(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-10-17
(45)【発行日】2025-10-27
(54)【発明の名称】運動負荷装置
(51)【国際特許分類】
A01K 15/02 20060101AFI20251020BHJP
A01K 29/00 20060101ALI20251020BHJP
【FI】
A01K15/02 E
A01K29/00 C
(21)【出願番号】P 2025016954
(22)【出願日】2025-02-04
【審査請求日】2025-07-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505457994
【氏名又は名称】学校法人東京医科大学
(73)【特許権者】
【識別番号】506171727
【氏名又は名称】有限会社メルクエスト
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雪彦
(72)【発明者】
【氏名】山本 敏幸
【審査官】石原 豊
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-013363(JP,A)
【文献】韓国公開実用新案第20-2016-0000523(KR,U)
【文献】登録実用新案第3215859(JP,U)
【文献】特開2001-017017(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0034289(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0072758(KR,A)
【文献】Carole Groussard, et al.,Tissue-Specific Oxidative Stress Modulation by Exercise: A Comparison between MICT and HIIT in an Obese Rat Model,Oxidative Medicine and Cellular Longevity[online],Vol. 2019,2019年07月14日,pp. 1-11,https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1155/2019/1965364,特にAbstractを参照。[検索日 2025年7月18日]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 15/00-15/02
A01K 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
小動物に運動負荷を与えて医療実験を行うための運動負荷装置であって、
コンベア式の走路面を後方に移動させることによって小動物を前方に走行させるトレッドミルと、
前記トレッドミルの周囲を囲み、前記小動物の前記トレッドミルからの離脱を防止するケージと、
前記走路面の後端部に到達した前記小動物に刺激を与える刺激装置と、
前記トレッドミル及び前記ケージが搭載される基台を支持し、前記走路面の前端部が前記後端部よりも上方に位置するよう前記走路面を傾斜させて前記走路面の傾斜角度を調節可能な角度調節機構と、
前記走路面の前記傾斜角度が増加する方向に前記角度調節機構を傾斜させた状態で前記角度調節機構を支持する傾斜台と、を備え、
前記走路面には、前記小動物の大きさに応じた複数の突起片が設けられる
ことを特徴とする運動負荷装置。
【請求項2】
前記走路面の移動を制御する制御装置を更に備え、
前記制御装置は、前記走路面の移動速度が、前記小動物の体重に応じた負荷を与えられた前記小動物が走行できる最高速度で一定時間維持されるよう、前記走路面の移動を制御することによって、前記小動物にレジスタンス運動を行わせる
ことを特徴とする請求項1に記載の運動負荷装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記走路面の前記移動速度が、前記小動物が所定時間維持しながら走行できる最高速度に応じた第1移動速度と、前記第1移動速度より遅い第2移動速度とで交互に繰り返されるよう、前記走路面の移動を制御することによって、前記小動物にHIIT(High Intensity Interval Training)運動を行わせる
ことを特徴とする請求項2に記載の運動負荷装置。
【請求項4】
前記複数の突起片のそれぞれは、
前記走路面から上方に突出し前記走路面の幅方向に延びるように形成され、
前記走路面の前後方向において前記小動物の大きさに応じた所定ピッチ毎に配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の運動負荷装置。
【請求項5】
前記角度調節機構は、
基板と、
左右方向に間隔を空けて配置され、前記基板の後部から上方に延びて、当該間隔に配置された前記基台を支持する一対の第1支柱と、
左右方向に間隔を空けて配置され、前記一対の第1支柱よりも前方に位置する前記基板の部分から上方に延びて、当該間隔に配置された前記基台を支持する一対の第2支柱と、を含み、
前記一対の第2支柱における前記基台の支持位置を上下方向に調節することによって前記走路面の前記傾斜角度を調節可能である
ことを特徴とする請求項
1に記載の運動負荷装置。
【請求項6】
前記傾斜台は、
底板と、
前端部が後端部よりも上方に位置するよう前記底板に対して傾斜し、前記角度調節機構の前記基板が載置される座板と、
前記座板よりも後方に位置する前記底板の部分から上方に突出し、前記座板に載置された前記角度調節機構の前記基板の後端部を支持するブロックと、を含み、
前記角度調節機構の前記基板が前記座板に載置されることによって前記走路面の前記傾斜角度が増加する方向に前記角度調節機構を傾斜させる
ことを特徴とする請求項
5に記載の運動負荷装置。
【請求項7】
前記傾斜台は、前記底板の左右端部を越えて左右方向に延びるアウトリガを更に含む
ことを特徴とする請求項
6に記載の運動負荷装置。
【請求項8】
小動物に運動負荷を与えて医療実験を行うための運動負荷装置であって、
コンベア式の走路面を後方に移動させることによって小動物を前方に走行させるトレッドミルと、
前記トレッドミルの周囲を囲み、前記小動物の前記トレッドミルからの離脱を防止するケージと、
前記走路面の後端部に到達した前記小動物に刺激を与える刺激装置と、
前記トレッドミル及び前記ケージが搭載される基台を支持し、前記走路面の前端部が前記後端部よりも上方に位置するよう前記走路面を傾斜させて前記走路面の傾斜角度を調節可能な角度調節機構と、を備え、
前記走路面には、前記小動物の大きさに応じた複数の突起片が設けられており、
前記刺激装置は、
前記走路面の前記後端部に配置された緩衝材によって構成されており、
前記走路面の前記後端部に到達した前記小動物が前記緩衝材に接触した際に前記小動物に対して機械的刺激を与え、
前記小動物が前記走路面の前記後端部側に落下した際に前記小動物を前記緩衝材によって受け止める
ことを特徴とす
る運動負荷装置。
【請求項9】
前記緩衝材は、前記走路面に対して傾斜し前後方向に延びる斜面を有し、
前記斜面は、前記走路面の前記後端部から前方に向かうに従って前記走路面から遠ざかるように傾斜し、
前記緩衝材の前記斜面が前記走路面と成す角度は、前記走路面の前記傾斜角度が大きいほど小さい
ことを特徴とする請求項
8に記載の運動負荷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小動物に運動負荷を与えて医療実験を行うための運動負荷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、マウス又はラット等の小動物に運動負荷を与えて医療実験を行うための運動負荷装置としては、特許文献1に示すようなトレッドミル又はランニングホイール等の、有酸素運動を小動物に行わせる運動負荷装置が主であった。
【0003】
レジスタンス運動のような無酸素運動を小動物に行わせる運動負荷装置は、殆ど存在せず、研究室内で制作された運動負荷装置が数例あるのみである。無酸素運動を小動物に行わせる運動負荷装置の例としては、非特許文献1のような小動物を半固定して重りを持ち上げさせる装置、非特許文献2のような小動物に重りを付けて梯子を登らせる装置、又は、非特許文献3のようなテールサスペンショントレーニング用の装置が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【文献】Tamaki,T.,Uchiyama,S.,&Nakano,S.(1992).A weight-lifting exercise model for inducing hypertrophy in the hindlimb muscles of rats.Medicine and Science in Sports and Exercise,24(1),881-886.
【文献】Hornberger,T.A.,&Farrar,R.P.(2004).Physiological hypertrophy of the FHL muscle following 8 weeks of progressive resistance exercise in the rat.Canadian Journal of Applied Physiology,29(1),16-31.
【文献】Deschenes,M.R.,&Wilson,M.H.(2003).Age-related differences in synaptic plasticity following muscle unloading.Journal of Neurophysiology,90(5),3064-3070.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、非特許文献1~3に開示された装置では、小動物を拘束しなければならなかったり、小動物に与えることができる運動強度の自由度が低かったりするので、小動物に無酸素運動を容易且つ安定的に行わせることが難しい。また、特許文献1に開示された装置においても、小動物に無酸素運動を容易且つ安定的に行わせることが難く、改善の余地がある。
【0007】
本発明は、前述の事情に鑑みてなされたものであり、小動物に無酸素運動を容易且つ安定的に行わせることが可能な運動負荷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述の課題を解決するために、本発明の運動負荷装置は、小動物に運動負荷を与えて医療実験を行うための運動負荷装置であって、コンベア式の走路面を後方に移動させることによって小動物を前方に走行させるトレッドミルと、前記トレッドミルの周囲を囲み、前記小動物の前記トレッドミルからの離脱を防止するケージと、前記走路面の後端部に到達した前記小動物に刺激を与える刺激装置と、前記トレッドミル及び前記ケージが搭載される基台を支持し、前記走路面の前端部が前記後端部よりも上方に位置するよう前記走路面を傾斜させて前記走路面の傾斜角度を調節可能な角度調節機構と、前記走路面の前記傾斜角度が増加する方向に前記角度調節機構を傾斜させた状態で前記角度調節機構を支持する傾斜台と、を備え、前記走路面には、前記小動物の大きさに応じた複数の突起片が設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、小動物に無酸素運動を容易且つ安定的に行わせることが可能な運動負荷装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態の運動負荷装置の外観構成を示す斜視図。
【
図2】
図1に示すトレッドミル装置及び角度調節機構と傾斜台とを分解した運動負荷装置の分解斜視図。
【
図3】トレッドミル装置の内部構造及び角度調節機構を示す側面図。
【
図4】
図3に示すトレッドミル装置及び角度調節機構の上面図。
【
図5】
図3に示すトレッドミル装置及び角度調節機構の後面図。
【
図6】
図3に示すトレッドミル装置及び角度調節機構の前面図。
【
図9】トレッドミル装置及び角度調節機構が傾斜台に載置された状態を示す運動負荷装置の側面図。
【
図10】運動負荷装置の動作制御を説明する模式図。
【
図11】小動物にレジスタンス運動を行わせるための動作プロトコルを示す図。
【
図12】小動物にHIIT運動を行わせるための動作プロトコルを示す図。
【
図13】第2実施形態の運動負荷装置の外観構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。各実施形態において同一の符号を付された構成要素については、特に言及しない限り、各実施形態において同様の構成要素を有し、その説明を省略する。
【0012】
[第1実施形態]
図1~
図12を用いて、本発明の第1実施形態について説明する。まず、
図1及び
図2を用いて、運動負荷装置100の全体構成について説明する。
図1は、第1実施形態の運動負荷装置100の外観構成を示す斜視図である。
図2は、
図1に示すトレッドミル装置1及び角度調節機構40と傾斜台50とを分解した運動負荷装置100の分解斜視図である。
【0013】
運動負荷装置100は、マウス又はラット等の小動物Sに運動負荷を与えて医療実験を行うための装置である。特に、運動負荷装置100は、レジスタンス運動のような無酸素運動を小動物Sに容易且つ安定的に行わせることが可能な運動負荷装置である。更に、運動負荷装置100は、HIIT(High Intensity Interval Training)運動のような無酸素運動を含む運動を小動物Sに容易且つ安定的に行わせることができる。
【0014】
運動は、WHOが推奨する死亡率低下のための最も重要な施策である。従来は、有酸素運動が主に取り上げられてきたが、レジスタンス運動は、ガン等の疾病予防だけでなく、罹患中の患者にも抗癌作用を持ち、また抗加齢学の方法としても非常に重要である。しかし、モデル動物を用いた研究が少ない理由は小動物Sにレジスタンス運動を行わせるのが難しかったのが主な理由である。レジスタンス運動が症状改善及び予防に有効と思われる疾患は、ガンを始め、糖尿病又は肥満等の代謝性疾患、喘息又は花粉症等のアレルギー性疾患、関節リウマチ又は炎症性腸疾患等の免疫介在性炎症性疾患等であり、現在最も多くの医療資源を必要とする疾患群及び抗加齢学である。このため、本実施形態の運動負荷装置100は、非常に多くの疾患又は老化の研究に使用されることになると予想される。
【0015】
運動負荷装置100は、小動物Sに運動負荷を与えるトレッドミル装置1と、トレッドミル装置1の傾斜角度を調節する角度調節機構40と、トレッドミル装置1の傾斜角度を増加させる傾斜台50と、を備える。傾斜台50は、
図2に示すように、トレッドミル装置1及び角度調節機構40が載置されることによって当該傾斜角度を増加させる。
【0016】
次に、
図3~
図6を用いて、トレッドミル装置1及び角度調節機構40の詳細構成について説明する。
図3は、トレッドミル装置1の内部構造及び角度調節機構40を示す側面図である。
図4は、
図3に示すトレッドミル装置1及び角度調節機構40の上面図である。
図5は、
図3に示すトレッドミル装置1及び角度調節機構40の後面図である。
図6は、
図3に示すトレッドミル装置1及び角度調節機構40の前面図である。
【0017】
トレッドミル装置1は、コンベア式の走路面12を後方に移動させることによって小動物Sを前方に走行させるトレッドミル10と、小動物Sのトレッドミル10からの離脱を防止するケージ5と、トレッドミル10及びケージ5が搭載される基台2と、を備える。
【0018】
基台2は、台状又は箱状に形成され、その上面にトレッドミル10が搭載される。基台2は、アルミ又はステンレス等の金属材料によって形成される。ケージ5は、箱状に形成され、トレッドミル10の周囲を囲む。ケージ5は、アクリル等の透明な樹脂材料によって形成される。ケージ5の天井部5aの一部は、小動物Sをケージ5内に導入するために、開閉可能に構成される。ケージ5の内部空間は、前後方向に延びる複数の仕切り板6によって仕切られる。
【0019】
トレッドミル10は、
図3に示すように、駆動側のプーリ14がトレッドミル10の後部に配置され、従動側のプーリ15がトレッドミル10の前部に配置される。駆動側のプーリ14及び従動側のプーリ15には、無端ベルトである走行ベルト11が張られた状態で架け渡される。走行ベルト11の上面は、小動物Sが走行する走路面12を構成する。走行ベルト11は、小動物Sが滑り難いゴム等の樹脂材料によって形成される。走路面12には、
図4に示すように、複数の仕切り板6が配置され、複数の小動物Sを同時に走行可能とする複数の走行レーンが画定される。
【0020】
走路面12には、
図3及び
図4に示すように、小動物Sの大きさに応じた複数の突起片13が設けられる。複数の突起片13のそれぞれは、小動物Sが滑り難いゴム等の樹脂材料によって形成される。複数の突起片13のそれぞれは、走路面12から上方に突出し、走路面12の幅方向(左右方向)に延びるように形成される。例えば、複数の突起片13のそれぞれは、走路面12の幅方向を長手方向とする細長いブロック状に形成される。複数の突起片13のそれぞれは、走路面12の前後方向において小動物Sの大きさに応じた所定ピッチ毎に配置される。例えば、小動物Sがマウスである場合、当該所定ピッチは25mm程度であってもよい。小動物Sがマウスより大きいラットである場合、当該所定ピッチは25mmより大きくてもよい。
【0021】
駆動側のプーリ14は、駆動装置16によって駆動されて回転する。駆動装置16は、
図3に示すように、動力源であるモータ17と、モータ17の動力を駆動側のプーリ14に伝達する伝動ベルト18と、を含む。モータ17及び伝動ベルト18が駆動側のプーリ14を回転させることによって、走路面12が後方に移動する。モータ17の回転は、後述の制御装置31によって制御される。
【0022】
また、トレッドミル装置1は、走路面12の後端部12aに到達した小動物Sに刺激を与える刺激装置20を備える。第1実施形態の刺激装置20は、当該小動物Sと接触して当該小動物Sに電気的刺激を与える電極21と、電極21に電流を供給するグリッド22と、グリッド22を収容するグリッドボックス23と、を含む。電極21は、ケージ5内の走路面12の後端部12aに配置される。グリッドボックス23は、ケージ5外の基台2の後面2aに設けられる。グリッド22から電極21に供給される電流は、後述の制御装置31によって制御される。
【0023】
運動負荷装置100を用いて医療実験を行う際、ユーザは、ケージ5内に小動物Sを導入し、トレッドミル10の走路面12に小動物Sを配置する。そして、ユーザは、トレッドミル10を駆動させて、走路面12を後方に移動させる。走路面12が後方に移動すると、小動物Sが前方に走行する。実験開始直後のように小動物Sが元気な期間では、小動物Sは比較的速い走行速度で走路面12を走行する。実験時間が経過し小動物Sが疲労すると、小動物Sの走行速度は徐々に遅くなる。小動物Sの走行速度が走路面12の移動速度より遅くなると、小動物Sは、走路面12の後端部12aに到達し、刺激装置20の電極21に接触する。電極21に接触した小動物Sは、電極21から電気的刺激を受け、再び走行速度を速くして、走路面12の走行を続行する。
【0024】
角度調節機構40は、トレッドミル装置1の基台2を支持し、走路面12の前端部12bが後端部12aよりも上方に位置するよう走路面12を傾斜させて走路面12の前後方向の傾斜角度(以下、「走路面12の傾斜角度」とも称する)を調節する機構である。角度調節機構40は、アルミ又はステンレス等の金属材料によって形成される。角度調節機構40は、
図3~
図6に示すように、基板41と、トレッドミル装置1の基台2を支持する一対の第1支柱42及び一対の第2支柱44と、を含む。
【0025】
基板41は、長方形の板状に形成される。基板41には、ユーザによる角度調節機構40の持ち運びを容易にするために、ユーザによって把持されるハンドル46が設けられる。
【0026】
一対の第1支柱42は、左右方向に間隔を空けて配置され、基板41の後部41aから上方に延びる。一対の第1支柱42は、当該間隔に配置された基台2を支持する。具体的には、一対の第1支柱42は、基台2の側面2bの後部から左右方向にそれぞれ突出する支軸3を、一対の第1支柱42の上端部に形成された軸受43によって回動可能に支持する。
【0027】
一対の第2支柱44は、左右方向に間隔を空けて配置され、一対の第1支柱42よりも前方に位置する基板41の部分41bから上方に延びる。一対の第2支柱44は、当該間隔に配置された基台2を支持する。具体的には、一対の第2支柱44は、基台2の下面2cに設けられ側面2bから左右方向にそれぞれ突出する支持バー4を、一対の第2支柱44に形成された切り欠き45に挿入させて支持する。
【0028】
切り欠き45は、一対の第2支柱44に上下方向に沿って複数形成される。基台2の支持バー4が挿入される切り欠き45は、一対の第2支柱44における基台2の支持位置を画定する。角度調節機構40は、基台2の支持バー4が挿入される切り欠き45を変更することによって、一対の第2支柱44における基台2の支持位置を上下方向に調節する。これによって、角度調節機構40は、走路面12の傾斜角度を調節することができる。角度調節機構40は、走路面12の傾斜角度を、例えば、-5度~20度の範囲で調節することができる。なお、走路面12の傾斜角度が正の値は、走路面12の前端部12bが後端部12aよりも上方に位置する場合の値であり、走路面12の傾斜角度が負の値は、走路面12の前端部12bが後端部12aよりも下方に位置する場合の値である。
【0029】
次に、
図7~
図9を用いて、傾斜台50の詳細構成について説明する。
図7は、傾斜台50の側面図である。
図8は、
図7に示す傾斜台50の上面図である。
図9は、トレッドミル装置1及び角度調節機構40が傾斜台50に載置された状態を示す運動負荷装置100の側面図である。
【0030】
傾斜台50は、走路面12の傾斜角度が増加する方向に角度調節機構40を傾斜させた状態で角度調節機構40を支持する台である。傾斜台50は、角度調節機構40を着脱可能に支持する。傾斜台50は、アルミ又はステンレス等の金属材料によって形成される。傾斜台50は、
図7及び
図8に示すように、底板51と、角度調節機構40の基板41が載置される座板52と、座板52に載置された基板41の後端部41cを支持するブロック53と、座板52を支持する前壁板54及び中壁板55と、傾斜台50の設置安定性を向上させるアウトリガ56,57と、を含む。
【0031】
底板51は、長方形の板状に形成される。底板51には、ユーザによる傾斜台50の持ち運びを容易にするために、ユーザによって把持されるハンドル58が設けられる。底板51には、アウトリガ56,57が設けられる。アウトリガ56,57は、底板51の後端部51aに設けられた後アウトリガ56と、底板51の前端部51bに設けられた前アウトリガ57と、を含む。各アウトリガ56,57は、左右方向に伸縮可能に構成されている。各アウトリガ56,57の伸長時、各アウトリガ56,57は、底板51の左端部51c及び右端部51dを越えて左右方向に延びる。各アウトリガ56,57の短縮時、各アウトリガ56,57は、底板51の左端部51c及び右端部51dよりも左右方向内側まで短縮する。
【0032】
座板52は、前端部52bが後端部52aよりも上方に位置するよう底板51に対して傾斜する。座板52の上面52cは、角度調節機構40の基板41が載置される載置面を構成する。座板52の下面52dは、前壁板54及び中壁板55によって支持される。座板52は、角度調節機構40の基板41が上面52cに載置された状態で、角度調節機構40の基板41と一緒にボルト等によって締結される。
【0033】
ブロック53は、座板52よりも後方に位置する底板51の部分51eから上方に突出する。ブロック53の上方への突出長さ、すなわち、ブロック53の底板51からの高さは、基板41の後端部41cの厚さよりも大きい。ブロック53には、座板52に載置された基板41の後端部41cの上方への移動を規制するストッパ53aが形成される。ストッパ53aは、ブロック53の前面の上端部から前方に突出する突出部によって構成される。
【0034】
前壁板54は、底板51の前端部51bから上方に延びて左右方向に広がり、座板52の下面52dを支持する。中壁板55は、前壁板54よりも後方に位置すると共にブロック53よりも前方に位置する底板51の部分51fから上方に延びて前後方向に広がり、座板52の下面52dを支持する。中壁板55は、前壁板54の後面に接続して設けられる。中壁板55は、底板51からの高さが前壁板54よりも低くなるように設けられる。中壁板55は、底板51からの高さが後方に向かうに従って徐々に低くなるように設けられる。
【0035】
図9に示すように、走路面12の傾斜角度θは、角度調節機構40の基板41に対する走路面12の傾斜角度θ1と、傾斜台50の底板51に対する座板52の傾斜角度θ2との合計である。基板41に対する走路面12の傾斜角度θ1は、前述のように、例えば-5度~20度の範囲で調節可能である。底板51に対する座板52の傾斜角度θ2は、例えば25度である。したがって、傾斜台50は、角度調節機構40の基板41が座板52に載置されることによって、走路面12の傾斜角度θが増加する方向にトレッドミル装置1及び角度調節機構40を傾斜させることができる。例えば、基板41に対する走路面12の傾斜角度θ1が20度である場合、傾斜台50は、走路面12の傾斜角度θが45度となるように、トレッドミル装置1及び角度調節機構40を傾斜させることができる。
【0036】
次に、
図10~
図12を用いて、運動負荷装置100の動作制御について説明する。
図10は、運動負荷装置100の動作制御を説明する模式図である。
図11は、小動物Sにレジスタンス運動を行わせるための動作プロトコルを示す図である。
図12は、小動物SにHIIT運動を行わせるための動作プロトコルを示す図である。
【0037】
運動負荷装置100は、操作端末30を備える。操作端末30は、トレッドミル装置1の動作を制御する制御装置31と、トレッドミル装置1の動作条件を設定するユーザの入力操作を受け付ける入力装置32と、トレッドミル装置1の動作状況及び測定結果をユーザに表示する表示装置33と、を備える。
【0038】
制御装置31は、CPU等のプロセッサと、ROM及びRAM等のメモリと、を含んで構成され、プロセッサがメモリに記憶されたプログラムを実行することによって操作端末30の各種機能を実現する。入力装置32及び表示装置33は、タッチスクリーン式のディスプレイによって構成されてもよいし、個別の装置によって構成されてもよい。なお、操作端末30は、トレッドミル装置1の専用端末によって構成されてもよいし、一般的なパソコン等に専用のソフトウェアをインストールすることによって構成されてもよい。
【0039】
操作端末30は、走路面12の移動開始及び移動終了のタイミング、走路面12の移動速度V、並びに、電極21による電気的刺激の強度及びタイミング等、トレッドミル装置1の各種の動作条件を設定することができる。制御装置31は、設定された動作条件に従って、駆動装置16のモータ17及び刺激装置20のグリッド22を制御する。また、トレッドミル装置1は、各種のセンサを備えており、小動物Sの合計走行距離、小動物Sの電極21への接触回数、電気的刺激が小動物Sに与えられた合計時間等、各種の測定項目を測定することが可能である。操作端末30は、当該センサの検出信号に基づいてこれらの測定結果を演算及び処理し、表示装置33に表示することができる。
【0040】
更に、操作端末30は、前述したようなトレッドミル装置1の各種の動作条件のセットを表す動作プロトコルを制御装置31に予め複数記憶している。操作端末30は、これらの動作プロトコルを表示装置33に表示し、ユーザの入力操作によって選択させた動作プロトコルを制御装置31に設定する。制御装置31は、設定された動作プロトコルに従って、駆動装置16のモータ17及び刺激装置20のグリッド22を制御する。特に、操作端末30には、小動物Sにレジスタンス運動を行わせるための動作プロトコル(以下「レジスタンス運動プロトコル」とも称する)と、小動物SにHIIT運動を行わせるためのトレッドミル装置1の動作プロトコル(以下「HIITプロトコル」とも称する)とが予め記憶されている。
【0041】
レジスタンス運動プロトコルが設定された場合、制御装置31は、走路面12の移動速度Vが、小動物Sの体重に応じた負荷が与えられた小動物Sが走行できる最高速度で一定時間維持されるよう、小動物Sの移動を制御する。これによって、制御装置31は、小動物Sにレジスタンス運動を行わせることができる。
【0042】
図12には、レジスタンス運動プロトコルの例が示されている。
図12には、小動物Sの体重に応じた負荷(例えば、重り)を与えられた小動物Sが走行できる最高速度(MRC)を100%とした場合に、走路面12の移動速度Vを時間の経過に応じてどのように制御するかが示されている。
図12に示す例では、走路面12の移動開始から1分間は、ウォームアップとして、当該最高速度(MRC)の40%の速度を走路面12の移動速度Vとして走路面12を移動させる。その後、
図12に示す例では、当該最高速度(MRC)の100%の速度を走路面12の移動速度Vとして20分間維持する。その後、
図12に示す例では、クールダウンとして、当該最高速度(MRC)の40%の速度を走路面12の移動速度Vとして走路面12を1分間移動させる。
【0043】
また、HIITプロトコルが設定された場合、制御装置31は、走路面12の移動速度Vが、小動物Sが所定時間維持しながら走行できる最高速度に応じた第1移動速度V1と、第1移動速度V1より遅い第2移動速度V2とで交互に繰り返されるよう、走路面12の移動を制御する。これによって、制御装置31は、小動物SにHIIT運動を行わせることができる。
【0044】
図13には、HIITプロトコルの例が示されている。
図13には、小動物Sが60秒間維持しながら走行できる最高速度(MRC)を100%とした場合に、走路面12の移動速度Vを時間の経過に応じてどのように制御するかが示されている。
図13に示す例では、走路面12の移動開始から3分間は、ウォームアップとして、当該最高速度(MRC)の40%の速度を走路面12の移動速度Vとして走路面12を移動させる。その後、
図13に示す例では、当該最高速度(MRC)の90%の速度である第1移動速度V1を走路面12の移動速度Vとして1分間維持する。その後、
図13に示す例では、当該最高速度(MRC)の40%の速度である第2移動速度V2を走路面12の移動速度Vとして20秒間維持する。この第1移動速度V1と第2移動速度V2とを交互に繰り返して、小動物Sに高強度の運動負荷を与える。第1移動速度V1での移動が合計6回行われ、第2移動速度V2での移動が合計5回行われた後、
図13に示す例では、クールダウンとして、当該最高速度(MRC)の40%の速度を走路面12の移動速度Vとして走路面12を3分間移動させる。
【0045】
このように、制御装置31は、レジスタンス運動プロトコル又はHIITプロトコルに従って走路面12の移動を制御することによって、小動物Sにレジスタンス運動又はHIIT運動を行わせることができる。
【0046】
以上のように、第1実施形態の運動負荷装置100は、小動物Sに運動負荷を与えて医療実験を行うための運動負荷装置であって、コンベア式の走路面12を後方に移動させることによって小動物Sを前方に走行させるトレッドミル10と、トレッドミル10の周囲を囲み、小動物Sのトレッドミル10からの離脱を防止するケージ5と、走路面12の後端部12aに到達した小動物Sに刺激を与える刺激装置20と、トレッドミル10及びケージ5が搭載される基台2を支持し、走路面12の前端部12bが後端部12aよりも上方に位置するよう走路面12を傾斜させて走路面12の傾斜角度θを調節可能な角度調節機構40と、を備える。走路面12には、小動物Sの大きさに応じた複数の突起片13が設けられる。
【0047】
これにより、運動負荷装置100は、走路面12の傾斜角度θが45度である場合のように走路面12を急峻に傾斜させた状態で小動物Sを走行させても、走路面12に突起片13が設けられているので、小動物Sが滑って適切に走行できない事態を回避することができる。したがって、運動負荷装置100は、トレッドミル10の走路面12を急峻に傾斜させるだけで、小動物Sに対して容易且つ安定的に高強度の運動負荷を与えることができる。よって、本実施形態によれば、小動物Sに無酸素運動を容易且つ安定的に行わせることが可能な運動負荷装置100を提供することができる。
【0048】
更に、第1実施形態の運動負荷装置100は、走路面12の移動を制御する制御装置31を更に備える。制御装置31は、走路面12の移動速度Vが、小動物Sの体重に応じた負荷を与えられた小動物Sが走行できる最高速度(MRC)で一定時間維持されるよう、走路面12の移動を制御することによって、小動物Sにレジスタンス運動を行わせる。
【0049】
これにより、運動負荷装置100は、小動物Sに対して、代表的な無酸素運動であるレジスタンス運動を確実に行わせることができる。よって、本実施形態によれば、小動物Sに無酸素運動を容易且つ更に安定的に行わせることが可能な運動負荷装置100を提供することができる。
【0050】
更に、第1実施形態の運動負荷装置100において、制御装置31は、走路面12の移動速度Vが、小動物Sが所定時間維持しながら走行できる最高速度(MRC)に応じた第1移動速度V1と、第1移動速度V1より遅い第2移動速度V2とで交互に繰り返されるよう、走路面12の移動を制御することによって、小動物SにHIIT運動を行わせる。
【0051】
これにより、運動負荷装置100は、小動物Sに対して、無酸素運動を含む代表的な運動であるHIIT運動を確実に行わせることができる。よって、本実施形態によれば、小動物Sに無酸素運動を容易且つ更に安定的に行わせることが可能な運動負荷装置100を提供することができる。
【0052】
更に、第1実施形態の運動負荷装置100において、複数の突起片13のそれぞれは、走路面12から上方に突出し走路面12の幅方向に延びるように形成され、走路面12の前後方向において小動物Sの大きさに応じた所定ピッチ毎に配置される。
【0053】
これにより、運動負荷装置100は、走路面12を急峻に傾斜させても小動物Sを確実且つ円滑に走行させることができ、小動物Sに高強度の運動負荷を更に安定的に与えることができる。よって、本実施形態によれば、小動物Sに無酸素運動を容易且つ更に安定的に行わせることが可能な運動負荷装置100を提供することができる。
【0054】
更に、第1実施形態の運動負荷装置100は、走路面12の傾斜角度θが増加する方向に角度調節機構40を傾斜させた状態で角度調節機構40を支持する傾斜台50を更に備える。
【0055】
これにより、運動負荷装置100は、角度調節機構40とは別個に設けられた傾斜台50を使用して、走路面12を急峻に傾斜させることができる。したがって、運動負荷装置100は、角度調節機構40を新たに設計する必要がなく、既存のトレッドミル装置1及び角度調節機構40を活用することができる。よって、本実施形態によれば、小動物Sに無酸素運動を更に容易且つ安定的に行わせることが可能な運動負荷装置100を提供することができる。
【0056】
更に、第1実施形態の運動負荷装置100において、角度調節機構40は、基板41と、左右方向に間隔を空けて配置され基板41の後部41aから上方に延びて当該間隔に配置された基台2を支持する一対の第1支柱42と、左右方向に間隔を空けて配置され一対の第1支柱42よりも前方に位置する基板41の部分41bから上方に延びて当該間隔に配置された基台2を支持する一対の第2支柱44と、を含む。角度調節機構40は、一対の第2支柱44における基台2の支持位置を上下方向に調節することによって走路面12の傾斜角度θを調節可能である。
【0057】
これにより、運動負荷装置100は、角度調節機構40としてジャッキ又はエアシリンダのような部材を用いる場合よりも、走路面12の傾斜角度θを容易且つ安定的に調節することができ、傾斜状態のトレッドミル装置1の設置安定性を容易に確保することができる。しかも、運動負荷装置100は、走路面12を既存の角度範囲の傾斜角度θに傾斜させて使用する場合であっても、傾斜台50を取り外すだけで済む。傾斜台50を用いずに走路面12を急峻に傾斜させるためには、例えば、角度調節機構40の一対の第2支柱44の基板41からの高さを既存の高さよりも高くする必要がある。そうすると、走路面12を既存の角度範囲の傾斜角度θに傾斜させて使用する場合には、一対の第2支柱44がケージ5の側面を覆ってしまい、走路面12及び小動物Sの視認性が著しく低下する。本実施形態の運動負荷装置100は、前述のように構成された角度調節機構40と傾斜台50とを採用することによって、傾斜状態のトレッドミル装置1の設置安定性を低コストで確保しつつ、走路面12の傾斜角度θを既存の角度範囲から急峻な角度まで容易に調節することができる。よって、本実施形態によれば、小動物Sに無酸素運動を容易且つ安定的に行わせることができると共に、様々な医療実験に使用できる利便性の高い運動負荷装置100を提供することができる。
【0058】
更に、第1実施形態の運動負荷装置100において、傾斜台50は、底板51と、前端部52bが後端部52aよりも上方に位置するよう底板51に対して傾斜し角度調節機構40の基板41が載置される座板52と、座板52よりも後方に位置する底板51の部分51eから上方に突出し、座板52に載置された角度調節機構40の基板41の後端部41cを支持するブロック53と、を含む。傾斜台50は、角度調節機構40の基板41が座板52に載置されることによって走路面12の傾斜角度θが増加する方向に角度調節機構40を傾斜させる。
【0059】
これにより、運動負荷装置100は、比較的簡単な構成によって傾斜台50を実現することができるので、傾斜状態のトレッドミル装置1の設置安定性を更に容易に確保することができる。よって、本実施形態によれば、小動物Sに無酸素運動を更に容易且つ安定的に行わせることが可能な運動負荷装置100を提供することができる。
【0060】
更に、第1実施形態の運動負荷装置100において、傾斜台50は、底板51の左右端部51c,51dを越えて左右方向に延びるアウトリガ56,57を更に含む。
【0061】
これにより、運動負荷装置100は、傾斜台50の設置安定性を更に向上させることができるので、傾斜状態のトレッドミル装置1の設置安定性を更に容易且つ確実に確保することができる。よって、本実施形態によれば、小動物Sに無酸素運動を更に容易且つ更に安定的に行わせることが可能な運動負荷装置100を提供することができる。
【0062】
[第2実施形態]
図13~
図14を用いて、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態において、第1実施形態と同様の構成要素については、説明を省略する。
【0063】
図13は、第2実施形態の運動負荷装置100の外観構成を示す斜視図である。
【0064】
第2実施形態の運動負荷装置100では、刺激装置20の構成が第1実施形態とは異なる。第2実施形態の刺激装置20は、
図13に示すように、走路面12の後端部12aに配置された緩衝材60によって構成される。第2実施形態の刺激装置20は、走路面12の後端部12aに到達した小動物Sが緩衝材60に接触した際に小動物Sに対して機械的刺激を与える。第2実施形態の刺激装置20は、小動物Sが走路面12の後端部12a側に落下した際に小動物Sを緩衝材60によって受け止める。
【0065】
これにより、第2実施形態の運動負荷装置100は、電気的刺激を与える第1実施形態よりも簡単な構成によって刺激装置20を実現することができると共に、走路面12の後端部12aに到達した小動物Sに対して第1実施形態よりも優しい刺激を与えることができる。しかも、第2実施形態の運動負荷装置100は、走路面12が急峻に傾斜したことによって小動物Sが走路面12の後端部12a側に落下した場合であっても小動物Sを安全に受け止めることができる。よって、本実施形態によれば、小動物Sに無酸素運動を更に容易且つ安定的に行わせることができると共に、小動物Sの安全性を容易に確保することができる運動負荷装置100を提供することができる。
【0066】
図14は、
図13に示す緩衝材60の詳細構成を示す図である。
図14の上段には、緩衝材60の側面図が示され、
図14の下段には、緩衝材60の下面図が示されている。
【0067】
緩衝材60は、スポンジ又はウレタン等の発泡材料によって形成される。緩衝材60は、走路面12の後端部12aとケージ5及び仕切り板6とによって形成される空間を埋めるような大きさに形成される。緩衝材60は、
図14に示すように、ケージ5の天井部5aに接触する上面61と、走路面12の後端部12aに接触する下面62と、ケージ5の側面又は仕切り板6に接触する左面63及び右面64と、ケージ5の後面に接触する後面65と、走路面12に対して傾斜して前後方向に延びる斜面66と、を有する。
【0068】
斜面66は、走路面12の後端部12aから前方に向かうに従って走路面12から遠ざかるように傾斜する。緩衝材60の斜面66が走路面12と成す角度φは、走路面12の傾斜角度θが大きいほど小さい。
【0069】
これにより、第2実施形態の運動負荷装置100は、走路面12の後端部12aに到達した小動物Sの背中又は臀部に対して機械的刺激を確実に与えることができると共に、落下した小動物Sを確実に受け止めることができる。よって、本実施形態によれば、小動物Sに無酸素運動を更に容易且つ安定的に行わせることができると共に、小動物Sの安全性を容易且つ確実に確保することができる運動負荷装置100を提供することができる。
【0070】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、各実施形態に限定されるものではなく、本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の変更を行うことができる。本発明は、或る実施形態の構成要素を他の実施形態の構成要素に追加したり、或る実施形態の構成要素を他の実施形態の構成要素と置換したり、或る実施形態の構成要素の一部を削除したりすることができる。
【符号の説明】
【0071】
1…トレッドミル装置、2…基台、2a…後面、2b…側面、2c…下面、3…支軸、4…支持バー、5…ケージ、5a…天井部、6…仕切り板、10…トレッドミル、11…走行ベルト、12…走路面、12a…後端部、12b…前端部、13…突起片、14…駆動側のプーリ、15…従動側のプーリ、16…駆動装置、17…モータ、18…伝動ベルト、20…刺激装置、21…電極、22…グリッド、23…グリッドボックス、30…操作端末、31…制御装置、32…入力装置、33…表示装置、40…角度調節機構、41…基板、41a…後部、41b…基板41の部分、41c…後端部、42…一対の第1支柱、43…軸受、44…一対の第2支柱、45…切り欠き、46…ハンドル、50…傾斜台、51…底板、51a…後端部、51b…前端部、51c…左端部、51d…右端部、51e…底板51の部分、51f…底板51の部分、52…座板、52a…後端部、52b…前端部、52c…上面、52d…下面、53…ブロック、53a…ストッパ、54…前壁板、55…中壁板、56…後アウトリガ、57…前アウトリガ、58…ハンドル、60…緩衝材、61…上面、62…下面、63…左面、64…右面、65…後面、66…斜面、100…運動負荷装置
【要約】
【課題】小動物に無酸素運動を容易且つ安定的に行わせることが可能な運動負荷装置を提供することを目的とする。
【解決手段】運動負荷装置は、小動物に運動負荷を与えて医療実験を行うための装置であって、コンベア式の走路面を後方に移動させることによって小動物を前方に走行させるトレッドミルと、トレッドミルの周囲を囲み、小動物のトレッドミルからの離脱を防止するケージと、走路面の後端部に到達した小動物に刺激を与える刺激装置と、トレッドミル及びケージが搭載される基台を支持し、走路面の前端部が後端部よりも上方に位置するよう走路面を傾斜させて走路面の傾斜角度を調節可能な角度調節機構と、を備える。走路面には、小動物の大きさに応じた複数の突起片が設けられる。
【選択図】
図1