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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-10-16
(45)【発行日】2025-10-24
(54)【発明の名称】硬表面液体洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 17/08 20060101AFI20251017BHJP
   C11D 3/37 20060101ALI20251017BHJP
   C11D 1/68 20060101ALI20251017BHJP
   C11D 1/22 20060101ALI20251017BHJP
   C11D 3/34 20060101ALI20251017BHJP
   C11D 1/14 20060101ALI20251017BHJP
   C11D 1/29 20060101ALI20251017BHJP
【FI】
C11D17/08
C11D3/37
C11D1/68
C11D1/22
C11D3/34
C11D1/14
C11D1/29
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021190930
(22)【出願日】2021-11-25
(65)【公開番号】P2023077597
(43)【公開日】2023-06-06
【審査請求日】2024-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】永冶 恭司
(72)【発明者】
【氏名】森山 洋匡
【審査官】橋本 栄和
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-078134(JP,A)
【文献】特許第6960510(JP,B1)
【文献】特開2017-078130(JP,A)
【文献】特開2020-007437(JP,A)
【文献】特開2007-045991(JP,A)
【文献】特開2018-035251(JP,A)
【文献】特開2019-172819(JP,A)
【文献】特開2011-256385(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 17/08
C11D 3/37
C11D 1/68
C11D 1/22
C11D 3/34
C11D 1/14
C11D 1/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分:非石鹸系アニオン界面活性剤と、
(B)成分:カチオン化セルロースと、
(C)成分:下記一般式(C1)で表されるアルキルポリグルコシドと、を含有し、
前記(A)成分/前記(B)成分で表される質量比が0.5~300であり、
前記(C)成分/前記(B)成分で表される質量比が5~30であり、
25℃における粘度が30mPa・s未満である、硬表面液体洗浄剤組成物。
-O-[G]z ・・・(C1)
(式(C1)中、Rは炭素数8~20のアルキル基を表し、Gはグルコシド残基を表し、zは糖の重合度で、1~5の数を表す。)
【請求項2】
前記(A)成分がα-オレフィンスルホン酸又はその塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩、アルカンスルホン酸又はその塩、アルキル硫酸エステル又はその塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸又はその塩から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の硬表面液体洗浄剤組成物。
【請求項3】
前記(B)成分の含有量が、前記硬表面液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.01~0.1質量%である、請求項1又は2に記載の硬表面液体洗浄剤組成物。
【請求項4】
前記(A)成分の含有量が、前記硬表面液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.5~1.5質量%である、請求項1~3のいずれか一項に記載の硬表面液体洗浄剤組成物。
【請求項5】
前記(C)成分の含有量が、前記硬表面液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.5~1.5質量%である、請求項1~4のいずれか一項に記載の硬表面液体洗浄剤組成物。
【請求項6】
25℃におけるpHが9.0~11.0である、請求項1~5のいずれか一項に記載の硬表面液体洗浄剤組成物。
【請求項7】
浴室用である、請求項1~6のいずれか一項に記載の硬表面液体洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬表面液体洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室用洗浄剤には、洗浄からすすぎの一連の流れにおいて、掃除がより簡便となり、かつヌルつき等の不快感を緩和できることが求められている。
洗浄工程においては、洗浄剤を浴槽等へスプレーする際の手指への労力軽減の観点から一吹きでより広範囲へのスプレーが可能となる洗浄剤や、易洗浄といった観点から対象表面の汚れを除去しつつ汚れの一種である水滴跡(ウォータスポット)の発生抑制を付与する洗浄剤が求められる。
すすぎ工程においては、洗浄剤成分由来のヌルつきが低減されることが、不快感を緩和できる点から望ましい。
【0003】
このような観点から、噴霧直径が大きくスプレーパターンが広範囲にわたり、かつ、ウォータスポットの発生抑制性能を保持する機能を備えた上で、洗浄剤成分由来のヌルつきを低減できる液体洗浄剤組成物の開発が進められている。
例えば、特許文献1、2には、特定量の界面活性剤を2種類以上併用することで、ヌルつきを低減しつつ、洗浄性が改善された液体洗浄剤組成物が開示されている。
特許文献3には、グリセリルエーテル、マグネシウム、アニオン界面活性剤、水溶性高分子を特定の比率で組み合わせることで、ウォータスポットの発生を抑制しつつ、洗浄剤成分由来のヌルつきを低減した液体洗浄剤組成物が開示されている。
特許文献4には、特定量のアニオン界面活性剤と両性界面活性剤とを併用することで、液体洗浄剤組成物を広範囲にスプレーできるスプレー型洗浄製品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-143947号公報
【文献】特開2005-325167号公報
【文献】特開2005-264009号公報
【文献】特開2004-322078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、全ての要求を同時に満たす液体洗浄剤組成物は知られていない。
本発明は、噴霧直径が大きくスプレーパターンが広範囲にわたり、硬表面に対してウォータスポットの発生を抑制でき、かつ、ヌルつきを低減できる硬表面液体洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は以下の態様を有する。
[1] (A)成分:非石鹸系アニオン界面活性剤と、
(B)成分:カチオン化セルロースと、
(C)成分:下記一般式(C1)で表されるアルキルポリグルコシドと、を含有し、
前記(A)成分/前記(B)成分で表される質量比が0.5~300であり、
前記(C)成分/前記(B)成分で表される質量比が1~100であり、
25℃における粘度が30mPa・s未満である、硬表面液体洗浄剤組成物。
-O-[G]z ・・・(C1)
(式(C1)中、Rは炭素数8~20のアルキル基を表し、Gはグルコシド残基を表し、zは糖の重合度で、1~5の数を表す。)
[2] 前記(A)成分がα-オレフィンスルホン酸又はその塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩、アルカンスルホン酸又はその塩、アルキル硫酸エステル又はその塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸又はその塩から選ばれる少なくとも1種である、前記[1]の硬表面液体洗浄剤組成物。
[3] 前記(B)成分の含有量が、前記硬表面液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.01~1.0質量%であり、より好ましくは0.01~0.5質量%であり、さらに好ましくは0.01~0.1質量%である、前記[1]又は[2]の硬表面液体洗浄剤組成物。
[4] 前記(A)成分の含有量が、前記硬表面液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.1~5.0質量%であり、より好ましくは0.1~3.0質量%であり、さらに好ましくは0.5~1.5質量%である、前記[1]~[3]のいずれかの硬表面液体洗浄剤組成物。
[5] 前記(C)成分の含有量が、前記硬表面液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.1~2.0質量%であり、より好ましくは0.1~1.5質量%であり、さらに好ましくは0.5~1.5質量%である、前記[1]~[4]のいずれかの硬表面液体洗浄剤組成物。
[6] 25℃におけるpHが9.0~11.0である、前記[1]~[5]のいずれかの硬表面液体洗浄剤組成物。
[7] 浴室用である、前記[1]~[6]のいずれかの硬表面液体洗浄剤組成物。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、噴霧直径が大きくスプレーパターンが広範囲にわたり、硬表面に対してウォータスポットの発生を抑制でき、かつ、ヌルつきを低減できる硬表面液体洗浄剤組成物を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の硬表面液体洗浄剤組成物は、以下に示す(A)成分と、(B)成分と、(C)成分とを含有する組成物である。硬表面液体洗浄剤組成物は、水を含有していてもよい。また、硬表面液体洗浄剤組成物は、必要に応じて(A)成分、(B)成分、(C)成分及び水以外の成分(任意成分)をさらに含有してもよい。
【0009】
<(A)成分>
(A)成分は、非石鹸系アニオン界面活性剤である。
硬表面液体洗浄剤組成物が(A)成分を含有することで、硬表面に付着した湯垢汚れ、皮脂汚れ、タンパク汚れ等に対して、効果的な洗浄力を発揮できる。
なお、本発明において「非石鹸系アニオン界面活性剤」とは、高級脂肪酸又はその塩(いわゆる石鹸)を除くアニオン界面活性剤である。「高級脂肪酸」とは、炭素数8~24の飽和又は不飽和脂肪酸である。すなわち、(A)成分は、炭素数8~24の飽和又は不飽和脂肪酸又はその塩を除くアニオン界面活性剤である。
【0010】
(A)成分としては、例えばα-オレフィンスルホン酸又はその塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩、アルカンスルホン酸又はその塩、α-スルホ脂肪酸エステル又はその塩、内部オレフィンスルホン酸又はその塩、ヒドロキシアルカンスルホン酸又はその塩等のスルホン酸又はその塩;アルキル硫酸エステル又はその塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸又はその塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル又はその塩等の硫酸エステル又はその塩;アルキルエーテルカルボン酸又はその塩、ポリオキシアルキレンエーテルカルボン酸又はその塩、アルキルアミドエーテルカルボン酸又はその塩、アルケニルアミドエーテルカルボン酸又はその塩、アシルアミノカルボン酸又はその塩等のカルボン酸又はその塩;アルキルリン酸エステル又はその塩、ポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル又はその塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルリン酸エステル又はその塩、グリセリン脂肪酸エステルモノリン酸エステル又はその塩等のリン酸又はその塩などが挙げられる。
非石けん系アニオン界面活性剤の塩の形態としては、例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(マグネシウム塩等)、アルカノールアミン塩(モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩等)などが挙げられる。
これらの中でも、洗浄力がより高まる観点から、(A)成分としては、スルホン酸又はその塩、硫酸エステル又はその塩が好ましく、α-オレフィンスルホン酸又はその塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩、アルカンスルホン酸又はその塩、アルキル硫酸エステル又はその塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸又はその塩がより好ましく、α-オレフィンスルホン酸又はその塩がさらに好ましい。
(A)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0011】
(A)成分の市販品としては、例えばα-オレフィンスルホン酸ナトリウムとして商品名「リポランLJ441(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)」、直鎖アルキル(C12-C14)ベンゼンスルホン酸ナトリウムとして商品名「ライポンPS-230(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)」、アルカンスルホン酸ナトリウムとして商品名「HOSTAPUR SAS 93(クラリアント社製)」、アルキル硫酸ナトリウムとして商品名「アルスコープ LS-30(東邦化学工業株式会社製)」、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウムとして商品名「シノリンSPE-1250(新日本理化株式会社製)」などが挙げられる。
なお、「C12」等の「C」の後の数字は炭素数を意味し、以下同様である。
【0012】
(A)成分の含有量は、硬表面液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.1~5.0質量%が好ましく、0.1~3.0質量%がより好ましく、0.5~1.5質量%がさらに好ましくい。(A)成分の含有量が上記下限値以上であれば、洗浄力がより高まる。(A)成分の含有量が上記上限値以下であれば、洗浄剤成分由来のヌルつきをより低減できる。加えて、硬表面に液体洗浄剤組成物をスプレーした際の噴霧直径が小さくなりにくく、一吹きで広範囲にスプレーできる。
【0013】
<(B)成分>
(B)成分は、カチオン化セルロースである。
硬表面液体洗浄剤組成物が(B)成分を含有することで、硬表面液体洗浄剤組成物を硬表面にスプレーすると硬表面に親水性が付与される。その結果、すすぎ工程の際に水が硬表面上で膜状となりやすく、乾燥時に膜の状態で水が捌けていくため水滴が残りにくく、ウォータスポットの発生を抑制できる。特に、浴槽等に使用されるガラス繊維強化プラスチック(FRP)等の疎水性の硬表面に対して、効果的にウォータスポットの発生を抑制できる。係る理由は定かではないが、以下のように考えられる。
硬表面液体洗浄剤組成物が(A)成分に加えて(B)成分を含有することで、スプレー時に(A)成分と(B)成分とで複合体が形成される。(A)成分及び(B)成分は、それぞれ単独では親水性を示すが、複合体を形成することで疎水性も示すようになり、疎水性の硬表面に複合体が均一に付着しやすくなるとともに、(A)成分及び(B)成分本来の性質である親水性が硬表面に付与される。その結果、上述したようにすすぎ工程の際に水が硬表面上で膜状となりやすくなり、乾燥時に膜の状態で水が捌けていくため水滴が残りにくくなると考えられる。
【0014】
(B)成分としては、例えば、下記一般式(B1)で表される構成単位を有するカチオン化セルロース(以下「(B1)成分」という場合がある。)、下記一般式(B2)で表される構成単位を有するカチオン化セルロース(以下「(B2)成分」という場合がある。)、下記一般式(B3)で表される構成単位を有するカチオン化セルロース(以下「(B3)成分」という場合がある。)、下記一般式(B4)で表される構成単位を有するカチオン化セルロース(以下「(B4)成分」という場合がある。)などが挙げられる。
これらの中でも、硬表面(特に疎水性の硬表面)に対してウォータスポットの発生をより抑制できる観点から、(B1)成分が好ましい。
(B)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0015】
【化1】
【0016】
【化2】
【0017】
【化3】
【0018】
【化4】
【0019】
式(B1)中、s及びtはオキシエチレン基の平均付加モル数である。
式(B4)中、v及びwはオキシエチレン基の平均付加モル数である。
(B1)成分の質量平均分子量は、1万~数百万である。
(B2)成分の質量平均分子量は、1万~数十万である。
(B3)成分の質量平均分子量は、1万~数十万である。
(B4)成分の質量平均分子量は、1万~数百万である。
【0020】
(B)成分のカチオン化度は、0.5~2.2質量%が好ましく、1.5~2.2質量%がより好ましい。カチオン化度が上記範囲内であれば、硬表面(特に疎水性の硬表面)に対してウォータスポットの発生をより抑制できる。
ここで、「カチオン化度」とは、(B)成分の分子中に占める、カチオン化剤に由来する窒素原子の含有率(質量%)、すなわち、(B)成分の総質量に対する窒素原子の質量の割合を意味する。
【0021】
(B)成分のカチオン化度は、特定された化学構造に基づいて計算により求めることできる。(B)成分における構成単位の比率が不明な場合等、(B)成分の化学構造が特定されない場合には、(B)成分のカチオン化度は、実験的に求めた窒素含有率から算出される。(B)成分の窒素含有率の測定方法としては、ケルダール法を用いることができるが、便宜的に他の方法により測定してもよい。
【0022】
(B)成分は、25℃における1質量%水溶液の粘度が1~60mPa・sであることが好ましく、5~55mPa・sであることがより好ましく、10~50mPa・sであることがさらに好ましく、15~45mPa・sであることが特に好ましい。(B)成分の1質量%水溶液の粘度が上記範囲内であれば、シャワー等の流水ですすいで、硬表面液体洗浄剤組成物の濃度が低くなった際の水切れ性に優れる。
粘度は、25℃の(B)成分の1質量%の水溶液をB型粘度計で測定した値である。粘度の測定条件は、以下の通りである。
【0023】
測定条件:
[ローター]
測定対象の粘度に対応するローター番号、ローター回転数は、下記の通りである。
・粘度が100mPa・s未満:ローター番号No.1、回転数60rpm。
・粘度が100mPa・s以上500mPa・s未満:ローター番号No.2、回転数60rpm。
・粘度が500mPa・s以上2000mPa・s未満:ローター番号No.3、回転数60rpm。
・粘度が2000mPa・s以上10000mPa・s未満:ローター番号No.4、回転数60rpm。
・粘度が10000mPa・s以上50000mPa・s未満:ローター番号No.4、回転数12rpm。
[数値の読み取り]
ローターの回転の開始から60秒後。
【0024】
具体的なカチオン化セルロースとしては、(B1)成分であるヒドロキシトリメチルアンモニオプロピルヒドロキシエチルセルロースクロリド、(B2)成分であるヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド重合体等のカチオン変性ヒドロキシエチルセルロースなどが挙げられる。
【0025】
(B1)成分の市販品としては、例えば商品名「レオガードGP(第4級窒素含有率1.8質量%、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)」、商品名「レオガードMGP(第4級窒素含有率1.8質量%、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)」、商品名「レオガードMLP(第4級窒素含有率0.6質量%、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)」、商品名「SUPRACARE133(第4級窒素含有率0.8質量%、ダウ・ケミカル日本株式会社製)」、商品名「SUPRACARE212(第4級窒素含有率1.9質量%、ダウ・ケミカル日本株式会社製)」、商品名「SUPRACARE240(第4級窒素含有率1.9質量%、ダウ・ケミカル日本株式会社製)」、商品名「SUPRACARE241(第4級窒素含有率1.0質量%、ダウ・ケミカル日本株式会社製)」、商品名「UCARE JR125(第4級窒素含有率1.9質量%、ダウ・ケミカル日本株式会社製)」、商品名「UCARE JR400(第4級窒素含有率1.9質量%、ダウ・ケミカル日本株式会社製)」、商品名「UCARE LR30M(第4級窒素含有率1.0質量%、ダウ・ケミカル日本株式会社製)」、商品名「SoftCAT SL-5(第4級窒素含有率1.0質量%、ダウ・ケミカル日本株式会社製)」、商品名「SoftCAT SL-60(第4級窒素含有率1.0質量%、ダウ・ケミカル日本株式会社製)」、商品名「SoftCAT SL-100(第4級窒素含有率1.0質量%、ダウ・ケミカル日本株式会社製)」、商品名「SoftCAT SX-400X(第4級窒素含有率2.1質量%、ダウ・ケミカル日本株式会社製)」、商品名「SoftCAT SX-1300X(第4級窒素含有率2.1質量%、ダウ・ケミカル日本株式会社製)」、商品名「SoftCAT SX-400H(第4級窒素含有率2.1質量%、ダウ・ケミカル日本株式会社製)」、商品名「カチナールHC-100(第4級窒素含有率1.5質量%、東邦化学工業株式会社製)」、商品名「カチナールHC-200(第4級窒素含有率1.5質量%、東邦化学工業株式会社製)」、商品名「カチナールLC-100(第4級窒素含有率1.0質量%、東邦化学工業株式会社製)」、商品名「カチナールLC-200(第4級窒素含有率1.0質量%、東邦化学工業株式会社製)」などが挙げられる。これらの中でも、親水性付与の観点から「SUPRACARE212」が好ましい。
【0026】
(B4)成分の市販品としては、例えば商品名「SoftCAT SL-5(第4級窒素含有率1.0質量%、ダウ・ケミカル日本株式会社製)」、商品名「SoftCAT SL-60(第4級窒素含有率1.0質量%、ダウ・ケミカル日本株式会社製)」、商品名「SoftCAT SL-100(第4級窒素含有率1.0質量%、ダウ・ケミカル日本株式会社製)」、商品名「SoftCAT SX-400X(第4級窒素含有率2.1質量%、ダウ・ケミカル日本株式会社製)」、商品名「SoftCAT SX-1300X(第4級窒素含有率2.1質量%、ダウ・ケミカル日本株式会社製)」、商品名「SoftCAT SX-400H(第4級窒素含有率2.1質量%、ダウ・ケミカル日本株式会社製)」などが挙げられる。
これらの中でも、水切れ性能に優れ、硬表面(特に疎水性の硬表面)に対してウォータスポットの発生をより抑制できる観点から(B1)成分である「SUPRACARE133」、「SUPRACARE212」、「SUPRACARE240」が好ましく、「SUPRACARE212」、「SUPRACARE240」がより好ましい。
【0027】
(B)成分の含有量は、硬表面液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.01~1.0質量%が好ましく、0.01~0.5質量%がより好ましく、0.01~0.1質量%がさらに好ましくい。(B)成分の含有量が上記下限値以上であれば、硬表面(特に疎水性の硬表面)に対してウォータスポットの発生をより抑制できる。加えて、硬表面液体洗浄剤組成物をスプレーした際の噴霧直径が小さくなりにくく、一吹きで広範囲にスプレーできる。(B)成分の含有量が上記上限値以下であれば、洗浄剤成分由来のヌルつきをより低減できる。
【0028】
(A)成分/(B)成分で表される質量比(以下、「A/B比」ともいう。)は0.5~300であり、1~150が好ましく、5~30がより好ましい。A/B比が上記範囲内であれば、硬表面(特に疎水性の硬表面)に対してウォータスポットの発生を抑制できる。
【0029】
<(C)成分>
(C)成分は、下記一般式(C1)で表されるアルキルポリグルコシドである。
硬表面液体洗浄剤組成物が(C)成分を含有することで、洗浄剤成分由来のヌルつきを低減できる。
-O-[G]z ・・・(C1)
(式(C1)中、Rは炭素数8~20のアルキル基を表し、Gはグルコシド残基を表し、zは糖の重合度で、1~5の数を表す。)
【0030】
におけるアルキル基の炭素数は、8~20であり、8~16が好ましく、8~14がより好ましい。アルキル基は、直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよい。
Gは、グルコシド残基である。グルコシドの原料の還元糖としては、アルドースとケトースの何れであってもよく、また、炭素数が3~6個のトリオース、テトロース、ペントース、ヘキソースを挙げることができる。アルドースとして具体的には、アピオース、アラビノース、ガラクトース、グルコース、リキソース、マンノース、ガロース、アルドース、イドース、タロース、キシロースを挙げることができ、ケトースとしてはフラクトースが挙げられる。これらの中でも、炭素数5又は6のアルドペントースあるいはアルドヘキソースが好ましく、中でもグルコースが最も好ましい。
zは糖の重合度を示し、平均で1~5の数を表し、平均で1~3の数が好ましく、平均で1.2~1.6の数がより好ましい。
【0031】
(C)成分としては、下記一般式(C1-1)で表されるアルキルポリグルコシド(以下「(C1-1)成分」という場合がある。)が好ましい。
【0032】
【化5】
【0033】
式(C1-1)中、Rは炭素数8~20のアルキル基を表し、mは1~2の数である。
におけるアルキル基の炭素数は、8~20であり、8~16が好ましく、8~14がより好ましい。アルキル基は、直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよい。
【0034】
(C)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
(C)成分としては、アルキル基(R)の炭素数が異なる2種類以上のアルキルポリグリコシドの混合物を使用してもよい。その場合、Rの平均炭素数は8~16が好ましく、8~14がより好ましい。
【0035】
(C1-1)成分の市販品としては、例えば商品名「Glucopon(登録商標) 215 UP(BASF社製)」、「Glucopon(登録商標) 600 CSUP(BASF社製)」、商品名「Glucopon(登録商標) 650 EC(BASF社製)」、商品名「Glucopon(登録商標) 600 CSUP/MB(BASF社製)」、商品名「Glucopon(登録商標) 650 EC/MB(BASF社製)」などが挙げられる。
【0036】
(C)成分の含有量は、硬表面液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.1~2.0質量%が好ましく、0.1~1.5質量%がより好ましく、0.5~1.5質量%がさらに好ましくい。(C)成分の含有量が上記範囲内であれば、洗浄剤成分由来のヌルつきをより低減できる。加えて、硬表面に液体洗浄剤組成物をスプレーした際の噴霧直径が小さくなりにくく、一吹きで広範囲にスプレーできる。
【0037】
(C)成分/(B)成分で表される質量比(以下、「C/B比」ともいう。)は1~100であり、3~75が好ましく、5~30がより好ましい。C/B比が上記範囲内であれば、硬表面に液体洗浄剤組成物をスプレーした際の噴霧直径が小さくなりにくく、一吹きで広範囲にスプレーできる。特に、C/B比が上記下限値以上であれば、洗浄剤成分由来のヌルつきをより低減できる。
【0038】
<水>
硬表面液体洗浄剤組成物は、取り扱いのしやすさ、すすぎ性を向上する観点から、溶剤として水を含有することが好ましい。
水としては、イオン交換水、蒸留水、水道水などを使用することができる。
水は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0039】
水の含有量は、硬表面液体洗浄剤組成物の総質量に対し、50~99質量%が好ましく、60~95質量%がより好ましく、70~95質量%がさらに好ましい。水の含有量が上記範囲内であれば、硬表面液体洗浄剤組成物を調製しやすい。加えて、硬表面液体洗浄剤組成物を使用する際に、水への溶解性が良好となる。
【0040】
<任意成分>
任意成分としては、例えば高級脂肪酸又はその塩、水溶性有機溶剤、金属封鎖剤、他の界面活性剤、pH調整剤、殺菌剤、防腐剤、抗カビ剤、色素、酸化防止剤、増粘剤、紫外線吸収剤、可溶化剤、乳化剤、香料などが挙げられる。
【0041】
高級脂肪酸としては、例えばステアリン酸、リノール酸、オレイン酸、ミリスチン酸、ヤシ油脂肪酸などが挙げられる。
高級脂肪酸の塩の形態としては、例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(マグネシウム塩等)、アルカノールアミン塩(モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩等)などが挙げられる。
高級脂肪酸又はその塩は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0042】
高級脂肪酸又はその塩の含有量は、硬表面液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.05~3.0質量%が好ましく、0.1~2.0質量%がより好ましく、0.2~1.0質量%がさらに好ましい。
【0043】
水溶性有機溶剤とは、25℃の水1Lに50g以上溶解する有機溶剤をいう。
水溶性有機溶剤としては、例えばジエチレングリコールモノブチルエーテル(別名:ブチルカルビトール)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ソルフィットなどが挙げられる。
水溶性有機溶剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0044】
水溶性有機溶剤の含有量は、硬表面液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.1~5.0質量%が好ましく、1.0~3.0質量%がより好ましい。
【0045】
金属封鎖剤としては、例えば有機カルボン酸類、アミノカルボン酸類、ホスホン酸類、ホスホノカルボン酸類、リン酸類などが挙げられる。
有機カルボン酸類としては、例えば酢酸、アジピン酸、モノクロル酢酸、シュウ酸、コハク酸、オキシジコハク酸、カルボキシメチルコハク酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、グリコール酸、ジグリコール酸、乳酸、酒石酸、カルボキシメチル酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、グルコン酸などが挙げられる。
アミノカルボン酸類としては、例えばニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸、ジヒドロキシエチルグリシン、ヒドロキシエチレンイミノジ酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸などが挙げられる。
ホスホン酸類としては、例えばエタン-1,1-ジホスホン酸、エタン-1,1,2-トリホスホン酸、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸及びその誘導体、1-ヒドロキシエタン-1,1,2-トリホスホン酸、エタン-1,2-ジカルボキシ-1,2-ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸などが挙げられる。
ホスホノカルボン酸類としては、例えば2-ホスホノブタン-1,2-ジカルボン酸、1-ホスホノブタン-2,3,4-トリカルボン酸、α-メチルホスホノコハク酸などが挙げられる。
リン酸類としては、例えばオルソリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、メタリン酸、ヘキサメタリン酸、フィチン酸等の縮合リン酸などが挙げられる。
金属封鎖剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0046】
金属封鎖剤の含有量は、硬表面液体洗浄剤組成物の総質量に対して1.0~5.0質量%が好ましく、1.5~3.5質量%がより好ましい。
【0047】
他の界面活性剤は、(A)成分、(C)成分、並びに高級脂肪酸及びその塩以外の界面活性剤である。
他の界面活性剤としては、(C)成分以外のノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、半極性界面活性剤などが挙げられる。
他の界面活性剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0048】
硬表面液体洗浄剤組成物に含まれる全ての界面活性剤(ただし、高級脂肪酸及びその塩を除く。)の含有量の合計(総界面活性剤量)は、硬表面液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.2~30.0質量%が好ましく、0.5~10.0質量%がより好ましく、1.0~5.0質量%がさらに好ましく、1.0~3.0質量%が特に好ましい。
【0049】
pH調整剤としては、例えば塩酸、硫酸等の無機酸;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、アンモニア及びその誘導体から選ばれるアルカリ剤などが挙げられる。これらの中でも、塩酸、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。
pH調整剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0050】
なお、硬表面液体洗浄剤組成物を構成する成分の合計量は100質量%である。
【0051】
<物性>
(粘度)
硬表面液体洗浄剤組成物の25℃における粘度は、30mPa・s未満であり、1mPa・s以上、30mPa・s未満が好ましく、1~20mPa・sがより好ましく、3~15mPa・sがさらに好ましい。25℃における粘度が上記範囲内であれば、スプレー容器等の吐出容器からスプレーしやすくなる。加えて、硬表面に液体洗浄剤組成物をスプレーした際の噴霧直径が小さくなりにくく、一吹きで広範囲にスプレーできる。
【0052】
硬表面液体洗浄剤組成物の粘度は、水の含有量、増粘剤の添加等により調整できる。
硬表面液体洗浄剤組成物の粘度は、測定対象を25℃とし、B型粘度計を用いて、ローター番号No.1、ローター回転数60rpmで、ローターの回転の開始から60秒後に測定される値である。
【0053】
(pH)
硬表面液体洗浄剤組成物の25℃におけるpHは、6.0以上が好ましく、9.0以上がより好ましく、9.0~12.0がさらに好ましく、9.0~11.0が特に好ましく、10.0~11.0が最も好ましい。25℃におけるpHが上記範囲内であれば、湯垢汚れに対する洗浄力が高まる。
【0054】
硬表面液体洗浄剤組成物のpHは、pH調整剤を適量添加することにより調整できる。
硬表面液体洗浄剤組成物のpHは、JIS Z 8802:2011「pH測定方法」に準拠した方法により、25℃において測定される値である。
【0055】
<製造方法>
硬表面液体洗浄剤組成物は、従来公知の製造方法により製造される。例えば、水に、(A)成分、(B)成分及び(C)成分と、必要に応じてpH調整剤以外の任意成分とを添加し、必要に応じてpH調整剤にて所望のpHに調整することで得られる。
【0056】
<使用方法>
硬表面液体洗浄剤組成物の使用方法としては、例えば、硬表面液体洗浄剤組成物をスポンジ等の洗浄用具に含浸し、洗浄対象となる硬表面をスポンジ等で擦り洗いをする使用方法や、硬表面液体洗浄剤組成物を吐出容器に収容し、この吐出容器から、適量の硬表面液体洗浄剤組成物を硬表面にスプレーし、一定時間経過後に、シャワー等ですすぐ、「擦らず洗い」をする使用方法等が挙げられる。
特に、本発明の硬表面液体洗浄剤組成物は、硬表面に液体洗浄剤組成物をスプレーした際の噴霧直径が小さくなりにくく、一吹きで広範囲にスプレーできることから、「擦らず洗い」をする使用方法が好適である。
【0057】
洗浄対象となる硬表面の材質としては、プラスチック類、タイル、ステンレス、陶磁器、ガラス、大理石、コンクリートなどが挙げられる。これらの中でも、本発明の硬表面液体洗浄剤組成物は、プラスチック類の表面の洗浄に特に適している。
プラスチック類としては、ガラス繊維強化プラスチック(FRP)、アクリル樹脂、ポリオレフィン(例えばポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。
硬表面の具体例としては、浴室の浴槽、浴室内の床及び壁、浴室付帯設備(例えば風呂フタ、浴室マット(スノコ)、浴室用椅子、石鹸台、排水口の目皿・ヘアキャッチャー等)、蛇口や水栓、浴槽の蓋、浴室ドア、鏡、排水溝、便器などが挙げられる。
【0058】
硬表面液体洗浄剤組成物を収容する吐出容器としては、スプレー容器やスクイズ容器等が挙げられる。中でも、洗浄対象に対する塗布性に優れることから、硬表面液体洗浄剤組成物を収容する吐出容器としては、スプレー容器が好ましい。
スプレー容器としては、例えばエアゾールスプレー容器、トリガースプレー容器(直圧型又は蓄圧型)、ディスペンサースプレー容器などが挙げられる。これらの容器は、手動式のものでもよいし、電動式のものでもよい。
エアゾールスプレー容器としては、例えば特開平9-3441号公報、特開平9-58765号公報等に記載されているものが挙げられる。エアゾールスプレー容器に充填する場合、噴射剤としてLPG(液化プロパンガス)、DME(ジメチルエーテル)、炭酸ガス、窒素ガス、亜酸化窒素ガス等を使用できる。噴射剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
トリガースプレー容器の例としては、例えば特開平9-268473号公報、特開平10-76196号公報等に記載のものが挙げられる。
ディスペンサースプレー容器の例としては、例えば特開平9-256272号公報等に記載のものが挙げられる。
蓄圧式のトリガースプレー容器としては、例えば特開2013-154276号公報等に記載のものが挙げられる。
これらの中でも、噴霧性状やスプレーパターンが良好であり、良好な塗布性が得られることから、トリガースプレー容器が好ましい。
【0059】
本発明の硬表面液体洗浄剤組成物は、硬表面にスプレーした際の噴霧直径が小さくなりにくく、一吹きで広範囲にスプレーでき、かつ、浴槽や浴室内の床や壁に付着した皮脂やタンパク汚れに対し高い洗浄力を有し、しかも、硬表面に対してウォータスポットの発生を抑制でき、洗浄剤成分由来のヌルつきを低減できることから、浴室用として好適である。
なお、浴室用の硬表面液体洗浄剤組成物を特に、「浴室用液体洗浄剤組成物」ともいう。
【0060】
<作用効果>
以上説明した本発明の硬表面液体洗浄剤組成物は、上述した(A)成分と、(B)成分と、(C)成分とを特定の質量比で含有し、25℃における粘度が30mPa・s未満であることから、スプレーした際に噴霧直径が大きくスプレーパターンが広範囲にわたり、硬表面(特に疎水性の硬表面)に対してウォータスポットの発生を抑制でき、かつ、洗浄剤成分由来のヌルつきを低減できる。
【実施例
【0061】
以下、実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
なお、実施例3、4、6、10、12、16~19は参考例である。
【0062】
「使用原料」
(A)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・A-1:AOS、炭素数14のα-オレフィンスルホン酸ナトリウム(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、商品名「リポランLJ441」)。
【0063】
(B)成分またはその比較品((B’)成分)として、以下に示す化合物を用いた。
・B-1:カチオン化セルロース(ダウ・ケミカル日本株式会社製、商品名「Supracare 212」、第4級窒素含有率1.9質量%、25℃における1質量%水溶液の粘度18mPa・s)。
・B-2:カチオン化セルロース(ダウ・ケミカル日本株式会社製、商品名「Supracare 133」、第4級窒素含有率0.8質量%、25℃における1質量%水溶液の粘度7mPa・s)。
・B-3:カチオン化セルロース(ダウ・ケミカル日本株式会社製、商品名「Supracare 240」、第4級窒素含有率1.9質量%、25℃における1質量%水溶液の粘度42mPa・s)。
・B’-4:塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体(株式会社マツモト交商製、商品名「Merquat 550PR Polymer」)。
・B’-5:カチオン化グァーガム(三晶株式会社製、商品名「JAGURAR C-17K」)。
・B’-6:ポリエチレンイミン(株式会社日本触媒製、商品名「SP-200」、質量平均分子量(Mw)20,000)。
【0064】
(C)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・C-1:アルキル(C8~10)ポリグルコシド(BASF社製、商品名「Glucopon215UP」、上記一般式(C1-1)中、Rが炭素数8~10の直鎖状のアルキル基であり、mが1.5である化合物、20℃における商品粘度3500mPa・s)。
・C-2:アルキル(C8~14)ポリグルコシド(BASF社製、商品名「Glucopon650EC」、上記一般式(C1-1)中、Rが炭素数8~14の直鎖状のアルキル基であり、mが1.5である化合物、20℃における商品粘度2250mPa・s)
【0065】
水及び任意成分として、以下に示す化合物を用いた。
・水:イオン交換水。
・ヤシ油脂肪酸K:ヤシ油脂肪酸カリウム(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、商品名「ヤシ油脂肪酸カリウム」、石けん系アニオン性界面活性剤)。
・ミリスチン酸K:ミリスチン酸カリウム(日油株式会社製、商品名「ノンサール MK-1」、石けん系アニオン性界面活性剤)。
・ブチルカルビトール:ジエチレングリコールモノブチルエーテル(日本乳化剤株式会社製、商品名「ブチルジグリコール」、水溶性有機溶剤)。
・EDTA:エチレンジアミン四酢酸(アクゾノーベル株式会社製、商品名「ディゾルビンZ」、金属封鎖剤)。
・pH調整剤:1N水酸化ナトリウム(関東化学株式会社製)及び1N塩酸(関東化学株式会社製)の少なくとも一方。
【0066】
「実施例1~23、比較例1~9」
<硬表面液体洗浄剤組成物の調製>
表1~7に示す組成に従い、水に、(A)成分、(B)成分及び(C)成分と、pH調整剤以外の任意成分とを添加して混合した後、25℃におけるpHが表1~7に示す値となるようにpH調整剤を用いてpHを調整して各例の硬表面液体洗浄剤組成物を得た。得られた各例の硬表面液体洗浄剤組成物の組成(配合成分、含有量(質量%))と粘度を表1~7に示す。
なお、特に断りがない限り質量%は純分を示す。表中、空欄の配合成分がある場合、その配合成分は配合されていない。表中、pH調整剤の含有量「適量」は、各例の硬表面液体洗浄剤組成物のpHを表中の値にするのに要した量である。表中、水の含有量「バランス」は、硬表面液体洗浄剤組成物に含まれる全配合成分の合計の配合量(質量%)が100質量%となるように水が配合されていることを意味する。つまり、水の配合量は、硬表面液体洗浄剤組成物の総質量から水以外の配合成分の合計の配合量(純分換算)を除いた残部である。また、表中「A/B比」は、(A)成分/(B)成分で表される質量比である。「C/B比」は、(C)成分/(B)成分で表される質量比である。
【0067】
各例の硬表面液体洗浄剤組成物のpHは、これを25℃に調整した後、ガラス電極式pHメーター(東亜ディーケーケー株式会社製、商品名「HM-25R」)を用いて測定した。測定方法は、JIS Z 8802:1984「pH測定方法」に準拠して行った。
各例の硬表面液体洗浄剤組成物の粘度は、これを25℃に調整した後、B型粘度計(東機産業株式会製)を用いて、ローター番号No.1、ローター回転数60rpmで、ローターの回転の開始から60秒後の値を粘度として測定した。
また、各例の硬表面液体洗浄剤組成物について、湯垢洗浄力、ウォータスポット低減効果、ヌルつき、スプレーパターンを以下のようにして評価した。結果を表1~7に示す。
【0068】
<評価>
(湯垢洗浄力の評価)
一般家庭の浴槽内側壁面に、2cm×10cmのガラス繊維強化プラスチック(FRP)製テストピース(日東シンコー株式会社製)5枚を固定した後、成人男性4名が順番に、1日につき1回の入浴を3日間繰り返し、テストピースに汚れを付着させた。この間、風呂水のみを入れ替え、浴槽は洗わずに使用した。
この汚れが付着した5枚のテストピースを充分乾燥させた後、前記テストピースに対して、その全面が濡れるように、硬表面液体洗浄剤組成物をトリガースプレー容器(ライオン株式会社製、商品名「ルックプラス バスタブクレンジング」の容器)に充填してスプレーし、水平状態で1分間放置した後、15℃の水道水で120mL/sにて10秒すすぎ流した。その後、テストピースを充分乾燥させ、5枚のテストピース表面の汚れの除去状態を目視、指触により確認し、下記の評価基準に基づいて、湯垢洗浄力を評価した。下記の評価基準において、◎及び○を合格とした。
≪評価基準≫
◎:汚れ落ちが非常に良好(5枚のテストピースのうち、5枚とも目視による汚れが観察されず、5枚ともテストピース全面につるつるとした指触が得られる)。
○:汚れ落ちが良好(5枚のテストピースのうち、1枚以上は目視による汚れが観察されず、かつ、テストピース全面につるつるとした指触が得られ、5枚のテストピースのうち、少なくとも1枚はテストピースにざらざらとした指触を感じる)。
△:汚れ落ちにムラがある(5枚のテストピースのうち、5枚とも目視による汚れが観察され、5枚ともざらざらとした指触を感じるが、前記目視による汚れ及びざらざらとした指触は、洗浄前より軽減されている)
×:ほとんど汚れが落ちない(5枚のテストピースのうち、5枚とも目視による汚れが観察され、5枚ともざらざらとした指触を感じ、前記目視による汚れ及びざらざらとした指触は、洗浄前と変わらない)
【0069】
(ウォータスポット低減効果の評価)
5cm×10cmのFRP製テストピース(株式会社LIXIL製)の表面に硬表面液体洗浄剤組成物を0.5mL塗布し、水平状態で1分間放置した後、15℃の水道水で120mL/sにて10秒すすぎ流した。
すすぎ後の、テストピースの表面における水膜の濡れ広がり具合、すなわちテストピースの表面が水膜で覆われている割合を目視にて観察した。水膜が濡れ広がるほどウォータスポット低減効果が高いことを意味することから、下記の評価基準に基づいて、ウォータスポット低減効果を評価した。下記の評価基準において、◎、○及び△を合格とした。
≪評価基準≫
◎:水膜で覆われている割合が、テストピースの表面の8割以上である。
○:水膜で覆われている割合が、テストピースの表面の5割以上8割未満である。
△:水膜で覆われている割合が、テストピースの表面の3割以上5割未満である。
×:水膜で覆われている割合が、テストピースの表面の3割未満である。
【0070】
(ヌルつきの評価)
人差し指に硬表面液体洗浄剤組成物0.1gを載せ、親指で挟み、25℃の水道水200mLに浸した状態で、人差し指と親指を一定の力で1秒に4回のペースで擦り合わせた。硬表面液体洗浄剤組成物のヌルつきがなくなり、指の摩擦を感じる様になるまでの所要時間を測定し、下記の評価基準に基づいて、ヌルつきを評価した。下記の評価基準において、◎◎、◎及び○を合格とした。
≪評価基準≫
◎◎:所要時間が15秒未満であり、ヌルつきの落ち具合が非常に良好である。
◎:所要時間が15秒以上18秒未満であり、ヌルつきの落ち具合がかなり良好である。
○:所要時間が18秒以上20秒未満であり、ヌルつきの落ち具合が良好である。
△:所要時間が20秒以上25秒未満であり、ヌルつきの落ち具合にムラがある。
×:所要時間が25秒以上であり、ヌルつきが非常に落ちにくい。
【0071】
(スプレーパターンの評価)
硬表面液体洗浄剤組成物をトリガースプレー容器(ライオン株式会社製、商品名「ルックプラス バスタブクレンジング」の容器)に充填し、20cm離れた地点からFRP製の浴槽の垂直面に対して一吹きでスプレーしたときのスプレー範囲の直径(噴霧直径)を計測し、下記の評価基準に基づいて、スプレーパターンを評価した。下記の評価基準において、◎及び○を合格とした。
≪評価基準≫
◎:噴霧直径が13cm以上である。
○:噴霧直径が12.5cm以上13cm未満である。
×:噴霧直径が12.5cm未満である。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
【表3】
【0075】
【表4】
【0076】
【表5】
【0077】
【表6】
【0078】
【表7】
【0079】
表1~7から明らかなように、各実施例の硬表面液体洗浄剤組成物は、噴霧直径が大きくスプレーパターンが広範囲にわたり、疎水性の硬表面に対してウォータスポットの発生を抑制でき、湯垢洗浄力が高く、かつ、ヌルつきを低減できた。
【0080】
一方、表7から明らかなように、(C)成分を含まない比較例1の硬表面液体洗浄剤組成物は、スプレーしたときの噴霧直径が小さく、また、ヌルつきやすかった。
(B)成分を含まず、その代わりに(B’)成分を用いた比較例2~4の硬表面液体洗浄剤組成物は、スプレーしたときの噴霧直径が小さかった。特に、B’-4又はB’-5を用いた比較例2、3の硬表面液体洗浄剤組成物は、ヌルつきやすかった。B’-6を用いた比較例4の硬表面液体洗浄剤組成物は、ウォータスポットが発生しやすかった。
(B)成分を含まない比較例5の硬表面液体洗浄剤組成物は、スプレーしたときの噴霧直径が小さく、また、ウォータスポットが発生しやすかった。
A/B比が0.5未満である比較例6の硬表面液体洗浄剤組成物は、ウォータスポットが発生しやすかった。
A/B比が300超である比較例7の硬表面液体洗浄剤組成物は、ウォータスポットが発生しやすかった。
C/B比が1未満である比較例8の硬表面液体洗浄剤組成物は、スプレーしたときの噴霧直径が小さく、また、ウォータスポットが発生しやすく、かつ、ヌルつきやすかった。
C/B比が100超である比較例9の硬表面液体洗浄剤組成物は、スプレーしたときの噴霧直径が小さかった。