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特許7759199内燃機関の排気システムのための排ガス処理デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-10-15
(45)【発行日】2025-10-23
(54)【発明の名称】内燃機関の排気システムのための排ガス処理デバイス
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/24 20060101AFI20251016BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20251016BHJP
【FI】
F01N3/24 N
F01N3/08 B
F01N3/24 P
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021105703
(22)【出願日】2021-06-25
(65)【公開番号】P2022008262
(43)【公開日】2022-01-13
【審査請求日】2024-06-05
(31)【優先権主張番号】102020000015346
(32)【優先日】2020-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】519372043
【氏名又は名称】マレリ・ヨーロッパ・エッセ・ピ・ア
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ドメニコ・スパタフォーラ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエレ・エットレ
【審査官】櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-231803(JP,A)
【文献】特開2019-127879(JP,A)
【文献】特開2018-115586(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0199645(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/24
F01N 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気システムのための排ガス処理デバイス(1)であって、前記処理デバイス(1)は、
管状ダクト(2)であって、管状側壁(4)によって区切られており、排ガス入口開口部(5)と、前記入口開口部(5)の反対側にある排ガス出口開口部(6)と、前記入口開口部(5)と前記出口開口部(6)との間で前記管状側壁(4)を通して得られ、還元物質の噴射装置を受け入れるように設計されている、噴射開口部(7)とを有する管状ダクト(2)と、
混合本体部(9)であって、前記管状ダクト(2)の内側に配置構成され、前記入口開口部(5)から前記出口開口部(6)に流れるように前記排ガスが辿るべき強制経路を形成する、混合本体部(9)とを備え、
前記混合本体部(9)は、前記管状ダクト(2)の前記出口開口部(6)に面し、前記管状ダクト(2)の断面と部分的に係合し通路領域を残す、部分的に円形の形状を有する第1の基部壁(10)を備え、
前記混合本体部(9)は、前記管状ダクト(2)の前記入口開口部(5)に面し、前記管状ダクト(2)の前記断面と完全に係合し、中心のところで、前記管状ダクト(2)と同軸であり、前記排ガスの通過を可能にするための貫通孔である、主孔(12)を有する、円形の形状を有する第2の基部壁(11)を備え、
前記混合本体部(9)は、前記第1の基部壁(10)から前記第2の基部壁(11)の方へ延在する、第1のデフレクタ壁(13)を備え、
前記処理デバイス(1)は、
前記第1のデフレクタ壁(13)が、前記第1の基部壁(10)および前記第2の基部壁(11)と鋭角をなし、
前記第1の基部壁(10)は、前記管状ダクト(2)の前記断面と部分的に係合し、半月状の形状を有する、障害物を含まない、1つの通路領域のみを残し、
前記第2の基部壁(11)は、中央のところに、単一の、ただ1つの主孔(12)を有することを特徴とする排ガス処理デバイス(1)。
【請求項2】
前記第1のデフレクタ壁(13)は、前記第2の基部壁(11)まで延在する中央バンド(14)と、前記中央バンド(14)の両側に配置構成され、前記第2の基部壁(11)の前で終わる2つの側部バンド(15)とを有する請求項1に記載の処理デバイス(1)。
【請求項3】
前記第1のデフレクタ壁(13)は、交差伸長部を有し、すなわち、前記管状ダクト(2)の長手方向軸(3)に垂直であり、これは、前記管状ダクト(2)の対応する交差伸長部よりも小さい請求項1または2に記載の処理デバイス(1)。
【請求項4】
前記第1のデフレクタ壁(13)は、平坦な形状を有し、2つの対向する縁において、垂直に配置構成されているウィング(18)を設けられる請求項1、2、または3に記載の処理デバイス(1)。
【請求項5】
前記混合本体部(9)は、少なくとも1つの第2のデフレクタ壁(19)を備え、これは、前記第1の基部壁(10)を前記第2の基部壁(11)に接続し、前記第1のデフレクタ壁(13)に関して交差方向に配向され、前記第1のデフレクタ壁(13)からゼロ以外の距離のところで前記第1のデフレクタ壁(13)の傍らに配置構成され、前記主孔(12)の隣りで前記第2の基部壁(11)に接続される請求項1から4のいずれか一項に記載の処理デバイス(1)。
【請求項6】
前記第2のデフレクタ壁(19)は、前記管状ダクト(2)と同軸である円筒形の形状を有する請求項5に記載の処理デバイス(1)。
【請求項7】
前記第2のデフレクタ壁(19)は、前記管状ダクト(2)の中間平面の領域内で終わる請求項5または6に記載の処理デバイス(1)。
【請求項8】
前記混合本体部(9)は、前記管状ダクト(2)の長手方向軸(3)の周りに対称的に配置構成され、互いからゼロ以外の距離のところにある、2つの第2のデフレクタ壁(19)を備える請求項5、6、または7に記載の処理デバイス(1)。
【請求項9】
前記噴射開口部(7)は、前記第1のデフレクタ壁(13)に関して最も遠い地点に、また前記2つの第2のデフレクタ壁(19)に関して中心にあるように前記第1のデフレクタ壁(13)の反対側に配置構成される請求項8に記載の処理デバイス(1)。
【請求項10】
前記第2の基部壁(11)は、前記排ガスの前記通過を可能にする貫通孔であり、前記主孔(12)よりも小さい直径を有し、前記主孔(12)の周りに配置されている複数の副孔(22)を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の処理デバイス(1)。
【請求項11】
前記副孔(22)は、前記主孔(12)と同軸である、周に沿って分布し、前記主孔(12)を取り囲んでいる請求項10に記載の処理デバイス(1)。
【請求項12】
前記副孔(22)は、互いの内側に配置構成されている2つの周に沿って分布し、前記主孔(12)と同軸であり、前記主孔(12)を取り囲んでいる請求項10または11に記載の処理デバイス(1)。
【請求項13】
前記副孔(22)は、前記管状側壁(4)の近くに、前記主孔(12)から遠くなるように前記管状側壁(4)の近くに配置構成される請求項10、11、または12に記載の処理デバイス(1)。
【請求項14】
前記噴射開口部(7)は、前記第1のデフレクタ壁(13)に関して最も遠い地点にあるように前記第1のデフレクタ壁(13)の反対側に配置構成される請求項1から13のいずれか一項に記載の処理デバイス(1)。
【請求項15】
前記第2の基部壁(11)は、前記第2の基部壁(11)の残りの部分に関して前記第1の基部壁(10)の方へ軸方向にオフセットされている、陥凹セクタ(23)を有する請求項1から14のいずれか一項に記載の処理デバイス(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、開示全体が参照により本明細書に組み込まれている2020年6月25日に出願したイタリア特許出願第102020000015346号の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、内燃機関の排気システムのための排ガス処理デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
自動車によって生成される汚染ガスの排出の制御に関係する国際規制では、大気中に放出され得るNO分子に対して非常に低い限界値を規定している。
【0004】
そのような限界値の順守は、特にディーゼルモータにとってとりわけ重要であり、このような理由から、ディーゼルエンジンの排気システムに、NO分子(NOまたはNO)を不活性ガスである窒素(N)と水(HO)とに変換するように設計されているNO用のさらなるSCR(選択触媒還元)触媒コンバータを装備することが提案されている。NO分子の窒素(N)への還元反応は、アンモニア(NH)において一般的に識別されている好適な還元剤を使用しなければ達成することが困難である。還元剤は、SCR触媒コンバータ内に入る前に排ガスと混合するように排気システム内とSCR触媒コンバータの上流とに噴射されなければならない。
【0005】
しかしながら、自動車内にアンモニアを貯蔵することは、アンモニアが有毒であるという事実に関係する明らかな安全上の理由から得策ではない。結果として、尿素水溶液を貯蔵して噴射することが提案されているが、それは、尿素が排ガスの熱の効果によって、また一部は触媒効果によっても、アンモニアに分解されるからである。
【0006】
SCR触媒コンバータの効率を最大化するためには、SCR触媒コンバータのモノリスの表面上のアンモニア濃度が可能な限り均一であることが必要である。さらに、尿素水溶液を排気システム内に噴射することに関係する問題点は、排気システムの内壁に、尿素と、尿素の分解の可能な誘導体である、イソシアン酸(HNCO)の両方からなる、取り除くことが困難な固体インクラステーションが形成され得るという事実に関係している。
【0007】
SCR触媒コンバータのモノリスの表面上のアンモニア濃度の均一性を最大化するために(また、排気システムの内壁に固体インクラステーションが形成されるのを防止するために)、排気システム内に、および尿素の噴射領域の近くにミキサーを挿入することが提案されており、前記ミキサーは排ガス内に乱流を形成することによって、排ガス中のアンモニアの均一な分散に有利に働く。国際出願第WO2018001789A1号では、静的ミキサー(すなわち、可動部分を含まない)のところに還元添加剤噴射装置を備えた排ガス処理デバイスを説明している。
【0008】
しかしながら、前段で説明されているタイプの知られているミキサーには、有効性(すなわち、排ガスの好適な混合を確実にすること)と効率(すなわち、排ガスの圧力低下を制限すること)の反対の要件の間の最適なバランスを有していないという欠点がある。言い換えると、前段で説明されているタイプの知られているミキサーは、有効性が低い(すなわち、排ガスの好適な混合を確実にしない)か、または効率が低い(すなわち、排ガス中に大きな圧力低下を引き起こす)かのいずれかである。
【0009】
中国特許出願第CN109538337A号では、内燃機関の排気システムのための排ガス処理デバイスを説明しており、特に、排ガスと、指定された噴射装置によって噴射された尿素との混合をもたらす混合デバイスが提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】国際出願第WO2018001789A1号
【文献】中国特許出願第CN109538337A号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、内燃機関の排気システムのための排ガス処理デバイスを提供することであり、この処理デバイスには、前段で説明されている欠点がなく、特に、製造が容易で費用対効果も高い。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明により、内燃機関の排気システムのための排ガス処理デバイスは、付属の請求項に記載されているとおりに提供される。
【0013】
請求項では、本発明の好ましい実施形態を説明しており、本発明の説明の不可欠の部分を構成する。
【0014】
次に、本発明は、非限定的な例示的実施形態を示す、添付図面を参照しつつ説明される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明により製造される排ガス処理デバイスの斜視図である。
図2図1の処理デバイスのさらなる斜視図である。
図3図1の処理デバイスの混合本体部の斜視図である。
図4図1の処理デバイスの混合本体部の斜視図である。
図5】基部壁をなくした図3および図4の混合本体部の斜視図である。
図6】基部壁をなくした図3および図4の混合本体部の斜視図である。
図7図1の処理デバイスの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1および図2において、参照番号1は、全体として、好ましくはディーゼルサイクルに従って動作する(すなわち、ディーゼルまたは同様のものを動力源とする)内燃機関の排気システムのための排ガス処理デバイスを示している。
【0017】
排ガス処理デバイス1は、長手方向軸3を有し、円筒形の形状(すなわち、一定の直径の円形断面)を有する管状ダクト2を備える。管状ダクト2は、シートメタルから作られた管状側壁4によって区切られ、管状ダクト2の第1の基部に配置構成されている排ガス入口開口部5(図1に例示されている)と、入口開口部5に対向し、管状ダクト2の第2の基部(明らかに管状ダクト2の第1の基部に対向する)に配置構成されている排ガス出口開口部6(図2に例示されている)とを有しており、その結果、使用時に、排ガスは、入口開口部5を通して管状ダクト2内に入り、管状ダクト2を横断し、出口開口部6を通して管状ダクト2から出る。
【0018】
管状ダクト2は、さらに、入口開口部5と出口開口部6との間で管状側壁4を通して得られ、還元物質に対する噴射装置を受け入れ、収納するように設計されている、噴射開口部7を有しており、特に、管状側壁4から片持ち梁を突き出し、噴射装置を受け入れ、収納するように構成されている管状ハウジング8は、噴射開口部7の周りに配置構成される。
【0019】
噴射装置は、還元添加剤、特に尿素水溶液(すなわち、尿素と水の溶液)を管状ダクト2内に噴射するように設計されており、使用時に、管状ダクト2の内側に存在する排ガスの熱の効果により、尿素はイソシアン酸(HNCO)とアンモニア(NH)に自然に分解し、アンモニアはその後のSCR触媒コンバータの内側で還元物質として作用し、NO分子が窒素(N)と水(HO)とに分解する分解反応を円滑にする。
【0020】
図3および図4にわかりやすく例示されているように、処理デバイス1は、管状ダクト2の内側に配置構成され、入口開口部5から出口開口部6に流れる排ガスが辿る強制経路を形成する混合本体部9(静的、すなわち可動部分を含まない)を備える。特に、混合本体部9は、管状ダクト2の内側に存在する排ガス中に乱流を発生させて、その後のSCR触媒コンバータの効率を高め、排ガス中のアンモニアの分散をより均質にする機能を有する。
【0021】
混合本体部9は、管状ダクト2(すなわち、管状ダクト2の長手方向軸3)と同軸であり、部分的に円形の形状を有し、管状ダクト2の出口開口部6に面し、管状ダクト2の断面と部分的に係合して半月状の形状を有し障害物を含まない単一の通路領域のみを残す基部壁10を備える。言い換えると、基部壁10は、管状ダクト2の断面と同じサイズの円形ディスクから始まり(前記管状ダクト2を完全に遮るように)、半月の形状のセグメントをなくして(明らかに半月のような形状の)通路領域を形成することによって得られる。部分的に円形であり、孔のない、基部壁10は、管状ダクト2の断面に部分的にしか係合せず(塞いでいる)、したがって排ガスは基部壁10を越えて前記基部壁10の隣りを通過し続け得る。
【0022】
混合本体部9は、管状ダクト2(すなわち、管状ダクト2の長手方向軸3)と同軸であり、(完全に)円形の形状を有し、基部壁10と平行であり、対向し、管状ダクト2の入口開口部5に面し、管状ダクト2の断面と完全に係合し、中心のところで、管状ダクト2(すなわち、長手方向軸3)と同軸であり、排ガスの通過を可能にするための貫通孔である主孔12を有する、基部壁11を備える。基部壁11は、管状ダクト2の断面と完全に係合する(塞ぐ)(すなわち、排ガスは、前記基部壁11の主孔12を通って基部壁11を越え続けることのみできる)。特に、基部壁11は、中心のところで、単一の、ただ1つの主孔12を有しており、これは、排ガスが基部壁11を越え続けなければならない唯一の経路である。
【0023】
図3図7に例示されているように、混合本体部9は、平坦な形状を有するデフレクタ壁(deflector wall)13を備え、これは、基部壁10から基部壁11の方へ延在し、基部壁10さらには基部壁11と鋭角α(図7に例示されている)をなし、出口開口部6に到達した(すなわち、基部壁10の通路領域を通過した)排ガスに、前記デフレクタ壁13を通り越すのに必要な横方向および/または円周方向の運動成分を強制的にとらせるように構成されている。デフレクタ壁13は傾斜しており、したがって、管状ダクト2の側壁4とともに、排ガスの流れに有用な面積を有する通路チャネルを形成し、この面積は、出口開口部6に近づくにつれて、すなわち基部壁10の通路領域に近づくにつれて徐々に増大する。明らかに、デフレクタ壁13は、一方の側で基部壁10と鋭角αをなすが、デフレクタ壁13は、他方の側で基部壁10と鈍角(鋭角αの補角)をなす。
【0024】
好ましい実施形態により、デフレクタ壁13は、交差伸長部(cross extension)を有し、すなわち、管状ダクト2の長手方向軸3に垂直であり、これは、管状ダクト2の対応する交差伸長部よりも小さく、すなわち、デフレクタ壁13は管状ダクト2よりも狭く、デフレクタ壁13の側縁と側壁4との間に配置構成されている管状ダクト2の2つの領域を残す(すなわち、デフレクタ壁13によって係合されていない)。
【0025】
デフレクタ壁13は、基部壁11まで延在する中央バンド14と、中央バンド14の両側に配置構成され、基部壁11の手前で終わる、すなわち基部壁11からゼロ以外の距離のところに配置構成される2つの側部バンド15とを有する。好ましくは、各側部バンド15は、基部壁11に面する外縁で終わり、平面内で半円形の形状を有する(図7にわかりやすく例示されているように)。
【0026】
デフレクタ壁13は、一端において、デフレクタ壁13の残りの部分に対して横方向に配置構成され、デフレクタ壁13を基部壁10に接続(固定)するように基部壁10に当たって静止するフランジ16を有する。同様に、デフレクタ壁13は、反対端において、デフレクタ壁13の残りの部分に対して横方向に配置構成され、デフレクタ壁13を基部壁11に接続(固定)するように基部壁11に当たって静止する別のフランジ17を有し、明らかに、フランジ16は、デフレクタ壁13全体にわたって延在しているが、フランジ17は、デフレクタ壁13の中央バンド14の領域内にのみ延在している。
【0027】
添付の図に例示されている好ましいが、非限定的である、実施形態により、デフレクタ壁13は、平坦な形状を有し、2つの対向する縁のところで、横方向に配置構成され、最も近い側壁4(すなわち、注入開口部7に対向する側)の方へ向けられたウィング18を設けられている。
【0028】
図5および図6にわかりやすく例示されているように、混合本体部9は、管状ダクト2の長手方向軸3の周りに対称的に配置構成され、互いからゼロ以外の距離のところにあり(すなわち、2つのデフレクタ壁19は互いに接触せず、互いに向き合っている)2つのデフレクタ壁19を備える、すなわち、2つのデフレクタ壁19は、管状ダクト2の長手方向軸3に関して鏡面対称性を有している。
【0029】
各デフレクタ壁19は、基部壁10を基部壁11に接続し、デフレクタ壁13に関して交差するように配向され、デフレクタ壁13の横に、前記デフレクタ壁13からゼロ以外の距離のところで配置構成され、主孔12の隣りの(すなわち、主孔12の縁に近接する)基部壁11に接続されている。
【0030】
各デフレクタ壁19は、管状ダクト2と同軸である円筒形の形状を有しており、示されているように、各デフレクタ壁19は、約15°~25°の角度広がりを有している。
【0031】
添付の図に例示されている好ましいが、非限定的である、実施形態により、各デフレクタ壁19は、管状ダクト2の中間平面(すなわち、管状ダクト2を2つの対称的な部分に2分割し、管状ダクト2の長手方向軸3を通過する平面)の領域内で終わる、すなわち、全体的にデフレクタ壁13および19は、管状ダクト2の内容積の半分と係合する。
【0032】
デフレクタ壁19は、一端において、デフレクタ壁19の残りの部分に対して垂直方向に配置構成され、デフレクタ壁19を基部壁10に接続(固定)するように基部壁10に当たって静止するフランジ20を有する。同様に、各デフレクタ壁19は、反対端において、デフレクタ壁19の残りの部分に対して垂直方向に配置構成され、デフレクタ壁19を基部壁11に接続(固定)するように基部壁11に当たって静止する別のフランジ21を有する。添付図に例示されている実施形態によれば、各デフレクタ壁19のフランジ20は、デフレクタ壁19の残りの部分よりも狭い。
【0033】
噴射開口部7は、デフレクタ壁13に関して最も遠い地点に、また2つのデフレクタ壁19に関して中心に、配置されるようにデフレクタ壁13の反対側に配置構成されており、この方式で、噴射装置によって噴霧される還元剤のジェットは、デフレクタ壁13に当たるように向けられ、2つのデフレクタ壁19を通過する。
【0034】
図3および図4に例示されている好ましい実施形態により、基部壁11は、複数の副孔22を有しており、これらは、排ガスの通過を可能にする貫通孔(主孔12の代わりとなる)であり、主孔12よりも(かなり)小さい直径を有し、主孔12の周囲に配置構成される。特に、副孔22は、一方が他方の内側に入るように配置構成されている、2つの円周に沿って分布し、主孔12と同軸であり、前記主孔12を取り囲んでおり、さらに、副孔22は、管状側壁4に(かなり)近く、主孔12から(かなり)遠くなるように管状側壁4の近くに配置構成される。
【0035】
基部壁11は、並んで配置されている複数の小さな副貫通孔22を多数有し、特に、数十個の副貫通孔22が設けられている(約180~240個の副貫通孔22)。各副貫通孔22は、1~3mmの間の大きさを含む直径を有しており、したがって、各副貫通孔22の直径は、主孔12の直径および管状ダクト2の直径よりかなり小さく、たとえば、各副貫通孔22の直径は、主孔12の直径の0.5~3%に等しい。
【0036】
副貫通孔22は、管状ダクト2の入口開口部5から到来する排ガスのうち、適度な割合のものだけが混合本体部9の基部壁11を通過することを可能にするが、管状ダクト2の入口開口部5から到来する排ガスの主要な部分は、主孔12(副貫通孔22よりもはるかに大きいので、通過するときにかなり低い圧力低下を引き起こす)に強制的に通過させられることが重要である。言い換えると、副孔22は、排ガスが混合本体部9の基部壁11を通過するための主孔12の代替的手段となっており、したがって、排ガスのわずかな部分は、主孔12を通して基部壁11を通過する代わりに、主孔12のバイパスを構成する副孔22を通して基部壁11を通過する。
【0037】
例示されていない異なる実施形態により、混合本体部9の基部壁11には、副貫通孔22が存在しない。
【0038】
図4に例示されている好ましいが、非限定的である、実施形態により、基部壁11は、基部壁11の残りの部分に関して基部壁10の方へ軸方向にオフセットされている陥凹セクタ23を有している、すなわち、陥凹セクタ23は、基部壁11の残りの部分と同一平面上になく、基部壁11の残りの部分に比べて、基部壁10に軸方向に関して近い。陥凹円形セクタ23は、示されているように、15°~30°の角度広がりを有する。
【0039】
添付図に示されている好ましいが、非限定的である、実施形態により、混合本体部9の基部壁10は、基部壁10に垂直であり、長手方向軸線3の周りに展開し、管状ダクト2の管状側壁4の内面に当たって固定(溶接)されている環状縁24を有している。
【0040】
同様に、混合本体部9の基部壁11も縁25を有し、これは、基部壁11に垂直であり、長手方向軸3の周りに360°未満で展開し(陥凹セクタ23で中断するので)、管状側壁4の内面に当たって固定(溶接)されている。
【0041】
排ガスは、主孔12および副孔22を介して、完全に軸方向の運動で(すなわち、横方向/円周方向成分なしで)混合本体部9の基部壁11を通過し、その後、混合本体部9の基部壁10およびデフレクタ壁13が存在していることで、排ガスは2つの流れに分割され、基部壁10の隣りに配置されている通路領域に到達できるように円形の運動でデフレクタ壁13(さらにはデフレクタ壁19)を横方向に通過する(これは基部壁10を通過し、したがって、出口開口部6に到達する唯一の可能性を示す)。基部壁10およびデフレクタ壁13(および一部はデフレクタ壁19の存在によっても)の存在によって課される運動の向きの変化は、排ガスに、噴射開口部7を通して配置構成されている噴射装置によって噴霧される還元剤の混合に有利に働く支配的な軸方向の運動成分に加えて(著しい)円周方向運動成分を与える、すなわち、乱流運動(混合本体部9の特定の形状によって誘発される半径方向および接線方向の運動成分による)は、噴射開口部7から噴射される還元添加剤と排ガスとの最適な混合に有利に働く。
【0042】
例示されていない異なる実施形態により、管状ダクト2には、混合本体部9の上流(すなわち、排ガスが最初に通過する)に配置構成されている酸化触媒コンバータ、および/またはNO分子(NOおよびNO)の後処理のための、混合本体部9の下流(すなわち、排ガスが最後に通過する)に配置構成されているSCR(選択触媒還元)触媒コンバータを収納することも可能であり、SCR触媒コンバータは、また、粒子フィルタを組み込むことも可能である。
【0043】
本明細書で説明されている実施形態は、本発明の保護範囲から逸脱することなく互いに組み合わされ得る。
【0044】
前段で説明されている処理デバイス1は、多数の利点を有している。
【0045】
第1に、前段で説明されている処理デバイス1は、有効性(すなわち、排ガスの好適な混合を確実にすること)と効率(すなわち、排ガス中の圧力低下を制限すること)の相反する要件の間の最適なバランスを有している。言い換えると、前段で説明されている処理デバイス1は、高い有効性(すなわち、排ガスの適切な混合を確実にする)と高い効率(すなわち、排ガス中に適度な圧力低下を生じさせる)とを同時に有する。
【0046】
それに加えて、前段で説明されている処理デバイス1は、備える部品が少ししかないので、特に堅牢である(したがって、耐用年数が長く、破損のリスクも非常に低い)。
【0047】
前段で説明されている処理デバイス1は、(特に軸方向の)嵩が特に低減されており、全体の重量も適度なものとなっている。
【0048】
最後に、前段で説明されている処理デバイス1は、形状が複雑でなく、標準的なリング溶接を用いて接合しやすい少数の部品で構成されているので、製造が容易であり、安価である。
【符号の説明】
【0049】
1 処理デバイス
2 管状ダクト
3 長手方向軸
4 管状側壁
5 入口開口部
6 出口開口部
7 噴射開口部
8 管状ハウジング
9 混合本体部
10 基部壁
11 基部壁
12 主孔
13 デフレクタ壁
14 中央バンド
15 側部バンド
16 フランジ
17 フランジ
18 ウィング
19 デフレクタ壁
20 フランジ
21 フランジ
22 副孔
23 陥凹セクタ
24 環状縁
25 環状縁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7