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▶ シンジェンタ クロップ プロテクション アクチェンゲゼルシャフトの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-10-16
(45)【発行日】2025-10-24
(54)【発明の名称】有害生物モニタリングデバイス
(51)【国際特許分類】
   A01M 1/10 20060101AFI20251017BHJP
   A01M 23/00 20060101ALI20251017BHJP
   G01N 21/17 20060101ALI20251017BHJP
【FI】
A01M1/10
A01M23/00
G01N21/17 A
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2022568768
(86)(22)【出願日】2021-05-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-14
(86)【国際出願番号】 EP2021062643
(87)【国際公開番号】W WO2021228950
(87)【国際公開日】2021-11-18
【審査請求日】2024-05-10
(31)【優先権主張番号】20174414.1
(32)【優先日】2020-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520222106
【氏名又は名称】シンジェンタ クロップ プロテクション アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】バーロウ トーマス
(72)【発明者】
【氏名】サリアス メリッサ
(72)【発明者】
【氏名】ジェームス アルン
(72)【発明者】
【氏名】キャンベル ジョナサン
【審査官】星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0235050(US,A1)
【文献】特開2008-099598(JP,A)
【文献】特開2011-250723(JP,A)
【文献】特開2015-125098(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0034736(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/10
A01M 23/00
G01N 21/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有害生物モニタリングデバイスであって、
ハウジングと、
前記ハウジング内の内部表面に関する光学データを生成するように構成される光センサと、
前記光センサと通信するプロセッサであって、前記プロセッサが、
前記光センサから光学データを受信し、
前記内部表面の少なくとも1つのセグメントに関する光学データを選択し、前記少なくとも1つのセグメントに関する前記光学データが、複数の画素として編成されており、
前記少なくとも1つのセグメントに対応する前記光学データが前記内部表面に関連付けられた所定の条件を満たすかどうかを、
所定の強度値未満の光強度を示す前記複数の画素のうちの画素の数を数えることと、
前記所定の強度限界未満の光強度を有する画素の数が、所定の画素閾値以上であるかどうかを判断することと、
によって評価し、
前記少なくとも1つのセグメントに対応する前記光学データが前記内部表面に関連付けられた前記所定の条件を満たすかどうかに基づいて、前記内部表面上に有害生物の標識があるかどうかを判断する、
ように構成される、前記プロセッサと、
を備え
前記プロセッサが、前記内部表面の複数のセグメントに対応する前記光学データが所定の条件を満たすかどうかを評価するように構成され、
前記プロセッサが、前記ハウジング内の前記内部表面上に有害生物の標識があるかどうかを、
前記所定の条件を満たす対応する光学データをそれぞれが有する複数の隣接セグメントが存在するかどうかを判断することと、
前記複数の隣接セグメントが所定のセグメント閾値以上の数のセグメントを含むかどうかを判断することと、
によって判断するように構成され、
前記プロセッサが、前記少なくとも1つのセグメントに対応する前記光学データが前記内部表面に関連付けられた前記所定の条件を満たしているという標識を割り当てるようにさらに構成され、
前記少なくとも1つのセグメントが、前記光学データが前記内部表面に関連付けられた前記所定の条件を満たし、且つ前記内部表面上に有害生物の標識があったと判断された、前記複数の隣接セグメントのうちの1つであった場合にのみ、
前記プロセッサが、前記少なくとも1つのセグメントに対応する前記光学データが前記内部表面に関連付けられた前記所定の条件を満たしているという前記標識を割り当てるようにさらに構成される、デバイス。
【請求項2】
前記プロセッサが、受信した前記光学データを複数の離散化ブロックに離散化するように構成され、各離散化ブロックが、前記内部表面の別個のセグメントに対応する光学データを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記デバイスが、外部受信機に情報を送信するように構成される通信手段をさらに備え、
前記プロセッサが、有害生物の標識が判断される場合に情報を前記外部受信機に送信するように、前記通信手段に命令するように構成される、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記送信された情報が、有害生物の標識が判断された前記内部表面の前記セグメントに対応する前記光学データを含む、請求項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記プロセッサが、
前記光センサからさらなる光学データを受信し、
複数の画素として編成されたさらなる光学データが前記光センサによって生成されている、前記内部表面の少なくとも1つのセグメントを選択し、
前記少なくとも1つのセグメントに対応する光学データが前記内部表面に関連付けられた前記所定の条件を以前に満たしているという標識があるかどうかを判断し、
前記少なくとも1つのセグメントに対応する前記光学データが前記所定の条件を以前に満たしているという標識がない場合にのみ、前記内部表面の前記少なくとも1つのセグメントに対応する前記さらなる光学データが、前記内部表面に関連付けられた前記所定の条件を満たすかどうかを評価し、
前記内部表面上に有害生物の標識があるかどうかを前記評価から判断する、
ようにさらに構成される、請求項1~4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記光学データが、光強度を含む、請求項1~のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記デバイスが、アクティブモードとスタンバイモードとの間で前記デバイスを切り替えるように構成されるコントローラをさらに備える、請求項1~のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記光センサ及び前記プロセッサが、前記ハウジングに着脱自在に連結される、請求項1~のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記有害生物モニタリングデバイスが、筐体をさらに含み、前記光センサ及び前記プロセッサが、前記筐体内に少なくとも部分的に収容され、前記筐体が、前記ハウジングに着脱自在に連結される、請求項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記デバイスが、電源として電池をさらに備える、請求項1~のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記内部表面が、有害生物を固定するための鋲又は粘着性物質を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載のデバイスを含む、有害生物トラップ。
【請求項13】
有害生物モニタリングデバイスを提供するためのパーツキットであって、
有害生物を乗せるための内部表面を有する第1のハウジングと、
有害生物を乗せるための内部表面を有する第2のハウジングと、
筐体であって、前記筐体が、使用中に前記第1のハウジング又は前記第2のハウジングのいずれかに着脱自在に連結され得るように構成され、
前記筐体が、
前記第1のハウジング又は前記第2のハウジングの中の内部表面に関する光学データを生成するように構成される光センサ、並びに
前記光センサと通信するプロセッサであって、前記プロセッサが、
前記光センサから光学データを受信し、
前記第1のハウジング又は前記第2のハウジングの前記内部表面の少なくとも1つのセグメントに関する光学データを選択し、前記少なくとも1つのセグメントに関する前記光学データが、複数の画素として編成されており、
前記少なくとも1つのセグメントに対応する前記光学データが前記第1のハウジング又は前記第2のハウジングの前記内部表面に関連付けられた所定の条件を満たすかどうかを、
所定の強度値未満の光強度を示す前記複数の画素のうちの画素の数を数えること、及び
前記所定の強度限界未満の光強度を有する画素の数が、所定の画素閾値以上であるかどうかを判断することによって評価し、
前記少なくとも1つのセグメントに対応する前記光学データが前記第1のハウジング又は前記第2のハウジングの前記内部表面に関連付けられた前記所定の条件を満たすかどうかに基づいて、前記第1のハウジング又は前記第2のハウジングの前記内部表面上に有害生物の標識があるかどうかを判断する、
ように構成される前記プロセッサを収容する、前記筐体と、
を含み、
前記プロセッサが、前記内部表面の複数のセグメントに対応する前記光学データが所定の条件を満たすかどうかを評価するように構成され、
前記プロセッサが、前記ハウジング内の前記内部表面上に有害生物の標識があるかどうかを、
前記所定の条件を満たす対応する光学データをそれぞれが有する複数の隣接セグメントが存在するかどうかを判断することと、
前記複数の隣接セグメントが所定のセグメント閾値以上の数のセグメントを含むかどうかを判断することと、
によって判断するように構成され、
前記プロセッサが、前記少なくとも1つのセグメントに対応する前記光学データが前記内部表面に関連付けられた前記所定の条件を満たしているという標識を割り当てるようにさらに構成され、
前記少なくとも1つのセグメントが、前記光学データが前記内部表面に関連付けられた前記所定の条件を満たし、且つ前記内部表面上に有害生物の標識があったと判断された、前記複数の隣接セグメントのうちの1つであった場合にのみ、
前記プロセッサが、前記少なくとも1つのセグメントに対応する前記光学データが前記内部表面に関連付けられた前記所定の条件を満たしているという前記標識を割り当てるようにさらに構成される、パーツキット。
【請求項14】
請求項1に記載の有害生物モニタリングデバイスを使用して有害生物トラップをモニタリングする方法であって、前記方法が、
ハウジング内の内部表面に関する光学データを生成することと、
前記内部表面の少なくとも1つのセグメントに関する光学データを選択することであって、前記少なくとも1つのセグメントに関する前記光学データが、複数の画素として編成されている、前記選択することと、
前記少なくとも1つのセグメントに対応する前記光学データが前記ハウジングの前記内部表面に関連付けられた所定の条件を満たすかどうかを、
所定の強度値未満の光強度を示す前記複数の画素のうちの画素の数を数えること、及び
前記所定の強度限界未満の光強度を有する画素の数が、所定の画素閾値以上であるかどうかを判断すること、
によって評価することと、
前記少なくとも1つのセグメントに対応する前記光学データが前記内部表面に関連付けられた前記所定の条件を満たすかどうかに基づいて、前記ハウジング内の前記内部表面上に有害生物の標識があるかどうかを判断することと、
を含む、方法。
【請求項15】
前記光学データを複数の離散化ブロックに離散化するステップであって、各離散化ブロックが、前記内部表面の別個のセグメントに対応する光学データを含む、前記離散化するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記内部表面の複数のセグメントに対応する前記光学データが所定の条件を満たすかどうかを評価するステップをさらに含む、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
前記ハウジング内の前記内部表面上に有害生物の標識があるかどうかを前記評価から前記判断するステップが、
前記所定の条件を満たす対応する光学データをそれぞれが有する複数の隣接セグメントが存在するかどうかを判断することと、
前記複数の隣接セグメントが所定のセグメント閾値以上の数のセグメントを含むかどうかを判断することと、
を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
有害生物の標識が判断される場合に、外部受信機に情報を送信するステップをさらに含む、請求項1417のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記送信された情報が、有害生物の標識が判断された前記セグメントに対応する前記光学データを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つのセグメントに対応する前記光学データが前記所定の条件を満たしているという標識を割り当てるステップをさらに含む、請求項1419のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも1つのセグメントが、前記光学データが前記所定の条件をそれぞれ満たし、且つ前記内部表面上に有害生物の標識があったと判断された、前記複数の隣接セグメントのうちの1つであった場合にのみ、前記少なくとも1つのセグメントに対応する前記光学データが前記所定の条件を満たしているという標識が割り当てられる、請求項17に従属する請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記内部表面に関するさらなる光学データを生成するステップと、
さらなる光学データが生成されている、前記内部表面の少なくとも1つのセグメントを選択するステップと、
前記少なくとも1つのセグメントに対応する光学データが前記所定の条件を以前に満たしているという標識があるかどうかを判断するステップと、
前記少なくとも1つのセグメントに対応する前記光学データが前記所定の条件を以前に満たしているという標識がない場合にのみ、前記内部表面の前記少なくとも1つのセグメントに対応する前記さらなる光学データが、前記所定の条件を満たすかどうかを評価するステップと、
前記ハウジング内の前記内部表面上に有害生物の標識があるかどうかを前記評価から判断するステップと、
をさらに含む、請求項20又は21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有害生物モニタリングデバイス及び有害生物トラップをモニタリングする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有害生物は、不快動物又は昆虫について述べるために使用される用語である。有害生物の例は、齧歯動物、ハエ、ゴキブリ、及びトコジラミを含み得る。家庭環境及び商業環境では、有害生物は、不快で見苦しく、且つ/又は健康リスクであり得る。多くの場合、直接それらに遭遇することなく有害生物の存在を検出することは困難である。加えて、ノミ、ゴキブリ、及びトコジラミなどの一般的な有害生物は夜行性であり、それによって、接近遭遇による検出の機会が減少する。したがって、様々な有害生物の検出のためのトラップを設置することが知られている。これらのトラップは、有害生物を捕獲するように作動し、それにより点検時に有害生物の存在によって、有害生物の侵入が示され得る。
【0003】
家庭環境及び商業環境の所有者は、有害生物の問題を識別するために敷地を継続的にモニタリングするための方策をとることが一般的である。特に、より大きな商業施設、例えばホテルは、予防策として有害生物をモニタリングすることを望み得る。これによって、彼らが、侵入を根絶する費用を減少させるために、潜在的な侵入を早期に見つけることが可能となる。
【0004】
多くの場合、敷地の大きさに起因して、複数の検出デバイスが設置される。以前の有害生物トラップでは、有害生物の存在を手動でチェックしなければならなかった。これは、少なくとも1人のユーザが敷地のトラップ全てを定期的にチェックすることを必要とし、時間のかかるものである。さらに、トラップが有害生物を含んでいるかどうかを知るための方法がなかったため、空のトラップでもチェックしなければならなかった。
【0005】
したがって、空である可能性が高いトラップをチェックする必要をなくすために、有害生物トラップ内でモニタリングデバイスを使用することが一般的である。しかしながら、有害生物トラップの常時モニタリングは、非常に電力集約的であり得る。したがって、モニタリングデバイスは、高電力要件を満たすために有害生物トラップをコンセントに接続することを必要とすることが多い。このことは、有害生物を捕獲するのに最適な場所にトラップを配置することができないことを意味する。
【0006】
代替として、電池駆動し得るデバイスもある場合がある。しかしながら、高電力要件は、電池を定期的に交換しなければならないことを意味する。これは、エンドユーザに対するコスト増加を引き起こす。
【0007】
国際公開第2016/130182号は、ハウジング、ハウジング内の内部チャンバ、及び内部チャンバの底面の少なくとも一部を照明するための、ハウジング内に配置された光源を含む自動昆虫モニタリングシステムを開示している。
【0008】
国際公開第2019/138242号は、カメラシステムを含むネットワーク化検出システムを用いて有害生物の存在を検出するシステムを開示している。このシステムでは、標的有害生物に関連する基準データが、有害生物の存在を検出するために使用される。これは、電力集約的であり得る(例えば、高いメモリケイパビリティを必要とする)。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、ハウジングと、ハウジング内の表面と、ハウジング内の内部表面に関する光学データを生成するように構成される光センサと、光センサと通信するプロセッサと、を備える、有害生物モニタリングデバイスが提供される。
【0010】
一実施形態では、プロセッサは、光センサから光学データを受信し、内部表面の少なくとも1つのセグメントに関する光学データを選択し、少なくとも1つのセグメントに関する光学データを、複数の画素又は画素のブロックとして編成するように構成される。プロセッサは、少なくとも1つのセグメントに対応する光学データが内部表面に関連付けられた所定の条件を満たすかどうかを、(1)所定の強度値未満の光強度を示す複数の画素のうちの画素の数を数えること、(2)所定の強度限界未満の光強度を有する画素の数が、所定の画素閾値以上であるかどうかを判断すること、及び(3)少なくとも1つのセグメントに対応する光学データが内部表面に関連付けられた所定の条件を満たすかどうかに基づいて、内部表面上に有害生物の標識があるかどうかを判断すること、によってさらに評価し得る。適当には、内部表面は、有害生物を固定するための鋲又は粘着性物質を含む。代替として、表面は、落とし穴トラップを含む。
【0011】
本発明の第2の態様によれば、本明細書に記載されるデバイスを含む有害生物トラップが提供される。
【0012】
本発明の第3の態様によれば、有害生物モニタリングデバイスを提供するためのパーツキットであって、有害生物を乗せるための内部表面を有する第1のハウジングと、有害生物を乗せるための内部表面を有する第2のハウジングと、筐体であって、筐体が、使用中に第1のハウジング又は第2のハウジングのいずれかに着脱自在に連結され得るように構成される、筐体と、を含むパーツキットが提供される。
【0013】
適当には、筐体は、第1のハウジング又は第2のハウジングの中の内部表面に関する光学データを生成するように構成される光センサと、光センサと通信するプロセッサであって、プロセッサが、光センサから光学データを受信し、第1のハウジング又は第2のハウジングの内部表面の少なくとも1つのセグメントに関する光学データを選択するように構成される、プロセッサと、を収容する。
【0014】
本発明の第4の態様によれば、有害生物トラップをモニタリングする方法であって、ハウジング内の内部表面に関する光学データを生成することと、内部表面の少なくとも1つのセグメントに関する光学データを選択することであって、少なくとも1つのセグメントに関する光学データが、複数の画素として編成されている、選択することと、少なくとも1つのセグメントに対応する光学データがハウジングの内部表面に関連付けられた所定の条件を満たすかどうかを、所定の強度値未満の光強度を示す複数の画素のうちの画素の数を数えること、及び所定の強度限界未満の光強度を有する画素の数が、所定の画素閾値以上であるかどうかを判断することによって評価することと、少なくとも1つのセグメントに対応する光学データが内部表面に関連付けられた所定の条件を満たすかどうかに基づいて、ハウジング内の内部表面上に有害生物の標識があるかどうかを判断することと、を含む、方法が提供される。
【0015】
適切には、本発明の第4の態様の方法は、本発明の第1の態様のデバイスを用いて実行される。
【0016】
本発明のある態様は、既知のシステムと比較して処理要件が減少し、ゆえに電力消費が減少した、有害生物モニタリングデバイスが提供されるという利点をもたらす。ある態様では、これによって、(消費電力減少の結果として)デバイスが主電源接続又は定期的な電池交換に限定されないという点において、有害生物モニタリングデバイスの可動性を向上させることが可能となる。
【0017】
本発明の実施例が、ここで単なる例として添付図面を参照して以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1a-1b】図1a及び図1bは、例としての有害生物モニタリングデバイスの平面図(透視図及び分解図)を示す。
図2】例としての有害生物モニタリングデバイスの概略図を示す。
図3a-3b】図3a及び図3bは、使用中の例としての有害生物モニタリングデバイスの断面図及び平面図を示す。
図4】有害生物トラップをモニタリングする例としての方法についてのフロー図を示す。
図5】有害生物トラップをモニタリングする別の例としての方法についてのフロー図を示す。
図6】有害生物トラップをモニタリングする別の例としての方法についてのフロー図を示す。
図7】有害生物トラップをモニタリングする別の例としての方法についてのフロー図を示す。
図7a】有害生物トラップをモニタリングする別の例としての方法についてのフロー図を示す。
図8図8は、有害生物モニタリングデバイスのさらなる実施例の平面図を示す。
図9a-9b】図9a及び図9bは、有害生物モニタリングデバイスのさらなる実施例の平面図を示す。
図10a-10b】図10a及び図10bは、有害生物モニタリングデバイスのさらなる実施例の平面図を示す。
図11図11は、例としての有害生物モニタリングデバイスの平面図及び側面図(透視図)をそれぞれ示す。
図12図12は、例としての有害生物モニタリングデバイスの平面図及び側面図(透視図)をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面では、類似の参照番号が、類似の部品を参照する。
【0020】
本明細書で用いられる「有害生物」という用語は、不快動物又は昆虫について述べるために使用される。有害生物の例は、齧歯動物、ハエ、ノミ、ゴキブリ、及びトコジラミを含み得る(がそれらに限定されない)。
【0021】
本明細書で用いられる「ハウジング」という用語は、実質的に取り囲まれた内部表面を有する容器を指す。例えば、ハウジングは、間の内部表面(例えば、底)を取り囲む/画定する境界壁の集合を含み得る。
【0022】
本明細書で用いられる「表面のセグメント」又は「内部表面のセグメント」という用語は、表面のある区画又は領域を指す。例えば、表面のセグメントは、表面の方に向けられた光センサの視野(又は多画素光センサの画素の視野)を指してもよい。
【0023】
本明細書で用いられる「ブロック」という用語は、そこに向けられた光センサから受信される表面又は内部表面に関する光学データの離散化ブロック又は(サブ)セットを指す。例えば、プロセッサは、表面に関する受信した光学データを複数の離散化ブロック又はセットに離散化するように構成されてもよく、各ブロックは、表面の別個のセグメントに対応する光学データを含み、表面のセグメントに関する光学データは、複数の画素を含み得る。
【0024】
本明細書で用いられる「内部表面に関連付けられた所定の条件」という用語は、所定の条件が表面上の有害生物ではなく表面それ自体のプロパティ又は状態(又はより詳細には、その上に有害生物のない表面の所期のプロパティ又は状態)に関連することを示す。例えば、所定の条件は、所与の環境光/照射した光に対して表面から反射された光の所期の強度に関連してもよい(例えば、所定の条件は、所期の光強度未満の画素数に関連してもよい)。
【0025】
本明細書で用いられる「表面上の有害生物の標識」は、有害生物が内部表面上に存在するという肯定的結論ではなく、対応する光学データから引き出される結論によって支持される、有害生物が存在するという示唆/断定である。
【0026】
本明細書で用いられる「有害生物モニタリングデバイスを動作させるための「モニタリング構成要素」」は、有害生物モニタリングデバイス内で有害生物を検出する手段を指す。例えば、有害生物を検出する手段は、有害生物モニタリングデバイスのプロセッサ、光センサ、電源、LEDを含み得る。
【0027】
本発明によれば、第1の態様において、ハウジングと、ハウジング内の表面と、ハウジング内の内部表面に関する光学データを生成するように構成される光センサと、光センサと通信するプロセッサと、を含む有害生物モニタリングデバイスが提供される。
【0028】
適切には、プロセッサは、受信した光学データを複数の離散化ブロックに離散化するように構成され、各離散化ブロックは、内部表面の別個のセグメントに対応する光学データを含む。好ましくは、プロセッサは、内部表面の複数のセグメントに対応する光学データが所定の条件を満たすかどうかを評価するようにさらに構成される。
【0029】
好ましい実施形態では、プロセッサは、ハウジング内の内部表面上に有害生物の標識があるかどうかを、所定の条件を満たす対応する光学データをそれぞれが有する複数の隣接セグメントが存在するかどうかを判断することと、複数の隣接セグメントが所定のセグメント閾値以上の数のセグメントを含むかどうかを判断することと、によって判断するように構成される。
【0030】
別の実施形態では、デバイスは、外部受信機に情報を送信するように構成される通信手段を含み、プロセッサは、有害生物の標識が判断される場合に情報を外部受信機に送信するように、通信手段に命令するように構成される。
【0031】
好ましい実施形態では、送信された情報が、有害生物の標識が判断された内部表面のセグメントに対応する光学データを含む。光学データは、問い合わせされている表面の画像を含み得る。
【0032】
さらなる実施形態では、プロセッサは、少なくとも1つのセグメントに対応する光学データが内部表面に関連付けられた所定の条件を満たしているという標識を割り当てるようにさらに構成される。
【0033】
別の実施形態では、少なくとも1つのセグメントが、光学データが内部表面に関連付けられた所定の条件を満たし、且つ内部表面上に有害生物の標識があったと判断された、複数の隣接セグメントのうちの1つであった場合にのみ、プロセッサは、少なくとも1つのセグメントに対応する光学データが内部表面に関連付けられた所定の条件を満たしているという標識を割り当てるようにさらに構成される。
【0034】
さらに別の実施形態では、プロセッサは、光センサからさらなる光学データを受信し、複数の画素として編成されたさらなる光学データが光センサによって生成されている、内部表面の少なくとも1つのセグメントを選択し、少なくとも1つのセグメントに対応する光学データが内部表面に関連付けられた所定の条件を以前に満たしているという標識があるかどうかを判断するようにさらに構成される。このようにして、内部表面の少なくとも1つのセグメントに対応するさらなる光学データが内部表面に関連付けられた所定の条件を満たすかどうかが評価され得る。一実施形態では、少なくとも1つのセグメントに対応する光学データが所定の条件を以前に満たしているという標識がない場合にのみ、そのような評価が行われる。評価が行われた後、内部表面上に有害生物の標識があるかどうかを評価から判断する。
【0035】
一実施形態では、光学データは、光強度を含む。
【0036】
別の実施形態では、デバイスは、アクティブモードとスタンバイモードとの間でデバイスを切り替えるように構成されるコントローラをさらに含む。
【0037】
さらなる実施形態では、光センサ及びプロセッサは、ハウジングに着脱自在に連結される。好ましくは、デバイスは、筐体をさらに含み、光センサ及びプロセッサは、筐体内に少なくとも部分的に収容され、筐体は、ハウジングに着脱自在に連結される。
【0038】
好ましい実施形態では、デバイスは、電源として電池をさらに含む。
【0039】
本発明の第2の態様によれば、本明細書に記載されるデバイスを含む有害生物トラップが提供される。
【0040】
本発明の第3の態様によれば、本明細書に記載されるような有害生物モニタリングデバイスを提供するためのパーツキットが提供される。一実施形態では、キット内のプロセッサによって受信される光学データは、キットの第1のハウジング又は第2のハウジングの内部表面の少なくとも1つのセグメントに関連し、複数の画素として編成されている少なくとも1つのセグメントに関連し、少なくとも1つのセグメントに対応する光学データが第1のハウジング又は第2のハウジングの内部表面に関連付けられた所定の条件を満たすかどうかを、所定の強度値未満の光強度を示す複数の画素のうちの画素の数を数えること、及び所定の強度限界未満の光強度を有する画素の数が、所定の画素閾値以上であるかどうかを判断することによって評価し、少なくとも1つのセグメントに対応する光学データが第1のハウジング又は第2のハウジングの内部表面に関連付けられた所定の条件を満たすかどうかに基づいて、第1のハウジング又は第2のハウジングの内部表面上に有害生物の標識があるかどうかを判断する。
【0041】
本発明の第4の態様によれば、有害生物トラップをモニタリングする方法が提供される。適切には、本発明の第4の態様の方法は、本発明の第1の態様のデバイスを用いて実行される。
【0042】
一実施形態では、方法は、光学データを複数の離散化ブロックに離散化するステップであって、各離散化ブロックが、内部表面の別個のセグメントに対応する光学データを含む、離散化するステップを含む。
【0043】
別の実施形態では、内部表面の複数のセグメントに対応する光学データが所定の条件を満たすかどうかを評価するステップ。
【0044】
さらなる実施形態では、ハウジング内の内部表面上に有害生物の標識があるかどうかを評価から判断するステップは、所定の条件を満たす対応する光学データをそれぞれが有する複数の隣接セグメントが存在するかどうかを判断することと、複数の隣接セグメントが所定のセグメント閾値以上の数のセグメントを含むかどうかを判断することと、を含む。
【0045】
好ましい実施形態では、方法は、有害生物の標識が判断される場合に、外部受信機に情報を送信するステップを含む。
【0046】
加えて、送信された情報が、有害生物の標識が判断されたセグメントに対応する光学データを含むことが好ましい。より好ましくは、表面の画像が送信される。
【0047】
一実施形態では、方法は、少なくとも1つのセグメントに対応する光学データが所定の条件を満たしているという標識を割り当てるステップも含む。
【0048】
さらなる実施形態では、少なくとも1つのセグメントが、光学データが所定の条件をそれぞれ満たし、且つ内部表面上に有害生物の標識があったと判断された、複数の隣接セグメントのうちの1つであった場合にのみ、少なくとも1つのセグメントに対応する光学データが所定の条件を満たしているという標識が割り当てられる。
【0049】
別の実施形態では、方法は、内部表面に関するさらなる光学データを生成するステップと、さらなる光学データが生成されている、内部表面の少なくとも1つのセグメントを選択するステップと、少なくとも1つのセグメントに対応する光学データが所定の条件を以前に満たしているという標識があるかどうかを判断するステップと、少なくとも1つのセグメントに対応する光学データが所定の条件を以前に満たしているという標識がない場合にのみ、内部表面の少なくとも1つのセグメントに対応するさらなる光学データが、所定の条件を満たすかどうかを評価するステップと、ハウジング内の内部表面上に有害生物の標識があるかどうかを評価から判断するステップと、を含む。
【0050】
別の実施形態では、内部表面の少なくとも1つのセグメントに対応するさらなる光学データが所定の条件を満たすかどうかを評価すること、及び所定の条件を満たすセグメント数が所定の条件を以前に満たしているセグメント数よりも大きいという光学データからの標識が存在する場合にのみ、光学情報を外部受信機に送信すること。
【0051】
さらなる実施形態では、少なくとも1つのセグメントが、光学データが所定の条件をそれぞれ満たし、且つ内部表面上に有害生物の標識があったと判断された、複数の隣接セグメントのうちの1つであった場合にのみ、少なくとも1つのセグメントに対応する光学データが所定の条件を満たしているという標識が割り当てられる。
【0052】
図1a及び図1bは、本開示による、有害生物モニタリングデバイス100の例を示す。図2は、概略的に示される有害生物モニタリングデバイス100を示す。図3a及び図3bは、使用中の有害生物モニタリングデバイス100を示す。
【0053】
有害生物モニタリングデバイス100は、ハウジング102を含む。内部表面104は、有害生物をその上に受ける/乗せるためにハウジング102の中に画成される。概して、内部表面104は、ハウジング102内に収容された(即ち、ハウジング102の境界壁の中に位置する)任意の表面であってもよい。例えば、内部表面104は、ハウジング102の底又は壁の部分を形成し得る(この例では、内部表面104は、ハウジング102の底部分である)。内部表面104は、任意の適当な方式で構成されてもよく、例えば、内部表面104は、平坦であってもよく、又は(落とし穴のように)湾曲/傾斜していてもよい。
【0054】
ハウジング102は、その中に有害生物の進入を可能にするように構成される。したがって、有害生物は、ハウジング102に入り、内部表面104にアクセスすることができる。この実施例では、ハウジング102は、ハウジング102の対向する側に配置されて、いずれかの側からの有害生物の進入を可能にする、2つの入口116を含む。入口116は、ハウジング102の内部へのアクセスを可能にし、それによって内部表面104へのアクセスも可能にする。
【0055】
入口116は、有害生物モニタリングデバイス100によってモニタリングされている有害生物の種類に依存した任意の適当な方法で構成され得る。概して、(例えば、ハウジング102の幅又は長さに実質的に広がる)より幅広い入口及び内部表面104に向かうテーパリングは、進入の可能性を最大化するために使用され得る。しかしながら、より狭い入口も使用されてもよい。入口116から内部表面104への経路は、任意の適当な方法で構成され得る。例えば、入口から内部表面104への経路は、平坦であってもよく、又は(内部表面104に向かって上向きに、又は下向きに)傾斜していてもよい。
【0056】
図3a及び図3bに最も良く示されるように、有害生物モニタリングデバイス100は、ハウジング102内の内部表面104に関する光学データを生成するように構成される光センサ106をさらに含む。この実施例では、光センサ106によって生成される光学データは、内部表面104から光センサに向かって反射された光強度を含む。
【0057】
この実施例では、光センサ106は、内部表面104の方に向けられたカメラ編成を含む。この実施例では、光学データが複数の画素として編成されるように、カメラ編成が、多画素カメラを含む。
【0058】
この実施例では、有害生物モニタリングデバイス100は、内部表面104を照明し、光学データの生成を援助するように構成される照明手段をさらに含む。この実施例では、照明手段は、LED108である。LED108は、白色光、又は特定の波長、例えば530nmの光を生成するように構成され得る。一方、他の実施例では、有害生物モニタリングデバイス100は、環境光のみに依存してもよい。
【0059】
図3a及び図3bに最も良く示される)この実施例では、内部表面104は、有害生物を固定するための鋲又は粘着性物質若しくは基板110(例えば、粘着パッド又はグルーボード)をその上に含む。一実施形態では、梱包及び運送の目的で、基板110の粘着層は、剥離紙によって覆われていてもよい。剥離紙は、粘着層を露出するために使用前に除去され、それゆえ有害生物が、粘着層に接触して罠にかかり得る。別の実施形態では、粘着性基板110(粘着パッド又はグルーボード)は、使い捨てである。この実施形態では、使い捨てのグルーボードは、有害生物モニタリングデバイス100の持続的効能を確保し、その上に固定された有害生物を処分するために、日常的に交換される。粘着性物質又は粘着性コーティングされた基板110は、例えば、水性樹脂又はホットメルト接着剤を含む感圧接着剤である、接着剤又は粘着成分を含み得る。いくつかの実施形態では、接着剤は、例えばアクリル系ポリマー、ブチルゴム、天然ゴム、ニトリル、シリコーン、スチレン型ブロックコポリマー、スチレン-エチレン/プロピレン、スチレン-イソプレン-スチレン、及び/若しくはビニルエーテル接着剤、又はそれらの混合物である。
【0060】
別の実施形態では、内部表面104は、有害生物を捕獲するために、基板110の代わりに又は基板110に加えて落とし穴トラップ(図示せず)を含む。落とし穴トラップの必須構成要素は、有害生物が剥がすことができない内壁を有する容器又は窪みである。例えば、トラップに落ちる有害生物は、内壁を登ることができないため、脱出することが不可能となる。
【0061】
この実施例では、基板110(及び/又は落とし穴)は、適当な位置で有害生物を固定するために、光センサ106の視野111に配置される。
【0062】
有害生物モニタリングデバイス100は、光センサ106と通信するプロセッサ112をさらに含む。プロセッサは、光センサ106から光学データを受信するように構成される。
【0063】
この実施例では、有害生物モニタリングデバイス100は、電源114を含む。この実施例では、単一電源が、全ての電源供給される構成要素(例えば、プロセッサ112、光センサ106、LED108)に提供される。この実施例では、電源は、電池(例えば、AA電池)であり、有害生物モニタリングデバイス100の主電源への依存をなくす。それによって、有害生物モニタリングデバイス100は、主電源へのアクセスを有する位置だけではなく、有害生物を捕獲するための最適な場所に配置され得る。
【0064】
この実施例では、有害生物モニタリングデバイス100を動作させるための「モニタリング構成要素」(例えば、光センサ106、LED108、プロセッサ112、電源114)は、ハウジング102に連結されるがハウジング102とは別個の、筐体120内に少なくとも部分的に配置され/収容される。図3aに最も良く示されるように、筐体120は、ハウジング102へのアクセスを可能にするように構成される間隙又は窓128を含む(例えば、光センサ106及びLED108は、窓128を通して内部表面104を見ることができる)。
【0065】
図4に示されるように、有害生物モニタリングデバイス100の一般的な使用において、光センサ106は、内部表面に関する光学データを生成する(ステップ1000)。光学データは、プロセッサ112に渡され(ステップ1002)、プロセッサ112は、次いでデータを分析して(ステップ1004)、内部表面104上に有害生物の標識があるかどうかを光学データから判断する(ステップ1006)。
【0066】
図5は、有害生物モニタリングデバイス100を用いて有害生物をモニタリングする方法を示す。光センサ106は、内部表面に関する光学データを生成する(ステップ2000)。光学データは、プロセッサ112に渡され(ステップ2002)、プロセッサ112は、内部表面のセグメントに関する光学データを選択する(ステップ2003)。この実施例では、セグメントに関する光学データは、複数の画素を含む。プロセッサ112は、セグメントに関する光学データを分析し(ステップ2004)、次いで、内部表面上に有害生物の標識があるかどうかを分析から判断する(ステップ2006)。
【0067】
いくつかの実施例では、プロセッサ112は、1つより多くのセグメントに対応する光学データが内部表面に関連付けられた所定の条件を満たすかどうかに基づいて、ハウジング内の内部表面上に有害生物の標識があるかどうかを判断し得る。即ち、第1のセグメントについての光学データの分析後、プロセッサ112は、分析用のさらなるセグメントに関する光学データを選択し得る。このプロセスは、内部表面上の有害生物の可能性又は標識に対する判断を行う前に、(例えば、光学データセット/画像内の全てのセグメントに関する光学データが分析されるまで)(矢印2100によって示されるように)繰り返され得る。
【0068】
この実施例では、プロセッサ112は、光学データを分析して、セグメント(又は順番に各セグメント)に対応する光学データが内部表面に関連付けられた所定の条件を満たすかどうかを評価する。
【0069】
この実施例では、所定の条件は、概して、有害生物が存在しないときに表面から反射される、所期の光強度に関連する。反射された光は、環境光であってもよく、又はLED108からのものであってもよい(例えば、図11の影付きピラミッドとして示されるLED108から表面110に伸びる光、又は図12の影付き三角形を参照)。この実施例では、プロセッサは、「暗い」画素(即ち、内部表面に対して予期されるよりも暗い画素)を数えることによって、所定の条件が満たされるかどうかを評価する。
【0070】
具体的には、プロセッサ112は、第1に複数の画素のうちの画素の数を数え、それは、所定の強度値未満の光強度を示す(即ち、有害生物の存在なしで所期の強度値に対応する強度値)。例えば、最大強度の約10%である。
【0071】
第2に、プロセッサ112は、所定の強度限界未満の光強度を有する画素の数が、所定の画素閾値以上であるかどうかを判断する。例えば、それぞれのブロック内の画素の総数の約80%である。
【0072】
代替実施形態では、有害生物が存在しないときに表面から反射される、所期の光強度と比較して、プロセッサは、光又は反射面を有する有害生物を乗せるための「明るい」画素(すなわち、内部表面に対して予期されるよりも明るい画素)を数えることによって、所定の条件が満たされるかどうかを評価する。
【0073】
この実施形態では、プロセッサ112は、第1に、所定の強度値(即ち、有害生物の存在なしで所期の強度に対応する強度値)より大きい光強度を示す複数の画素のうちの画素の数を数える。例えば、最大強度の約90%である。
【0074】
第2に、代替実施形態の場合、プロセッサ112は、所定の強度限界より大きい光強度を有する画素の数が、所定の画素閾値以上であるかどうかを判断する。例えば、それぞれのブロック内の画素の総数の約20%である。
【0075】
セグメントに対応する光学データが内部表面に関連付けられた所定の条件を満たすかどうかに基づいて、プロセッサ112は、内部表面上に有害生物の標識があるかどうかを判断する(ステップ2006)。光強度が所定の強度未満に落ちる所定の条件に関して、続く説明が提供されるが、上述した代替実施形態(即ち、光強度が上記所定の強度より上に入る)に適用するために類似のステップが詳述され得ることを理解されたい。
【0076】
一般的な意味において、所定の条件が、セグメントに関する光学データによって満たされている場合、プロセッサ112は、有害生物の標識があると判断してもよい(逆に、所定の条件が満たされていない場合に、プロセッサは、有害生物の標識がないと判断してもよい)。しかしながら、この実施例では、プロセッサ112は、第1に、所定の条件を満たす、対応する光学データをそれぞれが有する複数の隣接セグメントが存在するかどうかを判断することと、次いで、複数の隣接セグメントが所定のセグメント閾値以上の数のセグメントを含むかどうかを判断することと、によって、内部表面上に有害生物の標識があるかどうかを判断する。有害生物の標識があるかどうかを判断するのに適当なブロック閾値は、光センサの分解能(即ち、画素のサイズ)、視野、及びモニタリングされている有害生物に依存し得ることを理解されたい。例えば、小さな有害生物の場合、ブロック閾値は、約4ブロックであってもよく、大きな有害生物の場合、ブロック閾値は、約20ブロックであってもよい。
【0077】
データ生成、分析、及び判断のプロセスは、追加の有害生物の到来をチェックするために周期的に繰り返されてもよい(矢印2200を参照)。
【0078】
図6は、図5の方法の例としての実施態様を示す。最初に、有害生物モニタリングデバイス100がオンにされ(ステップ1)、有害生物がハウジング102の中に入る。光学データが生成され(ステップ2000)、光学データから、有害生物モニタリングデバイスは、「暗い」セグメントの検出を通して、内部表面上に有害生物の標識があると判断する(図示されない中間ステップ2004を伴うステップ2006)。
【0079】
この実施例では、内部表面上に有害生物の標識があると判断すると、有害生物の標識に関する情報が、外部受信機126に送信される(ステップ2009)。この実施例では、有害生物モニタリングデバイス100は、外部受信機126に情報を送信するように構成される通信手段124を含む。プロセッサ112は、有害生物の標識が判断される場合に情報を外部受信機126に送信するように、通信手段124に命令するように構成される。
【0080】
外部受信機126は、ユーザが視覚的にチェックするためにデータを表示するように構成され得る。外部受信機126は、複数の有害生物モニタリングデバイス100に接続される、中央受信ハブであってもよい。
【0081】
送信された情報は、有害生物の標識が判断されたセグメントに対応する光学データを含んでもよい。他の実施例では、送信された情報は、全ての光学データ(即ち、内部表面の画像)を含んでもよい。
【0082】
任意の適当な通信手段が使用され得る。例えば、通信手段は、WiFi、Bluetooth、又は類似のものを介して情報を送信するように構成され得る。この実施例では、通信手段は、ZigBee通信ハブを含む。
【0083】
プロセスは、追加の有害生物の到来をチェックするために周期的に繰り返される(矢印2200を参照)。
【0084】
図7は、概して図5に対応する有害生物モニタリングデバイス100を用いて有害生物をモニタリングする方法を示す。簡潔にするために、対応するステップのいくつかの詳細は、繰り返されない。
【0085】
この実施例では、有害生物モニタリングデバイス100は、消費電力を最小化してより良いモニタリング動作を助けるために、スリープモード又はスタンバイモードを有する。即ち、有害生物モニタリングデバイス100は、電池寿命を保存するために有害生物のみを断続的にモニタリングするように構成される。この実施例では、デバイスは、アクティブモード(モニタリング動作用)とスタンバイモードとの間で有害生物モニタリングデバイス100を切り替えるように構成されるコントローラ122をさらに含む。
【0086】
プロセッサ112は、有害生物モニタリングデバイス100を「ウェークアップ」するように、即ち、スタンバイモードからアクティブモードに有害生物モニタリングデバイス100を切り替えるように、コントローラ122に周期的に命令するように構成される(図7のステップ2999又は図7aのステップ3999)。モニタリング動作間の周期は、モニタリングされている有害生物(例えば、より活動的な有害生物は、より頻繁なモニタリングを必要とし得る)及び/又は有害生物モニタリングデバイス100の電池寿命(例えば、より長い電池寿命を有するデバイスは、より頻繁なモニタリングを可能にしてもよく、若しくは電池内の電荷が枯渇するにつれて頻度の低いモニタリングが使用されてもよい)に依存し得る。
【0087】
光センサ106は、内部表面に関する光学データを生成する(ステップ3000)。この実施例では、プロセッサは、受信した光学データを複数の離散化ブロック又はセットに離散化するように構成され(ステップ3001)、各ブロックは、内部表面の別個のセグメントに対応する光学データを含む。ブロック数は、モニタリングされている有害生物に従って選択され得る(例えば、ブロックが大きいほど大きな有害生物に使用され得る)。
【0088】
概して、内部表面の分析は、(例えば、コーナー又は別の冗長フィーチャを含む表面のセグメントに関する、いくつかのブロックが無視され得るが、)データのブロック全てを分析することから生じる。光学データの離散化に続いて、光学データのブロックが選択される(ステップ3003)。ステップ3003~3009は、例えば、以下の実施形態1及び実施形態2において説明されるように実行され得る。
【0089】
実施形態1
図5の方法と同様に、図7にさらに詳述されるように、プロセッサ112は、所定の強度値未満の光強度を示す複数の画素のうちの画素の数を数えること(ステップ30041)、及び所定の強度限界未満の光強度を有する画素の数が、所定の画素閾値以上であるかどうかを判断すること(ステップ30042)によって、所定の条件が満たされるかどうかを評価する。
【0090】
この実施例では、所定の条件が満たされる場合、プロセッサは、所定の条件が満たされているという標識をブロックに割り当てるようにさらに構成される。この実施例では、標識は、分析マトリクスの中のSETとしてブロックをマークすることによって、割り当てられる(ステップ3005)。
【0091】
方法は、分析されるブロックの全てを処理するためにステップ3003から繰り返され、対応する分析マトリクスは、コンパイルされている。全てのブロックが分析されているとき、プロセッサ112は、分析マトリクスのコンテンツから内部表面上に有害生物の標識があるかどうかを、分析から判断する(ステップ3006)。上述の通り、分析マトリクス内の各ブロックは、光センサ(106)によって問い合わせされている表面(104)の特定のセグメントからの光学データに対応する。したがって、表面(104)の隣接又は近隣セグメントからの光学データは、分析マトリクス内の結合される隣接又は近隣ブロックに対応する。
【0092】
この実施例では(図5の方法の場合と類似の方法で)、有害生物の可能性又は標識の判断は、以下を考慮する。
(1)数(X1)の識別。数(X1)は、(i)(即ち、ステップ3005から)SETとしてマークされ、且つ(ii)1つ又は複数の他のSETブロックと分析マトリクス内で近隣にある/結合される、分析マトリクス内のブロック数である。
(2)(X1)と(即ち、ブロック閾値数としても指定される)所定のブロック閾値「(B)」との比較(ステップ3006を参照)。例えば、小さな有害生物の場合、ブロック閾値(B)は、結合された約4SETブロックであってもよい。例えば、大きな有害生物の場合、ブロック閾値(B)は、結合された約20SETブロックであってもよい。
【0093】
内部表面上に有害生物の標識がない(即ち、(X1)≦(B))と判断される場合、分析マトリクスは、将来のモニタリング動作のためにクリアされる(ステップ3008)。
【0094】
内部表面(104)上に有害生物の標識がある(即ち、(X1)≧(B))と判断される場合、そのような表面に関連付けられた光学データ/画像は、外部受信機126に送信される(ステップ3009)。送信後(又は代替として、送信前/送信と同時に)、(X1)を識別するために使用されるブロック(即ち、(i)SETとしてマークされ(ステップ3005)、且つ(ii)1つ又は複数の他のSETブロックと分析マトリクス内で近隣にある/結合されるブロック)が、「無視リスト」に追加される。即ち、この実施例では、所定の条件が満たされたという標識は、そのセグメントが、内部表面上に有害生物の標識があったと判断された複数の隣接セグメントのうちの1つであった場合にのみ、セグメントに対して維持される。言い換えると、プロセッサは、(特定のセグメントから受信した光学データに相関する)特定のブロックが内部表面上に有害生物の標識があったとの判断に寄与したという標識を(「無視リスト」として)割り当てるように構成される。分析マトリクスは、次いで、将来のモニタリング動作のためにクリアされる(ステップ3008)。
【0095】
この実施例では、有害生物モニタリングデバイス100は、次いで、スリープするように送信され、上述したプロセスが繰り返される。
【0096】
さらなるモニタリング動作において、新たなブロックが選択されると、プロセッサは、ブロックが所定の条件を以前に満たしているという標識があるかどうか(即ち、ブロックが無視リストに存在するかどうか-ステップ3007)を判断する。ある場合、このブロックは無視され、プロセッサは、別のブロックの選択を試みる。ない場合、モニタリング動作は、ステップ30041、30042などに続く。
【0097】
ブロックが所定の条件を以前に満たしているという標識は、方法のさらなる反復中にブロックの分析を回避するために最終的に使用されてもよく、それによって、消費電力が減少する。即ち、プロセッサは、有害生物の標識が判断されていないブロックに関する光学データのみを分析してもよい。これは、有害生物が、例えば鋲又は粘着性物質上に固定されている結果として、内部表面上でゆっくり動いているか又はほぼ静止したままであるときに、特に有用である。
【0098】
実施形態2
図5の方法と同様に、図7aにさらに詳述されるように、プロセッサ112は、所定の強度値未満の光強度を示す複数の画素のうちの画素の数を数えること(ステップ40041)、及び所定の強度限界未満の光強度を有する画素の数が所定の画素閾値以上であるかどうかを判断すること(ステップ40042)によって、所定の条件が満たされるかどうかを評価する。さらに、古典的なエッジ検出アルゴリズムが、システムの堅牢性を改善するために使用される。それにより、近隣画素間の強度の差が査定され、変化が十分大きい場合にそれがエッジであると見なされる。画像ブロックの各行において(例えば、グラフ4020に示される図を参照)、所定の強度限界未満であるだけでなく、それらの左(L)端における下向きエッジ(十分急勾配である明から暗への遷移)及びそれらの右(R)端における上向きエッジ(十分急勾配である暗から明への遷移)によって境界付けされたシーケンス内にある画素(4025)のみが、数えられる。
【0099】
この実施形態では、強度の変化がエッジを構成するのに十分大きいかどうかの判断が、差分限界を用いて判断される。
強度限界は、この式によって判断される。
強度限界=(そのブロック内の最小強度)+強度比×(そのブロック内の最大強度)-(そのブロック内の最小強度)
差分限界は、以下の式によって判断される。
差分限界=差分比×(そのブロック内の最大強度)-(そのブロック内の最小強度)
【0100】
この実施例では、所定の条件が満たされる場合、プロセッサは、所定の条件が満たされているという標識をブロックに割り当てるようにさらに構成される。この実施例では、標識は、分析マトリクスの中のSETとしてブロックをマークすることによって割り当てられる(ステップ4005)。
【0101】
方法は、分析されるブロックの全てを処理するためにステップ4003から繰り返され、対応する分析マトリクスは、コンパイルされている。全てのブロックが分析されているとき、プロセッサ112は、分析マトリクスのコンテンツから内部表面上に有害生物の標識があるかどうかを、分析から判断する(ステップ4006)。上述の通り、分析マトリクス内の各ブロックは、光センサ(106)によって問い合わせされている表面(104)の特定のセグメントから光学データに対応する。したがって、表面(104)の隣接又は近隣セグメントからの光学データは、分析マトリクス内で結合される隣接又は近隣ブロックに対応する。
【0102】
この実施例では(図5の方法の場合と類似の方法で)、有害生物の可能性又は標識の判断は、以下を考慮する。
(1)数(X1)の識別。数(X1)は、(i)(即ち、ステップ4005から)SETとしてマークされ、且つ(ii)1つ又は複数の他のSETブロックと分析マトリクス内で近隣にある/結合される、分析マトリクス内のブロック数である。
(2)(X1)と(即ち、ブロック閾値数としても指定される)所定のブロック閾値「(B)」との比較(ステップ4006を参照)。例えば、小さな有害生物の場合、ブロック閾値(B)は、結合された約4SETブロックであってもよい。例えば、大きな有害生物の場合、ブロック閾値(B)は、結合された約20SETブロックであってもよい。
【0103】
内部表面上に有害生物の標識がない(即ち、(X1)≦(B))と判断される場合、分析マトリクスは、将来のモニタリング動作のためにクリアされる(ステップ4008)。
【0104】
内部表面(104)上に有害生物の標識がある(即ち、(X1)≧(B)と判断される場合、そのような表面に関連付けられた光学データ/画像は、外部受信機126に送信される(ステップ4009)。送信後(又は代替として、送信前/送信と同時に)、(X1)を識別するために使用されるブロック(即ち、(i)SETとしてマークされ(ステップ4005)、且つ(ii)1つ又は複数の他のSETブロックと分析マトリクス内で近隣にある/結合されるブロック)が、「無視リスト」に追加される。即ち、この実施例では、所定の条件が満たされたという標識は、そのセグメントが、内部表面上に有害生物の標識があったと判断された複数の隣接セグメントのうちの1つであった場合にのみ、セグメントに対して維持される。言い換えると、プロセッサは、(特定のセグメントから受信した光学データに相関する)特定のブロックが内部表面上に有害生物の標識があったとの判断に寄与したという標識を(「無視リスト」として)割り当てるように構成される。分析マトリクスは、次いで、将来のモニタリング動作のためにクリアされる(ステップ4008)。
【0105】
この実施例では、有害生物モニタリングデバイス100は、次いで、スリープするように送信され、上述したプロセスが繰り返される。
【0106】
さらなるモニタリング動作において、新たなブロックが選択されると、プロセッサは、ブロックが所定の条件を以前に満たしているという標識があるかどうか(即ち、ブロックが無視リストに存在するかどうか-ステップ4007)を判断する。ある場合、このブロックは無視され、プロセッサは、別のブロックの選択を試みる。ない場合、モニタリング動作は、ステップ40041、40042などに続く。
【0107】
ブロックが所定の条件を以前に満たしているという標識は、方法のさらなる反復中にブロックの分析を回避するために最終的に使用されてもよく、それによって、消費電力が減少する。即ち、プロセッサは、有害生物の標識が判断されていないブロックに関する光学データのみを分析してもよい。これは、有害生物が、例えば鋲又は粘着性物質上に固定されている結果として、内部表面上でゆっくり動いているか又はほぼ静止したままであるときに、特に有用である。
【0108】
実施形態3
代替実施形態では、図7のステップ(3003)~ステップ(3009)又は図7aのステップ(4003)~(4009)が、「無視リスト」はないが実施形態1~2(上記)に示されるように続く。より具体的には、(X1)を識別するために使用される特定のブロックを「無視リスト」に追加する代わりに、プロセッサ112は、(X1)の数値を記憶し、且つ有害生物インスタンス閾値(Y)をインクリメントするように構成される。例えば、実施形態1におけるステップ(3003)~(3009)(即ち、(X1)≧(B)の場合)又は実施形態2のステップ(4003)~(4009)に続いて第1の有害生物が検出されると、有害生物インスタンス閾値(Y)は、0(有害生物が存在しない)から1(1つの有害生物が存在する)に増加する。
【0109】
この実施例では、その後のモニタリング動作が、(X2)を分析マトリクスにおいてSETである近隣ブロックの数として識別し(即ち(X2)≧(B)の場合)、(X2)が(X1)(前のモニタリング動作からのSETブロックの数)にほぼ等しいことも識別する。そのような(X2)ブロックが前のモニタリング動作のセグメントとは異なる位置にある表面(104)の隣接又は近隣セグメントに対応する場合でさえ、この場合有害生物の判断が、それらの位置に必ずしも結びつかない近隣SETブロックの全体数に基づくため、1つの有害生物の存在が依然として示される。ゆえに、有害生物が表面(104)上の異なる位置に移動した場合でも、有害生物インスタンス閾値(Y)は、同一の(即ち、1つの有害生物が存在する)ままである。したがって、そのような表面に関連付けられた光学データ/画像を外部受信機126に再送信する必要はない(ステップ3009)/(ステップ4009)。
【0110】
有害生物が、例えば落とし穴の罠にかかった結果として、又は表面上の異なる位置に移動することから、内部表面上で移動しているか、又はほぼ静止したままではないとき、実施形態3の動的な有害生物インスタンス閾値手法は、特に有用である。
【0111】
一実施形態では、内部表面の少なくとも1つのセグメントに対応するさらなる光学データがブロック閾値数などの所定の条件を満たす場合に、実施形態3における有害生物評価が行われる。所定の条件を満たすセグメント数(例えば、(X2))が所定の条件を以前満たしていたセグメント数(例えば、(X1))よりも大きいという光学データからの標識が存在する場合にのみ、光学情報は外部受信機に送信される。
【0112】
利点
上述した実施形態は、以前から既知のデバイスより単純で電力集約的でない方法で、有害生物モニタリングデバイスが有害生物をモニタリングするという利点を提供する。
【0113】
例えば、光学データの評価は、既知の評価方法(例えば、以前生成された光学データに基づく評価など)と比較して必要メモリ及び関連する消費電力の減少を助ける所定の条件を使用する。さらに、所定の条件は、(例えば、有害生物関連データを記憶する結果としてより複雑でメモリ集約的である、標的有害生物に関連付けられるのではなく)内部表面に関連付けられる。
【0114】
概して、所定の条件は、他のシステムで使用されるより複雑な画像処理技術(例えば、Haar cascades、カーネルフィルタリング、画像記述子法、及び特徴変換)ではなく、所定の強度値未満の光強度を有する、数えられた画素の数に関連する。そのようなより単純な手法として、電力集中的でない本質的な画像処理が利用される。
【0115】
修正態様
上述のような詳細設計に対して様々な修正が可能である。例えば、上述した有害生物モニタリングデバイスは(単に有害生物をモニタリングすることに加えて)有害生物を捕獲するための有害生物トラップの部分を形成し得る。
【0116】
いくつかの実施例では、プロセッサは、分析前に光学データを前処理し得る。例えば、プロセッサは、表面の冗長領域(例えば、コーナー)に対応する光学データのブロックを除去し(又は無視リストに追加し)てもよい。
【0117】
有害生物モニタリングデバイスの構造及び構成は、上述したものから変更し得ると理解されたい。図8図10bは、有害生物モニタリングデバイス100の変形を示す。
【0118】
例えば、有害生物モニタリングデバイスのハウジングは、任意の適当な方法で構成される任意の適当な数の入口を有し得る。例示的実施形態として、図8は、3つの入口2161~2163を有するハウジング202を含む有害生物モニタリングデバイス200を示す。この実施例では、入口は、異なる構成の全てである。具体的には、ハウジング202は、平坦な入口2161と、傾斜した(即ち、地表面から内部表面に向かって上向きに傾斜した)入口2162と、を含む。有害生物は、一旦トラップ入口2163を通過すると、ハウジングの内側で罠にかけられ得る(又は少なくとも同じ入口を通って出ることを妨げられ得る)ように、ハウジング202は、内部表面より高くした、カバーされたスロット入口、即ち落とし穴トラップ入口2163をさらに含む。他の実施例は、例示された入口タイプのいずれかのうちの1つ又は複数を含み得る。
【0119】
電池は、任意の適当な位置に配置され得る。実施例として、図9a及び図9bは、有害生物モニタリングデバイス300及び400をそれぞれ示す。有害生物モニタリングデバイス300において、電池314は、有害生物モニタリングデバイスの上部に(例えば、「モニタリング構成要素」に隣接した、筐体内に)位置する。有害生物モニタリングデバイス400において、電池414は、有害生物モニタリングデバイスの下部に(例えば、内部表面を含むハウジング内に、又はハウジングに隣接して)位置する。その結果、有害生物モニタリングデバイス400は、有害生物モニタリングデバイス300と比較してより低い外形を有する。
【0120】
有害生物モニタリングデバイスは、モニタリングしている有害生物及び/又はデバイスが使用されることを意図した空間に依存した、任意の適当なサイズ/外形であってもよい。図10a及び図10bは、異なるサイズ及び外形の、有害生物モニタリングデバイス500及び600をそれぞれ示す。有害生物モニタリングデバイス500は、(例えば、より小さな有害生物をモニタリングするために)前の実施例のものと比較してより小さな設置領域を有する。有害生物モニタリングデバイス600は、(例えば、狭い空間に配置するために)幅の狭い外形を有する。
【0121】
他の実施形態では、有害生物モニタリングデバイス100は、フェロモン、化学誘引剤(CO2)、又は有害生物によって魅力的であると分かる他の臭気物質を含んでもよい。
【0122】
いくつかの実施例では、有害生物を固定するための内部表面上に鋲又は粘着性物質が存在しなくてもよい。そのような実施例では、有害生物は、モニタリング動作の間に移動し得る。
【0123】
いくつかの実施例では、反射光データが、ハウジング/筐体の中に配置されたミラーを介して光センサによって受信され得る。即ち、ミラーは、内部表面から光センサの方に光を反射するように配置され得る。したがって、光センサは、内部表面の近くに、又は内部表面の真上に配置されなくてもよい。これは、有害生物モニタリングデバイス内の構成要素の配置についての柔軟性をもたらす。
【0124】
上述した実施例では、モニタリング構成要素は、ハウジングとは別個の筐体内に配置される。しかしながら、他の実施例では、ハウジングは、筐体の中に収容されてもよく、又は筐体と一体であってもよい。
【0125】
いくつかの実施例では、モニタリング構成要素は、ハウジングに着脱自在に連結されてもよい。いくつかの実施例では、これは、(モニタリング構成要素を収容する)筐体がハウジングに着脱自在に連結されることの結果としてである。これによって、モニタリング構成要素が別個のハウジングと「モジュール式に」使用されることを可能にする。即ち、モニタリング構成要素は、モジュラーシステムの一部として1つ又は複数のハウジングと共に提供され得る。モニタリング構成要素は、次いで、編成の意図された使用(例えば、検出されるべき有害生物及び/又は有害生物モニタリングデバイスの意図された位置)に依存して、1つ又は複数のハウジングのいずれか1つと共に使用されてもよい。
【0126】
言い換えると、パーツキットは、2つ以上のハウジングを含んでもよく、それぞれが、その上に有害生物を乗せるための内部表面及び上述した筐体(又は、単なるハウジングの内部表面上で有害生物を検出する手段)を有する。筐体は、使用中にハウジングのいずれか/それぞれに着脱自在に連結され得るように構成される。例えば、パーツキットは、第1のサイズの有害生物(例えば、ゴキブリ)をモニタリング/捕獲するためにサイズ調整及び構成される第1のハウジングと、第2のサイズの有害生物(例えば、トコジラミ)をモニタリング/捕獲するためにサイズ調整及び構成される第2のハウジングと、を含んでもよい。例えば、より大きなハウジングは、より大きな有害生物をモニタリングするときに必要とされ得る(即ち、光センサは、内部表面からさらに離れる必要があり得る)。
【0127】
上述した実施形態のいずれかに関連して記載された特徴は、異なる実施形態間に交換可能に適用可能であり得ることが当業者には明らかとなる。例えば、図4図7のフロー図に提示された方法のステップは、任意の適当な方法で交換可能に組み合わされ又は使用され得る。上述した実施形態は、発明の様々な特徴を示すための実施例である。
【0128】
本明細書の説明及び特許請求の範囲全体を通して、「備える」及び「含む」という単語、並びにそれらの変化形は、「含むが限定されない」ことを意味し、それらは、他の部分、添加物、構成要素、整数、又はステップを除外すること(及び除外しないこと)を意図するものではない。本明細書の説明及び特許請求の範囲全体を通して、単数形は、文脈がそうでないことを必要としない限り、複数形を包含する。特に、不定冠詞が使用される場合、明細書は、文脈がそうでないことを必要としない限り、単数形と同様に複数形を考慮するとして理解されるべきである。
【0129】
発明の特定の態様、実施形態、又は実施例と併せて記載される特徴、整数、特性、成分、化学部分又は化学基は、本明細書に記載された任意の他の態様、実施形態、又は実施例と矛盾しない限り、それらに適用可能であると理解されるべきである。本明細書(任意の添付の特許請求の範囲、要約書、及び図面を含む)に開示された特徴の全て、並びに/又はそのように開示された任意の方法又はプロセスのステップの全てが、そのような特徴及び/又はステップの少なくともいくつかが相互排他的である組み合わせを除く、任意の組み合わせで組み合わされてもよい。発明は、任意の前述した実施形態の詳細に制限されない。発明は、本明細書(任意の添付の特許請求の範囲、要約書、及び図面を含む)に開示された特徴の任意の新規なもの若しくは任意の新規な組み合わせ、又はそのように開示された任意の方法若しくはプロセスのステップの任意の新規なもの若しくは任意の新規な組み合わせに及ぶ。
図1a
図1b
図2
図3a
図3b
図4
図5
図6
図7
図7a
図8
図9a
図9b
図10a
図10b
図11
図12