(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-10-14
(45)【発行日】2025-10-22
(54)【発明の名称】イヌの慢性腎臓病のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/68 20060101AFI20251015BHJP
G01N 33/493 20060101ALI20251015BHJP
G16H 50/20 20180101ALI20251015BHJP
G01N 33/70 20060101ALI20251015BHJP
【FI】
G01N33/68
G01N33/493 Z
G16H50/20
G01N33/70
(21)【出願番号】P 2022569480
(86)(22)【出願日】2021-06-01
(86)【国際出願番号】 US2021035219
(87)【国際公開番号】W WO2021247550
(87)【国際公開日】2021-12-09
【審査請求日】2023-01-30
(32)【優先日】2020-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390037914
【氏名又は名称】マース インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】MARS INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドリー,リチャード
(72)【発明者】
【氏名】タゴポロス,イリアス
【審査官】北条 弥作子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0038203(US,A1)
【文献】国際公開第2019/144081(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/018463(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0200066(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0210667(US,A1)
【文献】国際公開第2018/222865(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0122966(US,A1)
【文献】特開2015-141201(JP,A)
【文献】IDEXX Japan,犬猫の慢性腎臓病の診断、ステージング及び治療,IRIS CKD ガイドライン,2011年06月15日,https://www.idexx.co.jp/files/iris-pocket-guide-jp.pdf
【文献】[獣医師監修]高齢犬に多い慢性腎不全 症状から食事や予防について徹底解説,[獣医師監修]高齢犬に多い慢性腎不全 じわじわ悪化 | 動物のきもち,2019年10月26日,https://asamin.tokyo.jp/犬/19-inuno-manseijinhuzen.html
【文献】Anik Saha, et al.,Performance Measurements of Machine Learning Approaches for Prediction and Diagnosis of Chronic Kidney Disease (CKD) ,Proceedings of the 7th International Conference oand Communications Management,2019年07月27日,p.200-204 ,https://doi.org/10.1145/3348445.3348462
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48~33/98
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イヌの慢性腎臓病(CKD)の発症に対する感受性を特定するコンピュータシステムであって、該コンピュータシステムが、
プロセッサ;及び
前記プロセッサによって実行されると、前記コンピュータシステムに、
(a)(i)前記イヌの1つ以上のバイオマーカーであって、尿比重、クレアチニン、尿タンパク質
および血中尿素窒素(BUN
)に関する情報を含む、1つ以上のバイオマーカー;および
(ii)前記イヌの人口統計情報であって、前記イヌの
年齢、体重およびサイズを少なくとも含む、人口統計情報;を受信させ、
(b)回帰型ニューラルネットワークを含む予測モデルを使用して前記1つ以上のバイオマーカーおよび前記イヌの人口統計情
報を処理させ、かつ
(c)前記処理された1つ以上のバイオマーカーおよび人口統計情報に基づいて、前記イヌがCKDを発症する確率リスクスコアを決定させる、
コードを格納するメモリ
を含み、
前記1つ以上のバイオマーカー又は前記イヌの人口統計情
報は、前記回帰型ニューラルネットワークを使用したトップダウン又はボトムアップラッパー法に
より選択される、コンピュータシステム。
【請求項2】
前記コンピュータシステムに、
前記イヌがCKDを発症する確率リスクに基づいてカスタマイズされた推奨事項を決定させる、
請求項1に記載のコンピュータシステム。
【請求項3】
前記コンピュータシステムに、
前記イヌの獣医師、飼い主、又は介護者のユーザ機器に前記カスタマイズされた推奨事項を送信させる、
請求項2に記載のコンピュータシステム。
【請求項4】
前記カスタマイズされた推奨事項が、
(a)1つ以上の治療的介入;
(b)1つ以上の食事に関する推奨事項;
(c)1つ以上の腎温存戦略;又は
(d)疾患の進行についての1つ以上の検査
のうちの少なくとも1つを含む、請求項2又は3に記載のコンピュータシステム。
【請求項5】
(i)前記1つ以上の腎温存戦略が、非ステロイド系抗炎症薬、アミノグリコシド、又はそれらの任意の組合せの回避を含む;及び/又は
(ii)前記疾患の進行についての1つ以上の検査が、血清副甲状腺ホルモンレベルの検査を含む、
請求項4に記載のコンピュータシステム。
【請求項6】
前記回帰型ニューラルネットワークが、5つのノードを有する第1の層、3つのノードを有する第2の層、及び3つのノードを有する第3の層を含む、3つの層を有する隠れ層アーキテクチャを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のコンピュータシステム。
【請求項7】
前記回帰型ニューラルネットワークが、10分割の交差検証プロセスを経験し、8又は18のエポックにわたってトレーニングされる、請求項1から6のいずれか一項に記載のコンピュータシステム。
【請求項8】
前記1つ以上のバイオマーカーが、アミラーゼに関する情報を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のコンピュータシステム。
【請求項9】
前記回帰型ニューラルネットワークが、複数の他のイヌの前記1つ以上のバイオマーカー及び前記人口統計情報を含むトレーニングデータセットを使用してトレーニングされる、請求項1から8のいずれか一項に記載のコンピュータシステム。
【請求項10】
前記予測モデルが、長・短期記憶(LSTM)を有する前記回帰型ニューラルネットワークをさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のコンピュータシステム。
【請求項11】
前記回帰型ニューラルネットワークを使用した前記CKDの発症の決定閾値が約0から約1である、請求項1から10のいずれか一項に記載のコンピュータシステム。
【請求項12】
前記回帰型ニューラルネットワークを使用した前記CKDの発症の決定閾値が約0.5である、請求項1から10のいずれか一項に記載のコンピュータシステム。
【請求項13】
前記コンピュータシステムに、
前記イヌの1つ以上のバイオマーカー又は前記イヌの人口統計情報からの1つ以上の欠測値を代入させる、
請求項1から12のいずれか一項に記載のコンピュータシステム。
【請求項14】
前記代入が線形回帰である、請求項13に記載のコンピュータシステム。
【請求項15】
前記代入が前記イヌの年齢に基づいている、請求項13に記載のコンピュータシステム。
【請求項16】
前記代入が前記欠測値の数に基づいて算出される、請求項13に記載のコンピュータシステム。
【請求項17】
イヌの慢性腎臓病(CKD)の発症に対する感受性を特定する方法であって、
(a)(i)前記イヌの1つ以上のバイオマーカーであって、尿比重、クレアチニン、尿タンパク質
および血中尿素窒素(BUN
)に関する情報を含む、1つ以上のバイオマーカー;および
(ii)前記イヌの人口統計情報であって、前記イヌの
年齢、体重およびサイズを少なくとも含む、人口統計情報;を受信するステップ、
(b)予測モデルを使用して前記1つ以上のバイオマーカーおよび前記イヌの人口統計情
報を処理するステップであって、前記予測モデルが回帰型ニューラルネットワークを含む、ステップ、及び
(c)前記処理された1つ以上のバイオマーカーおよび人口統計情報に基づいて、前記イヌがCKDを発症する確率リスクスコアを決定するステップ
を含み、
前記1つ以上のバイオマーカー又は前記イヌの人口統計情
報は、前記回帰型ニューラルネットワークを使用したトップダウン又はボトムアップラッパー法に
より選択される、方法。
【請求項18】
前記イヌがCKDを発症する確率リスクに基づいてカスタマイズされた推奨事項を決定するステップ
をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記イヌの獣医師、飼い主、又は介護者のユーザ機器に前記カスタマイズされた推奨事項を送信するステップ
をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記カスタマイズされた推奨事項が、
(a)1つ以上の治療的介入;
(b)1つ以上の食事に関する推奨事項;
(c)1つ以上の腎温存戦略;又は
(d)疾患の進行についての1つ以上の検査
のうちの少なくとも1つを含む、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
(i)前記1つ以上の腎温存戦略が、非ステロイド系抗炎症薬、アミノグリコシド、又はそれらの任意の組合せの回避を含む;及び/又は
(ii)前記疾患の進行についての1つ以上の検査が、血清副甲状腺ホルモンレベルの検査を含む、
請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記回帰型ニューラルネットワークが、21つのノードを有する第1の層、3つのノードを有する第2の層、及び3つのノードを有する第3の層を含む、3つの層を有する隠れ層アーキテクチャを含む、請求項17から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記回帰型ニューラルネットワークが、10分割の交差検証プロセスを経験し、8又は18のエポックにわたってトレーニングされる、請求項17から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記1つ以上のバイオマーカーが、アミラーゼに関する情報を含む、請求項17から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記回帰型ニューラルネットワークが、複数の他のイヌの前記1つ以上のバイオマーカー及び前記人口統計情報を含むトレーニングデータセットを使用してトレーニングされる、請求項17から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記予測モデルが、長・短期記憶(LSTM)を備えた前記回帰型ニューラルネットワークをさらに含む、請求項17から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記回帰型ニューラルネットワークを使用した前記CKDの発症の決定閾値が約0.0から約1.0である、請求項17から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記回帰型ニューラルネットワークを使用した前記CKDの発症の決定閾値が約0.5である、請求項17から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記イヌの1つ以上のバイオマーカー又は前記イヌの人口統計情報からの1つ以上の欠測値を代入するステップ
をさらに含む、請求項17から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記代入が線形回帰である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記代入が前記イヌの年齢に基づいている、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記代入が前記欠測値の数に基づいて算出される、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
イヌの慢性腎臓病(CKD)の発症に対する感受性を特定するコンピュータシステムであって、該コンピュータシステムが、
プロセッサ;及び
前記プロセッサによって実行されると、前記コンピュータシステムに、
(a)(i)前記イヌの1つ以上のバイオマーカーであって、尿比重、クレアチニン、尿タンパク質
および血中尿素窒素(BUN
)に関する情報を含む、1つ以上のバイオマーカー;および
(ii)前記イヌの人口統計情報であって、前記イヌの
年齢、体重およびサイズを少なくとも含む、人口統計情報を受信させ、
(b)5つのノードを有する第1の層、3つのノードを有する第2の層、及び3つのノードを有する第3の層を含む3つの層を有する隠れ層アーキテクチャを含む回帰型ニューラルネットワークを含む、予測モデルを使用して、前記1つ以上のバイオマーカーおよび前記イヌの人口統計情
報を処理させ、かつ
(c)前記処理された1つ以上のバイオマーカーおよび人口統計情報に基づいて、前記イヌがCKDを発症する確率リスクスコアを決定させる、
コードを格納するメモリ
を含み、
前記1つ以上のバイオマーカー又は前記イヌの人口統計情
報は、前記回帰型ニューラルネットワークを使用したトップダウン又はボトムアップラッパー法に
より選択される、コンピュータシステム。
【請求項34】
前記コンピュータシステムに、
前記イヌがCKDを発症する確率リスクに基づいてカスタマイズされた推奨事項を決定させる、
請求項33に記載のコンピュータシステム。
【請求項35】
前記コンピュータシステムに、
前記イヌの獣医師、飼い主、又は介護者のユーザ機器に前記カスタマイズされた推奨事項を送信させる、
請求項34に記載のコンピュータシステム。
【請求項36】
前記カスタマイズされた推奨事項が、
(a)1つ以上の治療的介入;
(b)1つ以上の食事に関する推奨事項;
(c)1つ以上の腎温存戦略;又は
(d)疾患の進行についての1つ以上の検査
のうちの少なくとも1つを含む、請求項34又は35に記載のコンピュータシステム。
【請求項37】
(i)前記1つ以上の腎温存戦略が、非ステロイド系抗炎症薬、アミノグリコシド、又はそれらの任意の組合せの回避を含む;及び/又は
(ii)前記疾患の進行についての1つ以上の検査が、血清副甲状腺ホルモンレベルの検査を含む、
請求項36に記載のコンピュータシステム。
【請求項38】
前記1つ以上のバイオマーカーが、アミラーゼに関する情報を含む、請求項33から37のいずれか一項に記載のコンピュータシステム。
【請求項39】
前記回帰型ニューラルネットワークが、複数の他のイヌの前記1つ以上のバイオマーカー及び前記人口統計情報を含むトレーニングデータセットを使用してトレーニングされる、請求項33から38のいずれか一項に記載のコンピュータシステム。
【請求項40】
前記予測モデルが、長・短期記憶(LSTM)を有する前記回帰型ニューラルネットワークをさらに含む、請求項33から39のいずれか一項に記載のコンピュータシステム。
【請求項41】
前記回帰型ニューラルネットワークを使用した前記CKDの発症の決定閾値が約0.0から約1.0である、請求項33から40のいずれか一項に記載のコンピュータシステム。
【請求項42】
前記回帰型ニューラルネットワークを使用した前記CKDの発症の決定閾値が約0.5である、請求項33から41のいずれか一項に記載のコンピュータシステム。
【請求項43】
前記回帰型ニューラルネットワークが、10分割の交差検証プロセスを経験し、8又は18のエポックにわたってトレーニングされる、請求項33から42のいずれか一項に記載のコンピュータシステム。
【請求項44】
前記コンピュータシステムに、
前記イヌの1つ以上のバイオマーカー又は前記イヌの人口統計情報からの1つ以上の欠測値を代入させる、
請求項33から43のいずれか一項に記載のコンピュータシステム。
【請求項45】
前記代入が線形回帰である、請求項44に記載のコンピュータシステム。
【請求項46】
前記代入が前記イヌの年齢に基づいている、請求項44に記載のコンピュータシステム。
【請求項47】
前記代入が前記欠測値の数に基づいて算出される、請求項44に記載のコンピュータシステム。
【請求項48】
イヌの慢性腎臓病(CKD)の発症に対する感受性を特定する方法であって、
(a)(i)前記イヌの1つ以上のバイオマーカーであって、尿比重、クレアチニン、尿タンパク質
および血中尿素窒素(BUN
)に関する情報を含む、1つ以上のバイオマーカー;および
(ii)前記イヌの人口統計情報であって、前記イヌの
年齢、体重およびサイズを少なくとも含む、人口統計情報;を受信するステップ、
(b)予測モデルを使用して前記1つ以上のバイオマーカーおよび前記イヌの人口統計情
報を処理するステップであって、前記予測モデルが、回帰型ニューラルネットワークを含み、該回帰型ニューラルネットワークが、5つのノードを有する第1の層、3つのノードを有する第2の層、及び3つのノードを有する第3の層を含む3つの層を有する隠れ層アーキテクチャを含む、ステップ;及び
(c)前記処理された1つ以上のバイオマーカーおよび人口統計情報に基づいて、前記イヌがCKDを発症する確率リスクスコアを決定するステップ
を含み、
前記1つ以上のバイオマーカー又は前記イヌの人口統計情
報は、前記回帰型ニューラルネットワークを使用したトップダウン又はボトムアップラッパー法に
より選択される、方法。
【請求項49】
前記イヌがCKDを発症する確率リスクに基づいてカスタマイズされた推奨事項を決定するステップ
をさらに含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記イヌの獣医師、飼い主、又は犬の介護者のユーザ機器に前記カスタマイズされた推奨事項を送信するステップ
をさらに含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記カスタマイズされた推奨事項が、
(a)1つ以上の治療的介入;
(b)1つ以上の食事に関する推奨事項;
(c)1つ以上の腎温存戦略;又は
(d)疾患の進行についての1つ以上の検査
のうちの少なくとも1つを含む、請求項49又は50に記載の方法。
【請求項52】
(i)前記腎温存戦略が、非ステロイド系抗炎症薬、アミノグリコシド、又はそれらの任意の組合せの回避を含む;及び/又は
(ii)前記疾患の進行についての検査が、血清副甲状腺ホルモンレベルの検査を含む、
請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記1つ以上のバイオマーカーが、アミラーゼに関する情報を含む、請求項48から52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記回帰型ニューラルネットワークが、複数の他のイヌの前記1つ以上のバイオマーカー及び前記人口統計情報を含むトレーニングデータセットを使用してトレーニングされる、請求項48から53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記予測モデルが、長・短期記憶(LSTM)を備えた前記回帰型ニューラルネットワークをさらに含む、請求項48から54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記回帰型ニューラルネットワークを使用した前記CKDの発症の決定閾値が約0.0から約1.0である、請求項48から55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記回帰型ニューラルネットワークを使用した前記CKDの発症の決定閾値が約0.5である、請求項48から56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記回帰型ニューラルネットワークが、10分割の交差検証プロセスを経験し、8又は18のエポックにわたってトレーニングされる、請求項48から57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記イヌの1つ以上のバイオマーカー又は前記イヌの人口統計情報からの1つ以上の欠測値を代入するステップ
をさらに含む、請求項48から58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記代入が線形回帰である、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記代入が前記イヌの年齢に基づいている、請求項59に記載の方法。
【請求項62】
前記代入が前記欠測値の数に基づいて算出される、請求項59に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、その各々の内容がここに参照することによってそれらの全体が本明細書に援用される、2020年6月01日出願の米国仮特許出願第63/033,154号及び2020年6月12日出願の米国仮特許出願第63/038,552号に対する優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本明細書に開示される主題は、慢性腎臓病(CKD)の発症に対するペットの感受性を決定するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
慢性腎疾患又は慢性腎不全としても知られる慢性腎臓病(CKD)は、数ヶ月又は数年にわたる、進行性の腎機能低下である。CKDは、さまざまな条件及び機構によって引き起こされる可能性があり、人間及びペットの両方に影響を及ぼす。イヌ又はイヌ科動物のCKDの発生率は、米国におけるイヌの約0.5~1.0%と推定されているが、既知の素因を有するある特定の品種を含む一部の集団では25%に近づくことが示されている。イヌ又はイヌ科動物のCKDは、ネコ科動物などの他のペットと比較して予後が悪く、生存期間が短いと一般的に考えられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
イヌ又はイヌ科動物のCKDに関連するリスクの増加を所与とすると、CKDの早期発見又は診断に役立つシステム及び方法が依然として必要とされている。さらに、CKDに関連する健康上のリスクを軽減するのに役立つ、カスタマイズされた推奨事項を提供することが、依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ある特定の非限定的な実施態様では、本明細書に開示される主題は、イヌが慢性腎臓病(CKD)を発症する感受性を特定するコンピュータシステムを提供する。該コンピュータシステムには、プロセッサと、該プロセッサによって実行されると、コンピュータシステムに、イヌの1つ以上のバイオマーカーであって、尿比重、クレアチニン、尿タンパク質、血中尿素窒素(BUN)のうちの少なくとも1つに関する情報が含まれうる、1つ以上のバイオマーカー、又はイヌの年齢若しくは体重のうちの少なくとも1つが含まれうる、イヌの人口統計情報、のうちの少なくとも1つを受信させるコードを格納するメモリとが含まれうる。コンピュータシステムは、予測モデルを使用して、イヌの1つ以上のバイオマーカー又は人口統計情報のうちの少なくとも1つを、少なくとも処理させることができる。予測モデルには、回帰型ニューラルネットワークを含めることができる。加えて、処理された1つ以上のバイオマーカーに基づいて、コンピュータシステムに、イヌがCKDを発症する確率リスクスコアを決定させることができる。ある特定の他の非限定的な実施態様では、1つ以上のバイオマーカーは、アミラーゼに関する情報を含みうる。
【0006】
ある特定の非限定的な実施態様では、イヌがCKDを発症する確率リスクに基づいて、コンピュータシステムに、カスタマイズされた推奨事項を決定させることができる。カスタマイズされた推奨事項には、1つ以上の治療的介入、1つ以上の食事に関する推奨事項、1つ以上の腎温存戦略、又は疾患の進行についての1つ以上の検査のうちの少なくとも1つが含まれうる。食事に関する推奨事項には、ペットフード製品などの1つ以上のペット製品の推奨される使用又は1つ以上のペット製品の使用、及び/又はペット製品の任意の組合せの推奨される使用又はペット製品の任意の組合せの使用が含まれうる。さらには、食事に関する推奨事項には、食事の変更の推奨、食事レジメンの推奨、及び/又はイヌ用の栄養補助食品又は医薬品サプリメントなどの補給食の推奨が含まれうる。別の例では、1つ以上の腎温存戦略には、非ステロイド系抗炎症薬、アミノグリコシド、又はそれらの任意の組合せの回避が含まれ、及び/又は疾患の進行についての1つ以上の検査には、血清副甲状腺ホルモンレベルの検査が含まれうる。幾つかの非限定的な実施態様では、カスタマイズされた推奨事項を、イヌの獣医師、飼い主、又は介護者に送信することができる。
【0007】
ある特定の非限定的な実施態様では、回帰型ニューラルネットワークは、3つの層を有する隠れ層アーキテクチャを含みうる。3つの層は、5つのノードを有する第1の層、3つのノードを有する第2の層、及び3つのノードを有する第3の層を含みうる。回帰型ニューラルネットワークは、10分割の交差検証プロセスを経験しうる、及び/又は8又は18のエポックにわたってトレーニングされうる。回帰型ニューラルネットワークを使用したCKDを発症するための決定閾値は、約0.5でありうる。別の例では、回帰型ニューラルネットワークを使用したCKDを発症するための決定閾値は、約0.3から約0.9でありうる。さらに別の例では、決定閾値は、約0から約1の間でありうる。幾つかの非限定的な実施態様では、回帰型ニューラルネットワークは、トレーニングデータセットを使用してトレーニングすることができる。トレーニングデータセットには、1つ以上のバイオマーカー及び複数の他のイヌの人口統計情報が含まれうる。ある特定の非限定的な実施態様では、予測モデルは、長・短期記憶(LSTM)を備えた回帰型ニューラルネットワークをさらに含みうる。
【0008】
ある特定の非限定的な実施態様では、本明細書に開示される主題は、イヌがCKDを発症する感受性を特定する方法を提供する。該方法は、イヌの1つ以上のバイオマーカーであって、尿比重、クレアチニン、尿タンパク質、BUNのうちの少なくとも1つに関する情報を含む、1つ以上のバイオマーカー、又はイヌの年齢若しくは体重のうちの少なくとも1つを含みうる、イヌの人口統計情報のうちの少なくとも1つを受信するステップを含みうる。該方法はまた、予測モデルを使用してイヌの1つ以上のバイオマーカー又は人口統計情報の少なくとも1つを処理することも含みうる。予測モデルには、回帰型ニューラルネットワークを含めることができる。加えて、該方法は、処理された1つ以上のバイオマーカーに基づいて、イヌがCKDを発症する確率リスクスコアを決定するステップを含みうる。
【0009】
ある特定の非限定的な実施態様では、本明細書に開示される主題は、イヌがCKDを発症する感受性を特定するコンピュータシステムを提供する。該コンピュータシステムは、プロセッサと、該プロセッサによって実行されると、コンピュータシステムに、イヌの1つ以上のバイオマーカーであって、尿比重、クレアチニン、尿タンパク質、BUNのうちの少なくとも1つに関する情報を含みうる、1つ以上のバイオマーカー、又はイヌの年齢若しくは体重のうちの少なくとも1つを含みうる、イヌの人口統計情報のうちの少なくとも1つを受信させるコードを格納するメモリとを含む。コンピュータシステムには、予測モデルを使用して、イヌの1つ以上のバイオマーカー又は人口統計情報のうちの少なくとも1つを処理させることもできる。予測モデルには、回帰型ニューラルネットワークを含めることができる。回帰型ニューラルネットワークは、3つの層を有する隠れ層アーキテクチャを含み、この3つの層は、5つのノードを有する第1の層、3つのノードを有する第2の層、及び3つのノードを有する第3の層を含む。加えて、コンピュータシステムに、処理された1つ以上のバイオマーカーに基づいて、イヌがCKDを発症する確率リスクスコアを決定させることもできる。
【0010】
ある特定の非限定的な実施態様では、本明細書に開示される主題は、イヌがCKDを発症する感受性を特定するコンピュータシステムを提供する。該方法は、イヌの1つ以上のバイオマーカーであって、尿比重、クレアチニン、尿タンパク質、BUNのうちの少なくとも1つに関する情報を含みうる、1つ以上のバイオマーカー、又はイヌの年齢若しくは体重のうちの少なくとも1つを含みうる、イヌの人口統計情報のうちの少なくとも1つを受信するステップを含みうる。該方法は、予測モデルを使用して、イヌの1つ以上のバイオマーカー又は人口統計情報のうちの少なくとも1つを処理することを含みうる。予測モデルには、回帰型ニューラルネットワークを含めることができる。回帰型ニューラルネットワークは、3つの層を有する隠れ層アーキテクチャを含み、この3つの層は、5つのノードを有する第1の層、3つのノードを有する第2の層、及び3つのノードを有する第3の層を含む。加えて、該方法は、処理された1つ以上のバイオマーカーに基づいて、イヌがCKDを発症する確率リスクスコアを決定するステップを含みうる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】本明細書に記載されるある特定の実施態様による研究データセットの分布チャート
【
図1B】本明細書に記載されるある特定の実施態様による研究データセットの分布チャート
【
図1C】本明細書に記載されるある特定の実施態様による研究データセットの分布チャート
【
図1D】本明細書に記載されるある特定の実施態様による研究データセットの分布チャート
【
図1E】本明細書に記載されるある特定の実施態様による研究データセットの分布チャート
【
図1F】本明細書に記載されるある特定の実施態様による研究データセットの分布チャート
【
図1G】本明細書に記載されるある特定の実施態様による研究データセットの分布チャート
【
図1H】本明細書に記載されるある特定の実施態様による研究データセットの分布チャート
【
図2A】本明細書に記載されるある特定の実施態様による、CKDを有しない例となる電子健康記録(EHR)のチャート
【
図2B】本明細書に記載されるある特定の実施態様による、CKDを有しない例となる電子健康記録(EHR)のチャート
【
図2C】本明細書に記載されるある特定の実施態様による、CKDを有しない例となる電子健康記録(EHR)のチャート
【
図2D】本明細書に記載されるある特定の実施態様による、CKDを有しない例となる電子健康記録(EHR)のチャート
【
図2E】本明細書に記載されるある特定の実施態様による、CKDを有しない例となる電子健康記録(EHR)のチャート
【
図2F】本明細書に記載されるある特定の実施態様による、CKDを有しない例となる電子健康記録(EHR)のチャート
【
図2G】本明細書に記載されるある特定の実施態様による、CKDを有しない例となる電子健康記録(EHR)のチャート
【
図2H】本明細書に記載されるある特定の実施態様による、CKDを有しない例となる電子健康記録(EHR)のチャート
【
図2I】本明細書に記載されるある特定の実施態様による、CKDを有しない例となる電子健康記録(EHR)のチャート
【
図2J】本明細書に記載されるある特定の実施態様による、CKDを有しない例となる電子健康記録(EHR)のチャート
【
図2K】本明細書に記載されるある特定の実施態様による、CKDを有しない例となる電子健康記録(EHR)のチャート
【
図2L】本明細書に記載されるある特定の実施態様による、CKDを有しない例となる電子健康記録(EHR)のチャート
【
図3A】本明細書に記載されるある特定の実施態様による、CKDを有する例となる電子健康記録(EHR)のチャート
【
図3B】本明細書に記載されるある特定の実施態様による、CKDを有する例となる電子健康記録(EHR)のチャート
【
図3C】本明細書に記載されるある特定の実施態様による、CKDを有する例となる電子健康記録(EHR)のチャート
【
図3D】本明細書に記載されるある特定の実施態様による、CKDを有する例となる電子健康記録(EHR)のチャート
【
図3E】本明細書に記載されるある特定の実施態様による、CKDを有する例となる電子健康記録(EHR)のチャート
【
図3F】本明細書に記載されるある特定の実施態様による、CKDを有する例となる電子健康記録(EHR)のチャート
【
図3G】本明細書に記載されるある特定の実施態様による、CKDを有する例となる電子健康記録(EHR)のチャート
【
図3H】本明細書に記載されるある特定の実施態様による、CKDを有する例となる電子健康記録(EHR)のチャート
【
図3I】本明細書に記載されるある特定の実施態様による、CKDを有する例となる電子健康記録(EHR)のチャート
【
図3J】本明細書に記載されるある特定の実施態様による、CKDを有する例となる電子健康記録(EHR)のチャート
【
図3K】本明細書に記載されるある特定の実施態様による、CKDを有する例となる電子健康記録(EHR)のチャート
【
図3L】本明細書に記載されるある特定の実施態様による、CKDを有する例となる電子健康記録(EHR)のチャート
【
図4】本明細書に記載されるある特定の実施態様によるコンピュータシステムを示す図
【
図5】図本明細書に記載されるある特定の実施態様による、
図XXのサーバのより詳細な図
【
図6】本明細書に記載されるある特定の実施態様によるユーザ機器を示す図
【
図7】本明細書に記載されるある特定の実施態様による年齢の関数としてのモデル性能を示すチャート
【
図8】本明細書に記載されるある特定の実施態様による訪問回数の関数としてのモデル感度を示すチャート
【
図9】本明細書に記載されるある特定の実施態様による診断前の時間の関数としてのモデル感度を示すチャート
【
図10A】本明細書に記載されるある特定の実施態様によるデータセットの前処理を示すチャート
【
図10B】本明細書に記載されるある特定の実施態様によるデータセットの前処理を示すチャート
【
図10C】本明細書に記載されるある特定の実施態様によるデータセットの前処理を示すチャート
【
図10D】本明細書に記載されるある特定の実施態様によるデータセットの前処理を示すチャート
【
図10E】本明細書に記載されるある特定の実施態様によるデータセットの前処理を示すチャート
【
図11】本明細書に記載されるある特定の実施態様による主成分分析又は因子分析を示すチャート
【
図12】本明細書に記載されるある特定の実施態様によるラッパーベースの機能順序チャート
【
図13】本明細書に記載されるある特定の実施態様による平均最良F1スコアを示すチャート
【
図14】本明細書に記載されるある特定の実施態様による機能選択を示すチャート
【
図15】本明細書に記載されるある特定の実施態様による、ラッパー機能選択中のベイズ情報量規準を示すグラフ
【
図16】本明細書に記載されるある特定の実施態様による、性能測定基準を示すグラフ
【
図17】本明細書に記載されるある特定の実施態様による、性能測定基準を示すグラフ
【
図18】本明細書に記載されるある特定の実施態様による、RNN及びLSTMアーキテクチャを示すグラフ
【
図19】本明細書に記載されるある特定の実施態様による交差検証性能を示す図
【
図20】本明細書に記載されるある特定の実施態様による決定閾値テーブル
【発明を実施するための形態】
【0012】
イヌ又はイヌ科動物のCKDの早期診断に役立てることができるシステム及び方法が依然として必要とされている。したがって、ある特定の非限定的な実施態様は、予測モデルを使用して、イヌの1つ以上のバイオマーカー又は人口統計情報を処理することができる。処理された1つ以上のバイオマーカー又は人口統計情報を使用して、イヌがCKDを発症する確率リスクスコアを決定することができる。確率リスクスコアに基づいて、カスタマイズされた推奨事項を決定し、CKDに関連する健康上のリスクの軽減に役立てることができる。明確にするためであって限定はしないが、現在開示されている主題の詳細な説明は、以下の小区分に分けられている:
1.定義;
2.バイオマーカー;
3.予測モデル;
4.カスタマイズされた推奨事項;及び
5.デバイス及びシステム。
【0013】
1.定義
本明細書で用いられる用語は、概して、本開示の文脈内及び各用語が用いられる特定の文脈内で、当技術分野における通常の意味を有する。本開示の方法及びシステム並びにそれらを製造及び使用する方法を説明する際に、施術者に追加のガイダンスを提供するために、以下又は本明細書の他の箇所において、ある特定の用語が論じられる。
【0014】
本明細書で用いられる場合には、特許請求の範囲及び/又は明細書で「含む」という用語と併せて用いられる単語「a」又は「an」の使用は、「1つ」を意味する場合もあるが、「1つ以上」、「少なくとも1つ」、及び「1つ又はそれより多く」と言う意味とも一致する。さらには、「有する」、「含む」、「含有する」、及び「包含する」という用語は交換可能であり、当業者はこれらの用語がオープンエンドの用語であることを認識している。
【0015】
「含む」、「含んでいる」という用語、又はそれらの任意の他の変形は、要素のリストを含んでいるプロセス、方法、物品、システム、又は装置が、それらの要素のみを含むのではなく、このようなプロセス、方法、物品、又は装置に明示的に列挙されていない、又は固有ではない他の要素を含むことができるように、非排他的な包含にも及ぶことが意図されている。
【0016】
「実施態様」、「ある実施態様」、「一実施態様」、「さまざまな実施態様では」、「ある特定の実施態様」、「幾つかの実施態様」、「他の」、「ある特定の他の実施態様」などの用語は、説明される(一又は複数の)実施態様が、特定の特徴、構造、又は特性を含むことができるが、すべての実施態様が必ずしも特定の特徴、構造、又は特性を含むとは限らないことを示している。さらには、そのような句は、必ずしも同じ実施形態を指しているわけではない。さらには、特定の特徴、構造、又は特性が一実施形態に関連して説明される場合、明示的に記載されているかどうかにかかわらず、他の任意の実施形態に関連してこのような特徴、構造、又は特性に影響を与えることは当業者の知識の範囲内であると考えられる。
【0017】
「約」又は「およそ」という用語は、当業者によって決定される特定の値の許容誤差範囲内であることを意味し、これは、一部には、値を測定又は決定する方法、すなわち、測定システムの制限に依存するものである。例えば、「約」は、当技術分野の慣行に従って、3以内又は3を超える標準偏差を意味しうる。あるいは、「約」は、所与の値の20%まで、好ましくは10%まで、さらに好ましくは5%まで、さらになお好ましくは1%までの範囲を意味しうる。あるいは、特に生物学的システム又はプロセスに関して、この用語は、値の1桁以内、好ましくは5倍以内、さらに好ましくは2倍以内を意味しうる。本明細書に開示される多くの値が存在し、各値はまた、その値自体に加えて、「約」その特定の値として本明細書に開示されていることも理解される。例えば、値「10」が開示されている場合、「約10」もまた開示されている。2つの特定のユニット間の各ユニットも開示されていることも理解される。例えば、10及び15が開示されている場合、11、12、13、及び14もまた開示されている。
【0018】
物質の「効果的な治療」又は「有効量」という用語は、臨床結果を含む有益又は望ましい結果をもたらすのに十分な治療又は物質の量を意味し、したがって、「効果的な治療」又は「有効量」は、それが適用される文脈に依存する。CKDの発症のリスクを低減するための組成物の投与、及び/又はCKDの進行を治療又は遅延させるための組成物の投与の文脈において、本明細書に記載される組成物の有効量は、CKDを治療及び/又は改善、並びに、CKDの症状を軽減及び/又は可能性を低減するのに十分な量である。本明細書に記載される効果的な治療は、CKDを治療及び/又は改善、並びに、CKDの症状を軽減及び/又は可能性を低減するのに十分な治療である。低下は、CKDの症状の重症度、又はCKDの可能性の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%又は99%の低下でありうる。有効量は、1回以上の投与回数で投与することができる。本明細書に記載される効果的な治療の可能性は、治療が有効である、すなわち、CKDを治療及び/又は改善、並びに症状を軽減するのに十分な可能性である。
【0019】
本明細書で用いられる場合には、当技術分野で十分に理解されているように、「治療」は、臨床結果を含む有益又は望ましい結果を得るための手法である。この主題の目的のために、有益又は望ましい臨床結果には、1つ以上の症状の緩和又は改善、疾患の程度の減少、疾患の安定した(すなわち悪化しない)状態、疾患の予防、疾患の発症の可能性の低減、疾患の進行の遅延又は減速、及び/又は疾患状態の改善又は緩和が含まれるが、これらに限定されない。低下は、合併症又は症状の重症度の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%又は99%の低下でありうる。「治療」はまた、治療を受けていない場合に予想される生存期間と比較して、生存期間を延長することも意味しうる。
【0020】
本開示に従って用いられる「動物」又は「ペット」という用語は、飼いイヌ、飼いネコ、ウマ、ウシ、フェレット、ウサギ、ブタ、ラット、マウス、スナネズミ、ハムスター、ヤギなどを含むが、これらに限定されない家畜を指す。飼いイヌ及びネコは、ペットの特定の非限定的な例である。本開示に従って用いられる「動物」又は「ペット」という用語はさらに、バイソン、ヘラジカ、シカ、ベニソン、アヒル、家禽、魚などを含むが、これらに限定されない野生動物を指しうる。
【0021】
「ペット製品」、「ペットフード」、「ペットフード組成物」、「ペットフード製品」、及び/又は「最終ペットフード製品」という用語は、ネコ、イヌ、モルモット、ウサギ、トリ、又はウマなどの動物による使用又は消費を目的とする製品又は組成物を意味する。例えば、限定するものではないが、動物は、「飼い」イヌ又はイヌ科動物でありうる。「ペット製品」、「ペットフード」又は「ペットフード組成物」又は「ペットフード製品」又は「最終ペットフード製品」には、あらゆる食品、飼料、スナック、栄養補助食品、液体、飲料、おやつ、おもちゃ(噛むことができるおもちゃ及び/又は消費できるおもちゃ)、食事、食事代用品、又は食事代替品が含まれる。ある特定の実施態様では、「ペット製品」は、ある特定の健康上又は栄養上の利益を動物に提供することができる。
【0022】
本明細書で用いられる場合、「決定閾値」という用語は、CKDの診断に用いられる事前定義された又は所定の値又はレベルを指すことができる。「決定閾値」は、例えば、約0.0から約1の範囲でありうる。ある特定の実施態様では、0.5の「決定閾値」を使用することができる。ある特定の実施態様では、「決定閾値」の値は、F1スコア、適合率、精度、感度、及び/又は特異度の1つ以上を評価する又はバランスを取ることによって導き出すことができる。「決定閾値」は、例えば、F1スコア、適合率、精度、感度、及び/又は特異度のうちの1つ以上の間のトレードオフ又はバランスを臨床上の必要性又は適用に基づいて決定することができる、スライディングスケールでありうる。
【0023】
「バイオマーカー」という用語は、正常な生物学的プロセス、病原性プロセス、又は治療介入に対する薬理学的反応の指標として客観的に測定及び評価される特性を意味する。「バイオマーカー」という用語はまた、身体又はその生成物で測定することができ、転帰又は疾患の発生率に影響を与える又は予測することができる、任意の物質、構造、又はプロセスを意味する場合もある。例えば、バイオマーカーは、イヌの尿又は血液試料から分析又は決定することができる。バイオマーカーの例には、アルカリホスファターゼ、アミラーゼ、タンパク質、BUN又は尿素レベル、クレアチニン、リン、カルシウム、尿タンパク質、カリウム、グルコース、ヘマトクリット、ヘモグロビン、赤血球(RBC)数、赤血球分布幅(RDW)、アラニンアミノトランスフェラーゼ、アルブミン、ビリルビン、塩化物、コレステロール、好酸球、グロブリン、リンパ球、単球、平均赤血球ヘモグロビン(MCH)、平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)、平均赤血球容積(MCV)、平均血小板容積(MPV)、血小板数、分節好中球、ナトリウム、尿PHレベル、及び/又は白血球数が含まれうるが、これらに限定されない。ある特定の非限定的な実施態様では、1つ以上のバイオマーカーは、イヌ又はイヌ科動物の血液、尿、血清、血漿、又は唾液から得ることができる。
【0024】
「トレーニングデータセット」という用語は、予測モデルのトレーニングに使用することができる固有のイヌ又はイヌ科動物のデータベースを意味する。幾つかの非限定的な実施態様では、「トレーニングデータセット」には、イヌの年齢、体重、品種、及び生殖状態などの人口統計情報を含めることができる。年齢には、獣医師を訪問したときのペットの年齢及び/又はCKDの最初の診断中のペットの年齢を含めることができる。ある特定の非限定的な実施態様では、「トレーニングデータセット」には、1つ以上のバイオマーカーを含めることができる。
【0025】
「訪問」という用語は、獣医師などの医療従事者又は提供者とイヌとの面会を意味する。ある特定の実施態様では、医療記録は、訪問中又は訪問後に生成される。ある特定の実施態様では、1つ以上のバイオマーカーの量は、訪問中に決定される。ある特定の実施態様では、CKDの診断は、訪問中に行われる。施術者は、病院で、及び/又は自宅又は他の場所で訪問することができる。飼い主に連れられたイヌ又はイヌ科動物は、外来診療所又は診療室にいる施術者を訪問することができる。
【0026】
「尿比重」(別名、尿SG又はUSG)という用語は、水の密度と比較した尿密度の比率を測定する。これは、尿中の溶質の濃度の尺度であり、腎臓が尿を濃縮する能力に関する情報を提供する。
【0027】
「カスタマイズされた推奨事項」という用語は、CKDを発症するリスクを低下/軽減するため、又はCKDの症状又は影響を軽減/管理するために用いられる治療、方法、又は検査を意味する。例えば、「カスタマイズされた推奨事項」には、1つ以上の治療的介入、1つ以上の食事に関する推奨事項、1つ以上の腎温存戦略、又は疾患の進行についての1つ以上の検査を含めることができる。
【0028】
2.バイオマーカー
ある特定の非限定的な実施態様では、イヌ又はイヌ科動物の1つ以上のバイオマーカー又は人口統計情報を部分的に使用して、CKDの発症についての確率リスクスコアを決定することができる。
【0029】
本明細書に開示されるある特定の実施態様では、CKDの発症に関連する1つ以上の生物学的パラメータに基づいて、1つ以上のバイオマーカーをCKDの予測に使用することができる。次に、カスタマイズされた推奨事項バイオマーカーによって示されるCKDを発症するリスクに応じて調整することができる。
【0030】
ある特定の実施態様では、BUNと尿素の測定は互換性がある。BUNは尿素の窒素含有量(分子量28)のみを反映し、尿素測定値は分子全体(分子量60)を反映するため、尿素測定値は、BUNの測定値の2.14(60/28)倍である。
【0031】
ある特定の非限定的な実施態様では、バイオマーカーには、イヌ又はイヌ科動物の尿試料中の尿比重レベル;イヌ又はイヌ科動物の血液中の総クレアチニンレベル;イヌ又はイヌ科動物の血清中のクレアチニンレベル;イヌ又はイヌ科動物の血漿中のクレアチニン;イヌ又はイヌ科動物の尿試料中のクレアチニン;イヌ又はイヌ科動物の尿試料中の尿タンパク質;イヌ又はイヌ科動物の血液中の総尿素;イヌ又はイヌ科動物の血清中の尿素;イヌ又はイヌ科動物の血漿中の尿素;イヌ又はイヌ科動物の尿試料中の尿素;イヌ又はイヌ科動物の血液中のBUN又は尿素;イヌ又はイヌ科動物の血液中の白血球数(WBC);イヌ又はイヌ科動物の尿試料中の尿pHのうちの1つ以上が含まれうる。ある特定の非限定的な実施態様では、バイオマーカーのレベルの変化は、CKDを発症するリスクの増加と関連しうる。
【0032】
各バイオマーカーでは、バイオマーカーのレベルの増加又は低下は、特定のバイオマーカーに応じて、イヌ又はイヌ科動物がCKDを発症する可能性に関する情報を提供することができる。例えば、ある特定の実施態様では、尿比重のレベルの低下は、CKDを発症するリスクの増加を示す。ある特定の実施態様では、尿比重のレベルの増加は、CKDを発症するリスクの低下を示す。ある特定の実施態様では、データセットにおけるイヌ又はイヌ科動物の集団における尿比重の平均レベルに基づいた所定の基準値と比較して低い尿比重のレベルは、CKDを発症するリスクの増加を示しうる。ある特定の実施態様では、対照集団における尿比重の平均レベルに基づいた所定の基準値と比較して高い尿比重レベルは、CKDを発症するリスクの低下を示す。ある特定の実施態様では、データセット集団における尿比重の平均レベルは、約1.00から約1.1の間、約1.01から約1.09の間、約1.02から約1.08の間、又は約1.03から約1.07の間である。ある特定の実施態様では、対照集団における尿比重の平均レベルは、約1.001から約1.08の間である。ある特定の実施態様では、尿比重の所定の基準値は、データセットの対照集団における尿比重の平均レベルの約100%、約99%、約98%、約97%、約96%、約95%、約94%、約93%、約92%、約91%、約90%、約89%、約88%、約87%、約86%、約85%、約80%、約75%、約70%以下、又は任意の中間のパーセンテージ若しくは範囲である。ある特定の実施態様では、尿比重の所定の基準値は、データセットの対照集団における尿比重の平均レベルの約99.9%から約90%の間、約95%から約90%の間、又は約99%から約92%の間である。ある特定の実施態様では、尿比重の所定の基準値は、約1.001から約1.08の間、約1.001から約1.07の間、約1.001から約1.06の間、約1.001から約1.05の間、又は約1.001から約1.04の間である。ある特定の実施態様では、イヌ又はイヌ科動物の水分状態は、尿比重レベルを調整すると見なすことができる。
【0033】
ある特定の非限定的な実施態様では、クレアチニンのレベルの増加は、CKDを発症するリスクの増加を示しうる。クレアチニンのレベルの減少又は低下は、CKDを発症するリスクの低下を示しうる。より高いクレアチニンレベルは、CKDを発症するリスクが高いことを示しうる。例えば、データセットにおけるクレアチニンの平均レベルは、約0mg/dLから約3mg/dLの間、約0.8mg/dLから約3mg/dLの間、約1mg/dLから約2.8mg/dLの間、又は約1.2mg/dLから約2.2mg/dLの間に設定することができる。ある特定の実施態様では、対照集団におけるクレアチニンの平均レベルは、約0.8mg/dLから約2.4mg/dLの間であし、ある特定の実施態様では、クレアチニンの所定の基準値は、対照集団におけるクレアチニンの平均レベルの約100%、約105%、約110%、約115%、約120%、約125%、約130%、約140%、約150%、約200%、約250%、約300%、約400%、約500%以上、又は任意の中間のパーセンテージ若しくは範囲でありうる。ある特定の実施態様では、クレアチニンの所定の基準値は、対照集団におけるクレアチニンの平均レベルの約100%から約120%の間、約120%から約150%の間、約150%から約200%の間、又は約200%から約500%の間でありうる。ある特定の非限定的な実施態様では、クレアチニンの所定の基準値は、約0mg/dLから約3mg/dLの間、約1mg/dLから約2.4mg/dLの間、約1mg/dLから約2mg/dLの間、又は約1.2mg/dLから約1.8mg/dLの間でありうる。
【0034】
ある特定の実施態様では、尿タンパク質のレベルの低下は、CKDを発症するリスクの増加を示しうる。尿タンパク質のレベルの増加は、CKDを発症するリスクの低下又増加を示しうる。尿タンパク質のレベルの低下は、CKDを発症するリスクの増加又は低下を示しうる。ある特定の実施態様では、尿タンパク質の平均レベルに基づいた所定の基準値と比較して低い尿タンパク質のレベルは、CKDを発症するリスクの増加を示しうる。ある特定の実施態様では、データセットの対照集団における尿タンパク質の平均レベルに基づいた所定の基準値と比較して高い尿タンパク質レベルは、CKDを発症するリスクの低下を示す。より高い尿タンパク質レベルは、感染又は腎臓の損傷を示しうる。ある特定の非限定的な実施態様では、尿タンパク質の上昇の過去の発作歴は、初期の感染症及び/又は腎臓の損傷のリスクが高いことを示しうる。ある特定の非限定的な実施態様では、現在の尿タンパク質の上昇は、腎機能の低下及び/又はCKDのリスクが高いことを示す。イヌ又はイヌ科動物は、所定の基準値と比較して高い尿タンパク質レベルを示しうる。例えば、より高い尿タンパク質レベルが、イヌ又はイヌ科動物の現在の試料中、又はイヌ又はイヌ科動物の最近の医療記録中に認められる(例えば、本明細書に開示される方法のいずれか1つを実施する前約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約10週間、約3ヶ月、又は約6ヶ月以内に作成された記録)。ある特定の実施態様では、イヌ又はイヌ科動物は、過去における所定の基準値と比較して高い尿タンパク質レベルを示した。例えば、より高い尿タンパク質レベルが、イヌ又はイヌ科動物の過去の試料又はイヌ又はイヌ科動物の過去の医療記録中に認められる(例えば、本明細書に開示される方法のいずれか1つを実施する約1週間、約2週間、約1ヶ月、約2ヶ月、約3ヶ月、又は約6ヶ月超前に作成された記録)。ある特定の実施態様では、対照集団における尿タンパク質の平均レベルは、約0mg/dLから約50mg/dLの間、約0mg/dLから約25mg/dLの間、約0mg/dLから約10mg/dLの間、又は約0mg/dLから約5mg/dLの間でありうる。ある特定の実施態様では、対照集団における尿タンパク質の平均レベルは、約48から50mg/dLの間である。ある特定の実施態様では、尿タンパク質の所定の基準値は、対照集団における尿タンパク質の平均レベルの少なくとも約100%、約110%、約120%、約130%、約140%、約150%、約160%、約170%、約180%、約190%、約200%、約250%、約300%、約400%、約500%、約1000%、約2000%、約5000%、約10000%以上、又は任意の中間のパーセンテージ若しくは範囲でありうる。ある特定の実施態様では、尿タンパク質の所定の基準値は、対照集団における尿タンパク質の平均レベルの約100%から約200%の間、約200%から約500%の間、又は約200%から約1000%の間でありうる。ある特定の実施態様では、尿タンパク質の所定の基準値は、約0.001mg/dLから約100mg/dLの間、約1mg/dLから約80mg/dLの間、約5mg/dLから約70mg/dLの間、約10mg/dLから約60mg/dLの間、又は約20mg/dLから約50mg/dLの間である。
【0035】
ある特定の実施態様では、BUN又は尿素レベルの増加は、CKDを発症するリスクの増加を示す。ある特定の実施態様では、BUN又は尿素レベルの低下は、CKDを発症するリスクの低下を示す。ある特定の実施態様では、対照集団におけるBUN又は尿素の平均レベルに基づいた所定の基準値と比較して高いBUN又は尿素レベルは、CKDを発症するリスクの増加を示しうる。ある特定の実施態様では、対照集団におけるBUN又は尿素の平均レベルに基づいた所定の基準値と比較して低いBUN又は尿素レベルは、CKDを発症するリスクの低下を示しうる。ある特定の実施態様では、対照集団におけるBUNの平均レベルは、約5mg/dLから約100mg/dLの間、約10mg/dLから約55mg/dLの間、約15mg/dLから約40mg/dLの間、又は約20mg/dLから約30mg/dLの間である。ある特定の実施態様では、対照集団におけるBUNの平均レベルは、約17mg/dLから約55又は56mg/dLの間である。ある特定の実施態様では、BUNの所定の基準値又は尿素は、対照集団におけるBUN又は尿素の平均レベルの約100%、約105%、約110%、約115%、約120%、約125%、約130%、約140%、約150%、約200%、約250%、約300%、約400%、約500%以上、又は任意の中間のパーセンテージ若しくは範囲でありうる。ある特定の実施態様では、BUNの所定の基準値又は尿素は、対照集団におけるBUN又は尿素の平均レベルの約100%から約120%の間、約120%から約150%の間、約150%から約200%の間、又は約200%から約500%の間でありうる。ある特定の実施態様では、BUNの所定の基準値は、約10mg/dLから約100mg/dLの間、約15mg/dLから約90mg/dLの間、約17mg/dLから約56mg/dLの間、約20mg/dLから約80mg/dLの間、約30mg/dLから約70mg/dLの間、又は約40mg/dLから約60mg/dLの間である。
【0036】
ある特定の非限定的な実施態様では、WBCのレベルの低下は、CKDを発症するリスクの増加を示しうる。ある特定の非限定的な実施態様では、WBCのレベルの増加は、CKDを発症するリスクの増加又は低下を示す。ある特定の非限定的な実施態様では、WBCのレベルの低下は、CKDを発症するリスクの増加又は低下を示す。ある特定の非限定的な実施態様では、WBCを予測モデルで使用して他の感染を除外すること、又は1つ以上の予測モデルで使用して以前の感染を将来のリスクに関連付けることができる。例えば、WBCを予測モデルで使用して、脱水レベルを理解し、他のバイオマーカーの値を正規化することができる。幾つかの非限定的な実施態様では、予測モデルは、以下で説明するように、回帰型ニューラルネットワーク又はLTSMなどの機械学習アルゴリズムによって生成することができる。予測モデルは、他のバイオマーカーの現在の値及び/又は以前の値に従って、WBC数を解釈することができる。ある特定の非限定的な実施態様では、対照集団におけるWBCの平均レベルに基づいた所定の基準値と比較して高いWBCレベルは、CKDを発症するリスクの増加を示しうる。ある特定の他の非限定的な実施態様では、より高いWBCレベルは、感染又は腎臓の損傷を示しうる。WBCの上昇の過去の発作歴は、初期の感染症及び/又は腎臓の損傷のリスクが高いことを示しうる。別の例では、現在のWBCの上昇は、腎機能の低下及び/又はCKDのリスクが高いことを示しうる。ある特定の非限定的な実施態様では、イヌ又はイヌ科動物は、所定の基準値と比較して高いWBCレベルを示しうる。高いWBCレベルは、イヌ又はイヌ科動物の現在の試料又は医療記録(例えば、本明細書に開示される方法のいずれか1つを実施する前約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約10週間、約3ヶ月、又は約6ヶ月以内に作成された記録)に見出すことができる。幾つかの非限定的な実施態様では、イヌ又はイヌ科動物は、過去における所定の基準値と比較して高いWBCレベルを示した。高いWBCレベルは、イヌ又はイヌ科動物の過去のサンプル又は医療記録(例えば、本明細書に開示される方法のいずれか1つを実施する約1週間、約2週間、約1ヶ月、約2ヶ月、約3ヶ月、又は約6ヶ月超前に作成された記録)に見出すことができる。ある特定の非限定的な実施態様では、対照集団におけるWBCの平均レベルは、約1×109/Lから約60×109/Lの間、約2×109/Lから約50×109/Lの間、約5×109/Lから約30×109/Lの間、約6×109/Lから約20×109/Lの間、又は約8×109/Lから約16×109/Lの間である。ある特定の実施態様では、対照集団におけるWBCの平均レベルは、約13.5×109/Lでありうる。ある特定の実施態様では、WBCの所定の基準値は、対照集団におけるWBCの平均レベルの約100%、約105%、約110%、約115%、約120%、約125%、約130%、約140%、約150%、約200%、約250%、約300%、約400%、約500%以上、又は任意の中間のパーセンテージ若しくは範囲でありうる。ある特定の実施態様では、WBCの所定の基準値は、対照集団におけるWBCの平均レベルの約100%から約120%の間、約120%から約150%の間、約150%から約200%の間、又は約200%から約500%の間でありうる。例えば、ある特定の非限定的な実施態様では、WBCの所定の基準値は、約2×109/Lから約100×109/Lの間、約5×109/Lから約80×109/Lの間、約10×109/Lから約70×109/Lの間、約20×109/Lから約60×109/Lの間、又は約30×109/Lから約50×109/Lの間でありうる。ある特定の非限定的な実施態様では、より低いWBCのレベルは、CKDを発症するリスクの低下を示しうる。ある特定の実施態様では、WBCの所定の基準値は、対照集団におけるWBCの平均レベルの約100%、約95%、約90%、約85%、約80%、約75%、約70%、約60%、約50%以下、又は任意の中間のパーセンテージ若しくは範囲でありうる。ある特定の実施態様では、WBCの所定の基準値は、対照集団におけるWBCの平均レベルの約100%から約90%の間、約80%から約60%、又は約60%から約40%の間でありうる。
【0037】
ある特定の実施態様では、尿pHレベルの低下は、CKDを発症するリスクの増加を示す。ある特定の実施態様では、尿pHレベルの増加は、CKDを発症するリスクの低下を示し、尿pHレベルの低下は、CKDを発症するリスクの増加を示しうる。ある特定の実施態様では、より高い尿pHレベルは、CKDを発症するリスクの低下を示しうる。幾つかの非限定的な実施態様では、データセットの対照集団における尿pHの平均レベルは、約4から約8.5の間、約5から約8の間、約5.2から約7.5の間、又は約6から約7の間でありうる。特に、対照集団における尿pHの平均レベルは、約5.5から約7.5の間でありうる。ある特定の非限定的な実施態様では、尿pHの所定の基準値は、対照集団における尿pHの平均レベルの約100%、約95%、約90%、約85%、約80%、約75%、約70%、約60%、約50%以下、又は任意の中間のパーセンテージ若しくは範囲でありうる。ある特定の実施態様では、尿pHの所定の基準値は、対照集団における尿pHの平均レベルの約100%から約80%の間、約80%から約60%の間、又は約60%から約40%の間でありうる。ある特定の実施態様では、尿pHの所定の基準値は、約3から約8の間、約4から約7.5の間、約4.5から約7の間、約4.5から約6.5の間、約5から約6.5の間、又は約5から約6の間でありうる。ある特定の実施態様では、イヌ又はイヌ科動物の食事及びイヌ又はイヌ科動物の尿試料の取り扱いは、部分的に、尿比重レベルの調整に寄与しうる。
【0038】
ある特定の非限定的な実施態様では、バイオマーカーのレベルの増加又は低下は、現在の試料又はイヌ又はイヌ科動物の最近の医療記録(例えば、本明細書に開示される方法のいずれか1つを実施する前約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約10週間、約3ヶ月、又は約6ヶ月以内に作成された記録)において検出することができる。幾つかの非限定的な実施態様では、イヌ又はイヌ科動物は過去にバイオマーカーのレベルの増加又は低下を示した。例えば、尿タンパク質のレベルの増加又は低下は、イヌ又はイヌ科動物の過去の試料又はイヌ又はイヌ科動物の過去の医療記録(例えば、約1週間、約2週間、約1ヶ月、約2ヶ月、約3ヶ月、約6ヶ月、約12ヶ月、約2年、約3年、約4年、約5年超前に作成された記録、及び/又は本明細書に開示される方法のいずれか1つを実施する間、前、又は後の任意の時点に作成された記録)に見出すことができる。
【0039】
概して、バイオマーカーの平均レベルの範囲は、健康で正常な母集団の50から100%を占める可能性がある。一部のバイオマーカーでは、バイオマーカーの平均レベルの範囲は80から95%を占める可能性がある。したがって、母集団の約5~25%が、平均/正常範囲の上限を上回る値を有する可能性があり、母集団の別の約5~25%は、平均/正常範囲の下限を下回る値を有する可能性がある。ある特定の実施態様では、バイオマーカーの実際の範囲及び有効性は、機械に応じて、及び/又は平均/正常範囲を決定するために検査したイヌ又はイヌ科動物の母集団に応じて、各実験室又は検査によって決定することができる。加えて、実験室での検査は、試料の取り扱い及び機械の保守/較正の影響を受ける可能性がある。機械を更新すると、通常の範囲に変更が生じる可能性もある。これらの要因のいずれか1つを考慮して、各バイオマーカーの平均レベル及び/又は所定の基準値を調整することができる。
【0040】
上記のバイオマーカーを超えて、ある特定の非限定的な実施態様には、次のバイオマーカーのうちの1つ以上が含まれうる:リン酸塩及び副甲状腺ホルモン(PTH)、対称性ジメチルアルギニン(SDMA)、収縮期血圧、カリウム、総カルシウム、ヒアルロン酸、デスレセプター5、トランスフォーミング増殖因子β1、フェリチン、ベータグロビン、カタラーゼ、αグロビン、上皮成長因子受容体経路基質8、ムチンアイソフォーム前駆体、エズリン、デルタグロビン、モエシン、リンタンパク質アイソフォーム、アネキシンA2、ミオグロビン、ヘモペキシン、セリンプロテアーゼ阻害剤、セルピンペプチダーゼ阻害剤、CD14抗原前駆体、フィブロネクチンアイソフォームプレタンパク質、アンギオテンシノーゲンプレタンパク質、補体成分前駆体、炭酸脱水酵素、ウロモジュリン前駆体、補体因子H、補体成分4 BP、ヘパラン硫酸プロテオグリカン2、オルファクトメジン-4、ロイシンリッチα-2糖タンパク質、リングフィンガータンパク質167、α間グロブリン阻害剤H4、ヘパラン硫酸プロテオグリカン2、N-アシルシンゴシンアミノヒドロラーゼ、セリンプロテアーゼ阻害剤クレードAメンバー1、ムチン1、クラステリンアイソフォーム1、脳に豊富に存在する膜結合シグナルタンパク質1、ジペプチダーゼ1、フィブロネクチン1アイソフォーム5プレタンパク質、アンギオテンシノーゲンプレプロタンパク質、炭酸脱水酵素、ウロモジュリン前駆体、メタロプロテアーゼ阻害剤2、インスリン様成長因子結合タンパク質7、免疫グロブリンA、免疫グロブリンG1、免疫グロブリンG2、アルファ-1アンチトリプシン、血清アミロイドP成分、肝細胞増殖因子、細胞間接着分子1、ベータ-2-糖タンパク質1、インターロイキン-1ベータ、好中球エラスターゼ、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー11B、インターロイキン-11、カテプシンD、C-Cモチーフケモカイン24、C-X-Cモチーフケモカイン6、C-Cモチーフケモカイン13、C-X-Cモチーフケモカイン-1、-2、及び-3、マトリライシン、インターロイキン-2受容体アルファ鎖、インスリン様成長因子結合タンパク質3、マクロファージコロニー刺激因子1、アポリポタンパク質C-I、アポリポタンパク質C-II、フィブリノーゲンα鎖、フィブリノーゲンA-α鎖、キニノーゲン、インターアルファ阻害剤H4(ITIH4)、ケラチンI型細胞骨格10、シスタチンA、シスタチンB、及びそれらの任意の組合せ。例えば、米国特許出願公開第2012/0077690号、同第2013/0323751号、欧州特許出願公開第3,112,871号、同第2,462,445号、及び同第3,054,301号の各明細書を参照されたい。
【0041】
ある特定の非限定的な実施態様では、イヌ又はイヌ科動物におけるバイオマーカーの量は、当該分野で知られている任意の手段によって検出及び定量化することができる。ある特定の他の非限定的な実施態様では、クレアチニン、尿タンパク質、WBC、尿素及び/又はBUNのレベルは、蛍光法又は発光法によって決定することができる。
【0042】
ある特定の実施態様では、クレアチニン、尿タンパク質、WBC、尿素及び/又はBUNのレベルは、抗体ベースの検出方法、例えば、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)又はサンドイッチELISAによって決定することができる。
【0043】
他の例では、尿タンパク質のレベルは尿アルブミン抗体を使用して決定することができ、尿比重のレベルは屈折率測定、比重測定、及び/又は試薬ストリップによって測定することができる。一方、ある特定の非限定的な実施態様では、尿pHレベルは、pH試験ストリップ、又はpHメーター及びpHプローブによって測定することができ、WBCのレベルはフローサイトメトリーによって測定することができる。
【0044】
ある特定の非限定的な実施態様では、他の分光法、クロマトグラフィ法、標識技法、及び/又は定量化学法などの他の検出方法を使用することができる。イヌ又はイヌ科動物由来のバイオマーカーのレベル及び/又はバイオマーカーの所定の基準値は、同じ方法によって決定することができる。
【0045】
3.予測モデル
幾つかの非限定的な実施態様は、イヌがCKDを発症する感受性を特定するための方法又はシステムを対象とすることができる。該方法は、予測モデルを使用して、イヌの1つ以上のバイオマーカー又は人口統計情報のうちの少なくとも1つを処理すること、又はシステムに処理させることを含みうる。予測モデルは、1つ以上の機械学習技法を使用してトレーニングすることができる。
【0046】
3.1 データセット
例えば、予測モデルは、次のデータセットを使用してトレーニングすることができる:
【0047】
【0048】
表1に示されるデータセットは、イヌの1つ以上のバイオマーカー及び/又は人口統計情報を含みうる。例えば、人口統計情報は、訪問時のペットの年齢又は体重、CKDであると最初に診断されたときのペットの年齢、及び/又はイヌ又はイヌ科動物の性別を含みうる。表1に示される1つ以上のバイオマーカーは、BUN、クレアチニン、尿タンパク質、尿SGを含みうる。アミラーゼなどの1つ以上の他のバイオマーカー、又は他の人口統計情報をデータセットに含めることができる。
【0049】
ある特定の非限定的な実施態様では、トレーニングデータセットと呼ぶことができるデータセットには、複数のイヌ又はイヌ科動物の医療記録を含めることができる。例えば、表1に記載されるトレーニングデータセットのイヌ又はイヌ科動物の範囲は、約15,128匹から約22,082匹である。別の例では、表1に記載される試験データセットのイヌ又はイヌ科動物の範囲は、約7,430匹から約11,275匹である。他の実施態様では、データセットに含まれるイヌ又はイヌ科動物の数は、100から100,000匹の間、例えば55,885匹でありうる。医療記録には、例えば、1つ以上のバイオマーカーの量、及び/又はイヌ又はイヌ科動物の人口統計情報を含めることができる。ある特定の実施態様では、医療記録は、イヌ又はイヌ科動物の1回以上の訪問を含みうる。例えば、表1に記載されるトレーニング及び試験データセットは、イヌ又はイヌ科動物1匹あたり約11回から約16回の範囲の訪問回数である。しかしながら、他の非限定的な実施態様では、訪問回数は、イヌ又はイヌ科動物1匹あたり1から100回の範囲でありうる。ある特定の非限定的な実施態様では、医療記録には、さまざまな時点でのイヌ又はイヌ科動物の最近の2回、3回、4回、又は5回の訪問を含めることができる。別の非限定的な実施態様では、医療記録には、さまざまな時点でのイヌ又はイヌ科動物の初回及び最終回の訪問の記録を含めることができる。
【0050】
幾つかの非限定的な実施態様では、トレーニングデータセットは、交差検証の目的で階層化、形成、又は配置することができる。交差検証を使用して、予測モデルの結果を独立したデータセットに一般化することができる方法の評価に役立てることができる。データセットは、例えば、2分割以上へと分割又は階層化することができ、1つ以上のサブセットを使用して、1つ以上の異なるサブセットによって予測モデルを検証することができる。ある特定の実施態様では、トレーニングデータセットは、約3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、又は50の分割へと階層化される。
【0051】
ある特定の非限定的な実施態様では、交差検証の目的で層別化するのではなく、データセットを1つ以上の異なる予測モデルのサブセットへと分割することができる。サブセットは、例えば、所与の訪問中にCKDであると診断された、又は所与の訪問から3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月、2年、3年、4年、又は5年後にCKDであると診断されたイヌ又はイヌ科動物に対応しうる。他の非限定的な実施態様では、トレーニングデータセットは、他の任意のサブセットに分割することができる。
【0052】
幾つかの非限定的な実施態様では、イヌ又はイヌ科動物の医療記録又はチャートが1つ以上のバイオマーカー及び/又は人口統計情報の値、量、又はレベルが欠測している場合、欠測している量、レベル、又は人口統計情報を補完することができる。欠測データは、次のいずれかに基づくことができる:完全にランダムな欠測データ(MCAR)(インスタンスが変数の欠損値を有する確率が既知の値又は欠測データのいずれにも依存しない場合);ランダムな欠測データ(MAR)(インスタンスが変数の欠損値を有する確率が欠測データ自体の値ではなく、既知の値に依存しうる場合);ランダムではない欠測データ(MNAR)(インスタンスが変数の欠損値を有する確率がその変数の値に依存しうる場合)。
【0053】
欠測値には代入することができ、これは、欠測値が妥当な値に置き換えられることを意味しうる。代入は、ある特定の非限定的な実施態様では、平均、メジアン回帰倍数、又はリッジ回帰代入などの統計的方法又はプロセスを使用して計算することができる。平均又はメジアン代入手法では、ベクトルの欠測成分は、その成分の平均値又はメジアン値で埋めることができる。幾つかの非限定的な実施態様では、欠測値に代入するために、行列因数分解法又は行列因数分解プロセスを使用することができる。例えば、行列因数分解法又はプロセスは、UV行列因数分解、ソフト代入、反復特異値分解(SVD)代入、又はバイスケーラー(biscaler)とソフト代入との組合せを含みうる。
【0054】
他の非限定的な実施態様では、代入は、機械学習を使用して計算させることができる。例えば、代入の値、量、レベル、又は人口統計情報は、次の機械学習方法の1つ以上を使用して決定することができる:missingpy KNN又はfancyimpute KNNなどのk-最近傍(KNN)代入、線形回帰、リッジ回帰、又は勾配ブーストなどの連鎖方程式(MICE)代入による多重又は多変量代入、及び/又はmissingpy missForest、sciblox MICEランダムフォレストなどのランダムフォレストアルゴリズム若しくは関連するアルゴリズム、又はmissing forestの他の任意の確率変数。代入の測定に用いられる測定基準には、例えば、二乗平均平方根誤差(RMSE)、平均絶対誤差(MAE)測定基準、及び正規化されたRMSEを含めることができる。
【0055】
RMSEは、例えば、次の式を使用して計算することができる:
【0056】
【0057】
ここで、Nは欠測値の数であり、yiは代入値であり、xiは真の値である。MAEは、例えば、次の式を使用して計算することができる:
【0058】
【0059】
ここで、Nは欠測値の数であり、yiは代入値であり、xiは真の値である。正規化されたRMSEは、例えば、次の式を使用して計算することができる:
【0060】
【0061】
ここで、Xtrueは完全なデータ行列とすることができ、Ximpは代入されたデータ行列でありうる。var()は、連続する欠測値に対して計算された分散でありうる。
【0062】
ある特定の非限定的な実施態様では、1つ以上のバイオマーカー及び/又は人口統計情報を含む34の機能のすべてに代入する場合、missForest及びMICEの代入、特に線形回帰は、RMSE及びMAEに基づいた最高の性能の代入であり、missForestは実験の75%で良好であった。一方、1つ以上のバイオマーカー、及び/又は尿タンパク質、尿比重、尿PH、BUN、クレアチニン、又はWBCなどの人口統計情報を含む6つの機能の代入では、MICEの代入はmissForestよりも良好な性能を示した。例えば、6つの機能の代入では、RMSEの最高の性能の代入は、fancyipute MICE、sciblox MICE libear、及び/又はsciblox MICE boostでありうる。別の例では、6つの機能の代入では、MAEの最高の性能の代入は、fancyipute MICE、sciblox MICE libear、及び/又はsciblox MICE boostでありうる。
【0063】
幾つかの非限定的な実施態様では、訪問年齢は、尿分析値(例えば、尿タンパク質、尿比重、尿PH)のブロック又は血液値(例えば、BUN、クレアチニン、WBC)のブロックのいずれかが欠測している場合に、6つの機能の帰属に有益でありうる。具体的には、イヌ又はイヌ科動物の訪問年齢は、帰属の精度を高めるのに役立てることができる。血液値のブロックの改善は、訪問年齢を考慮すると、尿分析値のブロックよりも大きくなる可能性がある。例えば、メジアンMEAゲインは、血液で1.1%、尿で0.2%でありうる。
【0064】
選択された帰属方法又はプロセスは、データセット内の欠測情報の量に基づくことができる。例えば、10%の欠測値を有するデータセットでは、MICE線形回帰を使用することができるが、20%又は30%の欠測値を有するデータセットでは、missForestを使用することができる。
【0065】
ある特定の非限定的な実施態様では、トレーニングデータセットは、一連の包含基準及び除外基準によってフィルタリングすることができる。例えば、2回以上、3回以上、4回以上、又は5回以上のイヌ又はイヌ科動物の訪問回数を、包含基準又は除外基準として使用することができる。別の例では、イヌ又はイヌ科動物の訪問の病歴又は訪問年齢を、包含基準又は除外基準として使用することができる。
【0066】
ある特定の非限定的な実施態様では、データセットには、合計55,885匹のイヌ又はイヌ科動物を含めることができる。データセットはまた、1.5歳未満及び22歳以上のイヌ又はイヌ科動物から収集された情報を除外する場合がある。データセットには、雑種犬及び/又は280種を超える血統品種を含めた、多様なイヌ又はイヌ科動物の集団を含めることができる。CKD予測モデルの機能として、データセットから1つ以上のバイオマーカー及び/又は人口統計情報を選択した。一例では、35のバイオマーカー及び/又は人口統計情報の項目を選択した。データセットには、CKDであると診断されたイヌ又はイヌ科動物、及びCKDであると診断されていないイヌ又はイヌ科動物も含めることができる。
【0067】
図1A~1Hは、本明細書に記載されるある特定の実施態様による研究データセットの分布チャートを示している。特に、
図1A~1Hは、
図1B、1D、1F、及び1Hに示されるCKDであると診断されたイヌ、及び
図1A、1C、1E、及び1Gに示されるCKDであると診断されていないイヌの両方についてのバイオマーカー及び人口統計情報を示している。
図1A~1Hの年齢T(0)は、イヌ又はイヌ科動物が最初に又は元々CKDであると診断された年齢でありうる。幾つかの非限定的な実施態様では、最初の診断又は元の診断から30日超経過して収集されたデータは除外し、及び/又は診断訪問の直後にデータベースに入力された血清、血液、又は尿の検査データを取得するために、追加の30日間のウィンドウを含めた。
【0068】
図1A~1Hに示されるデータセットは、正式なCKD診断を受けていないが、血中クレアチニンが正常値を上回っている、及び/又は尿比重が正常値を下回っているなど、少なくとも2つのCKDを示唆するデータ点を有するイヌ又はイヌ科動物を除外する場合がある。他のCKDを示唆するデータ点には、健康記録の医療記録に表示される次の用語のうちの1つ以上を含めることができる:「CKD」、「高窒素血症」、「Royal Canin Veterinary diet Renal」、又は「Hill’s prescription diet k/d」。CKDを示唆するデータ点は、血液又は尿検査の結果に基づくことができる。
【0069】
CKDであると診断されていないか又は少なくとも2つのCKDを示唆するデータ点を有し、かつ少なくとも2年間のデータを有する他のペット又はイヌ科動物はすべて、データセットに含まれ、
図1A、1C、1E、及び1Gに示されるように、「CKDなし」のステータスが割り当てられた。「CKDなし」のイヌ又はイヌ科動物では、T(0)は、最後の訪問の年齢から2歳を差し引いたものとして設定した。
【0070】
幾つかの非限定的な実施態様では、健康記録は、イヌ又はイヌ科動物が血中クレアチニンデータで少なくとも2回の訪問を受けている必要があることを課すことによって、情報コンテンツに基づいてさらにフィルタリングすることができる。これにより、55,915匹のイヌ又はイヌ科動物の最終的な研究データセットが得られ、そのうち22,558匹のイヌがCKDであると診断され、残りの33,357匹は「CKDなし」であった。「CKDなし」のイヌ又はイヌ科動物は対照群と呼ぶことができる。
図1A~1Hのグラフに示されるように、グラフ102、106、110、及び114は、それぞれ、「CKDなし」の標識を割り当てられたイヌ又はイヌ科動物の訪問年齢、クレアチニンレベル、BUN、及び尿比重を表しうる。一方、グラフ104、108、112、及び116は、それぞれ、CKDであると診断されたイヌ又はイヌ科動物の訪問年齢、クレアチニンレベル、BUN、及び尿比重を表している。CKDであると診断されたイヌ又はイヌ科動物は、
図1B、1F、及び1Hに示されるように、高齢であり、高いBUNレベル及び/又は低い尿比重を有していた。結果は、データセット内のCKD診断の品質を裏付けており、モデルの構築に用いられたデータの信頼性を提供するものである。
【0071】
図2A~2Lは、本明細書に記載されるある特定の実施態様による、「CKDなし」の例となるEHRを示している。特に、
図2A~2Lは、T(0)前の時間の関数としてのクレアチニン、血中尿素窒素、及び尿比重についての個々のイヌ又はイヌ科動物の観察結果を示している。
図2A、2D、2G、及び2Jに示されるグラフ202、208、214、及び220は、T(0)前の時間の関数としてのクレアチニンを示しうる。
図2B、2E、2H、及び2Kに示されるグラフ204、210、216、及び222は、T(0)前の時間の関数としてのBUNを示しうる。
図2C、2F、2I、及び2Lに示されるグラフ206、212、218、及び224は、T(0)前の時間の関数としての尿比重を示しうる。
図2A、2B、及び2Cに示されるグラフ202、204、及び206では年齢T(0)は9.7歳であり、
図2D、2E、2Fに示されるグラフ208、210、及び212では年齢T(0)は6.2歳であり、
図2G、2H、及び2Iに示されるグラフ214、216、及び218では年齢T(0)は9.5歳であり、
図2J、2K、及び2Lに示されるグラフ220、222、及び224では、年齢T(0)は9.2歳でありうる。
【0072】
図3A~3Lは、本明細書に記載されるある特定の実施態様による、CKDを有する例となるEHRを示している。特に、
図3A~3Lは、T(0)前の時間の関数としてのクレアチニン、血中尿素窒素、及び尿比重についての個々のイヌ又はイヌ科動物の観察結果を示している。
図3A、3D、3G、及び3Jに示されるグラフ302、308、314、及び320は、T(0)前の時間の関数としてのクレアチニンを示しうる。
図3B、3E、3H、及び3Kに示されるグラフ304、310、316、及び322は、T(0)前の時間の関数としてのBUNを示しうる。
図3C、3F、3I、及び3Lに示されるグラフ306、312、318、及び324は、T(0)前の時間の関数としての尿比重を示しうる。
図3A~3Cに示されるグラフ302、304、及び306では年齢T(0)は12.3歳であり、
図3D~3Fに示されるグラフ308、310、及び312では年齢T(0)は13.7歳であり、
図3G~3Iに示されるグラフ314、316、及び318では年齢T(0)は8.4歳であり、
図3J~3Lに示されるグラフ320、322、及び324では年齢T(0)は9.4歳でありうる。
【0073】
図2A~2L及び
図3A~3Lに示される試料では、「CKDなし」は、CKDとは異なる。後者の群にはかなりの不均一性が存在し、診断時の前に多くの変化が起こる可能性がある。これは、予測モデルが診断時に複数の要因を考慮するだけでなく、診断前のさまざまな時点での情報も含める必要があることを示すのに役立つ。
【0074】
CKD予測モデルを決定するために、データセットをランダムに2つの部分に分割した。例えば、表1に示されるように、合計55,915の健康記録のうち、37,210の健康記録、又はデータの約67%を、CKD予測モデルの構築に使用した。残りの18,705の健康記録、又はデータの約33%を、モデル性能又は交差検証を評価するための試験データセットとして使用した。トレーニングデータセットとしても知られるモデル構築データセットと、モデル試験データセットは、試験段階での偏りを排除するために、分析全体を通じて個別に保持することができる。使用前に、血液及び尿検査データセットの欠測情報は、利用可能なすべての血液及び/又は尿データを使用して推定することができるが、CKDステータス情報は使用できない。ある特定の非限定的な実施態様では、ニューラルネットワークは完全なデータを必要とする場合があるため、欠測情報を推定することができる。幾つかのデータセットでは、欠測データの有病率は、ほとんどの血液化学測定で約10%、及び/又は尿検査結果で約60%でありうる。モデル構築データセットと試験データセットは、データセット間の情報の流れを避けるために別々に保持した。
【0075】
3.2 予測モデルの種類
ある特定の非限定的な実施態様では、イヌ又はイヌ科動物のCKDの予測モデルは、1つ以上の機械学習アルゴリズムを含みうる。イヌ科動物のCKDの本質的に多因子的な性質は、臨床的価値を加えるための予測モデルにとって理想的な設定を提示する。例えば、ロジスティック回帰又はバックプロパゲーションニューラルネットワークなどの機械学習アルゴリズムを監視することができる。他の例では、機械学習アルゴリズムは、Aprioriアルゴリズム又はK-meansクラスタリングなどの教師なし、半教師付き、又はQ学習アルゴリズム又は時間差学習などの強化を使用することができる。他の幾つかの非限定的な実施態様では、他の任意の適切な学習スタイルを使用することができる。
【0076】
予測モデルが機械学習アルゴリズムを利用するこのような実施態様では、機械学習アルゴリズムは、例えば、次のアルゴリズム又は方法:回帰アルゴリズム(例えば、通常の最小二乗法、ロジスティック回帰、ステップワイズ回帰、多変量適応回帰スプライン、局所的に推定された散布図の平滑化など)、事例ベースの方法(例えば、k近傍法、学習ベクトル量子化、自己組織化マップなど)、正則化法(例えば、リッジ回帰、最小絶対収縮及び選択演算子、エラスティックネットなど)、決定木学習法(例えば、分類及び回帰ツリー、反復二分法3、C4.5、カイ二乗自動相互作用検出、決定株、ランダムフォレスト、多変量適応型回帰スプライン、勾配ブースティングマシンなど)、ベイズ法(例えば、単純ベイズ、AODE、ベイズ信頼ネットワークなど)、カーネル法(例えば、サポートベクターマシン、放射基底関数、線形判別分析など)、クラスタリング法(例えば、k-meansクラスタリング、期待値最大化など)、相関ルール学習アルゴリズム(例えば、Aprioriアルゴリズム、Eclatアルゴリズムなど)、人工ニューラルネットワークモデル(例えば、パーセプトロン法、誤差逆伝播法、ホップフィールド・ネットワーク法、自己組織化マップ法、学習ベクトル量子化法など)、深層学習アルゴリズム(例えば、制限ボルツマンマシン、ディープビリーフネットワーク法、畳み込みネットワーク法、積層オートエンコーダ法など)、次元縮小法(例えば、主成分分析、部分最小二乗回帰、サモンマッピング、多次元尺度構成法、射影追跡など)、アンサンブル法(例えば、ブースティング、ブートストラップ集約、AdaBoost、積み重ね一般化、勾配ブースティングマシン法、ランダムフォレスト法など)、条件付き確率場アルゴリズム、並びに任意の適切な形式のアルゴリズムのうちの1つを含みうる。
【0077】
ある特定の非限定的な実施態様では、予測モデルには、ロジスティック回帰アルゴリズム、人工ニューラルネットワークアルゴリズム(ANN)、回帰型ニューラルネットワークアルゴリズム(RNN)、k近傍法アルゴリズム(KNN)、動的時間伸縮を伴うKNN(KNN-DTW)、単純ベイズアルゴリズム、サポートベクターマシンアルゴリズム(SVM)、ランダムフォレストアルゴリズム、AdaBoostアルゴリズム、及び/又はそれらの任意の組合せのうちの1つ以上を含めることができる。幾つかの非限定的な実施態様では、正則化アルゴリズムを使用することができる。例えば、正則化アルゴリズムは、過剰適合を防ぐのに役立ちうる。
【0078】
ある特定の非限定的な実施態様では、予測モデルは、入力層、出力層、及び/又は1つ以上の隠れ層を含むアルゴリズムを含む、RNNでありうる。RNNは、例えば、バニラRNN、長・短期記憶(LSTM)RNN、及び/又はゲート付き回帰型ユニット(GRU)RNNでありうる。幾つかの非限定的な実施態様では、RNNは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10の隠れ層など、1から50の隠れ層を含みうる。各入力層、出力層、又は隠れ層は、1から500のノードを含みうる。幾つかの非限定的な実施態様は、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10のノードを含みうる。入力、出力、又は隠れ層の各々に、同じ数又は異なる数のノードを含めることができる。
【0079】
ある特定の実施態様では、1つ以上の隠れ層は活性化関数を含むことができる。活性化関数は、1つ以上の隠れ層において特定のノードの出力を決定するのに役立つ。例えば、活性化関数は、TanH関数、シグモイド関数又はロジスティック関数、整流化線形ユニット(ReLU)関数、マックスアウト関数、又はガウス関数でありうる。当技術分野で知られている他の任意の活性化関数を予測モデルの一部として使用してもよい。
【0080】
上述のように、ある特定の非限定的な実施態様では、予測モデルは、動的時間伸縮(DTW)を伴うKNNを使用してトレーニングすることができる。予測モデルによって処理される1つ以上のバイオマーカー及び/又は人口統計情報は、ピアソン相関係数などのフィルタリング方法によって選択することができる。幾つかの非限定的な実施態様では、1つ以上のバイオマーカー及び/又は人口統計情報は、K又は約7から17の間の最近傍を使用して、トップダウンラッパー法KNN-DTWによって選択することができる。ある特定の他の非限定的な実施態様では、1つ以上のバイオマーカー及び/又は人口統計情報は、ボトムアップラッパーによって選択することができる。他の非限定的な実施態様では、混合エキスパート(MOE)アプローチを使用して、予測モデルをトレーニングすることができ、この場合、単純投票又は加重投票を使用して、予測子のアンサンブルを組み合わせることができる。
【0081】
ある特定の非限定的な実施態様では、分類アルゴリズムは、入力層、出力層、及び1つ以上の隠れ層を含む、バニラRNN、LSTM RNN、又はGRU RNNなどのRNNを使用してトレーニングすることができ、各隠れ層は1つ以上のノードを有する。例えば、RNNは、5つのノードを含む第1の層、3つのノードを含む第2の層、及び3つのノードを含む第3の層を含む、3つの隠れ層を含みうる。RNNは、約1から約100分割の交差検証プロセスを含む交差検証プロセスを利用することができる。さらには、RNNは、約1から100のエポックにわたってトレーニングすることができる。例えば、RNNは、10分割の交差検証プロセスを含むことができ、8又は18エポックにわたってトレーニングすることができる。
【0082】
予測モデルの入力層は、1つ以上のバイオマーカー及び/又はイヌ又はイヌ科動物の人口統計情報を含みうる。予測モデルの出力層は、ソフトマックス又は正規化された指数関数を含みうる。ソフトマックス関数は、予測モデルの出力を確率分布に正規化するのに役立てることができ、確率の数は入力値の指数に比例する。幾つかの非限定的な実施態様では、バイナリ交差エントロピーも損失の計算に使用することができる。他の非限定的な実施態様は、正則化アルゴリズムを利用して過剰適合を防ぐことができる。正則化アルゴリズムは、例えば、過剰適合を避けるために、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、又は他の任意のパーセンテージをドロップアウトさせることができる。
【0083】
ある特定の非限定的な実施態様では、予測モデルは、予測モデルの評価又は検証を含みうる。幾つかの非限定的な実施態様では、評価又は検証を使用して、予測モデルを更新することができる。例えば、予測モデルは、10分割の交差検証を含みうる。交差検証の一環として、データセットは、交差検証の約2分割、約3分割、約4分割、約5分割、約6分割、約7分割、約8分割、約9分割、約10分割、約20分割、約30分割、約40分割、約50分割又はそれより多くの分割、又は任意の中間数の分割へと階層化されうる。
【0084】
幾つかの非限定的な実施態様では、予測モデルの性能は、約0.50から約0.99の範囲の曲線下面積(AUC)によって特徴付けることができる。
【0085】
予測モデルを使用して、イヌがCKDを発症する確率リスクスコアを決定することができる。確率リスクスコアは、例えば、イヌ又はイヌ科動物がCKDを発症する確率に基づきうる。確率リスクスコアは、例えば、0から100%の間、又は0.0から1.0の間の任意の値でありうる。決定された確率リスクスコアに基づいて、イヌ又はイヌ科動物は、低い又は高い確実性で高いCKDを発症するリスクを有すると決定することができる。低い又は高い確実性は、確率リスクスコアの適合率、感度、特異度、又はF1スコアのうちの少なくとも1つに基づきうる。例えば、95%以上の精度ではCKDを発症するリスクが高いと言うことができ、一方、25から50%の精度では、CKDを発症するリスクが低いと言える。
【0086】
ある特定の非限定的な実施態様では、イヌ又はイヌ科動物は、CKDを発症しないという低い確実性又は高い確実性を有しうる。例えば、約80%以下の精度は、イヌ又はイヌ科動物がCKDを発症するリスクがないという低い確実性を示しうる。約80%以上の精度は、イヌ又はイヌ科動物がCKDを発症するリスクがないという高い確実性を示しうる。幾つかの非限定的な実施態様では、低い確実性でCKDを発症するリスクがないイヌ又はイヌ科動物は、将来のCKDとして分類されうる。幾つかの非限定的な実施態様では、高い確率リスクスコアは、イヌ又はイヌ科動物が高い予測精度でCKDを発症することを示しうる。例えば、高い予測精度は、約95%を超えうる。
【0087】
幾つかの非限定的な実施態様では、中程度の確率リスクスコアは、イヌ又はイヌ科動物がCKDを発症する又はCKDを発症しない可能性を正確に予測するための決定的でない又は不十分なデータを示しうる。中程度の確率スコアは、例えば、40%から60%の間のスコア、又は高い若しくは低い確率を示さない他の任意の値でありうる。一方、低い確率リスクスコアは、イヌ又はイヌ科動物が高い予測精度でCKDを発症することができないことを示しうる。例えば、高い予測精度は、約95%を超えうる。
【0088】
確率リスクスコアは、1つ以上のバイオマーカーの値の量が決定されてから、又は確率スコアが決定されてから約0ヶ月、約3ヶ月、約6ヶ月、約9ヶ月、約12ヶ月、0年、約0.5年、約1年、約2年、約3年、約4年、又は約5年以上以内にイヌ又はイヌ科動物がCKDを発症するリスクに関連しうる。ある特定の他の例では、確率スコアは、1つ以上のバイオマーカーの値の量が決定されてから、又は確率スコアが決定されてから約12ヶ月又は約2年以内にイヌ又はイヌ科動物がCKDを発症するリスクを示しうる。
【0089】
ある特定の非限定的な実施態様では、RNNなどの予測モデルを使用して、クレアチニン、BUN、尿比重、尿タンパク質などの1つ以上のバイオマーカー、又は体重若しくは年齢などの人口統計情報を処理することができる。一例では、診断時点に近い予測モデルは、約91.4%の感度と97.2%の特異度を表示することができる。予測モデルの特異度は、診断の1年前又は2年前でも約97%で維持される可能性があるが、感度は、それぞれ、約69%及び45%に低下する可能性がある。予測モデルは、CKDの早期診断を提供するのに役立てることができ、介入及び患者転帰のより大きな機会を可能にする。
【0090】
CKD予測モデルを決定するために、データセットをランダムに2つの部分に分割した。合計で37,210の健康記録、又はデータの約67%をCKD予測モデルの構築に使用した。残りの18,705の健康記録、又はデータの約33%を、モデル性能又は交差検証を評価するための試験データセットとして使用した。トレーニングデータセットとしても知られるモデル構築データセットとモデル試験データセットは、試験段階での偏りを排除するために、分析全体を通じて個別に保持することができる。使用前に、血液及び尿検査データセットの欠測情報は、利用可能なすべての血液及び/又は尿データを使用して推定することができるが、CKDステータス情報は使用できない。ある特定の非限定的な実施態様では、ニューラルネットワークは完全なデータを必要とする場合があるため、欠測情報を推定することができる。モデル構築データセットと試験データセットは、データセット間の情報の流れを避けるために別々に保持した。
【0091】
ある特定の非限定的な実施態様では、予測モデルがCKDの早期発見にうまく機能するためには、構築データセットを予測するモデルを、元の健康記録の切り詰められたバージョンを追加することで強化することができる。例えば、最後のK回の訪問は、Kの範囲が1から合計訪問数-1までの範囲で削除することができる。幾つかの実施態様では、データを切り捨てることは、データセットの最後の訪問と診断時との間に最大2年のギャップを有する健康記録を用いてデータセットを充実させるのに役立てることができる。切り捨てられたデータは、最後の利用可能なデータ点と診断日との間でデータに大きいギャップがある、より多くのペットのサブセットを使用して予測モデルをトレーニングするのに役立てることができる。
【0092】
幾つかの非限定的な実施態様では、CKD予測モデルを構築する最初のステップの1つは、モデル機能の限られたセットを選択することである。機能は、1つ以上のバイオマーカー及び/又は人口統計情報を含みうる。機能選択は、例えば、標準的な回帰型ニューラルネットワークを使用したトップダウン又はボトムアップラッパー法によって実施することができる。最初に試験した回帰型ニューラルネットワークは、3つのノードを有する第1の層と7つのノードを有する第2の層の2つの隠れ層を有することができる。幾つかの実施態様では、RNNは、隠れ層にTanH活性化関数を含み、かつ出力層をCKD確率リスクスコアに変換するためのソフトマックスを含むことができる。ある特定の非限定的な実施態様では、時間によるバックプロパゲーションは、RMSprop勾配最適化アルゴリズムのトレーニングに使用することができる。モデル性能は、例えば、3分割の交差検証セットアップでのF1交差エントロピーに基づいて評価することができる。F1交差エントロピーは、CKDの発生率とは無関係に、感度と特異度のバランスを取るための測定基準として使用することができる。
【0093】
次に、選択した機能を使用して、完全なモデルアーキテクチャスクリーニングを実施することができる。次いで、1から5の隠れ層のさまざまなRNN構成を、1層あたり3から200のノードで試験した。幾つかの非限定的な実施態様では、過剰適合を避けるために、20%のドロップアウトを追加した。例えば、評価は、10分割の交差検証セットアップでのF1スコアに基づいていた。予測モデル構成は、同じ交差検証セットアップでのトレーニング時間に関して微調整することができる。
【0094】
ある特定の非限定的な実施態様では、バイアスされていないモデル性能は、選択した予測モデルを試験データセットに適用することによって評価することができる。CKD及び「CKDなし」群のすべてのイヌ又はイヌ科動物について予測を実施した。予測モデルの結果は、CKD診断の確率などの粗モデルの出力、及び/又は分類後の出力で解釈したが、「CKDなし」及びCKDは、カット点として0.5のpを使用して評価する。「CKD」及び「CKDなし」群のカテゴリの結果を使用して、それぞれ、感度推定値(すなわち、真陽性の割合、CKDとして予測される「CKD」状態)及び特異度推定値(すなわち、真陰性の割合、CKDなしとして予測される「CKDなし」)を計算した。感度及び特異度の推定値の信頼区間は、正規近似を使用して計算した。モデルが確定診断に先立ってCKDを予測する能力は、健康記録をCKD群の評価時(T0)年齢より前のさまざまな時点まで切り捨てることによって、及び/又は予測モデルを切り捨てデータのみを見られるようにすることによって評価することができる。
【0095】
上で論じたように、幾つかの非限定的な実施態様では、3-7の隠れ層構造を有する標準RNNをCKDの予測モデルの出発点として使用することができる。述べている予測モデルは、CKD診断の多因子的側面と一時的側面の両方を認識することができる。1つ以上のバイオマーカー及び/又は人口統計情報を含む、35の候補因子でこの予測モデルを使用する。ある特定の非限定的な実施態様では、1つ以上のバイオマーカー及び/又は人口統計情報などの最も重要な機能は、トップダウン及びボトムアップの機能選択戦略を使用して選択することができる。幾つかの非限定的な実施態様では、交差エントロピースコアは、最大で6つの機能を追加することで改善されたが、その後横ばいになった。最良の機能セットは、例えば、クレアチニン、血中尿素窒素、尿比重、尿タンパク質、体重、及び年齢でありうる。これら6つの機能を使用して、更新された予測モデルを決定又は選択することができる。ある特定の非限定的な実施態様では、5-3-3構造の3層RNNは、8エポックにわたってトレーニングされ、最良の性能を示すことができる。
【0096】
4.カスタマイズされた推奨事項
ある特定の非限定的な実施態様では、カスタマイズされた推奨事項は、イヌ又はイヌ科動物がCKDを発症する確率リスクに基づいて決定することができる。カスタマイズされた推奨事項は、イヌ又はイヌ科動物の獣医師、飼い主、又は介護者に送信することができる。概して、カスタマイズされた推奨事項は、イヌ又はイヌ科動物のCKDを治療、予防、又はイヌ又はイヌ科動物がCKDを発症するリスク軽減するための方法、プロセス、試験、又はレジメンを提供することができる。例えば、カスタマイズされた推奨事項には、1つ以上の治療的介入、1つ以上の食事の変更、1つ以上の腎温存戦略、及び/又は疾患の進行についての1つ以上の検査のうちの少なくとも1つが含まれうる。
【0097】
ある特定の非限定的な実施態様では、カスタマイズされた推奨事項には、血清副甲状腺ホルモンレベルの検査など、疾患の進行に関する試験が含まれうる。確率リスクスコアが低い確率スコアであるか、又は高い確実性でCKDを発症するリスクがないことを示す場合、カスタマイズされた推奨事項には、確率リスクスコアの計算から1週間以上、1ヶ月以上、又は1年以上以内にCKDについて検査することが含まれうる。例えば、カスタマイズされた推奨事項には、元の確率リスクスコアが決定されてから1年又は2年後にCKDについて検査することが含まれうる。幾つかの非限定的な実施態様では、中程度の確率スコアが決定された場合、又は低い確実性でCKDを発症するリスクがないことを示す場合、カスタマイズされた推奨事項には、元の確率リスクスコアが決定された後6ヶ月以内にCKDについてイヌ又はイヌ科動物を検査することが含まれうる。他の非限定的な実施態様では、確率リスクスコアが中程度又は高い確率スコアを有する場合、又は低い確実性でCKDを発症するリスクを示す場合、カスタマイズされた推奨事項には、元の確率リスクスコアが決定された後3ヶ月以内にCKDについてイヌ又はイヌ科動物を検査することを含めることができる。
【0098】
確率リスクスコアが高い確実性でCKDを発症するリスクを示す場合、カスタマイズされた推奨事項には、基礎となる商品を特定すること、CKDについてイヌ又はイヌ科動物を検査すること、及び/又は本明細書に開示される国際獣医腎臓病研究グループ(IRIS)の病期分類を継続することを含めることができる。
【0099】
例えば、イヌ又はイヌ科動物の確率リスクスコアが高い確実性でCKDを発症するリスクを示す場合、カスタマイズされた推奨事項には、治療的介入を含めることができる。治療的介入には、水の消費量とトイレの習慣の監視、食事療法の提供、補足的な推奨事項の提供、タンパク質制限のない、適切なリンレベルの高品質の食事の提供、脂肪酸サプリメントの提供の検討、腎毒性薬の回避、歯科治療レジメンの実施、及び/又は良好な口腔衛生の維持のうちの少なくとも1つを含めることができる。
【0100】
ある特定の非限定的な実施態様では、カスタマイズされた推奨事項には、イヌ又はイヌ科動物における併存疾患の存在を診断することを含めることができる。ある特定の実施態様では、併存疾患には、甲状腺機能亢進症、糖尿病、肝障害、低体重、心雑音、関節炎、不快感、便秘、胃腸炎、嘔吐、炎症性腸疾患、結晶尿、腸炎、尿路感染症、上気道疾患、尿路機能障害、肥満、不適切な排泄、膀胱炎、大腸炎、及び/又はそれらの任意の組合せのうちの1つ以上が含まれうる。特に、幾つかの非限定的な実施態様では、併存疾患には、甲状腺機能亢進症、糖尿病、肝障害、低体重、雑音、及び/又はそれらの任意の組合せが含まれうる。
【0101】
ある特定の実施態様では、カスタマイズされた推奨事項には、治療的介入又は腎温存戦略が含まれうる。例えば、治療的介入又は腎温存戦略には、非ステロイド系抗炎症薬又はアミノグリコシドの回避、血液透析、腎代替療法、腎臓に損傷を与える化合物の使用中止、腎臓移植、腎臓に損傷を与える処置の遅延又は回避、利尿剤投与の変更、及び/又はそれらの任意の組合せのうちの1つ以上を含めることができる。ある特定の他の非限定的な実施態様では、治療的介入又は腎温存戦略には、リン酸塩摂取量の低減、タンパク質摂取量の低減、多価不飽和脂肪酸の投与、リン吸着剤療法の実施、カリウムの投与、食事によるナトリウム摂取量の低減、アルカリ補給剤の投与、又はそれらの任意の組合せのうちの1つ以上が含まれうる。例えば、Jonathan D. Foster, Update on Mineral and Bone Disorders in Chronic Kidney Disease, Vet Clin North Am Small Anim Pract.2016 Nov;46(6):1131-49を参照されたい。
【0102】
ある特定の実施態様では、カスタマイズされた推奨事項には、栄養上の推奨事項、食事若しくは栄養に関する変更、食事若しくは栄養に関するレジメン、栄養製品、及び/又は食事療法若しくは栄養療法などの食事に関する推奨事項が含まれうる。食事に関する推奨事項には、任意のペット製品を使用するための推奨事項、及び/又はペットフードなどの任意のペット製品の摂取若しくは使用のための推奨事項が含まれうる。例えば、低リン食、低タンパク質食、低ナトリウム食、カリウム補給食、多価不飽和脂肪酸(PUFA、例えば、長鎖オメガ-3脂肪酸)補給食、抗酸化補給食、ビタミンB補給食、流動食、カルシウム補給食、通常のタンパク質食、又はそれらの任意の組合せのうちの1つ以上が含まれうる。他のある特定の実施態様では、食事に関する推奨事項には、1つ以上のペット製品が含まれうる。例えば、ペット製品は、発症の遅延、進行の制限、影響の軽減、生理学的負担の最小化、又はCKDの予防に役立ちうる。例えば、食事には、低タンパク質、低リン、カルシウムのリンに対する比の増加、エネルギー密度の増加、及び/又は中性酸塩基バランスが含まれうる。
【0103】
ある特定の実施態様では、低リン食には、ペットフードの重量基準による重量で、約0.01%から約5%の間、約0.1%から約2%の間、約0.1%から約1%の間、約0.05%から約2%の間、又は約0.5%から約1.5%の間のリンが含まれうる。ある特定の非限定的な実施態様では、低リン食には、ペットフードの重量基準による重量で、約0.01%、約0.05%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約1.1%、約1.2%、約1.3%、約1.4%、約1.5%、約1.6%、約1.7%、約1.8%、約1.9%、約2%、約3%、約4%、約5%のリン酸塩、又は中間のパーセンテージ若しくは範囲のリン酸塩が含まれうる。幾つかの非限定的な実施態様では、低リン食には、約0.1g/1000kcal、約0.2g/1000kcal、約0.3g/1000kcal、約0.4g/1000kcal、約0.5g/1000kcal、約0.6g/1000kcal、約0.7g/1000kcal、約0.8g/1000kcal、約0.9g/1000kcal、約1.0g/1000kcal、約1.1g/1000kcal、約1.2g/1000kcal、約1.3g/1000kcal、約1.4g/1000kcal、約1.5g/1000kcal、約1.6g/1000kcal、約1.7g/1000kcal、約1.8g/1000kcal、約1.9g/1000kcal、約2.0g/1000kcal、約2.1g/1000kcal、約2.2g/1000kcal、約2.5g/1000kcal、約2.8g/1000kcal、約3.0g/1000kcal、約3.5g/1000kcal、約4g/1000kcal、約5g/1000kcal、約10g/1000kcal、約15g/1000kcal、約20g/1000kcal、又は中間のパーセンテージ若しくは範囲のリン酸塩が含まれうる。ある特定の他の非限定的な実施態様では、低リン食には、約0.1g/1000kcalから約0.5g/1000kcalの間、約0.5g/1000kcalから約1.0g/1000kcalの間、約1.0g/1000kcalから約2.0g/1000kcalの間、約2.0g/1000kcalから約5.0g/1000kcalの間、約0.01g/1000kcalから約0.1g/1000kcalの間、約0.05g/1000kcalから約1.0g/1000kcalの間、約0.1g/1000kcalから約1g/1000kcalの間、約0.1g/1000kcalから約2g/1000kcalの間、約1g/1000kcalから2g/1000kcalの間のリン酸塩が含まれうる。ある特定の非限定的な実施態様では、低リン食には、ペットフードの重量基準による重量で、約0.5%のリン酸塩が含まれうる。(例えば、乾燥腎臓病用食で約1.2g/1000kcal、又は湿潤腎臓病用食で約1.0g/1000kcal)。他の例では、低リン食には、ペットフードの重量基準による重量で約0.9又は1%のリン酸塩が含まれうる(例えば、乾燥維持食で約1.8g/1000kcal、又は湿潤維持食で約2.3g/1000kcal)。低リン食はまた、約1.0g/1000kcalから約1.5g/1000kcalの間のリンも含まれうる。
【0104】
ある特定の非限定的な実施態様では、カルシウム補給食には、ペットフードの重量基準による重量で、約0.01%から約5%の間、約0.1%から約2%の間、約0.1%から約1%の間、約0.05%から約2%の間、又は約0.5%から約1.5%の間のカルシウムが含まれうる。幾つかの非限定的な実施態様では、カルシウム補給食には、ペットフードの重量基準による重量で、約0.01%、約0.05%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約1.1%、約1.2%、約1.3%、約1.4%、約1.5%、約1.6%、約1.7%、約1.8%、約1.9%、約2%、約3%、約4%、約5%のカルシウム、又は任意の中間のパーセンテージ若しくは範囲のカルシウムが含まれうる。他の幾つかの非限定的な実施態様では、カルシウム補給食には、約0.1g/1000kcal、約0.2g/1000kcal、約0.3g/1000kcal、約0.4g/1000kcal、約0.5g/1000kcal、約0.6g/1000kcal、約0.7g/1000kcal、約0.8g/1000kcal、約0.9g/1000kcal、約1.0g/1000kcal、約1.1g/1000kcal、約1.2g/1000kcal、約1.3g/1000kcal、約1.4g/1000kcal、約1.5g/1000kcal、約1.6g/1000kcal、約1.7g/1000kcal、約1.8g/1000kcal、約1.9g/1000kcal、約2.0g/1000kcal、約2.1g/1000kcal、約2.2g/1000kcal、約2.5g/1000kcal、約2.8g/1000kcal、約3.0g/1000kcal、約3.5g/1000kcal、約4g/1000kcal、約5g/1000kcal、約10g/1000kcal、約15g/1000kcal、約20g/1000kcal、又は任意の中間のパーセンテージ若しくは範囲のカルシウムが含まれうる。ある特定の他の非限定的な実施態様では、カルシウム補給食には、約0.1g/1000kcalから約0.5g/1000kcalの間、約0.5g/1000kcalから約1.0g/1000kcalの間、約1.0g/1000kcalから約2.5g/1000kcalの間、約2.5g/1000kcalから約5.0g/1000kcalの間、約0.01g/1000kcalから約0.1g/1000kcalの間、約0.05g/1000kcalから約1.0g/1000kcalの間、約0.1g/1000kcalから約1g/1000kcal、約0.1g/1000kcalから約2g/1000kcalの間、約1g/1000kcalから2g/1000kcalの間のカルシウムが含まれうる。
【0105】
ある特定の非限定的な実施態様では、カルシウム補給食と低リン食との組合せには、約1から約2の間、約1.1から約1.4の間、約1.2から約1.4の間、約1.1から約1.3の間、約1.3から約1.8の間、約1.4から約1.6の間、約1.5から約1.8の間、又は約1.6から約1.8の間のカルシウム-リン比(Ca:P比)が含まれうる。幾つかの非限定的な実施態様では、カルシウム補給食と低リン食との組合せには、約1、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9、又は約2.0のカルシウム-リン比(Ca:P比)が含まれうる。
【0106】
ある特定の非限定的な実施態様では、低ナトリウム食には、ペットフードの重量基準による重量で、約0.00001%から約5%の間、約0.0001%から約1%の間、約0.001%から約0.1%の間、又は約0.001%から約0.05%の間のナトリウムが含まれうる。幾つかの非限定的な実施態様では、低ナトリウム食には、ペットフードの重量基準による重量で、約0.01%、約0.05%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約1.1%、約1.2%、約1.3%、約1.4%、約1.5%、約1.6%、約1.7%、約1.8%、約1.9%、約2%、約3%、約4%、約5%のナトリウム、又は任意の中間のパーセンテージ若しくは範囲のナトリウムが含まれうる。低ナトリウム食はまた、約1mg/kg/日、約2mg/kg/日、約3mg/kg/日、約4mg/kg/日、約5mg/kg/日、約6mg/kg/日、約7mg/kg/日、約8mg/kg/日、約9mg/kg/日、約10mg/kg/日、約15mg/kg/日、約20mg/kg/日、約30mg/kg/日、約40mg/kg/日、約46mg/kg/日、約50mg/kg/日、約60mg/kg/日、約70mg/kg/日、約80mg/kg/日、約90mg/kg/日、約100mg/kg/日、約120mg/kg/日、約150mg/kg/日、又は任意の中間の量若しくは範囲のナトリウムも含みうる。他の非限定的な実施態様では、低ナトリウム食は、約1mg/1000kcalから約50mg/1000kcalの間、約2mg/1000kcalから約20mg/1000kcalの間、約5mg/1000kcalから約50mg/1000kcalの間、約1mg/1000kcalから約10mg/1000kcal、の間、約0.1mg/1000kcalから約5mg/1000kcalの間、約0.1mg/1000kcalから約10mg/1000kcalの間、約0.1mg/1000kcalから約20mg/1000kcalの間、約0.1mg/1000kcalから約40mg/1000kcalの間、約10mg/1000kcalから20mg/1000kcalの間のナトリウムを含む。低ナトリウム食は、例えば、約0.4から約0.9mmol/kg/日、又は約9.2から約20.7mg/kg/日を含みうる。
【0107】
ある特定の非限定的な実施態様では、カリウム補給食には、ペットフード中に存在するカリウムに加えて、ペットフードの重量基準による重量で、約0.00001%から約5%の間、約0.0001%から約1%の間、約0.001%から約0.1%の間、又は約0.001%から約0.05%の間のカリウム補給食が含まれうる。他の非限定的な実施態様では、カリウム補給食には、ペットフード中に存在するカリウムに加えて、ペットフードの重量基準による重量で、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約1.1%、約1.2%、約1.3%、約1.4%、約1.5%、約1.6%、約1.7%、約1.8%、約1.9%、約2%、約3%、約4%、約5%以上のカリウム補給食、又はペットフードの重量基準による重量で、ペットフード中に存在するカリウムに加えて、任意の中間のパーセンテージ若しくは範囲のカリウム補給食が含まれうる。幾つかの非限定的な実施態様では、カリウム補給食には、ペットフード中に存在するカリウムに加えて、約1mg/kg/日、約2mg/kg/日、約3mg/kg/日、約4mg/kg/日、約5mg/kg/日、約6mg/kg/日、約7mg/kg/日、約8mg/kg/日、約9mg/kg/日、約10mg/kg/日、約15mg/kg/日、約20mg/kg/日、約30mg/kg/日、約40mg/kg/日、約50mg/kg/日、約60mg/kg/日、約70mg/kg/日、約80mg/kg/日、約90mg/kg/日、約100mg/kg/日以上、又は任意の中間の量若しくは範囲のカリウム補給食が含まれうる。ある特定の実施態様では、カリウム補給食には、ペットフード中に存在するカリウムに加えて、約1mg/1000kcalから約10mg/1000kcalの間、約2mg/1000kcalから約20mg/1000kcalの間、約5mg/1000kcalから約50mg/1000kcal、約1mg/1000kcalから約10mg/1000kcalの間、約0.1mg/1000kcalから約5mg/1000kcalの間、約0.1mg/1000kcalから約10mg/1000kcalの間、約0.1mg/1000kcalから約20mg/1000kcalの間、約0.1mg/1000kcalから約40mg/1000kcalの間、約10mg/1000kcalから20mg/1000kcalの間のカリウム補給食が含まれうる。
【0108】
ある特定の非限定的な実施態様では、カリウム補給食には、ペットフードの重量基準による重量で、約0.01%から約5%の間、約0.1%から約2%の間、約0.1%から約1%の間、約0.05%から約2%の間、又は約0.5%から約1.5%の間のカリウムが含まれうる。他の非限定的な実施態様では、カリウム補給食には、ペットフードの重量基準による重量で、約0.01%、約0.05%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約1.1%、約1.2%、約1.3%、約1.4%、約1.5%、約1.6%、約1.7%、約1.8%、約1.9%、約2%、約3%、約4%、約5%のカリウム、又は任意の中間のパーセンテージ若しくは範囲のカリウムが含まれうる。幾つかの非限定的な実施態様では、カリウム補給食には、約0.1g/1000kcal、約0.2g/1000kcal、約0.3g/1000kcal、約0.4g/1000kcal、約0.5g/1000kcal、約0.6g/1000kcal、約0.7g/1000kcal、約0.8g/1000kcal、約0.9g/1000kcal、約1.0g/1000kcal、約1.1g/1000kcal、約1.2g/1000kcal、約1.3g/1000kcal、約1.4g/1000kcal、約1.5g/1000kcal、約1.6g/1000kcal、約1.7g/1000kcal、約1.8g/1000kcal、約1.9g/1000kcal、約2.0g/1000kcal、約2.1g/1000kcal、約2.2g/1000kcal、約2.5g/1000kcal、約2.8g/1000kcal、約3.0g/1000kcal、約3.5g/1000kcal、約4g/1000kcal、約5g/1000kcal、約10g/1000kcal、約15g/1000kcal、約20g/1000kcal、又は任意の中間のパーセンテージ若しくは範囲のカリウムが含まれうる。カリウム補給食はまた、約0.1g/1000kcalから約0.5g/1000kcalの間、約0.5g/1000kcalから約1.0g/1000kcalの間、約1.0g/1000kcalから約2.5g/1000kcalの間、約2.5g/1000kcalから約5.0g/1000kcalの間、約0.01g/1000kcalから約0.1g/1000kcalの間、約0.05g/1000kcalから約1.0g/1000kcalの間、約0.1g/1000kcalから約1g/1000kcalの間、約0.1g/1000kcalから約2g/1000kcalの間、約1g/1000kcalから2g/1000kcalの間のカリウムも含みうる。他の非限定的な実施態様では、カリウム補給食は、約2g/1000kcalから約2.5g/1000kcalの間のカリウムを含む。ある特定の実施態様では、カリウム補給食は、約2.1g/1000kcalのカリウムを含む。
【0109】
ある特定の非限定的な実施態様では、通常のタンパク質食には、約70g/1000kcalから約90g/1000kcalの間、約70g/1000kcalから約75g/1000kcalの間、約70g/1000kcalから約80g/1000kcalの間、約80g/1000kcalから約90g/1000kcalの間、又は約85g/1000kcalから約90g/1000kcalの間のタンパク質レベルが含まれうる。幾つかの非限定的な実施態様では、通常のタンパク質食には、約73g/1000kcal、約74g/1000kcal、又は約75g/1000kcalのタンパク質レベルが含まれうる。
【0110】
ある特定の非限定的な実施態様では、低タンパク質食には、ペットフードの重量基準による重量で、約0.0001%から約20%の間、約0.001%から約10%の間、約0.01%から約5%の間、約0.05%から約2%の間、又は約0.01%から約1%の間のタンパク質が含まれうる。幾つかの非限定的な実施態様では、低タンパク質食には、ペットフードの重量基準による重量で、約0.01%、約0.05%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約1.1%、約1.2%、約1.3%、約1.4%、約1.5%、約1.6%、約1.7%、約1.8%、約1.9%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%のタンパク質、又は任意の中間のパーセンテージ若しくは範囲のタンパク質が含まれうる。他の非限定的な実施態様では、低タンパク質食には、約1g/kg/日、約2g/kg/日、約3g/kg/日、約4g/kg/日、約5g/kg/日、約6g/kg/日、約7g/kg/日、約8g/kg/日、約9g/kg/日、約10g/kg/日、約15g/kg/日、約20g/kg/日、又は任意の中間の量若しくは範囲のタンパク質が含まれうる。低タンパク質食はまた、約1g/kg/日から約20g/kg/日の間、約1g/kg/日から約50g/kg/日の間、約2g/kg/日から約30g/kg/日の間、約2g/kg/日から約10g/kg/日の間、約2g/kg/日から約8g/kg/日の間、約5g/kg/日から約20g/kg/日の間、又は任意の中間の量若しくは範囲のタンパク質も含みうる。低タンパク質食には、約4から約6g/kg/日、又は約5から約5.5g/kg/日が含まれうる。
【0111】
ある特定の非限定的な実施態様では、多価不飽和脂肪酸(PUFA)補給食には、ペットフードの重量基準による重量で、ペットフード中に存在するPUFAに加えて、約0.01%から約30%の間、約0.1%から約20%の間、約1%から約10%の間、約0.1%から約5%の間、又は約1%から約10%の間のPUFA補給食が含まれうる。幾つかの非限定的な実施態様では、PUFA補給食には、ペットフード中に存在するPUFAに加えて、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約1.1%、約1.2%、約1.3%、約1.4%、約1.5%、約1.6%、約1.7%、約1.8%、約1.9%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%以上のPUFA補給食、又はペットフードの重量基準による重量で、ペットフード中に存在するPUFAに加えて、任意の中間のパーセンテージ若しくは範囲のPUFA補給食が含まれうる。他の非限定的な実施態様では、PUFA補給食には、ペットフード中に存在するPUFAに加えて、約0.1g/kg/日、約0.5g/kg/日、約1g/kg/日、約1g/kg/日、約2g/kg/日、約3g/kg/日、約4g/kg/日、約5g/kg/日、約6g/kg/日、約7g/kg/日、約8g/kg/日、約9g/kg/日、約10g/kg/日、約15g/kg/日、約20g/kg/日、約30g/kg/日、約40g/kg/日、約50g/kg/日、約60g/kg/日、約70g/kg/日、約80g/kg/日、約90g/kg/日、約100g/kg/日、又は任意の中間の量若しくは範囲のPUFA補給食が含まれうる。ある特定の他の非限定的な実施態様では、PUFA補給食には、ペットフード中に存在するPUFAに加えて、約0.1g/kg/日から約20g/kg/日の間、約1g/kg/日から約100g/kg/日の間、約2g/kg/日から約200g/kg/日の間、約5g/kg/日から約150g/kg/日の間、約10g/kg/日から約100g/kg/日の間、約5g/kg/日から約50g/kg/日の間、又は任意の中間の量若しくは範囲のPUFA補給食が含まれうる。PUFA補給食はまた、約1g/1000kcalから約10g/1000kcalの間、約1g/1000kcalから約5g/1000kcalの間、約5g/1000kcalから約10g/1000kcalの間、約1g/1000kcalから約3g/1000kcalの間、約1g/1000kcalから約2g/1000kcalの間、約2g/1000kcalから約4g/1000kcalの間、約5g/1000kcalから約8g/1000kcalの間、約7g/1000kcalから約10g/1000kcalの間のPUFAレベルも含みうる。ある特定の実施態様では、PUFA補給食は、約1g/1000kcal、約2g/1000kcal、約2.1g/1000kcal、約3g/1000kcal、約4g/1000kcal、約5g/1000kcal、約6g/1000kcal、約7g/1000kcal、約8g/1000kcal、約9g/1000kcal、又は約10g/1000kcalのPUFAレベルを含む。
【0112】
ある特定の非限定的な実施態様では、PUFA補給食には、植物油などのn-6PUFA、魚油などのn-3PUFA、エイコサペンタエン酸(EPA)、及び/又はドコサヘキサエン酸(DHA)が含まれうる。
【0113】
ある特定の非限定的な実施態様では、抗酸化剤補給食には、ペットフードの重量基準による重量で、約0.001%から約5%の間、約0.01%から約1%の間、約0.01%から約2%の間、約0.1%から約1%の間、又は約1%から約5%の間のペットフード中に存在する抗酸化剤が含まれうる。幾つかの非限定的な実施態様では、抗酸化剤補給食は、ペットフードの重量基準による重量で、ペットフード中に存在する抗酸化剤に加えて、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約1.1%、約1.2%、約1.3%、約1.4%、約1.5%、約1.6%、約1.7%、約1.8%、約1.9%、約2%、約3%、約4%、約5%以上の抗酸化剤補給食、又は任意の中間のパーセンテージ若しくは範囲の抗酸化剤サプリメントを含む。他の非限定的な実施態様では、抗酸化剤補給食には、ペットフード中に存在する抗酸化剤に加えて、約1mg/kg/日、約2mg/kg/日、約3mg/kg/日、約4mg/kg/日、約5mg/kg/日、約6mg/kg/日、約7mg/kg/日、約8mg/kg/日、約9mg/kg/日、約10mg/kg/日、約15mg/kg/日、約20mg/kg/日、約30mg/kg/日、約40mg/kg/日、約50mg/kg/日、約60mg/kg/日、約70mg/kg/日、約80mg/kg/日、約90mg/kg/日、約100mg/kg/日以上、又は任意の中間の量若しくは範囲の抗酸化剤サプリメントが含まれうる。抗酸化剤補給食には、ペットフード中に存在する抗酸化剤に加えて、約1mg/kg/日から約20mg/kg/日の間、約1mg/kg/日から約100mg/kg/日の間、約2mg/kg/日から約200mg/kg/日の間、約5mg/kg/日から約150mg/kg/日の間、約10mg/kg/日から約100mg/kg/日の間、約5mg/kg/日から約50mg/kg/日の間、又は任意の中間の量若しくは範囲の抗酸化剤サプリメントが含まれうる。ある特定の非限定的な実施態様では、抗酸化剤は、ビタミンE、ビタミンC、タウリン、カロテノイド類、フラバノール類、又はそれらの任意の組合せのうちの1つ以上でありうる。例えば、フラバノールは、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキンガレート、プロシアニジン、タンニン、又はそれらの任意の組合せでありうる。抗酸化剤補給食はまた、ココア、ブドウ、及び緑茶など、高いフラバノール濃度を有する植物も含みうる。
【0114】
ある特定の非限定的な実施態様では、ビタミンB補給食には、ビタミンB1(チアミン)、ビタミンB2(リボフラビン)、ビタミンB3(ナイアシン又はニコチンアミドリボシド)、ビタミンB5(パントテン酸)、ビタミンB6(ピリドキシン、ピリドキサール、又はピリドキサミン)、ビタミンB7(ビオチン)、ビタミンB9(葉酸)、ビタミンB12(コバラミン類、例えば、シアノコバラミン又はメチルコバラミン)、又はそれらの任意の組合せが含まれうる。幾つかの非限定的な実施態様では、ビタミンB補給食には、ペットフードの重量基準による重量で、ペットフード中に存在するビタミンB類に加えて、約0.001%から約2%の間、約0.01%から約1%の間、約0.05%から約1%の間、約0.001%から約0.1%の間、又は約0.01%から約0.2%の間のビタミンB類が含まれうる。他の非限定的な実施態様では、ビタミンB補給食は、ペットフードの重量基準による重量で、ペットフード中に存在するビタミンB類に加えて、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約1.1%、約1.2%、約1.3%、約1.4%、約1.5%、約1.6%、約1.7%、約1.8%、約1.9%、約2%以上のビタミンB類、又は任意の中間のパーセンテージ若しくは範囲のビタミンBサプリメントを含む。ある特定の実施態様では、ビタミンB補給食には、ペットフード中に存在するビタミンB類に加えて、約1mg/kg/日、約2mg/kg/日、約3mg/kg/日、約4mg/kg/日、約5mg/kg/日、約6mg/kg/日、約7mg/kg/日、約8mg/kg/日、約9mg/kg/日、約10mg/kg/日、約15mg/kg/日、約20mg/kg/日、約30mg/kg/日、約40mg/kg/日、約50mg/kg/日、約60mg/kg/日、約70mg/kg/日、約80mg/kg/日、約90mg/kg/日、約100mg/kg/日以上、又は任意の中間の量若しくは範囲のビタミンBサプリメントが含まれうる。ある特定の非限定的な実施態様では、ビタミンB補給食には、ペットフード中に存在するビタミンB類に加えて、約1mg/kg/日から約20mg/kg/日の間、約1mg/kg/日から約100mg/kg/日の間、約2mg/kg/日から約200mg/kg/日の間、約5mg/kg/日から約150mg/kg/日の間、約10mg/kg/日から約100mg/kg/日の間、約5mg/kg/日から約50mg/kg/日の間、又は任意の中間の量若しくは範囲のビタミンBサプリメントが含まれうる。
【0115】
ある特定の非限定的な実施態様では、食事療法には、低リン食、カルシウム補給食、カリウム補給食、通常のタンパク質食、又はそれらの任意の組合せのうちの1つ以上が含まれうる。幾つかの非限定的な実施態様では、食事療法には、CKDを発症するリスクのあるイヌ又はイヌ科動物に、約1.5g/1000kcalのリンレベル、約2g/1000kcalのカルシウムレベル、約1.3のCa:P比、約2.1g/1000kcalのカリウムレベル、及び約74g/1000kcalのタンパク質レベルを含む食事を与えることが含まれうる。他の非限定的な実施態様では、食事療法は、当技術分野で知られている任意の食事の変更又は療法でありうる。
【0116】
ある特定の非限定的な実施態様では、カスタマイズされた推奨事項に基づいて、医療従事者又は獣医師は、ペット又はイヌ科動物に対してカスタマイズされた推奨事項を管理することができる。
【0117】
5.デバイス、システム、及び応用
ある特定の非限定的な実施態様では、本明細書に記載される実施態様は、イヌがCKDを発症する感受性を特定するためのコンピュータシステム又は方法を提供する。「受信」、「処理」、「決定」、又は「送信」を含むステップ又はプロセスのいずれも、
図4に示されるデバイス又は装置の1つ以上によって実施することができる。
【0118】
図4は、本開示の実施態様を実施することができる新生児死亡率アプリケーションを提供するように構成されたコンピューティングシステム400を示している。示されるように、コンピューティングシステム400は、複数のウェブサーバ408、予測モデルサーバ412、及び複数のユーザコンピュータ/機器(例えば、モバイル/ワイヤレスデバイス)402(明瞭にするために2つのみが示されている)を含んでいてもよく、各々が通信ネットワーク406(例えば、インターネット)に接続されている。ウェブサーバ408は、ローカル接続(例えば、ストレージエリアネットワーク(SAN)又はネットワーク接続ストレージ(NAS))を介して、又はインターネット(例えば、クラウドベースのストレージサービス)を通じて、データベース414と通信することができる。ウェブサーバ408は、データベース414に含まれるデータに直接アクセスするように構成することができるか、又は、データベース414に含まれるデータを管理するように構成されうるデータベースマネージャとインターフェースするように構成することができる。アカウント416は、ユーザの電子メールアドレス、パスワード、連絡先情報、課金情報、動物情報など、ユーザに関連付けられたデータを格納することができるデータオブジェクトである。
【0119】
各ユーザコンピュータ402は、例えば、プロセッサ、システムメモリ、ハードディスクドライブ、バッテリ、マウス及びキーボードなどの入力デバイス、及び/又はモニタ若しくはグラフィックユーザインターフェースなどの出力デバイス、及び/又は入力を受け取るだけでなく出力も表示することができるタッチスクリーンなどの結合型入出力デバイスといった、演算デバイスの従来の構成要素を含みうる。各ウェブサーバ408及び予測モデルサーバ412は、プロセッサ及びシステムメモリ(図示せず)を含み、例えば関係データベースソフトウェア及び/又はファイルシステムなどを使用してデータベース414に格納されたコンテンツを管理するように構成することができる。ウェブサーバ408は、例えば、TCP/IPプロトコルなどのネットワークプロトコルを使用して、互いに、ユーザコンピュータ402、及び予測モデルサーバ412と通信するようにプログラムすることができる。予測モデルサーバ412は、例えば、通信ネットワーク406を介して、ユーザコンピュータ402と直接通信することができる。ユーザコンピュータ402は、ウェブブラウザプログラム及び他のソフトウェアアプリケーションなどのソフトウェア404を実行するようにプログラムすることができ、例えばウェブサーバ408に誘導することができる統一資源位置指定子(URL)を指定することによって、ウェブサーバ408によって管理されるウェブページ及び/又はアプリケーションにアクセスすることができる。
【0120】
以下に説明する実施態様では、ユーザはそれぞれ、通信ネットワーク406を介してウェブサーバ408に接続することができるユーザコンピュータ402を操作することができる。ウェブページは、ユーザコンピュータ402を介してユーザに表示することができる。ウェブページは、ウェブサーバ408からユーザのコンピュータ402に送信することができ、ユーザのコンピュータ402と通信するディスプレイデバイス及び/又はグラフィックユーザインターフェースを介して表示するために、そのユーザのコンピュータ402に格納されたウェブブラウザプログラムによって処理することができる。
【0121】
一例では、ユーザのコンピュータ402に表示される情報及び/又は画像は、カスタマイズされた推奨事項、又はオンラインデータベースを介してアクセスされる、1つ以上のバイオマーカー及び/又は人口統計情報を含む健康記録に含まれる任意の情報に関連しうる。ユーザのコンピュータ402は、通信ネットワーク406を介してペットの健康情報にアクセスすることができ、次に、データベース414に接続されたウェブサーバ408からペットの健康情報を取得し、ユーザのコンピュータ402のグラフィックユーザインターフェースを介して情報及び/又は画像を表示させる。オンライン情報及び/又は画像、及び/又は新生児死亡率アプリケーションは、ユーザ名とパスワードの組合せ、又はユーザが「ログイン」して情報にアクセスできるようにする他の同様の制限付きアクセス/検証が必要なアクセス方法で管理することができる。
【0122】
ユーザコンピュータ402は、パソコン、ラップトップ、携帯演算デバイス、スマートフォン、ビデオゲームの操作器、家庭用デジタルメディアプレイヤー、ネットワーク接続型テレビ、セットトップボックス、及び/又は通信ネットワーク406との通信に適した構成要素を有する他の演算デバイスでありうることに、留意されたい。ユーザコンピュータ402は、とりわけ、テキスト及び/又は画像表示ソフトウェア、メディアプレーヤー、コンピュータ及びビデオゲーム、及び/又はウィジェットプラットフォームなどであるが、これらに限定されない、予測モデルサーバからカスタマイズされた推奨事項を受信するように構成された他のソフトウェアアプリケーションを実行することもできる。
【0123】
図5は、
図4の予測モデルサーバ412のより詳細な図を示している。予測モデルサーバ512は、中央処理装置(CPU)502、ネットワークインターフェース504、メモリ520、及び相互接続506を介して通信を行うストレージ530を含むことができるが、これらに限定されない。予測モデルサーバ512はまた、I/Oデバイス510(例えば、キーボード、ビデオ、マウス、オーディオ、タッチスクリーンなど)に接続するI/Oデバイスインターフェース508も含みうる。予測モデルサーバ512、データ通信ネットワーク406を介してデータを送信するように構成されたネットワークインターフェース504をさらに含むことができる。
【0124】
CPU502は、メモリ520に格納されたプログラミング命令を取り出して実行することができ、概して、他のシステム構成要素の動作を制御及び調整することができる。同様に、CPU502は、メモリ520に常駐するアプリケーションデータを格納及び取り出すことができる。代表的には、単一のCPU、複数のCPU、複数の処理コアを有する単一のCPUなどである、CPU502を含めることができる。相互接続506は、CPU502と、I/Oデバイスインターフェース508と、ストレージ530と、ネットワークインターフェース504と、メモリ520との間でプログラミング命令及びアプリケーションデータを送信するために、使用することができる。
【0125】
代表的にはランダムアクセスメモリである、メモリ520を通常含めることができ、該メモリ520は、動作中に、CPU502によって使用されるソフトウェアアプリケーション及びデータを格納する。ストレージ530は、単一のユニットとして図示されているが、不揮発性のデータを格納するように構成された、固定ディスクドライブ、フロッピーディスクドライブ、ランダムアクセスメモリ、ハードディスクドライブ、非一時的コンピュータ可読媒体、フラッシュメモリストレージドライブ、テープドライブ、取り外し可能なメモリカード、CD-ROM、DVD-ROM、Blu-Ray、HD-DVD、光ストレージ、ネットワーク接続ストレージ(NAS)、クラウドストレージ、又はストレージエリアネットワーク(SAN)などの、固定ストレージデバイス及び/又は取り外し可能なストレージデバイスの組合せでありうる。
【0126】
メモリ520は、画像528及び/又は予測モデルソフトウェア538を含むことができるアプリケーションプラットフォーム526を実行するための命令及びロジックを格納することができる。ストレージ530は、画像及び/又は情報534及び他のユーザ生成メディアを格納することができ、アプリケーションプラットフォームコンテンツ5236に関連する画像及び/又は情報534を格納するように構成されうるデータベース532を含むことができる。データベース532は、任意のタイプのストレージデバイスとすることができ、及び/又は本明細書に記載される1つ以上のデータセットを含むことができる。データベース532は、ユーザ生成メディア又は画像に関連するデータに関連するアプリケーションコンテンツを格納することができる。データベース532はまた、1つ以上のバイオマーカー又は人口統計情報、及び/又はカスタマイズされた推奨事項を含むことができる。
【0127】
ネットワークコンピュータは、本明細書に提供される開示と併用することができる、別のタイプのコンピュータシステムである。ネットワークコンピュータは、一般的には、ハードディスク又は他の大容量ストレージを含まず、実行可能なプログラムは、CPU502によって実行されるよう、ネットワーク接続からメモリ520にロードされる。ウェブTVシステムもコンピュータシステムと見なすことができるが、ある特定の入出力デバイスなど、
図5に示される機能の一部を欠いている場合がある。典型的なコンピュータシステムは、一般的に、少なくとも、プロセッサ、メモリ、及び該メモリをプロセッサに連結する相互接続を含むであろう。
【0128】
図6は、予測モデルサーバ412にアクセスし、アプリケーションプラットフォーム620に関連する画像及び/又は情報を表示するために用いられるユーザコンピュータ又は機器402を示している。ユーザコンピュータ又はユーザ機器602は、例えば、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、モバイルデバイス、又は他の任意のユーザ機器でありうる。ユーザコンピュータ602は、中央処理装置(CPU)602、ネットワークインターフェース604、相互接続606、メモリ620、及びストレージ630を含むことができるが、これらに限定されない。ユーザコンピュータ602はまた、I/Oデバイス610(例えば、キーボード、ディスプレイ、タッチスクリーン、及びマウスなどのデバイス)をユーザコンピュータ602に接続するI/Oデバイスインターフェース608も含みうる。
【0129】
CPU502と同様に、代表的には、単一のCPU、複数のCPU、複数の処理コアを有する単一のCPUなどであるCPU602を含めることができ、メモリ620は、概して、代表的にはランダムアクセスメモリに含めることができる。相互接続606は、CPU602と、I/Oデバイスインターフェース608と、ストレージ630と、ネットワークインターフェース604と、メモリ6320との間でプログラミング命令及びアプリケーションデータを送信するために使用することができる。ネットワークインターフェース604は、通信ネットワーク406を介してデータを送信するように、例えば、予測モデルサーバ512からコンテンツをストリーミング又は提供するように構成することができる。ハードディスクドライブ又は固体ストレージドライブ(SSD)などのストレージ630は、不揮発性データを格納することができる。ストレージ630は、写真632、グラフ634、チャート636、文書638、及び他のメディア640を含むことができる。実例として、メモリ620は、それ自体がとりわけグラフ又はチャートなどの画像624、及び/又は情報626を表示することができる、アプリケーションインターフェース622を含むことができる。アプリケーションインターフェース622は、予測モデルサーバ412によってホスティングされるメディアアイテム及び他のコンテンツにユーザがアクセスすることを可能にしうる1つ以上のソフトウェアアプリケーションを提供することができる。
【0130】
上記の用語はすべて、これらの物理量に適用される便利なラベルにすぎない。特に明記しない限り、以下の論述から明らかなように、説明全体を通して、「処理」又は「演算」又は「計算」又は「決定」又は「表示」又は「分析」などの用語を利用した論述は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内の物理的(電子)量として表されるデータを操作し、コンピュータシステムのメモリ、レジスタ又は他のこのような情報ストレージ、送信、若しくは表示デバイス内の物理量として同様に表される他のデータへと変換する、コンピュータシステム、サーバ、又は任意の他の電子計算デバイスのアクション及びプロセスを指すことが認識される。
【0131】
本実施例はまた、本明細書中の動作を実施するための装置にも関する。この装置は、要求される目的のために特別に構築することができる、又はコンピュータに記憶されたコンピュータプログラムによって、選択的に作動する又は再構成される汎用コンピュータを備えることができる。このようなコンピュータプログラムは、限定はしないが、それぞれがコンピュータシステムの相互接続に結合された、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、磁気又は光学カード、フロッピーディスク、光ディスク、CD-ROM、及び磁気光ディスクを含むあらゆるタイプのディスク、又は電子命令を保存するのに適したあらゆるタイプの媒体などのコンピュータ可読記憶媒体に格納することができる。
【0132】
本明細書に提示されるアルゴリズム及びディスプレイは、特定のコンピュータ又は他の装置に本質的に関連しているわけではない。本明細書の教示に従って、さまざまな汎用システムをプログラムと共に使用することができ、あるいは必要とされる方法動作を実行するためのより特殊な装置を構築することが便利であることが証明されうる。これらのさまざまなシステムの構造は、上記の説明から明らかであろう。加えて、本実施例は、特定のプログラミング言語を参照して説明されておらず、したがって、さまざまな例は、さまざまなプログラミング言語を使用して実装させることができる。
【0133】
本明細書に提示されるアルゴリズム及びディスプレイは、特定のコンピュータ又は他のデバイスに本質的に関連しているわけではない。本明細書の教示に従って、さまざまな汎用システムをアプリケーションと共に使用することができ、あるいは必要とされる方法操作を実行するためのより特殊なデバイスを構築することが便利であることが証明されうる。これらのさまざまなシステムの構造は、上記の説明から明らかであろう。加えて、本実施態様は、特定のプログラミング言語を参照して説明されておらず、したがって、さまざまな例は、さまざまなプログラミング言語を使用して実装することができる。本出願で開示される方法及び食餌/食餌計画のすべての好ましい特徴及び/又は実施態様は、デバイス、システム、及びアプリケーションに適用される。
【実施例】
【0134】
本明細書に開示される主題は、以下を参照することによってよりよく理解することができる。以下の実施例は単なる例示であり、決して限定されるべきではない。
【0135】
実施例1
診断時前後のCKD予測モデルの性能を決定するために、評価時(T0)前3ヶ月以内に訪問した試験データセットにおいて、18,705匹のイヌ又はイヌ科動物のうち15,044匹に予測モデル適用した。予測モデルは、「CKD」と分類されたイヌ又はイヌ科動物で91.4%の感度(687/752)、及び「CKDなし」と分類されたイヌ又はイヌ科動物で97.2%の特異度(13891/14292)を示した。年齢が予測モデルの機能であることを所与として、感度及び特異度は評価時(T0)の年齢でも報告された。
【0136】
図7は、本明細書に記載されるある特定の実施態様による性能測定基準を示すグラフ702を示している。特異度は、例えば、8歳まで一貫して98%を超えていたが、その後は低下し、15で67.0%に達した。一方、感度は、年齢とともに増加し、12歳以降は96%を超える。予測モデルは、CKDの有病率がはるかに高い高齢のペットを予測するときに、感度を向上させる(偽陰性率を下げる)ために、ある程度の特異度を犠牲にすることが(偽陽性率の増加)でき、したがって、各年齢群についての全体的な精度が最適化される。
【0137】
図8は、本明細書に記載されるある特定の実施態様による性能測定基準を示すグラフ802を示している。患者の履歴がモデル性能にどのように影響したかを理解するために、モデルの感度を、診断が行われる前の健康記録の訪問回数の関数として調べることができる。感度は、診断前に2回の訪問の76.8%から、to のwith 4回の訪問の85.5%に増加し、さらなるデータにより、92%を超えて改善し続ける。これは、過去の情報がCKD診断の質に寄与しうることを示している。
【0138】
図9は、本明細書に記載されるある特定の実施態様による性能測定基準を示すグラフ902を示している。CKDの診断は過去の健康記録情報から恩恵を受けるため、将来のCKD診断を予測するモデルの能力を評価することができる。予測モデルを評価するために、診断前のさまざまな時点で「CKD」の健康記録を切り捨てることができる。例えば、1年前の予測では、診断と1年前までの間のすべての情報を削除することができる。次いで、予測モデルが将来のCKDの発症を予測する能力を評価することができる。予想通り、予測と診断との間の時間が長くなると感度が低下したが、CKDを発症しているイヌのうち、診断の1年前に69.1%、診断の2年前に44.9%、最初に又は元々CKDと診断される3.5年前に22.0%が正しく予測された。
【0139】
ある特定の非限定的な実施態様では、データセットを切り捨てることによって特異度を評価することは、イヌが以前のすべての訪問で「CKDなし」と分類されたままであることを所与とすると、意味をなさない可能性がある。初期のCKD検出の特異度は、
図7に示されるように、年齢に応じた分布によって最もよく理解することができ、平均レベルは12歳のイヌまで90%を超えうる。
【0140】
幾つかの非限定的な実施態様では、高度な計算モデリングを使用して、現在及び/又は過去の健康記録に基づいてCKDのリスクを予測することができる。このデータセットには、評価及び改良された臨床病理学的結果を含めることができる。予測モデルには、次の6つの機能のうちの1つ以上を含めることができる:血清クレアチニン、血中尿素窒素、尿タンパク質及び尿比重、並びに患者の年齢及び体重。予測モデルは、2回の訪問で76.8%の感度を示すことができ、4回の訪問での85.5%まで増加する。これは、定期的な先回りした健康モニタリングの価値と、可能な限り完全な臨床病理データを取得することの価値を強調するものである。特異度は、データを追加することで 92%を超えて増加し続けうる。幾つかの非限定的な実施態様では、偽陽性率が低いことによって示される特異度は、とりわけ、予測試験とその後の臨床的意思決定及び飼い主とのコミュニケーションを考慮する場合に役立ちうる。
【0141】
5-3-3RNNなどの現在の予測モデルは、尿タンパク質、患者の体重、又は他の任意の追加のバイオマーカー若しくは人口統計情報のうちの1つ以上を含むという点で、7-3RNNなどの前述の予測モデルとは異なりうる。ある特定の非限定的な実施態様では、腎タンパク質の喪失とそれに伴うタンパク尿は、イヌ又はイヌ科動物の腎疾患よりもイヌ科動物の腎疾患においてより一般的な特徴となりうる。患者の体重は、予測モデルの有用な成分であると決定されたが、これは、イヌ科動物の患者に見られうる体重の範囲が大きく、サイズの異なるイヌ間で病気の有病率に多少のばらつきが見られるためと考えられる。ある特定の非限定的な実施態様では、十分な栄養及び除脂肪体重を維持する上での課題と、CKDの患者に必要な看護ケアを提供する上での困難さの両方が、体格の大きい患者の予後及び転帰に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0142】
幾つかの非限定的な実施態様では、個々の患者の臨床病理学的変数は、時間の経過とともにある程度変化する可能性があり、及び/又は食事摂取量、姿勢、筋肉量、及び/又は水分状態の変化などの要因の影響を受ける可能性がある。臨床病理学の結果を評価するために一般的に利用される基準範囲は、限られた解釈を提供する可能性があり、個々の患者の固有の状態を正確に反映しない場可能性がある。予測モデリングの使用は、CKDを正確に診断するのに役立ちうる。
【0143】
実施例2
ある特定の非限定的な実施態様では、予測モデルは、RNNを含みうる。RNNは、5-3-3アーキテクチャ、10分割、及び18エポックを含む。RNNは、1つ以上のバイオマーカー及び/又は人口統計情報などの7つの選択された機能を評価する。例えば、7つの選択された機能は、BUN、尿sg、訪問年齢、クレアチニン、尿タンパク質、体重、及び/又はアミラーゼでありうる。2年間の層別点で、ランダムなCKDを有するペットについて、RNNの性能を測定した。予測モデルは、受信者操作特性(AUCROC)下で94.2%の領域、適合率-再現率曲線(AUCPR)下で91.6%の領域、及びF1スコア82.6%を達成した。
【0144】
幾つかの非限定的な実施態様では、予測モデルのトレーニングに用いたデータセットには、約39,442匹の固有のイヌ又はイヌ科動物についての約306,757の訪問記録が含まれていた。39,442匹の固有のイヌ又はイヌ科動物のうち、約26,514匹がCKDなしであり、約12,928匹はCKDを有していたか、又は発症していた。データセットには、人口統計情報と、血液化学、血液学、及び/又は尿レベルから引き出された人口統計情報及び1つ以上のバイオマーカーを含む、35の機能が含まれていた。1つ以上のバイオマーカーの例には、アルカリホスファターゼ、アミラーゼ、タンパク質、BUN又は尿素レベル、クレアチニン、リン、カルシウム、尿タンパク質、カリウム、グルコース、ヘマトクリット、ヘモグロビン、赤血球(RBC)数、赤血球分布幅(RDW)、アラニンアミノトランスフェラーゼ、アルブミン、ビリルビン、塩化物、コレステロール、好酸球、グロブリン、リンパ球、単球、平均赤血球ヘモグロビン(MCH)、平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)、平均赤血球容積(MCV)、平均血小板容積(MPV)、血小板数、分節好中球、ナトリウム、尿PHレベル、及び/又は白血球数が含まれうるが、これらに限定されない。人口統計情報は、例えば、イヌ又はイヌ科動物の年齢及び体重、並びにイヌ又はイヌ科動物が最初に又は元々CKDであると診断された年齢を含みうる。
【0145】
データセットに含めるイヌ又はイヌ科動物1匹あたりの訪問回数は、1回から40回の範囲である。例えば、イヌ又はイヌ科動物1匹あたりの平均訪問回数は7.7回でありうる。訪問回数は、1回から15回の訪問に偏り、訪問回数は1回から4回の訪問へと急速に増加し、その後、5回から40回の訪問へと着実に減少する。ある特定の非限定的な実施態様では、データセットは、35の機能のうちの1つ以上の欠測情報を含みうる。例えば、欠測値が60%を超える機能は、約66.5%の尿タンパク質、約64.2%の尿比重、約70%のカリウム、約70.4%の塩化物、約60.6%の好酸球、約70.2%のナトリウム、及び約64.8%の尿pHを含む。1つ以上のバイオマーカー又は人口統計情報などの他の任意の機能は、データベースのデータの0%から100%の間で欠測している可能性がある。欠測情報は、帰属させることができる。
【0146】
図10A~10Eは、本明細書に記載されるある特定の実施態様によるデータセットの前処理1002を示している。例えば、前処理の一部として、例えば、ランダムフォレストの実装などを使用して、データベース内の欠測データに代入することができる。別の例では、データは、各機能の最小値と最大値0から1の範囲に正規化することができる。さらに別の例では、前処理には、最小値と最大値の制限を事前に定義するためにそれらの値を閾値処理することによる、事前平滑化機能を含めることができる。
図10A~10Eに示されるように、例えば、主成分分析(PCA)を介して計算された累積説明分散を最大化するために平滑化する機能を選択する、ボトムアップラッパーを使用することができる。したがって、
図10A~10Eに示される値は0から1の範囲であり、PCA説明分散を最大化するために平滑化される。すべての機能が平滑化されると、説明分散は、75%になりうるが、これはノイズの多いデータセットを示す。機能の平滑化を最適化することにより、PCA説明分散は95%になりうる。
【0147】
図11は、本明細書に記載されるある特定の実施態様による主成分分析又は因子分析を示している。例えば、グラフ1102は、2-D PCA線形を実施することによる2次元空間へのデータセットの射影を示している。一方、グラフ1104は、PCA説明分散及び分散比を示しており、データセットにノイズがないことを確認することができる。幾つかの非限定的な実施態様では、グラフ1108は、交差検証スコアに対して成分の数を測定する、2次元の因子分析を示しうる。グラフ1106は、2次元の因子分析を示しうる。グラフ1110は、2次元のt分布の確率的近隣埋め込み(t-SNE)非線形次元削減を示しうる。
【0148】
データセットが前処理された後、カーネル密度推定を各機能で使用して、各ビンで真の確率密度関数(PDF)を計算するため、及び/又はデータが最初にサンプリングされた元の分布を示すために使用することができる正規化されたヒストグラムを見出すことができる。PDFを使用したデータの分析後、ある特定の非限定的な実施態様では、最も識別可能な機能は、BUN、尿比重、クレアチニン、及び訪問年齢でありうる。これらの機能のそれぞれについて、CKD/健康についての正規化された分布は、地域及び範囲が異なることがわかった。アミラーゼ、尿タンパク質、及びコレステロールなどの他の機能も、有用でありうる特徴的な機能のように見えた。
【0149】
ある特定の非限定的な実施態様では、前処理されたデータセットに単変量特徴ランク付けを採用した。特徴のランク付けには、例えば、信号雑音比(SNR)に基づく高速フィルタリング法(1次及び/又は2次タイプを含む)、並びに埋め込み機械学習法が含まれていた。高速フィルタリング法及び/又は機械学習法の結果を組み合わせて、特徴の平均ランク付けを作成することができる。高速フィルタリング法は、例えば、相関係数fスコア、クラス条件付きSNR、2サンプル検定統計、対称発散、及び/又はフィッシャー判別比のうちの1つ以上を含むことができる。機械学習法は、例えば、ランダム化したlasso、リッジ回帰、ランダムフォレスト、及び/又は再帰的特徴量削減のうちの1つ以上を含みうる。上記高速フィルタリング及び/又は機械学習法の1つ以上の正規化された重みに基づいて、上位4つの機能は、訪問年齢、BUN、尿比重、及びクレアチニンでありうる。次の3つの機能は、アミラーゼ、コレステロール、及び/又は尿タンパク質でありうる。残りの特徴は次のようにランク付けした:カリウム、アルカリホスファターゼ、リンパ球、MCV、体重、グロブリン、尿PH、ヘマトクリット、リン、血小板数、ヘモグロビン、アラニンアミノトランスフェラーゼ、RDW、MCH、塩化物、分節好中球、RBC数、MPV、総タンパク質、白血球数、グルコース、カルシウム、MCHC、アルブミン、ナトリウム、好酸球、単球、及び/又はビリルビン。
【0150】
幾つかの非限定的な実施態様では、予測モデルは、所与のイヌ科動物又はイヌが今後2年以内にCKDを発症するかどうかを判断するように設計することができる。上記に正確に対処する予測モデルを設計するために、汎ペットデータベースを構築することができ、これは、すべての可能な訪問軌跡のスーパーセットでありうる。N回の訪問を伴うイヌ又はイヌ科動物については、訪問回数のリストに従って軌跡を一時的に定義することができる。次に、最後のK回の訪問を削除して、訪問回数の任意の順序付けしたサブセットを有する削減された軌跡を順序付けすることができる。Kは、1からNの間の任意の訪問回数でありうる。元のデータセットを拡張してCKDのすべての可能な縮小された軌跡を含め、診断の2年前までの訪問を削除する場合、結果として得られる拡張されたデータセットは汎イヌ科動物データセットと呼ぶことができる。
【0151】
試料のデータセットは、ある特定の非限定的な実施態様では、各CKDのイヌ又はイヌ科動物について単一の軌跡が選択される汎イヌ科動物データセットのサブセットでありうる。異なるシードを有する乱数ジェネレーターを使用して、多数のサンプリングされたデータセットを作成できるため、ペットの識別ごとに異なる軌跡(例えば、異なる訪問回数)を選択することができる(例えば、置換によるサンプリング)。サンプリングされたデータセットを使用すると、予測子は今後2年間の任意の時点でCKSと診断されるであろうペットのパターンを学習することができる。
【0152】
ある特定の非限定的な実施態様では、3-7構成のRNNを使用して、データセットを使用した予測モデルのベースライン性能を生成することができる。例えば、3-7構成のRNNは、10分割の交差検証及び16のエポックでトレーニングすることができる。次に、このRNNを使用して、訪問年齢、BUN、クレアチニン、及び/又は尿比重でありうる上位4つの機能の性能と、35の機能すべての性能を示すことができる。3-7構成のRNNを使用した上位4つの機能の性能は、76.2%の感度、93.9%の特異度、88.2%の精度、80.6%のF1スコアをもたらした。一方、3-7構成のRNNを使用した35すべての機能の性能は、77.2%の感度、95.1%の特異度、89.3%の精度、82.3%のF1スコアをもたらした。
【0153】
総計算コストを6分の1に削減するため、RNN3-7構成を3分割交差検証及び10エポックでトレーニングすることができる。次に、このRNNを使用して、訪問年齢、BUN、クレアチニン、及び/又は尿比重でありうる上位4つの機能の性能と、35の機能すべての性能を示すことができる。このRNNを使用した上位4つの機能の性能は、76.3%の感度、92.5%の特異度、87.3%の精度、79.5%のF1スコアをもたらした。一方、3-7構成のRNNを使用した35すべての機能の性能は、75.1%の感度、95.0%の特異度、88.6%の精度、80.9%のF1スコアをもたらした。
【0154】
もう1つの比較は、10分割の交差検証と16エポックでトレーニングされたLSTM(LTSM3-7)でRNNを使用することができる。次に、このLSTM3-7を使用して、訪問年齢、BUN、クレアチニン、及び/又は尿比重でありうる上位4つの機能の性能を示すことができる。このLSTM3-7を使用した上位4つの機能の性能は、75.7%の感度、94.3%の特異度、88.3%の精度、80.7%のF1スコアをもたらした。さらなる比較には、3-5-3の構成のRNNを使用して、BUN、クレアチニン、尿タンパク質、尿比重、尿PH、及びWBCなどの上位6つの機能を使用した10分割の交差検証及び20エポックでトレーニングすることができる。3-5-3の構成のRNNを使用した上位6つの機能の性能は、75.9%の感度、93.0%の特異度、87.5%の精度、79.6%のF1スコアをもたらした。
【0155】
図12は、本明細書に記載されるある特定の実施態様による、ラッパーベースの機能順序チャート1202を示している。ある特定の非限定的な実施態様では、教師付き機能選択は、トップダウンラッパー又はボトムアップラッパー法を使用して行うことができる。他の実施態様では、教師付き機能選択は、トップダウンラッパー及びボトムアップラッパー法の両方を使用して行うことができる。予測モデルは、例えば、3-7アーキテクチャのRNNであり、3分割交差検証と10のトレーニングエポックを使用してトレーニングすることができる。例えば、幾つかのトップダウン及びボトムダウンラッパー機能選択実験は、RNN交差検証内のブートストラップ試料とランダム性を変更することによって実施することができる。
図12に示されるように、結果をまとめて平均的なラッパーベースの機能選択を作成することができる。特に、上位の選択された機能から最も選択されていない機能へと並べ替えられた平均位置(POS)によって平均的なラッパーベースの機能を順序付けする。幾つかの非限定的な実施態様では、さまざまなランダム性の30の異なる実験を含めることができる。
図12に示されている矢印は、それぞれの異なるラッパー実験から選択された機能の順序に関する分位数を示している。
図12に示されるように、上位7つの機能は、BUN、尿比重、訪問年齢、クレアチニン、尿タンパク質、体重、及び/又はアミラーゼでありうる。
【0156】
図13は、本明細書に記載されるある特定の実施態様による、平均最良F1スコア1302を示している。ある特定の非限定的な実施態様では、トップダウン及びボトムアップラッパー法を使用した幾つかのブートストラップサンプリング実験の平均最良F1スコアをグラフ化することができる。
図13に示されるように、F1スコアは、7つ未満の機能を維持すると、低下し始める可能性がある。したがって、予測モデルは、1つ以上のバイオマーカー及び/又は人口統計情報の組合せを含む、7つの機能を利用することができる。7つの機能は、例えば、BUN、尿比重、訪問年齢、クレアチニン、尿タンパク質、体重、及び/又はアミラーゼでありうる。
【0157】
図14は、本明細書に記載されるある特定の実施態様による機能選択を示すチャート1402を示している。特に、
図14は、RNN予測子によるトップダウンラッパー法での機能選択を示している。
図14に示されるように、上位7つの選択された機能には、BUN、尿比重、訪問年齢、クレアチニン、尿タンパク質、体重、及び/又はアミラーゼが含まれる。
【0158】
図15は、本明細書に記載されるある特定の実施態様による、ラッパー機能選択中のベイズ情報量規準を示すグラフ1502を示している。特に、
図15は、
図14に示されるデータセット機能選択のベイズ情報量規準を示している。
図15に示されるように、屈曲点は、7つの機能が選択された点に対応する。例えば、7つの機能は、BUN、尿比重、訪問年齢、クレアチニン、尿タンパク質、体重、及び/又はアミラーゼを含みうる。
【0159】
図16は、本明細書に記載されるある特定の実施態様による性能測定基準を示すグラフ1602を示している。具体的には、
図16は、10分割の交差検証性能の測定基準を含む、ラッパーのトップダウン機能選択を示している。この測定基準により、1つ以上のステップにおいて、さまざまな閾値でのグリッド検索を介してF1測定を最適化することが可能となった。AUCPR、AUCROC、感度、又はNPVなどの性能測定基準は、ラッパー機能選択プロセス中に計算することができる。
図16は、選択された機能の最適な数が7でありうることを示している。
【0160】
図17は、本明細書に記載されるある特定の実施態様による性能測定基準を示すグラフ1702を示している。具体的には、
図17は、10分割の交差検証性能の測定基準を含む、ラッパーのトップダウン機能選択を示している。この測定基準により、1つ以上のステップにおいて、さまざまな閾値でのグリッド検索を介してF1測定を最適化することが可能となった。AUCPR、AUCROC、感度、又はNPVなどの性能測定基準は、ラッパー機能選択プロセス中に計算することができる。
図16と同様に、
図17は、選択された機能の最適な数が7でありうることを示している。
【0161】
ある特定の非限定的な実施態様では、RNNアーキテクチャを最適化することができる。例えば、RNN-LSTMでは、1~5の隠れ層及び1層あたり3~200のノードのさまざまな構成を試験することができる。TanH活性化関数は隠れ層で使用することができ、ソフトマックスは出力層で用いられる。CKDなし又はCKDのバイナリ分類を所与とすると、ソフトマックスはシグモイド化しうる。バイナリ交差エントロピーも損失計算に使用することができ、及び/又は過剰適合を回避するために20%のドロップアウトを考慮することができる。時間によるバックプロパゲーションは、RMSprop勾配降下最適化アルゴリズムを使用したトレーニングに使用することができる。さらに、他の幾つかの非限定的な実施態様では、LSTMセル構造を、勾配消失に対処するために試験することができる。
【0162】
図18は、本明細書に記載されるある特定の実施態様による、RNN及びLSTMアーキテクチャを示すグラフを示している。
図10に示されるように、F1測定値又はスコアは、ノードの総数の関数として変化する。10分割の交差検証後に最も性能の高かった構成は、例えば、3-9アーキテクチャの3層バニラRNN(5-3-3)及び/又は2層RNN-LSTMであった。次に、パレートフロントを使用して、F1スコアと、RNN内のノード又はニューロンの数の両方の最適値を見つけることができる。グラフ1802に示されるように、最高の性能のRNNは、5-3-3アーキテクチャを含むことができ、一方、グラフ1804では最高の性能のLSTMは、3-9アーキテクチャを含みうる。グラフ1806に示されるように、5-3-3アーキテクチャを有するRNN又はバニラRNNは、0.82のF1スコア、0.91のAUCPR、及び0.94のAUCROCを有していた。一方、3-9アーキテクチャを有するLSTMは、グラフ1808に示されるように、0.819のF1スコア、0.907のAUCPR、及び0.938のAUCROCを有していた。
【0163】
5-3-3、9-3-0、5-5-0、3-7-0、5-5-10、7-3-0、8-4-0、3-9-0、7-5-2、20-0-0、30-0-0、2-6-3、5-9-0、4-2-4、5-5-5-5、3-3-3-3、3-3-3、7-9-4-8、5-4-6-3、4-8-4、9-3-6-9を含むがこれらに限定されない、他のバニラRNNを試験した。上述のように、各層が約1から約250の間のノードを有する、1~5の層を有するRNNを試験した。5-3-3のアーキテクチャを有するRNNが選択されたが、他のある特定の実施態様では、他の任意のRNNが選択されうる。
【0164】
加えて、3-9-0、5-5-0、3-3-3、7-3-0、2-4-4、2-6-3、4-8-4、3-3-5、7-13-0、3-3-3-3、6-4-6、3-7-0、9-3-0、10-10-0、5-9-0、8-4-0、7-3-7-3、8-4-8、20-20-0、3-9-6-5、5-3-3-5-6を含むがこれらに限定されない、他のLSTMを試験した。上述のように、各層が約1から約250の間のノードを有する、1~5の層を有するLSTMを試験した。3-9-0のアーキテクチャを有するLSTMが選択されたが、他のある特定の実施態様では、他の任意のLSTMが選択されうる。
【0165】
図19は、本明細書に記載されるある特定の実施態様による交差検証性能1902を示している。特に、5-3-3のアーキテクチャを有するRNNを使用することができる。RNNは、10分割、及び18エポックを含みうる。RNNは、79.2%の感度、94%の特異度、89.2%の精度、及び82.6%のF1スコアをもたらしうる。
【0166】
ある特定の非限定的な実施態様では、温度スケーリングを使用することができる。ソフトマックス又はシグモイド関数を使用するRNN出力の性質に起因して、確率は0と1の間の境界に近い近傍を占めることから、再調整することができる。温度スケーリングは、例えば、Plattスケーリングの単一のパラメータ確率変数として使用することができる。温度スケーリングパラメータは、次の式を使用して負の対数尤度(例えば、交差エントロピー損失)を最小化することによって決定することができる:sigmoid(logit(pi)/T)、ここで、piは各iペットの初期ニューラルネットワーク予測に等しい。幾つかの非限定的な実施態様では、選択された温度パラメータTは、モデルの10分割の交差検証を使用して、1.297に等しいことが判明した。
【0167】
ある特定の非限定的な実施態様では、データセットにおけるCKDの有病率は、33%であると決定された。現在の診断では「リスクがある」ペットの50%を見逃す可能性があることを所与とすれば、決定閾値は5%の有病率に再最適化することができる(これは、ほとんどの犬種、代表的には高齢のイヌよりも少し高くなる可能性がありうる)。幾つかの非限定的な実施態様では、予測モデルは、5%のCKDクラス割合のデータセットを使用することによって再トレーニングされない。むしろ、予測モデルの決定閾値は、5%の有病率に対して選択することができる。
【0168】
決定閾値の計算は、CKDクラスの較正された予測確率をアンダーサンプリングする100回の反復によって実行することができ、例えば、1400匹の病気のイヌ又はイヌ科動物の無作為抽出で5%が得られる。グリッド検索決定閾値中の平均性能測定基準は、0.05のステップで0.05から0.95の範囲である。この選択された決定閾値は、閾値を評価するために選択された測定基準に依存しうる。例えば、測定基準は、F1スコア、AUCPR、又は幾何平均でありうる。ある特定の非限定的な実施態様では、0.9の決定閾値が最大F1スコアに対応し、平均F1スコアは0.6825である。しかしながら、他の実施態様では、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、又は.08の決定閾値を使用することができる。
【0169】
実施例3
ある特定の非限定的な実施態様では、予測モデルは、RNNを含みうる。RNNは、5-3-3アーキテクチャ、10分割、及び18エポックを含む。RNNは、1つ以上のバイオマーカー及び人口統計情報などの6つの選択された機能を評価する。例えば、6つの選択された機能は、BUN、尿sg、訪問年齢、クレアチニン、尿タンパク質、及び/又は体重でありうる。実施例2と比較して、実施例3は、予測モデルにアミラーゼを使用しない。アミラーゼは、コレステロールが予測モデルに与える影響が小さいか存在しないことから、削除した。トップダウンラッパー及びボトムアップラッパーを使用して行われた機能選択は、実施例3の予測モデルからのアミラーゼの除去を裏付けていた。アミラーゼを除去することにより、実施例3の予測モデルは7つではなく6つの機能に依拠する。そうすることにより、予測モデルの性能は、F1スコアを0.2%低下させる可能性がある。しかしながら、全体として、実施例3の予測モデルは、79.1%の感度、93.8%の特異度、94.2%のAUCROC、91.6%のAUCPR、及び82.4%のF1スコアを達成した。
【0170】
アミラーゼは、複雑な炭水化物をアルファ1,4-結合で加水分解してマルトース及びグルコースを形成するカルシウム依存性の酵素でありうる。アミラーゼは尿細管によって濾過され、尿細管上皮によって再吸収(不活性化)されうる。活性酵素は尿中には現れない。少量のアミラーゼは肝臓のクッパー細胞に取り込まれうる。例えば、健康なイヌでは、14%のアミラーゼがグロブリンに結合することができる。この重合の理由から、イヌ科動物のアミラーゼは、可変の(高い)分子量を有する場合があり、通常は腎臓で濾過することができない。腎疾患を有するイヌでは、この重合した(マクロアミラーゼ)アミラーゼは、高濃度で見られ(総アミラーゼ活性の5~62%)、CKDに見られる高アミラーゼ血症に寄与する可能性がある。
【0171】
幾つかの非限定的な実施態様では、84.1%の感度、94.2%の特異度、95.6%のAUCROC、93.8%のAUCPR、及び85.8%のF1スコアを達成するために、実施例3の予測モデルの性能をブーストした。性能の向上は、予測モデルのトレーニングを変更することによって達成した。特に、サブサンプリング後、異なるシードを有する1つ以上のブートストラップ試料を形成でき、RNN交差検証予測子を使用してトレーニングサブセットを選択することができる。最良のF1スコアをもたらすトレーニングサブセットを選択することができる。例えば、10分割、及び8エポックでの5-3-3の構成又はアーキテクチャを有するRNNを選択することができる。
【0172】
ある特定の非限定的な実施態様では、0.5の決定閾値を使用して、偽陽性率(例えば、特異度)に対して真陽性率(例えば、感度又は再現率)を最適化することができる。幾つかの非限定的な実施態様では、選択された温度パラメータTは、準ニュートンブロイデン・フレッチャー・ゴールドファーブ・シャンノ(BFGS)最適化を使用して負の対数尤度を最小化することにより、1.296に等しいことがわかった。
【0173】
図20は、本明細書に記載されるある特定の実施態様による決定閾値テーブル2002を示している。例えば、表は、0.1のステップでの0.1から0.9の範囲の決定閾値を示している。
図13に示されるG平均は、感度及び特異度の幾何平均を示しうる。決定閾値は、F1スコア、適合率、精度、感度、特異度、及びG平均のうちの1つ以上に基づいて選択することができる。
【0174】
感度は、疾患の真陽性のパーセンテージとすることができる。高感度の検査は、陰性検査で疾患を除外するのに有用でありうるが、必ずしも疾患を決定するわけではない。一方、特異度は、疾患のない真の陰性のパーセンテージであり、(特異度が高い場合)陽性の検査を決定するのに有用でありうるが、疾患を除外するわけではない。高い感度及び特異度検査の設定では、感度は容易に理解できるが(検査で陽性でなければ、疾患は存在しない可能性がある)、特異度は、疾患を有することに焦点を合わせるのではなく、疾患を有していないことに焦点を合わせることから、混乱を招く。特異性の高い検査は偽陽性率が低く、感度の高い検査では偽陰性率が低くなる可能性がある。感度及び特異度は、完全な感度(100%に近い)が特異度の損失につながる逆の関係を有する連続したつながりである可能性があり、その逆も同様である。受信者操作曲線(ROC)は、感度と特異度との間の平衡を示すプロセスの統計的及び図示的な説明でありうる。分類及び/又は診断基準の感度及び特異性を説明する場合、同様の連続したつながりを見出すことができる。
【0175】
陽性適中率(PPV)は、上記の点を説明することができる。PPVは、陽性検査の数に対する真の陽性の割合であり、診断検査の精度又は性能の尺度となりうる。陰性適中率(NPV)はその逆であり、真陰性の数の陰性検査の数に対する比率である。PPV及びNPVはいずれも、CKDの有病率に大きく依存しうる。
【0176】
本明細書に開示される主題及びその利点を詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、本明細書にさまざまな変更、置換、及び修正を行うことができるものと理解されたい。さらには、本出願の範囲は、本明細書に記載されるプロセス、機械、製造、物質の組成、手段、方法、及びステップの特定の実施態様に制限されることは意図されていない。本開示の主題、プロセス、機械、製造、物質の組成、手段、方法、又はステップの開示から、当業者が容易に認識するように、本明細書に記載される対応する実施形態と実質的に同じ機能を実行するか又は実質的に同じ結果を達成する、既存のもの又は今後開発されるものは、本開示の主題に従って利用することができる。したがって、添付の特許請求の範囲は、そのようなプロセス、機械、製造、物質の組成、手段、方法、又はステップをその範囲内に含むことを意図している。
【0177】
特許、特許出願、刊行物、製品説明、及びプロトコルは、本出願の全体を通して引用されており、その開示は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
実施形態1
イヌが慢性腎臓病(CKD)を発症する感受性を特定するコンピュータシステムであって、該コンピュータシステムが、
プロセッサ;及び
前記プロセッサによって実行されると、前記コンピュータシステムに、
(a)(i)前記イヌの1つ以上のバイオマーカーであって、尿比重、クレアチニン、尿タンパク質、血中尿素窒素(BUN)のうちの少なくとも1つに関する情報を含む、1つ以上のバイオマーカー;又は
(ii)前記イヌの人口統計情報であって、前記イヌの年齢又は体重の少なくとも1つを含む、人口統計情報;
のうちの少なくとも1つを受信させ、
(b)回帰型ニューラルネットワークを含む予測モデルを使用して前記1つ以上のバイオマーカー又は前記イヌの人口統計情報の少なくとも1つを処理させ、かつ
(c)前記処理された1つ以上のバイオマーカー又は人口統計情報に基づいて、前記イヌがCKDを発症する確率リスクスコアを決定させる、
コードを格納するメモリ
を含む、コンピュータシステム。
実施形態2
前記コンピュータシステムに、
前記イヌがCKDを発症する確率リスクに基づいてカスタマイズされた推奨事項を決定させる、
実施形態1に記載のコンピュータシステム。
実施形態3
前記コンピュータシステムに、
前記イヌの獣医師、飼い主、又は介護者のユーザ機器に前記カスタマイズされた推奨事項を送信させる、
実施形態1又は2に記載のコンピュータシステム。
実施形態4
前記カスタマイズされた推奨事項が、
(a)1つ以上の治療的介入;
(b)1つ以上の食事に関する推奨事項;
(c)1つ以上の腎温存戦略;又は
(d)疾患の進行についての1つ以上の検査
のうちの少なくとも1つを含む、実施形態2又は3に記載のコンピュータシステム。
実施形態5
(i)前記1つ以上の腎温存戦略が、非ステロイド系抗炎症薬、アミノグリコシド、又はそれらの任意の組合せの回避を含む;及び/又は
(ii)前記疾患の進行についての1つ以上の検査が、血清副甲状腺ホルモンレベルの検査を含む、
実施形態4に記載のコンピュータシステム。
実施形態6
前記回帰型ニューラルネットワークが、5つのノードを有する第1の層、3つのノードを有する第2の層、及び3つのノードを有する第3の層を含む、3つの層を有する隠れ層アーキテクチャを含む、実施形態1から5のいずれか一項に記載のコンピュータシステム。
実施形態7
前記回帰型ニューラルネットワークが、10分割の交差検証プロセスを経験し、8又は18のエポックにわたってトレーニングされる、実施形態1から6のいずれか一項に記載のコンピュータシステム。
実施形態8
前記1つ以上のバイオマーカーが、アミラーゼに関する情報を含む、実施形態1から7のいずれか一項に記載のコンピュータシステム。
実施形態9
前記回帰型ニューラルネットワークが、複数の他のイヌの前記1つ以上のバイオマーカー及び前記人口統計情報を含むトレーニングデータセットを使用してトレーニングされる、実施形態1から8のいずれか一項に記載のコンピュータシステム。
実施形態10
前記予測モデルが、長・短期記憶(LSTM)を有する前記回帰型ニューラルネットワークをさらに含む、実施形態1から9のいずれか一項に記載のコンピュータシステム。
実施形態11
前記回帰型ニューラルネットワークを使用した前記CKDの発症の決定閾値が約0から約1である、実施形態1から10のいずれか一項に記載のコンピュータシステム。
実施形態12
前記回帰型ニューラルネットワークを使用した前記CKDの発症の決定閾値が約0.5である、実施形態1から10のいずれか一項に記載のコンピュータシステム。
実施形態13
前記コンピュータシステムに、
前記イヌの1つ以上のバイオマーカー又は前記イヌの人口統計情報からの1つ以上の欠測値を代入させる、
実施形態1から12のいずれか一項に記載のコンピュータシステム。
実施形態14
前記代入が線形回帰である、実施形態13に記載のコンピュータシステム。
実施形態15
前記代入が前記イヌの年齢に基づいている、実施形態13に記載のコンピュータシステム。
実施形態16
前記代入が前記欠測値の数に基づいている、実施形態13に記載のコンピュータシステム。
実施形態17
イヌが慢性腎臓病(CKD)を発症する感受性を特定する方法であって、
(a)(i)前記イヌの1つ以上のバイオマーカーであって、尿比重、クレアチニン、尿タンパク質、血中尿素窒素(BUN)のうちの少なくとも1つに関する情報を含む、1つ以上のバイオマーカー;又は
(ii)前記イヌの人口統計情報であって、前記イヌの年齢又は体重の少なくとも1つを含む、人口統計情報;
のうちの少なくとも1つを受信するステップ、
(b)予測モデルを使用して前記1つ以上のバイオマーカー又は前記イヌの人口統計情報の少なくとも1つを処理するステップであって、前記予測モデルが回帰型ニューラルネットワークを含む、ステップ、及び
(c)前記処理された1つ以上のバイオマーカー又は人口統計情報に基づいて、前記イヌがCKDを発症する確率リスクスコアを決定するステップ
を含む、方法。
実施形態18
前記イヌがCKDを発症する確率リスクに基づいてカスタマイズされた推奨事項を決定するステップ
をさらに含む、実施形態17に記載の方法。
実施形態19
前記イヌの獣医師、飼い主、又は介護者のユーザ機器に前記カスタマイズされた推奨事項を送信するステップ
をさらに含む、実施形態17又は18に記載の方法。
実施形態20
前記カスタマイズされた推奨事項が、
(a)1つ以上の治療的介入;
(b)1つ以上の食事に関する推奨事項;
(c)1つ以上の腎温存戦略;又は
(d)疾患の進行についての1つ以上の検査
のうちの少なくとも1つを含む、実施形態18又は19に記載の方法。
実施形態21
(i)前記1つ以上の腎温存戦略が、非ステロイド系抗炎症薬、アミノグリコシド、又はそれらの任意の組合せの回避を含む;及び/又は
(ii)前記疾患の進行についての1つ以上の検査が、血清副甲状腺ホルモンレベルの検査を含む、
実施形態20に記載の方法。
実施形態22
前記回帰型ニューラルネットワークが、21つのノードを有する第1の層、3つのノードを有する第2の層、及び3つのノードを有する第3の層を含む、3つの層を有する隠れ層アーキテクチャを含む、実施形態17から21のいずれか一項に記載の方法。
実施形態23
前記回帰型ニューラルネットワークが、10分割の交差検証プロセスを経験し、8又は18のエポックにわたってトレーニングされる、実施形態17から22のいずれか一項に記載の方法。
実施形態24
前記1つ以上のバイオマーカーが、アミラーゼに関する情報を含む、実施形態17から23のいずれか一項に記載の方法。
実施形態25
前記回帰型ニューラルネットワークが、複数の他のイヌの前記1つ以上のバイオマーカー及び前記人口統計情報を含むトレーニングデータセットを使用してトレーニングされる、実施形態17から24のいずれか一項に記載の方法。
実施形態26
前記予測モデルが、長・短期記憶(LSTM)を備えた前記回帰型ニューラルネットワークをさらに含む、実施形態17から25のいずれか一項に記載の方法。
実施形態27
前記回帰型ニューラルネットワークを使用した前記CKDの発症の決定閾値が約0.0から約1.0である、実施形態17から26のいずれか一項に記載の方法。
実施形態28
前記回帰型ニューラルネットワークを使用した前記CKDの発症の決定閾値が約0.5である、実施形態17から27のいずれか一項に記載の方法。
実施形態29
前記イヌの1つ以上のバイオマーカー又は前記イヌの人口統計情報からの1つ以上の欠測値を代入するステップ
をさらに含む、実施形態17から28のいずれか一項に記載の方法。
実施形態30
前記代入が線形回帰である、実施形態17から29のいずれか一項に記載の方法。
実施形態31
前記代入が前記イヌの年齢に基づいている、実施形態17から29のいずれか一項に記載の方法。
実施形態32
前記代入が前記欠測値の数に基づいている、実施形態17から29のいずれか一項に記載の方法。
実施形態33
イヌが慢性腎臓病(CKD)を発症する感受性を特定するコンピュータシステムであって、該コンピュータシステムが、
プロセッサ;及び
前記プロセッサによって実行されると、前記コンピュータシステムに、
(a)(i)前記イヌの1つ以上のバイオマーカーであって、尿比重、クレアチニン、尿タンパク質、血中尿素窒素(BUN)のうちの少なくとも1つに関する情報を含む、1つ以上のバイオマーカー;又は
(ii)前記イヌの人口統計情報であって、前記イヌの年齢又は体重の少なくとも1つを含む、人口統計情報
のうちの少なくとも1つを受信させ、
(b)5つのノードを有する第1の層、3つのノードを有する第2の層、及び3つのノードを有する第3の層を含む3つの層を有する隠れ層アーキテクチャを含む回帰型ニューラルネットワークを含む、予測モデルを使用して、前記1つ以上のバイオマーカー又は前記イヌの人口統計情報の少なくとも1つを処理させ、かつ
(c)前記処理された1つ以上のバイオマーカー又は人口統計情報に基づいて、前記イヌがCKDを発症する確率リスクスコアを決定させる、
コードを格納するメモリ
を含む、コンピュータシステム。
実施形態34
前記コンピュータシステムに、
前記イヌがCKDを発症する確率リスクに基づいてカスタマイズされた推奨事項を決定させる、
実施形態33に記載のコンピュータシステム。
実施形態35
前記コンピュータシステムに、
前記イヌの獣医師、飼い主、又は介護者のユーザ機器に前記カスタマイズされた推奨事項を送信させる、
実施形態33又は34に記載のコンピュータシステム。
実施形態36
前記カスタマイズされた推奨事項が、
(a)1つ以上の治療的介入;
(b)1つ以上の食事に関する推奨事項;
(c)1つ以上の腎温存戦略;又は
(d)疾患の進行についての1つ以上の検査
のうちの少なくとも1つを含む、実施形態34又は35に記載のコンピュータシステム。
実施形態37
(i)前記1つ以上の腎温存戦略が、非ステロイド系抗炎症薬、アミノグリコシド、又はそれらの任意の組合せの回避を含む;及び/又は
(ii)前記疾患の進行についての1つ以上の検査が、血清副甲状腺ホルモンレベルの検査を含む、
実施形態36に記載のコンピュータシステム。
実施形態38
前記1つ以上のバイオマーカーが、アミラーゼに関する情報を含む、実施形態33から37のいずれか一項に記載のコンピュータシステム。
実施形態39
前記回帰型ニューラルネットワークが、複数の他のイヌの前記1つ以上のバイオマーカー及び前記人口統計情報を含むトレーニングデータセットを使用してトレーニングされる、実施形態33から38のいずれか一項に記載のコンピュータシステム。
実施形態40
前記予測モデルが、長・短期記憶(LSTM)を有する前記回帰型ニューラルネットワークをさらに含む、実施形態33から39のいずれか一項に記載のコンピュータシステム。
実施形態41
前記回帰型ニューラルネットワークを使用した前記CKDの発症の決定閾値が約0.0から約1.0である、実施形態33から40のいずれか一項に記載のコンピュータシステム。
実施形態42
前記回帰型ニューラルネットワークを使用した前記CKDの発症の決定閾値が約0.5である、実施形態33から41のいずれか一項に記載のコンピュータシステム。
実施形態43
前記回帰型ニューラルネットワークが、10分割の交差検証プロセスを経験し、8又は18のエポックにわたってトレーニングされる、実施形態33から42のいずれか一項に記載のコンピュータシステム。
実施形態44
前記コンピュータシステムに、
前記イヌの1つ以上のバイオマーカー又は前記イヌの人口統計情報からの1つ以上の欠測値を代入させる、
実施形態33から43のいずれか一項に記載のコンピュータシステム。
実施形態45
前記代入が線形回帰である、実施形態44に記載のコンピュータシステム。
実施形態46
前記代入が前記イヌの年齢に基づいている、実施形態44に記載のコンピュータシステム。
実施形態47
前記代入が前記欠測値の数に基づいている、実施形態44に記載のコンピュータシステム。
実施形態48
イヌが慢性腎臓病(CKD)を発症する感受性を特定する方法であって、
(a)(i)前記イヌの1つ以上のバイオマーカーであって、尿比重、クレアチニン、尿タンパク質、血中尿素窒素(BUN)のうちの少なくとも1つに関する情報を含む、1つ以上のバイオマーカー;又は
(ii)前記イヌの人口統計情報であって、前記イヌの年齢又は体重の少なくとも1つを含む、人口統計情報;
のうちの少なくとも1つを受信するステップ、
(b)予測モデルを使用して前記1つ以上のバイオマーカー又は前記イヌの人口統計情報の少なくとも1つを処理するステップであって、前記予測モデルが、回帰型ニューラルネットワークを含み、該回帰型ニューラルネットワークが、5つのノードを有する第1の層、3つのノードを有する第2の層、及び3つのノードを有する第3の層を含む3つの層を有する隠れ層アーキテクチャを含む、ステップ;及び
(c)前記処理された1つ以上のバイオマーカー又は人口統計情報に基づいて、前記イヌがCKDを発症する確率リスクスコアを決定するステップ
を含む、方法。
実施形態49
前記イヌがCKDを発症する確率リスクに基づいてカスタマイズされた推奨事項を決定するステップ
をさらに含む、実施形態48に記載の方法。
実施形態50
前記イヌの獣医師、飼い主、又は犬の介護者のユーザ機器に前記カスタマイズされた推奨事項を送信するステップ
をさらに含む、実施形態48又は49に記載の方法。
実施形態51
前記カスタマイズされた推奨事項が、
(a)1つ以上の治療的介入;
(b)1つ以上の食事に関する推奨事項;
(c)1つ以上の腎温存戦略;又は
(d)疾患の進行についての1つ以上の検査
のうちの少なくとも1つを含む、実施形態49又は50に記載の方法。
実施形態52
(i)前記腎温存戦略が、非ステロイド系抗炎症薬、アミノグリコシド、又はそれらの任意の組合せの回避を含む;及び/又は
(ii)前記疾患の進行についての検査が、血清副甲状腺ホルモンレベルの検査を含む、
実施形態51に記載の方法。
実施形態53
前記1つ以上のバイオマーカーが、アミラーゼに関する情報を含む、実施形態48から52のいずれか一項に記載の方法。
実施形態54
前記回帰型ニューラルネットワークが、複数の他のイヌの前記1つ以上のバイオマーカー及び前記人口統計情報を含むトレーニングデータセットを使用してトレーニングされる、実施形態48から53のいずれか一項に記載の方法。
実施形態55
前記予測モデルが、長・短期記憶(LSTM)を備えた前記回帰型ニューラルネットワークをさらに含む、実施形態48から54のいずれか一項に記載の方法。
実施形態56
前記回帰型ニューラルネットワークを使用した前記CKDの発症の決定閾値が約0.0から約1.0である、実施形態48から55のいずれか一項に記載の方法。
実施形態57
前記回帰型ニューラルネットワークを使用した前記CKDの発症の決定閾値が約0.5である、実施形態48から56のいずれか一項に記載の方法。
実施形態58
前記回帰型ニューラルネットワークが、10分割の交差検証プロセスを経験し、8又は18のエポックにわたってトレーニングされる、実施形態48から57のいずれか一項に記載の方法。
実施形態59
前記イヌの1つ以上のバイオマーカー又は前記イヌの人口統計情報からの1つ以上の欠測値を代入するステップ
をさらに含む、実施形態48から58のいずれか一項に記載の方法。
実施形態60
前記代入が線形回帰である、実施形態59に記載の方法。
実施形態61
前記代入が前記イヌの年齢に基づいている、実施形態59に記載の方法。
実施形態62
前記代入が前記欠測値の数に基づいている、実施形態59に記載の方法。