(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-10-16
(45)【発行日】2025-10-24
(54)【発明の名称】マルチ・レベル強誘電体電界効果トランジスタ装置
(51)【国際特許分類】
H10B 51/30 20230101AFI20251017BHJP
G11C 11/22 20060101ALI20251017BHJP
G11C 11/56 20060101ALI20251017BHJP
【FI】
H10B51/30
G11C11/22 120
G11C11/56 300
(21)【出願番号】P 2023535300
(86)(22)【出願日】2021-11-19
(86)【国際出願番号】 CN2021131810
(87)【国際公開番号】W WO2022121662
(87)【国際公開日】2022-06-16
【審査請求日】2024-05-16
(32)【優先日】2020-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】ゴン、ナンボ
(72)【発明者】
【氏名】安藤 崇志
(72)【発明者】
【氏名】コーエン、ガイ エム.
【審査官】加藤 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-085817(JP,A)
【文献】特開2006-108648(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0338350(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0162250(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10B 51/30
G11C 11/22
G11C 11/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
不揮発性メモリ・セルのアレイを備える不揮発性メモリであって、少なくとも1つの不揮発性メモリ・セルが、強誘電体電界効果トランジスタ(FeFET)装置を備え、前記FeFET装置が、
基板の上面内に配置されている第1のソース/ドレイン領域および第2のソース/ドレイン領域と、
前記基板の上に配置されている強誘電体層および前記強誘電体層の上に配置されているゲート電極を備えるゲート構造とを備え、
前記強誘電体層が、前記第1のソース/ドレイン領域に隣接する第1の領域と、前記第2のソース/ドレイン領域に隣接する第2の領域とを備える、前記不揮発性メモリと、
前記少なくとも1つの不揮発性メモリ・セルの前記FeFET装置を
、前記強誘電体層の前記第1の領域および前記第2の領域を同時にプログラムするためのプログラミング動作を実行して、複数の異なる論理状態のうちの1つの論理状態を有するようにプログラムするように、前記不揮発性メモリに動作可能に結合されている制御システムと
を備え、前記
1つの論理状態が、前記強誘電体層の前記第1の領域
が第1の極性を有する残留分極を有し、前記第2の領域
が前記第1の極性と反対の
第2の極性を有す
る残留分極を有する、前記FeFET装置の分極状態に対応
しており、前記プログラミング動作は、
前記第2のソース/ドレイン領域に基準電圧を印加することと、
前記ゲート電極に第1のプログラミング電圧を印加することと、
前記第1のソース/ドレイン領域に第2のプログラミング電圧を印加することと
を含み、前記第2のプログラミング電圧の大きさが、前記第1のプログラミング電圧の大きさより大きい、装置。
【請求項2】
前記第1のプログラミング電圧の前記大きさが、前記第2の領域内の前記残留分極の極性を前記第2の極性に切り替えるのに十分な前記ゲート電極および前記第2のソース/ドレイン領域の間の電位差を生成し、
前記第2のプログラミング電圧の前記大きさと前記第1のプログラミング電圧の前記大きさとの差が、前記第1の領域内の前記残留分極の極性を前記第1の極性に切り替えるのに十分な前記第1のソース/ドレイン領域および前記ゲート電極の間の電位差を生成する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記プログラミング動作は、前記強誘電体層の前記第1の領域が前記第2の極性を有する残留分極を有し、前記第2の領域が前記第1の極性を有する残留分極を有する、前記FeFET装置の分極状態において実行される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記強誘電体層が、平均粒径を有する複数の結晶粒を含む多結晶微細構造を備え、
前記ゲート構造のゲート長が、前記強誘電体層の前記平均粒径の少なくとも2倍である、請求項1
~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記強誘電体層の前記第1の領域が、前記第1のソース/ドレイン領域の一部分と重なり、前記強誘電体層の前記第2の領域が、前記第2のソース/ドレイン領域の一部分と重なり、
前記第1のソース/ドレイン領域と前記強誘電体層の前記第1の領域との間の重なりの量が、前記強誘電体層の少なくとも1つの平均粒径程度であり、
前記第2のソース/ドレイン領域と前記強誘電体層の前記第2の領域との間の重なりの量が、前記強誘電体層の少なくとも1つの平均粒径程度である、請求項
4に記載の装置。
【請求項6】
前記強誘電体層の前記第1の領域が、第1の強誘電体ドメインを含み、
前記強誘電体層の前記第2の領域が、第2の強誘電体ドメインを含み、
前記第1の強誘電体ドメインおよび前記第2の強誘電体ドメインが、同じまたは実質的に類似の抗電場特性を有する、請求項1
~5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記不揮発性メモリが、
前記少なくとも1つの不揮発性メモリ・セルに接続されている制御線をさらに備え、前記制御線が、前記FeFET装置の前記ゲート電極に接続されているワード線と、前記FeFET装置の前記第1のソース/ドレイン領域に接続されているソース線と、前記FeFET装置の前記第2のソース/ドレイン領域に接続されているビット線とを備え、
前記制御システムが、前記制御線に動作可能に結合されており、
前記制御システムが、前記少なくとも1つの不揮発性メモリ・セルの前記FeFET装置を、少なくとも2ビットによって表される前記複数の異なる論理状態のうちの
前記1つの論理状態を記憶するようにプログラムするように、前記制御線上にプログラミング制御電圧を生成し、
前記複数の異なる論理状態が、
前記第1の領域および前記第2の領域が各々、
前記第1の極性を有する残留分極を含む、前記FeFET装置の第1の分極状態に対応する第1の論理状態、
前記第1の領域および前記第2の領域が各々、
前記第2の極性を有する残留分極を含む、前記FeFET装置の第2の分極状態に対応する第2の論理状態、
前記第1の領域が前記第1の極性を有する残留分極を含み、前記第2の領域が前記第2の極性を有する残留分極を含む、前記FeFET装置の第3の分極状態に対応する第3の論理状態、ならびに
前記第1の領域が前記第2の極性を有する残留分極を含み、前記第2の領域が前記第1の極性を有する残留分極を含む、前記FeFET装置の第4の分極状態に対応する第4の論理状態
を含み、前記1つの論理状態は、前記第3の分極状態に対応する、請求項1
~6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記制御システムが、読み出し動作を実施するために、前記複数の制御線上に読み出し制御電圧を生成し、前記読み出し動作において、前記読み出し制御電圧が、前記FeFET装置に、飽和モードにおいて動作させ、電流を生成させ、前記電流は、前記制御システムによって検知されて、前記検知されている電流に基づいて、前記少なくとも1つの不揮発性メモリ・セルの論理状態が判定される、請求項
7に記載の装置。
【請求項9】
前記制御システムが、前記検知されている電流を複数の基準電流と比較して、前記少なくとも1つの不揮発性メモリ・セルの前記論理状態を判定し、
前記複数の基準電流が、前記第1の論理状態に対応する第1の基準電流、前記第2の論理状態に対応する第2の基準電流、前記第3の論理状態に対応する第3の基準電流、および、前記第4の論理状態に対応する第4の基準電流を含む、請求項
8に記載の装置。
【請求項10】
前記読み出し動作が、第1の読み出し動作および第2の読み出し動作を含み、
前記制御システムが、第1の読み出し極性を有する読み出し電圧を前記FeFET装置の前記第1のソース/ドレイン領域および前記第2のソース/ドレイン領域に印加して、前記FeFET装置に、飽和モードにおいて動作させ、前記制御システムによって検知される第1の電流を生成させることによって、前記第1の読み出し動作を実施し、
前記制御システムが、前記第1の読み出し極性と反対の第2の読み出し極性を有する前記読み出し電圧を前記FeFET装置の前記第1のソース/ドレイン領域および前記第2のソース/ドレイン領域に印加して、前記FeFET装置に、飽和モードにおいて動作させ、前記制御システムによって検知される第2の電流を生成させることによって、前記第2の読み出し動作を実施し、
前記制御システムが、前記第1の電流と前記第2の電流とを比較し、
前記制御システムが、前記第1の電流が前記第2の電流未満であるという判定に応答して、前記FeFET装置が前記第3の分極状態を有すると判定し、
前記制御システムが、前記第1の電流が前記第2の電流よりも大きいという判定に応答して、前記FeFET装置が前記第4の分極状態を有すると判定する、請求項
8に記載の装置。
【請求項11】
方法であって、
複数の異なる論理状態のうちの
1つの論理状態を記憶するように、強誘電体電界効果トランジスタ(FeFET)装置をプログラムすることを含み、前記FeFET装置が、第1のソース/ドレイン領域および第2のソース/ドレイン領域と、強誘電体層および前記強誘電体層の上に配置されているゲート電極を備えるゲート構造とを備え、前記強誘電体層が、前記第1のソース/ドレイン領域に隣接する第1の領域と、前記第2のソース/ドレイン領域に隣接する第2の領域とを備え、
前記
1つの論理状態を記憶するように前記FeFET装置をプログラムすることが、
前記強誘電体層の前記第1の領域および前記第2の領域を同時にプログラムするためのプログラミング動作を実行して、前記強誘電体層の前記第1の領域
が第1の極性を有する分極状態を有し、前記第2の領域
が、前記第1の極性と反対の極性
である第2の極性を有
する残留分極を有する分極状態を有するように前記FeFET装置をプログラムすることを含
み、前記プログラミング動作は、
前記第2のソース/ドレイン領域に基準電圧を印加することと、
前記ゲート電極に第1のプログラミング電圧を印加することと、
前記第1のソース/ドレイン領域に第2のプログラミング電圧を印加することと
を含み、前記第2のプログラミング電圧の大きさが、前記第1のプログラミング電圧の大きさより大きい、方法。
【請求項12】
前記第1のプログラミング電圧の前記大きさが、前記第2の領域内の前記残留分極の極性を前記第2の極性に切り替えるのに十分な前記ゲート電極および前記第2のソース/ドレイン領域の間の電位差を生成し、
前記第2のプログラミング電圧の前記大きさと前記第1のプログラミング電圧の前記大きさとの差が、前記第1の領域内の前記残留分極の極性を前記第1の極性に切り替えるのに十分な前記第1のソース/ドレイン領域および前記ゲート電極の間の電位差を生成する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記プログラミング動作は、前記強誘電体層の前記第1の領域が前記第2の極性を有する残留分極を有し、前記第2の領域が前記第1の極性を有する残留分極を有する、前記FeFET装置の分極状態において実行される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記複数の異なる論理状態が、
前記第1の領域および前記第2の領域が各々、
前記第1の極性を有する残留分極を含む、前記FeFET装置の第1の分極状態に対応する第1の論理状態、
前記第1の領域および前記第2の領域が各々、
前記第2の極性を有する残留分極を含む、前記FeFET装置の第2の分極状態に対応する第2の論理状態、
前記第1の領域が前記第1の極性を有する残留分極を含み、前記第2の領域が前記第2の極性を有する残留分極を含む、前記FeFET装置の第3の分極状態に対応する第3の論理状態、ならびに
前記第1の領域が前記第2の極性を有する残留分極を含み、前記第2の領域が前記第1の極性を有する残留分極を含む、前記FeFET装置の第4の分極状態に対応する第4の論理状
態
を含み、前記1つの論理状態は、前記第3の分極状態に対応する、請求項
11~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記方法は、前記第1の分極状態を有するように前記FeFET装置をプログラムすることと、前記第2の分極状態を有するように前記FeFET装置をプログラムすることと、前記第4の分極状態を有するように前記FeFET装置をプログラムすることとを含み、前記第1の分極状態を有するように前記FeFET装置をプログラムすることが、
前記ゲート電極に接地電圧を印加することと、
前記第1のソース/ドレイン領域および前記第2のソース/ドレイン領域に
前記第1のプログラミング電圧を印加すること
と
を含み、前記第1のプログラミング電圧の大きさが、前記ゲート電極と前記第1のソース/ドレイン領域および前記第2のソース/ドレイン領域の各々との間に電位差を生成し、前記電位差が、前記第1の領域および前記第2の領域内のそれぞれの前記残留分極の
極性を前記第1の極性に切り替えるのに十分であり、
前記第2の分極状態を有するように前記FeFET装置をプログラムすることが、
前記第1のソース/ドレイン領域および前記第2のソース/ドレイン領域に前記接地電圧を印加することと、
前記ゲート電極に前記第1のプログラミング電圧を印加すること
と
を含み、前記第1のプログラミング電圧の前記大きさが、前記ゲート電極と前記第1のソース/ドレイン領域および前記第2のソース/ドレイン領域の各々との間に電位差を生成し、前記電位差が、前記第1の領域および前記第2の領域内のそれぞれの前記残留分極の
極性を前記第2の極性に切り替えるのに十分
であり、
前記第4の分極状態を有するように前記FeFET装置をプログラムすることが、
前記ゲート電極および前記第1のソース/ドレイン領域に前記接地電圧を印加することと、
前記第2のソース/ドレイン領域に前記第1のプログラミング電圧を印加すること
と
を含み、前記第1のプログラミング電圧の大きさが、前記第2のソース/ドレイン領域および前記ゲート電極の間に電位差を生成し、前記電位差が、前記第2の領域内の前記残留分極の
極性を前記第1の極性に切り替えるのに十分であり、一方、前記ゲート電極および前記第1のソース/ドレイン領域の間の電位差が、前記第1の領域内の前記残留分極の
極性を切り替えるのに不十分であり、結果、前記第1の領域が、前記第2の極性を有する前記残留分極を維持する、請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
前記方法は、前記第4の分極状態を有するように前記FeFET装置をプログラムすることを含み、前記第4の分極状態を有するように前記FeFET装置をプログラムすることが、
前記第1のソース/ドレイン領域に
接地電圧を印加することと、
前記ゲート電極に前記第1のプログラミング電圧を印加することと、
前記第2のソース/ドレイン領域に前記第2のプログラミング電圧を印加すること
と
を含み、
前記第1のプログラミング電圧の大きさが、前記ゲート電極および前記第1のソース/ドレイン領域の間に電位差を生成し、前記電位差が、前記第1の領域内の前記残留分極の
極性を前記第2の極性に切り替えるのに十分であり、
前記第2のプログラミング電圧の前記大きさと前記第1のプログラミング電圧の前記大きさとの間の前記差が、前記第2のソース/ドレイン領域および前記ゲート電極の間に電位差を生成し、前記電位差が、前記第2の領域内の前記残留分極の
極性を前記第1の極性に切り替えるのに十分である、請求項
14に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の分極状態が、前記FeFET装置の第1の閾電圧に対応し、前記第2の分極状態が、前記FeFET装置の第2の閾電圧に対応し、前記第3の分極状態が、前記FeFET装置の実効的な第3の閾電圧に対応し、前記第4の分極状態が、前記FeFET装置の実効的な第4の閾電圧に対応し、
前記方法が、前記FeFET装置の論理状態を判定するために読み出し動作を実施することをさらに含み、前記読み出し
動作を前記実施することが、
前記FeFET装置の前記第1のソース/ドレイン領域に接地電圧を印加することと、
前記FeFET装置の前記ゲート電極に第1の電圧を印加することであって、前記第1の電圧が、前記FeFET装置の前記第1の閾電圧および前記第2の閾電圧ならびに前記実効的な第3の閾電圧および前記実効的な第4の閾電圧よりも大きい大きさを含む、前記第1の電圧を印加することと、
前記FeFET装置の前記第2のソース/ドレイン領域に第2の電圧を印加することであって、前記第2の電圧が、前記FeFET装置を飽和モードにおいて動作させるのに十分なドレイン-ソース電圧を提供する大きさを含む、前記第2の電圧を印加することと、
前記飽和モードにおいて動作する前記FeFET装置によって生成される電流を検知することと、
前記FeFET装置の前記論理状態を判定するために、前記検知されている電流を複数の基準電流と比較することとを含む、請求項
14に記載の方法。
【請求項18】
前記複数の基準電流が、前記第1の論理状態に対応する第1の基準電流、前記第2の論理状態に対応する第2の基準電流、前記第3の論理状態に対応する第3の基準電流、および、前記第4の論理状態に対応する第4の基準電流を含む、請求項
17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の分極状態が、前記FeFET装置の第1の閾電圧に対応し、前記第2の分極状態が、前記FeFET装置の第2の閾電圧に対応し、前記第3の分極状態が、前記FeFET装置の実効的な第3の閾電圧に対応し、前記第4の分極状態が、前記FeFET装置の実効的な第4の閾電圧に対応し、
前記方法が、前記FeFET装置の論理状態を判定するために読み出し動作を実施することをさらに含み、前記読み出し
動作を実施することが、
第1の読み出し動作を実施することであって、
前記FeFET装置の前記第1のソース/ドレイン領域に接地電圧を印加することと、
前記FeFET装置の前記ゲート電極に第1の電圧を印加することであって、前記第1の電圧が、前記FeFET装置の前記第1の閾電圧および前記第2の閾電圧ならびに前記実効的な第3の閾電圧および前記実効的な第4の閾電圧よりも大きい大きさを含む、前記第1の電圧を印加することと、
前記FeFET装置の前記第2のソース/ドレイン領域に第2の電圧を印加することであって、前記第2の電圧が、前記FeFET装置を飽和モードにおいて動作させるのに十分な大きさを含む、前記第2の電圧を印加することと、
前記飽和モードにおいて動作する前記FeFET装置によって生成される第1の電流を検知することとを含む、前記第1の読み出し動作を実施することと、
第2の読み出し動作を実施することであって、
前記FeFET装置の前記第2のソース/ドレイン領域に前記接地電圧を印加することと、
前記FeFET装置の前記ゲート電極に前記第1の電圧を印加することと、
前記FeFET装置を飽和モードにおいて動作させるために、前記FeFET装置の前記第1のソース/ドレイン領域に前記第2の電圧を印加することと、
前記飽和モードにおいて動作する前記FeFET装置によって生成される第2の電流を検知することとを含む、前記第2の読み出し動作を実施することと、
前記第1の電流と前記第2の電流とを比較することと、
前記第1の電流が前記第2の電流未満であるという判定に応答して、前記FeFET装置が前記第3の分極状態を有すると判定することと、
前記第1の電流が前記第2の電流よりも大きいという判定に応答して、前記FeFET装置が前記第4の分極状態を有すると判定することとを含む、請求項
14に記載の方法。
【請求項20】
コンピュータ・プログラムであって、前記プログラムがコンピュータ上で作動しているときに、請求項
11ないし
19のいずれかに記載の方法を実行するように適合されているプログラム・コードを含む、コンピュータ・プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、強誘電体電界効果トランジスタ(FeFET)装置および不揮発性メモリ用途に向けたFeFET装置の実装に関する。固体電子工学の分野において、強誘電材料の使用は、FeFET装置、負性容量FETなどのような強誘電体装置を実装する様々な用途並びに低電圧論理および不揮発性メモリ用途に対してますます人気になっている。強誘電材料は、電場(抗電場(coercive field)として参照される)の存在下で自発的に分極され、バイアスされないときに残留分極を保持する能力を有する材料である。残留分極は、外部バイアスが除去された後に強誘電材料内に残る、正または負の分極電荷を指す。強誘電材料の残留分極電荷における安定性によって、電力が除去された場合であってもFeFET装置がその論理状態を保持することが可能になり、それによって、FeFET装置が不揮発性用途に適した候補になる。加えて、FeFET装置は、高速切り替え、長時間保持、およびほどよい耐久性の特性を有し、これらの特性によって、FeFET装置は、不揮発性メモリ用途に適した候補となっている。
【発明の概要】
【0002】
本開示の実施形態は、マルチ・レベルFeFET装置、マルチ・レベルFeFET装置を読み出し、プログラムするための方法、および、マルチ・レベルFeFET装置を実装する不揮発性メモリ・システムを含む。
【0003】
例示的な実施形態は、不揮発性メモリと、制御システムとを備える装置を含む。不揮発性メモリが、不揮発性メモリ・セルのアレイを含み、少なくとも1つの不揮発性メモリ・セルが、FeFET装置を備える。FeFET装置が、基板の上面内に配置されている第1のソース/ドレイン領域および第2のソース/ドレイン領域と、基板の上に配置されている強誘電体層および強誘電体層の上に配置されているゲート電極を備えるゲート構造とを備える。強誘電体層が、第1のソース/ドレイン領域に隣接する第1の領域と、第2のソース/ドレイン領域に隣接する第2の領域とを備える。制御システムが、少なくとも1つの不揮発性メモリ・セルのFeFET装置を、複数の異なる論理状態のうちの1つの論理状態を有するようにプログラムするように、不揮発性メモリに動作可能に結合されている。複数の異なる論理状態のうちの少なくとも1つの論理状態が、強誘電体層の第1の領域および第2の領域が反対の極性を有するそれぞれの残留分極を有する、FeFET装置の分極状態に対応する。
【0004】
他の実施形態が、以下の例示的な実施形態の詳細な説明において説明され、添付の図面とともに読まれたい。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】本開示の例示的な実施形態によるFeFET装置の概略図である。
【
図2A】本開示の例示的な実施形態による、マルチ・レベルFeFET装置を実装するためのFeFET装置の複数の異なる分極状態のうちの1つの概略図である。
【
図2B】本開示の例示的な実施形態による、マルチ・レベルFeFET装置を実装するためのFeFET装置の複数の異なる分極状態のうちの1つの概略図である。
【
図2C】本開示の例示的な実施形態による、マルチ・レベルFeFET装置を実装するためのFeFET装置の複数の異なる分極状態のうちの1つの概略図である。
【
図2D】本開示の例示的な実施形態による、マルチ・レベルFeFET装置を実装するためのFeFET装置の複数の異なる分極状態のうちの1つの概略図である。
【
図3A】本開示の例示的な実施形態による、マルチ・レベルFeFET装置の状態を判定するための読み出し動作を実施するための方法の概略図である。
【
図3B】本開示の例示的な実施形態による、マルチ・レベルFeFET装置の状態を判定するための読み出し動作を実施するための方法の概略図である。
【
図3C】本開示の例示的な実施形態による、マルチ・レベルFeFET装置の状態を判定するための読み出し動作を実施するための方法の概略図である。
【
図3D】本開示の別の例示的な実施形態による、マルチ・レベルFeFET装置の状態を判定するための読み出し動作を実施するための方法の概略図である。
【
図3E】本開示の別の例示的な実施形態による、マルチ・レベルFeFET装置の状態を判定するための読み出し動作を実施するための方法の概略図である。
【
図4A】本開示の例示的な実施形態による、マルチ・レベルFeFET装置の複数の異なる状態のうちの1つをプログラムするための方法の概略図である。
【
図4B】本開示の例示的な実施形態による、マルチ・レベルFeFET装置の複数の異なる状態のうちの1つをプログラムするための方法の概略図である。
【
図4C】本開示の例示的な実施形態による、マルチ・レベルFeFET装置の複数の異なる状態のうちの1つをプログラムするための方法の概略図である。
【
図4D】本開示の例示的な実施形態による、マルチ・レベルFeFET装置の複数の異なる状態のうちの1つをプログラムするための方法の概略図である。
【
図4E】本開示の別の例示的な実施形態による、マルチ・レベルFeFET装置の複数の異なる状態のうちの1つをプログラムするための方法の概略図である。
【
図4F】本開示の別の例示的な実施形態による、マルチ・レベルFeFET装置の複数の異なる状態のうちの1つをプログラムするための方法の概略図である。
【
図5A】本開示の別の例示的な実施形態による、マルチ・レベルFeFET装置の複数の異なる状態のうちの1つをプログラムするための方法の概略図である。
【
図5B】本開示の別の例示的な実施形態による、マルチ・レベルFeFET装置の複数の異なる状態のうちの1つをプログラムするための方法の概略図である。
【
図6】本開示の例示的な実施形態による、マルチ・レベルFeFET装置を使用して実装される不揮発性メモリ・セルを備えるメモリ装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
ここで、マルチ・レベルFeFET装置、マルチ・レベルFeFET装置を読み出し、また、プログラムするための方法、および、マルチ・レベルFeFET装置を実装する不揮発性メモリ・システムに関して、本開示の例示的な実施形態をさらに詳細に説明する。添付の図面に示すFeFET装置の様々な層、構造、および領域は、原寸に比例して描かれていない概略図であることは理解されたい。加えて、説明を容易にするために、FeFET装置または構造を形成するために一般的に使用されているタイプの1つまたは複数の層、領域、および領域は、所与の図面において明示的に示されていない場合がある。これは、明示的に示されていない任意の層、構造、および領域が、実際の半導体構造から省略されることを暗示するものではない。
【0007】
その上、同じまたは類似の特徴、要素、または構造を示すために、同じまたは類似の参照符号が図面全体を通じて使用されており、したがって、同じまたは類似の特徴、要素、または構造の詳細な説明は、図面の各々について繰り返されない。厚さ、幅、割合、範囲などに関して本明細書において使用されるものとしての「約」または「実質的に」という用語は、厳密にではなく、近いかまたは近似することを示すように意図されていることを理解されたい。例えば、本明細書において使用されるものとしての「約」または「実質的に」という用語は、記述されている量の1%以下などの、小さい誤差の許容範囲が存在することを暗示する。
【0008】
本明細書において使用されるものとしての「例示的な」という用語は、「例、事例、または実例としての役割を果たす」ことを意味する。「例示的」であるとして本明細書において記載されている任意の実施形態または設計は、他の実施形態または設計よりも好ましいかまたは有利であるものとして解釈されるべきではない。所与の特徴の、別の特徴に対する向きを説明するための、本明細書において使用されるものとしての「上(over)」という語は、その所与の特徴が他の特徴の「直上に」(すなわち、それに直に接して)配置もしくは形成され得ること、または、その所与の特徴が、その所与の特徴と他の特徴との間に1つまたは複数の中間特徴が配置された状態で、他の特徴の「上に間接的に」配置もしくは形成され得ることを意味する。
【0009】
図1は、本開示の例示的な実施形態によるFeFET装置100の概略図である。FeFET装置100は、基板110と、第1のソース/ドレイン領域112と、第2のソース/ドレイン領域114と、ゲート構造115とを備える。ゲート構造115は、界面層120と、強誘電体層130と、ゲート電極140とを備える。基板110は、第1のソース/ドレイン領域112と第2のソース/ドレイン領域114との間でゲート構造115の下方に配置されている「チャネル領域」を備える。FeFET装置100は、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)装置と類似している構造を有するが、FeFET装置100のゲート・スタックが、ゲート電極140と基板110の上面との間に配置されている強誘電体層130を備える点が異なっている。下記にさらに詳細に説明するように、FeFET装置100は、強誘電体層130が、複数の異なる分極状態に分極されて、少なくとも4つの異なる状態を有して少なくとも2ビットの情報を記憶するマルチ・レベルFeFET装置を規定する複数の異なる閾電圧を得ることを可能にするように、構造的に構成され、プログラム可能である。
【0010】
基板110は、シリコンまたは他の適した半導体材料から形成される。
図1に示す基板110は、半導体基板の活性半導体層を表す。例として、基板110は、例えば、バルク基板の上面、半導体オン・インシュレータ(SOI)基板の活性半導体層、半導体層の上面内に形成されているドープされたウェルなどとすることができる。基板110は、第1の導電型(例えば、N型)または第2の導電型(例えば、P型)を有するようにドープすることができる。第1のソース/ドレイン領域112および第2のソース/ドレイン領域114は、基板110の導電型と反対の導電型を有する、基板110内のドープ領域である。例えば、N型FeFET装置について、基板110は、P型導電性を含み、一方、第1のソース/ドレイン領域112および第2のソース/ドレイン領域114は各々、N型導電性(例えば、N
+ドーピング)を含む。P型FeFET装置について、基板110は、N型導電性を含み、一方、第1のソース/ドレイン領域112および第2のソース/ドレイン領域114は各々、P型導電性(例えば、P
+ドーピング)を含む。
【0011】
例示を目的として、本開示の例示的な非限定的実施形態は、エンハンスメント・モードにおいて動作するN型FeFET装置の文脈において論じられる。本明細書において使用されるものとしての「ソース/ドレイン領域」という用語は、所与のソース/ドレイン領域が、用途または回路構成に応じて、ソース領域またはドレイン領域のいずれかであり得ることを意味することを理解されたい。例示を目的として、第1のソース/ドレイン領域112がソース領域としてラベル付けされ、第2のソース/ドレイン領域114がドレイン領域としてラベル付けされる。いくつかの実施形態において、基板110(すなわち、ボディ)は、データをFeFET装置100に書き込むためのプログラミング動作中およびデータをFeFET装置100から読み出すための読み出し動作中に適切なバイアス電圧(例えば、接地電圧)が基板110に印加されることを可能にする別個の「ボディ端子」を備える。例えば、読み出し動作中、ソース/基板接合部を横断してゼロ電圧が存在することを保証し、FeFET装置のソースとボディとの間の電圧差の結果として閾電圧(VT)が変化し得る「ボディ効果」を排除するために、基板110に印加されるバイアス電圧はソース領域112と同じ電圧になるであろう。
【0012】
いくつかの実施形態において、界面層120は、限定ではないが、酸化ケイ素材料(例えば、二酸化ケイ素)、窒化ケイ素材料(例えば、SiN、SiON)、または他の適したタイプの絶縁材料を含む絶縁材料の薄層を含む。強誘電体層130は、強誘電特性(例えば、斜方強誘電相)を呈する結晶微細構造を有して形成することができる、限定ではないが、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ハフニウム・ジルコニウム(HfZrO2)、および他のタイプの高k誘電体材料(例えば、アルミニウム、シリコン、またはイットリウムをドープされた酸化ハフニウム)の多結晶合金薄膜を含む強誘電材料を含む。界面層120は、例えば、基板110の表面と強誘電体層130との間の界面の品質を向上させるためのバッファ層を提供すること、電荷トラップの量を低減すること、および、強誘電体層130の種々の材料と基板110との間の反応を防止することなどのような、様々な目的に利用される任意選択の層である。いくつかの非限定的な実施形態において、強誘電体層130は、約2ナノメートル(nm)~約20nmの範囲内の厚さを有する。いくつかの実施形態において、強誘電体層130は、シリコン基板110(例えば、高ドープSi基板)の表面の直上に形成される。
【0013】
ゲート電極140は、限定ではないが、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、ケイ化チタン(TiSi)、窒化タンタル(TaN)、タングステン(W)、ケイ化タングステン(WSi)、ルテニウム(Ru)、レニウム(Re)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、または所与の用途に適した他のタイプの導電性材料を含む、導電性材料を含む。いくつかの実施形態において、ゲート電極140の材料は、例えば、強誘電体メモリ・セルとして使用されるときに、FeFET装置100の性能を向上させるように、強誘電体層130の抗電圧に影響を及ぼす所与の仕事関数を達成するように選択される。
【0014】
図1は、例示および論述を容易にするために提示されているFeFET装置の高レベル概略図であることは理解されたい。FeFET装置100は、例えば、ゲート構造115を封入する1つまたは複数の絶縁層(例えば、ゲート側壁スペーサ、ゲート・キャッピング層、プリメタル誘電体(PMD)層など)、ゲート電極140の上面と接触して形成されているゲート接点、第1のソース/ドレイン領域112および第2のソース/ドレイン領域114と接触して形成されているソース/ドレイン接点、基板110内に形成されているボディ領域、および、ボディ領域と接触して形成されているボディ接点などのような、他の要素を含んでもよい。加えて、ゲート電極140は、強誘電体層130上に形成されている第1のゲート電極層(例えば、仕事関数金属層)、および、第1のゲート電極層上に形成されている第2のゲート電極層(例えば、低抵抗金属層)を含む多層構造を含んでもよい。いくつかの実施形態において、FeFET装置100のチャネル領域は、高チャネルドーピング濃度(例えば、>1E19cm
-3)を含む。高チャネルドーピングは、(
図3A~
図3Eとともに下記に論じられるように)、FeFET装置100が、FeFET装置100の論理状態を判定するために使用される読み出し電流を生成するために飽和モード(ピンチ・オフ反転チャネルによる)において動作するように構成されるFeFET装置100の論理状態を判定するために、読み出し動作を実施するときにFeFET装置の論理状態を判定する能力を増強する。
【0015】
上記で言及したように、FeFET装置100は、マルチ・レベルFeFET装置を得るために、強誘電体層130が複数の異なる分極状態に分極されることを可能とするように構造的かつ強誘電的に構成される。例えば、強誘電体層130は、
図1に概略的に示すような多結晶微細構造を有するように構造的に構成されている。いくつかの実施形態において、多結晶微細構造は、様々なサイズで優先配向なしにランダムに分散された(すなわち、ランダムな集合組織(texture)で結晶粒方向がない)小さい結晶子(または結晶粒)のモザイクを含む。いくつかの実施形態において、強誘電体層130の製造プロセスの様々な条件およびパラメータは、強誘電体層130の結晶粒(または結晶子)が目標のアライメントを有するように成長され、結果として結晶粒の集合組織がもたらされるように選択することができる。
【0016】
いくつかの実施形態において、FeFET装置100のゲート構造115のゲート長(GL)は、強誘電体層130の多結晶微細構造の平均粒径の少なくとも2倍(2X)である。本明細書において使用されるものとしての「平均粒径」という用語は当該技術分野の周知の用語であり、これは、既知の技法を使用して推定することができるパラメータを示すことを理解されたい。例えば、所与の材料の平均粒径を推定するための1つの技法は、「インターセプト」法として知られている。この方法によれば、所与の材料の結晶構造の顕微鏡写真(例えば、TEM(透過型電子顕微鏡)またはSTEM(走査型透過電子顕微鏡)微細構造画像)を通じて所与の長さ(L)の直線が引かれる。直線が交差する結晶粒の数(N)がカウントされる。次いで、平均粒径が(L)/(N)として求められる。
【0017】
さらに、強誘電体層130の強誘電特性に関して、いくつかの実施形態において、強誘電体層130は、複数の強誘電体ドメイン(例えば、領域R1および領域R2(
図2A~
図2D))を有して形成される。本明細書に記載されている例示的な実施形態の文脈において、「強誘電体ドメイン」という用語は、その所与の領域に抗電場(例えば、抗電圧)を印加することによってその内で永続的な指向性自発分極を得ることができる強誘電体層130の領域を指す。上記で言及したように、強誘電材料は、抗電場の存在下で自発的に分極され得る。永続的な自発分極は、抗電場が除去された後の、正または負のいずれを問わず、強誘電材料内に残る残留分極(または残留分極電荷)を含む。抗電場は、強誘電材料に印加された場合、正分極電荷から負分極電荷への、および、その逆の切り替えを誘発するのに十分である電場の大きさを示す。概して、抗電圧は、抗電場値を乗算した強誘電体薄膜の厚さの関数である。
【0018】
いくつかの実施形態において、強誘電体層130は、少なくとも2つの強誘電体ドメインを含むように(強誘電体層130を形成するときにドメイン・エンジニアリング技法を使用して)構造的かつ強誘電的に構成され、第1の強誘電体ドメインは、第1のソース/ドレイン領域112に隣接する強誘電体層130の領域(例えば、領域R1)内に配置され、第2の強誘電体ドメインは、第2のソース/ドレイン領域114に隣接する強誘電体層130の領域(例えば、領域R2)内に配置される。ドメイン・エンジニアリングによれば、種々の領域(または強誘電体ドメイン)を、所望のサイズで形成することができる。いくつかの実施形態において、強誘電体層130の強誘電体ドメインは、同じであるかまたは実質的に同じである抗電場による自発分極を有する。これに関連して、強誘電体層130の種々の領域内の強誘電体ドメインの分極状態を、同じ(または実質的に同じ)抗電圧によって制御することができる。他の実施形態において、強誘電体層130は、例えば、強誘電体層130の多結晶微細構造の異なる結晶粒または結晶粒群によって自然に生じる多くの強誘電体ドメインを有するように形成される。
【0019】
その上、いくつかの実施形態において、第1のソース/ドレイン領域112および第2のソース/ドレイン領域114は、第1のソース/ドレイン領域112の内側の縁と第2のソース/ドレイン領域114の内側の縁との間のチャネル領域のチャネル長(CL)がゲート長(GL)未満であるように、ゲート構造115との目標量の重なりを有するように形成される。ゲート構造115と第1のソース/ドレイン領域112および第2のソース/ドレイン領域114との間の重なりの量は、データ(例えば、2ビットのデータ)をFeFET装置100に書き込むためのプログラミング動作(下記に論じるような)中に、ゲート電極140ならびに第1のソース/ドレイン領域112および第2のソース/ドレイン領域114に印加されるプログラミング電圧に応答して強誘電体層130の異なる領域R1およびR2内に分極極性をプログラムするのに十分な量の電場強度がゲート構造115と第1のソース/ドレイン領域112および第2のソース/ドレイン領域114との間に存在することを可能にすべきである。
【0020】
例えば、いくつかの実施形態において、ゲート構造115と第1のソース/ドレイン領域112および第2のソース/ドレイン領域114の各々との間の重なりの量は、強誘電体層130の少なくとも1つの平均粒径程度である。他の実施形態において、ゲート構造115と第1のソース/ドレイン領域112および第2のソース/ドレイン領域114の各々との間の重なりの量は、第1のソース/ドレイン領域112および第2のソース/ドレイン領域114の内側の縁とゲート構造115との間のフリンジング電場(fringing electrical fields)を含む、電場の合計が、強誘電体層130の種々の領域R1およびR2内の分極をプログラムするのに十分である状況において、強誘電体層130の平均粒径未満であり得る。
【0021】
他の実施形態において、ゲート構造115と第1のソース/ドレイン領域112および第2のソース/ドレイン領域114との間の重なりはない。より具体的には、いくつかの実施形態において、第1のソース/ドレイン領域112および第2のソース/ドレイン領域114の内側の縁は、ゲート構造115の側壁と実質的に位置整合され、結果、ゲート長(GL)はチャネル長(CL)と同じかまたは実質的に同じになる。FeFET装置100は、第1のソース/ドレイン領域112と強誘電体層130の第1の領域R1との間のフリンジング電場が第1の領域R1内の分極極性を切り替える(また、それによってプログラムする)のに十分である状況、および、第2のソース/ドレイン領域114と強誘電体層130の第2の領域R2との間のフリンジング電場が第2の領域R2内の分極極性を切り替える(また、それによってプログラムする)のに十分である状況において、そのような「重なり合わない」構造構成を有することができる。これに関連して、第1のソース/ドレイン領域112および第2のソース/ドレイン領域114とゲート構造115との相対位置の文脈において使用されているものとして「隣接」という用語は、重なり合う構造構成および重なり合わない構造構成を含むように広く解釈されるべきであることを理解されたい。
【0022】
さらに、強誘電体層130の強誘電特性に関していくつかの実施形態において、強誘電体層130は、複数の強誘電体ドメイン(例えば、領域R1および領域R2(
図2A~
図2D))を有するように形成される。本明細書に記載されている例示的な実施形態の文脈において、「強誘電体ドメイン」という用語は、その所与の領域に抗電場(例えば、抗電圧)を印加することによってその内で永続的な指向性自発分極を得ることができる強誘電体層130の領域を指す。上記で言及したように、強誘電材料は、抗電場の存在下で自発的に分極され得る。永続的な自発分極は、抗電場が除去された後の、正または負のいずれを問わず、強誘電材料内に残る残留分極(または残留分極電荷)を含む。抗電場は、強誘電材料に印加された場合、正分極電荷から負分極電荷への、および、その逆の切り替えを誘発するのに十分である電場の大きさを示す。概して、抗電圧は、抗電場値を乗算した強誘電体薄膜の厚さの関数である。
【0023】
いくつかの実施形態において、強誘電体層130は、少なくとも2つの強誘電体ドメインを含むように構造的かつ強誘電的に構成され、ここで、第1の強誘電体ドメインは、ソース領域112に隣接する強誘電体層130の領域(例えば、領域R1)内に配置され、第2の強誘電体ドメインは、ドレイン領域114に隣接する強誘電体層130の領域(例えば、領域R2)内に配置される。いくつかの実施形態において、強誘電体層130の強誘電体ドメインは、同じであるかまたは実質的に同じである抗電場による自発分極を有する。これに関連して、強誘電体層130の種々の領域内の強誘電体ドメインの分極状態を、同じ(または実質的に同じ)抗電圧によって制御することができる。
【0024】
図2A、
図2B、
図2Cおよび
図2Dは、本開示の例示的な実施形態による、マルチ・レベルFeFET装置を実装するためのFeFET装置の複数の異なる分極状態を概略的に示す。特に、
図2A~
図2Dは、
図1のFeFET装置100の強誘電体層130の複数の異なる分極状態(200-1、200-2、200-3、200-4)を概略的に示し、各分極状態は、マルチ・レベルFeFET装置を実装するためのFeFET装置100の異なる閾電圧に対応する。いくつかの実施形態において、FeFET装置100は、少なくとも4つの異なる閾電圧に対応する少なくとも4つの異なる分極状態を有し、それによって、FeFET装置100の異なる閾電圧に符号化される少なくとも4つの二値論理状態を得る(例えば、少なくとも2ビットの情報を記憶する)ように、構造的かつ電気的に構成される。
図2A、
図2B、
図2Cおよび
図2Dの例示的な実施形態において、FeFET装置100はN型FeFETを含むと仮定される。閾電圧V
Tは、ソース領域112とドレイン領域114との間のチャネル領域内に導電経路(反転チャネル)を作成するために必要とされる最小のゲート-ソース電圧(V
GS)を示す。
【0025】
より具体的には、
図2Aは、強誘電体層130のすべての領域R1およびR2(例えば、強誘電体ドメイン)が、「第1の極性」を有する残留分極(例えば、正味の負の強誘電体分極)を有する第1の分極状態200-1を概略的に示し、ここでは、強誘電体層130を横断する電気双極子が、正極がゲート電極140へと方向付けられ、負極が基板110のチャネル領域へと方向付けられるように配向されている。
図2Aに示す第1の分極状態200-1は、チャネル領域内の基板110の上面に対して正味の負電荷を提示し、それによって、基板110からの正(大多数)電荷担体を、チャネル領域内の基板110の表面に累積させる。第1の分極状態200-1の正味の効果は、FeFET装置100の閾電圧が増大し、結果、FeFET装置100が第1の閾電圧V
T1を有することである。いくつかの実施形態において、FeFET装置100の第1の閾電圧V
T1は、(0,0)の二値論理状態を表す。
【0026】
次に、
図2Bは、強誘電体層130のすべての領域R1およびR2が、「第2の極性」を有する残留分極(例えば、正味の正の強誘電体分極)を有する第2の分極状態200-2を概略的に示し、ここでは、強誘電体層130を横断する電気双極子が、負極がゲート電極140へと方向付けられ、正極が基板110のチャネル領域へと方向付けられるように配向されている。
図2Bに示す第2の分極状態200-2は、チャネル領域内の基板110の上面に対して正味の正電荷を提示し、それによって、基板110からの負(少数)電荷担体を、チャネル領域内の基板110の表面に累積させる(また、チャネル領域を反転させる)。この結果として、チャネル領域内のP型基板110の上面内にN型反転チャネルが形成され、これは、平衡状態(ゲート電圧、ドレイン電圧、またはソース電圧がFeFET装置100に印加されていないとき)中に存在する。第2の分極状態200-2の正味の効果は、FeFET装置100の閾電圧が(第1の閾電圧V
T1に対して)低減し、結果、V
T1>V
T2であるとして、FeFET装置100が第2の閾電圧V
T2を有することである。いくつかの実施形態において、FeFET装置100の第2の閾電圧V
T2は、(1,1)の二値論理状態を表す。
【0027】
次に、
図2Cは、(ソース領域112に隣接する)強誘電体層130の第1の領域R1が、第1の極性を有する残留分極(正味の負の強誘電体分極)を有し、(ドレイン領域114に隣接する)強誘電体層130の第2の領域R2が、第2の極性を有する残留分極(正味の正の強誘電体分極)を有する、第3の分極状態200-3(例えば、部分分極状態)を概略的に示す。この例示的な実施形態において、強誘電体層130の第1の領域R1内の負の強誘電体分極は、ソース領域112に隣接するチャネル領域の部分に対して正味の負電荷を提示し、それによって、基板110からの正(大多数)電荷担体を、ソース領域112に隣接し、第1の領域R1に位置整合されたチャネル領域の部分内の基板110の表面に累積させる。加えて、強誘電体層130の第2の領域R2内の正の強誘電体分極は、ドレイン領域114に隣接するチャネル領域の部分に対して正味の正電荷を提示し、それによって、負(少数)電荷担体を、ドレイン領域114に隣接し、第2の領域R2に位置整合されたチャネル領域の部分内の基板110の表面に累積させる。
【0028】
第3の分極状態200-3の正味の効果は、領域R1およびR2がそれぞれ異なる閾電圧VT_R1およびVT_R2を有することであり、VT_R1はVT1と同じであるかまたは実質的に同じであり、VT_R2はVT2と同じであるかまたは実質的に同じである。この事例において、第3の分極状態200-3の正味の効果は、FeFET装置100が、異なる閾電圧VT_R1およびVT_R2に起因するチャネル領域に沿った電荷分布に変動に基づく「実効的」な第3の閾電圧VT3を有することである。下記にさらに詳細に説明するように、「実効的」な第3の閾電圧VT3は、主に、FeFET装置100がFeFET装置100の状態を読み出すために飽和モードにおいて動作されているときに作成されるピンチ・オフ反転チャネル150-3に位置整合されている、第1の領域R1内の分極極性(第1の極性)に基づく。この事例において、第3の分極状態200-3の結果として、FeFET装置100の閾電圧が(第1の閾電圧VT1に対して)低減し、結果、VT1>VT3>VT2であるとして、実効的な第3の閾電圧VT3が、VT1とVT2との間の値を有することである。いくつかの実施形態において、FeFET装置100の実効的な第3の閾電圧VT3は、(0,1)の二値論理状態を表す。
【0029】
次に、
図2Dは、(ソース領域112に隣接する)強誘電体層130の第1の領域R1が、第2の極性を有する残留分極(正味の正の強誘電体分極)を有し、(ドレイン領域114に隣接する)強誘電体層130の第2の領域R2が、第1の極性を有する残留分極(正味の負の強誘電体分極)を有する、第4の分極状態200-4(例えば、部分分極状態)を概略的に示す。この例示的な実施形態において、強誘電体層130の第1の領域R1内の正の強誘電体分極は、ソース領域112に隣接するチャネル領域の部分に対して正味の正電荷を提示し、それによって、基板110からの負(少数)電荷担体を、ソース領域112に隣接し、第1の領域R1に位置整合されたチャネル領域の部分内の基板110の表面に累積させる。加えて、強誘電体層130の第2の領域R2内の負の強誘電体分極は、ドレイン領域114に隣接するチャネル領域の部分に対して正味の負電荷を提示し、それによって、正(大多数)電荷担体を、ドレイン領域114に隣接し、第2の領域R2に位置整合されたチャネル領域の部分内の基板110の表面に累積させる。
【0030】
第4の分極状態200-4の正味の効果は、領域R1およびR2がそれぞれ異なる閾電圧VT_R1およびVT_R2を有することであり、VT_R1はVT2と同じであるかまたは実質的に同じであり、VT_R2はVT1と同じであるかまたは実質的に同じである。この事例において、第4の分極状態200-4の正味の効果は、FeFET装置100が、異なる閾電圧VT_R1およびVT_R2に起因するチャネル領域に沿った電荷分布に変動に基づく「実効的」な第4の閾電圧VT4を有することである。下記にさらに詳細に説明するように、「実効的」な第4の閾電圧VT4は、主に、FeFET装置100がFeFET装置100の状態を読み出すために飽和モードにおいて動作されているときに作成されるピンチ・オフ反転チャネル150-4に位置整合されている、第1の領域R1内の分極極性(第2の極性)に基づく。この事例において、第4の分極状態200-4の結果として、FeFET装置100の閾電圧が(第1の閾電圧VT1および実効的な第3の閾電圧VT3に対して)低減し、結果、VT1>VT3>VT4>VT2であるとして、実効的な第4の閾電圧VT4が、VT2とVT3との間の値を有することである。いくつかの実施形態において、FeFET装置100の実効的な第4の閾電圧VT4は、(1,0)の二値論理状態を表す。
【0031】
図2A~
図2Dの例示的な実施形態において、第1の閾電圧V
T1および第2の閾電圧V
T2は、FeFET装置100の最大の「メモリ・ウィンドウ」(MW)を規定し(すなわち、MW=V
T1-V
T2)、V
T1は、最大の閾電圧を表し、V
T2は、FeFET装置100の最小の閾電圧を表す。
図2Aおよび
図2Bの例示的な実施形態は、FeFET装置100の強誘電体層130の全体が正味の正分極極性または正味の負分極極性を有する、FeFET装置100の「完全に分極した状態」(または完全分極状態)を示す。他方、実効閾電圧V
T3およびV
T4は、閾電圧V
T1~V
T2の範囲内に入る値を有し、その結果、V
T3>V
T4となり、またその結果、V
T1>V
T3>V
T4>V
T2となる。
図2Cおよび
図2Dの例示的な実施形態は、FeFET装置100の強誘電体層130の異なる領域R1およびR2が異なる正味の分極極性(例えば、正味の正分極極性または正味の負分極極性)を有する、FeFET装置100の「部分的に分極した状態」(または部分分極状態)を示す。これに関連して、FeFET装置100の閾電圧の変調は、チャネル領域に沿った強誘電体分極分布の極性によって達成される。
図2A~
図2Dに示す複数の異なる分極状態は、下記にさらに詳細に論じるようなプログラミング動作を実施することによって得られる。
【0032】
いくつかの実施形態において、FeFET装置100の二値論理状態(例えば、(0,0)、(0,1)、(1,0)、または(1,1))は、第1の電圧(VG_Read)をゲート端子に印加し、第2の電圧(VD_Read)をドレイン端子に印加し、ソースおよび基板ボディ端子を接地して、結果生じるドレイン電流(ID)を「読み出し電流」として検知することを含む、読み出し動作を実施することによって判定される。いくつかの実施形態において、検知されたドレイン電流は、FeFET装置100の複数の異なる分極状態のそれぞれに対応する複数の異なる基準電流レベルと比較されて、FeFET装置100の二値論理状態(例えば、(0,0)、(0,1)、(1,0)、または(1,1))が判定される。
【0033】
いくつかの実施形態において、チャネル領域内の反転チャネルの「ピンチ・オフ」が存在する「飽和モード」においてFeFET装置100が動作する読み出し動作が実施される。例えば、
図2A、
図2B、
図2C、および
図2Dは、それぞれの「ピンチ・オフ」反転チャネル150-1、150-2、150-3、および150-4(より一般的には反転チャネル150)がソース領域112とドレイン領域114との間のチャネル領域内に形成されている(読み出し動作中)飽和モードにおいてFeFET装置100が動作している状態を概略的に示す。「ピンチ・オフ」反転チャネル150-1、150-2、150-3、および150-4は、ソース領域112からチャネル長CL未満の長さで延在し、それによって、反転チャネル150の端部とドレイン領域114との間に「ピンチ・オフ領域」が生じるように概略的に示される。
図2A、
図2B、
図2C、および
図2Dに概略的に示すように、それぞれの「ピンチ・オフ」反転チャネル150-1、150-2、150-3、および150-4は異なるサイズ(例えば、異なる長さ)を有し、結果として、チャネル領域がそれぞれ異なる長さPL1、PL2、PL3、およびPL4を有する「ピンチ・オフ領域」が生じ、ここで、PL1>PL3>PL4>PL2である。
【0034】
このように、読み出し動作を実施するとき、FeFET装置100の閾電圧V
T(例えば、V
T1、V
T2、V
T3、またはV
T4)は、ソース領域112に隣接する「ピンチ・オフ」反転チャネル150と位置整合されている強誘電体層130の領域(例えば、領域R1)の分極極性に少なくとも部分的に基づいて変調される。閾電圧のこの変調は、
図2Cおよび
図2Dに概略的に示すような分極状態に特に関連し、ここでは、チャネル領域に沿った強誘電体層130の複数の異なる領域(例えば、領域R1およびR2)内の分極分布が、例えば、「ピンチ・オフ」反転チャネル150に位置整合されているかまたは位置整合されていない強誘電体層130の領域(例えば、R1およびR2)の極性に依存して、FeFET装置100の実効閾電圧V
T3およびV
T4(および、したがって飽和モードにおける読み出し動作中に生成されるドレイン電流のレベル)に有意な影響を及ぼす。
【0035】
例えば、
図2Cおよび
図2Dに概略的に示すように、読み出し動作中にFeFET装置100を飽和モードにおいて動作させる結果として、それぞれの「ピンチ・オフ」反転チャネル150-3および150-4が、強誘電体層130(ソース領域112に隣接する)の第1の領域R1と実質的に位置整合されるかまたは重なり合う。これに関連して、
図2Cおよび
図2Dに示すような異なる分極状態200-3および200-4のFeFET装置100の実効的な第3の閾電圧V
T3および実効的な第4の閾電圧V
T4の(例えば、論理状態(0,1)と(1,0)との間の)差が、それぞれの「ピンチ・オフ」反転チャネル150-3および150-4に実質的に位置整合されていないドレイン領域114に隣接する強誘電体層130の第2の領域R2の分極極性と比較して、それぞれの「ピンチ・オフ」反転チャネル150-3および150-4に実質的に位置整合されているかまたは他の場合に重なり合っている強誘電体層130の領域R1の分極極性に依存して、より顕著になる(より変調される)。FeFET装置100が読み出し動作中に飽和モードにおいて動作されない場合、領域R1およびR2の異なる分極極性単独に関係なく、異なる分極状態200-3および200-4の間のFeFET装置100の実効的な第3の閾電圧V
T3および実効的な第4の閾電圧V
T4の差が少なくなる(または差がなくなる)であろう。
【0036】
例えば、FeFET装置100が読み出し動作中に三極(triode)(線形)領域内で動作される場合、結果もたらされる反転チャネルは、チャネル領域(ピンチ・オフなし)のチャネル長(CL)全体に沿って延在し、したがって、反転チャネル全体が、強誘電体層130の領域R1およびR2内の分極によって変調される。この事例において、
図2Cおよび
図2Dに概略的に示すような領域R1およびR2の異なる分極極性にかかわらず、分極状態200-3と200-4の両方が反転チャネル全体に対する同様の変調効果を有し、したがって、異なる分極状態200-3および200-4に対するFeFET装置100の実効的な閾電圧V
T3およびV
T4の間の差別化のレベルを低減する。他方、上記で言及したように、ピンチ・オフが発生する飽和モードにおいてFeFET装置100を動作させるとき、異なる分極状態200-3および200-4は、それぞれの反転チャネル150-3および150-4を変調するに際して異なる役割を果たし、結果、FeFET装置100は、それぞれの分極状態200-3および200-4(例えば、論理状態(0,1)および(1,0))について実効閾電圧V
T3およびV
T4のより大きい差および識別可能性を呈する。
【0037】
図3A、
図3B、および
図3Cは、本開示の例示的な実施形態による、マルチ・レベルFeFET装置の状態を判定するための読み出し動作を実施するための方法を概略的に示す。特に、
図3A~
図3Cは、マルチ・レベルFeFET装置からデータ(例えば、2ビットのデータ)を読み出すための方法を示す。いくつかの実施形態において、
図3Aは、
図2A~
図2Dに示す分極状態および関連付けられる閾電圧(例えば、V
T1、V
T2、V
T3、またはV
T4)のうちのいずれか1つを有することができる、N型FeFET装置100に対して実施される読み出し動作300を概略的に示す。例示を目的として、N型FeFET装置100は、FeFET装置100がメモリ装置(例えば、
図6)の不揮発性メモリ・セルのアレイ内に含まれる不揮発性メモリ・セルのアクセス(選択)トランジスタと記憶要素の両方として動作する、シングル・トランジスタ(1T)メモリ・セル・アーキテクチャにおいて実装されると仮定される。
図3Aに示す例示的な構成において、ゲート電極140は、ワード線(WL)に接続されており、ドレイン領域114は、ビット線(BL)に接続されており、ソース領域112は、ソース線(SL)に接続されており、ソース線(SL)は接地GND302(例えば、V=0)に接続されている。加えて、
図3Aに具体的には示されていないが、基板110のボディ端子(またはウェル端子)が接地GND302に接続されていると仮定される。その上、論述を目的として、
図3Aに示すように、FeFET装置100のチャネル領域内のドレイン電流I
D(少数担体)がソース領域112からドレイン領域114へと流れると仮定される。
【0038】
上記で言及したように、いくつかの実施形態において、読み出し動作は、第1の電圧VG_Readをワード線に印加し、第2の電圧VD_Readをビット線BLに印加することによって実施される。第1の電圧VG_Read(またはゲート-ソース/基板電圧(VGS))は、FeFET装置100がFeFET装置100のすべての論理状態(閾電圧において符号化される)について「オンになる」ことを保証するために、プログラムされているFeFET装置100の最大の可能な閾電圧VT(例えば、VT1)よりも大きい大きさ(magnitude)を有する。加えて、読み出し動作が、結果としてFeFET装置100の論理状態を変化させないように、第1の電圧VG_Readの大きさは、FeFET装置100の強誘電体層130の強誘電体ドメインの分極状態を切り替えるための「抗電圧」の大きさよりも小さくするべきである。
【0039】
その上、第2の電圧VD_Read(またはドレイン-ソース電圧(V
DS))は、読み出し動作中、FeFET装置100がすべての閾電圧(例えば、V
T1、V
T2、実効V
T3、または実効V
T4)について飽和モードにおいて動作することを保証するように選択される大きさを有する。当該技術分野において知られているように、MOSFET装置は、V
GS>V
TかつV
DS≧(V
GS-V
T)であるときに飽和動作モードになる。いくつかの実施形態において、VD_Readの大きさは、FeFET装置100の最低閾電圧、例えば、V
T2(
図2B)に対応する論理状態に基づいて選択される。より具体的には、読み出し動作中、FeFET装置100は、第2の電圧VD_Readの大きさが、VD_Read>(VG_Read-V
T2)であるレベルに設定されるとき、すべての論理状態について飽和モードにおいて動作する。このように読み出し動作中、FeFET装置100は、FeFET装置100のすべての可能な分極状態、または閾電圧V
T1、V
T2、V
T3、およびV
T4について、飽和モードにおいて動作している。
【0040】
例示を目的として、
図3Bは、例示的なN型FeFET装置100の飽和動作モードを説明するのに適用可能である、増大する値のゲート-ソース/基板(V
GS)電圧(V
GS=V
Tから開始)に対するMOSFETドレイン電流(I
D)対ドレイン-ソース電圧(V
DS)を表す複数の曲線310をグラフで示す。V
GS<V
T(V
T=V
T1、V
T2、V
T3、またはV
T4)であるとき、FeFET装置100は、ドレイン電流のI
Dがソース領域112からドレイン領域114へと流れない「カット・オフ」または「閾値以下(subthreshold)」モードになる。
図3Bに示すように、FeFET装置100は、V
GS>V
TかつV
DS<V
GS-V
Tであるときに「線形領域」または「オーミックモード」に入る。線形領域において、ソース領域112とドレイン領域114との間のチャネル領域内に反転チャネルが作成され、ここで、ドレイン電流I
DはV
DSの増大と伴に増大する。
図3Bにさらに示すように、FeFET装置100は、V
GS>V
TかつV
DS≧(V
GS-V
T)であるときに「飽和モード」または「活性モード」に入る。線形領域と飽和領域との間の境界は、
図3Bにおいて、上向きの放物曲線312によって描写されている。複数の異なるV
GS曲線は、V
DS=(V
GS-V
T)である各点において境界曲線312と交差する。飽和モードにおいて、所与のV
GSおよびV
Tについて、ドレイン電流I
Dは、V
DSに関係なく実質的に一定のままである。
【0041】
線形領域において、反転チャネル150は、ソース領域112とドレイン領域114との間のチャネル領域のチャネル長(CL)全体にわたって延在する。FeFET装置100が最初に飽和領域V
DS=(V
GS-V
T)に入るとき、反転チャネル150は、テーパリング(tapering)およびドレイン領域114に隣接してチャネル・ピンチング(channel pinching)を呈する。しかしながら、V
DSが増大するにつれて(例えば、V
DS>V
GS-V
T)、反転チャネル150の長さが短くなり(チャネル長変調(CLM)として知られる)、
図3Aに概略的に示すように、反転チャネル150の端部とドレイン領域114との間に「ピンチ・オフ領域」が作成され、ここで、「ピンチ・オフ領域」は、非反転半導体材料(例えば、非反転シリコン)を有する空乏領域を含む。
【0042】
FeFET装置100がオンにされてVGS>VTになると、ゲート-ソース/基板電圧(基板110およびソース領域112が同じ電位に接続されていると仮定する)に起因してチャネル領域内で、および、チャネル領域にわたって電荷が蓄積する(反転チャネルが作成される)。VDSが印加されると、反転チャネルの誘導電荷密度が、チャネル領域に沿って変化する。VDSがVDS_sat=VGS-VTのレベルに達すると、ドレイン領域114に隣接する実効ゲート-基板電圧(VEFF)がVEFF=VGS-VDS_sat=VTになり、これはちょうど、(反転チャネル150の「ピンチ・オフ」が始まることによって)ドレイン領域114に隣接する反転チャネル層150を形成するのに十分である。ドレイン領域114に印加される電圧がVDS_satを超えて増大すると、ドレイン領域114の付近のゲート-基板電圧がVTを下回って低減し、結果として、反転チャネルが形成されないピンチ・オフ領域が作成される。ピンチ・オフ領域において、ゲート-基板電圧は、反転層を形成するのに不十分であり、したがって、ピンチ・オフ領域は、移動性の少数担体を欠く空乏領域になる。しかしながら、反転チャネル150からピンチ・オフ領域に入る少数電荷担体は、ピンチ・オフ領域を横断する電圧電位(VDS)によってピンチ・オフ領域にわたってドレイン領域114へと加速される。
【0043】
上記で言及したように、読み出し動作中に飽和モードにおいてFeFET装置100を動作させるプロセスは、例えば、ソース領域112に隣接する短くなった反転チャネル150に実質的に位置整合されている強誘電体層130の領域(例えば、R1)内の残留分極の極性に基づいて、FeFET装置100の異なる閾電圧間のより大きい変調および差別化を可能にする。特に、上記で説明したように、FeFET装置100の閾電圧間の変調および差別化は、
図2Cおよび
図2Dに示すように、FeFET装置100の部分分極状態においてより有意であり、ここで、ソース領域112に隣接する強誘電体層130の第1の領域R1(「ピンチ・オフ」反転チャネル150に実質的に位置整合されている)内の残留分極の極性は、ドレイン領域114に隣接する強誘電体層130の第2の領域R2(ピンチ・オフ領域に実質的に位置整合されている)内の残留分極の極性が実効閾電圧V
T3およびV
T4に対して及ぼす最小の変調効果と比較して、それぞれ実効閾電圧V
T3およびV
T4の大きさに対してより大きい変調効果、および、それらの間のより大きい差別化を提供する。言い換えれば、ドレイン領域114に隣接する強誘電体層130の第2の領域R2内の残留分極の極性は、FeFET装置100の閾電圧V
Tに対するいくらかの変調効果を有する一方で、ソース領域112に隣接する強誘電体層130の第1の領域R1内の残留分極の極性は、FeFET装置100が飽和モードにある状態で読み出し動作が実施される場合に、FeFET装置100の閾電圧V
Tに対してより大きい変調効果を有する。
【0044】
図3Cは、本開示の例示的な実施形態による、マルチ・レベルFeFET装置の読み出し動作の実施と関連付けられる動作条件およびパラメータを示す表320を含む。より具体的には、
図3Cは、(i)
図2A~
図2Dに示すようなFeFET装置100の異なる分極状態に相関付けられる異なる閾電圧V
T1、V
T2、実効V
T3、および実効V
T4、(ii)それぞれの閾電圧V
T1、V
T2、実効V
T3、および実効V
T4に相関付けられる異なる基準電流I
D1、I
D2、I
D3、およびI
D4、ならびに(iii)FeFET装置100のそれぞれの閾電圧V
T1、V
T2、実効V
T3、および実効V
T4に符号化されている論理二値状態(0,0)、(1,1)、(0,1)、および(1,0)を示す。いくつかの実施形態において、基準電流I
D1、I
D2、I
D3、およびI
D4は、固定VG_Readがゲート/WLに印加され、固定VD_Readがドレイン/BLに印加され、ソース/基板が接地(0V)に接続されている状態で、FeFET装置100が読み出し動作中に飽和モードにおいて動作されるときに、異なる閾電圧V
T1、V
T2、実効V
T3、および実効V
T4に基づいてFeFET装置100によって生成される、予期されるドレイン電流I
Dを表す。
【0045】
いくつかの実施形態において、読み出し動作中、FeFET装置100の論理状態は、飽和モードにおいて動作しているときにFeFET装置100によって生成されるドレイン電流IDを検知し、次いで、検知されたドレイン電流IDを基準電流ID1、ID2、ID3、およびID4の各々と比較して、検知された電流IDと関連付けられる論理状態を判定することによって決定される。比較プロセスは、例えば、電流モード・センス増幅器の実装、および他の既知の方法などの、既知の技法を使用して実施することができる。比較は、検知された電流IDの大きさが所与の基準電流の大きさと同じまたは類似すると(所与のマージン以内で)判定される場合に、検知された電流IDが所与の基準電流ID1、ID2、ID3、またはID4に一致するとみなされるように、実施される。
【0046】
V
T1>実効V
T3>実効V
T4>V
T2である例示的な実施形態において、基準電流の大きさは、I
D2>I
D4>I
D3>I
D1だけ異なる。異なる基準電流の大きさは、FeFET装置100が読み出し動作中に飽和モードにおいて動作されるときに、FeFET装置100のそれぞれの異なる分極状態(
図2A~
図2D)の結果として読み出し動作中に生成されるドレイン電流I
Dの予期される大きさを表す。FeFET装置100が飽和モードにある状態で単一の読み出し動作を実施する結果として生成されるドレイン電流I
Dを検知することによってFeFET装置100の異なる部分分極状態(例えば、
図2Cおよび
図2Dに示すような異なる部分分極状態200-3および200-4)間で十分に区別するための異なる実効閾電圧V
T3およびV
T4間のマージンまたは差異が不十分である事例が存在し得る(例えば、システム・ノイズ、またはプログラミングに起因する異なる領域R1およびR2内の部分分極の量の変動など)。
【0047】
そのような事例では、他の実施形態において、FeFET装置の部分分極状態(または二値論理状態)は、反対の極性の読み出し電圧が第1のソース/ドレイン領域112および第2のソース/ドレイン領域114に印加される2つの読み出し動作を実施することによって、マルチ・レベルFeFET装置の第1の領域R1および第2の領域R2内に存在する異なる閾電圧(例えば、V
T_R1およびV
T_R2)を読み出すことによって判定される。例えば、FeFET装置100の部分分極状態を読み出すために、FeFET装置100が飽和モードにあって、第1の領域R1(閾電圧V
T_R1を有する)と実質的に位置整合されているピンチ・オフ反転チャネルによって生成される第1のドレイン電流I
D_R1を検知するための第1の読み出し動作(第1の読み出し極性)が実施される。FeFET装置100が飽和モードにあって、第2の領域R2(閾電圧V
T_R1を有する)と実質的に位置整合されているピンチ・オフ反転チャネルによって生成される第2のドレイン電流I
D_R2を検知するための第2の読み出し動作(第2の読み出し極性)が実施される。第1のドレイン電流I
D_R1と第2のドレイン電流I
D_R2との大きさが比較される。第1のドレイン電流I
D_R1の大きさが第2のドレイン電流の大きさよりも小さいと判定されるとき(I
D_R1<I
D_R2)、V
T_R1>V
T_R2であり、FeFET装置100が
図2Cに示すような部分分極状態200-3を有すると判定することができる。他方、第1のドレイン電流I
D_R1の大きさが第2のドレイン電流の大きさよりも大きいと判定されるとき(I
D_R1>I
D_R2)、V
T_R1<V
T_R2であり、FeFET装置100が
図2Dに示すような部分分極状態200-4を有すると判定することができる。
【0048】
例えば、
図3Dおよび
図3Eは、本開示の別の例示的な実施形態による、マルチ・レベルFeFET装置の状態を判定するための読み出し動作を実施するための方法を概略的に示す。例示を目的として、
図3Dおよび
図3Eは、(第1のソース/ドレイン領域112に隣接する)強誘電体層130の第1の領域R1が、第1の極性を有する残留分極(例えば、正味の負の強誘電体分極)を有し、(第2のソース/ドレイン領域114に隣接する)強誘電体層130の第2の領域R2が、第2の極性を有する残留分極(例えば、正味の正の強誘電体分極)を有する、
図2Cに示すFeFET装置の第3の分極極性200-3(例えば、部分分極状態)を判定するための読み出し動作を実施するための方法を概略的に示す。部分分極状態200-3によれば、第1の領域R1が、第1の領域R1内の残留分極の第1の極性に対応する閾電圧V
T_R1を有し、第2の領域R2が、第2の領域内の残留分極の第2の極性に対応する閾電圧V
T_R2を有すると仮定され、V
T_R1>V
T_R2である。
【0049】
FeFET装置100の部分分極状態を読み出すために、FeFET装置100が飽和モードにあって、第1の領域R1(閾電圧V
T_R1を有する)と実質的に位置整合されているピンチ・オフ反転チャネルによって生成される第1のドレイン電流I
D_R1を検知するための第1の読み出し動作(第1の読み出し極性)が実施される。例えば、
図3Dに示すように、第1の読み出し構成において、第1のソース/ドレイン領域112は、ソース領域(ソース線SLに接続されている)として構成され、第2のソース/ドレイン領域114は、ドレイン領域(ビット線BLに接続されている)として構成され、ここで、ソース線SLが接地電圧GNDに接続された状態で正電圧VG_Readがワード線WLに印加され(結果、正のV
GSがゲート電極140および第1のソース/ドレイン領域112間に印加される)、正電圧VD_Readがビット線BLに印加される(結果、第1のソース/ドレイン領域112が接地電圧GNDに接続された状態で正電圧V
DSが第2のソース/ドレイン領域114に印加される)。
図3Dに示す第1の読み出し構成によれば、読み出し動作は、第1のソース/ドレイン領域112から延在する、結果生じるピンチ・オフ反転チャネル150-3に位置整合されている第1の領域R1の閾電圧V
T_R1に主に基づいて、読み出し電流I
D_R1を生成する。
【0050】
次に、FeFET装置100が飽和モードにあって、第2の領域R2(閾電圧V
T_R2を有する)と実質的に位置整合されているピンチ・オフ反転チャネルによって生成される第2のドレイン電流I
D_R2を検知するための第2の読み出し動作(第2の読み出し極性)が実施される。例えば、
図3Eに示すように、第2の読み出し構成において、第1のソース/ドレイン領域112は、ドレイン領域(ソース線SLに接続されている)として構成され、第2のソース/ドレイン領域114は、ソース領域(ビット線BLに接続されている)として構成され、ここで、ビット線BLが接地電圧GNDに接続された状態で正電圧VG_Readがワード線WLに印加され(結果、正V
GSがゲート電極140および第2のソース/ドレイン領域114間に印加される)、正電圧VD_Readがソース線SLに印加される(結果、第2のソース/ドレイン領域114が接地電圧GNDに接続された状態で正電圧V
DSが第1のソース/ドレイン領域112に印加される)。
図3Eに示す第2の読み出し構成によれば、読み出し動作は、第2のソース/ドレイン領域114から延在する、結果生じるピンチ・オフ反転チャネル150-3’に位置整合されている第2の領域R2の閾電圧V
T_R2に主に基づいて、読み出し電流I
D_R2を生成する。
【0051】
図3Dおよび
図3Eに示す例示的な読み出し動作によれば、FeFET装置100は、第1の領域R1の閾電圧V
T_R1が第2の領域R2の閾電圧V
T_R2よりも大きい部分分極状態200-3を有するため、第1の読み出し動作によって生成される読み出し電流I
D_R1は、第2の読み出し動作によって生成される読み出し電流I
D_R2よりも小さくなる。I
D_R1<I
D_R2であるとすると、V
T_R1>V
T_R2であり、FeFET装置100が
図2Cに示すような部分分極状態200-3を有すると判定することができる。
【0052】
第1の読み出し動作(
図3Dの読み出し構成)は、FeFET装置100が
図2Cおよび
図2Dに示すような部分分極状態(例えば、200-3または200-4)を有する場合で、部分分極状態200-3および200-4(
図3C参照)に対して規定されている複数の基準電流のうちの1つに対応する検知ドレイン電流をもたらす場合には、
図3Dおよび
図3Eに示すような二重読み出し動作は必要ないことは理解されたい。その上、FeFET装置100が
図2Aおよび
図2Bに示すような完全分極状態(例えば、200-1または200-2)を有するとき、
図3Dおよび
図3Eに示すような二重読み出し動作は必要ないことは理解されたい。そのような状況において、第1の構成(例えば、
図3Aおよび
図3D)によって読み出し動作を実施することによって、第2の構成(例えば、
図3E)によって第2の読み出し動作を実施することによって生成されるドレイン電流と同じまたは実質的に同じであるドレイン電流が生成される。
【0053】
特に、
図2Aに示す分極状態200-1について、異なる読み出し極性によって二重読み出し動作を実施することによって、領域R1とR2の両方において同じである、FeFET装置100の第1の閾電圧V
T1に起因して、同じ(または実質的に同じ)検知ドレイン電流I
D1がもたらされる。同様に、
図2Bに示す分極状態200-2について、異なる読み出し極性によって二重読み出し動作を実施することによって、領域R1とR2の両方において同じである、FeFET装置100の第2の閾電圧V
T2に起因して、同じ(または実質的に同じ)検知ドレイン電流I
D2がもたらされる。いくつかの実施形態において、FeFET装置が完全分極状態を有する場合であっても、FeFET装置100が完全分極状態(例えば、状態(0,0)または状態(1,1))を有することを確認するために、反対の読み出し極性による二重読み出し動作を実施することができる。そのような状況において、二重読み出し動作が実施され、第1のドレイン電流および第2のドレイン電流の大きさが実質的に等しいと判定される場合、FeFET装置100の論理状態を判定するために、第1の電流および第2の電流は、FeFET装置のそれぞれの論理状態に対応する基準電流と比較される。FeFET装置100は、第1のドレイン電流および第2のドレイン電流と同じまたは実質的に同じであると判定される基準電流に対応する論理状態を有する。
【0054】
図4A、
図4B、
図4C、および
図4Dは、本開示の例示的な実施形態による、マルチ・レベルFeFET装置の複数の異なる状態をプログラムするための方法を概略的に示す。より具体的には、
図4A、
図4B、
図4C、および
図4Dは、第1のプログラミング電圧VP1を使用して、FeFET装置100の、それぞれ異なる分極状態200-1、200-2、200-3、200-4(
図2A~
図2Dに示すような)をプログラムするための方法400-1、400-2、400-3、および400-4を概略的に示し、ここで、強誘電体層130の異なる領域R1およびR2を独立してプログラムすることができる。
図4A~
図4Dは、FeFET装置100にデータ(例えば、2ビットのデータ)を書き込むための方法を示す。
【0055】
例えば、
図4Aは、第1の分極状態200-1(
図2A)を有するようにFeFET装置100をプログラムするための例示的な方法400-1を概略的に示す。いくつかの実施形態において、プログラミング方法400-1は、ゲート電極140(またはワード線WL)を接地電圧GND(例えば、V=0)に接続することと、第1のプログラミング電圧+VP1をソース領域112(またはソース線SL)とドレイン領域114(またはビット線BL)の両方に印加することとを含み、ここで、+VP1は、
図4Aに示すように、すべての領域(例えば、R1およびR2)内の強誘電体分極を第1の極性に変化させるのに十分な大きさおよび持続時間(パルス幅)を有する。この方法において、第1のプログラミング電圧VP1の大きさは、強誘電体層130の強誘電体ドメイン(例えば、領域R1およびR2)の抗電圧以上である。上記で言及したように、領域R1およびR2は、別個の自発分極の強誘電体ドメインを含み得るが、いくつかの実施形態において、強誘電体ドメインは、同じまたは実質的に同じ抗電場特性を有するように構成され、結果、ゲート電極140が接地電圧GNDに接続された状態で+VP1をソース領域112およびドレイン領域114に印加することによって、領域R1とR2の両方の強誘電体分極状態を同時に(すなわち、同じプログラミング・サイクルにおいて)切り替えることができる。別の実施形態において、第1の分極状態200-1(
図2A)を有するようにFeFET装置100をプログラムすることは、例えば、ソース領域112とドレイン領域114の両方を接地電圧GNDに接続し、所与の持続時間にわたって負プログラミング電圧-VP1をゲート電極140(またはワード線WL)に印加することによって達成することができる。
【0056】
次に、
図4Bは、第2の分極状態200-2(
図2B)を有するようにFeFET装置100をプログラムするための例示的な方法400-2を概略的に示す。いくつかの実施形態において、プログラミング方法400-2は、ソース領域112(またはソース線SL)とドレイン領域114(またはビット線BL)の両方を接地電圧GNDに接続することと、第1のプログラミング電圧+VP1をゲート電極140(またはワード線)に印加することとを含み、ここで、+VP1は、
図4Bに示すように、すべての領域(例えば、R1およびR2)内の強誘電体分極を第2の極性に変化させるのに十分な大きさおよび持続時間(パルス幅)を有する。この方法において、ソース領域112とドレイン領域114の両方が接地電圧GNDに接続された状態で第1のプログラミング電圧+VP1をゲート電極140に印加することによって、領域R1とR2の両方の強誘電体分極状態が同時に(すなわち、同じプログラミング・サイクルにおいて)切り替えられる。
【0057】
次に、
図4Cは、第3の分極状態200-3(
図2C)を有するようにFeFET装置100をプログラムするための例示的な方法400-3を概略的に示す。特に、例示を目的として、
図4Cは、FeFET装置100の分極状態を第2の分極状態200-2(
図2Bおよび
図4Bに示すような)から第3の分極状態200-3(
図2C)に変化させるように実施することができるプログラミング動作を示す。いくつかの実施形態において、プログラミング方法400-3は、ゲート電極140(またはワード線WL)とドレイン領域114(またはビット線BL)の両方を接地電圧GND(例えば、V=0)に接続することと、第1のプログラミング電圧+VP1を十分な持続時間(パルス幅)にわたってソース領域112(またはソース線SL)に印加して、第2の領域R2内の残留分極を第2の極性のままにしながら、第1の領域R1内の強誘電体分極を第2の極性から第1の極性に切り替えることとを含む。このプロセスによれば、ソース-ゲート電圧+VP1が、第1の領域R1内の強誘電体極性の切り替えを引き起こし、一方、0Vのドレイン-ゲート電圧電位は、第2の領域R2内の強誘電体極性を変化させるには不十分である。このように、強誘電体層130の第1の領域R1は、強誘電体層130の第2の領域R2から独立してプログラムすることができる。
【0058】
次に、
図4Dは、第4の分極状態200-4(
図2D)を有するようにFeFET装置100をプログラムするための例示的な方法400-4を概略的に示す。特に、例示を目的として、
図4Dは、FeFET装置100の分極状態を第2の分極状態200-2(
図2Bおよび
図4Bに示すような)から第4の分極状態200-4(
図2D)に変化させるように実施することができるプログラミング動作を示す。いくつかの実施形態において、プログラミング方法400-4は、ゲート電極140(またはワード線WL)とソース領域112(またはソース線SL)の両方を接地電圧GND(例えば、V=0)に接続することと、第1のプログラミング電圧+VP1を十分な持続時間(パルス幅)にわたってドレイン領域114(またはビット線BL)に印加して、第1の領域R1内の残留分極を第2の極性のままにしながら、第2の領域R2内の強誘電体分極を第2の極性から第1の極性に切り替えることとを含む。このプロセスによれば、ドレイン-ゲート電圧+VP1が、第2の領域R2内の強誘電体極性の切り替えを引き起こし、一方、0Vのソース-ゲート電圧電位は、第1の領域R1内の強誘電体極性を変化させるには不十分である。このように、強誘電体層130の第2の領域R2は、強誘電体層130の第1の領域R1から独立してプログラムすることができる。
【0059】
いくつかの実施形態において、
図4A~
図4Dに示すプログラミング方法は、複数の異なる領域R1およびR2が明確に異なるサイズを有する「加工された(engineered)」強誘電体ドメインを含む場合に実施される。他の実施形態においては、強誘電体層130がありのままで、多くの強誘電体ドメインを有する場合に、
図4A~
図4Dの同じまたは類似のプログラミング方法を適用することができ、ここで、強誘電体層130の分極状態のプログラミングが部分分極切り替え技法を使用して実施される。そのような技法によれば、強誘電体層130の分極状態をプログラミングするためのプロセスは、+VP1の1つまたは複数のプログラミング・パルスから成るシーケンスを、増大するプログラミング・パルス・カウントを用いて、ソース領域112またはドレイン領域114に印加して、ソース領域112またはドレイン領域114に隣接する所与の領域(例えば、R1およびR2)内の分極の正味の極性を増分的に増大または増分的に低減することを含むであろう。
【0060】
例えば、
図4Eおよび
図4Fは、本開示の別の例示的な実施形態による、マルチ・レベルFeFET装置の複数の異なる状態をプログラムするための方法を概略的に示す。より具体的には、
図4Eおよび
図4Fは、それぞれ追加の閾電圧Vt5およびVt6によって符号化されるFeFET装置100の追加の分極状態を達成するための代替の実施形態を概略的に示す。この実施形態において、
図4A~
図4Fのプログラミング動作を実施するプログラミング方式は、FeFET装置100が6つの異なる状態のうちの1つにプログラムされることを可能にする。
【0061】
特に、
図4Eは、Vt5によって符号化される追加の分極状態を得るために第1の領域R1’内の正味の分極を増大させるための、
図4Cのプロセス400-3の改変である、プログラミング・プロセス400-5を概略的に示す。プログラミング・プロセス400-5は、2つ以上の連続したプログラミング・パルス+VP1をソース領域112に印加することによって実施することができ、ここで、増大する数のプログラミング・パルス+VP1が、ソース領域112に隣接する強誘電体層130の領域内の部分分極切り替えを増大させる役割を果たし、それによって、ソース領域112に隣接する分極の量が増分的に増大して、
図4Cに示すような第1の分極領域R1よりも大きい、異なる分極領域R1’が達成される。加えて、プログラミング・プロセス400-5の結果として、
図4Cに示すような第2の分極領域R2よりも小さい、ドレイン領域114に隣接する異なるサイズの分極領域R2’がもたらされる。いくつかの実施形態において、ソース領域112に印加されるプログラミング・パルス+VP1の振幅または持続時間あるいはその両方は、ソース領域112に隣接する強誘電体層130の強誘電体ドメインの部分分極切り替えの増大を引き起こすように変調することができる。
【0062】
同様に、
図4Fは、Vt6によって符号化される追加の分極状態を得るために第2の領域R2’内の正味の分極を増大させるための、
図4Dのプロセス400-4の改変である、プログラミング・プロセス400-6を概略的に示す。プログラミング・プロセス400-6は、2つ以上の連続したプログラミング・パルス+VP1をドレイン領域114に印加することによって実施することができ、ここで、増大する数のプログラミング・パルス+VP1が、ドレイン領域114に隣接する強誘電体層130の領域内の部分分極切り替えを増大させる役割を果たし、それによって、ドレイン領域114に隣接する領域内の分極の量が増分的に増大して、
図4Dに示すような第2の分極領域R2よりも大きい、異なる分極領域R1’が達成される。加えて、プログラミング・プロセス400-6の結果として、
図4Dに示すような第1の分極領域R2よりも小さい、ソース領域112に隣接する異なるサイズの分極領域R1’がもたらされる。いくつかの実施形態において、ドレイン領域114に印加されるプログラミング・パルス+VP1の振幅または持続時間あるいはその両方は、ドレイン領域114に隣接する強誘電体層130の強誘電体ドメインの部分分極切り替えの増大を引き起こすように変調することができる。
【0063】
他の実施形態において、
図4Eおよび
図4Fは、4つの異なる状態を有するマルチ・レベルFeFET装置100においてFeFET装置100の部分分極状態をプログラムするために使用することができるプログラミング方法を示す。特に、
図4Eおよび
図4Fに示すプログラミング方法は、
図2A~
図2Dとともに上述したFeFET装置100の例示的な4つの状態の実効閾電圧V
T3およびV
T4をさらに差別化するように、FeFET装置100の(0,1)および(1,0)論理状態をプログラムするために使用することができる。この場合、異なる領域R1およびR2の「サイズ」は、例えば、異なるドレイン電流I
D1、I
D2、I
D3、およびI
D4の読み出し電流を互いからより区別可能にし、より均等に間隔があけられるように調節することができる。
【0064】
図5Aおよび
図5Bは、本開示の別の例示的な実施形態による、マルチ・レベルFeFET装置の複数の異なる状態をプログラムするための方法を概略的に示す。より具体的には、
図5Aおよび
図5Bは、VP2>VP1(例えば、VP2=2×VP1)であるとして、第1のプログラミング電圧VP1および第2のプログラミング電圧VP2を使用して、FeFET装置100の、それぞれ異なる分極状態200-3および200-4(
図2Cおよび
図2Dに示すような)をプログラムするための方法500-1および500-2を概略的に示す。
図5Aおよび
図5Bのプログラミング方法は、強誘電体層130の第1の領域R1および第2の領域R2が、反対の分極極性を有しながら、同時に(すなわち、同じプログラミング・サイクルにおいて)プログラムされることを可能にする。
【0065】
例えば、
図5Aは、第3の分極状態200-3(
図2C)を有するようにFeFET装置100をプログラムするための例示的な方法500-1を概略的に示す。特に、例示を目的として、
図5Aは、FeFET装置100の分極状態を第4の分極状態200-4(
図2D)から第3の分極状態200-3(
図2C)に変化させるように実施することができるプログラミング動作を示す。いくつかの実施形態において、プログラミング方法500-1は、ドレイン領域114(またはビット線BL)を接地電圧GND(例えば、V=0)に接続することと、第1のプログラミング電圧+VP1をゲート電極140(またはワード線WL)に印加することと、第2のプログラミング電圧+VP2をソース領域112(またはソース線SL)に印加することとを含み、ここで、+VP1および+VP2は、両方の領域R1およびR2内の強誘電体分極を切り替えるのに十分な持続時間(パルス幅)にわたって印加される。特に、プログラミング方法500-1は、第1の領域R1内の強誘電体分極が、第2の極性から第1の極性に切り替わるようにし、第2の領域R2内の強誘電体分極が、第1の極性から第2の極性に切り替わるようにし、結果として、FeFET装置100が第3の分極状態200-3を有するようにする。
【0066】
図5Aのプログラミング方法500-1によれば、+VP1のゲート-ドレイン電圧電位は第2の領域R2内の強誘電体極性を第1の極性から第2の極性へと切り替えるのに十分であり、一方、ソース-ゲート電圧[(+VP2)-(+VP1)]は、第1の領域R1内の強誘電体極性を第2の極性から第1の極性へと切り替えるのに十分である。両方の領域R1およびR2内の強誘電体ドメインがVP1以下である抗電圧を有すると仮定すると、第2のプログラミング電圧VP2は、電圧差がVP2-VP1≧VP1であるように、少なくとも2×VP1の大きさを有するべきである。
【0067】
次に、
図5Bは、第4の分極状態200-4(
図2D)を有するようにFeFET装置100をプログラムするための例示的な方法500-2を概略的に示す。特に、例示を目的として、
図5Bは、FeFET装置100の分極状態を第3の分極状態200-3(
図2C)から第4の分極状態200-4(
図2D)に変化させるように実施することができるプログラミング動作を示す。いくつかの実施形態において、プログラミング方法500-2は、ソース領域112(またはソース線SL)を接地電圧GND(例えば、V=0)に接続することと、第1のプログラミング電圧+VP1をゲート電極140(またはワード線WL)に印加することと、第2のプログラミング電圧+VP2をドレイン領域114(またはビット線BL)に印加することとを含み、+VP1および+VP2は、両方の領域R1およびR2内の強誘電体分極を切り替えるのに十分な持続時間(パルス幅)にわたって印加される。特に、プログラミング方法500-2は、第1の領域R1内の強誘電体分極が、第1の極性から第2の極性に切り替わるようにし、第2の領域R2内の強誘電体分極が、第2の極性から第1の極性に切り替わるようにし、結果として、FeFET装置100が第4の分極状態200-4を有するようにする。
【0068】
図5Bのプログラミング方法500-2によれば、ゲート-ソース電圧+VP1は第1の領域R1内の強誘電体極性を第1の極性から第2の極性へと切り替えるのに十分であり、一方、ドレイン-ゲート電圧[(+VP2)-(+VP1)]は、第2の領域R2内の強誘電体極性を第2の極性から第1の極性へと切り替えるのに十分である。ここでも、両方の領域R1およびR2内の強誘電体ドメインが同じ(または実質的に同じ)抗電圧(VP1以下)を有すると仮定すると、第2のプログラミング電圧VP2は、電圧差がVP2-VP1≧VP1であるように、少なくとも2×VP1の大きさを有するべきである。プログラミング方法500-1および500-2は、両方の領域R1およびR2が、FeFET装置100が目標の分極状態200-3または200-4のうちの一方を有するようにプログラムするための極性の切り替えを必要とする場合に、領域R1とR2の両方における強誘電体分極の極性の、反対の極性への同時切り替えを可能にするための例示的な実施形態を提供する。他の実施形態において、上述したように、
図4A~
図4Dのプログラミング方法を使用して、2つの別個のプログラミング動作において異なる領域R1およびR2を独立してプログラムすることができる。
【0069】
図6は、本開示の例示的な実施形態による、マルチ・レベルFeFET装置を使用して実装される不揮発性メモリ・セルを備えるメモリ装置を概略的に示す。より具体的には、
図6は、メモリ・セル・アレイ610と、行制御回路620と、列制御回路630と、制御信号ブロック640と、アドレス・デコーダ650とを備えるメモリ装置600を概略的に示す。メモリ・セル・アレイ610は、n行およびm列から成るn×mアレイに配列されている複数の不揮発性メモリ・セル612を備える。いくつかの実施形態において、各メモリ・セル612は、FeFET装置がアクセス(選択)トランジスタと記憶要素の両方として動作する1トランジスタ(1-T)アーキテクチャを備える。いくつかの実施形態において、各メモリ・セル612は、上述したFeFET装置100と同じまたは類似するマルチ・レベルFeFET装置を備え、結果、各メモリ・セル612が少なくとも4つの異なる二値論理状態を記憶することができる。
【0070】
メモリ・セル・アレイ610は、行方向に延在する複数(n)のワード線WL1、WL2、....、WLn(またはより一般的にはワード線WL)を備える。各ワード線WLは、所与の行内のメモリ・セル610のm個のFeFET装置のゲート端子に接続されている。メモリ・セル・アレイ610は、複数(m)のソース線SL1、SL2、...、SLm(またはより一般的にはソース線SL)、および、複数(m)のビット線BL1、BL2、...、BLm(またはより一般的にはビット線BL)を備える。メモリ・セル・アレイ610内の各列は、少なくとも1つのソース線SLおよび少なくとも1つのビット線BLを備える。所与の列において、各ソース線SLが、所与の列内のメモリ・セル610のn個のFeFET装置のソース端子に接続されており、各ビット線BLが、所与の列内のメモリ・セル610のn個のFeFET装置のドレイン端子に接続されている。
図6に具体的には示されていないが、いくつかの実施形態において、各列は、列内のメモリ・セル612内のFeFET装置のボディ端子またはウェル端子に接続されている別の制御線を有する。これによって、メモリ・セル612のFeFET装置のボディ基板またはウェルが、プログラミングおよび読み出し動作中に、または、アイドル期間中に、必要に応じてバイアスされることが可能になる。
【0071】
行制御回路620は、ワード線デコーダ回路622およびワード線電圧ドライバ回路624を備える。列制御回路630は、列デコーダ回路632、ビット線・ソース線電圧ドライバ回路634、およびビット線センス増幅器回路636を備える。制御ブロック640は、行制御回路620および列制御回路630を制御するための制御信号を生成するように構成されている回路を備える。アドレス・デコーダ650は、ホストから外部アドレスを受信し、そのアドレスを物理アドレスに復号するように構成されており、物理アドレスは、データ・アクセス動作(例えば、読み出しおよび書き込み動作)を実施するための1つまたは複数のメモリ・セル612を選択するために行制御回路620および列制御回路630に提供される。
【0072】
行制御回路620は、読み出しおよび書き込み動作を実施するためのワード線WLの活性化/非活性化を制御するように構成されている。より具体的には、ワード線デコーダ回路622は、アドレス・デコーダ650から受信されるアドレスを復号し、復号されたアドレスに基づいていずれのワード線WLを活性化させるべきかを判定するように構成されている。ワード線電圧ドライバ回路624は、読み出しおよび書き込み動作中にワード線WLを駆動するための電圧信号(例えば、電圧パルス)を生成するように構成されている。例えば、いくつかの実施形態において、ワード線電圧ドライバ回路624は、(i)読み出し動作を実施するときに第1の電圧VG_Readを生成し(例えば、
図3A~
図3E)、(ii)書き込み動作を実施するときに例えばVP1、VP2、GNDなどのプログラミング電圧を生成し(例えば、
図4A~
図4F、
図5Aおよび
図5B)、(iii)所与のデータ・アクセス動作中、および、メモリ600が利用されていないアイドル時間中に選択されていないワード線に印加される他の電圧を生成するように構成されている。行制御回路620は、ワード線デコーダ回路622およびワード線電圧ドライバ回路624の動作を制御するための、限定ではないが、クロック信号、書き込みイネーブル信号、読み出しイネーブル信号、アドレス復号イネーブル信号などを含む複数の制御信号を、制御信号ブロック640から受信する。
【0073】
列制御回路630は、読み出しおよび書き込み動作を実施するためにソース線SLおよびビット線BL(ならびに基板ボディ/ウェル制御線)の活性化/非活性化を制御するように構成されている。より具体的には、列デコーダ回路632は、アドレス・デコーダ650から受信されるアドレスを復号し、復号されたアドレスに基づいていずれの列(例えば、ソース線SLおよびビット線BL)を活性化させるべきかを判定するように構成されている。ビット線・ソース線電圧ドライバ回路634は、読み出しおよび書き込み動作中にソース線SLおよびビット線BLを駆動するための電圧信号(例えば、電圧パルス)を生成するように構成されている。例えば、いくつかの実施形態において、ビット線・ソース線電圧ドライバ回路634は、(i)読み出し動作を実施するときに第2の電圧VD_Readを生成して、ビット線BLおよびソース線SL(例えば、第1のソース/ドレイン端子112および第2のソース/ドレイン端子114)を駆動し、選択されたメモリ・セル612の所与のFeFET装置を飽和モードにおいて動作させ(例えば、
図3A~
図3E)、(ii)書き込み(プログラミング)動作を実施するときに例えばVP1、VP2、GNDなどのプログラミング電圧を生成してソース線SLおよびビット線BLを駆動し(例えば、
図4A~
図4D、
図5Aおよび
図5B)、(iii)所与のデータ・アクセス動作中、および、メモリ装置600が利用されていないアイドル時間中に選択されていない列のソース線SLおよびビット線BLに印加される他の電圧を生成するように構成されている。
【0074】
さらに、ビット線センス増幅器回路636は、所与のメモリ・セル612の状態を判定するために、読み出し動作中に所与のビット線BL上で所与のメモリ・セル612から出力されるドレイン電流I
Dを読み出すかまたは他の様態で検知するように構成されている。例えば、いくつかの実施形態において、ビット線センス増幅器回路636は、検知された電流I
Dを複数の基準電流I
D1、I
D2、I
D3、およびI
D4の各々と比較して、検知された電流I
Dと関連付けられる論理状態を判定するように構成されている(例えば、
図3C参照)。列制御回路630は、列制御回路630の動作を制御するための、限定ではないが、クロック信号、書き込み/読み出しイネーブル信号、アドレス復号イネーブル信号などを含む複数の制御信号を、制御信号ブロック640から受信する。
【0075】
図6の例示的な実施形態は、1T FeFET(または1F)構成を備えるメモリ・セル612の文脈において記載されているが、本明細書に記載されている例示的なマルチ・レベルFeFET装置は、他の適切なタイプのメモリ・セル構成において実装することができることは理解されたい。その上、メモリ装置600は、様々な構成および用途において実装することができる。例えば、いくつかの実施形態において、メモリ装置600は、コンピューティング・システムまたは装置(例えば、サーバ・マシン、コンピュータ、モバイル装置など)の不揮発性システム・メモリとして実装される集積回路(IC)メモリ装置を含む。他の実施形態において、メモリ装置600は、コンピューティング・システムまたは装置のストレージ・リソース(例えば、ダイレクト・アタッチト・ストレージ(DAS)、ネットワーク接続ストレージ(NAS)など)として実装される。
【0076】
その上、回路ブロック620、630、640、および650が一般的に
図6において示されているが、回路ブロック620、630、640、および650は、所与の用途に適した不揮発性メモリ・システムを管理および制御するための既知の回路構成および技法を使用して実装することができることは理解されたい。さらに、回路ブロック620、630、640、および650は、メモリ・アレイを制御するための他の回路とともに、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)などとして実装することができる。加えて、様々な行および列の構成ならびに制御動作は、例えば、選択されたメモリ・セルのFeFET状態の非破壊読み出しを保証し、また、選択されていないメモリ・セルのFeFET装置のメモリ状態の外乱を防止するために、目標メモリ・セルの読み出し/書き込み動作を実施するためにワード線、ビット線およびソース線に電圧を印加することなど、プログラミングおよび読み出し動作がどのように実施されるかに応じて変化し得る。
【0077】
様々な回路ブロック620、630、640、および650ならびに関連付けられる機能は、集合的に、不揮発性メモリ・セル・アレイ610に動作可能に結合されており、限定ではないが、上述されており、
図3A~
図3E、
図4A~
図4F、
図5A、および
図5Bに概略的に示されているプログラミング技法および読み出し技法を使用して、不揮発性メモリ・セル612のFeFET装置をプログラムすること、および、不揮発性メモリ・セル612のFeFET装置の記憶されている論理状態を読み出すことを含む、様々な動作を実施するように構成されている制御システムを含むことは理解されたい。その上、制御システムは、メモリ管理機能を実装し、データ・アクセス動作を実施するための追加の構成要素(例えば、回路、プロセッサなど)を備え、ここで、そのような追加の構成要素は、限定ではないが、統合メモリ・コントローラ、メモリ/ストレージ・インターフェース回路などを含む。
【0078】
より具体的には、いくつかの実施形態において、メモリ装置600の制御システムは、ホスト・プロセッサと通信し、限定ではないが、ガベージ・コレクション、誤り訂正符号(ECC)、不良ブロック管理、および、統合メモリ・コントローラを使用して一般的に実装される他のタイプのメモリ管理機能を含むメモリ動作を管理するように構成されている統合メモリ・コントローラ(ハードウェア、ソフトウェア、またはファームウェアあるいはその組合せを含む)を含む。その上、制御システムは、ホスト・システムおよびプロセッサが、例えば、1つまたは複数の既知の通信プロトコルまたはストレージ制御プロトコルあるいはその両方を使用して、メモリ装置600とインターフェースし、通信することを可能にするためのメモリ/ストレージ・インターフェース回路を備える。そのようなプロトコルは、限定ではないが、アドバンスド・テクノロジー・アタッチメント(ATA)、シリアルATA(SATA)、外部SATA(eSATA)、パラレルATA(PATA)、不揮発性メモリ・エクスプレス(NVMe)、スモール・コンピュータ・システム・インターフェース(SCSI)、シリアル接続SCSI(SAS)、周辺機器相互接続エクスプレス(PCIe)、ファイバ・チャネルなどを含む。
【0079】
本明細書に記載されているFeFET装置は、様々な用途、ハードウェア、または電子システムあるいはその組合せにおいて利用することができることに理解されたい。本明細書に記載されている例示的な実施形態を実施するのに適したハードウェアおよびシステムは、限定ではないが、パーソナル・コンピュータ、通信ネットワーク、電子商取引システム、ポータブル通信装置(例えば、携帯電話)、ソリッド・ステート・メディア記憶装置、機能回路などを含んでもよい。そのような集積回路を組み込んだシステムおよびハードウェアは、本明細書に記載されている実施形態の一部と考えられる。本明細書において与えられている例示的な実施形態の教示を与えられると、当業者は、本明細書に記載されている技法および装置の他の実施態様および応用を企図することができるであろう。
【0080】
本開示の様々な実施形態の説明は、例示の目的のために提示されているが、網羅的であることも、開示されている実施形態に限定されることも意図されていない。説明されている実施形態の範囲から逸脱することなく、多くの修正および変形が当業者には明らかであろう。本明細書において使用されている用語は、実施形態の原理、実際の適用または市場に見出される技術にまさる技術的改善を最良に説明するため、または、当業者が本明細書において開示されている実施形態を理解することを可能にするために選択されている。