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特許7757627資材管理システム、資材管理方法及び資材管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-10-14
(45)【発行日】2025-10-22
(54)【発明の名称】資材管理システム、資材管理方法及び資材管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/28 20060101AFI20251015BHJP
   G01B 11/02 20060101ALI20251015BHJP
   G01F 23/292 20060101ALI20251015BHJP
   B65G 65/30 20060101ALI20251015BHJP
【FI】
G01B11/28 H
G01B11/02 H
G01F23/292 Z
B65G65/30 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021077765
(22)【出願日】2021-04-30
(65)【公開番号】P2022171231
(43)【公開日】2022-11-11
【審査請求日】2024-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】東野 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】松原 健太
(72)【発明者】
【氏名】西森 昭博
(72)【発明者】
【氏名】上田 潤
(72)【発明者】
【氏名】武田 厚
(72)【発明者】
【氏名】中本 淳
(72)【発明者】
【氏名】田島 僚
【審査官】信田 昌男
(56)【参考文献】
【文献】特開昭54-102756(JP,A)
【文献】登録実用新案第3039297(JP,U)
【文献】特開平08-014992(JP,A)
【文献】実開昭60-161830(JP,U)
【文献】特開2005-154099(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
G01F 23/292
B65G 65/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側と下流側の上方に空間を有して、資材を貯蔵する横型の容器内の上部を撮影可能であって、前記容器内の上流側の上方及び下流側の上方に配置されたカメラに接続された制御部と、
前記資材の在庫量を記録する在庫情報記憶部と、
前記下流側に前記資材の使用量の重量計測部と、を備えた資材管理システムであって、
前記制御部が、
前記カメラから、前記容器内に平坦化されて貯蔵された資材の上部空隙について前記上流側の上部空隙及び前記下流側の上部空隙を撮影した撮影画像を取得し、
前記撮影画像を用いて、前記上部空隙の空間体積を算出し、
前記容器の全体体積から前記空間体積を差し引くことにより、前記資材の比重を用いて、前記資材の在庫量を算出して、前記在庫情報記憶部に記録し、
前記重量計測部から前記使用量を取得した場合、前記在庫情報記憶部に記録された在庫量から前記使用量を差し引くことで、現在の在庫量を算出することを特徴とする資材管理システム。
【請求項2】
前記制御部が、前記容器内に前記資材の充填時に、前記撮影画像を取得することを特徴とする請求項1に記載の資材管理システム。
【請求項3】
前記制御部が、
前記容器の上流側の第1撮影画像と、下流側の第2撮影画像とを取得し、
前記第1撮影画像及び前記第2撮影画像を用いて、前記上部空隙の空間体積を算出して、前記在庫情報記憶部に記録することを特徴とする請求項1又は2に記載の資材管理システム。
【請求項4】
前記容器内には、前記容器の構造部材が配置されており、
前記制御部が、前記容器内の上部空隙で、前記資材から露出する前記構造部材の高さを算出し、
前記構造部材の高さを用いて、前記上部空隙の空間体積を算出することを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の資材管理システム。
【請求項5】
前記制御部が、前記資材の使用予定の予定日及び予定量が記録された予定管理レコードを用いて、前記在庫情報記憶部に記録された現在の在庫量から、前記予定量を差し引いて、将来の在庫量が基準値以下となる前記予定日を次回の納入日時として特定し、前記納入日時についての注文票を生成して出力することを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の資材管理システム。
【請求項6】
上流側と下流側の上方に空間を有して、資材を貯蔵する横型の容器内の上部を撮影可能であって、前記容器内の上流側の上方及び下流側の上方に配置されたカメラに接続された制御部と、
前記資材の在庫量を記録する在庫情報記憶部と、
前記下流側に前記資材の使用量の重量計測部と、を備えた資材管理システムを用いて、前記資材を管理する方法であって、
前記制御部が、
前記カメラから、前記容器内に平坦化されて貯蔵された資材の上部空隙について前記上流側の上部空隙及び前記下流側の上部空隙を撮影した撮影画像を取得し、
前記撮影画像を用いて、前記上部空隙の空間体積を算出し、
前記容器の全体体積から前記空間体積を差し引くことにより、前記資材の比重を用いて、前記資材の在庫量を算出して、前記在庫情報記憶部に記録し、
前記重量計測部から前記使用量を取得した場合、前記在庫情報記憶部に記録された在庫量から前記使用量を差し引くことで、現在の在庫量を算出することを特徴とする資材管理方法。
【請求項7】
上流側と下流側の上方に空間を有して、資材を貯蔵する横型の容器内の上部を撮影可能であって、前記容器内の上流側の上方及び下流側の上方に配置されたカメラに接続された制御部と、
前記資材の在庫量を記録する在庫情報記憶部と、
前記下流側に前記資材の使用量の重量計測部と、を備えた資材管理システムを用いて、前記資材を管理するプログラムであって、
前記制御部を、
前記カメラから、前記容器内に平坦化されて貯蔵された資材の上部空隙について前記上流側の上部空隙及び前記下流側の上部空隙を撮影した撮影画像を取得し、
前記撮影画像を用いて、前記上部空隙の空間体積を算出し、
前記容器の全体体積から前記空間体積を差し引くことにより、前記資材の比重を用いて、前記資材の在庫量を算出して、前記在庫情報記憶部に記録し、
前記重量計測部から前記使用量を取得した場合、前記在庫情報記憶部に記録された在庫量から前記使用量を差し引くことで、現在の在庫量を算出する手段として機能させることを特徴とする資材管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内に貯蔵されたセメント等の資材を管理するための資材管理システム、資材管理方法及び資材管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
シールド工事等では、加泥材や裏込め注入材を裏込めセメントで製造する際に、横型サイロにストックされたセメント系およびベントナイト系の粉体材料を使用している。通常、納入伝票による入荷量と、パッチごとのロードセル計量による使用量の差し引きで在庫量を管理しているが、計量誤差が生じた場合、的確な在庫管理が困難である。そのため、横型サイロの天井に設置してある点検口から在庫量を確認する作業が必要であり、手間がかかる。
【0003】
そこで、画像を用いた粉粒体の管理技術も検討されている(例えば、特許文献1、2参照。)。特許文献1に記載された技術では、カメラの自動焦点機能を用いて、粉粒体の紛面を計測する。また、特許文献2に記載された技術では、撮影画像と撮影時の容器内の粉体量とを教師データとする機械学習により生成された粉体量推定モデルを用いて、撮影画像から粉体量を推定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭59-042416号公報
【文献】特開2020-193923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、セメント系の粉体材料は、空気中に含まれる水分の影響を受けて、部分的に固化性状を示すことがある。この場合、端部が自立したり、局所的に穴があいたりするような減り方をすることがある。
【0006】
図8に示すように、リブ11を備えたサイロ10では、投入口12から投入されたセメントM1をスクリュー13で搬送し、吐き出し口14から排出する。このようなサイロ10では、中央領域に大きな窪みD1が生じることがある。
【0007】
また、図9に示すように、谷状の窪みD2が生成されることもある。
図10は、サイロ10内を撮影した画像P01である。この画像P01では、中央部に大きな窪みが生じており、窪みの状態(形状や大きさ等)を把握することができない。
【0008】
図11に示す画像P02においては、サイロ10内に複数の山谷が生じていることを把握することができる。
図10図11に示すように、サイロ内においてカメラの死角になる部分が生じた場合、サイロ内の粉粒体材料の在庫量を正確に推定することが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する資材管理システムは、資材を貯蔵する容器内の上部を撮影可能なカメラに接続された制御部と、前記資材の在庫量を記録する在庫情報記憶部と、を備える。そして、前記制御部は、前記カメラから、容器内に平坦化されて貯蔵された資材の上部空隙の撮影画像を取得し、前記撮影画像を用いて、上部空隙の空間体積を算出し、前記容器の全体体積から前記空間体積を差し引いて、前記資材の在庫量を算出して、前記在庫情報記憶部に記録する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、容器内に貯蔵された資材を的確に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態における資材管理システムの説明図。
図2】実施形態におけるハードウェア構成の説明図。
図3】実施形態における処理手順の説明図。
図4】実施形態におけるサイロ内の上部空隙の説明図。
図5】実施形態における充填時の上流側の撮影画像の説明図。
図6】実施形態における充填時の下流側の撮影画像の説明図。
図7】実施形態における処理手順の説明図。
図8】従来技術におけるセメントの貯蔵状態の説明図。
図9】従来技術におけるセメントの貯蔵状態の説明図。
図10】従来技術におけるセメントの貯蔵状態の撮影画像の説明図。
図11】従来技術におけるセメントの貯蔵状態の撮影画像の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図1図7を用いて、資材管理システム、資材管理方法及び資材管理プログラムを具体化した一実施形態を説明する。本実施形態では、容器内に貯蔵されて、建設現場で用いるセメント(資材としての粉粒体)の管理を行なう。ここでは、画像計測時処理(第1計測処理)及び重量計測時処理(第2計測処理)を用いて、セメントの在庫量を管理する。
【0013】
図1に示すように、資材管理システムとしての管理サーバ20を用いて、サイロ10内(容器内)に貯蔵されたセメントM1の管理を行なう。このサイロ10には、構造を補強する複数の縦リブ11a、11b(構造部材)を備える。更に、サイロ10は、投入口12、スクリュー13、吐き出し口14を備える。投入口12からサイロ10内に投入されたセメントM1は、スクリュー13によって搬送されて、吐き出し口14からサイロ10の外部に排出される。
【0014】
(ハードウェア構成例)
図2は、管理サーバ20として機能する情報処理装置H10のハードウェア構成例である。
【0015】
情報処理装置H10は、通信装置H11、入力装置H12、表示装置H13、記憶装置H14、プロセッサH15を有する。なお、このハードウェア構成は一例であり、他のハードウェアを有していてもよい。
【0016】
通信装置H11は、他の装置との間で通信経路を確立して、データの送受信を実行するインタフェースであり、例えばネットワークインタフェースや無線インタフェース等である。
【0017】
入力装置H12は、管理者等からの入力を受け付ける装置であり、例えばマウスやキーボード等である。表示装置H13は、各種情報を表示するディスプレイやタッチパネル等である。
【0018】
記憶装置H14は、管理サーバ20の各種機能を実行するためのデータや各種プログラムを格納する記憶装置である。記憶装置H14の一例としては、ROM、RAM、ハードディスク等がある。
【0019】
プロセッサH15は、記憶装置H14に記憶されるプログラムやデータを用いて、管理サーバ20における各処理(例えば、後述する制御部21における処理)を制御する。プロセッサH15の一例としては、例えばCPUやMPU等がある。このプロセッサH15は、ROM等に記憶されるプログラムをRAMに展開して、各種処理に対応する各種プロセスを実行する。例えば、プロセッサH15は、管理サーバ20のアプリケーションプログラムが起動された場合、各処理を実行するプロセスを動作させる。
【0020】
プロセッサH15は、自身が実行するすべての処理についてソフトウェア処理を行なうものに限られない。例えば、プロセッサH15は、自身が実行する処理の少なくとも一部についてハードウェア処理を行なう専用のハードウェア回路(例えば、特定用途向け集積回路:ASIC)を備えてもよい。プロセッサH15は、以下で構成し得る。
【0021】
(1)コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサ
(2)各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する1つ以上の専用のハードウェア回路、或いは
(3)それらの組み合わせ、を含む回路(circuitry)
プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード又は指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
【0022】
(資材管理システムの機能)
サイロ10内には、カメラ20a,20bを備える。カメラ20aは、投入口12が配置された上流側からサイロ10内の内部空間を撮影可能な撮像手段である。そして、カメラ20aは、撮影画像に、上流側の縦リブ11aが写り込むように配置されている。また、カメラ20bは、吐き出し口14が配置された下流側からサイロ10内の内部空間を撮影可能な撮像手段である。そして、カメラ20bは、撮影画像に、下流側の縦リブ11bが写り込むように配置されている。なお、カメラ20a,20bは、サイロ10内の上部空隙を少なくとも撮影するように配置されている。
【0023】
また、サイロ10は、吐き出し口14から排出されたセメントの重量を計測するロードセル20c(計測部)を備える。
更に、カメラ20a,20b、ロードセル20cは、ネットワークを介して管理サーバ20に接続されている。
【0024】
管理サーバ20は、制御部21、予定情報記憶部22、在庫情報記憶部23を備える。
制御部21は、資材管理プログラムを実行することにより、充填管理部210、画像処理部211、在庫管理部212として機能する。
【0025】
充填管理部210は、セメントM1の充填時に、在庫量を管理する処理を実行する。充填管理部210は、サイロ10内の全体体積V0、セメントの比重γに関する情報を保持している。
画像処理部211は、サイロ10の内部空間の画像を用いて、在庫量を算出する処理を実行する。
在庫管理部212は、排出されたセメントM1の重量を用いて、在庫量を管理する処理を実行する。また、在庫管理部212は、セメントを補充するための基準値を記憶している。在庫管理部212は、サイロ10内のセメントM1の重量(現在の在庫量)の情報と、工程表から得られる使用量の予定情報から、将来の在庫量が基準値以下となる日時を計算し、次回の納入日時を決定して注文票を作成する。
【0026】
予定情報記憶部22には、建設現場においてセメントM1の使用予定の重量に関する予定管理レコードが記録される。この予定管理レコードは、セメントM1の使用予定が登録された場合に記録される。この予定管理レコードには、予定日に関連付けて予定量に関するデータが記録される。
【0027】
予定日データ領域には、セメントM1の使用予定の年月日に関するデータが記録される。
予定量データ領域には、この予定日に使用するセメントM1の重量に関するデータが記録される。
【0028】
在庫情報記憶部23には、サイロ10内のセメントM1の重量(在庫量)を計測した在庫管理レコードが記録される。この在庫管理レコードは、在庫量に関する情報を取得した場合に記録される。この計測管理レコードには、計測日時、在庫量に関するデータが記録される。
【0029】
計測日時データ領域には、在庫量を算出した年月日及び時刻に関するデータが記録される。
在庫量データ領域には、サイロ10内の在庫されているセメントの重量に関するデータが記録される。
【0030】
(画像計測時処理)
次に、図3を用いて、画像計測時処理(第1計測処理)を説明する。この処理は、サイロ10にセメントM1に充填した場合に行なわれる。
【0031】
まず、管理サーバ20の制御部21は、充填完了検知処理を実行する(ステップS101)。具体的には、制御部21の充填管理部210は、サイロ10へのセメントM1の充填完了を検知する。例えば、この充填完了は、投入口12におけるセメントM1の流れを検知して、この流れの停止を検知することにより、充填完了を検知する。このセメントM1の充填により、サイロ10内のセメントM1表面が平坦化される。
【0032】
次に、管理サーバ20の制御部21は、待機処理を実行する(ステップS102)。具体的には、制御部21の充填管理部210は、充填完了を検知してから、所定時間の待機を行なう。この所定時間は、充填時にサイロ10内に舞い上がったセメントが落ち着くまでに要する時間である。この待機により、カメラ20a,20bにより、サイロ10内を視認できる状態になる。
【0033】
次に、管理サーバ20の制御部21は、画像取得処理を実行する(ステップS103)。具体的には、制御部21の画像処理部211は、カメラ20a,20bから、それぞれサイロ10内の撮影画像を取得する。
【0034】
次に、管理サーバ20の制御部21は、空間体積の算出処理を実行する(ステップS104)。
ここでは、図4に示す上部空隙SP1の空間体積を算出する。
具体的には、まず、制御部21の画像処理部211は、カメラ20a,20bから取得した撮影画像を用いて、セメントM1が充填されたサイロ10内の上部空隙の高さを算出する。
【0035】
図5に示す画像P10は、カメラ20aによって撮影されたサイロ10の上流側の第1撮影画像である。画像処理部211は、画像P10においてサイロ10の両側で、セメントM1から露出している縦リブ11aの高さHa1,Ha2を算出する。例えば、エッジ検出処理により、縦リブ11aを特定し、その高さを算出する。
【0036】
図6に示す画像P20は、カメラ20bによって撮影されたサイロ10の下流側の第2撮影画像である。画像処理部211は、画像P20においてサイロ10の両側でセメントM1から露出している縦リブ11bの高さHb1,Hb2を算出する。例えば、エッジ検出処理により、縦リブ11bを特定し、その高さを算出する。
【0037】
そして、画像処理部211は、下記式により、上流側の表面位置までの空間の高さHa0、下流側の表面位置までの空間の高さHb0を推定する。
Ha0=(Ha1+Ha2)/2
Hb0=(Hb1+Hb2)/2
この場合、図4に示すように、サイロ10の上部でセメントM1が埋まっていない上部空隙SP1の体積V1を、四角錐台と想定して下記式で概算する。
V1=B1×L1×(Ha0+Hb0)/2
ここで、B1はサイロ10内の空幅、L1はサイロ10内の空長さである。なお、縦リブ11a,11bは、空長さL1に対して十分にサイロ10の端部に近い場合を想定する。
【0038】
サイロ10内の全体体積V0を用いることにより、セメントM1の充填体積V2は、下記式で算出される。
V2=V0-V1
【0039】
次に、管理サーバ20の制御部21は、在庫量の記録処理を実行する(ステップS105)。具体的には、制御部21の充填管理部210は、セメントM1の比重γを用いて、在庫量W(重量)を算出する。
W=V2・γ
【0040】
そして、充填管理部210は、計測日時(現在日時)、算出した在庫量Wを記録した在庫管理レコードを生成し、在庫情報記憶部23に記録する。
【0041】
(重量計測時処理)
次に、図7を用いて、重量計測時処理(第2計測処理)を説明する。この処理は、セメントの使用のための排出時に行なわれる。
【0042】
まず、管理サーバ20の制御部21は、使用量の取得処理を実行する(ステップS201)。具体的には、制御部21の在庫管理部212は、吐き出し口14から排出されたセメントの重量(使用量)を、ロードセル20cから取得する。
【0043】
次に、管理サーバ20の制御部21は、在庫量の算出処理を実行する(ステップS202)。具体的には、制御部21の在庫管理部212は、直近の在庫管理レコードに記録された在庫量から使用量を差し引いた重量を算出する。そして、在庫管理部212は、計測日時(現在日時)、算出した重量を記録した在庫管理レコードを生成し、在庫情報記憶部23に記録する。
【0044】
次に、管理サーバ20の制御部21は、注文票の作成処理を実行する(ステップS203)。具体的には、制御部21の在庫管理部212は、現在の在庫量と、所定期間内の予定日が記録された予定管理レコードの予定量とから、将来の在庫量が基準値以下となる日時を予定情報記憶部22において特定する。そして、在庫管理部212は、次回の納入日時を特定し、注文票を生成して出力する。なお、現場の進捗の影響でセメントの使用量が予定管理レコードの予定量よりも少なく、特定した注文日時までに在庫量が基準値を下回らないことが判明した場合、注文日時を再計算し、注文変更を行なう。
【0045】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、管理サーバ20の制御部21は、充填完了検知処理(ステップS101)、待機処理(ステップS102)を実行する。これにより、充填によって舞い上がったセメントM1が落ち着いて、セメントM1の上部空隙をはっきりと撮影できる段階で撮影画像を取得することができる。
【0046】
(2)本実施形態では、管理サーバ20の制御部21は、画像取得処理を実行する(ステップS103)。これにより、セメントM1が充填されていない上部空隙SP1(空間領域)の状態を把握することができる。セメントM1の減り方は毎回異なるが、セメントM1の納入直後には、局所的な穴や切り立った部分にセメントM1が詰まり、投入口12から奥(反対の吐き出し口側)に向かってほぼ一定勾配で平らに充填される。このため、上部空隙SP1の空間体積を容易に特定できる。
【0047】
ここでは、セメントM1から露出している縦リブ11a,11bの高さを算出する。これにより、セメントM1に覆われたサイロ10内で、高さ方向に延在する特徴的な部材を用いて、上部空隙SP1の高さを特定することができる。
【0048】
(3)本実施形態では、管理サーバ20の制御部21は、空間体積の算出処理(ステップS104)、在庫量の記録処理(ステップS105)を実行する。上部空隙SP1には障害物がなく、カメラ20a,20bで見通せることができるので、上部空隙SP1の空間体積を特定することにより、セメントM1が充填されている空間の体積を推定することができる。
【0049】
(4)本実施形態では、管理サーバ20の制御部21は、使用量の取得処理(ステップS201)、在庫量の算出処理(ステップS202)を実行する。これにより、使用量に基づいて在庫量を把握することができる。
(5)本実施形態では、管理サーバ20の制御部21は、注文票の作成処理を実行する(ステップS203)。これにより、効率的に注文を行なうことができる。
【0050】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0051】
・上記実施形態においては、管理サーバ20を用いて、資材管理プログラムとしてのサイロ10内に貯蔵されたセメントM1の管理を行なう。本発明は、サイロ10内のセメントM1の在庫量の管理に限らない。例えば、閉鎖した空間内において流動する粉粒体が、使用状況に応じて残量の形状が変化する資材の在庫量管理に適用することができる。
【0052】
・上記実施形態においては、サイロ10内には、カメラ20a,20bを備える。カメラの配置は、これに限定されるものではない。例えば、下流側に配置されて、下流側から上流側を撮影可能な1台のカメラ20bを用いて、上流側及び下流側の縦リブ11a,11bを特定するようにしてもよい。更に多くのカメラを配置して、セメントの表面位置の分布を特定するようにしてもよい。
【0053】
・上記実施形態においては、管理サーバ20の制御部21は、充填完了検知処理を実行する(ステップS101)。充填完了の検知方法は、これに限定されるものではない。例えば、管理サーバ20の制御部21が、作業者によって入力された完了情報を取得するようにしてもよい。
【0054】
・上記実施形態においては、管理サーバ20の制御部21は、待機処理を実行する(ステップS102)。ここでは、所定時間を待機する。待機方法は、時間を用いる場合に限定されるものではない。例えば、カメラからサイロ10内の撮影画像を取得し、画像処理により、縦リブの検出の可否を判定するようにしてもよい。縦リブを検出できた場合、待機処理を終了する。
【0055】
・上記実施形態においては、管理サーバ20の制御部21は、空間体積の算出処理を実行する(ステップS104)。ここでは、縦リブ11a,11bに画像を用いて、露出高さを算出する。空間体積の算出方法は、これに限定されるものではない。例えば、空間体積の算出に用いる構造部材は、縦リブ11a,11bに限定されるものではなく、充填により一部が埋まる構造部材を用いることができる。また、露出高さの算出方法も、例えば、セメントの表面画像と、空間体積の実測値とからなる教師データを用いて機械学習により、表面画像から区間体積を推定する予測モデルを生成するようにしてもよい。
【0056】
・上記実施形態においては、管理サーバ20の制御部21は、充填完了検知処理を実行する(ステップS101)。ここで、サイロ10を振動させて、表面を平にするようにしてもよい。この場合には、サイロ10に設けられたバイブレータを動作させる。これにより、サイロ10内のセメントM1を、更に平坦にできる。
【0057】
・上記実施形態においては、セメントM1の充填時に画像計測時処理(第1計測処理)を実行する。画像計測時処理の実行タイミングは、サイロ10内のセメントが平坦であれば、充填時に限定されるものではない。例えば、途中にバイブレータを動作させて、セメントを平坦にした後で、画像計測時処理を実行するようにしてもよい。
【0058】
・上記実施形態においては、管理サーバ20の制御部21は、使用量の取得処理を実行する(ステップS201)。この場合、ロードセル20cを用いる。使用量の取得方法は、ロードセルを用いる方法に限定されるものではない。
・上記実施形態においては、画像計測時処理(第1計測処理)の後で、重量計測時処理(第2計測処理)を行なった。ここで、画像計測時処理の待機中(ステップS102)に、粉粒体を使用してもよい。この場合には、重量計測時処理で計測した重量を、取得した画像を用いて算出した在庫量から減算して、充填時の在庫量を特定する。
【0059】
・上記実施形態においては、管理サーバ20の制御部21は、空間体積の算出処理を実行する(ステップS104)。この場合、両側の縦リブ11a,11bの平均値(Ha0,Hb0)を用いる。上部空隙SP1の高さの特定方法は、平均値を用いる方法に限定されるものではない。例えば、画像処理部211が、リブをマーカとして、カメラからリブまでの距離を算出し、この距離に応じた焦点深度で、セメントの表面形状を特定してもよい。そして、画像処理部211は、この表面形状の統計処理により、上部空隙の高さを特定するようにしてもよい。
【0060】
・上記実施形態においては、管理サーバ20の制御部21は、注文票の作成処理を実行する(ステップS203)。ここで、在庫管理部212が、作成した注文票を、発注先に送信するようにしてもよい。この場合には、在庫管理部212に、発注先の送信先情報を保持させておく。
【符号の説明】
【0061】
10…サイロ、11,11a,11b…縦リブ、12…投入口、13…スクリュー、14…吐き出し口、20…管理サーバ、20a,20b…カメラ、20c…ロードセル、21…制御部、210…充填管理部、211…画像処理部、212…在庫管理部、22…予定情報記憶部、23…在庫情報記憶部。
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