設定された力限界から外れるまで、加えられる力を増加又は減少させることを許可される。ロボットアームによって加えられる力をプロセッサが検出できない場合、プロセッサは、臨床医に警告し、かつ/又は工程13733でロボットアームの元の力限界をデフォルトの力限界に書き換えるように構成されている。プロセッサは、手術が完了するまで、及び/又はロボットアームが停止されるまで、各ロボットアームによって加えられる力を監視するように構成されている。
【0340】
様々な例において、位置監視システムと力監視システムとは相互接続されている。特定の例では、力監視システムは、位置検出工程13740の結果として得られた決定13742、14743、14745をオーバーライドすることができる。特定の例では、位置監視システムは、力検出工程13730の結果として得られた決定13732、13733、13735をオーバーライドすることができる。他の例では、位置監視システムと力監視システムとは、互いに独立している。
【0341】
臨床医は、本明細書に記載する自動的な負荷制御モード及び/又は位置制御モードで実施される自動調整を手動でオーバーライドすることができる。手動オーバーライドは、外科用ロボットに対する1回限りの調整であってもよい。他の場合には、手動オーバーライドは、特定の外科的動作、特定の持続時間、及び/又は処置全体のグローバルオーバーライドのために自動負荷モード及び/又は位置モードをオフにする設定であってもよい。
【0342】
一態様では、ロボット外科用システムは、本明細書で説明するように、プロセッサと、プロセッサに通信可能に結合されたメモリとを含む。プロセッサは、第1の力センサ及び第2の力センサに通信可能に結合されており、メモリは、本明細書に記載されるように、負荷制御モードで、第1の力センサからの第1の入力及び第2の力センサからの第2の入力に基づいて第1のロボットアーム及び第2のロボットアームの協働運動に影響を及ぼすための、プロセッサによって実行可能な命令を記憶している。
【0343】
様々な態様では、本開示は、本明細書に記載されるように、第1のロボットアーム及び第2のロボットアームの協働運動に影響を及ぼす制御回路を提供する。様々な態様では、本開示は、実行されると、本明細書に記載されるように、機械に、第1のロボットアーム及び第2のロボットアームの協働運動に影響を及ぼさせるためのコンピュータ可読命令を記憶している非一時的コンピュータ可読媒体を提供する。
【0344】
臨床医は、特定の外科処置の間、ロボット外科用システムに加えて、1つ又は2つ以上の電動ハンドヘルド式外科用器具に依存してもよい。様々な例において、器具は、器具とロボット外科用システムとの間の通信を阻止することの可能な異なるプラットフォームを通じて制御及び監視される。例えば、器具は、異なる製造業者によって、また競合他社によって製造されてもよい。そのような器具は、異なる通信パッケージ、並びに及び/又は通信プロトコル及び/若しくはリンクプロトコルを有してもよい。電動器具とロボット外科用システムとの間の通信の欠如は、協働的かつ/又は協調的な使用を妨げる場合があり、臨床医にとって外科処置を複雑にする可能性がある。例えば、それぞれの外科用器具が、様々な情報及び動作パラメータを伝送するための個々のディスプレイを含む場合がある。このようなシナリオでは、臨床医は、多数の機器固有のディスプレイを見て、各装置によって収集されたデータの動作状態を監視し、分析しなければならない場合がある。
【0345】
様々な例において、ロボット外科用システムは、ロボット外科用システム以外のプラットフォームによって制御される他の電動外科用器具の存在を検出するように構成されている。ロボット外科用システムは、ハブ、すなわち、例えば他の電動外科用器具を検出することの可能なロボットハブ122(
図2)及び222(
図9)のようなロボットハブを組み込むことができる。他の例では、ロボット外科用システムと通信を行うハブ106(
図1~
図3)又はハブ206(
図9)のようなスタンドアロンの外科用ハブが、非ロボット外科用器具の検出や、検出された外科用器具とロボット外科用システムとの協働的かつ/又は協調的な使用を円滑にしてもよい。ロボットハブ又は外科用ハブであり得るハブは、ロボット外科用システムの作業エンベロープに対する電動外科用器具の位置及び向きを表示するように構成されている。特定の例では、作業エンベロープは、例えば、手術室であってもよい。空間認識機能を有する外科用ハブについては、本明細書中、及びその開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する2017年12月28日出願の米国仮特許出願第62/611,341号で更に説明されている。一態様では、ハブは、まず作業エンベロープの境界を確認し、次いで、作業エンベロープ内の他の電動外科用器具の存在を検出することができる。
【0346】
図45は、ロボット外科用システム13865と、外科用器具13890と、外科用ハブ13870と、を含む外科用システム13860を示す。外科用器具13890は、電動ハンドヘルド式器具であり、例えば、
図46に示される電動式リニアステープラなどの電動外科用ステープラであってもよい。外科用器具13865は、例えば、外科用器具13000(
図23)に多くの点で類似していてもよい。本明細書に記載されるように、外科用ハブ13870は、例えば、ロボット外科用システム13865に組み込むことができる。外科用ハブ13870は、ロボット外科用システム13865及び外科用器具13890と信号通信を行うように構成されている。他の例では、外科用システム13860は、更なるハンドヘルド式外科用器具を含むことができる。ロボット外科用システム13865は、例えばロボット13002と同様であってもよいロボット13861を含む。ロボット外科用システム13865はまた、制御ユニット13862及び外科医のコマンドコンソール、又は遠隔制御モジュール13864も含む。外科医のコマンドコンソール13864は、臨床医入力を受信するように構成されている。制御ユニット13862は、ロボットディスプレイ13868及びプロセッサ13866を含む。外科用器具13890は、ディスプレイ13894及びプロセッサ13892を含む。
【0347】
様々な例において、外科用ハブ13870は、可視化システム108(
図1)のディスプレイと同様であってもよい外科用ハブディスプレイ13880を含む。外科用ハブディスプレイ13880は、例えば、ヘッドアップディスプレイを含むことができる。外科用ハブ13880は、外科用ハブ13870の特定の距離内における外科用器具13890の存在を検出するように構成されている。例えば、外科用ハブ13870は、1つの手術室内における起動された外科用器具13890全ての存在を検出するように構成されているが、あらゆる好適な距離を監視してよい。様々な例において、外科用ハブ13870は、起動された外科用器具13890全ての存在を外科用ハブディスプレイ13880上に表示するように構成されている。
【0348】
特定のハンドヘルド式外科用器具は、第1の言語を使用して第1の通信プロセスを介して通信を行う。特定のロボット外科用システムは、第2の言語を使用して第2の通信プロセスを介して通信を行う。様々な例において、第1の通信プロセスは、第2の通信プロセスと同じである。第1の通信プロセスが第2の通信プロセスと同じである場合、外科用器具13890は、情報を外科用ハブ13870及び/又はロボット外科用システム13865に直接伝送するように構成されている。そのような情報は、例えば、外科用器具のモデル番号及び/若しくは種類、外科用器具の位置、外科用器具の動作状態、並びに/又はは外科用器具の任意の他の関連するパラメータを含む。
【0349】
様々な例において、第1の通信プロセスは、第2の通信プロセスとは異なる。例えば、第1の製造業者によって開発された外科用システム(例えばロボット)が、第1のプロプライエタリな言語又は通信方式を利用してもよく、第2の製造業者によって開発された外科用システム(例えばハンドヘルド式外科用ツール)が、第2の異なるプロプライエタリな言語又は通信方式を利用してもよい。言語の違い/障壁にもかかわらず、外科用ハブ13870及び/又は外科用ロボット13865は、異なる通信プロセスで動作する外科用器具13890を感知するように構成されている。外科用ハブ13870が特定の電動ハンドヘルド式外科用器具によって利用される通信プロセスを認識しない場合、外科用ハブ13870は、起動された電動ハンドヘルド式外科用器具によって発信されるWi-Fi及びBluetooth伝送などの様々な信号を検出するように構成されている。検出された信号伝送に基づいて、外科用ハブ13870は、ロボット外科用システム13865と同じ通信プロセスを使用しない全ての電動ハンドヘルド式外科用器具を臨床医に警告するように構成されている。新たに検出された電動ハンドヘルド式外科用器具から受信された全てのデータは、新たに検出された電動ハンドヘルド式外科用器具が将来的に外科用ハブ13870によって認識されるように、外科用ハブ13870内に記憶されてもよい。
【0350】
様々な例において、外科用ハブ13870は、起動された電動ハンドヘルド式外科用器具がロボット外科用システムなどの別の外科用器具と通信しようとしているか否かにかかわらず、電動ハンドヘルド式外科用器具の存在を、バッテリの磁気の存在、電力使用量及び/又は起動された電動ハンドヘルド式外科用器具から放射される電磁場を感知することによって検出するように構成されている。
【0351】
ロボット13861及び外科用器具13890を、
図46の外科処置の一例において図示する。この例示では、外科用器具13890は関節運動式リニアステープラである。
図46に示されるように、外科用器具13890は、そのハンドル13892内にモータ13895を含む。他の例では、外科用器具13890は、外科用器具全体に配置された複数のモータを含んでもよい。モータ13895は、ロボット外科用システム13865又は外科用ハブ13870によって検出され得る電磁場13896を放射するように構成されている。例えば、外科用ハブ13870の主ロボットタワー又はモジュール式制御タワーは、手術室内の電磁場を検出するための受信機を含むことができる。
【0352】
一態様では、ロボット外科用システムのプロセッサ(例えば、制御ユニット13862のプロセッサ)は、外科用器具13890の周囲の境界を計算するように構成されている。例えば、プロセッサは、電磁場13896及び対応する種類の外科用器具に基づいて、外科用器具13890の寸法及びその可能な位置範囲を決定することができる。例えば、外科用器具13890が1つ又は2つ以上の関節接合部13891を含む場合、位置範囲が外科用器具13890の関節運動位置を包含してもよい。
【0353】
一例では、ロボット外科用システムは、外科用器具の周囲の第1のより広い境界B2を計算してもよい。ロボット外科用ツールがより広い境界B2に接近すると、ロボット外科用ツール13861は、ロボット13861に取り付けられたロボット外科用ツールが別の外科用器具13890に接近しているという通知又は警告を外科医に発することができる。特定の例では、外科医がロボット外科用ツールを外科用器具13890に向かって前進させ、第2のより狭い境界B1に前進させ続けると、ロボット外科用システム13865は、ロボット外科用ツールの前進を停止させることができる。例えば、ロボット外科用ツールがより狭い境界B1を横切ると、ロボット外科用ツールの前進が停止されてもよい。そのような例では、外科医がより狭い境界B1内でロボット外科用ツールを前進させ続けることを望む場合、外科医はロボット外科用システム13865のハードストップ機構をオーバーライドすることができる。
【0354】
再び
図45を参照すると、外科用システム13860は、複数のディスプレイモニタを含む。各ハンドヘルド式外科用器具13890及びロボット外科用システム13865は、各装置上のディスプレイを表すビデオフィード及び/又は画像フィードを、外科用ハブ13870及び/又はハブディスプレイ13880に伝送するように構成されている。そのようなビデオフィード及び/又は画像フィードは、各ハンドヘルド式外科用器具13890及び/又はロボット外科用システム13865の動作パラメータ及び/又はこれらによって検出された状態を含むことができる。ハブ13870は、システム13800を通して1つ又は2つ以上のディスプレイモニタのそれぞれの表示されたビデオフィード及び/又は画像フィードを制御するように構成されている。様々な例において、ディスプレイモニタのそれぞれは、特定の外科用装置又はシステムからの個々のビデオフィード及び/又は画像フィードを表示する。様々な例において、個々のビデオフィード及び/又は画像フィードは、他の装置又はシステムからの更なる情報及び/又はビデオフィード及び/又は画像フィードと重ね合わせることができる。このような情報は、動作パラメータ及び/又は検出された条件を含むことができる。外科用ハブ13870は、どのディスプレイモニタにどのビデオフィード及び/又は画像フィードを表示するのかを要求するように構成されている。換言すれば、外科用ハブ13870とハブディスプレイ13880との間の通信リンクにより、ビデオハブが1つ又は2つ以上のディスプレイモニタの直接制御を継続する一方で、外科用ハブ13870が、どのビデオフィード及び/又は画像フィードをどのディスプレイモニタに割り当てるのかを指示することができる。様々な例において、ハブディスプレイ13880は、1つ又は2つ以上のディスプレイモニタを外科用ハブ13870から分離し、分離されたディスプレイモニタ上に異なる外科用ハブ又は外科用装置が関連情報を表示することを可能にするように構成されている。
【0355】
様々な例において、外科用ハブは、記憶されたデータを、データの協働的な利用を可能にする機関データバリア(institution data barrier)内の他のデータシステムとの間で伝送するように構成されている。そのような確立されたデータシステムは、例えば、電子医療記録(EMR)データベースを含んでもよい。外科用ハブは、外科用ハブとEMRデータベースとの間の通信を利用して、病院の全体的な外科的傾向を、外科用ハブの使用中に記録されたローカルデータセットとリンクさせるように構成されている。
【0356】
様々な例において、外科用ハブは、病院及び/又は手術センターの特定の手術室に配置されている。
図47に示されるように、病院及び/又は手術センターは、手術室OR
1、OR
2、OR
3及びOR
4を含む。
図47に示す手術室OR
2、OR
3及びOR
4のうちの3つは、それぞれ外科用ハブ13910、13920、13930を含むが、任意の好適な数の外科用ハブを使用することができる。各外科用ハブ13910、13920、13930は、信号矢印Aによって表されるように、互いに信号通信を行うように構成されている。各外科用ハブ13910、13920、13930はまた、
図47の信号矢印Bによって表されるように、一次サーバ13940と信号通信を行うように構成されている。
【0357】
様々な例において、外科用ハブ13910、13920、13930は、データが外科処置中に外科用ハブ13910、13920、13930と様々な外科用器具との間で伝送される際に、伝送されたデータを一時的に記憶するように構成されている。外科的処置の終了時及び/又は所定時間の終了時に、各外科用ハブ13910、13920、13930は、記憶された情報を一次サーバ13940に伝送するように構成されている。記憶された情報が一次サーバ13940に伝送されると、その情報は、個々の外科用ハブ13910、13920、13930のメモリから削除されてもよい。記憶された情報は、例えば、記憶されたデータをクラウド分析「C」に送信するための帯域幅を巡る外科用ハブ13910、13920、13930間の競合を緩和するために、一次サーバ13940に伝送される。代わりに、一次サーバ13940は、伝送されたデータをコンパイル及び記憶するように構成されている。一次サーバ13940は、個々の外科用ハブ13910、13920、13930へ情報を戻す伝送のための、及び/又は外部ダウンロードのための単一のクリアリングハウスとなるように構成されている。加えて、全てのデータが一次サーバ13940内の1つの場所に記憶されるため、データは、例えば、電力サージ及び/又はデータ侵入などのデータ破壊事象からより良好に保護される。様々な例において、一次サーバ13940は、より良好なデータ完全性を可能にする更なるサーバレベル機器を含む。クラウドシステムの例については、本明細書中、及びその開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS」と題する2017年12月28日出願の米国仮特許出願第62/611,340号で更に説明されている。
【0358】
図47及び
図48を参照すると、データが各制御ハブ13910、13920、13930から一次サーバ13940に伝送され始めると、データが伝送される順序付けを行うためにキュー13990が作成される。様々な例において、キュー13990は、データに先入れ先出しとして順序付けを行うが、あらゆる適切な順序付けプロトコルを使用してもよい。様々な例において、キュー13990は、優先イベント及び/又は異常データが検出された場合に、受信されたデータが伝送される順序付けを再度行うように構成されている。
図48に示すように、ブロック13960において、第1の外科用ハブが時点t=1で第1のデータセットを伝送する。第1のデータセットはブロック13992で外部出力キューにある唯一のデータであるため、第1のデータセットの伝送順序は1番目である。したがって、ブロック13965において、キュー13990は第1のデータセットに外部出力の順序付けを行う。ブロック13970において、第2の外科用ハブが時点t=2で第2のデータセットを伝送する。ブロック13994において、第1のデータセットは、時点t=2ではまだ外部に伝送されていない。しかしながら、優先イベント及び/又は異常データが第2のデータセットに存在しないため、ブロック13975において、第2のデータセットは、外部伝送の列で2番目である。ブロック13980において、第3の外科用ハブが時点t=3で緊急のフラグが立てられた第3のデータセットを伝送する。ブロック13985において、時点t=3では第1のデータセット及び第2のデータセットは外部へ伝送されていないが、第3のデータセットで優先イベントが検出されている。ブロック13996において、キューは、データセットの順序付けを再度行い、順序付けされた第3のデータセットを、それぞれ、時点t=1及び時点t=2で収集された第1のデータセット及び第2のデータセットよりも前に外部送信される1番目の位置とするように構成されている。
【0359】
一態様では、外科用ハブは、本明細書で説明するように、プロセッサと、プロセッサに通信可能に結合されたメモリとを含む。メモリは、本明細書に記載されるように、電動外科用器具の存在を検出し、電動外科用器具をハブディスプレイ上に表現するための、プロセッサによって実行可能な命令を記憶している。
【0360】
様々な態様において、本開示は、本明細書に記載されるように、電動外科用器具の存在を検出し、電動外科用器具をハブディスプレイ上に表現する制御回路を提供する。様々な態様において、本開示は、実行されると、本明細書に記載されるように、機械に、電動外科用器具の存在を検出させ、電動外科用器具をハブディスプレイ上に表現させるためのコンピュータ可読命令を記憶している非一時的コンピュータ可読媒体を提供する。
【0361】
以下の開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
・2011年5月27日出願、2015年7月7日発行の「SURGICAL STAPLING INSTRUMENTS WITH ROTATABLE STAPLE DEPLOYMENT ARRANGEMENTS」と題する米国特許第9,072,535号、
・2012年6月28日出願、2015年7月7日発行の「DIFFERENTIAL LOCKING ARRANGEMENTS FOR ROTARY POWERED SURGICAL INSTRUMENTS」と題する米国特許第9,072,536号、
・2012年6月28日出願、2015年12月8日発行の「FLEXIBLE DRIVE MEMBER」と題する米国特許第9,204,879号、
・2012年6月28日出願、2017年2月7日発行の「INTERCHANGEABLE CLIP APPLIER」と題する米国特許第9,561,038号、
・2014年9月5日出願、2017年9月12日発行の「MULTIPLE SENSORS WITH ONE SENSOR AFFECTING A SECOND SENSOR’S OUTPUT OR INTERPRETATION」と題する米国特許第9,757,128号、
・2015年3月6日出願の「OVERLAID MULTI SENSOR RADIO FREQUENCY(RF)ELECTRODE SYSTEM TO MEASURE TISSUE COMPRESSION」と題する米国特許出願第14/640,935号、現在は米国特許出願公開第2016/0256071号、
・2016年12月16日出願の「MODULAR BATTERY POWERED HANDHELD SURGICAL INSTRUMENT WITH SELECTIVE APPLICATION OF ENERGY BASED ON TISSUE CHARACTERIZATION」と題する米国特許出願第15/382,238号、現在は米国特許出願公開第2017/0202591号及び、
・2016年8月16日出願の「CONTROL OF ADVANCEMENT RATE AND APPLICATION FORCE BASED ON MEASURED FORCES」と題する米国特許出願第15/237,753号、現在は米国特許出願公開第2018/0049822号。
各々をその全体にわたって参照により本明細書に援用する。
【0362】
本明細書に記載される主題の様々な態様は、以下の番号付けされた実施例において説明される。
【0363】
実施例1-ロボット外科用システムが、第1の力センサを備える第1のロボットアームと、第2の力センサを備える第2のロボットアームと、プロセッサ及びプロセッサに通信可能に結合されたメモリを備える制御ユニットと、を備える。メモリは、第1の力センサから第1の入力を受信し、第2の力センサから第2の入力を受信し、第1の力センサからの第1の入力及び第2の力センサからの第2の入力に基づいて、負荷制御モードで第1のロボットアーム及び第2のロボットアームの協働運動をもたらす、ための、プロセッサによって実行可能な命令を記憶している。
【0364】
実施例2-第1のロボットアームが第1の位置センサを備え、第2のロボットアームが第2の位置センサを備え、プロセッサが、第1の位置センサ及び第2の位置センサと信号通信を行うように構成されている、実施例1に記載のロボット外科用システム。
【0365】
実施例3-メモリが、第1の位置センサから第1の位置入力を受信し、第2の位置センサから第2の位置入力を受信する、ための、プロセッサによって動作可能な命令を記憶するように構成されている、実施例2に記載のロボット外科用システム。
【0366】
実施例4-メモリが、第1の位置センサからの第1の位置入力及び第2の位置センサからの第2の位置入力に基づいて、位置制御モードで第1のロボットアーム及び第2のロボットアームの協働運動をもたらすための、プロセッサによって実行可能な命令を記憶している、実施例3に記載のロボット外科用システム。
【0367】
実施例5-メモリは、ロボットアームのうちの1つに取り付けられた外科用ツールが、定義された境界の外に移動すると、負荷制御モードから位置制御モードに切り替わるための、プロセッサによって実行可能な命令を記憶している、実施例1~実施例4のいずれか1つに記載のロボット外科用システム。
【0368】
実施例6-プロセッサが、第1の力センサから受信された第1の入力及び第2の力センサから受信された第2の入力に基づいて外科的機能を推奨するように構成された状況認識モジュールに通信可能に結合されている、実施例1~実施例5のいずれか1つに記載のロボット外科用システム。
【0369】
実施例7-メモリが、第1のロボットアーム及び第2のロボットアームが停止した状態であるか否かを判定し、第1のロボットアーム及び第2のロボットアームが停止した状態である場合に、第1の力センサ及び第2の力センサとの通信を停止する、ための、プロセッサによって実行可能な命令を記憶している、実施例1~実施例6のいずれか1つに記載のロボット外科用システム。
【0370】
実施例8-ロボット外科用システムが、第1のセンサを備える第1のロボットアームと、第2のセンサを備える第2のロボットアームと、プロセッサ及びプロセッサに通信可能に結合されたメモリを備える制御ユニットと、を備える。メモリは、第1のセンサから第1の入力を受信し、第2のセンサから第2の入力を受信し、第1のセンサからの第1の入力及び第2のセンサからの第2の入力に基づいて、第1のロボットアーム及び第2のロボットアームの協働運動をもたらす、ための、プロセッサによって実行可能な命令を記憶している。
【0371】
実施例9-第1のセンサ及び第2のセンサが力センサである、実施例8に記載のロボット外科用システム。
【0372】
実施例10-メモリが、第1のセンサからの第1の入力及び第2のセンサからの第2の入力を受信すると負荷制御モードに入るための、プロセッサによって実行可能な命令を記憶している、実施例8及び実施例9のいずれか1つに記載のロボット外科用システム。
【0373】
実施例11-第1のセンサ及び第2のセンサが位置センサである、実施例8に記載のロボット外科用システム。
【0374】
実施例12-メモリが、第1のセンサからの第1の入力及び第2のセンサからの第2の入力を受信すると位置制御モードに入るための、プロセッサによって実行可能な命令を記憶するように構成されている、実施例11に記載のロボット外科用システム。
【0375】
実施例13-プロセッサが、第1のセンサから受信された第1の入力及び第2のセンサから受信された第2の入力に基づいて外科的機能を推奨するように構成された状況認識モジュールに通信可能に結合されている、実施例8~実施例12に記載のロボット外科用システム。
【0376】
実施例14-コンピュータ可読命令を記憶している非一時的コンピュータ可読媒体であって、命令は、実行されると、機械に、第1の力センサから第1の入力を受信させ、第2の力センサから第2の入力を受信させ、第1の力センサからの第1の入力及び第2の力センサからの第2の入力に基づいて、負荷制御モードで第1のロボットアーム及び第2のロボットアームの協働運動をもたらさせる、非一時的コンピュータ可読媒体。
【0377】
実施例15-第1のロボットアームが第1の位置センサを備え、第2のロボットアームは第2の位置センサを備える、実施例14に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0378】
実施例16-第1の位置センサが機械に第1の位置入力を伝送するように構成されており、第2の位置センサが機械に第2の位置入力を伝送するように構成されている、実施例15に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0379】
実施例17-コンピュータ可読命令が、実行されると、機械に、第1の位置センサからの第1の位置入力及び第2の位置センサからの第2の位置入力に基づいて、位置制御モードで第1のロボットアーム及び第2のロボットアームの協働的な移動をもたらさせる、実施例16に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0380】
実施例18-機械は、ロボットアームのうちの1つに取り付けられた外科用ツールが、定められた境界の外に移動すると負荷制御モードから位置制御モードに切り替わるように動作可能に構成されている、実施例14~実施例17に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0381】
実施例19-第1の力センサから受信された第1の入力及び第2の力センサから受信された第2の入力に基づいて外科的機能を推奨するように構成された状況認識モジュールを更に備える、実施例14~実施例18のいずれか1つに記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0382】
実施例20-コンピュータ可読命令が、実行されると、機械に、第1のロボットアーム及び第2のロボットアームが起動されているか否かを判定させ、第1のロボットアーム及び第2のロボットアームが停止した状態である場合は、第1の力センサ及び第2の力センサとの通信を停止させる、実施例14~実施例19のいずれか1つに記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0383】
実施例21-ロボット外科用システムが、第1のセンサを備える第1のロボットアームと、第2のセンサを備える第2のロボットアームと、制御回路と、を備える。制御回路は、第1のセンサから第1の入力を受信し、第2のセンサから第2の入力を受信し、第1のセンサからの第1の入力及び第2のセンサからの第2の入力に基づいて、第1のロボットアーム及び第2のロボットアームの協働運動をもたらすように構成されている。
【0384】
実施例22-第1のセンサ及び第2のセンサが力センサである、実施例21に記載のロボット外科用システム。
【0385】
実施例23-制御回路が、第1のセンサからの第1の入力及び第2のセンサからの第2の入力を受信すると負荷制御モードに入るように構成されている、実施例21及び実施例22のいずれか1つに記載のロボット外科用システム。
【0386】
実施例24-第1のセンサ及び第2のセンサが位置センサである、実施例21に記載のロボット外科用システム。
【0387】
実施例25-制御回路が、第1のセンサからの第1の入力及び第2のセンサからの第2の入力を受信すると位置制御モードに入るように構成されている、実施例24に記載のロボット外科用システム。
【0388】
実施例26-制御回路が、第1のセンサから受信された第1の入力及び第2のセンサから受信された第2の入力に基づいて外科的機能を推奨するように構成された状況認識モジュールに通信可能に結合されている、実施例21~実施例25のいずれか1つに記載のロボット外科用システム。
【0389】
いくつかの形態が例示され説明されてきたが、添付の「特許請求の範囲」をそのような詳述に制限又は限定することは、本出願人が意図するところではない。多数の修正、変形、変化、置換、組み合わせ及びこれらの形態の等価物を実装することができ、本開示の範囲から逸脱することなく当業者により想到されるであろう。更に、記述する形態に関連した各要素の構造は、その要素によって行われる機能を提供するための手段として代替的に説明することができる。また、材料が特定の構成要素に関して開示されているが、他の材料が使用されてもよい。したがって、上記の説明文及び添付の特許請求の範囲は、全てのそのような修正、組み合わせ、及び変形を、開示される形態の範囲に含まれるものとして網羅することを意図としたものである点を理解されたい。添付の特許請求の範囲は、全てのそのような修正、変形、変化、置換、修正、及び等価物を網羅することを意図する。
【0390】
上記の詳細な説明は、ブロック図、フローチャート、及び/又は実施例を用いて装置及び/又はプロセスの様々な形態について記載してきた。そのようなブロック図、フローチャート、及び/又は実施例が1つ若しくは2つ以上の機能及び/又は動作を含む限り、当業者に理解されたいこととして、そのようなブロック図、フローチャート、及び/又は実施例に含まれる各機能及び/又は動作は、多様なハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの事実上の任意の組み合わせによって、個々にかつ/又は集合的に実装することができる。当業者には、本明細書で開示される形態のうちのいくつかの態様の全部又は一部が、1台以上のコンピュータ上で稼働する1つ又は2つ以上のコンピュータプログラムとして(例えば、1台以上のコンピュータシステム上で稼働する1つ又は2つ以上のプログラムとして)、1つ又は2つ以上のプロセッサ上で稼働する1つ又は2つ以上のプログラムとして(例えば、1つ又は2つ以上のマイクロプロセッサ上で稼働する1つ又は2つ以上のプログラムとして)、ファームウェアとして、又はこれらの実質的に任意の組み合わせとして集積回路上で等価に実現することができ、また、回路を設計すること、並びに/又はソフトウェア及び/若しくはファームウェアのコードを記述することは、本開示を鑑みれば当業者の技能の範囲内に十分に含まれることが理解されよう。更に、当業者には理解されることとして、本明細書に記載した主題の機構は、多様な形式で1つ又は2つ以上のプログラム製品として配布されることが可能であり、本明細書に記載した主題の具体的な形態は、配布を実際に行うために使用される信号搬送媒体の特定の種類にかかわらず用いられる。
【0391】
様々な開示された態様を実行するように論理をプログラムするために使用される命令は、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、キャッシュ、フラッシュメモリ、又は他のストレージなどのシステム内メモリに記憶され得る。更に、命令は、ネットワークを介して、又は他のコンピュータ可読媒体によって分配され得る。したがって、機械可読媒体としては、機械(例えば、コンピュータ)によって読み出し可能な形態で情報を記憶又は送信するための任意の機構が挙げられ得るが、フロッピーディスケット、光ディスク、コンパクトディスク、読み出し専用メモリ(CD-ROM)、並びに磁気光学ディスク、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、磁気若しくは光カード、フラッシュメモリ、又は、電気的、光学的、音響的、若しくは他の形態の伝播信号(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号など)を介してインターネットを介した情報の送信に使用される有形機械可読ストレージに限定されない。したがって、非一時的コンピュータ可読媒体としては、機械(例えば、コンピュータ)によって読み出し可能な形態で電子命令又は情報を記憶又は送信するのに好適な任意の種類の有形機械可読媒体が挙げられる。
【0392】
本明細書の任意の態様で使用されるとき、用語「制御回路」は、例えば、ハードワイヤード回路、プログラマブル回路(例えば、1つ又は2つ以上の個々の命令処理コアを含むコンピュータプロセッサ、処理ユニット、プロセッサ、マイクロコントローラ、マイクロコントローラユニット、コントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、プログラマブル論理機構(PLD)、プログラマブル論理アレイ(PLA)、又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA))、状態マシン回路、プログラマブル回路によって実行される命令を記憶するファームウェア、及びこれらの任意の組み合わせを指すことができる。制御回路は、集合的に又は個別に、例えば、集積回路(IC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、システムオンチップ(SoC)、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、サーバ、スマートフォンなどの、より大きなシステムの一部を形成する回路として具現化され得る。したがって、本明細書で使用するとき、「制御回路」としては、少なくとも1つの個別の電気回路を有する電気回路、少なくとも1つの集積回路を有する電気回路、少なくとも1つの特定用途向け集積回路を有する電気回路、コンピュータプログラムによって構成された汎用コンピューティング装置(例えば、本明細書で説明したプロセス及び/若しくは装置を少なくとも部分的に実行するコンピュータプログラムによって構成された汎用コンピュータ、又は本明細書で説明したプロセス及び/若しくは装置を少なくとも部分的に実行するコンピュータプログラムによって構成されたマイクロプロセッサ)を形成する電気回路、メモリ装置(例えば、ランダムアクセスメモリの形態)を形成する電気回路、及び/又は通信装置(例えばモデム、通信スイッチ、又は光-電気設備)を形成する電気回路が挙げられるが、これらに限定されない。当業者は、本明細書で述べた主題が、アナログ若しくはデジタルの形式又はこれらのいくつかの組み合わせで実現されてもよいことを認識するであろう。
【0393】
本明細書の任意の態様で使用される場合、用語「論理」は、前述の動作のいずれかを実行するように構成されたアプリケーション、ソフトウェア、ファームウェア、及び/又は回路を指し得る。ソフトウェアは、非一時的コンピュータ可読記憶媒体上に記録されたソフトウェアパッケージ、コード、命令、命令セット、及び/又はデータとして具現化されてもよい。ファームウェアは、メモリ装置内のコード、命令、若しくは命令セット、及び/又はハードコードされた(例えば、不揮発性の)データとして具現化されてもよい。
【0394】
本明細書の任意の態様で使用するとき、用語「構成要素」、「システム」、「モジュール」などは、ハードウェア、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせ、ソフトウェア、又は実行中のソフトウェアのいずれかであるコンピュータ関連エンティティを指すことができる。
【0395】
本明細書の任意の態様で使用するとき、「アルゴリズム」とは、所望の結果につながる工程の自己無撞着シーケンスを指し、「工程」とは、必ずしも必要ではないが、記憶、転送、結合、比較、及び別様に操作されることが可能な電気又は磁気信号の形態をなすことができる物理量及び/又は論理状態の操作を指す。これらの信号を、ビット、値、要素、記号、文字、用語、番号などとして言及することが一般的な扱い方である。これらの及び類似の用語は、適切な物理量と関連付けられてもよく、また単に、これらの量及び/又は状態に適用される便利なラベルである。
【0396】
ネットワークとしては、パケット交換ネットワークが挙げられ得る。通信装置は、選択されたパケット交換ネットワーク通信プロトコルを使用して、互いに通信することができる。1つの例示的な通信プロトコルとしては、伝送制御プロトコル/インターネットプロトコル(TCP/IP)を使用して通信を可能にすることができるイーサネット通信プロトコルを挙げることができる。イーサネットプロトコルは、Institute of Electrical and Electronics Engineers(IEEE)によって発行された2008年12月発行の表題「IEEE802.3Standard」、及び/又は本規格の後のバージョンのイーサネット規格に準拠するか、又は互換性があり得る。代わりに又は加えて、通信装置は、X.25通信プロトコルを使用して互いに通信することができる。X.25通信プロトコルは、International Telecommunication Union-Telecommunication Standardization Sector(ITU-T)によって公布された規格に準拠するか、又は互換性があり得る。代わりに又は加えて、通信装置は、フレームリレー通信プロトコルを使用して互いに通信することができる。フレームリレー通信プロトコルは、Consultative Committee for International Telegraph and Telephone(CCITT)及び/又はthe American National Standards Institute(ANSI)によって公布された規格に準拠するか、又は互換性があり得る。代わりに又は加えて、送受信機は、非同期転送モード(ATM)通信プロトコルを使用して互いに通信することが可能であり得る。ATM通信プロトコルは、ATM Forumによって「ATM-MPLS Network Interworking2.0」という題で2001年8月に公開されたATM規格及び/又は本規格の後のバージョンに準拠するか、又は互換性があり得る。当然のことながら、異なる及び/又は後に開発されたコネクション型ネットワーク通信プロトコルが、本明細書で等しく企図される。
【0397】
別段の明確な定めがない限り、前述の開示から明らかなように、前述の開示全体を通じて、「処理する」、「計算する」、「算出する」、「決定する」、「表示する」などの用語を使用する議論は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内で物理(電子的)量として表現されるデータを、コンピュータシステムのメモリ若しくはレジスタ又はそのような情報記憶、伝送、若しくは表示装置内で物理量として同様に表現される他のデータへと操作し変換する、コンピュータシステム又は類似の電子計算装置の動作及び処理を指していることが理解されよう。
【0398】
1つ又は2つ以上の構成要素が、本明細書中で、「ように構成される(configured to)」、「ように構成可能である(configurable to)」、「動作可能である/ように動作する(operable/operative to)」、「適合される/適合可能である(adapted/adaptable)」、「ことが可能である(able to)」、「準拠可能である/準拠する(conformable/conformed to)」などと言及され得る。当業者は、「ように構成される」は、一般に、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、起動状態の構成要素及び/又は停止状態の構成要素及び/又は待機状態の構成要素を包含し得ることを理解するであろう。
【0399】
「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書では、外科用器具のハンドル部分を操作する臨床医を基準として使用される。「近位」という用語は、臨床医に最も近い部分を指し、「遠位」という用語は、臨床医から離れた位置にある部分を指す。便宜上及び明確性のために、「垂直」、「水平」、「上」、及び「下」などの空間的用語が、本明細書において図面に対して使用され得ることが更に理解されよう。しかしながら、外科用器具は、多くの向き及び位置で使用されるものであり、これらの用語は限定的及び/又は絶対的であることを意図したものではない。
【0400】
当業者は、一般に、本明細書で使用され、かつ特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本文)で使用される用語は、概して「オープンな」用語として意図されるものである(例えば、「含む(including)」という用語は、「~を含むが、それらに限定されない(including but not limited to)」と解釈されるべきであり、「有する(having)」という用語は「~を少なくとも有する(having at least)」と解釈されるべきであり、「含む(includes)」という用語は「~を含むが、それらに限定されない(includes but is not limited to)」と解釈されるべきであるなど)ことを理解するであろう。更に、導入された請求項記載(introduced claim recitation)において特定の数が意図される場合、かかる意図は当該請求項中に明確に記載され、またかかる記載がない場合は、かかる意図は存在しないことが、当業者には理解されるであろう。例えば、理解を助けるものとして、後続の添付の特許請求の範囲は、「少なくとも1つの(at least one)」及び「1つ又は2つ以上の(one or more)」という導入句を、請求項記載を導入するために含むことがある。しかしながら、かかる句の使用は、「a」又は「an」という不定冠詞によって請求項記載を導入した場合に、たとえ同一の請求項内に「1つ以上の」又は「少なくとも1つの」といった導入句及び「a」又は「an」という不定冠詞が含まれる場合であっても、かかる導入された請求項記載を含むいかなる特定の請求項も、かかる記載事項を1つのみ含む請求項に限定されると示唆されるものと解釈されるべきではない(例えば、「a」及び/又は「an」は通常、「少なくとも1つの」又は「1つ以上の」を意味するものと解釈されるべきである)。定冠詞を使用して請求項記載を導入する場合にも、同様のことが当てはまる。
【0401】
更に、導入された請求項記載において特定の数が明示されている場合であっても、かかる記載は、典型的には、少なくとも記載された数を意味するものと解釈されるべきであることが、当業者には認識されるであろう(例えば、他に修飾語のない、単なる「2つの記載事項」という記載がある場合、一般的に、少なくとも2つの記載事項、又は2つ以上の記載事項を意味する)。更に、「A、B、及びCなどのうちの少なくとも1つ」に類する表記が用いられる場合、一般に、かかる構文は、当業者がその表記を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、限定するものではないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方、及び/又はAとBとCの全てなどを有するシステムを含む)。「A、B、又はCなどのうちの少なくとも1つ」に類する表記が用いられる場合、一般に、かかる構文は、当業者がその表記を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、限定するものではないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方、及び/又はAとBとCの全てなどを有するシステムを含む)。更に、典型的には、2つ若しくは3つ以上の選択的な用語を表すあらゆる離接語及び/又は離接句は、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除いて、明細書内であろうと、請求の範囲内であろうと、あるいは図面内であろうと、それら用語のうちの1つ、それらの用語のうちのいずれか、又はそれらの用語の両方を含む可能性を意図すると理解されるべきであることが、当業者には理解されよう。例えば、「A又はB」という句は、典型的には、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むものと理解されよう。
【0402】
添付の特許請求の範囲に関して、当業者は、本明細書における引用した動作は一般に、任意の順序で実施され得ることを理解するであろう。また、様々な動作のフロー図がシーケンスで示されているが、様々な動作は、例示されたもの以外の順序で行われてもよく、又は同時に行われてもよいことが理解されるべきである。かかる代替の順序付けの例は、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除いて、重複、交互配置、割り込み、再順序付け、増加的、予備的、追加的、同時、逆、又は他の異なる順序付けを含んでもよい。更に、「~に応答する」、「~に関連する」といった用語、又は他の過去時制の形容詞は、一般に、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、かかる変化形を除外することが意図されるものではない。
【0403】
「一態様」、「態様」、「例示」、「一例示」などへの任意の参照は、その態様に関連して記載される特定の機構、構造、又は特性が少なくとも1つの態様に含まれると意味することは特記に値する。したがって、本明細書の全体を通じて様々な場所に見られる語句「一態様では」、「態様では」、「例示では」、及び「一例示では」は、必ずしも全てが同じ態様を指すものではない。更に、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ又は2つ以上の態様において任意の好適な様態で組み合わせることができる。
【0404】
本明細書で参照され、かつ/又は任意の出願データシートに列挙される任意の特許出願、特許、非特許刊行物、又は他の開示資料は、組み込まれる資料が本明細書と矛盾しない範囲で、参照により本明細書に組み込まれる。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参考として本明細書に組み込まれているあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。現行の定義、見解、又は本明細書に記載される他の開示内容と矛盾する任意の内容、又はそれらの部分は本明細書に参考として組み込まれるものとするが、参照内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、参照されるものとする。
【0405】
要約すると、本明細書に記載した構想を用いる結果として得られる多くの利益が記載されてきた。1つ又は2つ以上の形態の上述の記載は、例示及び説明を目的として提示されているものである。包括的であることも、開示された厳密な形態に限定することも意図されていない。上記の教示を鑑みて、修正又は変形が可能である。1つ又は2つ以上の形態は、原理及び実際の応用について例示し、それによって、様々な形態を様々な修正例と共に、想到される特定の用途に適するものとして当業者が利用できるようにするために、選択され記載されたものである。本明細書と共に提示される特許請求の範囲が全体的な範囲を定義することが意図される。
【0406】
〔実施の態様〕
(1) ロボット外科用システムであって、
第1の力センサを備える第1のロボットアームと、
第2の力センサを備える第2のロボットアームと、
プロセッサ及び前記プロセッサに通信可能に結合されたメモリを備える制御ユニットと、
を備え、前記メモリが、
前記第1の力センサから第1の入力を受信し、
前記第2の力センサから第2の入力を受信し、
前記第1の力センサからの前記第1の入力及び前記第2の力センサからの前記第2の入力に基づいて、負荷制御モードで前記第1のロボットアーム及び前記第2のロボットアームの協働運動をもたらす、
ための、前記プロセッサによって実行可能な命令を記憶している、ロボット外科用システム。
(2) 前記第1のロボットアームが第1の位置センサを備え、前記第2のロボットアームが第2の位置センサを備え、前記プロセッサが、前記第1の位置センサ及び前記第2の位置センサと信号通信を行うように構成されている、実施態様1に記載のロボット外科用システム。
(3) 前記メモリが、
前記第1の位置センサから第1の位置入力を受信し、
前記第2の位置センサから第2の位置入力を受信する、
ための、前記プロセッサによって動作可能な命令を記憶するように構成されている、実施態様2に記載のロボット外科用システム。
(4) 前記メモリが、前記第1の位置センサからの前記第1の位置入力及び前記第2の位置センサからの前記第2の位置入力に基づいて、位置制御モードで前記第1のロボットアーム及び前記第2のロボットアームの協働運動をもたらすための、前記プロセッサによって実行可能な命令を記憶している、実施態様3に記載のロボット外科用システム。
(5) 前記メモリは、前記ロボットアームのうちの1つに取り付けられた外科用ツールが、定義された境界の外に移動すると、前記負荷制御モードから位置制御モードに切り替わるための、前記プロセッサによって実行可能な命令を記憶している、実施態様1に記載のロボット外科用システム。
【0407】
(6) 前記プロセッサが、前記第1の力センサから受信された前記第1の入力及び前記第2の力センサから受信された前記第2の入力に基づいて外科的機能を推奨するように構成された状況認識モジュールに通信可能に結合されている、実施態様1に記載のロボット外科用システム。
(7) 前記メモリが、
前記第1のロボットアーム及び前記第2のロボットアームが停止した状態であるか否かを判定し、
前記第1のロボットアーム及び前記第2のロボットアームが停止した状態である場合に、前記第1の力センサ及び前記第2の力センサとの通信を停止する、
ための、前記プロセッサによって実行可能な命令を記憶している、実施態様6に記載のロボット外科用システム。
(8) ロボット外科用システムであって、
第1のセンサを備える第1のロボットアームと、
第2のセンサを備える第2のロボットアームと、
プロセッサ及び前記プロセッサに通信可能に結合されたメモリ、を備える制御ユニットと、を備え、前記メモリが、
前記第1のセンサから第1の入力を受信し、
前記第2のセンサから第2の入力を受信し、
前記第1のセンサからの前記第1の入力及び前記第2のセンサからの前記第2の入力に基づいて、前記第1のロボットアーム及び前記第2のロボットアームの協働運動をもたらす、
ための、前記プロセッサによって実行可能な命令を記憶している、ロボット外科用システム。
(9) 前記第1のセンサ及び前記第2のセンサが力センサである、実施態様8に記載のロボット外科用システム。
(10) 前記メモリが、前記第1のセンサからの前記第1の入力及び前記第2のセンサからの前記第2の入力を受信すると負荷制御モードに入るための、前記プロセッサによって実行可能な命令を記憶している、実施態様9に記載のロボット外科用システム。
【0408】
(11) 前記第1のセンサ及び前記第2のセンサが位置センサである、実施態様8に記載のロボット外科用システム。
(12) 前記メモリが、前記第1のセンサからの前記第1の入力及び前記第2のセンサからの前記第2の入力を受信すると位置制御モードに入るための、前記プロセッサによって実行可能な命令を記憶するように構成されている、実施態様11に記載のロボット外科用システム。
(13) 前記プロセッサが、前記第1のセンサから受信された前記第1の入力及び前記第2のセンサから受信された前記第2の入力に基づいて外科的機能を推奨するように構成された状況認識モジュールに通信可能に結合されている、実施態様8に記載のロボット外科用システム。
(14) コンピュータ可読命令を記憶している非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記命令は、実行されると、機械に、
第1の力センサから第1の入力を受信させ、
第2の力センサから第2の入力を受信させ、
前記第1の力センサからの前記第1の入力及び前記第2の力センサからの前記第2の入力に基づいて、負荷制御モードで第1のロボットアーム及び第2のロボットアームの協働運動をもたらさせる、非一時的コンピュータ可読媒体。
(15) 前記第1のロボットアームが第1の位置センサを備え、前記第2のロボットアームが第2の位置センサを備える、実施態様14に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0409】
(16) 前記第1の位置センサが前記機械に第1の位置入力を伝送するように構成されており、前記第2の位置センサが前記機械に第2の位置入力を伝送するように構成されている、実施態様15に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
(17) 前記コンピュータ可読命令が、実行されると、前記機械に、前記第1の位置センサからの前記第1の位置入力及び前記第2の位置センサからの前記第2の位置入力に基づいて、位置制御モードで前記第1のロボットアーム及び前記第2のロボットアームの協働運動をもたらさせる、実施態様16に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
(18) 前記機械は、前記ロボットアームのうちの1つに取り付けられた外科用ツールが、定められた境界の外に移動すると前記負荷制御モードから位置制御モードに切り替わるように動作可能に構成されている、実施態様14に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
(19) 前記第1の力センサから受信された前記第1の入力及び前記第2の力センサから受信された前記第2の入力に基づいて外科的機能を推奨するように構成された状況認識モジュールを更に備える、実施態様14に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
(20) 前記コンピュータ可読命令が、実行されると、前記機械に、
前記第1のロボットアーム及び前記第2のロボットアームが起動されているか否かを判定させ、
前記第1のロボットアーム及び前記第2のロボットアームが停止した状態である場合は、前記第1の力センサ及び前記第2の力センサとの通信を停止させる、実施態様14に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0410】
(21) ロボット外科用システムであって、
第1のセンサを備える第1のロボットアームと、
第2のセンサを備える第2のロボットアームと、
制御回路であって、
前記第1のセンサから第1の入力を受信し、
前記第2のセンサから第2の入力を受信し、
前記第1のセンサからの前記第1の入力及び前記第2のセンサからの前記第2の入力に基づいて、前記第1のロボットアーム及び前記第2のロボットアームの協働運動をもたらす、
ように構成されている制御回路と、を備える、ロボット外科用システム。