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特許7758428バッテリパックおよびバッテリパックを含む自動車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-10-14
(45)【発行日】2025-10-22
(54)【発明の名称】バッテリパックおよびバッテリパックを含む自動車
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/262 20210101AFI20251015BHJP
   H01M 50/211 20210101ALI20251015BHJP
   H01M 50/202 20210101ALI20251015BHJP
   H01M 50/293 20210101ALI20251015BHJP
   H01M 4/48 20100101ALI20251015BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20251015BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20251015BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20251015BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20251015BHJP
【FI】
H01M50/262 E
H01M50/211
H01M50/202 501P
H01M50/293
H01M4/48
H01M10/052
H01M10/48 P
H01M50/202 401D
H01M50/204 401D
H01M50/249
H01M10/48 301
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2024518714
(86)(22)【出願日】2022-10-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-08
(86)【国際出願番号】 KR2022016485
(87)【国際公開番号】W WO2023075416
(87)【国際公開日】2023-05-04
【審査請求日】2024-03-25
(31)【優先権主張番号】10-2021-0146721
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ソン・チョル・イム
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン・ギュ・ハン
(72)【発明者】
【氏名】グン・ヘ・ホ
(72)【発明者】
【氏名】ソ・ヨン・カク
(72)【発明者】
【氏名】クク・ホ・キム
【審査官】赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-67566(JP,A)
【文献】特開2019-61749(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0194041(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
H01M 10/42-10/48
H01M 10/05-10/0587
H01M 4/00-4/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極、セパレータ、および少なくとも一部のシリコン酸化物を有する負極活物質を含む負極を備える少なくとも一つ以上のバッテリセルと、
前記少なくとも一つ以上のバッテリセルを内部に収容するように構成されたモジュールハウジングと、
前記バッテリセルの充放電時に、前記バッテリセルの体積変化を妨げるために前記バッテリセルを弾力的に加圧するように構成された加圧部であって、前記負極活物質の全重量に対する前記シリコン酸化物の含量に応じて前記バッテリセルを加圧する加圧力が設定された加圧部とを含む、バッテリパック。
【請求項2】
前記加圧部は、前記バッテリセルが体積膨張する方向の反対方向に加圧するように構成された弾性部材を備える、請求項1に記載のバッテリパック。
【請求項3】
前記バッテリセルは、二つ以上が含まれ、
前記二つ以上のバッテリセルの間に介在され、前記バッテリセルの体積膨張を緩衝するように構成された緩衝パッドをさらに含む、請求項1に記載のバッテリパック。
【請求項4】
前記バッテリセルに関する情報を取得するように構成されたセンサ部と、
前記センサ部が取得した前記バッテリセルに関する情報に基づいて前記加圧部の加圧力を増減させるように前記加圧部を制御するバッテリ管理システムとをさらに含み、
前記加圧部は、
前記バッテリセルが体積膨張する方向の反対方向に前記バッテリセルを加圧するように構成され、前記モジュールハウジングの内部に配置される弾性部材を含む、請求項1に記載のバッテリパック。
【請求項5】
前記センサ部が取得した前記バッテリセルに関する情報は、前記バッテリセルのSoH(state of health)、充放電サイクル、および体積膨張係数のうち少なくともいずれか一つの状態情報を含む、請求項4に記載のバッテリパック。
【請求項6】
取得された前記バッテリセルの状態情報は、充放電サイクルであり、前記バッテリ管理システムは、前記充放電サイクルが増加するほど、前記加圧部の加圧力を増加させるように構成される、請求項5に記載のバッテリパック。
【請求項7】
前記加圧部は、シリンダ軸を有する電動シリンダをさらに含み、
前記シリンダ軸は、前記バッテリ管理システムにより、前記弾性部材を加圧するように前記バッテリセルに向かって前進するか、前記弾性部材に対する加圧を解除するように前記バッテリセルに向かう方向の反対方向に後進するように構成される、請求項4に記載のバッテリパック。
【請求項8】
前記弾性部材によって前記バッテリセルに加えられる加圧力をセンシングするように構成された圧力センサをさらに含み、
前記バッテリ管理システムは、
前記圧力センサで測定された加圧力に応じて前記加圧部の加圧力を増減させるように構成される、請求項4に記載のバッテリパック。
【請求項9】
前記モジュールハウジングは、
前記加圧部を支持し、前記バッテリセルに向かう方向または前記バッテリセルに向かう方向の反対方向に移動可能に構成された移動外壁を含み、
前記加圧部は、前記移動外壁と連結されたシリンダ軸を有する電動シリンダをさらに含み、
前記弾性部材は、前記バッテリセルと前記移動外壁との間に介在され、
前記電動シリンダは、前記モジュールハウジングの外部に位置し、前記電動シリンダのシリンダ軸は、前記移動外壁を加圧して前記移動外壁が前記バッテリセルに向かって移動するか、前記移動外壁が前記バッテリセルに向かう方向の反対方向に移動するように構成される、請求項4に記載のバッテリパック。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のバッテリパックを少なくとも一つ含む、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年10月29日付けの韓国特許出願第10-2021-0146721号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容は、本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本開示は、バッテリパックおよびバッテリパックを含む自動車に関し、より詳細には、バッテリパックに備えられたバッテリセルのスウェリング現象を効果的に抑制し、バッテリセルのサイクル寿命特性を向上させたバッテリパックおよびバッテリパックを含む自動車に関する。
【背景技術】
【0003】
現在、商用化した二次電池としては、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウム二次電池などがある。リチウム二次電池は、ニッケル系の二次電池に比べてメモリ効果がほとんど起こらず、充電および放電が自由である。また、リチウム二次電池は、自己放電率が非常に低く、エネルギー密度が高い利点から脚光を浴びている。
【0004】
リチウム二次電池は、主に、リチウム系酸化物と炭素材をそれぞれ正極活物質と負極活物質として使用する。リチウム二次電池は、正極活物質と負極活物質がそれぞれ塗布された正極板および負極板がセパレータを挟んで配置された電極組立体、および電極組立体を電解液とともに密封収納する外装材を備える。
【0005】
一般的に、リチウム二次電池は、外装材の種類に応じて、缶型二次電池とパウチ型二次電池とに分けられる。缶型二次電池は、電極組立体が金属缶に組み込まれている。パウチ型二次電池は、電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチに組み込まれている。
【0006】
最近、携帯型電子機器のような小型装置だけでなく、自動車や電力貯蔵装置のような中大型装置にも二次電池が広く用いられている。このような中大型装置には、少なくとも一つのバッテリパックが搭載されることができた。このような、バッテリパックの容量および出力を高めるために、多数のバッテリセルがパックハウジングの内部に収容されることができる。このような中大型装置には、例えば、積層が容易なパウチ型二次バッテリセルが多く用いられている。ここで、パウチ型(Pouch Type)バッテリセルは、形態が一定でない軟性のポリマー材質で製造されたパウチに電極組立体を収容した二次電池を言う。
【0007】
一方、バッテリパックのバッテリセルの場合、繰り返した充放電時にバッテリセルが膨れ上がるスウェリング(swelling)現象が生じる。このような充放電時に発生するスウェリング現象に鑑みて従来のバッテリパックの内部の収容空間にバッテリセルを積層配置する場合、バッテリセルを所程の間隔で離隔配置していた。また、従来技術では、バッテリセルのスウェリング現象を抑制するために、バッテリセルを加圧してガス生成を抑制する方法を使用していた。
【0008】
しかし、バッテリセルのスウェリング現象がひどくなる場合、バッテリセルの内部圧力が高くなるにつれてバッテリセルのセルケースが破裂し、バッテリセルの内部構成が外部に流出するか、バッテリセルが爆発するなどの事故が発生し得る。したがって、バッテリパックに備えられたバッテリセルのスウェリング現象を抑制することが、バッテリパックの寿命と安定性を高めるのに非常に重要であると言える。
【0009】
しかし、従来技術のバッテリセルのスウェリング現象を制御する方法は、このようなバッテリセルの特性を考慮せず、加圧部材の画一化した加圧力を用いてバッテリセルを加圧することが全てであった。そのため、従来技術のバッテリパックは、バッテリセルの特性に合わせてスウェリング現象を制御することに大きな限界があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】韓国特許出願公開第10-2020-0040975号公報
【文献】特開2019-091630号公報
【文献】韓国特許出願公開第10-2018-0026210号公報
【文献】韓国特許出願公開第10-2020-0058248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本開示は、バッテリパックに備えられたバッテリセルのスウェリング現象を効果的に抑制することで、バッテリセルのサイクル寿命特性を向上させたバッテリパックおよびバッテリパックを含む自動車を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示の一形態によると、正極、セパレータ、および少なくとも一部のシリコン酸化物を有する負極活物質を含む負極を備える少なくとも一つ以上のバッテリセルと、前記少なくとも一つ以上のバッテリセルを内部に収容するように構成されたモジュールハウジングと、前記バッテリセルの充放電時に、前記バッテリセルの体積変化を妨げるために前記バッテリセルを弾力的に加圧するように構成された加圧部であって、前記負極活物質の全重量に対する前記シリコン酸化物の含量に応じて前記バッテリセルを加圧する加圧力が設定された加圧部とを含む。
【0013】
一実施形態において、前記加圧部は、前記バッテリセルが体積膨張する方向の反対方向に加圧するように構成された弾性部材を備えることができる。
【0014】
他の一実施形態において、前記バッテリセルは、二つ以上が含まれ、前記二つ以上のバッテリセルの間に介在され、前記バッテリセルの体積膨張を緩衝するように構成された緩衝パッドをさらに含むことができる。
【0015】
さらに他の一実施形態において、正極、セパレータ、および少なくとも一部のシリコン酸化物を有する負極活物質を含む負極を備える少なくとも一つ以上のバッテリセルと、前記少なくとも一つ以上のバッテリセルを内部に収容するように構成されたモジュールハウジングと、前記バッテリセルの充放電時に、前記バッテリセルの体積変化を妨げるために前記バッテリセルを弾力的に加圧するように構成された加圧部と、前記バッテリセルに関する情報を取得するように構成されたセンサ部と、前記センサ部が取得した前記バッテリセルに関する情報に基づいて前記加圧部の加圧力を増減させるように前記加圧部を制御するバッテリ管理システムとを含む。
【0016】
さらに他の一実施形態において、前記センサ部が取得した前記バッテリセルに関する情報は、前記バッテリセルのSoH(state of health)、充放電サイクル、および体積膨張係数のうち少なくともいずれか一つの状態情報を含むことができる。
【0017】
さらに他の一実施形態において、取得された前記バッテリセルの状態情報は、充放電サイクルであり、前記バッテリ管理システムは、前記充放電サイクルが増加するほど、前記加圧部の加圧力を増加させるように構成されることができる。
【0018】
さらに他の一実施形態において、前記加圧部は、シリンダ軸を有する電動シリンダ、および弾性部材をさらに含み、前記シリンダ軸は、前記バッテリ管理システムにより、前記弾性部材を加圧するように前記バッテリセルに向かって前進するか、前記弾性部材に対する加圧を解除するように前記バッテリセルに向かう方向の反対方向に後進するように構成されることができる。
【0019】
さらに他の一実施形態において、前記弾性部材によって前記バッテリセルに加えられる加圧力をセンシングするように構成された圧力センサをさらに含み、前記バッテリ管理システムは、前記圧力センサで測定された加圧力に応じて前記加圧部の加圧力を増減させるように構成されることができる。
【0020】
さらに他の一形態によると、前記モジュールハウジングは、前記加圧部を支持し、前記バッテリセルに向かう方向または前記バッテリセルに向かう方向の反対方向に移動可能に構成された移動外壁を含み、前記加圧部は、前記移動外壁と連結されたシリンダ軸を有する電動シリンダ、および前記バッテリセルと前記移動外壁との間に介在された弾性部材をさらに含み、前記電動シリンダは、前記モジュールハウジングの外部に位置し、前記電動シリンダのシリンダ軸は、前記移動外壁を加圧して前記移動外壁が前記バッテリセルに向かって移動するか、前記移動外壁が前記バッテリセルに向かう方向の反対方向に移動するように構成されることができる。
【0021】
一方、本開示の他の一形態によると、自動車は、前記バッテリパックを少なくとも一つ含む。
【発明の効果】
【0022】
本開示のバッテリパックは、バッテリセルの充放電時に、バッテリセルの体積変化を妨げるために前記バッテリセルを弾力的に加圧するように構成された加圧部であって、負極の負極活物質の全重量に対するシリコン酸化物の含量に応じてバッテリセルを加圧する加圧力が設定された加圧部を含むことで、バッテリセルのスウェリング特性に合わせてスウェリング現象を制御することができる。すなわち、本開示の発明者らは、バッテリセルの負極活物質として備えられたシリコン酸化物の含量に応じて、バッテリセルの充放電に応じて体積変化が変化することを見出した。そのため、本開示の発明者らは、モジュールハウジングに搭載されたバッテリセルのスウェリング現象を制御するために、バッテリセルの負極活物質として備えられたシリコン酸化物の含量を考慮してバッテリセルを加圧する加圧力が設定された加圧部を備えたバッテリパックを発明するに至った。したがって、本開示のバッテリパックは、備えられたバッテリセルのスウェリング現象を効果的に制御することができ、バッテリパックの寿命と安定性を高めることができる。
【0023】
すなわち、本開示のバッテリパックは、負極の負極活物質の含量によるバッテリセルのスウェリング現象を考慮して加圧力が設定された加圧部を備えることで、不要に過剰な力でバッテリセルを加圧しないことができ、逆に、スウェリング現象が大きい場合、より大きい加圧力に設定された加圧部を使用して、バッテリセルの内部に発生するガス発生量を効果的に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本開示の一実施形態によるバッテリパックの様子を概略的に示した斜視図である。
図2】本開示の一実施形態によるバッテリパックのバッテリセルの様子を概略的に示した側面図である。
図3】本開示の一実施形態によるバッテリパックのバッテリセルの構成の様子を概略的に示した分離斜視図である。
図4】本開示の一実施形態によるバッテリパックのバッテリセルの正極、セパレータ、および負極の様子を概略的に示した分離斜視図である。
図5図1のバッテリパックをA-A’線に沿って切断した様子を概略的に示した垂直断面図である。
図6】本開示の他の一実施形態によるバッテリパックの様子を概略的に示した垂直断面図である。
図7】本開示の一実施形態によるバッテリパックの様子を概略的に示した概念図である。
図8】本開示のさらに他の一実施形態によるバッテリパックの様子を概略的に示した垂直断面図である。
図9】本開示のさらに他の一実施形態によるバッテリパックの様子を概略的に示した垂直断面図である。
図10】本開示の一実施形態による自動車の様子を概略的に示した模式図である。
図11】本開示の実施例1によるバッテリセルの充放電サイクルによる容量維持率および厚さの変化を示したグラフである。
図12】本開示の実施例1によるバッテリセルの充放電サイクルによる容量維持率および膨張力を示したグラフである。
図13】本開示の実施例2によるバッテリセルの充放電サイクルによる容量維持率および厚さの変化を示したグラフである。
図14】本開示の実施例2によるバッテリセルの充放電サイクルによる容量維持率および膨張力を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本開示について詳細に説明する。本開示を説明するに際し、関連する公知の機能あるいは構成に関する具体的な説明が本開示の要旨を不明瞭にし得ると判断した場合、それに関する詳細な説明は省略する。さらに、下記の実施形態は、様々な他の形態に変形されることができ、本開示の技術的思想の範囲が下記実施形態に限定されるものではない。かえって、これらの実施形態は、本開示をより充実且つ完全にし、当業者に本開示の技術的思想を完全に伝達するために提供されるものである。
【0026】
本開示に記載の技術を特定の実施形態に対して限定するものではなく、本開示の実施形態の様々な変更(modifications)、均等物(equivalents)、および/または代替物(alternatives)を含むものと理解すべきである。
【0027】
図面の説明と関連して、類似の構成要素に対しては類似の参照符号が使用されることができる。
【0028】
本開示において、「有する」、「有することができる」、「含む」または「含むことができる」などの表現は、当該特徴(例:数値、機能、動作、または部品などの構成要素)の存在を示し、さらなる特徴の存在を排除しない。
【0029】
本開示において、「AまたはB」、「Aまたは/およびBのうち少なくとも一つ」または「Aまたは/およびBのうち一つまたはそれ以上」などの表現は、ともに並べられた項目のすべての可能な組み合わせを含むことができる。例えば、「AまたはB」、「AおよびBのうち少なくとも一つ」または「AまたはBのうち少なくとも一つ」は、(1)少なくとも一つのAを含む場合、(2)少なくとも一つのBを含む場合、または(3)少なくとも一つのAおよび少なくとも一つのBの両方を含む場合をすべて指すことができる。
【0030】
図1は、本開示の一実施形態によるバッテリパック100の様子を概略的に示した斜視図である。図2は、本開示の一実施形態によるバッテリパック100のバッテリセル110の様子を概略的に示した側面図である。図3は、本開示の一実施形態によるバッテリパック100のバッテリセル110の構成の様子を概略的に示した分離斜視図である。図4は、本開示の一実施形態によるバッテリパック100のバッテリセル110の正極114、セパレータ115、および負極116の様子を概略的に示した分離斜視図である。また、図5は、図1のバッテリパック100をA-A’線に沿って切断した様子を概略的に示した垂直断面図である。
【0031】
図1図5を参照すると、本開示の一実施形態によるバッテリパック100は、少なくとも一つ以上のバッテリセル110と、モジュールハウジング120と、加圧部130とを含む。
【0032】
具体的には、バッテリセル110は、セルケース111と、電極タブ113を備える電極組立体112と、電極リード117と、絶縁フィルム118と、電解質(図示せず)とを含む。
【0033】
また、セルケース111は、軟性の材質で製造されたパウチ型セルケースであることができる。しかし、本開示のリチウム二次電池の外形は、特に制限されないが、缶を使用した円筒型、角型、パウチ(pouch)型またはコイン(coin)型などであることができる。例えば、セルケース111は、電極組立体112の上部をカバーする第1セルシート111aと、第1セルシート111aの下面の一部分と結合して電極組立体112の下部をカバーする第2セルシート111bとを備えることができる。第1セルシート111aおよび第2セルシート111bのそれぞれは、ラミネートシートであることができる。具体的には、ラミネートシートは、薄い金属フィルム(例えば、Alフィルム)が耐水性の高分子フィルム(ナイロン)と熱接着高分子フィルム(例:Casted Polypropylene)との間にラミネートされた構造を有することができる。ラミネートシートの構造と各層を構成する物質については、本開示が属する技術分野において広く知られているため、詳細な説明は省略する。
【0034】
セルケース111の密封のために、第1セルシート111aおよび第2セルシート111bそれぞれの外周部は互いに熱融着されることができる。熱融着方法は、第1セルシート111aおよび第2セルシート111bが積層された状態で互いに対向しているそれぞれの外周部の少なくとも一部を高温の機器(例:ホットプレス)で加圧する過程を含むことができる。ここで、熱融着される温度は、摂氏110度~摂氏150度であることができる。例えば、セルケース111は、第1セルシート111aおよび第2セルシート111bそれぞれの外周部が互いに熱融着されて形成されたシーリング部が備えられることができる。
【0035】
セルケース111は、電極組立体112、電極リード117、および電解質を収容する収容空間Sを含むことができる。例えば、このような収容空間Sは、2個のセルシート111a、111bのうち少なくともいずれか一つの一部分を高温のホットプレスで加圧してカップ状に変形された部分であることができる。収容空間Sは、セルシート111a、111bそれぞれの一部分が外側に凸状に突出した部分Pであることができる。セルケース111の収容空間Sは、複数の電極114、116、セパレータ115、および電解質がいずれも収容されることができる大きさ以上であることができる。例えば、図3のように、セルケース111の収容空間Sは、第1セルシート111aの上部方向に凸状に突出した部分Pと、第2セルシート111bの下部方向に凹状に形成された部分Rが互いに結合して形成されることができる。
【0036】
電極114、116は、電気極性に応じて、少なくとも一つ以上の正極114および少なくとも一つ以上の負極116であることができる。例えば、正極活物質、導電材、およびバインダーが混合された正極合剤層M1がアルミニウム合金素材の集電体上に形成されることで正極114が製造されることができる。負極活物質、導電材、およびバインダーが混合された負極合剤層M2が銅合金素材の集電体上に形成されることで負極116が製造されることができる。また、正極114と負極116との間にセパレータ115が介在されることができる。このような、セパレータ115は、正極114と負極116との内部短絡を遮断し、電解質を含浸する役割を果たすことができる。本開示のセパレータ115は、二次電池において通常使用されるセパレータ素材であれば特に制限なく使用可能である。例えば、セパレータ115は、ポリエチレン、およびポリプロピレンのうち少なくともいずれか一つ以上の素材を備えることができる。また、正極114、セパレータ115、および負極116が順に積層されて電極組立体112を形成することができる。
【0037】
正極114は、正極集電体上に正極合剤層M1を形成して製造することができる。正極合剤層M1は、正極活物質、バインダー、導電材および溶媒などを含む正極スラリーを正極集電体上にコーティングした後、乾燥および圧延して形成することができる。
【0038】
前記正極集電体は、当該電池に化学的変化を引き起こさず、導電性を有するものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、またはアルミニウムやステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理を施したものなどが使用されることができる。
【0039】
前記正極活物質は、電池の容量特性および安定性を高めることができる点で、遷移金属のうちニッケルの含有量が50atm%以上、好ましくは70atm%以上であるリチウム複合遷移金属酸化物を含むことができる。
【0040】
前記正極活物質は、その代表的な例として、LiNi0.5Co0.2Mn0.3、LiNi0.5Co0.3Mn0.2、LiNi0.6Co0.2Mn0.2またはLiNi0.8Co0.1Mn0.1などのリチウムニッケルコバルトマンガン系酸化物を含むことができる。または、前記正極活物質は、リチウムニケルコカルトマンガンアルミニウム系酸化物を含むことができる。
【0041】
その他にも、前記正極活物質は、リチウムの可逆的なインターカレーションおよびデインターカレーションが可能な化合物として、リチウム-マンガン系酸化物(例えば、LiMnO、LiMnなど)、リチウム-コバルト系酸化物(例えば、LiCoOなど)、リチウム-ニッケル系酸化物(例えば、LiNiOなど)、リチウム-ニッケル-マンガン系酸化物(例えば、LiNi1-YMn(ここで、0<Y<1)、LiMn2-ONi(ここで、0<o<2)など)、リチウム-ニッケル-コバルト系酸化物(例えば、LiNi1-Y1CoY1(ここで、0<Y1<1)など)、リチウム-マンガン-コバルト系酸化物(例えば、LiCo1-Y2MnY2(ここで、0<Y2<1)、LiMn2-z1Coz1(ここで、0<Z1<2)など)、リチウム-ニッケル-コバルト-遷移金属(M)酸化物(例えば、Li(Nip2Coq2Mnr3S2)O(ここで、Mは、Al、Fe、V、Cr、Ti、Ta、MgおよびMoからなる群から選択され、p2、q2、r3およびs2は、それぞれ独立した元素の原子分率であり、0<p2<1、0<q2<1、0<r3<1、0<s2<1、p2+q2+r3+s2=1である))または相転移変化によって充放電が可能な硫黄(sulfur)物質を含む化合物を用いることもできる。
【0042】
前記正極活物質は、正極スラリーのうち、固形分の全重量に対して80重量%~99.5重量%含まれることができ、具体的には、85重量%~95重量%含まれることができる。ここで、正極活物質含量が80重量%以下である場合、エネルギー密度が低くなって容量が低下し得る。
【0043】
前記バインダーは、活物質と導電材などの結合と集電体に対する結合を容易にする成分であり、通常、正極スラリーのうち、固形分の全重量に対して1~30重量%添加される。このようなバインダーの例としては、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンテルモノマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレン-ブタジエンゴム、フッ素ゴム、様々な共重合体などが挙げられる。
【0044】
前記導電材は、当該電池に化学的変化を引き起こさず、導電性を有するものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、またはサーマルブラックなどの炭素粉末;結晶構造が非常に発達した天然黒鉛、人造黒鉛、またはグラファイトなどの黒鉛粉末;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;およびポリフェニレン誘導体などの導電性素材のうち少なくともいずれか一つが使用されることができる。
【0045】
前記導電材は、通常、正極スラリーのうち、固形分の全重量に対して1~30重量%添加される。前記溶媒は、NMP(N-methyl-2-pyrrolidone)などの有機溶媒を含むことができ、正極活物質および選択的にバインダーおよび導電材などを含む時に、好ましい粘度になる量で使用されることができる。例えば、正極活物質、および選択的にバインダーおよび導電材を含むスラリー中の固形分濃度が10重量%~70重量%、好ましくは20重量%~60重量%になるように含まれることができる。
【0046】
前記負極116は、負極集電体上に負極合剤層M2を形成して製造することができる。負極合剤層M2は、負極集電体上に、前記負極活物質、バインダー、導電材および溶媒などを含むスラリーをコーティングした後、乾燥および圧延して形成することができる。
【0047】
前記負極集電体は、一般的に、3~500μmの厚さを有する。このような負極集電体は、当該電池に化学的変化を引き起こさず、高い導電性を有するものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、銅、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅やステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理を施したもの、アルミニウム-カドミウム合金などが使用されることができる。また、正極集電体と同様、表面に微細な凹凸を形成して前記負極活物質の結合力を強化することもでき、フィルム、シート、箔、網、多孔質体、発泡体、不織布体など様々な形態で使用されることができる。
【0048】
前記負極活物質は、リチウムにドープおよび脱ドープ可能な物質、リチウム金属、ニッケル金属、銅金属、SUS金属、リチウムイオンを可逆的にインターカレーション/デインターカレーションすることができる炭素物質、金属またはこれら金属とリチウムの合金、金属複合酸化物、および遷移金属酸化物からなる群から選択される少なくとも一つ以上をさらに含むことができる。
【0049】
前記リチウムにドープおよび脱ドープすることができる物質としては、Si、SiO(0<x≦2)、Si-Y合金(Yは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、第13族元素、第14族元素、遷移金属、希土類元素およびこれらの組み合わせからなる群から選択される元素であり、Siではない)、Sn、SnO、Sn-Y(Yは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、第13族元素、第14族元素、遷移金属、希土類元素およびこれらの組み合わせからなる群から選択される元素であり、Snではない)などが挙げられ、また、これらのうち少なくとも一つとSiOを混合して使用することもできる。元素Yとしては、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Rf、V、Nb、Ta、Db、Cr、Mo、W、Sg、Tc、Re、Bh、Fe、Pb、Ru、Os、Hs、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、Sn、In、Ti、Ge、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Po、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されることができる。一実施形態において、前記負極活物質は、少なくとも一部のシリコン酸化物(SiO(0<x≦2))を含む。
【0050】
リチウムイオンを可逆的にインターカレーション/デインターカレーションすることができる炭素物質としては、リチウムイオン二次電池において一般的に使用される炭素系前記負極活物質であれば、特に制限なく使用可能であり、その代表的な例としては、結晶質炭素、非晶質炭素またはこれらをともに使用することができる。前記結晶質炭素の例としては、板状、鱗片状(flake)、球状または繊維状の天然黒鉛または人造黒鉛のような黒鉛が挙げられ、前記非晶質炭素の例としては、ソフトカーボン(soft carbon:低温焼成炭素)またはハードカーボン(hard carbon)、メソフェーズピッチ炭化物、焼成されたコークスなどが挙げられる。
【0051】
前記金属またはこれら金属とリチウムの合金としては、Cu、Ni、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Si、Sb、Pb、In、Zn、Ba、Ra、Ge、AlおよびSnからなる群から選択される金属またはこれら金属とリチウムの合金が使用されることができる。
【0052】
前記金属複合酸化物としては、PbO、PbO、Pb、Pb、Sb、Sb、Sb、GeO、GeO、Bi、Bi、Bi、LiFe(0≦x≦1)、LiWO(0≦x≦1)、およびSnMe1-xMe’(Me:Mn、Fe、Pb、Ge;Me’:Al、B、P、Si、周期表の第1族、第2族、第3族元素、ハロゲン;0<x≦1;1≦y≦3;1≦z≦8)からなる群から選択されるものが使用されることができる。
【0053】
前記遷移金属酸化物としては、リチウム含有チタン複合酸化物(LTO)、バナジウム酸化物、リチウムバナジウム酸化物などが挙げられる。
【0054】
前記負極活物質は、負極スラリーのうち、固形分の全重量に対して80重量%~99重量%含まれることができる。
【0055】
前記バインダーは、導電材、活物質および集電体の間の結合を容易にする成分として、通常、負極116スラリーのうち、固形分の全重量に対して1重量%~30重量%添加される。このようなバインダーの例としては、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンモノマー(EPDM)、スルホン化-EPDM、スチレン-ブタジエンゴム、フッ素ゴム、これらの様々な共重合体などが挙げられる。
【0056】
前記導電材は、前記負極活物質の導電性をより向上させるための成分として、負極スラリーのうち、固形分の全重量に対して1~20重量%添加されることができる。このような導電材は、当該電池に化学的変化を引き起こさず、導電性を有するものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などが使用されることができる。
【0057】
前記溶媒は、水、NMP(N-Methyl-2-pyrrolidone)、およびアルコールなどの有機溶媒のうち少なくともいずれか一つを含むことができ、前記負極活物質および選択的にバインダーおよび導電材などを含む時に、好ましい粘度になる量で使用されることができる。例えば、前記負極活物質、および選択的に前記バインダーおよび前記導電材を固形分として含むスラリー中の固形分濃度が50重量%~75重量%、好ましくは50重量%~65重量%になるように含まれることができる。
【0058】
前記セパレータ115は、両電極の内部短絡を遮断し、電解質を含浸する役割を果たすことができる。前記セパレータ115は、通常使用される多孔性高分子フィルム、例えば、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体およびエチレン/メタクリレート共重合体などのポリオレフィン系高分子で製造した多孔性高分子フィルムを単独でまたはこれらを積層して使用することができ、または通常の多孔性不織布、例えば、高融点のガラス繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などからなる不織布を使用することができるが、これに限定されるものではない。
【0059】
ここで、前記多孔性セパレータの気孔直径は、一般的に0.01μm~50μmであり、気孔度は、5%~95%であることができる。
【0060】
また、前記多孔性セパレータの厚さは、一般的に5μm~300μmの範囲であることができる。
【0061】
電極タブ113には、電極活物質、導電材、およびバインダーの混合物が塗布されないこともある。電極タブ113は、電子が移動することができる経路であることができる。電極タブ113は、正極活物質がコーティングされていない無地部を裁断して形成されるか、電極の無地部に別の導電性部材を超音波溶接などで連結して別途形成されることができる。例えば、図3のように、正極114および負極116それぞれの一側から突出した電極タブ113が備えられることができる。例えば、正極114には、X軸の負の方向に突出した正極タブ113aが形成されている。負極116には、X軸の正の方向に突出した負極タブ113bが形成されている。しかし、必ずしもこのような形態に限定されるものではない。例えば、電極タブ113は、電極の前後左右それぞれの方向の第1側、第2側、第3側、および第4側のうち少なくともいずれか一つに形成されることができる。
【0062】
本開示の一実施形態によるバッテリセル110は、電極タブ113の一部分と結合した電極リード117をさらに備えることができる。電極リード117は、電気伝導性金属であることができる。図3のように、電極リード117は、正極タブ113aと連結された正極リードと、負極タブ113bと連結された負極リードとを備えることができる。電極リード117は、溶接のような様々な方式で一つ以上の電極タブ113と連結されることができる。電極リード117の一部がセルケース111の外部に露出するように配置されることができる。すなわち、電極リード117は、バッテリセル110の電極端子の役割を果たす。例えば、前記電極リード117は、正極114と電気的に連結された場合、バッテリセル110の正極端子の役割を果たすことができる。電極リード117は、負極116と電気的に連結された場合、バッテリセル110の負極端子の役割を果たすことができる。バッテリセル110は、電極リード117の一部の外面を包むように構成された絶縁フィルム118を含むことができる。絶縁フィルム118は、セルケース111と電極リード117とを電気的に絶縁し、セルケース111と熱融着されるように構成されることができる。
【0063】
一実施形態において、電解質は、固体状態または液体状態の電解質を意味する。本開示の一実施形態によるバッテリセル110は、電解質を介して正極114と負極116との間のイオン交換により充放電を行うことができる。電解質は、正極114と負極116との間でイオンが移動することができるように、正極114と負極116との間に位置することができる。また、電解質は、セパレータ115の表面と気孔に位置することができる。例えば、バッテリセル110がリチウム二次電池である場合、通常、非水電解液が用いられることができる。
【0064】
一方、モジュールハウジング120は、少なくとも一つ以上のバッテリセル110を内部に収容するように構成されることができる。モジュールハウジング120は、内部が空いている直方体の外観を有することができる。モジュールハウジング120は、バッテリセル110と対面する一部分が、電気が通じない非伝導性物質でカバーまたはコーティングされることができる。モジュールハウジング120は、例えば、金属またはプラスチックを備えることができる。モジュールハウジング120は、例えば、熱伝導性に優れたアルミニウム合金、またはステンレス鋼を備えることができる。例えば、モジュールハウジング120は、前壁、後壁、左壁、右壁、上壁、および下壁を備えることができる。バッテリパック100は、バッテリセル110を二つ以上含むことができる。例えば、図5のように、前後方向(Y軸方向)に積層された15個のバッテリセル110がモジュールハウジング120の下壁上に搭載されることができる。
【0065】
また、加圧部130は、バッテリセル110の充放電時に、バッテリセル110の体積変化を妨げるためにバッテリセル110を弾力的に加圧するように構成されることができる。例えば、バッテリパック100が前後方向(Y軸方向)に積層された複数のバッテリセル110を備える場合、複数の加圧部130それぞれが複数のバッテリセル110の前側と後側それぞれを弾力的に加圧することができる。ここで、「弾力的に」加圧するとは、加圧部130の弾性力を用いてバッテリセル110を加圧することを意味する。例えば、加圧部130は、バッテリセル110の体積が膨張する量が大きくなるほど、バッテリセル110を加圧する加圧力が弾力的に増加することができる。逆に、加圧部130は、バッテリセル110の体積が減少するほど、バッテリセル110を加圧する加圧力が弾力的に減少することができる。
【0066】
加圧部130は、前記負極活物質の全重量に対するシリコン酸化物の含量に応じて適正な大きさのバッテリセル110を加圧する加圧力を有するように設定(構成)されることができる。例えば、前記負極活物質の全重量に対するシリコン酸化物の含量が所程の含量よりも相対的に大きい場合、バッテリパック100は、バッテリセル110を加圧する加圧力が大きく設定された加圧部130を含むことができる。逆に、前記負極活物質の全重量に対するシリコン酸化物の含量が所程の含量よりも相対的に小さい場合、バッテリパック100は、バッテリセル110を加圧する加圧力が小さく設定された加圧部130を含むことができる。
【0067】
例えば、前記負極活物質の全重量に対するシリコン酸化物の含量が5wt%である場合、バッテリセル110の収縮膨張時に、加圧部130の加圧力が250kgf~350kgfであることができる。前記負極活物質の全重量に対するシリコン酸化物の含量が20wt%である場合、バッテリセル110の収縮膨張時に、加圧部130の加圧力が900kgf~1000kgfであることができる。すなわち、前記負極活物質の全重量に対するシリコン酸化物の含量が増加するほど、加圧部130がより大きい加圧力に設定されることができ、逆に、前記負極活物質の全重量に対するシリコン酸化物の含量が減少するほど、加圧部130がより小さな加圧力に設定されることができる。これは、バッテリセル110の負極活物質のシリコン酸化物の含量が相対的に高い場合、充電時にバッテリセル110の膨張する体積変化がより大きくなるためである。
【0068】
また、一実施形態において、充放電サイクルの回数が増加するほど、加圧部130が加える加圧力が増加することができる。例えば、前記負極活物質の全重量に対するシリコン酸化物の含量が5wt%である場合、充放電サイクルが0~15回(SoHが高い状態)でバッテリセル110を加圧する加圧部130の加圧力を0kgf~250kgfに設定することができ、充放電サイクル70~110回では、加圧部130の加圧力を100kgf~400kgfに設定することができ、充放電サイクル170~200回では、加圧部130の加圧力を200kgf~500kgfに設定することができる。
【0069】
本開示のこのような構成によると、本開示のバッテリパック100は、バッテリセル110の充放電時に、バッテリセル110の体積変化を妨げるためにバッテリセル110を弾力的に加圧するように構成され、前記負極活物質の全重量に対するシリコン酸化物の含量に応じてバッテリセル110を加圧する加圧力が設定された加圧部130を含むことで、バッテリセル110のスウェリング特性に合わせてスウェリング現象を制御することができる。すなわち、本開示のバッテリパック100は、バッテリセル110の前記負極活物質の種類および/または含量に応じて、バッテリセル110の充放電に応じて体積変化の程度が変化することを考慮して加圧力が設定された。
【0070】
これにより、本開示のバッテリパック100は、モジュールハウジング120に搭載されたバッテリセル110のスウェリング現象を効果的に制御するために、バッテリセル110の前記負極活物質に備えられたシリコン酸化物の含量を考慮してバッテリセル110を加圧する加圧力が設定された加圧部130を備える。すなわち、本開示のバッテリパック100は、不要に過剰な力でバッテリセル110を加圧しないことができ、逆に、スウェリング現象が大きい場合、より大きい加圧力に設定された加圧部130を使用して、バッテリセル110の内部に発生するガス発生量を効果的に低減することができる。
【0071】
一方、また、図1図3を参照すると、一実施形態において、バッテリパック100は、正極114と、負極116と、正極114と負極116との間に配置されたセパレータ115とを含むバッテリセル110を含む。負極116は、シリコン酸化物を含むように構成されることができる。例えば、負極は、シリコン酸化物を含む負極活物質を含むように構成される。バッテリパック100は、バッテリセル110を収容するモジュールハウジング120および加圧部130をさらに含む。加圧部130は、バッテリセル110のスウェリング現象を防止するように構成される。バッテリセル110のスウェリング現象は、シリコン酸化物の含量に応じて相違することができる。例えば、第1バッテリセル(図示せず)は、シリコン酸化物の第1含量を有する第1負極活物質を含む負極を含むことができる。この場合、第1バッテリセルを含む第1バッテリパック(図示せず)は、第1膨張率を有する第1スウェリング現象が発生することができる。また、第2バッテリセル(図示せず)は、シリコン酸化物の第2含量を有する第2負極活物質を含む負極を含むことができる。この場合、第2バッテリセルを含む第2バッテリパック(図示せず)は、第2膨張率を有する第2スウェリング現象が発生することができる。ここで、第1含量と第2含量は相違し、第1膨張率と第2膨張率は相違する。第1バッテリパックと第2バッテリパックに互いに異なるスウェリング現象が発生するため、第1バッテリパックと第2バッテリパックはm相違する加圧部(図示せず)を含むことができる。すなわち、第1バッテリパックと第2バッテリパックは、それぞれ、第1加圧部、第2加圧部を含むことができる。第1加圧部は、第1加圧力を有して第1バッテリセルを加圧するように構成される。第2加圧部は、第2加圧力を有して第2バッテリセルを加圧するように構成される。
【0072】
したがって、本開示のバッテリパック100は、シリコン酸化物の含量を考慮して、備えられたバッテリセル110のスウェリング現象を効果的に制御することができ、バッテリパック100の寿命と安定性を高めることができる。
【0073】
前記シリコン酸化物の含量は、前記負極活物質の全重量に対して5wt%~20wt%であることができる。前記シリコン酸化物の含量が5wt%未満である場合、シリコン酸化物の含量が残りの前記負極活物質に比べて過剰に低く、単位前記負極活物質合剤量当たりの充電容量が減少する恐れがある。また、前記シリコン酸化物の含量が20wt%を超える場合、前記シリコン酸化物の含量が残りの前記負極活物質に比べて過剰に高く、充放電による体積変化が大きい前記シリコン酸化物の含量が高くなるにつれて負極の膨張および収縮が大きくなり、結果、前記シリコン酸化物系前記負極活物質と黒鉛系負極活物質の電気的接触が足りず、サイクル特性が低下する恐れがある。
【0074】
したがって、本開示の一実施形態によるバッテリパック100は、前記シリコン酸化物の含量が、前記負極活物質の全重量に対して5wt%~20wt%であるため、バッテリパック100に搭載されたバッテリセル110が適正水準のエネルギー密度を有し、且つバッテリセル110が制御可能な適正水準で膨張および収縮が行われることができ、バッテリセル110のスウェリング現象を容易に制御することができる。
【0075】
一方、また図5を参照すると、本開示の一実施形態によるバッテリパック100の加圧部130は、弾性部材131を備えることができる。弾性部材131は、バッテリセル110が体積膨張する方向Bの反対方向Fに加圧するように構成されることができる。例えば、弾性部材131は、所定の弾性を有するバネであることができる。弾性部材131の弾性力が発揮される方向の一端は、モジュールハウジング120の内面を支持するように構成されることができる。弾性部材131の弾性力が発揮される方向の他端は、バッテリセル110の一側を支持するように構成されることができる。例えば、図5に図示されているように、バッテリパック100は、モジュールハウジング120の内部に複数の弾性部材131を備えることができる。複数の弾性部材131は、バッテリセル110を中心として左側および右側のそれぞれに備えられることができる。複数の弾性部材131のそれぞれは、バッテリセル110の充放電による膨張および収縮によって長さが収縮と膨張するように構成されることができる。例えば、弾性部材131は、バッテリセル110の膨張時に、バッテリセル110を加圧する加圧力が大きくなるように構成されることができる。逆に、弾性部材131は、バッテリセル110の収縮時に、バッテリセル110を加圧する加圧力が減少するように構成されることができる。
【0076】
図6は、本開示の他の一実施形態によるバッテリパック100の様子を概略的に示した垂直断面図である。
【0077】
図6を参照すると、本開示の他の一実施形態による図6のバッテリパック100は、図5のバッテリパック100と比較すると、緩衝パッド140をさらに含むことができる。緩衝パッド140は、例えば、シリコンパッドまたはスポンジであることができる。しかし、緩衝パッド140が必ずしもこのような形態に限定されず、バッテリセル110の充放電による膨張と収縮によって収縮と膨張することができる素材を備えたものであれば、適用可能である。
【0078】
緩衝パッド140は、二つ以上のバッテリセル110の間に介在されることができる。例えば、図6に図示されているように、15個のバッテリセル110の間に緩衝パッド140が介在されることができる。
【0079】
したがって、本開示のこのような構成によると、本開示のバッテリパック100は、二つ以上のバッテリセル110の間に介在されて、バッテリセル110の体積膨張を緩衝するように構成された緩衝パッド140をさらに含むことで、二つ以上のバッテリセル110それぞれの充放電時に発生する体積膨張を考慮して、二つ以上のバッテリセル110は互いに離隔した配置が必要であり、モジュールハウジング120内で二つ以上のバッテリセル110を所定の間隔で離隔配置することが容易になり、このように離隔した状態でバッテリパック100の使用中に二つ以上のバッテリセル110の配列が崩れることを防止し、緩衝パッド140がバッテリセル110の膨張力を分散させて、バッテリセル110の一部分に圧力が集中することを防止する役割を果たすことができる。
【0080】
図7は、本開示の一実施形態によるバッテリパック100の様子を概略的に示した概念図である。また、図8は、本開示のさらに他の一実施形態によるバッテリパック100の様子を概略的に示した垂直断面図である。
【0081】
また、図1および図5とともに図7および図8を参照すると、本開示の一実施形態によるバッテリパック100は、バッテリ管理システム(Battery Management System、BMS)150をさらに含むことができる。バッテリ管理システム150は、加圧部130のバッテリセル110を加圧する加圧力を増大さ減させるように制御することができる。例えば、バッテリ管理システム150は、バッテリセル110の状態を感知するように構成されたセンサ部151を備えることができる。ここで、センサ部151は、電圧センサ151v、電流センサ151a、および温度センサ151tのいずれか一つ以上を備えることができる。電圧センサ151vおよび電流センサ151aは、バッテリセル110と電気的に連結されることができる。温度センサ151tは、モジュールハウジング120の内部に位置することができる。例えば、電圧センサ151vおよび電流センサ151aは、バッテリ管理システム150に組み込まれることができる。例えば、バッテリ管理システム150は、電流センサ151a、電圧センサ151v、および温度センサ151tを用いて、バッテリセル110の温度、電圧、および電流を測定することができる。
【0082】
前記バッテリ管理システム150は、バッテリセル110に関する情報を取得するように構成されることができる。例えば、バッテリ管理システム150は、バッテリセル110のSoH(state of health)、充放電サイクル、および体積膨張係数のうち少なくともいずれか一つの状態情報を取得するように構成されることができる。しかし、バッテリセル110に関する情報は、これに制限されるものではない。ここで、「SoH」は、劣化状態を示すバッテリセル110の健康度であることができる。換言すると、SoHは、バッテリ容量維持率(capacity retention)と言える。ここで、「充放電サイクル」は、バッテリセル110を所定の容量まで充電し所定の容量まで放電したことを意味する。ここで、「体積膨張係数」は、バッテリセル110の充電状態と放電状態の体積変化率を意味する。
【0083】
例えば、バッテリ管理システム150は、測定されたバッテリセル110の温度、電圧、および電流により、SoC(State of Charge)を公知の技術を使用して算出することができる。一実施形態において、バッテリ管理システム150は、下記数式を使用して前記SoHを算出することができる。
【0084】
数式:実測容量=実測累積電流/SoC変化量
【0085】
数式を用いて実測容量を算出し、算出した実測容量を使用してSoH値を計算する過程を例にあげて説明すると、例えば、バッテリの初期容量は50Ahであり、充電する前に待機中のSoCは20%であり、充電終了後、待機中のSoCは70%であり、所定の周期の間に実測された累積電流は20Ahである場合、実測容量は、実測された累積電流をSoC変化量で除して算出することができる。すなわち、実測容量は、20Ah×100÷(70%-20%)=40Ahであり、実測SoHは、(40Ah÷50Ah)×100=80%に算出される。したがって、この場合、SoH値は、80%に算出される。
【0086】
また、バッテリ管理システム150は、取得されたバッテリセル110のSoHに基づいて、加圧部130の加圧力を増減させるように構成されることができる。例えば、バッテリ管理システム150は、取得されたSoHが小さいほど、加圧部130の加圧力を増大させることができる。逆に、バッテリ管理システム150は、取得されたSoHが大きいほど、加圧部130の加圧力を減少させることができる。
【0087】
しかし、バッテリ管理システム150が加圧部130の加圧力を変更するために考慮すべき要素をSoHに限定するものではない。例えば、バッテリ管理システム150は、バッテリセル110の充放電サイクルの回数、およびバッテリセル110の体積膨張係数のうち少なくともいずれか一つをさらに考慮することができる。
【0088】
例えば、負極活物質の全重量に対するシリコン酸化物の含量が5wt%である場合、バッテリ管理システム150は、充放電サイクル0~15回(SoHが高い状態)でバッテリセル110を加圧する加圧部130の加圧力を0kgf~250kgfに設定することができ、充放電サイクル70~110回では、加圧部130の加圧力を100kgf~400kgfに設定することができ、充放電サイクル170~200回では、加圧部130の加圧力を200kgf~500kgfに設定することができる。例えば、負極活物質の全重量に対するシリコン酸化物の含量が20wt%である場合、バッテリ管理システム150は、SoHまたは充放電サイクルの回数を考慮して、バッテリセル110を加圧する加圧部130の加圧力を0~1000kgfの範囲に設定することができる。
【0089】
したがって、本開示のバッテリパック100は、バッテリ管理システム150が、取得されたバッテリセル110のSoH、充放電サイクル、および体積膨張係数のうち少なくともいずれか一つの状態情報を考慮して、加圧部130の加圧力を増減させるように構成されることで、バッテリセル110のSoHによるバッテリセル110のスウェリング現象を効果的に制御することができる。すなわち、本開示のバッテリパック100は、バッテリセル110のSoHが減少するほど、バッテリセル110の体積膨張が増加する傾向を示すため、バッテリ管理システム150がバッテリセル110の体積膨張程度に合わせて加圧部130の加圧力を増大させることができ、バッテリセル110のスウェリング現象を効果的に抑制させることができる。これにより、本開示のバッテリパック100は、バッテリセル110の寿命を効果的に延長することができる。
【0090】
一方、図7および図8をまた参照すると、本開示のさらに他の一実施形態によるバッテリパック100の加圧部130は、図5のバッテリパック100と比較すると、シリンダ軸132aを有する電動シリンダ132をさらに含むことができる。ここで、弾性部材131は、シリンダ軸132aの端部に連結されることができる。また、弾性部材131は、例えば、バネであることができる。ここで、電動シリンダ132は、電動式モータ(図示せず)を備えることができる。
【0091】
シリンダ軸132aは、バッテリ管理システム150により、弾性部材131を加圧するようにバッテリセル110に向かって前進することができる。逆に、シリンダ軸132aは、バッテリ管理システム150により、弾性部材131に対する加圧を解除するようにバッテリセル110に向かう方向の反対方向に後進するように構成されることができる。すなわち、バッテリ管理システム150の制御により、シリンダ軸132aがバッテリセル110に向かって前進する場合、弾性部材131がバッテリセル110を加圧する加圧力が増大することができる。逆に、バッテリ管理システム150の制御により、シリンダ軸132aがバッテリセル110に向かう方向の反対方向(バッテリセルと離れる方向)に後進する場合、弾性部材131がバッテリセル110を加圧する加圧力が減少することができる。
【0092】
したがって、本開示のさらに他の一実施形態によるバッテリパック100は、バッテリ管理システム150により制御される電動シリンダ132と、電動シリンダ132のシリンダ軸132aの端部に連結された弾性部材131とを含むことで、バッテリ管理システム150により弾性部材131の加圧力を制御することができる。これにより、本開示のバッテリパック100は、バッテリセル110のスウェリング(膨張)程度や、バッテリセル110のSoHを考慮して、加圧部130の加圧力を適切に制御することができる。
【0093】
一方、図7および図8を参照すると、他の一実施形態として、センサ部151は、例えば、圧力センサ151pをさらに備えることができる。例えば、図8のように、バッテリ管理システム150は、モジュールハウジング120の内部に設置された圧力センサ151pによりバッテリセル110の膨張程度を感知することができる。例えば、図8のように、圧力センサ151pは、二つ以上のバッテリセル110の体積膨張時に、複数のバッテリセル110の積層方向の最外側に配置されたバッテリセル110と接触するように、モジュールハウジング120の内部に位置することができる。ここで、圧力センサ151pは、バッテリセル110の接触可否を知らせる信号をバッテリ管理システム150に有線通信または無線通信を介して送信することができる。
【0094】
一方、図8をまた参照すると、本開示のさらに他の一実施形態によるバッテリパック100は、図5のバッテリパック100と比較すると、フィルム状の圧力センサ151pをさらに含むことができる。図8のバッテリパック100は、温度センサ151t、圧力センサ151p、および電動シリンダ132以外のその他の残りの構成が、図5のバッテリパック100と同一であることができる。
【0095】
例えば、圧力センサ151pは、フィルムの形態を有することができる。このようなフィルム状の圧力センサ151pは、バッテリセル110と弾性部材131との間に介在されることができる。圧力センサ151pは、弾性部材131によりバッテリセル110に加えられる加圧力をセンシングするように構成されることができる。例えば、圧力センサ151pは、センサに加えられる圧力によって電気を発生させる圧力素子(Piezoelectric element)を備えることができる。圧力センサ151pは、バッテリ管理システム150に感知された圧力に対する電気信号を送信することができるように、バッテリ管理システム150と電線で連結されることができる。
【0096】
バッテリ管理システム150は、圧力センサ151pで測定された加圧力に応じて加圧部130の加圧力を増減させるように構成されることができる。例えば、バッテリ管理システム150は、圧力センサ151pで測定された圧力値に基づいて、加圧部130がバッテリセル110を加圧する適正な加圧力を調節することができる。例えば、バッテリ管理システム150は、電動シリンダ132がバッテリセル110を加圧する加圧力を圧力センサ151pにより測定し、測定した圧力がバッテリセル110のスウェリング現象を抑制できる所定の加圧力より低い場合、電動シリンダ132のシリンダ軸132aをバッテリセル110に向かって前進させることができる。逆に、バッテリ管理システム150は、測定された圧力がバッテリセル110のスウェリング現象を抑制できる所定の加圧力より大きい場合、電動シリンダ132のシリンダ軸132aをバッテリセル110から離れる方向に後進させることができる。
【0097】
したがって、本開示のこのような構成によると、本開示のバッテリパック100は、弾性部材131によってバッテリセル110に加えられる加圧力をセンシングするように構成された圧力センサ151pをさらに含むことで、バッテリ管理システム150の制御により、弾性部材131がバッテリセル110のスウェリング現象を効果的に抑制することができる適正範囲の加圧力を発揮することができる。これにより、本開示のバッテリパック100は、バッテリセル110のスウェリング現象による故障もしくは事故を予め防止し、バッテリパック100の使用寿命を効果的に増大させることができる。
【0098】
図9は、本開示のさらに他の一実施形態によるバッテリパック100の様子を概略的に示した垂直断面図である。
【0099】
図9を参照すると、本開示のさらに他の一実施形態によるバッテリパック100は、図8のバッテリパック100と比較すると、モジュールハウジング120内で移動可能に構成された移動外壁Wを含み、弾性部材131の位置が異なることで差があり得る。図9のバッテリパック100のその他の残りの構成は、図8のバッテリパック100と同一であることができる。
【0100】
移動外壁Wは、加圧部130の弾性部材131を支持するように構成されることができる。例えば、図9を参照すると、移動外壁Wは、加圧部130の弾性部材131の一側(右側)を支持するように構成されることができる。移動外壁Wは、バッテリセル110に向かう方向(バッテリセルが位置した方向)またはバッテリセル110に向かう方向の反対方向に移動可能に構成されることができる。例えば、図9に図示されているように、移動外壁Wは、モジュールハウジング120の一部側壁(右側壁)であることができる。移動外壁Wは、モジュールハウジング120のバッテリセル110を収容する内部空間で移動可能に構成されることができる。例えば、図9に図示されているように、移動外壁Wは、モジュールハウジング120の内部空間内でバッテリセル110に向かって移動可能に構成されることができる。移動外壁Wは、モジュールハウジング120の内部空間内でバッテリセル110から離れる方向に移動可能に構成されることができる。
【0101】
加圧部130は、移動外壁Wを移動させるように構成された電動シリンダ132Aをさらに含むことができる。電動シリンダ132Aのシリンダ軸132aは、移動外壁Wと連結されることができる。電動シリンダ132Aは、バッテリ管理システム150の制御によって、シリンダ軸132aを前進または後進させることができる。
【0102】
電動シリンダ132Aは、モジュールハウジング120の外部に位置することができる。例えば、電動シリンダ132Aは、モジュールハウジング120の左側または右側に位置することができる。例えば、図9のように、シリンダ軸132aと反対の電動シリンダ132Aの一側が壁に固定されることができる。ここで、電動シリンダ132Aのシリンダ軸132aは、モジュールハウジング120の移動外壁Wと連結されることができる。
【0103】
電動シリンダ132Aのシリンダ軸132aは、移動外壁Wを加圧して移動外壁Wがバッテリセル110に向かって移動するように構成されることができる。または、電動シリンダ132Aのシリンダ軸132aは、移動外壁Wがバッテリセル110に向かう方向の反対方向に移動するように後進するように構成されることができる。
【0104】
加圧部130は、バッテリセル110と移動外壁Wとの間に介在された弾性部材131をさらに含むことができる。弾性部材131は、移動外壁Wによって加圧されることができる。例えば、バッテリ管理システム150の制御によって電動シリンダ132Aのシリンダ軸132aがバッテリセル110に向かって前進する場合、移動外壁Wがバッテリセル110に向かって移動するようになり、弾性部材131は、移動外壁Wの移動によって圧縮されることができる。これにより、弾性部材131のバッテリセル110を加圧する加圧力が増大することができる。
【0105】
逆に、バッテリ管理システム150の制御によって電動シリンダ132Aのシリンダ軸132aがバッテリセル110から離れる方向に後進する場合、移動外壁Wがバッテリセル110から離れる方向に移動するようになり、弾性部材131は、移動外壁Wによる圧縮量が減少することができる。これにより、弾性部材131のバッテリセル110を加圧する加圧力が減少することができる。
【0106】
したがって、本開示のこのような構成によると、本開示のバッテリパック100は、加圧部130の電動シリンダ132Aがモジュールハウジング120外部に位置することで、図8のバッテリパック100のように、モジュールハウジング120の内部に電動シリンダ132が位置した場合と比較すると、バッテリパック100のバッテリセル110を収容する内部空間をより多く確保することができる。これにより、本開示のバッテリパック100は、エネルギー密度を効果的に高めることができる。
【0107】
図10は、本開示の一実施形態による自動車300の様子を概略的に示した模式図である。
【0108】
図10を参照すると、本開示の一実施形態による自動車300は、バッテリパック100を少なくとも一つ含む。本開示の自動車300は、バッテリパック100を上部に搭載するように構成された車体を備えることができる。自動車300は、例えば、ハイブリッド自動車または電気自動車であることができる。図10は、自動車300を例にあげているが、このようなバッテリパック100を使用するすべての装置は、本開示の実施例に含まれることを理解することができる。
【0109】
一方、図1図5をまた参照すると、本開示の一実施形態によるバッテリパックの製造方法は、バッテリパック100を製造する方法であり、正極114、セパレータ115、および少なくとも一部の前記シリコン酸化物を有する前記負極活物質を含む負極116を備える少なくとも一つ以上のバッテリセル110を準備するステップを含む。
【0110】
本開示のバッテリパックの製造方法は、モジュールハウジング120内部に形成された内部空間に少なくとも一つ以上のバッテリセル110を収納するステップを含む。
【0111】
また、本開示のバッテリパックの製造方法は、バッテリセル110の充放電時に、バッテリセル110の体積変化を妨げるためにバッテリセル110を弾力的に加圧するように構成され、前記負極活物質の全重量に対する前記シリコン酸化物の含量を考慮してバッテリセル110を加圧する加圧力が設定された加圧部130を設置するステップを含む。
【0112】
したがって、本開示のこのような構成によると、本開示のバッテリパックの製造方法は、製造されたバッテリパック100が負極116の前記負極活物質の全重量に対する前記シリコン酸化物の含量に応じてバッテリセル110を加圧する加圧力が設定された加圧部130を含むことで、バッテリセル110の充放電時に発生するスウェリング特性に合わせて体積膨張を抑制することができ、シリコン酸化物の含量を考慮していないバッテリパックに比べて、より効果的にバッテリパック100の寿命と安定性を高めることができる。
【0113】
以下、試験例により、負極活物質中のシリコン酸化物の含量によるバッテリセルの厚さと膨張力の変化様相について説明する。
【0114】
[実施例1:バッテリセルの製造](SiOの含量が負極活物質の全重量の5wt%)
正極活物質(NCMA(Li[Ni、Co、Mn、Al]O))、導電材(カーボンブラック)、およびバインダー(ポリビニリデンフルオライド:PVDF)を溶剤であるN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に添加して正極活物質スラリーを製造した。前記正極活物質スラリーを厚さが15μmである正極集電体(アルミニウム薄膜)に塗布および乾燥した後、ロールプレス(roll press)を実施して正極を製造した。
【0115】
グラファイト(graphite)、含量が負極活物質の全重量の5wt%である非晶質のSiO(0<x≦2)、導電材(カーボンブラック)、およびバインダー(ポリビニリデンフルオライド、PVDF)を溶剤であるNMPに添加した後、混合して負極活物質スラリーを製造した。前記負極活物質スラリーを厚さが10μmである負極集電体(銅薄膜)に塗布および乾燥した後、ロールプレスを実施して負極を製造した。
【0116】
前記正極、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン(PP/PE/PP)が3層からなるセパレータ、および負極を積層して電極組立体を製造した。準備した電極組立体をパウチに収納し、パウチの収容空間に電極組立体に含浸されるように電解質を注液した後、パウチを密封して、バッテリセルを製造した。ここで、電解液は、エチレンカーボネート/ジメチルカーボネート/エチルメチルカーボネート(EC/EMC/DECの混合体積比3/4/3)からなる有機溶媒に濃度1.15Mのリチウムヘキサフルオロホスフェート(LiPF)を溶解させて製造した。
【0117】
[実施例2:バッテリセルの製造](SiOの含量が負極活物質の全重量の10wt%)
正極活物質(NCMA(Li[Ni、Co、Mn、Al]O)、導電材(カーボンブラック)、およびバインダー(ポリビニリデンフルオライド:PVDF)を溶剤であるN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に添加して正極活物質スラリーを製造した。前記正極活物質スラリーを厚さが15μmである正極集電体(アルミニウム薄膜)に塗布および乾燥した後、ロールプレス(roll press)を実施して正極を製造した。
【0118】
グラファイト(graphite)、含量が負極活物質の全重量の10wt%である非晶質のSiO(0<x≦2)、導電材(カーボンブラック)、およびバインダー(ポリビニリデンフルオライド、PVDF)を溶剤であるNMPに添加した後、混合して負極活物質スラリーを製造した。前記負極活物質スラリーを厚さが10μmである負極集電体(銅薄膜)に塗布および乾燥した後、ロールプレスを実施して負極を製造した。
【0119】
製造された正極、厚さ14μmの多孔性ポリエチレンからなるセパレータ、および製造された負極を積層して電極組立体を製造した。準備した電極組立体をパウチに収納し、パウチの収容空間に電極組立体に含浸されるように電解質を注液した後、パウチを密封して、バッテリセルを製造した。ここで、電解液は、エチレンカーボネート/ジメチルカーボネート/エチルメチルカーボネート(EC/EMC/DECの混合体積比3/4/3)からなる有機溶媒に濃度1.15Mのリチウムヘキサフルオロホスフェート(LiPF)を溶解させて製造した。
【0120】
[試験例]
実施例1および実施例2それぞれのリチウム二次電池を固定治具を使用して、4Nmのトルクで固定し、温度45℃の雰囲気で、2.8V~4.2Vの駆動電圧の範囲内で、充電電流(0.33C)および放電電流(0.33C)で、充放電サイクル(cycle)を200回実施した。充放電中に二次電池のスウェリング現象による膨張力を測定するために、圧力測定ユニットとしてロードセルを設置した。
【0121】
また、リチウム二次電池の200回の充放電サイクルの間に、初期容量に対する放電容量の割合であるサイクル容量維持率(SoHに相当する)、スウェリング現象によるバッテリセルの厚さの変化量、および膨張力を測定し、その測定結果を図11図14に示した。
【0122】
試験結果、実施例1の200回目で、充放電サイクルの厚さ変位は0.31mmから0.15mmに変化し、容量維持率は91.2%であり、膨張力の範囲は498kgfから233kgfに変化した。実施例2の200回目で、充放電サイクルの厚さ変位は0.36mmから0.15mmに変化し、容量維持率は、91.3%であり、膨張力の範囲は530kgfから210kgfに変化した。
【0123】
シリコン酸化物の含量が5wt%である実施例1と比較すると、シリコン酸化物の含量が10wt%である実施例2は、200回次サイクルの充電状態を基準に、バッテリセルの厚さの変化が約16%より大きく、膨張力は約6.42%より大きいことを知ることができる。すなわち、試験結果から、負極活物質中のシリコン酸化物の含量が増加する場合、充電時に、バッテリセルの厚さの変化と膨張力がより大きいことを確認した。
【0124】
また、本開示のバッテリパックは、試験例の結果のように、負極活物質のシリコン酸化物の含量によるバッテリセルの膨張力の変化様相を考慮して、前記膨張力と対応する加圧部の加圧力を設定することができる。
【0125】
以上、実施形態が限定された図面によって説明されているものの、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、上記に基づいて様々な技術的修正および変形を適用することができる。例えば、上述の技術が上述の方法とは異なる順序で行われるか、および/または上述のシステム、構造、装置、回路などの構成要素が上述の方法とは異なる形態で結合または組み合わされるか、他の構成要素または均等物によって対置または置換されても、適切な結果が達成されることができる。
【0126】
したがって、他の実現、他の実施形態および特許請求の範囲と均等なものなども後述する請求範囲の範囲に属する。
【符号の説明】
【0127】
100 バッテリパック
110 バッテリセル
111 セルケース
112 電極組立体
113、113a、113b 電極タブ、正極タブ、負極タブ
114、115、116 正極、セパレータ、負極
117 電極リード
118 絶縁フィルム
120 モジュールハウジング
130 加圧部
131 弾性部材
132 電動シリンダ
132a シリンダ軸
140 緩衝パッド
150 バッテリ管理システム
151 センサ部
151p、151t、151a、151v 圧力センサ、温度センサ、電流センサ、電圧センサ
W 移動外壁
300 自動車
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14